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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-10
(45)【発行日】2023-01-18
(54)【発明の名称】増幅装置
(51)【国際特許分類】
   H03F 3/30 20060101AFI20230111BHJP
【FI】
H03F3/30
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018089266
(22)【出願日】2018-05-07
(65)【公開番号】P2019197944
(43)【公開日】2019-11-14
【審査請求日】2021-05-01
(73)【特許権者】
【識別番号】720009479
【氏名又は名称】オンキヨー株式会社
(72)【発明者】
【氏名】吉田 誠
【審査官】竹内 亨
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-217949(JP,A)
【文献】実開昭57-048718(JP,U)
【文献】特開平02-079604(JP,A)
【文献】米国特許第05589798(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0115465(US,A1)
【文献】特表2013-519327(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03F 1/00-3/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力される信号を増幅するプッシュプル回路と、
前記プッシュプル回路により増幅された信号が入力され、出力端子に前記プッシュプル回路の出力端子が接続されたダイヤモンドバッファ回路と、
電源と前記ダイヤモンドバッファ回路とに接続され、前記プッシュプル回路の引き込み電流端子に接続されたカレントミラー回路と、
を備えることを特徴とする増幅装置。
【請求項2】
前記カレントミラー回路は、
正側の電源と前記ダイヤモンドバッファ回路とに接続され、前記プッシュプル回路の正側の引き込み電流端子に接続された第1カレントミラー回路と、
負側の電源と前記ダイヤモンドバッファ回路とに接続され、前記プッシュプル回路の負側の引き込み電流端子に接続された第2カレントミラー回路と、を有することを特徴とする請求項1に記載の増幅装置。
【請求項3】
前記ダイヤモンドバッファ回路は、
コレクタが、正側の電源に接続され、
エミッタが、第1抵抗を介して、負荷に接続され、
ベースが、第4抵抗を介して、第3バイポーラトランジスタのエミッタに接続された、npn型の第1バイポーラトランジスタと、
コレクタが、負側の電源に接続され、
エミッタが、第2抵抗を介して、前記負荷に接続され、
ベースが、第5抵抗を介して、第4バイポーラトランジスタのエミッタに接続された、pnp型の第2バイポーラトランジスタと、
コレクタが、負側の電源に接続され、
エミッタが、前記第4抵抗を介して、前記第1バイポーラトランジスタのベースと、前記第1カレントミラー回路と、に接続され、
ベースが、前記プッシュプル回路の出力に接続された、pnp型の前記第3バイポーラトランジスタと、
コレクタが、正側の電源に接続され、
エミッタが、前記第5抵抗を介して、前記第2バイポーラトランジスタのベースと、前記第2カレントミラー回路と、に接続され、
ベースが、前記プッシュプル回路の出力に接続された、npn型の前記第4バイポーラトランジスタと、を有し、
出力端子は、前記第1抵抗と前記第2抵抗との接続点であることを特徴とする請求項2に記載の増幅装置。
【請求項4】
前記第1カレントミラー回路は、
コレクタが、前記ダイヤモンドバッファ回路に接続され、
エミッタが、第13抵抗を介して、正側の電源に接続され、
ベースが、第6バイポーラトランジスタのベースとコレクタとに接続された、pnp型の第5バイポーラトランジスタと、
コレクタが、ベースと、前記プッシュプル回路の正側の引き込み電流端子と、前記第5
バイポーラトランジスタのベースと、に接続され、
