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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-10
(45)【発行日】2023-01-18
(54)【発明の名称】乾燥予測装置及び乾燥予測用プログラム
(51)【国際特許分類】
   F26B 25/00 20060101AFI20230111BHJP
   F26B 9/06 20060101ALI20230111BHJP
【FI】
F26B25/00 A
F26B9/06 R
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2020165831
(22)【出願日】2020-09-30
(65)【公開番号】P2022057526
(43)【公開日】2022-04-11
【審査請求日】2021-01-22
(73)【特許権者】
【識別番号】391016358
【氏名又は名称】東芝情報システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090169
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 孝
(74)【代理人】
【識別番号】100074147
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 崇
(74)【代理人】
【識別番号】100124497
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 洋樹
(72)【発明者】
【氏名】高橋 功次
(72)【発明者】
【氏名】近藤 信一
(72)【発明者】
【氏名】北村 俊光
(72)【発明者】
【氏名】田村 豊
【審査官】岩瀬 昌治
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-013221(JP,A)
【文献】特表2019-515724(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F26B 25/00
F26B 9/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
乾燥対象物の第1の面と第2の面に接触され、前記第1の面と前記第2の面との間のインピーダンスを測定するセンサ部と、
前記インピーダンスに基づき前記乾燥対象物が乾燥するまでに前記インピーダンスが時間経過に応じて辿る変化線分である乾燥曲線の区間を、最初の乾燥期間である初期乾燥期間と、次の乾燥期間である中間期間と、この中間期間の次の最終期間と、最後の乾燥期間である乾燥完了期間とに区分し、前記中間期間以前において得られる測定されたインピーダンスに基づき、前記中間期間と前記最終期間との境界までの第1乾燥予測曲線と、前記境界以降の第2乾燥予測曲線とを予測し、これら2本の曲線に基づき乾燥完了までの時間予測を行う予測手段と、
を具備することを特徴とする乾燥予測装置。
【請求項2】
前記予測手段は、前記中間期間以前において前記センサ部から得られた少なくとも2点を用いた予測により第1乾燥予測曲線を求め、この第1乾燥予測曲線を所定角度傾けて第2乾燥予測曲線を求める第1の手法を備えることを特徴とする請求項1に記載の乾燥予測装置。
【請求項3】
前記予測手段は、前記中間期間を第1中間期間と第2中間期間とに分け、前記第1中間期間の第1中間期間予測曲線を前記センサ部から得られた少なくとも2点を用いた予測により求め、前記第2中間期間の第2中間期間予測曲線を第1中間期間予測曲線の傾きを変更した曲線として求める第2の手法を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の乾燥予測装置。
【請求項4】
前記予測手段は、前記中間期間を第1中間期間と第2中間期間と第3中間期間に分け、前記第1中間期間の第1中間期間予測曲線を前記センサ部から得られた少なくとも2点を用いた予測により求め、前記第2中間期間の第2中間期間予測曲線を第1中間期間予測曲線の傾きを変更した曲線として求め、前記第3中間期間の第3中間期間予測曲線を第1中間期間予測曲線の傾きを変更した曲線として求める第3の手法を備えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の乾燥予測装置。
【請求項5】
前記乾燥対象物の乾燥場所の少なくとも気温、湿度を含む場所乾燥情報を得る場所環境情報取得手段と、
前記乾燥対象物の乾燥場所より離れた乾燥場所周辺の周辺環境情報を得る周辺環境情報取得手段と、
を具備し、
前記予測手段は、少なくとも1つ目の予測曲線を前記場所環境情報取得手段と前記周辺環境情報取得手段とにより得られた情報に応じて変更することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の乾燥予測装置。
【請求項6】
得られるインピーダンスに基づき前記センサ部の特性変化を検出する特性変化検出手段を備え、
前記予測手段は、少なくとも1つ目の予測曲線を前記特性変化に応じて変更することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の乾燥予測装置。
【請求項7】
前記センサ部により時系列で得られるインピーダンスの変化態様が複数の態様情報として記憶されると共に前記複数の態様情報に対応付けて、前記予測手段が行う予測処理内容、出力するメッセージの内容が記憶された対応情報テーブルと、
前記センサ部により時系列で得られるインピーダンスの変化を検出して時系列のインピーダンスの変化態様を検出する変化態様検出手段と、
前記変化態様検出手段が検出した変化態様に基づき、対応情報テーブルの態様情報から前記予測手段が行う予測処理内容、出力するメッセージの内容を特定し、前記予測手段が行う予測処理内容の変更、該当メッセージの出力制御を行う制御手段と
を具備することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の乾燥予測装置。
【請求項8】
前記センサ部が、
電気的に接続された2電極により構成されるペア電極の複数ペアが、縦横にメッシュ状に配置された絶縁体線により構成され前記絶縁体線における交点中の所定2交点に配置された第1のメッシュ体と、
