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特許7206911樹脂、樹脂組成物、および、これらを用いた不織布、繊維製品、セパレーター、二次電池、および、電気二重層キャパシターならびに不織布の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-10
(45)【発行日】2023-01-18
(54)【発明の名称】樹脂、樹脂組成物、および、これらを用いた不織布、繊維製品、セパレーター、二次電池、および、電気二重層キャパシターならびに不織布の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08G 18/28 20060101AFI20230111BHJP
   C08G 18/32 20060101ALI20230111BHJP
   C08G 18/71 20060101ALI20230111BHJP
   C08G 18/34 20060101ALI20230111BHJP
   C08L 75/02 20060101ALI20230111BHJP
   C08L 77/00 20060101ALI20230111BHJP
   C08L 79/08 20060101ALI20230111BHJP
   C08G 69/26 20060101ALI20230111BHJP
   C08G 73/10 20060101ALI20230111BHJP
   D01F 6/60 20060101ALI20230111BHJP
   D04H 1/728 20120101ALI20230111BHJP
   H01M 50/409 20210101ALI20230111BHJP
【FI】
C08G18/28 005
C08G18/28 065
C08G18/28 085
C08G18/32 025
C08G18/71
C08G18/34
C08G18/28 010
C08G18/28 015
C08G18/32 003
C08G18/34 010
C08G18/34 030
C08L75/02
C08L77/00
C08L79/08 Z
C08G69/26
C08G73/10
D01F6/60 301M
D04H1/728
H01M50/409
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2018532479
(86)(22)【出願日】2018-06-14
(86)【国際出願番号】 JP2018022670
(87)【国際公開番号】W WO2019009037
(87)【国際公開日】2019-01-10
【審査請求日】2021-06-14
(31)【優先権主張番号】P 2017130082
(32)【優先日】2017-07-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003159
【氏名又は名称】東レ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】茶山 奈津子
(72)【発明者】
【氏名】弓場 智之
【審査官】久保 道弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-292904(JP,A)
【文献】特開昭61-162525(JP,A)
【文献】特開昭62-116632(JP,A)
【文献】特開2012-172002(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 18/00 - 18/87
C08L 75/00 - 75/16
C08L 77/00 - 77/12
C08L 79/00 - 79/08
C08G 69/00 - 69/50
C08G 73/00 - 73/26
D01F 6/00 - 6/96
D04H 1/00 - 1/76
H01M 50/00 - 50/77
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)~(3)からなる群から選ばれる少なくとも1つで表される構造を有し、主鎖の末端に、炭素数10以上のアルキル基および炭素数4以上のフルオロアルキル基からなる群から選ばれる少なくとも1種を有する樹脂および溶媒を含む不織布形成の用に 用いる樹脂組成物
【化1】
(一般式(1)中、Xは、-NR-を表す。Rは、炭素数4~30の2価の有機基を表す。Rは、下記一般式(4)または(5)で表される基(ただし、炭素数は30を超えない)である。Rは、水素原子または炭素数1~10の1価の有機基を表す。一般式(2)中、Rは、下記一般式(6)または(7)で表される基(ただし、炭素数は30を超えない)である。Rは、炭素数4~30の4価の有機基を表す。一般式(3)中、Rは、下記一般式(8)または(9)で表される基(ただし、炭素数は30を超えない)である。Rは、炭素数4~30の3価の有機基を表す。l、m、nは各々0以上の整数であり、但し、l+m+nは10以上である。また、一般式(1)~(3)で示された構造は必ずしも各々連続して存在している必要はない。)
【化2】
(一般式(5)中、Yは、単結合、メチレン基、イソプロピリデン基、ヘキサフルオロイソプロピリデン基、カルボニル基、スルホニル基、エーテル結合またはチオエーテル結合を表す。Rは、それぞれ独立に、水酸基、カルボキシル基、トリフルオロメチル基、ハロゲン原子または炭素数1~10の炭化水素基を表す。pは、それぞれ独立に、0~4の整数を表す。)
【化3】
(一般式(7)中、Zは、単結合、メチレン基、イソプロピリデン基、ヘキサフルオロイソプロピリデン基、カルボニル基、スルホニル基、エーテル結合またはチオエーテル結合を表す。Rは、それぞれ独立に、水酸基、カルボキシル基、トリフルオロメチル基、ハロゲン原子または炭素数1~10の炭化水素基を表す。qは、それぞれ独立に、0~4の整数を表す。)
【化4】
(一般式(9)中、Wは、単結合、メチレン基、イソプロピリデン基、ヘキサフルオロイソプロピリデン基、カルボニル基、スルホニル基、エーテル結合またはチオエーテル結合を表す。R10は、それぞれ独立に、水酸基、カルボキシル基、トリフルオロメチル基、ハロゲン原子または炭素数1~10の炭化水素基を表す。rは、それぞれ独立に、0~4の整数を表す。)
【請求項2】
前記樹脂が、全構造中、前記一般式(1)~(3)で表される構造を50モル%以上含む、請求項1に記載の樹脂組成物
【請求項6】
溶媒を、組成物全体の質量に対して40質量%以上80質量%以下含む、請求項1~5の いずれかに記載に記載の樹脂組成物。
【請求項7】
下記一般式(1)~(3)からなる群から選ばれる少なくとも1つで表される構造を有し 、主鎖の末端に、炭素数10以上のアルキル基および炭素数4以上のフルオロアルキル基 からなる群から選ばれる少なくとも1種を有する樹脂を含む不織布。
【化5】
(一般式(1)中、Xは、-NR -を表す。R は、炭素数4~30の2価の有機基を 表す。R は、下記一般式(4)または(5)で表される基(ただし、炭素数は30を超 えない)である。R は、水素原子または炭素数1~10の1価の有機基を表す。一般式 (2)中、R は、下記一般式(6)または(7)で表される基(ただし、炭素数は30 を超えない)である。R は、炭素数4~30の4価の有機基を表す。一般式(3)中、 は、下記一般式(8)または(9)で表される基(ただし、炭素数は30を超えない )である。R は、炭素数4~30の3価の有機基を表す。l、m、nは各々0以上の整 数であり、但し、l+m+nは10以上である。また、一般式(1)~(3)で示された 構造は必ずしも各々連続して存在している必要はない。)
【化6】
(一般式(5)中、Yは、単結合、メチレン基、イソプロピリデン基、ヘキサフルオロイ ソプロピリデン基、カルボニル基、スルホニル基、エーテル結合またはチオエーテル結合 を表す。R は、それぞれ独立に、水酸基、カルボキシル基、トリフルオロメチル基、ハ ロゲン原子または炭素数1~10の炭化水素基を表す。pは、それぞれ独立に、0~4の 整数を表す。)
【化7】
(一般式(7)中、Zは、単結合、メチレン基、イソプロピリデン基、ヘキサフルオロイ ソプロピリデン基、カルボニル基、スルホニル基、エーテル結合またはチオエーテル結合 を表す。R は、それぞれ独立に、水酸基、カルボキシル基、トリフルオロメチル基、ハ ロゲン原子または炭素数1~10の炭化水素基を表す。qは、それぞれ独立に、0~4の 整数を表す。)
【化8】
(一般式(9)中、Wは、単結合、メチレン基、イソプロピリデン基、ヘキサフルオロイ ソプロピリデン基、カルボニル基、スルホニル基、エーテル結合またはチオエーテル結合 を表す。R 10 は、それぞれ独立に、水酸基、カルボキシル基、トリフルオロメチル基、 ハロゲン原子または炭素数1~10の炭化水素基を表す。rは、それぞれ独立に、0~4 の整数を表す。)
【請求項8】
前記樹脂が、全構造中、前記一般式(1)~(3)で表される構造を50モル%以上含む 、請求項7に記載の不織布。
【請求項9】
前記樹脂が、R が炭素数4~30の2価の脂肪族炭化水素基である前記一般式(1)で 表される構造を含む、請求項7または8に記載の不織布。
【請求項10】
一般式(1)中のR において、前記2価の脂肪族炭化水素基が炭素数4~30の2価の 環状脂肪族炭化水素基である、請求項9に記載の不織布。
【請求項15】
請求項13に記載のセパレーターを有する電気二重層キャパシター。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セパレーターや電気二重層キャパシターの用途において特に好適に用いうる樹脂および樹脂組成物ならびにこれらを用いた不織布に関し、また、その用途に関する。
【背景技術】
【0002】
リチウムイオン電池は、充電可能な高容量電池として、電子機器の高機能化や長時間動作を可能にした。さらに、リチウムイオン電池は自動車などに搭載され、ハイブリッド車、電気自動車の電池として有力視されている。
【0003】
現在広く使われているリチウムイオン電池は、ポリオレフィンの多孔質フィルムを使用したセパレーターを有する。しかしながら、電池温度が過大に高くなった場合、セパレーターが収縮または溶融してしまい、電極間に短絡を引き起こす懸念がある。
【0004】
そこで、ポリオレフィン多孔質膜の片面または両面に、耐熱性樹脂または耐熱性粒子の複合体からなる多孔質層を形成したセパレーターが開示されている(例えば、特許文献1、2参照)。
【0005】
