(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-10
(45)【発行日】2023-01-18
(54)【発明の名称】静電容量式液面センサおよび液体センサアセンブリ
(51)【国際特許分類】
G01F 23/263 20220101AFI20230111BHJP
【FI】
G01F23/263
(21)【出願番号】P 2021533538
(86)(22)【出願日】2019-12-12
(86)【国際出願番号】 GB2019053524
(87)【国際公開番号】W WO2020120971
(87)【国際公開日】2020-06-18
【審査請求日】2021-07-19
(32)【優先日】2018-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】597100826
【氏名又は名称】チャールズ・オーステン・パンプス・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】CHARLES AUSTEN PUMPS LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】ホ, キング
(72)【発明者】
【氏名】シェパード, ウィリアム, イー.
【審査官】岡田 卓弥
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2013/118281(WO,A1)
【文献】特表2008-524618(JP,A)
【文献】特開2006-105953(JP,A)
【文献】特開2004-347331(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第1400787(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01F23/00-23/80
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
静電容量式液面センサであって、前記センサが、使用中に最下端となる末端まで延びる自由垂下部分を有する舌部の形態のセンサ本体と、前記舌部に沿って前記末端に向かって延びる互いに離間した一組の容量電極とを備え、使用中に、前記舌部の前記末端が液体に浸漬されると、前記電極間の静電容量が前記液体の深さに応じて変化し、
前記舌部の幅が、前記末端に向か
って増加することにより、前記舌部の前記自由垂下部分の下半分の少なくとも一部に
おい
て前記舌部の前記自由垂下部分の最も広い部分を形成しており、前記電極が、前記舌部の前記自由垂下部分の前記最も広い部分の手前で終端している、静電容量式液面センサ。
【請求項2】
前記舌部が平坦である、請求項1に記載の静電容量式液面センサ。
【請求項3】
前記舌部がプリント回路基板である、請求項1または2に記載の静電容量式液面センサ。
【請求項4】
前記舌部が、末端部とは反対側の端部に、前記舌部を取り付けることができる接続部分を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の静電容量式液面センサ。
【請求項5】
前記接続部分に電気接点が設けられている、請求項
4に記載の静電容量式液面センサ。
【請求項6】
前記舌部が側板によって囲ま
れる、請求項1~5のいずれか一項に記載の静電容量式液面センサ。
【請求項7】
液体センサアセンブリであって、前記アセンブリが、請求項1~6のいずれか一項に記載の静電容量式液面センサを備え、前記センサが、使用中に最下端となる末端まで延びる自由垂下部分を有する舌部の形態のセンサ本体と、前記舌部に沿って前記末端に向かって延びる互いに離間した一対の容量電極とを備え、使用中に、前記舌部の前記末端が液体に浸漬されると、前記電極間の静電容量が前記液体の深さに応じて変化し、
前記アセンブリが、前記センサの前記舌部を囲むハウジングをさらに備え、前記センサと前記ハウジングとの間の隙間が、前記舌部の前記自由垂下部分の下半分の少なくとも一部に
おいて下方
に向
かって減少している、液体センサアセンブリ。
【請求項8】
前記ハウジングが、タンクおよび/または蓋の一部によって設けられている、請求項7に記載の液体センサアセンブリ。
【請求項9】
前記センサと前記ハウジングとの間の前記隙間が、最も狭い部分において6mm以下である、請求項7または8に記載の液体センサアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電容量式液面センサおよび液体センサアセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
センサは、特に、タンク内の凝縮液のレベルを測定するように設計されている。しかしながら、センサは、液体のレベルを測定する必要がある他の状況での用途を有する。
【0003】
凝縮液タンクは、空調機、除湿機、冷蔵庫、凝縮ボイラなどに広く使用されている。それらは、典型的には、主器具から凝縮水を受け取るためにタンクの下に配置される。
【0004】
凝縮液がタンク内に集まり、レベルが上限閾値を超えて上昇すると、センサは信号を発し、信号はコントローラによって解釈され、コントローラは次に、タンクを排水するためにポンプを作動させる。ポンプは、レベルが下限閾値を下回ると停止される。ポンプの摩耗、電力消費、およびノイズを低減するために、閾値条件の正確な測定が必要である。
