(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-10
(45)【発行日】2023-01-18
(54)【発明の名称】水中電動ポンプ、水中電動ポンプシステムおよび水中電動ポンプの運転方法
(51)【国際特許分類】
F04D 15/00 20060101AFI20230111BHJP
【FI】
F04D15/00 B
F04D15/00 J
F04D15/00 H
(21)【出願番号】P 2019109014
(22)【出願日】2019-06-11
【審査請求日】2021-12-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000150844
【氏名又は名称】株式会社鶴見製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【氏名又は名称】宮園 博一
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 剛
【審査官】嘉村 泰光
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-002197(JP,A)
【文献】特開2017-207030(JP,A)
【文献】特開2017-227485(JP,A)
【文献】特開2015-190208(JP,A)
【文献】特開2016-065824(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水中電動ポンプ本体と、
前記水中電動ポンプ本体の運転を制御する制御部と、
前記水中電動ポンプ本体に設けられ、他の通信部と互いに無線通信を行う通信部と、を備え、
前記制御部は、前記通信部の前記他の通信部との無線通信の信号強度の変化に基づいて、前記水中電動ポンプ本体の
起動および停止を制御するように構成され
、
前記制御部は、前記通信部の前記他の通信部との無線通信の信号強度の変化に基づいて、前記水中電動ポンプ本体の運転時間を決定するように構成されている、水中電動ポンプ。
【請求項2】
前記制御部は、前記通信部の前記他の通信部との無線通信の信号強度の変化に基づいて、水位の変化を取得するように構成されている、請求項
1に記載の水中電動ポンプ。
【請求項3】
前記制御部は、前記通信部の前記他の通信部との無線通信の信号強度の変化に基づいて取得した水位の変化量に基づいて、前記水中電動ポンプ本体の
起動および停止を制御するように構成されている、請求項
2に記載の水中電動ポンプ。
【請求項4】
前記制御部は、前記水中電動ポンプ本体を運転させた状態で、前記通信部の前記他の通信部との無線通信の信号強度の変化を検知するように構成されている、請求項1~
3のいずれか1項に記載の水中電動ポンプ。
【請求項5】
前記制御部は、前記通信部の前記他の通信部との無線通信の信号強度の最大値に対する相対的な信号強度の変化に基づいて、前記水中電動ポンプ本体の
起動および停止を制御するように構成されている、請求項1~
4のいずれか1項に記載の水中電動ポンプ。
【請求項6】
前記制御部は、前記通信部が水面よりも上にある状態における前記通信部の前記他の通信部との無線通信の信号強度を信号強度の最大値として、無線通信の信号強度の最大値に対する相対的な信号強度の変化を取得するように構成されている、請求項
5に記載の水中電動ポンプ。
【請求項7】
前記制御部は、無線通信の所定の信号強度における水位と、信号強度が所定量変化する間の時間とに基づいて、前記水中電動ポンプ本体の運転時間を決定するように構成されている、請求項
1~6のいずれか1項に記載の水中電動ポンプ。
【請求項8】
複数の水中電動ポンプと、
前記水中電動ポンプの運転を制御する制御部と、
前記複数の水中電動ポンプにそれぞれ設けられ、互いに無線通信を行う複数の通信部と、を備え、
前記制御部は、前記複数の通信部の無線通信の信号強度の変化に基づいて、前記水中電動ポンプの
起動および停止を制御するように構成されている、水中電動ポンプシステム。
【請求項9】
複数の水中電動ポンプにそれぞれ設けられた複数の通信部により互いに無線通信を行い、
前記複数の通信部の無線通信の信号強度の変化に基づいて、前記水中電動ポンプの
起動および停止を制御する、水中電動ポンプの運転方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、水中電動ポンプ、水中電動ポンプシステムおよび水中電動ポンプの運転方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、水中電動ポンプが知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、水位を検知する水位センサと、制御コントローラとを含む水中ポンプ(水中電動ポンプ)が開示されている。上記特許文献1の水中ポンプシステムでは、制御コントローラは、水位センサがON状態となった場合に水中ポンプを起動し、水位センサがOFF状態となってから設定時間経過後に水中ポンプを停止させるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1の水中ポンプは、水位センサがON状態となった場合に起動され、水位センサがOFF状態となってから設定時間経過後に停止されるため、水中ポンプを設置する場所の水平断面の面積が異なる場合、水位センサがOFF状態となってから設定時間運転中における下がる水位が異なる。具体的には、水平断面の面積が小さい設置場所では、設定時間が長すぎて、水が無くなり水中ポンプが空運転となるという不都合がある。また、水平断面の面積が大きい設置場所では、設定時間が短すぎて、排水量が不足するという不都合がある。その結果、水中ポンプを自動で精度よく停止させて効率よく水中ポンプを運転させることが困難であるという問題点がある。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、水中電動ポンプを自動で精度よく停止させて効率よく水中電動ポンプを運転させることが可能な水中電動ポンプ、水中電動ポンプシステムおよび水中電動ポンプの運転方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の第1の局面による水中電動ポンプは、水中電動ポンプ本体と、水中電動ポンプ本体の運転を制御する制御部と、水中電動ポンプ本体に設けられ、他の通信部と互いに無線通信を行う通信部と、を備え、制御部は、通信部の他の通信部との無線通信の信号強度の変化に基づいて、水中電動ポンプ本体の起動および停止を制御するように構成され、制御部は、通信部の他の通信部との無線通信の信号強度の変化に基づいて、水中電動ポンプ本体の運転時間を決定するように構成されている。