縦横のメッシュ状の導体線の交点が接続され全体で1電極として機能する第2のメッシュ体と、
前記複数ペアの各電極に接続される導線と、
前記第1のメッシュ体のペア電極と第2のメッシュ体により乾燥対象物を挟んで、前記複数のペア電極から1つのペア電極を順次選択する走査をして、選択したペア電極間で電圧または電流を検出してインピーダンスを測定する測定部と、
を具備するセンサ
を含んでいることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の乾燥予測装置
【請求項9】
前記センサ部が、
乾燥対象物の第1の面に測定時に接触して設けられる第1の導線と、
前記第1の導線と平行であって、前記乾燥対象物の前記第1の面に測定時に接触して設けられる第2の導線と、
前記第1の導線と前記第2の導線に対しねじれの関係の位置に設けられ、測定時に前記乾燥対象物の、前記第1の面と対向する第2の面に接触して設けられる第3の導線と、
測定時に前記第1の導線に電流を流すと、この電流が第1の導線から第1の面へ到り、前記第1の面との接触部から前記乾燥対象物の内部へ到り、前記第2の面の第3の導線を流れ、前記第2の面との接触部から前記乾燥対象物の内部へ到り、前記第1の面に接触する第2の導線へと流れる経路ができることを利用して、前記第1の導線と前記第の2導線とに接続され、電流を流してインピーダンスを測定する測定部と
を具備するセンサ
を含んでいることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の乾燥予測装置
【請求項10】
前記センサは、前記経路以外の電流の流れを阻止する絶縁体が、前記第1の導線と前記第2の導線及び/または第3の導線の所要位置に設けられていることを特徴とする請求項9に記載の乾燥予測装置
【請求項11】
乾燥対象物の第1の面と第2の面に接触され、前記第1の面と前記第2の面との間のインピーダンスを測定するセンサ部を有し、このセンサ部により得られたインピーダンスを用いて乾燥予測を行う乾燥予測装置のコンピュータを、
前記インピーダンスに基づき前記乾燥対象物が乾燥するまでに前記インピーダンスが時間経過に応じて辿る変化線分である乾燥曲線の区間を、最初の乾燥期間である初期乾燥期間と、次の乾燥期間である中間期間と、この中間期間の次の最終期間と、最後の乾燥期間である乾燥完了期間とに区分し、前記中間期間以前において得られる測定されたインピーダンスに基づき、前記中間期間と前記最終期間との境界までの第1乾燥予測曲線と、前記境界以降の第2乾燥予測曲線とを予測し、これら2本の曲線に基づき乾燥完了までの時間予測を行う予測手段、
として機能させることを特徴とする乾燥予測用プログラム。
【請求項12】
前記コンピュータを前記予測手段として、前記中間期間以前において前記センサ部から得られた少なくとも2点を用いた予測により第1乾燥予測曲線を求め、この第1乾燥予測曲線を所定角度傾けて第2乾燥予測曲線を求めるように機能させる第1の手法プログラムを備えることを特徴とする請求項11に記載の乾燥予測用プログラム。
【請求項13】
前記コンピュータを前記予測手段として、前記中間期間を第1中間期間と第2中間期間とに分け、前記第1中間期間の第1中間期間予測曲線を前記センサ部から得られた少なくとも2点を用いた予測により求め、前記第2中間期間の第2中間期間予測曲線を第1中間期間予測曲線の傾きを変更した曲線として求めるように機能させる第2の手法プログラムを備えることを特徴とする請求項11または12に記載の乾燥予測用プログラム。
【請求項14】
前記コンピュータを前記予測手段として、前記中間期間を第1中間期間と第2中間期間と第3中間期間に分け、前記第1中間期間の第1中間期間予測曲線を前記センサ部から得られた少なくとも2点を用いた予測により求め、前記第2中間期間の第2中間期間予測曲線を第1中間期間予測曲線の傾きを変更した曲線として求め、前記第3中間期間の第3中間期間予測曲線を第1中間期間予測曲線の傾きを変更した曲線として求めるように機能させる第3の手法プログラムを備えることを特徴とする請求項11乃至13のいずれか1項に記載の乾燥予測用プログラム。
【請求項15】
前記乾燥予測装置が、
前記乾燥対象物の乾燥場所の少なくとも気温、湿度を含む場所乾燥情報を得る場所環境情報取得手段と、
前記乾燥対象物の乾燥場所より離れた乾燥場所周辺の周辺環境情報を得る周辺環境情報取得手段と、
を具備し、
前記コンピュータを前記予測手段として、少なくとも1つ目の予測曲線を前記場所環境情報取得手段と前記周辺環境情報取得手段とにより得られた情報に応じて変更するように機能させることを特徴とする請求項11乃至14のいずれか1項に記載の乾燥予測用プログラム。
【請求項16】
前記コンピュータを、
得られるインピーダンスに基づき前記センサ部の特性変化を検出する特性変化検出手として機能させ、
前記コンピュータを前記予測手段として、少なくとも1つ目の予測曲線を前記特性変化に応じて変更するように機能させることを特徴とする請求項11乃至15のいずれか1項に記載の乾燥予測用プログラム。
【請求項17】
前記コンピュータは、
前記センサ部により時系列で得られるインピーダンスの変化態様が複数の態様情報として記憶されると共に前記複数の態様情報に対応付けて、前記コンピュータが前記予測手段として行う予測処理内容、出力するメッセージの内容が記憶された対応情報テーブルを備え、
前記コンピュータを、
前記センサ部により時系列で得られるインピーダンスの変化を検出して時系列のインピーダンスの変化態様を検出する変化態様検出手段、
前記変化態様検出手段が検出した変化態様に基づき、対応情報テーブルの態様情報から前記予測手段が行う予測処理内容、出力するメッセージの内容を特定し、前記予測手段が行う予測処理内容の変更、該当メッセージの出力制御を行う制御手段
として機能させることを特徴とする請求項11乃至16のいずれか1項に記載の乾燥予測用プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、乾燥予測装置及び乾燥予測用プログラムに関するものである。


【背景技術】
【0002】
従来、布などの洗濯物の乾燥度合を測定するには、限られた装置により乾燥させてその乾燥装置と乾燥対象物の経験値をベースに乾燥完了時間を予想していた。