【0005】
従来、フロートセンサは、閾値レベルを検出するために使用されてきた。しかしながら、フロートセンサは嵩張り、粘着しやすい。したがって、本発明者らは、サーミスタベースのセンサを使用した。
【0006】
これによりフロートセンサの問題のいくつかが解決されるという事実にもかかわらず、依然としていくつかの欠点がある。センサはまだ比較的嵩張り、比較的高いレベルの電力を必要とする。
【0007】
したがって、本発明者らは、より小さく、より少ない電力しか必要としない静電容量センサを開発している。さらに、オン/オフスイッチをトリガすることによって閾値に達したときを単に検出するフロートセンサおよびサーミスタセンサとは異なり、静電容量センサは、様々なレベルに敏感である。したがって、静電容量センサは、レベル間の充填率の追跡を可能にし、様々な異なるレベルで警報を提供する可能性を可能にする。
【0008】
タンク内の凝縮液レベルが低下すると、凝縮液のポケットは毛細管現象によって凝縮液の塊から分離する傾向があり、静電容量センサと周囲の機械部品との間の隙間に保持される。液体のポケットはサイズが一貫しておらず、予測不可能である。この結果、センサ読み取り値が不正確になる。例えば、保持された液体の存在により、液体の塊が下限閾値より下に低下した場合でも液体が存在し続けることを示す信号をセンサが記録する場合がある。この結果、ポンプが不必要に作動する。一方、閉じ込められた液体が存在する間にセンサが較正される場合、これにより、センサは、液面がそれよりも低いことを後で報告することになり得、この場合、ポンプはすぐに停止する。
【0009】
この問題に対処する1つの方法は、センサを周囲の機械部品から離すことである。しかし、ほとんどの用途では、収集タンクのサイズを小さくして、収集タンクを狭い空間に収めることを可能にする商業的インセンティブがある。したがって、センサ自体が小型である必要があるだけでなく、タンク壁、ブラケットまたは保護側板などの他の部品に近接して設置される必要もある。
【0010】
タンクを完全に空にすることは、雑音が多く非効率的な液体と空気の混合物を通過させてポンプを作動させる必要があるために望ましくないため、収集タンク内には下限閾値を下回るレベルで常にいくらかの水が保持されている。
【0011】
しかしながら、より小さいタンクでは、この保持された水の体積は、総タンク体積の割合として比例して大きくなり、それによって不正確な測定の問題を悪化させる。付着水の問題は、センサと隣接する部品との間の隙間が6mm以下である場合に発生することが分かった。したがって、センサが周囲の機械部品から6mm以内にあることを可能にしながら、付着水の問題に対処することができる解決策が必要とされる。
【発明の概要】
【0012】
本発明によれば、請求項1に記載の静電容量式液面センサが提供される。
【0013】
センサが周囲部分に近接して配置される場合、一般に垂直壁がある。したがって、舌部の下方向の幅が増加すると、下方向に狭くなる隙間が生じる。液体の液面が低下するにつれて、この隙間内に残っている液体は、この隙間の最も狭い部分に下方へ、また毛細管作用の影響を受けて、引っ張られる傾向がある。したがって、閉じ込められた液体は、舌部の長さに沿った制御不可能な位置に閉じ込められるのではなく、より良好に規定された制御可能な位置に収集される。
【0014】
センサは、電極が舌部の自由垂下部分の最も広い部分の手前で終端するように構成される。このような構成では、閉じ込められた液体を、レベル検知と干渉しないように、電極の端部の下にある位置に引き込むことができる。さらに、センサは、閉じ込められた液体が液体の塊に引き込まれるように、センサの最も広い部分がセンサが配置されているタンクの下限閾値を下回るように配置されてもよい。
【0015】
舌部は、円錐形または他の「三次元」形状を有してもよく、一次元または二次元のいずれかの増加する幅を有してもよい。しかしながら、好ましくは、舌部は平坦である。このような平坦な構造は、周囲の構造に近接する舌部の表面積の量を減少させる。好ましくは、舌部はプリント回路基板(PCB)である。これにより、電極をPCBに取り付けることができ、センサに必要な他のすべての電気接続を、PCB製造の低コスト大量生産技術を利用する方法で行うことができる。PCBは、センサに必要な電子回路を好都合に支持することができる。さらに、PCBは、典型的には、機械的に堅牢であり、水分を吸収しないガラス繊維で作られる。
【0016】
舌部は、例えば、周囲の構造に接着されることによって取り付けられてもよい。しかしながら、好ましくは、舌部は、遠位端部とは反対側の端部に、舌部を取り付けることができる接続部分を有する。好ましくは、舌部を容易に取り付けることを可能にし、センサに必要な要素を簡単に取り付ける方法を提供し、かつセンサに必要な要素に容易な接続を提供する方法でPCBと連携して取り付けるために、接続部分には電気接点が設けられている。
【0017】
センサは、比較的小さな空間で使用することができるため、舌部が側板によって囲まれている場合の使用に適している。これは、センサ本体に機械的保護を提供する。例えば、舌部と最も近い隣接する構成要素との間の最小隙間が6mm未満である場合に、センサを使用することができる。
