(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-06
(45)【発行日】2023-01-17
(54)【発明の名称】印刷機における印刷ユニットのロール用ハンドリングキャリッジ
(51)【国際特許分類】
B41F 5/24 20060101AFI20230110BHJP
【FI】
B41F5/24
(21)【出願番号】P 2021549248
(86)(22)【出願日】2020-02-19
(86)【国際出願番号】 EP2020025078
(87)【国際公開番号】W WO2020169256
(87)【国際公開日】2020-08-27
【審査請求日】2021-09-01
(32)【優先日】2019-02-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】514053077
【氏名又は名称】ボブスト リヨン
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100196221
【氏名又は名称】上潟口 雅裕
(72)【発明者】
【氏名】ヴェルネイ エリック
【審査官】中村 博之
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2004/0182271(US,A1)
【文献】特開2018-089933(JP,A)
【文献】特開平07-032576(JP,A)
【文献】特開平09-239949(JP,A)
【文献】特開平05-154998(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41F 5/24
B41F 13/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷機(100)の印刷ユニット(2)における回転ロール(
17)用の移動ハンドリングキャリッジ(9)であって、
前記印刷機(100)のシート要素の移動の縦方向(X)に動くように構成された水平面内で移動可能なシャーシ(90)と、
前記シャーシに取り付けられた支持部材(91)であって、その回転軸が横方向に配向されるように前記回転ロール(
17)を支持及び保持するように構成された支持部材(91)と、
前記支持部材(91)を前記シャーシ(90)に対して垂直方向で並進駆動するように構成された第1の駆動装置(902)と、
前記移動ハンドリングキャリッジ(9)が更に、
前記支持部材(91)上に取り付けられ、前記支持部材(91)の上方に配置された前記回転ロール(
17)と協働するように構成されたアクチュエータ(92)と、
前記アクチュエータ(92)を前記支持部材(91)に対して縦方向に並進駆動するように構成された第2の駆動装置(910)と、
制御回路であって、
前記支持部材(91)の上昇、
第1の方向での前記支持部材(91)の縦方向並進、
前記支持部材(91)の降下、及び
前記第1の方向での前記アクチュエータ(92)の縦方向並進
を連続して含む第1のシーケンスを制御するように構成された制御回路と、
を備える、移動ハンドリングキャリッジ(9)。
【請求項2】
前記制御回路は、
前記第1の方向とは反対の第2の方向での前記アクチュエータ(92)の縦方向の並進、
前記支持部材の上昇(91)、
前記第2の方向での前記支持部材(91)の縦方向の並進、及び
前記支持部材の降下、
を連続して含む第2のシーケンスを制御するように構成される、請求項1に記載の移動ハンドリングキャリッジ(9)。
【請求項3】
前記アクチュエータ(92)が、前記アクチュエータ(92)の第1及び第2の横方向端部に配置された第1及び第2の把持部材(93、94)を含み、前記第1及び第2の把持部材(93、94)は、前記支持部材(91)に対して前記縦方向(X)で移動可能であり、前記第1及び第2の把持部材は各々、前記横方向に移動することができる一方端を有する、請求項1又は2に記載の移動ハンドリングキャリッジ(9)。
【請求項4】
前記第1及び第2の把持部材(93、94)は各々、垂直軸(930、940)の周りに枢動可能に取り付けられたアーム部(932、942)を備える、請求項3に記載の移動ハンドリングキャリッジ(9)。
【請求項5】
前記第1及び第2の把持部材(93、94)は各々、これらの移動端部にてラグ(931、941)を含み、前記ラグが、前記把持部材に対して前記横方向に突出している、請求項3又は4に記載の移動ハンドリングキャリッジ(9)。
