(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-10
(45)【発行日】2023-01-18
(54)【発明の名称】シート給送装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
B65H 3/66 20060101AFI20230111BHJP
B65H 1/04 20060101ALI20230111BHJP
【FI】
B65H3/66
B65H1/04 324
(21)【出願番号】P 2018170238
(22)【出願日】2018-09-12
【審査請求日】2021-08-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167302
【氏名又は名称】種村 一幸
(74)【代理人】
【識別番号】100135817
【氏名又は名称】華山 浩伸
(72)【発明者】
【氏名】グェン ザィン チェン
【審査官】羽鳥 公一
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-247593(JP,A)
【文献】特開2012-153460(JP,A)
【文献】特開平10-139217(JP,A)
【文献】特開平07-101562(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 3/66
B65H 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体に着脱可能で、シートが収納されるシート収納部と、
前記シート収納部の底部から上方に延び、予め定められている幅方向における前記シートの位置を規制する第1規制部と、
装置本体に設けられ、前記幅方向に直交する給送方向に前記シートを給送する給送部と、
前記装置本体に設けられ、前記第1規制部よりも前記給送方向の下流側において、前記シートの前記幅方向における辺に前記幅方向の一方側から当接して前記シートの前記幅方向の位置を規制する第2規制部と、
を備え
、
前記第2規制部は、少なくとも1つの規制レバーを含み、
前記規制レバーは、
前記幅方向に延びる軸心周りに回動可能な基部と、
前記基部から前記給送方向の上流側に延び、前記シート収納部が前記装置本体に装着される間に前記第1規制部の上端と当接することで前記基部を回動させる第1アーム部と、
前記基部から前記給送方向の下流側に延び、前記基部の回動により、前記第1規制部の上端よりも高い上位置から、前記上位置よりも低い位置であり且つ前記辺に前記幅方向の一方側から当接する下位置に変位する第2アーム部と、
を含む、シート給送装置。
【請求項2】
前記第1規制部は、前記幅方向に移動することで、予め定められる複数の位置で、前記幅方向のサイズが異なる複数種の前記シートの位置を規制可能であり、
前記第2規制部は、複数の前記規制レバーを含み、
前記複数の規制レバーは、前記複数の位置の各々に配置される前記第1規制部に対向する位置に配置され、前記第1規制部と対向する場合に、前記第1規制部が位置を規制する前記シートにおける前記辺に前記幅方向の一方側から当接する、
請求項
1に記載のシート給送装置。
【請求項3】
前記給送部は、前記シート収納部に収納される前記シートと当接しつつ回転することで前記シートを前記給送方向に送り出すピックアップローラー、を含み、
前記第1規制部と対向する前記規制レバーよりも、前記シートの幅方向における中心寄りに配置される前記規制レバーにおいて、前記第1アーム部は、前記シート収納部に収納されるシートと当接することで前記基部を回動させ、前記第2アーム部は、前記基部の回動により、前記上位置からガイド位置に変位し、
前記ガイド位置は、前記ピックアップローラーと前記シートとが当接する位置よりも前記給送方向の下流側の位置であり、且つ前記シートの搬送路から上方に予め定められている距離だけ離間する位置である、
請求項
2に記載のシート給送装置。
【請求項4】
前記第1規制部は、前記シートの前記幅方向における両辺に前記幅方向の両側から当接し、前記シートの前記幅方向の位置を規制する一対の規制板を含み、
前記第2規制部は、前記一対の規制板よりも前記給送方向の下流側において前記一対の規制板と対向し、前記幅方向の両側から前記両辺に当接して前記シートの幅方向の位置を規制する一対の規制レバー、を含む、
請求項1~
3のいずれかに記載のシート給送装置。
【請求項5】
請求項1~
4のいずれかに記載のシート給送装置と、
前記シート給送装置により給送されるシートに画像を形成する画像形成部と、
を備える画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給送方向に給送されるシートにスキューが発生することを防止するシート給送装置、及びこれを備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、画像形成装置には、ピックアップローラー等を含む給送部が設けられている。前記給送部は、給紙カセット等の収納部に載置されるシートを給送方向に送り出す。この際、搬送中の前記シートが前記給送方向に対して傾斜する所謂スキューが発生する場合がある。
【0003】
前記スキューを補正するために、従来の画像形成装置(例えば特許文献1を参照)では、球形のピックアップローラーによりシートはシート収納部から給送方向に送り出される。また、前記ピックアップローラーよりも前記給送方向側には、前記シートの先端部分の複数箇所が当接可能で前記給送方向の直交方向に並ぶ複数のストッパーが設けられる。前記給送方向に送り出される前記シートに前記スキューが発生している場合、前記シートの先端部分はまず前記複数のストッパーの一つに当接する。そして、前記シートは、前記ピックアップローラーと前記シートとの当接位置を回転中心として前記シートと平行な面内で回転し始める。その後、前記シートの先端部分は、前記複数のストッパーに当接し、これにより、前記スキューが補正される。次に、前記複数のストッパーは前記シートの搬送路から退避し、前記シートは前記給送方向に更に搬送される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記従来の画像形成装置では、前記シートは、前記ストッパーにより前記スキューが補正されるまでの間、前記ストッパーの位置で停止する。しかし、前記給送方向に一旦送り出された前記シートを停止させることなく、前記シートにスキューが発生することを抑制することが望まれる。
