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  • 特許-焼結機のシール装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-10
(45)【発行日】2023-01-18
(54)【発明の名称】焼結機のシール装置
(51)【国際特許分類】
   F27B 21/08 20060101AFI20230111BHJP
【FI】
F27B21/08 D
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2018141701
(22)【出願日】2018-07-27
(65)【公開番号】P2020016423
(43)【公開日】2020-01-30
【審査請求日】2021-03-03
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006655
【氏名又は名称】日本製鉄株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104444
【弁理士】
【氏名又は名称】上羽 秀敏
(74)【代理人】
【識別番号】100132506
【弁理士】
【氏名又は名称】山内 哲文
(72)【発明者】
【氏名】森下 茂
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 貴広
【審査官】櫛引 明佳
(56)【参考文献】
【文献】実開昭61-055700(JP,U)
【文献】特公昭38-010951(JP,B1)
【文献】実開昭60-041799(JP,U)
【文献】実開昭48-087305(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F27B 21/00-21/14
C22B 1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
焼結機のシール装置であって、
焼結用の原料を積載して無端軌道上を搬送されるパレット台車の下面に上下方向に可動に取り付けられた一対のシールバーの下面と接する位置に配置され、搬送方向に延びて形成される一対のウェアーバーと、
前記パレット台車の下方において、前記一対のウェアーバーをそれぞれ支持する一対のウェアーバーサポートであって、前記パレット台車の下方に設けられる風箱群の幅方向の両側を画定する側壁と一体となったウェアーバーサポートと、
前記ウェアーバーサポートに取り付けられ、前記ウェアーバーサポートから上方に延びて前記ウェアーバー及び前記シールバーの幅方向の外方を通り、前記シールバーよりも幅方向の外方における前記パレット台車の下面の水平な面に接し、かつ、前記ウェアーバーの側面にも接するシールシートであって、搬送方向に垂直な面の断面において、シールシートの前記ウェアーバーの上面から先端までの自然長さが、前記ウェアーバーの上面と前記パレット台車の下面の水平な面との間の上下方向の距離より長いシールシートと、を備えた、焼結機のシール装置。
【請求項2】
前記パレット台車の幅方向における前記ウェアーバーの幅は、前記シールバーの幅より大きい、請求項1に記載の焼結機のシール装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無端軌道に互いに隣接して配置される複数のパレット台車を有する焼結機のシール技術に関する。
【背景技術】
【0002】
焼結機は、無端軌道上に配置した複数のパレット台車を有する。複数のパレットは互いに隣接し、連続した搬送コンベヤーを形成する。連続する複数のパレットの上に焼結用の原料が積載され、搬送される。搬送中に、積載した原料中の粉コークス等の燃料に点火される。点火後、原料中の燃料が燃焼することで、原料中の鉄鉱石が加熱され、部分溶融して焼結鉱を形成する。原料が積載された複数のパレットの下には、負圧を生じさせる風箱群が配置される。風箱群は、搬送方向に連続して並ぶ複数の風箱で構成される。風箱群は、誘引排風機に接続される。パレットに積載した原料の燃焼排ガスは、風箱に吸引される。そのため、原料には、上部から空気が常に供給される。
【0003】
風箱の負圧を保つために、パレット台車の下方の風箱につながる空間は、密閉されることが求められる。そのため、従来の焼結機では、パレット台車の下面に設けられた一対のシールバーを、風箱群の側壁に沿って搬送方向に延びて設けられた一対のウェアーバーに接触させた状態で、パレット台車が搬送される。これにより、一対のシールバー間の空間すなわち風箱内の空間を大気から遮断することが図られる。なお、ウェアーバーは、スライドベッドと称することもある。
