(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-10
(45)【発行日】2023-01-18
(54)【発明の名称】コンクリート充填管理方法
(51)【国際特許分類】
G01N 29/11 20060101AFI20230111BHJP
G01N 29/48 20060101ALI20230111BHJP
E04G 21/02 20060101ALI20230111BHJP
【FI】
G01N29/11
G01N29/48
E04G21/02 103Z
(21)【出願番号】P 2018236213
(22)【出願日】2018-12-18
【審査請求日】2021-07-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000003621
【氏名又は名称】株式会社竹中工務店
(73)【特許権者】
【識別番号】591248577
【氏名又は名称】東京理学検査株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【氏名又は名称】加藤 和詳
(74)【代理人】
【識別番号】100099025
【氏名又は名称】福田 浩志
(72)【発明者】
【氏名】田邊 裕介
(72)【発明者】
【氏名】小林 楓子
(72)【発明者】
【氏名】井上 孝之
(72)【発明者】
【氏名】門川 裕之
(72)【発明者】
【氏名】谷田部 浩
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 敏之
(72)【発明者】
【氏名】太田 義弘
(72)【発明者】
【氏名】長嶋 功一
(72)【発明者】
【氏名】杉山 利樹
(72)【発明者】
【氏名】新井 豊
【審査官】越柴 洋哉
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-131807(JP,A)
【文献】実開昭57-188125(JP,U)
【文献】特開2013-140029(JP,A)
【文献】特開2009-174205(JP,A)
【文献】特開2004-093493(JP,A)
【文献】特開2006-090777(JP,A)
【文献】特開2010-014451(JP,A)
【文献】特開2010-150832(JP,A)
【文献】特開2005-265817(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 29/00 - G01N 29/52
G01B 17/00 - G01B 17/08
E04G 21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鋼管の内部へのコンクリートの充填性を管理するコンクリート充填管理方法であって、
前記鋼管の外側の表面の
高さ方向に、コンクリートの有無による音圧変化を検出することでコンクリートの充填を確認する複数の超音波センサの探接子を配置する工程と、
前記鋼管の下側から前記鋼管の内部にコンクリートを充填する工程と、
前記コンクリートの圧入開始時点からの各々の前記超音波センサの探接子による前記コンクリートの充填検出時間を計測することで、各々の前記超音波センサの探接子の圧入口からの高さにより、前記鋼管の内部の前記コンクリートの打ち上げ高さ及び打ち上げ高さ速度を測定する工程と、
を有するコンクリート充填管理方法。
【請求項2】
前記超音波センサには、音圧変化の情報を発信する発信部が設けられており、
前記発信部から発信された音圧変化の情報を前記発信部から離れた位置で受信してコンクリートの充填性を管理する請求項1に記載のコンクリート充填管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリート充填管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、鋼管の内側面に突設されるダイヤフラム板の下面に計測用センサを固設し、計測用センサにより電極間に介在する物質の電気的特性の変化からコンクリートの充填状況を検出するコンクリート充填検知装置が開示されている。
【0003】
また、下記特許文献2には、建造物の基礎の上面に設けられたベースプレートの上面に測定装置を配置し、測定装置からベースプレートの下面に充填されたコンクリートの方向に超音波を発信し、コンクリートで反射された超音波を再び探触子で受信することで、コンクリートの空隙などの欠陥部を測定する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第3089995号公報
【文献】特開2004-53376号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1では、鋼管の内側面に突設されるダイヤフラム板の下面に予め計測用センサを固設する必要があり、作業性が低下すると共に、計測用センサのコストが上昇する。
【0006】
