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  • 特許-シャープペンシル用替芯ケース 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-10
(45)【発行日】2023-01-18
(54)【発明の名称】シャープペンシル用替芯ケース
(51)【国際特許分類】
   B43K 19/14 20060101AFI20230111BHJP
   B65D 83/02 20060101ALI20230111BHJP
【FI】
B43K19/14
B65D83/02 A
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2019057725
(22)【出願日】2019-03-26
(65)【公開番号】P2020157539
(43)【公開日】2020-10-01
【審査請求日】2021-11-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000005511
【氏名又は名称】ぺんてる株式会社
(72)【発明者】
【氏名】山本 学
【審査官】小池 俊次
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3095777(JP,U)
【文献】特開2010-030136(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B43K 19/14
B65D 83/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャープペンシル用替芯を収容する有底筒状のケース本体と、替芯取り出し口を閉口可能なカバー部材とから少なくともなり、前記ケース本体の底部の下方であって、側壁近傍に、前記ケース本体と前記カバー部材とが相対的に扇状に回動可能な支点となる要結合部を形成し、前記ケース本体は、前記ケース本体の内底部から前記替芯取り出し口までの距離が収容する前記シャープペンシル用替芯の全長より短い位置に前記替芯取り出し口を形成して、開口状態で前記シャープペンシル用替芯の端部が外露するようなし、前記カバー部材は、前記替芯取り出し口を被覆する前記カバー部材と前記ケース本体との前記要結合部との間部分に内面が平面状のスライド背面板部を有すると共に、前記ケース本体の前記スライド背面板部に対向する面にもスライド可能な背平面部を形成し、前記ケース本体の前記背平面部の反対側外部の腹部と、前記カバー部材の前記スライド背面板部外面とを相対的にスライドさせることにより、前記ケース本体と前記カバー部材とが、前記要結合部を支点として扇状回動し、前記替芯取り出し口を開閉可能としたシャープペンシル用替芯ケース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャープペンシル用替芯を収容する有底筒状のケース本体と、替芯取り出し口を閉口可能なカバー部材とから少なくともなるシャープペンシル用替芯ケースに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、簡単な操作にて、シャープペンシル用替芯を取り出せるシャープペンシル用替芯ケースとして、ケース本体の底方向部分に、ケース本体とカバー部材とが相対的に扇状に回動可能となる要結合部を回動支点として形成したものが知られている(特許文献1、特許文献2)。
他の簡単な操作による、シャープペンシル用替芯ケースの開放手段として、ケース本体の開口部に配置したカバー部材を横にスライドさせ、ケース本体の開口部よりシャープペンシル用替芯が外露するようにしたもの(特許文献3)や、カバー部材を扇状に回動させるもので、回動支点がガイドに沿って移動するようにして外装内の容器本体の移動操作によってカバー部材が回動して開口するようなし、カバー部材が開いた開口状態でシャープペンシル用替芯の端部が外露するようにしたもの(特許文献4)などが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2007-45052号公報
【文献】実用新案登録第3095777号公報
【文献】特開2016-94221号公報