エミッタが、第12抵抗を介して、正側の電源に接続され、
ベースが、コレクタと、前記第5バイポーラトランジスタのベースと、に接続された、pnp型の前記第6バイポーラトランジスタと、を有し、
前記第2カレントミラー回路は、
コレクタが、前記ダイヤモンドバッファ回路に接続され、
エミッタが、第15抵抗を介して、負側の電源に接続され、
ベースが、第8バイポーラトランジスタのベースとコレクタとに接続された、npn型の第7バイポーラトランジスタと、
コレクタが、ベースと、前記プッシュプル回路の負側の引き込み電流端子と、前記第7バイポーラトランジスタのベースと、に接続され、
エミッタが、第14抵抗を介して、負側の電源に接続され、
ベースが、コレクタと、前記第7バイポーラトランジスタのベースと、に接続された、npn型の前記第8バイポーラトランジスタと、を有することを特徴とする請求項2又は3に記載の増幅装置。
【請求項5】
前記プッシュプル回路は、
ベースが、第7抵抗と第1ダイオードとの間に接続され、
コレクタが、前記第1カレントミラー回路に接続された、正側の引き込み電流端子であり、
エミッタが、第9抵抗を介して、前記ダイヤモンドバッファ回路の入力に接続された、npn型の第9バイポーラトランジスタと、
ベースが、第8抵抗と第2ダイオードとの間に接続され、
コレクタが、前記第2カレントミラー回路に接続された、負側の引き込み電流端子であり、
エミッタが、第10抵抗を介して、前記ダイヤモンドバッファ回路の入力に接続された、pnp型の第10バイポーラトランジスタと、
前記第1ダイオードと入力との間に接続された第16抵抗と、
前記第2ダイオードと入力との間に接続された第17抵抗と、
を有し、
出力端子は、前記第9抵抗と前記第10抵抗との接続点であることを特徴とする請求項2~4のいずれか1項に記載の増幅装置。
【請求項6】
入力される信号を増幅するオペアンプをさらに備え、
前記オペアンプの負側の入力端子に、第11抵抗を介して、信号が入力され、
前記オペアンプの正側の入力端子が、基準電位に接続され、
前記オペアンプの出力端子が、前記プッシュプル回路の入力に接続され、
負荷と前記オペアンプの負側の入力端子との間に第6抵抗が接続されていることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の増幅装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、信号を増幅する増幅装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図9は、ダイヤモンドバッファと呼ばれている回路の構成を示す図である(例えば、特許文献1の図5参照。)。図9に示すように、ダイヤモンドバッファ回路は、バイポーラトランジスタQ101~Q104、抵抗R101、R102、R104~R107を有する。R103は、負荷である。ダイヤモンドバッファ回路において、出力段ベース側のバイアス電流は、抵抗R106、R104を流れている。出力電圧が上昇し、負荷R103に流れる電流が増加したとき、バイポーラトランジスタQ101の出力電流が増え、ベース電流も増える。このため、バイアス電流は、これを供給するのに、十分な電流が望まれる。しかしながら、ベース側のバイアス電流は、これに反して減少する(図10参照。)。その理由は、入力電圧が上昇すると、バイポーラトランジスタQ103のベース電圧が上昇する。これに伴い、エミッタの電位が上昇し、+VCCとの電位差が小さくなる。バイアス電流は、バイポーラトランジスタQ103のエミッタ電位と+VCCの電位差と抵抗R104の値で決まる。このため、出力の振幅が大きければ大きいほど、減少が顕著になる。なお、図10において、上のグラフは、バイアス電流を示し、真ん中のグラフは、負荷電流を示し、下のグラフは、出力電圧を示している。
【0003】
