(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-10
(45)【発行日】2023-01-18
(54)【発明の名称】搬送システム
(51)【国際特許分類】
B65G 1/00 20060101AFI20230111BHJP
【FI】
B65G1/00 501Z
(21)【出願番号】P 2018205326
(22)【出願日】2018-10-31
【審査請求日】2021-08-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000006297
【氏名又は名称】村田機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】新樹グローバル・アイピー特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】鵜飼 康弘
【審査官】板澤 敏明
(56)【参考文献】
【文献】特開昭60-023205(JP,A)
【文献】実開昭49-133371(JP,U)
【文献】実開昭60-082306(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2014/0297023(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/00-1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フォークを進退させることにより荷の移載を行う第1搬送装置と、
搬入された荷が前記第1搬送装置により荷すくいされる、又は前記第1搬送装置により荷下ろしされた荷が搬出されるステーションと、
車輪を有する自在車が搬出入され、前記自在車を支持する第1載置面を有する第1載置部と、
平板状の底面を有する荷が第2搬送装置により搬出入され、間隔を隔てて前記第1載置面の側方に配置され、かつ前記第1載置面より上方に配置される第2載置面を有する第2載置部と、
前記第1載置面と前記第2載置面の高さ方向での間のフォーク昇降空間に、前記フォークを伸張させ、さらに前記フォークを昇降させることにより、前記第1載置面又は前記第2載置面との間で荷の移載を行うように前記第1搬送装置を制御する制御部と、
を備え
、
前記第1載置部に搬出入される荷とは、本体と、前記本体の下部に設けられる支持部を有し、前記自在車に載置される荷であって、
前記第1載置部は、水平方向において前記自在車の位置を決める第1位置決め部を有し、
前記第2載置部は、前記第1位置決め部により位置決めされる前記自在車に載置された荷と、前記第2載置面に載置される荷の中心が一致するように位置決めをする第2位置決め部を有し、
前記フォーク昇降空間は、前記第1載置部に載置された時の前記自在車と前記本体の高さ方向での間に位置する、搬送システム。
【請求項2】
前記第1載置部における搬出入側の前記第1位置決め部は前記自在車の移動を規制する規制位置と前記自在車の移動を許容する退避位置との間で移動する可動式ストッパであり、
前記可動式ストッパの進退状況を把握する第1把握部と、
前記第1載置部において前記支持部の有無を把握する第2把握部と、
前記自在車に載置された荷を前記ステーションに搬入し、該荷を前記第1搬送装置により荷すくいする搬入動作において、前記第1把握部により前記可動式ストッパが退避位置にあることが把握され、かつ、前記第2把握部により前記支持部が把握されれば、異常を報知する報知部と、
をさらに備える、請求項
1に記載の搬送システム。
【請求項3】
前記第1載置部における搬出入側の前記第1位置決め部は、前記自在車の移動を規制する規制位置と前記自在車の移動を許容する退避位置との間で移動する可動式ストッパであり、
前記可動式ストッパの進退状況を把握する第1把握部と、
前記第1載置部において前記自在車の有無を把握する第3把握部と、
前記第1搬送装置が荷を前記ステーションに荷下ろしする動作において、前記第1把握部により前記可動式ストッパが退避位置にあることが把握され、かつ、前記第3把握部により前記自在車が把握されれば、異常を報知する報知部と、
をさらに備える、請求項
1に記載の搬送システム。
【請求項4】
前記第1載置部において前記支持部の有無を把握する第2把握部と、
前記第1搬送装置が荷を前記ステーションに荷下ろしする動作において、前記第2把握部により前記支持部があることが把握されれば、異常を報知する報知部と、をさらに備える、請求項
1に記載の搬送システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送システム、特に、複数種類の荷を搬送する搬送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の自動倉庫は、複数のラックを有している。各ラックは、並列に並んで配置されており、延伸方向及び上下方向に並んだ複数の棚を有している。