また、耐熱性樹脂であるポリイミドを電界紡糸法で紡糸することで得られる不織布を適用したセパレーターが提案されている(例えば、特許文献3参照)。電界紡糸法は、高分子溶液の吐出の際に電圧を印加し、電荷の反発で溶液を分裂させながら高分子繊維からなる不織布を得る手法である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2007-299612号公報
【文献】特開2009-205958号公報
【文献】国際公開第2016/056480号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1、2に記載されたような技術では、耐熱性の層を形成することでセパレーターが厚くなる。このセパレーターを用いたリチウムイオン電池では、体積エネルギー密度が下がるという問題があった。
【0008】
一方、特許文献3に開示された方法で得られるセパレーターは、耐熱層を形成することなく高い耐熱性を発揮できる。しかし、ポリイミドなどの含窒素耐熱樹脂は極性が高く、溶液の表面張力が大きいため、電界紡糸時の溶液の分裂が抑制され、基材上に堆積するまでに十分に分裂しない傾向にある。液の分裂が不十分だと太い繊維径の不織布しか得られず、空孔の大きさが大きくなるため、短絡を防止するというセパレーターの機能を果たせない。
【0009】
本発明は、かかる課題に鑑み、電界紡糸法により、細い繊維径の耐熱性不織布を作製可能な樹脂を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、下記一般式(1)~(3)からなる群から選ばれる少なくとも1つで表される構造を有し、主鎖の末端に、炭素数10以上のアルキル基および炭素数4以上のフルオロアルキル基からなる群から選ばれる少なくとも1種を有する樹脂であり、また、係る樹脂を用いての各種の態様が含まれる。
【0011】
【化1】
【0012】
(一般式(1)中、Xは、-NR-を表す。 は、炭素数4~30の2価の有機基を表す。 は、下記一般式(4)または(5)で表される基(ただし、炭素数は30を超えない)である。は、水素原子または炭素数1~10の1価の有機基を表す。一般式(2)中、Rは、下記一般式(6)または(7)で表される基(ただし、炭素数は30を超えない)である。Rは、炭素数4~30の4価の有機基を表す。一般式(3)中、Rは、下記一般式(8)または(9)で表される基(ただし、炭素数は30を超えない)である。Rは、炭素数4~30の3価の有機基を表す。l、m、nは各々0以上の整数であり、但し、l+m+nは10以上である。また、一般式(1)~(3)で示された構造は必ずしも各々連続して存在している必要はない。)
【化5】
(一般式(5)中、Yは、単結合、メチレン基、イソプロピリデン基、ヘキサフルオロイソプロピリデン基、カルボニル基、スルホニル基、エーテル結合またはチオエーテル結合を表す。R は、それぞれ独立に、水酸基、カルボキシル基、トリフルオロメチル基、ハロゲン原子または炭素数1~10の炭化水素基を表す。pは、それぞれ独立に、0~4の整数を表す。)
【化6】
(一般式(7)中、Zは、単結合、メチレン基、イソプロピリデン基、ヘキサフルオロイソプロピリデン基、カルボニル基、スルホニル基、エーテル結合またはチオエーテル結合を表す。R は、それぞれ独立に、水酸基、カルボキシル基、トリフルオロメチル基、ハロゲン原子または炭素数1~10の炭化水素基を表す。qは、それぞれ独立に、0~4の整数を表す。)
【化7】
(一般式(9)中、Wは、単結合、メチレン基、イソプロピリデン基、ヘキサフルオロイソプロピリデン基、カルボニル基、スルホニル基、エーテル結合またはチオエーテル結合を表す。R 10 は、それぞれ独立に、水酸基、カルボキシル基、トリフルオロメチル基、ハロゲン原子または炭素数1~10の炭化水素基を表す。rは、それぞれ独立に、0~4の整数を表す。)
【発明の効果】
【0013】
本発明により、電界紡糸法により、細い繊維径の耐熱性不織布を作製可能な樹脂を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る樹脂、樹脂組成物、不織布、不織布の製造方法、繊維製品、セパレーター、二次電池および電気二重層キャパシターの好適な実施形態を詳細に説明する。なお、本発明は、これらの実施形態に限定して解釈されるものではない。
【0015】
<樹脂>
本発明の実施の形態に係る樹脂は、下記一般式(1)~(3)からなる群から選ばれる少なくとも1つで表される構造を有し、主鎖の末端に、炭素数10以上のアルキル基および炭素数4以上のフルオロアルキル基からなる群から選ばれる少なくとも1種を有する樹脂である。
【0016】
【化2】
【0017】
(一般式(1)中、Xは、それぞれ独立に、単結合または-NR-を表す。RおよびRは、それぞれ独立に、炭素数4~30の2価の有機基を表す。Rは、水素原子または炭素数1~10の1価の有機基を表す。一般式(2)中、Rは、炭素数4~30の2価の有機基を表す。Rは、炭素数4~30の4価の有機基を表す。一般式(3)中、Rは、炭素数4~30の2価の有機基を表す。Rは、炭素数4~30の3価の有機基を表す。l、m、nは各々0以上の整数であり、但し、l+m+nは10以上である。)
一般式(1)~(3)で示される構造は樹脂の一分子中に一種または複数種含むものであって構わない。また、樹脂の一分子に含まれる一般式(1)~(3)で示される構造の数は、平均的にみて、合わせて10以上である。また、一分子内に一般式(1)~(3)で示される構造の何れか一つしか含まない場合はl、mおよびnの内の2つがゼロであることを意味する。本発明において、mおよびnがゼロである場合は望ましい一態様である。
【0018】
なお、本発明の樹脂は混合物の態様で用いることができる。すなわち、本発明の樹脂を複数種混合して用いることができる。
【0019】
一般式(1)で表される構造は、ポリウレア骨格またはポリアミド骨格を有する。一般式(2)で表される構造は、ポリイミド骨格を有する。一般式(3)で表される構造は、ポリアミドイミド骨格を有する。これらはいずれも高い耐熱性を実現できる骨格である。
【0020】
中でも、耐熱性を維持する観点から、本発明の樹脂は、全構造中、一般式(1)~(3)からなる群から選ばれる少なくとも1つで表される構造を50モル%以上含むことが好ましい。すなわち、樹脂の主鎖を構成する全繰り返し単位の50モル%以上が前記(1)~(3)からなる群から選択された構造であることが好ましい。樹脂としては、一般式(1)~(3)からなる群から選ばれる少なくとも1つで表される構造を80モル%以上含むものがより好ましく、実質的に一般式(1)~(3)から選ばれる少なくとも1つで表される構造からなるもの、すなわち、末端を除いて、主鎖を構成する繰り返し単位の全てが前記一般式(1)~(3)からなる群から選ばれる構造からなっている樹脂、が更に好ましい。
【0021】
一般式(1)で表される構造を有する樹脂は、種々のジイソシアネートと、ジアミン、ジカルボン酸、または、アミノ基とカルボン酸とを合わせ持つ化合物とを重縮合することにより得られる。ジアミン、ジカルボン酸、および、アミノ基とカルボン酸とを合わせ持つ化合物は、それぞれ単独でジイソシアネートと反応させても、それらの2種以上の混合物としてジイソシアネートと反応させてもよい。アミノ基とイソシアネートが反応することで、Xが-NR-である構造が得られ、カルボン酸とイソシアネートが反応することで、Xが単結合である構造が得られる。
【0022】
さらに、上記一般式(1)におけるXが-NR-である構造は、加水分解を受けにくいため、より好ましい。
【0023】
一般式(1)におけるRは、炭素数4~30の2価の有機基であれば、特に制限はないが、炭素数4~30の2価の脂肪族炭化水素基であれば、イソシアネート同士が反応する副反応が起こりにくいため、直鎖状の高分子となり、細い繊維径の不織布が得られる。特に、炭素数4~30の2価の環状脂肪族炭化水素基が、好ましい。
【0024】
炭素数4~30の2価の鎖状脂肪族炭化水素基としては、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オキサン、ノナン、デカンまたはウンデカンから2つの水素原子を除いたもの等が挙げられる。また、これらの基の単結合の一部を不飽和結合に置き換えたものや、水素原子の一部を炭化水素基で置き換えたものでも良い。
【0025】
炭素数4~30の2価の環状脂肪族炭化水素基としては、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオキサン、シクロノナン、シクロデカン、シクロウンデカン、シクロドデカン、ノルボルナンまたはアダマンタンから2つの水素原子を除いたもの等が挙げられる。また、これらの基の単結合の一部を不飽和結合に置き換えたものや、水素原子の一部を炭化水素基で置き換えたものでも良い。
【0026】
一般式(1)におけるRは、ジアミン、ジカルボン酸、または、アミノ基とカルボキシル基とを合わせ持つ化合物の残基を表す。Rは、炭素数4~30の2価の有機基であれば、特に制限はないが、芳香環を含むことが好ましい。これにより、樹脂の耐熱性をより向上させることができる。保管中および紡糸中の樹脂の析出を抑制し、細い繊維径の不織布を得る観点から、Rは芳香環の数が1個のものまたは2個の芳香環が有機基を介して結合したものが好ましい。Rは、下記一般式(4)または(5)で表される基であることが特に好ましい。
【0027】
【化3】
【0028】
一般式(5)中、Yは、単結合、メチレン基、イソプロピリデン基、ヘキサフルオロイソプロピリデン基、カルボニル基、スルホニル基、エーテル結合またはチオエーテル結合を表す。Rは、それぞれ独立に、水酸基、カルボキシル基、トリフルオロメチル基、ハロゲン原子または炭素数1~10の炭化水素基を表す。pは、それぞれ独立に、0~4の整数を表す。
【0029】
一般式(4)または(5)で表される基としては、特に制限はないが、ベンゼン、ビフェニル、ジフェニルメタン、2,2-ジフェニルプロパン、ヘキサフルオロ-2,2-ジフェニルプロパン、ジフェニルケトン、ジフェニルスルホン、ジフェニルエーテルまたはジフェニルスルフィドから2つの水素原子を除いたものが挙げられる。また、これらの基の芳香環上の水素原子の一部を、水酸基、カルボキシル基、トリフルオロメチル基、ハロゲン原子、または炭素数1~10の炭化水素基で置き換えたものでも良い。
【0030】
一般式(1)におけるRは、炭素数1~10の1価の有機基を表す。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等が挙げられる。また、これらの基の位置異性体や、単結合の一部を不飽和結合に置き換えたものでも良い。
【0031】