【0018】
本発明の第2の態様によれば、請求項7に記載の液体センサアセンブリが提供される。これは、液体が低下するにつれて隙間が狭くなることに関して上述した利点を提供する。この狭くなる隙間は、ハウジングの傾斜部を有することによって設けられていてもよいし、ハウジングに対してセンサを傾斜させることによって設けられていてもよい。しかしながら、好ましくは、減少する隙間は、請求項1に記載のセンサによって提供される。
【0019】
ハウジングには側板が設けられてもよいが、ハウジングはまた、タンクおよび/または蓋の一部であり得る。
【0020】
センサとハウジングとの隙間は、最も狭い部分において6mm以下であることが好ましい。
【0021】
次に、本発明によるセンサの一例を、添付の図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】スケール用の定規を伴うセンサの平面図である。
【
図2】センサを含むアセンブリの部分概略図である。
【
図3】本発明によるセンサおよび周囲ハウジングの正面図である。
【
図4】
図3との比較として、本発明によらないセンサを示す
図3と同様の図である。
【
図5】
図3との比較として、本発明によらないセンサを示す
図3と同様の別の図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1および
図2に示すセンサは、平坦なプリント回路基板上に形成されている。しかしながら、センサは、平坦であろうとなかろうと他の基板上に形成され得る。
【0024】
センサ1は、大別すると、センサ1が周囲のハウジングに取り付けられる取り付け部2と、取り付け部から下方に垂下する垂下部3とに分けられる。
図2から明らかなように、取り付け部2は、センサ1の上部に回路を収容して封止する円筒状のオーバーモールドの形態である。取り付け部は、周囲のマウントとの圧縮嵌合を提供することができるようにエラストマーから形成される。図に見られるように、取り付け部分2の直下の垂下部分の狭窄部分を表す明確に形成されたネック4がある。垂下部分の長さの大部分について幅がわずかに増加する主要部分5が首部から延びている。主要部分5は、末端6で終端し、末端は、ここでは半円形構成を有するように示されているが、同様に平坦であり得、主要部分のテーパは、末端までずっと延びる。あるいは、末端は、尖った構成または凹んだ構成などの任意の他の構成を有してもよい。
【0025】
一組の電極7は、主要部分5に沿って延び、任意選択的に、主要部分5のテーパに従って互いに分岐する。電極は、遠位端部から始まる垂下部分に沿った経路の約4分の1の位置で末端6の十分に手前で終端する。以下、この効果について説明する。
【0026】
電極7は、導電トラック8によって取り付け部分2に接続されている。導電トラックは、取り付け部分2につながり、取り付け部分は、センサに必要とされる必要な回路9を備えるとともに、センサに電力およびセンサからの信号を送信するための電気コネクタ10を備える。また、取り付けられたケーブルに張力緩和を提供するための穴11が設けられている。
【0027】
上述のようなセンサ1は、
図2に示すようにタンク内に取り付けられる。タンクは、本体20と、蓋21とを備え、蓋21から側板22が延びる。
【0028】
センサ1は、蓋21に取り付けられ、垂下部分3が蓋から下方に垂下し、末端は、タンクの底部に保持された水体Wに浸漬されて示されている。電極7間の静電容量は、水体Wに対するセンサ1の浸漬の深さに応じて変化する。
【0029】
実際、タンクの正確な性質は本発明にとって重要ではなく、本発明の重要な特徴の1つは、センサを多くの種類の既存のタンクに後付けできることである。この理由を以下に示す。
【0030】
本発明によって提供される技術的効果は、
図3と
図4および
図5との比較から理解されよう。
図3は、センサ1の幅が遠位端部に向かって下方向に増加するため、本発明によるものである。これが平行な側面を有する熱側板22内に配置されると、センサ1の両側に下方向に幅が減少する隙間23が形成される。この毛管力の結果として、液体は隙間23の最も狭い部分24に向かって流れ落ちる。
【0031】
図2は、タンク内の最も低い閾値に対応する位置にある液体Wを示す。このレベルは、液体を再結合することができるように、
図3の閉じ込められた液体のレベルとほぼ同じであることが理解されよう。タンク内の液体のレベルを有する最も高い閾値は、
図3の線Xによって示されている。
【0032】
対照的に、
図4は、本発明によって必要とされる反対の意味でセンサを先細にする効果である。いくつかの液滴Dが側板22の最下点に蓄積し、液体Lの膜が垂下部分3の両側に作り出される。このとき、毛管力は反対方向に作用しており、この液体を適所に保持する。
【0033】
同様に、垂下部分3および側板22の表面が平行である
図5では、液体は再び隙間26に蓄積する。
図4および
図5の両方において、電極10の近傍にかなりの量の望ましくない液体が存在し、これはセンサの読み取りと干渉する。対照的に、本発明は、この液体を電極から離れた明確に定義された位置に導くので、この液体は全く干渉しないか、またははるかに重要性が低く、はるかに予測可能な程度である。