また、自動倉庫は、ラックの棚に荷を下ろす又はラックの棚から荷を積み込むための搬送装置として、スタッカクレーンを有している。スタッカクレーンは、レールに沿って走行する走行台車と、荷を移載する移載装置と、移載装置を上下方向に移動させる昇降装置とを有している。レールはラックの側方に並んで配置されており、スタッカクレーンは、ラックの側方において目的の棚の近傍に移載装置を配置して、その状態で荷を棚に移載する。
【0003】
荷は、入庫時には例えばパレットに載せられた状態で入庫ステーションに搬入され、さらにスタッカクレーンによってラックに格納される。具体的には、荷は、スタッカクレーンのスライドフォークによって目的の棚まで搬送され、そして、スライドフォークの伸縮と昇降によって、ラックの棚受に載せられる。
荷は、出庫時には例えばパレットに載せられた状態でスタッカクレーンによって出庫ステーションに移動させられ、さらに搬出される。
特許文献1には、多種類の大きさの荷物を同一の棚に格納できる自動倉庫のラック装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の自動倉庫では、荷物(小)WLと荷物(大)WSは、大きさは異なるが、形状は同じである。したがって、特許文献1では、大きさのみならず形状が大きく異なる荷を同じように取り扱うことができる搬送システムは考慮されていない。
通常は、形状が大きく異なる荷は、異なるステーションに搬出入されることになり、コストアップになっていた。
本発明の目的は、搬送システムにおいて、形状が異なる荷を共通のステーションで搬出入可能にすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下に、課題を解決するための手段として複数の態様を説明する。これら態様は、必要に応じて任意に組み合せることができる。
本発明の一見地に係る搬送システムは、第1搬送装置と、ステーションと、第1載置部と、第2載置部と、制御部とを備えている。
第1搬送装置は、フォークを進退させることにより荷の移載を行う。
ステーションでは、搬入された荷が、第1搬送装置により荷すくいされる。又は、ステーションでは、第1搬送装置により荷下ろしされた荷が、搬出される。
第1載置部は、第1載置面を有する。第1載置面には、車輪を有する自在車が搬出入され、自在車を支持する。
第2載置部には、平板状の底面を有する荷が第2搬送装置により搬出入される。第2載置部は、間隔を隔てて第1載置面の側方に配置される。第2載置部は、第1載置面より上方に配置される第2載置面を有する。
制御部は、第1載置面と第2載置面の高さ方向での間のフォーク昇降空間に、フォークを伸張させ、さらにフォークを昇降させることにより、第1載置面又は第2載置面との間で荷の移載を行うように第1搬送装置を制御する。
【0007】
この搬送システムでは、自在車は第1載置部の第1載置面に載せられ、平板状の底面を有する荷は第2載置部の第2載置面に載せられる。つまり、形状の異なる荷を共通のステーションに搬出入でき、さらにそれら荷を第1搬送装置との間で移載できる。
したがって、ステーションの種類を増やす必要がなくなり、その結果コストを低減できる。
【0008】
第1載置部に搬出入される荷とは、本体と、本体の下部に設けられる支持部を有し、自在車に載置されるものであってもよい。
第1載置部は、水平方向において自在車の位置を決める第1位置決め部を有していてもよい。
第2載置部は、第1位置決め部により位置決めされる自在車に載置された荷と、第2載置面に載置される荷の中心が一致するように位置決めをする第2位置決め部を有していてもよい。
フォーク昇降空間は、第1載置部に載置された時の自在車と本体の高さ方向での間に位置してもよい。
この搬送システムでは、第1載置部に配置される自在車と第2載置部に配置される荷の中心が一致するように位置決めされ、さらに、自在車に載せられた荷の本体と自在車の間にフォーク昇降空間を定めている。以上の構成により、荷の種類によらず、第1搬送装置のフォークは、同じ動作を行うことで荷をステーションとの間で移載できる。つまり、第1搬送装置の制御が簡易になる。
【0009】
第1載置部における搬出入側の第1位置決め部は、自在車の移動を規制する規制位置と自在車の移動を許容する退避位置との間で移動する可動式ストッパであってもよい。
搬送システムは、第1把握部と、第2把握部と、報知部とを備えていてもよい。
第1把握部は、可動式ストッパの進退状況を把握してもよい。
第2把握部は、第1載置部において支持部の有無を把握してもよい。