【0008】
この発明の第1の局面による水中電動ポンプでは、上記のように、制御部を、通信部の他の通信部との無線通信の信号強度の変化に基づいて、水中電動ポンプ本体の起動および停止を制御するように構成する。ここで、無線電波は、水中では飛びにくくなるため、通信部よりも水位が上がるにつれて、無線通信の信号強度が弱くなる。また、通信部を通過するように水位が下がることにより、無線通信の信号強度が強くなる。そこで、無線通信の信号強度の変化を観測することにより、水位の変化を取得することができる。これにより、水中電動ポンプを設置する場所の水平断面の面積が異なる場合でも、水位の変化に基づいて、所望の水位になるまで水中電動ポンプ本体を運転させてから停止させることができるので、水中電動ポンプを自動で精度よく停止させて効率よく水中電動ポンプを運転させることができる。
【0009】
また、上記第1の局面による水中電動ポンプでは、制御部は、通信部の他の通信部との無線通信の信号強度の変化に基づいて、水中電動ポンプ本体の運転時間を決定するように構成されている。これにより、無線通信の信号強度の変化に基づいて決定した運転時間により水中電動ポンプ本体を運転させることにより、水位を所望の位置まで下げてから水中電動ポンプを精度よく停止させることができる。
【0010】
上記第1の局面による水中電動ポンプにおいて、好ましくは、制御部は、通信部の他の通信部との無線通信の信号強度の変化に基づいて、水位の変化を取得するように構成されている。このように構成すれば、取得した水位の変化に基づいて、所望の水位になるまで水中電動ポンプ本体を運転させてから、水中電動ポンプ本体の運転を精度よく停止させることができる。
【0011】
この場合、好ましくは、制御部は、通信部の他の通信部との無線通信の信号強度の変化に基づいて取得した水位の変化量に基づいて、水中電動ポンプ本体の起動および停止を制御するように構成されている。このように構成すれば、水中電動ポンプ本体が設置された場所において、水中電動ポンプ本体をどの程度運転すれば、どの程度水位が下がるのかを取得することができるので、所望の水位において水中電動ポンプ本体を容易に停止させることができる。
【0012】
上記第1の局面による水中電動ポンプにおいて、好ましくは、制御部は、水中電動ポンプ本体を運転させた状態で、通信部の他の通信部との無線通信の信号強度の変化を検知するように構成されている。このように構成すれば、水中電動ポンプの運転と水位の変化との関係を取得することができるので、所望の水位において水中電動ポンプ本体を容易に停止させることができる。
【0013】
上記第1の局面による水中電動ポンプにおいて、好ましくは、制御部は、通信部の他の通信部との無線通信の信号強度の最大値に対する相対的な信号強度の変化に基づいて、水中電動ポンプ本体の起動および停止を制御するように構成されている。このように構成すれば、他の通信部との距離などの水中電動ポンプ本体が設置された環境によって無線通信の信号強度は変わるので、水中電動ポンプ本体が設置された環境に応じた相対的な信号強度の変化を用いて、水中電動ポンプ本体の起動および停止を制御することができる。
【0014】
この場合、好ましくは、制御部は、通信部が水面よりも上にある状態における通信部の他の通信部との無線通信の信号強度を信号強度の最大値として、無線通信の信号強度の最大値に対する相対的な信号強度の変化を取得するように構成されている。このように構成すれば、通信部が水面よりも上にあり、良好に通信できている状態の信号強度を基準に信号強度の相対的な変化を観察することができる。
【0015】
上記第1の局面による水中電動ポンプにおいて、好ましくは、制御部は、無線通信の所定の信号強度における水位と、信号強度が所定量変化する間の時間とに基づいて、水中電動ポンプ本体の運転時間を決定するように構成されている。このように構成すれば、所定の信号強度における水位から、水中電動ポンプ本体の運転を停止させるまで、水中電動ポンプ本体を運転させる時間を容易に取得することができる。
【0016】
この発明の第2の局面による水中電動ポンプシステムは、複数の水中電動ポンプと、水中電動ポンプの運転を制御する制御部と、複数の水中電動ポンプにそれぞれ設けられ、互いに無線通信を行う複数の通信部と、を備え、制御部は、複数の通信部の無線通信の信号強度の変化に基づいて、水中電動ポンプの起動および停止を制御するように構成されている。
【0017】
この発明の第2の局面による水中電動ポンプシステムでは、上記のように、複数の通信部の無線通信の信号強度の変化に基づいて、水中電動ポンプの起動および停止を制御する制御部を設ける。これにより、無線通信の信号強度の変化を観測することにより、水位の変化を取得することができる。その結果、水中電動ポンプを設置する場所の水平断面の面積が異なる場合でも、水位の変化に基づいて、所望の水位になるまで水中電動ポンプ本体を運転させてから停止させることができるので、水中電動ポンプを自動で精度よく停止させて効率よく水中電動ポンプを運転させることが可能な水中電動ポンプシステムを提供することができる。
【0018】
この発明の第3の局面による水中電動ポンプの運転方法は、複数の水中電動ポンプにそれぞれ設けられた複数の通信部により互いに無線通信を行い、複数の通信部の無線通信の信号強度の変化に基づいて、水中電動ポンプの起動および停止を制御する。
【0019】
