(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-10
(45)【発行日】2023-01-18
(54)【発明の名称】基地局装置、選択方法及び無線システム
(51)【国際特許分類】
H04W 16/28 20090101AFI20230111BHJP
H04W 4/08 20090101ALI20230111BHJP
H04B 7/0452 20170101ALI20230111BHJP
H04B 7/06 20060101ALI20230111BHJP
【FI】
H04W16/28
H04W4/08
H04B7/0452 110
H04B7/06 956
(21)【出願番号】P 2018175599
(22)【出願日】2018-09-20
【審査請求日】2021-06-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】熊谷 慎也
(72)【発明者】
【氏名】瀬山 崇志
【審査官】齋藤 浩兵
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0282122(US,A1)
【文献】特開2003-110486(JP,A)
【文献】国際公開第2018/059487(WO,A1)
【文献】特表2008-503144(JP,A)
【文献】特開2006-333482(JP,A)
【文献】特開2017-063369(JP,A)
【文献】特表2019-531654(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W 4/00-99/00
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1,4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のアンテナ素子を用いて複数のビームを形成して端末装置宛のデータ信号を送信する送信部と、
前記端末装置毎に、前記複数のビームの内、各端末装置の受信品質が最大となる第1のビームを含む第1のビーム集合と、前記複数のビームの内、前記第1のビームの受信品質との差分が閾値以上となる第2のビームを含む第2のビーム集合とを対応付けた情報を参照し、空間多重する端末装置の組合せを選択するスケジューリング部と
を有
し、
前記スケジューリング部は、
複数の前記端末装置の内、一方の端末装置の第1のビームが他方の端末装置の第2のビーム集合に含まれ、かつ、前記他方の端末装置の前記第1のビームが前記一方の端末装置の第2のビーム集合に含まれる、前記一方の端末装置及び前記他方の端末装置を前記空間多重する端末装置の組わせとして選択することを特徴とする基地局装置。
【請求項2】
前記スケジューリング部は、
前記端末装置宛のデータの肯定応答又は否定応答の情報を用いて前記閾値を調整することを特徴とする請求項
1に記載の基地局装置。
【請求項3】
前記スケジューリング部は、
前記端末装置宛のデータの否定応答となる回数が所定回数以上の場合に、当該否定応答となる回数が所定回数以上のビームを前記第2のビーム集合から削除することを特徴とする請求項1
又は2に記載の基地局装置。
【請求項4】
基地局装置が、
複数のアンテナ素子を用いて複数のビームを形成して端末装置宛のデータ信号を送信し、
前記端末装置毎に、前記複数のビームの内、各端末装置の受信品質が最大となる第1のビームを含む第1のビーム集合と、前記複数のビームの内、前記第1のビームの受信品質との差分が閾値以上となる第2のビームを含む第2のビーム集合とを対応付けた情報を参照し、空間多重する端末装置の組合せを選択する
処理を実行
し、
前記選択する処理は、
複数の前記端末装置の内、一方の端末装置の第1のビームが他方の端末装置の第2のビーム集合に含まれ、かつ、前記他方の端末装置の前記第1のビームが前記一方の端末装置の第2のビーム集合に含まれる、前記一方の端末装置及び前記他方の端末装置を前記空間多重する端末装置の組わせとして選択することを特徴とする選択方法。
【請求項5】
複数の端末装置と、前記複数の端末装置と無線通信する基地局装置とを有する無線システムであって、
前記基地局装置は、
複数のアンテナ素子を用いて複数のビームを形成して端末装置宛のデータ信号を送信する送信部と、
前記端末装置毎に、前記複数のビームの内、各端末装置の受信品質が最大となる第1のビームを含む第1のビーム集合と、前記複数のビームの内、前記第1のビームの受信品質との差分が閾値以上となる第2のビームを含む第2のビーム集合とを対応付けた情報を参照し、空間多重する端末装置の組合せを選択するスケジューリング部と
を有
し、
前記スケジューリング部は、
複数の前記端末装置の内、一方の端末装置の第1のビームが他方の端末装置の第2のビーム集合に含まれ、かつ、前記他方の端末装置の前記第1のビームが前記一方の端末装置の第2のビーム集合に含まれる、前記一方の端末装置及び前記他方の端末装置を前記空間多重する端末装置の組わせとして選択することを特徴とする無線システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基地局装置、選択方法及び無線システムに関する。
【背景技術】
【0002】
