(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-10
(45)【発行日】2023-01-18
(54)【発明の名称】オプトエレクトロニクス箔およびオプトエレクトロニクス箔の製造方法
(51)【国際特許分類】
H05B 33/02 20060101AFI20230111BHJP
H10K 50/00 20230101ALI20230111BHJP
H05B 33/14 20060101ALI20230111BHJP
H05B 33/10 20060101ALI20230111BHJP
B32B 9/00 20060101ALI20230111BHJP
B32B 15/04 20060101ALI20230111BHJP
【FI】
H05B33/02
H05B33/14 A
H05B33/14 Z
H05B33/10
B32B9/00 A
B32B15/04 Z
(21)【出願番号】P 2019539927
(86)(22)【出願日】2018-01-24
(86)【国際出願番号】 PL2018000008
(87)【国際公開番号】W WO2018139945
(87)【国際公開日】2018-08-02
【審査請求日】2021-01-18
(32)【優先日】2017-01-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】PL
(73)【特許権者】
【識別番号】519262973
【氏名又は名称】サウル エス.エー.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ウォジェハウスキー、コンラッド
(72)【発明者】
【氏名】マリンキエウィクツ、オルガ
(72)【発明者】
【氏名】ブルサ、ボルトシュ
(72)【発明者】
【氏名】プリエト ルイズ、フアン パブロ
(72)【発明者】
【氏名】ウィルク、バーバラ
(72)【発明者】
【氏名】カプクズナス、アーター
【審査官】辻本 寛司
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-243840(JP,A)
【文献】特表2014-516455(JP,A)
【文献】特開2015-099804(JP,A)
【文献】特開平10-024520(JP,A)
【文献】特開2005-310745(JP,A)
【文献】特開2016-103443(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第106158901(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 33/02
H01L 51/50
H05B 33/14
H05B 33/10
B32B 9/00
B32B 15/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、少なくとも1つの金属層を有する導電層とを備えるオプトエレクトロニクス箔であって、
前記導電層と前記基板との間に、前記オプトエレクトロニクス箔は、酸化アルミニウム(AlO
x)および酸化チタン(TiO
x)
から成るバリア層を有し、
前記導電層はさらに、少なくとも2つの隣接する酸化物層を有し、前記少なくとも1つの金属層は、2つの隣接する酸化物層の間に配置された単層の金属であり、各単層の金属層は2つの隣接する酸化物層を分離してサンドイッチ構造を形成するように前記導電層は配置され、
各酸化物層は、ZnO、AZO(酸化アルミニウム亜鉛)、SnO
2、IZO(酸化亜鉛インジウム)、FTO(フッ素ドープ酸化錫)、ZTO(酸化亜鉛錫)、ITO(酸化インジウム錫)、GZO(酸化ガリウム亜鉛)、GIO(酸化ガリウムインジウム)、In
2O
3、Sb:SnO
2、IO:H(水素ドープ酸化インジウム)、CdO、Zn
2SnO
4、ZnSnO
3、Zn
2In
2O
5、NiO
x、NiO
x:Li、TiO
x、ZnS、ZnSe、Te
2O
3、MoO
x、V
2O
5、およびWO
3からなる群から選択される少なくとも1つの酸化物で作られ、
前記2つの隣接する酸化物層のうちの少なくとも1つは、
・単層構造、または、
・前記酸化物層内で互いに重ねて積層された少なくとも2つの副層からなる多層構造
のいずれかであり、前記少なくとも2つの副層のうちの1つは、別の副層とは異なる材料で作られる、オプトエレクトロニクス箔。
【請求項2】
前記バリア層は単層構造である、請求項1に記載のオプトエレクトロニクス箔。
【請求項3】
前記バリア層は、前記バリア層内に互いに重ねて積層された少なくとも2つの副層からなる多層構造であり、前記少なくとも2つの副層のうちの1つは別の副層とは異なる材料で作られる、請求項1に記載のオプトエレクトロニクス箔。
【請求項4】
前記基板は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレン(PEN)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリイミド(PI)、ポリスチレン(PS)、エチレン/テトラフルオロエチレン(ETFE)およびパリレンからなる群から選択される少なくとも1つのプラスチックで作られる、請求項1から3のいずれか一項に記載のオプトエレクトロニクス箔。
【請求項5】
前記基板は無機ナノ複合材料でドープされている、請求項4に記載のオプトエレクトロニクス箔。
【請求項6】
前記金属層は、Al、Ti、Ni、Cr、Au、Mg、Ta、Ge、Ag、Cu、Zr、Pt、およびWからなる群から選択される1つの材料で作られる、請求項1から5のいずれか一項に記載のオプトエレクトロニクス箔。
【請求項7】