【請求項6】
前記アクチュエータ(92)が、前記回転ロール(17)の位置に対して前記アクチュエータ(92)のストロークを調整するように構成された光学センサを備える、請求項3~5のいずれか一項に記載の移動ハンドリングキャリッジ(9)。
【請求項7】
前記支持部材(91)が、少なくとも1つの縦方向ガイドレールを備え、前記アクチュエータ(92)が、前記ガイドレール上にスライド可能に取り付けられる、請求項
3~6のいずれか一項に記載の移動ハンドリングキャリッジ(9)。
【請求項8】
前記第1及び第2の把持部材(93、94)は、前記ガイドレール上をスライド可能に取り付けられ且つ前記第2の駆動装置(910)によって並進駆動される1つの同じクロスメンバー(920)に取り付けられる、請求項7に記載の移動ハンドリングキャリッジ(9)。
【請求項9】
前記支持部材(91)が、パンタグラフ機構(903)を介して前記シャーシ(90)に取り付けられる、請求項1から8のいずれか一項に記載の移動ハンドリングキャリッジ(9)。
【請求項10】
印刷機(100)であって、
請求項1~9のいずれか一項に記載の移動ハンドリングキャリッジ(9)と、
回転ロール(17)と、
横方向に間隔を置いて配置された2つのスライド(22)を含む印刷ユニット(2)と、
を備え、前記2つのスライド(22)は、前記第1のシーケンス中の前記支持部材(91)の降下中に前記支持部材(91)上に保持された前記回転ロール(17)と干渉するようになる、印刷機(100)。
【請求項11】
前記回転ロール(17)は、
中間部分と、
中央部分の各側部に1つずつ固定された第1及び第2のフランジ(173)と、
を備え、前記第1及び第2のフランジ(173)は、前記回転ロール(17)の回転軸に対して軸外である少なくとも1つのボアを含む、請求項10に記載の印刷機(100)。
【請求項12】
前記回転ロール(17)は、前記回転ロール(17)の回転軸に平行なフラット部分(176)を備える、請求項11に記載の印刷機(100)。
【請求項13】
前記回転ロール(17)は、インクを保持することを目的としたセルのセットを備える、請求項11又は12に記載の印刷機(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷機に関し、詳細には、印刷機の印刷ユニットのロールの切り替えを実施することを目的としたキャリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
フレキソ印刷機は、段ボールのシートのような連続ストリップ又はシート要素タイプの媒体を印刷するため包装産業で使用される。印刷機は、順番に配置された複数の連続する印刷ユニットを備え、印刷ユニットの各々は、異なる色で印刷する。
【0003】
印刷ユニットは、特にプレートシリンダーを含み、その周りに隆起したパターンを有する可撓性プレートが巻かれて、堅固に保持される。プレートシリンダーは、その回転毎に同じ色で接触することにより、パターンを直接印刷する。印刷プレートは、アニロックスとして知られるセルを備えたスクリーンロールと、ドクターブレードチャンバ、インクチャンバー、及び少なくとも1つのポンプを備えたインク装置とのお陰で、インクでコーティングされた後にシートを印刷する。
【0004】
スクリーンロールは、その円周面に、プレートシリンダーの印刷プレートに塗布されるインクを保持することを目的としたセルを有する。これらのセルの容量は、実行される作業に従って変化する。従って、実行される特定の作業のジョブ毎に異なるスクリーンロールの使用を計画する必要がある。例として、フルトーン領域、つまりインクで均一にコーティングされる広い領域を含む印刷実行に使用されるアニロックスロールは、大幅なフルトーン領域を含まない微細な印刷作業には適していない。つまり、媒体上で達成されることになる印刷の品質に応じて、これらのアニロックスロールを切り替えることを意味する。
【0005】
(従来技術)
文献欧州特許第1464490号明細書は、印刷機の印刷ユニットのロールを装填及び切り替える方法及び装置を記載している。
【0006】
第1の1つの欠点は、オペレータがスクリーンロールの切り替えを実行するために印刷ユニットの間に入る必要があることであり、これには、オペレータが安全性に関して特に注意を払うことが必要である。
【0007】