高周波数帯での超広帯域伝送を実現する技術として、基地局のアンテナ素子数を数十程度と想定していたMIMO(Multiple-Input Multiple-Output)技術を、例えば、数百から数千のアンテナ素子に拡張したMassive MIMO技術がある。Massive MIMOを用いる基地局では、MIMO技術と同様にベースバンドにおけるデジタル信号処理、例えば、デジタルプリコーディングのみを実行した場合、アンテナ素子数に比例した数百から数千の次元の行列演算が必要となり、演算量が膨大となる。
【0003】
Massive MIMOを用いる基地局は、複数のアンテナ素子を用いたビームフォーミング(BF:Beam Forming)により、特定の方向の受信電力が高くなるビームを形成する。例えば、基地局は、複数のビームの候補の参照信号(MRS:Mobility Reference Signal)を送信する。各端末は、基地局から受信した参照信号から測定したビーム毎の受信電力を基地局にフィードバックする。基地局は、各端末からのフィードバック結果に基づき、各端末へのビームを決定する。
【0004】
また、例えば、複数のユーザ端末への信号をビームにより分離するMU(Multi-User)-MIMO伝送を行う基地局は、各端末からフィードバックされた各ビームの受信状態値に基づき、ビーム組毎に各ビームを割当てた各端末の受信品質値を計算する。基地局は、計算した受信品質値に基づいてMU-MIMO伝送を行う端末組を選択する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【非特許文献】
【0006】
【文献】K. Tateishi, D. Kurita, A. Harada, and Y. Kishiyama, “Performance Analysis on MU-MIMO Beamforming for 5G Radio Access,” 信学技報, vol. 116, no. 383, RCS2016-230, pp. 123-128, 2016年12月.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
基地局では、受信品質値に基づき、全ビーム組と全端末組とのペアのチャネル容量を計算するため、ビーム数や端末台数が多くなると、その計算に要する演算量が膨大となる。例えば、端末の台数U=100、ビーム数B=64、選択候補端末数L=2とし、K=2台の端末とMU‐MIMO伝送を行う場合(以降、MU-MIMOする、ともいう)、受信品質を示すSINR(Signal to Noise Interference Ratio)の計算にはBCK*U*K=403,200回、チャネル容量の計算にはBCK*L2=8,064回の演算量がかかってしまう。その結果、基地局では、ビーム数や端末数が多くなると、チャネル容量が最大となるビーム組及び端末組を選択する、すなわちMU-MIMOする端末組を選択する際の演算量が大となる。
【0008】
一つの側面では、演算量を削減できる基地局装置等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一つの態様の基地局装置は、送信部と、スケジューリング部とを有する。送信部は、複数のアンテナ素子を用いて複数のビームを形成して端末装置宛のデータ信号を送信する。スケジューリング部は、端末装置毎に、第1のビーム集合と第2のビーム集合とを対応付けた情報を参照する。第1のビーム集合は、複数のビームの内、各端末装置の受信品質が最大となる第1のビームを含む。第2のビーム集合は、複数のビームの内、第1のビームの受信品質との差分が閾値以上となる第2のビームを含む。スケジューリング部は、当該情報を参照し、空間多重する端末装置の組合せを選択する。
【発明の効果】
【0010】
一つの態様では、演算量を削減できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、実施例1の無線システムの一例を示す説明図である。
【
図2】
図2は、実施例1の基地局のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、実施例1の基地局の機能構成の一例を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、実施例1のリストの一例を示す説明図である。
【
図5】
図5は、実施例1の第1の選択処理に関わる基地局の処理動作の一例を示すフロー図である。
【
図6】
図6は、実施例2の基地局の機能構成の一例を示すブロック図である。
【
図7】
図7は、実施例2の第2の選択処理に関わる基地局の処理動作の一例を示すフロー図である。
【
図8】
図8は、実施例3の端末のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図9】
図9は、実施例3の端末の機能構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面に基づいて、本願の開示する基地局装置、選択方法及び無線システムの実施例を詳細に説明する。尚、各実施例により、開示技術が限定されるものではない。また、以下に示す各実施例は、矛盾を起こさない範囲で適宜組み合わせても良い。
【実施例1】