図11は、上記した問題を解決した回路の構成を示す図である。図9と比較して、バイポーラトランジスタQ105、Q106、抵抗R106~R108、ダイオードD101~D104が追加されている。ダイオードD101、D103、抵抗R106、バイポーラトランジスタQ105は、定電流回路(定電流源)を構成している。また、ダイオードD102、D104、抵抗R107、バイポーラトランジスタQ106は、定電流回路(定電流源)を構成している。定電流回路により、バイアス電流の減少を抑えている。すなわち、予めバイアス電流を定電流で流し、その電流をベース電流に当てる。この場合、瞬間的な電流が必要になったときも、定電流であり、決められた電流以上を供給することができない(図12参照。)。また、十分な電流を供給するためには、無負荷時も常に予め負荷に対応できるだけの電流を流しておく必要があり、損失が多い。なお、図12において、上のグラフは、バイアス電流を示し、真ん中のグラフは、負荷電流を示し、下のグラフは、出力電圧を示している。
【0004】
図13は、出願人が特許出願した特願2017-241395号に係る増幅装置の回路構成を示す図である。図13に示すように、増幅装置201は、オペアンプU201と、ダイヤモンドバッファ回路202と、カレントミラー回路203、204と、を備える。カレントミラー回路203は、正側の電源V201(+VCC)とダイヤモンドバッファ回路202とに接続されている。また、カレントミラー回路203は、オペアンプU201の正側の電源端子に接続されている。ここで、オペアンプU201の電源電流は、入力信号に相似している。従って、入力信号が大きいときは、オペアンプU201の電源電流が大きくなる。このため、バイポーラトランジスタQ206に流れる電流が大きくなり、バイポーラトランジスタQ205に流れる電流も大きくなる。これにより、抵抗R213を流れるバイアス電流が大きくなり、バイポーラトランジスタQ201のベースに十分な電流を流すことができるため、無信号時のバイアス電流が小さくても、歪特性が悪化することがない。
【0005】
また、入力信号が小さいときは、オペアンプU201の電源電流が小さくなり、カレントミラー回路203により、抵抗R213を流れるバイアス電流が小さくなる。これにより、エネルギー消費が大きくなることがない。
【0006】
負側においても、カレントミラー回路204は、負側の電源V202(-VCC)とダイヤモンドバッファ回路202とに接続されている。また、カレントミラー回路203は、オペアンプU201の負側の電源端子に接続されている。このため、正側と同様の動きが発生する。
【0007】
図14は、負荷電流等を示すグラフである。上のグラフは、抵抗R213に流れるバイアス電流を示している。真ん中のグラフは、負荷R203に流れる出力負荷電流を示している。下のグラフは、出力電圧を示している。図14に示すように、負荷電流が増加すると、バイアス電流も増加している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2011-182173号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、図13に示す発明は、オペアンプの電源電流に依存しているため、1回路入りのオペアンプでしか実現できない。また、内部のオペアンプの回路構成上、電源電流が出力電流に比例していない場合、効果が発揮しづらい。
【0010】
本発明の目的は、オペアンプの種類に依存せずに、アイドリング時のエネルギー消費を小さくしつつ、歪特性を悪化させない増幅装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
第1の発明の増幅装置は、入力される信号を増幅するプッシュプル回路と、前記プッシュプル回路により増幅された信号が入力されるダイヤモンドバッファ回路と、電源と前記ダイヤモンドバッファ回路とに接続され、前記プッシュプル回路の引き込み電流端子に接続されたカレントミラー回路と、を備えることを特徴とする。
【0012】
本発明では、カレントミラー回路は、プッシュプル回路の引き込み電流端子に接続されている。これにより、入力信号が大きいときは、プッシュプル回路の引き込み電流が大きくなるため、カレントミラー回路により、ダイヤモンドバッファ回路に流れるバイアス電流が大きくなる。これにより、十分なバイアス電流を流すことができるため、歪特性が悪化することがない。
【0013】
