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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-06
(45)【発行日】2023-01-17
(54)【発明の名称】超音波プローブ
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/00 20060101AFI20230110BHJP
   H04R 17/00 20060101ALI20230110BHJP
【FI】
A61B8/00
H04R17/00 332
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2021534751
(86)(22)【出願日】2019-12-12
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-08
(86)【国際出願番号】 US2019066099
(87)【国際公開番号】W WO2020131584
(87)【国際公開日】2020-06-25
【審査請求日】2021-06-23
(31)【優先権主張番号】16/230,870
(32)【優先日】2018-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519019791
【氏名又は名称】フジフイルム ソノサイト インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100170209
【弁理士】
【氏名又は名称】林 陽和
(72)【発明者】
【氏名】マロリー ロバート
(72)【発明者】
【氏名】フレイ グレッグ
【審査官】冨永 昌彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-093878(JP,A)
【文献】特開2017-104203(JP,A)
【文献】特開2006-204552(JP,A)
【文献】特開2004-008372(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0078240(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 8/00 - 8/15
H04R 17/00 - 17/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プローブチップを有するプローブアレイアセンブリと、
前記プローブアレイアセンブリの一部の周りに設けられた第1のエンクロージャであって、第1および第2の開口を有し、熱伝導性材料を含む第1のエンクロージャと、
前記第1のエンクロージャ内に含まれた1以上の熱伝導フィンであって、前記プローブアレイアセンブリ内に囲まれた第1の端部と、前記第1のエンクロージャにおいて前記第1の開口から前記第2の開口への熱経路を作成するように第1の面内で前記プローブアレイアセンブリから離れて延びるとともに前記第1のエンクロージャの内面と熱的に接触する第2の端部と、を各々が有し、第1の側面と前記第1の側面とは反対側の第2の側面とを有する第1のフィンと、前記第1のフィンの前記第1の端部に取り付けられ、前記第1の面から第1の距離離れた第2の面内で延びるフレックス回路と、前記第1のフィンの前記第2の端部と前記フレックス回路との間の前記第1の側面上の第1のエラストマパッドと、含み、前記第1のフィンの前記第2の端部の前記第2の側面が、前記第1のフィンと前記第1のエンクロージャの前記内面との間の経路を介して前記プローブチップから熱を伝達するために前記第1の距離を大きくするように、前記第1のエラストマパッドによって、前記第1のエンクロージャの前記内面へと押し付けられて接触するとともに、前記第2の面から離間する、1以上の熱伝導フィンと、
を備える、超音波トランスデューサプローブ。
【請求項2】
前記第1のフィンは、金属を含む、
請求項1に記載のプローブ。
【請求項3】
前記1以上の熱伝導フィンを前記第1のエンクロージャの前記内面に熱的に結合するサーマルペーストをさらに備える、
請求項に記載のプローブ。
【請求項4】
前記フレックス回路に取り付けられた近位端部分と、前記第2の面から第2の距離離れた第3の面内で延びる遠位端部分と、を含む前記第2のフィンと、前記第2のフィンの前記遠位端部分と前記フレックス回路との間の第2のエラストマパッドと、をさらに備え、前記第2のフィンの前記遠位端部分は、前記第2のフィンと前記第1のエンクロージャの前記内面との間の経路を介して前記プローブチップから熱を伝達するために前記第2の距離を大きくするように、前記第2のエラストマパッドによって、前記第1のエンクロージャの前記内面へと押し付けられるとともに、前記第2の面から離間する
請求項に記載のプローブ。
【請求項5】
前記第1のエンクロージャの周りに設けられた第2のエンクロージャであって、前記第1のエンクロージャへと延びるヒートリブを含み、前記ヒートリブは、前記超音波トランスデューサの動作周波数に基づいて生成されると予想される所定量の熱を伝達するようなサイズである、第2のエンクロージャをさらに備える、
請求項1に記載のプローブ。
【請求項6】
前記プローブアレイアセンブリは、バッキングブロックを含み、前記第1のフィンの前記第1の端部と前記第1の端部に取り付けられた前記フレックス回路の第1の部分とは、前記バッキングブロック内に埋め込まれる
請求項に記載のプローブ。
【請求項7】
前記1以上の熱伝導フィンは、前記第2のフィンと前記第1のフィンとの間にエアギャップがない、前記フレックス回路に取り付けられた第2のフィンを含む
請求項に記載のプローブ。
【請求項8】
前記プローブアレイアセンブリは、バッキングブロックを含み、さらに、前記第1のフィンの最も広い部分である前記第1の端部は、前記バッキングブロック内に保持される
請求項に記載のプローブ。
【請求項9】
前記第1のフィンは、外形、切り欠き領域、または、前記プローブ内の少なくとも1つのコンポーネントとの接触を回避するための形状の特徴のうち少なくとも1つを含む
請求項に記載のプローブ。
【請求項10】
前記第1のフィンは、前記プローブ内の1以上の内部コンポーネントと接触するように構成された形状を有する
請求項に記載のプローブ。
【請求項11】
プローブチップを有するプローブアレイアセンブリと、
前記プローブアレイアセンブリの一部の周りに設けられた第1のエンクロージャであって、第1および第2の開口を有し、熱伝導性材料を含む第1のエンクロージャと、
前記第1のエンクロージャ内に含まれた1以上の熱伝導フィンであって、前記プローブアレイアセンブリ内に囲まれた一端と、前記第1のエンクロージャにおいて前記第1の開口から前記第2の開口への熱経路を作成するように前記プローブアレイアセンブリから離れて延びるとともに前記第1のエンクロージャの内面と熱的に接触する部分と、を各々が有する、1以上の熱伝導フィンと、
前記プローブアレイアセンブリの1以上の戻り面に結合された1以上の導電性電磁干渉(EMI)ガスケットであって、前記1以上の導電性EMIガスケットは、前記第1のエンクロージャの内面に結合されている、1以上の導電性EMIガスケットと、