【0013】
図1は、実施例1の無線システム1の一例を示す説明図である。
図1に示す無線システム1は、基地局2と、複数の端末3とを有する。基地局2は、N本のアンテナ素子12を用いて複数のビーム#1、#2、…#BでカバーエリアAを形成する基地局装置である。更に、基地局2は、カバーエリアA内に在圏する各端末3と無線通信する。端末3は、基地局2と無線通信する、例えば、スマートフォン等の端末装置である。端末3は、例えば、#a、#b、…#Uの端末である。尚、無線システム1は、例えば、LTE(Long Term Evolution)又はNR(New Radio)等の無線システムである。基地局2は、アンテナ素子12を用いてデータ信号及び参照信号を空間多重して各端末3に送信する。
【0014】
図2は、実施例1の基地局2のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図2に示す基地局2は、NIF(Network Interface)回路11と、複数のアンテナ素子12と、無線通信回路13と、記憶装置14と、LSI(Large Scale Integration)15と、プロセッサ16とを有する。NIF回路11は、他の基地局2と接続するコアネットワークとの間の有線通信を司るIF回路である。無線通信回路13は、アンテナ素子12を通じて、端末3との間の無線通信を司るIF回路である。記憶装置14は、各種情報を記憶する装置である。LSI15は、各種制御を実行する回路である。プロセッサ16は、基地局2全体を制御する。
【0015】
図3は、基地局2の機能構成の一例を示すブロック図である。基地局2は、例えば、記憶装置14に記憶されたプログラムを実行することで、参照信号生成部21、ユーザデータ生成部22、多重部23、第1のBF(Beam Forming)部24、第2のBF部25、受信部26及びスケジューリング部27として機能する。無線通信回路13は、複数の第1のRF(Radio Frequency)部31と、複数の第2のRF部32とを有する。スケジューリング部27は、リスト生成部41と、グループ化部42と、優先度付与部43と、端末選択部44とを有する。
【0016】
スケジューリング部27は、所定の選択規範に基づき、複数の端末3からMU-MIMOを実行するカバーエリアA内のK台の端末3を選択する。尚、所定の選択規範には、例えば、推定したチャネル応答ベクトルを使用したProportional Fair規範や、通信機会を均等に提供するラウンドロビン規範がある。本実施例では、説明の便宜上、所定の選択規範は、例えば、ラウンドロビン規範とする。
【0017】
参照信号生成部21は、選択された端末3毎の参照信号を生成する。ユーザデータ生成部22は、選択された端末3毎のデータ信号を生成する。多重部23は、端末3毎の参照信号及びデータ信号を異なる時間や周波数リソースで空間多重する。つまり、多重部23は、端末3毎の参照信号及びデータ信号をサブキャリアにマッピングする。第1のBF部24は、端末3毎の参照信号及びデータ信号に所定のビームを適用する。第1のRF部31は、各ビームのアンテナ素子12毎に備え、参照信号及びデータ信号を無線信号に変換して所定のビームに対応したアンテナ素子12経由で各端末3に送信する送信部である。第2のRF部32は、各ビームのアンテナ素子12毎に備え、到来する無線信号を受信する。
【0018】
第2のRF部32は、端末3からのCSI(Channel State Information)フィードバック信号を含む受信信号をベースバンド信号に変換する。第2のBF部25は、各端末3からの受信信号に受信品質が最適のビームを適用する。
【0019】
受信部26は、U台の端末3からのCSIフィードバック信号から、各端末3の各ビームの受信状態を得る。ここで、各ビームの受信状態とは、参照信号を用いて測定したL1-RSRP(Reference Signal Received Power)やCQI(Channel Quality Indicator)等である。尚、受信部26は、端末3に全てのビームの受信状態をフィードバックさせるようにしても良いし、L1-RSRP又はCQIの上位x番目までの良好なビームの受信状態を指定してフィードバックさせるようにしても良い。また、受信部26は、ビーム番号を1つ又は複数指定して受信状態をフィードバックさせるようにして良い。
【0020】
スケジューリング部27は、各端末3からのCSIフィードバック信号からRSRPに基づき、端末3毎の最適ビーム番号及び低干渉ビーム番号を特定する。最適ビーム番号は、複数のビームの内、当該端末3の受信品質が最適なビームを識別するビーム番号である。低干渉ビーム番号は、複数のビームの内、当該端末3の最適ビームの受信品質との差分が所定閾値以上のビーム、すなわち当該端末3が使用する最適ビームに対して低干渉のビームを識別するビーム番号である。スケジューリング部27は、端末3毎に最適ビーム及び低干渉ビームを識別するビーム番号の集合をリスト化した後述するリスト50を管理している。スケジューリング部27は、MU-MIMOする端末組を、互いの最適ビームが他方の低干渉ビームに含まれる組から選択し、それぞれの最適ビームを適用してMU-MIMOを実行する。
【0021】