【0006】
本発明の目的は、シート収納部から給送方向に送り出されるシートを停止させることなく、前記シートに前記スキューが生じることを抑制可能なシート給送装置、及びこれを備える画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一の局面に係るシート給送装置は、シート収納部と、第1規制部と、給送部と、第2規制部と、を備える。前記シート収納部は、前記装置本体に着脱可能である。前記シート収納部にはシートが収納される。前記第1規制部は、前記シート収納部の底部から上方に延び、予め定められている幅方向における前記シートの位置を規制する。前記給送部は、装置本体に設けられ、前記幅方向に直交する給送方向に前記シートを給送する。前記第2規制部は、前記装置本体に設けられ、前記第1規制部よりも前記給送方向の下流側において、前記シートの前記幅方向における辺に前記幅方向の一方側から当接して前記シートの前記幅方向の位置を規制する。
【0008】
本発明の他の局面に係る画像形成装置は、前記シート給送装置と、画像形成部と、を備える。前記画像形成部は、前記シート給送装置により給送されるシートに画像を形成する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、シート収納部から給送方向に送り出されるシートを停止させることなく、前記シートに前記スキューが生じることを抑制可能なシート給送装置、及びこれを備える画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る画像形成装置の外観を示す模式図である。
【
図2】
図2は、
図1に示す中心面に沿う画像形成装置の断面を模式的に示し、且つ画像形成装置の内部構成を示す模式図である。
【
図3B】
図3Bは、
図2に示すシート収納部に収納可能なシートを示す模式図である。
【
図4】
図4は、
図3Aに示すシート収納部の装着位置と、第1規制部の特定位置とを示す模式図である。
【
図5】
図5は、
図3Aに示すピックアップローラー及び搬送ローラーの詳細な構成を示すとともに、一実施形態に係るシート給送装置を示す図である。
【
図6】
図6は、
図5に示す4個の規制レバーが配置される位置P11~P14を示す図である。
【
図7B】
図7Bは、
図5に示す左側第2規制部を組み立てた状態を示す斜視図である。
【
図8】
図8は、
図6に示す右側第2規制部の詳細な構成を示す模式図である。
【
図9A】
図9Aは、
図7に示す第1アーム部の第1下位置H11と、第2アーム部の第2上位置H12とを示す模式図である。
【
図9B】
図9Bは、
図7に示す第1アーム部の第1上位置H21と、第2アーム部の第2下位置H22とを示す模式図である。
【
図9C】
図9Cは、
図5に示すシート給送装置が幅方向Yに小さいサイズを有するシートに幅方向Yの両側から当接する様子を示す図である。
【
図10】
図10は、
図5に示すシート給送装置がシートの幅方向Yにおける両端寄りの第3部分に当接する様子を示す図である。
【
図11】
図11は、
図7に示す第2アーム部のガイド位置H23を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下添付図面を参照しながら、本発明の一実施形態について説明し、本発明の理解に供する。なお、以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0012】
図1において、矢印Xは、画像形成装置100の奥行き方向、即ち、画像形成装置100の前側から奥側に向かう方向を示す。また、矢印Yは、画像形成装置100の幅方向、即ち左右方向を示す。前記幅方向は、前記奥行き方向と直交する。また、矢印Zは、画像形成装置100の高さ方向、即ち画像形成装置100の下側から上側に向かう方向を示す。前記高さ方向は、前記奥行き方向及び前記幅方向と直交する。以下、前記奥行き方向を奥行き方向Xと、前記幅方向を幅方向Yと、前記高さ方向を高さ方向Zと称する。
【0013】
また、以下の説明において、ZX平面は、高さ方向Z及び奥行き方向Xに平行な面である。中心面CP1は、シート収納部1が有する底部1B(
図3を参照)に設けられる規制板3L及び規制板3R(
図3Aを参照)の間の幅方向Yにおける中心位置を通過し且つ前記ZX平面に平行な仮想面である。
【0014】
図1において、画像形成装置100は、プリンター、コピー機又は複合機等である。前記複合機は、プリント機能、コピー機能、及びファクシミリ機能等を有する。画像形成装置100は、印刷処理を行う。
【0015】
具体的に、画像形成装置100は、本発明における装置本体の一例であり、
図2に示すように、画像形成部101、シート給送装置102と、搬送路103、定着部104、排出部105及び筐体106を備える。シート給送装置102は、シート収納部1、給送部2、第1規制部3、後端規制部4、及び第2規制部5(
図5を参照)を備える。
【0016】
画像形成部101は、筐体106においてシート収納部1よりも上方で排出部105よりも下方の位置に設けられる。画像形成部101は、像担持体201、帯電部202、露光部203、現像部204及び転写部205を備える。像担持体201は、感光体ドラム等であり、円柱形状を有する。像担持体201は、自身の軸心周りに回転可能に筐体106に支持される。像担持体201には、電子写真方式により、即ち、帯電部202、露光部203及び現像部204により、トナー像が形成される。前記トナー像は、像担持体201の回転により転写領域R1に搬送される。転写領域R1は、像担持体201において転写部205と対向する領域である。