別の欠点は、スクリーンロール切り替え動作の実行にかかる時間が比較的長いことであり、これにより、マシンがこの時間長の間動作されず、生産性が低下する。
【0008】
更に別の欠点は、ロールの切り替えに2人のオペレータの介入が必要になることである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【発明の概要】
【0010】
本発明は、これらの不利点の1又は2以上を解決しようとする。従って、本発明は、以下の移動ハンドリングキャリッジに関する。
【0011】
印刷機の印刷ユニットにおける回転ロール用の移動ハンドリングキャリッジであって、印刷機のシート要素の移動の縦方向に動くように構成された水平面内で移動可能なシャーシと、シャーシに取り付けられた支持部材であって、その回転軸が横方向に配向されるように回転ロールを支持及び保持するように構成された支持部材と、支持部材をシャーシに対して垂直方向で並進駆動するように構成された第1の駆動装置と、移動ハンドリングキャリッジが更に、支持部材上に取り付けられ、支持部材の上方に配置された回転ロールと協働するように構成されたアクチュエータと、アクチュエータを支持部材に対して縦方向に並進駆動するように構成された第2の駆動装置と、制御回路であって、支持部材の上昇、第1の方向での支持部材の縦方向並進、支持部材の降下、及び第1の方向でのアクチュエータの縦方向並進を連続して含む第1のシーケンスを制御するように構成された制御回路と、を備える、移動ハンドリングキャリッジ。
【0012】
本発明はまた、以下の変形形態に関する。当業者であれば、以下の変形形態の特徴の各々が、それによって中間一般化を構成することなく、上記の特徴と独立して組み合わせることができることを理解するであろう。
【0013】
制御回路は、第1の方向とは反対の第2の方向でのアクチュエータの縦方向の並進、支持部材の上昇、第2の方向での支持部材の縦方向の並進、及び支持部材の降下、を連続して含む第2のシーケンスを制御するように構成される。
【0014】
アクチュエータが、アクチュエータの第1及び第2の横方向端部に配置された第1及び第2の把持部材を含み、第1及び第2の把持部材は、支持部材に対して縦方向で移動可能であり、第1及び第2の把持部材は各々、横方向に移動することができる一方端を有する。
【0015】
第1及び第2の把持部材は各々、垂直軸の周りに枢動可能に取り付けられたアーム部を備える。
【0016】
第1及び第2の把持部材は各々、これらの移動端部にてラグを含み、ラグが、把持部材に対して横方向に突出している。
【0017】
アクチュエータが、回転ロールの位置に対してアクチュエータのストロークを調整するように構成された光学センサを備える。
【0018】
支持部材が、少なくとも1つの縦方向ガイドレールを備え、アクチュエータが、ガイドレール上にスライド可能に取り付けられる。
【0019】
第1及び第2の把持部材は、ガイドレール上をスライド可能に取り付けられ且つ第2の駆動装置によって並進駆動される1つの同じクロスメンバーに取り付けられる。
【0020】
支持部材が、パンタグラフ機構を介してシャーシに取り付けられる。
【0021】
印刷機であって、上記のいずれかに記載の移動ハンドリングキャリッジと、回転ロールと、横方向に間隔を置いて配置された2つのスライドを含む印刷ユニットと、を備え、2つのスライドは、第1のシーケンス中の支持部材の降下中に支持部材上に保持された回転ロールと干渉するようになる、印刷機。
【0022】
回転ロールは、中間部分と、中央部分の各側部に1つずつ固定された第1及び第2のフランジと、を備え、第1及び第2のフランジは、回転ロールの回転軸に対して軸外である少なくとも1つのボアを含む。
【0023】
回転ロールは、回転ロールの回転軸に平行なフラット部分を備える。
【0024】
回転ロールは、インクを保持することを目的としたセルのセットを備える。
【0025】
本発明の更なる特徴及び利点は、添付図面を参照して、完全に非限定的な指標として、以下に与えられる説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図2】ロールハンドリングキャリッジに関連する
図1の印刷機の印刷ユニットの側面図である。
【
図3】ハンドリングキャリッジに関連する
図1の印刷機の底部の部分斜視図である。
【
図4】展開位置における、本発明の1つの実施形態によるハンドリングキャリッジの部分斜視図である。
【