前記導電層は、交互に配置された前記酸化物層と前記金属層とを有し、最も外側の2つの層はいずれも前記酸化物層である、請求項1から6のいずれか一項に記載のオプトエレクトロニクス箔。
【請求項8】
オプトエレクトロニクス箔の製造方法であって、
バリア層が堆積される基板の選択表面を洗浄して活性化する段階と、
洗浄され活性化された前記基板上に
、酸化アルミニウム(AlO
x
)および酸化チタン(TiO
x
)を堆積することによって、酸化アルミニウム(AlO
x
)および酸化チタン(TiO
x
から成る前記バリア層を形成する段階と、
前記バリア層を形成した後に
、ZnO、AZO(酸化アルミニウム亜鉛)、SnO
2、IZO(酸化亜鉛インジウム)、FTO(フッ素ドープ酸化錫)、ZTO(酸化亜鉛錫)、ITO(酸化インジウム錫)、GZO(酸化ガリウム亜鉛)、GIO(酸化ガリウムインジウム)、In
2O
3、Sb:SnO
2、IO:H(水素ドープ酸化インジウム)、CdO、Zn
2SnO
4、ZnSnO
3、Zn
2In
2O
5、NiO
x、NiO
x:Li、TiO
x、ZnS、ZnSe、Te
2O
3、MoO
x、V
2O
5、およびWO
3からなる群から選択される少なくとも1つの酸化物を
各々含む、少なくとも2つの隣接する金属酸化物層を堆積し、Al、Ti、Ni、Cr、Au、Mg、Ta、Ge、Ag、Cu、Zr、Pt、およびWからなる群から選択される金属の単層
の形態である前記少なくとも1つの金属層を堆積することによって、導電層を形成する段階と、を備え、
前記導電層を形成する段階は、第1の酸化物層、単一の金属層、および第2の酸化物層を連続的に前記バリア層上に形成する段階を有する、方法。
【請求項9】
前記バリア層は、単層構造を有するバリア層を形成するために、前記基板上に1つの層の材料を堆積することによって形成される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記バリア層は、多層構造を有する前記バリア層を形成するために、前記基板上に異なる材料の少なくとも2つの副層を堆積することによって形成される、請求項8または9に記載の方法。
【請求項11】
前記バリア層上に、酸化物層と金属層との交互配置で、n個の酸化物層と(n-1)個の金属層とが互いに重ねて個別に形成されるように前記導電層が形成され、nは自然数である、請求項8から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
少なくとも1つの酸化物層が、単層構造を有する酸化物層を形成するために、1つの層の酸化物材料を堆積することによって形成される、請求項8から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
少なくとも1つの酸化物層が、多層構造を有する酸化物層を形成するために、異なる材料の少なくとも2つの酸化物副層を堆積することによって形成される、請求項8から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記基板は、プラズマ処理、コロナ放電処理、二酸化炭素処理、紫外線照射およびオゾン処理、ならびにアセトン、イソプロパノール、水、アセトンと水の混合液、およびイソプロパノールと水の混合液からなる群から選択される溶媒を用いた洗浄、からなる群から選択される少なくとも1つの技術を用いて洗浄され活性化される、請求項8から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記バリア層および前記導電層は、原子層堆積(ALD)、マグネトロンスパッタリング、電子ビームスパッタリング法、および熱蒸着法からなる群から選択される少なくとも1つの技術を用いて、前記基板上に別個に堆積される、請求項8から14のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オプトエレクトロニクス箔およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
設計の点では、オプトエレクトロニクス箔は、フレキシブルなポリマ箔基板と透明電極とで構成される。それは、様々な技術を使用して上記箔上に製造される広範なオプトエレクトロニクスデバイスの構築の基礎である。オプトエレクトロニクス箔が使用される構成のオプトエレクトロニクスデバイスには、フレキシブルな発光ディスプレイ(OLED、QD LCD)、フレキシブルな光起電力デバイス、タッチスクリーンセンサ、フレキシブルなランダムアクセスメモリ(RAM)、ガスセンサが含まれる。
【0003】
オプトエレクトロニクスのフレキシブルな箔の欠点は、酸素および水の透過係数が高いポリマ箔によって構成されるフレキシブル基板の気密性が低いことにあり、結果としてオプトエレクトロニクスデバイスの耐用年数を短くする。特に、活性層内に有機物質を含むデバイス、例えば、OLED(有機発光ダイオード)は気象条件に敏感である。空気からの水分および酸素の浸透は、活性物質の劣化を引き起こし、結果として、オプトエレクトロニクスデバイスの動作を妨げる。
【0004】
「ダムアンドフィル」カプセル化技術を含めて、オプトエレクトロニクスデバイスの耐用年数を延ばすように設計されたオプトエレクトロニクス箔の構造内に保護層を製造するための様々な技術が知られている。このプロセスで、高粘度の流体が塗布されて、デバイス(例えば、OLED)の周囲に矩形のバリアが形成される。上記流体は、液滴塗布プロセス中に、バリア内の基板とバリア膜との間の空間を満たすように塗布される。この方法は、薄い多層箔を使用して封止する技術、すなわち「薄膜封止」(TFE)であり、単純さと高い安定性を特徴としている。最も一般的なTFE技術は、プラズマ励起化学気相成長法(PECVD)および原子層堆積法(ALD)を含む。
