(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-10
(45)【発行日】2023-01-18
(54)【発明の名称】高感度アクチュエータを有する車両ドアハンドル
(51)【国際特許分類】
E05B 85/18 20140101AFI20230111BHJP
B60J 5/04 20060101ALI20230111BHJP
E05B 81/76 20140101ALI20230111BHJP
【FI】
E05B85/18 D
B60J5/04 H
E05B81/76
(21)【出願番号】P 2020526235
(86)(22)【出願日】2018-11-05
(86)【国際出願番号】 EP2018080125
(87)【国際公開番号】W WO2019091899
(87)【国際公開日】2019-05-16
【審査請求日】2021-09-07
(32)【優先日】2017-11-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】516180070
【氏名又は名称】ユーシン イタリア ソチエタ ペル アツィオーニ
(73)【特許権者】
【識別番号】515091865
【氏名又は名称】ユーシン ドイチュラント ツーガングスジュステーメ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100083389
【氏名又は名称】竹ノ内 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100198317
【氏名又は名称】横堀 芳徳
(72)【発明者】
【氏名】ヴェルナー ボベルシュミット
(72)【発明者】
【氏名】ギョーム デプレオー
(72)【発明者】
【氏名】コンスタンティン パブロフ
【審査官】砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-533964(JP,A)
【文献】特開2017-8712(JP,A)
【文献】特開平7-82933(JP,A)
【文献】特開2016-142045(JP,A)
【文献】特開2015-90028(JP,A)
【文献】国際公開第2016/151116(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/76047(US,A1)
【文献】特開2018-90960(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 81/76
E05B 85/16-85/18
B60J 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハンドルレバー(102)がドアの外部パネル(100)と同一面であるフラッシユ位置と、前記ハンドルレバー(102)が延在し、前記ドアパネル(100)を開けるためにユーザが把持することができる待機位置と、前記ハンドルレバー(102)が角度αで格納されている内側押し込み位置との間で移動可能な前記ハンドルレバー(102)を有する連結装置(200)を備える車両ドアハンドル(1)であって、
- ハンドルレバーベース(21)に回転可能に接続されたハンドルレバーシャフト(22)と、
- 前記ハンドルレバーシャフト(22)の回転角αを検出することができる位置決め手段(5)と、
- モータ(6)によって回転駆動され、前記ハンドルレバーシャフト(22)を回転駆動する少なくとも1つの連結歯車(70、80)と、
- 前記位置決め手段(5)からの入力を受信し、前記モータ(6)に信号を送信することができる電子制御ユニット(9)とを備えており、
前記電子制御ユニット(9)は、前記ハンドルレバー(102)が内側に押し込まれた所定の回転角αに達すると、前記ハンドルレバー(102)にトルク抵抗が生ずるように、モータ(6)の短絡を起こすことができることを特徴とする車両ドアハンドル(1)。
【請求項2】
前記所定の回転角αは、
-2.3
°≦α≦-0.4
°
数式(1)
で表されることを特徴とする請求項1に記載の車両ドアハンドル(1)。
【請求項3】
前記所定の回転角αは、
-2
°≦α≦-0.5
°
数式(2)
で表されることを特徴とする請求項
1に記載の車両ドアハンドル(1)。
【請求項4】
前記連結歯車(70、80)は、第1ウォームねじ(72)および対応する第1ウォーム歯車(73)を有する第1ウォーム駆動(70)を備えていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の車両ドアハンドル(1)。
【請求項5】
