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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-10
(45)【発行日】2023-01-18
(54)【発明の名称】光学モジュール及び光学式エンコーダ
(51)【国際特許分類】
   G01D 5/347 20060101AFI20230111BHJP
   H01L 31/12 20060101ALI20230111BHJP
【FI】
G01D5/347 110T
H01L31/12 E
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019041594
(22)【出願日】2019-03-07
(65)【公開番号】P2020144037
(43)【公開日】2020-09-10
【審査請求日】2022-02-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000006220
【氏名又は名称】ミツミ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】大原 智光
(72)【発明者】
【氏名】堤 司樹
(72)【発明者】
【氏名】木村 慎治
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 修平
(72)【発明者】
【氏名】大場 雄介
【審査官】大森 努
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-043192(JP,A)
【文献】国際公開第2013/161722(WO,A1)
【文献】特開平11-316967(JP,A)
【文献】特開2003-130689(JP,A)
【文献】特開2018-038546(JP,A)
【文献】特開平11-306574(JP,A)
【文献】特開2004-006753(JP,A)
【文献】特開2013-187357(JP,A)
【文献】特開平01-033733(JP,A)
【文献】特開平09-082936(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0047455(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2005/0129079(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D 5/26-5/38
H01L 31/00-31/02,31/08-31/18,
G11B 7/12-7/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定基板と、
前記固定基板上に固着され、貫通孔が形成されたセンサ基板と、
前記貫通孔内に位置するように前記固定基板上に固着された発光素子と、
を備え、
前記センサ基板は、受光素子と、前記受光素子と前記貫通孔との間であって前記貫通孔の周囲に形成された、第1のダミー受光素子と第2のダミー受光素子を有し、
前記受光素子と前記第1のダミー受光素子とは、前記センサ基板の表層に形成された同じ導電型の不純物拡散層からなり、前記第1のダミー受光素子の深さが前記受光素子の深さよりも大きく、
前記第2のダミー受光素子は、前記センサ基板の下面側に形成される光学モジュール。
【請求項2】
前記センサ基板は半導体基板であって、
前記受光素子と前記ダミー受光素子とは、逆バイアスとされたpn接合型のフォトダイオードである請求項1に記載の光学モジュール。
【請求項3】
前記発光素子は、LEDである請求項2に記載の光学モジュール。
【請求項4】
前記センサ基板は前記固定基板側がカソードであり、前記発光素子は前記固定基板側がカソードである請求項3に記載の光学モジュール。
【請求項5】
前記ダミー受光素子を構成する不純物拡散層は、前記受光素子を構成する不純物拡散層よりも不純物濃度が高い請求項1ないし4いずれか1項に記載の光学モジュール。
【請求項6】
固定基板と、
前記固定基板上に固着され、貫通孔が形成されたセンサ基板と、
前記貫通孔内に位置するように前記固定基板上に固着された発光素子と、
を備え、
前記センサ基板は、受光素子と、前記受光素子と前記貫通孔との間であって前記貫通孔の周囲に形成されたダミー受光素子とを有し、
前記受光素子と前記ダミー受光素子とは、前記センサ基板の表層に形成された同じ導電型の不純物拡散層からなり、前記センサ基板は、光吸収部材を含む導電性の接着層を介して前記固定基板に固着されている光学モジュール。
【請求項7】
請求項1ないし6いずれか1項に記載の光学モジュールと、
反射型のスケールと、
を備えた光学式エンコーダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学モジュール及び光学式エンコーダに関する。
【背景技術】
【0002】
