(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-10
(45)【発行日】2023-01-18
(54)【発明の名称】固形粉末化粧料
(51)【国際特許分類】
A61K 8/85 20060101AFI20230111BHJP
A61K 8/81 20060101ALI20230111BHJP
A61K 8/893 20060101ALI20230111BHJP
A61K 8/891 20060101ALI20230111BHJP
A61K 8/87 20060101ALI20230111BHJP
A61K 8/02 20060101ALI20230111BHJP
A61Q 1/00 20060101ALI20230111BHJP
【FI】
A61K8/85
A61K8/81
A61K8/893
A61K8/891
A61K8/87
A61K8/02
A61Q1/00
(21)【出願番号】P 2018213805
(22)【出願日】2018-11-14
【審査請求日】2021-09-22
(73)【特許権者】
【識別番号】591147339
【氏名又は名称】株式会社トキワ
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100182006
【氏名又は名称】湯本 譲司
(72)【発明者】
【氏名】若林 奈津美
【審査官】田中 雅之
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-256318(JP,A)
【文献】特開2016-037497(JP,A)
【文献】特開2006-076982(JP,A)
【文献】特開2012-211113(JP,A)
【文献】特開2014-166965(JP,A)
【文献】特開2003-113024(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉体成分及び油性成分を含有する固形粉末化粧料であって、
前記油性成分が、(A)融点25~55℃のシリコーンワックスを含み、
前記粉体成分が、(B)ポリエチレンテレフタレート粉末と、(C)球状弾性粉体と、を含み、
前記(A)シリコーンワックスの含有量が、固形粉末化粧料全量を基準として、0.1~6.0質量%であり、
前記(B)ポリエチレンテレフタレート粉末の含有量が、固形粉末化粧料全量を基準として、5.0~25.0質量%である、固形粉末化粧料。
【請求項2】
前記(C)球状弾性粉体の含有量が、固形粉末化粧料全量を基準として、2.0~15.0質量%である、請求項1に記載の固形粉末化粧料。
【請求項3】
前記(A)シリコーンワックスとして、シリコーン変性アクリルポリマー、アルキル変性シリコーン及び脂肪族アルコール変性シリコーンからなる群より選択される少なくとも一種を含む、請求項1又は2に記載の固形粉末化粧料。
【請求項4】
前記(A)シリコーンワックスとして、(アクリレーツ/アクリル酸ステアリル/メタクリル酸ジメチコン)コポリマー及び/又は(アクリレーツ/アクリル酸ベヘニル/メタクリル酸ジメチコン)コポリマーを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の固形粉末化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固形粉末化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
ファンデーションなどに用いられる固形粉末化粧料は粉体成分及び油性成分で構成されており、コンパクト容器に収納する形態で多用されていることから、携帯時の持ち運びに考慮した耐衝撃性が求められる。その一方で、ファンデーションなどに求められる機能として、肌の質感を整えて肌の凹凸をぼかすソフトフォーカス効果や、肌への適度な密着によって均一な仕上がり感を得るための滑らかな伸び広がりがある。ソフトフォーカス効果や滑らかな伸び広がりを実現する手法として、球状粉体を配合することが一般的に行われており、シリコーンエラストマー及びウレタン等の球状弾性粉体などは、柔らかくしっとりした使用感を得ることができる。しかし、球状粉体は粉末同士の結束力が弱いため、球状粉体によって仕上がり感を向上させた固形粉末化粧料は耐衝撃性に劣る傾向にある。特に球状弾性粉体は、その弾力性ゆえに化粧料の成形性を悪化させることから、耐衝撃性を低下させやすい成分である。
【0003】
球状粉体が含まれる固形粉末化粧料においては、耐衝撃性を向上させるために油性成分の調整がこれまでにも検討されている。例えば、油性成分として粉末状ワックスを配合した固形粉末化粧料(例えば、下記特許文献1及び2を参照)や、ワセリンやダイマー酸エステルなどの半固形油を配合した固形粉末化粧料(例えば、下記特許文献3を参照)などが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平4-18011号公報
【文献】特開2005-272427号公報