【0017】
図2において、シート収納部1は、画像形成装置100の筐体106に対し着脱可能である。具体的に、シート収納部1は、シートS1の補充のために、筐体106から引出方向X1に引き出し可能である。引出方向X1は、奥行き方向Xと逆方向である。シート収納部1は、シートS1が補充された後に、予め定められている装着位置P2まで挿入方向X2に押し込まれる。挿入方向X2は、引出方向X1と逆方向であり、奥行き方向Xと同じ方向である。また、装着位置P2は、具体的に、シート収納部1の前面パネル1Aが筐体106の前面パネル1Aと段差が無く奥行き方向Xにおいて揃う位置である(
図1を参照)。なお、
図2には、装着位置P2から引出方向X1に引き出されたシート収納部1が二点鎖線で示される。また、装着位置P2にあるシート収納部1が実線で示される。
【0018】
シート収納部1は、トレイ状の形状を有する。具体的に、シート収納部1は、
図3Aに示すように、底部1Bを有する。シート収納部1は更に、4つの壁面、即ち、前側壁面1F、奥側壁面1D、左側壁面1L及び右側壁面1Rを有する。底部1B及び前記4つの壁面は、前記複数種のシートS1が収納される空間S2を区画する。
【0019】
より詳細には、底部1Bは、上方からの平面視で矩形形状を有する。前側壁面1Fは、底部1Bの前端部から高さ方向Zに延びる。奥側壁面1Dは、底部1Bの後端部から高さ方向Zに延びる。左側壁面1Lは、底部1Bの左端部から高さ方向Zに延びる。右側壁面1Rは、底部1Bの右端部から高さ方向Zに延びる。右側壁面1Rは、前側壁面1F及び奥側壁面1Dの左端部同士を繋ぐ。左側壁面1Lは、前側壁面1F及び奥側壁面1Dの右端部同士を繋ぐ。空間S2の上端部は上方に向かって開放される開口S3になっている(
図2を参照)。
【0020】
シート収納部1の空間S2には、
図2に示すように、複数枚のシートS1が、高さ方向Zに積まれた状態で収納可能である。具体的に、シート収納部1には、
図3Bに示すように、幅方向Yに平行な第1辺FS1のサイズが異なる複数種のシートS1が収納可能である。前記複数種のシートS1は、リーガルサイズのシートS11、レターサイズのシートS12、A4サイズのシートS13及びA5サイズのシートS14を含む(
図3Bを参照)。
【0021】
図3Aにおいて、シート収納部1には、載置部材11、シャフト11A、昇降部材12、シャフト12A、第1規制部3、移動機構13、及び後端規制部4が設けられる。
【0022】
載置部材11は、金属等で作製され、
図2に示すように、薄い板状の形状を有する。載置部材11は、
図3Aに示すように、底部1Bにおいて規制板3L,3Rの間であり且つ後端規制部4よりも前側の位置に設けられる。載置部材11は、中心面CP1に基準として幅方向Yにおいて互いに対称な形状になるように底部1Bに配置される。なお、以下の説明において、対称形状とは、中心面CP1に基準として幅方向Yにおいて互いに対称な形状のことである。また、載置部材11の前側端部11Fは、前側壁面1Fに沿って幅方向Yに延びる。載置部材11の奥側端部11Dは、底部1Bにおいて奥寄り(即ち、奥側壁面1D寄り)の位置で幅方向Yに延びる。また、載置部材11において、前側端部11F寄りの部分の幅は、奥側端部11D寄りの部分の幅よりも広くなっている。前記複数種から選ばれた一種類のシートS1は、
図2に示すように、載置部材11の主面11M上に積載される。
【0023】
シャフト11Aは、
図3Aに示すように、底部1Bにおいて奥側壁面1D寄りの位置で幅方向Yに延びるように底部1Bに設けられる。シャフト11Aには、載置部材11の奥側端部11Dが固定される。また、シャフト11Aは、シャフト11Aの軸心周りに回転方向LD1(
図2を参照)に回転可能に底部1Bに支持される。なお、載置部材11の前側端部11Fは、自由端とされる。
【0024】
昇降部材12は、金属等で作製される。昇降部材12は、
図3Aに示すように、矩形状で且つ薄い板状(
図2を参照)の形状を有する。昇降部材12は、載置部材11の前側端部11F寄りの部分の下方に、前記対称形状となるように底部1Bに配置される。
【0025】
シャフト12Aは、底部1Bにおいて前側壁面1F寄りの位置で幅方向Yに延びるように底部1Bに設けられる。具体的に、シャフト12Aは、昇降部材12の奥側端部12Dに沿って固定される。また、シャフト12Aは、シャフト12Aの軸心周りに回転方向LD2(
図2を参照)に回転可能に底部1Bに支持される。なお、昇降部材12の前側端部12Fは自由端である。
【0026】
シャフト12Aは、筐体106に設けられるモーター(図示せず)により生成される動力により回転する。これにより、昇降部材12は、回転方向LD2に回転する。昇降部材12の前側端部12Fは、載置部材11の前側端部11F寄りの部分に下方から当接しつつ高さ方向Zに変位する。その結果、載置部材11は、回転方向LD1にシャフト11A周りに回転し、前側端部11Fは高さ方向Zに変位する。なお、シャフト12Aの回転は、図示しない制御部によって、載置部材11上に積載される最上位のシートS1がピックアップローラー21に当接するように制御される。
【0027】
図3Aにおいて、第1規制部3は、一対の規制板3L,3Rを含む。規制板3L,3Rは、シート収納部1の底部1Bから上方に延びる。第1規制部3は、載置部材11上のシートS1の幅方向Yにおける位置を規制する。なお、幅方向Yは、後述の給送方向FD1と直交する方向である。
【0028】
具体的に、規制板3L,3Rは、所謂センターレジストレーション方式の規制板の対であり、底部1Bに沿って空間S2内を幅方向Yに移動可能である。規制板3Lは、載置部材11上のシートS1の左側の第2辺SS2における特定部分SP1に左方から当接する内側面3Nを有する。規制板3Rは、載置部材11上のシートS1の右側の第2辺SS2における特定部分SP1に右方から当接する内側面3Nを有する。第2辺SS2は、第1辺FS1と直交する辺である。内側面3Nのそれぞれは、前記ZX平面に平行な面である。規制板3L,3Rは、シートS1が有する両方の第2辺SS2に幅方向Yの両側(即ち、左右両方向)から当接して、載置部材11上のシートS1の幅方向Yにおける位置を規制する。これにより、シートS1の幅方向Yにおける中心線CL1は中心面CP1内に含まれる。