図5】後退位置にある、本発明の1つの実施形態によるハンドリングキャリッジの斜視図である。
【
図6】
図5のハンドリングキャリッジの支持部材の斜視図である。
【
図7】印刷ユニットにおいてロールを装填するプロセスの様々な段階でのキャリッジの支持部材によるロールのハンドリングについての概略側面図である。
【
図8】印刷ユニットにおいてロールを装填するプロセスの様々な段階でのキャリッジの支持部材によるロールのハンドリングについての概略側面図である。
【
図9】印刷ユニットにおいてロールを装填するプロセスの様々な段階でのキャリッジの支持部材によるロールのハンドリングについての概略側面図である。
【
図10】印刷ユニットにおいてロールを装填するプロセスの様々な段階でのキャリッジの支持部材によるロールのハンドリングについての概略側面図である。
【
図11】印刷ユニットにおいてロールを装填するプロセスの様々な段階でのキャリッジの支持部材によるロールのハンドリングについての概略側面図である。
【
図12】本発明の1つの実施形態によるキャリッジの上部の背面図である。
【
図14】アクチュエータの詳細を示す
図12のキャリッジの側面断面図である。
【
図15】把持位置において上から見た
図12のキャリッジの作動アームの図である。
【
図16】印刷ユニットのスライド上に載ったロールの部分断面図である。
【
図17】フランジを通る断面における
図16のロールの側面図である。
【
図18】印刷ユニットのロールの設置における様々な段階でのアクチュエータ及び支持部材の様々な位置の側面図である。
【
図19】印刷ユニットのロールの設置における様々な段階でのアクチュエータ及び支持部材の様々な位置の側面図である。
【
図20】印刷ユニットのロールの設置における様々な段階でのアクチュエータ及び支持部材の様々な位置の側面図である。
【
図21】印刷ユニットのロールの設置における様々な段階でのアクチュエータ及び支持部材の様々な位置の側面図である。
【
図22】印刷ユニットのロールの設置における様々な段階でのアクチュエータ及び支持部材の様々な位置の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
方向Xは、縦方向であり、その中心縦軸に沿って、シート要素の受け取りステーションにおいて、それらの縦軸中線に応じて、印刷機を通るシート要素の移動方向又は駆動方向を基準にして定義される。方向Yは、横方向であり、水平面内でシート要素の進行方向に対して垂直な方向として定義される。方向Zは、横方向Yに垂直な垂直方向である。上流方向及び下流方向は、シート要素が印刷機入口から出口まで縦方向で印刷機全体にわたって移動する方向を基準にして定義される。
【0028】
図1に示されるように、フレキソ印刷機100は、供給ステーション1と、これに続いて2、3、4、5、6の順で配置された印刷ステーション又は印刷ユニットと、を備える。印刷されるシート102は、吸引コンベヤ7を使用して、これらの様々なステーションを通って縦方向及びボードの移動方向(矢印F)に輸送される。
【0029】
図2は、印刷ユニット2の概略図である(ここでは印刷ユニット3~6は同一である)。印刷ユニット2は、版胴8、圧胴19、アニロックスとして知られるスクリーンローラー10、及びドクターブレードチャンバ13を備える。版胴8、圧胴19、スクリーンローラー10、及びドクターブレードチャンバ13は、互いに連動している。印刷ユニット2は、印刷機100の底部においてアニロックスロール17用のリザーブステーション11を備えている。印刷機100は、アニロックスロール17をハンドリングするためのハンドリングキャリッジ9を備える。
【0030】
図3は、印刷機100の底部の部分斜視図である。リザーブステーション11は、アニロックスロール17の端部を支持することを目的とした支持体110を備える。また、供給ステーション1の下部には、保管ステーション14が設けられている。この保管ステーション14は、3つのアニロックスロール17のためのスペースを有することができる。この事例でのこの保管ステーション14は、隣接する2つのリザーブステーションを含み、印刷ユニット2~6のものと同様の支持体110を備えている。
【0031】