前記連結歯車(70、80)は
、第2ウォームねじ(82)、対応す
る第2ウォーム歯車(83)、および前記第1ウォーム歯車(73)の回転運動を前記第2ウォームねじ(82)に伝達することができる伝達シャフト(81)を有する第2ウォーム駆動(80)をさらに備えていることを特徴とする請求項4に記載の車両ドアハンドル(1)。
【請求項6】
前記モータ(6)は、回転軸(B)が前記伝達シャフト(81)の回転軸(C)に直交するモータ軸(71)を有することを特徴とする請求項5に記載の車両ドアハンドル(1)。
【請求項7】
前記モータ(6)は、回転軸(B)が前記ハンドルレバーシャフト(22)の回転軸(A)と平行であ
るモータ軸(71)を有することを特徴とする請求項
5に記載の車両ドアハンドル(1)。
【請求項8】
前記モータ(6)は、回転軸(B)が前記ハンドルレバーシャフト(22)の回転軸(A)と平行である前記モータ軸(71)を有することを特徴とする請求項6に記載の車両ドアハンドル(1)。
【請求項9】
前記位置決め手段(5)は、前記ハンドルレバーシャフト(22)上で前記ハンドルレバーベース(21)の反対側に配置された磁気センサであることを特徴とする請求項1から
8のいずれか1項に記載の車両ドアハンドル(1)。
【請求項10】
前記ハンドルレバー(102)がクリック位置へ内側に押し込まれたとき、予負荷をかけられたプッシュ-プッシュユニット(4)を解放し、前記ハンドルレバー(102)を非電動状態で前記待機位置に押し出すために、前記ハンドルレバーシャフト(22)と回転可能に連結されており、プッシュ-プッシュレバー(31)を介して前記プッシュ-プッシュユニット(4)と相互作用する、プッシュ-プッシュレバーシリンダ(3)をさらに備えていることを特徴とする請求項1から
9のいずれか1項に記載の車両ドアハンドル
(1)。
【請求項11】
予負荷をかけられた前記プッシュ-プッシュユニット(4)を解放し、前記ハンドルレバー(102)を非電動状態で前記待機位置に押し出すための前記クリック位置には、厳密に-2.3°を超える回転角αで到達するようにすることができることを特徴とする請求項
10に記載の車両ドアハンドル(1)。
【請求項12】
前記電子制御ユニット(9)は、前記ハンドルレバー(102)にトルク抵抗が発生した後、所定の時間(t)に前記ハンドルレバー(102)を延在させ、または格納するように前記モータ(6)にさらに指示することができることを特徴とする請求項1から
11のいずれか1項に記載の車両ドアハンドル(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両ドアアセンブリに関し、特にフラッシユタイプのドアハンドルレバーを有する車両ドアアセンブリに関する。
【0002】
このような車両ドアハンドルアセンブリは、作動するとハンドルレバーをフラッシユ位置と待機位置との間で動かすモータを備えている。フラッシュ位置では、ハンドルレバーはドア本体の外面と同一面である。待機位置では、ハンドルレバーは、ユーザが把持することができるように、ドア本体の外面から突出している。
【0003】
ユーザが待機位置でハンドルレバーを把持し、さらに突出した、または延在したロック解除位置までハンドルレバーを引くことにより、ドアのラッチを解除することができる。ここで、ハンドルドアレバーは、ラッチメカニズムと(ボーデンケーブル、回転ピンまたは歯車機構を介して)相互作用することで、ドアのラッチを解除する。
【0004】
モータは、ドアを開閉した後、ハンドルレバーを待機位置からフラッシュ位置に動かすこともできる。ハンドルレバースプリングは、ユーザがハンドルレバーを離すと、ハンドルレバーを待機位置に戻す。
【0005】
このようなドアハンドルアセンブリはまた、例えば、モータまたはバッテリーが故障した場合、すなわちモータを起動できない場合に、ドアを開くことができるバックアップ機構を備えている。この機構は、例えば、プッシュ-プッシュ機構を備えており、ユーザは、ハンドルレバーを、フラッシユ位置または待機位置から、予負荷をかけられたスプリングが解放されるクリック位置に到達するまで、内側に深く押し込む。この予負荷をかけられたスプリングが解放されると、ハンドルレバーを内側のクリック位置から突出した、または延在した待機位置に押し出す。
【0006】
ユーザがバックアップモードで車両にアクセスすると、バッテリーは、通常、再充電され、および/または、モータの故障が解消され、通常の電動作動を再開することができる。
【0007】
通常の機能では、モータは、ウォーム駆動および歯車機構などの減速機構を介してハンドルレバーを動かし、トルク値を増加させながらモータの回転速度を減速させる。ユーザが、レバーに関連するハンドルを、フラッシユ位置からクリック位置まで押し込むと、この減速機構が逆に作動する。