を備える、超音波トランスデューサプローブ。
【請求項12】
前記1以上のEMIガスケットは、前記1以上の戻り面から前記第1のエンクロージャの前記内面への直接接触を提供する、
請求項11に記載のプローブ。
【請求項13】
前記第1のエンクロージャは、金属を含むとともにオーバーラップジョイントを含み、前記第1および第2の開口を除いて完全なファラデーケージを作成するように前記EMIガスケットとともに動作する、
請求項11に記載のプローブ。
【請求項14】
前記第1のエンクロージャの前記第2の開口は、ケーブルエンクロージャの金属織メッシュに電気的に接続するとともに熱結合を提供するように動作可能である、
請求項13に記載のプローブ。
【請求項15】
プローブチップを有するプローブアレイアセンブリと、
前記プローブアレイアセンブリの一部の周りに設けられ、第1および第2の開口を有するとともに第1および第2のクラムシェルハーフを含む第1のエンクロージャであって、前記第1および第2のクラムシェルハーフが前記第1および第2のクラムシェルハーフの側面に沿ってラップジョイントを介して共に結合されている第1のエンクロージャと、
前記第1のエンクロージャの周りに設けられ、第3および第4のクラムシェルハーフを有する第2のエンクロージャであって、前記第2のエンクロージャの前記第3のクラムシェルハーフがメカニカルインターロックを使用して前記第1のエンクロージャの前記第1のクラムシェルハーフに結合されており、前記第2のエンクロージャの前記第4のクラムシェルハーフがメカニカルインターロックを使用して前記第1のエンクロージャの前記第2のクラムシェルハーフに結合されている第2のエンクロージャと、
前記第1のエンクロージャ内に含まれ、金属を含む1以上の熱伝導フィンであって、前記プローブアレイアセンブリ内に囲まれた一端と、前記第1のエンクロージャにおいて前記第1の開口から前記第2の開口への熱経路を作成するように前記プローブアレイアセンブリから離れて延びるとともに前記第1のエンクロージャの内面と熱的に接触する部分と、を各々が有する1以上の熱伝導フィンと、
前記プローブアレイアセンブリの1以上の戻り面に結合された1以上の導電性電磁干渉(EMI)ガスケットであって、前記第1および第2の開口を除いて完全なファラデーケージを作成するように前記1以上の戻り面から前記第1のエンクロージャの前記内面への直接接触を提供するために前記第1のエンクロージャの内面に結合された1以上の導電性EMIガスケットと、
を備える、超音波トランスデューサプローブ。
【請求項16】
前記1以上の熱伝導フィンを前記第1のエンクロージャの前記内面に向かって押し付ける複数の材料片をさらに備える、
請求項15に記載のプローブ。
【請求項17】
前記第1および第2のクラムシェルハーフは、複数の貫通孔を含み、
前記第3および第4のクラムシェルハーフを形成する非導電性材料は、前記第1および第2のクラムシェルハーフの内表面内へと延びて当該内表面上への重なりを形成する、
請求項15に記載のプローブ。
【請求項18】
前記第2のエンクロージャは、非導電性材料を含み、
さらに、前記第2のエンクロージャの前記第3のクラムシェルハーフは、メカニカルインターロックを使用して前記第1のエンクロージャの第1のクラムシェルハーフにオーバーモールドされており、
前記第2のエンクロージャの前記第4のクラムシェルハーフは、前記第1のエンクロージャの前記第2のクラムシェルハーフにオーバーモールドされている、
請求項15に記載のプローブ。
【請求項19】
前記第1のエンクロージャの前記第2の開口は、ケーブルエンクロージャの金属織メッシュに電気的に接続するとともに熱結合を提供するように動作可能である、
請求項15に記載のプローブ。
【請求項20】
前記第1および第2のクラムシェルハーフを共に接続する複数のボスをさらに備える、
請求項15に記載のプローブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、超音波トランスデューサに関し、より具体的に、本発明は、超音波トランスデューサアセンブリ内に熱伝導フィンまたは平面層を含む超音波トランスデューサアセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
音響トランスデューサのようなトランスデューサは、音響プローブが患者の内部組織の画像を作成するために超音波を送受信する医用イメージングにおいて使用される。一般に、より高品質のイメージングを可能にするために音響プローブを最大許容音響強度で使用することがユーザにとって望ましく、これは、患者の組織への音響波のより良い浸透によって達成されうる。しかしながら、より高い音響強度で音響プローブを作動させることは、トランスデューサアセンブリにおいて発生する過度の熱につながる可能性がある。
【0003】
患者との接触点における音響プローブの最大外部温度には限界が存在する。音響プローブの特定の動作モードでは、トランスデューサ要素またはそのアセンブリ内で発生する熱が、プローブ表面のいくつかの領域の温度が許容限界を超えることを引き起こす場合がある。
【0004】
トランスデューサアセンブリは、一般に、固有熱伝導率が低い材料か、または、発熱部品から離れた限定的な伝導および外側シェルへの限定的な伝導のための短くて薄い断面の熱成分を利用する材料、を利用して製造される。このようなトランスデューサアセンブリは、プローブの過熱につながりうる。不利なことに、音響プローブの熱伝導率を高めるための過去の多くの試みは、プローブの表面温度に限定的な影響を及ぼしていたため、患者の不快感を防ぐのに十分な顔面温度の低下において効果的でない可能性がある。
【0005】
したがって、トランスデューサアセンブリの患者接触面の過熱を回避するために、トランスデューサ要素のアレイに閉じ込められる可能性のある熱を放散することが望ましい。
【発明の概要】
【0006】
超音波プローブおよびその使用方法が記載されている。一実施形態において、超音波プローブは、プローブチップを有するプローブアレイアセンブリと、プローブアレイアセンブリの一部の周りに設けられた第1のエンクロージャであって、第1および第2の開口を有し、熱伝導性材料を含む第1のエンクロージャと、第1のエンクロージャ内に含まれた1以上の熱伝導フィンであって、プローブアレイアセンブリ内に囲まれた一端と、第1のエンクロージャにおいて第1の開口から第2の開口への熱経路を作成するようにプローブアレイアセンブリから離れて延びるとともに第1のエンクロージャの内面と熱的に接触する部分と、を各々が有する1以上の熱伝導フィンと、を備える。
本発明は、以下の詳細な説明および本発明の様々な実施形態の添付図面からより完全に理解されるが、これらは、本発明を特定の実施形態に限定するものではなく、あくまで説明および理解のためのものである。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、超音波トランスデューサアセンブリを有する超音波トランスデューサプローブの一実施形態を示している。
図2図2は、プローブケースの一実施形態を示している。
図3図3は、プローブケースの一実施形態を示している。