また、入力信号が小さいときは、プッシュプル回路の引き込み電流が小さくなるため、カレントミラー回路により、ダイヤモンドバッファ回路に流れるバイアス電流が小さくなる。これにより、エネルギー消費が大きくなることがない。
【0014】
このように、本発明によれば、オペアンプの種類に依存せずに、アイドリング時のエネルギー消費が大きくなることなく、歪特性が悪化することがない増幅装置を提供することができる。
【0015】
第2の発明の増幅装置は、第1の発明の増幅装置において、前記カレントミラー回路は、正側の電源と前記ダイヤモンドバッファ回路とに接続され、前記プッシュプル回路の正側の引き込み電流端子に接続された第1カレントミラー回路と、負側の電源と前記ダイヤモンドバッファ回路とに接続され、前記プッシュプル回路の負側の引き込み電流端子に接続された第2カレントミラー回路と、を有することを特徴とする。
【0016】
第3の発明の増幅装置は、第2の発明の増幅装置において、前記ダイヤモンドバッファ回路は、コレクタが、正側の電源に接続され、エミッタが、第1抵抗を介して、負荷に接続され、ベースが、第4抵抗を介して、第3バイポーラトランジスタのエミッタに接続された、npn型の第1バイポーラトランジスタと、コレクタが、負側の電源に接続され、エミッタが、第2抵抗を介して、前記負荷に接続され、ベースが、第5抵抗を介して、第4バイポーラトランジスタのエミッタに接続された、pnp型の第2バイポーラトランジスタと、コレクタが、負側の電源に接続され、エミッタが、前記第4抵抗を介して、前記第1バイポーラトランジスタのベースと、前記第1カレントミラー回路と、に接続され、ベースが、前記プッシュプル回路の出力に接続された、pnp型の前記第3バイポーラトランジスタと、コレクタが、正側の電源に接続され、エミッタが、前記第5抵抗を介して、前記第2バイポーラトランジスタのベースと、前記第2カレントミラー回路と、に接続され、ベースが、前記プッシュプル回路の出力に接続された、npn型の前記第4バイポーラトランジスタと、を有することを特徴とする。
【0017】
第4の発明の増幅装置は、第2又は第3の発明の増幅装置において、前記第1カレントミラー回路は、コレクタが、前記ダイヤモンドバッファ回路に接続され、エミッタが、第13抵抗を介して、正側の電源に接続され、ベースが、第6バイポーラトランジスタのベースとコレクタとに接続された、pnp型の第5バイポーラトランジスタと、コレクタが、ベースと、前記プッシュプル回路の正側の引き込み電流端子と、前記第5バイポーラトランジスタのベースと、に接続され、エミッタが、第12抵抗を介して、正側の電源に接続され、ベースが、コレクタと、前記第5バイポーラトランジスタのベースと、に接続された、pnp型の前記第6バイポーラトランジスタと、を有し、前記第2カレントミラー回路は、コレクタが、前記ダイヤモンドバッファ回路に接続され、エミッタが、第15抵抗を介して、負側の電源に接続され、ベースが、第8バイポーラトランジスタのベースとコレクタとに接続された、npn型の第7バイポーラトランジスタと、コレクタが、ベースと、前記プッシュプル回路の負側の引き込み電流端子と、前記第7バイポーラトランジスタのベースと、に接続され、エミッタが、第14抵抗を介して、負側の電源に接続され、ベースが、コレクタと、前記第7バイポーラトランジスタのベースと、に接続された、npn型の前記第8バイポーラトランジスタと、を有することを特徴とする。
【0018】
第5の発明の増幅装置は、第2~第4のいずれかの発明の増幅装置において、前記プッシュプル回路は、ベースが、第7抵抗と第1ダイオードとの間に接続され、コレクタが、前記第1カレントミラー回路に接続された、正側の引き込み電流端子であり、エミッタが、第9抵抗を介して、前記ダイヤモンドバッファ回路の入力に接続された、npn型の第9バイポーラトランジスタと、ベースが、第8抵抗と第2ダイオードとの間に接続され、コレクタが、前記第2カレントミラー回路に接続された、負側の引き込み電流端子であり、エミッタが、第10抵抗を介して、前記ダイヤモンドバッファ回路の入力に接続された、pnp型の第10バイポーラトランジスタと、前記第1ダイオードと入力との間に接続された第16抵抗と、前記第2ダイオードと入力との間に接続された第17抵抗と、を有することを特徴とする。