【文献】実開平7-17584号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されているものは、片手でケース本体とカバー部材とが相対的に扇状に回動させる操作を行い、ケース本体に形成した溝に一定の本数のシャープペンシル用替芯を落とし込み、シャープペンシル用替芯を取り出しているが、予め決められた一定の本数が設定されるのでその時々に必要な本数を取り出すような取り出し本数の調節をすることができず、要求本数に満たない場合には、ケース本体とカバー部材とを回動させる操作を複数回繰り返す手間がかかり、又、要求本数に対して過剰な場合には、不要に余ったシャープペンシル用替芯をシャープペンシル用替芯ケースに戻す手間がかかっていた。
又、特許文献2~特許文献4に開示されているものでは、開口状態でシャープペンシル用替芯の端部が外露するので、必要本数を調整して指で摘むことができるが、ケース本体の替芯取り出し口の近傍に摺動するカバー部材が配置されているため、カバー部材の開口動作の際にシャープペンシル用替芯に手が接触し、手が汚れたり、シャープペンシル用替芯を折損したりすることが懸念される。
特許文献2や特許文献4に開示されているもののように、カバー部材が開く動作に連動してシャープペンシル用替芯が迫り出してケース本体の替芯取り出し口からシャープペンシル用替芯を外露させるものでは、機構が複雑になると共に、カバー部材を開閉する際の動作とシャープペンシル用替芯が迫り出すタイミングを上手く合わせる必要があり、タイミングが合わないとカバー部材と迫り出すシャープペンシル用替芯が衝突して、シャープペンシル用替芯を折損させる恐れが生じ、又、各部品の寸法精度や管理に手間がかかっていた。
【0005】
本発明は、上記の問題に鑑み、簡単な構造にて、簡単な操作で所望する本数のシャープペンシル用替芯を取り出しやすい、使い勝手の良いシャープペンシル用替芯ケースを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、シャープペンシル用替芯を収容する有底筒状のケース本体と、替芯取り出し口を閉口可能なカバー部材とから少なくともなり、前記ケース本体の底部の下方であって、側壁近傍に、前記ケース本体と前記カバー部材とが相対的に扇状に回動可能な支点となる要結合部を形成し、前記ケース本体は、前記ケース本体の内底部から前記替芯取り出し口までの距離が収容する前記シャープペンシル用替芯の全長より短い位置に前記替芯取り出し口を形成して、開口状態で前記シャープペンシル用替芯の端部が外露するようなし、前記カバー部材は、前記替芯取り出し口を被覆する前記カバー部材と前記ケース本体との前記要結合部との間部分に内面が平面状のスライド背面板部を有すると共に、前記ケース本体の前記スライド背面板部に対向する面にもスライド可能な背平面部を形成し、前記ケース本体の前記背平面部の反対側外部の腹部と、前記カバー部材の前記スライド背面板部外面とを相対的にスライドさせることにより、前記ケース本体と前記カバー部材とが、前記要結合部を支点として扇状回動し、前記替芯取り出し口を開閉可能としたシャープペンシル用替芯ケースを要旨とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、ケース本体の背平面部の反対側外部の腹部と、カバー部材のスライド背面板部外面とを指などで挟んで相対的にスライドさせることにより、ケース本体とカバー部材とを相対的に扇状回動させて替芯取り出し口を開閉するので、カバー部材を開閉する際の動作と替芯が迫り出すタイミングを合わせたりする必要がなく、カバー部材とシャープペンシル用替芯が衝突して、シャープペンシル用替芯を折損させる恐れがなく、又、単純な機構であるため、各部品の寸法精度や管理がしやすく、部品を安定供給することができ安価に製造できると共に、ケース本体の替芯取り出し口から離れた位置で、開閉する操作ができ、誤ってシャープペンシル用替芯に手が接触し、手が汚れたり、シャープペンシル用替芯を折損したりすることを防止できると共に、ケース本体の替芯取り出し口より、シャープペンシル用替芯が外露するので、替芯取り出し口からシャープペンシル用替芯を必要な本数取り出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施例の正面からの分解斜視図。