サーボモータの回転量、回転速度、及び回転方向を検出するために光学式エンコーダが用いられている。光学式エンコーダには、スケールを透過した光を検出する透過型と、スケールで反射した光を検出する反射型とがある。特に、反射型の光学式エンコーダは、小型化・薄型化が可能であるため、近年広く使用されている。
【0003】
反射型の光学式エンコーダとして、受光素子を有するセンサ基板の中央に貫通孔を設け、この凹部や貫通孔にLED(Light-Emitting Diode)等の光源を配置した構成が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
このように、光源をセンサ基板の貫通孔に配置した場合には、光源の上面から射出された光がスケールにより反射され、反射光がセンサ基板の受光素子によって受光される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第4021382号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
LED等の光源は、上面だけではなく側面からも光の漏れが生じるため、光源をセンサ基板の貫通孔内に配置した場合には、光源の側面から漏れ出た光(側面光)がセンサ基板に直接入射してしまう。また、センサ基板は半導体基板により形成されるため、センサ基板は側面から入射する当該側面光を受光してしまう。この側面光の受光はセンサ基板内にノイズ電流を発生させることになる。特許文献1には、センサ基板の貫通孔の側壁に、アルミニウム等の金属薄膜により遮光部材を設けることが記載されている。
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載のように金属薄膜で遮光部材を設けるには、遮光部材を形成するための製造工程を追加する必要があり、製造コストが嵩む。
【0008】
また、貫通孔内に光源を配置するには、光源及びセンサ基板を固定基板上に固定する必要がある。光源の側面から射出された側面光は、固定基板とセンサ基板との界面で反射し、センサ基板の裏面側からセンサ基板内に入射する可能性もある。
【0009】
本発明は、製造が容易で、かつ光源からの側面光をより確実に遮蔽することを可能とする光学モジュール及び光学式エンコーダを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
開示の技術は、固定基板と、前記固定基板上に固着され、貫通孔が形成されたセンサ基板と、前記貫通孔内に位置するように前記固定基板上に固着された発光素子と、を備え、前記センサ基板は、受光素子と、前記受光素子と前記貫通孔との間であって前記貫通孔の周囲に形成された、第1のダミー受光素子と第2のダミー受光素子を有し、前記受光素子と前記第1のダミー受光素子とは、前記センサ基板の表層に形成された同じ導電型の不純物拡散層からなり、前記第1のダミー受光素子の深さが前記受光素子の深さよりも大きく、前記第2のダミー受光素子は、前記センサ基板の下面側に形成される光学モジュールである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、製造が容易で、かつ光源からの側面光をより確実に遮蔽することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】第1実施形態に係る光学式エンコーダの概略構成を示す平面図である。
図2図1中のA-A線に沿う縦断面図である。
図3】第1の受光素子群と外部端子との電気的な接続関係を示す図である。
図4】第2の受光素子群と外部端子との電気的な接続関係を示す図である。
図5】光学モジュール全体の等価回路を示す図である。
図6】発光素子及びセンサ基板の層構造を示す概略断面図である。
図7】第1変形例に係る光学モジュールの構造を示す概略断面図である。
図8】第2変形例に係る光学モジュールの構造を示す概略断面図である。
図9】第4変形例に係る光学モジュールの構造を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
【0014】
<第1実施形態>
以下に、本発明の第1実施形態に係る反射型の光学式エンコーダついて説明する。
【0015】
図1は、第1実施形態に係る光学式エンコーダ1の概略構成を示す平面図である。図2は、光学式エンコーダ1を図1中のA-A線に沿って切断した縦断面図である。なお、図1に示す平面内における一方向をX方向とし、X方向に直交する方向をY方向とする。また、X方向及びY方向に直交する方向をZ方向とする。
【0016】
図1及び図2に示すように、光学式エンコーダ1は、発光素子10、センサ基板20、及び固定基板30を含む光学モジュールと、スケール40とを有する。
【0017】
発光素子10は、例えばLEDである。発光素子10は、pn接合型のダイオードであり、アノード側(p型側)である上面に設けられた光射出窓11から光を射出する。また、発光素子10のアノード側の上面には、電源電圧を印加するための端子12が形成されている。
【0018】