上記特許文献2では、建造物の基礎の上面に設けられたベースプレートの上面に測定装置を配置し、ベースプレートの下面に充填されたコンクリートの欠陥部を測定する。すなわち、特許文献2に記載の構成は、型枠内のコンクリートの充填位置を検出するものではない。
【0007】
本発明は上記事実を考慮し、鋼管の外側から鋼管の内部にコンクリートが充填されたことを確認することができるコンクリート充填管理方法を提供することが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1態様に係るコンクリート充填管理方法は、鋼管の内部へのコンクリートの充填性を管理するコンクリート充填管理方法であって、前記鋼管の外側の表面の1箇所又は複数の箇所に、超音波センサの探触子を当てる工程と、前記鋼管の下側から前記鋼管の内部にコンクリートを充填する工程と、前記超音波センサにより、前記コンクリートの有無による音圧変化を検出することで、前記コンクリートが充填されたことを確認する工程と、を有する。
【0009】
第1態様に記載のコンクリート充填管理方法によれば、鋼管の外側の表面の1箇所又は複数の箇所に、超音波センサの探触子を配置する。さらに、鋼管の下側から鋼管の内部にコンクリートを充填する。そして、超音波センサにより、コンクリートの有無による音圧変化を検出することで、コンクリートが充填されたことを確認する。これにより、鋼管の外側から超音波センサにより、鋼管の内部にコンクリートが充填されたことを確認することができる。このため、蒸気抜き孔からのコンクリートの吐出を確認する場合と比較して、鋼管の内部へのコンクリートの充填を目視で確認する必要がない。
【0010】
第2態様に係るコンクリート充填管理方法は、第1態様に記載のコンクリート充填管理方法において、前記鋼管の外側の高さ方向の1箇所又は複数の箇所に前記超音波センサの探触子を配置し、前記探触子により音圧変化を検出することで、前記コンクリートの打ち上げ高さ又は打ち上げ高さ速度を測定する。
【0011】
第2態様に記載のコンクリート充填管理方法によれば、鋼管の外側の高さ方向の1箇所又は複数の箇所に配置した超音波センサの探触子によって、音圧変化を検出する。これにより、コンクリートの打ち上げ高さ又は打ち上げ高さ速度を容易に管理することができる。
【0012】
第3態様に係るコンクリート充填管理方法は、第1態様又は第2態様に記載のコンクリート充填管理方法において、前記超音波センサには、音圧変化の情報を発信する発信部が設けられており、前記発信部から発信された音圧変化の情報を前記発信部から離れた位置で受信してコンクリートの充填性を管理する。
【0013】
第3態様に記載のコンクリート充填管理方法によれば、超音波センサによる音圧変化の情報を発信部から発信し、発信部から離れた位置で音圧変化の情報を受信してコンクリートの充填性を管理する。このため、遠隔地からコンクリートの充填性を管理することが可能であり、省人化に寄与する。
【発明の効果】
【0014】
本発明のコンクリート充填管理方法によれば、鋼管の外側から鋼管の内部にコンクリートが充填されたことを確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】第1実施形態のコンクリート充填管理方法に用いられる超音波センサを鋼管の外側に配置した例を示す立断面図である。
【
図2】第1実施形態のコンクリート充填管理方法に用いられる超音波センサを鋼管の外側に配置した例を示す側面図である。
【
図3】第1実施形態のコンクリート充填管理方法に用いられる超音波センサの探触子を示す断面図である。
【
図4】鋼管の外側に配置した超音波センサによる超音波伝播イメージを示す模式的な図である。
【
図5】(A)は、鋼管の内部にコンクリートが充填されてないときの音圧の波形イメージを示す図であり、(B)は、鋼管の内部にコンクリートが充填されたときの音圧の波形イメージを示す図である。
【
図6】(A)は、鋼管の内部に何も充填されてないときの時間に対する音圧の測定データを示すグラフであり、(B)は、鋼管の内部にコンクリートをイメージした水ゲルが充填されたときの時間に対する音圧の測定データを示すグラフである。
【
図7】第2実施形態のコンクリート充填管理方法に用いられる超音波センサを鋼管の外側に配置した無線通信の例を示す立断面図である。
【
図8】比較例のコンクリート充填管理方法を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施の形態について、図面を基に詳細に説明する。なお、本発明と関連性の低いものは図示を省略している。
【0017】
〔第1実施形態〕
第1実施形態のコンクリート充填管理方法について
図1~
図6を参照して説明する。
【0018】
図1には、第1実施形態のコンクリート充填管理方法に用いられる超音波センサ10を鋼管100の外側に配置した状態が立断面図にて示されている。本実施形態では、コンクリート充填管理方法は、建築構造物の柱部材を構築する工法の一つであるのコンクリートの圧入工法に適用される。コンクリート充填管理方法は、鋼管100の内部へのコンクリートCの充填性を管理する。
【0019】