ジイソシアネートとしては、ブタンジイソシアネート、ヘキサンジイソシアネートなどの脂肪族ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、1,3-シクロヘキサンジイソシアネートなどの環状脂肪族ジイソシアネート、1,3-フェニレンジイソシアネート、1,4-フェニレンジイソシアネート、2,4-トルエンジイソシアネート、2,6-トルエンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5-ジイソシアネートナフタレンなどの芳香族ジイソシアネートを挙げることができる。これらは単独で、または複数種の混合物として用いることができる。
【0032】
脂肪族ジイソシアネートを用いると、イソシアネート同士が反応する副反応が起こりにくいため、直鎖状の高分子となり、細い繊維径の不織布が得られる。中でも炭素数4~30の2価の環状脂肪族ジイソシアネートを用いることが特に好ましい。
【0033】
ジアミンとしては、脂肪族化合物、環状脂肪族化合物および芳香族化合物の1級アミンまたは2級アミンを広く使用することができる。特に、芳香環を含む化合物を使用することで、樹脂の耐熱性を向上させることができる。樹脂の溶媒への溶解性を維持する観点から、芳香環の数が1個のものまたは2個の芳香環が2価の有機基やエーテル結合等の連結基を介して結合したものが好ましい。上記一般式(4)または(5)で表される残基を有するものが特に好ましい。
【0034】
上記一般式(4)または(5)で表される芳香環を含む2価の有機基において、ジアミン残基を与えるジアミンとしては、特に制限はないが、パラフェニレンジアミン、メタフェニレンジアミン、ベンジジン、2,2-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、3,3-ジアミノベンゾフェノン、4,4-ジアミノベンゾフェノン、3,3’-ジアミノジフェニルエーテル、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、3,4’-ジアミノジフェニルエーテル、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,3’-ジアミノジフェニルスルホン、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン、3,3’-ジアミノジフェニルサルファイド、4,4’-ジアミノジフェニルサルファイド等が挙げられる。また、これらの化合物の水素原子1~4個を、水酸基、カルボキシル基、トリフルオロメチル基もしくはハロゲン原子で置換したもの、またはこれらの化合物の窒素原子上の2つの水素のうち1つを炭素数1~10の有機基で置換したものも用いられる。これらは単独で、または複数種の混合物として用いることができる。
【0035】
ジカルボン酸としては、脂肪族化合物、環状脂肪族化合物および芳香族化合物のジカルボン酸を広く使用することができる。中でも、芳香環を含む化合物を使用することで、樹脂の耐熱性を向上させることができるため、より好ましい。保管中および紡糸中の樹脂の析出を抑制し、細い繊維径の不織布を得る観点から、芳香環の数が1個のものまたは2個の芳香環が有機基を介して結合したものが好ましく、上記一般式(4)または(5)で表される残基を有するものが特に好ましい。
【0036】
上記一般式(4)または(5)で表される芳香環を含む2価の有機基Rのうち、ジカルボン酸残基を与えるジカルボン酸としては、特に制限はないが、例えば、イソフタル酸、テレフタル酸、メチレンジサリチル酸、2,2-ビス(4-カルボキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-カルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ベンゾフェノン-4,4’-ジカルボン酸、4,4’-ジカルボキシジフェニルエーテル、4,4’-ジカルボキシジフェニルスルホン、5,5’-チオジサリチル酸等、またはこれらの化合物の水素原子1~4個を、水酸基、カルボキシル基、トリフルオロメチル基もしくはハロゲン原子で置換したもの、またはこれらの化合物の窒素原子上の2つの水素のうち1つを炭素数1~10の有機基で置換したもの等が挙げられる。これらは単独で、または複数種の混合物として用いることができる。
【0037】
一般式(2)で表される構造を有する樹脂は、ジアミンまたはジイソシアネート単独あるいはそれらの複数種の混合物と、テトラカルボン酸の誘導体を重縮合することにより得られる。
【0038】
一般式(2)におけるRはジアミン残基を表す。Rは、炭素数4~30の2価の有機基であれば、特に制限はないが、芳香環を含むことが好ましい。これにより、樹脂の耐熱性をより向上させることができる。保管中および紡糸中の樹脂の析出を抑制し、細い繊維径の不織布を得る観点から、Rは芳香環の数が1個のものまたは2個の芳香環が2価の有機基やエーテル結合等の連結基を介して結合したものが好ましい。Rは、下記一般式(6)または(7)で表される基であることが特に好ましい。
【0039】
【化4】
【0040】
一般式(7)中、Yは、単結合、メチレン基、イソプロピリデン基、ヘキサフルオロイソプロピリデン基、カルボニル基、スルホニル基、エーテル結合またはチオエーテル結合を表す。Rは、それぞれ独立に、水酸基、カルボキシル基、トリフルオロメチル基、ハロゲン原子または炭素数1~10の炭化水素基を表す。qは、それぞれ独立に、0~4の整数を表す。
【0041】
一般式(6)または(7)で表される基としては、特に制限はないが、ベンゼン、ビフェニル、ジフェニルメタン、2,2-ジフェニルプロパン、ヘキサフルオロ-2,2-ジフェニルプロパン、ジフェニルケトン、ジフェニルスルホン、ジフェニルエーテルまたはジフェニルスルフィドから2つの水素原子を除いたものが挙げられる。また、これらの基の芳香環上の水素原子の一部を、水酸基、カルボキシル基、トリフルオロメチル基、ハロゲン原子、または炭素数1~10の炭化水素基で置き換えたものでも良い。
【0042】
ジアミンとしては、脂肪族、環状脂肪族および芳香族化合物の1級アミンまたは2級アミンを広く使用することができる。特に、芳香環を含む化合物を使用することで、樹脂の耐熱性を向上させることができる。保管中および紡糸中の樹脂の析出を抑制し、細い繊維径の不織布を得る観点から、芳香環の数は1個または2個が好ましい。ジアミンとしては、上記一般式(6)または(7)で表される残基を有するものが特に好ましい。
【0043】
上記一般式(6)または(7)で表される芳香環を含む2価の有機基において、ジアミン残基を与えるジアミンとしては、特に制限はないが、パラフェニレンジアミン、メタフェニレンジアミン、ベンジジン、2,2-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、3,3-ジアミノベンゾフェノン、4,4-ジアミノベンゾフェノン、3,3’-ジアミノジフェニルエーテル、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、3,4’-ジアミノジフェニルエーテル、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,3’-ジアミノジフェニルスルホン、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン、3,3’-ジアミノジフェニルサルファイド、4,4’-ジアミノジフェニルサルファイド等が挙げられる。また、これらの化合物の水素原子1~4個を、水酸基、カルボキシル基、トリフルオロメチル基もしくはハロゲン原子で置換したもの、またはこれらの化合物の窒素原子上の2つの水素のうち1つを炭素数1~10の有機基で置換したものも用いられる。これらは単独で、または複数の混合物として用いることができる。
【0044】
テトラカルボン酸二無水物としては、脂肪族化合物、環状脂肪族化合物および芳香族化合物のテトラカルボン酸二無水物を広く使用することができる。
【0045】
テトラカルボン酸二無水物としては、特に制限はないが、ピロメリット酸、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸、2,3,3’,4’-ビフェニルテトラカルボン酸、2,2’,3,3’-ビフェニルテトラカルボン酸、3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸、2,2’,3,3’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸、2,2-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,1-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)エタン、1,1-ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)エタン、ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)メタン、ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)メタン、ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)スルホン、ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)エーテル、1,2,5,6-ナフタレンテトラカルボン酸、2,3,6,7-ナフタレンテトラカルボン酸、2,3,5,6-ピリジンテトラカルボン酸、3,4,9,10-ペリレンテトラカルボン酸などの芳香族テトラカルボン酸や、シクロブタンテトラカルボン酸、1,2,3,4-シクロペンタンテトラカルボン酸、シクロヘキサンテトラカルボン酸、ビシクロ[2.2.1.]ヘプタンテトラカルボン酸、ビシクロ[3.3.1.]テトラカルボン酸、ビシクロ[3.1.1.]ヘプト-2-エンテトラカルボン酸、ビシクロ[2.2.2.]オクタンテトラカルボン酸、アダマタンテトラカルボン酸などの脂肪族テトラカルボン酸などの二無水物を挙げることが出来る。これらは単独で、または複数の混合物として用いることができる。
【0046】
一般式(3)で表される構造を有する樹脂は、ジアミンまたはジイソシアネート単独あるいはそれらの複数種の混合物と、トリカルボン酸の誘導体を重縮合することにより得られる。
【0047】