スケジューリング部27は、リスト生成部41と、グループ化部42と、優先度付与部43と、端末選択部44とを有する。リスト生成部41は、リスト50を生成する。
図4は、リスト50の一例を示す説明図である。
図4に示すリスト50は、端末3を識別する端末番号51毎に、各端末3の最適ビームを識別するビーム番号の最適ビーム番号52と、各端末3の低干渉ビームを識別するビーム番号の低干渉ビーム番号53とを対応付けたリストである。最適ビーム番号52の集合が最適ビーム集合Sである。また、低干渉ビーム番号53の集合が低干渉ビーム集合Xである。リスト生成部41は、端末3毎の直近のCSIフィードバック信号内のL1-RSRPを使用して端末3毎の各ビームのRSRPを算出する。リスト生成部41は、端末3毎の各ビームのRSRPを使用してビーム毎の最適ビーム番号52及び低干渉ビーム番号53を特定する。
【0022】
リスト生成部41は、端末3毎の各ビームのRSRPの内、受信品質が最大のRSRPのビームのビーム番号を最適ビーム番号と判断する。例えば、#Uの端末3のビーム#BのRSRPの値は、RSRPB,Uで表現する。尚、説明の便宜上、リスト生成部41は、端末3毎の直近のCSIフィードバック信号内のL1-RSRPを使用する場合を例示した。しかしながら、例えば、過去のCSIフィードバック信号からL1-RSRPの移動平均値や、L1-RSRPよりも長周期で上位レイヤを介してフィードバックされる各ビームのRSRP(L3-RSRP)との重み付け平均値を用いてもよい。#Uの端末3の最適ビーム#Bopt,Uは、RSRPB,Uが最大となるビームである。すなわち、最適ビームBopt,Uは、(数1)で表現できる。
【0023】
【0024】
また、リスト生成部41は、端末3毎の各ビームのRSRPの内、受信品質が所定条件のRSRPのビームのビーム番号を低干渉ビームと判断する。低干渉ビームとは、複数のビームの内、当該端末3の最適ビームの受信品質との差分が所定閾値以上のビームである。すなわち、低干渉ビームとは、当該端末3の最適ビームに与える干渉の影響が所定レベル以下のビームである。#Uの端末3の低干渉ビームは、(数2)で表現できる。
【0025】
【0026】
所定閾値Γthは、低干渉ビームであるか否かを判定する際に使用する閾値である。尚、所定閾値Γthは、例えば、パラメータとして与えてもよいし、後述の手法により設定してもよい。また、低干渉ビームは、フィードバックされるL1-RSRPのビームを例示したが、L1-RSRPがフィードバックされずRSRPB,Uの値を持たないビームであっても良く、適宜変更可能である。
【0027】
グループ化部42は、リスト50を参照し、最適ビームのビーム番号が同一の端末3を同一グループとする。例えば、グループ#Bは、例えば、ビーム番号#Bを最適ビームとする端末3の集合である。
図4に示すリスト50を参照した場合、例えば、#a及び#eの端末3は、最適ビームが“#1”の最適ビーム番号であるため、最適ビームが同一のグループ#1となる。また、#a、#d及び#eの端末3は、低干渉ビームが“#4”の低干渉ビーム番号であるため、低干渉ビームが同一のグループ#4となる。優先度付与部43は、所定規範、例えば、ラウンドロビン規範に基づき、端末選択部44にて選択する際のグループ又は、同一グループ内の端末3の優先度を付与する。尚、グループ選択及び端末選択の優先度には、ラウンドロビン規範の代わりに、例えば、Proportional Fair規範を使用しても良く、適宜変更可能である。
【0028】
端末選択部44は、リスト50を参照し、一方の端末3の最適ビームが他方の端末3の低干渉ビームに含まれ、他方の端末3の最適ビームが一方の端末3の低干渉ビームに含まれる端末組をMU-MIMOする端末群として選択する。スケジューリング部27は、例えば、端末台数U=100及びビーム数B=64でK=2台の端末3をMU-MIMOする場合、リスト作成時の低干渉ビームの判定にU*(B-1)=6300回、端末組選択時の条件判定に最大で(B-1)2=3969回の演算量に抑制できる。尚、特許文献1では、端末台数U=100及びビーム数B=64でK=2台の端末3をMU-MIMOする場合、受信品質テーブルの作成時のSINR計算に403,200回、チャネル容量の計算に8,064回となる。従って、本実施例では、特許文献1に比較して、演算量を大幅に削減できる。
【0029】
次に実施例1の無線システム1の動作について説明する。
図5は、実施例1の第1の選択処理に関わる基地局2の処理動作の一例を示すフロー図である。
図5において基地局2内のスケジューリング部27は、最適ビーム集合S及び低干渉ビーム集合Xを初期化する(ステップS11)。尚、最適ビーム集合Sとは、複数のビームの内、各端末3の最適ビームのビーム番号の集合である。低干渉ビーム集合Xとは、複数のビームの内、各端末3の低干渉ビームのビーム番号の集合である。
【0030】
スケジューリング部27内の端末選択部44は、MU-MIMOする端末3の選択可能数を指定する(ステップS12)。尚、MU-MIMOする端末3の選択可能数は、MU-MIMOする端末3の最大台数Kである。端末選択部44は、MU-MIMOする端末3の選択数kが1であるか否かを判定する(ステップS13)。尚、選択数kは、現在の選択数である。
【0031】