報知部は、自在車に載置された荷をステーションに搬入し、該荷を第1搬送装置により荷すくいする搬入動作において、第1把握部により可動式ストッパが退避位置にあることが把握され、かつ、第2把握部により支持部が把握されれば、異常を報知してもよい。
この搬送システムでは、第1搬送装置がステーションから荷を移載する(荷積みを行う)動作において、例えば第1搬送装置が走行又は移載を開始するときに、自在車に載った荷が第1載置部にあるのにもかかわらず、可動式ストッパが退避位置にある場合は、作業者に対して報知が行われる。したがって、作業者は可動式ストッパによる自在車の位置決めを確実に行うことになる。この結果、自在車が位置決めされていない状態で第1搬送装置が荷をステーションから移載することが防止される。
【0010】
第1載置部における搬出入側の第1位置決め部は、自在車の移動を規制する規制位置と自在車の移動を許容する退避位置との間で移動する可動式ストッパでもよい。
搬送システムは、第1把握部と、第3把握部と、報知部とを備えていてもよい。
第1把握部は、可動式ストッパの進退状況を把握してもよい。
第3把握部は、第1載置部において自在車の有無を把握してもよい。
報知部は、第1搬送装置が荷をステーションに荷下ろしする動作において、第1把握部により可動式ストッパが退避位置にあることが把握され、かつ、第3把握部により自在車が把握された場合、異常を報知してもよい。
この搬送システムでは、第1搬送装置がステーションに荷を移載する(荷下ろしを行う)動作において、例えば第1搬送装置が走行又は移載を開始するときに、自在車が第1載置部に載っているのにもかかわらず、可動式ストッパが退避位置にある場合は、作業者に対して報知が行われる。したがって、作業者は可動式ストッパによる自在車の位置決めを確実に行うことになる。この結果、自在車が位置決めされていない状態で第1搬送装置から自在車に載せられる予定の荷が自在車に移載されることが防止される。
【0011】
搬送システムは、第1載置部において支持部の有無を把握する第2把握部と、第1搬送装置が荷を前記ステーションに荷下ろしする動作において、第2把握部により支持部があることが把握されれば、異常を報知する報知部と、をさらに備えていてもよい。
この搬送システムでは、第1搬送装置からステーションに荷が移載される場合に、ステーションに搬入された荷と接触することを防止できる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の搬送システムでは、形状が異なる荷を共通のステーションで搬出入可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】第1実施形態の搬送システムのステーションの模式的正面図。
【
図11】搬送システムの制御構成を示すブロック図。
【
図12】荷をステーションからスタッカクレーンに移載する制御動作を示すフローチャート。
【
図13】荷をスタッカクレーンからステーションに移載する制御動作を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0014】
1.第1実施形態
図1~
図4を用いて、第1実施形態に係る搬送システム1を説明する。
図1は、第1実施形態の搬送システムのステーションの模式的正面図である。
図2は、搬送システムの模式的平面図である。
図3は、ステーションの模式的斜視図である。
図4は、自動倉庫のラックの部分的側面図である。
なお、下記の説明では、水平方向の説明として、
図1及び
図2の矢印Xを第1方向とし、それに直交する矢印Yを第2方向とする。
搬送システム1は、自動倉庫3との間で複数種類の荷を搬送するための装置である。
【0015】
(1)自動倉庫
自動倉庫3は、
図2及び
図4に示すように、ラック7を有している。ラック7は、例えば第2方向に長く延びて配置されており、
図4に示すように、第2方向と高さ方向に並んだ複数の棚8を有している。各棚8は、第1載置部8aと、第2載置部8bとを有している。第1載置部8aは、足つきコンテナ19(後述)を支持するための一対の受け部である。第2載置部8bは、パレット21(後述)を支持するための一対の受け部である。第2載置部8bは第1載置部8aの上方に配置されており、一対の受け部の第2方向の間隔が第1載置部8aより長くなっている。
【0016】
自動倉庫3は、
図2に示すように、スタッカクレーン9を有している。スタッカクレーン9は、荷をステーション5とラック7の棚8との間で搬送する装置である。スタッカクレーン9は、ラック7に沿って第2方向に走行可能である。スタッカクレーン9は、
図11に示すように、走行装置10と、移載装置11と、移載装置11を昇降可能な昇降装置12とを有している。移載装置11は、具体的には、
図2に示すように、第1方向に進退可能なフォーク11aを有する。
【0017】