【0003】
非特許文献1には、ハンガーに電極を設けて洗濯物を掛けた場合の水分量変化を抵抗変化で検出するものが開示されている。
【0004】
非特許文献2には、過去のデータから将来の数値を予測し、曲線グラフにより表示するものが記載されている。予測の部分では、信頼上限の曲線と信頼下限の曲線を示すものである。
【0005】
特許文献1には、布団乾燥機の乾燥時間を湿度温度及び乾燥機の通電時間により予測するものが開示されている。温度乾燥変化曲線を用いるもので、比較的複雑な処理により上記温度乾燥変化曲線を得るものである。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【文献】田島奈々美、他2名「AwareHanger:洗濯物の乾き具合を通知するハンガー」情報処理学会研究報告,Vol.2010-UBI-27巻No.2号(頁1-5)、2010年7月
【文献】“いまさら聞けないExcelの使い方講座”[Online]2017年6月5日、窓の杜、[令和2年9月18日検索]、インターネット<URL: HYPERLINK "https://forest.watch.impress.co.jp/docs/serial/exceltips/1062569.html" https://forest.watch.impress.co.jp/docs/serial/exceltips/1062569.html>
【特許文献】
【0007】
【文献】特許第3168237号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記のように現状の乾燥予測装置は、乾燥対象物の乾燥予測を行う場合に予測曲線を用いて行うものの、現時点から乾燥終了までを基本的に一本の曲線により予測するものであり、曲線の作成が難しく時間を要するものであった。
【0009】
本発明は上記のような現状の乾燥予測装置が有する課題に鑑みてなされたもので、その目的は、現時点から乾燥終了までを二本以上の曲線(本発明においては、直線を含む)により乾燥予測曲線を作成することで、より正確な予測曲線の作成を容易にし、また作成時間を短縮することが可能な乾燥予測装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本実施形態に係る乾燥予測装置は、乾燥対象物の第1の面と第2の面に接触され、前記第1の面と前記第2の面との間のインピーダンスを測定するセンサ部と、前記インピーダンスに基づき前記乾燥対象物が乾燥するまでに前記インピーダンスが時間経過に応じて辿る変化線分である乾燥曲線の区間を、最初の乾燥期間である初期乾燥期間と、次の乾燥期間である中間期間と、この中間期間の次の最終期間と、最後の乾燥期間である乾燥完了期間とに区分し、前記中間期間以前において得られる測定されたインピーダンスに基づき、前記中間期間と前記最終期間との境界までの第1乾燥予測曲線と、前記境界以降の第2乾燥予測曲線とを予測し、これら2本の曲線に基づき乾燥完了までの時間予測を行う予測手段と、を具備する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明に係る第1の実施形態に係る乾燥予測装置100を備える乾燥管理システム800の構成図。
図2】本発明の実施形態に係る乾燥予測装置100の本体部120を実現するコンピュータシステムの構成図。
図3】本発明の第1の実施形態に係る乾燥予測装置100における本体部の機能ブロック図。
図4】一般的に用いられている物を乾燥させたときの、物の表面温度と含水率の時間的変化を示す図。
図5】本実施形態において様々な材料の乾燥対象物について乾燥実験を行って得られた乾燥曲線を示す図。
図6】本実施形態において、予測手段51が第1乾燥予測曲線と、第2乾燥予測曲線とを求める処理を示す図。
図7】本実施形態において、予測手段51が行う第2の手法により乾燥予測曲線を求める処理を示す図。
図8】本実施形態において、予測手段51が行う第3の手法により乾燥予測曲線を求める処理を示す図。
図9】本発明の第1の実施形態に係る乾燥予測装置に備えられる対応情報テーブル55の内容を示す図。
図10】本発明の第1の実施形態に係る乾燥予測装置のCPU150が行う動作を示すフローチャート。
図11】本発明に係るセンサの第2の実施形態の構成を示す平面図。
図12】乾燥予測装置の別の本実施形態に係るセンサ部110の斜視図。
図13】乾燥対象物201を包むような状態で、インピーダンス測定を乾燥予測装置の別の本実施形態に係るセンサ部110におけるセンサの分解斜視図。
図14図13に示したセンサを備えるセンサ部110の測定状態を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下添付図面を参照して本発明の実施形態に係る乾燥予測装置、センサ、及び乾燥予測用プログラムを説明する。各図において、同一の構成要素には同一の符号を付して重複する説明を省略する。図1は、第1の実施形態に係る乾燥予測装置100を備える乾燥管理システム800の構成図である。この乾燥予測装置100は、センサ部110と本体部120とを備える。センサ部110は、センサ20と出力制御部40により構成されている。
センサ20には、第1の電極11、第2の電極12、第3の電極13A、第4の電極13Bが備えられている。第1の電極11、第2の電極12、第3の電極13A、第4の電極13Bは、例えば、数ミリ程度の厚さと平面形状が正方形あるいは長方形形状である。平面面積は、特に限定されないが、通常は10mm×10mm~20mm×20mm程度が用いられる。第3の電極13Aと第4の電極13Bとは電気的に接続されており、1つの電極として機能する。乾燥対象物21の例えば表面である第1の面には第1の電極11、第2の電極12が接触するように配置され、乾燥対象物21の例えば裏面である第2の面には、第3の電極13Aと第4の電極13Bとが接触するように配置される。
【0013】
更に、センサ20は、電圧VDDを供給する電源部を備えている。電源部は、上記第1の電極11に所定電位を印加し、上記第2の電極12にアース電位を与えるもので、電池31と電源スイッチ32とを備えている。電池31によって発生される電圧VDDが抵抗33を介して第1の電極11へ与えられる。
【0014】