【0029】
規制板3Lは、より詳細には、
図3Aに示すように、底部1Bにおいて中心面CP1よりも左方に設けられる。また、規制板3Lは、底部1Bにおいて引出方向X1寄りの位置に設けられる。
【0030】
規制板3Lは、幅方向Yに予め定められている幅を有するとともに(
図3Aを参照)、予め定められている奥行き及び高さを有する。具体的に、規制板3Lは、前側端部3Fと、上端部3Uと、を有する。前側端部3Fは、引出方向X1側の端部である。
図3Aに示すように、載置部材11において、前側端部11F側は、奥側端部11D側よりも幅広である。規制板3Lにおいて、前側端部3Fは、載置部材11の前側端部11Fよりも奥側に位置し、前側壁面1Fから挿入方向X2に離間する。上端部3Uは、
図2に示すように、最上位のシートS1の特定部分SP1よりも高い位置H1に設けられる。最上位のシートS1は、載置部材11上に積載される複数枚のシートS1のうち最も上に載置されるシートS1である。
【0031】
規制板3Lは、
図4に示すように、シート収納部1が押し込まれる際に、特定位置P3に向けて挿入方向X2へシート収納部1とともに移動可能である。また、規制板3Lは、シート収納部1が引き出される際に、特定位置P3から引出方向X1へシート収納部1とともに移動可能である。特定位置P3は、装着位置P2に対応する前側端部3Fの位置である。シート収納部1及び規制板3Lが装着位置P2及び特定位置P3にそれぞれ位置する場合に、載置部材11上のシートS1を給送部2(
図2を参照)が給送方向FD1に送出可能となる。
【0032】
なお、規制板3Rは、規制板3Lと前記対称形状となるように底部1Bに設けられる。それゆえ、規制板3Rの具体的な構成に関する説明を控える。
【0033】
図3Aにおいて、移動機構13は、ラックピニオン機構等である。前記ラックピニオン機構は、ピニオンギヤーと、2つのラックギヤーと、を含む。前記ピニオンギヤーは、高さ方向Zに平行な回転軸周りに回転可能に底部1Bに設けられる。前記ラックギヤーの一方及び他方は、規制板3L,3Rから前記ピニオンギヤーに向かってそれぞれ延び、前記ピニオンギヤーと噛合する。ユーザーは、規制板3L,3Rの一方を幅方向Yの一方(即ち、左方又は右方)に移動させる。この移動に応じて、移動機構13は、規制板3L,3Rの一方の移動量と同じ量だけ、幅方向Yの他方(右方又は左方)に規制板3L,3Rの他方を移動させる。これにより、規制板3L,3Rは、載置部材11に積載されるシートS1を幅方向Yの両側(即ち、左右両側)から挟み込む。これによって、第1規制部3は、シートS1の中心線CL1を中心面CP1に合わせるとともにシートS1の幅方向Yにおける位置を規制する。
【0034】
また、規制板3L,3Rは、移動機構13により幅方向Yに移動することで、幅方向Yにおいて予め定められる複数の位置P11~P14(
図6を参照)に位置決めされる。これにより、規制板3L,3Rは、前記複数種のシートS11~S14(
図3Bを参照)の幅方向Yにおける位置を規制可能である。
【0035】
図2に示すように、後端規制部4は、底部1Bにおいて奥側壁面1D寄りの位置から上方に延びる。後端規制部4は、前記ユーザー操作により引出方向X1及び挿入方向X2の双方向に移動可能である。後端規制部4は、前記ユーザー操作により、
図3Aに示すように、載置部材11上のシートS1に奥側から当接し、シートS1の第1辺FS1を前側壁面1Fに沿わせる。これにより、後端規制部4は、シートS1の奥行き方向Xにおける位置を規制する。奥行き方向Xに位置決めされると、シートS1の第1辺FS1が前側壁面1Fに沿う。
【0036】
図2において、搬送路103は、シート収納部1から送り出されるシートS1が搬送される経路であり、破線で示される。搬送路103は、右方から平面視で、左右反転した「S」の字に似た形状を有する。搬送路103の途中には、転写領域R1及び定着部104が設けられる。搬送路103は、排出部105に至る。
【0037】
図2において、搬送路103は、ガイド部103Aを含む。ガイド部103Aは、シート収納部1において空間S2よりも引出方向X1側に設けられる。ガイド部103Aは、前記最長辺長と同じ幅を有し屈曲するガイド面103Bを有する。ガイド面103Bは、幅方向Yに平行な面である。ガイド部103Aは、シート収納部1の空間S2から給送部2が送り出すシートS1を、ガイド面103Bに沿って給送方向FD1(即ち、搬送路103)の下流側へ案内する。
【0038】
図2において、給送部2は、画像形成装置100の筐体106に設けられる。給送部2は、載置部材11上からシートS1を1枚ずつ予め定められている給送方向FD1(
図2を参照)に給送する。給送方向FD1は、幅方向Yに直交する方向である。具体的に、給送方向FD1は、載置部材11の主面11Mに沿う方向であり、且つ前方斜め上方に向かう方向である。
【0039】
給送部2は、具体的に、ピックアップローラー21、搬送ローラー22及びリタードローラー23を備える。ピックアップローラー21及び搬送ローラー22の各々は、幅方向Yにおいて中心面CP1寄りの部分に配置されている(
図5を参照)。
【0040】
ピックアップローラー21は、シート収納部1に収納されるシートS1と当接しつつ回転することでシートS1を給送方向FD1に送り出す。
【0041】
具体的に、ピックアップローラー21は、シート収納部1が装着位置P2にある場合、奥行き方向Xにおいて、前側壁面1Fと、第1規制部3の前側端部3Fとの間の位置に設けられる。ピックアップローラー21は、第1規制部3の上端部3Uよりも下方の位置で前記最上位のシートS1と当接するように配置される。ピックアップローラー21は、幅方向Yに延びるシャフト21A周りに回転可能に筐体106に支持される。ピックアップローラー21は、筐体106に設けられるモーター(図示せず)から伝達される動力により回転し、前記最上位のシートS1を給送方向FD1に送り出し、ガイド部103A上に供給する。