-プラズマ励起化学気相成長法(PECVD)は、無機および無機のバリアまたは有機および有機のバリアを、通常、窒化ケイ素または二酸化ケイ素を用いるプロセスで処理することを含む。この技術の利点は、低温プロセス(600℃未満)、および非平衡相の堆積の可能性、ならびに得られるコーティングの純度が比較的高いことにある。
-原子層堆積技術(ALD)、これはバリア膜を堆積することを含む。この技術は、堆積用に酸化アルミニウムおよび窒化アルミニウムを使用している。この方法の利点は、比較的良好な気密性を特徴とするコーティングを得ることが可能になることである。
【0005】
さらに、FOLED(Flexible Organic Light Emitting Diode:フレキシブルな有機発光ダイオード)ディスプレイのバリア特性および一般的な封止を向上させるためのいくつかの既知の技術は、極薄の金属またはガラス箔を使用することを含む。この種の解決策の利点は良好なガス透過特性を有する箔を実現することであるが、得られる箔が無光沢で不透明であること、および損傷を受け易いことが欠点である。
【0006】
さらに、特許文献はオプトエレクトロニクスデバイスの構築に使用される導電材料の構造を開示している。
【0007】
国際出願第2015/179834A1号は、導電膜の全原子含有量の80%以上の量の銀(Ag)からなる導電膜の構造、および導電膜の全原子含有量の20%以下の量のAl、Ti、Ni、Cr、Au、Mg、Ta、Geからなる群から選択される導電性金属の構造を開示している。導電層の製造プロセスには、基板上に金、銅、および導電性金属を共堆積して、連続した導電膜を形成することが含まれる。しかしながら、国際出願第2015/179834A1号には、導電膜への水分または酸素の浸透を制限するバリア層の処理方法に関する情報は提供されていない。
【0008】
したがって、箔材料全体の透明度を低下させずに耐用年数を延長したオプトエレクトロニクスデバイスの製造を可能にして、ガスおよび水蒸気の粒子に対するバリア特性を改善したフレキシブルなオプトエレクトロニクス箔構造を提供することが望ましい。バリア解決策を組み込んだ受動デバイスと、フレキシブルな透明電極を含む能動オプトエレクトロニクスデバイスとの両方に有用であると考えられるオプトエレクトロニクス箔を提供することも望ましい。
【0009】
本発明は、基板と、少なくとも1つの酸化物層および少なくとも1つの金属層を含む導電層とを備え、導電層と箔の基板との間に、酸化ケイ素(SiOx)、酸化アルミニウム(Al2O3、AlOxNy)、酸化チタン(TiOx)、酸窒化ケイ素(SiON)、窒化ケイ素(Si3N4、SiNx)、有機ケイ素化合物(SiCxHy)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化ハフニウム(HfO2)、酸化クロム(CrO、Cr2O3、CrO2、CrO3、CrO5)およびパリレンからなる群から選択される少なくとも1つの材料を含むバリア層があることを特徴とするオプトエレクトロニクス箔に関する。
【0010】
好ましくは、バリア層は単層構造である。
【0011】
好ましくは、バリア層はバリア層内で互いに重ねて積層され、かつ異なる材料で作られた少なくとも2つの副層からなる多層構造である。
【0012】
好ましくは、基板は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレン(PEN)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリイミド(PI)、ポリスチレン(PS)、エチレン/テトラフルオロエチレン(ETFE)およびパリレンからなる群から選択される少なくとも1つのプラスチックで作られる。
【0013】
好ましくは、無機ナノ複合材料を基板に混合する。
【0014】
好ましくは、酸化物層は、ZnO、AZO(酸化アルミニウム亜鉛)、SnO2、IZO(酸化亜鉛インジウム)、FTO(フッ素ドープ酸化錫)、ZTO(酸化亜鉛錫)、ITO(酸化インジウム錫)、GZO(酸化ガリウム亜鉛)、GIO(酸化ガリウムインジウム)、In2O3、Sb:SnO2、IO:H(水素ドープ酸化インジウム)、CdO、Zn2SnO4、ZnSnO3、Zn2In2O5、NiOx、NiOx:Li、TiOx、ZnS、ZnSe、Te2O3、MoOx、V2O5およびWO3からなる群から選択される少なくとも1つの酸化物で作られる。
【0015】
好ましくは、酸化物層は単層構造である。
【0016】
好ましくは、酸化物層は、酸化物層内で互いに重ねて積層された異なる材料で作られた少なくとも2つの副層からなる多層構造である。
【0017】
好ましくは、箔は1つの酸化物層を備える。
【0018】
好ましくは、箔は少なくとも2つの酸化物層を備える。
【0019】
好ましくは、金属層は、Al、Ti、Ni、Cr、Au、Mg、Ta、Ge、Ag、Cu、Zr、PtおよびWからなる群から選択される少なくとも1つの材料で作られる。
【0020】
好ましくは、箔は、隣接する酸化物層の間に金属層を有する。
【0021】
好ましくは、導電層内で、箔は、隣接する酸化物層の間に交互に配置されたn個の酸化物層および(n-1)個の金属層を有する。
【0022】
本発明はさらに、基板の選択された表面が洗浄されて活性化され、その表面上にバリア層が堆積され、酸化ケイ素(SiOx)、酸化アルミニウム(Al2O3、AlOxNy)、酸化チタン(TiOx)、酸窒化ケイ素(SiON)、窒化ケイ素(Si3N4、SiNx)、有機ケイ素化合物(SiCxHy)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化ハフニウム(HfO2)、酸化クロム(CrO、Cr2O3、CrO2、CrO3、CrO5)およびパリレンからなる群から選択される少なくとも1つの材料を含むバリア層を、洗浄されて活性化された上記基板上に形成し、次いで、少なくとも1つの酸化物層と少なくとも1つの金属層とを含む導電層がバリア層上に堆積されることを特徴とする、オプトエレクトロニクス箔の製造方法に関する。