図1に示されるように、上下方向に沿って配置される鋼管100の内部に、鋼管100の下側からコンクリートCを圧入することによって充填し、充填したコンクリートCを固化することで、柱部材が構築される。より具体的には、鋼管100の下部に圧入口102が設けられており、圧入口102にコンクリート圧入装置(図示省略)の導入管104の接続部106が接続されている。そして、コンクリート圧入装置のポンプ(図示省略)を駆動することで、導入管104から鋼管100の内部の空間SにコンクリートCが圧入される。その際、鋼管100内の空間SのコンクリートCの充填状況を確認するために超音波センサ10が用いられている。
【0020】
図1に示されるように、超音波センサ10は、複数の検出部12と、検出部12がケーブル16を介してそれぞれ電気的に接続される探傷器(センサ本体)14と、を備えている。探傷器14には、ケーブル17を介して管理用のコンピュータ18が電気的に接続されている。
図1及び
図2に示されるように、検出部12は、鋼管100の外面100Aの上下方向(高さ方向)の複数箇所に配置されており、複数の検出部12の位置で鋼管100の内部にコンクリートCが充填されたかどうかを検出する。ここで、外面100Aは、鋼管100の表面の一例である。
【0021】
図3には、検出部12が断面図にて示されている。
図3に示されるように、検出部12は、超音波を発信する探触子22と、探触子22が固定されるケース24と、を備えている。ケース24は、略立方体状に形成されており、ケース24の厚み方向の中間部から一方側に探触子22が固定されている。鋼管100(
図1参照)へのケース24の取付面24A(探触子22が設けられた側と反対側の面)には、凹状に窪んだ凹部25が設けられている。凹部25は、例えば、平面視にて略円形状に形成されている(
図2参照)。凹部25の底面25Aには、探触子22における超音波の発信面22Aが露出している。探触子22は、送受信探触子であり、超音波を発信し、その発信された超音波の反射波を受信するものである。
【0022】
ケース24には、凹部25内に水Wを供給するための供給路26が設けられている。一例として、供給路26の下流側端部は、凹部25の底面25Aに開口している。また、凹部25における取付面24Aの開口部の縁部には、凹部25の開口部を覆うことで凹部25内に水Wを保持する膜28が取り付けられている。検出部12には、水Wが貯留されるタンク30が設けられている。タンク30の底部には、ホース32が接続されており、水Wの供給方向におけるホース32の下流側端部は、ケース24の供給路26の上流側端部に接続されている。これにより、タンク30内の水Wがホース32及び供給路26を介してケース24の凹部25内に供給される。
【0023】
ケース24の長手方向両側の側面24Bには、磁石36が設けられている。磁石36は、例えば、略矩形状とされており、磁石36の端面がケース24の取付面24Aと面一となるように配置されている。検出部12の取付面24Aは、磁石36により鋼管100の外面100Aに取り付けられる(
図1参照)。本実施形態では、鋼管100は略円筒状であり、ケース24の取付面24Aは略平面状である。本実施形態では、ケース24の長手方向両側の磁石36を鋼管100の上下方向に沿って配置することで、磁石36の吸引力により検出部12が鋼管100の外面100Aに固定される(
図1及び
図2参照)。
【0024】
これにより、検出部12は、探触子22における超音波の発信面22Aと鋼管100との間に接触媒質である水Wが介在される構成とされている(
図1参照)。検出部12は、探触子22の発信面22Aと鋼管100との間に水Wが介在されることで、超音波の感度を維持することができる。図示を省略するが、ケース24には、ケース24の長手方向両側の磁石36を上下方向に配置した状態で、ホース32が下側となるようにタンク30を支持する支持部が設けられている。
【0025】
検出部12では、鋼管100の内部にコンクリートCが充填されている場合とコンクリートCが充填されていない場合とで、音圧変化を検出する。すなわち、検出部12により、鋼管100の内部のコンクリートCの有無による音圧変化、すなわち電圧変化を検出することで、鋼管100の内部にコンクリートCが充填されたことを確認する。
【0026】
図4には、検出部12による超音波の伝播イメージが示されている。
図4に示されるように、鋼管100の上下方向の上側に配置された検出部12の位置では、鋼管100の内部にコンクリートCが充填されていない。この場合は、検出部12の探触子22から水Wを介して鋼管100の方向に発信された矢印A1に示す超音波は、鋼管100の内面(裏面)100Bで反射され、矢印A2に示すように超音波のほとんどが再び探触子22で受信される。すなわち、探触子22から発信された超音波は、鋼管100の内部に空間Sがある場合は伝播されず、そのほとんどが反射波として探触子22に戻る。これにより、
図5(A)に示されるように、検出部12では、ピークが基準高さHに達する強い電気信号の波形(音圧の波形)40として検出される。
【0027】
一方、