一般式(3)におけるRはジアミン残基を表す。Rは、炭素数4~30の2価の有機基であれば、特に制限はないが、芳香環を含むことが好ましい。これにより、樹脂の耐熱性をより向上させることができる。保管中および紡糸中の樹脂の析出を抑制し、細い繊維径の不織布を得る観点から、Rは芳香環の数が1個のものまたは2個の芳香環が2価の有機基やエーテル結合等の連結基を介して結合したものが好ましい。Rは、下記一般式(8)または(9)で表される基であることが特に好ましい。
【0048】
【化5】
【0049】
一般式(9)中、Wは、単結合、メチレン基、イソプロピリデン基、ヘキサフルオロイソプロピリデン基、カルボニル基、スルホニル基、エーテル結合またはチオエーテル結合を表す。R10は、それぞれ独立に、水酸基、カルボキシル基、トリフルオロメチル基、ハロゲン原子または炭素数1~10の炭化水素基を表す。rは、それぞれ独立に、0~4の整数を表す。
【0050】
一般式(8)または(9)で表される基としては、特に制限はないが、ベンゼン、ビフェニル、ジフェニルメタン、2,2-ジフェニルプロパン、ヘキサフルオロ-2,2-ジフェニルプロパン、ジフェニルケトン、ジフェニルスルホン、ジフェニルエーテルまたはジフェニルスルフィドから2つの水素原子を除いたものが挙げられる。また、これらの基の芳香環上の水素原子の一部を、水酸基、カルボキシル基、トリフルオロメチル基、ハロゲン原子、または炭素数1~10の炭化水素基で置き換えたものでも良い。
【0051】
ジアミンとしては、脂肪族、環状脂肪族および芳香族化合物の1級アミンまたは2級アミンを広く使用することができる。特に、芳香環を含む化合物を使用することで、樹脂の耐熱性を向上させることができる。保管中および紡糸中の樹脂の析出を抑制し、細い繊維径の不織布を得る観点から、芳香環の数は1個または2個が好ましい。ジアミンとしては、上記一般式(8)または(9)で表される残基を有するものが特に好ましい。
【0052】
上記一般式(8)または(9)で表される芳香環を含む2価の有機基において、ジアミン残基を与えるジアミンとしては、特に制限はないが、パラフェニレンジアミン、メタフェニレンジアミン、ベンジジン、2,2-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、3,3-ジアミノベンゾフェノン、4,4-ジアミノベンゾフェノン、3,3’-ジアミノジフェニルエーテル、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、3,4’-ジアミノジフェニルエーテル、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,3’-ジアミノジフェニルスルホン、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン、3,3’-ジアミノジフェニルサルファイド、4,4’-ジアミノジフェニルサルファイド等が挙げられる。また、これらの化合物の水素原子1~4個を、水酸基、カルボキシル基、トリフルオロメチル基もしくはハロゲン原子で置換したもの、またはこれらの化合物の窒素原子上の2つの水素のうち1つを炭素数1~10の有機基で置換したものも用いられる。これらは単独で、または複数の混合物として用いることができる。
【0053】
トリカルボン酸の例としては、トリメリト酸、3,3’,4-トリカルボキシビフェニル、3,4,4’-トリカルボキシビフェニル、3,3’,4-トリカルボキシビフェニルエーテル、3,4,4’-トリカルボキシビフェニルエーテルなどを挙げることができる。
【0054】
トリカルボン酸およびテトラカルボン酸は、単独または2種以上を組み合わせて使用できる。
【0055】
本発明の実施の形態に係る樹脂は、主鎖の末端に、炭素数10以上のアルキル基および炭素数4以上のフルオロアルキル基からなる群から選ばれる少なくとも1種を有することで、樹脂溶液の表面張力が小さくなる。その結果、電界紡糸法で紡糸した際に液の分裂が促進され、より細い繊維径の不織布を得ることができる。このアルキル基およびフルオロアルキル基の炭素数の上限は、溶媒との相溶性を維持する観点から、アルキル基の炭素数としては25以下が好ましく、前記のフルオロアルキル基の炭素数としては10以下が好ましい。
【0056】
炭素数10以上25以下のアルキル基としては、例えば、カプリル基(デシル基)、ラウリル基(ドデシル基)、ミリスチル基(テトラデシル基)、ペンタデシル基、パルミチル基(ヘキサデシル基)、マルガリル基(ヘプタデシル基)、ステアリル基、バクセニル基(オクタデシル基)、アラキジル基(イコシル基)、ベヘニル基(ドコシル基)、リグノセリル基(テトラコシル基)等が挙げられる。また、これらの基の位置異性体が含まれる。なお、これらの基中の単結合の一部を不飽和結合に置き換えたものについては発明の効果を阻害しない限りにおいて許容されうる。
【0057】
炭素数4以上10以下のフルオロアルキル基としては、例えば、ペルフルオロブチル基、ペルフルオロペンチル基、ペルフルオロヘキシル基、ペルフルオロヘプチル基、ペルフルオロオクチル基、ペルフルオロノニル基、ペルフルオロデシル基等が挙げられる。また、これらの基の位置異性体が含まれる。また、これらの基のフッ素原子の一部を水素原子に置き換えたものでも良いが、液の表面張力を下げる効果を維持する上では、置き換える水素原子の数は4個以下が好ましい。なお、これらの基中の単結合の一部を不飽和結合に置き換えたものについては発明の効果を阻害しない限りにおいて許容されうる。
【0058】
炭素数10以上のアルキル基および炭素数4以上のフルオロアルキル基から選ばれる少なくとも1種を主鎖の末端に導入する方法は、例えば以下のような方法である。重縮合の際に、モノマーのイソシアネート基が、他のモノマーのジアミン基またはカルボン酸基に対して過剰量となるようなモノマー比で、仕込み量を設定する。重縮合後に、余剰のイソシアネート基に対して、炭素数10以上のアルキル基または炭素数4以上のフルオロアルキル基を有する、モノアミン、モノカルボン酸または1価のアルコールを反応させる。
【0059】
炭素数10以上のアルキル基を有するモノアミンとしては、例えば、デシルアミン、ウンデシルアミン、トリデシルアミン、ラウリルアミン、ミリスチルアミン、ペンタデシルアミン、ヘプタデシルアミン、セチルアミン、ステアリルアミン、ノナデシルアミン等が挙げられる。また、これらの化合物の、異性体、アルキル基中に不飽和結合を含む化合物、アミノ基の窒素原子上に置換基を有する化合物、アルキル基上の水素原子を炭化水素基、ハロゲン原子もしくはシリル基で置換した化合物、および、窒素原子上の2つの水素のうち1つを炭素数1~10の有機基で置換した化合物等も挙げられる。これらは単独で、または複数種の混合物として用いることができる。
【0060】
炭素数10以上のアルキル基を有するモノカルボン酸としては、特に制限はないが、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、ネルボン酸、およびセロチン酸等が挙げられる。また、これらの化合物の、異性体、アルキル基中に不飽和結合を含む化合物、および、アルキル基上の水素原子を炭化水素基、ハロゲン原子もしくはシリル基で置換した化合物等が挙げられる。これらは単独で、または複数種の混合物として用いることができる。
【0061】
炭素数10以上のアルキル基を有する1価のアルコールとしては、特に制限はないが、デカノール、ウンデシルアルコール、ラウリルアルコール、トリデシルアルコール、ミリスチルルコール、ペンタデシルアルコール、セタノール、ヘプタデカノール、ステアリルアルコール、ノナデシルアルコール、アラキジルアルコール、ヘンエイコサノール、ベヘニルアルコール、エルシルアルコール、リグノセリルアルコール、セリルアルコール、ヘプタコサノール、モンタニルアルコール、ノナコサノール等が挙げられる。また、これらの化合物の、異性体、アルキル基中に不飽和結合を含む化合物、アルキル基上の水素原子を炭化水素基、ハロゲン原子もしくはシリル基で置換した化合物等が挙げられる。これらは単独で、または複数種の混合物として用いることができる。
【0062】
炭素数4以上のフルオロアルキル基を有するモノアミン、モノカルボン酸または1価のアルコールとしては、特に制限はないが、1H,1H-ペルフルオロブチルアミン、1H,1H-ペルフルオロヘキシルアミン、1H,1H-トリデカフルオロヘプチルアミン、ペルフルオロペンタン酸、ペルフルオロヘキサン酸、ペルフルオロヘプタン酸、ペルフルオロオクタン酸、ペルフルオロノナン酸、ペルフルオロデカン酸、2H,2H,3H,3H-ペルフルオロウンデカン酸、2-パーフルオロオクチルエタノール、2-パーフルオロブチルエタノール、2-パーフルオロヘキシルエタノール、1H,1H-ペルフルオロ-1-ドデカノール、1H,1H,9H-ヘキサデカフルオロノナノール、1H,1H,9H-ドカフルオロヘプタノール等が挙げられる。また、これらの化合物の、異性体、アルキル基中に不飽和結合を含む化合物、および、アルキル基上の水素原子またはフッ素原子を炭化水素基、ハロゲン原子もしくはシリル基で置換した化合物等が挙げられる。これらは単独で、または複数の混合物として用いることができる。
【0063】
炭素数10以上のアルキル基を有するモノイソシアネートとしては、特に制限はないが、ドデシルイソシアネート、オクタデシルイソシアネート等が挙げられる。また、これらの化合物の、異性体、アルキル基中に不飽和結合を含む化合物、および、アルキル基上の水素原子を炭化水素基、ハロゲン原子もしくはシリル基で置換した化合物等が挙げられる。これらは単独で、または複数種の混合物として用いることができる。
【0064】
炭素数4以上のフルオロアルキル基を有するモノイソシアネートとしては、特に制限はないが、ペルフルオロブチルイソシアネート、ペルフルオロヘキシルイソシアネート等が挙げられる。また、これらの化合物の、異性体、アルキル基中に不飽和結合を含む化合物、および、アルキル基上の水素原子またはフッ素原子を炭化水素基、ハロゲン原子もしくはシリル基で置換した化合物等が挙げられる。これらは単独で、または複数の混合物として用いることができる。
【0065】
重縮合反応に用いられる溶媒としては、生成した樹脂が溶解するものであれば特に限定されるものではないが、N-メチル-2-ピロリドン、N-メチルカプロラクタム、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、γ-ブチロラクトン、ジメチルイミダゾリン等の非プロトン性極性溶媒、フェノール、m-クレゾール、クロロフェノール、ニトロフェノールなどのフェノール系溶媒、ポリリン酸、リン酸に5酸化リンを加えたリン系溶媒などを好ましく用いることができる。
【0066】
