(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-10
(45)【発行日】2023-01-18
(54)【発明の名称】光ケーブルの製造方法
(51)【国際特許分類】
G02B 6/44 20060101AFI20230111BHJP
【FI】
G02B6/44 391
G02B6/44 366
(21)【出願番号】P 2019151702
(22)【出願日】2019-08-22
【審査請求日】2022-02-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002343
【氏名又は名称】弁理士法人 東和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石川 正彦
【審査官】奥村 政人
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-042578(JP,A)
【文献】特開昭57-090811(JP,A)
【文献】特開2015-166806(JP,A)
【文献】特開2015-215533(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第105022132(CN,A)
【文献】特開昭62-098505(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ファイバを収納したケーブルコアと、該ケーブルコアの外周に被覆されたケーブル外被と、ケーブル長手方向に沿って設けられ、その一部が前記ケーブル外被に埋め込まれた状態で該ケーブル外被の外周部に配置される線材と、を備えた光ケーブルの製造方法であって、
前記ケーブルコアの外周にケーブル外被用の樹脂を押し出す工程と、
該押し出した樹脂の外周部に前記線材を配置する工程と、
該線材を配置した前記樹脂を冷却する工程と、
を含み、
前記配置する工程を、前記押し出す工程と、前記冷却する工程の間で行う、光ケーブルの製造方法。
【請求項2】
前記線材を配置する工程では、中央に前記ケーブル外被用の樹脂が押し出されたケーブルコアを挿通させる貫通孔、側部に前記線材が挿通される挿通穴を有する調整部品を配置し、該押し出した樹脂に対する前記線材の埋まり量を調整する、請求項1に記載の光ケーブルの製造方法。
【請求項3】
前記調整部品が、前記ケーブル外被用の樹脂に径方向の圧力が掛からない位置に設置されている、請求項2に記載の光ケーブルの製造方法。
【請求項4】
前記線材が、前記ケーブル外被を引き裂くための引き裂き部材、もしくは前記ケーブル外被の色とは異なる色に着色された帯状の色帯、または光ケーブルを補強するための棒状の鋼材である、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の光ケーブルの製造方法。
【請求項5】
光ファイバを収納したケーブルコアと、該ケーブルコアの外周に被覆され、少なくとも内側の第1シースと外側の第2シースを含む複数層で構成されたケーブル外被と、ケーブル長手方向に沿って設けられ、その一部が前記第1シースに埋め込まれた状態で該第1シースの外周部に配置される、前記第2シースを引き裂くための第2引き裂き部材と、を備えた光ケーブルの製造方法であって、
前記ケーブルコアの外周に第1シース用の樹脂を押し出す工程と、
該押し出した樹脂の外周部に前記第2引き裂き部材を配置する工程と、
該第2引き裂き部材を配置した樹脂を冷却する工程と、
を含み、
前記配置する工程を、前記押し出す工程と、前記冷却する工程の間で行う、光ケーブルの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光ケーブルの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
通信等に用いられる光ケーブルでは、通常、光ファイバを収納したケーブルコアの外周が、例えば押し出し成形によるケーブル外被(シースともいう)で覆われている。
光ファイバを取り出す場合には、ケーブル外被を除去してケーブルコアを露出させる必要がある。このケーブル外被を容易に除去するために、ケーブル外被を引き裂くための引き裂き部材をケーブルコアの表面近傍に配置する場合がある。
【0003】
例えば、特許文献1には、引き裂き部材(引き裂き紐)をケーブルコアの表面に密着させ、引き裂き部材の内側に外被用の樹脂を回り込ませないようにする構造が開示されている。また、特許文献2には、引き裂き部材とケーブル外被の間に空隙を設け、ピーラやカッタでケーブル外被を削りとる際、引き裂き部材を傷つけずに取り出せる構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-37214号公報
