(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-10
(45)【発行日】2023-01-18
(54)【発明の名称】道路舗装機械及びそれに用いられるホッパ制御装置
(51)【国際特許分類】
E01C 19/48 20060101AFI20230111BHJP
【FI】
E01C19/48 A
(21)【出願番号】P 2019037700
(22)【出願日】2019-03-01
【審査請求日】2021-10-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000235163
【氏名又は名称】範多機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136847
【氏名又は名称】▲高▼山 嘉成
(72)【発明者】
【氏名】徳田 憲作
(72)【発明者】
【氏名】磯田 寿広
【審査官】荒井 良子
(56)【参考文献】
【文献】実開昭58-134409(JP,U)
【文献】特開2009-299338(JP,A)
【文献】特開昭61-261504(JP,A)
【文献】特開2014-198968(JP,A)
【文献】特開平02-209505(JP,A)
【文献】特開昭63-165602(JP,A)
【文献】特表平05-501434(JP,A)
【文献】特開2000-345578(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0002874(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01C 19/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アスファルト合材を敷き均す道路舗装機械であって、
前記アスファルト合材を収容
し、傾斜可能なホッパと、
前記ホッパ内の前記アスファルト合材を、前記アスファルト合材を敷き均すスクリード側に送り出すコンベヤと、
前記ホッパを
上下に傾斜するように駆動させるホッパ駆動部と、
前記コンベヤ上の前記アスファルト合材の残量を検出するコンベヤ残量検出部と、
前記コンベヤ残量検出部によって検出された残量に応じて、
自動的に、前記ホッパ駆動部を
駆動させるための制御部とを備えることを特徴とする、道路舗装機械。
【請求項2】
前記ホッパ内の前記アスファルト合材の残量を検出するホッパ残量検出部をさらに備え、
前記制御部は、前記ホッパ残量検出部によって検出された残量に応じて、
自動的に、前記ホッパ駆動部を
駆動させることを特徴とする、請求項1に記載の道路舗装機械。
【請求項3】
前記制御部は、前記ホッパ残量検出部によって、前記ホッパ内の前記アスファルト合材の残量が無いと判断された場合、
前記ホッパ駆動部を自動的には駆動させないようにすることを特徴とする、請求項2に記載の道路舗装機械。
【請求項4】
前記制御部は、前記ホッパ残量検出部によって、前記ホッパ内の前記アスファルト合材の残量が無いと判断された場合、オペレータに、その旨を通知することを特徴とする、請求項2又は3に記載の道路舗装機械。
【請求項5】
前記コンベヤ残量検出部は、超音波センサ、熱感知センサ、又は画像処理装置であることを特徴とする、請求項1~4のいずれかに記載の道路舗装機械。
【請求項6】
前記ホッパ残量検出部は、圧力センサ、
前記ホッパの傾斜角度を検出することができる角度センサ、又は前記ホッパ駆動部の駆動回数のカウンタであることを特徴とする、請求項1~5のいずれかに記載の道路舗装機械。
【請求項7】
前記コンベヤ残量検出部は、前記コンベヤを駆動させるためのコンベヤ駆動装置の駆動量を積算することで、前記アスファルト合材の残量を検出することを特徴とする、請求項1~4のいずれかに記載の道路舗装機械。
【請求項8】
前記制御部は、前記コンベヤ残量検出部によって、前記コンベヤ駆動装置の駆動量の積算値が所定の値に達したとき、前記ホッパ駆動部を制御して、前記アスファルト合材を前記コンベヤに載積させることを特徴とする、請求項7に記載の道路舗装機械。
【請求項9】
前記制御部は、所定の条件に達したら、前記コンベヤ駆動装置の駆動量の積算値をリセットすることと特徴とする、請求項8に記載の道路舗装機械。
【請求項10】
アスファルト合材を敷き均す道路舗装機械におけるホッパを
上下に傾斜するように駆動させるためのホッパ駆動部の動作を制御するホッパ制御装置であって、
前記ホッパ内のコンベヤ上の前記アスファルト合材の残量を検出するコンベヤ残量検出部と、
前記コンベヤ残量検出部によって検出された残量に応じて、
自動的に、前記ホッパ駆動部を
駆動させるための制御部とを備えることを特徴とする、ホッパ制御装置。
【請求項11】
前記ホッパ内の前記アスファルト合材の残量を検出するホッパ残量検出部をさらに備え、
前記制御部は、前記ホッパ残量検出部によって検出された残量に応じて、
自動的に、前記ホッパ駆動部を
駆動させることを特徴とする、請求項10に記載のホッパ制御装置。
【請求項12】
アスファルト合材を敷き均す道路舗装機械であって、
前記アスファルト合材を収容し、傾斜可能なホッパと、
前記ホッパ内の前記アスファルト合材を、前記アスファルト合材を敷き均すスクリード側に送り出すコンベヤと、
前記ホッパを上下に傾斜するように駆動させるホッパ駆動部と、
前記コンベヤ上の前記アスファルト合材の残量を検出するコンベヤ残量検出部と、
前記コンベヤ残量検出部によって検出された残量に応じて、自動的に、前記ホッパ駆動部を駆動させるための制御部とを備え、
前記制御部は、前記コンベア残量検出部の検出結果に基づいて、前記コンベア上の前記アスファルト合材の残量がないと判断した場合に、前記ホッパが上昇するように、前記ホッパ駆動部を自動的に駆動させることを特徴とする、道路舗装機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アスファルト合材を敷き均す道路舗装機械に関し、より特定的には、アスファルト合材の残量を検出することが可能な道路舗装機械及びそれに用いられるホッパ制御装置である。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の道路舗装機械は、ホッパ内部のアスファルト合材を含めた熱画像を撮像する熱画像撮像手段を備えており、当該熱画像の高温領域と当該高温領域よりも温度が低い低温領域を抽出して、高温領域と低温領域との境界線を含む表示画像を生成し、当該表示画像を表示することができる。また、特許文献1に記載の道路舗装機械は、高温領域の面積を演算して、当該面積が所定閾値より小さい場合に通知を行うことができる。これにより、特許文献1に記載の道路舗装機械は、ホッパ部内のアスファルト合材の残量を高温領域と低温領域の境界線により明確に運転者に対して表示することができためオペレータは正確に残量を監視することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の道路舗装機械においては、オペレータは、アスファルト合材の残量を把握することができ、残量が少なくなってくれば、通知を受けることができるに過ぎない。
【0005】
実際の施工現場においては、アスファルト合材の残量が少なくなってきた場合、アスファルト合材を積んでいるホッパを上げるように操作して、アスファルト合材をホッパ内のコンベア(「バーフィーダ」ともいう。以下同様)に載せなければならない。このホッパの操作は、舗装の厚みの保持や施工時間に関わるものであり、重要でかつ熟練を要する操作である。
【0006】
ところが、特許文献1に記載の道路舗装機械では、残量をオペレータに伝えることができるに過ぎず、ホッパの操作は、オペレータに委ねられており、道路舗装機械の操作の容易性という観点からは、不十分である。
【0007】
それゆえ、本発明は、ホッパの自動操作を実現することができる道路舗装機械及びそれに用いられるホッパ制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明は、以下のような特徴を有する。本発明は、アスファルト合材を敷き均す道路舗装機械であって、アスファルト合材を収容し、傾斜可能なホッパと、ホッパ内のアスファルト合材を、アスファルト合材を敷き均すスクリード側に送り出すコンベヤと、ホッパを上下に傾斜するように駆動させるホッパ駆動部と、コンベヤ上のアスファルト合材の残量を検出するコンベヤ残量検出部と、コンベヤ残量検出部によって検出された残量に応じて、自動的に、ホッパ駆動部を駆動させるための制御部とを備える。
【0009】
さらに、道路舗装機械は、ホッパ内のアスファルト合材の残量を検出するホッパ残量検出部を備える。制御部は、ホッパ残量検出部によって検出された残量に応じて、自動的に、ホッパ駆動部を駆動させる。
【0010】
制御部は、ホッパ残量検出部によって、ホッパ内のアスファルト合材の残量が無いと判断された場合、ホッパ駆動部を自動的には駆動させないようにする。
【0011】
制御部は、ホッパ残量検出部によって、ホッパ内のアスファルト合材の残量が無いと判断された場合、オペレータに、その旨を通知する。
【0012】
たとえば、コンベヤ残量検出部は、超音波センサ、熱感知センサ、又は画像処理装置である。
【0013】
たとえば、ホッパ残量検出部は、圧力センサ、ホッパの傾斜角度を検出することができる角度センサ、又はホッパ駆動部の駆動回数のカウンタである。
【0014】
コンベヤ残量検出部は、コンベヤを駆動させるためのコンベヤ駆動装置の駆動量を積算することで、アスファルト合材の残量を検出する。
【0015】
制御部は、コンベヤ残量検出部によって、コンベヤ駆動装置の駆動量の積算値が所定の値に達したとき、ホッパ駆動部を制御して、アスファルト合材をコンベヤに載積させる。
【0016】
制御部は、所定の条件に達したら、コンベヤ駆動装置の駆動量の積算値をリセットする。
【0017】
また、本発明は、アスファルト合材を敷き均す道路舗装機械におけるホッパを上下に傾斜するように駆動させるためのホッパ駆動部の動作を制御するホッパ制御装置であって、ホッパ内のコンベヤ上のアスファルト合材の残量を検出するコンベヤ残量検出部と、コンベヤ残量検出部によって検出された残量に応じて、自動的に、ホッパ駆動部を駆動させるための制御部とを備える。
【0018】
さらに、ホッパ制御装置は、ホッパ内のアスファルト合材の残量を検出するホッパ残量検出部を備える。制御部は、ホッパ残量検出部によって検出された残量に応じて、自動的に、ホッパ駆動部を駆動させる。
【0019】
本発明のホッパ制御装置は、最初からの道路舗装機械に具備されていてもよいし、既存の道路舗装機械を改造して、後から、取り付けられてもよい。
また、本発明は、アスファルト合材を敷き均す道路舗装機械であって、アスファルト合材を収容し、傾斜可能なホッパと、ホッパ内のアスファルト合材を、アスファルト合材を敷き均すスクリード側に送り出すコンベヤと、ホッパを上下に傾斜するように駆動させるホッパ駆動部と、コンベヤ上のアスファルト合材の残量を検出するコンベヤ残量検出部と、コンベヤ残量検出部によって検出された残量に応じて、自動的に、ホッパ駆動部を駆動させるための制御部とを備え、制御部は、コンベア残量検出部の検出結果に基づいて、コンベア上のアスファルト合材の残量がないと判断した場合に、ホッパが上昇するように、ホッパ駆動部を自動的に駆動させる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、制御部は、コンベヤ残量検出部によって検出された残量に応じて、ホッパ駆動部を制御することができるので、ホッパが自動操作されることとなる。コンベヤ上のアスファルト合材の残量が減ってきたら、制御部がホッパを制御することで、コンベヤ上に、再び、アスファルト合材が載せられることとなる。これにより、ホッパが自動的に、コンベヤにアスファルト合材を載せていくことが可能となるので、ホッパの操作が容易となる。結果、オペレータの負担が軽減され、操作が容易な道路舗装機械が提供されることとなる。
【0021】
さらに、制御部は、ホッパ残量検出部によって検出された残量に応じて、ホッパ駆動部を制御するので、ホッパが自動操作されることとなる。ホッパ内に、アスファルト合材が残っていたら、制御部によって、ホッパを制御して、残りのアスファルト合材を、コンベヤ上に送ることが可能となる。すなわち、最後まで、アスファルト合材がホッパ内に残らないように、ホッパが制御されることとなる。
【0022】
加えて、制御部は、ホッパ残量検出部によって、ホッパ内のアスファルト合材の残量が無いと判断された場合、ホッパの自動制御を停止するので、不必要に、ホッパを制御することが防止される。
【0023】
ホッパ内のアスファルト合材の残量が無いと判断された場合、オペレータに、制御部が通知することで、オペレータは、いち早く、アスファルト合材を追加供給することができることとなる。結果、綺麗な舗装が実現できる。
【0024】
コンベヤ残量検出部として、超音波センサ、熱感知センサ、又は画像処理装置を用いることで、確実に、コンベヤ上の残量を検出することが可能となる。
【0025】
ホッパ残量検出部として、圧力センサ、角度センサ、又はホッパ駆動部の駆動回数のカウンタを用いることで、確実に、ホッパ内の残量を検出することが可能となる。
【0026】
コンベヤ残量検出部が、コンベヤを駆動させるためのコンベヤ駆動装置の駆動量を積算することで、アスファルト合材の残量を検出することで、カメラやセンサ等の追加の構成を設けることなく、また、画像処理などの複雑な処理を行うことなく、残量の検出及びホッパの自動制御が可能となる。結果、コストアップを出来る限り抑えて、ホッパの自動制御を実現できる。
【0027】
本発明のホッパ制御装置を用いれば、上記と同様の効果が得られる道路舗装機械を提供することが可能である。
【0028】
本発明のこれら、及び他の目的、特徴、局面、効果は、添付図面と照合して、以下の詳細な説明から一層明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態における道路舗装機械1の正面図である。
【
図2】
図2は、本発明の一実施形態における道路舗装機械1の平面図である。
【
図3】
図3は、本発明の一実施形態における道路舗装機械1の左側面図である。
【
図4】
図4は、本発明の一実施形態におけるホッパ制御装置12の機能的構成を示すブロック図である。
【
図5】
図5は、ホッパ制御装置12における動作及びオペレータの操作内容を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1ないし
図3において、本発明の一実施形態における道路舗装機械1は、ホッパ2と、前輪3と、後輪4と、スクリュー5と、スクリード6と、運転席7と、スクリードステップ8と、ホッパ駆動部9と、コンベヤ残量検出部10と、コンベヤ11とを備える。
【0031】
道路舗装機械1は、ホッパ2に積載されたアスファルト合材を、コンベヤ11を回転させることで、後輪4側に送り出し、送り出されたアスファルト合材を、スクリュー5で左右に広げて、スクリード6によって、敷き均していく装置である。道路舗装機械は、アスファルトフィニッシャとも呼ばれる。
【0032】
一人又は二人のオペレータによって、道路舗装機械1は操作されるが、オペレータは、運転席7及び/又はスクリードステップ8に乗った状態で、道路舗装機械1の前進(
図1の左側に進む方向)、スクリード6の操作、ホッパ2の残量の確認、ホッパ駆動部9の操作などを行う必要がある。
【0033】
ホッパ駆動部2は、油圧シリンダなどである。ホッパ駆動部2は、左右のホッパ2の側面にそれぞれ設けられている。ホッパ2は、ホッパ駆動部2を伸縮させることで、
図3に示した矢印Xのように、ある支点を中心に、上下に傾斜するように駆動させることができる。なお、2つのホッパ駆動部2は、それぞれが独立して駆動するようになっていてもよいし、同時に駆動するようになっていてもよい。
【0034】
図2に示すように、ホッパ2の底部には、コンベヤ11が設けられている。コンベヤ11の左右に配置されたホッパ2が傾斜することで、ホッパ2に積載されたアスファルト合材が、コンベヤ11の上に載せられることとなる。
【0035】
なお、ここで示したホッパ2、ホッパ駆動部9、及びコンベヤ11の構造や配置は、あくまでも一例に過ぎず、本発明を限定するものではない。たとえば、ホッパ2は、コンベヤ11の前側(
図1の左側)に一つ配置されており、ホッパ駆動部9がホッパ2を上下に傾斜させることで、コンベヤ11にアスファルト合材が送り出されてもよい。また、ホッパ駆動部9は、油圧シリンダに限定されるものではなく、ホッパ2を駆動させることができるものであれば、周知のあらゆる装置及び機構を用いることが可能である。
【0036】
コンベヤ残量検出10は、ホッパ2内のコンベヤ11上の残量を検出することができる位置に取り付けられている。図示した例では、ホッパ2の後輪4側の端部の上方に、コンベヤ残量検出10が、コンベヤ11の方向を向くように斜め下に向けて取り付けられている。ただし、コンベヤ残量検出10の取り付け位置は、一例に過ぎず、本発明を限定するものではない。
【0037】
図4に示すように、ホッパ制御装置12は、ホッパ駆動部9と、コンベヤ残量検出部10と、ホッパ残量検出部13と、ホッパ角度検出部14と、操作部15と、制御部16とを備える。ホッパ制御装置12は、道路舗装機械内に設けられている。
【0038】
図4におけるホッパ駆動部9は、先に上述したホッパ駆動部9と同様である。
【0039】
コンベヤ残量検出部10は、コンベヤ11上のアスファルト合材の残量を検出することができる。たとえば、コンベヤ残量検出部10は、超音波センサや熱感知センサによって、コンベヤ11上にアスファルト合材が存在するか否かを検出することで、その残量の有無を検出することができる。また、コンベヤ残量検出部10は、カメラと画像処理装置とからなり、カメラで撮像したコンベヤ11上の画像を認識することで、コンベヤ11にアスファルト合材が載っているか否かを検出することができるものとする。その他、コンベヤ残量検出部10としては、コンベヤ11上のアスファルト合材の残量を検出することができるあらゆる手段を用いることができる。
【0040】
ホッパ残量検出部13は、ホッパ内のアスファルト合材の残量を検出することができる。たとえば、ホッパ残量検出部13は、圧力センサによって、ホッパ2内にアスファルト合材が載置されているか否かを検出することができる。また、ホッパ残量検出部13として、ホッパ2の傾斜角度を検出することができる角度センサを用いてもよく、その場合、角度センサによる傾斜角度によって、アスファルト合材が残らない角度までホッパ2が傾斜したか否かを判断することで、ホッパ残量検出部13は、ホッパ2内にアスファルト合材が残っているか否かを検出してもよい。また、ホッパ残量検出部13として、ホッパ駆動部9の駆動回数をカウントするカウンタが用いられてもよく、その場合、カウンタのカウント回数によって、ホッパ2が何回角度を上昇させたかを認識することによって、アスファルト合材が残らない角度までホッパ2が傾斜したか否かを判断することで、ホッパ残量検出部13は、ホッパ2内にアスファルト合材が残っているか否かを検出してもよい。その他、ホッパ残量検出部13として、ホッパ2内のアスファルト合材の残量を検出することができるあらゆる手段を用いることができる。
【0041】
ホッパ角度検出部14は、ホッパ2の傾斜角度を検出することができる角度センサである。制御部16は、ホッパ角度検出部14よる検出結果に基づいて、ホッパ2の傾斜角度を制御する。
【0042】
ただし、ホッパ2の傾斜角度を制御するための構成として、ホッパ角度検出部14は必須ではない。たとえば、制御部16は、ホッパ駆動部9を駆動させている時間をカウントすることで、ホッパ2の傾斜角度を間接的に把握して、ホッパ2の傾斜角度を制御するようにしてもよい。その他、あらゆる手段を用いて、制御部16は、ホッパ2の傾斜角度を制御することができる。
【0043】
操作部15は、自動制御と手動操作との切り替えスイッチや、ホッパ駆動部9を上下させるためのスイッチ、ホッパ駆動部9を停止させるためのスイッチなどを有している。ただし、スイッチの構成は、本発明を限定するものではない。
【0044】
制御部16は、コンベヤ残量検出部10によって検出された残量に応じて、ホッパ駆動部9を制御する。また、制御部16は、ホッパ残量検出部13によって検出された残量に応じて、ホッパ駆動部9を制御する。
【0045】
以下、制御部16による具体的な制御の一例を、
図5を参照しながら説明する。ただし、
図5に示した動作例は、あくまでも一例に過ぎず、本発明を限定するものではない。
【0046】
まず、オペレータによって、操作部15を用いて、ホッパの自動制御がオンにされたとする(S101)。自動制御がオンにされると、制御部16は、コンベヤ残量検出部10によって、検出されたコンベヤ11上のアスファルト合材の残量を検出する(S102)。
【0047】
制御部16は、コンベヤ11上のアスファルト合材の残量が有るか否かを判断する(S103)。残量がある場合、制御部16は、ホッパ駆動部9を駆動させずに、そのまま、コンベヤ11上の残量の検出を続ける(S102)。一方、残量がない場合、制御部16は、ホッパ駆動部9を駆動させる(S104)。
【0048】
S104において、制御部16は、ホッパ角度検出部14によるホッパ2の検出角度を認識しながら、ホッパ駆動部9を駆動させて、ホッパ2の傾斜角度を上昇させる。また、ホッパ角度検出部14を用いない場合、制御部16は、所定の時間、ホッパ駆動部9を駆動させて、ホッパ2の傾斜角度を上昇させる。典型的には、ホッパ2は、一度に、上昇させるのではなく、何回かに分けて、次第に上昇するように、制御される。ただし、ホッパ駆動部9の制御方法は、本発明を限定するものではない。たとえば、ホッパ2が一回の駆動時において何度か上下するように、ホッパ駆動部9が制御されてもよい。
【0049】
S104の後、制御部16は、コンベヤ11上のアスファルト合材の残量が有るか否かを判断する(S105)。残量がある場合、制御部16は、ホッパ駆動部9を駆動させずに、そのまま、コンベヤ11上の残量の検出を続ける(S102)。一方、残量がない場合、制御部16は、S106の動作に進む。
【0050】
S106の動作に進んだ段階において、既に、S104で、ホッパ2は、典型的には、何回か駆動されている。それにも関わらず、コンベヤ11上にアスファルト合材を確認することができないということは、ホッパ2内のアスファルト合材の残量が残り少ないことを意味する。したがって、制御部16は、ホッパ残量検出部13を用いて、ホッパ2内にアスファルト合材が残っているか否かを検出する(S106)。まだ、アスファルト合材が残っているのであれば、制御部16は、再び、S104の動作に戻って、ホッパ駆動部9を駆動させて、ホッパ2を上昇させる。これによって、ホッパ2内のアスファルト合材を出来る限り使い切ることができる。
【0051】
一方、S106において、ホッパ2内にアスファルト合材が残っていないと判断した場合、制御部16は、残量が無くなった旨をオペレータに通知し、ホッパの自動制御をオフにする(S107)。制御部16は、S107での通知を、図示ない音声出力部や表示部によって行う。
【0052】
その後、オペレータが手動でホッパ2を下降させて(S108)、ホッパ2にアスファルト合材を供給させて(S109)、再度、ホッパ2の自動制御をオンにする(S110)。
【0053】
このように、本実施形態によれば、制御部16は、コンベヤ残量検出部10によって検出された残量に応じて、ホッパ駆動部9を制御することができるので、ホッパ2が自動操作されることとなる。コンベヤ11上のアスファルト合材の残量が減ってきたら、制御部16がホッパを制御することで、コンベヤ11上に、再び、アスファルト合材が載せられることとなる。これにより、ホッパ2が自動的に、コンベヤ11にアスファルト合材を載せていくことが可能となるので、ホッパ2の操作が容易となる。
【0054】
さらに、制御部16は、ホッパ残量検出部13によって検出された残量に応じて、ホッパ駆動部9を制御するので、ホッパ2が自動操作されることとなる。ホッパ2内に、アスファルト合材が残っていたら、制御部16によって、ホッパ2を制御して、残りのアスファルト合材を、コンベヤ11上に送ることが可能となる。すなわち、最後まで、アスファルト合材がホッパ2内に残らないように、ホッパ2が制御されることとなる。
【0055】
なお、コンベヤ残量検出部10があれば、少なくとも、ホッパ2の自動制御は可能となるので、ホッパ残量検出部13は、必須ではない。すなわち、ホッパ2の残量は、操作者が目視で確認して、行われるものであってもよい。
【0056】
制御部16は、ホッパ残量検出部13によって、ホッパ2内のアスファルト合材の残量が無いと判断された場合、ホッパ2の自動制御を停止するので、不必要に、ホッパ2を制御することが防止される。
【0057】
また、ホッパ2内のアスファルト合材の残量が無いと判断された場合、オペレータに、制御部16が通知することで、オペレータは、いち早く、アスファルト合材を追加供給することができることとなる。
【0058】
コンベヤ残量検出部10として、超音波センサ、熱感知センサ、又は画像処理装置を用いることで、確実に、コンベヤ上の残量を検出することが可能となる。
【0059】
ホッパ残量検出部13として、圧力センサ、角度センサ、又はホッパ駆動部の駆動回数のカウンタを用いることで、確実に、ホッパ内の残量を検出することが可能となる。
【0060】
上記実施形態においては、コンベヤ残量検出部10として、カメラやセンサ、画像処理装置などを追加することを想定しているが、カメラなどの追加の装置を設けなくても、コンベヤの残量を検出することが可能であり、本発明には、そのような構成も含まれる。
【0061】
たとえば、コンベヤ残量検出部10は、コンベヤ11を駆動させるための図示しないコンベヤ駆動装置の駆動量(たとえば、回転数)を積算するものとしてもよい。そのようなコンベヤ残量検出部10は、コンベヤ駆動装置からの信号を受信すればよいだけであるから、電気回路として実現することも可能であるし、また、制御部16において実行されるプログラムの一部として実現することも可能である。
【0062】
駆動量の積算値が、どの程度かを検出することで、アスファルト合材の残量を検出することが可能である。コンベヤ11に載積されるアスファルト合材の量には限りがあるため、コンベヤ11がどの程度駆動したかを認識すれば、アスファルト合材の残量が分かる。
【0063】
そして、制御部16は、コンベヤ残量検出部10によって、コンベヤ駆動装置の駆動量の積算値が所定の値に達したとき、ホッパ駆動部9を上昇させるなどして制御して、アスファルト合材をコンベヤ11に載積させる。それにより、コンベヤ11に再び、アスファルト合材が積載されることとなる。この動作を、積算量の所定の値毎に制御部16が繰り返すことで、コンベヤ残量検出部10として、カメラ等の別途の構成を追加しなくても、ホッパ2の自動制御が可能となる。なお、積算量の所定の値は、一つの固定的な値に限定されるものではなく、繰り返しの回数などに応じた複数の値であってもよい。なぜなら、後半の繰り返し動作時には、ホッパ2におけるアスファルト合材の残量が減っている可能性があるので、駆動量の積算値を小さな値として、制御部16がホッパ2を早めに動かした方が良い場合があるからである。
【0064】
このような繰り返し動作の後、所定の条件に達したら、ホッパ駆動部9は、コンベヤ駆動装置の駆動量の積算値をリセットする。所定の条件としては、たとえば、ホッパ2の駆動毎であってもよし、ホッパ2内のアスファルト合材の残量が無くなくなったことでもよい。
【0065】
たとえば、ホッパ2内のアスファルト合材の残量が無くなくなった場合を所定の条件とした場合、ホッパ残量検出部13による自動検出で、制御部16は、コンベヤ駆動装置の駆動量の積算値をリセットする。
【0066】
もしくは、操作者が、ホッパ2の残量を確認する場合、手動で、ホッパ2は、上限まで上昇された後、下限まで下降されて、所定の時間が経過していることとなる。制御部は、このホッパ2の上限から下限までの移動及び下限での所定の時間の経過を条件として、コンベヤ駆動装置の駆動量の積算値をリセットする。
【0067】
このように、本発明には、コンベヤ残量検出部10として、カメラ等の装置を追加せずに実現される構成も含まれる。カメラ等の追加がなければ、コストアップを出来る限り抑えつつ、ホッパ2の自動制御が可能となる。
【0068】
以上、本発明を詳細に説明してきたが、前述の説明はあらゆる点において本発明の例示にすぎず、その範囲を限定しようとするものではない。本発明の範囲を逸脱することなく種々の改良や変形を行うことができることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明は、道路舗装機械及びそれに用いられるホッパ制御装置であり、産業上利用可能である。
【符号の説明】
【0070】
1 道路舗装機械
2 ホッパ
3 前輪
4 後輪
5 スクリュー
6 スクリード
7 運転席
8 スクリードステップ
9 ホッパ駆動部
10 コンベヤ残量検出部
11 コンベヤ
12 ホッパ制御部
13 ホッパ残量検出部
14 ホッパ角度検出部
15 操作部
16 制御部