端末選択部44は、MU-MIMOする端末3の選択数kが1の場合(ステップS13肯定)、複数のビーム番号の内、ラウンドロビン規範で最優先のビーム番号#g1を選択する(ステップS14)。尚、最優先のビーム番号は、例えば、最適ビーム集合S内のビーム番号である。端末選択部44は、選択した最優先のビーム番号#g1を選択した後、ラウンドロビン規範に基づき、当該最優先のビーム番号#g1から最優先の端末3を選択する(ステップS15)。尚、端末選択部44は、ステップS15の処理にて、MU-MIMOする端末組の内、1台の端末3を選択したことになる。端末選択部44は、
図4のリスト50に示すように、最優先のビーム番号#g1を#1とし、#aの端末3を選択したことになる。
【0032】
端末選択部44は、最適ビーム集合SとステップS14にて選択したビーム番号#g1との和集合で最適ビーム集合Sを更新する(ステップS16)。尚、端末選択部44は、選択したビーム番号#g1が#1の場合、最適ビーム集合Sにビーム番号#1を追加する。更に、端末選択部44は、ステップS15にて選択した端末3の低干渉ビーム番号#g2と低干渉ビーム集合Xとの和集合で低干渉ビーム集合Xを更新する。尚、端末選択部44は、選択した#aの端末3の低干渉ビーム番号#g2として#3及び#4を低干渉ビーム集合Xに追加する。そして、端末選択部44は、MU-MIMOする端末3の選択数kがK台であるか否かを判定する(ステップS17)。
【0033】
端末選択部44は、MU-MIMOする端末3の選択数kがK台である場合(ステップS17肯定)、
図5に示す処理動作を終了する。端末選択部44は、MU-MIMOする端末3の選択数kがK台でない場合(ステップS17否定)、選択数kを+1インクリメントする(ステップS18)。端末選択部44は、選択数kが1でない場合(ステップS13否定)、低干渉ビーム集合X内に未指定のビーム番号があるか否かを判定する(ステップS19)。
【0034】
端末選択部44は、低干渉ビーム集合X内に未指定のビーム番号がある場合(ステップS19肯定)、ラウンドロビン規範に基づき、低干渉ビーム集合X内の未指定の最優先のビーム番号#g2を指定する(ステップS20)。端末選択部44は、例えば、低干渉ビーム集合X内に未指定のビーム番号#3及び#4がある場合、ラウンドロビン規範に基づき、未指定の最優先のビーム番号#g2としてビーム番号#3を指定する。端末選択部44は、指定の最優先のビーム番号#g2の内、ラウンドロビン規範に基づき、最優先の端末3を仮選択する(ステップS21)。端末選択部44は、指定したビーム番号#3の内、ラウンドロビン規範に基づき、最優先の端末3として#cの端末3を仮選択する。
【0035】
端末選択部44は、リスト50を参照し、仮選択の端末3の低干渉ビームのビーム番号#g2を特定し、当該仮選択の端末3の低干渉ビームのビーム番号#g3が最適ビーム集合S内にあるか否かを判定する(ステップS22)。端末選択部44は、仮選択の#cの端末3の低干渉ビームのビーム番号g3がビーム番号#1であるため、ビーム番号#1が最適ビーム集合S内にあるか否かを判定する。端末選択部44は、仮選択の端末3の低干渉ビームのビーム番号#g3が最適ビーム集合S内にある場合(ステップS22肯定)、当該仮選択の端末3を本選択する(ステップS23)。尚、端末選択部44は、ステップS23の処理にて、MU-MIMOする端末組の内、1台の端末3を選択したことになる。つまり、端末選択部44は、#cの端末3を選択したことになる。つまり、
図4の例では、MU-MIMOする端末組として、例えば、ビーム番号#1に#aの端末3、ビーム番号#3に#cの端末3を選択することになる。
【0036】
端末選択部44は、仮選択の端末3を本選択した後、最適ビーム集合SとステップS23にて本選択した端末3の最適ビームのビーム番号#g2との和集合で最適ビーム集合Sを更新する(ステップS24)。端末選択部44は、#cの端末3のビーム番号#3を最適ビーム集合Sに追加する。更に、端末選択部44は、ステップS23にて本選択した端末3の低干渉ビームのビーム番号#g3と低干渉ビーム集合Xとの積集合で低干渉ビーム集合Xを更新する。端末選択部44は、#cの端末3の低干渉のビーム番号#1と低干渉ビーム集合Xとの積集合を実行する。そして、端末選択部44は、ステップS24の処理後、MU-MIMOする端末3の選択数kがK台であるか否かを判定すべく、ステップS17に移行する。端末選択部44は、低干渉ビーム集合X内に未指定のビーム番号がない場合(ステップS19否定)、MU-MIMOする端末3の選択数kがK台であるか否かを判定すべく、ステップS17に移行する。
【0037】
端末選択部44は、当該仮選択の端末3の低干渉ビームのビーム番号#g3が最適ビーム集合S内にない場合(ステップS22否定)、当該低干渉ビームのビーム番号#g3内に未仮選択の端末3があるか否かを判定する(ステップS25)。尚、未仮選択の端末3とは、仮選択済みでない端末3である。端末選択部44は、当該低干渉ビームのビーム番号#g2内に未仮選択の端末3がある場合(ステップS25肯定)、当該低干渉ビームのビーム番号#g2内に、ラウンドロビン規範に基づき、最優先の端末3を仮選択する(ステップS26)。更に、端末選択部44は、最優先の端末3を仮選択後、仮選択の端末3の低干渉ビームのビーム番号が最適ビーム集合S内にあるか否かを判定すべく、ステップS22に移行する。端末選択部44は、低干渉ビームのビーム番号#g2内に未仮選択の端末3がない場合(ステップS25否定)、低干渉ビーム集合X内に未指定のビーム番号があるか否かを判定すべく、ステップS19に移行する。