図4図4は、最終アセンブリに近い超音波トランスデューサプローブのプローブケースの一実施形態を示している。
図5図5は、共に接続されたプローブケースの上半分および下半分を示している。
図6A図6Aは、ヒートフィンを備えたバッキングブロックの実施形態を示している。
図6B図6Bは、ヒートフィンを備えたバッキングブロックの実施形態を示している。
図7A図7Aは、ヒートフィンを備えたバッキングブロックの実施形態を示している。
図7B図7Bは、ヒートフィンを備えたバッキングブロックの実施形態を示している。
図8A図8Aは、サーマルフィンを備えたプローブケースの一実施形態の側面断面図を示している。
図8B図8Bは、フィンを内側シェルと接触させるためのサーマルフィンおよびパッドを備えたプローブケースの一実施形態の側面断面図を示している。
図9図9は、サーマルフィンを備えたプローブケースの別の実施形態の側面断面図を示している。
図10図10は、ヒートフィンの一実施形態を示している。
図11図11は、先行技術のプローブおよび本明細書に記載の技術を利用するプローブの熱画像を示している。
図12図12は、先行技術のプローブおよび本明細書に記載の技術を利用するプローブの熱画像を示している。
図13図13は、先行技術のプローブおよび本明細書に記載の技術を利用するプローブの熱画像を示している。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下の記載では、本発明のより完全な説明を提供するために多くの詳細が示されている。しかしながら、本発明がこれらの特定の詳細なしで実施されうることは、当業者にとって明らかであろう。他の例では、本発明を曖昧にすることを回避するために、よく知られた構造およびデバイスが、詳細ではなくブロック図の形で示されている。
【0009】
トランスデューサアセンブリおよびそれを使用するためのシステムを有する超音波トランスデューサプローブが開示される。超音波トランスデューサプローブの実施形態は、先行技術のプローブに対する1以上の改善を提供する。まず、プローブの構造は、熱管理を大幅に改善し、向上した電磁インターフェース(EMI)制御および増大した構造の完全性を提供する。これらの改善は、たとえば手で鋳造する、銅箔で部品を手で包む、電気部品の周りにはんだ付けする、といった人為的ミスの対象となりやすい多くの労働集約的な製造プロセスを排除しながら達成された。多くの労働集約的な製造プロセスが排除されたため、超音波トランスデューサプローブの実施形態は、バッチ変動のないより再現性のある製造ステップに備え、このことは、製造組立時間が大幅に短縮する。
【0010】
図1は、開示技術の実施形態に従って構成された超音波トランスデューサアセンブリを有する超音波トランスデューサプローブの一実施形態を示している。図1を参照すると、超音波トランスデューサプローブ100は、遠位端部分112と近位端部分114との間で延びるエンクロージャ110を含む。一実施形態において、超音波トランスデューサプローブ100のエンクロージャ110は、内側シェルを取り囲む透明カバーを有する。一実施形態において、内側シェルは、金属材料(たとえばダイキャストアルミニウムなど)からなる。一実施形態において、透明カバーは、ダイキャスト金属内側シェル上にオーバーモールドされた透明プラスチック(たとえばポリスルホン)を含む。一実施形態において、外カバーおよび内側シェルは、エンクロージャ110を作成し、プローブの外に熱を伝達するように協働する。
【0011】
エンクロージャ110は、エンクロージャ110の内部の部分または空洞に設けられたシステム電子機器(たとえば1以上のプロセッサ、集積回路、ASIC、FPGA、ビームフォーマ、バッテリ、および/または他の電源)を運ぶまたは収容するように構成されている。システム電子機器(図示せず)は、プローブの近位端に取り付けられたケーブル118を介して超音波イメージングシステム130に電気的に結合されている。
【0012】
プローブ先端では、1以上のトランスデューサ要素を有するトランスデューサアセンブリ120がシステム電子機器に電気的に結合されている。動作中、トランスデューサアセンブリ120は、1以上のトランスデューサ要素から対象に向かって超音波エネルギーを送信し、対象から超音波エコーを受信する。超音波エコーは、送受信回路によって電気信号に変換され、システム電子機器と、電気信号を処理して1以上の超音波画像を形成するように構成された超音波イメージングシステム130内の電子機器(たとえば、1つまたは複数のプロセッサ、メモリモジュール、ビームフォーマ、FPGAなど)と、に電気的に送信される。
【0013】
例示的なトランスデューサアセンブリ(たとえばトランスデューサアセンブリ120)を使用して対象から超音波データを取得することは、一般に、超音波を生成することと、超音波を対象に送信することと、対象によって反射された超音波を受信することと、を含む。広範囲の周波数の超音波は、超音波データを取得するために使用されうる、たとえば低周波数の超音波(たとえば15Mhz未満)および/または高周波数の超音波(たとえば15Mhz以上)が使用できる。当業者は、限定はされないが、たとえばイメージングの深さおよび/または所望の解像度のような要因に基づいて、使用する周波数範囲を容易に決定することができる。
【0014】
一実施形態において、超音波イメージングシステム130は、1以上のプロセッサを有する超音波制御サブシステム131を含む。少なくとも1つのプロセッサは、音波を放出するために電流をプローブ100のトランスデューサに送り、また、戻ってくるエコーから作成されたプローブからの電気パルスを受信する。プロセッサは、受信された電気パルスに関連付けられた生データを処理し、超音波イメージングサブシステム132に送信される画像を形成し、超音波イメージングサブシステム132は、表示画面133に画像を表示する。したがって、表示画面133は、超音波制御サブシステム131のプロセッサにより処理された超音波データから超音波画像を表示する。
【0015】
また、一実施形態において、超音波システムは、データを入力し、超音波表示サブシステムのディスプレイ、取得された画像を記憶するためのディスク記憶装置(たとえばハード、フロッピー、コンパクトディスク(CD)、デジタルビデオディスク(DVD))、および表示されたデータから画像を印刷するプリンタから測定を行うことを可能にする1以上のユーザ入力デバイス(たとえばキーボード、カーソル制御デバイスなど)を有する。また、これらは、本明細書に開示された技術を曖昧にすることを回避するために、図1には示されていない。
【0016】
一実施形態において、超音波トランスデューサプローブは、改善された熱管理、電磁干渉(EMI)の軽減、および構造的完全性のための統合コンポーネントを有する。熱特性は、プローブ内で長いヒートフィンをカプセル化することによって達成される。これらのヒートフィンは、プローブチップの発熱成分から熱を逃がすように超音波プローブのハンドル内へと延びる。熱伝達は、長いヒートフィンに接触し、ヒートフィンからトランスデューサプローブの外面に熱を伝導する高導電性の内部エンクロージャ(たとえば金属エンクロージャ、改善された熱的および構造的完全性の両方を提供するセラミックまたは他の材料を含むエンクロージャ)によってさらに増大される。一実施形態において、内側ケースは、追加の構造的完全性およびEMI制御のために、エンクロージャの半分の間にオーバーラップジョイントを有する。一実施形態において、プローブの外面は、内部エンクロージャをカプセル化するプラスチックケースを含む。外側プラスチックケースは、電気的危機、液体の侵入、および外観の損傷に対する保護を提供する。