この発明の第3の局面による水中電動ポンプの運転方法では、上記のように、複数の通信部の無線通信の信号強度の変化に基づいて、水中電動ポンプの起動および停止を制御する。これにより、無線通信の信号強度の変化を観測することにより、水位の変化を取得することができる。その結果、水中電動ポンプを設置する場所の水平断面の面積が異なる場合でも、水位の変化に基づいて、所望の水位になるまで水中電動ポンプ本体を運転させてから停止させることができるので、水中電動ポンプを自動で精度よく停止させて効率よく水中電動ポンプを運転させることが可能な水中電動ポンプの運転方法を提供することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、上記のように、水中電動ポンプを自動で精度よく停止させて効率よく水中電動ポンプを運転させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の一実施形態による水中電動ポンプシステムの全体構成を示した概略図である。
【
図2】本発明の一実施形態による水中電動ポンプの制御的な構成を示したブロック図である。
【
図3】本発明の一実施形態による水中電動ポンプシステムの第1動作例を説明するための図である。
【
図4】本発明の一実施形態による水中電動ポンプシステムの第2動作例を説明するための図である。
【
図5】本発明の一実施形態による水中電動ポンプシステムの第3動作例を説明するための図である。
【
図6】本発明の一実施形態による水中電動ポンプシステムの第4動作例を説明するための図である。
【
図7】本発明の一実施形態による水中電動ポンプシステムの運転時間の決定を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0023】
(水中電動ポンプシステムの構成)
図1~
図7を参照して、本発明の一実施形態について説明する。本実施形態による水中電動ポンプシステム100は、タンク1に流入する水を排水するように構成されている。水中電動ポンプシステム100は、
図1に示すように、水中電動ポンプ3aおよび3bを備えている。水中電動ポンプ3aおよび3bは、交流電源2から供給される電力により駆動するように構成されている。水中電動ポンプ3aおよび3bは、同一の構成を有している。水中電動ポンプ3aおよび3bは、各々、水中電動ポンプ本体31と、制御部32と、通信部33と、カバー34と、ポンプ制御回路35(
図2参照)と、モータ36(
図2参照)と、を含んでいる。
【0024】
タンク1は、流入する水を貯留するように構成されている。タンク1に流入した水は、水中電動ポンプ3aおよび3bにより排水される。
【0025】
交流電源2は、水中電動ポンプ3aおよび3bに電力を供給するように構成されている。なお、交流電源2は、商用電力を供給してもよいし、バッテリなどから電力を供給してもよい。交流電源2は、水中電動ポンプ本体31に接続される電源コードおよび電源コードの先端に設けられたプラグを介して水中電動ポンプ本体31に電力を供給する。つまり、プラグが交流電源2に挿入された場合に、水中電動ポンプ本体31に電力が供給され、プラグが交流電源2から抜かれた場合に、水中電動ポンプ本体31への電力の供給が停止される。
【0026】
水中電動ポンプ3aおよび3bは、タンク1内に配置されている。また、水中電動ポンプ3aおよび3bは、タンク1内の水を外部に排水するように構成されている。また、水中電動ポンプ3aおよび3bは、交流電源2から電力が供給させることにより運転するように構成されている。また、水中電動ポンプ3aおよび3bは、水中でも使用可能に構成されている。
【0027】
図2に示すように、水中電動ポンプ3a(3b)は、モータ36に交流電源2から交流電力が供給されることにより運転する。制御部32は、水中電動ポンプ3aおよび3b(水中電動ポンプ本体31)の運転を制御する。具体的には、制御部32は、ポンプ制御回路35を介して、モータ36に交流電力を供給する制御を行う。制御部32は、CPU(中央演算処理ユニット)321と、メモリ322とを有している。CPU321は、メモリ322内に記憶された制御プログラムを実行して、水中電動ポンプ本体31の制御を行う。
【0028】
通信部33は、他の水中電動ポンプ3aまたは3bの通信部33と無線通信を行うように構成されている。具体的には、水中電動ポンプ3aの通信部33と、水中電動ポンプ3bの通信部33とは、互いに無線通信を行うように構成されている。通信部33は、たとえば、Bluetooth(登録商標)規格による通信を行うように構成されている。
【0029】
カバー34は、制御部32、通信部33、ポンプ制御回路35を覆うように構成されている。つまり、制御部32、通信部33、ポンプ制御回路35は、水中電動ポンプ本体31の内部に配置される。カバー34は、水中電動ポンプ本体31の上部に設けられている。つまり、通信部33は、水中電動ポンプ本体31の上部に設けられている。
【0030】
ポンプ制御回路35は、交流電源2からモータ36への電力の供給・停止を制御するように構成されている。具体的には、ポンプ制御回路35は、スイッチ351を制御して、モータ36への電力の供給・停止を制御する。また、ポンプ制御回路35は、交流電源2から供給される電力を変換して制御部32に供給するように構成されている。また、ポンプ制御回路35は、交流電源2から供給される電力を変換して通信部33に供給するように構成されている。
【0031】
ポンプ制御回路35は、コンデンサ、抵抗を含んでいる。また、ポンプ制御回路35は、たとえば、コンデンサおよび抵抗を用いて、交流電源2から供給される電力の電圧を下げて、制御部32および通信部33に電力を供給する。また、ポンプ制御回路35は、トランスを用いて交流電源2から供給される電力の電圧を下げるよう構成してもよい。
【0032】
モータ36は、交流電源2から供給される電力により回転駆動するように構成されている。モータ36は、羽根車を回転させることにより、タンク1から水を吸入して管37を介して吸入した水を吐出させる。
【0033】
