(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-10
(45)【発行日】2023-01-18
(54)【発明の名称】癌の治療及び/又は予防用医薬組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 47/68 20170101AFI20230111BHJP
A61K 31/4745 20060101ALI20230111BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20230111BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20230111BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20230111BHJP
C07K 16/30 20060101ALN20230111BHJP
A61K 47/22 20060101ALN20230111BHJP
A61K 47/36 20060101ALN20230111BHJP
A61K 47/42 20170101ALN20230111BHJP
A61K 47/46 20060101ALN20230111BHJP
【FI】
A61K47/68 ZNA
A61K31/4745
A61K39/395 N
A61K39/395 Y
A61P35/00
A61P35/02
C07K16/30
A61K47/22
A61K47/36
A61K47/42
A61K47/46
(21)【出願番号】P 2017563359
(86)(22)【出願日】2017-10-27
(86)【国際出願番号】 JP2017038986
(87)【国際公開番号】W WO2018079740
(87)【国際公開日】2018-05-03
【審査請求日】2020-10-26
(31)【優先権主張番号】P 2016211376
(32)【優先日】2016-10-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003159
【氏名又は名称】東レ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡野 文義
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 孝則
【審査官】深草 亜子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/020212(WO,A1)
【文献】特表2015-524399(JP,A)
【文献】国際公開第2010/016525(WO,A1)
【文献】国際公開第2013/147169(WO,A1)
【文献】国際公開第2010/095463(WO,A1)
【文献】特表2016-516798(JP,A)
【文献】European Journal of Cancer,2016年07月,Vol.61,suppl.1,S211 Abs.No.910
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 47/00-47/69
A61K 39/00-39/44
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CA/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号2~30のうち偶数の配列番号のいずれかで表されるアミノ酸配列を有するCAPRIN-1タンパク質と免疫学的反応性を有し、かつ癌細胞の細胞膜表面に発現したCAPRIN-1タンパク質領域と特異的に結合する抗体又はそのフラグメントと、免疫活性化因子が結合されてなるコンジュゲートであって、免疫活性化因子が、Toll様受容体(TLR)7又は8に結合するリガンド又はアゴニストであるイミダゾキノリン類化合物である、コンジュゲート。
【請求項2】
前記抗体又はそのフラグメントが、配列番号31~35、296~299、308、309のいずれかで表されるアミノ酸配列を有するCAPRIN-1タンパク質の部分ポリペプチドと免疫学的反応性を有する、請求項1に記載のコンジュゲート。
【請求項3】
前記抗体がモノクローナル抗体又はポリクローナル抗体である、請求項1又は2に記載のコンジュゲート。
【請求項4】
前記抗体又はそのフラグメントが以下の(A)~(M)のいずれかである、請求項1~3のいずれか1項に記載のコンジュゲート
:
(A)配列番号36、37及び38の相補性決定領域(それぞれCDR1、CDR2及びCDR3)を含む重鎖可変領域と配列番号40、41及び42の相補性決定領域(それぞれCDR1、CDR2及びCDR3)を含む軽鎖可変領域とを含み、かつ、CAPRIN-1タンパク質と免疫学的反応性を有する抗体又はフラグメント
(B)配列番号44、45及び46の相補性決定領域(それぞれCDR1、CDR2及びCDR3)を含む重鎖可変領域と配列番号48、49及び50の相補性決定領域(それぞれCDR1、CDR2及びCDR3)を含む軽鎖可変領域とを含み、かつ、CAPRIN-1タンパク質と免疫学的反応性を有する抗体又はフラグメント
(C)配列番号52、53及び54の相補性決定領域(それぞれCDR1、CDR2及びCDR3)を含む重鎖可変領域と配列番号56、57及び58の相補性決定領域(それぞれCDR1、CDR2及びCDR3)を含む軽鎖可変領域とを含み、かつ、CAPRIN-1タンパク質と免疫学的反応性を有する抗体又はフラグメント
(D)配列番号60、61及び62の相補性決定領域(それぞれCDR1、CDR2及びCDR3)を含む重鎖可変領域と配列番号64、65及び66の相補性決定領域(それぞれCDR1、CDR2及びCDR3)を含む軽鎖可変領域とを含み、かつ、CAPRIN-1タンパク質と免疫学的反応性を有する抗体又はフラグメント
(E)配列番号170、171及び172の相補性決定領域(それぞれCDR1、CDR2及びCDR3)を含む重鎖可変領域と配列番号173、174及び175の相補性決定領域(それぞれCDR1、CDR2及びCDR3)を含む軽鎖可変領域とを含み、かつ、CAPRIN-1タンパク質と免疫学的反応性を有する抗体又はそのフラグメント
(F)配列番号176、177及び178の相補性決定領域(それぞれCDR1、CDR2及びCDR3)を含む重鎖可変領域と配列番号179、180及び181の相補性決定領域(それぞれCDR1、CDR2及びCDR3)を含む軽鎖可変領域とを含み、かつ、CAPRIN-1タンパク質と免疫学的反応性を有する抗体又はそのフラグメント
(G)配列番号182、183及び184の相補性決定領域(それぞれCDR1、CDR2及びCDR3)を含む重鎖可変領域と配列番号185、186及び187の相補性決定領域(それぞれCDR1、CDR2及びCDR3)を含む軽鎖可変領域とを含み、かつ、CAPRIN-1タンパク質と免疫学的反応性を有する抗体又はそのフラグメント
(H)配列番号188、189及び190の相補性決定領域(それぞれCDR1、CDR2及びCDR3)を含む重鎖可変領域と配列番号191、192及び193の相補性決定領域(それぞれCDR1、CDR2及びCDR3)を含む軽鎖可変領域とを含み、かつ、CAPRIN-1タンパク質と免疫学的反応性を有する抗体又はそのフラグメント
(I)配列番号146、147及び148の相補性決定領域(それぞれCDR1、CDR2及びCDR3)を含む重鎖可変領域と配列番号149、150及び151の相補性決定領域(それぞれCDR1、CDR2及びCDR3)を含む軽鎖可変領域とを含み、かつ、CAPRIN-1タンパク質と免疫学的反応性を有する抗体又はそのフラグメント
(J)配列番号272、273及び274の相補性決定領域(それぞれCDR1、CDR2及びCDR3)を含む重鎖可変領域と配列番号275、276及び277の相補性決定領域(それぞれCDR1、CDR2及びCDR3)を含む軽鎖可変領域とを含み、かつ、CAPRIN-1タンパク質と免疫学的反応性を有する抗体又はそのフラグメント
(K)配列番号290、291及び292の相補性決定領域(それぞれCDR1、CDR2及びCDR3)を含む重鎖可変領域と配列番号293、294及び295の相補性決定領域(それぞれCDR1、CDR2及びCDR3)を含む軽鎖可変領域とを含み、かつ、CAPRIN-1タンパク質と免疫学的反応性を有する抗体又はそのフラグメント
(L)配列番号
300、
301及び
302の相補性決定領域(それぞれCDR1、CDR2及びCDR3)を含む重鎖可変領域と配列番号
304、
305及び
306の相補性決定領域(それぞれCDR1、CDR2及びCDR3)を含む軽鎖可変領域とを含み、かつ、CAPRIN-1タンパク質と免疫学的反応性を有する抗体又はそのフラグメント
(M)配列番号134、135及び136の相補性決定領域(それぞれCDR1、CDR2及びCDR3)を含む重鎖可変領域と配列番号137、138及び139の相補性決定領域(それぞれCDR1、CDR2及びCDR3)を含む軽鎖可変領域とを含み、かつ、CAPRIN-1タンパク質と免疫学的反応性を有する抗体又はそのフラグメント
。
【請求項5】
前記抗体又はそのフラグメントが以下の(a)~(al)のいずれかである、請求項1~4のいずれか1項に記載のコンジュゲート
:
(a)重鎖可変領域が配列番号39のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号43のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント
(b)重鎖可変領域が配列番号47のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号51のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント
(c)重鎖可変領域が配列番号55のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号59のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント
(d)重鎖可変領域が配列番号63のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号67のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント
(e)重鎖可変領域が配列番号68のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号69のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント
(f)重鎖可変領域が配列番号70のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号71のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント
(g)重鎖可変領域が配列番号72のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号73のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント
(h)重鎖可変領域が配列番号74のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号75のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント
(i)重鎖可変領域が配列番号76のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号77のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント
(j)重鎖可変領域が配列番号78のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号79のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント
(k)重鎖可変領域が配列番号80のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号81のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント
(l)重鎖可変領域が配列番号82のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号83のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント
(m)重鎖可変領域が配列番号84のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号85のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント
(n)重鎖可変領域が配列番号86のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号87のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント
(o)重鎖可変領域が配列番号88のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号89のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント
(p)重鎖可変領域が配列番号90のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号91のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント
(q)重鎖可変領域が配列番号92のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号93のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント
(r)重鎖可変領域が配列番号94のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号95のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント
(s)重鎖可変領域が配列番号96のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号97のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント
(t)重鎖可変領域が配列番号98のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号99のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント
(u)重鎖可変領域が配列番号100のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号101のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント
(v)重鎖可変領域が配列番号102のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号103のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント
(w)重鎖可変領域が配列番号104のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号105のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント
(x)重鎖可変領域が配列番号106のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号107のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント
(y)重鎖可変領域が配列番号108のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号109のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント
(z)重鎖可変領域が配列番号110のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号111のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント
(aa)重鎖可変領域が配列番号112のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号113のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント
(ab)重鎖可変領域が配列番号114のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号115のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント
(ac)重鎖可変領域が配列番号116のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号117のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント
(ad)重鎖可変領域が配列番号118のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号119のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント
(ae)重鎖可変領域が配列番号120のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号121のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント
(af)重鎖可変領域が配列番号122のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号123のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント
(ag)重鎖可変領域が配列番号124のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号125のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント
(ah)重鎖可変領域が配列番号126のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号127のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント
(ai)重鎖可変領域が配列番号128のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号129のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント
(aj)重鎖可変領域が配列番号130のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号131のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント
(ak)重鎖可変領域が配列番号132のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号133のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント
(al)重鎖可変領域が配列番号
303のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号
307のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント。
【請求項6】
前記抗体が、ヒト抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体又は単鎖抗体である、請求項1~5のいずれか1項に記載のコンジュゲート。
【請求項7】
前記抗体又はそのフラグメントと前記免疫活性化因子がリンカーを介して結合する、請求項1~6のいずれか1項に記載のコンジュゲート。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載のコンジュゲートを有効成分として含む、癌の治療及び/又は予防のための医薬組成物。
【請求項9】
前記癌がCAPRIN-1タンパク質を細胞膜表面に発現する癌である、請求項8に記載の医薬組成物。
【請求項10】
前記癌が、乳癌、腎癌、膵臓癌、大腸癌、肺癌、脳腫瘍、胃癌、子宮癌、卵巣癌、前立腺癌、膀胱癌、食道癌、白血病、リンパ腫、肝臓癌、胆嚢癌、肉腫、肥満細胞腫、メラノーマ、副腎皮質癌、ユーイング腫瘍、ホジキンリンパ腫、中皮腫、多発性骨髄腫、睾丸癌、甲状腺癌、及び頭頸部癌からなる群から選択される、請求項8又は9に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、CAPRIN-1タンパク質に対する抗体と免疫活性化因子とのコンジュゲートと、それを用いた癌の治療及び/又は予防剤等としての医薬用途に関する。
【背景技術】
【0002】
癌細胞上の特異的抗原タンパク質を標的にした、各種抗体医薬は、その癌特異性から、副作用が少ない癌治療薬として癌治療に適用されている。例えば、多くの固形癌の細胞膜表面には、Cytopasmic-activation and proliferation-associated protein 1(CAPRIN-1)が発現しており、このCAPRIN-1タンパク質に対する抗体が癌の治療及び/又は予防用医薬用途として有望であることが知られている(特許文献1)。
【0003】
近年、これら抗体医薬の薬効を増強する検討が進められ、特に、細胞に対して直接的に強い殺傷能力を有する薬物と抗体をコンジュゲートした、抗体-薬物複合体(ADC)の開発が盛んに進められている(非特許文献1及び2)。ADCの例としては、既存抗体医薬であるトラスツマブに細胞に殺傷性を示す薬物エムタンシン(DM1)が連結されたカドサイラ(登録商標)(Trastuzumab emtansine)や、抗CD30モノクローナル抗体にモノメチルアウリスタチンE(MMAE)が連結されたアドセトリス(登録商標)(Brentuximab vedotin)が一部の癌の治療に用いられており、従来の治療法に比べて生存率の延長が示され、既存癌治療法に対する有用性が示されている(非特許文献3及び4)。
【0004】
また、別の例では、癌に対する抗体医薬に、免疫活性化因子をコンジュゲートして薬効の増強を試みる検討も実施されている。例えば、免疫活性化因子の一つResiquimodを既存の抗体医薬であるトラスツマブやセツキシマブへ結合させたコンジュゲート、あるいは、CD20を標的抗原とした抗体医薬であるリツキシマブと各種免疫活性化因子とのコンジュゲートにより、動物モデルにおいて抗体の薬効増強効果が認められている(特許文献2及び3)。
【0005】
上記の通り、様々な因子を各種抗体とコンジュゲートすることで、癌に対する抗体医薬の薬効増強の試みが進められているが、様々な癌を完全に退縮させるほどの強力な抗腫瘍効果が得られてはいない。また、癌の再発や転移を予防する効果などは示されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】WO2010/016526
【文献】WO2014/012479
【文献】米国特許8,951,528号
【非特許文献】
【0007】
【文献】Lancet Oncol 2016;17:e254-62
【文献】Pharm Res.2015 Nov;32(11):3526-40
【文献】New England Journal of Medicine 367;19(8),2012,p.1783-1791
【文献】MAbs 2012;4(4):458-65
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、癌細胞の細胞膜表面に発現するCAPRIN-1タンパク質に対する抗体又はそのフラグメントによる抗腫瘍効果を増強する手段を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は鋭意研究の結果、CAPRIN-1タンパク質に対する抗体又はそのフラグメントと免疫活性化因子のコンジュゲートが、CAPRIN-1タンパク質に対する抗体又はそのフラグメント単独に比べて極めて強い抗腫瘍効果を発揮すること、さらにはCAPRIN-1タンパク質に対する抗体又はそのフラグメントに免疫活性化因子をコンジュゲートした場合の抗腫瘍効果の増強効果が、既存の癌抗体医薬に免疫活性化因子をコンジュゲートした場合の抗腫瘍効果の増強効果と比較して顕著に優れることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
具体的には、本発明は以下の(1)~(14)の特徴を有する。
(1)配列番号2~30のうち偶数の配列番号のいずれかで表されるアミノ酸配列又は、該アミノ酸配列と80%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するCAPRIN-1タンパク質と免疫学的反応性を有する抗体又はそのフラグメントと、免疫活性化因子が結合されてなるコンジュゲート。
(2)前記抗体又はそのフラグメントが、配列番号31~35、296~299、308、309のいずれかで表されるアミノ酸配列あるいは該アミノ酸配列と80%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するCAPRIN-1タンパク質の部分ポリペプチドと免疫学的反応性を有する、(1)に記載のコンジュゲート。
(3)前記抗体がモノクローナル抗体又はポリクローナル抗体である、(1)又は(2)に記載のコンジュゲート。
(4)前記抗体又はそのフラグメントが以下の(A)~(M)のいずれかである、(1)~(3)のいずれかに記載のコンジュゲート:
(A)配列番号36、37及び38の相補性決定領域(それぞれCDR1、CDR2及びCDR3)を含む重鎖可変領域と配列番号40、41及び42の相補性決定領域(それぞれCDR1、CDR2及びCDR3)を含む軽鎖可変領域とを含み、かつ、CAPRIN-1タンパク質と免疫学的反応性を有する抗体又はフラグメント
(B)配列番号44、45及び46の相補性決定領域(それぞれCDR1、CDR2及びCDR3)を含む重鎖可変領域と配列番号48、49及び50の相補性決定領域(それぞれCDR1、CDR2及びCDR3)を含む軽鎖可変領域とを含み、かつ、CAPRIN-1タンパク質と免疫学的反応性を有する抗体又はフラグメント
(C)配列番号52、53及び54の相補性決定領域(それぞれCDR1、CDR2及びCDR3)を含む重鎖可変領域と配列番号56、57及び58の相補性決定領域(それぞれCDR1、CDR2及びCDR3)を含む軽鎖可変領域とを含み、かつ、CAPRIN-1タンパク質と免疫学的反応性を有する抗体又はフラグメント
(D)配列番号60、61及び62の相補性決定領域(それぞれCDR1、CDR2及びCDR3)を含む重鎖可変領域と配列番号64、65及び66の相補性決定領域(それぞれCDR1、CDR2及びCDR3)を含む軽鎖可変領域とを含み、かつ、CAPRIN-1タンパク質と免疫学的反応性を有する抗体又はフラグメント
(E)配列番号170、171及び172の相補性決定領域(それぞれCDR1、CDR2及びCDR3)を含む重鎖可変領域と配列番号173、174及び175の相補性決定領域(それぞれCDR1、CDR2及びCDR3)を含む軽鎖可変領域とを含み、かつ、CAPRIN-1タンパク質と免疫学的反応性を有する抗体又はそのフラグメント
(F)配列番号176、177及び178の相補性決定領域(それぞれCDR1、CDR2及びCDR3)を含む重鎖可変領域と配列番号179、180及び181の相補性決定領域(それぞれCDR1、CDR2及びCDR3)を含む軽鎖可変領域とを含み、かつ、CAPRIN-1タンパク質と免疫学的反応性を有する抗体又はそのフラグメント
(G)配列番号182、183及び184の相補性決定領域(それぞれCDR1、CDR2及びCDR3)を含む重鎖可変領域と配列番号185、186及び187の相補性決定領域(それぞれCDR1、CDR2及びCDR3)を含む軽鎖可変領域とを含み、かつ、CAPRIN-1タンパク質と免疫学的反応性を有する抗体又はそのフラグメント
(H)配列番号188、189及び190の相補性決定領域(それぞれCDR1、CDR2及びCDR3)を含む重鎖可変領域と配列番号191、192及び193の相補性決定領域(それぞれCDR1、CDR2及びCDR3)を含む軽鎖可変領域とを含み、かつ、CAPRIN-1タンパク質と免疫学的反応性を有する抗体又はそのフラグメント
(I)配列番号146、147及び148の相補性決定領域(それぞれCDR1、CDR2及びCDR3)を含む重鎖可変領域と配列番号149、150及び151の相補性決定領域(それぞれCDR1、CDR2及びCDR3)を含む軽鎖可変領域とを含み、かつ、CAPRIN-1タンパク質と免疫学的反応性を有する抗体又はそのフラグメント
(J)配列番号272、273及び274の相補性決定領域(それぞれCDR1、CDR2及びCDR3)を含む重鎖可変領域と配列番号275、276及び277の相補性決定領域(それぞれCDR1、CDR2及びCDR3)を含む軽鎖可変領域とを含み、かつ、CAPRIN-1タンパク質と免疫学的反応性を有する抗体又はそのフラグメント
(K)配列番号290、291及び292の相補性決定領域(それぞれCDR1、CDR2及びCDR3)を含む重鎖可変領域と配列番号293、294及び295の相補性決定領域(それぞれCDR1、CDR2及びCDR3)を含む軽鎖可変領域とを含み、かつ、CAPRIN-1タンパク質と免疫学的反応性を有する抗体又はそのフラグメント
(L)配列番号300、301及び302の相補性決定領域(それぞれCDR1、CDR2及びCDR3)を含む重鎖可変領域と配列番号304、305及び306の相補性決定領域(それぞれCDR1、CDR2及びCDR3)を含む軽鎖可変領域とを含み、かつ、CAPRIN-1タンパク質と免疫学的反応性を有する抗体又はそのフラグメント
(M)配列番号134、135及び136の相補性決定領域(それぞれCDR1、CDR2及びCDR3)を含む重鎖可変領域と配列番号137、138及び139の相補性決定領域(それぞれCDR1、CDR2及びCDR3)を含む軽鎖可変領域とを含み、かつ、CAPRIN-1タンパク質と免疫学的反応性を有する抗体又はそのフラグメント。
(5)前記抗体又はそのフラグメントが以下の(a)~(al)のいずれかである、(1)~(4)のいずれかに記載のコンジュゲート:
(a)重鎖可変領域が配列番号39のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号43のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント
(b)重鎖可変領域が配列番号47のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号51のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント
(c)重鎖可変領域が配列番号55のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号59のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント
(d)重鎖可変領域が配列番号63のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号67のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント
(e)重鎖可変領域が配列番号68のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号69のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント
(f)重鎖可変領域が配列番号70のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号71のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント
(g)重鎖可変領域が配列番号72のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号73のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント
(h)重鎖可変領域が配列番号74のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号75のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント
(i)重鎖可変領域が配列番号76のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号77のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント
(j)重鎖可変領域が配列番号78のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号79のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント
(k)重鎖可変領域が配列番号80のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号81のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント
(l)重鎖可変領域が配列番号82のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号83のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント
(m)重鎖可変領域が配列番号84のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号85のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント
(n)重鎖可変領域が配列番号86のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号87のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント
(o)重鎖可変領域が配列番号88のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号89のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント
(p)重鎖可変領域が配列番号90のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号91のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント
(q)重鎖可変領域が配列番号92のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号93のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント
(r)重鎖可変領域が配列番号94のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号95のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント
(s)重鎖可変領域が配列番号96のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号97のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント
(t)重鎖可変領域が配列番号98のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号99のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント
(u)重鎖可変領域が配列番号100のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号101のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント
(v)重鎖可変領域が配列番号102のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号103のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント
(w)重鎖可変領域が配列番号104のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号105のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント
(x)重鎖可変領域が配列番号106のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号107のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント
(y)重鎖可変領域が配列番号108のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号109のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント
(z)重鎖可変領域が配列番号110のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号111のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント
(aa)重鎖可変領域が配列番号112のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号113のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント
(ab)重鎖可変領域が配列番号114のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号115のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント
(ac)重鎖可変領域が配列番号116のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号117のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント
(ad)重鎖可変領域が配列番号118のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号119のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント
(ae)重鎖可変領域が配列番号120のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号121のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント
(af)重鎖可変領域が配列番号122のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号123のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント
(ag)重鎖可変領域が配列番号124のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号125のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント
(ah)重鎖可変領域が配列番号126のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号127のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント
(ai)重鎖可変領域が配列番号128のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号129のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント
(aj)重鎖可変領域が配列番号130のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号131のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント
(ak)重鎖可変領域が配列番号132のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号133のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント
(al)重鎖可変領域が配列番号303のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号307のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント。
(6)前記抗体が、ヒト抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、単鎖抗体である、(1)~(5)のいずれかに記載のコンジュゲート。
(7)前記免疫活性化因子が、Toll様受容体(TLR)、NOD様受容体(NLR)、RIG様受容体、C型レクチン受容体(CLR)に結合するリガンド又はアゴニストである、(1)~(6)のいずれかに記載のコンジュゲート。
(8)前記Toll様受容体(TLR)が、TLR2、TLR3、TLR4、TLR5、TLR7、TLR8、TLR9又はTLR10である、(7)に記載のコンジュゲート。
(9)前記Toll様受容体(TLR)に結合するリガンド又はアゴニスト又はその誘導体が以下の(i)~(vii)のいずれかである、(7)又は(8)項に記載のコンジュゲート。
(i)ペプチドグリカン、リポタンパク質、リポポリサッカライド及びザイモザンからなる群から選択されるTLR2に結合するリガンド又はアゴニスト
(ii)Poly(I:C)及びpoly(A:U)からなる群から選択されるTLR3に結合するリガンド又はアゴニスト
(iii)リポポリサッカライド(LPS)、HSP60、RS09及びMPLAからなる群から選択されるTLR4に結合するリガンド又はアゴニスト
(iv)フラジェリン及びFLAからなる群から選択されるTLR5に結合するリガンド又はアゴニスト
(v)イミダゾキノリン類化合物及び一重鎖RNAからなる群から選択されるTRL7又は8に結合するリガンド又はアゴニスト
(vi)バクテリアDNA、非メチル化CpG DNA、hemozoin、ODN1585、ODN1668、及びODN1826からなる群から選択されるTRL9に結合するリガンド又はアゴニスト
(vii)profilin及びuropathogenicバクテリアからなる群から選択されるTRL10に結合するリガンド又はアゴニスト
(10)前記抗体又はそのフラグメントと前記免疫活性化因子がリンカーを介して結合する、(1)~(9)のいずれかに記載のコンジュゲート。
(11)(1)~(10)のいずれかに記載のコンジュゲートを有効成分として含む、癌の治療及び/又は予防のための医薬組成物。
(12)前記癌がCAPRIN-1タンパク質を細胞膜表面に発現する癌である、(11)に記載の医薬組成物。
(13)前記癌が、乳癌、腎癌、膵臓癌、大腸癌、肺癌、脳腫瘍、胃癌、子宮癌、卵巣癌、前立腺癌、膀胱癌、食道癌、白血病、リンパ腫、肝臓癌、胆嚢癌、肉腫、肥満細胞腫、メラノーマ、副腎皮質癌、ユーイング腫瘍、ホジキンリンパ腫、中皮腫、多発性骨髄腫、睾丸癌、甲状腺癌及び頭頸部癌からなる群から選択される癌である、(11)又は(12)に記載の医薬組成物。
(14)(1)~(10)のいずれかに記載のコンジュゲート、又は(11)~(13)のいずれかに記載の医薬組成物を被験者に投与することを含む、癌の治療及び/又は予防方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係るコンジュゲートは、CAPRIN-1タンパク質に対する抗体単独に比べて極めて強い抗腫瘍効果を発揮するだけでなく、これまで知られている癌抗体医薬と免疫活性化因子のコンジュゲートよりも優れた抗腫瘍効果を有する。また、本発明に係るコンジュゲートによる抗腫瘍効果の増強効果は、既存の癌抗体医薬に免疫活性化因子をコンジュゲートした場合の抗腫瘍効果の増強効果と比較しても優れる。したがって、本発明に係るコンジュゲートは癌の治療や予防に有効である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明で用いられるCAPRIN-1タンパク質に対する抗体又はそのフラグメント(以下、「抗CAPRIN-1抗体」という。)と免疫活性化因子とのコンジュゲートの抗腫瘍活性は、後述するように生体内で担癌動物に対する腫瘍増殖の抑制を調べることによって評価することができる。
【0013】
本発明において「コンジュゲート」とは、抗体と免疫活性化因子とが共有結合によって連結されたものをいう。抗体と免疫活性化因子との結合にリンカーが介されたものであってもよい。
【0014】
本発明に係る上記コンジュゲートを形成する抗CAPRIN-1抗体は、モノクローナル抗体又はポリクローナル抗体であってもよく、好ましくはモノクローナル抗体であり、本発明のコンジュゲートが、抗腫瘍活性を発揮しうる限り、いかなる種類の抗体であってもよく、抗体は組換え抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、非ヒト動物抗体である。
【0015】
本発明に係る上記コンジュゲートを形成する免疫活性化因子は、免疫細胞が活性化される因子であればよく、好ましくは、Toll様受容体(TLR)、NOD様受容体(NLR)、RIG様受容体、C型レクチン受容体(CLR)に結合するリガンド、アゴニスト又はその誘導体である。より好ましくはToll様受容体(TLR)に結合するリガンド又はアゴニストおよびその誘導体である。
【0016】
また、本発明における癌の治療及び/又は予防の対象である被験者は、ヒト、ペット動物、家畜類、競技用動物等の哺乳動物であり、好ましい被験者はヒトである。
【0017】
以下に本発明に関する、抗CAPRIN-1抗体、免疫活性化因子、抗CAPRIN-1抗体と免疫活性化因子のコンジュゲート、コンジュゲートを用いた医薬組成物並びに癌の治療及び/又は予防方法について説明する。
【0018】
<抗CAPRIN-1抗体>
本発明で用いられる抗CAPRIN-1抗体と免疫学的反応性を有する、配列番号2~30のうち偶数の配列番号のいずれかで表されるアミノ酸配列を有するCAPRIN-1タンパク質のうち、配列番号6、8、10、12及び14で示されるアミノ酸配列はイヌのCAPRIN-1タンパク質のアミノ酸配列であり、配列番号2及び4で示されるアミノ酸配列はヒトのCAPRIN-1タンパク質のアミノ酸配列であり、配列番号16で示されるアミノ酸配列はウシのCAPRIN-1タンパク質のアミノ酸配列であり、配列番号18で示されるアミノ酸配列はウマのCAPRIN-1タンパク質のアミノ酸配列であり、配列番号20~28で示されるアミノ酸配列はマウスのCAPRIN-1タンパク質のアミノ酸配列であり、配列番号30で示されるアミノ酸配列はニワトリのCAPRIN-1タンパク質のアミノ酸配列である。
【0019】
また、本発明で用いられる抗CAPRIN-1抗体は、前記配列番号2~30のうち偶数の配列番号のいずれかで表されるアミノ酸配列と80%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、さらに好ましくは99%以上の配列同一性を有するCAPRIN-1タンパク質のバリアントと免疫学的反応性を有するものであってもよい。ここでいう「%配列同一性」は、2つの配列を、ギャップを導入してか又はギャップを導入しないで、最大の類似度となるようにアラインメント(整列)したとき、アミノ酸(又は塩基)の総数に対する同一アミノ酸(又は塩基)のパーセンテージ(%)を意味する。
【0020】
本発明においてコンジュゲートを作製するために用いる抗CAPRIN-1抗体とは、CAPRIN-1タンパク質の全長又はその断片と免疫学的反応性を有する抗体又はそのフラグメントを意味する。ここで、「免疫学的反応性」とは、生体内で抗体とCAPRIN-1タンパク質又はその部分ポリペプチドとが結合する特性を意味する。
【0021】
本発明に用いる抗CAPRIN-1抗体は、モノクローナル抗体あるいはポリクローナル抗体であっても良い。
【0022】
CAPRIN-1タンパク質の全長又はその断片と免疫学的反応性を有するポリクローナル抗体(抗CAPRIN-1ポリクローナル抗体)は、例えば天然のCAPRIN-1タンパク質、あるいはGSTなどとの融合タンパク質、又はその部分ペプチドをマウス、ヒト抗体産生マウス、ラット、ウサギ、ニワトリなどに免疫し、血清を得る。得られた血清を硫安沈殿、プロテインA、プロテインG、DEAEイオン交換カラム、CAPRIN-1タンパク質や部分ペプチドを結合させたアフィニティーカラムなどにより得ることができる。
【0023】
上記免疫に用いるCAPRIN-1タンパク質の全長又はその断片は、CAPRIN-1及びそのホモログの塩基配列及びアミノ酸配列は、例えば、GenBank(米国NCBI)にアクセスし、BLAST、FASTA等のアルゴリズム(Karlin and Altschul, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 90:5873-5877,1993; Altschul et al., Nucleic Acids Res. 25:3389-3402, 1997)を利用することによって入手することができる。また、そのCAPRIN-1タンパク質の作製方法はWO2014/012479を参照することによって得ることができるし、CAPRIN-1タンパク質を発現する細胞等を用いることもできる。
【0024】
CAPRIN-1タンパク質の全長又はその断片と免疫学的反応性を有するモノクローナル抗体(抗CAPRIN-1モノクローナル抗体)は、例えば、CAPRIN-1を発現する乳癌細胞SK-BR-3やCAPRIN-1タンパク質の全長あるいはその断片などをマウスに投与して免疫し、同マウスより分離した脾臓細胞とミエローマ細胞を融合し、得られた融合細胞(ハイブリドーマ)から抗CAPRIN-1モノクローナル抗体を産生するクローンを選択することで得ることができる。選択されたハイブリドーマから産生される抗体は、前述したポリクローナル抗体の精製方法と同様の方法で得ることができる。
【0025】
本発明に用いる抗体は、ヒト抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、非ヒト動物抗体が含まれる。
【0026】
ヒト抗体は、EBウィルスに感染したヒトリンパ球を、タンパク質、タンパク質発現細胞又はその溶解物で感作し、感作リンパ球をヒト由来のU266細胞などのミエローマ細胞と細胞融合させ、得られた融合細胞からCAPRIN-1タンパク質の全長又はその断片と免疫学的反応性を有する抗体を得ることができる。
【0027】
ヒト化抗体とは、再構成(reshaped)ヒト抗体とも称される改変抗体である。ヒト化抗体は、免疫動物由来の抗体の相補性決定領域を、ヒト抗体の相補性決定領域へ移植することによって構築される。その一般的な手法としての遺伝子組換え手法もよく知られた技術である。具体的には、例えば、マウス抗体、ウサギ抗体の相補性決定領域とヒト抗体のフレームワーク領域を連結するように設計したDNA配列を、末端部にオーバーラップする部分を有するように作製した数個のオリゴヌクレオチドからPCR法により合成する。得られたDNAを、ヒト抗体の定常領域をコードするDNAと連結して、発現ベクターに組み込んで、これを宿主に導入して産生させることによって得られる(欧州特許出願公開第EP239400、国際公開番号WO96/02576を参照)。相補性決定領域を介して連結されるヒト抗体のフレームワーク領域は、相補性決定領域が良好な抗原結合部位を形成するものが選択される。必要に応じ、再構成ヒト抗体の相補性決定領域が適切な抗原結合部位を形成するように抗体の可変領域におけるフレームワーク領域のアミノ酸を置換してもよい(Sato K.et al., Cancer Research 1993, 53: 851-856)。また、様々なヒト抗体由来のフレームワーク領域に置換してもよい(WO99/51743を参照)。
