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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-10
(45)【発行日】2023-01-18
(54)【発明の名称】遠隔管理装置および遠隔管理システム
(51)【国際特許分類】
   B66B 5/00 20060101AFI20230111BHJP
【FI】
B66B5/00 G
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2022551498
(86)(22)【出願日】2020-09-24
(86)【国際出願番号】 JP2020036070
(87)【国際公開番号】W WO2022064604
(87)【国際公開日】2022-03-31
【審査請求日】2022-10-27
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松枝 豊
(72)【発明者】
【氏名】引地 剛樹
(72)【発明者】
【氏名】小澤 匡史
(72)【発明者】
【氏名】大野 俊介
(72)【発明者】
【氏名】大森 陽太
【審査官】加藤 三慶
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-106568(JP,A)
【文献】特開2003-152883(JP,A)
【文献】特開平9-245281(JP,A)
【文献】特開2004-062444(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベーターの制御盤に接続され、前記エレベーターに応じた遠隔管理情報に基づいて前記エレベーターを遠隔管理する遠隔管理装置であり、
起動の操作を受け付ける起動スイッチと、
前記遠隔管理情報を管理する管制システムを接続先として特定する第1接続情報を記憶する記憶部と、
前記起動スイッチが操作されたときに開始される起動処理において、前記記憶部が記憶する前記第1接続情報に基づいて前記管制システムに接続し、前記管制システムから前記エレベーターに応じた前記遠隔管理情報を取得し、取得した前記遠隔管理情報の少なくとも一部を前記制御盤に設定する設定部と、
を備え
前記遠隔管理情報は、前記エレベーターを識別する識別情報を含み、
前記設定部は、前記起動処理において前記管制システムに接続する前に前記識別情報が設定されているかを判定し、前記識別情報が設定されていないと判定する場合に、発信元を接続先として特定する第2接続情報の通知を伴う前記識別情報の前記管制システムへの要求、および前記第2接続情報に基づいて接続を行う前記管制システムから取得する前記識別情報の設定を行う
遠隔管理装置。
【請求項2】
前記設定部は、前記管制システムから初期化信号を受け付けるときに、前記識別情報の設定を初期化する
請求項1に記載の遠隔管理装置。
【請求項3】
前記遠隔管理情報は、前記制御盤が従う遠隔管理プログラムを含み、
前記設定部は、前記起動処理において前記識別情報が設定されていると判定した後に前記遠隔管理プログラムが前記制御盤に設定されているかを判定し、前記遠隔管理プログラムが設定されていないと判定する場合に、前記遠隔管理プログラムの前記管制システムへの要求、および前記管制システムから取得する前記遠隔管理プログラムの前記制御盤への設定を行う
請求項1または請求項2に記載の遠隔管理装置。
【請求項4】
前記遠隔管理情報は、前記エレベーターの遠隔管理の内容を設定する遠隔管理パラメータを含み、
前記設定部は、前記起動処理において前記遠隔管理プログラムが前記制御盤に設定されていると判定した後に前記遠隔管理パラメータが設定されているかを判定し、前記遠隔管理パラメータが設定されていないと判定する場合に、前記遠隔管理パラメータの前記管制システムへの要求、および前記管制システムから取得する前記遠隔管理パラメータの設定を行う
請求項3に記載の遠隔管理装置。
【請求項5】
エレベーターの制御盤に接続され、前記エレベーターに応じた遠隔管理情報に基づいて前記エレベーターを遠隔管理する遠隔管理装置と、
前記遠隔管理情報を管理する管制システムと、
を備え、
前記遠隔管理装置は、
起動の操作を受け付ける起動スイッチと、
前記管制システムを接続先として特定する第1接続情報を記憶する記憶部と、
前記起動スイッチが操作されたときに開始される起動処理において、前記記憶部が記憶する前記第1接続情報に基づいて前記管制システムに接続し、前記管制システムから前記エレベーターに応じた前記遠隔管理情報を取得し、取得した前記遠隔管理情報の少なくとも一部を前記制御盤に設定する設定部と、
を備え
前記遠隔管理情報は、前記エレベーターを識別する識別情報を含み、
前記設定部は、前記起動処理において前記管制システムに接続する前に前記識別情報が設定されているかを判定し、前記識別情報が設定されていないと判定する場合に、発信元を接続先として特定する第2接続情報の通知を伴う前記識別情報の前記管制システムへの要求、および前記第2接続情報に基づいて接続を行う前記管制システムから取得する前記識別情報の設定を行い、
前記管制システムは、管理している前記遠隔管理情報のうちに前記第2接続情報に紐づけられたものがないときに、前記遠隔管理情報の追加または修正の要求を発報する
遠隔管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、遠隔管理装置および遠隔管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、エレベーターの遠隔管理装置の例を開示する。遠隔管理装置は、プログラムバージョン要求手段と、プログラム要求手段と、プログラム更新手段と、を備える。プログラムバージョン要求手段は、エレベーターの端末装置のプログラムバージョン情報を監視センターに要求する。プログラム要求手段は、監視センターから返信されたプログラムバージョン情報と端末装置が記憶するプログラムバージョン情報とを比較する。プログラム要求手段は、これらのプログラムバージョン情報が不一致であるとき、該当するプログラムの送信を監視センターに要求する。プログラム更新手段は、監視センターから送信されたプログラムにより端末装置の記憶内容を更新する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】日本特開平11-98260号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の遠隔管理装置は、携帯端末を通じた保守員によるビルコードの入力をもって更新の処理を開始する。現地において保守員による入力作業が必要となるので、遠隔管理装置の新設または更新などの現地作業における設定ミスが生じる可能性がある。
【0005】
本開示は、このような課題の解決に係るものである。本開示は、現地作業における設定ミスが生じにくい遠隔管理装置および遠隔管理システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る遠隔管理装置は、エレベーターの制御盤に接続され、エレベーターに応じた遠隔管理情報に基づいてエレベーターを遠隔管理する遠隔管理装置であり、起動の操作を受け付ける起動スイッチと、遠隔管理情報を管理する管制システムを接続先として特定する第1接続情報を記憶する記憶部と、起動スイッチが操作されたときに開始される起動処理において、記憶部が記憶する第1接続情報に基づいて管制システムに接続し、管制システムからエレベーターに応じた遠隔管理情報を取得し、取得した遠隔管理情報の少なくとも一部を制御盤に設定する設定部と、を備え、遠隔管理情報は、エレベーターを識別する識別情報を含み、設定部は、起動処理において管制システムに接続する前に識別情報が設定されているかを判定し、識別情報が設定されていないと判定する場合に、発信元を接続先として特定する第2接続情報の通知を伴う識別情報の管制システムへの要求、および第2接続情報に基づいて接続を行う管制システムから取得する識別情報の設定を行う
【0007】
本開示に係る遠隔管理システムは、エレベーターの制御盤に接続され、エレベーターに応じた遠隔管理情報に基づいてエレベーターを遠隔管理する遠隔管理装置と、遠隔管理情報を管理する管制システムと、を備え、遠隔管理装置は、起動の操作を受け付ける起動スイッチと、管制システムを接続先として特定する第1接続情報を記憶する記憶部と、起動スイッチが操作されたときに開始される起動処理において、記憶部が記憶する第1接続情報に基づいて管制システムに接続し、管制システムからエレベーターに応じた遠隔管理情報を取得し、取得した遠隔管理情報の少なくとも一部を制御盤に設定する設定部と、を備え、遠隔管理情報は、エレベーターを識別する識別情報を含み、設定部は、起動処理において管制システムに接続する前に識別情報が設定されているかを判定し、識別情報が設定されていないと判定する場合に、発信元を接続先として特定する第2接続情報の通知を伴う識別情報の管制システムへの要求、および第2接続情報に基づいて接続を行う管制システムから取得する識別情報の設定を行い、管制システムは、管理している遠隔管理情報のうちに第2接続情報に紐づけられたものがないときに、遠隔管理情報の追加または修正の要求を発報する
【発明の効果】
【0008】