【0017】
一実施形態において、超音波トランスデューサプローブ100は、プローブチップを有するプローブアレイアセンブリと、熱伝導性材料(たとえば金属(たとえばダイキャストアルミニウム)など)を含むプローブアレイの一部の周りに設けられた第1のエンクロージャと、第1のエンクロージャ内に含まれた1以上の熱伝導ヒートフィンと、を備える。一実施形態において、各熱伝導ヒートフィンは、プローブアレイアセンブリ内に囲まれた端部を有するとともに、第1のエンクロージャの1つの開口に近接して配置されたプローブチップから熱を伝達するために第1のエンクロージャの内面と熱接触しているプローブアレイアセンブリ(たとえば平面延部)から離れて延びる部分を有する。一実施形態において、超音波トランスデューサプローブ100内の材料(たとえばエラストマまたは他の発泡パッド)は、ヒートフィンを、第1のエンクロージャの内面に向かって接触するように押し付ける。
【0018】
一実施形態において、第2のエンクロージャ(たとえばオーバーモールドされたプラスチックエンクロージャ)またはカバーは、第1のエンクロージャの周りに設けられ、第1のエンクロージャの外面の全部ではないにしても相当な部分を重ねて覆うように動作する。一実施形態において、第1のエンクロージャは、上部および下部のクラムシェルハーフを含み、第2のエンクロージャは、上部および下部のクラムシェルハーフを含む。第2のエンクロージャの上部クラムシェルハーフは、第1のエンクロージャの上部クラムシェルハーフに結合されて重なり合い、第2のエンクロージャの下部クラムシェルハーフは、第1のエンクロージャの下部クラムシェルハーフに結合されて重なり合う。一実施形態において、これらそれぞれのクラムシェルハーフの間の結合は、メカニカルインターロックを使用して、少なくとも部分的に、達成される。
【0019】
エンクロージャ110の実施形態は、いくつかの特徴を提供する。一実施形態において、特徴は、1以上の改善された熱伝達、(プローブチップで可能な程度の)電磁適合性(EMC)ファラデーケージ、頑丈な構造的エンクロージャ、および単純な最終アセンブリを含む。たとえば、これらの特徴のうち1以上を使用して、超音波トランスデューサプローブ100の実施形態は、他のプローブのプローブチップで1.2℃の低下またはそれ以上の改善を提供するように示された。
【0020】
図2および3は、プローブケースの一実施形態を示している。一実施形態において、プローブケースは、上部カバー201および内側シェル202からなる上部一対のクラムシェルハーフと、下部カバー204および内側シェル203からなる下部一対のクラムシェルハーフと、を備える。内側シェル202および内側シェル203は、第1のエンクロージャを形成するように共に結合され、上部カバー201および下部カバー204は、第1のエンクロージャの外面の相当な部分をカバーする第2のエンクロージャを形成するように共に結合される。一実施形態において、組み合わされたエンクロージャは、超音波トランスデューサプローブのケーブルアセンブリを有する端部(たとえば図1の遠位端114)におけるハンドル部分および他端(たとえば図1の近位端112)に近いトランスデューサアレイハウジングを含むハウジングとして動作する。
【0021】
一実施形態において、内側シェル202および内側シェル203は、熱伝導性材料を含む。一実施形態において、内側シェル202および内側シェル203は、限定はされないが、ダイキャストアルミニウム、他の金属、複合合金などといった導電性材料も含む。内側シェル202および内側シェル203は他の金属材料または非金属材料(たとえばセラミック)を含みうる。ダイキャストアルミニウム内側シェルケースとして、内側シェル202および内側シェル203によって作成された最初のエンクロージャが、構造的完全性を提供し、ヒートフィンからの熱伝達を提供し(後述)、EMCエンクロージャとして機能する結果、電子機器に銅箔が必要とされなくなる、ということに留意されたい。代替の実施形態において、内側シェル202および203は、限定はされないが、たとえば圧力成形、インベストメント鋳造、CNCフライス加工といったよく知られた方法、またはあまり知られていない方法のような、ダイキャスト以外の方法を使用して作成される。
【0022】
一実施形態において、上部カバー201および下部カバー204は、オーバーモールドされたプラスチックケース(たとえば射出成形されたポリスルホンケース)を形成するように共に結合される。上部カバー201および下部カバー204が、限定はされないが、たとえばポリマー材料、絶縁材料のような、オーバーモールドされたポリスルホン以外の材料を含みうる、ということに留意されたい。
【0023】
一実施形態において、上部カバー201および下部カバー204は、それぞれ、内側シェル202および内側シェル203上に恒久的にオーバーモールドされる。一実施形態において、内側シェル202は、たとえば貫通穴242のようないくつかの貫通穴を含む。一実施形態では、内側シェル202が上部カバー201および内側に結合されてその中に封入される(たとえば覆われる)、内側シェル203が下部カバー204に結合されてその中に封入される(たとえば覆われる)場合、上部カバー201および下部カバー204を形成するように射出成形されたプラスチックは、貫通穴242を通って進み、射出成形されたタブインターロックは、内側シェル202および内側シェル203の反対側に形成される。これらのタブインターロックは、上部カバー201を内側シェル202に対して保持し、内側シェル203を下部カバー204に対して保持する。すなわち、一実施形態において、外側カバー(上部カバー201および下部カバー204)の射出成形は、内側エンクロージャ(たとえば金属ケース)の半分の貫通穴242を通過し、内側エンクロージャの内部で重なり合うことが可能とされ、これにより、上部カバー201および下部カバー204によって形成される外側カバーと、内側シェル202および内側シェル203によって形成される内側エンクロージャと、の間にメカニカルインターロックを形成するタブインターロックを作成する。貫通穴242によって生成されるメカニカルインターロックは、プラスチックが剥離するのを回避するための強力なメカニカルロックを提供する。
【0024】
このようなタブインターロックの例は、下部カバー204のタブインターロック260および261として示されている。タブインターロックは、以下でより詳細に記載される追加図に示されている。
【0025】