【0028】
抗体は、通常少なくとも2本の重鎖及び2本の軽鎖を含むヘテロ多量糖タンパク質である。抗体は、2本の同一の軽鎖及び、2本の同一の重鎖で構成される。重鎖は一方の端に重鎖可変領域を有し、それにいくつかの定常領域が続く。軽鎖は一方の端に軽鎖可変領域を有し、それにいくつかの定常領域が続く。可変領域は相補性決定領域(CDR)と呼ばれる特定の可変領域を示して抗体に結合特異性を付与する。可変領域に相対的に保存されている部分はフレームワーク領域(FR)と呼ばれている。完全な重鎖及び軽鎖の可変領域は、それぞれ3つのCDR(CDR1~CDR3)により連結された4つのFRを含む。
【0029】
なお、ヒト由来重鎖及び軽鎖の定常領域及び可変領域の配列は、例えばNCBI(米国:GenBank、UniGene等)から入手可能であり、例えば、ヒトIgG1の重鎖定常領域は、登録番号J00228、ヒトIgG2の重鎖定常領域は、登録番号J00230、ヒト軽鎖κ定常領域については登録番号V00557、X64135、X64133等、ヒト軽鎖λ定常域については、登録番号X64132、X64134等の配列を参照することができる。
【0030】
キメラ抗体は、異なる動物由来の配列を組み合わせて作製される抗体であり、例えば、マウス抗体の重鎖可変領域と軽鎖可変領域とヒト抗体の重鎖可変領域と軽鎖可変領域の定常領域からなる抗体等である。キメラ抗体の作製は公知の方法を用いて行うことができ、例えば、抗体V領域をコードするDNAとヒト抗体のC領域をコードするDNAを連結し、これを発現ベクターに組み込んで宿主に導入し産生させることにより得られる。
【0031】
非ヒト動物抗体は、公知の方法に従って、感作抗原を動物に免疫する、一般的な方法として、感作抗原をマウスなどの動物の腹腔内又、皮内あるいは皮下に注射することにより得られる。感作抗原を注射する際には、CFA(フロイント完全アジュバント)をはじめとする各種アジュバントと適量混合して動物に複数回投与する。動物を免疫し、血清中に抗CAPRIN-1抗体が含まれていることを確認した後に血清を得て、前述の通り、硫安沈殿、プロテインA、プロテインG、DEAEイオン交換カラム、CAPRIN-1タンパク質や部分ペプチドを結合させたアフィニティーカラムなどにより得ることができる。また、非ヒト動物からモノクローナル抗体を得る場合には、免疫した動物から免疫細胞を採取し、ミエローマ細胞と細胞融合に付することで得ることができる。前記免疫細胞とミエローマ細胞との細胞融合は公知の方法に準じて行うことができる(Kohler,G.and Milstein,C. Methods Enzymol.(1981)73,3-46を参照)。
【0032】
本発明で用いる抗体は、抗体遺伝子をハイブリドーマからクローニングし、適当なベクターに組み込んで、これを宿主に導入して、遺伝子組換え技術を用いて産生させた遺伝子組換え型抗体としても得ることができる(Carl, A.K. Borrebaeck, James, W. Larrick, THERAPEUTIC MONOCLONAL ANTIBODIES, Published in the United Kingdom by MACMILLAN PUBLISHERS LTD,1990を参照)。
【0033】
本発明のコンジュゲートを得るために用いる抗CAPRIN-1抗体は、可変領域(例えばFR)や定常領域中のアミノ酸を他のアミノ酸に置換されたものであってもよい。アミノ酸置換は、1もしくは複数個、例えば15未満、10未満、8以下、6以下、5以下、4以下、3以下、又は2以下のアミノ酸、好ましくは1~9アミノ酸の置換であり、置換された抗体は、未置換抗体に比べて、抗原へ特異的に結合する性質、抗原への結合親和性が同等あるいはそれ以上であり、ヒトへの適用時に拒絶反応を起こさない抗体であるべきである。
【0034】
本発明で用いる抗CAPRIN-1抗体は、癌細胞表面上のCAPRIN-1タンパク質との結合親和性が高いほうが、より強い抗腫瘍効果が期待できる。結合定数(親和定数)Ka(kon/koff)が、好ましくは、少なくとも107M-1、少なくとも108M-1、少なくとも5×108M-1、少なくとも109M-1、少なくとも5×109M-1、少なくとも1010M-1、少なくとも5×1010M-1、少なくとも1011M-1、少なくとも5×1011M-1、少なくとも1012M-1、あるいは、少なくとも1013M-1であることが望ましい。
【0035】
本発明に用いる抗CAPRIN-1抗体は、抗体の重鎖定常領域のアミノ酸を1個、2個もしくは数個置換する、あるいは、重鎖定常領域に結合するN-グリコシド結合糖鎖中のN-アセチルグルコサミンに結合しているフコースを除去することで、抗CAPRIN-1抗体のエフェクター細胞に対する結合力を向上させることができる。上記はアミノ酸置換単独であってもよいし、また、フコースが結合している抗体との組成物であってもよい。
【0036】
重鎖定常領域のアミノ酸を1個、2個もしくは数個置換された抗体は、例えばWO2004/063351、WO2011/120135、米国特許8388955、WO2011/005481、米国特許6737056、WO2005/063351を参照して作製することができる。
【0037】
重鎖定常領域中のN-グリコシド結合糖鎖中のN-アセチルグルコサミンに付加しているフコースが除去された抗体又はその産生細胞は、米国特許6602684号、欧州特許1914244、米国特許7579170を参照して作製することができる。重鎖定常領域に結合するN-グリコシド結合糖鎖中のN-アセチルグルコサミンに結合しているフコースを除去した抗体とフコースが結合している抗体の組成物又はその産生細胞は、例えば米国特許8642292号を参照して作製することができる。
【0038】
本発明で用いられる抗CAPRIN-1ポリクローナル抗体、抗CAPRIN-1モノクローナル抗体、抗体の作製方法、精製方法ならびに免疫に用いるCAPRIN-1タンパク質あるいはその部分ポリペプチドの作製方法は、WO2010/016526、WO2011/096517、WO2011/096528、WO2011/096519、WO2011/096533、WO2011/096534、WO2011/096535、WO2013/018886、WO2013/018894、WO2013/018892、WO2013/018891、WO2013/018889、WO2013/018883、WO2013/125636、WO2013/125654、WO2013/125630、WO2013/125640、WO2013/147169、WO2013/147176ならびにWO2015/020212を参照して得ることができる。
【0039】
本発明における抗CAPRIN-1抗体の具体例としては、前述のWO2010/016526、WO2011/096517、WO2011/096528、WO2011/096519、WO2011/096533、WO2011/096534、WO2011/096535、WO2013/018886、WO2013/018894、WO2013/018892、WO2013/018891、WO2013/018889、WO2013/018883、WO2013/125636、WO2013/125654、WO2013/125630、WO2013/125640、WO2013/147169、WO2013/147176ならびにWO2015/020212に記載の抗CAPRIN-1抗体が挙げられるが、好ましい抗CAPRIN-1抗体としては以下のものが挙げられる。
【0040】
配列番号2又は配列番号4で表されるアミノ酸配列あるいは該アミノ酸配列と80%以上(好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上、よりさらに好ましくは99%以上)の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するCAPRIN-1タンパク質の部分ポリペプチドと免疫学的反応性を有する抗体又はそのフラグメント。
【0041】
配列番号31で表されるアミノ酸配列又は該アミノ酸配列と80%以上(好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上)の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するCAPRIN-1タンパク質の部分ポリペプチドと免疫学的反応性を有する抗体又はそのフラグメント。好ましくは配列番号36、37及び38の相補性決定領域(それぞれCDR1、CDR2及びCDR3)を含む重鎖可変領域と配列番号40、41及び42の相補性決定領域(それぞれCDR1、CDR2及びCDR3)を含む軽鎖可変領域とを含み、かつ、CAPRIN-1タンパク質と免疫学的反応性を有する抗体又はそのフラグメント、あるいは、配列番号140、141及び142の相補性決定領域(それぞれCDR1、CDR2及びCDR3)を含む重鎖可変領域と配列番号143、144及び145の相補性決定領域(それぞれCDR1、CDR2及びCDR3)を含む軽鎖可変領域とを含み、かつ、CAPRIN-1タンパク質と免疫学的反応性を有する抗体又はそのフラグメント、あるいは、配列番号164、165及び166の相補性決定領域(それぞれCDR1、CDR2及びCDR3)を含む重鎖可変領域と配列番号167、168及び169の相補性決定領域(それぞれCDR1、CDR2及びCDR3)を含む軽鎖可変領域とを含み、かつ、CAPRIN-1タンパク質と免疫学的反応性を有する抗体又はそのフラグメント。より好ましくは、重鎖可変領域が配列番号39のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号43のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント、あるいは、重鎖可変領域が配列番号70のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号71のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント、あるいは、重鎖可変領域が配列番号78のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号79のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント。
【0042】
配列番号33で表されるアミノ酸配列又は該アミノ酸配列と80%以上(好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上)の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するCAPRIN-1タンパク質の部分ポリペプチドと免疫学的反応性を有する抗体又はそのフラグメント。好ましくは、配列番号60、61及び62の相補性決定領域(それぞれCDR1、CDR2及びCDR3)を含む重鎖可変領域と配列番号64、65及び66の相補性決定領域(それぞれCDR1、CDR2及びCDR3)を含む軽鎖可変領域とを含み、かつ、CAPRIN-1タンパク質と免疫学的反応性を有する抗体又はそのフラグメント、あるいは、重鎖可変領域が配列番号63のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号67のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント。
【0043】
配列番号32で表されるアミノ酸配列又は該アミノ酸配列と80%以上(好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上)の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するCAPRIN-1タンパク質の部分ポリペプチドと免疫学的反応性を有する抗体又はそのフラグメント。好ましくは、配列番号52、53及び54の相補性決定領域(それぞれCDR1、CDR2及びCDR3)を含む重鎖可変領域と配列番号56、57及び58の相補性決定領域(それぞれCDR1、CDR2及びCDR3)を含む軽鎖可変領域とを含み、かつ、CAPRIN-1タンパク質と免疫学的反応性を有する抗体又はそのフラグメント。より好ましくは、重鎖可変領域が配列番号55のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号59のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント。
【0044】
配列番号34で表されるアミノ酸配列又は該アミノ酸配列と80%以上(好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上)の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するCAPRIN-1タンパク質の部分ポリペプチドと免疫学的反応性を有する抗体又はそのフラグメント。好ましくは、配列番号170、171及び172の相補性決定領域(それぞれCDR1、CDR2及びCDR3)を含む重鎖可変領域と配列番号173、174及び175の相補性決定領域(それぞれCDR1、CDR2及びCDR3)を含む軽鎖可変領域とを含み、かつ、CAPRIN-1タンパク質と免疫学的反応性を有する抗体又はそのフラグメント、あるいは、配列番号176、177及び178の相補性決定領域(それぞれCDR1、CDR2及びCDR3)を含む重鎖可変領域と配列番号179、180及び181の相補性決定領域(それぞれCDR1、CDR2及びCDR3)を含む軽鎖可変領域とを含み、かつ、CAPRIN-1タンパク質と免疫学的反応性を有する抗体又はそのフラグメント。より好ましくは、重鎖可変領域が配列番号80のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号81のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント、あるいは、重鎖可変領域が配列番号82のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号83のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント。
【0045】
配列番号35で表されるアミノ酸配列又は該アミノ酸配列と80%以上(好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上)の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するCAPRIN-1タンパク質の部分ポリペプチドと免疫学的反応性を有する抗体又はそのフラグメント。好ましくは、配列番号182、183及び184の相補性決定領域(それぞれCDR1、CDR2及びCDR3)を含む重鎖可変領域と配列番号185、186及び187の相補性決定領域(それぞれCDR1、CDR2及びCDR3)を含む軽鎖可変領域とを含み、かつ、CAPRIN-1タンパク質と免疫学的反応性を有する抗体又はそのフラグメント、あるいは、配列番号188、189及び190の相補性決定領域(それぞれCDR1、CDR2及びCDR3)を含む重鎖可変領域と配列番号191、192及び193の相補性決定領域(それぞれCDR1、CDR2及びCDR3)を含む軽鎖可変領域とを含み、かつ、CAPRIN-1タンパク質と免疫学的反応性を有する抗体又はそのフラグメント。より好ましくは、重鎖可変領域が配列番号84のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号85のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント、あるいは、重鎖可変領域が配列番号86のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号87のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント。
【0046】
配列番号44、45及び46の相補性決定領域(それぞれCDR1、CDR2及びCDR3)を含む重鎖可変領域と配列番号48、49及び50の相補性決定領域(それぞれCDR1、CDR2及びCDR3)を含む軽鎖可変領域とを含み、かつ、CAPRIN-1タンパク質と免疫学的反応性を有する抗体又はそのフラグメント。好ましくは、重鎖可変領域が配列番号47のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号51のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント。
【0047】
配列番号296で表されるアミノ酸配列又は該アミノ酸配列と80%以上(好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上)の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するCAPRIN-1タンパク質の部分ポリペプチドと免疫学的反応性を有する抗体又はそのフラグメント。好ましくは配列番号146、147及び148の相補性決定領域(それぞれCDR1、CDR2及びCDR3)を含む重鎖可変領域と配列番号149、150及び151の相補性決定領域(それぞれCDR1、CDR2及びCDR3)を含む軽鎖可変領域とを含み、かつ、CAPRIN-1タンパク質と免疫学的反応性を有する抗体又はそのフラグメント。より好ましくは、重鎖可変領域が配列番号72のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号73のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント。
【0048】
配列番号297で表されるアミノ酸配列又は該アミノ酸配列と80%以上(好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上)の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するCAPRIN-1タンパク質の部分ポリペプチドと免疫学的反応性を有する抗体又はそのフラグメント。好ましくは配列番号272、273及び274の相補性決定領域(それぞれCDR1、CDR2及びCDR3)を含む重鎖可変領域と配列番号275、276及び277の相補性決定領域(それぞれCDR1、CDR2及びCDR3)を含む軽鎖可変領域とを含み、かつ、CAPRIN-1タンパク質と免疫学的反応性を有する抗体又はそのフラグメント。より好ましくは、重鎖可変領域が配列番号114のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号115のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント。
【0049】
配列番号298で表されるアミノ酸配列又は該アミノ酸配列と80%以上(好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上)の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するCAPRIN-1タンパク質の部分ポリペプチドと免疫学的反応性を有する抗体又はそのフラグメント。好ましくは配列番号290、291及び292の相補性決定領域(それぞれCDR1、CDR2及びCDR3)を含む重鎖可変領域と配列番号293、294及び295の相補性決定領域(それぞれCDR1、CDR2及びCDR3)を含む軽鎖可変領域とを含み、かつ、CAPRIN-1タンパク質と免疫学的反応性を有する抗体又はそのフラグメント。より好ましくは、重鎖可変領域が配列番号120のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号121のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント。
【0050】
配列番号299で表されるアミノ酸配列又は該アミノ酸配列と80%以上(好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上)の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するCAPRIN-1タンパク質の部分ポリペプチドと免疫学的反応性を有する抗体又はそのフラグメント。好ましくは配列番号300、301及び302の相補性決定領域(それぞれCDR1、CDR2及びCDR3)を含む重鎖可変領域と配列番号304、305及び306の相補性決定領域(それぞれCDR1、CDR2及びCDR3)を含む軽鎖可変領域とを含み、かつ、CAPRIN-1タンパク質と免疫学的反応性を有する抗体又はそのフラグメント。より好ましくは、重鎖可変領域が配列番号303のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号307のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント。
【0051】
配列番号308で表されるアミノ酸配列又は該アミノ酸配列と80%以上(好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上)の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するCAPRIN-1タンパク質の部分ポリペプチドと免疫学的反応性を有する抗体又はそのフラグメント。好ましくは配列番号134、135及び136の相補性決定領域(それぞれCDR1、CDR2及びCDR3)を含む重鎖可変領域と配列番号137、138及び139の相補性決定領域(それぞれCDR1、CDR2及びCDR3)を含む軽鎖可変領域とを含み、かつ、CAPRIN-1タンパク質と免疫学的反応性を有する抗体又はそのフラグメント。より好ましくは、重鎖可変領域が配列番号68のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号69のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント。
【0052】
配列番号309で表されるアミノ酸配列又は該アミノ酸配列と80%以上(好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上)の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するCAPRIN-1タンパク質の部分ポリペプチドと免疫学的反応性を有する抗体又はそのフラグメント。好ましくは配列番号134、135及び136の相補性決定領域(それぞれCDR1、CDR2及びCDR3)を含む重鎖可変領域と配列番号137、138及び139の相補性決定領域(それぞれCDR1、CDR2及びCDR3)を含む軽鎖可変領域とを含み、かつ、CAPRIN-1タンパク質と免疫学的反応性を有する抗体又はそのフラグメント。より好ましくは、重鎖可変領域が配列番号68のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号69のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント。
【0053】
また、以下の抗CAPRIN-1抗体も好ましく用いられる。
【0054】
重鎖可変領域が配列番号68のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号69のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント。
【0055】
重鎖可変領域が配列番号70のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号71のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント。
【0056】
重鎖可変領域が配列番号72のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号73のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント。
【0057】
重鎖可変領域が配列番号74のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号75のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント。
【0058】
重鎖可変領域が配列番号76のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号77のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント。
【0059】
重鎖可変領域が配列番号78のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号79のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント。
【0060】
重鎖可変領域が配列番号80のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号81のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント。
【0061】
重鎖可変領域が配列番号82のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号83のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント。
【0062】
重鎖可変領域が配列番号84のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号85のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント。
【0063】
重鎖可変領域が配列番号86のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号87のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント。