本開示に係る遠隔管理装置または遠隔管理システムによれば、現地作業における設定ミスが生じにくくなる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態1に係る遠隔管理システムの構成図である。
図2】実施の形態1に係る遠隔管理システムの動作の例を示すシーケンス図である。
図3】実施の形態1に係る遠隔管理システムの動作の例を示すシーケンス図である。
図4】実施の形態1に係る遠隔管理システムの動作の例を示すシーケンス図である。
図5】実施の形態1に係る遠隔管理システムの主要部のハードウェア構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示を実施するための形態について添付の図面を参照しながら説明する。各図において、同一または相当する部分には同一の符号を付して、重複する説明は適宜に簡略化または省略する。
【0011】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る遠隔管理システム1の構成図である。
【0012】
遠隔管理システム1が適用されるエレベーター2は、例えば複数の階床を有する建物3に適用される。エレベーター2は、建物3の利用者によって複数の階床の間の移動に利用される。建物3において、昇降路4が設けられる。昇降路4は、複数の階床にわたる鉛直方向に長い空間である。エレベーター2は、巻上機5と、主ロープ6と、かご7と、釣合い錘8と、制御盤9と、を備える。
【0013】
巻上機5は、駆動力を発生させるモーター、およびモーターが発生させる駆動力によって回転するシーブを備える。巻上機5は、例えば昇降路4の上部または下部などに配置される。あるいは、例えば昇降路4の上方などに機械室が設けられる場合に、巻上機5は機械室に配置されてもよい。
【0014】
主ロープ6は、昇降路4においてかご7および釣合い錘8の荷重を支持するロープである。主ロープ6は、巻上機5のシーブに巻きかけられる。主ロープ6は、巻上機5のシーブの一方側においてかご7の荷重を支持する。主ロープ6は、巻上機5のシーブの他方側において釣合い錘8の荷重を支持する。
【0015】
かご7は、昇降路4を鉛直方向に走行することで利用者を複数の階床の間で輸送する機器である。釣合い錘8は、巻上機5のシーブの両側にかかる荷重の釣合いをかご7との間でとる機器である。かご7および釣合い錘8は、巻上機5のモーターが発生させる駆動力によって昇降路4を互いに反対方向に走行する。
【0016】
制御盤9は、エレベーター2の動作を制御する部分である。エレベーター2の動作は、例えばかご7の昇降などを含む。制御盤9は、例えば昇降路4の上部または下部などに配置される。あるいは、例えば昇降路4の上方などに機械室が設けられる場合に、制御盤9は機械室に配置されてもよい。
【0017】
エレベーター2に適用される遠隔管理システム1は、遠隔管理装置10と、管制システム11と、を備える。
【0018】
遠隔管理装置10は、例えばエレベーター2が適用される建物3に配置される。遠隔管理装置10は、エレベーター2を遠隔管理する装置である。エレベーター2の遠隔管理は、例えばエレベーター2の状態の遠隔監視を含む。また、エレベーター2の遠隔管理は、例えば診断運転の実施、診断運転に基づく異常の有無の診断、および診断結果に基づく自動復旧などを含む。遠隔管理装置10は、遠隔管理情報に基づいて遠隔管理を行う。
【0019】
遠隔管理情報は、エレベーター2の管理者および保守会社との間で契約された遠隔管理サービスの内容の情報などを含む。遠隔管理サービスは、例えば遠隔監視および診断運転などの実施を含む保守サービスである。この例において、遠隔管理情報は、識別情報と、遠隔管理パラメータと、遠隔管理プログラムと、を含む。識別情報は、エレベーター2を識別する情報である。この例において、識別情報は、エレベーター2のID(IDentifier)である。遠隔管理情報は、当該遠隔管理情報が適用されるエレベーター2を識別する識別情報を含む。遠隔管理パラメータは、遠隔管理サービスの内容を表すパラメータである。遠隔管理パラメータは、例えば遠隔管理サービスのサービス項目ごとの有効または無効を表す情報を含む。遠隔管理プログラムは、遠隔管理サービスにおけるエレベーター2の動作を記述するプログラムである。遠隔管理プログラムは、エレベーター2の制御盤9に書き込まれる。遠隔管理プログラムは、遠隔管理パラメータに基づいて動作する。制御盤9は、書き込まれた遠隔管理プログラムに従って、遠隔管理パラメータに基づく遠隔管理サービスの内容を実施する。
【0020】