センサ基板20は、平面形状が矩形状の半導体基板であり、ほぼ中央部に矩形状の貫通孔20aが形成されている。発光素子10は、貫通孔20a内に配置されている。貫通孔20aは、例えばドライエッチングにより形成することができる。貫通孔20aの平面形状は矩形状に限られず、円形等の形状であってもよい。
【0019】
図2に示すように、発光素子10の上面は、センサ基板20の上面とほぼ同一面上となっている。発光素子10及びセンサ基板20は、固定基板30上に接着層31,32を介してそれぞれ固着されている。固定基板30は、センサ基板20より大きい矩形状の絶縁性基板である。
【0020】
接着層31,32は、銀ペースト等の導電性接着剤からなる。発光素子10は、カソード側(n型側)である下面が、接着層31を介して固定基板30に固着されている。なお、本実施形態では、センサ基板20を固定基板30に接着する接着層32は、絶縁性であってもよい。
【0021】
固定基板30には、発光素子10のカソードにグランド電位を付与するための銅(Cu)等からなる内部配線33が形成されている。この内部配線33は、一部が固定基板30の上面から露出しており、この露出部分が接着層31を介して発光素子10の下面(カソード)に電気的に接続されている。内部配線33は、固定基板30の下面側に設けられた外部端子33a,33bに接続されている。
【0022】
発光素子10の上面に設けられた端子12は、センサ基板20の上面に設けられた電極パッド24にボンディングワイヤ50を介して接続されている。
【0023】
スケール40は、ガラス等の透明基板に金属薄膜等によって所定のパターンが形成された反射板である。発光素子10から射出された光は、スケール40によって一部が反射されてセンサ基板20に入射する。センサ基板20は、スケール40によって変調された光を検出する。
【0024】
図1に示すように、センサ基板20には、第1の受光素子群21と、第2の受光素子群22とが設けられている。第1の受光素子群21は、所定のピッチでX方向に配列された複数の受光素子21aからなるアブソリュート検出用の受光素子群である。第2の受光素子群22は、第1の受光素子群21とは異なるピッチでX方向に配列された複数の受光素子22aからなるインクリメンタル検出用の受光素子群である。詳しくは後述するが、受光素子21a及び受光素子22aは、それぞれpn接合型のフォトダイオードである。
【0025】
また、センサ基板20には、貫通孔20aの周囲に、貫通孔20aを囲うようにダミー受光素子23が形成されている。すなわち、ダミー受光素子23は、発光素子10と、第1の受光素子群21及び第2の受光素子群22との間に配置されている。ダミー受光素子23は、pn接合型のフォトダイオードであり、主に、発光素子10の側面から漏れ出た側面光を受光する。
【0026】
センサ基板20の上面には、Y方向に平行な辺に沿って、複数の電極パッド25が形成されている。各電極パッド25は、センサ基板20の表面上に形成された配線層(図示せず)を介して、第1の受光素子群21、第2の受光素子群22、ダミー受光素子23等に接続されている。
【0027】
固定基板30の上面には、センサ基板20の各電極パッド25に対向する位置に電極パッド35が形成されている。電極パッド25と、当該電極パッド25に対向する電極パッド35とは、ボンディングワイヤ51を介して接続されている。電極パッド25及び電極パッド35は、アルミニウム等により形成されている。電極パッド25、電極パッド35、及びボンディングワイヤ51は、樹脂52によって封止されている。
【0028】
各電極パッド35は、銅等からなる配線36を介して固定基板30の下面に形成された外部端子37に接続されている。外部端子37は、第1の外部端子37aと、第2の外部端子37bと、第3の外部端子37cと、第4の外部端子37dと、第5の外部端子37eとに分類される。
【0029】
第1の外部端子37aは、第1の受光素子群21からアブソリュート検出用の検出信号を取得するための検出端子である。第2の外部端子37bは、第2の受光素子群22からインクリメンタル検出用の検出信号を取得するための検出端子である。第3の外部端子37cは、ダミー受光素子23のアノード側(p型側)にグランド電位(GND)を付与するためのグランド端子である。
【0030】
第4の外部端子37dは、第1の受光素子群21に含まれる各受光素子21a、第2の受光素子群22に含まれる各受光素子22a、及びダミー受光素子23のカソード側(n型側)に電源電圧(VCC)を供給して、各受光素子を構成するフォトダイオードを逆バイアスとするための電源端子である。第5の外部端子37eは、発光素子10のアノード側に電源電圧(VCC)を供給するための電源端子である。
【0031】
図3は、第1の受光素子群21に含まれる各受光素子21aと、第1の外部端子37a及び第4の外部端子37dとの電気的な接続関係を示す図である。図3に示すように、各第1の外部端子37aは、第1の受光素子群21に含まれるいずれか1つの受光素子21aに接続されている。第1の外部端子37aにより得られる検出信号により、絶対位置情報を検出することができる。