(2)搬送システム
(2-1)ステーション
搬送システム1は、
図1~
図3に示すように、ステーション5を有している。ステーション5は、自動倉庫3に入庫する荷又は自動倉庫3から出庫する荷が載置される装置である。ステーション5には、作業者S又は自動装置(例えば、AGV)が荷を搬出入する。ステーション5では、搬入された荷がスタッカクレーン9に移載される(荷すくいされる)。また、ステーション5では、荷がスタッカクレーン9から移載される(荷を下ろしされる)。
以上より、入庫動作としては、最初に、例えば作業者Sが手動で又はフォークリフト(図示せず)によって荷をステーション5に搬入する。次に、その荷をステーション5からスタッカクレーン9が荷すくいして、最後にその荷をラック7の所定の棚8に載置する。出庫動作としては、最初に、スタッカクレーン9が荷をラック7の棚8から荷を積み込み、次にステーション5に載置する。次に、作業者Sが荷をステーション5から搬出する。
【0018】
ステーション5は、
図3に示すように、共通パレット15を有している。共通パレット15は、異なる2種類の形状の荷を載置可能とするための部材である。共通パレット15は、
図1に示すように、ベルトコンベヤ73の上に載っている。これにより、共通パレット15は第1方向に移動可能である。なお、以下の説明では、簡略化のために、ベルトコンベヤ73の動作の説明は省略する。
図5~
図8を用いて、第1の荷を説明する。
図5は、ステーションの模式的側面図である。
図6は、足つきコンテナの側面図である。
図7は、足つきコンテナの正面図である。
図8は、台車の正面図である。
【0019】
第1の荷は、車輪を有する台車17の上に載せられた足つきコンテナ19である。足つきコンテナ19は、本体19aと、本体19aの下部に設けられる支持部19bとを有している。支持部19bは、例えば、本体19aから下方に延びる脚部であり、本体19aの四隅に形成されており、それにより本体19aの下面と台車17の上面との間に隙間(フォーク11aが侵入可能なフォーク昇降空間35(後述)に対応)を確保している。台車17は、押し引き等によって自在に移動する台車である。台車17は、
図8に示すように、平板状の本体17aと、複数の車輪17bとを有している。台車17は、さらに、足つきコンテナ19を第1方向及び第2方向に位置決めのための手段として、複数の傾斜部材17cを有している。
【0020】
図9~
図10を用いて、第2の荷を説明する。
図9は、ステーションの模式的側面図である。
図10は、パレット及び箱の模式的正面図である。
第2の荷は、箱23が載った平板なパレット21である。
【0021】
共通パレット15は、
図3及び
図5に示すように、第1載置部31を有している。第1載置部31は、台車17が搬出入される部分であり、台車17を支持する第1載置面31aを有する。なお、台車17は、作業者Sが引いたり押したりすることで第1載置部31に搬出入される。
共通パレット15は、
図3及び
図9に示すように、第2載置部33を有している。第2載置部33は、パレット21が搬出入される部分である。第2載置部33は、第2方向に間隔を隔てて第1載置面31aの側方に設けられた一対の部材であり、各々が第1方向に延びて配置されている。第2載置部33は第1載置部31と一体に形成されている。第2載置部33は、第1載置面31aより上方に配置される第2載置面33aを有する。なお、パレット21は、作業者Sがフォークリフト(図示せず)を操作することで又はAGV(図示せず)によって、第2載置部33に搬出入される。
なお、
図1及び
図9に示すように、パレット21は、足つきコンテナ19より第2方向の幅が長い。したがって、台車17は、第1載置部31の第2方向に外側に配置された一対の第2載置部33の間を通ってステーション5に搬出入できる。
【0022】
この搬送システム1では、
図5に示すように足つきコンテナ19を載せた台車17は第1載置部31の第1載置面31aに搭載され、
図9に示すようにパレット21は第2載置部33の第2載置面33aに載せられる。つまり、形状の異なる荷を共通のステーション5に搬出入でき、さらにそれらをスタッカクレーン9との間で移載できる。
したがって、ステーションの種類を増やす必要がなくなり、コストを低減できる。
【0023】
第1載置面31aと第2載置面33aの高さ方向には、
図5及び
図9に示すように、フォーク昇降空間35が形成されている。フォーク11aは、フォーク昇降空間35に伸ばされさらに昇降することで、第1載置面31a又は第2載置面33aとの間で足つきコンテナ19又はパレット21の移載を行うことができる。具体的には、足つきコンテナ19の場合は、
図5に示すように、足つきコンテナ19の本体19aの下方に、フォーク昇降空間35が形成されている。パレット21の場合は、