【0004】
しかし、様々な要因によりシールバーの周辺に隙間が生じて、漏風が発生している。漏風とは、積載した原料層内を通過せず、パレット台車間、パレット台車と風箱間、又は、パレット台車の側板と原料層との隙間等を通過して風箱に至る風のことである。漏風は、前述した焼成反応に寄与しない。漏風が多いと、誘引排風機の電力を増大させるとともに、生産性を著しく低下させることになる。そのため、従来から漏風削減技術に関し多くの提案がなされてきた。
【0005】
例えば、実開昭61-55700号公報(特許文献1)では、スライドベッド又はベッドの側面に、磁性板を固定し、磁性板の自由な反固定端を磁力でスライドシール板すなわちシールバーに密着させる構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】実開昭61-55700号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
発明者らは、漏風が生じる原因を調査した。その結果、以下のよう原因があることがわかった。特許文献1のように、パレット台車の下面の窪みに、下向きに開口する保持カバーが取り付けられ、シールバーは保持カバー内で上下に可動な状態で保持されている構成を考える。この構成では、シールバーが保持カバーと摺動しながら上下方向に動く。この構成の場合、シールバーと保持カバーの間に隙間が生じる。また、保持カバーを収めているパレット台車の窪みと保持カバーの間にも隙間が生じる。また、ウェアーバーがうねりや傾き等で変形した場合やダストがシールバーとウェアーバーの間に噛み込んだ場合、シールバーとウェアーバーの接触が不完全になる。その結果、シールバーとウェアーバーの間に隙間が生じて十分な圧力遮断ができない状況になることがある。これは、重力式もしくは、スプリングによりシールバーをウェアーバーに押し付けるシールバー可動式のいずれの構造の焼結機においても生じ得る。また、パレット台車一台毎にシールバーが設けられる。そのため、連続したウェアーバーに対して、シールバーが分割された状態のシール機構となっている。これにより、パレット台車間では、隣接するシールバー間にも隙間が生じていた。
【0008】
発明者らは、上記のような様々な原因に対応するためのシール構成を検討した。例えば、実開昭61-55700号公報のように、シール部材の一方端をウェアーバーの側面に、他方端をシールバーの側面に接触させる構成を検討した。この場合、パレット台車が規定以上に蛇行して幅方向の位置が変化すると、シール部材の長さが不足して当接位置が外れる等により、隙間が生じやすい。また、上下方向におけるパレット台車の位置が規定以上に下がった場合も、シール部材の当接位置がずれたり、シール部材の長さが余って皺が寄ったりして、隙間が生じやすい。また、この構成だと、シールバーと保持カバーの間の隙間、及び保持カバーとパレット台車の間の隙間に対応することが難しい。
【0009】
そこで、本発明は、種々の漏風の原因となる現象が起きた場合でも、風箱とパレット台車の間の漏風を抑えることができる、焼結機のシール装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一実施形態における焼結機のシール装置は、一対のウェアーバーと、一対のウェアーバーサポートと、シールシートとを備える。前記一対のウェアーバーは、パレット台車に取り付けられた一対のシールバーの下面と接する位置に配置される。前記一対のシールバーは、焼結用の原料を積載して無端軌道上を搬送されるパレット台車の下面に上下方向に可動に取り付けられる。前記一対のウェアーバーは、搬送方向に延びて形成される。前記一対のウェアーバーサポートは、前記パレット台車の下方において、前記一対のウェアーバーをそれぞれ支持する。前記一対のウェアーバーサポートは、前記パレット台車の下方に設けられる風箱群の幅方向の両側を画定する側壁と一体となっている。前記シールシートは、前記ウェアーバーサポートに取り付けられ、前記シールバーよりも前記幅方向の外方における前記パレット台車の下面の水平な面に接する。
【発明の効果】
【0011】
本願開示によれば、種々の漏風の原因となる現象が起きた場合でも、風箱とパレット台車の間の漏風を抑えることができる焼結機のシール装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本実施形態におけるパレット台車を、搬送方向から見た図である。
図2図2は、図1のウェアーバーを含む部分の拡大図である。