管制システム11は、遠隔管理情報を管理するシステムである。管制システム11は、契約DB12(DB:DataBase)と、情報管理装置13と、送受信装置14と、を備える。契約DB12は、遠隔管理情報を格納するデータベースである。契約DB12において、遠隔管理情報は、エレベーター2ごとに格納される。エレベーター2の遠隔管理情報は、当該エレベーター2に設けられる遠隔管理装置10を通信の接続先として特定する情報に紐づけられて格納される。この例において、エレベーター2の遠隔管理情報は、当該エレベーター2に設けられる遠隔管理装置10の電話番号に紐づけて格納される。なお、遠隔管理装置10の電話番号は、遠隔管理装置10自体に付された電話番号、または遠隔管理装置10に接続される通信線に付された電話番号のいずれであってもよい。また、遠隔管理装置10を通信の接続先として特定する情報は、遠隔管理装置10のIPアドレス(IP:Internet Protocol)などであってもよい。情報管理装置13は、遠隔管理情報の管理を行う装置である。情報管理装置13は、遠隔管理情報の生成および更新、ならびに契約DB12の情報の書込みおよび読出しなどの遠隔管理情報の管理における情報処理を行う装置である。送受信装置14は、管制システム11の外部の装置との間で通信を行う装置である。送受信装置14は、通信網15に接続される。この例において、通信網15は、公衆電話回線網である。あるいは、通信網15は、例えばインターネットなどのネットワークであってもよい。
【0021】
遠隔管理装置10は、起動スイッチ16と、記憶部17と、設定部18と、を備える。
【0022】
起動スイッチ16は、遠隔管理装置10の起動の操作を受け付ける部分である。起動スイッチ16は、例えば押しボタンなどであってもよい。起動スイッチ16が受け付ける起動の操作は、例えば電源の投入の操作などである。起動スイッチ16が操作されるときに、遠隔管理装置10は、起動処理を経て起動する。起動処理は、起動スイッチ16の操作を切っ掛けとして開始される処理である。
【0023】
記憶部17は、情報を記憶する部分である。記憶部17において、第1接続情報が記憶される。第1接続情報は、管制システム11を通信の接続先として特定する情報である。この例において、記憶部17は、第1接続情報として送受信装置14の電話番号を記憶する。なお、第1接続情報は、送受信装置14のIPアドレスなどであってもよい。また、この例において、記憶部17は、遠隔管理情報の設定の状態を表すフラグ情報を記憶する。この例において、記憶部17は、識別情報などのエレベーター2の固有の情報を初期状態において記憶していない。
【0024】
設定部18は、遠隔管理情報の設定を行う部分である。設定部18は、通信網15を通じて管制システム11に接続する通信機能を搭載する。設定部18の通信機能は、通信機能を担う着脱可能な補助機器などによって提供されてもよい。
【0025】
続いて、図2から図4を用いて、遠隔管理システム1の動作の例を説明する。
図2から図4は、実施の形態1に係る遠隔管理システム1の動作の例を示すシーケンス図である。
【0026】
図2から図4において、遠隔管理装置10の起動処理についての遠隔管理システム1の動作の例が示される。この例の遠隔管理装置10の起動処理において、識別情報設定処理、プログラム設定処理、およびパラメータ設定処理がこの順に行われる。識別情報設定処理は、遠隔管理情報に基づいて遠隔管理装置10に識別情報を設定する処理である。プログラム設定処理は、遠隔管理情報に基づいて制御盤9に遠隔管理プログラムを設定する処理である。パラメータ設定処理は、遠隔管理情報に基づいて遠隔管理装置10に遠隔管理パラメータを設定する処理である。
【0027】
図2において、遠隔管理装置10が識別情報設定処理を行うときの遠隔管理システム1の動作の例が示される。
【0028】
ステップS21において、起動スイッチ16が操作されたときに、遠隔管理装置10は、起動処理を開始する。その後、遠隔管理システム1の動作は、ステップS22に進む。
【0029】
ステップS22において、遠隔管理装置10の設定部18は、遠隔管理装置10に識別情報としてIDが設定されているかを判定する。設定部18は、例えば記憶部17が記憶しているフラグ情報によってIDが設定された状態が表される場合に、遠隔管理装置10にIDが設定されていると判定する。あるいは、設定部18は、例えばIDが記憶部17に記憶されている場合に、遠隔管理装置10にIDが設定されていると判定してもよい。判定結果がYesの場合に、遠隔管理システム1の動作は、図3のプログラム設定処理に進む。一方、判定結果がNoの場合に、設定部18は、第2接続情報を通知してIDの送信を送受信装置14に要求する。第2接続情報は、発信元を接続先として特定する情報である。ここで、当該要求の発信元は遠隔管理装置10であるので、第2接続情報は、遠隔管理装置10を通信の接続先として特定する情報である。この例において、第2接続情報は、遠隔管理装置10の電話番号である。
【0030】
情報管理装置13は、送受信装置14にIDの送信が要求されているかを確認する。IDの送信の要求の確認は、例えば予め設定された周期で定期的に行われる。送受信装置14にIDの送信が要求されているときに、情報管理装置13は、ステップS23におけるIDの確認の処理を開始する。
【0031】
ステップS23において、情報管理装置13は、遠隔管理装置10から通知された電話番号をキーとしてIDの回答を契約DB12に要求する。すなわち、情報管理装置13は、当該電話番号に紐づけられた遠隔管理情報に含まれるIDの回答を契約DB12に要求する。契約DB12は、当該電話番号に紐づけられた遠隔管理情報に含まれるIDを回答する。ここで、契約DB12において当該電話番号に紐づけられた遠隔管理情報が格納されていない場合に、契約DB12は、管理している遠隔管理情報のうちに当該電話番号に紐づけられたものがないことを回答する。このとき、情報管理装置13は、当該電話番号に紐づけられた遠隔管理情報の追加または遠隔管理情報の修正の要求を、例えば保守会社に発報する。一方、当該電話番号に紐づけられた遠隔管理情報のIDの回答を契約DB12から受けたときに、情報管理装置13は、送受信装置14を通じて当該IDを遠隔管理装置10に送信する。このとき、送受信装置14は、通知された第2接続情報に基づいて当該IDの送信先を決定する。情報管理装置13は、IDを遠隔管理装置10に送信した後に、遠隔管理装置10にリセットを要求する。
【0032】
ステップS24において、情報管理装置13からIDを取得するときに、遠隔管理装置10の設定部18は、取得したIDの設定を例えば次のように行う。設定部18は、IDを記憶部17に記憶させる。その後、設定部18は、記憶部17が記憶しているフラグ情報の状態を、IDが設定された状態に切り替える。
【0033】
ステップS25において、情報管理装置13からリセットが要求されるときに、遠隔管理装置10の設定部18は、リセット処理を行う。リセット処理は、例えば遠隔管理プログラムおよび遠隔管理パラメータを初期化する処理である。遠隔管理プログラムの初期化処理は、記憶部17が記憶しているフラグ情報の状態を、遠隔管理プログラムが設定されていない初期状態に切り替える処理を含む。遠隔管理パラメータの初期化処理は、記憶部17が記憶しているフラグ情報の状態を、遠隔管理パラメータが設定されていない初期状態に切り替える処理を含む。その後、遠隔管理システム1の識別情報設定処理に係る動作は、終了する。
【0034】
図3において、識別情報設定処理の後にプログラム設定処理を遠隔管理装置10が行うときの遠隔管理システム1の動作の例が示される。
【0035】
ステップS31において、遠隔管理装置10の設定部18は、制御盤9に設定されている遠隔管理プログラムのバージョンの情報を取得する。また、エレベーター2に応じた遠隔管理情報が当該エレベーター2に応じた遠隔管理プログラムのバージョン情報を含む場合に、設定部18は、例えば管制システム11から当該バージョン情報を取得する。その後、遠隔管理システム1の動作は、ステップS32に進む。
【0036】
ステップS32において、遠隔管理装置10の設定部18は、制御盤9に遠隔管理プログラムが設定されているかを判定する。設定部18は、例えば記憶部17が記憶しているフラグ情報によって遠隔管理プログラムが設定された状態が表される場合に、制御盤9に遠隔管理プログラムが設定されていると判定する。あるいは、設定部18は、例えば遠隔管理プログラムが制御盤9に書き込まれている場合に、制御盤9に遠隔管理プログラムが設定されていると判定してもよい。また、制御盤9から取得したバージョン情報と管制システム11から取得したバージョン情報とが整合しないときに、設定部18は、制御盤9に遠隔管理プログラムが設定されていないと判定してもよい。判定結果がYesの場合に、遠隔管理システム1の動作は、図4のパラメータ設定処理に進む。一方、判定結果がNoの場合に、設定部18は、遠隔管理装置10の電話番号または設定されたIDを通知して遠隔管理プログラムの送信を送受信装置14に要求する。
【0037】
情報管理装置13は、送受信装置14に遠隔管理プログラムの送信が要求されているかを確認する。遠隔管理プログラムの送信の要求の確認は、例えば予め設定された周期で定期的に行われる。送受信装置14に遠隔管理プログラムの送信が要求されているときに、情報管理装置13は、ステップS33における遠隔管理プログラムの取得の処理を開始する。
【0038】
ステップS33において、情報管理装置13は、遠隔管理装置10から通知された電話番号またはIDに紐づけられた遠隔管理情報が含む遠隔管理プログラムの送信を契約DB12に要求する。契約DB12は、当該電話番号または当該IDに紐づけられた遠隔管理情報に含まれる遠隔管理プログラムを提供する。当該電話番号または当該IDに紐づけられた遠隔管理情報の遠隔管理プログラムの提供を契約DB12から受けたときに、情報管理装置13は、送受信装置14を通じて当該遠隔管理プログラムを遠隔管理装置10に送信する。
【0039】
ステップS34において、遠隔管理プログラムを情報管理装置13から取得するときに、遠隔管理装置10の設定部18は、取得した遠隔管理プログラムの制御盤9への設定を例えば次のように行う。設定部18は、遠隔管理プログラムの書き換えを制御盤9に行わせる。その後、設定部18は、記憶部17が記憶しているフラグ情報の状態を、遠隔管理プログラムが設定された状態に切り替える。
【0040】
ステップS35において、制御盤9は、遠隔管理プログラムの設定の成否を通知する。成否の通知は、例えば遠隔管理装置10および送受信装置14を通じて情報管理装置13に対して行われる。情報管理装置13は、設定の失敗の通知を受けた場合に、遠隔管理プログラムを再送してもよい。遠隔管理プログラムの設定が成功した後に、遠隔管理システム1のプログラム設定処理に係る動作は、終了する。
【0041】
図4において、プログラム設定処理の後にパラメータ設定処理を遠隔管理装置10が行うときの遠隔管理システム1の動作の例が示される。
【0042】
ステップS41において、遠隔管理装置10の設定部18は、遠隔管理パラメータが設定されているかを判定する。設定部18は、例えば記憶部17が記憶しているフラグ情報によって遠隔管理パラメータが設定された状態が表される場合に、遠隔管理装置10に遠隔管理パラメータが設定されていると判定する。あるいは、設定部18は、例えば遠隔管理パラメータが記憶部17に記憶されている場合に、遠隔管理装置10に遠隔管理パラメータが設定されていると判定してもよい。判定結果がYesの場合に、遠隔管理システム1のパラメータ設定処理に係る動作は、終了する。一方、判定結果がNoの場合に、設定部18は、遠隔管理装置10の電話番号または設定されたIDを通知して遠隔管理パラメータの送信を送受信装置14に要求する。
【0043】
情報管理装置13は、送受信装置14に遠隔管理パラメータの送信が要求されているかを確認する。遠隔管理パラメータの送信の要求の確認は、例えば予め設定された周期で定期的に行われる。送受信装置14に遠隔管理パラメータの送信が要求されているときに、情報管理装置13は、ステップS42における契約情報の取得の処理を開始する。
【0044】
ステップS42において、情報管理装置13は、遠隔管理装置10から通知された電話番号またはIDに紐づけられた遠隔管理情報が含む契約情報の送信を契約DB12に要求する。ここで、契約情報は、遠隔管理サービスの契約内容を表す情報である。契約情報は、建物3の階床の数などのエレベーター2の運行に関わる情報を含んでいなくてもよい。契約DB12は、当該電話番号または当該IDに紐づけられた遠隔管理情報に含まれる契約情報を回答する。当該電話番号または当該IDに紐づけられた遠隔管理情報の契約情報の回答を契約DB12から受けた後に、情報管理装置13は、ステップS43における仕様情報の取得の処理を開始する。
【0045】
ステップS43において、情報管理装置13は、エレベーター2の仕様情報の送信を遠隔管理装置10に要求する。エレベーター2の仕様情報は、例えばエレベーター2が適用される建物3の階床の数などを含む。遠隔管理装置10からの回答によって仕様情報を取得した後に、情報管理装置13は、ステップS44におけるパラメータ生成の処理を開始する。
【0046】
ステップS44において、情報管理装置13は、契約情報および仕様情報に基づいて、遠隔管理パラメータを生成する。その後、情報管理装置13は、生成した遠隔管理パラメータを、送受信装置14を通じて遠隔管理装置10に送信する。
【0047】
ステップS45において、遠隔管理パラメータを情報管理装置13から取得するときに、遠隔管理装置10の設定部18は、取得した遠隔管理パラメータの設定を例えば次のように行う。設定部18は、遠隔管理パラメータを記憶部17に記憶させる。その後、設定部18は、記憶部17が記憶しているフラグ情報の状態を、遠隔管理パラメータが設定された状態に切り替える。その後、遠隔管理システム1のパラメータ設定処理に係る動作は、終了する。
【0048】
なお、識別情報は、制御盤9に設定されてもよい。また、遠隔管理パラメータは、制御盤9に設定されてもよい。遠隔管理情報の設定の状態を表すフラグ情報は、制御盤9が記憶していてもよい。このとき、遠隔管理装置10は、遠隔管理情報の設定として、識別情報、遠隔管理パラメータ、およびフラグ情報などの書込み、更新などを行う。
【0049】
また、遠隔管理プログラムの初期化処理は、制御盤9に書き込まれた遠隔管理プログラムを削除する処理を含んでもよい。また、遠隔管理パラメータの初期化処理は、記憶部17などが記憶している遠隔管理パラメータを削除する処理を含んでもよい。
【0050】
以上に説明したように、実施の形態1に係る遠隔管理システム1は、遠隔管理装置10と、管制システム11と、を備える。遠隔管理装置10は、エレベーター2の制御盤9に接続される。遠隔管理装置10は、エレベーター2に応じた遠隔管理情報に基づいてエレベーター2を遠隔管理する。管制システム11は、遠隔管理情報を管理する。遠隔管理装置10は、起動スイッチ16と、記憶部17と、設定部18と、を備える。起動スイッチ16は、起動の操作を受け付ける。記憶部17は、第1接続情報を予め記憶する。第1接続情報は、管制システム11を接続先として特定する情報である。設定部18は、起動スイッチ16が操作されたときに開始される起動処理において、記憶部17が記憶する第1接続情報に基づいて管制システム11に接続する。設定部18は、起動処理において、管制システム11からエレベーター2に応じた遠隔管理情報を取得する。設定部18は、起動処理において、取得した遠隔管理情報の少なくとも一部を制御盤9に設定する。
【0051】
このような構成により、遠隔管理サービスの内容によらない電源の投入などの遠隔管理装置10の起動の操作をトリガーとして、遠隔管理情報の設定が行われる。エレベーター2が設けられる現地において保守員による入力作業が必要とされないので、現地作業における設定ミスなどの発生が抑えられる。また、現地における保守員の作業時間が短縮されるので、エレベーター2の停止時間が短くなる。また、遠隔管理装置10の起動によって管制システム11が管理する遠隔管理情報が自動的に反映されるので、遠隔管理サービスに係る契約内容の不履行などが生じにくい。また、遠隔管理装置10に予め登録される情報は、管制システム11の電話番号などのエレベーター2によらない情報である。このため、遠隔管理装置10にIDなどの識別情報を予め登録しておく必要がない。これにより、識別情報の登録ミス、または、異なる識別情報が入力された遠隔管理装置10の取り違えなどの発生が抑えられる。
【0052】
また、遠隔管理情報は、エレベーター2を識別する識別情報を含む。設定部18は、起動処理において管制システム11に接続する前に、識別情報が設定されているかを判定する。識別情報が設定されていないと判定する場合に、設定部18は、第2接続情報の通知を伴う識別情報の管制システム11への要求、および第2接続情報に基づいて遠隔管理装置10に接続する管制システム11から取得する識別情報の設定を行う。第2接続情報は、発信元を接続先として特定する情報である。
【0053】
このような構成により、第2接続情報をキーとして識別情報の取得が行われる。このため、遠隔管理装置10にIDなどの識別情報を予め登録しておく必要がなくなる。これにより、識別情報の登録ミス、または、異なる識別情報が入力された遠隔管理装置10の取り違えなどの発生が抑えられる。
【0054】
また、管制システム11は、管理している遠隔管理情報のうちに第2接続情報に紐づけられたものがないときに、遠隔管理情報の追加または修正の要求を発報する。
【0055】
このような構成により、管制システム11において管理される遠隔管理情報と契約内容とに不整合が生じた場合においても、当該不整合が速やかに報知される。このため、当該不整合への対処が速やかに行われる。これにより、遠隔管理サービスに係る契約内容の不履行などが生じにくくなる。
【0056】
また、遠隔管理情報は、制御盤9が従う遠隔管理プログラムを含む。設定部18は、起動処理において識別情報が設定されていると判定した後に、遠隔管理プログラムが制御盤9に設定されているかを判定する。遠隔管理プログラムが設定されていないと判定する場合に、設定部18は、遠隔管理プログラムの管制システム11への要求、および管制システム11から取得する遠隔管理プログラムの制御盤9への設定を行う。
また、遠隔管理情報は、エレベーター2の遠隔管理の内容を設定する遠隔管理パラメータを含む。設定部18は、起動処理において遠隔管理プログラムが制御盤9に設定されていると判定した後に、遠隔管理パラメータが設定されているかを判定する。遠隔管理パラメータが設定されていないと判定する場合に、設定部18は、遠隔管理パラメータの管制システム11への要求、および管制システム11から取得する遠隔管理パラメータの設定を行う。
【0057】