【0042】
搬送ローラー22は、ピックアップローラー21及び前側壁面1Fよりも引出方向X1側において、ガイド部103Aから斜め上方に離間する位置に設けられる。搬送ローラー22は、幅方向Yに沿うシャフト22A周りに回転可能に筐体106に支持される。搬送ローラー22は、前記モーター(図示せず)から伝達される動力により回転し、ガイド部103Aに供給されるシートS1を給送方向FD1の下流側へと送り出す。
【0043】
より詳細には、ピックアップローラー21及び搬送ローラー22のそれぞれはホルダー24(
図8を参照)に設けられている。ピックアップローラー21は、シャフト22Aから動力伝達部25(
図8を参照)を介して伝達される動力により、搬送ローラー22と同期して回転する。
【0044】
リタードローラー23は、シート収納部1に設けられる。リタードローラー23は、ガイド部103Aにおいて前側壁面1F寄りの位置で幅方向Yに延びる。従動ローラー7の上端部は、ガイド部103Aに対して突出する。リタードローラー23は、幅方向Yに沿う軸心23A周りに回転可能にシート収納部1に支持される。リタードローラー23は、シート収納部1が装着位置P2にある場合に、搬送ローラー22に下方から当接しニップN1を形成する。リタードローラー23は、搬送ローラー22の回転により従動し回転する。また、リタードローラー23は、トルクリミッターの作用により、ピックアップローラー21から複数枚のシートS1が送られてきた場合には従動回転しない。これにより、搬送ローラー22は、前記複数枚のシートS1のうち、最上位のシートS1のみを給送方向FD1の下流側に搬送する。
【0045】
シートS1の給送方向FD1における先端部は、ガイド部103A上に供給された後、ニップN1に導入される。シートS1は、搬送ローラー22の回転により搬送路103の下流側に更に搬送され、転写領域R1に送り込まれる。なお、シートS1の前記先端部が搬送ローラー22よりも先に従動ローラー7に当接すると、シートS1から相対的に大きな衝突音が発生し、シートS1が傷付き、又はシートS1がガイド部103Aにおいて詰まることがある。そのため、ガイド部103Aにおいて、従動ローラー7よりも前側壁面1F寄りの部分には、シートS1の前記先端部が搬送ローラー22に先に当接するように、フィルム等のガイド部材が設けられることが好ましい。なお、ガイド部103Aにおける前記部分は、前記先端部が搬送ローラー22に先に当接可能な形状を有していてもよい。
【0046】
図2において、画像形成部101は、シート給送装置102により給送されるシートS1に前記画像を形成する。具体的に、転写部205は、転写領域R1に送り込まれるシートS1に、像担持体201により転写領域R1に搬送される前記画像を転写する。前記画像が転写されたシートS1は、定着部104に送り込まれる。定着部104において、前記画像は、シートS1上に定着させられる。その後、前記画像が定着されたシートS1は、印刷物として排出部105に排出される。
【0047】
「背景技術」の欄で説明した従来の画像形成装置では、シートは、ストッパーによりスキューが補正されるまでの間、前記ストッパーの位置で停止する。しかし、前記給送方向に一旦送り出された前記シートを停止させることなく、前記シートにスキューが発生することを抑制することが望まれる。それに対し、本実施形態に係る画像形成装置100によればシートS1を停止させることなく前記スキューの発生を抑制することができる。
【0048】
図5において、第2規制部5は、画像形成装置100の筐体106に設けられる。第2規制部5は、第1規制部3よりも給送方向FD1の下流側において、載置部材11上のシートS1の幅方向Yにおける第2辺SS2に、幅方向Yの少なくとも一方側から当接する。これにより、第2規制部5は、給送部2により給送されるシートS1の幅方向Yにおける位置を規制する。
【0049】
第2規制部5は、具体的に、左側第2規制部5L及び右側第2規制部5Rの対を備える。左側第2規制部5Lは、4つの規制レバー51L、支持部52L、シャフト53L、及び4つの付勢部材54L(
図7を参照)を含む。
【0050】
支持部52Lは、筐体106に設けられる。具体的に、支持部52Lは、幅方向Yに関しては、ピックアップローラー21及び搬送ローラー22よりも左側の位置で筐体106に取り付けられる。支持部52Lは、給送方向FD1に関しては、載置部材11の前側端部11F寄りの位置で筐体106に取り付けられる。支持部52Lは、高さ方向Zに関しては、ピックアップローラー21の下端よりも上方の位置で筐体106に取り付けられる。
【0051】
シャフト53Lは、
図6に示すように、幅方向Yに沿って延びるように支持部52L内に架け渡される。ここで、
図6には、幅方向Yにおける位置P11~P14が示される。位置P11は、載置部材11上のシートS11の幅方向Yにおける左側の第2辺SS2の位置を示す。同様に、位置P12,P13,P14は、載置部材11上のシートS12,S13,S14の左側の第2辺SS2の位置をそれぞれ示す。シャフト53Lは、位置P21から位置P22の範囲内で幅方向Yに延びる。位置P21は、位置P14と、給送部2が備えるシャフト22Aの左端部の位置P15との間の位置であり、位置P22は、位置P11から左方に離れた位置である。
【0052】
4個の規制レバー51Lは、シートS11~S14(
図3Bを参照)に対応して設けられる。4個の規制レバー51Lは、位置P11~P14の各々に配置される第1規制部3(より具体的には規制板3L)と対向する。4個の規制レバー51Lの各々は、規制板3Lと対向する場合に、規制板3Lが位置を規制するシートS11~S14のいずれかにおける第2辺SS2に、幅方向Yにおける一方側(具体的には、左方側)から当接する。
【0053】