一実施形態において、内側シェル202および内側シェル203は、超音波トランスデューサプローブの端部でケーブルエンクロージャと接続する金属ケースを形成するようにラップジョイント280および1以上のボス(たとえばCボス)を使用して共に結合される。一実施形態において、ラップジョイント280は、EMC完全性(たとえば電磁波の漏れを防止する)および構造的完全性を提供する結果、共に結合された場合に、前部開口(近位端)および後部開口(遠位端)でのトランスデューサの音響部分を除いて実質的に完全なファラデーケージが作成される。一実施形態では、トランスデューサアセンブリ内のガスケットに接続された追加の導電経路をレンズが含む場合により完全なファラデーケージが作成される。このような場合、ガスケットは、プローブハンドルへと延びる少なくとも1つのヒートフィンに結合される。ガスケットおよびヒートフィンのような例は、以下でより詳細に記載される図4のEMIガスケット401およびヒートフィン403である。一実施形態において、この導電経路は、レンズに埋め込まれたホイル(foil)を含む。別の実施形態において、この導電経路は、トランスデューサの一部の上にある金属オーバーレイ(たとえばスパッタされた金属)を含む。
【0026】
一実施形態では、4つより多いまたは少ないボスが使用されうるが、コンプライアント締まりばめ(complaiant interference fit)を介して内側シェル202および内側シェル203を共に結合する4つのボス251が存在する。一実施形態において、ボス251は、中空のCボスとかみ合うリブを備えた中実のボスを含むCボスである。ボスは、正確な位置合わせ、構造的インターロック、コンプライアント公差許容値、およびより大きな表面積を提供します。
【0027】
一実施形態において、上部カバー201および/または下部カバー204は、ヒートリブを含む。ヒートリブの例は、下部カバー204のヒートリブ211として示されている。一実施形態では、下部カバー204の内面から突出して上方に延びる、または上部カバーの内面から突出して下方に延びる複数のヒートリブが存在する。上部カバー201が内側シェル202に結合された場合、ヒートリブは、内側シェル202上で、ヒートリブスロット210のような、ヒートリブスロット内へと延びる。一実施形態では、同様のヒートリブスロットが内側シェル203に含まれる。ヒートリブスロットは、熱伝達および構造的完全性を強化するために、内側シェル202に対して上部カバー201を接合するとともに下部カバー204に対して内側シェル203を接合する。ヒートリブおよび/またはヒートリブスロットのサイズは、実施形態によって異なる。しかしながら、硬いまたはより密接な適合を行うための、ヒートリブおよび/またはヒートスロットの表面積の増加およびヒートリブおよび/またはヒートスロットの間隔の縮小は、熱伝達を増加させる。したがって、ヒートリブおよび/またはヒートスロットの表面積および間隔は、異なるトランスデューサに関連付けられた温度低下を制御するために、異なる周波数で動作する異なるトランスデューサに適合または最適化されうる。一実施形態では、熱をより効率的に伝達するために、より高い周波数のトランスデューサを使用する場合により大きな表面積を有するようにヒートリブのサイズが増大される。
【0028】
図3は、内側シェル202および内側シェル203の別の図を示している。示されているように、内側シェル202は、内側シェル202を上部カバー201(図2)に固定するとともに内側シェル203を下部カバー204に固定するために使用される射出成形材料用の穴を提供する貫通穴242を含む。示されているように、内側シェル203は、(上部カバー201から突出する熱リブを受け入れる内側シェル202の熱リブスロットを備えたケースのように)下部カバー204から突出する熱リブを受け入れ、(図4および6A~10と合わせて以下でより詳細に記載される)プローブ内のヒートフィンから超音波トランスデューサプローブの外面への熱伝達を提供するヒートリブスロット210を含む。
【0029】
図4は、最終アセンブリに近い超音波トランスデューサプローブのプローブケースの一実施形態を示している。図4を参照すると、上部カバー201は、内側シェル202の外面に取り付けられて当該外面を覆い、下部カバー204は、内側シェル203の外面に取り付けられて当該外面を覆う。一実施形態において、統合された半分が共に結合された場合に実質的に完全なファラデーケージが作成される(超音波プローブの前部および後部開口を除く)ように、内側シェル203は、接合部を下部カバー204に重ね合わせ、内側シェル202は、接合部を上部カバー201と重ね合わせた。上述したように、内側シェル202および内側シェル203の貫通穴242は、内側シェル202と上部カバー201との間および内側シェル203と上部カバー204との間に塑性流動がメカニカルインターロックを作り出すことを可能にする。一実施形態では、タブインターロックを作成するための貫通穴242の形状がカバー(たとえば上部カバー201、下部カバー204)のオーバーモールディングに使用される材料に依存する、ということに留意されたい。オーバーモールディング用の材料がより粘性である場合、貫通穴242の形状は、より大きな直径を必要としうる。また、一実施形態において、幅対厚さ比は、貫通穴242の直径がオーバーモールディング材料の通過を可能にすることを確実にするために、貫通穴242の形状に対して選択される。
【0030】
超音波トランスデューサプローブは、トランスデューサ要素を含むトランスデューサアレイ404も含む。一実施形態において、アレイ404は、射出成形される。これは、労働集約的でエラーが発生しやすい手での鋳造を不要とする。アレイ404は、アレイ404の上部および下部でEMIガスケット401とかみ合う露出した戻り面402を含む。一実施形態において、露出した戻り面402は、限定はされないが、銅のような金属を含む。一実施形態において、EMIガスケット401は、ピン405を介してアレイ404に結合される。一実施形態において、露出した戻り面402は、EMIガスケット401と直接的に結合する。一実施形態において、EMIガスケット401は、導電性であり、内側シェル202および内側シェル203によって作成された第1のエンクロージャの内面に接触する。そうすることにより、EMIガスケット401は、アレイ404の戻り面402から内側シェル202および203への直接的な接触を可能にする。
【0031】
一実施形態において、超音波トランスデューサプローブは、ヒートフィン403のような1以上の熱伝導ヒートフィンも含む。一実施形態において、ヒートフィン403は、熱伝導性材料(たとえば銅、アルミニウムなど)またはプローブチップから離れて熱を伝導する他の材料を含む一対のヒートフィンを含む。代替の実施形態では、1つだけのヒートフィンまたは3つ以上のヒートフィンが含まれる。一実施形態において、ヒートフィン403の各々は、アレイ404を含むトランスデューサアレイアセンブリの一部内に囲まれた一端を有する。一実施形態において、アレイ404のバッキングブロックは、フレックス回路だけでなく、バッキングブロックに埋め込まれたヒートフィン403も含む。一実施形態において、ヒートフィン403の各々は、超音波トランスデューサプローブのハンドルまたは遠位部分(114)に向かってアレイ404を有するプローブアレイアセンブリから離れて延びる平坦な平面部(たとえば平面延部)を含む。一実施形態において、ヒートフィン403は、ケーブルアセンブリ内のケーブルがそのワイヤメッシュから離れて露出している場所に近いプローブ内の位置まで延びる。ヒートフィン403とケーブルとの間に直接的または間接的な接触がある場合、高導電性ケーブルは、プローブの全長を通るトランスデューサ面からの熱伝達を改善しうる。