【0023】
好ましくは、バリア層は、単層構造を有するバリア層を形成するために、1つの層の材料を基板上に堆積することによって形成される。
【0024】
好ましくは、バリア層は、多層構造を有するバリア層を形成するために、異なる材料の少なくとも2つの副層を基板上に堆積することによって形成される。
【0025】
好ましくは、ZnO、AZO(酸化アルミニウム亜鉛)、SnO2、IZO(酸化亜鉛インジウム)、FTO(フッ素ドープ酸化錫)、ZTO(酸化亜鉛錫)、ITO(酸化インジウム錫)、GZO(酸化ガリウム亜鉛)、GIO(酸化ガリウムインジウム)、In2O3、Sb:SnO2、IO:H(水素ドープ酸化インジウム)、CdO、Zn2SnO4、ZnSnO3、Zn2In2O5、NiOx、NiOx:Li、TiOx、ZnS、ZnSe、Te2O3、MoOx、V2O5およびWO3からなる群から選択される少なくとも1つの酸化物を含む酸化物材料で作られる少なくとも1つの酸化物層と、Al、Ti、Ni、Cr、Au、Mg、Ta、Ge、Ag、Cu、Zr、PtおよびWからなる群から選択される少なくとも1つの金属を含む材料の少なくとも1つの金属層とが、バリア層上で互いに重ねて個別に形成されるように、導電層が形成される。
【0026】
好ましくは、バリア層上に、酸化物層と金属層、n個の酸化物層と(n-1)個の金属層(nは自然数)の交互配置で、互いに重ねて個別に形成されるように、導電層が形成される。
【0027】
好ましくは、バリア層上に、個別に第1の酸化物層が形成され、次いで第1の酸化物層上に金属層が形成され、次いで金属層上に第2の酸化物層が形成されるように、導電層が形成される。
【0028】
好ましくは、少なくとも1つの酸化物層は、単層構造を有する酸化物層を形成するために、1つの層の酸化物材料を堆積することによって形成される。
【0029】
好ましくは、少なくとも1つの酸化物層は、多層構造を有する酸化物層を形成するために、異なる材料の少なくとも2つの酸化物副層を堆積することによって形成される。
【0030】
好ましくは、基板は、プラズマ処理、コロナ放電処理、二酸化炭素処理、紫外線照射およびオゾン処理、ならびにアセトン、イソプロパノール、水、アセトンと水との混合液、およびイソプロパノールと水との混合液からなる群から選択される溶媒による洗浄からなる群から選択される少なくとも1つの技術を用いて洗浄され活性化される。
【0031】
好ましくは、バリア層は、原子層堆積(ALD)、マグネトロンスパッタリング、電子ビームスパッタリング法および熱蒸着法からなる群から選択される少なくとも1つの技術を用いて基板上に堆積される。
【0032】
好ましくは、導電層は、原子層堆積(ALD)、マグネトロンスパッタリング、電子ビームスパッタリング法および熱蒸着法からなる群から選択される少なくとも1つの技術を用いて基板上に堆積される。
【図面の簡単な説明】
【0033】
次に、添付の図面を参照しながら、本発明の実施形態を例として説明する。
【0034】
【
図1】本発明の一実施形態によるオプトエレクトロニクス箔の構造の断面図を概略的に示す。
【0035】
【
図2】オプトエレクトロニクス箔の製造プロセスのフローチャートを示す。
【0036】
【
図3】本発明の別の実施形態によるオプトエレクトロニクス箔の構造の断面図を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本発明によるオプトエレクトロニクス箔は、50%以上の透明度を有し、オプトエレクトロニクス箔10の1日当り水蒸気透過率(WVTR)が10-3~10-6g/m2であるため、低い水蒸気透過性を特徴とする。オプトエレクトロニクス特性および高い透明度のために、箔は、イメージングオプトエレクトロニクスおよび光起電オプトエレクトロニクスの分野からのデバイスを含むがこれらに限定されない様々なデバイスの製造に使用することができる。例えば、窓ガラス、コンピュータスクリーン、携帯電話、衣服の一部、および他の日用品に配置することができる極薄で透明な光電池を含むがこれらに限定されない光起電力システムにおいて、箔はフレキシブルなOLEDまたはQD LCDディスプレイの製造に使用することができる。バリア特性の向上と耐用年数の延長により、箔は自動車業界または建設業界でも使用できる。
【0038】
図1は、層状の箔構成を示すオプトエレクトロニクス箔を断面図で概略的に示す。
【0039】
オプトエレクトロニクス箔は、バリア層12を有する基板11を有し、バリア層12の上には、少なくとも1つの酸化物層131および少なくとも1つの金属層132を含む導電層13が堆積されている。
【0040】
オプトエレクトロニクス箔10の基板11は、プラスチックおよび/または無機材料のナノ複合材料を含むプラスチックからなる群から選択される様々な透明基板材料で作られてもよい。例えば、基板11用のプラスチックは、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレン(PEN)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリイミド(PI)、ポリスチレン(PS)、エチレン/テトラフルオロエチレン(ETFE)、およびパリレンとまとめて呼ばれるポリ-p-キシレンの群から表面上に蒸着させたポリマからなる群から選択される少なくとも1つの種類の材料の形態で提供されてもよい。
【0041】