【0032】
図4は、第2の受光素子群22に含まれる各受光素子22aと、第2の外部端子37b及び第4の外部端子37dとの電気的な接続関係を示す図である。図4に示すように、各第2の外部端子37bは、第2の受光素子群22に含まれる受光素子22aのうちの2つの受光素子22aに接続されている。具体的には、各第2の外部端子37bは、受光素子22aの配列ピッチの4倍の距離が離れた2つの受光素子22aに接続されている。第2の外部端子37bにより得られる検出信号により、相対位置情報を検出することができる。
【0033】
図5は、光学モジュール全体の等価回路を示す図である。図5に示すように、発光素子10は、順バイアスとされることにより発光する。発光素子10から射出された光は、逆バイアスとされた受光素子21a及び受光素子22aにより受光される。また、発光素子10から射出された光のうちの側面光は、逆バイアスとされたダミー受光素子23により受光されて吸収される。
【0034】
図6は、発光素子10及びセンサ基板20の層構造を示す概略断面図である。図6は、光学モジュールのY方向に沿った断面を概略的に示している。
【0035】
図6に示すように、本実施形態では、センサ基板20は、n型半導体基板(例えば、シリコン基板)により形成されている。受光素子21a及び受光素子22aは、n型半導体基板の表層にp型不純物をドーピングすることにより形成されたp型拡散層からなる。受光素子21a及び受光素子22aを構成する各p型拡散層の表面から深さは、ほぼ同一である。このp型拡散層の深さをD1とする。
【0036】
同様に、ダミー受光素子23は、n型半導体基板の表層にp型不純物をドーピングすることにより形成されたp型拡散層からなる。すなわち、ダミー受光素子23は、受光素子21a及び受光素子22aと同じ導電型の不純物拡散層により構成されている。
【0037】
ダミー受光素子23は、貫通孔20aを囲うリング状の領域に形成されている。また、ダミー受光素子23を構成するp型拡散層の表面からの深さD2は、深さD1よりも大きい。すなわち、D2>D1である。p型拡散層の深さは、不純物をイオン注入する際の加速電圧を制御することにより決定することができる。
【0038】
受光素子21a,22a及びダミー受光素子23は、逆バイアスとされることにより、周囲のpn接合領域に生じる空乏層DLが広がる。ダミー受光素子23は、貫通孔20a内からセンサ基板20内に侵入した光により生じるキャリアを吸収する作用を有する。
【0039】
発光素子10は、p型層とn型層との間に層状の発光層13を有するので、発光層13からは、上面以外に、側面からも光が射出される。この側面光の光量は、発光素子10が射出する全体の光量の数パーセント程度である。このような側面光がセンサ基板20内に侵入し、受光素子21a,22aの空乏層DLに達すると、ノイズ電流が生じてS/Nの低下をもたらすことになるが、本実施形態では、センサ基板20内に侵入した側面光の大部分がダミー受光素子23によって吸収されるので、ノイズ電流の発生が抑制される。
【0040】
また、センサ基板20内に侵入した側面光は、センサ基板20の下面や接着層32の表面で反射する可能性があるが、本実施形態では、ダミー受光素子23を、受光素子21a,22aよりも深い位置まで形成しているので、このような反射光もダミー受光素子23により吸収され、ノイズ電流の発生が抑制される。
【0041】
以上のように、本実施形態によれば、従来のように貫通孔の側壁に遮光部材を設けることなく、センサ基板20内に形成したダミー受光素子23で側面光を遮蔽(吸収)することができる。ダミー受光素子23は、受光素子21a,22aと同じ導電型の不純物拡散層で構成されているので、受光素子21a,22a等と同一の製造工程で作成することができ、ダミー受光素子23を形成するための製造工程を追加する必要はない。したがって、本実施形態によれば、製造が容易で、かつ光源からの側面光をより確実に遮蔽することが可能となる。
【0042】
また、ダミー受光素子23の不純物濃度は、受光素子21a,22aと同程度であってもよいが、ダミー受光素子23の不純物濃度を受光素子21a,22aの不純物濃度よりも高くしてもよい。これにより、ダミー受光素子23による光の吸収率が向上する。
【0043】
以下に、上記実施形態の各種変形例について説明する。
<第1変形例>
図7は、第1変形例に係る光学モジュールの構造を示す概略断面図である。本変形例は、センサ基板20の構成が異なること以外は、第1実施形態と同様の構成である。
【0044】
本変形例に係るセンサ基板20は、ダミー受光素子23(第1のダミー受光素子)に加えて、センサ基板20の下面側に第2のダミー受光素子60が形成されている。第2のダミー受光素子60は、第1のダミー受光素子23と同じ導電型の不純物拡散層により形成されている。本変形例では、第2のダミー受光素子60は、p型拡散層により構成されている。第2のダミー受光素子60は、第1のダミー受光素子23と同様に、貫通孔20aを囲うリング状の領域に形成されている。