【0064】
重鎖可変領域が配列番号88のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号89のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント。
【0065】
重鎖可変領域が配列番号90のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号91のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント。
【0066】
重鎖可変領域が配列番号92のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号93のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント。
【0067】
重鎖可変領域が配列番号94のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号95のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント。
【0068】
重鎖可変領域が配列番号96のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号97のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント。
【0069】
重鎖可変領域が配列番号98のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号99のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント。
【0070】
重鎖可変領域が配列番号100のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号101のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント。
【0071】
重鎖可変領域が配列番号102のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号103のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント。
【0072】
重鎖可変領域が配列番号104のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号105のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント。
【0073】
重鎖可変領域が配列番号106のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号107のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント。
【0074】
重鎖可変領域が配列番号108のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号109のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント。
【0075】
重鎖可変領域が配列番号110のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号111のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント。
【0076】
重鎖可変領域が配列番号112のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号113のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント。
【0077】
重鎖可変領域が配列番号114のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号115のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント。
【0078】
重鎖可変領域が配列番号116のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号117のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント。
【0079】
重鎖可変領域が配列番号118のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号119のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント。
【0080】
重鎖可変領域が配列番号120のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号121のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント。
【0081】
重鎖可変領域が配列番号122のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号123のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント。
【0082】
重鎖可変領域が配列番号124のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号125のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント。
【0083】
重鎖可変領域が配列番号126のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号127のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント。
【0084】
重鎖可変領域が配列番号128のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号129のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント。
【0085】
重鎖可変領域が配列番号130のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号131のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント。
【0086】
重鎖可変領域が配列番号132のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号133のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント。
【0087】
重鎖可変領域が配列番号303のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号307のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント。
【0088】
後述の実施例では、CAPRIN-1タンパク質の全長、癌細胞の細胞膜表面に発現する領域の一部のポリペプチドに対する上記ポリクローナル抗体ならびにモノクローナル抗体を用いて免疫活性化因子とのコンジュゲートが作製され、その強い抗腫瘍効果が確認された。
【0089】
<免疫活性化因子>
本発明に係る免疫活性化因子は、ここでは各種免疫細胞を活性化する因子であり、該細胞の免疫機能を維持、増強しうる天然化合物、核酸あるいは天然化合物を意味する。ここでいう「免疫細胞」とは、Tリンパ球、Bリンパ球、NK細胞、単球、樹状細胞、顆粒球、マクロファージ、骨髄由来抑制性細胞、Langerhance細胞およびその前駆細胞群、腫瘍内に存在する前記免疫細胞群である。
【0090】
本発明で用いられる免疫活性化因子としては特に制限はないが、具体例として、Toll様受容体(TLR)、NOD様受容体(NLR)、RIG様受容体又はC型レクチン受容体(CLR)に結合するリガンド又はアゴニストが挙げられる。
【0091】
Toll様受容体(TLR)に結合するリガンド又はアゴニストの具体例としては、TLR2、TLR3、TLR4、TLR5、TLR7、TLR8、TLR9、TLR10に結合するリガンド又はアゴニストが挙げられる。
【0092】
TLR2に結合するリガンド又はアゴニストの具体例としては、ペプチドグリカン、リポタンパク質、リポポリサッカライド及びザイモザンからなる群から選択される物質が挙げられる。
【0093】
TLR3に結合するリガンド又はアゴニストの具体例としては、Poly(I:C)及びpoly(A:U)、polyICLC(Hiltonol)及びAmpligenからなる群から選択される物質が挙げられる。
【0094】
TLR4に結合するリガンド又はアゴニストの具体例としては、リポポリサッカライド(LPS)、HSP60、RS09、MPLA(Monophosphoryl lipid A from Salmonella minnesota R595)、GLA-SE、G100及びMPLAからなる群から選択される物質が挙げられる。
【0095】
TLR5に結合するリガンド又はアゴニストの具体例としては、フラジェリン及びFLAからなる群から選択される物質が挙げられる。
【0096】
TLR7又はTLR8に結合するリガンド又はアゴニストの具体例としては、イミダゾキノリン類化合物等の低分子化合物や一重鎖RNA等が挙げられ、それらの具体例としては、Imiquimod、Resiquimod、Loxorbine、852A、854A、S-34240、Motolimod(VTX-2337)、DSR-6434、GS-9620、ANA773、AZD8848/DSP-3025、GSK2245035、Gardiquimod、CL264、UC-1V150、CL075、CL097、CL307、CL347、3M-003、3M-0043、3M-052、CL264、IV209、ORN R-2176-dT、Poly(dT)、ORN R-0006、ORN R-0002、ORN R-2336、PolyU、ORN R-1886、polyG3、DSR6434、RWJ21757、SM324405、p-IMDQ、m-IMDQ及びGSK2245035が挙げられる。
【0097】
TLR9に結合するリガンド又はアゴニストの具体例としては、バクテリアDNA、非メチル化CpG DNA、hemozoin、ODN1585、ODN1668、Lefitolimod(MGN1703)、SD-101、CYT003、CPG7909、DUK-CPG-001及びODN1826からなる群から選択される物質が挙げられる。
【0098】
TLR10に結合するリガンド又はアゴニストの具体例としては、profilin及びuropathogenicバクテリアからなる群から選択される物質が挙げられる。
【0099】
前記Toll様受容体(TLR)に結合するリガンド又はアゴニストのうち、本発明ではTLR7又はTLR8に結合するリガンド又はアゴニストが好ましく用いられ、TLR7又はTLR8に結合するリガンド又はアゴニストとしてはイミダゾキノリン類化合物及び一重鎖RNAからなる群から選択されるTRL7又は8に結合するリガンド又はアゴニストがより好ましく用いられ、イミダゾキノリン類化合物から選択されるTRL7又は8に結合するリガンド又はアゴニストがさらに好ましく用いられる。
【0100】
前記イミダゾキノリン類化合物の好ましい具体例としては、例えば米国特許8,951,528号に記載の化合物や、WO2015/103989に記載されている化合物があり、例えば、1-(2-methylpropyl)-1H-imidazo[4,5-c]quinoline-4-amine(Imiquimod)、1-(4-amino-2-ethylaminomethylimidazo-[4,5-c]quinolin-1-yl)-2-methylpropan-2-ol(Gardiquimod)、N-[4-(4-amino-2-ethyl-1H-imidazo[4,5-c]quinolin-1-yl)butyl-]methanesulfonamide(PF-4878691)、4-amino-2-(ethoxymethyl)-a,a-dimethyl-1H-imidazo[4,5-c]quinoline-1-ethanol(Resiquimod)、4-amino-aa-dimethyl-2-methoxyethyl-1H-imidazo[4,5-c]quinoline-1-ethanol、1-(2-(3-(benzyloxy)propoxy)ethyl)-2-(ethoxymethyl)-1H-imidazo[4,5-c]quinolin-4-amine、4-amino-2-ethoxymethyl-aa-dimethyl-6,7,8,9-tetrahydro-1H-imidazo[4,5-c]quinoline-1-ethanol、N-(2-{2-[4-amino-2-(2-methoxyethyl)-1H-imidazo[4,5-c]quinolin-l-yl]ethoxy}ethyl)-n’-phenylurea、1-2-amino-2-methylpropyl)-2-(ethoxymethyl)-1H-imidazo[4,5-c]quinolin-4-amine、1-{4-[(3,5-dichlorophenyl)sulfonyl]butyl}-2-ethyl-1H-imidazo[4,5-c]quinolin-4-amine、N-(2-{2-[4-amino-2-(ethoxymethyl)-1H-imidazo[4,5-c]quinolin-1-yl]ethoxy}ethyl)-n’-cyclohexylurea、N-{3-[4-amino-2-(ethoxymethyl)-1H-imidazo[4,5-c]quinolin-1-yl]propyl}-n’-(3-cyanophenyl)thiourea、N-[3-(4-amino-2-butyl-1H-imidazo[4,5-c]quinolin-l-yl)-2,2-dimethylpropyl]benzamide、2-butyl-1-[3-(methylsulfonyl)propyl]-1H-imidazo[4,5-c]quinolin-4-amineが挙げられるが、TLR7又はTLR8に結合するものであれば特に限定されない。
【0101】
NOD様受容体(NLR)に結合するリガンド又はアゴニストの具体例としては、例えば、M-TriDAP、PGNが挙げられ、その他、NOD1に対するリガンド又はアゴニストであって、例えばTri-DAP、iE-DAP、C12-iEが挙げられる。また、NOD2に対するリガンド又はアゴニストであって、MDP、N-グリコシル-MDP、Murabutide、M-TriLyS-D-ASN、M-TriLYS、L18-MDPが挙げられる。
【0102】
RIG様受容体に結合するリガンド又はアゴニストの具体例としては、例えば、5’ppp-dsRNA、poly(dA:dT)、poly(dG:dC)、poly(I:C)が挙げられるが挙げられる。
【0103】
C型レクチン受容体(CLR)に結合するリガンド又はアゴニストの具体例としては、トレハロース6,6-ジベヘン酸塩、ザイモザン、WGP、HKSC、HKCAならびにカードランALが挙げられる。
【0104】
<抗CAPRIN-1抗体と免疫活性化因子のコンジュゲート>
本発明において、抗CAPRIN-1抗体と免疫活性化因子のコンジュゲートにおける抗CAPRIN-1抗体と免疫活性化因子の結合の形態は、癌に対する抗腫瘍活性を維持しうる形態であれば特に制限はないが、抗CAPRIN-1抗体と免疫活性化因子との間にリンカー構造が形成される結合の形態であることが好ましい。
【0105】
ここで、リンカーとは、抗CAPRIN-1抗体と免疫活性化因子を結合しうる化合物を意味する。各種公知のリンカーを用いてもよいし、活性化因子側の構造に適当な化学修飾が施し、直接結合してもよい。
【0106】
リンカーの種類ならびに結合方法の詳細は公知の方法に準じて行うことができる(例えば、Greg T.Hermanson Bioconjugate Techniques, Third EditionならびにWO2004010957、WO2014/012479を参照。)。
【0107】
本発明の実施形態において、抗CAPRIN-1抗体、免疫活性化因子ならびにリンカーに付属する反応基には、以下のものが挙げられる。
【0108】
抗体のアミノ酸配列あるいはアミノ酸に修飾されている糖タンパク質に付属する反応基としては、特別な化学的修飾がなされていない限り、第一級アミン(ε-アミノ基)、カルボキシル、チオール(スルフヒドリル)、カルボニル(ケトンまたはアルデヒド)ならびにヒドロキシルが挙げられる。第一級アミンは、ポリペプチドのN末端や、リジン残基の側鎖に存在し、生理的条件下で正電荷であり、通常はタンパク質の外側に存在しているためタンパク質の構造を変成させずに結合に用いることができる。カルボキシルは、ポリペプチドのC末端や、アスパラギン酸ならびにグルタミン酸の側鎖に存在する。スルフヒドリルは、システインの側鎖に存在し、タンパク質の高次構造を維持するジスルフィド結合を形成している。ケトンまたはアルデヒド基は、メタ過ヨウ素酸ナトリウムでグリコシルを酸化させることによって糖タンパク質中で作製される。
【0109】
本発明のコンジュゲートは、抗体にある前記反応基へ、リンカーを結合させる、リンカーが結合した免疫活性化因子を結合させる、あるいは直接抗体へ免疫活性化因子を結合させることによって作製される。
【0110】
リンカーならびに免疫活性化因子に付属する反応基としては下記のものが挙げられる。
【0111】
アミンへ反応しうる反応基であるN-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)エステル、イミドエステル、ペンタフルオロフェニルエステル、ヒドロキシメチルホスフィン、イソチオシアネート、イソシアネート、アシルアジド、N-ヒドロキシルエステル、スルホニルクロリド、アルデヒド、グリオキサール、エポキシド、オキシラン、カーボネート、アリール、イミドエステル、カルボジイミドならびに無水カルボン酸。
【0112】
カルボキシルならびにアミンへ反応しうる反応基であるカルボジイミド、ジアゾアルカン、ジアゾアセチル化合物、カルボニルジイミダゾール。
【0113】
チオールへ反応しうる反応基であるマレイミド、ハロアセトアミド、ピリジルジスルフィド、チオスルフォン、ビニルスルホン、ヘイローアセチル、アジリジン、アクリロイル、アリール。
【0114】
アルデヒドへ反応しうる反応基であるヒドラジド、アルコキシアミン。ヒドロキシルへ反応しうる反応基であるエポキシ、オキシラン、カルボニルジイミダゾール、N, N’-ジスクシイミジルカーボネート、N-ヒドロキシスクシニイミジルクロロホルメート、イソシアネート。
【0115】
ヒドロキシルへ反応しうる反応基であるイソシアネート。
【0116】
光反応性の反応基としてジアジリン、アリールアジド、アリール、ベンゾフェノール、ジアゾ化合物。
【0117】
上記反応基を有するリンカーとしては、具体的に以下のものが挙げられる。
【0118】
同一の反応基末端を有するリンカーとして、N-ヒドロキシスクシイミドエステルを反応基とするリンカー(例えばDisuccinimidyl Glutarate (DSG)、disuccinimidyl suberate(DSS)、bis(sulfosuccinimidyl)suberate(BS3)、tris-(succinimidyl)aminotriacetate(TSAT)、PEGylated bis(sulfosuccinimidyl)suberate (BS(PEG)5、BS(PEG)9)、dithiobis(succinimidyl propionate)(DSP)、(DTSSP)、(EGS)、(Sulfo-EGS)、(DMA)、(DMP)、(DMS)、(DTBP)、(DFDNB)、(DST)、(BSOCOES)、(EGS)、(Sulfo-EGS))ならびにマレイミドを反応基とするリンカー(例えば(BMOE)、(BMB)、(BMH)、(TMEA)、(BM(PEG)2)、(BM(PEG)3)、(DTME)、(DMDB))が用いられる。
【0119】
異なる反応基末端を有する主なリンカーとしては、NHSエステルとマレイミドを反応基とするリンカー(例えばAMAS、BMPS、GMBS、Sulfo-MBS、MBS、Sulfo-MBS、SMCC、Sulfo-SMCC、EMCS、Sulfo-EMCS、SMPB、Sulfo-SMPB、SMPH、LC-SMCC、Sulfo-KMUS、SM(PEG)2、SM(PEG)4、SM(PEG)6、SM(PEG)8、SM(PEG)12、SM(PEG)24)、NHSエステルとピリジルジチオールを反応基とするリンカー(例えば、SPDP、LC-SPDP、Sulfo-LC-SPDP、SMPT、PEG4横SPDP、PEG12-SPDP)、NHSエステルとハロアセチルを反応基とするリンカー(例えばSIA、SBAP、SIAB、Sulfo-SIAB)、NHSエステルとアリールアジドを反応基とするリンカー(例えばANB-NOS、Sulfo-SANPAH、ATFB)、NHSエステルとジアジリンを反応基とするリンカー(例えばSDA、Sulfo-SDA、LC-SDA、SDAD、Sulfo-SDAD)、カルボジイミドを反応基とするリンカー(例えばDCC、EDC、EDAC、NHS、Sulfo-NHS)、マレイミドとヒドラジドを反応基とするリンカー(例えばBMPH、EMCH、MPBH、KMUH)、ピリジルジチオールとヒドラジドを反応基とするリンカー(例えばPDPH)、イソシアネートとマレイミドを反応基とするリンカー(例えばPMPI)ならびにNHSエステルとソラレンを反応基とするリンカー(例えばSPB)が用いられる。
【0120】
その他のリンカーとして、ポリペプチドを含むリンカー、例えばFmoc-Ala-Ala-Asn-PAB、Fmoc-Ala-Ala-Asn(Trt)-PAB、Fmoc-PEG3-Ala-Ala-Asn(Trt)-PAB、Fmoc-PEG4-Ala-Ala-Asn(Trt)-PAB、Fmoc-Ala-Ala-Asn-PAB-PNP、Fmoc-Ala-Ala-Asn(Trt)-PAB-PNP、Fmoc-PEG3-Ala-Ala-Asn(Trt)-PAB-PNP、Azide-PEG4-Ala-Ala-Asn(Trt)-PAB-PNP、Mal-PEG4-Ala-Ala-Asn(Trt)-PAB-PNP、Fmoc-Val-Cit-PAB-OH、Val-Cit-PAB-OH、Fmoc-Val-Cit-PAB-PNP、MC-Val-Cit-PAB、MC-Val-Cit-PAB-PNPなどが用いられる。
【0121】