【背景技術】
【0008】
車両ドアの外面から平行に延在し、かつドアハンドルが外面と同一面になるまでドアハンドルを格納するドアハンドルアセンブリに関する特許文献1が知られている。このドアハンドルアセンブリは、平面ハンドル部材およびハンドルベース部材から形成されているドアハンドルを備えている。ハンドルベース部材に連結されている平面ハンドル部材と、ハンドルベース部材の裏側に連結されているスイングアームとは、ドアハンドルを延在させ、かつ格納する。第1の上部フォークは、第1のポスト部の遠位部の近くのハンドルベース部材の背面に回転可能に連結されており、第2の上部フォークは、第2のポスト部の遠位部の近くのハンドルベース部材の背面に回転可能に連結されている。スイングアームの下部デュアルフォーク部は、内側のドア面に取り付けられているシャフトの周りを旋回する。しかし、車両ハンドルを延在させるために、ユーザが手で平面ハンドル部材を内側に押し込む際に、ユーザは、どのくらい深く押し込めばよいのか、つまりいつ押し込むこと止めればよいかが分からない。
【0009】
特許文献2も知られている。本発明は、車両ドアのハンドルに関し、ドアのラッチを解除するために車両ドアのラッチを作動させるようになっている起動部材と、ドアのラッチを解除するために起動部材と協働するようになっている把持部材とを備えている。把持部材は把持部を備えており、把持部材は、把持部がドアの外部パネルと同一面に延在するフラッシユ位置と、把持部が外部パネルに対して突出し、把持することができ、かつ把持部材が起動部材と協働する作動位置と、ラッチを作動させてドアのラッチを解除するために把持部材が起動部材を駆動する開位置との間で移動することができ、把持部材がフラッシユ位置と作動位置との間で駆動することができるように、駆動機構とアクチュエータレバーとは、把持部材と協働し、把持部材が開方向に沿って引かれると、ハンドルにおいては、把持部材が起動部材を駆動し、次にドアのラッチを解除するために起動部材がラッチを作動するようになっている。しかし、特許文献2の記載では、車両ハンドルを延在させるために、ユーザが手で平面ハンドル部材を内側に押し込む際に、ユーザは、どのくらい深く押し込めばよいのか、つまりいつ押し込むこと止めればよいかが分からない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】米国特許出願公開第2013/0076047号明細書
【文献】欧州特許出願公開第3106594号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明により解決しようとする課題は、電動状態かつ審美的状態でドアハンドルを延在させるために、いつドアハンドルを押し込むことを止めればよいかをユーザに知らせることである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
従来技術で特定された問題点を解消するために、本発明の目的は、ハンドルレバーがドアの外部パネルと同一面であるフラッシユ位置と、前記ハンドルレバーが延在し、前記ドアパネルを開けるためにユーザが把持することができる待機位置と、前記ハンドルレバーが角度αで格納されている内側押し込み位置との間で移動可能な前記ハンドルレバーを有する連結装置を備える車両ドアハンドルを提供することであり、前記車両ドアハンドルは、
- ハンドルレバーベースに回転可能に接続されたハンドルレバーシャフトと、
- 前記ハンドルレバーシャフトの回転角αを検出することができる位置決め手段と、
- モータによって回転駆動され、前記ハンドルレバーシャフトを回転駆動する少なくとも1つの連結歯車と、
- 前記位置決め手段からの入力を受信し、前記モータに信号を送信することができる電子制御ユニットとを備えており、
前記電子制御ユニットは、前記ハンドルレバーが内側に押し込まれた所定の回転角αに達すると、前記ハンドルレバーにトルク抵抗が生ずるように、モータの短絡を起こすことができることを特徴としている。
【0013】
好ましい実施形態では、前記所定の回転角αは、次式で表される。
-2.3≦α≦-0.4
数式(1)
【0014】
こうして、動きを早期に検出することができ、かつ電動ドアハンドル延伸部を起動することができる。
【0015】
さらなる改良では、前記所定の回転角αは、次式で表される。
-2≦α≦-0.5
数式(2)
【0016】
こうして、より正確で再現性のある動きを検出することができ、かつ電動ドアハンドル延伸部を起動することができる。