制御部32は、水中電動ポンプ3aの通信部33および水中電動ポンプ3bの通信部33の無線通信の可否に基づいて水位を検知するように構成されている。ここで、無線電波は、水中では飛びにくくなるため、水中電動ポンプ3aの通信部33および水中電動ポンプ3bの通信部33が水中にある場合には、無線通信ができない状態となる。つまり、制御部32は、水中電動ポンプ3aの通信部33および水中電動ポンプ3bの通信部33による無線通信ができないことに基づいて、タンク1内の水位が、水中電動ポンプ3aの通信部33および水中電動ポンプ3bの通信部33よりも上方の位置の水位であることを検知するように構成されている。また、制御部32は、水中電動ポンプ3aの通信部33および水中電動ポンプ3bの通信部33による無線通信ができることに基づいて、タンク1内の水位が、水中電動ポンプ3aの通信部33および水中電動ポンプ3bの通信部33よりも下方の位置の水位であることを検知するように構成されている。
【0034】
通信部33の通信は、一方の通信部33からパルス信号を送信し、パルス信号に対する他方の通信部33からの応答信号を一方の通信部33が受信する。つまり、制御部32は、パルス信号の送信に対して応答信号を受信することにより、通信が可能であると判断する。また、制御部32は、パルス信号に対する応答信号を受信しない場合に、通信ができていないと判断する。
【0035】
制御部32は、水中電動ポンプ3aの通信部33および水中電動ポンプ3bの通信部33の無線通信の可否に基づいて検知した水位に基づいて、水中電動ポンプ3aおよび水中電動ポンプ3bを交互に運転させる制御を行うように構成されている。つまり、タンク1内の水位がON水位以上になった(無線通信ができない)ことに基づいて、水中電動ポンプ3aおよび3bのうち一方が運転されてタンク1内の水を排水させる。その後、タンク1内の水位がOFF水位以下になった(無線通信が再開した)ことに基づいて、運転中の水中電動ポンプ3aまたは3bの運転が停止される。具体的には、無線通信が再開してから、所定時間運転後に、運転中の水中電動ポンプ3aまたは3bの運転が停止される。そして、次に、タンク1内の水位がON水位以上になった場合は、水中電動ポンプ3aおよび3bのうち他方が運転されてタンク1内の水を排水させる。その後、同様に水中電動ポンプ3aおよび3bを交互に運転させながら、タンク1内の水を排水させる。
【0036】
また、水中電動ポンプ3aの制御部32と、水中電動ポンプ3bの制御部32とは、互いに独立して、各々の水中電動ポンプ本体31の運転を制御するように構成されている。つまり、交互運転させる場合に、タンク1内の水位がON水位以上となった場合に、水中電動ポンプ3aおよび3bのうち運転させる順番の制御部32は、水中電動ポンプ本体31を運転させるように制御する。また、タンク1内の水位がON水位以上となった場合でも、水中電動ポンプ3aおよび3bのうち運転させる順番ではない制御部32は、水中電動ポンプ本体31を運転させない(休止させる)ように制御する。
【0037】
なお、水中電動ポンプ3aおよび3bのうち運転させる順番ではない制御部32は、タンク1内の水位がON水位以上となった後、所定時間経過後に、タンク1内の水位がOFF水位以下とならない(無線通信が再開しない)場合に、水中電動ポンプ本体31を運転させるように制御する。つまり、休止中の水中電動ポンプ3aおよび3bの他方は、運転中の水中電動ポンプ3aおよび3bの一方に対して追いかけるようにして運転を開始する。これにより、水中電動ポンプ3aおよび3bの両方により排水が行われる。
【0038】
また、制御部32は、水中電動ポンプ3aの通信部33および水中電動ポンプ3bの通信部33が無線通信したことに基づいて、交互運転の際の運転・休止の順番を決定するように構成されている。
【0039】
ここで、本実施形態では、制御部32は、通信部33の他の通信部33との無線通信の信号強度の変化に基づいて、水中電動ポンプ本体31の運転を制御するように構成されている。つまり、水中電動ポンプ3a(3b)の制御部32は、複数の通信部33(水中電動ポンプ3aの通信部33および水中電動ポンプ3bの通信部33)の無線通信の信号強度の変化に基づいて、水中電動ポンプ3a(3b)の運転を制御するように構成されている。
【0040】
また、制御部32は、通信部33の他の通信部33との無線通信の信号強度の変化に基づいて、水中電動ポンプ本体31の運転時間を決定するように構成されている。つまり、制御部32は、予め信号強度の変化と水位の変化との関係を取得している。そして、制御部32は、信号強度の時間変化に基づいて、水位の時間変化を取得する。そして、制御部32は、タンク1内の水位がOFF水位となるまでの運転時間を推定して、水中電動ポンプ本体31の運転時間を決定する。
【0041】
また、制御部32は、通信部33の他の通信部33との無線通信の信号強度の変化に基づいて、水位の変化を取得するように構成されている。また、制御部32は、通信部33の他の通信部33との無線通信の信号強度の変化に基づいて取得した水位の変化量に基づいて、水中電動ポンプ本体31の運転を制御するように構成されている。また、制御部32は、水中電動ポンプ本体31を運転させた状態で、通信部33の他の通信部33との無線通信の信号強度の変化を検知するように構成されている。つまり、制御部32は、排水しながら、水位の変化を検知して、水中電動ポンプ本体31の残りの運転時間を決定するように構成されている。
【0042】
また、制御部32は、通信部33の他の通信部33との無線通信の信号強度の最大値に対する相対的な信号強度の変化に基づいて、水中電動ポンプ本体31の運転を制御するように構成されている。また、制御部32は、通信部33が水面よりも上にある状態における通信部33の他の通信部33との無線通信の信号強度を信号強度の最大値として、無線通信の信号強度の最大値に対する相対的な信号強度の変化を取得するように構成されている。つまり、制御部32は、通信部33がタンク1内の水位よりも上方にある状態で無線通信の信号強度が最大値となる状態からの相対的な信号強度の変化を取得して、水位の変化を検知するように構成されている。
【0043】
また、制御部32は、無線通信の所定の信号強度における水位と、信号強度が所定量変化する間の時間とに基づいて、水中電動ポンプ本体31の運転時間を決定するように構成されている。