【0038】
端末選択部44は、例えば、k=1台目の端末3として、最適ビーム集合S内の最優先のビーム番号#g1を選択し、最優先のビーム番号#g1内の端末3から最優先の端末3を選択する。尚、最優先のビーム番号は、例えば、サブフレーム、スロットやミニスロット等のスケジューリング単位にラウンドロビン規範に基づき決定する。
【0039】
次に、端末選択部44は、k=2台目の端末3として、k=1で選択された端末3の低干渉ビームの低干渉ビーム集合X内のビーム番号#g2を指定する。端末選択部44は、ビーム番号#g2内の端末3の内、最優先の端末3を仮選択する。更に、端末選択部44は、仮選択した最優先の端末3の低干渉ビームのビーム番号#g3を特定し、特定された低干渉ビームのビーム番号#g3がk=1で選択された端末3の最適ビーム集合S内にあるか否かを判定する。更に、端末選択部44は、仮選択した最優先の端末3の低干渉ビームのビーム番号#g3がk=1で選択された端末3の最適ビーム集合S内にある場合、当該仮選択の端末3を本選択する。その結果、各端末3の最適ビームが互いの低干渉ビームに含まれる最大K台までの端末組を選択できる。
【0040】
スケジューリング部27では、スケジューリング単位毎に各グループ内の端末3の優先度を更新する。更新には、優先度付与時に用いたのと同じ規範、例えばラウンドロビン規範を用いる。また、リスト生成部41は、定期的にリスト50及び端末グループの更新を行う。更新周期をパラメータで設定してもよいし、端末3からのCSIフィードバック信号が得られる度に更新を行ってもよい。リスト50の更新処理は作成時と同様に行う。また、更新前に、MU-MIMOを行った端末3からフィードバックされるACK(肯定応答)/NACK(否定応答)を用いて、(数2)で用いる所定閾値Γthを調整する。リスト更新時点tでの所定閾値Γth(t)は(数3)で計算される。
【0041】
【0042】
ここで、Δth,NACKは更新ステップサイズであり、0よりも大きな値を設定する。Pth,NACKは目標NACK率であり、0から1の範囲で設定する。PNACKはNACK率の移動平均値であり、ACK/NACKが端末3から報告されるたびに(数4)で計算される。
【0043】
【0044】
δ(n)はACK/NACK報告#nの内容に依存し、ACKのとき0、NACKのとき1をとる。また、スケジューリング部27では、リスト更新周期内で各端末3がMU-MIMOを行ったときに発生したNACK回数を、自身以外に適用されるビーム毎にカウントする。#Uの端末3において、自身以外に適用されるビーム番号#BのNACK回数NNACK,B,Uがあらかじめ設定した値(所定回数)以上となったとき、当該ビーム番号#Bをリスト50上の#Uの端末3の低干渉ビームから削除する。また、当該ビーム番号#Bは、当該#Uの端末3のL1-RSRPがフィードバックされるまで、#Uの端末3のリスト更新時の低干渉ビームの候補から除外する。
【0045】
実施例1の基地局2は、端末3毎に最適ビーム集合S及び低干渉ビーム集合Xをリスト化したリスト50を生成する。基地局2は、リスト50を参照し、例えば、一方の端末3の最適ビームが他方の端末3の低干渉ビームに含まれ、かつ、他方の端末3の最適ビームが一方の端末3の低干渉ビームに含まれる端末組をMU-MIMOする端末群として選択する。その結果、従来に比較してMU-MIMOする端末群を選択する際の演算量を大幅に削減できる。
【0046】
尚、実施例1のスケジューリング部27は、端末3の最適ビームの受信品質との差分が所定閾値以上のビームを低干渉ビームと判断したが、端末3の最適ビームが所定値以下のビームでも良く、適宜変更可能である。
【0047】
また、説明の便宜上、実施例1のスケジューリング部27は、MU-MIMOする端末組の台数としてK台、例えば、2台で説明したが、2台に限定されるものではなく、例えば、1台や3台以上でも良く、適宜変更可能である。
【0048】
上記実施例1のスケジューリング部27は、端末3をビーム番号でグループ化した後、MU-MIMOする端末3を選択する場合を例示した。しかしながら、端末3をビーム番号でグループ化しなくても、MU-MIMOする端末3を選択しても良く、その実施の形態につき、実施例2として以下に説明する。尚、実施例1と同一の構成には同一符号を付すことで、その重複する構成及び動作の説明については省略する。
【実施例2】
【0049】
図6は、実施例2の基地局2Aの機能構成の一例を示すブロック図である。
図6に示す基地局2Aと
図3に示す基地局2とが異なるところは、スケジューリング部27A内部にある。スケジューリング部27Aは、リスト生成部41と、優先度付与部43と、端末選択部44Aとを有する。
【0050】
端末選択部44Aは、リスト50を参照し、全端末3の端末集合Yから、一方の端末3の最適ビームが他方の端末3の低干渉ビームに含まれ、かつ、他方の端末3の最適ビームが一方の端末3の低干渉ビームに含まれる端末組を選択する。そして、端末選択部44Aは、選択した端末組をMU-MIMOする端末群として選択する。