【0019】
第6の発明の増幅装置は、第1~第5のいずれかの発明の増幅装置において、入力される信号を増幅するオペアンプをさらに備え、前記オペアンプの負側の入力端子に、第11抵抗を介して、信号が入力され、前記オペアンプの正側の入力端子が、基準電位に接続され、前記オペアンプの出力端子が、前記プッシュプル回路の入力に接続され、負荷と前記オペアンプの負側の入力端子との間に第6抵抗が接続されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、オペアンプの種類に依存せずに、エネルギー消費が大きくなることなく、歪特性が悪化することがない増幅装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の実施形態に係る増幅装置の回路構成を示す図である。
図2】本発明の実施形態に係る増幅装置の回路構成を示す図である。
図3】従来のダイヤモンドバッファ回路を用いた増幅装置の回路構成を示す図である。
図4】特願2017-241395号に係る増幅装置の回路構成を示す図である。
図5】本発明の実施形態に係る増幅装置の回路構成を示す図である。
図6】従来の増幅装置での立ち上がりを示した図である。
図7】特願2017-241395号に係る増幅装置での立ち上がりを示す図である。
図8】本発明の実施形態に係る増幅装置での立ち上がりを示した図である。
図9】ダイヤモンドバッファ回路の構成を示す図である。
図10】負荷に流れる電流等を示すグラフである。
図11】ダイヤモンドバッファ回路を改良した回路の構成を示す図である。
図12】負荷に流れる電流等を示すグラフである。
図13】特願2017-241395号に係る増幅装置の回路構成を示す図である
図14】負荷に流れる電流等を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態について説明する。図1は、本発明の実施形態に係る増幅装置の回路構成を示す図である。図1に示すように、増幅装置1は、オペアンプU1と、ダイヤモンドバッファ回路2と、カレントミラー回路3、4と、プッシュプル回路5と、を備える。
【0023】
オペアンプU1は、入力される信号を増幅する。オペアンプU1の負側の入力端子に、信号が入力される。また、オペアンプU1の負側の入力端子には、抵抗R11(第11抵抗)が接続されている。オペアンプU1の正側の入力端子は、基準電位(グラウンド)に接続されている。オペアンプU1の出力端子は、プッシュプル回路5の入力に接続されている。負荷R3と、負側の入力端子と、の間に、抵抗R6(第6抵抗)が接続されている。すなわち、オペアンプU1と抵抗R6、R11とにより、反転増幅回路が構成されている。
【0024】
プッシュプル回路5には、オペアンプU1からの信号が入力される。プッシュプル回路5は、入力される信号を増幅する。プッシュプル回路5は、バイポーラトランジスタQ9、Q10、抵抗R7~R10、R16、R17、ダイオードD1、D2を有する。
【0025】
バイポーラトランジスタQ9(第9バイポーラトランジスタ)は、npn型のバイポーラトランジスタである。バイポーラトランジスタQ9のベースは、抵抗R7(第7抵抗)とダイオードD1(第1ダイオード)との間に接続されている。バイポーラトランジスタQ9のコレクタは、カレントミラー回路3(バイポーラトランジスタQ6のコレクタ)に接続された、正側の引き込み電流端子である。バイポーラトランジスタQ9のエミッタは、抵抗R9(第9抵抗)を介して、ダイヤモンドバッファ回路2の入力(バイポーラトランジスタQ3、Q4のベース)に接続されている。
【0026】
バイポーラトランジスタQ10(第10バイポーラトランジスタ)は、pnp型のバイポーラトランジスタである。バイポーラトランジスタQ10のベースは、抵抗R8(第8抵抗)とダイオードD2(第2ダイオード)との間に接続されている。バイポーラトランジスタQ10のコレクタは、カレントミラー回路4(バイポーラトランジスタQ8のコレクタ)に接続された、負側の引き込み電流端子である。バイポーラトランジスタQ10のエミッタは、抵抗R10(第10抵抗)を介して、ダイヤモンドバッファ回路2の入力(バイポーラトランジスタQ3、Q4のベース)に接続されている。