【0032】
ヒートフィン403の各々の平面延部の少なくとも一部は、内側シェル202および203を結合することによって作成されたエンクロージャの内面と熱接触している。内側シェル202および203は熱伝導性であるので、一実施形態において、ヒートフィン403は、アレイ404が近位端(112)に配置されているプローブチップから内側シェル202および203へと、そして最終的には上部カバー201および下部カバー204によって作成されたカバーの部分を含むプローブの外側部分/露出したケーブルアセンブリへと熱を伝達する。すなわち、一実施形態において、熱伝達は、プローブエンクロージャの一端からプローブエンクロージャの他端へと発生する。一実施形態において、ヒートフィン403は、プローブチップの1インチの1000分の18から20以内に延びるようにバッキングブロックに埋め込まれ、プローブチップからプローブハンドルの後ろまで幅広く熱を伝導する。ヒートフィンの平面にまたがるxおよびy軸だけでなく、ヒートフィンに垂直なz軸においても熱伝達が発生する、ということに留意されたい。これにより、内側シェルおよび外部カバーによって作成されたエンクロージャの外面への熱伝達が可能になる。
【0033】
一実施形態において、ヒートフィン403は、1以上のパッド(たとえばエラストマ発泡パッド)または1以上の他の内部構造または機構を使用して、内側シェル202および203の内面と熱接触するように押し付けられる。一実施形態において、サーマルペーストまたは他の物質は、熱結合を強化するようにヒートフィン403と内側シェル202および203の内面との間に挿入される。
【0034】
図5は、共に接続されたプローブケースの上半分および下半分を示している。図5を参照すると、上部カバー201および下部カバー204は、内側シェル202および203上のラップジョイント280を介して接続されている。外部ケース(上部カバー201および下部カバー204によって形成される)と内部エンクロージャ(内側シェル202および203によって形成される)との間のメカニカルインターロックの例は、貫通穴242およびタブインターロック260を介して示されている。上部カバー201および下部カバー204によって形成された外側カバーのヒートリブ211と、内側シェル202および203によって形成された内側エンクロージャのヒートリブスロット210と、の間のかみ合いも示されている。図5に示されるように、内側シェル202は、内側平面220を有する。
【0035】
一実施形態において、RTV(室温加硫)シーラントは、外側カバー201と外側カバー204との結合の周りに使用される。側面の周りにRTVシーラントを使用する代わりに、ガスケットが使用できる。
【0036】
図6A~6Bおよび7A~7Bは、ヒートフィンを備えたバッキングブロックの実施形態を示している。図6Aおよび6Bを参照すると、ヒートフィン403は、信号フレックス回路601に結合されている。一実施形態において、2つのヒートフィン403および2つの信号フレックス601は、バッキングブロック領域にプレボンディングされ、間にギャップが無い状態で中央部分において共に挟まれる。一実施形態において、プレボンディングは、接着剤を使用して行われる。一実施形態では、ヒートフィン403および信号フレックス601の接着構成は、延部604に結合される。一実施形態において、延部604は、たとえば銅、アルミニウムなどのような熱伝導材料からなる。延部604は、支持リブ603に隣接する。
【0037】
戻り面602は、ピン405との位置合わせのための穴を含み、支持リブ603上に載る。支持リブ603は、上部ブロックのようなより小さなブロックと共に結合された多数のリブブロック(たとえば長方形ブロック)を含み、それらを共に結合する内側ブロックを超えて延びる。一実施形態において、支持リブ603は、プレモールドされ、戻り面を支持し、低圧射出成形流れを可能にし、構造を提供し、樹脂の収縮に抵抗する。
【0038】
一実施形態において、トランスデューサアレイ(たとえば図4のアレイ404)は、バッキングブロック710を作成するために低圧射出成形を受ける。バッキングブロック710の低圧射出成形は、労働集約的な手での鋳造を排除する。一実施形態において、フレックス回路601およびヒートフィン403の中央サンドイッチは、プレモールドされたプラスチック支持リブ603で成形される。サンドイッチされたフレックス回路およびヒートフィンの両方は、金型分割ラインで保持される。
【0039】
また、バッキングブロック710は、露出した外側戻り接地面701を含む。一実施形態において、プラスチックロック702は、接地面701においてロックする。一実施形態において、ロック702は、オーバーモールドされたプラスチックロックである。一実施形態において、露出した接地面701(たとえば銅接地面)は、EMCを内部エンクロージャ(すなわちシェル202および203)に向けるために導電性エラストマガスケット(たとえば図4のガスケット401)とかみ合う。この方法では、はんだテールまたは銅箔が不要である。
【0040】
図8Aは、サーマルフィンを備えたプローブケースの一実施形態の側面断面図を示している。図8Aを参照すると、バッキングブロック803は、ヒートフィン801およびフレックス回路811に結合されて示されている。図8Aおよび図8Bに示されるように、プローブケースは、上部カバー802を含む。図8Bに示されるように、パッド820は、フレックス回路811(および他の中央に配置された電子機器)とヒートフィン801との間に挿入され、それによりヒートフィン801を内側シェル810(たとえばシェル202および203)の内面に押し付ける。一実施形態において、パッドは、エラストマパッドである。内側シェル810(たとえば内側シェル202および203)が金属材料からなる場合、ヒートフィン801は、金属内側ケースに押し付けられ、この組み合わせにおいて、金属内側ケースは、熱伝達を高めるために長いサーマルフィンとの大きな表面接触を提供する。一実施形態では、熱伝達に有害なエアギャップをなくす方法として、メタルケースとサーマルフィンとの間にサーマルペーストが塗布される。
【0041】
図8Bは、内側シェルと接触するようにフィンを押し付けるエラストマパッドを示す図8Aのプローブケースの一実施形態の側面断面図を示す。図8Bを参照すると、エラストマパッド820は、ヒートフィン801を内側シェル801(たとえばシェル202および203)の内面に押し付けるように示されている。上述したように、サーマルペーストは、サーマルフィン801を内側シェル801に熱的に接続するために使用される。図8Bが、プローブのケーブルに結合されたトランスデューサアレイに関連付けられたトランスデューサ電子機器870(たとえばプリント回路基板(PCB)など)を示す、ということにも留意されたい。
【0042】