また、Bis-PEG-acid、PEG Acid(例えばAcid-PEG-TEMPO、Amino-PEG-acid、Amino-PEG-CH2CO2H、Aminoxy-PEG-acid、Azido-PEG-acid、Carboxy-PEG-sulfonic acid、Fmoc-N-amido-PEG-acid、Fmoc-N-amido-PEG-CH2CO2H、Fmoc-aminooxy-PEG-acid、Hydroxy-PEG-acid、Hydroxy-PEG-CH2CO2H、m-PEG-acid、m-PEG-(CH2)3-acid、Methoxytrityl-N-PEG-acid、N-methyl-N-(t-Boc)-PEG-acid、Propargyl-PEG-acid、Propargyl-PEG-CH2CO2H、Propargyl-PEG-(CH2)3-acid、t-Boc-N-amido-PEG-acid、t-Boc-N-amido-PEG-CH2CO2H、t-Boc-Aminooxy-PEG-acid、Acid-PEG-PFP ester、Miscellaneous PEG acid、)、PEG PFP ester(例えば、Acid-PEG-PFP ester、Bis-PEG-PFP ester)、Bis-PEG-NHS、PEG Aldehyde(例えば、m-PEG-aldehyde、m-PEG-benzaldehyde、Ald-PEG-acid、Ald-PEG-amine、Ald-PEG-azide、Ald-PEG-NH-Boc、Ald-PEG-NHS ester、Ald-PEG-TFP ester、Ald-PEG-t-butyl ester)、PEG Tosylate(例えば、Azido-PEG-Tos、Hydroxy-PEG-Tos、m-PEG-Tos、t-Boc-Aminooxy-PEG-Tos、Trifluoroethyl-PEG-Tos、Tos-PEG-acid、Tos-PEG-CH2CO2H、Tos-PEG-alkyne、Tos-PEG-t-butyl ester、Tos-PEG-CH2CO2tBu、Tos-PEG-Tos、S-acetyl-PEG6-Tos、N-Tos-N-(t-butoxycarbonyl)-aminooxy-PEG4-Tos、Ms-PEG-Ms、Ms-PEG-t-butyl ester、PEG-Ms、Propargyl-PEG-Ms)、Boc-PEG(例えば、Amino-PEG-t-Boc-Hydrazide、Azido-PEG-t-Boc-Hydrazide、Boc-NH-PEG-NH-Boc、Bromoacetamido-PEG-Boc-amine、m-PEG-ONHBoc、Mal-Alkyl-t-Boc-amine、N-Boc-PEG-alcohol、N-Boc-PEG-bromide、N-methyl-N-(t-Boc)-PEG-acid、t-Boc-N-amido-PEG-acid、t-Boc-N-amido-PEG-CH2CO2H、t-Boc-N-Amido-PEG-amine、t-Boc-N-amido-PEG-azide、t-Boc-N-amido-PEG-NHS ester、t-Boc-N-amido-PEG-sulfonic acid)、PEG NHS ester(例えば、Acid-PEG-NHS ester、Azido-PEG-NHS ester、Bis-PEG-NHS、Fmoc-PEG-NHS ester、m-PEG-NHS ester、m-PEG-NHS Carbonate、Mal-PEG-NHS ester、Propargyl-PEG-NHS ester、t-Boc-N-amido-PEG-NHS ester、t-Butoxycarbonyl-PEG-NHS ester)、Fmoc-PEG(例えばFmoc-N-amido-PEG-acid、Fmoc-NH-PEG-CH2CO2H、Fmoc-PEG-NHS ester)、Biotin PEG(例えばBiotin PEG-acid、Biotin PEG-alcohol、Biotin PEG-alkyne、Biotin PEG-amine、Biotin PEG-azide、Biotin PEG-DBCO、Biotin PEG-hydrazide、Biotin-PEG-Mal、Biotin-PEG-NHS、Biotin-EDA-PEG-NHS、Biotin-PEG-oxyamine、Biotin-PEG-PFP、Biotin-EDA-PEG-PFP、Biotin-PEG-Tetrazine、Biotin-PEG-TFP、Azide-SS-biotin、Biotin-PEG3-SS-azide、DBCO-S-S-PEG3-Biotin、Dde Biotin-PEG4-Alkyne、Dde Biotin-PEG4-Azide、Dde Biotin-PEG4-DBCO、Diazo Biotin-PEG3-Alkyne、Diazo Biotin-PEG3-Azide、Diazo Biotin-PEG3-DBCO、Diol Biotin-PEG3-Alkyne、Diol Biotin-PEG3-Azide、PC Biotin-PEG3-Alkyne、PC-Biotin-PEG4-PEG4-Alkyne、PC-Biotin-PEG4-PEG4-Alkyne、PC Biotin-PEG3-Azide、PC-Biotin-PEG4-PEG3-Azide、PC-Biotin-PEG4-NHS carbonate、PC DBCO-PEG3-Biotin、WSPC Biotin-PEG3-DBCO、Fmoc-Lys (biotin-PEG)-OH、Fmoc-N-amido-(PEG-biotin)-acid、TAMRA-Azide-PEG-Biotin)、PEG Phosphonate、Aminooxy PEG(例えばAminooxy-PEG-acid、Aminooxy-PEG-alcohol、Aminooxy-PEG-azide、Aminooxy-PEG-bromide、Aminooxy-PEG-methane、Aminooxy-PEG-Propargyl、Aminooxy-PEG-t-butyl ester、Aminooxy-PEG-Thiol、Bis-(Aminooxy)-PEG、t-Boc-Aminooxy-PEG-acid、t-Boc-Aminooxy-PEG-alcohol、t-Boc-Aminooxy-PEG-amine、t-Boc-Aminooxy-PEG-Azide、t-Boc-Aminooxy-PEG-Bromide、t-Boc-aminooxy-PEG-Methane、t-Boc-aminooxy-PEG-Propargyl、t-Boc-aminooxy-PEG-S-Ac、t-Boc-Aminooxy-PEG-Thiol、t-Boc-Aminooxy-PEG-Tos、Fmoc-aminooxy-PEG-acid、Trifluoroethyl-PEG-Aminooxy)、Alkyne PEG(例えば、endo-BCN-PEG、exo-BCN-PEG、Propargyl-PEG-acid、Propargyl-PEG-CH2CO2H、Propargyl-PEG-(CH2)3-acid、Propargyl-PEG-(CH2)3-methyl ester、Propargyl-PEG-Acrylate、Propargyl-PEG-alcohol、Propargyl-PEG-amine、Propargyl-PEG-methylamine、Aminooxy-PEG-Propargyl、Propargyl-PEG-azide、Propargyl-PEG-bromide、Propargyl-PEG-Maleimide、Propargyl-PEG-Ms、Propargyl-PEG-NHS ester、Propargyl-PEG-sulfonic acid、Propargyl-PEG-t-butyl ester、Propargyl-PEG-CH2CO2tBu、Propargyl-PEG-thiol、Propargyl-PEG-5-nitrophenyl carbonate、t-Boc-aminooxy-PEG-Propargyl、Bis-Propargyl-PEG、m-PEG-Propargyl)、Azido PEG(例えば、Azido-PEG-acid、Azido-PEG-CH2CO2H、Azido-PEG-(CH2)3-methyl ester、Azido-PEG-Acrylate、Azido-PEG-alcohol、Azido-PEG-(CH2)3OH、Azido-PEG-amine、Azido-PEG-azide、Azido-PEG-Maleimide、Azido-PEG-methylamine、Azido-PEG-methyl ester、Azido-PEG-NHS ester、Azido-PEG-CH2CO2-NHS、Azido-PEG-oxazolidin-2-one、Azido-PEG-PFP ester、Azido-PEG-phosphonic acid、Azido-PEG-phosphonic acid ethyl ester、Azido-PEG-sulfonic acid、Azido-PEG-t-Boc-Hydrazide、Azido-PEG-t-butyl ester、Azido-PEG-CH2CO2-t-butyl ester、Azido-PEG-TFP ester、Azido-PEG-Tos、Aminooxy-PEG-azide、Bromo-PEG-azide、Bromoacetamido-PEG-azide、Carboxyrhodamine 110-PEG-Azide、Isothiocyanato-PEG-Azide、Isothiocyanato-PEG-Azide、m-PEG-azide、Propargyl-PEG-azide、TAMRA-PEG-Azide、t-Boc-N-Amido-PEG-Azide、t-Boc-Aminooxy-PEG-Azide、Thiol-PEG-Azide、Trifluoroethyl-PEG-Azide、Azido-PEG-amino acid、Azido-PEG4-4-nitrophenyl carbonate、S-Acetyl-PEG3-Azido、Azide、Trityl-PEG10-Azide)、Alkyne PEG、DBCO-PEG、BCN-PEG、Propargyl-PEG、Bis-PEG-acid、Bis-PEG-NHS、Bis-PEG-PFP、Bis-Propargyl-PEG、Amine-PEG-Amine、Azido-PEG-azide、Bromo-PEG、Mal PEGが用いられる。
【0122】
抗CAPRIN-1抗体と免疫活性化因子の間に介するリンカーは、単一種で構成されていても複数種で構成されていてもよい。
【0123】
本発明である抗CAPRIN-1抗体と免疫活性化因子のコンジュゲートを作製する方法としては、抗体のリジン側鎖のε-アミノ基を用いて免疫活性化因子を結合する方法や、抗体のジスルフィド結合を形成しているシステイン残基を還元処理により形成されるチオールを用いて結合する方法がある。
【0124】
抗体のリジン残基のε-アミノ基を用いる場合には、例えば活性エステル(例えばN-ヒドロキシスクシンイミドエステル)を反応させてアミド結合を形成させる方法が用いられる。この場合、抗体には多くのリジン残基が存在することから、その結合は非特異的に反応が進む。
【0125】
抗体のシステインの側鎖に存在するジスルフィド結合を形成しているチオールを用いる場合には、抗体上にあるジスルフィド結合をメルカプトエタノールなどの還元剤を用いてチオールを生成させてマレイミドあるいはα-ハロアミドと反応させる方法が用いられる。また、チオールを介した結合を安定化させるためには、例えばスルホンフェニルオキサジアゾール、4-シアノエチニルオキシ誘導体などを用いる方法がある。これらの結合はシステインのマレイミドへの共益付加反応による結合よりも長時間安定である。また、チオール基がマレイミドに付加したイミド環が加水分解によって開環し、アミド結合となると安定性が向上するので、イミド基の近傍にアミノ基を有するリンカーを用いることもできる。また、抗体にあるシステインのチオールはジスルフィド結合を形成しており、2つのチオールを介して、その間に免疫活性化因子などを結合させる方法もある。例としては、β位に2つのスルホンをもつアミド基から生じさせることができる2つのジスルフィド結合部位をもつリンカーあるいはジブロモマレイミドを用いて架橋型の結合を形成させることが可能である。
【0126】
本発明のコンジュゲートは、例えば、抗体の特定の部分に、決まった数のチオール基を導入できる方法であるTHIOMABTM技術を用いる方法がある(Nature Biotechnology 26,925-932(2008)を参照)。
【0127】
本発明のコンジュゲートは、例えば、抗体を還元剤ジチオレイトール(DTT)用いてリン酸緩衝液中にて還元させることによってチオール反応基を有する抗体を得て、免疫活性化因子とのコンジュゲートを形成させることができる。還元剤を用いる方法の他に、トラウト試薬(2-IminothiolaneやN-Succinimidyl S-Acetylthioacetate(SATA))を導入することによって抗体のリジン残基にある第一級アミンへチオール基を付加することで得ることができる。
【0128】
抗体に付加されたチオール量は、例えば5,5’-Dithiobis(2-nitrobenzonicacid)(DTNB)とSH基を含む試料溶液をリン酸緩衝液(pH8.0)と蒸留水を混合して、リン酸緩衝液、グッド緩衝液あるいはトリス緩衝液に溶解したDTNB溶液を添加し、一定時間インキュベートした後に、412nmの吸光度を測定することによって定量できる(G.L.Ellman, Arch. Biochem. Biophys., 82, 70 (1959)を参照)。
【0129】
還元処理によって抗体のジスルフィド結合が切断されて付加されたチオール基は、再度ジスルフィド結合が形成されるのを防ぐための処理(キャッピング)を行うことが好ましい。キャッピングは例えばN-エチルマレイミド(NEM)やヨードアセトアミド(2-iodoacetamide(IAA))を用いることができる。
【0130】
抗体に付加されたチオール基を用いて免疫活性化因子を結合させてコンジュゲートを形成させるためには公知の方法により行うことができる。具体的には、例えば、還元処理した抗体のチオール基と特異的に結合するリンカー試薬として、マレイミド基を有するもの、ブロモアセトアミド基を有するリンカー試薬を用いることで結合することができる。例えばマレイミド基を有するリンカーとしてN-スクシンイミジル-4-(N-マレイミドメチル)-シクロヘキサン-1-カルボキシレート(SMCC)が用いられる。この場合、免疫活性化因子にアミノ基が存在することでSMCCのN-スクシンイミド基とアミド結合を形成することでコンジュゲートを得ることができる。
【0131】
他の実施形態として、先に活性化因子に存在するアミノ基にSMCCを用いてアミド結合を形成させ、その後に抗体側に付加したチオール基と免疫活性化因子が結合したSMCCのマレイミド基とを反応させてコンジュゲートを得ることができる。
【0132】
また他の実施形態としては、2つのリンカーを用いることで抗体と免疫活性化因子とのコンジュゲートを形成することも可能である。例えば、抗体側のリジン残基に存在する第一級アミノ基とSATA(N-スクシンイミジル-S-アセチルチオアセテート)のN-スクシンイミド基とをアミド結合させたものを作製して抗体にチオール基を付加し、免疫活性化因子側にアミノ基が存在するものあるいは定法に従い、アミノ基を付加したものへSMCCを反応させてSMCCにあるN-スクシンイミド基とアミド結合を形成させたものを合成し、免疫活性化因子が結合したSMCCにあるマレイミド基と抗体が結合したSATAにあるチオール基との反応によりコンジュゲートを得ることができる。
【0133】
他の実施形態として、抗体と免疫活性化因子とのコンジュゲートの作製には、例えばマレイミドカプロイル?バリン?シトルリン?p?アミノベンジルオキシカルボニル(MC-Val-Cit-PAB)をリンカーとして用いる方法が挙げられる。MC-val-Cit-PABは、細胞内のプロテアーゼ(例えばカテプシンB)により切断可能なリンカーである。リン酸緩衝液中に溶解した抗体へDTTなどを用いてチオール基を付加しておく。一方でアミノ基を有する免疫活性化因子にMC-Val-Cit-PABにあるベンジルオキシカルボニル(PAB)を反応させ、MC-val-Cit-PABを結合させた免疫活性化因子を作製し、前述のチオールを付加した抗体へと反応させてコンジュゲートを得ることができる。
【0134】
さらに別な実施形態としては、抗体のリジン残基にある一級アミノ基にSATAを結合させてチオール基を付加し、一方でスクシンイミジル3-(2-ピリジルジチオ)プロピオネート(SPDP)を、アミノ基を有する免疫活性化因子と反応させ、SPDPにあるN-スクシンイミド基とアミド結合させたもの
リンカーが結合した抗体を含んだ組成物を得るためには、例えばゲル濾過クロマトグラフィーなどに供することで、リンカーを結合する前の抗体と比較して、より高分子化したピークを分取することで得ることできる。
【0135】
本発明の抗CAPRIN-1抗体と免疫活性化因子のコンジュゲートの1抗体当たりに結合した免疫活性化因子の数は、公知の方法に基づき質量分析、ELISA法、電気泳動法ならびにHPLCなどの方法を用いて特徴づけることができる。
【0136】
<コンジュゲートの抗腫瘍効果>
本発明の抗CAPRIN-1抗体と免疫活性化因子とのコンジュゲートは、インビトロあるいはインビボで、細胞障害活性を有する。よって本発明のコンジュゲートの抗腫瘍効果は、癌に対する細胞障害活性を調べることによって知ることが可能である。細胞障害活性は、癌を有する生体へコンジュゲートを投与し、投与後の腫瘍の大きさを計測して、癌の大きさを経時的に調べる事によって評価できる。本発明の抗腫瘍効果は、生存率を調べることによっても評価できる。また、サイトカインあるいはケモカインの産生能を調べる事によっても評価できる。本発明のコンジュゲートの抗腫瘍効果は、さらに癌の予防、転移の予防あるいは再発の予防を調べることによって知ることができる。
【0137】
本発明のコンジュゲートは、癌細胞表面上のCAPRIN-1タンパク質との結合親和性が高いほうが、より強い抗腫瘍効果が期待できる。結合定数(親和定数)Ka(kon/koff)が、好ましくは、少なくとも107M-1、少なくとも108M-1、少なくとも5×108M-1、少なくとも109M-1、少なくとも5×109M-1、少なくとも1010M-1、少なくとも5×1010M-1、少なくとも1011M-1、少なくとも5×1011M-1、少なくとも1012M-1、あるいは、少なくとも1013M-1であることが望ましい。
【0138】
本発明のコンジュゲートがCAPRIN-1に結合する能力は、例えば、ELISA法、ウエスタンブロット法、免疫蛍光及びフローサイトメトリー法等を用いた結合アッセイを利用して特定することができる。
【0139】
本発明のコンジュゲートは、前述の通り抗CAPRIN-1抗体単独よりも抗腫瘍効果が増強するが、その増強率は、好ましくは30%以上、より好ましくは40%以上、さらに好ましくは50%以上、さらにより好ましくは55%以上、さらにより好ましくは60%以上、さらにより好ましくは65%以上、最も好ましくは70%以上である。本発明のコンジュゲートの抗CAPRIN-1抗体単独に対する抗腫瘍効果の増強率は、それぞれ有効量を担癌マウスに同条件で投与し、投与開始後、10日目以降における腫瘍体積を比較することで算出することができる。
【0140】
<医薬組成物、及び癌の治療及び/又は予防方法>
本発明の癌の治療及び/又は予防のための医薬組成物の標的は、CAPRIN-1タンパク質を発現する癌(細胞)であれば特に限定されない。
【0141】
本明細書で使用される「腫瘍」及び「癌」という用語は、悪性新生物を意味し、互換的に用いられる。
【0142】
本発明において対象となる癌としては、CAPRIN-1タンパク質を細胞膜表面上に発現している癌であればいかなる癌であってもよい。好ましくは前述の乳癌、腎癌、膵臓癌、大腸癌、肺癌、脳腫瘍、胃癌、子宮癌、卵巣癌、前立腺癌、膀胱癌、食道癌、白血病、リンパ腫、肝臓癌、胆嚢癌、肉腫、肥満細胞腫、メラノーマ、副腎皮質癌、ユーイング腫瘍、ホジキンリンパ腫、中皮腫、多発性骨髄腫。睾丸癌、甲状腺癌、頭頸部癌である。
【0143】
前記癌は、より具体的には、例えば、乳線癌、複合型乳腺癌、乳腺悪性混合腫瘍、乳管内乳頭状腺癌、肺腺癌、扁平上皮癌、小細胞癌、大細胞癌、神経上皮組織性腫瘍である神経膠腫、膠芽腫、神経芽腫、脳室上衣腫、神経細胞性腫瘍、胎児型の神経外胚葉性腫瘍、神経鞘腫、神経線維腫、髄膜腫、慢性型リンパ球性白血病、リンパ腫、消化管型リンパ腫、消化器型リンパ腫、小~中細胞型リンパ腫、盲腸癌、上行結腸癌、下行結腸癌、横行結腸癌、S状結腸癌、直腸癌、卵巣上皮癌、胚細胞腫瘍、間質細胞腫瘍、膵管癌、浸潤性膵管癌、膵臓癌の腺癌、腺房細胞癌、腺扁平上皮癌、巨細胞腫、膵管内乳頭粘液性腫瘍、粘液性嚢胞腺癌、膵芽腫、膵頭細胞腫、Frants腫瘍、漿液性嚢胞腺癌、固体乳頭状癌、ガストリノーマ、グルカゴノーマ、インスリノーマ、多発性内分泌腺腫症1(Wermer症候群)、非機能性島細胞腫、ソマトスタチノーマ、VIP産生腫瘍、子宮頸癌、子宮体癌、線維肉腫、骨・関節肉種、ユーイング肉腫、ウィルムス腫瘍、肝芽腫、軟部肉腫、急性白血病、慢性白血病、脊髄腫瘍、軟部悪性腫瘍、奇形腫群腫瘍、頭頸部癌には、下咽頭癌、中咽頭癌、舌癌、上咽頭癌、口腔癌、口唇癌、副鼻腔癌、喉頭癌等が包含されるが、これらに限定されない。
【0144】
また、対象となる好ましい被験者(患者)は、哺乳動物であり、例えば霊長類、ペット動物、家畜類、競技用動物等を含む哺乳動物であり、特にヒト、イヌ及びネコが好ましい。
【0145】
本発明で用いられるコンジュゲートを医薬組成物として用いる場合には、当業者に公知の方法で製剤化することが可能である。例えば水もしくはそれ以外の薬学的に許容しうる液との無菌性溶液、又は懸濁液剤の注射剤の形で非経口的に使用できる。例えば、薬理学上許容される担体又は媒体、具体的には、減菌水や生理食塩水、植物油、乳化剤、懸濁剤、界面活性剤、安定剤、芳香剤、賦形剤、結合剤等と適宜組み合わせて、一般に認められた製薬実施に要求される単位用量形態で混和することによって製剤化することが考えられる。これら製剤における有効成分量は指示された範囲の適当な用量が得られるようにするものである。
【0146】
注射のための無菌組成物は注射用蒸留水のようなベヒクルを用いて通常の製剤実施に従って処方することができる。注射用の水溶液としては、例えば生理食塩水、ブドウ糖やその他の補助薬を含む等張液、例えばD-ソルビトール、D-マンノース、D-マンニトール、塩化ナトリウムが挙げられ、適当な溶解補助剤、例えばアルコール、具体的にはエタノール、ポリアルコール、例えばプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、非イオン性界面活性剤、例えばポリソルベート80(TM)、HCO-60と併用してもよい。油性液としてはゴマ油、大豆油があげられ、溶解補助剤として安息香酸ベンジル、ベンジルアルコールと併用してもよい。また、緩衝剤、例えばリン酸塩緩衝液、酢酸ナトリウム緩衝液、無痛化剤、例えば、塩酸プロカイン、安定剤、例えばベンジルアルコール、フェノール、酸化防止剤と配合してもよい。調製された注射液は通常、適当なアンプルに充填させる。
【0147】
投与は、経口又は非経口であり、好ましくは非経口投与であり、具体的には、注射剤型、経鼻投与剤型、経肺投与剤型、経皮投与型などが挙げられる。注射剤型の例としては、例えば、静脈内注射、筋肉内注射、腹腔内注射、皮下注射、腫瘍内注射などにより全身又は局部的に投与することができる。
【0148】
また、患者の年齢、体重、性別、症状などにより適宜投与方法を選択することができる。抗体又は抗体をコードするポリヌクレオチドを含有する医薬組成物の投与量としては、例えば、一回につき体重1kgあたり0.0001mgから1000mgの範囲で選ぶことが可能である。あるいは、例えば、患者あたり0.001~100000mg/bodyの範囲で投与量を選ぶことができるが、これらの数値に必ずしも制限されるものではない。投与量、投与方法は、患者の体重、年齢、性別、症状などにより変動するが、当業者であれば適宜選択することが可能である。
【0149】
本発明のコンジュゲートを有効成分として含む癌の治療及び/又は予防のための医薬組成物を被験者に投与することによって、前述のCAPRIN-1を細胞膜表面に発現する癌、好ましくは乳癌、腎癌、膵臓癌、大腸癌、肺癌、脳腫瘍、胃癌、子宮癌、卵巣癌、前立腺癌、膀胱癌、食道癌、白血病、リンパ腫、肝臓癌、胆嚢癌、肉腫、肥満細胞腫、メラノーマ、副腎皮質癌、ユーイング腫瘍、ホジキンリンパ腫、中皮腫、多発性骨髄腫。睾丸癌、甲状腺癌、又は頭頸部癌を治療及び/又は予防することができる。
【実施例】
【0150】
以下、本発明を実施例に基づき具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの具体例によって制限されないものとする。
【0151】
実施例1 抗CAPRIN-1ポリクローナル抗体
コンジュゲートに用いるCAPRIN-1タンパク質と免疫学的反応性を有する抗CAPRIN-1ポリクローナル抗体は、WO2010/016526の実施例3に従って作製した配列番号2および配列番号4で示されるヒトCAPRIN-1組換えタンパク質1mgを等容量の不完全フロイントアジュバント(IFA)溶液と混合し、これを2週間毎に4回、ウサギの皮下に投与を行った。その後血液を採取し、ポリクローナル抗体を含む抗血清を得た。得られた抗血清を、プロテインG担体(GEヘルスケアバイオサイエンス)を用いて精製し、CAPRIN-1タンパク質に対するポリクローナル抗体(抗CAPRIN-1ポリクローナル抗体#1)を得た。また、抗原を投与していないウサギの血清を上記と同様にしてプロテインG担体を用いて精製したものをウサギコントロール抗体とした。
【0152】
CAPRIN-1タンパク質に対する上記ポリクローナル抗体の作製方法と同様の方法にて、以下のCAPRIN-1の部分ポリペプチドに対するポリクローナル抗体#2~#6を得た。
【0153】
配列番号CAPRIN-1タンパク質WO2011/096528に記載されている配列番号37(本明細書の配列番号31)で表される部分ポリペプチドに対する抗CAPRIN-1ポリクローナル抗体#2、WO2013/018894に記載されている配列番号5(本明細書の配列番号32)で表される部分ポリペプチドに対する抗CAPRIN-1ポリクローナル抗体#3、WO2013/125654に記載されている配列番号5(本明細書の配列番号33)で表される部分ポリペプチドに対する抗CAPRIN-1ポリクローナル抗体#4、WO2011/096533に記載されている配列番号37(本明細書の配列番号34)で表される部分ポリペプチドに対する抗CAPRIN-1ポリクローナル抗体#5、WO2011/096534に記載されている配列番号37(本明細書の配列番号35)で表される部分ポリペプチドに対する抗CAPRIN-1ポリクローナル抗体#6。
【0154】
実施例2 抗CAPRIN-1モノクローナル抗体
本発明のコンジュゲートに用いる抗CAPRIN-1モノクローナル抗体は以下のものを用いた。
【0155】
WO2011/096528に記載されているCAPRIN-1に対するモノクローナル抗体であって、重鎖可変領域のCDR1~3がそれぞれ配列番号36、配列番号37及び配列番号38のアミノ酸配列からなり、軽鎖可変領域のCDR1~3がそれぞれ配列番号40、配列番号41及び配列番号42ならなる抗体(例えば、前記重鎖可変領域のCDR1~3を含む、配列番号39で表される重鎖可変領域のアミノ酸配列と、前記軽鎖可変領域のCDR1~3を含む、配列番号43で表される軽鎖可変領域のアミノ酸配列とを含む抗体)。
【0156】
WO2015/020212に記載されているCAPRIN-1に対するモノクローナル抗体であって、重鎖可変領域のCDR1~3がそれぞれ配列番号44、配列番号45及び配列番号46のアミノ酸配列からなり、軽鎖可変領域のCDR1~3がそれぞれ配列番号48、配列番号49及び配列番号50ならなる抗体(例えば、前記重鎖可変領域のCDR1~3を含む、配列番号47で表される重鎖可変領域のアミノ酸配列と、前記軽鎖可変領域のCDR1~3を含む、配列番号51で表される軽鎖可変領域のアミノ酸配列とを含む抗体)。
【0157】
WO2011/096519に記載されているCAPRIN-1に対するモノクローナル抗体であって、重鎖可変領域のCDR1~3がそれぞれ配列番号52、配列番号53及び配列番号54のアミノ酸配列からなり、軽鎖可変領域のCDR1~3がそれぞれ配列番号56、配列番号57及び配列番号58ならなる抗体(例えば、前記重鎖可変領域のCDR1~3を含む、配列番号55で表される重鎖可変領域のアミノ酸配列と、前記軽鎖可変領域のCDR1~3を含む、配列番号59で表される軽鎖可変領域のアミノ酸配列とを含む抗体)。
【0158】
WO2013/125654に記載されているCAPRIN-1に対するモノクローナル抗体であって、重鎖可変領域のCDR1~3がそれぞれ配列番号60、配列番号61及び配列番号62のアミノ酸配列からなり、軽鎖可変領域のCDR1~3がそれぞれ配列番号64、配列番号65及び配列番号66ならなる抗体(例えば、前記重鎖可変領域のCDR1~3を含む、配列番号63で表される重鎖可変領域のアミノ酸配列と、前記軽鎖可変領域のCDR1~3を含む、配列番号67で表される軽鎖可変領域のアミノ酸配列とを含む抗体)。
【0159】
WO2011/096517に記載されているCAPRIN-1に対するモノクローナル抗体であって、配列番号68のアミノ酸配列で表される重鎖可変領域のアミノ酸配列と、配列番号69のアミノ酸配列で表される軽鎖可変領域のアミノ酸配列とを含む抗体。
【0160】
WO2011/096528に記載されているCAPRIN-1に対するモノクローナル抗体であって、配列番号70のアミノ酸配列で表される重鎖可変領域のアミノ酸配列と、配列番号71のアミノ酸配列で表される軽鎖可変領域のアミノ酸配列とを含む抗体、配列番号72のアミノ酸配列で表される重鎖可変領域のアミノ酸配列と、配列番号73のアミノ酸配列で表される軽鎖可変領域のアミノ酸配列とを含む抗体、配列番号74のアミノ酸配列で表される重鎖可変領域のアミノ酸配列と、配列番号75のアミノ酸配列で表される軽鎖可変領域のアミノ酸配列とを含む抗体、配列番号76のアミノ酸配列で表される重鎖可変領域のアミノ酸配列と、配列番号77のアミノ酸配列で表される軽鎖可変領域のアミノ酸配列とを含む抗体、配列番号78のアミノ酸配列で表される重鎖可変領域のアミノ酸配列と、配列番号79のアミノ酸配列で表される軽鎖可変領域のアミノ酸配列とを含む抗体。