また、出力制御部40は、上記第1の電極11と上記第2の電極12間の電圧に基づき上記乾燥対象物21のインピーダンスを測定するものである。出力制御部40は、抵抗33と第1の電極11との間からアンプ41を介して電圧を取り出し、AD変換部42へ送る。AD変換部42は、アンプ41からのアナログ電圧をディジタル化する。
【0015】
出力制御部40は、AD変換部42以外に、マイクロコンピュータと送信部を主な構成要素としており、AD変換部42からのディジタル電圧を用いて乾燥対象物21のインピーダンスを求める。つまり、電源部によって一定の電流値が乾燥対象物21へ流されており、この一定の電流値をマイクロコンピュータが予め保持していることにより、上記ディジタル電圧を用いて乾燥対象物21のインピーダンスを求めるものである。インピーダンスは、出力制御部40から本体部120へ送信される。
【0016】
上記において、乾燥対象物21は、主に洗濯物であるが、これに限らず、干物などの食べ物、土壌などであっても良い。また、湿り気を与える液体は主に水であるが、油などのような導電性を有する液体であっても良い。
【0017】
図1では、ペアの電極間のインピーダンスを1つの抵抗シンボルで示しているが、これは、斜め方向や直線ではなく曲線的な経路のインピーダンスを含んでいるものを示したシンボルである。本実施形態の乾燥予測装置では、図1に示されるように、第1の電極11と第2の電極12間のインピーダンスRh1、第1の電極11と第3の電極13A間のインピーダンスRv1、第2の電極12と第4の電極13B間のインピーダンスRv2を合わせたインピーダンスを適切に捉えることができる。
【0018】
図2は、乾燥予測装置100の本体部120を実現するコンピュータシステムの構成図である。本発明の実施形態に係る乾燥予測装置100の本体部120は、例えばパーソナルコンピュータやワークステーション、その他のコンピュータシステムにより構成することができる。このコンピュータシステムは、CPU150が主メモリ151に記憶されている或いは主メモリ151に読み込んだプログラムやデータに基づき各部を制御し、必要な処理を実行することにより乾燥予測を行う本体部120として動作するものである。
【0019】
CPU150には、バス152を介して外部記憶インタフェース153、入力インタフェース154、表示インタフェース155、通信インタフェース156が接続されている。外部記憶インタフェース153には、乾燥予測用プログラム等のプログラムと必要なデータ等が記憶されている外部記憶装置123が接続されている。入力インタフェース154には、コマンドやデータを入力するための入力装置としてのキーボードなどの入力装置124とポインティングデバイスとしてのマウス122が接続されている。
【0020】
表示インタフェース155には、LEDやLCDなどの表示画面を有する表示装置125が接続されている。通信インタフェース156には、インピーダンスを得るためのセンサ部110、乾燥を応援するエアコンなどの周辺機器130、場所乾燥情報や周辺環境情報を送信してくる情報提供装置140、携帯通信端末160が接続されている。通信インタフェース156は、無線または有線による送受信機能を有し、データや情報を得るための構成である。携帯通信端末160はユーザが保持し、ユーザに乾燥までの時間等メッセージとして通知するために用いられる。更に、このコンピュータシステムには、他の構成が備えられていても良く、また、図2の構成は一例に過ぎない。
【0021】
図3は、本発明の第1の実施形態に係る乾燥予測装置100における本体部の機能ブロック図である。上記において、CPU150では、外部記憶装置123内の乾燥予測用プログラムによって図3に記載の各手段等が実現される。即ち、予測手段51、場所環境情報取得手段52、周辺環境情報取得手段53、特性変化検出手段54、対応情報テーブル55、変化態様検出手段56、制御手段57が記憶されている。
【0022】
予測手段51は、センサ部110から送られたインピーダンスに基づき上記乾燥対象物21が乾燥するまでに上記インピーダンスが時間経過に応じて辿る変化線分である乾燥曲線の区間を、最初の乾燥期間である初期乾燥期間と、次の乾燥期間である中間期間と、この中間期間の次の最終期間と、最後の乾燥期間である乾燥完了期間とに区分し、上記中間期間以前において得られる測定されたインピーダンスに基づき、上記中間期間と上記最終期間との境界までの第1乾燥予測曲線と、上記境界以降の第2乾燥予測曲線とを予測し、これら2本の曲線に基づき乾燥予測を行うものである。
【0023】
ここで、乾燥曲線について説明する。図4は、物を乾燥させたときの、物の表面温度と含水率の時間的変化を示す図で、一般的に用いられている図である。物の乾燥が開始されると、物の温度上昇が見られ、期間H1において一定の温度となる。乾燥開始から上記一定の温度となるまでの期間を予熱期間(Y)と呼んでいる。次に、物の温度は一定であるが乾燥が続いているため、含水率の低下が顕著な期間となる。この期間を定率乾燥期間(S)と呼んでいる。定率乾燥期間の次の期間では、W1により示す時間から含水率の低下が緩やかになり、物に水が含まれないために物の温度上昇が顕著となる。この期間を減率乾燥期間(D)と呼んでいる。
【0024】
上記の現状の一般的な乾燥期間の区分に対し、本実施形態では、乾燥対象物のインピーダンス変化に注目し、乾燥対象物がビショビショに濡れた状態のインピーダンスを測定値「20」に割り当て、完全に乾燥しインピーダンスの変化が無くなったときのインピーダンスを測定値「100」に割り当てる。測定値「20」と測定値「100」の間を均等に区分した測定値とする。図5は、様々な材料の乾燥対象物(本実施形態では、洗濯物とする)について乾燥実験を行って得られた乾燥曲線(インピーダンスに対応する測定値の時間的変化)の平均的な乾燥曲線である。
【0025】
上記の乾燥曲線の測定値「30」までを初期期間とし、測定値「30」から乾燥速度が低下する(測定値が「90」)までの期間を中間期間とする。測定値「90」から「100」の区間を測定値「95」を境界として、下側の最終期間と上側の乾燥完了期間に分ける。
【0026】