【文献】特開2014-32302号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、光ケーブルを屋内や屋外など種々の環境に敷設できるように、ケーブル外被を内側のシースと外側のシースのような多層で構成することがある。この場合、外側のシースを引き裂くための引き裂き部材は、できるだけ外側のシース近くにあった方が引き裂く力が少なくて済むので、内側のシースの表面近傍に配置することが望ましい。また、引き裂き紐が埋設されている位置が分かっていると、容易に引き出すことができるので、長手方向で周方向位置が固定されていることが望ましい。また、完全に埋め込むよりは、半分程度埋め込むようにして引き裂き紐の視認性を上げ、見つけやすくすることが望ましい。
しかしながら、引き裂き部材を内側のシースの表面近傍に配置するにあたり、内側シースと外側シースの間に引き裂き紐を沿わせながら被覆すると、内側シース内に全てが埋め込まれてしまうこともあり、全長に亘って内側シースの表面付近に配置させるのは難しく、また、周方向位置を固定するのも難しい。
【0006】
本開示は、上述のような実情に鑑みてなされたもので、引き裂き部材を、その一部のみがケーブル外被に埋め込まれた状態でケーブル外被の外周部の固定した位置に配置する光ケーブルの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係る光ケーブルの製造方法は、光ファイバを収納したケーブルコアと、該ケーブルコアの外周に被覆されたケーブル外被と、ケーブル長手方向に沿って設けられ、その一部が前記ケーブル外被に埋め込まれた状態で該ケーブル外被の外周部に配置される線材と、を備えた光ケーブルの製造方法であって、前記ケーブルコアの外周にケーブル外被用の樹脂を押し出す工程と、該押し出した樹脂の外周部に前記線材を配置する工程と、該線材を配置した前記樹脂を冷却する工程と、を含み、前記配置する工程を、前記押し出す工程と、前記冷却する工程の間で行う。
本開示の一態様に係る光ケーブルの製造方法は、光ファイバを収納したケーブルコアと、該ケーブルコアの外周に被覆され、少なくとも内側の第1シースと外側の第2シースを含む複数層で構成されたケーブル外被と、ケーブル長手方向に沿って設けられ、その一部が前記第1シースに埋め込まれた状態で該第1シースの外周部に配置される、前記第2シースを引き裂くための第2引き裂き部材と、を備えた光ケーブルの製造方法であって、前記ケーブルコアの外周に第1シース用の樹脂を押し出す工程と、該押し出した樹脂の外周部に前記第2引き裂き部材を配置する工程と、該第2引き裂き部材を配置した樹脂を冷却する工程と、を含み、前記配置する工程を、前記押し出す工程と、前記冷却する工程の間で行う。
【発明の効果】
【0008】
上記によれば、線材は、その一部のみがケーブル外被に埋め込まれた状態でケーブル外被の外周に配置され、線材がケーブル外被に埋まりすぎなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本開示における光ケーブルのシース被覆工程の一例を説明する図である。
【
図2】クロスヘッドおよびプレートの構造を説明するための図である。
【
図3】(A)は
図2のプレートの正面図、(B)は(A)のB-B線矢視断面図である。
【
図4】実施例1による光ケーブルの一例を説明する図である。
【
図5】実施例2による光ケーブルを説明する図である。
【
図6】実施例3による光ケーブルを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施形態の内容を列記して説明する。
本開示に係る光ケーブルの製造方法は、(1)光ファイバを収納したケーブルコアと、該ケーブルコアの外周に被覆されたケーブル外被と、ケーブル長手方向に沿って設けられ、その一部が前記ケーブル外被に埋め込まれた状態で該ケーブル外被の外周部に配置される線材と、を備えた光ケーブルの製造方法であって、前記ケーブルコアの外周にケーブル外被用の樹脂を押し出す工程と、該押し出した樹脂の外周部に前記線材を配置する工程と、該線材を配置した前記樹脂を冷却する工程と、を含み、前記配置する工程を、前記押し出す工程と、前記冷却する工程の間で行う。線材の配置工程が、ケーブル外被用の樹脂の押し出し工程とこの樹脂の冷却工程との間で行われるので、線材を樹脂の押し出し工程で配置する場合に比べて、樹脂が線材の周囲に回り込みにくくなる。よって、線材は、線材の一部のみがケーブル外被に埋め込まれた状態でケーブル外被の外周部に配置され、線材がケーブル外被に埋まりすぎない。