【0017】
好ましくは、前記連結歯車は、第1ウォームねじおよび対応する第1ウォーム歯車を有する第1ウォーム駆動を備えている。これにより、前記第1ウォームねじおよび前記第1ウォーム歯車に含まれる螺旋状の歯により前記連結歯車のノイズが減少する。
【0018】
さらに好ましい実施形態では、抵抗トルクを増加させて、前記ユーザに所望の角度に到達したことを通知するために、前記連結歯車は、前記第2ウォームねじ、対応する前記第2ウォーム歯車、および前記第1ウォーム歯車の回転運動を前記第2ウォームねじに伝達することができる伝達シャフトを有する第2ウォーム駆動をさらに備えている。
【0019】
本発明によれば、ハンドルフレームの容積を減らし、ドアフレームを薄くするために、前記モータは、回転軸が前記伝達シャフトの回転軸に直交するモータ軸を有することが好ましい。
【0020】
本発明によれば、前記ハンドルフレームの容積を減らし、前記ドアフレームの厚さを節約するために、前記モータは、回転軸が前記ハンドルレバーシャフトの回転軸と平行であるモータ軸を有することも好ましい。
【0021】
本発明のさらなる改良によれば、前記位置決め手段は、回転角の精度を改善するために、前記ハンドルレバーシャフト上で前記ハンドルレバーベースの反対側に配置された磁気センサである。
【0022】
本発明による車両ドアハンドルは、前記ハンドルレバーがクリック位置へ内側に押し込まれたとき、予負荷をかけられたプッシュ-プッシュユニットを解放し、前記ハンドルレバーを非電動状態で前記待機位置に押し出すために、前記ハンドルレバーシャフトと回転可能に連結されており、プッシュ-プッシュレバーを介して前記プッシュ-プッシュユニットと相互作用する、プッシュ-プッシュレバーシリンダをさらに含むことができる。これにより、電気系統に障害が発生し、モータが作動不能になった場合に、機械的機構により完全にバックアップすることができる。
【0023】
さらに、予負荷をかけられた前記プッシュ-プッシュユニットを解放し、前記ハンドルレバーを非電動状態で前記待機位置に押し出すための前記クリック位置には、厳密に-2.3°を超える回転角αで到達するようにすることができる。こうして、電気系統に障害がない場合は、バックアップ機構の不本意な起動を回避することができる。
【0024】
さらに、前記電子制御ユニットは、前記ハンドルレバーにトルク抵抗が発生した後、所定の時間(t)に前記ハンドルレバーを延在させ、または格納するように前記モータにさらに指示することができる。こうして、本発明による機構を異なる始動位置で使用することができる。たとえば、待機位置から内側に押し込んだ後、格納指示を出すことができる。
【0025】
本発明によるドアハンドルでは、ドアハンドルレバーベースによって伝達されるドアハンドルによって反力が加えられる。このような反力は、電動ドアハンドル延伸部を起動させるのに十分な深さまでドアハンドルを押し込んだことをユーザに知らせる。
【0026】
こうして、車両制御ユニットおよび/またはドア制御ユニットが、所定の角度αに達したという位置決め手段からの信号を検出したときに、ユーザは、メッセージを受け取る。この位置決め手段は、角度精度を改善するためにハンドルレバーシャフトに配置されたセンサであることが好ましい。
【0027】
位置決め手段の出力、例えばセンサ出力は、ドアハンドルおよび/または車両の制御ユニットが受信する。モータの短絡のコマンドは、モータの正と負の端子を接続することによって、制御ユニットから送信される。その結果、ハンドルレバーが内側に押し込まれると、追加の負荷がかかり抵抗が増加する。反転により、モータ軸に高い抵抗トルクが発生する。このようなトルクは、本発明によるウォーム駆動機構またはドアハンドルのギアボックスによってハンドルレバーベースに伝達され、ロック解除ポイントに到達したことをユーザは感知する。本発明による2段減速機構を使用する場合、モータの短絡によって得られる追加のトルクは、60倍以上に増幅される。
【発明の効果】
【0028】
ユーザは、バックアッププッシュ-プッシュ機械システムをさらに押し込み、潜在的に活性化させる代わりに、追加の負荷を感じて、適切なタイミングでプッシュ動作を停止する。
【0029】
ユーザは、バックアッププッシュ-プッシュ機械システムをさらに押し込み、潜在的に活性化させる代わりに、追加の負荷を感じて、適切なタイミングでプッシュ動作を停止する。
【0030】
本発明の利点は、ドアハンドル用のバッテリー残量が少ない場合に、このモータの短絡の追加の負荷を作動させず、本発明によるドアハンドルの延伸部の安全(バックアップ)機構を妨げないことである。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】異なる位置で表されるハンドルレバーを含むドアハンドルを備えた車両ドアの模式的断面図である。