図3図3は、隣接する2台のパレット台車の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施形態における焼結機のシール装置は、一対のウェアーバーと、一対のウェアーバーサポートと、シールシートとを備える。前記一対のウェアーバーは、パレット台車に取り付けられた一対のシールバーの下面と接する位置に配置される。前記一対のシールバーは、焼結用の原料を積載して無端軌道上を搬送されるパレット台車の下面に上下方向に可動に取り付けられる。前記一対のウェアーバーは、搬送方向に延びて形成される。前記一対のウェアーバーサポートは、前記パレット台車の下方において、前記一対のウェアーバーをそれぞれ支持する。前記一対のウェアーバーサポートは、前記パレット台車の下方に設けられる風箱群の前記幅方向の両側を画定する側壁と一体となっている。前記シールシートは、前記ウェアーバーサポートに取り付けられ、前記シールバーよりも前記幅方向の外方における前記パレット台車の下面の水平な面に接する。
【0014】
上記構成において、シールシートは、風箱の側壁と一体となっているウェアーバーサポートから上方に延びて、シールバーより外方すなわち大気に近い方のパレット台車の下面の水平な面に達する。すなわち、シールシートの下部は、ウェアーバーサポートに支持され、シールシートの上端部は、パレット台車の下面の水平な面に接する。これにより、例えば、パレット台車の幅方向の位置が変位した場合、シールシートは、パレット台車の下面の水平な面に接した状態で、パレット台車に対して幅方向に移動することができる。そのため、風箱とパレット台車との間の隙間を塞ぐシール性能が維持される。また、パレット台車の上下方向の位置が低くなった場合も、シールシートがパレット台車の下面の水平面を摺動することで、シール性能を維持することができる。そのため、パレット台車のウェアーバーに対する変位に起因するシール性能の低下が抑えられる。さらに、上記構成において、シールシートは、シールバーより幅方向の外方すなわち大気に近い位置において、風箱とパレット台車の間をシールする。これにより、シールバーの周辺の空間を、シールバーの外側から、大気と遮断する。例えば、シールバーと保持カバーの間、又は、保持カバーとパレット台車の間等の空間を、その空間の大きさの変化にかかわりなく、その外側において大気から遮断することができる。そのため、シールバーとパレット台車の間に生じる隙間に起因する漏風を抑えることができる。このように、上記構成によれば、種々の漏風の原因となる現象が起きた場合でも漏風を抑えることができる。なお、上記構成は、重力式シールバーもしくは、スプリングによりシールバーをウェアーバーに押し付ける可動式シールバーのいずれの構造の焼結機に用いても、上記効果を得ることができる。
【0015】
前記シールシートは、隣接する複数のパレット台車の下面の水平な面に接するように、前記搬送方向に延びて形成されてもよい。これにより、シールシートは、複数のパレット台車にわたって連続して配置される。そのため、例えば、隣接する2台のパレット台車のシールバーの間の隙間をシールシートで塞ぐことができる。
【0016】
本明細書において、パレット台車において、焼結用の原料が積まれる方向が上であり、その反対方向が下である。搬送方向は、原料を積んだパレット台車が軌道上を搬送されるときのパレット台車の進行方向である。幅方向は、搬送方向及び上下方向に直交する方向とする。
【0017】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して詳しく説明する。図中同一又は相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0018】
(実施形態1)
本実施形態における焼結機は、無端軌道に互いに隣接して配置される複数のパレット台車を備える。図1は、本実施形態におけるパレット台車を、搬送方向から見た図である。図1に示す直交座標系のx軸は、パレット台車の幅方向であり、y軸は、パレット台車の搬送方向であり、z軸は、パレット台車の上下方向である。パレット台車10は、パレットフレーム2と、パレットフレーム2の幅方向の両端部に配置された一対の側板1と、一対の側板1の間のパレットフレーム2に配置される複数のグレートバー8を備える。複数のグレートバー8は、火格子を構成する。一対の側板1は、パレットフレーム2の上面かに取り付けられる。一対の側板1は、パレットフレーム2から上方に延びる。パレットフレーム2の幅方向の両端部には、一対の車輪7が回転可能に取り付けられる。一対の車輪7の車軸7aは、幅方向に延びる。焼結用の原料は、火格子上に積載される。すなわち、複数のグレートバー8の火格子と一対の側板1で囲まれる空間に焼結用の原料が収納される。
【0019】