【0044】
(第1動作例)
図3を参照して、本実施形態の水中電動ポンプシステム100の第1動作例について説明する。第1動作例では、水位が低く水中電動ポンプ3aの通信部33と、水中電動ポンプ3bの通信部33とで通信を行える状態において、水中電動ポンプ3aおよび3bの電源がそれぞれONにされる例について説明する。
【0045】
時間t0において、水中電動ポンプ3aの電源がONにされる。続いて、時間t1において、水中電動ポンプ3bの電源がONにされる。水中電動ポンプ3aの電源がONにされ、電力が供給されると、水中電動ポンプ3aの制御部32は、所定時間Ta後の時間t2において、交互運転の際の運転・休止の順番を決定する処理を開始する。具体的には、水中電動ポンプ3aの制御部32は、通信部33から信号を発信する制御を行う。水中電動ポンプ3bの電源がONにされ、電力が供給されると、水中電動ポンプ3bの制御部32は、所定時間Ta後の時間t3において、交互運転の際の運転・休止の順番を決定する処理を開始する。具体的には、水中電動ポンプ3bの制御部32は、通信部33から信号を発信する制御を行う。
【0046】
この場合、水中電動ポンプ3aの制御部32は、時間t2に通信部33から信号を発信し、時間t2よりも後の時間t3に他の通信部33からの信号を受信するので、水中電動ポンプ3aを先に運転させる先行ポンプとして、交互運転の際の運転・休止の順番を決定する。また、水中電動ポンプ3bの制御部32は、時間t2に他の通信部33から信号を受信し、時間t2よりも後の時間t3に通信部33から信号を発信するので、水中電動ポンプ3aを先に運転させる後行ポンプとして、交互運転の際の運転・休止の順番を決定する。
【0047】
時間t4において、水中電動ポンプ3aの通信部33と、水中電動ポンプ3bの通信部33との通信ができなくなる。これにより、水中電動ポンプ3aの制御部32および水中電動ポンプ3bの制御部32は、各々、タンク1内の水位がON水位以上であることを検知する。そして、水中電動ポンプ3aの制御部32は、自身が先行ポンプであるため、水中電動ポンプ本体31を運転させる。一方、水中電動ポンプ3bの制御部32は、自身が後行ポンプであるため、水中電動ポンプ本体31を運転させない(休止させる)。
【0048】
時間t5において、水中電動ポンプ3aの通信部33と、水中電動ポンプ3bの通信部33との通信が再開される。これにより、水中電動ポンプ3aの制御部32および水中電動ポンプ3bの制御部32は、各々、タンク1内の水位がON水位未満であることを検知する。運転中の水中電動ポンプ3aの制御部32は、時間t5から所定時間Tb経過後の時間t6において、水中電動ポンプ本体31の運転を停止させる。
【0049】
時間t7において、水中電動ポンプ3aの通信部33と、水中電動ポンプ3bの通信部33との通信ができなくなる。これにより、水中電動ポンプ3aの制御部32および水中電動ポンプ3bの制御部32は、各々、タンク1内の水位がON水位以上であることを検知する。そして、水中電動ポンプ3aの制御部32は、自身が前回運転したため、水中電動ポンプ本体31を運転させない(休止させる)。一方、水中電動ポンプ3bの制御部32は、自身が前回休止したため、水中電動ポンプ本体31を運転させる。
【0050】
時間t8において、水中電動ポンプ3aの通信部33と、水中電動ポンプ3bの通信部33との通信が再開される。これにより、水中電動ポンプ3aの制御部32および水中電動ポンプ3bの制御部32は、各々、タンク1内の水位がON水位未満であることを検知する。運転中の水中電動ポンプ3bの制御部32は、時間t8から所定時間Tb経過後の時間t9において、水中電動ポンプ本体31の運転を停止させる。
【0051】
(第2動作例)
図4を参照して、本実施形態の水中電動ポンプシステム100の第2動作例について説明する。第2動作例では、水位が高く水中電動ポンプ3aの通信部33と、水中電動ポンプ3bの通信部33とで通信が行えない状態において、水中電動ポンプ3aおよび3bの電源がそれぞれONにされる例について説明する。
【0052】
時間t10において、水中電動ポンプ3aの電源がONにされる。続いて、時間t11において、水中電動ポンプ3bの電源がONにされる。水中電動ポンプ3aの電源がONにされ、電力が供給されると、水中電動ポンプ3aの制御部32は、所定時間Ta後の時間t12において、交互運転の際の運転・休止の順番を決定する処理を開始する。具体的には、水中電動ポンプ3aの制御部32は、通信部33から信号を発信する制御を行う。水中電動ポンプ3bの電源がONにされ、電力が供給されると、水中電動ポンプ3bの制御部32は、所定時間Ta後の時間t13において、交互運転の際の運転・休止の順番を決定する処理を開始する。具体的には、水中電動ポンプ3bの制御部32は、通信部33から信号を発信する制御を行う。
【0053】
この場合、水中電動ポンプ3aの通信部33および水中電動ポンプ3bの通信部33は、タンク1内の水位よりも低い位置にあるため、無線通信ができない。このため、水中電動ポンプ3aおよび水中電動ポンプ3bの各々の制御部32は、相手方の通信部33からの信号を受信することができない。その結果、水中電動ポンプ3aおよび水中電動ポンプ3bの各々の制御部32は、交互運転の際の運転・休止の順番を決定することができない。
【0054】
水中電動ポンプ3aの制御部32は、交互運転の際の運転・休止の順番を決定する処理を開始してから所定時間Tc経過した時間t14において、交互運転の際の運転・休止の順番を決定する処理を停止させるとともに、水中電動ポンプ本体31を運転させる。水中電動ポンプ3bの制御部32は、交互運転の際の運転・休止の順番を決定する処理を開始してから所定時間Tc経過した時間t15において、交互運転の際の運転・休止の順番を決定する処理を停止させるとともに、水中電動ポンプ本体31を運転させる。
【0055】