図2図1の背面から見た分解斜視図。
図3図1の未使用時の正面からの斜視図。
図4図1の使用時(替芯取り出し口2aを開口状態)の正面からの斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明のシャープペンシル用替芯ケースは、シャープペンシル用替芯を収容する有底筒状のケース本体と、替芯取り出し口を閉口可能なカバー部材とからなっている。ケース本体とカバー部材の形状は、両者をスライドさせて開閉操作を行う都合上、共に扁平箱型とすることが好ましいが、操作の利便性や製造の容易性などの本発明の利点を損なわない範囲で、円筒型、楕円筒型、横断面三角形箱型、横断面四角形箱型、横断面多角形箱型であっても良い。
【0010】
ケース本体の底方向部分に、ケース本体とカバー部材とが相対的に扇状に回動するための支点となる要結合部を形成している。その要結合部は、ケース本体とカバー部材との一方に凸部を形成し他方に凸部の嵌る凹部又は孔を形成したり、両者に形成した凹部又は孔にハトメ部材をはめ込むようになすことなど、カバー部材とケース本体とを相対的に扇状に回動可能となっていれば良く、適宜なせる。
【0011】
ケース本体は、ケース本体の内底部からの距離が収容するシャープペンシル用替芯の全長より短い位置に替芯取り出し口を形成して、開口状態でシャープペンシル用替芯の端部が外露するようなしている。その替芯取り出し口の形状は、長方形状、円形状、楕円形状、三角形状、四角形状、その他多角形状など適宜なせるので、外形と異なる形状であっても構わない。
【0012】
カバー部材は、替芯取り出し口を被覆するカバー部とケース本体に対する要結合部との間に内面が平面状のスライド背面板部を有する。このカバー部材のスライド背面板部に対向するケース本体の面もスライド可能な背平面部として形成されている。その形状は表面が平らな面であるが、ケース本体とカバー部材とが相対的に扇状に回動可能であれば良く、例えば、両者間に隙間を形成するなどして波板状や格子状の凹凸がある平面であっても良いし、互いの形状が扇状回動軌道に沿った凹凸関係としても良い。但し、平滑面同士であるほうが製造上や作動上有利であるといえる。
【0013】
カバー部材とケース本体の一方に突起を形成し、他方にこの突起の嵌合部を形成することによって、カバー部材が替芯取り出し口を閉じた状態を維持する機構とすることができる。また、凹凸の嵌合によらずに、対峙する摺動面の摩擦抵抗を調節して、カバー部材の回動位置を維持するようなすこともできる。
或いは、カバー部材とケース本体との間に弾発部材、ピストンやダンパーなどの部品構成を用いて、相対的な回動を制御することもできる。
【0014】
ケース本体及びカバー部材を構成する材質は、AS樹脂(アクリロニトリルスチレン共重合体)、ABS樹脂(アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体)、PC樹脂(ポリカーボネート)、PS樹脂(ポリスチレン)、PP樹脂(ポリプロピレン)、PET樹脂(ポリエチレンテレフタレート)など、各種合成樹脂が使用できる。
また、ケース本体とカバー部材とを同じ材質とした場合には、材料間の親和性が高く食いつきによる摺動不良が起こる場合があり、両者を異なる材料の部材としたり、両者間にシリコンオイル、グリースなどの潤滑剤を塗布するなどとすることが好ましい。更に、ケース本体は収容するシャープペンシル用替芯が見えるよう、AS樹脂などの透明性の高い樹脂で形成することが好ましい。
又、透明色、半透明色、着色しても良く、用途に応じて適宜選択可能である。その他、高級感を出す為に金属を使用することもでき、材質は特に限定されない。或いは、外観表面を光沢面やシボ面にしても良く、印刷など装飾を施しても良い。
【実施例
【0015】
本発明のシャープペンシル用替芯ケース1の一例を図1図4に示し説明する。以下では、ケース本体2の替芯取り出し口2a側を上方向、底部2b側を底方向、正面側を正面方向、背面側を背面方向と呼称する。
【0016】
実施例の分解斜視図である、図1図1の背面から見た分解斜視図である図2に示すように、シャープペンシル用替芯ケース1は、シャープペンシル用替芯3を収容する扁平箱型の有底筒状のケース本体2と、替芯取り出し口2aを閉口可能な扁平箱型のカバー部材4とからなっている。