図4に示されるように、鋼管100の上下方向の下側に配置された検出部12の位置では、鋼管100の内部にコンクリートCが充填されている。この場合は、検出部12の探触子22から水Wを介して鋼管100の方向に発信された矢印B1に示す超音波は、矢印B2に示すように超音波の多くが鋼管100の内面(裏面)100BからコンクリートC中に伝播される。また、矢印B3に示すように超音波の他の一部が鋼管100の内面(裏面)100Bで反射され、再び探触子22で受信される。すなわち、鋼管100の内部にコンクリートCが充填されている場合は、探触子22から発信された超音波の多くがコンクリートCに伝播される。これにより、
図5(B)に示されるように、検出部12では、ピークが基準高さHに達しない弱い電気信号の波形(音圧の波形)42として検出される。
【0028】
本実施形態では、鋼管100の上下方向(高さ方向)に超音波センサ10の複数の検出部12が配置されているため、複数の検出部12によって検出される検出信号により、鋼管100の内部のコンクリートCの打ち上げ高さが測定される。また、コンクリートCの圧入開始時点からの各々の検出部12によるコンクリートCの充填検出時間を計測することで、各々の検出部12の圧入口102からの高さにより、鋼管100の内部のコンクリートCの打ち上げ高さ速度が測定される。コンクリートCの打ち上げ高さ速度の測定は、例えば、コンピュータ18の記憶部に記憶されたプログラムにより実行される。
【0029】
(作用及び効果)
次に、本実施形態の作用及び効果について説明する。
【0030】
コンクリート充填管理方法では、鋼管100の外面100Aの複数の箇所に、超音波センサ10の検出部12が配置される。これにより、鋼管100の外面100Aに水Wを介して探触子22が配置される。さらに、鋼管100の下側から鋼管100の内部にコンクリートCを圧入により充填する。そして、超音波センサ10の複数の検出部12により、コンクリートCの有無による音圧変化、すなわち電圧変化を検出することで、鋼管100の内部にコンクリートCが充填されたことを確認する。これにより、鋼管100の外側から超音波センサ10の複数の検出部12により、鋼管100の内部にコンクリートCが充填されたことを確認することができる。
【0031】
図8には、比較例のコンクリート充填管理方法が示されている。
図8に示されるように、鋼管202には、蒸気抜き孔204が形成されている。蒸気抜き孔204は、火災時に鋼管202の内部でコンクリートCにより生じる水蒸気圧を低減するために、鋼管202に予め工場などで開けられている。蒸気抜き孔204は、鋼管202の軸方向に間隔をおいて複数形成されている。例えば、蒸気抜き孔204は、鋼管202の軸方向の所定の長さ(例えば、約5m)の範囲に2箇所形成されている。鋼管202の内部に鋼管202の下側からコンクリートCを圧入するときは、蒸気抜き孔204に栓206をせず、蒸気抜き孔204をコンクリートCの充填高さを確認するために使用する。
【0032】
鋼管202の内部の蒸気抜き孔204の位置までコンクリートCが到達すると、蒸気抜き孔204からコンクリートCが吐出される。比較例のコンクリート充填管理方法では、気抜き孔204からのコンクリートCの吐出を目視で観察することで、鋼管202の内部の蒸気抜き孔204の位置までコンクリートCが充填されたことを確認する。その後、鋼管202の蒸気抜き孔204には、ノロ止めとして栓206が嵌め込まれる。栓206は、軸方向の一端側から他端側に向かって外径が徐々に大きくなるように形成されており、栓206の外径が小さい一端側が鋼管202の蒸気抜き孔204に挿入される。栓206は、コンクリートCの硬化後に撤去される。
【0033】
比較例のコンクリート充填管理方法では、蒸気抜き孔204は、例えば、鋼管202の軸方向の所定の長さ(例えば、約5m)の範囲に2箇所配置されており、コンクリートCの充填を確認するためのデータが少ない。また、鋼管202の内部にダイヤフラム等の障害物があると、コンクリートCの充填を確認することが難しい。また、鋼管202の内部のコンクリートCの打ち上げ高さを確認するために多くの工数が使われる。
【0034】
これに対して、本実施形態のコンクリート充填管理方法では、鋼管100の外面100Aの複数の箇所に超音波センサ10の検出部12が配置され、複数の検出部12により、コンクリートCの有無による音圧変化を検出する。このため、本実施形態のコンクリート充填管理方法では、鋼管100の内部へのコンクリートCの充填を目視で確認する必要がない。また、複数の検出部12により、コンクリートCの有無による音圧変化を検出するため、鋼管202の内部のコンクリートCの打ち上げ高さを確認するための工数を減らすことができる。また、鋼管202の軸方向の所定の長さ(例えば、約5m)に対して検出部12の数を増やすことで、コンクリートCの充填をより確実に検出することができる。
【0035】