【
図2】本発明による車両ドアハンドルの模式的側面図である。
【
図3】第1変速段を示すドアハンドルアクチュエータの側面図である。
【
図4】
図3の軸Aに直交する平面に沿った第2変速段を示すドアハンドルアクチュエータの正面図である。
【
図5】ロック解除の機械的応答を起動するプッシュ機構を示す図である。
【
図6】ロック解除の機械的応答を起動するプッシュ機構の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明の特徴および利点は、図面に示す本発明の例示的かつ非限定的な実施形態に関する以下の説明を読むことにより、明らかになると思う。
【0033】
すべての図において、同じ構成要素には同じ符号を付してある。
【0034】
図面は、本発明の適切な実施形態を示しているが、この実施形態を組み合わせることにより、またはこれをわずかに変更することにより、他の実施形態を得ることができる。以下において、「内向き」、「外向き」などの用語は、それぞれ車両の内側および外側を指している。
【0035】
図1は、ドアハンドル1が組み込まれている車両のドアパネル100の一連の模式的断面図である。ドアパネル100は、車両の外面を形成し、ドアハンドル1は、実質的に、ハンドルレバー102、すなわち、ユーザが把持して動かす部分、とハンドルフレーム101、すなわち、ハンドルレバー102の作動中に動かない部分、とによって示してある。
【0036】
図1の最初の断面
図1aでは、ハンドルレバー102は、フラッシユ位置にある。このフラッシユ位置では、ハンドルレバー102の外面は、ドアパネル100と同一面である。このフラッシユ位置は、車両を運転しているとき、または長時間駐車しているときの位置である。フラッシユ位置では、ハンドルレバー102は、駐車中は、通行人によって偶然または故意に動かされる可能性が低く、また運転中は、空気抵抗を減少させている。フラッシユ位置では、ハンドルレバー102は、体裁が良く、かつ目立たないようにドアパネル100に組み込まれているように見える。
【0037】
図1の2番目の断面
図1bでは、ハンドルレバー102は、待機位置にある。この待機位置では、ハンドルレバー102は、ユーザが把持することができるように、ハンドル軸Aの周りに所定の角度、例えば20°~45°だけ外向きに回転している。ドアハンドルレバー(102)がドアパネルと同一面である場合、角度αは0°に等しく、三角基準は
図1の正と負の角度を明確にするために使用される。この待機位置は、ユーザが車両に近づき、例えばキーまたはRFIDセキュリティトークンに組み込まれたリモートコントロールを使用するか、ドアフレームまたはドアフレームの近くにあるボタンを押すことで、ドアのロックを解除するときの位置である。この位置では、ユーザは、ハンドルレバー102を利用することができ、把持することができる。
【0038】
図1の3番目の断面
図1cでは、ハンドルレバー102は、開位置にある。待機位置と比較して、ハンドルレバー102は、ユーザによって、例えば40°~60°およびそれ以上の角度だけ更に外向きに回転させられている。ハンドルレバー102は、ラッチ機構と相互作用してドアのラッチを解除する。その結果、ラッチは解除され、ハンドルレバー102をさらに引くことにより、ドアを開ける準備が整う。
【0039】
図1dは、アクチュエータを起動し、車両ドアハンドルを延在させるために、ハンドルレバー102がセンサによって検出された角度αで内側に押し込まれている時の状況を表している。
図1dでは、ドアハンドルは、
図1dの三角基準を使用して、-0.4°~-2.3°の角度αで内側に押し込まれている。この角度は、ドアハンドルレバーベース21に配置されたセンサによって検出される。次に、制御ユニット9は、モータ駆動アクチュエータを起動し、車両ドアハンドルを延在させる。
【0040】
ハンドルレバー102をフラッシユ位置から待機位置に駆動する機構が機械的または電気的に故障した場合、ユーザは、ハンドルレバー102に内向きの圧力Pを加えることにより、-2.4°~-5°の角度αでドアパネル100に対してレバー102を内側に深く押し込むことができる。この場合、ハンドルはクリック位置と呼ばれる位置に達し、ここで「クリック」と呼ばれる機械的相互作用により、プッシュ-プッシュユニット4のプッシュ-プッシュスプリング41が解放される。プッシュ-プッシュユニット4は、ハンドルレバーシャフト22に回転固定式に接続されたプッシュ-プッシュレバー31を介してモータを作動させることなく、ハンドルレバー102を待機位置に駆動する。