重縮合反応で得られる樹脂は、溶媒に溶解したまま用いても良いし、水などに投入して樹脂を析出させ、乾燥させて、固体として単離したものを用いることもできる。
【0067】
<樹脂組成物>
本発明の樹脂を任意の溶媒に溶解または分散させることで、樹脂組成物として使用することができる。すなわち、本発明の実施の形態に係る樹脂組成物は、上述の樹脂および溶媒を含む。また、任意に他の成分、例えば、有機粒子や無機粒子などフィラーや、溶解助剤や帯電助剤、密着改良剤や界面活性剤等の他の成分を含むことができる。
【0068】
本発明の実施の形態に係る樹脂組成物に用いられる溶媒としては、特に制限はないが、
例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエール、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテルなどのエーテル類、
エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピルアセテート、ブチルアセテート、イソブチルアセテート、3-メトキシブチルアセテート、3-メチル-3-メトキシブチルアセテート、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチルなどのアセテート類、
アセチルアセトン、メチルプロピルケトン、メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、2-ヘプタノンなどのケトン類、
ブチルアルコール、イソブチルアルコール、ペンタノ-ル、4-メチル-2-ペンタノール、3-メチル-2-ブタノール、3-メチル-3-メトキシブタノール、ジアセトンアルコールなどのアルコール類、
トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類、
N-メチル-2-ピロリドン、N-シクロヘキシル-2-ピロリドン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルイソブチルアミド、ジメチルスルホキシド、γ-ブチロラクトン、水、
などが挙げられる。中でも、N-メチルピロリドン、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルイソブチルアミドからなる群から選ばれる少なくとも1種の溶媒または混合溶媒は樹脂の溶解性が良好かつ適度な揮発性を有するため、細い繊維径の不織布を得る上で好ましい。これらは単独で、または複数種を混合して用いることができる。
【0069】
溶媒の含有量については、溶液のゲル化を防ぐ観点から、組成物全体の質量に対して40質量%以上含むことが好ましい。また、不織布の耐熱性を維持する観点から、溶媒量は同じく80質量%以下が好ましい。
【0070】
<不織布およびその製造方法>
本発明の実施の形態に係る不織布は、上述の樹脂を含むものである。高温環境下での寸法変化を抑制するという観点から、不織布の熱収縮率は10%以下が好ましい。不織布の熱収縮率は5%以下がより好ましく、3%以下がより好ましい。
【0071】
ここでいう熱収縮率とは、不織布片を加熱した際の寸法の変化率を示す。
【0072】
不織布を緻密にするという観点から、不織布における繊維径は、3μm以下が好ましく、1.5μm以下がより好ましく、1μm以下が更に好ましい。
【0073】
ここで言う繊維径とは、不織布を顕微鏡で観察し、視野内にある繊維の幅を測長し、その平均を取ったものである。
【0074】
本発明の実施の形態に係る不織布は、上述の樹脂組成物を溶融または溶媒に溶解させたものを紡糸することで、得ることができる。紡糸する方法として、電界紡糸法を用いると、紡糸時に液が分裂し、より細い繊維径の繊維からなる不織布が得られるため、好ましい。すなわち、上述の樹脂組成物を電界紡糸法により紡糸して不織布を形成することが好ましい。
【0075】
ここで用いられる電界紡糸法とは、ポリマー溶液に高電圧を印加し、帯電したポリマー溶液がアースされた対電極に吹き付けられることで極細繊維を得る紡糸法である。本発明において用いられる電界紡糸装置としては、特に制限されないが、注射器のシリンジのように突出したノズルからポリマー溶液を吐出する装置や、回転したローラーやボール上に形成した薄膜ポリマー溶液に帯電させることで、極細繊維が吐出部から吐出する装置等が挙げられる。吐出部に電圧を印加しながら液を吐出し、アースした対電極上に基材となるアルミニウム箔や離型紙を貼り付けておけば、基材上に不織布が堆積される。
【0076】
<不織布の用途>
本発明の実施の形態に係る不織布は、二次電池または電気二重層キャパシターといった蓄電素子用のセパレーター、吸音材、電磁波シールド材、分離フィルター、または耐熱バグフィルターといった繊維製品に好適に用いることができる。特に、蓄電素子用セパレーターに用いた場合は、耐熱性の高いセパレーターとして、蓄電素子の安全性を高めることができる。
【0077】
本発明の実施の形態に係る二次電池または電気二重層キャパシターは、正極と負極との間のセパレーターとして、上述のセパレーターを有する。このような二次電池または電気二重層キャパシターは、上述のセパレーターを介して電極を複数積層させ、電解液と共に金属ケースなどの外装材にいれ、密封することで、得ることができる。
【実施例
【0078】
本発明をさらに詳細に説明するために実施例を用いて更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定して解釈されるものではない。なお、樹脂などの評価は以下の方法により行った。
【0079】
(1)不織布の作製
樹脂溶液を、電界紡糸装置(カトーテック(株)製、NEU ナノファイバーエレクトロスピニングユニット)を使用して、40μL/分で吐出し、アルミニウム箔上に目付5g/mとなるように不織布を形成した。ノズルには18ゲージ(内径0.94mm)のノンベベル針を用い、コレクターまでの距離は15cmとした。電圧を設定する際は、各サンプルについてノズルの先を目視で確認し、ノズルの先で樹脂溶液が円錐形(テイラーコーン)の形状を安定して保つようにした。得られたアルミニウム箔上の不織布を150℃で真空乾燥し、残留溶媒を除去した。得られた不織布は以下に記載する評価に供した。
【0080】
(2)繊維径の測定
不織布試料に、金をスパッタし、走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した。この時の加速電圧は5kV、倍率は10000倍とした。視野内の繊維を任意に30本選び、それらの繊維径(μm)の平均値を算出した。
【0081】
(3)耐熱性(熱収縮率)評価
10cm×2cmの大きさに切り取った各不織布試料を、イナートオーブン(光洋サーモシステム(株)製、INH-9)で、圧空雰囲気下300℃で1時間加熱した。長さ方向の寸法を測り、元の長さ(10cm)に対する、収縮による寸法変化の割合を求め、熱収縮率(%)とした。
【0082】
(4)耐薬品性評価
3cm×3cmの大きさに切り取った各不織布試料と、2mol/Lの濃度の塩酸水溶液100mLとを、500mLビーカーに入れ、シャーレで蓋をした状態で、40℃の恒温槽に3日間保管した。保管後の不織布に破れが見られないものを良、破れが見られたものを不良とした。
【0083】
(5)樹脂溶液の保存安定性評価
樹脂溶液を、室温25℃の室内で90日間保管した。保管中の溶液を目視で確認し、90日後まで析出、ゲル化、濁りのいずれも認められないものを「良」とし、いずれかの変化があったものは起こった変化と変化が起こるまでの日数を記載した。
【0084】
(6)サイクル特性評価
不織布を用い、電池としてのサイクル特性を以下の方法で評価した。充放電特性を測定する上で、HSセル(宝泉(株)製)を用い、リチウムイオン電池の組み立てはアルゴン雰囲気下でおこなった。負極には、黒鉛製の活物質を3.2Ah/cmとなるように銅箔に焼成したもの(宝泉(株)製)を直径16mmの円形に打ち抜いたものを使用した。セパレーターには、前記不織布を直径24mmに打ち抜いたものを使用した。正極には、コバルト酸リチウム製の活物質を3.0Ah/cmとなるようにアルミ箔に焼成したもの(宝泉(株)製)を直径16mmに打ち抜いたものを使用した。これらを順に重ね、電解液としてLBG-00022(キシダ化学(株)製)1mLを注入した上で封入して、評価用電池セルを得た。
【0085】
上記のようにして作製した評価用電池セルを、充放電測定装置(アスカ電子(株)製、製品名「ACD-01充放電試験装置」を用いて充放電評価をおこなった。充放電条件としては、6mAの定電流で電池電圧が4.6Vになるまで充電し、さらに4.6Vの定電圧で充電開始から計2時間30分に達するまで充電させた後、30分間休止させ、6mAの定電流で電池電圧が2.7Vになるまで放電させることを、1サイクルとした。同様の条件での充放電を繰り返し、電池電圧が内部短絡により2.3V以下になり、異常停止するまでのサイクル数を求めた。
【0086】
合成例1:樹脂A-1の合成
乾燥窒素気流下、フラスコ内で、N,N-ジメチルアセトアミド(富士フイルム和光純薬(株)製、製品名「N,N-ジメチルアセトアミド(超脱水)、以下、DMAc」82.13gに、p-フェニレンジアミン(富士フイルム和光純薬(株)製、以下、PDA)10.27g(0.095mol)を溶解させた。そこへ、イソホロンジイソシアネート(東京化成工業(株)製、製品名「Isophorone Diisocyanate(mixture of isomers)」、以下、IPDI)22.23g(0.10mol)を少しずつ加えてから、フラスコを60℃の油浴に浸けて4時間撹拌した。その後、ステアリルアミン(東京化成工業(株)製、製品名「Stearylamine」)2.70g(0.01mol)をフラスコ内へ加え、60℃の油浴で2時間撹拌し、樹脂A-1の30質量%DMAc溶液を得た。樹脂A-1は、一般式(1)で表される構造を全構造中50モル%以上(実質100モル%)含み、主鎖の末端に炭素数18のアルキル基を有し、一般式(1)中のXが-NH-で表される構造であり、Rが環状の脂肪族炭化水素基であり、Rが一般式(4)で表される構造に該当するものである。
【0087】
合成例2:樹脂A-2の合成
乾燥窒素気流下、フラスコ内で、DMAc113.19gに、3,3’-ジアミノジフェニルスルホン(東京化成工業(株)製、製品名「Bis(3-aminophenyl) Sulfone」、以下、3,3’-DDS)23.59g(0.095mol)を溶解させた。そこへ、IPDI22.23g(0.10mol)を少しずつ加えてから、フラスコを60℃の油浴に浸けて4時間撹拌した。その後、ステアリルアミン2.70g(0.01mol)をフラスコ内へ加え、60℃の油浴で2時間撹拌し、樹脂A-2の30質量%DMAc溶液を得た。樹脂A-2は、一般式(1)で表される構造を全構造中50モル%以上(実質100モル%)含み、主鎖の末端に炭素数18のアルキル基を有し、一般式(1)中のXが-NH-で表される構造であり、Rが環状の脂肪族炭化水素基であり、Rが一般式(5)で表される構造に該当するものである。