図9は、サーマルフィンを備えたプローブケースの別の実施形態の側面断面図を示している。図9を参照すると、ケーブルアセンブリからのケーブルは、信号フレックス回路900に結合されている。ケーブルは、シールドのためにその全長に沿って埋め込まれた金属織メッシュを有する。組み立て中、ストレインリリーフ要素910の近くのこの織メッシュの一部がケーブルから剥がされ、示されるようにプローブを囲むために内側シェルの2つの半分に接触する。ヒートフィン901および902が、内側金属エンクロージャの内面と熱的に接触するように押され、矢印によって示されるように熱を伝達する、ということに留意されたい。
【0043】
図10は、ヒートフィンの一実施形態を示している。図10を参照すると、一実施形態において、ヒートフィン1000は、その最も広いポイントで1.48インチの幅を有し、これは、バッキングブロック(たとえばバッキングブロック710)に含まれるであろう。ヒートフィン1000は、バッキングブロックから延びる延部も有する。一実施形態において、延部の幅は、0.70インチであり、バッキングブロックのピン(たとえばピン405)から測定された長さは、3.00インチである。他のサイズのヒートフィンが使用されうる、ということに留意されたい。
【0044】
図10は、ヒートフィンおよびその形状の一実施形態を示しているが、ヒートフィンは、他の形状を有しうる。たとえば、一実施形態において、プローブハンドルを通って延びるヒートフィンの部分は、異なる寸法を有しうる。換言すれば、プローブを通って延びるヒートフィンの部分は、図10に示されるような均一な形状を有しないであろう。たとえば、ヒートフィンの延部は、第1の部分および第2の部分を有してよく、第1の部分の寸法は、第2の部分とは異なる。さらに、図10に示されるヒートフィンは、形状、特に延部において均一であるが、これは必須ではない。各ヒートフィンは、プローブの内部コンポーネントおよび特徴に基づくさまざまな形状およびサイズを有しうる。たとえば、ヒートフィンは、外形、切り欠き領域、および/または、プローブを通る必要な熱経路を提供しながらプローブの内部コンポーネントとの接触を回避するために必要な形状の特徴を有しうる。さらに別の実施形態において、ヒートフィンの形状は、プローブ内、および最終的にはプローブの外部への熱伝達を改善して潜在的に最適化するために、プローブ内で熱を生成する1以上の内部電気コンポーネントと合致して接触するように設計される。
【0045】
一実施形態において、各ヒートフィンの厚さは、0.005インチから0.050インチの範囲(たとえば0.010インチ)である。他の厚さのヒートフィンが使用されてよく、それらのサイズが、ヒートフィンの所望の熱伝達特性、トランスデューサ面における所望の熱低減量、およびプローブ自体内のスペース制限(たとえばプローブの内部空洞のサイズ)に基づいて選択される、ということに留意されたい。
【0046】
別の代替の実施形態において、ヒートフィンは、同じ材料(たとえば銅)の複数の層を有する。さらに、一実施形態において、ヒートフィンの厚さは、ヒートフィンの1つの部分から次の部分へと変化する。たとえば、ヒートフィンの1つの部分は1つの厚さを有し、一方で、ヒートフィンの別の1または複数の部分は異なる厚さを有する。一実施形態において、ヒートフィンは、レンズの近くのトランスデューサアレイ内に埋め込まれたより厚い部分を有し、ヒートフィンのより薄い部分は、トランスデューサアレイからハンドル領域内へと外向きに延びる。したがって、ヒートフィンの厚さは、第1の部分および第2の部分から変化する。一実施形態において、より厚い部分は、金属またはセラミックのダイキャスト、インベストメント鋳造、CNCなどである。複数の層の使用は、追加の熱伝達の利益を提供することができる。
【0047】
さらに別の代替の実施形態において、ヒートフィンは、上記のような様々なサイズの部分と、ヒートフィンの異なる部分で使用される層の異なる組み合わせが存在する複数の層と、を有する。たとえば、一実施形態において、レンズ部分のヒートフィンの部分は、ハンドル部分よりも多くの層を有し、それにより、ヒートフィンがプローブハンドル内へと延びるにつれて先細るように見える。別の実施形態において、レンズ部分のヒートフィンの部分は、ハンドル部分よりも少ない層を有し、その結果、ヒートフィンは、ヒートフィンがプローブハンドル内へと延びるにつれてサイズが大きくなる。
【0048】
図11~13は、先行技術のプローブおよび本明細書に記載の技術を利用するプローブの熱画像を示している。図11~13の各々を参照すると、一対のプローブが先行技術のプローブ構成で左側に示され、上記で開示された特徴で構築されたプローブが右側に示されている。いずれの場合も、左側のプローブと比較して、本明細書に開示された特徴を備えた右側のプローブの場合、熱エネルギーがプローブハンドル内へと広がってより多く放散する、ということに留意されたい。
【0049】
本明細書に記載されるいくつかの例示的な実施形態が存在する。
【0050】
例1は、プローブチップを有するプローブアレイアセンブリと、プローブアレイアセンブリの一部の周りに設けられた第1のエンクロージャであって、第1および第2の開口を有し、熱伝導性材料を含む第1のエンクロージャと、第1のエンクロージャ内に含まれる1以上の熱伝導フィンであって、プローブアレイアセンブリ内に囲まれた一端と、第1のエンクロージャにおいて第1の開口から第2の開口への熱経路を作成するようにプローブアレイアセンブリから離れて延びるとともに第1のエンクロージャの内面と熱接触する部分を各々が有する1以上の熱伝導フィンと、を備える超音波トランスデューサプローブである。
【0051】
例2は、1以上の熱伝導フィンが、金属を含む、ということをオプション的に含みうる例1の超音波トランスデューサプローブである。
【0052】
例3は、1以上の熱伝導フィンを第1のエンクロージャの内面に向かって押し付ける複数の材料片をオプション的に含みうる例1の超音波トランスデューサプローブである。
【0053】
例4は、1以上の熱伝導フィンを第1のエンクロージャの内面に熱的に結合するサーマルペーストをオプション的に含みうる例3の超音波トランスデューサプローブである。
【0054】
例5は、複数の材料片が、複数のパッドを含む、ということをオプション的に含みうる実施例3の超音波トランスデューサプローブである。
【0055】
例6は、第1のエンクロージャの周りに設けられた第2のエンクロージャをオプション的に含みうる例1の超音波トランスデューサプローブである。
【0056】
例7は、第2のエンクロージャが、非導電性材料を含む、ということをオプション的に含みうる例6の超音波トランスデューサプローブである。
【0057】
例8は、第1のエンクロージャが、第1および第2のクラムシェルハーフを含み、第2のエンクロージャが、第3および第4のクラムシェルハーフを含み、第2のエンクロージャの第3のクラムシェルハーフが、メカニカルインターロックを使用して第1のエンクロージャの第1のクラムシェルハーフに結合されており、第2のエンクロージャの第4のクラムシェルハーフが、メカニカルインターロックを使用して、第1のエンクロージャの第2のクラムシェルハーフに結合されている、ということをオプション的に含みうる例6の超音波トランスデューサプローブである。
【0058】
例9は、第1および第2のクラムシェルハーフが、複数の貫通孔を含み、第3および第4のクラムシェルハーフを形成する非導電性材料が、第1および第2のクラムシェルハーフの内表面内へと延びて当該内表面上への重なりを形成する、ということをオプション的に含みうる例8の超音波トランスデューサプローブである。