【0041】
したがって、ドアハンドル延伸部を待機位置に起動するには、2つの工程がある。第1の工程は、-0.4°~-2.3°の角度αで押し込み、電動アクチュエータを用いてドアハンドル延伸部を起動させること、第2のバックアップ工程は、-2.4°~-5°の角度αでの押し込みを含む機構の電気的障害の場合に使用され、バックアッププッシュ-プッシュ非電動機構を用いてドアハンドル延伸部を起動させることである。
【0042】
図2では、ハンドルレバー102は、車両ドアパネル100の内面に取り付けられたハンドルフレーム101に対して回転可能である。ハンドルフレーム101内には、ドアハンドル1のほとんどの部品が収容されている。
【0043】
ハンドルフレーム101のハウジング内には、
図3に示されている減速機構(70、80)を有するモータ6が設けられている。モータ6は、車両のバッテリーからの電流によって作動する。減速機構(70、80)は、回転速度を下げ、トルク値を増加させることにより、モータ6の回転出力運動を調整している。減速機構(70、80)は、ハンドルレバー102をフラッシユ位置から待機位置まで、または逆に待機位置からフラッシユ位置まで動かす。
【0044】
減速機構(70、80)は、例えば、減速ホイール歯車システムおよび/またはウォーム歯車システムを有する1つ以上の減速段を備えている。この実施形態では、
図3および
図4は、変速機または連結装置200のステージ1およびステージ2を示している。ステージ1は70で表され、ステージ2は80で表されている。
【0045】
図3および
図4では、連結装置200は、ハンドルレバーベース21から軸方向に延びるハンドルレバーシャフト22と、減速機構(70、80)とを備えている。
【0046】
減速機構は、第1減速段70と第2減速段80とを備えており、それぞれがウォーム駆動、すなわち、ウォームねじがウォーム歯車と噛み合う歯車配列であり、ここでは、ウォームねじである螺旋状の歯を有する歯車である。したがって、第1減速段70のウォーム駆動は、
図3に示す第1ウォームねじ72と第1ウォーム歯車73とを備えており、第2減速段80のウォーム駆動は、
図4に示す第2ウォームねじ82と第2ウォーム歯車83とを備えている。
【0047】
図3に示す第1減速段70の第1ウォームねじ72は、モータ6により加えられるトルクによって動かされる。次に、この第1減速段70の第1ウォームねじ72は、第1ウォーム歯車73に第1軸Aに直交する第2軸Cの周りで回転運動をさせる。第1ウォーム歯車73の回転運動は、伝達シャフト81(
図3参照)によって第2減速段80の第2ウォームねじ82に伝達される。ドアハンドルアセンブリの容積を減らすために、ハンドルレバーシャフト22の回転軸Aとモータシャフト71の回転軸Bとは、平行であり、両方の軸(A、B)は、伝達シャフト81の軸Cに直交している。
【0048】
第2減速段80の第2ウォームねじ82は、第2ウォーム歯車83を作動させる。第2ウォーム歯車83は、ハンドルレバーシャフト22に回転可能に連結されている。特に、この実施形態では、第2ウォーム歯車83は、ハンドルレバーシャフト22のハンドルレバーベース21と反対側の部分を形成している。
【0049】
第2ウォーム歯車83は、
図4のハンドルレバーシャフト22の下方軸部を形成する管状体を備えており、その下部は、ウォーム駆動を形成するために、第2ウォーム歯車83と噛み合う螺旋歯を担持している。プッシュプッシュレバー31は、第2ウォーム歯車83の管状体から径方向に突出している。
【0050】
2段階減速機構(70、80)は、連結装置200を動かす。連結装置200は、ハンドルレバー102を組み立てるためのハンドルレバー体(図示せず)を連結するハンドルレバーベース21を備えている。
【0051】
ハンドルフレーム101は、2つのガイドロッド44の周りに配置されている2つのプッシュ-プッシュスプリング41を備えたプッシュ-プッシュユニット4も収容している。プッシュ-プッシュスプリング41は、解除されると、連結装置200のプッシュ-プッシュレバー31(
図2参照)を押すことができるプッシュ-プッシュフィンガー46を担持しているスライダー43を押し出す。プッシュ-プッシュフィンガー46は、特に、ゴム、軟質プラスチック、または任意の衝撃吸収材料でできている。
【0052】
プッシュ-プッシュスプリング41およびガイドロッド44は、解除機構42の両側に配置されており、クリック位置まで押し込まれると、解除機構42は、スライダー43を解除し、次にスライダー43は、ガイドロッド44に沿ってプッシュ-プッシュスプリング41によって押し出され、プッシュ-プッシュレバー31を押し出す。したがって、ハンドルレバー102を回転させて待機位置まで駆動する。