【0011】
(2)本開示の光ケーブルの製造方法の一態様では、前記線材を配置する工程では、中央に前記ケーブル外被用の樹脂が押し出されたケーブルコアを挿通させる貫通孔、側部に前記線材が挿通される挿通穴を有する調整部品を配置し、該押し出した樹脂に対する前記線材の埋まり量を調整する。調整部品を用いることにより、ケーブル外被に対する線材の埋まり量を容易に調整できる。
(3)本開示の光ケーブルの製造方法の一態様では、前記調整部品が、前記ケーブル外被用の樹脂に径方向の圧力が掛からない位置に設置されている。押し出し工程で樹脂に加えられる径方向の圧力が無い位置で、線材を樹脂に配置することができるので、ケーブル外被の固定した位置に線材を配置することができる。
(4)本開示の光ケーブルの製造方法の一態様では、前記線材が、前記ケーブル外被を引き裂くための引き裂き部材、もしくは前記ケーブル外被の色とは異なる色に着色された帯状の色帯、または光ケーブルを補強するための棒状の鋼材である。引き裂き部材であれば、適切な位置でケーブル外被を容易に引き裂くことができ、帯状の色帯であれば、ケーブル外被に全周が埋まることが無いので、光ケーブルを容易に識別できる。また、棒状の鋼材であれば、光ケーブルを確実に補強できる。
【0012】
(5)本開示の光ケーブルの製造方法の一態様では、光ファイバを収納したケーブルコアと、該ケーブルコアの外周に被覆され、少なくとも内側の第1シースと外側の第2シースを含む複数層で構成されたケーブル外被と、ケーブル長手方向に沿って設けられ、その一部が前記第1シースに埋め込まれた状態で該第1シースの外周部に配置される、前記第2シースを引き裂くための第2引き裂き部材と、を備えた光ケーブルの製造方法であって、前記ケーブルコアの外周に第1シース用の樹脂を押し出す工程と、該押し出した樹脂の外周部に前記第2引き裂き部材を配置する工程と、該第2引き裂き部材を配置した樹脂を冷却する工程と、を含み、前記配置する工程を、前記押し出す工程と、前記冷却する工程の間で行う。第2引き裂き部材の配置工程が、第1シース用の樹脂の押し出し工程とこの樹脂の冷却工程との間で行われるので、第1シース用の樹脂の押し出し工程で第2引き裂き部材を配置する場合に比べて、第1シース用の樹脂が第2引き裂き部材の周囲に回り込みにくくなる。よって、第2引き裂き部材は、その一部のみが第1シースに埋め込まれた状態で第1シースの外周部に配置され、第2引き裂き部材が第1シースに埋まりすぎない。この結果、第2引き裂き部材の位置を安定させることができ、第2シースを容易に引き裂くことができる。
【0013】
[本開示の実施形態の詳細]
以下、添付図面を参照しながら、本開示による光ケーブルの製造方法の好適な実施の形態について説明する。
図1は、本開示における光ケーブルのシース被覆工程の一例を説明する図である。このシース被覆ラインには、サプライリール30、押出装置31、冷却装置38、引き取りキャプスタン39、巻取装置40が備えられている。
【0014】
ケーブルコア2は、例えばスロットロッド(スペーサともいう)内に光ファイバを収納し、その外周が押さえ巻きテープで巻かれている。なお、スロットレス型のケーブルコアであってもよい。また、ケーブルコア2の外周には、
図4で説明する第1引き裂き部材21が添えられていてもよい。第1引き裂き部材21は、ケーブル外被10の第1シース11を引き裂くために用いられる。
【0015】
ケーブルコア2は、サプライリール30から押出装置31に向けて繰り出される。繰り出されたケーブルコア2は、押出装置31に設けられたクロスヘッド32に導入される。
押出装置31はケーブル外被用の樹脂を加熱溶融しており、クロスヘッド32では、加熱溶融したケーブル外被用の樹脂がケーブルコア2の外周に供給される。
ケーブルコア2の移動速度は、引き取りキャプスタン39で制御される。ケーブルコア2の移動速度と押出装置31の樹脂の押し出し量を調整することにより、ケーブルコア2の周囲に第1シース11が被覆成形される。
【0016】
(実施例1)
本実施例では、第1シース用の樹脂をケーブルコア2に押し出した後に、
図4で説明する第2引き裂き部材22を第1シース11の外周部に配置する。第2引き裂き部材22は、ケーブル外被10の第2シース12を引き裂くために用いられる。なお、第1シース11が本開示のケーブル外被に、第2引き裂き部材22が本開示の線材にそれぞれ相当する。
【0017】