【0045】
第2のダミー受光素子60を逆バイアスとすることに、第2のダミー受光素子60を構成するp型拡散層の周囲に生じる空乏層DLが広がる。このように、第1のダミー受光素子23に加えて第2のダミー受光素子60を設けることにより、発光素子10からセンサ基板20に侵入する側面光をより確実に遮蔽(吸収)することができる。
【0046】
なお、第2のダミー受光素子60は、第1のダミー受光素子23と接続されていてもよい。また、第2のダミー受光素子60は、第1のダミー受光素子23と不純物濃度が異なっていてもよい。
<第2変形例>
図8は、第2変形例に係る光学モジュールの構造を示す概略断面図である。本変形例は、固定基板30の構成が異なること以外は、第1実施形態と同様の構成である。第1実施形態では、受光素子21a,22aを逆バイアスとするために、第4の外部端子37dからセンサ基板20の上面側に形成された配線層(図示せず)を介してセンサ基板20のn型領域に電源電圧(VCC)を供給している。
【0047】
本変形例に係る固定基板30は、センサ基板20の下面側からn型領域に電源電圧を供給するための貫通電極70を有している。この貫通電極70は、導電性の接着層32を介してセンサ基板20の下面側に電気的に接続される。貫通電極70は、固定基板30の下面から露出しており、電源電圧を印加するための電源端子として機能する。
【0048】
なお、第2変形例で説明した第2のダミー受光素子60に電源電圧を供給するために、本変形例に係る固定基板30を用いてもよい。
<第3変形例>
第1実施形態では、図6に示すように、センサ基板20としてn型半導体基板を用いているが、n型半導体基板に代えて、p型半導体基板を用いてもよい。この場合、受光素子21a,22a及びダミー受光素子23をn型拡散層で構成すればよい。
【0049】
センサ基板20としてp型半導体基板を用いた場合には、受光素子21a,22a及びダミー受光素子23を逆バイアスとするにはp型領域にグランド電位を付与すればよい。したがって、この場合、センサ基板20の固定基板30側がアノードとなり、発光素子10の固定基板30側がカソードとなるので、センサ基板20の下面と発光素子10の下面とに、固定基板30から共通の電極を介して、グランド電位を付与することが可能となる。これにより、接着層31と接着層32とを1つの導電性接着層とすることができる。
【0050】
なお、逆に、センサ基板20の固定基板30側をカソード、発光素子10の固定基板30側をアノードとするように、発光素子10の導電型を逆にしてもよい。この場合、センサ基板20の下面と発光素子10の下面とに、固定基板30から共通の電極を介して、電源電圧を供給すればよい。
<第4変形例>
図9は、第4変形例に係る光学モジュールの構造を示す概略断面図である。本変形例は、センサ基板20の構成が異なること以外は、第1実施形態と同様の構成である。第1実施形態では、図6に示すように、ダミー受光素子23を構成する不純物拡散層を、受光素子21a,22aを構成する不純物拡散層より深く形成しているが、本変形例では、両者を同程度の深さとする。
【0051】
また、本変形例に係るセンサ基板20では、センサ基板20を固定基板30に固着させるための接着層32を、光吸収部材を含む導電性接着剤とする。本変形例における接着層32としては、接着性を有する遮光シートを用いることができる。
【0052】
このように、接着層32を、光吸収部材を含む導電性接着剤とすることにより、ダミー受光素子23を深くすることなく、センサ基板20の下面や接着層32の表面で反射する反射光を抑制することができる。
【0053】
なお、上記実施形態及び変形例では、発光素子10としてLEDを用いているが、半導体レーザを用いることも可能である。
【0054】
以上、本発明の好ましい実施の形態について詳説したが、本発明は、上述した実施の形態に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、上述した実施の形態に種々の変形及び置換を加えることができる。
【符号の説明】
【0055】
1 光学式エンコーダ、10 発光素子、11 光射出窓、12 端子、13 発光層、20 センサ基板、20a 貫通孔、21 第1の受光素子群、21a 受光素子、22 第2の受光素子群、22a 受光素子、23 ダミー受光素子(第1のダミー受光素子)、24,25,35 電極パッド、30 固定基板、31,32 接着層、33 内部配線、35 電極パッド、36 配線、37a 第1の外部端子、37b 第2の外部端子、37c 第3の外部端子、37d 第4の外部端子、37e 第5の外部端子、40 スケール、50,51 ボンディングワイヤ、52 樹脂、60 第2のダミー受光素子、70 貫通電極
図1
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図5
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図9