図9に示すように、パレット21の下方に、フォーク昇降空間35が形成されている。なお、本体19aの下方のフォーク昇降空間35と、パレット21の下方のフォーク昇降空間35は同じである。
【0024】
ステーション5に対して台車17及びパレット21が搬出入される方向は第1方向である。具体的には、第1方向において、前記搬出入側はステーション5に対して
図1及び
図2の左側であるステーション5の第1方向前側である(
図2の白抜き矢印を参照)。なお、
図2の右側がステーション5の第1方向後側である。
作業者Sが載っている床面71は、
図1に示すように、第1載置部31の第1載置面31aと同じ高さである。なお、床面71と第1載置面31aとの間には、プレート74が配置されている。プレート74は例えば床面71に固定されている。さらに、台車17をステーション5に搬入するときに第1載置面31aが第1方向後側に移動してプレート74から離れることを防止するために、第1載置部31の第1方向後側には可動式の第1載置部用ストッパ75が配置されている。
【0025】
第1載置部31は、
図3に示すように、水平方向において台車17の位置を決める第1位置決め部41を有している。具体的には、第1位置決め部41は、第1方向後側にある固定式ストッパ43と、第1方向前側(搬出入側)にある可動式ストッパ45とを有している。可動式ストッパ45は、作業者Sが例えば足で操作することで、台車17の移動を規制する規制位置と台車17の移動を許容する規制位置と退避位置との間を移動できる。このように、固定式ストッパ43と可動式ストッパ45によって、台車17の第1方向位置決めが行われる。さらに、第1位置決め部41は、第2方向両側において第1方向に延びて配置されたガイドローラ46を有している。これにより、台車17の第2方向位置決めが行われる。
【0026】
さらに詳細には、可動式ストッパ45は、上下方向に移動可能であり、
図5に示す規制位置では上端部が台車17に対して第1方向片側から当接又は近接した位置にある。これにより、台車17が第1方向に移動を規制される(位置決めされる)。可動式ストッパ45は、退避位置では、規制位置より下方に下がっており、上端部が台車17に対して第1方向への移動を規制しない位置にある。この状態では、台車17はステーション5に搬出入される。
【0027】
可動式ストッパ45にはペダル49が装着されている。ペダル49の軸は、作業者Sが例えば足で操作することで、プレート63の上下方向に延びるガイド溝63aを通って上下方向に移動可能であり、ペダル49が上側にあるときが規制位置であり、下側にあるときが退避位置である。ペダル49の軸は、ガイド溝63aの下部において横方向に延びる係止溝(図示せず)に入り込むと、上下方向の移動を規制される。
可動式ストッパ45は、バネ(図示せず)によって上側に付勢されており、ペダル49の軸が係止溝から外れると上側に移動する。
【0028】
第2載置部33は、
図3及び
図9に示すように、水平方向においてパレット21の位置を決める第2位置決め部47を有する。具体的には、第2位置決め部47は、第2載置面33aの第1方向両端に設けられた傾斜部材47aである。これにより、パレット21の第1方向の位置決め及び第2方向の位置決めが行われる。なお、傾斜部材47aによる位置決めは、パレット21が傾斜部材47aに沿って下降することにより行われる。
第2位置決め部47の傾斜部材47aは、位置決めされたパレット21と、第1位置決め部41によって位置決めされた台車17において、傾斜部材17cにより位置決めされた足つきコンテナ19の中心が一致するように構成されている。以上の結果、足つきコンテナ19の中心とパレット21の中心が一致する。
上記のように足つきコンテナ19とパレット21の中心が一致するように位置決めされ、さらに、本体19aと台車17の間にフォーク昇降空間35を定めている。以上の構成により、荷の種類によらず、スタッカクレーン9のフォーク11aは同じ動作を行うことで異なる形状の荷をステーション5との間で正確に移載できる。
【0029】
(2-2)制御構成
図11を用いて、搬送システム1の制御構成を説明する。
図11は、搬送システムの制御構成を示すブロック図である。
搬送システム1は、コントローラ61を有している。
コントローラ61は、プロセッサ(例えば、CPU)と、記憶装置(例えば、ROM、RAM、HDD、SSDなど)と、各種インターフェース(例えば、A/Dコンバータ、D/Aコンバータ、通信インターフェースなど)を有するコンピュータシステムである。コントローラ61は、記憶部(記憶装置の記憶領域の一部又は全部に対応)に保存されたプログラムを実行することで、各種制御動作を行う。
【0030】
コントローラ61は、単一のプロセッサで構成されていてもよいが、各制御のために独立した複数のプロセッサから構成されていてもよい。