アニロックスロールをハンドリングするためのキャリッジ9は、印刷ユニット2~6及び供給ステーション1に共通である。キャリッジ9は水平面内を移動する。キャリッジ9は、特に、種々の印刷ユニット2~6のリザーブステーション11を通過するように構成されている。この事例でのキャリッジ9は、誘導システム103により、縦方向に並進移動するように誘導される。誘導システム103は、縦方向に延びるレール又は走路トラック104を備える。
【0032】
図4は、アニロックスロール10又は17をハンドリングするためのキャリッジ9の底部の斜視図である。キャリッジ9は、下部にシャーシ90を備えている。シャーシ90は、縦方向を含む水平面内で移動可能である。シャーシ90は、モータ900によって駆動される縦方向に移動する。シャーシ90は、前後にバンパーが取り付けられた安全装置901を含み、これらのバンパーに対する圧力は、キャリッジ9に緊急停止を行わせることを可能にする。
【0033】
支持部材91は、シャーシ90に取り付けられている。ここでの支持部材91は、全体的にプレートの形態をとる。支持部材91は、ロール10の回転軸が横方向Yに配向されるようにこのロール10を支持し保持するように構成されている。ここでの支持部材91は、その横方向端部に配置された座面911を備える。ここでの座面911は、回転軸が横方向Yに配向した状態でロール10を安定して保持できるように、U字型の凹部を有する。駆動装置902は、支持部材91をシャーシ90に対して垂直方向に並進駆動するように構成されている。従って、駆動装置902は、支持部材91を後退位置又は様々な展開位置のいずれかに保持することを可能にする。特に、支持体91の後退位置により、キャリッジ9を印刷ユニット2~6の下方に移動させることができる。特に、展開位置により、ロール10をリザーブステーション11内で、又は印刷ユニット2~6内でハンドリングすることができる。このような駆動装置902は、例えば、ギア付きモータユニット及びチェーンに加えてボールナット&ねじを使用する動力伝達機構に基づいた構造を有する。
【0034】
支持部材91が後退されたときに、小さな垂直方向の物体を有することができるようにするために、ここでの支持部材91は、有利には、パンタグラフ機構903を介してシャーシ90に取り付けられる。従って、パンタグラフ機構903は、支持部材91を支持する2つの交差スライドを備える。
【0035】
キャリッジ9は更に、明確にするために
図4には示されていない、アクチュエータ92を備える。
図5は、アクチュエータ92を備えたキャリッジ9の斜視図である。
図6は、異なる角度から見たときの、アクチュエータ92を備えた支持部材91の斜視図である。以下に詳述するように、アクチュエータ92は、支持部材91に取り付けられている。アクチュエータ92は、以下に詳述するように、このロールが支持部材91の上方にある距離で配置されたときに、ロール10と協調するように構成される。駆動装置910は、アクチュエータ92を支持部材91に対して縦方向Xに並進駆動するように構成されている。
【0036】
図示されていない制御回路は、移動シャーシ90の動き及び支持部材91の動きを制御するように構成される。制御回路はまた、アクチュエータ92を制御するように構成されている。
【0037】
図7~11は、このロール17を印刷ユニット2に装填する最初のステップの間のシャーシ90及び支持部材91を含むロール17のハンドリングの概略側面図である。アクチュエータ92を含むロール10を印刷ユニット2に装填する後のステップは、後で詳述される。
【0038】
図7に示される構成では、ロール17は、印刷ユニット2の下方に配置されたリザーブステーション11の支持体110上に載っている。このシーケンスは、アニロックスロールの切り替えに対応することができる。アニロックスロールの切り替えは、例えば、作業に変更があり、この新しい仕事のジョブを実行するにあたって、以前のアニロックスロールのセル構成よりも好適なセル構成を有するアニロックスロール17を使用する必要がある場合に必要でとなる。
図7に示す構成では、1つのアニロックスロール10が、既に印刷ユニット2から引き出されている。
【0039】
図8に示される構成では、キャリッジ9は、座面911がロール17のうちの1つの下方に配置されるように、縦方向に配置される。次に、駆動装置902は、座面911がロール17と接触するまで支持部材91を上昇させ、次いでこのロール17をその支持体110の上方に引き上げる。
【0040】