4個の規制レバー51Lにおいて、特に、シートS11に対応する規制レバー51Lは、第1規制レバー511Lである。また、シートS12,S13,S14に対応する規制レバー51Lは、第2規制レバー512L、第3規制レバー513L、及び第4規制レバー514Lである。なお、左側第2規制部5Lにおける規制レバー51Lの個数は4以外であってもよい。
【0054】
4個の規制レバー51Lの各々は、
図7Aに示すように、基部515L、第1アーム部516L及び第2アーム部517Lを含む。
【0055】
各基部515Lは、シャフト53L周りに回動可能にシャフト53Lに支持される。具体的に、各基部515Lは円盤状の形状を有する。各基部515Lには貫通孔TH1が設けられている。各貫通孔TH1にシャフト53Lが挿通されることで、各基部515Lは、シャフト53L周りに前記ZX平面内で回動可能となる。
【0056】
各第1アーム部516L及び各第2アーム部517Lは、対応する基部515Lに一体に設けられる。各第1アーム部516L及び各第2アーム部517Lは、幅方向Yに予め定められている厚さを有する。
【0057】
各第1アーム部516Lは、対応する基部515Lから、給送方向FD1の上流側に延びる。各第1アーム部516Lにおける右側面RS2の各々は、前記ZX平面に平行な面であり、互いに同じ外形を有する。右側面RS2において給送方向FD1の上流側の部分は、円弧状に湾曲する。
【0058】
各第2アーム部517Lは、対応する基部515Lから給送方向FD1の下流側に延びる。各第2アーム部517Lにおける右側面RS3の各々は、前記ZX平面に平行な面であり、互いに同じ外形を有する。各右側面RS3は、対応する第1アーム部516L側の右側面RS2と幅方向Yにおいて同じ位置に設けられる。右側面RS3において給送方向FD1の下流側の部分は円弧形状に湾曲する。
【0059】
各付勢部材54Lは、ねじりばね等である。各付勢部材54Lは、規制レバー51Lに対応して設けられる。各付勢部材54Lは、対応する基部515Lに巻回される。各付勢部材54Lの一方端は、給送方向FD1の上流側に延び、対応する第1アーム部516Lに形成された係止部518Lに係止される。
【0060】
図7Bに示すように、各規制レバー51Lにおいて、貫通孔TH1は、シャフト53Lに挿通される。これにより、各基部515Lは、幅方向Yに延びるシャフト53Lの軸心周りを回動可能に、シャフト53Lにより支持される。シャフト53Lの両端は、支持部52Lにより取り付けられる。また、各付勢部材54Lの他方端は、各付勢部材54Lから給送方向FD1の下流側に延び、支持部52Lに係止される。これにより、各第1アーム部516L及び各第2アーム部517Lは、対応する基部515Lの回動によりシャフト53Lに対して揺動する。
【0061】
図6に示すように、支持部52Lが筐体106に取り付けられる際、第1規制レバー511Lの右側面RS3が位置P11で前記ZX平面と平行になるように、第1規制レバー511Lは配置される。同様に、第2規制レバー512Lの右側面RS3が位置P12で前記ZX平面と平行になるように、第2規制レバー512Lは配置される。第3規制レバー513Lにおける右側面RS3が位置P13で前記ZX平面と平行になるように、第3規制レバー513Lは配置される。第4規制レバー514Lにおける右側面RS3が位置P14で前記ZX平面と平行になるように、第4規制レバー514Lは配置される。
【0062】
図8において、右側第2規制部5Rは、4つの規制レバー51R、支持部52R、シャフト53R、及び4つの付勢部材54Rを備える。4個の規制レバー51Rにおいて、特に、シートS11に対応する規制レバー51Rは、第1規制レバー511Rである。また、シートS12,S13,S14に対応する規制レバー51Rは、第2規制レバー512R、第3規制レバー513R、及び第4規制レバー514Rである。なお、
図8には、1個の付勢部材54Rのみが示される。同様に、付勢部材54Lも1個のみが示される。
【0063】
支持部52Rは、支持部52Lと前記対称形状となるように筐体106に設けられる。シャフト53Rは、シャフト53Lと前記対称形状となるように支持部52Rに設けられる。第1規制レバー511Rは、第1規制レバー511Lと前記対称形状となるように支持部52Rに設けられる。第2規制レバー512R、第3規制レバー513R及び第4規制レバー514Rは、第2規制レバー512L、第3規制レバー513L及び第4規制レバー514Lと前記対称形状となるように支持部52Rにそれぞれ設けられる。各付勢部材54Rは、対応する付勢部材54Lと前記対称形状となるように支持部52Rに設けられる。それゆえ、右側第2規制部5Rの詳細な説明を控える。
【0064】
各付勢部材54L(
図7を参照)は、対応する第1アーム部516Lを下方に付勢する。具体的に、各付勢部材54Rの仕様を適切に定めることにより、シート収納部1が装着位置P2から引出方向X1に引き出されている場合に、各第1アーム部516Lの下端部92LBは、
図9Aに示すように第1下位置H11に位置する。第1下位置H11は、規制板3Lの上端部3U(
図4を参照)よりも下方の位置であり、各第1アーム部516Lが規制板3Lと給送方向FD1の上流側において対向する位置である。また、各第2アーム部517Lの下端部93LBは、対応する第1アーム部516Lよりも引出方向X1側に配置され、シート収納部1が装着位置P2から引出方向X1に引き出されている場合に、
図9Aに示すように第2上位置H12に位置する。第2上位置H12は、上端部3U(
図9Bを参照)よりも上方の位置である。
【0065】
規制板3L,3Rは、
図3Bに示すように、載置部材11に積載されるシートS11~S14のいずれかの位置を規制する。例えば、規制板3L,3RがシートS11の位置を規制する場合、第1規制レバー511Lは、本発明における規制レバーとして動作する。この場合、規制板3Lが特定位置P3(
図9Bを参照)に移動する過程で、規制板3Lの上端部3Uはまず、第1規制レバー511Lにおける第2アーム部517Lが有し且つ第2上位置H12に位置する下端部93LBの下方を通過する。