時間t16において、水中電動ポンプ3aの通信部33と、水中電動ポンプ3bの通信部33との通信が開始される。これにより、水中電動ポンプ3aの制御部32および水中電動ポンプ3bの制御部32は、各々、タンク1内の水位がON水位未満であることを検知する。そして、運転中の水中電動ポンプ3aの制御部32は、時間t16から所定時間Tb経過後の時間t17において、水中電動ポンプ本体31の運転を停止させる。また、運転中の水中電動ポンプ3bの制御部32は、時間t16から所定時間Tb経過後の時間t17において、水中電動ポンプ本体31の運転を停止させる。なお、
図4の例では、水中電動ポンプ3bは、水中電動ポンプ3aよりもわずかに遅れて運転が停止される。
【0056】
また、水中電動ポンプ3aの制御部32は、時間t17において、交互運転の際の運転および休止の順番を決定する処理を開始する。また、水中電動ポンプ3bの制御部32は、時間t17において、交互運転の際の運転および休止の順番を決定する処理を開始する。
図4の例では、ポンプ制御回路35の抵抗およびコンデンサの個体差により、水中電動ポンプ3aの運転停止のタイミングが、水中電動ポンプ3bの運転停止のタイミングよりも早い場合を示す。これにより、水中電動ポンプ3aの通信部33からの信号の発信のタイミングが、水中電動ポンプ3bの通信部33からの信号の発信のタイミングよりも早くなり、水中電動ポンプ3aが先行ポンプとして決定され、水中電動ポンプ3bが後行ポンプとして決定される。なお、タイマー等を用いて運転停止させる場合は、水位が無くなってから水中電動ポンプ3aと水中電動ポンプ3bが運転停止するタイミングが同じになるが、その場合はメモリ322に記憶されている個体識別情報を用いて交互運転の際の運転および休止の順番を決定する。
【0057】
時間t18において、水中電動ポンプ3aの通信部33と、水中電動ポンプ3bの通信部33との通信ができなくなる。これにより、水中電動ポンプ3aの制御部32および水中電動ポンプ3bの制御部32は、各々、タンク1内の水位がON水位以上であることを検知する。そして、水中電動ポンプ3aの制御部32は、自身が先行ポンプであるため、水中電動ポンプ本体31を運転させる。一方、水中電動ポンプ3bの制御部32は、自身が後行ポンプであるため、水中電動ポンプ本体31を運転させない(休止させる)。
【0058】
時間t19において、水中電動ポンプ3aの通信部33と、水中電動ポンプ3bの通信部33との通信が再開される。これにより、水中電動ポンプ3aの制御部32および水中電動ポンプ3bの制御部32は、各々、タンク1内の水位がON水位未満であることを検知する。運転中の水中電動ポンプ3aの制御部32は、時間t18から所定時間Tb経過後の時間t20において、水中電動ポンプ本体31の運転を停止させる。
【0059】
(第3動作例)
図5を参照して、本実施形態の水中電動ポンプシステム100の第3動作例について説明する。第3動作例では、水位が高く水中電動ポンプ3aの通信部33と、水中電動ポンプ3bの通信部33とで通信が行えない状態の場合に、水中電動ポンプ3aおよび3bを、それぞれ、所定時間運転させる例について説明する。
【0060】
時間t21において、水中電動ポンプ3aの電源がONにされる。続いて、時間t22において、水中電動ポンプ3bの電源がONにされる。水中電動ポンプ3aの電源がONにされ、電力が供給されると、水中電動ポンプ3aの制御部32は、所定時間Ta後の時間t23において、交互運転の際の運転・休止の順番を決定する処理を開始する。具体的には、水中電動ポンプ3aの制御部32は、通信部33から信号を発信する制御を行う。水中電動ポンプ3bの電源がONにされ、電力が供給されると、水中電動ポンプ3bの制御部32は、所定時間Ta後の時間t24において、交互運転の際の運転・休止の順番を決定する処理を開始する。具体的には、水中電動ポンプ3bの制御部32は、通信部33から信号を発信する制御を行う。
【0061】
この場合、水中電動ポンプ3aの通信部33および水中電動ポンプ3bの通信部33は、タンク1内の水位よりも低い位置にあるため、無線通信ができない。このため、水中電動ポンプ3aおよび水中電動ポンプ3bの各々の制御部32は、相手方の通信部33からの信号を受信することができない。その結果、水中電動ポンプ3aおよび水中電動ポンプ3bの各々の制御部32は、交互運転の際の運転・休止の順番を決定することができない。
【0062】
水中電動ポンプ3aの制御部32は、交互運転の際の運転・休止の順番を決定する処理を開始してから所定時間Tc経過した時間t25において、交互運転の際の運転・休止の順番を決定する処理を停止させるとともに、水中電動ポンプ本体31を運転させる。水中電動ポンプ3bの制御部32は、交互運転の際の運転・休止の順番を決定する処理を開始してから所定時間Tc経過した時間t26において、交互運転の際の運転・休止の順番を決定する処理を停止させるとともに、水中電動ポンプ本体31を運転させる。
【0063】
水中電動ポンプ3aの制御部32は、水中電動ポンプ本体31を運転させてから所定時間Td経過した時間t27において、水中電動ポンプ本体31の運転を停止させるとともに、交互運転の際の運転・休止の順番を決定する処理を再開する。水中電動ポンプ3bの制御部32は、水中電動ポンプ本体31を運転させてから所定時間Td経過した時間t28において、水中電動ポンプ本体31の運転を停止させるとともに、交互運転の際の運転・休止の順番を決定する処理を再開する。なお、第2動作例と同様にポンプ制御回路35の抵抗およびコンデンサの個体差により水中電動ポンプ3aおよび水中電動ポンプ3bの運転停止のタイミングをずらすか、水中電動ポンプ3aと水中電動ポンプ3bが運転停止するタイミングが同じになる場合はメモリ322に記憶されている個体識別情報を用いて交互運転の際の運転および休止の順番の決定を行う。
【0064】
水中電動ポンプ3aの制御部32は、交互運転の際の運転・休止の順番を決定する処理を再開してから所定時間Tc経過した時間t29において、交互運転の際の運転・休止の順番を決定する処理を停止させるとともに、水中電動ポンプ本体31を運転させる。水中電動ポンプ3bの制御部32は、交互運転の際の運転・休止の順番を決定する処理を再開してから所定時間Tc経過した時間t30において、交互運転の際の運転・休止の順番を決定する処理を停止させるとともに、水中電動ポンプ本体31を運転させる。