【文献】特開2009-209139号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、粉末状ワックスの配合によって十分な耐衝撃性を得ようとすると、化粧料の滑らかな伸び広がりなどの特性が損なわれてしまう傾向にある。一方、半固形油や液状油が配合された固形粉末化粧料は、使用していくうちにケーキングが発生したり、割れて粉々になりやすく、最後まで使い切ることが難しいという問題がある。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、肌の凹凸をぼかし、均一な仕上がり感を得ることができる使用感と、十分な耐衝撃性とを両立することができ、なおかつ、ケーキングが生じにくく、十分使い切ることができる固形粉末化粧料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本発明者らは鋭意検討した結果、球状弾性粉体が含まれる固形粉末化粧料に、特定のワックスと特定の樹脂粉末とをそれぞれ特定量で配合することにより、上述した要求をすべて満たすことができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、粉体成分及び油性成分を含有する固形粉末化粧料であって、油性成分が、(A)融点25~55℃のシリコーンワックスを含み、粉体成分が、(B)ポリエチレンテレフタレート粉末と(C)球状弾性粉体とを含み、(A)シリコーンワックスの含有量が、固形粉末化粧料全量を基準として、0.1~6.0質量%であり、(B)ポリエチレンテレフタレート粉末の含有量が、固形粉末化粧料全量を基準として、5.0~25.0質量%である固形粉末化粧料を提供する。
【0009】
本発明の固形粉末化粧料は、上記構成を有することにより、肌の凹凸をぼかし、均一な仕上がり感を得ることができる使用感と、十分な耐衝撃性とを両立することができ、なおかつ、ケーキングが生じにくく、十分使い切ることができる。
【0010】
なお、肌の凹凸をぼかし、均一な仕上がり感が得られる効果については、従来、球状粉体は皮丘にとどまりにくく、皮溝やしわに集中することから、仕上がりの平滑性や肌への密着感が得られにくいところ、上記特定量の(A)成分及び(B)成分の配合により、化粧料の耐衝撃性、耐ケーキング性及び使い切り性を低下させることなく、球状弾性粉体の局在化を有効に抑制できたためと本発明者らは推察する。
【0011】
本発明の固形粉末化粧料において、上記(C)球状弾性粉体の含有量は、仕上がりと耐衝撃性の観点から、固形粉末化粧料全量を基準として、2.0~15.0質量%であることが好ましい。
【0012】
また、本発明の固形粉末化粧料は、耐衝撃性と使い切り性の観点から、(A)シリコーンワックスとして、シリコーン変性アクリルポリマー、アルキル変性シリコーン及び脂肪族アルコール変性シリコーンからなる群より選択される少なくとも一種を含むこれとが好ましい。
【0013】
更に、本発明の固形粉末化粧料は、使い切り性の観点から、(A)シリコーンワックスとして、(アクリレーツ/アクリル酸ステアリル/メタクリル酸ジメチコン)コポリマー及び/又は(アクリレーツ/アクリル酸ベヘニル/メタクリル酸ジメチコン)コポリマーを含むことが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、肌の凹凸をぼかし、均一な仕上がり感を得ることができる使用感と、十分な耐衝撃性とを両立することができ、なおかつ、ケーキングが生じにくく、十分使い切ることができる固形粉末化粧料を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本実施形態の固形粉末化粧料は粉体成分及び油性成分を含有し、油性成分が、(A)融点25~55℃のシリコーンワックス(以下、(A)成分ということもある)を含み、粉体成分が、(B)ポリエチレンテレフタレート粉末(以下、(B)成分ということもある)と(C)球状弾性粉体(以下、(C)成分ということもある)とを含む。
【0016】
<(A)成分>
融点25~55℃のシリコーンワックスとしては、シリコーン変性アクリルポリマー、アルキル変性シリコーン、脂肪族アルコール変性シリコーンなどを用いることができる。これらのうち、使い切り性の観点から、シリコーン変性アクリルポリマーが好ましい。また、使用感の点から、融点25~40℃のシリコーンワックスが好ましい。
【0017】
なお、シリコーンワックスの融点は、以下の方法によって測定される。
試料を約10mg秤量し、アルミニウム試料パン中に入れる。このパンにアルミニウムカバーを取り付け、示差走査熱量計「DSC6200」(日立ハイテクサイエンス社製、製品名)中に設置する。窒素ガス流量20mL/minのもと試料及び基準資料を-10℃で1分間保持した後、速度5℃/minで-10℃から100℃まで昇温させることにより、融解吸熱カーブを得る。この融解吸熱カーブのピーク温度を融点(Tm)として採用する。
【0018】