箔10のバリア層12は、バリア機能を有し、基板11から導電層13への水分および酸素の浸透を防止するので、箔10のオプトエレクトロニクス素子を構成する導電層、およびオプトエレクトロニクス箔10上に堆積させることができるデバイス活性層の劣化プロセスが確実に、著しく低減される。
【0042】
バリア層12は、酸化ケイ素(SiOx)、酸化アルミニウム(Al2O3、AlOxNy)、酸化チタン(TiOx)、酸窒化ケイ素(SiON)、窒化ケイ素(Si3N4、SiNx)、有機ケイ素化合物(SiCxHy)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化ハフニウム(HfO2)、酸化クロム(CrO、Cr2O3、CrO2、CrO3、CrO5)およびパリレンからなる群から選択される少なくとも1つの材料で構成される。より好ましくは、バリア層は、酸化ケイ素(SiOx)、酸化アルミニウム(Al2O3、AlOxNy)、酸化チタン(TiOx)、酸窒化ケイ素(SiON)、窒化ケイ素(Si3N4、SiNx)、有機ケイ素化合物(SiCxHy)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化ハフニウム(HfO2)、酸化クロム(CrO、Cr2O3、CrO2、CrO3、CrO5)およびパリレンからなる群から選択される少なくとも2つの異なる材料で構成されてもよい。
【0043】
一実施形態では、バリア層は、例えば、Al2O3などの1つの材料のみで構成される単層の形態をとってもよい。別の実施形態では、バリア層は少なくとも2つの異なる材料を含む単層の形態をとってもよく、例えば、TiO2をドープしたAl2O3で作られてもよい。さらに別の実施形態では、バリア層12は少なくとも2つの異なる材料で構成されてもよく、バリア層12内に、互いに重ねて積層された少なくとも2つの副層を含む多層の形態をとってもよく、各副層は異なる材料または異なる複数の材料で作られてもよい。例えば、バリア層は2つの副層を有してもよく、一方の副層はAl2O3で作られ、他方の副層はTiO2で作られてもよい。バリア層12内の各副層は、同じ厚さでも異なる厚さでもよく、好ましくは、他の副層の厚さに関係なく、5~500nmの範囲内の厚さであってもよい。
【0044】
好ましくは、バリア層12は、それぞれが上に列挙した材料の群から選択される異なる材料で作られた2つの副層を含んでもよい。バリア層12は、好ましくは5~1000nmの範囲の全厚を有してもよい。
【0045】
導電層13は、導電特性を有する箔のオプトエレクトロニクス活性層である。導電層13は、互いに重ねて積層された少なくとも1つの酸化物層131、133および少なくとも1つの金属層132を含む。
【0046】
さらに、
図1に示すように、導電層は、金属層132によって分離されてサンドイッチ構造を形成する少なくとも2つの酸化物層131および133、または3つ以上の酸化物層を含んでよい。全ての層131、132、133は、実質的に平行で、導電層13内に互いに重ねて積層される。
【0047】
例えば、1つの酸化物層を含む、または2つ以上の酸化物層、例えば、2つの酸化物層131、133を含む導電層13の各実施形態では、酸化物層131、133は、ZnO、AZO(酸化アルミニウム亜鉛)、SnO2、IZO(酸化亜鉛インジウム)、FTO(フッ素ドープ酸化錫)、ZTO(酸化亜鉛錫)、ITO(酸化インジウム錫)、GZO(酸化ガリウム亜鉛)、GIO(酸化ガリウムインジウム)、In2O3、Sb:SnO2、IO:H(水素ドープ酸化インジウム)、CdO、Zn2SnO4、ZnSnO3、Zn2In2O5、NiOx、NiOx:Li、TiOx、ZnS、ZnSe、Te2O3、MoOx、V2O5およびWO3からなる群から選択される少なくとも1つの酸化物で作られる。オプトエレクトロニクス箔10の導電層13の各実施形態において、酸化物層131、133は、好ましくは、15~150nmの範囲の厚さを有してよい。
【0048】
一実施形態では、酸化物層131、133は、単層の形態をとり、上に挙げた酸化物の群からの1種類の酸化物、例えば、ZnOで構成されてもよい。別の実施形態では、酸化物層は単層の形態をとり、2つ以上の材料で構成されてもよく、例えば、単層の形態の酸化物層131、133が、AlをドープしたZnOで作られてもよい。さらに別の実施形態では、酸化物層131、133は少なくとも2つの異なる酸化物で構成されてもよく、1つの酸化物層131、133内に少なくとも2つの副層を含む多層の形態をとってもよく、各副層は少なくとも1つの酸化物を含む異なる酸化物材料で作られる。例えば、酸化物層131、133は、1つの酸化物層131、133内に互いに重ねて積層された2つの副層で構成されてもよく、一方の副層はZnOで作られ、他方の副層はAlをドープしたAZOまたはIZTOで作られる。
【0049】
使用目的および必要なパラメータに応じて、オプトエレクトロニクス箔は少なくとも2つの酸化物層131、133を含んでもよく、一方の酸化物層は単層の形態をとり、もう一方の酸化物層は異なる酸化物材料で作られる少なくとも2つの副層を含む多層の形態をとる。さらに、1つまたは2つ以上の酸化物層を含む導電層13の各実施形態では、金属層132は、Al、Ti、Ni、Cr、Au、Mg、Ta、Ge、Ag、Cu、Zr、PtおよびWからなる群から選択される少なくとも1つの金属で作られる。オプトエレクトロニクス箔10の導電層13の各実施形態では、金属層132は、好ましくは、2~20nmの範囲の厚さを有してもよい。
【0050】
オプトエレクトロニクス箔の目標とする実用性パラメータに応じて、箔10は、多層または単層であるただ1つの酸化物層131、133と、導電層13内にただ1つの金属層132とを有してもよい。さらに、別の実施形態では、導電層13は、