第2引き裂き部材22は、第1シース11から露出した状態でケーブル長手方向に配置される。第1シース11が被覆されたケーブルコア20は、第2引き裂き部材22と共に冷却装置38に送られて冷却された後、引き取りキャプスタン39を経て巻取装置40で巻き取られる。
【0018】
図2は、クロスヘッド32およびプレート35の構造を説明するための図であり、ケーブル長手方向に直交する水平方向で切断したクロスヘッド32およびプレート35の断面図である。また、
図3は、プレート35を説明するための図である。なお、プレート35が本開示の調整部品に相当する。
図2に示すように、クロスヘッド32には、ケーブル長手方向に延びた筒状のニップル33が設けられる。ニップル33の前方には、筒状のダイス34が設けられている。
【0019】
ダイス34の入口はニップル33の出口に対向配置され、ダイス34の前端に形成されたダイス34の出口は、クロスヘッド32の開口部分から露出している。このダイス34の前端は、クロスヘッド32内で押し出される第1シース用の樹脂Rの圧力が零になる箇所(あるいは樹脂Rの抵抗の無い程度の低圧な箇所)である。このダイス34の前端には、プレート35が設置されている。プレート35は、
図3(A)に示すように、例えば正面視で略楕円形状のプレート本体35aを有し、ダイス34の前端に複数のボルト(図示省略)で固定される。
【0020】
プレート本体35aの中央には、ケーブル長手方向に沿ってプレート本体35aを貫通する貫通孔36が形成されている。貫通孔36は、ダイス34の出口と同心でこの出口に対向配置されており、貫通孔36の内径は、第1シース11に対する第2引き裂き部材22の埋まり量を調整するために、ダイス34の出口と同じサイズ、あるいはダイス34の出口よりも若干大きめのサイズで形成されている。
【0021】
また、
図3(A)に示すように、プレート本体35aの側面には、貫通孔36に向けて延びた挿通穴37,37aが設けられている。挿通穴37は、プレート35の正面から見て左側に配置され、挿通穴37aは、プレート35の正面から見て右側に配置されている。
挿通穴37,37aの入口は、例えば貫通孔36よりも下側にそれぞれ形成され、例えば紐状の第2引き裂き部材22がプレート35の下方から挿通穴37の入口に向けて送られる。また、
図4(A)に示す紐状の第2引き裂き部材22aがプレート35の下方から挿通穴37aの入口に向けて送られる。
【0022】
挿通穴37,37aは、例えば貫通孔36に近づくように傾斜してから水平方向に延び、挿通穴37の出口は、貫通孔36の内周面で開口している。なお、
図3(B)では、挿通穴37の出口が見えている。
挿通穴37内には、第2引き裂き部材22が配置されており、第2引き裂き部材22は、駆動装置(図示省略)の駆動力で挿通穴37の入口から供給され、挿通穴37の出口から貫通孔36内に送られる。また、挿通穴37a内には、
図4(A)に示す紐状の第2引き裂き部材22aが配置され、第2引き裂き部材22aも挿通穴37aの入口から供給され、挿通穴37aの出口から貫通孔36内に送られる。
【0023】
サプライリール30から繰り出されて、クロスヘッド32に到達したケーブルコア2は、ニップル33内に通されて前方に向かう。第1シース用の樹脂Rは、ニップル33の側方からニップル33の外周に供給され、ダイス34内でケーブルコア2の外周に押し出されて被覆され、第1シース11が被覆されたケーブルコア20となる。ダイス34の出口に到達したケーブルコア20は、プレート35の貫通孔36に向かう。
【0024】
プレート35の貫通孔36に通された第1シース11が被覆されたケーブルコア20は、側方から第2引き裂き部材22,22aが供給されてさらに前方に向かう。貫通孔36の内周面は、第2引き裂き部材22,22aに接触し、第2引き裂き部材22,22aを第1シース11に向けて押し付けることができる。これにより、第1シース11に対する第2引き裂き部材22,22aの埋まり量が調整される。そして、第2引き裂き部材22,22a付きのケーブルコア20は、貫通孔36から出て冷却装置38に向かう。
【0025】
なお、第2シース用の樹脂を、第1シース11が被覆されたケーブルコア20の外周に押し出す場合には、上記の第1シース用の被覆工程の後に、検査工程を経て、次の工程(第2シース用の被覆工程)に運ばれ、第1シース11の周囲に第2シース12が被覆成形される。
【0026】