【0051】
次に実施例2の無線システム1の動作について説明する。
図7は、実施例2の第2の選択処理に関わる基地局2Aの処理動作の一例を示すフロー図である。
図7において基地局2A内の端末選択部44Aは、最適ビーム集合S及び低干渉ビーム集合Xを初期化すると共に、端末集合Yと全端末3との和集合で端末集合Yを更新する(ステップS31)。尚、端末集合Yは、全端末3の番号の集合である。
【0052】
端末選択部44Aは、MU-MIMOする端末3の選択可能数を指定する(ステップS32)。尚、MU-MIMOする端末3の選択可能数は、MU-MIMOする端末3の最大台数である。端末選択部44Aは、MU-MIMOする端末3の選択数kが1であるか否かを判定する(ステップS33)。尚、選択数kは、現在の選択数である。
【0053】
端末選択部44Aは、MU-MIMOする端末3の選択数kが1の場合(ステップS33肯定)、端末集合Y内の全端末3の内、ラウンドロビン規範で最優先の端末3を選択する(ステップS34)。尚、端末選択部44Aは、MU-MIMOする端末組の内、1台の端末3を選択したことになる。端末選択部44Aは、選択した最優先の端末3を選択した後、リスト50を参照し、選択した端末3の最適ビームのビーム番号#g11を指定する。更に、端末選択部44Aは、指定の最適ビームのビーム番号#g11と最適ビーム集合Sとの和集合で最適ビーム集合Sを更新する(ステップS35)。更に、端末選択部44Aは、リスト50を参照し、選択した端末3の低干渉ビームのビーム番号#g12を指定する。そして、端末選択部44Aは、指定の低干渉ビームのビーム番号#g12と低干渉ビーム集合Xとの和集合で低干渉ビーム集合Xを更新する。更に、端末選択部44Aは、選択した端末3の端末番号と端末集合Yとの差集合で端末集合Yを更新する。
【0054】
端末選択部44Aは、MU-MIMOする端末3の選択数kがK台であるか否かを判定する(ステップS36)。端末選択部44Aは、MU-MIMOする端末3の選択数kがK台である場合(ステップS36肯定)、
図7に示す処理動作を終了する。端末選択部44Aは、MU-MIMOする端末3の選択数kがK台でない場合(ステップS36否定)、選択数kを+1インクリメントする(ステップS37)。更に、端末選択部44Aは、選択数kが1でない場合(ステップS33否定)、端末集合Y内に未指定の端末3があるか否かを判定する(ステップS38)。
【0055】
端末選択部44Aは、端末集合Y内に未指定の端末3がある場合(ステップS38肯定)、ラウンドロビン規範に基づき、端末集合Y内の未指定の最優先の端末3を仮選択する(ステップS39)。端末選択部44Aは、リスト50を参照し、仮選択の端末3の低干渉ビームのビーム番号#g12が最適ビーム集合S内にあるか否かを判定する(ステップS40)。端末選択部44Aは、仮選択の端末3の低干渉ビームのビーム番号#g12が最適ビーム集合S内にある場合(ステップS40肯定)、リスト50を参照する。端末選択部44Aは、リスト50を参照し、仮選択の端末3の最適ビームのビーム番号#g13が低干渉ビーム集合X内にあるか否かを判定する(ステップS41)。端末選択部44Aは、仮選択の端末3の最適ビームのビーム番号#g13が低干渉ビーム集合X内にある場合(ステップS41肯定)、ステップS39にて仮選択の端末3を本選択する(ステップS42)。尚、端末選択部44Aは、ステップS42の処理にて、MU-MIMOする端末組の内、1台の端末3を選択したことになる。
【0056】
端末選択部44Aは、仮選択した端末3を本選択した後、リスト50を参照し、本選択した端末3の最適ビームのビーム番号#g13を指定する。更に、端末選択部44Aは、指定の最適ビームのビーム番号#g13と最適ビーム集合Sとの和集合で最適ビーム集合Sを更新する(ステップS43)。更に、端末選択部44Aは、リスト50を参照し、本選択した端末3の低干渉ビームのビーム番号#g12を指定し、指定の低干渉ビームのビーム番号#g12と低干渉ビーム集合Xとの積集合で低干渉ビーム集合Xを更新する。更に、端末選択部44Aは、本選択した端末3の端末番号と端末集合Yとの差集合で端末集合Yを更新する。そして、端末選択部44Aは、ステップS43の処理後、MU-MIMOする端末3の選択数kがK台であるか否かを判定すべく、ステップS36に移行する。
【0057】
端末選択部44Aは、端末集合Y内に未指定の端末3がない場合(ステップS38否定)、MU-MIMOする端末3の選択数kがK台であるか否かを判定すべく、ステップS36に移行する。
【0058】
端末選択部44Aは、当該仮選択の端末3の低干渉ビームのビーム番号#g12が最適ビーム集合S内にない場合(ステップS40否定)、端末集合Y内に未指定の端末3があるか否かを判定する(ステップS44)。端末選択部44Aは、端末集合Y内に未指定の端末3がある場合(ステップS44肯定)、未指定の端末3の内、最優先の端末3を仮選択する(ステップS45)。更に、端末選択部44Aは、最優先の端末3を仮選択した後、当該仮選択の端末3の低干渉ビームのビーム番号#g12が最適ビーム集合S内にあるか否かを判定すべく、ステップS40に移行する。
【0059】