【0066】
規制板3Lの上端部3Uは、
図9Bに示すように、第1規制レバー511Lの下端部93LBに当接する。第1規制レバー511Lの第1アーム部516Lは、上端部3Uから受ける力により、対応する基部515Lをシャフト53L周りに回動させる。第1アーム部516Lの下端部92LBは、基部515Lが回動すると、規制板3Lの上端部3Uと当接する第1上位置H21に第1下位置H11から変位する。
【0067】
第1規制レバー511Lが有する第2アーム部517Lの下端部93LBは、対応する基部515Lの回転により、第2上位置H12(
図9Aを参照)から第2下位置H22に変位する。第2下位置H22は、本発明における下位置の一例である。第2下位置H22は、シートS11における特定部分SP1よりも給送方向FD1の下流側で第2アーム部517Lが第1規制版3Lの前側端部3Fと対向する位置であり、且つ上端部3Uよりも下方の位置である。また、第2アーム部517Lの右側面RS3は、
図6に示すように、幅方向Yにおいて位置P11に配置されている。そのため、第2アーム部517Lは、
図9Bに示すように、シートS11における左側の第2辺SS2(
図3Bを参照)の特定部分SP1よりも給送方向FD1の下流側の第1部分DP1に左方から当接する。したがって、第2下位置H22は、第1部分DP1に当接可能な位置でもある。
【0068】
なお、第1規制レバー511Rは、第1規制レバー511Lと前記対称形状を有する。それゆえ、第1規制レバー511Rにおいて、第2アーム部517Rは、シートS11における右側の第2辺SS2の特定部分SP1よりも給送方向FD1の下流側の第1部分DP1に右方から当接する。即ち、第1規制レバー511L,511Rは、幅方向Yにおいて前記第1サイズを有するシートS1であるシートS11の位置を規制板3L,3Rが規制する場合に、シートS11における特定部分SP1よりも給送方向FD1の下流側の第1部分DP1に幅方向Yの両側から当接する。なお、第1規制レバー511L,511Rは、本発明における一対の規制レバーの一例である。
【0069】
第1規制部3がシートS11の位置を規制する場合(
図4を参照)、給送部2(
図9Bを参照)は、シートS11を給送方向FD1にシート収納部1から搬送路103に送出する。この間、第1規制レバー511Lは、規制板3Lの前側端部3Fと、シート収納部1の前側壁面1Fとの間で、シートS11が左方に位置ずれせずに給送方向FD1の下流側に搬送されるようにシートS11を案内する。同様に、第1規制レバー511Rは、規制板3Rの前側端部3F(
図5を参照)と、シート収納部1の前側壁面1F(
図2を参照)との間で、シートS11が右方に位置ずれせずに給送方向FD1の下流側に搬送されるようにシートS11を案内する。これにより、シートS11がシート収納部1からガイド部103Aに送出される際に、規制板3L,3Rとガイド部103Aとの間でスキューが発生することを防止することができる。特に、第1規制レバー511L,511Rは、シートS11を左右両側から挟み込むだけであるため、シートS11をピックアップローラー21と搬送ローラー22との間で停止させることなく、前記スキューの発生を抑制することが可能となる。
【0070】
同様に、規制板3L,3RがシートS12(
図3Aを参照)の位置を規制し、給送部2がシートS12をシート収納部1から搬送路103に送出する場合、第2規制レバー512L,512R(
図5を参照)は、シートS12が搬送路103に送出される間、
図9Cに示すように、シートS12における特定部分SP1よりも給送方向FD1側の第2部分DP2に幅方向Yの両側から当接する。即ち、第2規制レバー512Lが有する第1アーム部516Lは、規制板3Lの上端部3Uと当接する第1上位置H21に第1下位置H11から変位する。これに伴い、第2規制レバー512Lが有する第2アーム部517Lは、第2上位置H12から第2下位置H22に変位する。なお、この場合、第2下位置H22は、第2アーム部517Lの右側面RS3がシートS12の第1部分DP1に当接可能な位置である。これにより、第2規制レバー512L,512Rは、シートS12をピックアップローラー21と搬送ローラー22との間で停止させることなく、シートS12にスキューが発生することを抑制できる。
【0071】
また、規制板3L,3RがシートS13(
図3Bを参照)の位置を規制する場合には、第3規制レバー513L,513R(
図5を参照)は、第2規制レバー512L,512Rと同様に動作する。また、規制板3L,3RがシートS14(
図3Bを参照)の位置を規制する場合には、第4規制レバー514L,514R(
図5を参照)は、第2規制レバー512L,512Rと同様に動作する。これにより、シートS13,S14ついても、ピックアップローラー21と搬送ローラー22との間で停止させることなくスキューが発生することを抑制できる。
【0072】
上記の通り、シート給送装置102では、例えば、規制板3LがシートS11の位置を規制する場合、第1規制レバー511Lは、規制板3Lと対向する規制レバーであり、第1規制レバー511Lは、搬送路103に送り出されるシートS11にスキューが発生することを防止する。この場合、第2規制レバー512L、第3規制レバー513L、及び第4規制レバー514Lは、第1規制レバー511Lよりも、シートS11の幅方向Yにおける中心線CL1寄りに配置される。第2規制レバー512L、第3規制レバー513L、及び第4規制レバー514Lは更に、規制板3L,3RがシートS11の位置を規制する場合には、下記の通り機能する。
【0073】
即ち、規制板3Lが挿入方向X2に移動しつつ特定位置P3(
図9Bを参照)に移動する過程で、前記最上位のシートS11の第3部分DP3は、
図10に示すように、第2規制レバー512L、第3規制レバー513L、及び第4規制レバー514Lが備える第1規制レバー511Lの下端部93LBに当接する。最上位のシートS11において中心面CP1よりも左側の部分は、