【0161】
WO2011/096533に記載されているCAPRIN-1に対するモノクローナル抗体であって、配列番号80のアミノ酸配列で表される重鎖可変領域のアミノ酸配列と、配列番号81のアミノ酸配列で表される軽鎖可変領域のアミノ酸配列とを含む抗体、配列番号82のアミノ酸配列で表される重鎖可変領域のアミノ酸配列と、配列番号83のアミノ酸配列で表される軽鎖可変領域のアミノ酸配列とを含む抗体。
【0162】
WO2011/096534に記載されているCAPRIN-1に対するモノクローナル抗体であって、配列番号84のアミノ酸配列で表される重鎖可変領域のアミノ酸配列と、配列番号85のアミノ酸配列で表される軽鎖可変領域のアミノ酸配列とを含む抗体、配列番号86のアミノ酸配列で表される重鎖可変領域のアミノ酸配列と、配列番号87のアミノ酸配列で表される軽鎖可変領域のアミノ酸配列とを含む抗体。
【0163】
WO2010/016526に記載されているCAPRIN-1に対するモノクローナル抗体であって、配列番号88のアミノ酸配列で表される重鎖可変領域のアミノ酸配列と、配列番号89のアミノ酸配列で表される軽鎖可変領域のアミノ酸配列とを含む抗体、配列番号90のアミノ酸配列で表される重鎖可変領域のアミノ酸配列と、配列番号91のアミノ酸配列で表される軽鎖可変領域のアミノ酸配列とを含む抗体、配列番号92のアミノ酸配列で表される重鎖可変領域のアミノ酸配列と、配列番号93のアミノ酸配列で表される軽鎖可変領域のアミノ酸配列とを含む抗体、配列番号94のアミノ酸配列で表される重鎖可変領域のアミノ酸配列と、配列番号95のアミノ酸配列で表される軽鎖可変領域のアミノ酸配列とを含む抗体、配列番号96のアミノ酸配列で表される重鎖可変領域のアミノ酸配列と、配列番号97のアミノ酸配列で表される軽鎖可変領域のアミノ酸配列とを含む抗体、配列番号98のアミノ酸配列で表される重鎖可変領域のアミノ酸配列と、配列番号99のアミノ酸配列で表される軽鎖可変領域のアミノ酸配列とを含む抗体、配列番号100のアミノ酸配列で表される重鎖可変領域のアミノ酸配列と、配列番号101のアミノ酸配列で表される軽鎖可変領域のアミノ酸配列とを含む抗体。
【0164】
WO2013/018894に記載されているCAPRIN-1に対するモノクローナル抗体であって、配列番号102のアミノ酸配列で表される重鎖可変領域のアミノ酸配列と、配列番号103のアミノ酸配列で表される軽鎖可変領域のアミノ酸配列とを含む抗体、配列番号104のアミノ酸配列で表される重鎖可変領域のアミノ酸配列と、配列番号105のアミノ酸配列で表される軽鎖可変領域のアミノ酸配列とを含む抗体。
【0165】
WO2013/018892に記載されているCAPRIN-1に対するモノクローナル抗体であって、配列番号106のアミノ酸配列で表される重鎖可変領域のアミノ酸配列と、配列番号107のアミノ酸配列で表される軽鎖可変領域のアミノ酸配列とを含む抗体。
【0166】
WO2013/018891に記載されているCAPRIN-1に対するモノクローナル抗体であって、配列番号108のアミノ酸配列で表される重鎖可変領域のアミノ酸配列と、配列番号109のアミノ酸配列で表される軽鎖可変領域のアミノ酸配列とを含む抗体。
【0167】
WO2013/018889に記載されているCAPRIN-1に対するモノクローナル抗体であって、配列番号110のアミノ酸配列で表される重鎖可変領域のアミノ酸配列と、配列番号111のアミノ酸配列で表される軽鎖可変領域のアミノ酸配列とを含む抗体。
【0168】
WO2013/018883に記載されているCAPRIN-1に対するモノクローナル抗体であって、配列番号112のアミノ酸配列で表される重鎖可変領域のアミノ酸配列と、配列番号113のアミノ酸配列で表される軽鎖可変領域のアミノ酸配列とを含む抗体。
【0169】
WO2013/125636に記載されているCAPRIN-1に対するモノクローナル抗体であって、配列番号114のアミノ酸配列で表される重鎖可変領域のアミノ酸配列と、配列番号115のアミノ酸配列で表される軽鎖可変領域のアミノ酸配列とを含む抗体。
【0170】
WO2013/125654に記載されているCAPRIN-1に対するモノクローナル抗体であって、配列番号116のアミノ酸配列で表される重鎖可変領域のアミノ酸配列と、配列番号117のアミノ酸配列で表される軽鎖可変領域のアミノ酸配列とを含む抗体、配列番号118のアミノ酸配列で表される重鎖可変領域のアミノ酸配列と、配列番号119のアミノ酸配列で表される軽鎖可変領域のアミノ酸配列とを含む抗体。
【0171】
WO2013/125630に記載されているCAPRIN-1に対するモノクローナル抗体であって、配列番号120のアミノ酸配列で表される重鎖可変領域のアミノ酸配列と、配列番号121のアミノ酸配列で表される軽鎖可変領域のアミノ酸配列とを含む抗体。
【0172】
WO2015/020212に記載されているCAPRIN-1に対するモノクローナル抗体であって、配列番号122のアミノ酸配列で表される重鎖可変領域のアミノ酸配列と、配列番号123のアミノ酸配列で表される軽鎖可変領域のアミノ酸配列とを含む抗体、配列番号124のアミノ酸配列で表される重鎖可変領域のアミノ酸配列と、配列番号125のアミノ酸配列で表される軽鎖可変領域のアミノ酸配列とを含む抗体、配列番号126のアミノ酸配列で表される重鎖可変領域のアミノ酸配列と、配列番号127のアミノ酸配列で表される軽鎖可変領域のアミノ酸配列とを含む抗体、配列番号128のアミノ酸配列で表される重鎖可変領域のアミノ酸配列と、配列番号129のアミノ酸配列で表される軽鎖可変領域のアミノ酸配列とを含む抗体、配列番号130のアミノ酸配列で表される重鎖可変領域のアミノ酸配列と、配列番号131のアミノ酸配列で表される軽鎖可変領域のアミノ酸配列とを含む抗体、配列番号132のアミノ酸配列で表される重鎖可変領域のアミノ酸配列と、配列番号133のアミノ酸配列で表される軽鎖可変領域のアミノ酸配列とを含む抗体。
【0173】
上記、抗CAPRIN-1モノクローナル抗体のうち、重鎖可変領域のCDR1~3がそれぞれ配列番号36、配列番号37及び配列番号38のアミノ酸配列からなり、フレームワーク領域がヒト抗体の配列を含む重鎖可変領域を発現できるように、塩基配列を設計し、これをヒトIgG1の重鎖定常領域が挿入された哺乳類発現用ベクターに挿入した。同様にして、軽鎖可変領域のCDR1~3がそれぞれ配列番号40、配列番号41及び配列番号42ならなり、フレームワーク領域がヒト抗体の配列を含む軽鎖可変領域を発現できるように、塩基配列を設計し、これをヒトIgG1の軽鎖定常領域が挿入された哺乳類発現用ベクターに挿入した。上記2つの組換え発現ベクターを常法に従って哺乳類細胞に導入して、重鎖可変領域のCDR1~3がそれぞれ配列番号36、配列番号37及び配列番号38のアミノ酸配列からなり、軽鎖可変領域のCDR1~3がそれぞれ配列番号40、配列番号41及び配列番号42からなるCAPRIN-1に対するヒト化モノクローナル抗体#1(ヒト化抗体#1)を含む培養上清を得た。
【0174】
同様にして、重鎖可変領域のCDR1~3がそれぞれ配列番号44、配列番号45及び配列番号46のアミノ酸配列からなり、フレームワーク領域がヒト抗体の配列を含む配列番号47で表される重鎖可変領域を発現できるように、塩基配列を設計し、これをヒトIgG1の重鎖定常領域が挿入された哺乳類発現用ベクターに挿入した。同様にして、軽鎖可変領域のCDR1~3がそれぞれ配列番号48、配列番号49及び配列番号50のアミノ酸配列からなり、フレームワーク領域がヒト抗体の配列を含む配列番号51で表される重鎖可変領域を発現できるように、塩基配列を設計し、これをヒトIgG1の重鎖定常領域が挿入された哺乳類発現用ベクターに挿入し、上記2つの組換え発現ベクターを常法に従って哺乳類細胞に導入して、重鎖可変領域のCDR1~3が配列番号44、配列番号45及び配列番号46のアミノ酸配列からなり、軽鎖可変領域のCDR1~3がそれぞれ配列番号48、配列番号49及び配列番号50のアミノ酸配列とからなるヒト化抗CAPRIN-1モノクローナル抗体#2(ヒト化抗体#2)を含む培養上清を得た。
【0175】
同様にして、重鎖可変領域のCDR1~3がそれぞれ配列番号52、配列番号53及び配列番号54のアミノ酸配列からなり、軽鎖可変領域のCDR1~3がそれぞれ配列番号56、配列番号57及び配列番号58とからなるヒト化抗CAPRIN-1モノクローナル抗体#3(ヒト化抗体#3)を含む培養上清を得た。
【0176】
同様にして、重鎖可変領域のCDR1~3がそれぞれ配列番号60、配列番号61及び配列番号62のアミノ酸配列からなり、軽鎖可変領域のCDR1~3がそれぞれ配列番号64、配列番号65及び配列番号66とからなるヒト化抗CAPRIN-1モノクローナル抗体#4(ヒト化抗体#4)を含む培養上清を得た。
【0177】
同様にして、以下のヒト化抗CAPRIN-1モノクローナル抗体#9~#41(ヒト化抗体#9~#41)を含む培養上清を得た。
【0178】
配列番号68のアミノ酸配列で表される重鎖可変領域のアミノ酸配列と、配列番号69のアミノ酸配列で表される軽鎖可変領域のアミノ酸配列とを含むヒト化モノクローナル抗体#9(ヒト化抗体#9)。
【0179】
配列番号70のアミノ酸配列で表される重鎖可変領域のアミノ酸配列と、配列番号71のアミノ酸配列で表される軽鎖可変領域のアミノ酸配列とを含むヒト化モノクローナル抗体#10(ヒト化抗体#10)。
【0180】
配列番号72のアミノ酸配列で表される重鎖可変領域のアミノ酸配列と、配列番号73のアミノ酸配列で表される軽鎖可変領域のアミノ酸配列とを含むヒト化モノクローナル抗体#11(ヒト化抗体#11)。
【0181】
配列番号74のアミノ酸配列で表される重鎖可変領域のアミノ酸配列と、配列番号75のアミノ酸配列で表される軽鎖可変領域のアミノ酸配列とを含むヒト化モノクローナル抗体#12(ヒト化抗体#12)。
【0182】
配列番号76のアミノ酸配列で表される重鎖可変領域のアミノ酸配列と、配列番号77のアミノ酸配列で表される軽鎖可変領域のアミノ酸配列とを含むヒト化モノクローナル抗体#13(ヒト化抗体#13)。
【0183】
配列番号78のアミノ酸配列で表される重鎖可変領域のアミノ酸配列と、配列番号79のアミノ酸配列で表される軽鎖可変領域のアミノ酸配列とを含むヒト化モノクローナル抗体#14(ヒト化抗体#14)。
【0184】
配列番号80のアミノ酸配列で表される重鎖可変領域のアミノ酸配列と、配列番号81のアミノ酸配列で表される軽鎖可変領域のアミノ酸配列とを含むヒト化モノクローナル抗体#15(ヒト化抗体#15)。
【0185】
配列番号82のアミノ酸配列で表される重鎖可変領域のアミノ酸配列と、配列番号83のアミノ酸配列で表される軽鎖可変領域のアミノ酸配列とを含むヒト化モノクローナル抗体#16(ヒト化抗体#16)。
【0186】
配列番号84のアミノ酸配列で表される重鎖可変領域のアミノ酸配列と、配列番号85のアミノ酸配列で表される軽鎖可変領域のアミノ酸配列とを含むヒト化モノクローナル抗体#17(ヒト化抗体#17)。
【0187】
配列番号86のアミノ酸配列で表される重鎖可変領域のアミノ酸配列と、配列番号87のアミノ酸配列で表される軽鎖可変領域のアミノ酸配列とを含むヒト化モノクローナル抗体#18(ヒト化抗体#18)。
【0188】
配列番号88のアミノ酸配列で表される重鎖可変領域のアミノ酸配列と、配列番号89のアミノ酸配列で表される軽鎖可変領域のアミノ酸配列とを含む抗体ヒト化モノクローナル抗体#19(ヒト化抗体#19)。
【0189】
配列番号90のアミノ酸配列で表される重鎖可変領域のアミノ酸配列と、配列番号91のアミノ酸配列で表される軽鎖可変領域のアミノ酸配列とを含むヒト化モノクローナル抗体#20(ヒト化抗体#20)。
【0190】
配列番号92のアミノ酸配列で表される重鎖可変領域のアミノ酸配列と、配列番号93のアミノ酸配列で表される軽鎖可変領域のアミノ酸配列とを含むヒト化モノクローナル抗体#21(ヒト化抗体#21)。
【0191】
配列番号94のアミノ酸配列で表される重鎖可変領域のアミノ酸配列と、配列番号95のアミノ酸配列で表される軽鎖可変領域のアミノ酸配列とを含むヒト化モノクローナル抗体#22(ヒト化抗体#22)。
【0192】
配列番号96のアミノ酸配列で表される重鎖可変領域のアミノ酸配列と、配列番号97のアミノ酸配列で表される軽鎖可変領域のアミノ酸配列とを含むヒト化モノクローナル抗体#23(ヒト化抗体#23)。
【0193】
配列番号98のアミノ酸配列で表される重鎖可変領域のアミノ酸配列と、配列番号99のアミノ酸配列で表される軽鎖可変領域のアミノ酸配列とを含むヒト化モノクローナル抗体#24(ヒト化抗体#24)。
【0194】
配列番号100のアミノ酸配列で表される重鎖可変領域のアミノ酸配列と、配列番号101のアミノ酸配列で表される軽鎖可変領域のアミノ酸配列とを含むヒト化モノクローナル抗体#25(ヒト化抗体#25)。
【0195】
配列番号102のアミノ酸配列で表される重鎖可変領域のアミノ酸配列と、配列番号103のアミノ酸配列で表される軽鎖可変領域のアミノ酸配列とを含むヒト化モノクローナル抗体#26(ヒト化抗体#26)。
【0196】
配列番号104のアミノ酸配列で表される重鎖可変領域のアミノ酸配列と、配列番号105のアミノ酸配列で表される軽鎖可変領域のアミノ酸配列とを含むヒト化モノクローナル抗体#27(ヒト化抗体#27)。
【0197】
配列番号106のアミノ酸配列で表される重鎖可変領域のアミノ酸配列と、配列番号107のアミノ酸配列で表される軽鎖可変領域のアミノ酸配列とを含むヒト化モノクローナル抗体#28(ヒト化抗体#28)。
【0198】
配列番号108のアミノ酸配列で表される重鎖可変領域のアミノ酸配列と、配列番号109のアミノ酸配列で表される軽鎖可変領域のアミノ酸配列とを含むヒト化モノクローナル抗体#29(ヒト化抗体#29)。
【0199】
配列番号110のアミノ酸配列で表される重鎖可変領域のアミノ酸配列と、配列番号111のアミノ酸配列で表される軽鎖可変領域のアミノ酸配列とを含むヒト化モノクローナル抗体#30(ヒト化抗体#30)。
【0200】
配列番号112のアミノ酸配列で表される重鎖可変領域のアミノ酸配列と、配列番号113のアミノ酸配列で表される軽鎖可変領域のアミノ酸配列とを含むヒト化モノクローナル抗体#31(ヒト化抗体#31)。
【0201】
配列番号114のアミノ酸配列で表される重鎖可変領域のアミノ酸配列と、配列番号115のアミノ酸配列で表される軽鎖可変領域のアミノ酸配列とを含むヒト化モノクローナル抗体#32(ヒト化抗体#32)。
【0202】
配列番号116のアミノ酸配列で表される重鎖可変領域のアミノ酸配列と、配列番号117のアミノ酸配列で表される軽鎖可変領域のアミノ酸配列とを含むヒト化モノクローナル抗体#33(ヒト化抗体#33)。
【0203】
配列番号118のアミノ酸配列で表される重鎖可変領域のアミノ酸配列と、配列番号119のアミノ酸配列で表される軽鎖可変領域のアミノ酸配列とを含むヒト化モノクローナル抗体#34(ヒト化抗体#34)。
【0204】
配列番号120のアミノ酸配列で表される重鎖可変領域のアミノ酸配列と、配列番号121のアミノ酸配列で表される軽鎖可変領域のアミノ酸配列とを含むヒト化モノクローナル抗体#35(ヒト化抗体#35)。
【0205】
配列番号122のアミノ酸配列で表される重鎖可変領域のアミノ酸配列と、配列番号123のアミノ酸配列で表される軽鎖可変領域のアミノ酸配列とを含むヒト化モノクローナル抗体#36(ヒト化抗体#36)。
【0206】
配列番号124のアミノ酸配列で表される重鎖可変領域のアミノ酸配列と、配列番号125のアミノ酸配列で表される軽鎖可変領域のアミノ酸配列とを含むヒト化モノクローナル抗体#37(ヒト化抗体#37)。
【0207】
配列番号126のアミノ酸配列で表される重鎖可変領域のアミノ酸配列と、配列番号127のアミノ酸配列で表される軽鎖可変領域のアミノ酸配列とを含むヒト化モノクローナル抗体#38(ヒト化抗体#38)。
【0208】
配列番号128のアミノ酸配列で表される重鎖可変領域のアミノ酸配列と、配列番号129のアミノ酸配列で表される軽鎖可変領域のアミノ酸配列とを含むヒト化モノクローナル抗体#39(ヒト化抗体#39)。
【0209】
配列番号130のアミノ酸配列で表される重鎖可変領域のアミノ酸配列と、配列番号131のアミノ酸配列で表される軽鎖可変領域のアミノ酸配列とを含むヒト化モノクローナル抗体#40(ヒト化抗体#40)。
【0210】
配列番号132のアミノ酸配列で表される重鎖可変領域のアミノ酸配列と、配列番号133のアミノ酸配列で表される軽鎖可変領域のアミノ酸配列とを含むヒト化モノクローナル抗体#41(ヒト化抗体#41)。
【0211】
また、上記、抗CAPRIN-1モノクローナル抗体のうち、ヒト化抗体#1について重鎖可変領域のCDR1~3がそれぞれ配列番号36、配列番号37及び配列番号38のアミノ酸配列からなり、フレームワーク領域がヒト抗体の配列を含む重鎖可変領域を発現できるように、塩基配列を設計し、これを、EUナンバリング239番目のアミノ酸であるセリン(Ser)がアスパラギン酸(Asp)に置換されており、且つEUナンバリング332番目のアミノ酸であるイソロイシン(Ile)がグルタミン酸(Glu)に置換されたヒトIgG1の重鎖定常領域が挿入された哺乳類発現用ベクターに挿入した。また、軽鎖可変領域のCDR1~3がそれぞれ配列番号40、配列番号41及び配列番号42からなり、フレームワーク領域がヒト抗体の配列を含む軽鎖可変領域のアミノ酸配列を発現できるように塩基配列を設計し、これをヒトIgG1の軽鎖定常領域が挿入された哺乳類発現用ベクターに挿入した。上記2つの組換え発現ベクターを常法に従って哺乳類細胞に導入して、上記で作製した重鎖可変領域とEUナンバリング239番目のアミノ酸であるセリン(Ser)がアスパラギン酸(Asp)に置換されており、且つEUナンバリング332番目のアミノ酸であるイソロイシン(Ile)がグルタミン酸(Glu)に置換されたヒトIgG1の重鎖定常領域からなる重鎖全長アミノ酸配列と、上記で作製した軽鎖可変領域とヒト軽鎖定常領域からなる軽鎖全長アミノ酸配列とからなるヒト化CAPRIN-1に対するモノクローナル抗体#5(ヒト化抗体#5)を含む培養上清を得た。
【0212】
同様にして、上記で作製したヒト化抗体#2の重鎖可変領域のアミノ酸配列と、軽鎖可変領域のアミノ酸配列とからなるヒト化抗CAPRIN-1モノクローナル抗体#6(ヒト化抗体#6)を含む培養上清を得た。
【0213】
同様にして、上記で作製したヒト化抗体#3の重鎖可変領域のアミノ酸配列と、軽鎖可変領域のアミノ酸配列とからなるヒト化抗CAPRIN-1モノクローナル抗体#7(ヒト化抗体#7)を含む培養上清を得た。
【0214】
同様にして、上記で作製したヒト化抗体#4の重鎖可変領域のアミノ酸配列と、軽鎖可変領域のアミノ酸配列とからなるヒト化抗CAPRIN-1モノクローナル抗体#8(ヒト化抗体#8)を含む培養上清を得た。
【0215】
同様にして、上記で作製したヒト化抗体#9~#41のそれぞれの重鎖可変領域のアミノ酸配列と、軽鎖可変領域のアミノ酸配列とからなるヒト化抗CAPRIN-1抗体#42~#74(ヒト化抗体#42~#74)をそれぞれ含む培養上清を得た。
【0216】
得られたヒト化抗CAPRIN-1モノクローナル抗体#1~#74を含む培養上清を常法に従ってHitrap Protein A SepharoseFF(GEヘルスケア社製)を用いて精製し、PBS(-)に置換して0.22μmのフィルター(ミリポア社製)で濾過したものを調製した。
【0217】
実施例3 抗CAPRIN-1抗体と免疫活性化因子とのコンジュゲートの作製
実施例1に記載の抗CAPRIN-1ポリクローナル抗体#1~#6と免疫活性化因子であるResiquimodとのコンジュゲートを、マレイミドカプロイル-バリン-シトルリン-p-アミノベンジルオキシカルボニル(MC-val-Cit-PAB-PNP)をリンカーとして用いて作製した。本コンジュゲートは、WO2014/012479に記載されている方法を参照した。
【0218】
PBS(-)に溶解している実施例1に記載の抗CAPRIN-1ポリクローナル抗体#0、20mg/mLをpH8.0の500mMのホウ酸ナトリウムおよび500mMの塩化ナトリウム溶液に置換し、100mMのジチオスレイトール(DTT)で、37℃で30分間インキュベートした後、Sephadex G25を用いて1mMのジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)を含んだPBS(-)溶液に置換して氷冷し、還元された抗CAPRIN-1ポリクローナル抗体#0を得た。
【0219】
1抗体あたりのチオール量(チオール/抗体比)は、DTNBと反応させて、412nmの吸光度ならびに、280nmの吸光度を計測することによって算出した。
【0220】
Resiquimod(ENZO)とMC-Val-Cit-PABC-PNP(Medchem Express)をDMSO中で混合し、Resiquimod側のアミノ基とMC-Val-Cit-PABC-PNPにあるベンジルオキシカルボニルを反応させてMC-val-Cit-PABが結合したResiquimod溶液を得て、上記にて作製した還元された抗CAPRIN-1ポリクローナル抗体#1に添加して反応させた。反応後、過剰量のマレイミドを加えて反応を停止し、実施例1に記載の抗CAPRIN-1ポリクローナル抗体#1とResiquimodのコンジュゲートを含む溶液を得た。得られたコンジュゲートを、限外濾過法により濃縮し、Sephadex G25により脱塩してPBS(-)溶液に置換し、0.22μmのフィルターで濾過滅菌して、抗CAPRIN-1ポリクローナル抗体#1とResiquimodのコンジュゲート(コンジュゲート1)を含む溶液を得た。
【0221】
上記と同様の操作で、抗CAPRIN-1ポリクローナル抗体#2とResiquimodのコンジュゲート(コンジュゲート2)、抗CAPRIN-1ポリクローナル抗体#3とResiquimodのコンジュゲート(コンジュゲート3)、抗CAPRIN-1ポリクローナル抗体#4とResiquimodのコンジュゲート(コンジュゲート4)、抗CAPRIN-1ポリクローナル抗体#5とResiquimodのコンジュゲート(コンジュゲート5)、抗CAPRIN-1ポリクローナル抗体#6とResiquimodのコンジュゲート(コンジュゲート6)を含む溶液を得た。
【0222】
上記と同様の操作で、CAPRIN-1タンパク質には反応しない実施例1に記載のウサギコントロール抗体についても同様の方法でウサギコントロール抗体とResiquimodのコンジュゲート(コントロールコンジュゲート1)を含む溶液を得た。
【0223】
また、上記と同様の方法を用いて、実施例2に記載の抗CAPRIN-1モノクローナル抗体であるヒト化抗体#1を用いて、免疫活性化因子Resiquimodとのコンジュゲート(コンジュゲート7)を含む溶液を得た。
【0224】
同様にして、実施例2に記載の抗CAPRIN-1抗体の一つであるヒト化抗体#2を用いて、免疫活性化因子Resiquimodとのコンジュゲート(コンジュゲート8)を含む溶液を得た。
【0225】
上記と同様にして、実施例2に記載のヒト化抗体#3を用いて、免疫活性化因子Resiquimodとのコンジュゲート(コンジュゲート9)を、ヒト化抗体#4を用いて、免疫活性化因子Resiquimodとのコンジュゲート(コンジュゲート10)を、ヒト化抗体#5を用いて、免疫活性化因子Resiquimodとのコンジュゲート(コンジュゲート11)を、ヒト化抗体#6を用いて、免疫活性化因子Resiquimodとのコンジュゲート(コンジュゲート12)を、ヒト化抗体#7を用いて、免疫活性化因子Resiquimodとのコンジュゲート(コンジュゲート13)を、ヒト化抗体#8を用いて、免疫活性化因子Resiquimodとのコンジュゲート(コンジュゲート14)を、ヒト化抗体#9~#74を用いて、免疫活性化因子Resiquimodとのコンジュゲート(コンジュゲート45~コンジュゲート110)含む溶液をそれぞれ得た。
【0226】
得られた上記コンジュゲート1~14、コンジュゲート45~110ならびにコントロールコンジュゲート1を含む溶液を0.22μmのフィルター(ミリポア社製)で濾過したものを調製した。
【0227】
実施例4 抗CAPRIN-1抗体と免疫活性化因子とのコンジュゲートの作製
実施例1に記載の抗CAPRIN-1ポリクローナル抗体と免疫活性化因子とのコンジュゲートを以下の方法にて作製した。免疫活性化因子としては、Resiqiomodにある三級水酸基へ2炭素増炭してアミノ基を付けたResiquimod誘導体である1-(2(2-Aminoethoxy)-2-methylpropyl)-2-(ethoxymethyl)-1H-imidazo[4,5-c]quinolin-4-amineを定法に従い合成し、作製した。
【0228】
具体的には、Resiquimodと乾燥アセトニトリル、トリエチルアミン、トリチルクロリドを添加して、アルゴン雰囲気下にて反応を行い、反応後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製した。精製したものを脱水DMFに溶解して、3-Boc-1,2,3-オキサチアゾリジン 2,2-ジオキシドを添加して反応させた。定法に従い、水層を酢酸エチルで抽出して有機層を得て、カラムクロマトグラフィーで精製し、前記Resiquimodoの誘導体を得た。
【0229】
次に、得られたResiquimodoの誘導体と、リンカーの一つである、スクシイミジル4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボキレート(SMCC)結合させるため、J.Med.Chem.2008,51,6916-6926に記載の方法を参照して、以下の操作を行った。
【0230】
アルゴン雰囲気下にて、上記Resiquimodoの誘導体を、脱水ジクロロメタンに溶解し、ジイソプロピルエチルアミンとSMCCを添加した、室温にて2時間反応させた。反応液を精製して、ResiquimodにSMCCが結合した縮合体を得た。
【0231】
上記のResiquimodにリンカーSMCCが結合した縮合体と、抗CAPRIN-1抗体のコンジュゲートを米国特許8,951,528に記載されている方法ならびにJIMD Reports-Case and Research Reports,2012/5を参照して、定法に従い作製した。
【0232】