シリコーン変性アクリルポリマーは、ポリシロキサンを含有するアクリルポリマーであり、例えば、(アクリレーツ/アクリル酸ステアリル/メタクリル酸ジメチコン)コポリマー、(アクリレーツ/アクリル酸ベヘニル/メタクリル酸ジメチコン)コポリマーなどが挙げられる。これらは、KP561P(信越化学工業社製、製品名、融点25~35℃)及びKP562P(信越化学工業社製、製品名、融点45~55℃)などの市販品を用いることができる。
【0019】
アルキル変性シリコーンは、アルキル基を含有するシリコーンであり、アルキル基は炭素数12~50の直鎖又は分岐鎖であることが好ましく、18~40の直鎖又は分岐鎖であることがより好ましく、ポリシロキサン鎖の側鎖、片末端、両末端のいずれに置換していてもよい。このようなアルキル変性シリコーンとしては、例えば、ステアリルジメチコン、アルキル(C26-28)ジメチコン、セテアリルメチコンなどが挙げられ、2503Cosmetic WAX(東レ・ダウコーニング社製、製品名、融点33℃)、BELSIL SDM 5055VP(旭化成ワッカーシリコーン社製、製品名、融点30℃)、BELSIL CDM 3526VP(旭化成ワッカーシリコーン社製、製品名、融点35℃)、SF1632(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製、製品名、融点30℃)などの市販品を用いることができる。
【0020】
脂肪族アルコール変性シリコーンは、アルコキシ基を含有するシリコーンであり、アルコキシ基は炭素数12~50の直鎖又は分岐鎖であることが好ましく、18~40の直鎖又は分岐鎖であることがより好ましく、ポリシロキサン鎖の側鎖、片末端、両末端のいずれに置換していてもよい。このような脂肪族アルコール変性シリコーンとしては、例えば、(ステアロキシメチコン/ジメチコン)コポリマー、ステアロキシジメチコン、ベヘノキシジメチコンなどが挙げられ、KF7002(信越化学工業社製、製品名、融点40~50℃)、BELSIL W3230(旭化成ワッカーシリコーン社製、製品名、融点35℃)、ABIL Wax2434(エボニックジャパン社、製品名、融点25℃)、ABIL Wax2440(エボニックジャパン社、製品名、融点40℃)などの市販品を用いることができる。
【0021】
(A)成分は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0022】
本実施形態の固形粉末化粧料における(A)成分の含有量は、固形粉末化粧料全量を基準として、0.1~6.0質量%とすることができ、0.5~5.0質量%であることが好ましく、1.0~4.5質量%であることがより好ましい。
【0023】
本実施形態の固形粉末化粧料は、上記(A)成分以外の油性成分として、通常、化粧料に用いられる油剤であれば、固形油及び固形油以外の油剤など、特に限定なく用いることができる。油性成分は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0024】
固形油としては、例えば、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ポリエチレン等の炭化水素類、硬化ヒマシ油、水添ホホバ油、カルナウバロウ、ライスワックス等の植物由来油脂、トリベヘン酸グリセリル、コレステロール脂肪酸エステル等のエステル類、ステアリン酸、ベヘン酸等の高級脂肪酸類、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等の高級アルコール類、上記(A)成分以外のアルキル変性シリコーン、上記(A)成分以外のアクリル変性シリコーン等のシリコーン類、パルミチン酸デキストリン、ステアリン酸イヌリン等の糖脂肪酸エステル類等が挙げられる。これらは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0025】
固形油以外の油剤としては、ペースト状油、液状油を用いることができる。ペースト状油としては、例えば、ワセリン、ヘキサ(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチル、テトラ(ヒドロキシステアリン酸/イソステアリン酸)ジペンタエリスリチル、ペンタイソステアリン酸ジペンタエリスリチル、ヘキサヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチル、トリ(カプリル酸/カプリン酸/ミリスチン酸/ステアリン酸)グリセリル、イソステアリン酸水添ヒマシ油、オレイン酸フィトステリル、ヘキサ(オレイン酸/パルミチン酸/ステアリン酸)スクロース、ダイマージリノール酸ダイマージリノレイルビス(ベヘニル/イソステアリル/フィトステリル)、ダイマージリノール酸(フィトステリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル)、ダイマージリノール酸水添ヒマシ油、マカデミアナッツ脂肪酸フィトステリル、ビスジグリセリルポリアシルアジペート-2等が挙げられる。
【0026】
液状油としては、例えば、エチルヘキサン酸セチル、パルミチン酸エチルヘキシル、トリエチルヘキサノイン、イソノナン酸イソトリデシル、イソステアリン酸イソステアリル、ジエチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジイソステアリン酸プロパンジオール、トリエチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、ミリスチン酸オクチルドデシル、ステアロイルオキシステアリン酸オクチルドデシル、リンゴ酸ジイソステアリル、トリイソステアリン酸ポリグリセリル、ペンタイソステアリン酸ジペンタエリスリチル、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン等のエステル油;ジメチコン、メチルフェニルポリシロキサン等のシリコーン油;流動パラフィン、スクワラン、オレフィンオリゴマー、流動パラフィン、スクワラン、水添ポリイソブテン等の炭化水素油;ヒマワリ種子油、ホホバ種子油、オリーブ油、ヒマシ油等の植物油;イソステアリン酸等の高級脂肪酸;イソステアリルアルコール、オクチルドデカノール、オレイルアルコール等の高級アルコール、などが挙げられる。
【0027】
本実施形態の固形粉末化粧料における油性成分の含有量は、固形粉末化粧料量を基準として、0.1質量%以上とすることができ、成形性及び使用性の観点から、1~20質量%が好ましく、5~15質量%がより好ましい。
【0028】
<(B)成分>
ポリエチレンテレフタレート粉末としては、例えば、ポリエチレンテレフタレートを微粉砕して得たポリエチレンテレフタレート微粉砕粉末を用いることができる。
【0029】
より具体的には、結晶質と非晶質とからなるポリエチレンテレフタレートを、水酸化ナトリウムなどの解重合触媒の存在下又は不存在でエチレングリコールと接触させ、その非晶質部分を解重合させて溶出させることにより、多孔質状ポリエチレンテレフタレートを得る。この多孔質状ポリエチレンテレフタレートをロッドミル、ボールミル、ハンマーミル、円盤型ミル、ジェットミルなどの粉砕機で所望の粒径に微粉砕して得られたポリエチレンテレフタレート微粉砕粉末を用いることができる。また、ポリエチレンテレフタレート微粉砕粉末は、結晶化させたポリエチレンテレフタレート樹脂を平均粒径が500μm程度になるまで粗粉砕し、その後、冷風を供給しつつ平均粒径が10~30μm程度になるまで微粉砕して得ることもできる。
【0030】
ポリエチレンテレフタレート微粉砕粉末は、形状が不定形であり、平均粒径が1~30μmであってもよく、1.5~20μmであってもよく、1.5~15μmであってもよく、1.5~10μmであってもよい。
【0031】
ポリエチレンテレフタレート微粉砕粉末は、スノーリーフP(オーケン社製、製品名)などの市販品を用いることができる。
【0032】
また、(B)成分として、板状のポリエチレンテレフタレート粉末を用いてもよい。板状のポリエチレンテレフタレート粉末は、市販品であるスノーリーフPF(オーケン社製、製品名)が入手可能である。板状のポリエチレンテレフタレート粉末は、平均粒径10~40μmであってもよく、厚さが0.5~3μmであってもよい。
【0033】
本実施形態の固形粉末化粧料においては、使用性と仕上がりがより優れる点で、(B)成分が不定形のポリエチレンテレフタレート微粉砕粉末であることが好ましい。
【0034】
(B)成分は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0035】
本実施形態の固形粉末化粧料における(B)成分の含有量は、固形粉末化粧料全量を基準として、5.0~25.0質量%とすることができ、10.0~25.0質量%であることが好ましく、10.0~20.0質量%であることがより好ましい。
【0036】
<(C)成分>
球状弾性粉体としては、通常化粧料に配合されるものを用いることができ、例えば、シリコーン球状弾性粉体、ポリウレタン球状弾性粉末、ポリアクリル酸アルキル球状弾性粉体等が挙げられる。
【0037】
シリコーン球状弾性粉体は、(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー等のシリコーン球状弾性粉体及び(ジフェニルジメチコン/ビニルジフェニルジメチコン/シルセスキオキサン)クロスポリマー等のフェニル変性シリコーン球状弾性粉体などのシリコーン樹脂被覆シリコーンゴム球状弾性粉体を用いることができる。また、これらのシリコーン球状弾性粉体は、トレフィルE505、トレフィルE506、トレフィルE701(以上、東レ・ダウコーニング・シリコーン社製、製品名)、KSP-100、KSP-101、KSP-102、KSP-300(以上、信越化学工業社製、製品名)などの市販品を用いることができる。
【0038】
ポリウレタン球状弾性粉末としては、ポリウレタン樹脂の組成は特に限定されず任意のものを使用することができ、例えば、ソルビトールのポリプロピレングリコールの付加物とポリカプロラクトンをヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)とトリメチロールプロパンで架橋した縮合重合体である(HDI/PPG/ポリカプロラクトン)クロスポリマーや、ヘキシルラクトンでエステル化したトリメチロールプロパンとヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)の反応で得られる架橋縮合重合体である(HDI/トリメチロールヘキシルラクトン)クロスポリマー等が挙げられる。ポリウレタン球状弾性粉末は、CS-400、D-400、D-800(以上、東色ピグメント社製、製品名)などの市販品を用いることができる。
【0039】
ポリアクリル酸アルキル球状弾性粉体は、テクポリマーACX-806C(積水化成品工業社製、製品名)、マツモトマイクロスフェアS100、マツモトマイクロスフェアS101,マツモトマイクロスフェアS102(以上、松本油脂製薬社製、製品名)などの市販品を用いることができる。
【0040】
球状弾性粉体は、JIS K6301に記載されているスプリング式硬さ試験における硬さが25~80の粉体が好ましく、30~50の粉体がより好ましい。また、球状弾性粉体の平均粒径は、2~40μmが好ましく、5~30μmがより好ましい。
【0041】
(C)成分は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0042】
本実施形態の固形粉末化粧料における(C)成分の含有量は、固形粉末化粧料量を基準として、2.0~15.0質量%以上とすることができ、仕上がり及び耐衝撃性の観点から、5.0~10.0質量%が好ましい。
【0043】
本実施形態の固形粉末化粧料は、上記(B)成分及び上記(C)成分以外の粉体成分を含有することができる。粉体成分としては、通常、化粧料に用いられる粉体であれば、特に限定なく用いることができ、例えば、体質粉体、白色顔料、着色顔料等が挙げられる。粉体の形状についても特に限定されず、球状、板状、針状等の形状、煙霧状、微粒子、顔料級の粒子径、多孔質、無孔質等の粒子構造を有していてもよい。粉体成分は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0044】
具体的には、マイカ、合成マイカ、セリサイト、タルク、カオリン、炭化珪素、硫酸バリウム、ベントナイト、スメクタイト、酸化アルミニウム、シリカ、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化クロム、水酸化アルミニウムマグネシウム等の体質顔料類、酸化チタン、酸化亜鉛等の白色顔料類、ナイロンパウダー、ポリメチルメタクリレートパウダー、アクリロニトリル-メタクリル酸共重合体パウダー、塩化ビニリデン-メタクリル酸共重合体、ポリエチレンパウダー、ポリスチレンパウダー、オルガノポリシロキサンエラストマーパウダー、ポリメチルシルセスキオキサンパウダー、ウレタンパウダー、ウールパウダー、シルクパウダー、セルロースパウダー、N-アシルリジンパウダー等の有機粉体類、微粒子酸化チタン被覆マイカチタン、微粒子酸化チタン被覆ナイロン、硫酸バリウム被覆マイカチタン、酸化チタン含有シリカ、酸化亜鉛含有シリカ等の複合粉体類、ステアリン酸マグネシウム、ミリスチン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム等の金属石鹸が挙げられる。
【0045】
着色顔料としては、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、酸化コバルト、酸化クロム、群青、紺青、酸化チタン、酸化亜鉛等の無機性着色顔料、赤色228号、赤色226号、青色404号、赤色202号、黄色4号アルミニウムレーキ等の有機性着色顔料、雲母チタン、微粒子酸化チタン被覆マイカチタン、硫酸バリウム被覆マイカチタン、魚鱗箔、オキシ塩化ビスマス、アルミニウムフレーク等のパール顔料、カルミン、ベニバナ等の天然色素などが挙げられる。
【0046】
これらの粉体成分は、発色、密着性の観点から、疎水性処理粉体が好ましい。疎水性処理としては、高級脂肪酸、金属石鹸、油脂、ロウ、シリコーン化合物、フッ素化合物、界面活性剤、デキストリン脂肪酸エステルが挙げられる。
【0047】
本実施形態の固形粉末化粧料は、仕上がりの均一性を向上させる観点から、粉体成分として、平均粒径が1~15μmの光輝性粉体を、固形粉末化粧料全量を基準として、3~10質量%含むことが好ましい。光輝性粉体としては、例えば、酸化チタン被覆マイカ、酸化鉄被覆マイカ、酸化鉄被覆マイカチタン、有機顔料被覆マイカチタン、酸化チタン被覆ガラス末、酸化チタン酸化鉄被覆ガラス末、アルミニウムパウダー等が挙げられる。
【0048】
また、使用性及び耐衝撃性の観点から、本実施形態の固形粉末化粧料における粉体成分の含有量は、固形粉末化粧料全量を基準として、70~99質量%であることが好ましく、80~95質量%であることがより好ましく、85~95質量%であることがさらに好ましい。
【0049】
本実施形態の固形粉末化粧料は、上記成分の他に、通常化粧料に用いられる成分、例えば、界面活性剤、防腐剤、酸化防止剤、色素、増粘剤、pH調整剤、香料、紫外線吸収剤、紫外線散乱剤、キレート剤、消炎剤、保湿剤、などを含有することができる。
【0050】
本実施形態の固形粉末化粧料は、ファンデーション、フェイスパウダー、フェイスカラー、アイシャドウ、アイブロウ、チーク等のメイクアップ化粧料などとして好適である。
【0051】
次に、本実施形態の固形粉末化粧料の製造方法について説明する。
【0052】
本実施形態の固形粉末化粧料の製造方法は、粉体成分及び油性成分を含有する化粧料基材を調製する工程と、この化粧料基材を所定の容器に充填し、圧縮成型する工程とを備える。
【0053】
粉体成分及び油性成分としては、上述したものが挙げられ、化粧料基材における配合量も上述した固形粉末化粧料における好ましい範囲と同様にすることができる。また、化粧料基材の粉体成分及び油性成分以外の組成についても、上述した固形粉末化粧料の好ましい組成と同様にすることができる。
【0054】
本実施形態に係る化粧料基材は、例えば、粉体成分を混合した第1の混合物を得るステップと、油性成分を混合した第2の混合物を得るステップと、第1の混合物及び第2の混合物を混合するステップとを備える方法により調製することができる。
【0055】
第1の混合物を得るステップは、例えば、スーパーミキサー又はヘンシェルミキサーなどを用いて行うことができ、必要に応じてアトマイザーなどを用いて粉砕が行われてもよい。
【0056】
第2の混合物を得るステップは、例えば、ディスパー、ホモミキサーなどを用いて行うことができ、50~80℃、好ましくは60~70℃で加熱しながら油性成分を混合することができる。
【0057】
第1の混合物及び第2の混合物を混合するステップは、例えば、スーパーミキサーやヘンシェルミキサーなどを用いて行うことができ、必要に応じてアトマイザーなどを用いて粉砕が行われてもよい。
【0058】
所定の容器としては、金皿、樹脂皿などの中皿などが挙げられる。
【0059】
上記の工程を経て、本実施形態に係る固形粉末化粧料が得られる。
【0060】
本実施形態の固形粉末化粧料を製造する方法は、粉体成分及び油性成分を含有する化粧料基材と、分散媒と、を混合してスラリーを調製する工程と、容器に充填されたスラリーを、圧縮成型及び乾燥する工程とを備える湿式製法であってもよい。
【0061】
スラリーの調製は、上記の乾式製法と同様にして得られる化粧料基材に、分散媒を加え、これらを混合する方法が挙げられる。
【0062】
分散媒としては、揮発性溶剤を用いることができる。揮発性溶剤としては、軽質流動イソパラフィン、エチルアルコール、アセトン、イソプロピルアルコール、水が挙げられる。
【0063】
化粧料基材と分散媒との配合割合は、質量比で化粧料基材:分散媒=100:60~100:10とすることができ、成型性の観点から、100:40~100:20が好ましい。
【0064】
化粧料基材と分散媒との混合は、例えば、ニーダー、万能撹拌機などを用いて混練する方法が挙げられる。また、必要に応じて、加熱しながら混合することができる。
【0065】
容器に充填されたスラリーを、圧縮成型及び乾燥する工程では、上記で得られたスラリーを必要に応じて脱泡し、所定の容器に充填した後、これを吸引圧縮成型等で圧縮成型した後、適宜乾燥機によって乾燥することができる。
【実施例】
【0066】
以下、実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、これらの実施例により本発明の技術範囲が限定されるものではない。なお、表中の数値は、化粧料基材全量を基準とする含有量(質量%)を示す。
【0067】
実施例に先立ち、各実施例で採用した評価方法を説明する。
【0068】
(1)使いきり試験
スポンジで固形粉末化粧料の表面を一定方向に10回転又は一方向に10回なでた。その後、ペーパータオルで塗布具についた化粧料を拭いた。これらの操作を樹脂皿の底面が8割程度見えるようになるまで繰り返したときの固形粉末化粧料の状態を目視にて観察し、下記評価基準に従って4段階評価を行いサンプル毎に評点を付した。
[評価基準]
4点:底面が8割以上見えるまで使用可能、その後も崩壊しない
3点:底面が4~7割程度見えるまで使用可能だが、その後連続的に崩壊し使用不可
2点:底面が1~3割程度見えるまで使用可能だが、その後連続的に崩壊し使用不可
1点:底面が見える以前に崩壊し、その後も連続的に崩壊し使用不可
【0069】
n=5での平均点から以下の判定基準に従って判定した。
[判定基準(評点の平均点)]
◎:3.5以上
○:3.0以上~3.5未満
△:2.0以上~3.0未満
×:2.0未満
【0070】
(2)耐衝撃性(落下強度)
各固形粉末化粧料のサンプルを、内容物が上向きとなる向きで、50cmの高さからPタイル上に10回落下させた後の状態を目視にて観察し、下記評価基準に従って4段階評価を行いサンプル毎に評点を付した。
[評価基準]
4点:変化無し
3点:若干浮き、欠け、割れが生じるが問題なし
2点:部分的に浮き、欠け、割れがある
1点:全体的に浮き、欠け、割れがある
【0071】
n=5での平均点から以下の判定基準に従って判定した。
[判定基準(評点の平均点)]
◎:3.5以上
○:3.0以上~3.5未満
△:2.0以上~3.0未満
×:2.0未満
【0072】
(3)ケーキング試験
スポンジで固形粉末化粧料の表面を一定方向に10回転又は一方向に10回なでた。その後、ペーパータオルで塗布具についた化粧料を拭いた。これらの操作を10回繰り返した後、固形粉末化粧料のケーキングの有無を目視にて確認し、下記評価基準に従って4段階評価を行いサンプル毎に評点を付した。
[評価基準]
4点:固形粉末化粧料の表面に異常は認められない
3点:固形粉末化粧料の表面がわずかに固まるが、スポンジで取れる状態である
2点:固形粉末化粧料の表面が多少固まるが、スポンジで取れる状態である
1点:固形粉末化粧料の表面が固まり、化粧料が全く取れない状態である
【0073】
n=5での平均点を以下の判定基準に従って判定した。
[判定基準(評点の平均点)]
◎:3.5以上
○:3.0以上~3.5未満
△:2.0以上~3.0未満
×:2.0未満
【0074】
(4)仕上がりの均一性及び凹凸の無さ
化粧品評価専門パネル20名に、固形粉末化粧料のサンプルをスポンジで使用してもらい、「仕上がりの均一性」及び「肌の凹凸の無さ」について、各自が以下の評価基準に従って5段階評価を行いサンプル毎に評点を付した。
[評価基準]
5:非常に良い
4:良い
3:普通
2:悪い
1:非常に悪い
【0075】
全パネルの評点の平均点をとり、以下の判定基準に従って判定した。
[判定基準(評点の平均点)]
◎:4以上
○:3以上~4未満
△:2以上~3未満
×:2未満
【0076】
<融点の測定>
示差走査熱量計(DSC)として日立ハイテクサイエンス社製DSC6200を用い、以下の手順で融点を測定した。まず、試料を約10mg秤量し、アルミニウム試料パン中に入れた。このパンにアルミニウムカバーを取り付け、示差走査熱量計中に設置した。窒素ガス流量20mL/minのもと試料および基準資料を-10℃で1分間保持した後、速度5℃/minで-10℃から100℃まで昇温させることにより融解吸熱カーブを得た。得られた融解吸熱カーブにおけるピーク温度を融点(Tm)とした。
【0077】
(実施例1~13及び比較例1~7)
表1~3に示す組成のファンデーションを以下の製法により調製し、上記の評価を行った。その結果を併せて表1~3に示す。
【0078】
<製法>
成分1~15の粉体成分をヘンシェルミキサーで均一に分散し、混合物Iを得た。成分16~25を70℃に加温し均一に分散し、分散物IIを得た。混合物Iをヘンシェルミキサーで撹拌しながら、ここに分散物IIを添加し均一分散した。これをパルペライザーで粉砕し、化粧料基材を得た。この化粧料基材を樹脂皿へ充填し、プレス機で圧縮成形を行い、粉末固形化粧料を作製した。
【0079】
【0080】
【0081】
【0082】
表1~3中、各成分の詳細は下記のとおりである。
【0083】
*1:スノーリーフP(オーケン社製、製品名、不定形ポリエチレンフタレート、平均粒子径7μm)
*2:スノーリーフPF(オーケン社製、製品名、板状ポリエチレンフタレート、平均粒子径20μm)
*3:CS-400(東色ピグメント社製、製品名、平均粒子径15μm)
*4:KSP-300(信越化学工業社製、製品名、平均粒子径5μm)
*5:雲母チタン(平均粒径3.0~10.0μm)
*6:雲母チタン(平均粒径18.0~25.0μm)
*7:KP561P(信越化学工業社製、製品名、(アクリレーツ/アクリル酸ステアリル/メタクリル酸ジメチコン)コポリマー、融点25~35℃)
*8:KP562P(信越化学工業社製、製品名、(アクリレーツ/アクリル酸ベヘニル/メタクリル酸ジメチコン)コポリマー、融点45~55℃)
*9:BELSIL SDM 5055VP(旭化成ワッカーシリコーン社製、製品名、ステアリルジメチコン、融点30℃)
*10:エコナSP45(花王社製、製品名、ヤシ系硬化油、融点45℃)
*11:Plandool-G(日本精化社製、製品名)
【0084】
表1~3に示されるように、実施例1~6、8~12で得られる固形粉末化粧料は「使いきり試験」、「耐衝撃性」、「ケーキング試験」、「仕上がりの均一性」及び「凹凸の無さ」において、「○」又は「◎」の評価であった。実施例7で得られる固形粉末化粧料は、「使い切り試験」において「△」の評価であったが、その他の評価において「○」又は「◎」の評価であった。実施例13で得られる固形粉末化粧料は、「仕上がりの均一性」において「△」の評価であったが、その他の評価において「○」又は「◎」の評価であった。
【0085】
(実施例14:おしろい)
(成分) (配合割合(質量%))
1. タルク 残余
2. マイカ 15
3. 合成金雲母鉄 10
4. PET粉末*1 10
5. 窒化ホウ素 8
6. 微粒子酸化チタン 9
7. 非弾性球状ナイロンパウダー 7
8. 弾性球状ウレタンパウダー*7 2
9. 弾性球状シリコーンパウダー*12 5
10.雲母チタン*5 3
11.フッ素化合物処理酸化チタン 2
12.金属石鹸処理酸化鉄 3
13.トリエチルヘキサノイン 4.5
14.ジメチコン 1
15.ペンタイソステアリン酸ジペンタエリスリチル 1.7
16.シリコーン変性アクリルポリマー*13 3.5
17.防腐剤 0.3
18.酸化防止剤 0.02
【0086】
各成分の詳細はすでに上述したものと同様である。なお、*12及び*13の成分の詳細は下記のとおりである。
*12:KSP-411(信越化学工業社製、製品名、平均粒子径30μm)
*13:BELSIL SDM 3526VP(旭化成ワッカーシリコーン社製、製品名、ステアリルジメチコン、融点35℃)
【0087】
<製法>
成分1~12の粉体成分をヘンシェルミキサーで均一に分散し、混合物Iを得た。成分13~18を70℃に加温し均一に分散し、分散物IIを得た。混合物Iをヘンシェルミキサーで撹拌しながら、ここに分散物IIを添加し均一分散した。これをパルペライザーで粉砕し、化粧料基材を得た。この化粧料基材を樹脂皿へ充填し、プレス機で圧縮成形を行い、粉末固形化粧料を作製した。
【0088】
<評価>
得られたおしろいのサンプルについて、上記同様の評価を行ったところ、「使いきり試験」が「◎」、「耐衝撃性」が「◎」、「ケーキング試験」が「◎」、「仕上がりの均一性」が「◎」及び「凹凸の無さ」が「◎」であった。
【0089】
(実施例15:チーク)
(成分) (配合割合(質量%))
1. タルク 残余
2. マイカ 25
2. PET粉末*1 10
4. 窒化ホウ素 8
5. 非弾性球状ナイロンパウダー 3
6. 弾性球状ウレタンパウダー*14 2
7. 弾性球状シリコーンパウダー*4 5
8. 雲母チタン*6 5
9. 金属石鹸処理酸化鉄 5
10.トリエチルヘキサノイン 4.5
11.ジメチコン 2.5
12.ペンタイソステアリン酸ジペンタエリスリチル 1.7
13.シリコーン変性アクリルポリマー*8 4.5
14.防腐剤 0.2
15.酸化防止剤 0.02
【0090】
各成分の詳細はすでに上述したものと同様である。なお、*14の成分の詳細は下記のとおりである。
*14:D-400(東色ピグメント社製、製品名、平均粒子径13μm)
【0091】
<製法>
成分1~9の粉体成分をヘンシェルミキサーで均一に分散し、混合物Iを得た。成分10~15を70℃に加温し均一に分散し、分散物IIを得た。混合物Iをヘンシェルミキサーで撹拌しながら、ここに分散物IIを添加し均一分散した。これをパルペライザーで粉砕し、化粧料基材を得た。この化粧料基材を樹脂皿へ充填し、プレス機で圧縮成形を行い、粉末固形化粧料を作製した。
【0092】
<評価>
得られたチークのサンプルについて、上記同様の評価を行ったところ、「使いきり試験」が「◎」、「耐衝撃性」が「◎」、「ケーキング試験」が「○」、「仕上がりの均一性」が「○」及び「凹凸の無さ」が「◎」であった。
【0093】
(実施例16:ファンデーション)
(成分) (配合割合(質量%))
1. タルク 残余
2. マイカ 15
3. 合成金雲母鉄 10
4. PET粉末*1 10
5. 窒化ホウ素 8
6. 微粒子酸化チタン 9
7. 非弾性球状ナイロンパウダー 7
8. 弾性球状ウレタンパウダー*3 2
9. 弾性球状シリコーンパウダー*15 5
10.雲母チタン*5 3
11.フッ素化合物処理酸化チタン 2
12.金属石鹸処理酸化鉄 3
13.トリエチルヘキサノイン 4.5
14.ジメチコン 1
15.ペンタイソステアリン酸ジペンタエリスリチル 1.7
16.シリコーン変性アクリルポリマー*7 3.5
17.防腐剤 0.3
18.酸化防止剤 0.02
揮発性溶剤として軽質流動イソパラフィンを上記成分1~18の合計100質量部に対して40質量部用いた。
【0094】
各成分の詳細はすでに上述したものと同様である。なお、*15の成分の詳細は下記のとおりである。
*15:トレフィルE506S(東レ・ダウコーニング・シリコーン社製、製品名、平均粒子径4μm)
【0095】
<製法>
成分1~12の粉体成分をヘンシェルミキサーで均一に分散し、混合物Iを得た。成分13~18を70℃に加温し均一に分散し、分散物IIを得た。混合物Iをヘンシェルミキサーで撹拌しながら、ここに分散物IIを添加し均一分散した。この化粧料基材に、上記揮発性溶剤を上記の割合で加え、混練することでスラリー化し、化粧料基材を得た。この化粧料基材を樹脂皿へ充填し、プレス機で圧縮成形を行い、乾燥により溶剤を除去することで粉末固形化粧料を作製した。
【0096】
<評価>
得られたファンデーションのサンプルについて、上記同様の評価を行ったところ、「使いきり試験」が「◎」、「耐衝撃性」が「◎」、「ケーキング試験」が「◎」、「仕上がりの均一性」が「○」及び「凹凸の無さ」が「○」であった。