【0065】
時間t31において、水中電動ポンプ3aの通信部33と、水中電動ポンプ3bの通信部33との通信が開始される。これにより、水中電動ポンプ3aの制御部32および水中電動ポンプ3bの制御部32は、各々、タンク1内の水位がON水位未満であることを検知する。そして、運転中の水中電動ポンプ3aの制御部32は、時間t31から所定時間Tb経過後の時間t32において、水中電動ポンプ本体31の運転を停止させる。また、運転中の水中電動ポンプ3bの制御部32は、時間t31から所定時間Tb経過後の時間t32において、水中電動ポンプ本体31の運転を停止させる。なお、
図5の例では、水中電動ポンプ3bは、水中電動ポンプ3aよりもわずかに遅れて運転が停止される。
【0066】
また、水中電動ポンプ3aの制御部32は、時間t32において、交互運転の際の運転・休止の順番を決定する処理を開始する。また、水中電動ポンプ3bの制御部32は、時間t32において、交互運転の際の運転・休止の順番を決定する処理を開始する。
(第4動作例)
図6を参照して、本実施形態の水中電動ポンプシステム100の第4動作例について説明する。第4動作例では、水中電動ポンプ3aおよび3bのうち、水中電動ポンプ3aを、強制運転させる例について説明する。
【0067】
時間t33において、水中電動ポンプ3aの電源がONにされる。そして、所定時間Te以内に、水中電動ポンプ3aの電源が一旦OFFにされ、再びONにされる。時間t34において、水中電動ポンプ3aの制御部32は、水中電動ポンプ本体31を強制運転させる。水中電動ポンプ3aの制御部32は、水中電動ポンプ本体31を強制運転させてから所定時間Tf後の時間t35において、水中電動ポンプ本体31の運転を停止させる。
【0068】
その後、水中電動ポンプ3aの制御部32は、通常の処理に戻る。つまり、水中電動ポンプ3aの制御部32は、交互運転の際の運転・休止の順番を決定していないため、交互運転の際の運転・休止の順番を決定する処理を開始する。
【0069】
(運転時間の決定)
図7を参照して、本実施形態の水中電動ポンプシステム100の運転時間の決定処理について説明する。
【0070】
制御部32は、通信部33の他の通信部33との無線通信の信号強度の変化に基づいて、水中電動ポンプ本体31の運転を制御する。具体的には、制御部32は、無線通信の信号強度の変化に基づいて、水中電動ポンプ本体31の運転時間を決定する。ここで、制御部32は、通信部33による無線通信が再開されたことに基づいてタンク1内の水位が通信部33よりも下方になったことを検知する。そして、制御部32は、通信部33による無線通信が再開されてから所定の時間だけ水中電動ポンプ本体31を運転させて、タンク1内の水位をさらに下げる。つまり、水中電動ポンプ本体31の排水量が一定である場合に、タンク1の断面積やタンク1に流入する水の量に応じて水位が下がる量は異なる。そこで、制御部32は、水中電動ポンプ本体31を運転させた場合の水位の変化を取得して、タンク1内の水位を所定の範囲の位置まで下げてから、水中電動ポンプ本体31の運転を停止させる制御を行う。
【0071】
たとえば、制御部32は、無線通信の信号強度のレベルをLV0からLV10までの間で設定しておく。なお、信号強度のレベルは、複数の通信部33の無線通信の信号強度が最大値となる場合をLV10とし、複数の通信部33の通信が不可能になる場合をLV0として、相対的に設定される。また、制御部32は、たとえば、複数の通信部33の無線通信の信号強度のレベルがLV5となった場合に、水中電動ポンプ本体31の運転を開始する。つまり、制御部32は、信号強度のレベルが最良のLV10から変化してLV5となった場合に、水中電動ポンプ本体31を運転させるように構成されている。
【0072】
また、制御部32は、水中電動ポンプ本体31を起動してから信号強度のレベルがLV10となるまでの時間を計測して、水中電動ポンプ本体31を運転させ続けるタイマー時間を決定する。つまり、制御部32は、LV5の水位と、LV10となる上限の水位とを記憶している。そして、制御部32は、LV5に対応する水位からLV10に対応する水位まで変化する時間に基づいて、水中電動ポンプ本体31を運転させる時間を決定する。
【0073】
制御部32は、信号強度のレベルが、運転開始の信号強度のレベルであるLV5からLV10に変化するまでの時間Tmと、LV5に対応する水位およびLV10に対応する水位の水位差d1と、LV5に対応する水位および運転停止水位の水位差d2と、に基づいて、運転開始から運転停止までの運転時間Tnを決定する。
【0074】
(実施形態の効果)
本実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0075】
本実施形態では、上記のように、制御部32を、通信部33の他の通信部33との無線通信の信号強度の変化に基づいて、水中電動ポンプ本体31の運転を制御するように構成する。これにより、無線通信の信号強度の変化を観測することにより、水位の変化を取得することができるので、水中電動ポンプ3a、3bを設置する場所の水平断面の面積が異なる場合でも、水位の変化に基づいて、所望の水位になるまで水中電動ポンプ本体31を運転させてから停止させることができる。その結果、水中電動ポンプ3a、3bを自動で精度よく停止させて効率よく水中電動ポンプ3a、3bを運転させることができる。
【0076】
また、本実施形態では、上記のように、制御部32を、通信部33の他の通信部33との無線通信の信号強度の変化に基づいて、水中電動ポンプ本体31の運転時間を決定するように構成する。これにより、無線通信の信号強度の変化に基づいて決定した運転時間により水中電動ポンプ本体31を運転させることにより、水位を所望の位置まで下げてから水中電動ポンプ3a、3bを精度よく停止させることができる。
【0077】
また、本実施形態では、上記のように、制御部32を、通信部33の他の通信部33との無線通信の信号強度の変化に基づいて、水位の変化を取得するように構成する。これにより、取得した水位の変化に基づいて、所望の水位になるまで水中電動ポンプ本体31を運転させてから、水中電動ポンプ本体31の運転を精度よく停止させることができる。