図6は、予測手段51が上記第1乾燥予測曲線と、上記第2乾燥予測曲線とを求める処理を示す。上記予測手段51は、上記中間期間以前において上記センサ部110から得られた少なくとも2点を用いた予測により第1乾燥予測曲線L1を求め、この第1乾燥予測曲線L1を所定角度θ傾けて、第2乾燥予測曲線L2を求める第1の手法を備える。本実施形態において、2点を用いた予測は、直線近似、最小2乗法、AIによる線分の予測などを用いることができる。ここで、θは上記乾燥実験のときに求めて、例えば外部記憶装置123に記憶しておくことができる。また、θは、乾燥対象物の生地などの厚さや材質などに対応付けて複数記憶しているものとし、ユーザが、乾燥対象物の生地などの厚さや材質などを入力装置124から入力することで、予測手段51が対応のθを記憶された中から取り出し、用いるようにしても良い。
【0027】
また、上記予測手段51は、上記中間期間を第1中間期間と第2中間期間とに分け、上記第1中間期間の第1中間期間予測曲線を上記センサ部110から測定の開始以降に得られた少なくとも2点を用いた予測により求め、上記第2中間期間の第2中間期間予測曲線を上記第1中間期間予測曲線の傾きを変更した曲線として求める第2の手法を備える。一般的には、測定データの数が多くなれば新しいデータに代えてゆくことができるが、測定が予測すべき曲線の領域を超えた場合には、予想は停止される。
【0028】
図7は、予測手段51が第2の手法により行う処理を示す。中間期間以前において予測曲線の傾きが変化する測定値により、中間期間を第1中間期間と第2中間期間とに分ける。この分岐の測定値は「40」か「50」とすることができるが、他の値であっても良い。
この値についても、乾燥対象物の生地などの厚さや材質などに対応付けて複数記憶しているものとし、ユーザが、乾燥対象物の生地などの厚さや材質などを入力装置124から入力することで、予測手段51が対応の測定値を取り出して用いるようにしても良い。
【0029】
第1中間期間予測曲線L11については、少なくとも2つの測定値を用いた予測により求める。第2中間期間予測曲線L12については、第1中間期間予測曲線L11の傾きを例えば、2倍することにより得ることができる。2倍は一例に過ぎない。更に、第2乾燥予測曲線L2を、上記第1中間期間予測曲線の傾きを変更した曲線として求める。例えば、第1中間期間予測曲線L11の傾きを例えば、0.8倍することにより第2乾燥予測曲線L2を得る。0.8倍は一例に過ぎない。
【0030】
更に、上記予測手段51は、上記中間期間を第1中間期間と第2中間期間と第3中間期間に分け、上記第1中間期間の第1中間期間予測曲線を上記センサ部110から得られた2点を用いた予測により求め、上記第2中間期間の第2中間期間予測曲線を第1中間期間予測曲線の傾きを変更した曲線として求め、上記第3中間期間の第3中間期間予測曲線を第1中間期間予測曲線の傾きを変更した曲線として求める第3の手法を備える。ここにおいても、測定データの数が多くなれば新しいデータに代えてゆくことができるが、測定が予測すべき曲線の領域を超えた場合には、予想は停止される。
【0031】
この第3の手法のときに、上記予測手段51は、中間期間と最終期間の境界を引き下げ(例えば、測定値「85」)、最終期間を第1最終期間と第2最終期間に分ける。第1最終期間は測定値「85~89」、第2最終期間は測定値「90~94」である。また、第3中間期間は測定値「80~84」とする。これらの数値は一例に過ぎない。
【0032】
図8は、予測手段51が第3の手法により行う処理を示す。予測手段51は、上記第1中間期間の第1中間期間予測曲線L11を上記センサ部110から得られた少なくとも2点を用いた予測により求め、第2中間期間予測曲線L12を第1中間期間予測曲線L11の傾きを1.5倍したものとして求め、第3中間期間予測曲線L13を第1中間期間予測曲線L11の傾きを2倍したものとして求め、第1最終期間予測曲線L21を第1中間期間予測曲線L11の傾きを1倍したものとして求め、第2最終期間予測曲線L22を第1中間期間予測曲線L11の傾きを0.5倍したものとして求める。これらの数値は一例に過ぎない。
【0033】
本実施形態では、予測手段51が第1の手法、第2の手法、第3の手法のいずれも備えている。いずれの手法を採用するかについては、乾燥対象物の生地などの厚さや材質などに対応付けて第1の手法から第3の手法を記憶しているものとし、ユーザが、乾燥対象物の生地などの厚さや材質などを入力装置124から入力することで、予測手段51が対応の手法を決定して実行するようにしても良い。予測手段51が第1の手法、第2の手法、第3の手法のいずれか2つを備えているようにしても良い。2つの内、いずれを採用するかについては、予測手段51が3つの手法から1つの手法を選択する場合と同様の構成とすることができる。
【0034】
外部記憶装置123に記憶されている場所環境情報取得手段52は、上記乾燥対象物21の乾燥場所の少なくとも気温、湿度を含む場所乾燥情報を得るものである。また、周辺環境情報取得手段53は、上記乾燥対象物21の乾燥場所より離れた乾燥場所周辺の周辺環境情報を得るものである。前記予測手段51は、少なくとも1つ目の予測曲線(第1中間期間予測曲線L11)を上記場所環境情報取得手段52と上記周辺環境情報取得手段53とにより得られた情報に応じて変更する。
【0035】
この乾燥管理システム800の構成は、基本的に図1に示した乾燥管理システム800の構成と同一である。注目すべきは、洗濯乾燥場所の環境センサが乾燥室などの乾燥場所に設けられており、通信インタフェース156に接続されている点を挙げることができる。環境センサは、温度センサ、湿度センサ、風量(或いは風速)センサ、気圧センサの内、少なくとも温度センサと湿度センサから構成される。環境センサには、送信器が接続されており、送信器は環境センサにより得られた温度、湿度、風量(或いは風速)、気圧などの場所環境情報を通信インタフェース156を経由してCPU150へ送る。従って、本実施形態では、環境センサは情報提供装置140に含まれているものとする。
【0036】
また、洗濯乾燥場所の周辺の環境情報を収集する情報提供装置140からCPU150が周辺環境情報を通信インタフェース156にて受信するように構成されている。洗濯乾燥場所の周辺とは、洗濯乾燥場所を中心とする例えば半径1Kmのエリアの範囲とし、情報提供装置140は気象情報等を提供してくれる業者の端末などとすることができる。情報提供装置140からは、湿度や温度、風量(或いは風速)、気圧などやその時の天気(晴れ、雨、曇り等)の環境情報が提供される。