【0027】
抵抗R7は、正側の電源V1(+VCC)に接続されている。ダイオードD1は、抵抗R7と抵抗R16とに接続されている。抵抗R8は、負側の電源V2(-VCC)に接続されている。ダイオードD2は、抵抗R8と抵抗R17とに接続されている。抵抗R16(第16抵抗)は、ダイオードD1と入力(オペアンプU1の出力端子)との間に接続されている。抵抗R17(第17抵抗)は、ダイオードD2と入力(オペアンプU1の出力端子)との間に接続されている。
【0028】
ダイヤモンドバッファ回路2には、プッシュプル回路5により増幅された信号が入力される。ダイヤモンドバッファ回路2は、バイポーラトランジスタQ1~Q4、抵抗R1、R2、R4、R5を有する。バイポーラトランジスタQ1(第1バイポーラトランジスタ)は、npn型のバイポーラトランジスタである。バイポーラトランジスタQ1のコレクタは、正側の電源V1(+VCC)に接続されている。バイポーラトランジスタQ1のエミッタは、抵抗R1(第1抵抗)を介して、負荷R3に接続されている。バイポーラトランジスタQ1のベースは、抵抗R4(第4抵抗)を介して、パイポーラトランジスタQ3のエミッタに接続されている。
【0029】
バイポーラトランジスタQ2(第2バイポーラトランジスタ)は、pnp型のバイポーラトランジスタである。バイポーラトランジスタQ2(第2バイポーラトランジスタ)のコレクタは、負側の電源V2(-VCC)に接続されている。バイポーラトランジスタQ2のエミッタは、抵抗R2(第2抵抗)を介して、負荷R3に接続されている。バイポーラトランジスタQ2のベースは、抵抗R5(第5抵抗)を介して、バイポーラトランジスタQ4のエミッタに接続されている。
【0030】
バイポーラトランジスタQ3(第3バイポーラトランジスタ)は、pnp型のバイポーラトランジスタである。バイポーラトランジスタQ3のコレクタは、負側の電源V2(-VCC)に接続されている。バイポーラトランジスタQ3のエミッタは、抵抗R4を介して、バイポーラトランジスタQ1のベースと、カレントミラー回路3と、に接続されている。バイポーラトランジスタQ3のベースは、プッシュプル回路5の出力に接続されている。
【0031】
バイポーラトランジスタQ4(第4バイポーラトランジスタ)は、npn型のバイポーラトランジスタである。バイポーラトランジスタQ4のコレクタは、正側の電源V1(+VCC)に接続されている。バイポーラトランジスタQ4のエミッタが、抵抗R5を介して、バイポーラトランジスタQ2のベースと、カレントミラー回路4と、に接続されている。バイポーラトランジスタQ4のベースは、プッシュプル回路5の出力に接続されている。
【0032】
カレントミラー回路3(第1カレントミラー回路)は、正側の電源V1(+VCC)とダイヤモンドバッファ回路2とに接続されている。また、カレントミラー回路3は、プッシュプル回路5の正側の引き込み電流端子(バイポーラトランジスタQ9のコレクタ)に接続されている。カレントミラー回路3は、バイポーラトランジスタQ5、Q6と、抵抗R12、R13と、を有する。
【0033】
バイポーラトランジスタQ5(第5バイポーラトランジスタ)は、pnp型のバイポーラトランジスタである。バイポーラトランジスタQ5のコレクタは、ダイヤモンドバッファ回路2(抵抗R4)に接続されている。バイポーラトランジスタQ5のエミッタは、抵抗R13(第13抵抗)を介して、正側の電源V1(+VCC)に接続されている。バイポーラトランジスタQ5のベースは、バイポーラトランジスタQ6のベースとコレクタとに接続されている。
【0034】
バイポーラトランジスタQ6(第6バイポーラトランジスタ)は、pnp型のバイポーラトランジスタである。バイポーラトランジスタQ6のコレクタは、ベースと、プッシュプル回路5の正側の引き込み電流端子(バイポーラトランジスタQ9のコレクタ)と、バイポーラトランジスタQ5のベースと、に接続されている。バイポーラトランジスタQ6のエミッタは、抵抗R12(第12抵抗)を介して、正側の電源V1(+VCC)に接続されている。バイポーラトランジスタQ6のベースは、コレクタと、バイポーラトランジスタQ5のベースと、に接続されている。