このように、第2引き裂き部材22,22aの配置工程が、第1シース用の樹脂Rの押し出し工程とこの樹脂Rの冷却工程との間で行われるので、ダイスで加わる樹脂の圧力が掛かっていない状態で第2引き裂き部材22,22aを配置することになり、第1シース用の樹脂Rの押し出し工程で第2引き裂き部材22,22aを配置する場合に比べて、第1シース用の樹脂Rが第2引き裂き部材22,22aの周囲に回り込みにくくなる。よって、第2引き裂き部材22,22aは、その一部が第1シース11に埋め込まれた状態(第2引き裂き部材22,22aの他の一部が第1シース11の外周から露出した状態)で第1シース11の外周部に配置され、第2引き裂き部材22,22aが第1シース11に埋まりすぎない。この結果、第2引き裂き部材22,22aの位置を安定させることができ、この上に第2シース12を被覆した場合、第2シース12を容易に引き裂くことができる。
【0027】
なお、上記実施例では、プレート35をダイス34の前端に直に設置した例で説明した。この場合、プレート35がダイス34内の樹脂Rで加熱されるので、さらに、第2引き裂き部材22,22aを第1シース11に埋めやすくなる。しかし、本発明はこの例に限定されない。例えば、冷却装置38の直前にプレートを設置してもよい。この場合のプレートを加熱したい場合には、例えばヒータを用いればよい。また、樹脂温度が高すぎる場合は、ダイス34からプレート35を離してもよい。
【0028】
また、上記実施例では、内側の第1シース11を押し出した後に、外側の第2シース12を別工程で押し出す例を挙げて説明した。しかし、内側の第1シースを押し出し、第2引き裂き部材を配置した後に、続けて外側の第2シースを同時に押し出すことも可能である。
【0029】
図4は、実施例1による光ケーブルの一例を説明する図である。
上記のように製造された光ケーブル1は、
図4(A)に示すように、ケーブルコア2の外周に2層のケーブル外被10が被覆される。ケーブル外被10は、第1シース用の樹脂で形成された第1シース11と、第2シース用の樹脂で形成された第2シース12とからなる。
【0030】
第1シース11がケーブルコア2の外側を覆い、第1シース11を引き裂くための第1引き裂き部材21も覆っている。また、第2シース12が第1シース11の外側を覆っており、2本の第2引き裂き部材22,22aの一部が第1シース11の外周部に埋め込まれた状態で第1シース11に固着されている。
もしくは、
図4(B)に示すように、ケーブル外被10は、第2シース12の外側をさらに第3シース13で覆うような3層で構成してもよい。この場合、第3シース13を引き裂くための第3引き裂き部材23が、第2シース12の外周部に埋め込まれる。
【0031】
あるいは、
図4(C)に示すように、第1シース11と第2シース12との間に、鋼製もしくは硬質プラスチック製のテープで形成されたシールド14を縦添えしてもよい。この場合、第2シース12を引き裂くための第2引き裂き部材22の位置を明らかにするために、第2シース12の表面にマークを設けてもよい。
【0032】
ところで、上記実施例では、引き裂き部材を線材の一例に挙げて説明した。しかし、ケーブル外被用の樹脂の押し出し工程とこの樹脂の冷却工程との間に、上記のプレートを用いて、色帯や鋼材をケーブル外被に配置することも可能である。つまり、これら色帯や鋼材も本開示の線材に相当する。
【0033】
詳しくは、
図5に示した光ケーブル1aでは、第1シース11(本開示のケーブル外被に相当する)がケーブルコア2を覆っており、第1シース11の外周には、光ケーブル1aの外部から認識可能な色帯24を有している。色帯24は、例えば帯状に形成されており、第1シース11の色(例えば黒色)とは異なる色(例えば桃色)に着色され、ケーブル長手方向に沿って延びている。このような、色帯が、ケーブル外被に埋め込まれずに、表面に露出しているので、容易にケーブルを識別することが可能になる。
【0034】
また、
図6に示した光ケーブル1bは、第1シース11がケーブルコア2を覆っているが、第1シース11の外周部には、補強材として例えば丸棒状の鋼材25が複数配置されている。この場合も、各鋼材25の側面は第1シース11の外周からそれぞれ露出している。
【0035】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0036】
1,1a,1b…光ケーブル、2,20…ケーブルコア、10…ケーブル外被、11…第1シース、12…第2シース、13…第3シース、14…シールド、21…第1引き裂き部材、22,22a…第2引き裂き部材、23…第3引き裂き部材、24…色帯、25…鋼材、30…サプライリール、31…押出装置、32…クロスヘッド、33…ニップル、34…ダイス、35…プレート、35a…プレート本体、36…貫通孔、37,37a…挿通穴、38…冷却装置、39…引き取りキャプスタン、40…巻取装置、R…第1シース用の樹脂。