【0088】
合成例3:樹脂A-3の合成
乾燥窒素気流下、フラスコ内で、DMAc77.55gに、PDA10.27g(0.095mol)を溶解させた。そこへ、IPDI22.23g(0.10mol)を少しずつ加えてから、フラスコを60℃の油浴に浸けて4時間撹拌した。その後、ブチルアミン(東京化成工業(株)製、製品名「Butylamine」)0.73g(0.01mol)をフラスコ内へ加え、60℃の油浴で2時間撹拌し、樹脂A-3の30質量%DMAc溶液を得た。樹脂A-3は、一般式(1)で表される構造を全構造中50モル%以上(実質100モル%)含み、主鎖の末端に炭素数4のアルキル基を有し、一般式(1)中のXが-NH-で表される構造であり、Rが環状の脂肪族炭化水素基であり、Rが一般式(4)で表される構造に該当するものである。
【0089】
合成例4:樹脂B-1の合成
乾燥窒素気流下、フラスコ内で、DMAc75.02gに、プロピレングリコール(ナカライテスク(株)製、以下、PG)7.23g(0.095mol)と、IPDI22.23g(0.10mol)とを投入し、液が均一になったところで、ステアリルアミン2.70g(0.01mol)を加えた。フラスコを60℃の油浴に浸けて2時間撹拌した後、油浴を120℃に昇温し、4時間撹拌した。適量のDMAcで希釈し、樹脂B-1の30質量%DMAc溶液を得た。樹脂B-1は、一般式(1)~(3)で表される構造を含まず、主鎖の末端に炭素数18のアルキル基を有するものである。
【0090】
合成例5:樹脂A-4の合成
乾燥窒素気流下、フラスコ内で、DMAc82.02gに、PDA10.27g(0.095mol)を溶解させた。そこへ、IPDI22.23g(0.10mol)を少しずつ加えてから、フラスコを60℃の油浴に浸けて4時間撹拌した。その後、2-(ペルフルオロブチル)エタノール(東京化成工業(株)製、製品名「1H,1H,2H,2H-Nonafluoro-1-hexanol」)2.65g(0.01mol)をフラスコ内へ加え、60℃の油浴で2時間撹拌し、樹脂A-4の30質量%DMAc溶液を得た。樹脂A-4は、一般式(1)表される構造を全構造中50モル%以上(実質100モル%)含み、主鎖の末端に炭素数6のフルオロアルキル基を有し、一般式(1)中のXが-NH-で表される構造であり、Rが環状の脂肪族炭化水素基であり、Rが一般式(4)で表される構造に該当するものである。
【0091】
合成例6:樹脂A-5の合成
乾燥窒素気流下、フラスコ内で、DMAc82.03gに、PDA10.81g(0.10mol)を溶解させた。そこへ、IPDI21.12g(0.095mol)を少しずつ加えてから、フラスコを60℃の油浴に浸けて4時間撹拌した。その後、イソシアン酸ドデシル(東京化成工業(株)製、製品名「Dodecyl Isocyanate」)2.11g(0.01mol)をフラスコ内へ加え、60℃の油浴で2時間撹拌し、樹脂A-5の30質量%DMAc溶液を得た。樹脂A-5は、一般式(1)で表される構造を全構造中50モル%以上(実質100モル%)含み、主鎖の末端に炭素数12のアルキル基を有し、一般式(1)中のXが-NH-で表される構造であり、Rが環状の脂肪族炭化水素基であり、Rが一般式(4)で表される構造に該当するものである。
【0092】
合成例7:樹脂A-6の合成
乾燥窒素気流下、フラスコ内で、DMAc86.08gに、PDA10.27g(0.095mol)を溶解させた。そこへ、IPDI22.23g(0.10mol)を少しずつ加えてから、フラスコを60℃の油浴に浸けて4時間撹拌した。その後、ノナコサン酸(東京化成工業(株)製、製品名「Nonacosanoic Acid」)4.39g(0.01mol)をフラスコ内へ加え、60℃の油浴で2時間撹拌し、樹脂A-6の30質量%DMAc溶液を得た。樹脂A-6は、一般式(1)で表される構造を全構造中50モル%以上(実質100モル%)含み、主鎖の末端に炭素数29のアルキル基を有し、一般式(1)中のXが-NH-で表される構造であり、Rが環状の脂肪族炭化水素基であり、Rが一般式(4)で表される構造に該当するものである。
【0093】
合成例8:樹脂A-7の合成
乾燥窒素気流下、フラスコ内で、DMAc89.84gに、PDA10.27g(0.095mol)を溶解させた。そこへ、IPDI22.23g(0.10mol)を少しずつ加えてから、フラスコを60℃の油浴に浸けて4時間撹拌した。その後、1H,1H-ペルフルオロ-1-ドデカノール(東京化成工業(株)製、製品名「1H,1H-Tricosafluoro-1-dodecanol」)6.00g(0.01mol)をフラスコ内へ加え、60℃の油浴で2時間撹拌し、樹脂A-7の30質量%DMAc溶液を得た。樹脂A-7は、一般式(1)で表される構造を全構造中50モル%以上(実質100モル%)含み、主鎖の末端に炭素数12のフルオロアルキル基を有し、一般式(1)中のXが-NH-で表される構造であり、Rが環状の脂肪族炭化水素基であり、Rが一般式(4)で表される構造に該当するものである。
【0094】
合成例9:樹脂A-8の合成
乾燥窒素気流下、フラスコ内で、DMAc78.01gに、PDA4.33g(0.04mol)とPG4.18g(0.055mol)を溶解させた。そこへ、IPDI22.23g(0.10mol)を少しずつ加えてから、フラスコを60℃の油浴に浸けて4時間撹拌した。続いて、ステアリルアミン2.70g(0.01mol)をフラスコ内へ加え、60℃の油浴で2時間撹拌した。その後、油浴を120℃に昇温し、4時間撹拌した。適量のDMAcで希釈し、樹脂A-8の30質量%DMAc溶液を得た。樹脂A-8は、一般式(1)で表される構造を全構造中42モル%含み、主鎖の末端に炭素数18のアルキル基を有し、一般式(1)中のXが-NH-で表される構造であり、Rが環状の脂肪族炭化水素基であり、Rが一般式(4)で表される構造に該当するものである。
【0095】
合成例10:樹脂A-9の合成
乾燥窒素気流下、フラスコ内で、DMAc82.13gに、PDA10.27g(0.095mol)を溶解させた。そこへ、ジフェニルメタンジイソシアネート(東京化成工業(株)製、製品名「Methylenediphenyl 4,4’-Diisocyanate」、以下、MDI)22.23g(0.10mol)を少しずつ加えてから、フラスコを60℃の油浴に浸けて4時間撹拌した。その後、ステアリルアミン2.70g(0.01mol)をフラスコ内へ加え、60℃の油浴で2時間撹拌し、樹脂A-9の30質量%DMAc溶液を得た。樹脂A-9は、一般式(1)で表される構造を全構造中50モル%以上(実質100モル%)含み、主鎖の末端に炭素数18のアルキル基を有し、前記一般式(1)中のXが-NH-で表される構造であり、Rが芳香族炭化水素基であり、Rが上記一般式(4)で表される構造に該当するものである。
【0096】
合成例11:樹脂A-10の合成
乾燥窒素気流下、フラスコ内で、DMAc69.51gに、PDA10.27g(0.095mol)を溶解させた。そこへ、ヘキサメチレンジイソシアネート(東京化成工業工業(株)製、製品名「Hexamethylene Diisocyanate」、以下、HMDI)16.82g(0.10mol)を少しずつ加えてから、フラスコを60℃の油浴に浸けて4時間撹拌した。その後、ステアリルアミン2.70g(0.01mol)をフラスコ内へ加え、60℃の油浴で2時間撹拌し、樹脂A-10の30質量%DMAc溶液を得た。樹脂A-10は、一般式(1)で表される構造を全構造中50モル%以上(実質100モル%)含み、主鎖の末端に炭素数18のアルキル基を有し、一般式(1)中のXが-NH-で表される構造であり、Rが鎖状の脂肪族炭化水素基であり、Rが一般式(4)で表される構造に該当するものである。
【0097】
合成例12:樹脂A-11の合成
乾燥窒素気流下、フラスコ内で、DMAc83.92gに、ヘキサメチレンジアミン(富士フイルム和光純薬(株)製、以下、HMDA)11.04g(0.095mol)を溶解させた。そこへ、IPDI22.23g(0.10mol)を少しずつ加えてから、フラスコを60℃の油浴に浸けて4時間撹拌した。その後、ステアリルアミン2.70g(0.01mol)をフラスコ内へ加え、60℃の油浴で2時間撹拌し、樹脂A-11の30質量%DMAc溶液を得た。樹脂A-11は、一般式(1)で表される構造を全構造中50モル%以上(実質100モル%)含み、主鎖の末端に炭素数18のアルキル基を有し、一般式(1)中のXが-NH-で表される構造であり、Rが環状の脂肪族炭化水素基であり、Rが芳香環を含まないものである。
【0098】
合成例13:樹脂A-12の合成
乾燥窒素気流下、フラスコ内で、DMAc122.96gに、1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン(東京化成工業(株)製、製品名「1,3-Bis(3-aminophenoxy)benzene」、以下、APB-N)27.77g(0.095mol)を溶解させた。そこへ、IPDI22.23g(0.10mol)を少しずつ加えてから、フラスコを60℃の油浴に浸けて4時間撹拌した。その後、ステアリルアミン2.70g(0.01mol)をフラスコ内へ加え、60℃の油浴で2時間撹拌し、樹脂A-12の30質量%DMAc溶液を得た。樹脂A-12は、一般式(1)で表される構造を全構造中50モル%以上(実質100モル%)含み、主鎖の末端に炭素数18のアルキル基を有し、一般式(1)中のXが-NH-で表される構造であり、Rが環状の脂肪族炭化水素基であり、Rが芳香環を含むが一般式(4)および一般式(5)とは異なる構造であるものである。
【0099】
合成例14:樹脂A-13の合成
乾燥窒素気流下、フラスコ内で、DMAc105.77gに、APB-N16.08g(0.055mol)とPDA4.33g(0.040mol)を溶解させた。そこへ、IPDI22.23g(0.10mol)を少しずつ加えてから、フラスコを60℃の油浴に浸けて4時間撹拌した。その後、ステアリルアミン2.70g(0.01mol)をフラスコ内へ加え、60℃の油浴で2時間撹拌し、樹脂A-13の30質量%DMAc溶液を得た。樹脂A-13は、一般式(1)で表される構造を全構造中50モル%以上(実質100モル%)含み、主鎖の末端に炭素数18のアルキル基を有し、一般式(1)中のXが-NH-で表される構造であり、Rが環状の脂肪族炭化水素基であり、Rの42モル%が一般式(4)および一般式(5)で表される構造に該当するものである。