車輪7は、搬送方向に延びるレール11の上を転がる。レール11の幅方向内方には、搬送方向に延びる一対のウェアーバー13と、一対のウェアーバー13をそれぞれ支持する一対のウェアーバーサポート12(ウェアーバー支持部)が配置される。ウェアーバー13及びウェアーバーサポート12は、パレット台車10の下方に配置される。パレットフレーム2の下面には、搬送方向に延びる2つの凹部2bが形成される。2つの凹部2bは、幅方向に離間している。2つの凹部2bのそれぞれに、搬送方向に延びる一対のシールバー4が挿入される。一対のシールバー4の各々は、パレットフレーム2に対して上下方向に可動な状態で取り付けられる。パレット台車10が原料を積載して搬送される時には、シールバー4の下面が、ウェアーバー13の上面に接した状態で、シールバー4がウェアーバー13に対して搬送方向に相対移動する。すなわち、シールバー4はウェアーバー13に対して摺動する。
【0020】
パレット台車10の下方には、複数の風箱21が配置される。複数の風箱21は、搬送方向すなわちy方向に並んで配置される。パレット台車のグレートバー8の下方であって、一対のシールバー4、一対のウェアーバー13、及び一対のウェアーバーサポート12の間の空間は、風箱21内の空間と繋がっている。風箱21内のガスは、誘引排風機(図示略)によって吸引される。風箱21内の空間は、ダクトを通じて誘引排風機に繋がっている。風箱21内には負圧が生じる。すなわち、グレートバー8と、一対のシールバー4、一対のウェアーバー13、一対のウェアーバーサポート12で囲まれる空間は負圧となる。これにより、原料中のガスはグレートバー8の火格子を通って風箱21に吸引され、原料の上方の大気が原料の中に取り込まれる。
【0021】
風箱21は、側壁21aを有する。側壁21aは、風箱21の幅方向の両側を画定する。すなわち、側壁21aは、幅方向における風箱21の縁すなわち両端を画定する。側壁21aは、搬送方向に延びる。
【0022】
ウェアーバーサポート12は、風箱の側壁21aと一体となっている。図1に示す例では、一対のウェアーバーサポート12は、それぞれ、風箱21の一対の側壁21aに固定されている。一対のウェアーバーサポート12は、風箱21の一対の側壁21aの外面すなわち大気側の表面に、それぞれ隙間なく接している。これにより、ウェアーバーサポート12は、風箱21の側壁21aと一体となって、風箱21内の空間の幅方向両側の遮蔽板を形成する。このように、風箱21の側壁21aとウェアーバーサポート12が一体となる形態は、必ずしも、側壁21aとウェアーバーサポート12が、同一の材料で一体形成されていることを意味しない。また、風箱21の側壁21aとウェアーバーサポート12の間に、他の部材が設けられてもよい。図1に示す例では、ウェアーバーサポート12は、風箱の側壁21aの上端よりわずかに上の位置で、ウェアーバー13を支持する。
【0023】
図2は、図1のウェアーバー13付近の拡大図である。ウェアーバーサポート12には、シールシート14が取り付けられる。シールシート14は、板状の部材である。シールシート14は、ウェアーバーサポート12の外側すなわち大気側の側面に取り付けられる。シールシート14は、ウェアーバーサポート12から上方に延びて、パレット台車10の下面の水平な面2aに達する。シールシート14の上端部は、パレット台車10の下面の水平な面2aに接する。シールシート14は、ウェアーバーサポート12と、パレット台車10の下面の水平な面2aとの間の全体にわたって設けられる。シールシート14は、搬送方向を長手方向とするシートである。シールシート14とパレット台車10の下面の水平な面2aとの接触部は、搬送方向に連続して延びる。シールシート14がウェアーバーサポート12に取り付けられる部分も、搬送方向に連続して延びる。シールシート14は、シールバー4の外側すなわち大気側において、パレット台車10とウェアーバーサポート12の間を塞ぐ。
【0024】
シールシート14により、例えば、万一シールバーとウェアーバーの接触が不完全であったとしても風箱内へ流入しようとする風(矢印F2)が遮断される。図2では、説明のため、本来は接触しているシールバー4とウェアーバー13の間に、ダストD1が噛み込んだ場合の例を示している。この場合、噛み込みの周辺ではシールバー4とウェアーバー13の間に若干の隙間が生じる。このような場合も、シールシート14によって、この隙間を通る漏風(矢印F3)が防止される。ダストの噛み込み以外に、例えば、ウェアーバー13がうねりや傾き等で変形した場合にも、シールバー4とウェアーバー13の間に若干の隙間が生じ得る。この場合も、シールシート14によってこの隙間を通る漏風が防止される。
【0025】