図1に概略的に示すように、それぞれが多層または単層であってもよい2つの酸化物層131、133と、2つの酸化物層を分離する1つの金属層132とを含んでもよい。別の実施形態では、導電層13は、導電層内で交互に重ねて積層された3つの酸化物層と2つの金属層とを有してもよく、それにより各金属層は2つの隣接する酸化物層を分離する。さらに別の実施形態では、導電層は、互いに重ねて積層されたn個の酸化物層131、133(それぞれの酸化物層は多層でも単層でもよい)と(n-1)個の金属層とを有してよく、これにより各金属層132は2つの隣接する酸化物層131、133を分離してサンドイッチ構造を形成する(ここで、nは自然数の集合から選択される任意の数である)。例えば、nは2、3、4、5、6または7であってもよい。例えば、nは最大33であってもよく、またはnは33より大きくてもよい。
【0051】
図2は、オプトエレクトロニクス箔の製造方法を概略的に示す。
【0052】
段階21で、オプトエレクトロニクス箔を製造するために基板材料11が処理される。この処理プロセスは、選択された基板表面の十分な洗浄および活性化を含む。段階21の洗浄および活性化のプロセスは、プラズマ処理、コロナ放電処理、二酸化炭素処理、アセトン、イソプロパノール、水、またはアセトンと水の混合液もしくはイソプロパノールと水の混合液などの溶媒による洗浄、ならびに紫外線(UV)とオゾンによる表面処理からなる群から選択される少なくとも1つの技術を用いて実施される。
【0053】
次に、段階22で、基板11の洗浄され活性化された表面上にバリア層12が堆積される。
【0054】
バリア層12の構造に応じて、段階22は1つまたは複数の段階を含んでもよい。例えば、単層構造を有し、かつ少なくとも1つの種類の材料、例えば、Al2O3またはTiO2でドープされたAl2O3で作られたバリア層を形成するために、段階22でバリア層を1つの段階で堆積してもよい。しかしながら、異なる材料で作られた少なくとも2つの副層を含む多層構造を有するバリア層を形成するために、堆積段階22はいくつかの副段階を含んでもよく、各副段階は1つの副層をバリア層12上に堆積することを含んでもよい。例えば、2つの副層を含むバリア層を形成するために、段階22における堆積は、1つの材料の副層が第1の段階で堆積され、次いで上に挙げたバリア層12用の材料群から選択される別の材料の副層が堆積されるように実施される。多層構造と単層構造の両方を有するバリア層12を堆積するプロセスは、原子層堆積(ALD)技術、マグネトロンスパッタリング技術、電子ビームスパッタリング法および熱蒸着法からなる群から選択される少なくとも1つの既知の堆積技術を用いて実施できる。
【0055】
次いで、段階23で、多層構造または単層構造を有するバリア層上に導電層13が堆積され、導電層13の各副層、すなわち少なくとも1つの酸化物層131、133および少なくとも1つの金属層132がバリア層12上に個別に堆積され、導電層13の適切な機能性および構造、例えば、サンドイッチ構造が得られる。導電層の副層131、132、133のそれぞれは、原子層堆積(ALD)技術、マグネトロンスパッタリング、電子ビームスパッタリング法、および熱蒸着法からなる群から選択される当技術分野で公知の様々な堆積方法を使用して堆積することができる。
【0056】
例えば、
図1に示されるように、段階23で、2つの酸化物層131、133およびそれらの酸化物層の間の金属層132を含む構造を有する導電層13が堆積され、その結果、第1の段階で第1の酸化物層131をバリア層12の表面上に直接に堆積し、次いで金属層132を第1の酸化物層上に堆積し、次いで第2の酸化物層133を金属層132上に堆積する。副層131、132、133のそれぞれは、同じまたは異なる堆積技術を使用して堆積してもよい。
【0057】
さらに、それぞれが単層または多層の形態をとり得る酸化物層131、133の目標構造に応じて、酸化物層131、133が段階23において単一の段階またはいくつかの段階で堆積されてよく、これらの段階のそれぞれは1つの技術および異なる堆積技術を用いて実施されてよい。例えば、1種類の酸化物を含む酸化物材料、例えば、Al2O3、または2種類の酸化物を含む酸化物材料、例えば、TiO2をドープしたAl2O3で作られた単層構造を有する酸化物層131、133の場合、単一の段階23で酸化物層131、133を堆積してもよい。ここで、互いに重ねて積層された少なくとも2つの副層からなる多層構造を有する酸化物層131、133を形成するために、段階23で酸化物層をいくつかの段階で堆積してもよく、各段階は酸化物層131、133内に1つの副層を堆積することを含む。
【0058】
得られたオプトエレクトロニクス箔は、それぞれ酸化物層および金属層131、132、133の材料として使用される材料に応じて、バリア特性と、好ましくは電極の構造を有することができる効率的な導電層13とを組み合わせる。箔10の各実施形態において、導電層13は、バリア特性を有するフレキシブル基板11、12と一体化される。
【0059】
オプトエレクトロニクス箔のバリア層は、1日当り10-3~10-6g/m2の範囲の水蒸気透過率(WVTR)を有し、高い疎水性および紫外線耐性を含む安定したバリア特性を有し、それにより本発明による箔の導電層の耐用年数が改善される。
【0060】
さらに、オプトエレクトロニクス箔はフレキシブルで比較的高い透明度を特徴とし、箔の導電層は良好な導電率を有し、従来技術で知られている脆く、導電率が限られていて、高価である、単一でより厚い導電性ITO(インジウム錫酸化物)層の代替である。
【0061】
[実施例1]
【0062】
本発明の一実施形態によるオプトエレクトロニクス箔は、
図1に断面図として概略的に示されている。オプトエレクトロニクス箔は、この実施形態ではプラスチック、すなわちポリエチレンテレフタレート(PET)で作られている基板11を含む。基板11の上面が酸素プラズマ処理を用いて洗浄され活性化された。次に、厚さ300nmのAlO