【0100】
合成例15:樹脂C-1の合成
乾燥窒素気流下、フラスコ内で、DMAc83.90gに、イソフタル酸(東京化成工業(株)製、製品名「Isophthalic Acid」、以下、IPA)11.03g(0.095mol)を溶解させた。そこへ、IPDI22.23g(0.10mol)を少しずつ加えてから、液が均一になったところでステアリルアミン2.70g(0.01mol)を加えた。フラスコを60℃の油浴に浸けて2時間撹拌した後、油浴を160℃に昇温し、4時間撹拌した。適量のDMAcで希釈し、樹脂C-1の30質量%DMAc溶液を得た。樹脂C-1は、一般式(1)表される構造を全構造中50モル%以上(実質100モル%)含み、主鎖の末端に炭素数18のアルキル基を有し、一般式(1)中のXが単結合で表される構造であり、Rが環状の脂肪族炭化水素基であり、Rが一般式(4)で表される構造に該当するものである。
【0101】
合成例16:樹脂C-2の合成
乾燥窒素気流下、フラスコ内で、DMAc79.32gに、IPA11.03g(0.095mol)を溶解させた。そこへ、IPDI22.23g(0.10mol)を少しずつ加えてから、液が均一になったところでブチルアミン0.73g(0.01mol)を加えた。フラスコを60℃の油浴に浸けて2時間撹拌した後、油浴を160℃に昇温し、4時間撹拌した。適量のDMAcで希釈し、樹脂C-2の30質量%DMAc溶液を得た。樹脂C-2は、一般式(1)表される構造を全構造中50モル%以上(実質100モル%)含み、主鎖の末端に炭素数4のアルキル基を有し、一般式(1)中のXが単結合で表される構造であり、Rが環状の脂肪族炭化水素基であり、Rが一般式(4)で表される構造に該当するものである。
【0102】
合成例17:樹脂C-3の合成
乾燥窒素気流下、フラスコ内で、DMAc78.76gに、IPA4.65g(0.040mol)とPG4.18g(0.055mol)を溶解させた。そこへ、IPDI22.23g(0.10mol)を少しずつ加えてから、液が均一になったところでステアリルアミン2.70g(0.01mol)を加えた。フラスコを60℃の油浴に浸けて2時間撹拌した後、油浴を160℃に昇温し、4時間撹拌した。適量のDMAcで希釈し、樹脂C-3の30質量%DMAc溶液を得た。樹脂C-3は、一般式(1)表される構造を全構造中42モル%含み、主鎖の末端に炭素数18のアルキル基を有し、一般式(1)中のXが単結合で表される構造であり、Rが環状の脂肪族炭化水素基であり、Rが一般式(4)で表される構造に該当するものである。
【0103】
合成例18:樹脂C-4の合成
乾燥窒素気流下、フラスコ内で、DMAc109.07gに、IPA11.03g(0.095mol)を溶解させた。そこへ、MDI25.03g(0.10mol)を少しずつ加えてから、液が均一になったところでステリアリルアミン2.70g(0.01mol)を加えた。フラスコを60℃の油浴に浸けて2時間撹拌した後、油浴を160℃に昇温し、4時間撹拌した。適量のDMAcで希釈し、樹脂C-4の30質量%DMAc溶液を得た。樹脂C-4は、一般式(1)表される構造を全構造中50モル%以上(実質100モル%)含み、主鎖の末端に炭素数18のアルキル基を有し、一般式(1)中のXが単結合で表され、Rが芳香族炭化水素基であり、Rが一般式(4)で表される構造に該当するものである。
【0104】
合成例19:樹脂C-5の合成
乾燥窒素気流下、フラスコ内で、DMAc89.92gに、IPA11.03g(0.095mol)を溶解させた。そこへ、HMDI16.82g(0.10mol)を少しずつ加えてから、液が均一になったところでステリアリルアミン2.70g(0.01mol)を加えた。フラスコを60℃の油浴に浸けて2時間撹拌した後、油浴を160℃に昇温し、4時間撹拌した。適量のDMAcで希釈し、樹脂C-5の30質量%DMAc溶液を得た。樹脂C-5は、一般式(1)表される構造を全構造中50モル%以上(実質100モル%)含み、主鎖の末端に炭素数18のアルキル基を有し、一般式(1)中のXが単結合で表され、Rが鎖状の脂肪族炭化水素基であり、Rが一般式(4)で表される構造に該当するものである。
【0105】
合成例20:樹脂C-6の合成
乾燥窒素気流下、フラスコ内で、DMAc90.55gに、アジピン酸(富士フイルム和光純薬(株)製)13.88g(0.095mol)を溶解させた。そこへ、IPDI22.23g(0.10mol)を少しずつ加えてから、液が均一になったところでステリアリルアミン2.70g(0.01mol)を加えた。フラスコを60℃の油浴に浸けて2時間撹拌した後、油浴を160℃に昇温し、4時間撹拌した。適量のDMAcで希釈し、樹脂C-6の30質量%DMAc溶液を得た。樹脂C-6は、一般式(1)表される構造を全構造中50モル%以上(実質100モル%)含み、主鎖の末端に炭素数18のアルキル基を有し、一般式(1)中のXが単結合で表される構造であり、Rが環状の脂肪族炭化水素基であり、Rが芳香環を含まない構造であるものである。
【0106】
合成例21:樹脂C-7の合成
乾燥窒素気流下、フラスコ内で、DMAc106.08gに、1,4-ナフタレンテトラカルボン酸(東京化成工業(株)製、製品名「1,4-Naphthalenedicarboxylic Acid」、以下、NTDCA)20.54g(0.095mol)を溶解させた。そこへ、IPDI22.23g(0.10mol)を少しずつ加えてから、液が均一になったところでステアリルアミン2.70g(0.01mol)を加えた。フラスコを60℃の油浴に浸けて2時間撹拌した後、油浴を160℃に昇温し、4時間撹拌した。適量のDMAcで希釈し、樹脂C-7の30質量%DMAc溶液を得た。樹脂C-7は、一般式(1)で表される構造を全構造中50モル%以上(実質100モル%)含み、主鎖の末端に炭素数18のアルキル基を有し、一般式(1)中のXが単結合で表される構造であり、Rが環状の脂肪族炭化水素基であり、Rが芳香環を含むが、一般式(4)または(5)とは異なる構造であるものである。
【0107】
合成例22:樹脂C-8の合成
乾燥窒素気流下、フラスコ内で、DMAc96.74gに、IPA4.65g(0.040mol)と、NTDCA11.89g(0.055mol)を溶解させた。そこへ、IPDI22.23g(0.10mol)を少しずつ加えてから、液が均一になったところでステアリルアミン2.70g(0.01mol)を加えた。フラスコを60℃の油浴に浸けて2時間撹拌した後、油浴を160℃に昇温し、4時間撹拌した。適量のDMAcで希釈し、樹脂C-8の30質量%DMAc溶液を得た。樹脂C-8は、一般式(1)で表される構造を全構造中50モル%以上(実質100モル%)含み、主鎖の末端に炭素数18のアルキル基を有し、一般式(1)中のXが-NH-で表される構造であり、Rが環状の脂肪族炭化水素基であり、Rの42モル%が一般式(4)で表される構造に該当するものである。
【0108】
合成例23:樹脂D-1の合成
乾燥窒素気流下、フラスコ内で、N-メチルピロリドン(三菱ケミカル(株)製、以下、NMP)123.06gに、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル(和歌山精化工業(株)製、以下、ODA)19.02g(0.095mol)を溶解させた。そこへ、オキシジフタル酸無水物(マナック(株)製、以下、ODPA)31.02g(0.10mol)を加えてから、フラスコを40℃の油浴に浸けて2時間撹拌した。さらに、ステアリルアミン2.70g(0.01mol)をフラスコ内へ加えた後、油浴を200℃に昇温し、4時間撹拌した。適量のNMPで希釈し、樹脂D-1の30質量%NMP溶液を得た。樹脂D-1は、一般式(2)で表される構造を全構造中50モル%以上(実質100モル%)含み、主鎖の末端に炭素数18のアルキル基を有し、Rが一般式(7)で表される構造に該当するものである。
【0109】
合成例24:樹脂D-2の合成
乾燥窒素気流下、フラスコ内で、NMP98.82gに、PG4.18g(0.055mol)とステアリルアミン2.70g(0.01mol)を溶解させた。そこへ、MDI25.03g(0.10mol)を加えてから、フラスコを60℃の油浴に浸けて2時間撹拌した。さらに、ODPA12.41g(0.040mol)をフラスコ内へ加えた後、油浴を160℃に昇温し、4時間撹拌した。適量のNMPで希釈し、樹脂D-2の30質量%NMP溶液を得た。樹脂D-2は、一般式(2)で表される構造を全構造中42モル%含み、主鎖の末端に炭素数18のアルキル基を有し、Rが一般式(7)で表される構造に該当するものである。
【0110】
合成例25:樹脂D-3の合成
乾燥窒素気流下、フラスコ内で、NMP118.48gに、ODA19.02g(0.095mol)を溶解させた。そこへ、ODPA31.02g(0.10mol)を加えてから、フラスコを40℃の油浴に浸けて2時間撹拌した。さらに、ブチルアミン0.73g(0.01mol)をフラスコ内へ加えた後、油浴を200℃に昇温し、4時間撹拌した。適量のNMPで希釈し、樹脂D-3の30質量%NMP溶液を得た。樹脂D-3は、一般式(2)で表される構造を全構造中50モル%以上(実質100モル%)含み、主鎖の末端に炭素数4のアルキル基を有し、Rが一般式(7)で表される構造に該当するものである。
【0111】
合成例26:樹脂D-4の合成
乾燥窒素気流下、フラスコ内で、NMP143.47gに、APB-N27.77g(0.095mol)を溶解させた。そこへ、ODPA31.02g(0.10mol)を加えてから、フラスコを40℃の油浴に浸けて2時間撹拌した。さらに、ステアリルアミン2.70g(0.01mol)をフラスコ内へ加えた後、油浴を200℃に昇温し、4時間撹拌した。適量のNMPで希釈し、樹脂D-4の30質量%NMP溶液を得た。樹脂D-4は、一般式(2)で表される構造を全構造中50モル%以上(実質100モル%)含み、主鎖の末端に炭素数18のアルキル基を有し、Rが芳香環を含むが、一般式(6)および一般式(7)で表される構造とは異なる構造であるものである。
【0112】
合成例27:樹脂D-5の合成
乾燥窒素気流下、フラスコ内で、NMP104.43gに、HMDA11.04g(0.095mol)を溶解させた。そこへ、ODPA31.02g(0.10mol)を加えてから、フラスコを40℃の油浴に浸けて2時間撹拌した。さらに、ステアリルアミン2.70g(0.01mol)をフラスコ内へ加えた後、油浴を200℃に昇温し、4時間撹拌した。適量のNMPで希釈し、樹脂D-5の30質量%NMP溶液を得た。樹脂D-5は、一般式(2)で表される構造を全構造中50モル%以上(実質100モル%)含み、主鎖の末端に炭素数18のアルキル基を有し、Rが芳香環を含まない構造であるものである。