図9に示す構成では、キャリッジ9は、縦方向Xに移動されて、座面911上に存在するロール17を、2つの印刷ユニット2及び3の間で利用可能なスペース23と垂直方向に整列させて配置する。シリンダー8及びドクターブレードチャンバ13の反対側にロール17を配置するためのアクセスを可能にするために、保護カバー21が開かれる。このような保護カバー21は、特に、機械100の運転中にインクが飛散するのを防ぐために設けられている。このようにして、オペレータは、機械100の運転中に印刷ユニット2の中に入ることができる。次に、駆動装置902は、ロール17がスライド22の上方に配置されるまで、支持部材91を上昇させる。スライド22は、例えば、縦方向Xに配向され、ロール17の長さにほぼ対応する横方向のスペースを有して配置されたレールの形態をとる。
【0041】
図10に示される構成では、キャリッジ9は、縦方向Xに移動され、端部がスライド22と垂直方向に整列した状態でロール17を配置する。
【0042】
次に、
図11に示される構成では、駆動装置902は、ロール17がスライド22上に端部を介して停止するまで、及び座面911とこのロール17の間の接触が遮断されるまで、支持部材91を再び降下させる。
【0043】
図12は、本発明の1つの実施形態による、キャリッジ9の上部の背面図である。より具体的には、
図12は、アクチュエータ92と、アクチュエータ92が取り付けられている支持部材91とを示している。
図13は、キャリッジ9の上部の上方から見た図である。
図14は、アクチュエータ92の一部を詳細に示した、側面からのキャリッジ9の断面図である。
【0044】
ここでアクチュエータ92は、アクチュエータ92の横方向の端部に配置された把持部材93、94を備える。把持部材93、94は、支持部材91に対して縦方向に移動することができる。把持部材93、94は、ここでは支持部材91に対して縦方向にスライドする能力を有して取り付けられている。把持部材93、94は、例えば、支持部材91のそれぞれのガイドレール(図示せず)上をスライドする能力を備えて取り付けることができる。
【0045】
駆動装置910は、把持部材93、94を縦方向にスライド駆動する。把持部材93、94は、それぞれのボールナット及びスクリュー駆動機構によって縦方向にスライド駆動される。ボールナット及びねじ機構により、特に、アクチュエータ92を、邪魔になりにくい機構で駆動することができる。把持部材93、94は、特に、それぞれ垂直直立部934、944を含む。把持部材93、94は、これらの垂直直立部934、944によって、支持部材91に対して縦方向にスライドして案内される。
図14において最もよく示されているように、垂直直立部は、その下流部分が中空にされ、リザーブステーション11に存在するロール17の間をアクチュエータ92が通過するのを容易にする。
【0046】
把持部材93、94は、それぞれのラグ931、941を備える。これらのラグ931、941は、把持部材93、94の上流の縦方向端部に配置される。把持部材93、94の上流縦方向端部は、ここでは、支持部材91に対して横方向に移動することができる。この実施形態では、把持部材93、94は、それぞれアーム932、942を含む。ラグ931、941は、それぞれアーム932、942に対して横方向外側に突出している。
【0047】
これらのアーム932、942は、それぞれ垂直軸930、940を中心に枢動する能力を備えて取り付けられている。従って、アーム932、942を枢動させることにより、ラグ931、941それぞれの横方向位置を変更することができる。アーム932、942の旋回は、制御回路によって制御されるそれぞれの作動シリンダー936、946によって実行される。
【0048】
ここで軸930、940は、クロスメンバー920に固定される。クロスメンバー920は、横方向に延在し、直立部934、944の上端を接続する。このようなクロスメンバー920は、アクチュエータ92を補剛することを可能にする。この事例では、アーム932、942は、それぞれ直立部934、944に対して横方向に片持ちになっている。従って、このようなクロスメンバー920により、アクチュエータ92は、アーム932、942に加えられる枢動トルクに晒されて補剛することができる。
【0049】
図示の例では、アクチュエータ92は、アーム932、942の端部の近傍にある物体の存在を決定するため少なくとも1つのセンサを備えている。この例では、アクチュエータ92は、ラグ931、941の近くのロール17のフランジの存在を決定するため誘導センサを備える。誘導センサ933は、特に、アーム932の端部に取り付けられており、誘導センサ943は、特に、アーム942の端部に固定されている。