【0037】
乾燥予測装置の本体部120のCPU150は、通信インタフェース156からの乾燥度合値データを場所環境情報及び周辺環境情報と共に外部記憶装置123へ記憶する。外部記憶装置123へ記憶する際に、洗濯乾燥場所の少なくとも気温、湿度を含む場所環境情報と、洗濯乾燥場所の周辺環境情報に応じて第1中間期間予測曲線L11に対する傾きの変更値を対応させて記憶して環境変動パラメータとする。予測手段51は、実際に予測を行うときに、測定値から第1中間期間予測曲線L11を前述の通りに求める。そして、上記場所環境情報取得手段52と上記周辺環境情報取得手段53とにより得られた情報に基づき、予測手段51は、上記の外部記憶装置123に記憶してある環境変動パラメータの傾き変更値を求める。予測手段51は傾き変更値に基づき変更した第1中間期間予測曲線L11を得る。ここでは、第1中間期間予測曲線L11に対する傾きの変更値のみを、環境情報に対応させて記憶したが、第2中間期間予測曲線L12を第1中間期間予測曲線L11の傾きを何倍として生成するかの情報、第3中間期間予測曲線L13を第1中間期間予測曲線L11の傾きを何倍として生成するかの情報、第1最終期間予測曲線L21を第1中間期間予測曲線L11の傾きを何倍として生成するかの情報、第2最終期間予測曲線L22を第1中間期間予測曲線L11の傾きを何倍として生成するかの情報についても記憶しておくことができる。周辺環境情報に天気に係る環境情報が含まれていないが、含まれていても良いことは勿論である。また、本実施形態では、ユーザが入力装置124から入力することで、上述の環境情報を用いた処理を行わないようにすることも可能である。
【0038】
上記のように予測曲線を予測する場合に、第1中間期間予測曲線L11を前記センサ部110から得られた少なくとも2点を用いた予測により求めるが、この場合にも、次のようにして補正をすることが可能である。
例えば、それぞれの値について、予想時間の計算の傾きに与える乗算値は、次のようである。
気温の場合、0度~50度の場合に、Ntemp=1として、測定値から予測で求めた曲線の傾きに、Ntemp×温度×1/20を乗じて曲線を得る。ただし、Ntemp=1は変更可能とする。
湿度の場合、0~100%の場合に、Natmos=50として、測定値から予測で求めた曲線の傾きに、Natmos×1/を乗じて曲線を得る。ただしこのNatmos=50の定数は変更可能とする。
気圧の場合、1013.25hPaを基準とし、Npas=1として、Npas×1013.25/気圧を乗じて曲線を得る。Npas=1の定数は変更可能とする
風量:風速:0.1m/s~20m/sが基準とすると、Nwspeedx風速×1/5を乗じて曲線を得る。Nwspeed=1の定数は変更可能とする。
環境センサによる情報がなく、エアコン稼働、浴室乾燥機稼働、扇風機、除湿器などの周辺機器130がある場合、それぞれの稼働状態により、以下のパラメータを乗算することにより曲線を求めることとする。
例えば、
エアコン稼働:Nairconを乗算(Naircon=2)
浴室乾燥機稼働:Nairconを乗算(Naircon=3)
扇風機:Nairconを乗算(Naircon=1.2)
である。
【0039】
対応情報テーブル55は、上記センサ部110により時系列で得られるインピーダンスの変化態様が複数の態様情報として記憶されると共に上記複数の態様情報に対応付けて、上記予測手段51が行う予測処理内容などと、出力するメッセージの内容が記憶されたものである。
【0040】
図9は、対応情報テーブル55の内容を示している。態様情報として、測定インピーダンスの最大値最小値が変化した場合、処理内容としては測定インピーダンスの最大値最小値に測定値の0~100を合致させる。また、態様情報として、乾燥完了の通知を表示装置125等に表示した場合、その応答が入力装置124などからあり、「乾燥していない」「濡れている」「乾き過ぎ」等の応答の不一致があると、処理内容としては乾燥完了期間の測定値を所定だけ上下させる変更を行う。態様情報として、測定値が100付近に固定となると、処理内容としては、不使用として節電モードへ移行する。態様情報として、測定値が大きく変動するのに対し、処理内容としては、使用開始状態として、準備し、「只今から乾燥予想を開始します」などのメッセージを送る。態様情報として、測定値が乾燥完了期間へ入った場合には、処理内容としては「乾燥が完了しました」などのメッセージを送る。態様情報として、測定値が中間区間で暫く固定の場合、エアコンなどの周辺機器130を起動し、「乾燥のためにエアコンを起動しました」等のメッセージを送る。態様情報として、測定値があり得ない値を示すなど異常の場合、システムリセットを行い、「乾燥予測をやり直します」等のメッセージを送る。この例は、一例に過ぎない。
【0041】
変化態様検出手段56は、上記センサ部110により時系列で得られるインピーダンスの変化を検出して時系列のインピーダンスの変化態様(対応情報テーブル55の態様情報のいずれかが生じたか)を検出するものである。制御手段57は、上記変化態様検出手段56が検出した変化態様に基づき、対応情報テーブル55の態様情報から上記予測手段51が行う予測処理内容、出力するメッセージの内容を特定し、上記予測手段51が行う予測処理内容の変更、該当メッセージの出力制御を行う。つまり、制御手段57は、対応情報テーブル55の処理内容とメッセージ欄に記載の処理内容を行い、必要な場合メッセージを送信する。
【0042】
本実施形態の乾燥予測装置100は、制御手段57の制御の基に、乾燥具合の数値をメッセージとして携帯通信端末160へ送る。
例えば、人間が測ったときの値とセンサ値が次の表のようであるとする。
【表1】

例1:センサ値30~100を、定率倍して、センサ値30~100に0~100%を割り当て、通知するメッセージとする。例えば「乾燥度は0%であり、殆ど乾燥しておりません。」などが通知される。
例2:センサ値30~50を、定率倍して、センサ値30~50に0~20%を割り当て、通知するメッセージとする。また、センサ値50~100を定率倍して、20~100%を割り当て、通知するメッセージとする。
例3:センサ値30~50を、定率倍して、センサ値30~50に0~20%を割り当て、通知するメッセージとする。50~100を関数変換して、20~100%とする。すなわち、y=f(x):x=センサ値、y=%