コントローラ61の各要素の機能は、一部又は全てが、コントローラ61を構成するコンピュータシステムにて実行可能なプログラムとして実現されてもよい。その他、コントローラ61の各要素の機能の一部は、カスタムICにより構成されていてもよい。
【0031】
コントローラ61は、スタッカクレーン9の走行装置10、移載装置11、昇降装置12を制御可能である。
コントローラ61には、図示しないが、荷の大きさ、形状及び位置検出するセンサ、各装置の状態を検出するためのセンサ及びスイッチ、並びに情報入力装置が接続されている。
【0032】
搬送システム1は、可動式ストッパ45の進退状況を把握するための第1センサ51(第1把握部の一例)を有している。第1センサ51は、コントローラ61に接続されている。具体的には、第1センサ51は、光センサ又は接触式センサであり、可動式ストッパ45が規制位置と退避位置のいずれにあるかを検出できるように配置されている。
第1センサ51は、具体的には、可動式ストッパ45を構成するプレートを直接検出する光センサである。ただし、第1センサ51は、可動式ストッパ45を構成するプレートと一体に上下する被検出部材を検出する光センサでもよい。また、第1センサ51は、可動式ストッパ45を構成するプレートと一体に上下する被検出部材を検出する接触式センサでもよい。
【0033】
搬送システム1は、第1載置部31における足つきコンテナ19の支持部19bの有無を把握するための第2センサ53(第2把握部の一例)を有している。第2センサ53は、コントローラ61に接続されている。具体的には、第2センサ53は、光センサ又は接触式センサであり、支持部19bの有無を検出できるように配置されている。
第2センサ53は、具体的には、支持部19bを直接検出する光センサである。ただし、第2センサ53は、支持部19bに設けられた被検出部材を検出する光センサでもよい。また、第2センサ53は、支持部19bに設けられた被検出部材を検出する接触式センサでもよい。
【0034】
搬送システム1は、第1載置部31における台車17の有無を把握するための第3センサ55(第3把握部の一例)を有している。第3センサ55は、コントローラ61に接続されている。具体的には、第3センサ55は、光センサ又は接触式センサであり、台車17の有無を検出できるように配置されている。
第3センサ55は、具体的には、台車17を直接検出する光センサである。ただし、第3センサ55は、台車17に設けられた被検出部材を検出する光センサでもよい。また、第3センサ55は、台車17に設けられた被検出部材を検出する接触式センサでもよい。さらに、第3センサ55は、台車17の例えば車輪により踏まれる接触式センサでもよいし、台車17の荷重を検出するセンサでもよい。
【0035】
変形例として、第2センサ53及び第3センサ55は、例えば、光透過式又は光反射式のセンサであり、台車17のステーション5への搬入が完了した際に、第2方向に沿って検出光が照射されるように設置されていてもよい。別の例では、第2センサ53及び第3センサ55は、例えば、距離センサであって、第1方向に沿って検出光が照射される用に設置されていてもよい。
搬送システム1は、報知部57を有している。報知部57は、ディスプレイ、スピーカ、発光部、又はそれらの組み合わせである。報知部57は、コントローラ61に接続されている。
【0036】
(3)足つきコンテナの搬入動作
図12を用いて、足つきコンテナ19をステーション5からスタッカクレーン9に移載する制御動作を説明する。
図12は、荷をステーションからスタッカクレーンに移載する制御動作を示すフローチャートである。
以下に説明する制御フローチャートは例示であって、各ステップは必要に応じて省略及び入れ替え可能である。また、複数のステップが同時に実行されたり、一部又は全てが重なって実行されたりしてもよい。
さらに、制御フローチャートの各ブロックは、単一の制御動作とは限らず、複数のブロックで表現される複数の制御動作に置き換えることができる。
なお、各装置の動作は、コントローラ61から各装置への指令の結果であり、これらはソフトウェア・アプリケーションの各ステップによって表現される。
【0037】
ステップS1では、コントローラ61は、第2センサ53からの検出信号に基づき、支持部19bが検出されたか否かを判断する。支持部19bが検出されれば、作業者Sが足つきコンテナ19の載った台車17をステーション5に搬入したことになる。
ステップS2では、コントローラ61は、第1センサ51からの検出信号に基づき、可動式ストッパ45が規制位置にあるか否かを判断する。規制位置にあればプロセスはステップS3に移行し、規制位置になければプロセスはステップS4に移行する。
