(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-10
(45)【発行日】2023-01-18
(54)【発明の名称】シーラントタイヤの製造装置及びシーラントタイヤの製造方法
(51)【国際特許分類】
B29D 30/08 20060101AFI20230111BHJP
C08J 3/22 20060101ALI20230111BHJP
【FI】
B29D30/08
C08J3/22 CES
(21)【出願番号】P 2019001303
(22)【出願日】2019-01-08
【審査請求日】2021-11-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000183233
【氏名又は名称】住友ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104134
【氏名又は名称】住友 慎太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100156225
【氏名又は名称】浦 重剛
(74)【代理人】
【識別番号】100168549
【氏名又は名称】苗村 潤
(74)【代理人】
【識別番号】100200403
【氏名又は名称】石原 幸信
(72)【発明者】
【氏名】湯川 直樹
【審査官】増永 淳司
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-078447(JP,A)
【文献】特開2018-065350(JP,A)
【文献】特開2016-078457(JP,A)
【文献】特表2020-515654(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29D 30/08
C08J 3/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加硫成形された空気入りタイヤの内周面にシーラント材が塗布されたシーラントタイヤの製造装置であって、
前記シーラント材を調製する押出機と、
複数の原料を前記押出機に供給する供給装置と、
前記押出機に接続され、かつ、前記シーラント材を前記空気入りタイヤの前記内周面に塗布する塗布装置とを含み、
前記複数の原料は、少なくとも固形ゴム
とフィラーと可塑剤とを含む第1原料を含み、
前記供給装置は、前記第1原料を前記押出機に予め混練りされたマスターバッチとして供給する第1供給装置を含み、
前記第1供給装置は、前記押出機の押出方向の最上流部に接続される、
シーラントタイヤの製造装置。
【請求項2】
前記第1供給装置は、前記マスターバッチをギアポンプから供給する、請求項1に記載のシーラントタイヤの製造装置。
【請求項3】
前記第1原料は、架橋助剤を含む、請求項
1又は2に記載のシーラントタイヤの製造装置。
【請求項4】
前記複数の原料は、少なくとも架橋剤を含む第2原料を含み、
前記供給装置は、前記第2原料を前記押出機に供給する第2供給装置を含み、
前記第2供給装置は、前記押出機の押出方向の最下流部に接続される、請求項
1ないし3のいずれか1項に記載のシーラントタイヤの製造装置。
【請求項5】
前記第2供給装置は、前記第2原料を粉体として粉体フィーダーから供給する、請求項
4に記載のシーラントタイヤの製造装置。
【請求項6】
加硫成形された空気入りタイヤの内周面にシーラント材が塗布されたシーラントタイヤの製造方法であって、
複数の原料を押出機に供給する供給工程と、
前記押出機から吐出された前記シーラント材を前記空気入りタイヤの前記内周面に塗布する塗布工程とを含み、
前記複数の原料は、少なくとも固形ゴム
とフィラーと可塑剤とを含む第1原料を含み、
前記供給工程は、第1段階として前記第1原料を前記押出機に供給する第1供給工程を含み、
前記第1供給工程は、前記第1原料を予め混練りしたマスターバッチとして供給する、
シーラントタイヤの製造方法。
【請求項7】
前記複数の原料は、少なくとも架橋剤を含む第2原料を含み、
前記供給工程は、最終段階として前記第2原料を前記押出機に供給する第2供給工程を含む、請求項
6に記載のシーラントタイヤの製造方法。
【請求項8】
前記複数の原料は、少なくとも1種の液状ゴムを含む第3原料を含み、
前記供給工程は、前記第1供給工程と前記第2供給工程との間に行われる中間供給工程を含み、
前記中間供給工程は、前記第3原料を前記押出機に供給する、請求項
7に記載のシーラントタイヤの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加硫成形された空気入りタイヤの内周面にシーラント材が塗布されたシーラントタイヤの製造装置及びシーラントタイヤの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、加硫成形された空気入りタイヤの内周面にシーラント材が塗布されたシーラントタイヤが知られている。例えば、下記特許文献1には、ペレット化したブチル系ゴム、粉体の架橋剤、及び粉体の架橋助剤を混合することにより調製されたシーラント材が内周面に塗布されたシーラントタイヤが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のシーラントタイヤの製造装置は、ペレット化した固形ゴムがペレットフィーダー内で固着し、供給不良が発生することがあった。このような供給不良を解消するためには、製造装置全体を停止させる必要があり、シーラント材の生産効率が低下する要因であった。
【0005】
本発明は、以上のような実状に鑑み案出されたもので、シーラント材の生産効率を向上させるシーラントタイヤの製造装置及びシーラントタイヤの製造方法を提供することを主たる目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、加硫成形された空気入りタイヤの内周面にシーラント材が塗布されたシーラントタイヤの製造装置であって、前記シーラント材を調製する押出機と、複数の原料を前記押出機に供給する供給装置と、前記押出機に接続され、かつ、前記シーラント材を前記空気入りタイヤの前記内周面に塗布する塗布装置とを含み、前記複数の原料は、少なくとも固形ゴムを含む第1原料を含み、前記供給装置は、前記第1原料を前記押出機に予め混練りされたマスターバッチとして供給する第1供給装置を含み、前記第1供給装置は、前記押出機の押出方向の最上流部に接続されることを特徴とする。
【0007】
本発明のシーラントタイヤの製造装置において、前記第1供給装置は、前記マスターバッチをギアポンプから供給するのが望ましい。
【0008】
本発明のシーラントタイヤの製造装置において、前記第1原料は、フィラーを含むのが望ましい。
【0009】
本発明のシーラントタイヤの製造装置において、前記第1原料は、可塑剤を含むのが望ましい。
【0010】
本発明のシーラントタイヤの製造装置において、前記第1原料は、架橋助剤を含むのが望ましい。
【0011】
本発明のシーラントタイヤの製造装置において、前記複数の原料は、少なくとも架橋剤を含む第2原料を含み、前記供給装置は、前記第2原料を前記押出機に供給する第2供給装置を含み、前記第2供給装置は、前記押出機の押出方向の最下流部に接続されるのが望ましい。
【0012】
本発明のシーラントタイヤの製造装置において、前記第2供給装置は、前記第2原料を粉体として粉体フィーダーから供給するのが望ましい。
【0013】
本発明は、加硫成形された空気入りタイヤの内周面にシーラント材が塗布されたシーラントタイヤの製造方法であって、複数の原料を押出機に供給する供給工程と、前記押出機から吐出された前記シーラント材を前記空気入りタイヤの前記内周面に塗布する塗布工程とを含み、前記複数の原料は、少なくとも固形ゴムを含む第1原料を含み、前記供給工程は、第1段階として前記第1原料を前記押出機に供給する第1供給工程を含み、前記第1供給工程は、前記第1原料を予め混練りしたマスターバッチとして供給することを特徴とする。
【0014】
本発明のシーラントタイヤの製造方法において、前記複数の原料は、少なくとも架橋剤を含む第2原料を含み、前記供給工程は、最終段階として前記第2原料を前記押出機に供給する第2供給工程を含むのが望ましい。
【0015】