【0053】
ハンドルレバー102の回転位置は、連結装置200の下部に設けることができる位置決め手段5によって検出される。この位置決め手段5は、磁気インデックスおよび磁気センサ(例えば、ホール効果センサ)を備えている。磁気インデックスは、ハンドルレバー102と共に回転し、磁気センサは、磁気インデックスの正確な回転位置、すなわちハンドルレバー102の正確な位置を決定する。
【0054】
力、力の変化、距離またはストローク、電気抵抗または電気抵抗の変化、さらには変形を検出できる限り、センサは、機械的、電気機械的、磁気的、圧電的とすることができることに留意すべきである。重要な点は、電子制御ユニットから受信した情報を検出および処理して信号に変換できることである。
【0055】
好ましい実施形態では、位置決め手段は、ハンドルレバーを直接位置決めする磁気センサユニットである。このような位置決めの効果は、アクチュエータの位置決めと相関がないため、磁気センサがハンドルの位置を直接感知していることである。運動連鎖が減少するため、つまり累積クリアランスが減少するため、感知精度が向上する。
【0056】
第2ウォーム歯車83およびプッシュ-プッシュレバーシリンダ3は、ハンドルレバーシャフト22の2つの軸部分に対応し、軸方向に離間してハンドルレバーシャフト22を囲んでいる。
【0057】
このハンドルレバーシャフト22は、ハンドルレバーベース21、第2ウォーム歯車83およびプッシュ-プッシュレバーシリンダ3と回転するように連結されており、特に、これらは強固に連結することができる。
【0058】
第2ウォーム歯車83は、螺旋状の噛み合い歯831によって、その軸側部の一部が覆われている管状体を備えており、例えば第1任意段のようなウォーム歯車リンクを介してモータ6と直接的または間接的に協働している。本発明によるドアハンドルを示す
図5では、押し込む際の、ハンドルレバー102の様々な位置を表している。フラッシュ位置では、角度αはゼロと見なされている。
【0059】
本発明によるドアハンドルでは、ハンドルレバーベース21によって伝達されるドアハンドルによって反力が加えられる。このような反力は、電動ドアハンドル延伸部を起動させるのに十分な深さまでドアハンドルを押し込んだことをユーザに知らせる。
【0060】
こうして、車両制御ユニット9および/またはドア制御ユニット9が、位置決め手段5から、-0.4°~-2.3°の角度αに達したという信号を検出したときに、ユーザは、メッセージを受け取る。この位置決め手段は、角度精度を改善するために、ハンドルレバーシャフトに配置されたセンサであることが好ましい。
【0061】
位置決め手段5の出力、例えばセンサ5の出力は、ドアハンドル1および/または車両の制御ユニット9が受信する。モータの短絡のコマンドは、モータ6の正と負の端子を接続することによって、制御ユニット9から送信される。その結果、ハンドルレバーが内側に押し込まれると、追加の負荷がかかり抵抗が増加する。反転により、モータ軸に高い抵抗トルクが発生する。このようなトルクは、本発明によるウォーム駆動機構またはドアハンドルのギアボックスによってハンドルレバーベースに伝達され、ロック解除ポイントに到達したことをユーザは感知する。本発明による2段減速機構(70、80)を使用する場合、モータ6の短絡によって得られる追加のトルクは、60倍以上に増幅される。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明によるドアハンドル用の連結装置は、動作を起動するために、位置決め手段、モータ、および特定のストローク範囲内のユーザからの動作を使用する如何なる用途の如何なるシステムにおいて使用することができる。
【符号の説明】
【0063】
1 ドアハンドル
3 プッシュ-プッシュレバーシリンダ
4 プッシュ-プッシュユニット
5 位置決め手段
6 モータ
9 制御ユニット
21 ハンドルレバーベース
22 ハンドルレバーシャフト
31 プッシュ-プッシュレバー
41 プッシュ-プッシュスプリング
42 解除機構
43 スライダー
44 ガイドロッド
46 プッシュ-プッシュフィンガー
70 第1減速機構(第1減速段)
71 モータシャフト
72 第1ウォームねじ
73 第1ウォーム歯車
80 第2減速機構(第2減速段)
81 伝達シャフト
82 第2ウォームねじ
83 第2ウォーム歯車
100 ドアパネル
101 ハンドルフレーム
102 ハンドルレバー
200 連結装置
A 第1軸
B 回転軸
C 第2軸