図10に示すように、第2規制レバー512L、第3規制レバー513L及び第4規制レバー514Lが有する第1アーム部516Lの下端部92LBに当接する。したがって、規制板3L,3RがシートS11の位置を規制している状態で特定位置P3に移動すると、第2規制レバー512L、第3規制レバー513L及び第4規制レバー514Lの第1アーム部516Lと、第2規制レバー512R、第3規制レバー513R及び第4規制レバー514Rの第1アーム部516Rとは、シートS11の幅方向Yにおける両端寄りで且つシートS11の給送方向FD1における先端寄りの第3部分DP3(二点鎖線の楕円部分を参照)に上方から当接する。
【0074】
また、第2規制レバー512L、第3規制レバー513L、及び第4規制レバー514Lが備える第1規制レバー511Lの下端部93LBにシートS11が当接することにより、これらが有する基部515Lがシャフト53L周りに回動し始める。この回動により、第2規制レバー512L、第3規制レバー513L、及び第4規制レバー514Lが有する第2アーム部517Lの下端部93LBは、
図11に示すように、第2上位置H12からガイド位置H23に変位する。ガイド位置H23は、搬送路103において、ピックアップローラー21及び搬送ローラー22の間の部分から、特定距離だけ上方に離間する位置である。なお、前記特定距離は、シート給送装置102の設計開発段階にて実験等により定められる。具体的に、前記特定距離は、第2アーム部517LがシートS11の搬送を阻害しない範囲で前記はね音を抑制可能な距離に定められる。
【0075】
ここで、第2規制レバー512L,512R、第3規制レバー513L,513R及び第4規制レバー514L,514Rが第3部分DP3に上方から当接しないと仮定する。ピックアップローラー21は、幅方向Yにおいて中心面CP1寄りの部分に配置されている。このようなピックアップローラー21により最上位のシートS1が給送方向FD1に搬送される間、シートS11の第3部分DP3(
図10を参照)が上下に揺動する。
【0076】
また、最上位のシートS11の給送方向FD1における後端がピックアップローラー21を通過する際にはじかれ、前側壁面1Fに当たって音(以下、はね音と称する)が発生する。前記はね音は、第3部分DP3の揺動によって大きくなる。
【0077】
それに対し、規制板3L,3RがシートS11の位置を規制する場合、第2規制レバー512L、第3規制レバー513L、及び第4規制レバー514Lの第1アーム部516LはシートS11の第3部分DP3に当接し、これらの第2アーム部517Lはガイド位置H23に配置される。したがって、最上位のシートS11の給送方向FD1における後端がピックアップローラー21を通過する際にはじかれることが抑制され、これら第2アーム部517L,517Rは、シートS11の前記後端が揺動することを抑制することができる。その結果、最上位のシートS11の前記後端が前側壁面1Fに当たったとしても、大きなはね音の発生を抑制することが可能となる。
【0078】
なお、第2規制レバー512L,512R、第3規制レバー513L,513R、及び第4規制レバー514L,514Rは、はね音抑制の目的としない場合には、それぞれの第2アーム部517L,517Rは、第2上位置H12からガイド位置H23に変位しなくともよい。また、第2規制レバー512L,512R、第3規制レバー513L,513R、及び第4規制レバー514L,514Rの第1アーム部516L,516Rは、シートS11の幅方向Yにおける両端寄りの第3部分DP3の上方に退避させてもよい。
【0079】
また、規制板3L,3RがシートS12の位置を規制する場合、第3規制レバー513L,513R、及び第4規制レバー514L,514RがシートS12のはね音を抑制する。
【0080】
シート給送装置102において、各規制レバー51L,51Rは、シート収納部1が挿入方向X2に押し込まれる際の規制板3L,3Rの動きにより変位する。これにより、各規制レバー51L,51Rの変位するための新たなアクチュエーターを、画像形成装置100に追加する必要が無くなる。
【0081】
なお、画像形成装置100は、前記電子写真方式により、前記印刷物を生成する。しかし、画像形成装置100は、インクジェット方式により前記印刷物を生成してもよい。
【0082】
また、画像形成装置100は、前記センターレジストレーション方式の第1規制部3(
図3Aを参照)を備える。しかし、画像形成装置100は、所謂サイドレジストレーション方式により、載置部材11上に積載されるシートS1の幅方向Yにおける位置を規制してもよい。前記サイドレジストレーション方式では、規制板3Lが幅方向Yに移動可能である場合、規制板3Rは固定される。規制板3Rが幅方向Yに移動可能である場合、規制板3Lが固定される。
【0083】
前記サイドレジストレーション方式の場合、画像形成装置100において、規制板3L又は規制板3Rが幅方向Yに移動可能である場合、シート給送装置102は、左側第2規制部5L又は右側第2規制部5Rだけを備えていればよい。
【0084】
また、前記実施形態では、左側第2規制部5L及び右側第2規制部5Rにおいて、第1規制レバー511L,511Rに限っては、シャフト53L周りに回動可能でなくともよい。具体的に、第1規制レバー511Lにおいて、第1アーム部516Lは、対応する基部515Lから給送方向FD1の上流側に延び、第1上位置H21に固定的に配置される下端部92LBを有していてもよい。また、第2アーム部517Lは、対応する基部515Lから給送方向FD1の下流側に延び、第2下位置H22に固定的に配置される下端部93LBを有していてもよい。
【符号の説明】
【0085】
100 画像形成装置
101 画像形成部
102 シート給送装置
1 シート収納部
3 第1規制部
3L,3R 規制板
2 給送部
21 ピックアップローラー
5 第2規制部
5L,左側第2規制部
5R 右側第2規制部
51L,51R 規制レバー
515L,515R 基部
516L,516R 第1アーム部
517L,517R 第2アーム部