【0113】
合成例28:樹脂E-1の合成
乾燥窒素気流下、フラスコ内で、DMAc99.12gに、トリメリト酸無水物(富士フイルム和光純薬(株)製、以下、TMA)18.25g(0.095mol)を溶解させた。そこへ、ステアリルアミン2.70g(0.01mol)を加えてから、フラスコを40℃の油浴に浸けて2時間撹拌した。さらに、2,4-ジイソシアン酸トリレン(富士フイルム和光純薬(株)製、以下、TDI)11.32g(0.065mol)とo-トリジンジイソシアネート(日本曹達(株)製、商品名「TODI」、以下、TODI)9.25g(0.035mol)を加えた後、油浴を160℃に昇温し、4時間撹拌した。適量のDMAcで希釈し、樹脂E-1の30質量%DMAc溶液を得た。樹脂E-1は、一般式(3)で表される構造を全構造中50モル%以上(実質100モル%)含み、主鎖の末端に炭素数18のアルキル基を有し、Rが一般式(8)と一般式(9)で表される構造に該当するものである。
【0114】
合成例29:樹脂E-2の合成
乾燥窒素気流下、フラスコ内で、DMAc94.53gに、TMA18.25g(0.095mol)を溶解させた。そこへ、ブチルアミン0.73g(0.01mol)を加えてから、フラスコを40℃の油浴に浸けて2時間撹拌した。さらに、TDI11.32g(0.065mol)とTODI9.25g(0.035mol)を加えた後、油浴を160℃に昇温し、4時間撹拌した。適量のDMAcで希釈し、樹脂E-2の30質量%DMAc溶液を得た。樹脂E-2は、一般式(3)で表される構造を全構造中50モル%以上(実質100モル%)含み、主鎖の末端に炭素数4のアルキル基を有し、Rが一般式(8)と一般式(9)で表される構造に該当するものである。
【0115】
合成例30:樹脂E-3の合成
乾燥窒素気流下、フラスコ内で、DMAc119.28gに、PG4.18g(0.055mol)とステアリルアミン2.70g(0.01mol)を溶解させた。そこへ、MDI25.03g(0.10mol)を加えてから、フラスコを60℃の油浴に浸けて2時間撹拌した。さらに、TMA7.69g(0.04mol)を加えた後、油浴を160℃に昇温し、4時間撹拌した。適量のDMAcで希釈し、樹脂E-3の30質量%DMAc溶液を得た。樹脂E-2は、一般式(3)で表される構造を全構造中42モル%含み、主鎖の末端に炭素数18のアルキル基を有し、Rが一般式(9)で表される構造であるものである。
【0116】
合成例31:樹脂E-4の合成
乾燥窒素気流下、NMP100.22gにAPB-N27.77g(0.095mol)を溶解させた。その後、フラスコを氷冷し、NMP20.00gに溶解させた無水トリメリット酸クロライド(日本精化(株)製、以下、TAC)21.06g(0.10mol)を溶液の温度を30℃以下に保ちながら滴下した。全量を仕込んだ後30℃で6時間反応させた。この溶液を水2Lに投入し、得られた沈殿を濾別し、水1Lで3回洗浄した。洗浄後の固体を通風オーブンで3日間乾燥させ、樹脂E-4の固体を得た。この固体をDMAcに固形分が30質量%になるように溶解し、樹脂E-4の30%DMAc溶液を得た。樹脂E-4は、一般式(3)で表される構造を全構造中50モル%以上(実質100モル%)含み、主鎖の末端に炭素数18のアルキル基を有し、Rが芳香環を含むが、一般式(8)および一般式(9)で表される構造とは異なる構造であるものである。
【0117】
合成例32:樹脂E-5の合成
乾燥窒素気流下、NMP72.70gにHMDA15.98g(0.095mol)を溶解させた。その後、フラスコを氷冷し、NMP20.00gに溶解させたTAC21.06g(0.10mol)を溶液の温度を30℃以下に保ちながら滴下した。全量を仕込んだ後30℃で6時間反応させた。この溶液を水2Lに投入し、得られた沈殿を濾別し、水1Lで3回洗浄した。洗浄後の固体を通風オーブンで3日間乾燥させ、樹脂E-5の固体を得た。この固体をDMAcに固形分が30質量%になるように溶解し、樹脂E-5の30%DMAc溶液を得た。樹脂E-5は、一般式(3)で表される構造を全構造中50モル%以上(実質100モル%)含み、主鎖の末端に炭素数18のアルキル基を有し、Rが芳香環を含まない構造であるものである。
【0118】
[実施例1]
樹脂A-1の30質量%DMAc溶液を用いて、上記「(1)不織布の作製」に従い、不織布を得た。上記「(2)繊維径の測定」の方法で繊維径を測定したところ、0.89μmであった。不織布を、上記「(3)耐熱性(熱収縮率)評価」の方法で熱処理し、収縮率を求めたところ、熱収縮率は1.2%であった。上記「(4)耐薬品性評価」に従って、不織布の耐薬品性を評価したところ、破れは見られなかった。また、樹脂A-1の30質量%溶液を、上記「(5)樹脂溶液の保存安定性評価」に記載の方法で保管し、変化を確認したところ、いずれの変化も見られなかった。さらに、得られた不織布を用いて、上記「(6)サイクル特性評価」に従って、評価用電池セルの短絡までのサイクル数を測定したところ、500回を超えても短絡は見られなかった。
【0119】
[実施例2]
樹脂A-1の30質量%DMAc溶液を濃縮し、得られた固体をジメチルスルホキシド(富士フイルム和光純薬(株)製、以下、DMSO)に固形分濃度が30質量%になるようにして、樹脂Aの30質量%DMSO溶液を得た。この溶液を用いて、上記「(1)不織布の作製」に従い、不織布を得た。上記「(2)繊維径の測定」の方法で繊維径を測定したところ、2.2μmであった。不織布を、上記「(3)耐熱性(熱収縮率)評価」の方法で熱処理し、収縮率を求めたところ、熱収縮率は2.1%であった。上記「(4)耐薬品性評価」に従って、不織布の耐薬品性を評価したところ、破れは見られなかった。また、樹脂A-1の30質量%DMSO溶液を、上記「(5)樹脂溶液の保存安定性評価」に記載の方法で保管し、変化を確認したところ、いずれの変化も見られなかった。さらに、得られた不織布を用いて、上記「(6)サイクル特性評価」に従って、評価用電池セルの短絡までのサイクル数を測定したところ、500回を超えても短絡は見られなかった。
【0120】
[実施例3]
樹脂Aの30質量%DMAc溶液を濃縮し、樹脂Aの70質量%DMAc溶液を得た。この溶液を用いて、上記「(1)不織布の作製」に従い、不織布を得た。上記「(2)繊維径の測定」の方法で繊維径を測定したところ、1.5μmであった。不織布を、上記「(3)耐熱性(熱収縮率)評価」の方法で熱処理し、収縮率を求めたところ、熱収縮率は2.4%であった。上記「(4)耐薬品性評価」に従って、不織布の耐薬品性を評価したところ、破れは見られなかった。また、樹脂A-1の70質量%DMAc溶液を、上記「(5)樹脂溶液の保存安定性評価」に記載の方法で保管し、変化を確認したところ、45日後にゲル化が確認された。さらに、得られた不織布を用いて、上記「(6)サイクル特性評価」に従って、評価用電池セルの短絡までのサイクル数を測定したところ、500回を超えても短絡は見られなかった。
【0121】
[実施例4]
樹脂A-1の30質量%DMAc溶液をDMAcで希釈し、樹脂A-1の10質量%DMAc溶液を得た。この溶液を用いて、上記「(1)不織布の作製」に従い、不織布を得た。上記「(2)繊維径の測定」の方法で繊維径を測定したところ、0.72μmであった。不織布を、上記「(3)耐熱性(熱収縮率)評価」の方法で熱処理し、収縮率を求めたところ、熱収縮率は3.5%であった。上記「(4)耐薬品性評価」に従って、不織布の耐薬品性を評価したところ、破れは見られなかった。また、樹脂A-1の10質量%DMAc溶液を、上記「(5)樹脂溶液の保存安定性評価」に記載の方法で保管し、変化を確認したところ、いずれの変化も見られなかった。さらに、得られた不織布を用いて、上記「(6)サイクル特性評価」に従って、評価用電池セルの短絡までのサイクル数を測定したところ、500回を超えても短絡は見られなかった。
【0122】
[実施例5]
樹脂A-1の30質量%DMAc溶液を樹脂A-2の30質量%DMAc溶液に変更した以外は、実施例1と同様にして不織布を作製し、繊維径の算出と、耐熱性、耐薬品性および溶液の保存安定性の評価をおこなった。繊維径は0.93μm、熱収縮率は1.4%であった。耐薬品性試験では破れは見られなかった。溶液の保存安定性評価では、いずれの変化も見られなかった。さらに、得られた不織布を用いた評価用電池セルのサイクル特性評価では、500回を超えても短絡は見られなかった。
【0123】
[比較例1]
樹脂A-1の30質量%DMAc溶液を樹脂A-3の30質量%DMAc溶液に変更した以外は、実施例1と同様にして不織布を作製し、繊維径の算出と、耐熱性、耐薬品性および溶液の保存安定性の評価をおこなった。繊維径は3.5μm、熱収縮率は0.82%であった。耐薬品性試験では破れは見られなかった。溶液の保存安定性評価では、いずれの変化も見られなかった。さらに、得られた不織布を用いた評価用電池セルのサイクル特性評価では、160回を超えたところで内部短絡により充放電が停止した。
【0124】
[比較例2]
樹脂A-1の30質量%DMAc溶液を樹脂B-1の30質量%DMAc溶液に変更した以外は、実施例1と同様にして不織布を作製し、繊維径の算出と、耐熱性、耐薬品性および溶液の保存安定性の評価をおこなった。繊維径は0.86μm、熱収縮率は45%であった。耐薬品性試験では破れが見られた。溶液の保存安定性評価では、いずれの変化も見られなかった。さらに、得られた不織布を用いた評価用電池セルのサイクル特性評価では、250回を超えたところで内部短絡により充放電が停止した。
【0125】
[実施例6~12,15,23,24,27,28、参考例1~13、比較例3~5]
使用する樹脂溶液を表1のとおりになるよう変更した以外は実施例1と同様にして不織布を作製し、繊維径の算出と、耐熱性、耐薬品性、溶液の保存安定性および評価用電池セルのサイクル特性の評価をおこなった。
【0126】
実施例1~12,15,23,24,27,28、参考例1~13、比較例1~5の評価結果を表1に示す。なお、「サイクル特性」欄の数字は、>500とあるのは500回を超えても短絡は見られなかったものであり、それ以外の数字は、その数字の回数を超えたところで内部短絡により充放電が停止したものである。
【0127】
【表1】
【0128】
本出願は、2017年07月03日出願の日本国特許出願、特願2017-130082に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれうる。