(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-10
(45)【発行日】2023-01-18
(54)【発明の名称】表示制御装置、表示制御プログラム及び検品システム
(51)【国際特許分類】
H04N 7/18 20060101AFI20230111BHJP
B65G 61/00 20060101ALI20230111BHJP
【FI】
H04N7/18 B
B65G61/00 522
(21)【出願番号】P 2019036594
(22)【出願日】2019-02-28
【審査請求日】2021-11-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】角森 隆也
【審査官】益戸 宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-099979(JP,A)
【文献】国際公開第2018/037891(WO,A1)
【文献】特開平10-274627(JP,A)
【文献】特開昭62-217381(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2022/0044379(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 7/18
B65G 61/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
各検品領域を撮影した各動画像を取得する動画像取得部と、
取得された各動画像に含まれるフレーム画像から今回抽出されたフレーム画像を、基準画像及び前回抽出されたフレーム画像と比較することで、前記各検品領域の現在の状態を判定する状態判定部と、
現在の状態が物品の検査が可能な状態にあると判定された検品領域について、対応するフレーム画像を、表示画面に表示する表示制御部と
を有する表示制御装置。
【請求項2】
前記状態判定部は、今回抽出されたフレーム画像が基準画像と異なっており、かつ、前回抽出されたフレーム画像と同じであると判定した場合、現在の状態が物品の検査が可能な状態にあると判定する、請求項1に記載の表示制御装置。
【請求項3】
前記状態判定部は、今回抽出されたフレーム画像が基準画像と同じであると判定した場合、現在の状態が物品の検査が可能な状態にないと判定する、請求項2に記載の表示制御装置。
【請求項4】
前記状態判定部は、今回抽出されたフレーム画像が基準画像と異なっており、かつ、前回抽出されたフレーム画像と異なっていると判定した場合、現在の状態が物品の検査が可能な状態にないと判定する、請求項2に記載の表示制御装置。
【請求項5】
前記状態判定部は、予め定められた領域の画素値を用いて、今回抽出されたフレーム画像と、基準画像及び前回抽出されたフレーム画像とを比較する、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の表示制御装置。
【請求項6】
取得された各動画像に含まれるフレーム画像から、所定周期ごとにフレーム画像を抽出するフレーム画像抽出部を更に有する、請求項1に記載の表示制御装置。
【請求項7】
各検品領域を撮影した各動画像を取得し、
取得された各動画像に含まれるフレーム画像から今回抽出されたフレーム画像を、基準画像及び前回抽出されたフレーム画像と比較することで、前記各検品領域の現在の状態を判定し、
現在の状態が物品の検査が可能な状態にあると判定された検品領域について、対応するフレーム画像を、表示画面に表示する、
処理をコンピュータに実行させるための表示制御プログラム。
【請求項8】
各検品領域を撮影する複数の撮像装置と、
撮影された各動画像を処理する表示制御装置と、
前記各動画像に含まれるフレーム画像を表示する表示装置と、を有する検品システムであって、
前記複数の撮像装置により撮影された各検品領域の各動画像を取得する動画像取得部と、
取得された各動画像に含まれるフレーム画像から今回抽出されたフレーム画像を、基準画像及び前回抽出されたフレーム画像と比較することで、前記各検品領域の現在の状態を判定する状態判定部と、
現在の状態が物品の検査が可能な状態にあると判定された検品領域について、対応するフレーム画像を、前記表示装置に表示する表示制御部と
を有する検品システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示制御装置、表示制御プログラム及び検品システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、物流センタ等における検品シーンでは、検査者による目視検査が行われている。これは、検査対象となる物品が多岐にわたるうえ、日々変化するため、機械学習等による画像認識の適用が困難だからである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方で、物流センタ等における検品シーンの場合、物品を搬送し検品領域に載置することで、検査者による検査が可能な状態になるまでに、一定程度の時間を要する。このため、検査者には、その間の待機時間が発生する。
【0005】
これに対して、検品作業における検査者の待機時間を削減することで、より効率的な検査を実現することができると考えられる。
【0006】
一つの側面では、物品を検査する際の検査効率を向上させることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一態様によれば、表示制御装置は、
各検品領域を撮影した各動画像を取得する動画像取得部と、
取得された各動画像に含まれるフレーム画像から今回抽出されたフレーム画像を、基準画像及び前回抽出されたフレーム画像と比較することで、前記各検品領域の現在の状態を判定する状態判定部と、
現在の状態が物品の検査が可能な状態にあると判定された検品領域について、対応するフレーム画像を、表示画面に表示する表示制御部とを有する。
【発明の効果】
【0008】
物品を検査する際の検査効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1の作業領域に配置された検品システムのシステム構成の一例を示す図である。
【
図2】第2の作業領域に配置された検品システムのシステム構成の一例を示す図である。
【
図4】表示制御装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図5】表示制御装置の機能構成の一例を示す図である。
【
図6】表示制御装置の各部の処理の具体例を示す第1の図である。
【
図7】表示制御装置の各部の処理の具体例を示す第2の図である。
【
図8】表示制御装置の各部の処理の具体例を示す第3の図である。
【
図9】表示制御処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、各実施形態について添付の図面を参照しながら説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省略する。
【0011】
[第1の実施形態]
<検品システムのシステム構成>
はじめに、物品を検査する検品システムのシステム構成について説明する。ここでは、物流センタにおいて、仕分け方法の異なる2種類の作業領域にそれぞれ配置された検品システムを例に挙げて説明する。
【0012】
(1)第1の作業領域に配置された検品システム
図1は、第1の作業領域に配置された検品システムのシステム構成の一例を示す図である。
図1に示すように、第1の作業領域には、搬送装置111、121、131と、搬送ボックス112、122、132と、商品棚114、124、134とが配置されている。
【0013】
第1の作業領域の場合、搬送装置111上を、搬送ボックス112が搬送と停止とを繰り返しながら進むことで、商品棚114にある物品(商品A、B、C、Dのいずれか1つまたは複数の物品)が、順次、搬送ボックス112に収容されていく。
【0014】
同様に、搬送装置121、131上を搬送ボックス122、132が搬送と停止とを繰り返しながら進むことで、商品棚124、134にある物品(商品A、B、C、Dのいずれか1つまたは複数の物品)が、順次、搬送ボックス122、132に収容されていく。
【0015】
図1に示すように、第1の作業領域に配置された検品システム100は、撮像装置113、123、133と、表示制御装置140と、表示装置150とを有する。
【0016】
撮像装置113は、搬送ボックス112が搬送された場合に連動して移動し、搬送ボックス112内を撮影する。つまり、搬送ボックス112内は、収容された物品を検査する検品領域(“検品領域I”)として機能する。撮像装置113は、検品領域Iを撮影することで得られる動画像を、表示制御装置140に送信する。
【0017】
同様に、撮像装置123、133は、搬送ボックス122、132が搬送された場合に連動して移動し、搬送ボックス122、132内を撮影する。つまり、搬送ボックス122、132内は、収容された物品を検査する検品領域(“検品領域II”または“検品領域III”)として機能する。撮像装置123、133は、検品領域II、検品領域IIIを撮影することで得られる動画像を、表示制御装置140に送信する。
【0018】
表示制御装置140は、撮像装置113、123、133から送信された動画像に含まれるフレーム画像を処理し、検品領域I、II、IIIの状態を判定する。また、表示制御装置140は、検品領域Iが、物品の検査が可能な状態にあると判定した場合、対応するフレーム画像を、表示装置150に送信する。同様に、表示制御装置140は、検品領域IIが、物品の検査が可能な状態にあると判定した場合、対応するフレーム画像を、表示装置150に送信する。同様に、表示制御装置140は、検品領域IIIが、物品の検査が可能な状態にあると判定した場合、対応するフレーム画像を、表示装置150に送信する。
【0019】
更に、表示制御装置140は、表示装置150にフレーム画像を送信したことに応じて、表示装置150より、検品結果を受け取り、表示装置150に送信したフレーム画像と対応付けて出力する。
【0020】
表示装置150は、表示制御装置140より送信されたフレーム画像を、順次、表示する。
図1の例は、表示装置150の表示画面が4つの分割画面に分割されている場合を示している。表示装置150は、表示制御装置140より送信されたフレーム画像を、いずれかの表示画面に表示する。
【0021】
このように、複数の検品領域I~IIIのフレーム画像を1つの表示装置150に集約して表示し、かつ、物品の検査が可能な状態にあると判定されたフレーム画像のみを、順次、表示することで、検査者160は効率的に物品の検査を行うことができる。
【0022】
また、表示装置150は、各分割画面にフレーム画像を表示したことに応じて、検査者160が、順次、入力した判定結果を受け付ける。表示装置150は、受け付けた判定結果を、各種情報と対応付けて、検品結果として表示制御装置140に送信する。
【0023】
(2)第2の作業領域に配置された検品システム
図2は、第2の作業領域に配置された検品システムのシステム構成の一例を示す図である。
図2に示すように、第2の作業領域には、搬送装置211と、商品ボックス212_1、212_2と、出荷棚213とが配置されている。
【0024】
第2の作業領域の場合、搬送装置211上を商品ボックス212_1、212_2が、搬送と停止を繰り返しながら進むことで、出荷棚213の出荷ボックス213_1~213_3には、物品(商品A、商品Bの一方または両方の物品)が、順次、収容されていく。
【0025】
図2に示すように、第2の作業領域に配置された検品システム200は、撮像装置214_1~214_3と、表示制御装置240と、表示装置250とを有する。
【0026】
撮像装置214_1は、出荷ボックス213_1内を撮影する。つまり、出荷ボックス213_1内は、収容された物品を検査する検品領域(“検品領域I”)として機能する。撮像装置214_1は、検品領域Iを撮影することで得られる動画像を、表示制御装置240に送信する。
【0027】
同様に、撮像装置214_2、214_3は、出荷ボックス213_2、213_3内を撮影する。つまり、出荷ボックス213_2、213_3内は、収容された物品を検査する検品領域(“検品領域II”または“検品領域III”)として機能する。撮像装置214_2、214_3は、検品領域II、検品領域IIIを撮影することで得られる動画像を、表示制御装置240に送信する。
【0028】
なお、表示制御装置240及び表示装置250は、表示制御装置140及び表示装置150と同様の処理を行うため、ここでは説明を省略する。
【0029】
<待機時間の削減例>
次に、検品システム100、200による、検品作業時の検査者の待機時間の削減例について説明する。
図3は、待機時間の削減例を示す図である。
図1及び
図2で説明したとおり、検品システム100、200では、検査者160、260が、検品領域I~IIIに載置された物品について検査を行う。
【0030】
ここで、検品領域I~IIIにおいては、それぞれ、タイムテーブル311、321、331に示す処理順序で、作業が行われる。
【0031】
なお、タイムテーブル311における、“待機”処理とは、検品領域Iにおける作業のうち、検品領域Iに物品を載置するための搬送処理である。検品システム100の場合、待機処理は、搬送ボックス112を、商品棚114のいずれかの商品ボックスの位置まで搬送する処理を指す。また、検品システム200の場合、待機処理は、商品ボックス212_1、212_2のいずれかを、出荷棚213の出荷ボックス213_1~213_3のいずれかの位置まで搬送する処理を指す。
【0032】
また、タイムテーブル311における、“準備”処理とは、検品領域Iにおける作業のうち、検品領域Iに物品を載置するピッキング処理である。検品システム100の場合、準備処理は、例えば、商品棚114の商品Aを、搬送ボックス112内の検品領域Iに載置するピッキング処理を指す。また、検品システム200の場合、準備処理は、例えば、商品ボックス212_1の商品Aを、出荷ボックス213_1内に検品領域Iに載置するピッキング処理を指す。
【0033】
なお、タイムテーブル321、331における、“待機”処理、“準備”処理も同様である。
【0034】
このように、検品領域I~IIIにおいて行われる作業には、“待機処理”と“準備処理”とが含まれる。このため、検品領域I~IIIそれぞれにおける物品の検査を、検査者310、320、330が別々に担当したとすると、検査者310、320、330は、1の物品の検査を完了してから、次の物品の検査を開始するまで、一定時間、待機することになる。
【0035】
これに対して、検品システム100、200の場合、検品領域I~IIIのフレーム画像を1つの表示装置150に集約して表示し、1の検査者160、260が、物品の検査を行うため、待機時間を削減することができる(タイムテーブル300参照)。また、表示装置150には、物品の検査が可能な状態にあると判定されたフレーム画像のみが表示されるため、検査者は、表示と同時に検査を行うことができ、待機時間を削減することができる。このように、検査者160、260は、効率的に検査を行うことができる。
【0036】
<表示制御装置のハードウェア構成>
図4は、表示制御装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
図4に示すように、表示制御装置140、240は、CPU(Central Processing Unit)401、ROM(Read Only Memory)402、RAM(Random Access Memory)403を有する。CPU401、ROM402、RAM403は、いわゆるコンピュータを形成する。
【0037】
また、表示制御装置140、240は、補助記憶部404、操作部405、I/F(Interface)部406、ドライブ部407を有する。なお、表示制御装置140、240の各ハードウェアは、バス408を介して相互に接続されている。
【0038】
CPU401は、補助記憶部404にインストールされている各種プログラム(例えば、後述する表示制御プログラム等)を実行する演算デバイスである。
【0039】
ROM402は、不揮発性メモリである。ROM402は、補助記憶部404にインストールされている各種プログラムをCPU401が実行するために必要な各種プログラム、データ等を格納する主記憶デバイスとして機能する。具体的には、ROM402はBIOS(Basic Input/Output System)やEFI(Extensible Firmware Interface)等のブートプログラム等を格納する、主記憶デバイスとして機能する。
【0040】
RAM403は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)やSRAM(Static Random Access Memory)等の揮発性メモリである。RAM403は、補助記憶部404にインストールされている各種プログラムがCPU401によって実行される際に展開される作業領域を提供する、主記憶デバイスとして機能する。
【0041】
補助記憶部404は、各種プログラムや、各種プログラムが実行されることで取得される情報を格納する補助記憶デバイスである。
【0042】
操作部405は、表示制御装置140、240の管理者が表示制御装置140、240に対して各種指示を入力する入力デバイスである。I/F部406は、表示装置150、250と接続され、表示装置150、250との間で通信を行うための通信デバイスである。
【0043】
ドライブ部407は記録媒体410をセットするためのデバイスである。ここでいう記録媒体410には、CD-ROM、フレキシブルディスク、光磁気ディスク等のように情報を光学的、電気的あるいは磁気的に記録する媒体が含まれる。また、記録媒体410には、ROM、フラッシュメモリ等のように情報を電気的に記録する半導体メモリ等が含まれていてもよい。
【0044】
なお、補助記憶部404にインストールされる各種プログラムは、例えば、配布された記録媒体410がドライブ部407にセットされ、該記録媒体410に記録された各種プログラムがドライブ部407により読み出されることでインストールされる。あるいは、補助記憶部404にインストールされる各種プログラムは、不図示のネットワークよりダウンロードされることでインストールされてもよい。
【0045】
<表示制御装置の機能構成>
次に、表示制御装置140、240の機能構成について説明する。
図5は、表示制御装置の機能構成の一例を示す図である。上述したとおり、表示制御装置140、240には、表示制御プログラムがインストールされている。表示制御装置140、240は、当該表示制御プログラムを実行することで、動画像取得部510、フレーム画像抽出部520、状態判定部530、表示制御部540、検品結果受付部550、検品結果出力部560として機能する。
【0046】
動画像取得部510は、撮像装置113、123、133(または撮像装置214_1~214_3)から送信された動画像を取得する。
【0047】
フレーム画像抽出部520は、取得した動画像に含まれるフレーム画像を、所定の周期で抽出するフレーム画像抽出処理を実行し、抽出したフレーム画像を状態判定部530に通知する。
【0048】
状態判定部530は、フレーム画像抽出部520より通知されたフレーム画像を、基準画像格納部570に格納された基準画像と比較する比較処理を実行する。また、状態判定部530は、フレーム画像抽出部520より通知されたフレーム画像を、前回画像格納部580に格納された、前回通知(前回抽出)されたフレーム画像と比較する比較処理を実行する。更に、状態判定部530は、基準画像との比較結果と、前回通知されたフレーム画像との比較結果とに基づいて、検品領域I~IIIの状態をそれぞれ判定する判定処理を実行する。具体的には、状態判定部530は、検品領域I~IIIが物品の検査が可能な状態にあるか否かをそれぞれ判定する判定処理を実行する。
【0049】
そして、状態判定部530は、検品領域I~IIIのいずれかが物品の検査が可能な状態にあると判定した場合、対応するフレーム画像を、表示制御部540に通知する。
【0050】
表示制御部540は、状態判定部530よりフレーム画像が通知されると、表示装置150(または表示装置250)の各分割画面のうち、フレーム画像が表示されていない分割画面に、通知されたフレーム画像を表示する。
【0051】
検品結果受付部550は、通知されたフレーム画像が表示装置150(または表示装置250)に表示されたことに応じて表示装置150(または表示装置250)より送信された検品結果を受け付ける。検品結果出力部560は、検品結果受付部550が受け付けた検品結果を出力する。
【0052】
<表示制御装置の各部の処理の具体例>
次に、表示制御装置140、240の各部のうち、フレーム画像抽出部520、状態判定部530の処理の具体例について説明する。
【0053】
(1)フレーム画像抽出部によるフレーム画像抽出処理及び状態判定部による比較処理の具体例
はじめに、フレーム画像抽出部520によるフレーム画像抽出処理、及び、状態判定部530による比較処理の具体例について説明する。
図6は、表示制御装置の各部の処理の具体例を示す第1の図である。
【0054】
図6の例は、撮像装置113が搬送ボックス112内を撮影した場合の、時刻T1、T2、T3における検品領域Iの状態の変化を示している。
図6の例によれば、時刻T1において、検品領域Iには、物品が載置されていなかったところ、時刻T2では、検品領域Iに商品Aの物品が載置され、時刻T3まで、商品Aの物品が載置された状態が継続している。
【0055】
動画像600は、時刻T1から時刻T3までの間に撮影された動画像の一例を示している。
図6の例は、時刻T1から時刻T3の間に、31枚のフレーム画像が撮影されたことを示している。
【0056】
上述したように、フレーム画像抽出部520では、動画像600に含まれるフレーム画像を、所定の周期で抽出するフレーム画像抽出処理を実行する。
図6の例は、フレーム画像抽出部520が、時刻T1に撮影された0番目のフレーム画像と、時刻T2に撮影された15番目のフレーム画像と、時刻T3に撮影された30番目のフレーム画像を抽出し、状態判定部530に通知した様子を示している。このように、所定の周期でフレーム画像を抽出することで、状態判定部530による判定処理に用いられるフレーム画像の数を削減することができる。
【0057】
また、上述したように、状態判定部530では、フレーム画像抽出部520より通知されたフレーム画像を、前回通知(前回抽出)されたフレーム画像と比較する比較処理を実行する。
図6の例は、状態判定部530が、時刻T1に撮影されたフレーム画像610と、時刻T2に撮影されたフレーム画像620とを比較する様子を示している。また、
図6の例は、状態判定部530が、時刻T2に撮影されたフレーム画像620と、時刻T3に撮影されたフレーム画像630とを比較する様子を示している。
【0058】
ここで、状態判定部530は、フレーム画像を比較する際、予め定められた領域に含まれる画素の画素値を比較する。
図6のフレーム画像611、621、631において、太線で囲まれた領域は、画素値の比較に用いられる領域であることを示している。
【0059】
このように、フレーム画像の一部の領域を用いて比較処理を行うことで、状態判定部530によれば、比較処理を高速化することができる。
【0060】
(2)状態判定部による判定処理の具体例その1
次に、状態判定部530による判定処理の具体例について説明する。
図7は、表示制御装置の各部の処理の具体例を示す第2の図であり、検品領域Iが物品の検査が可能な状態にあるか否かを状態判定部が判定する際の、検品領域Iの状態の変化のバリエーションを示す図である。ここでは、物品の検査が可能な状態にあると判定される変化のバリエーションについて説明する。
【0061】
このうち、
図7(a)は、撮像装置113が検品領域Iの基準画像として搬送ボックス112内を撮影した際の検品領域Iの様子を示している。
図7(a)に示すように、状態判定部530は、検品領域Iに物品が載置されていない状態で撮影されたフレーム画像を、検品領域Iの基準画像として用いる。
【0062】
図7(b-1)は、時刻T1、T2、T3における検品領域Iの状態の変化の一例を示している。
図7(b-1)の例によれば、時刻T1において、検品領域Iには、物品が載置されていなかったところ、時刻T2では、検品領域Iに商品Aの物品が載置され、時刻T3まで、検品領域Iに商品Aの物品が載置された状態が継続している。
【0063】
ここで、上述したように、状態判定部530では、基準画像との比較結果と、前回通知されたフレーム画像との比較結果とに基づいて、現在の検品領域の状態を判定する。
【0064】
具体的には、現在の時刻T3において、状態判定部530では、
・今回通知(今回抽出)されたフレーム画像が、基準画像とは異なる、
・今回通知されたフレーム画像が、前回通知されたフレーム画像と同じである、
と判定し、時刻T3において検品領域Iが物品の検査が可能な状態にあると判定する。
【0065】
また、
図7(b-2)は、時刻T1、T2、T3における検品領域Iの状態の変化の他の一例を示している。
図7(b-2)の例によれば、時刻T1において、検品領域Iには、商品Bの物品が載置されており、時刻T2では、検品領域Iに商品Cの物品が載置され、時刻T3まで、検品領域Iに商品B、Cの物品が載置された状態が継続している。
【0066】
この場合、現在の時刻T3において、状態判定部530では、