【0035】
カレントミラー回路4(第2カレントミラー回路)は、負側の電源V2(-VCC)とダイヤモンドバッファ回路2とに接続されている。また、カレントミラー回路4は、プッシュプル回路5の負側の引き込み電流端子(バイポーラトランジスタQ10のコレクタ)に接続されている。カレントミラー回路4は、バイポーラトランジスタQ7、Q8と、抵抗R14、R15と、を有する。
【0036】
バイポーラトランジスタQ7(第7バイポーラトランジスタ)は、npn型のバイポーラトランジスタである。バイポーラトランジスタQ7のコレクタは、ダイヤモンドバッファ回路2(抵抗R5)に接続されている。バイポーラトランジスタQ7のエミッタは、抵抗R15(第15抵抗)を介して、負側の電源V2(-VCC)に接続されている。バイポーラトランジスタQ7のベースは、バイポーラトランジスタQ8のベースとコレクタとに接続されている。
【0037】
バイポーラトランジスタQ8(第8バイポーラトランジスタ)は、npn型のバイポーラトランジスタである。バイポーラトランジスタQ8のコレクタは、ベースと、プッシュプル回路5の負側の引き込み電流端子(バイポーラトランジスタQ10のコレクタ)と、バイポーラトランジスタQ7のベースと、に接続されている。バイポーラトランジスタQ8のエミッタは、抵抗R14(第14抵抗)を介して、負側の電源V2(-VCC)に接続されている。バイポーラトランジスタQ8のベースは、コレクタと、バイポーラトランジスタQ7のベースと、に接続されている。
【0038】
ここで、バイポーラトランジスタQ5からは、電流がブーストされる。また、バイボーラトランジスタQ3からは、電流が絞られる。このため、バイポーラトランジスタQ1のベースが押し込まれる(図2参照。)。バイポーラトランジスタQ2、Q4、Q6においても同様である。
【0039】
上述したように、カレントミラー回路3(バイポーラトランジスタQ6のコレクタ)は、プッシュプル回路5の正側の引き込み電流端子(バイポーラトランジスタQ9のコレクタ)に接続されている。これにより、入力信号が大きいときは、プッシュプル回路5の引き込み電流が大きくなるため、バイポーラトランジスタQ6に流れる電流が大きくなり、バイポーラトランジスタQ5に流れる電流も大きくなる。これにより、抵抗R13を流れるバイアス電流が大きくなり、バイポーラトランジスタQ1のベースに十分な電流を流すことができるため、無信号時のバイアス電流が小さくても、歪特性が悪化することがない。
【0040】
また、入力信号が小さいときは、プッシュプル回路5の引き込み電流が小さくなり、カレントミラー回路3により、抵抗R13を流れるバイアス電流が小さくなる。これにより、エネルギー消費が大きくなることがない。
【0041】
負側においても、カレントミラー回路4(バイポーラトランジスタQ8のコレクタ端子)は、プッシュプル回路5の負側の引き込み電流端子(バイポーラトランジスタQ10のコレクタ)に接続されている。このため、正側と同様の動きが発生する。
【0042】
図3は、従来の定電流源を使用したダイヤモンドバッファ回路を用いた増幅装置の回路構成を示す図である。増幅装置101は、特願2017-241395号に係る増幅装置201と比較して、オペアンプU101の正側の電源端子が、直接、正側の電源V101(+VCC)に接続されている点、オペアンプU101の負側の電源端子が、直接、負側の電源V102(-VCC)に接続されている点、カレントミラー回路103(バイポーラトランジスタQ106のコレクタ)が電流源I101に接続されている点、カレントミラー回路104(バイポーラトランジスタQ108のコレクタ)が電流源I102に接続されている点が異なる。
【0043】
図4は、特願2017-241395号に係る増幅装置の回路構成を示す図である。図5は、本発明の実施形態に係る増幅装置の回路構成を示す図である。図3図5において、負荷R103、負荷R203、負荷R3を比較的重い8Ω、5mWの負荷としている。図3図5において、各部を流れる電流値が示されている。バイアス電流は、ほぼ同一条件としている。図3において、合計電流は、27.98mA、歪率は、0.003610%である。図4において、合計電流は、22.4mA、歪率は、0.000885%であある。図5において、合計電流は、23.41mA、歪率は、0.000541%である。特願2017-241395号に係る増幅装置201と本発明の実施形態に係る増幅装置1とでは、ほぼ同等の消費電流にもかかわらず、増幅装置1では、歪率が、増幅装置201の61%となっている。