端末選択部44Aは、仮選択の端末3の最適ビームのビーム番号#g13が低干渉ビーム集合X内にない場合(ステップS41否定)、端末集合Y内に未指定の端末3があるか否かを判定すべく、ステップS44に移行する。端末選択部44Aは、端末集合Y内に未指定の端末3がない場合(ステップS44否定)、MU-MIMOする端末3の選択数kがK台であるか否かを判定すべく、ステップS36に移行する。
【0060】
尚、実施例2では、端末集合Y内でラウンドロビン規範を使用して最優先の端末3を選択する場合を例示したが、ラウンドロビン規範に限定されるものではなく、例えば、Proportional Fair規範でも良く、適宜変更可能である。
【0061】
先ず、端末選択部44Aは、k=1台目の端末3として、端末集合Y内の最優先の端末3を選択する。次に、端末選択部44Aは、k=2台目の端末3として、k=1で選択された端末3以外の端末集合Y内の端末3について、優先度が高いものから順に探索する。端末集合Y内の#Uの端末3ついて、#Uの端末3の低干渉ビームにk=1で選択された端末3の最適ビームが含まれているか否かを判定、及びk=1で選択された端末3の低干渉ビームに#Uの端末3の最適ビームが含まれているか否かを判定する。そして、どちらも含まれる場合には当該端末3を選択する。以降、最大K台の端末3まで同様の判定処理を実行して端末選択を終了する。ここで、k>2の端末選択においては、k=1までに選択された端末3の最適ビーム集合Sのいずれのビームも#Uの端末3の低干渉ビームに含まれるかどうかの判定、及びk=1までに選択された端末3の低干渉ビームの積集合Cに#Uの端末3の最適ビームが含まれるかどうかの判定を行う。以上の処理により、各端末3の最適ビームが互いの低干渉ビームに含まれる最大K台の端末組が選択される。
【0062】
実施例2の基地局2Aは、端末3毎に最適ビーム集合S及び低干渉ビーム集合Xをリスト化したリスト50を生成する。基地局2は、リスト50を参照し、例えば、一方の端末3の最適ビームが他方の端末3の低干渉ビームに含まれ、かつ、他方の端末3の最適ビームが一方の端末3の低干渉ビームに含まれる端末群をMU-MIMOする端末群として選択する。その結果、従来に比較してMU-MIMOする端末群を選択する際の演算量を削減できる。
【0063】
上記実施例1の基地局2では、端末3毎の最適ビーム及び低干渉ビームを特定したが、各端末3から最適ビーム及び低干渉ビームの情報をフィードバックしても良く、その実施の形態につき、実施例3として以下に説明する。尚、実施例1と同一の構成には同一符号を付すことで、その重複する構成及び動作の説明については省略する。
【実施例3】
【0064】
図8は、実施例3の端末3Aのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図8に示す端末3Aは、複数のアンテナ素子61と、無線通信回路62と、記憶装置63と、LSI64と、プロセッサ65とを有する。無線通信回路62は、アンテナ素子61を通じて、基地局2との間の無線通信を司るIF回路である。記憶装置63は、各種情報を記憶する装置である。LSI64は、各種制御を実行する回路である。プロセッサ65は、端末3A全体を制御する。
【0065】
図9は、端末3Aの機能構成の一例を示すブロック図である。
図9に示す端末3Aは、例えば、記憶装置63に記憶されたプログラムを実行することで、推定部71、生成部72及び多重部73として機能する。無線通信回路62は、受信側RF部81と、送信側RF部82とを有する。
【0066】
受信側RF部81は、アンテナ素子61経由で基地局2からの参照信号を含む受信信号を受信し、受信した受信信号からベースバンド信号に変換する。推定部71は、B本のビームの受信状態(L1-RSRP、CQI)を各ビームが適用される参照信号を用いて算出する。生成部72は、最適ビーム、低干渉ビームの決定及びそれら情報の符号化・変調を行う。ビーム決定に用いる#Uの端末3Aのビーム番号#BのRSRPの値RSRPB,Uには、直近に受信した参照信号から得られたL1-RSRPを用いてもよいし、過去に得られたL1-RSRPとの移動平均値を用いてもよい。また、L1-RSRPよりも長周期で上位レイヤを介してフィードバックする各ビームのRSRP(L3-RSRP)との重みづけ平均値を用いてもよい。#Uの端末3Aの最適ビーム#Bopt,Uは、(数1)で決定する。また、(数2)を満たす任意のビーム番号#Bを#Uの端末3Aの低干渉ビームとする。ここで、所定閾値Γthは低干渉ビームかどうかの判定に用いる閾値であり、パラメータとして基地局2から通知してもよいし、上述の手法により調整してもよい。
【0067】
多重部73は、フィードバック信号を割り当てられた周波数リソースへ多重する。送信側RF部82は、無線信号への変換を行ってアンテナ素子61から無線信号を送信する。その結果、基地局2内の受信部26は、端末3Aからのフィードバック信号を復調する。基地局2内のスケジューリング部27は、端末3から通知された最適ビーム及び低干渉ビームをリスト化できる。
【符号の説明】
【0068】
1 無線システム
2、2A 基地局
3、3A 端末
12 アンテナ素子
27 スケジューリング部
31 第1のRF部(送信部)
41 リスト生成部
44,44A 端末選択部
50 リスト
71 推定部
72 生成部
82 送信側RF部