xで作られたアモルファス層である単一のバリア層12が基板11の上面に堆積され、こうして反応性マグネトロンスパッタリングプロセスで処理された。次に、バリア層12上に、厚さ20nmのITOで作られた第1の酸化物層131と、厚さ9nmのAgで作られた金属層132と、厚さ20nmのITOで作られた第2の酸化物層133を含む導電層13が、反応性マグネトロンスパッタリングプロセスで堆積された。このようにして得られたオプトエレクトロニクス箔については、4点プローブによる表面抵抗測定、カルシウム試験によるWVTR透過率測定(測定条件RH=40%、T=25℃)および紫外可視分光光度計を用いた可視スペクトルの光透過率測定を含む試験が行われた。実施された試験により、導電層13の表面抵抗12Ω/□、1日当りのWVTR透過率10
-3g/m
2および可視スペクトルにおける光透過率範囲70~78%が得られた。
【0063】
上記の試験で実証されたように、2つの酸化物層131、133が薄い金属層132によって分離されている3層電極構造(導電層13)を使用することにより、(金属層12の存在のために)導電層13に、結果的にはオプトエレクトロニクス箔全体に、確保されている高い導電率と共に、高いフレキシビリティが与えられる。
【0064】
[実施例2]
【0065】
本発明の別の実施形態によるオプトエレクトロニクス箔は、
図3に断面図として概略的に示されている。オプトエレクトロニクス箔は、この実施形態ではプラスチック、すなわちポリエチレンテレフタレート(PET)で作られた基板11を含む。酸素プラズマ処理を用いて基板11の上面を洗浄、活性化した。次に、反応性マグネトロンスパッタリングプロセスで、このようにして処理した基板11の上面に、アモルファス層を構成している厚さ100nmのAlO
x層121および厚さ150nmのTiO
x層122の形態のバリア層12を堆積した。次に、反応性マグネトロンスパッタリングプロセスで、バリア層12上に、厚さ20nmのITOで作られた第1の酸化物層131、9nmの厚さのAgで作られた金属層132、厚さ20nmのITOで作られた第2の酸化物層133を含む導電層13を堆積した。このようにして得られたオプトエレクトロニクス箔については、4点プローブによる表面抵抗測定、カルシウム試験によるWVTR透過率測定(測定条件RH=40%、T=25℃)および紫外可視分光光度計を用いた可視スペクトルの光透過率測定を含む試験が行われた。行われた試験により、導電層13の表面抵抗12Ω/□、1日当りWVTR透過率5×10
-4g/m
2未満および可視スペクトルにおける光透過率範囲67~80%が得られた
。
[項目1]
基板(11)と、少なくとも1つの酸化物層(131、133)および少なくとも1つの金属層(132)を含む導電層(13)とを備えることを特徴とするオプトエレクトロニクス箔であって、上記導電層(13)と上記箔(10)の上記基板(11)との間には、酸化ケイ素(SiO
x
)、酸化アルミニウム(Al
2
O
3
、AlO
x
N
y
)、酸化チタン(TiO
x
)酸窒化ケイ素SiON、窒化ケイ素(Si
3
N
4
、SiN
x
)、有機ケイ素化合物(SiC
x
H
y
)、酸化ジルコニウム(ZrO
2
)、酸化ハフニウム(HfO
2
)、酸化クロム(CrO、Cr
2
O
3
、CrO
2
、CrO
3
、CrO
5
)およびパリレンからなる群から選択される少なくとも1つの材料を含むバリア層(12)がある、オプトエレクトロニクス箔。
[項目2]
上記バリア層(12)は単層構造であることを特徴とする、項目1に記載のオプトエレクトロニクス箔。
[項目3]
上記バリア層(12)は、上記バリア層(12)内で上下に積層された異なる材料を有する少なくとも2つの副層からなる多層構造であることを特徴とする、項目1に記載のオプトエレクトロニクス箔。
[項目4]
上記基板(11)は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレン(PEN)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリイミド(PI)、ポリスチレン(PS)、エチレン/テトラフルオロエチレン(ETFE)およびパリレンからなる群から選択される少なくとも1つのプラスチックで作られることを特徴とする、項目1~3のいずれか一項に記載のオプトエレクトロニクス箔。
[項目5]
上記基板(11)は無機ナノ複合材料でドープされていることを特徴とする、項目4に記載のオプトエレクトロニクス箔。
[項目6]
上記酸化物層(131、133)は、ZnO、AZO(酸化アルミニウム亜鉛)、SnO
2
、IZO(インジウム酸化亜鉛)、FTO(フッ素ドープ酸化錫)、ZTO(酸化亜鉛錫)、ITO(酸化インジウム錫)、GZO(ガリウムドープ酸化亜鉛)、GIO(酸化ガリウムインジウム)、In
2
O
3
、Sb:SnO
2
、IO:H(酸化インジウム水素)、CdO、Zn
2
SnO
4
、ZnSnO
3
、Zn
2
In
2
O
5
、NiO
x
、NiO
x
:Li、TiO
x
、ZnS、ZnSe、Te
2
O
3
、MoO
x
、V
2
O
5
およびWO
3
からなる群から選択される少なくとも1つの酸化物で作られることを特徴とする、項目1~5のいずれか一項に記載のオプトエレクトロニクス箔。
[項目7]
上記酸化物層(131、133)は単層構造であることを特徴とする、項目6に記載のオプトエレクトロニクス箔。
[項目8]
上記酸化物層(131、133)は、上記酸化物層(131、133)内で上下に積層された異なる材料を有する少なくとも2つの副層からなる多層構造であることを特徴とする、項目6に記載のオプトエレクトロニクス箔。
[項目9]