本発明のシーラントタイヤの製造方法において、前記複数の原料は、少なくとも1種の液状ゴムを含む第3原料を含み、前記供給工程は、前記第1供給工程と前記第2供給工程との間に行われる中間供給工程を含み、前記中間供給工程は、前記第3原料を前記押出機に供給するのが望ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明のシーラントタイヤの製造装置において、複数の原料は、少なくとも固形ゴムを含む第1原料を含み、供給装置は、前記第1原料を押出機に予め混練りされたマスターバッチとして供給する第1供給装置を含み、前記第1供給装置は、前記押出機の押出方向の最上流部に接続されている。このような第1供給装置は、第1原料をスムーズに供給することができ、原料の供給不良が抑制されるので、シーラント材の生産効率を向上させることができる。
【0017】
本発明のシーラントタイヤの製造方法において、複数の原料は、少なくとも固形ゴムを含む第1原料を含み、供給工程は、第1段階として前記第1原料を押出機に供給する第1供給工程を含み、前記第1供給工程は、前記第1原料を予め混練りしたマスターバッチとして供給している。このような第1供給工程は、第1原料をスムーズに供給することができ、原料の供給不良が抑制されるので、シーラント材の生産効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明のシーラントタイヤの製造装置の一実施形態を示す模式図である。
【
図2】本実施形態のシーラントタイヤの製造方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の一形態が図面に基づき詳細に説明される。
図1は、本実施形態のシーラントタイヤの製造装置1を示す模式図である。
図1に示されるように、本実施形態のシーラントタイヤの製造装置1は、加硫成形された空気入りタイヤTの内周面Tiにシーラント材Sが塗布されたシーラントタイヤを製造するための装置である。
【0020】
本実施形態のシーラントタイヤの製造装置1は、シーラント材Sを調製する押出機2と、複数の原料Mを押出機2に供給する供給装置3と、シーラント材Sを空気入りタイヤTの内周面Tiに塗布する塗布装置4とを含んでいる。塗布装置4は、押出機2に接続されるのが望ましい。
【0021】
複数の原料Mは、例えば、少なくとも固形ゴムを含む第1原料M1を含んでいる。固形ゴムは、粘着性を有するものが望ましい。このような第1原料M1は、空気入りタイヤTのパンクシールとして好適なシーラント材Sを調製することができ、シーラント材Sの品質を向上させることができる。
【0022】
本実施形態の供給装置3は、第1原料M1を押出機2に予め混練りされたマスターバッチとして供給する第1供給装置3Aを含んでいる。第1供給装置3Aは、押出機2の押出方向の最上流部に接続されるのが望ましい。このような第1供給装置3Aは、第1原料M1をスムーズに供給することができ、原料Mの供給不良が抑制されるので、シーラント材Sの生産効率を向上させることができる。
【0023】
より好ましい態様として、複数の原料Mは、固形ゴムの他に、フィラー、可塑剤、液状ゴム、架橋助剤及び架橋剤を含んでいる。第1原料M1は、例えば、固形ゴムと、フィラー及び可塑剤の少なくとも1つとを含んでいる。本実施形態の第1原料M1は、固形ゴムとフィラーと可塑剤とを含んでいる。
【0024】
このため、本実施形態の第1原料M1のマスターバッチは、少なくとも固形ゴムとフィラーと可塑剤とを予め混練りしたものである。このような第1原料M1は、複数の原料Mが予め混練りされているので、シーラント材Sの生産効率を向上させることができる。
【0025】
固形ゴムは、例えば、ゴム組成物の主成分としてブチル系ゴムが採用される。ブチル系ゴムの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは、90質量部以上である。固形ゴムは、例えば、ジエン系ゴムを含んでいてもよい。このような固形ゴムは、粘着性及び流動性に優れており、シーラント材Sの品質及び生産効率を向上させることができる。
【0026】
フィラーは、例えば、カーボンブラックが好適に採用される。カーボンブラックの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは、1~50質量部である。フィラーは、例えば、シリカ、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、硫酸バリウム、タルク、マイカ等を含んでいてもよい。このようなフィラーは、シーラント材Sの品質を向上させることに役立つ。
【0027】
可塑剤は、例えば、オイルが採用される。オイルの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは、1~40質量部である。オイルは、例えば、芳香族系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル、パラフィン系プロセスオイル等から適宜選択される。このような可塑剤は、シーラント材Sの流動性を向上させることができる。
【0028】
複数の原料Mは、例えば、少なくとも架橋剤を含む第2原料M2を含んでいる。架橋剤は、例えば、有機過酸化物が好適に採用される。有機過酸化物の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは、0.5~40質量部である。有機過酸化物は、例えば、アシルパーオキサイド類、パーオキシエステル類、アルキルパーオキサイド類及びハイドロパーオキサイド類等から適宜選択される。有機過酸化物は、例えば、ジベンゾイルパーオキサイドが好適に採用される。このような架橋剤は、シーラント材Sの粘着性、シール性、流動性及び加工性を向上させ、シーラント材Sの品質及び生産効率を向上させることができる。
【0029】
複数の原料Mは、例えば、少なくとも1種の液状ゴムを含む第3原料M3を含んでいる。液状ゴムは、例えば、液状ポリブテンが好適に採用される。本実施形態の第3原料M3は、粘度の異なる第1液状ゴム、第2液状ゴム及び第3液状ゴムの3種の液状ゴムを含んでいる。第3原料M3は、それぞれ個別に供給されるのが望ましい。このような第3原料M3は、粘着性及び流動性に優れており、シーラント材Sの品質及び生産効率を向上させることができる。
【0030】
少なくとも1種の液状ゴムは、例えば、第1原料M1に含まれていてもよい。この場合のマスターバッチは、少なくとも固形ゴムとフィラーと可塑剤と液状ゴムとを混練りしたものである。このような第1原料M1は、供給装置3の数を低減できるので、原料Mの供給不良が抑制され、シーラント材Sの生産効率をより向上させることができる。
【0031】
第3原料M3は、例えば、架橋助剤を更に含んでいる。本実施形態の架橋助剤は、加硫促進剤である。架橋助剤は、例えば、p-ベンゾキノンオキシム等のキノンジオキシム化合物が好適に採用される。キノンジオキシム化合物の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは、0.5~40質量部である。このような架橋助剤は、加硫を促進し、シーラント材Sの生産効率を向上させることができる。
【0032】
架橋助剤は、例えば、第1原料M1に含まれていてもよい。この場合のマスターバッチは、少なくとも固形ゴムとフィラーと可塑剤と架橋助剤とを混練りしたものである。このような第1原料M1は、供給装置3の数を低減できるので、原料Mの供給不良が抑制され、シーラント材Sの生産効率をより向上させることができる。
【0033】
本実施形態の押出機2は、その内部でシーラント材Sを調製するためのバレル2aと、複数の原料Mをバレル2aに供給するための複数の供給口2bと、調製されたシーラント材Sを吐出するための吐出口2cとを有している。押出機2は、バレル2aの内部に2軸のスクリュー(図示省略)を有する二軸混練押出機であるのが望ましい。このような押出機2は、複数の原料Mから調製されたシーラント材Sを混練りしつつ、連続して吐出することができる。
【0034】
供給装置3は、複数の原料Mを定量ずつ供給できるものが望ましい。本実施形態の第1供給装置3Aは、第1原料M1のマスターバッチをギアポンプ3aから供給している。第1原料M1のマスターバッチは、第2押出機(図示省略)により、予め混練りされているのが望ましい。第1供給装置3Aは、例えば、第2押出機に接続されていてもよい。このような第1供給装置3Aは、第1原料M1を定量供給することができ、シーラント材Sの品質及び生産効率を向上させることができる。また、本実施形態の第1供給装置3Aは、第1原料M1のマスターバッチを供給しているので、第1原料M1の供給不良が抑制され、シーラント材Sの生産効率をより向上させることができる。
【0035】
本実施形態の供給装置3は、第2原料M2を押出機2に粉体として供給する第2供給装置3Bを含んでいる。第2供給装置3Bは、押出機2の押出方向の最下流部に接続されるのが望ましい。このような第2供給装置3Bは、シーラント材Sの調製の最終段階で第2原料M2の架橋剤を供給することができ、シーラント材Sの品質及び生産効率を向上させることができる。
【0036】
本実施形態の第2供給装置3Bは、第2原料M2の粉体を粉体フィーダー3bから供給している。このような第2供給装置3Bは、第2原料M2を定量供給することができ、シーラント材Sの品質及び生産効率を向上させることができる。
【0037】
本実施形態の供給装置3は、第1供給装置3Aと第2供給装置3Bとの間で、第3原料M3を供給する中間供給装置群3Mを含んでいる。中間供給装置群3Mは、例えば、第1液状ゴムを供給する第3供給装置3Cと、第2液状ゴムを供給する第4供給装置3Dと、第3液状ゴムを供給する第5供給装置3Eとを含んでいる。
【0038】
第3供給装置3C、第4供給装置3D及び第5供給装置3Eは、それぞれ、例えば、流量計Fにより供給量が計測されている。第3供給装置3C、第4供給装置3D及び第5供給装置3Eは、それぞれ、例えば、ギアポンプから供給するようにしてもよい。このような中間供給装置群3Mは、各液状ゴムを定量供給することができ、シーラント材Sの品質及び生産効率を向上させることができる。また、本実施形態の中間供給装置群3Mは、各液状ゴムの供給量を個別に制御することができ、シーラント材Sの品質及び生産効率をより向上させることができる。
【0039】
第3供給装置3C、第4供給装置3D及び第5供給装置3Eは、例えば、少なくとも1種の液状ゴムが第1原料M1に含まれる場合、対応する各供給装置3C~3Eが省略されてもよい。このような供給装置3は、中間供給装置群3Mをより簡易な構成にすることができるので、原料Mの供給不良が抑制され、シーラント材Sの生産効率をより向上させることができる。
【0040】
本実施形態の中間供給装置群3Mは、更に架橋助剤を粉体として供給する第6供給装置3Fを含んでいる。第6供給装置3Fは、例えば、架橋助剤の粉体を粉体フィーダーから供給している。このような中間供給装置群3Mは、架橋助剤の供給量を個別に制御することができ、シーラント材Sの品質及び生産効率を向上させることができる。
【0041】
第6供給装置3Fは、例えば、架橋助剤が第1原料M1に含まれる場合、省略されてもよい。このような供給装置3は、中間供給装置群3Mをより簡易な構成にすることができるので、原料Mの供給不良が抑制され、シーラント材Sの生産効率をより向上させることができる。
【0042】
本実施形態の塗布装置4は、押出機2の吐出口2cに接続され、かつ、シーラント材Sを吐出するノズル4aと、空気入りタイヤTを回転自在に支持する支持台4bとを含んでいる。このような塗布装置4は、空気入りタイヤTを回転させながらノズル4aからシーラント材Sを吐出することで、空気入りタイヤTの内周面Tiにシーラント材Sをらせん状に連続して塗布することができる。
【0043】
次に、
図1を参酌しつつ、上述のシーラントタイヤの製造装置1を用いて、本実施形態のシーラントタイヤの製造方法が説明される。本実施形態のシーラントタイヤの製造方法は、加硫成形された空気入りタイヤTの内周面Tiにシーラント材Sが塗布されたシーラントタイヤを製造するための方法である。
【0044】
図2は、本実施形態のシーラントタイヤの製造方法を示すフローチャートである。
図2に示されるように、本実施形態のシーラントタイヤの製造方法は、複数の原料Mを押出機2に供給する供給工程S1と、シーラント材Sを調製する調製工程S2と、シーラント材Sを空気入りタイヤTの内周面Tiに塗布する塗布工程S3とを含んでいる。塗布工程S3は、押出機2から吐出されたシーラント材Sを直接塗布するのが望ましい。
【0045】
図3は、供給工程S1のフローチャートである。
図3に示されるように、本実施形態の供給工程S1は、最初に、第1段階として第1原料M1を押出機2に供給する第1供給工程S11を含んでいる。本実施形態の第1供給工程S11は、第1原料M1を予め混練りしたマスターバッチとして供給している。このような第1供給工程S11は、第1原料M1をスムーズに供給することができ、原料Mの供給不良が抑制されるので、シーラント材Sの生産効率を向上させることができる。
【0046】
第1供給工程S11は、第1原料M1のマスターバッチをギアポンプ3aから供給するのが望ましい。このような第1供給工程S11は、第1原料M1を定量供給することができ、シーラント材Sの品質及び生産効率を向上させることができる。また、本実施形態の第1供給工程S11は、第1原料M1のマスターバッチを供給しているので、第1原料M1の供給不良が抑制され、シーラント材Sの生産効率をより向上させることができる。
【0047】
本実施形態の供給工程S1は、第1供給工程S11の次に、第2段階として第3原料M3を押出機2に供給する中間供給工程S1mを含んでいる。本実施形態の中間供給工程S1mは、少なくとも1種の液状ゴムを供給している。中間供給工程S1mは、例えば、架橋助剤を供給してもよい。このような中間供給工程S1mは、各液状ゴム及び架橋助剤の供給量を個別に制御することができ、シーラント材Sの品質及び生産効率を向上させることができる。
【0048】
中間供給工程S1mは、例えば、液状ゴム及び架橋助剤の少なくとも1つが第1原料M1のマスターバッチとして混練りされた場合、対応する中間供給工程S1mが省略されてもよい。このような供給工程S1は、供給工程S1の数を低減できるので、原料Mの供給不良が抑制され、シーラント材Sの生産効率をより向上させることができる。
【0049】
本実施形態の供給工程S1は、中間供給工程S1mの次に、最終段階として第2原料M2を押出機2に供給する第2供給工程S12を含んでいる。すなわち、中間供給工程S1mは、第1供給工程S11と第2供給工程S12との間に行われるのが望ましい。このような第2供給工程S12は、シーラント材Sの調製の最終段階で第2原料M2の架橋剤を供給することができ、シーラント材Sの品質及び生産効率を向上させることができる。
【0050】
第2供給工程S12は、第2原料M2を粉体として粉体フィーダー3bから供給するのが望ましい。このような第2供給工程S12は、第2原料M2を定量供給することができ、シーラント材Sの品質及び生産効率を向上させることができる。
【0051】
図2に示されるように、本実施形態の調製工程S2は、押出機2のバレル2aの内部に設けられた2軸のスクリュー(図示省略)により、複数の原料Mを混練りし、シーラント材Sを調製するのが望ましい。このような調製工程S2は、シーラント材Sを効率よく調製することができ、シーラント材Sの品質及び生産効率を向上させることができる。
【0052】
本実施形態の塗布工程S3は、押出機2の吐出口2cに接続されたノズル4aから空気入りタイヤTの内周面Tiにシーラント材Sを塗布している。このような塗布工程S3は、調製されたシーラント材Sをそのまま塗布することができるので、シーラントタイヤの品質及び生産効率を向上させることができる。
【0053】
以上、本発明の特に好ましい実施形態について詳述したが、本発明は、上述の実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施し得る。
【実施例】
【0054】
図1の製造装置を用いて、
図2及び
図3の製造方法で原料を供給する実施例と、従来の製造装置を用いて固形ゴムをペレットとして供給する比較例とが、表1の仕様に基づきテストされた。テストは、各実施例及び比較例の製造装置で、タイヤサイズ215/55R17のシーラントタイヤを製造したときの、製造装置の停止時間が計測された。シーラント材の原料の共通仕様及びテスト方法は、以下のとおりである。
【0055】
固形ゴム : ブチルゴム
フィラー : カーボンブラック
可塑剤 : オイル
第1液状ゴム : 第1高分子液状ポリブテン
第2液状ゴム : 第2高分子液状ポリブテン
第3液状ゴム : 低分子液状ポリブテン
架橋助剤 : p-ベンゾキノンオキシム
架橋剤 : ジベンゾイルパーオキサイド
【0056】
<停止時間>
各実施例及び比較例の製造装置を用いてシーラントタイヤを1時間製造したときに、供給装置の供給不良等により製造装置が停止した停止時間が計測された。結果は、比較例を100とする指数で表され、数値が小さいほど停止時間が短く生産効率に優れていることを示す。
【0057】
【0058】
テストの結果、実施例の製造装置は、比較例に対して、製造装置の停止時間が低減しており、シーラント材の生産効率に優れていることが確認された。
【符号の説明】
【0059】
1 シーラントタイヤの製造装置
2 押出機
3 供給装置
3A 第1供給装置
4 塗布装置