例4:110%を超えると、乾きすぎであると、通知するメッセージが送出される。
と一般化した関数とし、この人間感覚とセンサ値の実測結果から、近似関数にて%を求め、求めた%を割り当て、通知するメッセージとする。
なお、上記においてセンサ値が小さいほど乾燥度も小さくなり、メッセージの表現として「乾燥度」に違和感があるのであれば、水分含有率を乾燥度の値に対応させて定義し、この値をメッセージに含ませるようにしても良い。
【0043】
特性変化検出手段54は、得られるインピーダンスに基づき上記センサ部110の特性変化を検出する。特性変化検出手段54は、対応情報テーブル55の内容である、測定インピーダンスの最大値最小値が変化した場合や、特性インピーダンスが飛び飛びの値を採る場合などを検出する。この場合、予測手段51は、少なくとも1つ目の予測曲線L11を上記特性変化に応じて変更する。
【0044】
図10は、乾燥予測装置100のCPU150の動作を示すフローチャートである。以上のように構成された乾燥予測装置100のCPU150は、図10のフローチャートに示すように動作する。測定値を取り込み(S11)、前記センサ部110の特性変化の有無を検出する(S12)。状態変化があると、少なくとも1つ目の予測曲線を前記特性変化に応じて変更する(S13)。
【0045】
ステップS12においてNOとなると、時系列のインピーダンスの変化態様を検出する(S14)。即ち、対応情報テーブル55の態様情報に該当するものが検出されたかを調査する。変化態様が検出されると、制御手段57として、予測手段が行う予測処理内容の変更、該当メッセージの出力制御を行う(S15)。ステップS14においてNOとなると、第1~3の手法のいずれかを用い、更には、環境情報を用いて予測処理を行い、乾燥完了までの時間をメッセージとして送信する(S16)。次に、乾燥完了となったかを検出し(S17)乾燥完了でなければステップS11へ戻って処理を続ける。
【0046】
以上の実施形態では、乾燥対象物21が基本的に洗濯物であることを前提として、センサ20を説明した。図11は本発明に係るセンサ200の第2の実施形態の構成を示す図である。乾燥対象物21が干物などの場合には、図11に示す構成を示すセンサ200を用いることができる。
【0047】
センサ200は、外枠が概ね四角形の第1のメッシュ体201と第2のメッシュ体202とが例えばヒンジ203により連結されている。第1のメッシュ体201のメッシュを構成する縦横の絶縁体線210及び枠220は、絶縁体である。第1のメッシュ体201には、電気的に接続された2電極61A、61Bにより構成されるペア電極61の複数ペアが、縦横にメッシュ状に配置された絶縁体線210における交点中の所定2交点に配置されている。図11においては、2か所のペア電極61にのみ符号が付されているが、各行の隣接する2つの電極は、ペア電極61である。
【0048】
第2のメッシュ体202は、縦横のメッシュ状の導体線230の交点が接続され、全体で1電極として機能する。上記複数ペアの各電極には導線62A、62Bが接続されている。図11では、1ペア電極61のみに導線62A、62Bが接続されている状態を示しているが、全ペア電極61には導線62A、62Bが接続されている。第1のメッシュ体201のペア電極61と第2のメッシュ体202の導体線230により乾燥対象物を挟んで、上記複数のペア電極61中から1つのペア電極61を順次選択する走査をして、選択したペア電極61で電圧または電流を検出してインピーダンスを測定する図示しない測定部が備えられている。測定部には、導線62A、62Bによって上記複数のペア電極61が全て接続されていて、上記複数のペア電極61から1つのペア電極を順次選択する走査を行う機能を有する点を除き、図1のセンサ20における構成と同様に、図示はしていないが、電池31と電源スイッチ32、抵抗33とアンプ41を備えている。電池31と電源スイッチ32はペア電極61の一方の電極に接続され、抵抗33とアンプ41はペア電極61の他方の電極に接続されている。従って、1つのペア電極61に関する構成は、図1のセンサ20に等しく、全体として図1のセンサが複数存在している構成である。
【0049】
上記センサ200によって、乾燥対象物の複数地点のインピーダンスを求めることができ、これらのインピーダンスを平均したインピーダンスを測定値に変換して乾燥予測することが可能である。また、ペア電極61から得られる個々のインピーダンスにより当該ペア電極61が配置された位置の乾燥対象物個々の乾燥予測を行うことが可能である。更に、いくつかの隣接するペア電極61のインピーダンスを平均して、これらペア電極61が配置された領域における乾燥対象物の乾燥予測を行うことが可能である。
【0050】
図12は、洗濯角ハンガーなどと称されるものに似せて、洗濯バサミの部分にセンサ部110を取り付けた乾燥予測装置の別の本実施形態に係るセンサ部110の斜視図である。出力制御部40以降は、1つの本体部120により構成できる。例えば、四角の平行する2辺71A、71Bの対向位置に設けられたセンサ部110を1ペアとして乾燥予測する。この乾燥予測装置のセンサ部110では、センサ部110の位置を判別して乾燥予測をする。これにより、隣接する2ペアにそれぞれ全てに乾燥対象物が設けられている場合には、乾燥対象物間が近接し、乾燥速度が通常より遅くなるので、制御手段57の制御により「対応する位置(例えば、端から2行目)の乾燥対象物を取り外せば早く乾燥できます。」などのメッセージを送ることができる。これにより、ユーザに親切な洗濯乾燥環境を提供可能である。
【0051】
図13は、乾燥対象物401を包むような状態で、インピーダンス測定を乾燥予測装置の別の本実施形態に係るセンサ部110におけるセンサの分解斜視図である。第1の枠410と第2の枠420とが枠の一辺によって、図11のセンサの如く結合される。第1の枠410と第2の枠420は共に絶縁体である。第1の枠410においては、四角枠の対向する2辺間に複数の第1の平行導線411が張られている。本数は必要に応じて適宜変更される。第2の枠420においては、四角枠の対向する2辺間に複数の第2の平行導線421が張られている。本数は必要に応じて適宜変更される。