【0059】
例10は、第1および第2のクラムシェルハーフが、第1および第2のクラムシェルハーフの側面に沿ったラップジョイントを介して共に結合されている、ということをオプション的に含みうる例6の超音波トランスデューサプローブである。
【0060】
例11は、第3のクラムシェルハーフの内面から突出するヒートリブが、第1のクラムシェルハーフのスロット内へと延びて当該スロットとかみ合い、第4のクラムシェルハーフの内面から突出するヒートリブが、第2のクラムシェルハーフのスロット内へと延びて当該スロットとかみ合う、ということをオプション的に含みうる例6の超音波トランスデューサプローブである。
【0061】
例12は、プローブアレイアセンブリの1以上の戻り面に結合された1以上の導電性電磁干渉(EMI)ガスケットであって、1以上の導電性EMIガスケットが、第1のエンクロージャの内面に結合されている、ということをオプション的に含みうる例1の超音波トランスデューサプローブである。
【0062】
例13は、1以上のEMIガスケットが、1以上の戻り面から第1のエンクロージャの内面への直接接触を提供する、ということをオプション的に含みうる例12の超音波トランスデューサプローブである。
【0063】
例14は、第1のエンクロージャが、金属を含むとともにオーバーラップジョイントを含み、第1および第2の開口を除いて完全なファラデーケージを作成するようにEMIガスケットとともに動作する、ということをオプション的に含みうる例12の超音波トランスデューサプローブである。
【0064】
例15は、第1のエンクロージャの第2の開口が、ケーブルエンクロージャの金属織メッシュに電気的に接続するとともに熱結合を提供するように動作可能である、ということをオプション的に含みうる例14の超音波トランスデューサプローブである。
【0065】
例16は、プローブチップを有するプローブアレイアセンブリと、プローブアレイアセンブリの一部の周りに設けられ、第1および第2の開口を有するとともに第1および第2のクラムシェルハーフを含む第1のエンクロージャであって、第1および第2のクラムシェルハーフが第1および第2のクラムシェルハーフの側面に沿ってラップジョイントを介して共に結合されている第1のエンクロージャと、第1のエンクロージャの周りに設けられ、第3および第4のクラムシェルハーフを有する第2のエンクロージャであって、第2のエンクロージャの第3のクラムシェルハーフがメカニカルインターロックを使用して第1のエンクロージャの第1のクラムシェルハーフに結合されており、第2のエンクロージャの第4のクラムシェルハーフがメカニカルインターロックを使用して第1のエンクロージャの第2のクラムシェルハーフに結合されている第2のエンクロージャと、第1のエンクロージャ内に含まれ、金属を含む1以上の熱伝導フィンであって、プローブアレイアセンブリ内に囲まれた一端と、第1のエンクロージャにおいて第1の開口から第2の開口への熱経路を作成するようにプローブアレイアセンブリから離れて延びるとともに第1のエンクロージャの内面と熱的に接触する部分と、を各々が有する1以上の熱伝導フィンと、プローブアレイアセンブリの1以上の戻り面に結合された1以上の導電性電磁干渉(EMI)ガスケットであって、第1および第2の開口を除いて完全なファラデーケージを作成するように1以上の戻り面から第1のエンクロージャの内面への直接接触を提供するために第1のエンクロージャの内面に結合された1以上の導電性EMIガスケットと、を備える超音波トランスデューサプローブである。
【0066】
例17は、1以上の熱伝導フィンを第1のエンクロージャの内面に向かって押し付ける複数の材料片をオプション的に含みうる例16のプローブである。
【0067】
例18は、第1および第2のクラムシェルハーフが、複数の貫通孔を含み、第3および第4のクラムシェルハーフを形成する非導電性材料が、第1および第2のクラムシェルハーフの内表面内へと延びて当該内表面上への重なりを形成する、ということをオプション的に含みうる例16のプローブである。
【0068】
例19は、第2のエンクロージャが、非導電性材料を含み、さらに、第2のエンクロージャの第3のクラムシェルハーフが、メカニカルインターロックを使用して第1のエンクロージャの第1のクラムシェルハーフにオーバーモールドされており、第2のエンクロージャの第4のクラムシェルハーフが、第1のエンクロージャの第2のクラムシェルハーフにオーバーモールドされている、ということをオプション的に含みうる例16のプローブである。
【0069】
例20は、第1のエンクロージャの第2の開口が、ケーブルエンクロージャの金属織メッシュに電気的に接続するとともに熱結合を提供するように動作可能である、ということをオプション的に含みうる例16のプローブである。
【0070】
例21は、第1および第2のクラムシェルハーフを共に接続する複数のボスをオプション的に含みうる例16のプローブである。
【0071】
文脈が明らかに他のものを必要としない限り、明細書および特許請求の範囲において、「備える(comprise)」、「備えている(comprising)」などの言葉は、排他的または網羅的な意味ではなく、包括的な意味で解釈されるべきであり、すなわち、「~を含むが、~に限定されない(including, but not limited to)」という意味で解釈されるべきである。本明細書で使用される場合、用語「接続された(connected)」、「結合された(coupled)」、またはそれらのバリエーションは、2つ以上の要素の間の直接的または間接的な接続または結合を意味し、要素間の結合または接続は、物理的、論理的、またはそれらの組み合わせでありうる。さらに、「本明細書において(herein)」、「上記(above)」、「下記(below)」、および同様の意味を持つ言葉は、本出願で使用される場合、本出願の特定の部分ではなく、全体としての本出願を指している。文脈が許す場合、上記の発明を実施するための形態の中で単数または複数の数字を使用している言葉は、それぞれ複数または単数の数字を含むこともある。2つ以上の項目のリストに関連する「または」という言葉は、リスト内の項目のいずれか、リスト内の項目の全て、およびリスト内の項目の任意の組み合わせ、という言葉の解釈の全てをカバーしている。
【0072】
本発明の多くの代替および変形は、前述の説明を読んだ後の当業者にとって間違いなく明らかになるであろうが、例示として示されるとともに記載された任意の特定の実施形態は、制限と見なされることを意図したものではないことを理解されたい。したがって、様々な実施形態の詳細への言及は、それ自体が本発明に不可欠であるとみなされる特徴のみを列挙する特許請求の範囲を限定することを意図するものではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7A
図7B
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図8B
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