【0044】
バイアス電流が信号に応じて増減されることで、負荷への電流供給能力も、改善されていると考えられる。入力に方形波を用いて、立ち上がり(反転出力なので、立ち下がり)の時間を測定し、比較する。条件として、バイアス電流をそろえて比較している。図6は、従来の増幅装置での立ち上がりを示した図である。図7は、2017-241395号に係る増幅装置での立ち上がりを示した図である。図8は、本発明の実施形態に係る増幅装置での立ち上がりを示した図である。増幅装置101での立ち上がり時間は、4.6μS(10%-90%)である。増幅装置201での立ち上がり時間は、3.7μS(10%-90%)である。増幅装置1での立ち上がり時間は、1.96μS(10%-90%)である。このように、増幅装置1では、増幅装置101、201よりも、出力の立ち下がりが高速化できている。
【0045】
以上説明したように、本実施形態では、カレントミラー回路3、4は、プッシュプル回路5の引き込み電流端子に接続されている。これにより、入力信号が大きいときは、プッシュプル回路5の引き込み電流が大きくなるため、カレントミラー回路3,4により、ダイヤモンドバッファ回路2に流れるバイアス電流が大きくなる。これにより、十分なバイアス電流を流すことができるため、歪特性が悪化することがない。
【0046】
また、入力信号が小さいときは、プッシュプル回路5の引き込み電流が小さくなるため、カレントミラー回路3、4により、ダイヤモンドバッファ回路2に流れるバイアス電流が小さくなる。これにより、エネルギー消費が大きくなることがない。
【0047】
このように、本実施形態によれば、オペアンプの種類に依存せずに、アイドリング時のエネルギー消費が大きくなることなく、歪特性が悪化することがない増幅装置を提供することができる。
【0048】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明を適用可能な形態は、上述の実施形態には限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加えることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明は、信号を増幅する増幅装置に好適に採用され得る。
【符号の説明】
【0050】
1 増幅装置
2 ダイヤモンドバッファ回路
3 カレントミラー回路(第1カレントミラー回路)
4 カレントミラー回路(第2カレントミラー回路)
5 プッシュプル回路
Q1 バイポーラトランジスタ(第1バイポーラトランジスタ)
Q2 バイポーラトランジスタ(第2バイポーラトランジスタ)
Q3 バイポーラトランジスタ(第3バイポーラトランジスタ)
Q4 バイポーラトランジスタ(第4バイポーラトランジスタ)
Q5 バイポーラトランジスタ(第5バイポーラトランジスタ)
Q6 バイポーラトランジスタ(第6バイポーラトランジスタ)
Q7 バイポーラトランジスタ(第7バイポーラトランジスタ)
Q8 バイポーラトランジスタ(第8バイポーラトランジスタ)
Q9 バイポーラトランジスタ(第9バイポーラトランジスタ)
Q10 バイポーラトランジスタ(第10バイポーラトランジスタ)
R1 抵抗(第1抵抗)
R2 抵抗(第2抵抗)
R3 負荷
R4 抵抗(第4抵抗)
R5 抵抗(第5抵抗)
R6 抵抗(第6抵抗)
R7 抵抗(第7抵抗)
R8 抵抗(第8抵抗)
R9 抵抗(第9抵抗)
R11 抵抗(第11抵抗)
R12 抵抗(第12抵抗)
R13 抵抗(第13抵抗)
R14 抵抗(第14抵抗)
R15 抵抗(第15抵抗)
R16 抵抗(第16抵抗)
R17 抵抗(第17抵抗)
U1 オペアンプ
V1 正側の電源
V2 負側の電源
図1
図2
図3
図4
図5
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