シャープペンシル用替芯ケース1の底方向部分に、ケース本体2の要凸部2cを、カバー部材4の要結合孔4aをそれぞれ形成し、要結合孔4aに要凸部2cを差し込み嵌合させることでケース本体2とカバー部材4とが相対的に扇状に回動可能となる要結合部を形成している。
ケース本体2は、ケース本体2の内底部2dからの距離が収容するシャープペンシル用替芯3の全長より短い位置に長方形に形成された替芯取り出し口2aを形成して、開口状態でシャープペンシル用替芯3の端部が外露するようなしている。シャープペンシル用替芯3の端部が外露する長さは適宜なせるが、指先で摘むことやケース本体2内でシャープペンシル用替芯3が斜め配置されるような場合を想定すると、収容されるシャープペンシル用替芯3の全長の50%以上98%以下が好ましい。また、80%以上97%以下が更に好ましく、シャープペンシル用替芯3の端部が外露する長さは1.8mm以上12mm以下が好ましい。
【0017】
ケース本体2の内底部2dは、ケース本体2に収容されたシャープペンシル用替芯3の端部が外露する長さを揃えるため平面状にしてあるが、シャープペンシル用替芯3を予め斜めに配置させるために斜面状であっても良い。又、上述のシャープペンシル用替芯3の端部が外露する範囲内であれば、半円状、U字状、V字状であっても良い。
【0018】
カバー部材4は、替芯取り出し口2aを被覆するカバー部4bと、ケース本体2に対する要結合部となる要結合孔4aとの間に、内面が平面状のスライド背面板部4cを有している。ケース本体2の、カバー部材4のスライド背面板部4cに対向する面もスライド可能な背平面部2eとして形成している。
ケース本体2の背平面部2eの反対側の腹部2fと、カバー部材4のスライド背面板部外面4dとを挟んでスライドし、ケース本体2とカバー部材4とが、要凸部2cを支点として扇状回動し、替芯取り出し口2aを開閉可能としている。
上述の構成とすることで、ケース本体2の替芯取り出し口2aから離れた位置で、開閉する操作ができるので、誤ってシャープペンシル用替芯3に手が接触し、手が汚れたり、シャープペンシル用替芯3を折損したりすることを防止できると共に、ケース本体2の替芯取り出し口2aより、シャープペンシル用替芯3が外露するので、シャープペンシル用替芯ケース1を、振る、或いは傾ける操作をせずに、シャープペンシル用替芯3を取り出す事が可能であり、机上にシャープペンシル用替芯3をばら撒いてしまうことがなく、替芯取り出し口2aからシャープペンシル用替芯3を必要な本数取り出すことができる。
【0019】
ケース容器本体2は、シャープペンシル用替芯3を収容するための替芯収容部を有し、その替芯収容部の上方に替芯取り出し口2aを備え、更に、替芯取り出し口2aの側壁2gから上方に向けて上方側壁2hが突出形成されており、カバー部4bを開放した場合の露出したシャープペンシル用替芯3のガイドとなっている。
また、ケース本体2の正面には、カバー部4bの突出部4eが摺動するガイド溝2iが設けられており、カバー部4bの開閉動作の際の軌道をガイドしてがたついたりすることを抑制している。又、底部2b近傍部の側壁2gが形成された下方には、側壁2gが延設され、要結合部近傍に異物が混入し、動作不良しないようになしてある。
【0020】
シャープペンシル用替芯3が残り少なくなったら、ケース本体2を上方側壁2h側に傾けることにより、上方側壁2hをガイドとして、シャープペンシル用替芯3を取り出すことができる。或いは、芯径0.2、芯径0.3などの細く強度が弱いシャープペンシル用替芯なども同様に、ケース本体2を上方側壁2h側に傾けることにより、上方側壁2hをガイドとして、シャープペンシル用替芯3を折損する心配がなく取り出すことができる。
【符号の説明】
【0021】
1 シャープペンシル用替芯ケース
2 ケース本体
2a 替芯取り出し口
2b 底部
2c 要凸部
2d 内底部
2e 背平面部
2f 腹部
2g 側壁
2h 上方側壁
2i ガイド溝
3 シャープペンシル用替芯
4 カバー部材
4a 要結合孔
4b カバー部
4c スライド背面板部
4d スライド背面板部外面
4e 突出部
図1
図2
図3
図4