・今回通知されたフレーム画像が、基準画像とは異なる、
・今回通知されたフレーム画像が、前回通知されたフレーム画像と同じである、
と判定し、時刻T3において検品領域Iが物品の検査が可能な状態にあると判定する。
【0067】
また、
図7(b-3)は、時刻T1、T2、T3における検品領域Iの状態の変化の他の一例を示している。
図7(b-3)の例によれば、時刻T1において、検品領域Iには、商品B、Cの物品が載置されており、時刻T2では、検品領域Iから商品Cの物品が取り除かれ、時刻T3まで、商品Bの物品のみが載置された状態が継続している。
【0068】
この場合、現在の時刻T3において、状態判定部530では、
・今回通知されたフレーム画像が、基準画像とは異なる、
・今回通知されたフレーム画像が、前回通知されたフレーム画像と同じである、
と判定し、時刻T3において検品領域Iが物品の検査が可能な状態にあると判定する。
【0069】
このように、状態判定部530では、
・今回通知されたフレーム画像が、基準画像とは異なる、
・今回通知されたフレーム画像が、前回通知されたフレーム画像と同じである、
と判定した場合に、検品領域が物品の検査が可能な状態にあると判定する。
【0070】
(3)状態判定部による処理の具体例その2
次に、状態判定部530による判定処理の他の具体例について説明する。
図8は、表示制御装置の各部の処理の具体例を示す第3の図であり、検品領域Iが物品の検査が可能にあるか否かを状態判定部が判定する際の検品領域Iの状態の変化のバリエーションを示す図である。ここでは、物品の検査が可能な状態にないと判定される変化のバリエーションについて説明する。
【0071】
図8(a)は、撮像装置113が検品領域Iの基準画像として搬送ボックス112内を撮影した際の検品領域Iの様子を示しており、
図7(a)と同じである。
【0072】
図8(b-1)は、時刻T1、T2、T3における検品領域Iの状態の変化の一例を示している。
図8(b-1)の例によれば、時刻T1において、検品領域Iには、物品が載置されておらず、時刻T2、時刻T3においても、物品が載置されていない状態が継続している。
【0073】
この場合、現在の時刻T3において、状態判定部530では、
・今回通知されたフレーム画像が、基準画像と同じである、
・今回通知されたフレーム画像が、前回通知されたフレーム画像と同じである、
と判定し、時刻T3において検品領域Iが物品の検査が可能な状態にないと判定する。
【0074】
また、
図8(b-2)は、時刻T1、T2、T3における検品領域Iの状態の変化の他の一例を示している。
図8(b-2)の例によれば、時刻T1において、検品領域Iには、商品Aの物品が載置されており、時刻T2でも、商品Aの物品が載置されており、時刻T3において、商品Aの物品が取り除かれている。
【0075】
この場合、現在の時刻T3において、状態判定部530では、
・今回通知されたフレーム画像が、基準画像と同じである、
・今回通知されたフレーム画像が、前回通知されたフレーム画像と異なる、
と判定し、時刻T3において検品領域Iが物品の検査が可能な状態にないと判定する。
【0076】
また、
図8(b-3)は、時刻T1、T2、T3における検品領域Iの状態の変化の他の一例を示している。
図8(b-3)の例によれば、時刻T1において、検品領域Iには、物品が載置されていなかったところ、時刻T2では、検品領域Iに商品Aの物品が載置され、時刻T3では、商品Aの物品の位置が移動している。
【0077】
この場合、現在の時刻T3において、状態判定部530では、
・今回通知されたフレーム画像が、基準画像と異なる、
・今回通知されたフレーム画像が、前回通知されたフレーム画像と異なる、
と判定し、時刻T3において検品領域Iが物品の検査が可能な状態にないと判定する。
【0078】
また、
図8(b-4)は、時刻T1、T2、T3における検品領域Iの状態の変化の他の一例を示している。
図8(b-4)の例によれば、時刻T1において、検品領域Iには、商品Aの物品が載置されており、時刻T2、時刻T3でも、商品Aの物品が載置された状態が継続している。
【0079】
この場合、現在の時刻T3において、状態判定部530では、
・今回通知されたフレーム画像が、基準画像と異なる、
・今回通知されたフレーム画像が、前回通知されたフレーム画像と同じである、
・時刻T2において既に物品の検査が可能な状態であると判定している、
と判定し、時刻T3において検品領域Iが物品の検査が可能な状態にないと判定する。
【0080】
このように、状態判定部530では、
・今回通知されたフレーム画像が基準画像と同じである、
場合、
または、
・今回通知されたフレーム画像が基準画像と異なる、かつ、
・今回通知されたフレーム画像が、前記通知されたフレーム画像と異なる、
場合、
または、
・今回通知されたフレーム画像が基準画像と異なる、かつ、
・今回通知されたフレーム画像が、前記通知されたフレーム画像と同じである、かつ、
・前回フレーム画像が通知された際に、既に、物品の検査が可能な状態にあると判定している、
場合に、検品領域が物品の検査が可能な状態にないと判定する。
【0081】
<表示制御処理の流れ>
次に、表示制御装置140、240による表示制御処理の流れについて説明する。
図9は、表示制御装置による表示制御処理の流れを示すフローチャートである。
【0082】
ステップS901において、動画像取得部510は、撮像装置に対して動画像の撮影開始を指示し、撮像装置より送信される動画像の取得を開始する。
【0083】
ステップS902において、フレーム画像抽出部520は、所定の周期が経過したか否かを判定する。ステップS902において、所定の周期が経過していないと判定した場合には(ステップS902においてNoの場合には)、ステップS907に進む。一方、ステップS902において、所定の周期が経過したと判定した場合には(ステップS902においてYesの場合には)、ステップS903に進む。
【0084】
ステップS903において、フレーム画像抽出部520は、動画像よりフレーム画像を抽出し、状態判定部530に通知する。
【0085】
ステップS904において、状態判定部530は、フレーム画像抽出部520より通知されたフレーム画像を、基準画像と比較する。また、状態判定部530は、フレーム画像抽出部520より通知されたフレーム画像を、前回通知されたフレーム画像と比較する。
【0086】
ステップS905において、状態判定部530は、比較結果に基づいて、検品領域が物品の検査が可能な状態にあるか否かを判定する判定処理を実行する。なお、状態判定部530による判定処理の詳細は、既に説明済みであるため、ここでは説明を省略する。
【0087】
ステップS906において、表示制御部540は、状態判定部530において、物品の検査が可能な状態にあると判定されたフレーム画像を、表示装置に送信する。
【0088】
ステップS907において、動画像取得部510は、表示制御処理を継続するか否かを判定する。ステップS907において、継続すると判定した場合には(ステップS907においてNoの場合には)、ステップS902に戻る。一方、ステップS907において、終了すると判定した場合には(ステップS907においてYesの場合には)、表示制御処理を終了する。
【0089】
<表示画面の具体例>
次に、表示装置150、250に表示される表示画面の具体例について説明する。
図10は、表示画面の具体例を示す図であり、タイムテーブル300に従って表示された表示画面を示している。
【0090】
図10に示すように、表示装置150、250には、はじめに、検品領域IIIのフレーム画像が送信されるため、表示装置150、250では、分割画面1001に、検品領域IIIのフレーム画像を表示する。
【0091】
分割画面1001に、検品領域IIIのフレーム画像が表示されると、検査者160、260は、物品が正常であるか否かを判定する。検査者160、260は、正常であると判定した場合、分割画面1001上で、指1010を矢印1020で示す方向に動かす。これにより、表示装置150、250では、分割画面1001に表示されたフレーム画像に含まれる物品が正常であると判定し、検品結果を生成する。具体的には、表示装置150、250は、
・画面情報=分割画面1001を示す情報、
・検品領域=検品領域IIIを示す情報、
・物品が正常であると判定された判定結果、
を含む検品結果を生成する。表示装置150、250は、生成した検品結果を、表示制御装置140、240に送信する。
【0092】
続いて、
図10に示すように、表示装置150、250には、検品領域IIのフレーム画像及び検品領域Iのフレーム画像が送信されるため、表示装置150、250では、分割画面1002、1003に、検品領域II及び検品領域Iのフレーム画像を表示する。
【0093】
なお、このとき、表示装置150、250では、分割画面1001に表示していた、検品領域Iのフレーム画像を、消去する。
【0094】
分割画面1002に、検品領域IIのフレーム画像が表示されると、検査者160、260は、物品が正常であるか否かを判定する。検査者160、260は、異常であると判定した場合、分割画面1002上で、指1010を矢印1021で示す方向に動かす。これにより、表示装置150、250では、分割画面1002に表示されたフレーム画像に含まれる物品が異常であると判定し、検品結果を生成する。具体的には、表示装置150、250は、
・画面情報=分割画面1002を示す情報、
・検品領域=検品領域IIを示す情報、
・物品が異常であると判定された判定結果、
を含む検品結果を生成する。表示装置150、250は、生成した検品結果を、表示制御装置140、240に送信する。
【0095】
なお、このとき、表示装置150、250には、検品領域IIIのフレーム画像が送信されるため、表示装置150、250では、分割画面1004に、検品領域IIIのフレーム画像を表示する。また、表示装置150、250では、分割画面1002に表示していた、検品領域IIのフレーム画像を、消去する。
【0096】
以上の説明から明らかなように、第1の実施形態に係る表示制御装置は、各検品領域を撮影した各動画像を取得し、各動画像に含まれるフレーム画像を、所定周期ごとに抽出する。また、第1の実施形態に係る表示制御装置は、抽出したフレーム画像を、基準画像及び前回抽出したフレーム画像と比較することで、検品領域の現在の状態を判定する。更に、第1の実施形態に係る表示制御装置は、現在の検品領域が物品の検査が可能な状態にあると判定した場合、対応するフレーム画像を、表示画面に表示する。
【0097】
このように、各検品領域のフレーム画像を集約して表示するとともに、物品の検査が可能な状態にあると判定したフレーム画像のみを表示することで、第1の実施形態に係る表示制御装置によれば、物品を検査する際の検査者の待機時間を削減することができる。この結果、第1の実施形態に係る表示制御装置によれば、検査者が物品を検査する際の検査効率を向上させることができる。
【0098】
[第2の実施形態]
上記第1の実施形態では、物流センタに検品システム100を適用する場合について説明した。しかしながら、検品システム100の適用先は、物流センタに限定されない。例えば、物品の製造ラインに検品システム100を適用してもよい。
【0099】
上記第1の実施形態では、表示画面を4つの分割画面に分割するものとして説明したが、表示画面の分割数は4つに限定されない。また、表示装置が複数ある場合には、表示画面を分割しなくてもよい。
【0100】
また、上記第1の実施形態では、検査者が判定結果を入力する際に、矢印1020、1021で示す方向に指を動かすものとして説明したが、判定結果の入力方法はこれに限定されない。
【0101】
また、上記第1の実施形態において表示制御装置140、240が実現する機能の一部は、検品システム100、200内の他の装置において実現されてもよい。
【0102】
なお、開示の技術では、以下に記載する付記のような形態が考えられる。
(付記1)
各検品領域を撮影した各動画像を取得する動画像取得部と、
取得された各動画像に含まれるフレーム画像から今回抽出されたフレーム画像を、基準画像及び前回抽出されたフレーム画像と比較することで、前記各検品領域の現在の状態を判定する状態判定部と、
現在の状態が物品の検査が可能な状態にあると判定された検品領域について、対応するフレーム画像を、表示画面に表示する表示制御部と
を有する表示制御装置。
(付記2)
前記状態判定部は、今回抽出されたフレーム画像が基準画像と異なっており、かつ、前回抽出されたフレーム画像と同じであると判定した場合、現在の状態が物品の検査が可能な状態にあると判定する、付記1に記載の表示制御装置。
(付記3)
前記状態判定部は、今回抽出されたフレーム画像が基準画像と同じであると判定した場合、現在の状態が物品の検査が可能な状態にないと判定する、付記2に記載の表示制御装置。
(付記4)
前記状態判定部は、今回抽出されたフレーム画像が基準画像と異なっており、かつ、前回抽出されたフレーム画像と異なっていると判定した場合、現在の状態が物品の検査が可能な状態にないと判定する、付記2に記載の表示制御装置。
(付記5)
前記状態判定部は、予め定められた領域の画素値を用いて、今回抽出されたフレーム画像と、基準画像及び前回抽出されたフレーム画像とを比較する、付記1乃至4のいずれかの付記に記載の表示制御装置。
(付記6)
取得された各動画像に含まれるフレーム画像から、所定周期ごとにフレーム画像を抽出するフレーム画像抽出部を更に有する、付記1に記載の表示制御装置。
(付記7)
各検品領域を撮影した各動画像を取得し、
取得された各動画像に含まれるフレーム画像から今回抽出されたフレーム画像を、基準画像及び前回抽出されたフレーム画像と比較することで、前記各検品領域の現在の状態を判定し、
現在の状態が物品の検査が可能な状態にあると判定された検品領域について、対応するフレーム画像を、表示画面に表示する、
処理をコンピュータに実行させるための表示制御プログラム。
(付記8)
各検品領域を撮影する複数の撮像装置と、
撮影された各動画像を処理する表示制御装置と、
前記各動画像に含まれるフレーム画像を表示する表示装置と、を有する検品システムであって、
前記複数の撮像装置により撮影された各検品領域の各動画像を取得する動画像取得部と、
取得された各動画像に含まれるフレーム画像から今回抽出されたフレーム画像を、基準画像及び前回抽出されたフレーム画像と比較することで、前記各検品領域の現在の状態を判定する状態判定部と、
現在の状態が物品の検査が可能な状態にあると判定された検品領域について、対応するフレーム画像を、前記表示装置に表示する表示制御部と
を有する検品システム。
なお、上記実施形態に挙げた構成等に、その他の要素との組み合わせ等、ここで示した構成に本発明が限定されるものではない。これらの点に関しては、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更することが可能であり、その応用形態に応じて適切に定めることができる。
【符号の説明】
【0103】
100 :検品システム
113、123、133 :撮像装置
140 :表示制御装置
150 :表示装置
214_1~214_3 :撮像装置
240 :表示制御装置
250 :表示装置
510 :動画像取得部
520 :フレーム画像抽出部
530 :状態判定部
540 :表示制御部
550 :検品結果受付部
560 :検品結果出力部