このような構成により、識別情報の設定が確認された後に遠隔管理プログラムの設定が行われる。このため、識別情報の設定によって遠隔管理装置10の再起動時の起動処理の内容が制御される。遠隔管理情報が既に設定されている場合に、遠隔管理装置10は無用な更新を行わないので、通信容量などが浪費されない。また、遠隔管理プログラムの設定が確認された後に遠隔管理パラメータの設定が行われる。このため、遠隔管理パラメータが対応する遠隔管理プログラムのバージョンと、制御盤9に書き込まれた遠隔管理プログラムのバージョンとの不整合が発生しにくい。これにより、遠隔管理サービスの内容を実施する設定がより確実に自動的に行われる。
【0058】
なお、契約内容が変更された場合などに、管制システム11の情報管理装置13は、初期化信号を送信してもよい。初期化信号は、送受信装置14を通じて遠隔管理装置10の設定部18に入力される。設定部18は、管制システム11から初期化信号を受け付けるときに、識別情報の設定を初期化する。識別情報の初期化の処理において、記憶部17が記憶しているフラグ情報の状態は、識別情報が設定されていない初期状態に切り替えられる。このとき、設定部18は、遠隔管理プログラムおよび遠隔管理パラメータの初期化を行わない。これにより、遠隔管理装置10の再起動によって、遠隔管理情報の更新が自動的に行われる。また、初期化信号によって初期化される識別情報は、制御盤9によるエレベーター2の運行に用いられない情報であるので、遠隔管理装置10が起動中のエレベーター2の運行は初期化信号の影響を受けない。このため、遠隔管理装置10を新規に据付するときのみならず、稼働中の遠隔管理装置10の設定を更新するときにおいても、遠隔管理装置10の電源の投入などの操作によって遠隔管理情報の設定が自動的に行われる。
【0059】
続いて、図5を用いて、監視システムのハードウェア構成の例について説明する。
図5は、実施の形態1に係る監視システムの主要部のハードウェア構成図である。
【0060】
監視システムの各機能は、処理回路により実現し得る。処理回路は、少なくとも1つのプロセッサ100aと少なくとも1つのメモリ100bとを備える。処理回路は、プロセッサ100aおよびメモリ100bと共に、あるいはそれらの代用として、少なくとも1つの専用ハードウェア200を備えてもよい。
【0061】
処理回路がプロセッサ100aとメモリ100bとを備える場合、監視システムの各機能は、ソフトウェア、ファームウェア、またはソフトウェアとファームウェアとの組み合わせで実現される。ソフトウェアおよびファームウェアの少なくとも一方は、プログラムとして記述される。そのプログラムはメモリ100bに格納される。プロセッサ100aは、メモリ100bに記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、監視システムの各機能を実現する。
【0062】
プロセッサ100aは、CPU(Central Processing Unit)、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、DSPともいう。メモリ100bは、例えば、RAM、ROM、フラッシュメモリ、EPROM、EEPROMなどの、不揮発性または揮発性の半導体メモリなどにより構成される。
【0063】
処理回路が専用ハードウェア200を備える場合、処理回路は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC、FPGA、またはこれらの組み合わせで実現される。
【0064】
監視システムの各機能は、それぞれ処理回路で実現することができる。あるいは、監視システムの各機能は、まとめて処理回路で実現することもできる。監視システムの各機能について、一部を専用ハードウェア200で実現し、他部をソフトウェアまたはファームウェアで実現してもよい。このように、処理回路は、専用ハードウェア200、ソフトウェア、ファームウェア、またはこれらの組み合わせで監視システムの各機能を実現する。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本開示に係る遠隔管理システムは、エレベーターに適用できる。本開示に係る遠隔管理装置は、当該遠隔管理システムに適用できる。
【符号の説明】
【0066】
1 遠隔管理システム、 2 エレベーター、 3 建物、 4 昇降路、 5 巻上機、 6 主ロープ、 7 かご、 8 釣合い錘、 9 制御盤、 10 遠隔管理装置、 11 管制システム、 12 契約DB、 13 情報管理装置、 14 送受信装置、 15 通信網、 16 起動スイッチ、 17 記憶部、 18 設定部、 100a プロセッサ、 100b メモリ、 200 専用ハードウェア
図1
図2
図3
図4
図5