【0050】
図15は、ロール17のフランジ173と係合した把持部材93を示している。この構成では、アーム932は、ラグ931をフランジ173のボア174に導入するように旋回される。ボア174は、ロール17の回転軸に対して軸外にある。ラグ931をボア174に導入しても、印刷ユニットの取り外し可能な軸受マウントによる転がり軸受172のその後の把持が妨げられることはない。
【0051】
アクチュエータ92と協働するように構成されたロール17の例が、
図16及び17を参照して示されている。
図16は、このようなロール17の部分断面図である。ロール17は、中央部に固定面175を備えている。ロール17は、その横方向端部の各々にて座面170を備える(横方向は、ここでは、先に詳述した方向Y、すなわちロール17の回転軸に対応する)。カップリング要素171は、座面170の端部に固定される。カップリング要素171は、印刷ユニットがロール17を回転駆動するのを可能にする。転がり軸受172は、座面170に圧入される。転がり軸受172は、印刷ユニットに対してロール17の回転を案内するのに使用される。従って、印刷ユニットの係合解除可能な軸受(図示せず)は、転がり軸受172の周囲面の周りを把持するように構成される。ロール17はまた、転がり軸受172上に載って、スライド22上を走行できるように構成されている。従って、ロール17は、スライド22と転がり軸受172との接触により、縦方向のスライドで案内することができる。
【0052】
フランジ173は、ここで軸受面170に固定されている。フランジ173の構成は、
図17により良好に示されている。フランジ173に形成された少なくとも1つのボア174、この事例では2つの対向するボア174により、ラグ931がフランジ173と選択的に係合することができる。ラグ931がフランジ17と係合すると、把持部材93は、ロール17を縦方向に並進駆動することができる。勿論、ラグ941は、ロール17の他の横方向端部で同様のフランジと選択的に係合することができる。アーム932、942の端部に潜在的に配置される可能性がある誘導センサにより、特に、制御回路は、ラグ931、941がロール17のフランジ173と係合しているかどうかを決定することができる。
【0053】
ここでのフランジ17は、フラット部分176を含み、これにより、スライド22は、このフランジ173を縦方向にスライドするのを案内することができる。フラット部分176により、ラグ931、941のロックのため、及びロール17を作業位置(200)で機械に挿入するために、スライド22上のロール17の並進移動の間、ボア174を常に同じ方向に保つことを可能にする。
【0054】
図18~22は、印刷ユニットにおけるロール17の設置の様々な段階でのアクチュエータ92及び支持部材91の様々な位置の側面図である。
【0055】
図18に示される構成では、ロール17は、支持部材91の座面911上に載っている。制御回路は、その前に支持部材91の上昇を命じており、これは、支持部材91が印刷ユニットのスライド22と実質的に同じ高さに配置されていることを意味する。把持部材93、94は、ロール17のフランジと干渉しないように後退位置に保たれている。印刷ユニットによるロール17を回転駆動するための軸受の位置は、円200で示されている。この軸受200は、支持部材91の上流位置に配置されている。制御回路は、上流方向で印刷ユニットに対する支持部材91の縦方向の移動を制御するように構成されている。
【0056】
図19に示される構成では、支持部材91は、スライド22から離隔距離を有して、その端部がスライド22と垂直方向に位置合わせされた位置にロール17を搬送している。従って、ロール17は、座面911によって依然として支持されている。次に、制御回路は、支持部材91の降下を命令する。
【0057】
図20に示すように、支持部材91の降下は、ロール17がスライド22によってその端部で支持されるまで続けられる。支持部材91の降下は、把持部材93、94のラグ931、941がフランジ173のボア174と同じ高さに配置されるように行われる。更に、把持部材93、94は、ラグ931、941がフランジ173のボア174に面するようにラグ931、941を配置されるよう縦方向に移動される(光学センサは、アクチュエータ92の縦方向の動きにより、ボア174に対するラグ931、941の縦方向の正確な位置決めを確保するために利用することができる)。次に、制御回路は、把持部材93、94の展開位置又はロック位置への移行を命令する。従って、ラグ931、941は、フランジ173のボア174に係合する。次いで、制御回路は、ロール17を上流方向でスライド駆動するようにアクチュエータ92を命令するように構成される。このように、アクチュエータ92は、支持部材91に対して上流方向にスライドする。
【0058】
スライド22上でのロール17のスライドは、
図21に示されるように、ロール17の座面が印刷ユニットの軸受200と同じ高さに配置されるまで続けられる。印刷ユニットが、ロール17が所定の位置にあると判断すると、軸受200は、ロール17の転がり軸受172の周りにロックすることができる。
【0059】
制御回路は、ロール17を印刷ユニットから装填解除するために、逆の動作順序を実施するように構成される。
【0060】
従って、本発明によるアクチュエータ92は、ロールを印刷ユニットに自動的に装填又は装填解除することを可能にする。アクチュエータ92によるこのようなハンドリングは、印刷ユニットへのオペレータの介入を制限することを可能にし、ロールの装填又は装填解除するサイクルタイムを短縮することを可能にする。更に、図示のアクチュエータ92の構成は、特にコンパクトであることが分かっており、印刷ユニットの利用可能な小スペースで縦方向変位を促進する。アクチュエータ92の縦方向の動きは、支持部材91を動かないように保ちながら実際に達成することができる。従って、アクチュエータ92は、その嵩高さに起因して支持部材91がアクセスできない場所で、ロールのハンドリングを進めることができる。
【0061】
図示の実施形態では、アクチュエータ92は、ロール17の各端部にて誘導システム及び駆動機構を更に備えており、これにより、2人のオペレータが手動でシフトした場合のように、左側と右側の間でオフセットするリスクなしで、直線的な並進運動を実現することができる。
【0062】
ロールの装填/装填解除の状況の様々な例は、本発明によるキャリッジ9を使用して実施することができる。例えば、キャリッジ9は、印刷ユニットで使用されるプロセスにおいてロールを保管ステーションに保管されている別のロールと交換するように命令することができる。このために、制御回路は、キャリッジ9に、
印刷ユニットの所定の位置に最初にロールを収集する、
収集されたロールを保管ステーション11の空きスペースに置く、
保管ステーション11のスペースに保管された別のロールを収集する、
この他のロールを印刷ユニットに装填する、
この他のロールを使用して、印刷ユニットの印刷サイクルを再開する、
のシーケンスを実行するように命令することができる。
【0063】
キャリッジ9は、このシナリオに従って動作されて、印刷サイクルの1つの同じシャットダウン中に1又は2以上の印刷ユニットのロールを変更することができる。
【0064】
シナリオの別の例によれば、キャリッジ9は、ある印刷ユニットの作業位置にあるロールを、別の印刷ユニットの作業位置にある別のロールに切り替えるように命令することができる。このために、制御回路は、キャリッジ9に、
第1の印刷ユニットの所定の位置に最初に第1のロールを収集する、
収集された第1のロールを保管ステーション11の空きスペースに置く、
第2の印刷ユニットの所定の位置に最初に第2のロールを収集する、
この第2のロールを第1の印刷ユニットに装填する、
保管ステーション11から第1のロールを収集する、
この第1のロールを第2の印刷ユニットに装填する、
印刷ユニットの印刷サイクルを再開する、
のシーケンスを実行するように命令することができる。
【0065】
シナリオの別の例によれば、キャリッジ9は、印刷ユニットで使用されるプロセスで最初にロールの洗浄を実行するように命令することができる。これを行うために、制御回路は、キャリッジ9に、
印刷ユニットで使用されるプロセスにおいて最初にロールを収集する、
ロールを洗浄ステーションに置く、
洗浄ステーションにおいてロールの洗浄に進む、
のシーケンスを実行するように命令することができる。
【符号の説明】
【0066】
9 ハンドリングキャリッジ
91 支持部材
92 アクチュエータ
93 把持部材
911 座面
920 クロスメンバー
930 垂直軸
931 ラグ
932 アーム
933 誘導センサ
934 垂直直立部