【0078】
また、本実施形態では、上記のように、制御部32を、通信部33の他の通信部33との無線通信の信号強度の変化に基づいて取得した水位の変化量に基づいて、水中電動ポンプ本体31の運転を制御するように構成する。これにより、水中電動ポンプ本体31が設置された場所において、水中電動ポンプ本体31をどの程度運転すれば、どの程度水位が下がるのかを取得することができるので、所望の水位において水中電動ポンプ本体31を容易に停止させることができる。
【0079】
また、本実施形態では、上記のように、制御部32を、水中電動ポンプ本体31を運転させた状態で、通信部33の他の通信部33との無線通信の信号強度の変化を検知するように構成する。これにより、水中電動ポンプ3a、3bの運転と水位の変化との関係を取得することができるので、所望の水位において水中電動ポンプ本体31を容易に停止させることができる。
【0080】
また、本実施形態では、上記のように、制御部32を、通信部33の他の通信部33との無線通信の信号強度の最大値に対する相対的な信号強度の変化に基づいて、水中電動ポンプ本体31の運転を制御するように構成する。これにより、他の通信部33との距離などの水中電動ポンプ本体31が設置された環境によって無線通信の信号強度は変わるので、水中電動ポンプ本体31が設置された環境に応じた相対的な信号強度の変化を用いて、水中電動ポンプ本体31の運転を制御することができる。
【0081】
また、本実施形態では、上記のように、制御部32を、通信部33が水面よりも上にある状態における通信部33の他の通信部33との無線通信の信号強度を信号強度の最大値として、無線通信の信号強度の最大値に対する相対的な信号強度の変化を取得するように構成する。これにより、通信部33が水面よりも上にあり、良好に通信できている状態の信号強度を基準に信号強度の相対的な変化を観察することができる。
【0082】
また、本実施形態では、上記のように、制御部32を、無線通信の所定の信号強度における水位と、信号強度が所定量変化する間の時間とに基づいて、水中電動ポンプ本体31の運転時間を決定するように構成する。これにより、所定の信号強度における水位から、水中電動ポンプ本体31の運転を停止させるまで、水中電動ポンプ本体31を運転させる時間を容易に取得することができる。
【0083】
(変形例)
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0084】
たとえば、上記実施形態では、水中電動ポンプシステムに水中電動ポンプを2台設ける構成の例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、水中電動ポンプシステムに3台以上の水中電動ポンプを設けてもよい。この場合、水中電動ポンプを1台ずつ順番に交互に運転させてもよいし、水中電動ポンプを複数台ずつ順番に交互に運転させてもよい。
【0085】
また、上記実施形態では、複数の水中電動ポンプにそれぞれ設けられた通信部により無線通信を行う構成の例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、水中電動ポンプに設けられた通信部と、水中電動ポンプとは別個に設けられた通信部とにより無線通信を行ってもよい。
【0086】
また、上記実施形態では、水中電動ポンプに交流電力が供給される構成の例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、水中電動ポンプに直流電力が供給されてもよい。この場合、水中電動ポンプは、直流電力を交流電力に変換する電力変換部を備えていてもよい。
【0087】
また、上記実施形態では、複数の通信部がBluetooth規格により無線通信を行う構成の例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、複数の通信部がBluetooth規格以外の規格により無線通信を行ってもよい。たとえば、複数の通信部がZigBee規格や、WiFi規格などの規格により無線通信を行ってもよい。また、複数の通信部が赤外線通信により無線通信を行ってもよい。
【0088】
また、上記実施形態では、水中電動ポンプをタンク内に配置する構成の例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、水中電動ポンプをタンク以外の排水が必要な領域に配置してもよい。たとえば、池、河川、湖などに水中電動ポンプを配置してもよいし、上水設備または下水設備に水中電動ポンプを配置してもよい。
【0089】
また、上記実施形態では、通信部を水中電動ポンプのカバー内に設ける構成の例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、通信部を水中電動ポンプのカバー外に設けてもよい。
【0090】
また、上記実施形態では、複数の通信部の無線通信の信号強度のレベルがLV5となった場合に、水中電動ポンプ本体の運転を開始する構成の例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、複数の通信部の無線通信の信号強度のレベルがLV5以外となった場合に、水中電動ポンプ本体の運転を開始してもよい。たとえば、複数の通信部の無線通信ができなくなった場合に、水中電動ポンプ本体の運転を開始してもよい。
【0091】
また、上記実施形態では、制御部は、無線通信の信号強度の変化に基づいて、水中電動ポンプ本体の運転開始から運転停止までの運転時間を決定する構成の例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、無線通信の信号強度の変化に基づいて、信号強度が最大となってから運転停止までの水中電動ポンプの運転時間を決定してもよい。
【符号の説明】
【0092】
3a、3b 水中電動ポンプ
31 水中電動ポンプ本体
32 制御部
33 通信部
100 水中電動ポンプシステム