1つの酸化物層(131または133)を備えることを特徴とする、項目7または8に記載のオプトエレクトロニクス箔。
[項目10]
少なくとも2つの酸化物層(131、133)を備えることを特徴とする、項目7または8に記載のオプトエレクトロニクス箔。
[項目11]
上記金属層(132)は、Al、Ti、Ni、Cr、Au、Mg、Ta、Ge、Ag、Cu、Zr、PtおよびWからなる群から選択される少なくとも1つの材料で作られることを特徴とする、項目1~10のいずれか一項に記載のオプトエレクトロニクス箔。
[項目12]
隣接する酸化物層(131、133)の間に金属層(132)を有することを特徴とする、項目10または11に記載のオプトエレクトロニクス箔。
[項目13]
上記導電層(13)内に、隣接する酸化物層(131、133)の間に交互に配置されたn個の酸化物層(131、133)とn-1個の金属層(132)とを有することを特徴とする、項目1~12のいずれか一項に記載のオプトエレクトロニクス箔。
[項目14]
オプトエレクトロニクス箔の製造方法であって、基板の選択された表面が洗浄、活性化され、酸化ケイ素(SiO
x
)、酸化アルミニウム(Al
2
O
3
、AlO
x
N
y
)、酸化チタン(TiO
x
)、酸窒化ケイ素SiON、窒化ケイ素(Si
3
N
4
、SiN
x
)、有機ケイ素化合物(SiC
x
H
y
)、酸化ジルコニウム(ZrO
2
)、酸化ハフニウム(HfO
2
)、酸化クロム(CrO、Cr
2
O
3
、CrO
2
、CrO
3
、CrO
5
)およびパリレンからなる群から選択される少なくとも1つの材料を含むバリア層(12)を上記洗浄、活性化された基板(11)上に形成するように、上記バリア層が上記基板の選択された上記表面上に堆積され、上記バリア層の堆積後、少なくとも1つの酸化物層(131、133)および少なくとも1つの金属層(132)を含む導電層(13)が上記バリア層(12)上に堆積されることを特徴とする、方法。
[項目15]
上記バリア層(12)は、単層構造を有するバリア層(12)を形成するために、上記基板(11)上に1層の材料を堆積することによって形成されることを特徴とする、項目14に記載の方法。
[項目16]
上記バリア層(12)は、多層構造を有するバリア層(12)を形成するために、上記基板(11)上に異なる材料の少なくとも2つの副層を堆積することによって形成されることを特徴とする、項目14または15に記載の方法。
[項目17]
ZnO、AZO(酸化アルミニウム亜鉛)、SnO
2
、IZO(インジウム酸化亜鉛)、FTO(フッ素ドープ酸化錫)、ZTO(酸化亜鉛錫)、ITO(酸化インジウム錫)、GZO(ガリウムドープ酸化亜鉛)、GIO(酸化ガリウムインジウム)、In
2
O
3
、Sb:SnO
2
、IO:H(酸化水素インジウム)、CdO、Zn
2
SnO
4
、ZnSnO
3
、Zn
2
In
2
O
5
、NiO
x
、NiO
x
:Li、TiO
x
、ZnS、ZnSe、Te
2
O
3
、MoO
x
、V
2
O
5
およびWO
3
からなる群から選択される少なくとも1つの酸化物を含む酸化物材料で作られる少なくとも1つの酸化物層(131、133)と、Al、Ti、Ni、Cr、Au、Mg、Ta、Ge、Ag、Cu、Zr、PtおよびWからなる群から選択される少なくとも1つの金属を含む材料の少なくとも1つの金属層(132)とが、上記バリア層(12)上に上下に個別に形成されるように、上記導電層(13)が形成されることを特徴とする、項目14~16のいずれか一項に記載の方法。
[項目18]
上記バリア層(12)上に、酸化物層(131、133)と金属層(132)、n層の酸化物層(131、133)とn-1層の金属層(132)(nは自然数)が交互に配置されて上下に個別に形成されるように、上記導電層(13)が形成されることを特徴とする、項目14~16のいずれか一項に記載の方法。
[項目19]
上記バリア層(12)上に第1の酸化物層(131)を個別に形成し、次いで上記第1の酸化物層(131)上に金属層(132)を形成し、次いで上記金属層(132)上に第2の酸化物層(133)を形成するように、上記導電層(13)が形成されることを特徴とする、項目17または18に記載の方法。
[項目20]
少なくとも1層の酸化物層(131、133)は、単層構造を有する酸化物層(131、133)を形成するために、1層の酸化物材料を堆積することによって形成されることを特徴とする、項目14~19のいずれか一項に記載の方法。
[項目21]
少なくとも1つの酸化物層(131、133)は、多層構造を有する酸化物層(12)を形成するために、異なる材料の少なくとも2つの酸化物副層を堆積することによって形成されることを特徴とする、項目14~19のいずれか一項に記載の方法。
[項目22]
プラズマ処理、コロナ放電処理、二酸化炭素処理、紫外線照射および紫外線照射オゾン処理、およびアセトン、イソプロパノール、水、アセトンと水の混合物、およびイソプロパノールと水の混合物からなる群から選択される溶媒による洗浄からなる群から選択される少なくとも1つの技術を用いて、上記基板(11)が洗浄および活性化されることを特徴とする、項目14~21のいずれかに記載の方法。
[項目23]
上記バリア層(12)は、原子層堆積(ALD)、マグネトロンスパッタリング、電子ビームスパッタリング法および熱蒸着法からなる群から選択される少なくとも1つの技術を用いて、上記基板(11)上に堆積されることを特徴とする、項目14~22のいずれか一項に記載の方法。
[項目24]
上記導電層(13)は、原子層堆積(ALD)、マグネトロンスパッタリング、電子ビームスパッタリング法および熱蒸着法からなる群から選択される少なくとも1つの技術を用いて、上記基板上に堆積されることを特徴とする、項目14~23のいずれか一項に記載の方法。