また、本実施形態のコンクリート充填管理方法では、鋼管100の外側の高さ方向の複数の箇所に超音波センサ10の検出部12を配置する。そして、複数の検出部12により音圧変化を検出し、音圧変化が検出される検出部12の位置と音圧変化が検出されていく速度を計算することで、鋼管100の内部のコンクリートCの打ち上げ高さと打ち上げ高さ速度(圧入時の送り速度)を測定する。このため、コンクリートCの打ち上げ高さや打ち上げ高さ速度を容易に管理することができる。
【0036】
次に、超音波センサ10の検出部12による音圧変化の検出を検証する実験について説明する。この実験では、鋼管100の内部にコンクリートCをイメージした水ゲルを充填した。そして、鋼管100の外側に配置された検出部12により音圧を測定した。
図6(A)は、鋼管100の内部に水ゲルがない場合の検出部12による音圧の測定データであり、
図6(B)は、鋼管100の内部に水ゲルが充填された場合の検出部12による音圧の測定データである。
【0037】
図6(A)、(B)に示す測定データでは、縦軸は電気信号の強さを示しており、横軸は時間を示している。測定データは、送信波に対して最初のピークが表面波であり、2番目のピークが裏面波である。また、3番目のピークは表面波2波目である。このようにして検出される波形が減衰していく。
図6(B)に示す測定データは、
図6(A)に示す測定データに比べて、破線の円で示す裏面波の音圧が低下していることが分かる。このため、鋼管100の内部に水ゲルが充填された場合は、鋼管100の内部に水ゲルがない場合に比べて、超音波の一部が水ゲルに伝播されることで、裏面波の音圧が低下することが分かる。
【0038】
〔第2実施形態〕
次に、
図7を用いて、第2実施形態のコンクリート充填管理方法について説明する。なお、前述した第1実施形態と同一構成部分については、同一番号を付してその説明を省略する。
【0039】
図7に示されるように、第2実施形態のコンクリート充填管理方法では、超音波センサ50が使用される。超音波センサ50は、複数の検出部12と、検出部12がケーブル16を介してそれぞれ電気的に接続される探傷器(センサ本体)52と、を備えている。探傷器52には、ケーブル53を介して端末機54が電気的に接続されている。端末機54は、探傷器14から入力された検出データを無線通信により発信する発信部54Aと、検出データを表示する表示部54Bと、を備えている。
【0040】
また、端末機54から離れた場所には、管理用の端末機56が配置されている。端末機56は、端末機54の発信部54Aから発信された検出データを無線通信により受信する受信部56Aと、検出データを表示する表示部56Bと、を備えている。
【0041】
検出部12は、鋼管100の外面100Aの上下方向(高さ方向)の複数の箇所に配置されており、検出部12の位置で鋼管100の内部にコンクリートCが充填されたかどうかを検出する。検出部12によってコンクリートCの有無が検出されると、検出部12で検出された検出信号は、探傷器52に入力される。複数の検出部12によって検出された検出データは、探傷器52から出力されて端末機54に入力され、端末機54の表示部54Bに表示される。検査者は、端末機54の表示部54Bで検査データを確認することができる。また、端末機54の発信部54Aから発信された検出データは、無線通信により管理用の端末機56の受信部56Aで受信され、表示部56Bに表示される。このとき、検出データは無線通信により端末機54と同期し、その検出データがサーバを経由して管理用の端末機56と同期されるようにしてもよい。端末機56によりコンクリートCの充填日時、充填時間、コンクリートCの打ち上げ高さ及び打ち上げ高さ速度などが管理される。
【0042】
上記のコンクリート充填管理方法では、超音波センサ50による音圧変化の情報を発信部54Aから発信し、発信部54Aから離れた場所で音圧変化の情報を受信してコンクリートCの充填性を管理する。このため、遠隔地からコンクリートCの充填性を管理することが可能であり、省人化に寄与する。
【0043】
〔補足説明〕
第1及び第2実施形態の超音波センサ10、50では、検出部12の数は変更可能であり、1つ又は2つ以上の検出部12を設けてもよい。すなわち、本発明のコンクリート充填管理方法では、鋼管の外側の高さ方向の1箇所に超音波センサの探触子を配置してもよい。
【0044】
また、第2実施形態では、端末機54を設けずに、探傷器52に検査データを発信する発信部を設け、管理用の端末機56の受信部で検査データを受信するようにしてもよい。本発明の「超音波センサには、音圧変化の情報を発信する発信部が設けられている」は、超音波センサの構成部品に音圧変化の情報を発信する発信部が直接設けられている場合のほか、超音波センサに接続された他の部品に、音圧変化の情報を発信する発信部が設けられている場合も含む。
【0045】
なお、本発明を特定の実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態が可能であることは当業者にとって明らかである。
【符号の説明】
【0046】
10 超音波センサ
22 探触子
50 超音波センサ
54A 発信部
56A 受信部(音圧変化の情報を受信)
100 鋼管
100A 外面(表面の一例)
C コンクリート