具体的には、リン酸緩衝液中に溶解された抗CAPRIN-1ポリクローナル抗体#1へ、抗体に対して10倍モル質量のDMSOに溶解したN-Succinimidyl S-Acetylthioacetate(SATA)(Thermo)を添加して、pH8にて30分間、室温にて反応させたのち、脱塩カラム(Thermo)を用いて、10mMのEDTAを含むリン酸緩衝液に置換し、SATAが結合した抗CAPRIN-1ポリクローナル抗体#1を含む溶液を得た。前記溶液へ0.5M Hydroxylamineと25mMのEDTAを含むリン酸緩衝液を前記溶液に対して10%容量添加し、室温にて2時間反応させて脱アセチル化した。脱アセチル化したSATAが結合した抗CAPRIN-1ポリクローナル抗体#1を含む溶液を前記と同様に脱塩カラムを用いてリン酸緩衝液に置換してチオール基が付加された抗CAPRIN-1抗体を含む溶液を得た。
【0233】
前記抗体に対して10~50倍モル質量のDMSOに溶解された、前記にて作製した縮合体を添加し、室温にて1時間反応させた。反応後、脱塩カラムを用いてPBS(-)溶液に置換し、限外濾過カラムを用いて濃縮して、0.2μmのフィルターで濾過滅菌することで、実施例1に記載の抗CAPRIN-1ポリクローナル抗体#1と前記Resiquimodの誘導体とのコンジュゲート(コンジュゲート15)を含む溶液を得た。
【0234】
上記と同様の方法を用いて、抗CAPRIN-1ポリクローナル抗体#2を用いた上記と前記Resiquimodの誘導体とのコンジュゲート(コンジュゲート16)を、抗CAPRIN-1ポリクローナル抗体#3を用いた上記と免疫活性化因子とのコンジュゲート(コンジュゲート17)を、抗CAPRIN-1ポリクローナル抗体#4を用いた上記と免疫活性化因子とのコンジュゲート(コンジュゲート18)を、抗CAPRIN-1ポリクローナル抗体#5を用いた上記と免疫活性化因子とのコンジュゲート(コンジュゲート19)を、抗CAPRIN-1ポリクローナル抗体#6を用いた上記と免疫活性化因子とのコンジュゲート(コンジュゲート20)を含む溶液を得た。
【0235】
さらに上記と同様の方法を用いて、CAPRIN-1タンパク質には反応しない実施例1に記載のウサギコントロール抗体についても同様の方法でウサギコントロール抗体を用いたコンジュゲート(コントロールコンジュゲート2)を含む溶液を得た。
【0236】
また、上記と同様の方法を用いて、実施例2に記載の抗CAPRIN-1モノクローナル抗体の一つであるヒト化抗体#1について、前記Resiquimodの誘導体とのコンジュゲート(コンジュゲート21)を含む溶液を得た。
【0237】
同様にして、実施例2に記載の抗CAPRIN-1抗体の一つであるヒト化抗体#2について、前記Resiquimodの誘導体とのコンジュゲート(コンジュゲート22)を含む溶液を得た。
【0238】
上記と同様にして、実施例2に記載の抗CAPRIN-1抗体であるヒト化抗体#3について、上記免疫活性化因子とのコンジュゲート(コンジュゲート23)を、ヒト化抗体#4について、上記免疫活性化因子とのコンジュゲート(コンジュゲート24)を、ヒト化抗体#5について、上記免疫活性化因子とのコンジュゲート(コンジュゲート25)を、ヒト化抗体#6について、上記免疫活性化因子とのコンジュゲート(コンジュゲート26)を、ヒト化抗体#7について、上記免疫活性化因子とのコンジュゲート(コンジュゲート27)を、ヒト化抗体#8について、上記免疫活性化因子とのコンジュゲート(コンジュゲート28)を含む溶液を得た。
【0239】
上記と同様にして、ヒト化抗体#9~#74について、上記免疫活性化因子とのコンジュゲート(コンジュゲート111~コンジュゲート176)を含む溶液をそれぞれ得た。
【0240】
得られた上記コンジュゲート15~28、コンジュゲート111~176ならびにコントロールコンジュゲート2を含む溶液を0.22μmのフィルター(ミリポア社製)で濾過したものを調製した。
【0241】
実施例5 コンジュゲートのCAPRIN-1タンパク質ならびにCAPRIN-1発現癌細胞への特異的反応性
実施例3にて作製した、コンジュゲート1~コンジュゲート14、コンジュゲート45~コンジュゲート110ならびに実施例4にて作製したコンジュゲート15~コンジュゲート28、コンジュゲート111~コンジュゲート176のCAPRIN-1タンパク質への特異的反応性と、CAPRIN-1タンパク質が発現しているヒト癌細胞ならびにマウス癌細胞の細胞膜表面に反応性を示すことを評価した。
【0242】
CAPRIN-1タンパク質への特異的反応性はELISA法を用いて確認した。CAPRIN-1タンパク質溶液1μg/mLを96穴プレート1ウェル当たりに100μL添加し、4℃にて18時間静置した。各ウェルをPBS-Tで3回洗浄後、0.5% Bovine Serum Albumin(BSA)溶液を1ウェル当たり400μL添加して室温にて3時間静置した。溶液を除いて、1ウェル当たり400μLのPBS-Tでウェルを3回洗浄後、コンジュゲート1~コンジュゲート6、コンジュゲート15~コンジュゲート20、コントロールコンジュゲート1ならびにコントロールコンジュゲート2を含んだ溶液をそれぞれ1ウェル当たり100μL添加し、室温にて2時間静置した。PBS-Tで各ウェルを3回洗浄した後、PBSで5000倍に希釈したHRP標識抗ウサギ抗体を1ウェル当たり100μL添加して室温にて1時間静置した。PBS-Tでウェルを3回洗浄した後、TMB基質溶液を1ウェル当たり100μL添加して15~30分間静置して発色反応を行った。発色後、1規定硫酸を1ウェル当たり100μL添加して反応を停止させ、吸光度計を用いて450nmと595nmの吸光度値を測定した。その結果、コンジュゲート1~コンジュゲート6、コンジュゲート15~コンジュゲート20は、陰性コントロールであるコントロールコンジュゲート1ならびにコントロールコンジュゲート2に比べて吸光度値が高く、CAPRIN-1タンパク質に特異的に反応を示すことが確認できた。
【0243】
次に、CAPRIN-1が発現している癌細胞の、細胞膜表面への反応性は、フローサイトメトリー法にて確認した。2×105個のヒト乳癌細胞BT-474(ATCCから入手)ならびにマウス乳癌細胞4T1(ATCCから入手)を1.5ml容のミクロ遠心チューブにて遠心分離し、これにコンジュゲート1~コンジュゲート6、コンジュゲート15~コンジュゲート20、コントロールコンジュゲート1ならびにコントロールコンジュゲート2を含んだ溶液100μLをそれぞれ別のチューブに添加し、氷上で1時間静置した。PBSで洗浄した後、0.5%のFBSを含むPBS(-)(0.5% FBS-PBS(-))で100倍希釈したAlexa488標識抗ウサギIgG(H+L)を添加し、氷上で1時間静置した。0.5% FBS-PBS(-)で洗浄後、細胞を0.2μg/mLのPropidium iodideと0.5% FBS-PBS(-)に細胞を懸濁して、FACSVerseTM(ベクトン・ディッキンソンアンドカンパニー)で蛍光強度を測定した。その結果、抗CAPRIN-1ポリクローナル抗体と免疫活性化因子のコンジュゲートである、コンジュゲート1~コンジュゲート6ならびにコンジュゲート15~コンジュゲート20は、陰性コントロールであるコントロールコンジュゲート1ならびにコントロールコンジュゲート2に比べて蛍光強度が高い、すなわちCAPRIN-1が発現しているヒト癌細胞BT474ならびにマウス癌細胞4T1の細胞表面に強く反応することが確認できた。
【0244】
同様にして、上記コンジュゲートの各種ヒト癌細胞ならびにマウス癌細胞への反応性を確認した。CAPRIN-1の遺伝子の発現が確認されているヒト癌細胞である、乳癌細胞(BT-474)、大腸癌細胞(HT-29)、肺癌細胞(QG56、H1650)、胃癌細胞(NCI-N87)、子宮癌細胞(HEC-1-A)、前立腺癌細胞(22Rv1)、膵臓癌細胞(Panc10.5)、肝臓癌細胞(Hep3B)、卵巣癌細胞(SKOV3)、腎癌細胞(Caki-2)、脳腫瘍細胞(U-87MG)、膀胱癌細胞(T24)、食道癌細胞(OE33)、白血病細胞(OCI-AML5)、リンパ腫細胞(Ramos)、胆嚢癌細胞(TGBC14TKB)、線維肉腫細胞(HT-1080)、メラノーマ細胞(G-361)、CAPRIN-1の遺伝子の発現が確認されているマウス腎癌細胞(Renca)、マウス乳癌細胞(4T1)。確認の結果、いずれの癌細胞に対しても抗CAPRIN-1抗体と免疫活性化因子とのコンジュゲートであるコンジュゲート1~コンジュゲート6ならびにコンジュゲート15~コンジュゲート20は、陰性コントロールであるコントロールコンジュゲート1ならびにコントロールコンジュゲート2に比べて蛍光強度が強く、CAPRIN-1が発現している上記癌細胞の細胞膜表面に強く反応することが確認された。
【0245】
また、免疫活性化因子が結合していない実施例1にて作製した抗CAPRIN-1ポリクローナル抗体#1~#6についても同様の評価をした結果、CAPRIN-1が発現している前記癌細胞への反応性をフローサイトメトリー法で評価した結果、コンジュゲート1~コンジュゲート6ならびにコンジュゲート15~コンジュゲート20と同等の蛍光強度の強さを示した。
【0246】
次に、実施例3にて作製した、抗CAPRIN-1モノクローナル抗体を用いた免疫活性化因子とのコンジュゲートである、コンジュゲート7~コンジュゲート14、コンジュゲート45~コンジュゲート110ならびに、実施例4にて作製したコンジュゲート21~コンジュゲート28、コンジュゲート111~コンジュゲート176のCAPRIN-1タンパク質への特異的反応性と、CAPRIN-1が発現しているヒト癌細胞ならびにマウス癌細胞の細胞膜表面に反応性を示すことを上記と同等の方法にて評価した。その結果、コンジュゲート7~コンジュゲート14ならびにコンジュゲート21~コンジュゲート28は、陰性コントロールとしてPBS(-)を添加したものに比べて有意に高い吸光度値を示したことから、CAPRN-1タンパク質に特異的に反応することが示された。
【0247】
さらに、コンジュゲート7~コンジュゲート14、コンジュゲート45~コンジュゲート110ならびにコンジュゲート21~コンジュゲート28、コンジュゲート111~コンジュゲート176についてCAPRIN-1タンパク質が発現している癌細胞の細胞膜表面への反応性を評価した結果、CAPRIN-1タンパク質へ反応性を示さないヒトIgGへ免疫活性化因子を結合させたものよりも、有意に強い反応性を示し、また、免疫活性化因子が結合していない実施例2に記載の抗CAPRIN-1モノクローナル抗体#1~#74とそれぞれの同等の反応性の強さを示した。
【0248】
以上のことから,上記で作製した抗CAPRIN-1抗体と免疫活性化因子とのコンジュゲート(コンジュゲート7~コンジュゲート14、コンジュゲート45~コンジュゲート110、コンジュゲート21~コンジュゲート28、ならびにコンジュゲート111~コンジュゲート176)は、CAPRIN-1タンパク質ならびにCAPRIN-1が発現している癌細胞の細胞膜表面へ特異的に結合することが示された。
【0249】
実施例6 コンジュゲートの抗腫瘍効果1
次に、実施例3ならびに実施例4にて作製した、抗CAPRIN-1ポリクローナル抗体#1~#6を用いて作製したコンジュゲート1~6ならびにコンジュゲート15~20と、抗CAPRIN-1モノクローナル抗体を用いて作製したコンジュゲート7~14、コンジュゲート21~28の担癌マウス生体内における抗腫瘍効果を評価した。
【0250】
具体的には、CAPRIN-1タンパク質を発現するヒト由来の癌細胞を移植したNOD-SCIDマウスを用いて、本発明のコンジュゲートの抗腫瘍効果を検討した。1匹あたり107個のヒト乳癌細胞BT474をマトリゲル(SIGMA)と混合して皮下に移植し、腫瘍が180mm3以上になるまで成長させた担癌マウスを作製した。BT474は、細胞膜表面にCAPRIN-1タンパク質が発現しており、実施例5にて示した通り、抗CAPRIN-1ポリクローナル抗体#1~#6を用いて作製したコンジュゲート1~6、コンジュゲート15~20と、抗CAPRIN-1モノクローナル抗体を用いて作製したコンジュゲート7~14、コンジュゲート21~28が細胞膜表面の特異的に結合する。コンジュゲート1~28を、それぞれ、担癌マウス尾静脈へ10匹ずつ10mg/kgを投与した。
【0251】
また、実施例3に記載の方法を用いてトラスツマブとResiquimodとのコンジュゲートを含む溶液を作製し、比較対照として上記の担癌マウスへ同量投与した。BT474は、細胞膜表面にトラスツマブの標的抗原であるHER2タンパク質が発現しており、上記のトラスツマブとResiquimodとのコンジュゲートが特異的に結合する。担癌マウスへの投与は1週間に1回投与した。
【0252】
陰性コントロールの担癌マウスへはPBS(-)を投与した。
【0253】
投与後の担癌マウスの癌の大きさを経時的にノギスを用いて計測し、腫瘍体積は、定法に従い、計算式:(癌の長径の長さ)×(癌の短径の長さ)2×0.5にて算出した。評価の結果、投与を開始して50日目において、陰性コントロールの腫瘍体積を100%としたとき、実施例3にて作製したコンジュゲート1~コンジュゲート6ならびに実施例4にて作製したコンジュゲート15~コンジュゲート20を投与したマウスではいずれも37%未満の腫瘍体積であった。コンジュゲート7~14ならびにコンジュゲート21~28を投与したマウスではいずれも15%未満の腫瘍体積であった。なお、コンジュゲート11~14ならびコンジュゲート25~28を投与したマウスの癌は、コンジュゲート7~10ならびにコンジュゲート21~24を投与したマウスの癌に比べて早期に癌の成長が抑えられた。また、同様にコンジュゲート45~コンジュゲート176の担癌マウス生体内における抗腫瘍効果を評価した結果、いずれも腫瘍体積は20%未満であった。
【0254】
一方、比較対照としたトラスツマブとResiquimodとのコンジュゲートを含む溶液を投与したマウスの腫瘍体積は、陰性コントロールに対して54%であった。
【0255】
本評価の結果、CAPRIN-1に対する抗体を用いて実施例3ならびに実施例4にて作製したコンジュゲート1~28ならびにコンジュゲート45~コンジュゲート176は、陰性コントロールに比べて有意に強い抗腫瘍効果を発揮することが示された。また、コンジュゲート1~28ならびにコンジュゲート45~コンジュゲート176は、比較対照として作製したトラスツマブとResiquimodとのコンジュゲートに対して有意に強い抗腫瘍効果を有することが示された。
【0256】
実施例7 コンジュゲートの抗腫瘍効果2
実施例3ならびに4にて作製した抗CAPRIN-1抗体と免疫活性化因子とのコンジュゲート(コンジュゲート1~28)の担癌マウス生体内における抗腫瘍効果を評価した。
【0257】
具体的には、CAPRIN-1を発現するヒト由来の癌細胞を移植したBalb/cヌードマウスを用いて、本発明のコンジュゲートの抗腫瘍効果を検討した。ヒト肺癌細胞H1650を腹側部の皮下へ移植し、腫瘍が180mm3以上になるまで成長させた担癌マウスを作製した。肺癌細胞H1650は、細胞膜表面にCAPRIN-1タンパク質が発現しており、実施例5にて示した通り、コンジュゲート1~28が肺癌細胞H1650の細胞膜表面にあるCAPRIN-1へと特異的に結合する。10mg/kgの実施例3にて作製したコンジュゲート1~14ならびに実施例4にて作製したコンジュゲート15~28を、それぞれ、担癌マウス尾静脈へ10匹ずつ投与した。
【0258】
また、実施例3に記載の方法を用いてセツキシマブとResiquimodとのコンジュゲートを含む溶液を作製し、比較対照として上記の担癌マウスへ同量投与した。投与は1週間に1回、合計3回投与した。
【0259】
陰性コントロールの担癌マウスへはPBS(-)を投与した。
【0260】
投与後の担癌マウスの癌の大きさを経時的にノギスを用いて計測し、腫瘍体積は、定法に従い、計算式:(癌の長径の長さ)×(癌の短径の長さ)2×0.5にて算出した。その結果、投与を開始して25日目において、陰性コントロールの腫瘍体積を100%としたとき、コンジュゲート1~6ならびにコンジュゲート15~20を投与したマウスの腫瘍体積は22%未満であった。コンジュゲート7~14ならびにコンジュゲート21~28を投与したマウスではいずれも12%未満の腫瘍体積であった。なお、コンジュゲート11~14ならびコンジュゲート25~28を投与したマウスの癌は、コンジュゲート7~10ならびにコンジュゲート21~24を投与したマウスの癌に比べて早期に癌の成長が抑えられた。また、同様にコンジュゲート45~コンジュゲート176の担癌マウス生体内における抗腫瘍効果を評価した結果、腫瘍体積は16%未満であった。
【0261】
一方、比較対照としたセツキシマブとResiquimodとのコンジュゲートを含む溶液を投与したマウスの腫瘍体積は、陰性コントロールに対して32%であった。
【0262】
本評価の結果、コンジュゲート1~28ならびにコンジュゲート45~コンジュゲート176は、陰性コントロールに比べて有意に強い抗腫瘍効果を発揮することが示された。また、コンジュゲート1~28ならびにコンジュゲート45~コンジュゲート176は、比較対照であるセツキシマブとResiquimodとのコンジュゲートに対して有意に強い抗腫瘍効果を有することが示された。
【0263】
実施例8.マウスキメラ抗CAPRIN-1モノクローナル抗体と免疫活性化因子とのコンジュゲートの作製
抗CAPRIN-1モノクローナル抗体の重鎖可変領域とマウスIgGの重鎖定常領域を有する重鎖と、抗CAPRIN-1モノクローナル抗体の軽鎖可変領域とマウスIgGの軽鎖定常領域からなるマウスキメラ抗体を作製し、実施例3と同様の方法にて免疫活性化因子であるResiquimodとのコンジュゲートを作製した。また、前記マウスキメラ抗体を作製し、実施例4と同様の方法にて前記Resiquimodの誘導体とマウスキメラ抗体とのコンジュゲートを作製した。
【0264】
本実施例の抗CAPRIN-1モノクローナル抗体の軽鎖可変領域とマウスIgGの軽鎖定常領域からなるマウスキメラ抗体は、具体的には以下の抗体を用いた。
【0265】
WO2011/096528に記載されているCAPRIN-1に対するモノクローナル抗体であって、重鎖可変領域のCDR1~3がそれぞれ配列番号36、配列番号37及び配列番号38のアミノ酸配列からなり、軽鎖可変領域のCDR1~3がそれぞれ配列番号40、配列番号41及び配列番号42ならなる抗体であって、前記重鎖可変領域のCDR1~3を含む、配列番号39で表される重鎖可変領域のアミノ酸配列と、前記軽鎖可変領域のCDR1~3を含む、配列番号43で表される軽鎖可変領域のアミノ酸配列とを含む抗体。
【0266】
WO2015/020212に記載されているCAPRIN-1に対するモノクローナル抗体であって、重鎖可変領域のCDR1~3がそれぞれ配列番号44、配列番号45及び配列番号46のアミノ酸配列からなり、軽鎖可変領域のCDR1~3がそれぞれ配列番号48、配列番号49及び配列番号50ならなる抗体であって、前記重鎖可変領域のCDR1~3を含む、配列番号47で表される重鎖可変領域のアミノ酸配列と、前記軽鎖可変領域のCDR1~3を含む、配列番号51で表される軽鎖可変領域のアミノ酸配列とを含む抗体。
【0267】
WO2011/096519に記載されているCAPRIN-1に対するモノクローナル抗体であって、重鎖可変領域のCDR1~3がそれぞれ配列番号52、配列番号53及び配列番号54のアミノ酸配列からなり、軽鎖可変領域のCDR1~3がそれぞれ配列番号56、配列番号57及び配列番号58ならなる抗体であって、前記重鎖可変領域のCDR1~3を含む、配列番号55で表される重鎖可変領域のアミノ酸配列と、前記軽鎖可変領域のCDR1~3を含む、配列番号59で表される軽鎖可変領域のアミノ酸配列とを含む抗体。
【0268】
WO2013/125654に記載されているCAPRIN-1に対するモノクローナル抗体であって、重鎖可変領域のCDR1~3がそれぞれ配列番号60、配列番号61及び配列番号62のアミノ酸配列からなり、軽鎖可変領域のCDR1~3がそれぞれ配列番号64、配列番号65及び配列番号66ならなる抗体であって、前記重鎖可変領域のCDR1~3を含む、配列番号63で表される重鎖可変領域のアミノ酸配列と、前記軽鎖可変領域のCDR1~3を含む、配列番号67で表される軽鎖可変領域のアミノ酸配列とを含む抗体。
【0269】
WO2011/096517に記載されているCAPRIN-1に対するモノクローナル抗体であって、配列番号68のアミノ酸配列で表される重鎖可変領域のアミノ酸配列と、配列番号69のアミノ酸配列で表される軽鎖可変領域のアミノ酸配列とを含む抗体。
【0270】
WO2011/096528に記載されているCAPRIN-1に対するモノクローナル抗体であって、配列番号70のアミノ酸配列で表される重鎖可変領域のアミノ酸配列と、配列番号71のアミノ酸配列で表される軽鎖可変領域のアミノ酸配列とを含む抗体、配列番号72のアミノ酸配列で表される重鎖可変領域のアミノ酸配列と、配列番号73のアミノ酸配列で表される軽鎖可変領域のアミノ酸配列とを含む抗体、配列番号74のアミノ酸配列で表される重鎖可変領域のアミノ酸配列と、配列番号75のアミノ酸配列で表される軽鎖可変領域のアミノ酸配列とを含む抗体、配列番号76のアミノ酸配列で表される重鎖可変領域のアミノ酸配列と、配列番号77のアミノ酸配列で表される軽鎖可変領域のアミノ酸配列とを含む抗体、配列番号78のアミノ酸配列で表される重鎖可変領域のアミノ酸配列と、配列番号79のアミノ酸配列で表される軽鎖可変領域のアミノ酸配列とを含む抗体。
【0271】
WO2011/096533に記載されているCAPRIN-1に対するモノクローナル抗体であって、配列番号80のアミノ酸配列で表される重鎖可変領域のアミノ酸配列と、配列番号81のアミノ酸配列で表される軽鎖可変領域のアミノ酸配列とを含む抗体、配列番号82のアミノ酸配列で表される重鎖可変領域のアミノ酸配列と、配列番号83のアミノ酸配列で表される軽鎖可変領域のアミノ酸配列とを含む抗体。
【0272】
WO2011/096534に記載されているCAPRIN-1に対するモノクローナル抗体であって、配列番号84のアミノ酸配列で表される重鎖可変領域のアミノ酸配列と、配列番号85のアミノ酸配列で表される軽鎖可変領域のアミノ酸配列とを含む抗体、配列番号86のアミノ酸配列で表される重鎖可変領域のアミノ酸配列と、配列番号87のアミノ酸配列で表される軽鎖可変領域のアミノ酸配列とを含む抗体。
【0273】
WO2010/016526に記載されているCAPRIN-1に対するモノクローナル抗体であって、配列番号88のアミノ酸配列で表される重鎖可変領域のアミノ酸配列と、配列番号89のアミノ酸配列で表される軽鎖可変領域のアミノ酸配列とを含む抗体、配列番号90のアミノ酸配列で表される重鎖可変領域のアミノ酸配列と、配列番号91のアミノ酸配列で表される軽鎖可変領域のアミノ酸配列とを含む抗体、配列番号92のアミノ酸配列で表される重鎖可変領域のアミノ酸配列と、配列番号93のアミノ酸配列で表される軽鎖可変領域のアミノ酸配列とを含む抗体、配列番号94のアミノ酸配列で表される重鎖可変領域のアミノ酸配列と、配列番号95のアミノ酸配列で表される軽鎖可変領域のアミノ酸配列とを含む抗体、配列番号96のアミノ酸配列で表される重鎖可変領域のアミノ酸配列と、配列番号97のアミノ酸配列で表される軽鎖可変領域のアミノ酸配列とを含む抗体、配列番号98のアミノ酸配列で表される重鎖可変領域のアミノ酸配列と、配列番号99のアミノ酸配列で表される軽鎖可変領域のアミノ酸配列とを含む抗体、配列番号100のアミノ酸配列で表される重鎖可変領域のアミノ酸配列と、配列番号101のアミノ酸配列で表される軽鎖可変領域のアミノ酸配列とを含む抗体。
【0274】
WO2013/018894に記載されているCAPRIN-1に対するモノクローナル抗体であって、配列番号102のアミノ酸配列で表される重鎖可変領域のアミノ酸配列と、配列番号103のアミノ酸配列で表される軽鎖可変領域のアミノ酸配列とを含む抗体、配列番号104のアミノ酸配列で表される重鎖可変領域のアミノ酸配列と、配列番号105のアミノ酸配列で表される軽鎖可変領域のアミノ酸配列とを含む抗体。
【0275】
WO2013/018892に記載されているCAPRIN-1に対するモノクローナル抗体であって、配列番号106のアミノ酸配列で表される重鎖可変領域のアミノ酸配列と、配列番号107のアミノ酸配列で表される軽鎖可変領域のアミノ酸配列とを含む抗体。
【0276】
WO2013/018891に記載されているCAPRIN-1に対するモノクローナル抗体であって、配列番号108のアミノ酸配列で表される重鎖可変領域のアミノ酸配列と、配列番号109のアミノ酸配列で表される軽鎖可変領域のアミノ酸配列とを含む抗体。
【0277】
WO2013/018889に記載されているCAPRIN-1に対するモノクローナル抗体であって、配列番号110のアミノ酸配列で表される重鎖可変領域のアミノ酸配列と、配列番号111のアミノ酸配列で表される軽鎖可変領域のアミノ酸配列とを含む抗体。
【0278】
WO2013/018883に記載されているCAPRIN-1に対するモノクローナル抗体であって、配列番号112のアミノ酸配列で表される重鎖可変領域のアミノ酸配列と、配列番号113のアミノ酸配列で表される軽鎖可変領域のアミノ酸配列とを含む抗体。
【0279】
WO2013/125636に記載されているCAPRIN-1に対するモノクローナル抗体であって、配列番号114のアミノ酸配列で表される重鎖可変領域のアミノ酸配列と、配列番号115のアミノ酸配列で表される軽鎖可変領域のアミノ酸配列とを含む抗体。
【0280】
WO2013/125654に記載されているCAPRIN-1に対するモノクローナル抗体であって、配列番号116のアミノ酸配列で表される重鎖可変領域のアミノ酸配列と、配列番号117のアミノ酸配列で表される軽鎖可変領域のアミノ酸配列とを含む抗体、配列番号118のアミノ酸配列で表される重鎖可変領域のアミノ酸配列と、配列番号119のアミノ酸配列で表される軽鎖可変領域のアミノ酸配列とを含む抗体。
【0281】
WO2013/125630に記載されているCAPRIN-1に対するモノクローナル抗体であって、配列番号120のアミノ酸配列で表される重鎖可変領域のアミノ酸配列と、配列番号121のアミノ酸配列で表される軽鎖可変領域のアミノ酸配列とを含む抗体。
【0282】
WO2015/020212に記載されているCAPRIN-1に対するモノクローナル抗体であって、配列番号122のアミノ酸配列で表される重鎖可変領域のアミノ酸配列と、配列番号123のアミノ酸配列で表される軽鎖可変領域のアミノ酸配列とを含む抗体、配列番号124のアミノ酸配列で表される重鎖可変領域のアミノ酸配列と、配列番号125のアミノ酸配列で表される軽鎖可変領域のアミノ酸配列とを含む抗体、配列番号126のアミノ酸配列で表される重鎖可変領域のアミノ酸配列と、配列番号127のアミノ酸配列で表される軽鎖可変領域のアミノ酸配列とを含む抗体、配列番号128のアミノ酸配列で表される重鎖可変領域のアミノ酸配列と、配列番号129のアミノ酸配列で表される軽鎖可変領域のアミノ酸配列とを含む抗体、配列番号130のアミノ酸配列で表される重鎖可変領域のアミノ酸配列と、配列番号131のアミノ酸配列で表される軽鎖可変領域のアミノ酸配列とを含む抗体、配列番号132のアミノ酸配列で表される重鎖可変領域のアミノ酸配列と、配列番号133のアミノ酸配列で表される軽鎖可変領域のアミノ酸配列とを含む抗体。