シールシート14は、パレット台車10の下面の水平な面2aに摺動する。すなわち、シールシート14が、パレット台車10の下面の水平な面2aに接した状態で、パレット台車10は、搬送方向に移動する。パレット台車10の下面の水平な面、すなわちシールシート14との摺動面は、機械加工により滑らかに仕上げておくことが好ましい。これにより、シールシート14のシール性を向上させることができる。例えば、パレット台車10の下面の水平な面の表面粗さをRa6.3a以上、好ましくはRa 25aとすることができる。パレット台車10のシールシート14との接触面は極力滑らかであることがのぞましい。
【0026】
シールシート14は、可撓性を有することが好ましい。また、シールシート14は、耐熱性を有することが好ましい。例えば、シールシート14を、耐熱ゴムで形成することができる。
【0027】
ウェアーバーサポート12は、ウェアーバー13を載せる台板12aを有する。具体例として、ウェアーバーサポート12は、台板12aと、台板12aを支持する上下方向に延びる支持部12bと、支持部12bの下部を支持する底部12cとが一体的に形成されたものである。台板12aは、支持部12bの上端から幅方向の外方に向かって延びる。底部12cは、支持部12bの下端から幅方向の外方に向かって延びる。支持部12bは、風箱21の側壁21aと隙間なく接する。
【0028】
シールシート14は、ウェアーバーサポート12の台板12aの側面に取り付けられる。具体例として、台板12aに取り付けられた取付具15に、シールシート14が締結部材16によって固定される。取付具15は、台板12aの上面に接する水平部分と、この水平部分の端から台板12aの側面に沿って延びる垂直部分を有する。垂直部分にシールシート14の表面が接する。締結部材16は、シールシート14及び取付具15の垂直部分を貫通する。これにより、シールシート14の表面の法線が幅方向と一致する向きで、ウェアーバーサポート12に固定される。シールシート14は、ウェアーバー13の側面にも接していることが望ましい。
【0029】
シールシート14の上端部(上端を含む部分)がパレット台車の下面の水平な面2aに接する。図2に示す例では、シールシート14の上端部が、幅方向外方に向けて曲がった状態で、シールシート14の表面がパレット台車の下面の水平な面2aに接している。すなわち、シールシート14は、ウェアーバーサポート12から上方に延び、途中で、幅方向の外方へ向かって曲がる。この曲がった部分すなわち湾曲部と上端の間のシールシート14の部分が、パレット台車の下面の水平な面2aに接する。このように、シールシート14の上端部が、パレット台車の下面の水平な面2aに、幅方向にある程度の幅をもって接することが望ましい。すなわち、シールシート14の上端部と水平な面2aとが面接触することが望ましい。
【0030】
搬送方向に垂直な面の断面において、シールシート14のウェアーバー13の上面から先端までの自然長さB1は、ウェアーバー13の上面とパレット台車の下面の水平な面2aとの間の上下方向の距離Bより長い(B1>B)。例えば、図2に示す例では、締結部材16から上端までのシールシート14の自然長さが、締結部材16とパレット台車の下面の水平な面2aとの距離より長くなるよう、シールシート14がウェアーバーサポート12に取り付けられる。これにより、シールシート14が曲がった状態で、パレット台車の下面の水平な面2aと接する。シールシート14の上端は、パレット台車の下面の水平な面2aに押し付けられる。
【0031】
シールシート14は、幅方向の外方すなわち大気側に曲げた状態で、ウェアーバーサポート12に取り付けられることが望ましい。これにより、シールシート14の上端部は、シールシート14の上端を外方に向けた状態となってパレット台車の下面に接触する。シールシート14の上端が幅方向の外方に向いていることにより、大気圧により、シールシート14の上端部がパレット台車の下面にさらに押し付けられる。これにより、シールシート14のシール機能を強化して、風箱21内の空間を外気と遮断することができる。
【0032】
パレット台車の下面の水平な面2aの幅(すなわち、幅方向の長さ)Wは、幅方向のパレット台車の変位可能量より大きいことが好ましい。この幅Wは、パレット台車の幅方向の変位可能量の2倍以上であることが、より好ましい。例えば、幅Wは、一対の車輪7のうち一方の車輪つばをレール11の頭に接した状態においける他方の車輪7のつば7bと、レール11の頭との隙間(幅方向の長さ)Aの2倍以上とすることができる(W≧2A)。これにより、パレット台車の蛇行によって、パレット台車の幅方向の位置が変位した場合でも、シールシート14によるシール機能を維持することができる。
【0033】