乾燥対象装置401を挟んだ状態となる使用状態では、第1の平行導線411と第2の平行導線421とは互いにねじれの関係の位置にあることになる。本実施形態では、第1の平行導線411と第2の平行導線421とは直交的にねじれの状態であるが、直交以外の角度をもってねじれの状態となる構成であっても良い。第1の平行導線411、第2の平行導線421は、ピーンと張った状態で設けられても良いし、枠内において撓むように長めに設けられ、乾燥対象物401を包み込むようになっていても良い。
【0052】
図14は、図13に示したセンサを備えるセンサ部110の測定状態を示す斜視図である。第1の平行導線411の1本が第1の導線411Aとされる。第1の導線411Aは、乾燥対象物401の第1の面502に測定時に接触して設けられる。第1の平行導線411の他の1本が第2の導線411Bとされる。第2の導線411Bは、上記第1の導線411Aと平行であって、上記乾燥対象物401の前記第1の面502に測定時に接触して設けられる。
第3の導線421Aは、第2の平行導線421の1本である。第3の導線421Aは、上記第1の導線411Aと上記第2の導線411Bに対しねじれの関係の位置に設けられ、測定時に上記乾燥対象物401の、上記第1の面502と対向する第2の面503に接触して設けられる。
【0053】
測定部430は、図1の電極を除く、センサ部110と同様の構成を有しており、第1の導線411Aを電極11として機能させ、第2の導線411Bを電極12として機能させ、第3の導線421Aを電極13A、13Bとして機能させる。即ち、測定時に前記第1の導線411Aに電流を流すと、この電流が第1の導線から第1の面502へ到り、前記第1の面502との接触部から前記乾燥対象物401の内部へ致り、前記第2の面503の第3の導線421Aへ向かい、第3の導線421Aを流れ、前記第2の面203との接触部から上記乾燥対象物401の内部へ致り、上記第1の面502に接触する第2の導線411Bへと流れる経路ができることを利用して、測定部430は、上記第1の導線411Aと上記第2導線411Bとに接続され、上記経路に電流を流してインピーダンスを測定する。つまり、電流は図14の矢印X1に示すように第1の導線411Aを流れ、次に矢印X2に示すように乾燥対象物401内を流れ、次に矢印X3に示すように第3の導線421Aを流れ、次に矢印X4に示すように乾燥対象物401内を流れ、更に矢印X5に示すように第2の導線411Bを流れて測定部430へ到る。
【0054】
上記第1の導線411Aと上記第2導線411Bとは、複数の第1の平行導線411中の所要の2本であるから、複数の第1の平行導線411の全ては測定部430に接続され、上記のように電流を流してインピーダンスの測定を行う場合に用いられる。
図14を用いて、第3の導線421Aの候補の第2の平行導線421に対する絶縁予防策を説明する。ところで、第3の導線421Aとなる候補の第2の平行導線421は、図14に示すように第3の導線421Aよりも遠い側或いは近い側に存在する。この場合に、第3の導線421Aとなる候補の第2の平行導線421が乾燥対象物401に接触した状態となると、第3の導線421Aと同様に電流が流れる経路となる。これを防ぐために、第3の導線421Aとなる候補の第2の平行導線421と第1の導線411Aがねじれの関係で交差する位置であって、第2の平行導線421が乾燥対象物401に接触する側に絶縁体320を設ける。同様に、第3の導線421Aとなる候補の第2の平行導線421と第2の導線411Bがねじれの関係で交差する位置であって、第2の平行導線421が乾燥対象物401に接触する側に絶縁体320を設ける。
同様に、第1の導線411Aや第2の導線411Bが不要な位置で乾燥対象物401に接触しないように、第1の導線411Aや第2の導線411Bの所定位置であって、第1の導線411Aや第2の導線411Bが乾燥対象物401に接触する側に絶縁体330を設ける。このように本実施形態では、前記電流の流れる経路以外の電流の流れを阻止する絶縁体320、330が、前記第1の導線411Aと前記第2の導線411B及び/または第3の導電体421Aの所要位置に設けられている。以上図14で説明した電流の流れる経路の構成が、第1の枠410の複数の第1の平行導線411と第2の平行導線421によって構成される本実施形態のセンサの所望の位置にいくつか作成される。
【0055】
本発明に係る複数の実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示するものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0056】
なお、以上の実施形態では、前記中間期間以前において得られる測定されたインピーダンスに基づき、中間期間と前記最終期間との境界までの第1乾燥予測曲線と、前記境界以降の第2乾燥予測曲線とを予測するものを説明したが、最初の乾燥期間である初期乾燥期間に測定を行って初期乾燥期間の乾燥曲線を求め、この初期乾燥期間の乾燥曲線の傾きを何倍か(例えば、2倍)し、中間期間の曲線を予測するようにしても良い。更に、中間期間より先の期間の乾燥曲線を上記初期乾燥期間の乾燥曲線或いは予測した中間期間の乾燥曲線の傾きを何倍かする手法により予測するようにしても良い。
【符号の説明】
【0057】
11・・・第1の電極、12・・・第2の電極、13A・・・第3の電極、13B・・・第4の電極、20・・・センサ、21・・・乾燥対象物、31・・・電池、32・・・電源スイッチ、33・・・抵抗、40・・・出力制御部、41・・・アンプ、42・・・AD変換部、51・・・予測手段、52・・・場所環境情報取得手段、53・・・周辺環境情報取得手段、54・・・特性変化検出手段、55・・・対応情報テーブル、56・・・変化態様検出手段、57・・・制御手段、61・・・ペア電極、61A、61B・・・電極、100・・・乾燥予測装置、110・・・センサ部、120・・・本体部、122・・・マウス、123・・・外部記憶装置、124・・・入力装置、125・・・表示装置、130・・・周辺機器、140・・・情報提供装置、151・・・主メモリ、153・・・外部記憶インタフェース、154・・・入力インタフェース、155・・・表示インタフェース、156・・・通信インタフェース、160・・・携帯通信端末、800・・・乾燥管理システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14