【0283】
マウスキメラ抗体は、以下の方法を用いて作製した。
【0284】
具体的には、本発明における配列番号39で表されるアミノ酸配列の重鎖可変領域をコードする遺伝子増幅断片の両端を、制限酵素処理した後に精製し、ヒト抗体由来のリーダー配列と、マウスIgGの重鎖定常領域を既に挿入済みのベクターを定法に従って挿入した。さらに、配列番号43で表されるアミノ酸配列の軽鎖可変領域をコードする遺伝子増幅断片の両端を、制限酵素処理した後に精製し、ヒト抗体由来のリーダー配列と、マウスIgGの軽鎖定常領域を既に挿入済みのベクターを定法に従って挿入した。
【0285】
次に、上記にあるCAPRIN-1に対する抗体の重鎖可変領域が挿入された上記組換えベクターと、軽鎖可変領域が挿入された上記組換えベクターを定法に従って哺乳類細胞に導入し、配列番号39で表されるCAPRIN-1に対する抗体の重鎖可変領域とマウスIgGの重鎖定常領域を有する重鎖と、配列番号43で表されるCAPRIN-1に対する抗体の軽鎖可変領域とマウスIgGの軽鎖定常領域を有する軽鎖からなる、マウスキメラ抗体#1を含む溶液を得た。
【0286】
同様にして、配列番号47で表されるアミノ酸配列の重鎖可変領域とマウスIgGの重鎖定常領域を有する重鎖と、配列番号51で表されるアミノ酸配列の軽鎖可変領域とマウスIgGの軽鎖定常領域を有する軽鎖からなる、マウスキメラ体#2を含む溶液を得た。
【0287】
同様にして、配列番号55で表されるアミノ酸配列の重鎖可変領域とマウスIgGの重鎖定常領域を有する重鎖と、配列番号59で表されるアミノ酸配列の軽鎖可変領域とマウスIgGの軽鎖定常領域を有する軽鎖からなる、マウスキメラ体#3を含む溶液を得た。
【0288】
同様にして、配列番号63で表されるアミノ酸配列の重鎖可変領域とマウスIgGの重鎖定常領域を有する重鎖と、配列番号67で表されるアミノ酸配列の軽鎖可変領域とマウスIgGの軽鎖定常領域を有する軽鎖からなる、マウスキメラ体#4を含む溶液を得た。
【0289】
同様にして、以下のマウスキメラ抗体#5~#37を含む溶液を得た。
【0290】
配列番号68のアミノ酸配列で表される重鎖可変領域のアミノ酸配列とマウスIgGの重鎖定常領域を有する重鎖と、配列番号69のアミノ酸配列で表される軽鎖可変領域のアミノ酸配列とマウスIgGの軽鎖定常領域を有する軽鎖からなる、マウスキメラ抗体#5。
【0291】
配列番号70のアミノ酸配列で表される重鎖可変領域のアミノ酸配列とマウスIgGの重鎖定常領域を有する重鎖と、配列番号71のアミノ酸配列で表される軽鎖可変領域のアミノ酸配列とマウスIgGの軽鎖定常領域を有する軽鎖からなる、マウスキメラ抗体#6。
【0292】
配列番号72のアミノ酸配列で表される重鎖可変領域のアミノ酸配列とマウスIgGの重鎖定常領域を有する重鎖と、配列番号73のアミノ酸配列で表される軽鎖可変領域のアミノ酸配列とマウスIgGの軽鎖定常領域を有する軽鎖からなる、マウスキメラ抗体#7を含む溶液。
【0293】
配列番号74のアミノ酸配列で表される重鎖可変領域のアミノ酸配列とマウスIgGの重鎖定常領域を有する重鎖と、配列番号75のアミノ酸配列で表される軽鎖可変領域のアミノ酸配列とマウスIgGの軽鎖定常領域を有する軽鎖からなる、マウスキメラ抗体#8。
【0294】
配列番号76のアミノ酸配列で表される重鎖可変領域のアミノ酸配列とマウスIgGの重鎖定常領域を有する重鎖と、配列番号77のアミノ酸配列で表される軽鎖可変領域のアミノ酸配列とマウスIgGの軽鎖定常領域を有する軽鎖からなる、マウスキメラ抗体#9。
【0295】
配列番号78のアミノ酸配列で表される重鎖可変領域のアミノ酸配列とマウスIgGの重鎖定常領域を有する重鎖と、配列番号79のアミノ酸配列で表される軽鎖可変領域のアミノ酸配列とマウスIgGの軽鎖定常領域を有する軽鎖からなる、マウスキメラ抗体#10。
【0296】
配列番号80のアミノ酸配列で表される重鎖可変領域のアミノ酸配列とマウスIgGの重鎖定常領域を有する重鎖と、配列番号81のアミノ酸配列で表される軽鎖可変領域のアミノ酸配列とマウスIgGの軽鎖定常領域を有する軽鎖からなる、マウスキメラ抗体#11。
【0297】
配列番号82のアミノ酸配列で表される重鎖可変領域のアミノ酸配列とマウスIgGの重鎖定常領域を有する重鎖と、配列番号83のアミノ酸配列で表される軽鎖可変領域のアミノ酸配列とマウスIgGの軽鎖定常領域を有する軽鎖からなる、マウスキメラ抗体#12。
【0298】
配列番号84のアミノ酸配列で表される重鎖可変領域のアミノ酸配列とマウスIgGの重鎖定常領域を有する重鎖と、配列番号85のアミノ酸配列で表される軽鎖可変領域のアミノ酸配列とマウスIgGの軽鎖定常領域を有する軽鎖からなる、マウスキメラ抗体#13。
【0299】
配列番号86のアミノ酸配列で表される重鎖可変領域のアミノ酸配列とマウスIgGの重鎖定常領域を有する重鎖と、配列番号87のアミノ酸配列で表される軽鎖可変領域のアミノ酸配列とマウスIgGの軽鎖定常領域を有する軽鎖からなる、マウスキメラ抗体#14。
【0300】
配列番号88のアミノ酸配列で表される重鎖可変領域のアミノ酸配列とマウスIgGの重鎖定常領域を有する重鎖と、配列番号89のアミノ酸配列で表される軽鎖可変領域のアミノ酸配列とマウスIgGの軽鎖定常領域を有する軽鎖からなる、マウスキメラ抗体#15。
【0301】
配列番号90のアミノ酸配列で表される重鎖可変領域のアミノ酸配列とマウスIgGの重鎖定常領域を有する重鎖と、配列番号91のアミノ酸配列で表される軽鎖可変領域のアミノ酸配列とマウスIgGの軽鎖定常領域を有する軽鎖からなる、マウスキメラ抗体#16。
【0302】
配列番号92のアミノ酸配列で表される重鎖可変領域のアミノ酸配列とマウスIgGの重鎖定常領域を有する重鎖と、配列番号93のアミノ酸配列で表される軽鎖可変領域のアミノ酸配列とマウスIgGの軽鎖定常領域を有する軽鎖からなる、マウスキメラ抗体#17。
【0303】
配列番号94のアミノ酸配列で表される重鎖可変領域のアミノ酸配列とマウスIgGの重鎖定常領域を有する重鎖と、配列番号95のアミノ酸配列で表される軽鎖可変領域のアミノ酸配列とマウスIgGの軽鎖定常領域を有する軽鎖からなる、マウスキメラ抗体#18。
【0304】
配列番号96のアミノ酸配列で表される重鎖可変領域のアミノ酸配列とマウスIgGの重鎖定常領域を有する重鎖と、配列番号97のアミノ酸配列で表される軽鎖可変領域のアミノ酸配列とマウスIgGの軽鎖定常領域を有する軽鎖からなる、マウスキメラ抗体#19。
【0305】
配列番号98のアミノ酸配列で表される重鎖可変領域のアミノ酸配列とマウスIgGの重鎖定常領域を有する重鎖と、配列番号99のアミノ酸配列で表される軽鎖可変領域のアミノ酸配列とマウスIgGの軽鎖定常領域を有する軽鎖からなる、マウスキメラ抗体#20。
【0306】
配列番号100のアミノ酸配列で表される重鎖可変領域のアミノ酸配列とマウスIgGの重鎖定常領域を有する重鎖と、配列番号101のアミノ酸配列で表される軽鎖可変領域のアミノ酸配列とマウスIgGの軽鎖定常領域を有する軽鎖からなる、マウスキメラ抗体#21。
【0307】
配列番号102のアミノ酸配列で表される重鎖可変領域のアミノ酸配列とマウスIgGの重鎖定常領域を有する重鎖と、配列番号103のアミノ酸配列で表される軽鎖可変領域のアミノ酸配列とマウスIgGの軽鎖定常領域を有する軽鎖からなる、マウスキメラ抗体#22。
【0308】
配列番号104のアミノ酸配列で表される重鎖可変領域のアミノ酸配列とマウスIgGの重鎖定常領域を有する重鎖と、配列番号105のアミノ酸配列で表される軽鎖可変領域のアミノ酸配列とマウスIgGの軽鎖定常領域を有する軽鎖からなる、マウスキメラ抗体#23。
【0309】
配列番号106のアミノ酸配列で表される重鎖可変領域のアミノ酸配列とマウスIgGの重鎖定常領域を有する重鎖と、配列番号107のアミノ酸配列で表される軽鎖可変領域のアミノ酸配列とマウスIgGの軽鎖定常領域を有する軽鎖からなる、マウスキメラ抗体#24。
【0310】
配列番号108のアミノ酸配列で表される重鎖可変領域のアミノ酸配列とマウスIgGの重鎖定常領域を有する重鎖と、配列番号109のアミノ酸配列で表される軽鎖可変領域のアミノ酸配列とマウスIgGの軽鎖定常領域を有する軽鎖からなる、マウスキメラ抗体#25。
【0311】
配列番号110のアミノ酸配列で表される重鎖可変領域のアミノ酸配列とマウスIgGの重鎖定常領域を有する重鎖と、配列番号111のアミノ酸配列で表される軽鎖可変領域のアミノ酸配列とマウスIgGの軽鎖定常領域を有する軽鎖からなる、マウスキメラ抗体#26。
【0312】
配列番号112のアミノ酸配列で表される重鎖可変領域のアミノ酸配列とマウスIgGの重鎖定常領域を有する重鎖と、配列番号113のアミノ酸配列で表される軽鎖可変領域のアミノ酸配列とマウスIgGの軽鎖定常領域を有する軽鎖からなる、マウスキメラ抗体#27。
【0313】
配列番号114のアミノ酸配列で表される重鎖可変領域のアミノ酸配列とマウスIgGの重鎖定常領域を有する重鎖と、配列番号115のアミノ酸配列で表される軽鎖可変領域のアミノ酸配列とマウスIgGの軽鎖定常領域を有する軽鎖からなる、マウスキメラ抗体#28。
【0314】
配列番号116のアミノ酸配列で表される重鎖可変領域のアミノ酸配列とマウスIgGの重鎖定常領域を有する重鎖と、配列番号117のアミノ酸配列で表される軽鎖可変領域のアミノ酸配列とマウスIgGの軽鎖定常領域を有する軽鎖からなる、マウスキメラ抗体#29。
【0315】
配列番号118のアミノ酸配列で表される重鎖可変領域のアミノ酸配列とマウスIgGの重鎖定常領域を有する重鎖と、配列番号119のアミノ酸配列で表される軽鎖可変領域のアミノ酸配列とマウスIgGの軽鎖定常領域を有する軽鎖からなる、マウスキメラ抗体#30。
【0316】
配列番号120のアミノ酸配列で表される重鎖可変領域のアミノ酸配列とマウスIgGの重鎖定常領域を有する重鎖と、配列番号121のアミノ酸配列で表される軽鎖可変領域のアミノ酸配列とマウスIgGの軽鎖定常領域を有する軽鎖からなる、マウスキメラ抗体#31。
【0317】
配列番号122のアミノ酸配列で表される重鎖可変領域のアミノ酸配列とマウスIgGの重鎖定常領域を有する重鎖と、配列番号123のアミノ酸配列で表される軽鎖可変領域のアミノ酸配列とマウスIgGの軽鎖定常領域を有する軽鎖からなる、マウスキメラ抗体#32。
【0318】
配列番号124のアミノ酸配列で表される重鎖可変領域のアミノ酸配列とマウスIgGの重鎖定常領域を有する重鎖と、配列番号125のアミノ酸配列で表される軽鎖可変領域のアミノ酸配列とマウスIgGの軽鎖定常領域を有する軽鎖からなる、マウスキメラ抗体#33。
【0319】
配列番号126のアミノ酸配列で表される重鎖可変領域のアミノ酸配列とマウスIgGの重鎖定常領域を有する重鎖と、配列番号127のアミノ酸配列で表される軽鎖可変領域のアミノ酸配列とマウスIgGの軽鎖定常領域を有する軽鎖からなる、マウスキメラ抗体#34。
【0320】
配列番号128のアミノ酸配列で表される重鎖可変領域のアミノ酸配列とマウスIgGの重鎖定常領域を有する重鎖と、配列番号129のアミノ酸配列で表される軽鎖可変領域のアミノ酸配列とマウスIgGの軽鎖定常領域を有する軽鎖からなる、マウスキメラ抗体#35。
【0321】
配列番号130のアミノ酸配列で表される重鎖可変領域のアミノ酸配列とマウスIgGの重鎖定常領域を有する重鎖と、配列番号131のアミノ酸配列で表される軽鎖可変領域のアミノ酸配列とマウスIgGの軽鎖定常領域を有する軽鎖からなる、マウスキメラ抗体#36。
【0322】
配列番号132のアミノ酸配列で表される重鎖可変領域のアミノ酸配列とマウスIgGの重鎖定常領域を有する重鎖と、配列番号133のアミノ酸配列で表される軽鎖可変領域のアミノ酸配列とマウスIgGの軽鎖定常領域を有する軽鎖からなる、マウスキメラ抗体#37。
【0323】
得られたマウスキメラ抗体#1~#37を含むそれぞれの培養上清を常法に従ってHitrap Protein A SepharoseFF(GEヘルスケア社製)を用いて精製し、PBS(-)に置換して0.22μmのフィルター(ミリポア社製)で濾過したものを調製した。
【0324】
上記にて作製したマウスキメラ抗体#1~#37を用いて、実施例3に記載の方法と同様の方法で、Resiquimodとのコンジュゲートを作製した。マウスキメラ抗体#1とResiquimodとのコンジュゲート(コンジュゲート29)、マウスキメラ抗体#2とResiquimodとのコンジュゲート(コンジュゲート30)、マウスキメラ抗体#3とResiquimodとのコンジュゲート(コンジュゲート31)、マウスキメラ抗体#4とResiquimodとのコンジュゲート(コンジュゲート32)、マウスキメラ抗体#5(コンジュゲート177)、マウスキメラ抗体#6(コンジュゲート178)、マウスキメラ抗体#7(コンジュゲート179)、マウスキメラ抗体#8(コンジュゲート180)、マウスキメラ抗体#9(コンジュゲート181)、マウスキメラ抗体#10(コンジュゲート182)、マウスキメラ抗体#11(コンジュゲート183)、マウスキメラ抗体#12(コンジュゲート184)、マウスキメラ抗体#13(コンジュゲート185)、マウスキメラ抗体#14(コンジュゲート186)、マウスキメラ抗体#15(コンジュゲート187)、マウスキメラ抗体#16(コンジュゲート188)、マウスキメラ抗体#17(コンジュゲート189)、マウスキメラ抗体#18(コンジュゲート190)、マウスキメラ抗体#19(コンジュゲート191)、マウスキメラ抗体#20(コンジュゲート192)、マウスキメラ抗体#21(コンジュゲート193)、マウスキメラ抗体#22(コンジュゲート194)、マウスキメラ抗体#23(コンジュゲート195)、マウスキメラ抗体#24(コンジュゲート196)、マウスキメラ抗体#25(コンジュゲート197)、マウスキメラ抗体#26(コンジュゲート198)、マウスキメラ抗体#27(コンジュゲート199)、マウスキメラ抗体#28(コンジュゲート200)、マウスキメラ抗体#29(コンジュゲート201)、マウスキメラ抗体#30(コンジュゲート202)、マウスキメラ抗体#31(コンジュゲート203)、マウスキメラ抗体#32(コンジュゲート204)、マウスキメラ抗体#33(コンジュゲート205)、マウスキメラ抗体#34(コンジュゲート206)、マウスキメラ抗体#35(コンジュゲート207)、マウスキメラ抗体#36(コンジュゲート208)、マウスキメラ抗体#37(コンジュゲート209)を含む溶液を得た。
【0325】
さらに、上記にて作製したマウスキメラ抗体#1~#37を用いて、実施例4に記載の方法と同様の方法で、前記Resiquimodの誘導体とのコンジュゲートを作製した。マウスキメラ抗体#1を用いたコンジュゲート(コンジュゲート33)、マウスキメラ抗体#2を用いたコンジュゲート(コンジュゲート34)、マウスキメラ抗体#3を用いたコンジュゲート(コンジュゲート35)、マウスキメラ抗体#4を用いたコンジュゲート(コンジュゲート36)を含む溶液を得た。同様にして、マウスキメラ抗体#5~#37を用いたコンジュゲート(コンジュゲート210~コンジュゲート242)を含む溶液を得た。
【0326】
得られた上記コンジュゲート29~36、コンジュゲート177~242ならびにコントロールコンジュゲート2を含む溶液を0.22μmのフィルター(ミリポア社製)で濾過したものを調製した。
【0327】
得られた上記コンジュゲート29~36、コンジュゲート177~242を含む溶液を用いて、コンジュゲート29~36、コンジュゲート177~242がCAPRIN-1タンパク質への特異的反応性を実施例5と同等の方法を用いて評価した。その結果、コンジュゲート29~36、コンジュゲート177~242を含む各溶液は、CAPRN-1タンパク質に特異的な反応性を示した。
【0328】
さらに、細胞膜表面にCAPRIN-1が発現している癌細胞を用いて、コンジュゲート29~36、コンジュゲート177~242の上記癌細胞への反応性をフローサイトメトリー法により評価した結果、いずれのコンジュゲートも、陰性コントロールに比べて強い蛍光強度を示した。また、免疫活性化因子が結合していない前記にて作製したマウスキメラ抗体#1~#37に記載の抗CAPRIN-1モノクローナル抗体とそれぞれの同等の反応性の強さを示すことが確認できた。
【0329】
実施例9 マウスキメラ抗CAPRIN-1モノクローナル抗体と免疫活性化因子とのコンジュゲートの抗腫瘍効果
実施例8にて作製した、マウスキメラ抗CAPRIN-1モノクローナル抗体と免疫活性化因子とのコンジュゲート(コンジュゲート29~36、コンジュゲート177~242)の抗体の担癌マウス生体内における抗腫瘍効果を評価した。
【0330】
具体的には、CAPRIN-1を発現するマウス由来の癌細胞を移植したBalb/cマウスを用いて、本発明のコンジュゲートの抗腫瘍効果を検討した。マウス乳癌細胞4T1を腹側部の皮下へ104個移植し、腫瘍が30mm3以上になるまで成長させた担癌マウスを作製した。乳癌細胞4T1は、実施例5にて示した通り、細胞膜表面にCAPRIN-1タンパク質が発現している細胞であり、実施例8にて作製した、コンジュゲート29~36を含む各溶液が乳癌細胞4T1の細胞膜表面にあるCAPRIN-1へと特異的に結合する。実施例8で作製したコンジュゲート29~36を、8mg/kgにて、それぞれ担癌マウス尾静脈へ10匹ずつ投与した。比較対照として、マウスキメラ抗体#1~マウスキメラ抗体#4を担癌マウスへ同量投与した。投与は1週間に2回、合計4回投与した。陰性コントロールの担癌マウスへはPBS(-)を投与した。投与後の担癌マウスの癌の大きさを経時的にノギスを用いて計測し、腫瘍体積は、定法に従い、計算式:(癌の長径の長さ)×(癌の短径の長さ)2×0.5にて算出した。その結果、投与を開始して20日目における陰性コントロールの腫瘍体積を100%とした場合、コンジュゲート29~36を投与した各マウスは0%であった。また、マウスキメラ抗体#1~#4のみを投与したマウスの腫瘍体積は、陰性コントロールのマウスの腫瘍体積を100%としたとき、平均69%であった。本評価の結果、実施例8で作製した、Resiquimodとマウスキメラ型の抗CAPRIN-1抗体(マウスキメラ抗体)とのコンジュゲート(コンジュゲート29~32)ならびに前記Resiquimodの誘導体とのコンジュゲート(コンジュゲート33~36)は、陰性コントロールならびに抗CAPRIN-1抗体単独を担癌マウスに投与した場合に比べて強い抗腫瘍効果を発揮することが示された。また、同様にコンジュゲート177~242について抗腫瘍効果を評価した結果、コンジュゲート29~36を投与した各マウスの腫瘍体積は、陰性コントロールのマウスの腫瘍体積を100%としたとき、0%であり、マウスキメラ抗体#5~#37のみを投与したマウスの腫瘍体積は、陰性コントロールのマウスの腫瘍体積を100%としたとき、平均69%であった。
【0331】
実施例10 コンジュゲートの抗腫瘍効果3
実施例4にて作製した、抗CAPRIN-1モノクローナル抗体を用いて作製したコンジュゲート7~14、コンジュゲート21~28、コンジュゲート45~179と、既存の癌に対する抗体医薬トラスツマブを用いて実施例4と同様の方法を用いて作製したトラスツマブコンジュゲートならびにトラスツマブとの担癌マウス生体内における抗腫瘍効果を比較した。
【0332】
トラスツマブコンジュゲートは、トラスツマブと免疫活性化因子とを実施例4に記載と同様の方法を用いて作製された複合体である。トラスツマブと免疫活性化因子とのコンジュゲートを以下の方法にて作製した。
【0333】
免疫活性化因子は、Resiqiomodにある三級水酸基へ2炭素増炭してアミノ基を付加したResiquimod誘導体である1-(2(2-Aminoethoxy)-2-methylpropyl)-2-(ethoxymethyl)-1H-imidazo[4,5-c]quinolin-4-amineに、スクシイミジル4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボキレート(SMCC)をJ.Med.Chem.2008,51,6916-6926を参照して、ResiquimodにSMCCが結合した縮合体を得た。
【0334】
一方、トラスツマブは溶液中に含まれる製剤組成物を、限外濾過器を用いて除くあるいは、プロテインA担体を用いてトラスツマブのみをアフィニティー精製してリン酸緩衝液に含んだものを前記コンジュゲートの調製に用いた。上記のResiquimodにリンカーSMCCが結合した縮合体と、抗CAPRIN-1抗体のコンジュゲートを米国特許8,951,528に記載されている方法ならびにJIMD Reports-Case and Research Reports,2012/5を参照して、定法に従い作製した。リン酸緩衝液中に溶解されたトラスツマブへ、実施例4と同様に、トラスツマブにSATAが付加されたものを含む溶液を得た。さらに前記にて作製した縮合体を反応させてトラスツマブと前記Resiquimodの誘導体とのコンジュゲート(トラスツマブコンジュゲート)を含む溶液を得た。得られたトラスツマブコンジュゲートが本抗腫瘍効果の評価に用いるヒト乳癌細胞へ反応成を示すことをフローサイトメトリー法により確認した。さらに、比較対象の調製したトラスツマブコンジュゲートに結合に結合している免疫活性化因子と、実施例4にて作製した、抗CAPRIN-1モノクローナル抗体を用いて作製したコンジュゲート7~14、コンジュゲート21~28、コンジュゲート45~179に結合している免疫活性化因子が同等の数が結合していることを質量分析法にて確認したものを用いた。
【0335】
抗腫瘍効果の比較のための担癌マウスは、1匹あたり107個のヒト乳癌細胞BT474をマトリゲル(SIGMA)と混合してマウス皮下に移植し、腫瘍が150mm3以上になるまで成長させた担癌マウスを作製した。なお、BT474は、細胞膜表面にCAPRIN-1タンパク質ならびにトラスツマブの標的抗原であるHER2が発現していることが確認している。
【0336】
抗CAPRIN-1抗体のコンジュゲート(コンジュゲート7~14、コンジュゲート21~28、コンジュゲート45~179)、上記にて調製したトラスツマブコンジュゲートをそれぞれ、前記担癌マウス尾静脈へ10匹ずつ10mg/kgを投与した。投与は1週間に2回、合計13投与した。なお、比較としてさらに抗CAPRIN-1抗体のコンジュゲート(コンジュゲート7~14、コンジュゲート21~28、コンジュゲート45~179)の作製に用いた抗CAPRIN-1抗体、トラスツマブを同様に投与した。陰性コントロールの担癌マウスへPBS(-)を投与した。
【0337】
投与後の担癌マウスの癌の大きさを経時的にノギスを用いて計測し、腫瘍体積は、定法に従い、計算式:(癌の長径の長さ)×(癌の短径の長さ)2×0.5にて算出した。評価の結果、投与を開始して45日目において、陰性コントロールの腫瘍体積を100%としたとき、コンジュゲート11ならびに25を投与したマウスではいずれも15%未満であり、比較対象のコンジュゲートする前の抗CAPRIN-1抗体を投与したマウスでは50%未満であった。これらの結果から、免疫活性化因子を抗CAPRIN-1抗体へコンジュゲートすることにより、抗腫瘍効果は77%増強することを確認した。なお、増強率は、計算式:1-(コンジュゲートの腫瘍体積/抗体単独での腫瘍体積)×100(%)にて算出した。
【0338】
一方、トラスツマブコンジュゲートを投与したマウスでは陰性コントロールの腫瘍体積を100%としたとき、53%、比較対象のコンジュゲートする前のトラスツマブを投与したマウスでは74%であり、免疫活性化因子をトラスツマブへコンジュゲートすることによる抗腫瘍効果の増強率は29%未満に留まった。
【0339】
実施例11 抗CAPRIN-1抗体と免疫活性化因子とのコンジュゲートの作製とコンジュゲートの抗腫瘍効果
実施例2に記載の抗CAPRIN-1モノクローナル抗体であるヒト化抗体#1~#8について、それぞれ免疫活性化因子DSR-6434(6-Amino-2(butylamino)-9-[[6-[2-(dimethylamino)ethoxy]-3pyridinyl]methyl]-7,9-dihydro-8H-purin-8-one)とのコンジュゲート(コンジュゲート37~44)を作製した。具体的には、実施例4に記載の方法に準じて、まずはDSR-6434のアミノ基を介してスクシイミジル4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボキレート(SMCC)との縮合体を合成したうえで、ヒト化抗体#1~#8のそれぞれと免疫活性化因子RSR-6434とのコンジュゲートである各コンジュゲート37~44を含む溶液を得た。
【0340】
得られた上記コンジュゲート37~44を含む溶液を0.22μmのフィルター(ミリポア社製)で濾過したものを調製した。上記コンジュゲートについて、CAPRIN-1タンパク質への特異的反応性を実施例5と同等の方法を用いて評価した。その結果、コンジュゲート37~44を含む各溶液は、CAPRN-1タンパク質に特異的な反応性を示した。
【0341】
さらに、細胞膜表面にCAPRIN-1タンパク質が発現している癌細胞を用いて、コンジュゲート37~44の癌細胞への反応性をフローサイトメトリー法により評価した結果、いずれのコンジュゲートも、陰性コントロールに比べて強い蛍光強度を示した。また、コンジュゲートに用いた前記抗体と同様の蛍光強度をしめすことが確認できた。
【0342】
上記コンジュゲート37~44の担癌マウスに対する抗腫瘍効果を評価した。実施例10に記載の方法と同様の方法で抗CAPRIN-1抗体のコンジュゲート(コンジュゲート37~44)をそれぞれ、前記担癌マウス尾静脈へ10匹ずつ10mg/kgを投与した。投与は1週間に2回、合計16回投与した。なお、前記コンジュゲートの作製に用いた抗CAPRIN-1抗体を同様に投与した。陰性コントロールの担癌マウスへPBS(-)を投与した。
【0343】
投与後の担癌マウスの癌の大きさを経時的にノギスを用いて計測し、腫瘍体積は、定法に従い、計算式:(癌の長径の長さ)×(癌の短径の長さ)2×0.5にて算出した。評価の結果、投与を開始して50日目において、陰性コントロールの腫瘍体積を100%としたとき、コンジュゲート37~44を投与したマウスではいずれも32%未満であり、比較対象のコンジュゲートする前の抗CAPRIN-1抗体を投与したマウスでは50%未満であった。これらの結果から、免疫活性化因子を抗CAPRIN-1抗体へコンジュゲートすることにより、抗腫瘍効果は35%以上増強することを確認した。なお、増強率は、計算式:1-(コンジュゲートの腫瘍体積/抗体単独での腫瘍体積)×100(%)にて算出した。
【配列表】