なお、規制位置にない場合とは、足つきコンテナ19のステーション5への搬入時に、支持部19bが第1載置面31aに載っているのにもかかわらず、可動式ストッパ45が退避位置にあって位置決めが行われていない状態である。つまり、その状態のままでスタッカクレーン9が足つきコンテナ19をステーション5から移載すると、台車17が位置決めされていない状態で移載が行われることになり、移載の精度が低下してしまう。
【0038】
ステップS3では、コントローラ61は、スタッカクレーン9に足つきコンテナ19を台車17から移載させる(荷すくいさせる)。
ステップS4では、コントローラ61は、報知部57を作動する。これにより、作業者Sは、例えばスタッカクレーン9が走行又は移載を開始する前に、上記状態(つまり、支持部19bが第1載置面31aに載っているのにもかかわらず、可動式ストッパ45が退避位置にあって位置決めが行われていない状態)を把握できる。なお、報知部57は所定時間のみ作動されてもよいし、作業者Sによってオフされるようになっていてもよい。プロセスはその後、ステップS2に戻る。なお、ステップS4の状態では、スタッカクレーン9は作動されない。
【0039】
以上の結果、スタッカクレーン9による荷すくいの前に、可動式ストッパ45によって台車17の第1方向の位置決めが確実に行われる。
なお、上記の実施形態では、足つきコンテナ19だけが自動倉庫3のラック7に入出庫されるので、台車17の数を少なくできる。実施形態と異なって台車17も入出庫するようにすると、荷の数だけ台車17が必要になってしまう。
【0040】
(4)足つきコンテナの搬出動作
図13を用いて、スタッカクレーン9からステーション5に足つきコンテナ19を移載する制御動作を説明する。
図13は、荷をスタッカクレーンからステーションに移載する制御動作を示すフローチャートである。
なお、下記の足つきコンテナの搬出動作の前には、足つきコンテナ19が載置されていない台車17が予めステーション5に搬入される。
ステップS7では、コントローラ61は、第3センサ55からの信号に基づき、台車17が検出されたか否かを判断する。台車17が検出されれば、作業者Sが台車17を第1載置部31の第1載置面31a上に搬入したことになる。
【0041】
ステップS8では、コントローラ61は、第1センサ51からの信号に基づき、可動式ストッパ45が規制位置にあるか否かを判断する。規制位置にあればプロセスはステップS9に移行し、規制位置になければプロセスはステップS10に移行する。
なお、規制位置にない場合とは、足つきコンテナ19がスタッカクレーン9からステーション5に移載される動作において、台車17が第1載置面31aに載っているのにもかかわらず、可動式ストッパ45が退避位置にあって位置決めが行われていない状態である。つまり、その状態のままでスタッカクレーン9から足つきコンテナ19がステーション5に移載されると、台車17が位置決めされていない状態で移載が行われることになり、移載の精度が低下してしまう。
【0042】
ステップS9では、コントローラ61は、スタッカクレーン9に足つきコンテナ19を台車17の上に移載させる(荷下ろしさせる)。
ステップS10では、コントローラ61は、報知部57を作動する。これにより、作業者Sは、例えばスタッカクレーン9が走行又は移載を開始する前に、上記状態を把握できる。なお、報知部57は所定時間のみ作動されてもよいし、作業者Sによってオフされるようになっていてもよい。プロセスはその後、ステップS8に戻る。なお、ステップS10の状態では、スタッカクレーン9が作動されない。
以上の結果、スタッカクレーン9による荷下ろしの前に、可動式ストッパ45によって台車17の第1方向の位置決めが確実に行われる。
【0043】
変形例として、ステップS7の前後又は同時に、第2センサ53によって支持部19bが無いことを検出してもよい。この例では、台車17は検出されているが支持部19bが検出されていない場合は、空の台車17が正しく搬入されたことになる。一方、台車17が検出されているが支持部19bが検出された場合は、足つきコンテナ19が載った台車17が間違えて搬入されたことが分かる。その結果、足つきコンテナ19のステーション5からの搬出時に、足つきコンテナ19が載った台車17がステーション5の第1載置面31aに載っていれば、スタッカクレーン9からステーション5に足つきコンテナ19が移載されない。
なお、変形例として、上記のように足つきコンテナ19が載った台車17がステーション5の第1載置面31aに載っていれば、作業者Sに対して報知が行われてもよい。したがって、スタッカクレーン9からステーション5に足つきコンテナ19が移載される場合に、ステーション5に搬入された足つきコンテナと接触することを防止できる。スタッカクレーン9からステーション5にパレット21が移載される場合も同様である。
【0044】