なお、ウェアーバー13の幅(パレット台車の幅方向の長さ)は、シールバー4の幅より大きい。ウェアーバー13の幅とシールバー4の幅の差は、パレット台車の幅方向の変位可能量より大きいことが好ましい。例えば、ウェアーバー13の幅とシールバー4の幅の差を、上記の車輪つば7bとレール11頭との隙間A以上とすることができる。
【0034】
図2に示す例では、パレットフレーム2の幅方向の両端部には、下方に突出する突出部2cが設けられる。シールシート14が接するパレット台車の下面の水平な面は、凹部2bの幅方向外方の端と突出部2cの幅方向内方の端の間にある。
【0035】
図2に示す例では、下部が開口した保持カバー5が、凹部2bに取り付けられる。シールバー4は、保持カバー5内で上下可動に保持される。シールバー4と保持カバー5の間には、弾性体6としてもスプリングが設けられる。シールバー4は、弾性体6により、ウェアーバー13に押し付けられる。なお、シールバー4の取り付け構成は、この例に限られない。
【0036】
例えば、弾性体を用いずに、シールバー4が自重によってウェアーバー13に押し付けられる構成であってもよい。本実施形態のシールシート14を用いたシール装置は、弾性体を用いた構成(例えば、スプリング式シールバー)及び弾性体を用いない構成(例えば、重力式シールバー)のいずれにも適用することができる。
【0037】
シールシート14により、シールバー4とウェアーバー13の間がシールされる。さらに、シールシート14により、シールバー4と保持カバー5の間、及び、保持カバー5とパレット台車10の凹部2bの間もシールされる。
【0038】
図3は、隣接する2台のパレット台車を幅方向から見た側面図である。図3において、シールシート14の位置を破線で示している。シールシート14は、隣接する複数のパレット台車10A、10Bにわたって、搬送方向に延びて形成される。1枚のシールシート14は、複数のパレット台車10A、10Bの下面の水平な面に接する。シールシート14の搬送方向における長さは、隣接する2台のパレット台車の搬送方向における長さより長いことが好ましい。これにより、連続するパレット台車のシールバー4の間の隙間を、シールシート14でカバーすることができる。なお、図3は、2台のパレット台車を示すが、1枚のシールシート14は、2台以上のパレット台車にわたって、搬送方向に延びて形成されてもよい。例えば、1枚のシールシート14の搬送方向における長さは、10m以上とすることができる。
【0039】
本実施形態におけるシールシート14を用いたシール構造により、種々の漏風の原因となる現象が起きた場合でも漏風を抑えることができる。例えば、シールバー4と保持カバー5の間に隙間が生じた場合に、シールシート14によって漏風が抑えられる。パレット台車10の凹部2bと保持カバー5の間に隙間が生じた場合も、シールシート14によって漏風が抑えられる。また、ウェアーバー13が、うねりや傾き等で変形し、シールバー4とウェアーバー13の接触面が小さくなって、圧力遮断が不十分になった場合も、シールシート14により漏風が抑えられる。また、シールバー4とウェアーバー13の間にダスト粒子が噛み込まれた場合にも、シールシート14によって漏風が抑えられる。さらに、車輪7、及びレール11の摩耗等によりパレット台車10の上下方向における位置が下がった場合も、シールシート14とパレット台車10と接触状態は略変わらず、良好な接触状態が維持できる。そのため、シールシート14のシール性が維持される。また、パレット台車が蛇行することにより、パレット台車の幅方向の位置が変位した場合も、シールシート14とパレット台車10の下面の水平な面2aと接触は保たれる。そのため、シール性は維持される。
【0040】
本実施形態のシール装置は、ウェアーバー13とシールシート14で、2重のエアーシール手段を具備する。本実施形態によれば、上記のような種々の現象が起きたときに大きな漏風になることない。そのため、焼結機を安定した風量原単位のもとで運転し、生産を継続できる。
【0041】
本発明は、上記実施形態に限られない。例えば、上記実施形態では、シールバー4の幅方向外方すなわち大気側にシールシート14が配置される。これに限らず、シールシート14は、シールバー4の幅方向内方に配置されてもよい。
【0042】
以上、本発明の一実施形態を説明したが、上述した実施形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。よって、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施形態を適宜変形して実施することが可能である。
【符号の説明】
【0043】
1:側板
2:パレットフレーム
3:シール部材
4:シールバー
10:パレット台車
12:ウェアーバーサポート
13:ウェアーバー
14:シールシート
図1
図2
図3