(5)パレットの搬入動作
最初に、作業者Sがフォークリフトによって、パレット21をステーション5の第2載置部33に搭載する。
次に、スタッカクレーン9がフォーク11aを用いてパレット21を移載する。
最後に、スタッカクレーン9は、パレット21を搬送して、自動倉庫の3のラック7の棚8に移載する。
【0045】
(6)パレットの搬出動作
最初に、スタッカクレーン9は、フォーク11aを用いて、パレット21を自動倉庫3のラック7の棚8から移載する。
次に、スタッカクレーン9がパレット21を搬送して、ステーション5の第2載置部33に搭載する。
最後に、作業者がフォークリフトによって、パレット21をステーション5の第2載置部33から移載する。
【0046】
2.実施形態の特徴
上記実施形態は下記の様にも説明できる。
搬送システム1(搬送システムの一例)は、スタッカクレーン9(第1搬送装置の一例)と、ステーション5(ステーションの一例)と、第1載置部31(第1載置部の一例)と、第2載置部33(第2載置部の一例)と、コントローラ61(制御部の一例)とを備えている。
スタッカクレーン9は、フォーク11a(フォークの一例)を進退させることにより足つきコンテナ19又はパレット21(荷の一例)の移載を行う。
ステーション5では、搬入された足つきコンテナ19又はパレット21が、スタッカクレーン9により荷すくいされる。又は、ステーション5では、スタッカクレーン9により荷下ろしされた足つきコンテナ19又はパレット21が搬出される。
第1載置部31は、車輪17bを有する台車17(自在車の一例)が搬出入される部材である。第1載置部31は、台車17を支持する第1載置面31a(第1載置面の一例)を有する。
第2載置部33は、パレット21(平板状の底面を有する荷の一例)がフォークリフト(図示せず、第2搬送装置の一例)により搬出入される部材である。第2載置部33は、間隔を隔てて第1載置面31aの側方に配置されている。第2載置部33は、第1載置面31aより上方に配置される第2載置面33aを有する。
コントローラ61は、第1載置面31aと第2載置面33aの高さ方向での間のフォーク昇降空間35に、フォーク11aを伸張させ、さらにフォーク11aを昇降させることにより、第1載置面31a又は第2載置面33aとの間で足つきコンテナ19又はパレット21の移載を行うようにスタッカクレーン9を制御する。
【0047】
この搬送システム1では、台車17は第1載置部31の第1載置面31aに載せられ、パレット21は第2載置部33の第2載置面33aに載せられる。つまり、形状の異なる荷を同じステーション5に搬出入でき、さらにそれらをスタッカクレーン9との間で移載できる。
したがって、ステーションの種類を増やす必要がなくなり、コストを低減できる。
【0048】
3.他の実施形態
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。特に、本明細書に書かれた複数の実施形態及び変形例は必要に応じて任意に組み合せ可能である。
【0049】
第1実施形態では台車17とパレット21のステーション5での搬出入方向は同一であったが、両者は異なる方向においてステーション5に搬出入されてもよい。例えば、台車17の搬出入方向が第1方向であって、パレット21の搬出入方向が第2方向でもよい。
第1実施形態では共通パレットは一体であったが、別体であってもよい。
第1実施形態では第1載置部に載せられる荷は自在車に載った足つきコンテナであったが、一体のコンテナ台車であってもよい。この場合は、一体のコンテナ台車が荷として搬出入及び入出庫の対象になる。
【0050】
第1実施形態では第2搬送装置はフォークリフトであったが、第2搬送装置はAGVであってもよい。
第1実施形態ではステーションは入庫と出庫の両方の機能を有していたが、いずれか一方の機能のみを有する構造でもよい。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明は、複数種類の荷を搬送する搬送システムに広く適用できる。
【符号の説明】
【0052】
1 :搬送システム
3 :自動倉庫
5 :ステーション
7 :ラック
8 :棚
8a :第1載置部
8b :第2載置部
9 :スタッカクレーン
11 :移載装置
11a :フォーク
15 :共通パレット
17 :自在車
17a :車輪
19 :コンテナ
19a :本体
19b :支持部
21 :パレット
23 :箱
31 :第1載置部
31a :第1載置面
33 :第2載置部
33a :第2載置面
35 :フォーク昇降空間
41 :第1位置決め部
43 :固定式ストッパ
45 :可動式ストッパ
46 :ガイドローラ
47 :第2位置決め部
47a :傾斜部材
51 :第1センサ
53 :第2センサ
55 :第3センサ
57 :報知部