IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社レーベン販売の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-10
(45)【発行日】2023-01-18
(54)【発明の名称】保護具付き装着品及び保護具
(51)【国際特許分類】
   A63B 71/12 20060101AFI20230111BHJP
   A01G 9/02 20180101ALI20230111BHJP
   A01K 13/00 20060101ALI20230111BHJP
   A41D 13/05 20060101ALI20230111BHJP
   A41D 13/06 20060101ALI20230111BHJP
   A63B 71/10 20060101ALI20230111BHJP
   A63B 71/14 20060101ALI20230111BHJP
   A41D 13/015 20060101ALN20230111BHJP
【FI】
A63B71/12
A01G9/02 101W
A01K13/00 Z
A41D13/05 112
A41D13/06
A41D13/06 105
A63B71/10
A63B71/14
A41D13/015
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020091251
(22)【出願日】2020-05-26
(65)【公開番号】P2021185990
(43)【公開日】2021-12-13
【審査請求日】2020-06-10
【審判番号】
【審判請求日】2021-07-27
【権利譲渡・実施許諾】特許権者において、権利譲渡・実施許諾の用意がある。
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】302045602
【氏名又は名称】株式会社レーベン
(74)【代理人】
【識別番号】110000198
【氏名又は名称】弁理士法人湘洋特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高部 篤
【合議体】
【審判長】井上 茂夫
【審判官】當間 庸裕
【審判官】稲葉 大紀
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2009/0083891(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2004/0133958(US,A1)
【文献】米国特許第9144253(US,B1)
【文献】特開2004-267708(JP,A)
【文献】登録実用新案第3065568(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41D13/00-13/12,20/00
A63B71/00-71/16
A41D19/00-19/04
A42B3/00-7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象である人に装着される装着部と、
前記装着部に取り付けられる保護具と、を含む保護具付き装着品であって、
前記保護具は、ループ状の弾性を有する線材を複数含み、前記線材の弾性変形により対象への衝撃を緩和でき、
前記保護具の複数の前記線材は、所定の間隔で配列して線材群を構成し、
前記線材群において、各前記線材は、両端部が並ぶように1つの前記装着部に取り付けられ、前記両端部の間で折り返されて先端が形成され、隣接の前記線材同士の間には、前記端部から前記先端に亘って遮られていない隙間が形成されている
ことを特徴とする保護具付き装着品。
【請求項2】
請求項1に記載の保護具付き装着品であって、
前記線材は、略U字形状、またはC字形状である
ことを特徴とする保護具付き装着品。
【請求項3】
請求項1に記載の保護具付き装着品であって
記線材群は、大小異なるループを有する複数の前記線材を、ループ面を上から見た場合、大ループの前記線材内に小ループの前記線材が位置するように配列してなる
ことを特徴とする保護具付き装着品。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載の保護具付き装着品であって、
対象である人に装着される装着部は、膝サポータ、肘サポータ、肩サポータ、ベスト、ヘルメット、靴または手袋である
ことを特徴とする保護具付き装着品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保護具付き装着品及び保護具に関する。
【背景技術】
【0002】
膝や肘などを保護する装着品としてサポータなどがある。例えば、関節の周囲に装着され、関節の曲がりの外側、内側の一方又は両方に、関節の曲げを容易化する孔部を有し、関節の側面の一方又は両方に、転倒時の衝撃を緩和する保護部材を有する膝、肘用サポータが提案されている(特許文献1の請求項1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平11-192333号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載の膝、肘用サポータは、運動性を阻害しない点では優れているが、孔部により露出している部分が保護されないため、保護機能が十分とは言えない。
【0005】
本発明は、上記課題の少なくとも一つを解決するためのもので、対象をより適切に保護する保護具付き装着品及び保護具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した少なくとも1つの課題を解決するために、本発明の一方面に係る保護具付き装着品は、対象である人または動物に装着される装着部と、前記装着部に取り付けられる保護具と、を含む保護具付き装着品であって、前記保護具は、ループ状の弾性を有する線材を含み、対象への衝撃を緩和できる。
【0007】
上述した少なくとも1つの課題を解決するために、本発明の一方面に係る保護具付き装着品は、対象である植物の根を収容する収容部と、前記収容部に取り付けられる保護具と、を含む保護具付き装着品であって、前記保護具は、ループ状の弾性を有する線材を含み、対象への衝撃を緩和できる。
【0008】
また、前記保護具は、複数の前記線材を含んでもよい。
【0009】
また、前記線材は、略U字形状、C字形状または略コイル形状であってもよい。
【0010】
また、前記線材は、断面が円形であってもよい。
【0011】
また、前記線材は、前記装着部または前記収容部に回動可能に取り付けられてもよい。
【0012】
また、前記保護具は、複数の前記線材を配列してなる線材群を含んでもよい。
【0013】
また、前記保護具は、複数の前記線材を表側に凸の窪み状に配列してなる線材群を含んでもよい。
【0014】
また、前記保護具は、その少なくとも一部を覆う当て部材を含んでもよい。
【0015】
また、対象である人または動物に装着される装着部は、膝サポータ、肘サポータ、肩サポータ、ベスト、ヘルメット、靴または手袋であってもよい。
【0016】
また、対象である植物を収容する収容部は、開閉可能に構成されてもよい。
【0017】
上述した少なくとも1つの課題を解決するために、本発明の一方面に係る保護具は、ループ状の弾性を有する線材を含み、対象を支持できる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、対象をより適切に保護する保護具付き装着品及び保護具を提供することができる。
【0019】
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の一実施形態に係る保護具付き装着品を示す図である。
図2図1の一部拡大図で保護具を説明するための図である。
図3】保護具を説明するための模式図である。
図4】保護具を説明するための模式図である。
図5】本発明の一実施形態に係る保護具付き装着品を示す図である。
図6】本発明の一実施形態に係る保護具付き装着品を示す図である。
図7】保護具付き装着品の使用状態の例を示す図である。
図8】本発明の一実施形態に係る保護具付き装着品を示す図である。
図9】本発明の一実施形態に係る保護具付き装着品を示す図である。
図10】本発明の一実施形態に係る保護具付き装着品を示す図である。
図11】本発明の一実施形態に係る保護具付き装着品を示す図である。
図12】本発明の一実施形態に係る保護具付き装着品を示す図である。
図13】本発明の一実施形態に係る保護具付き装着品を示す図である。
図14】本発明の一実施形態に係る保護具付き装着品を示す図である。
図15図14の一部拡大図で連結具を説明するための図ある。
図16】連結具の他の例を説明するための図である。
図17】保護具の他の例を説明するための図である。
図18】本発明の一実施形態に係る保護具付き装着品を示す図である。
図19図18の一部拡大図で保護具を説明するための図である。
図20図18の一部拡大図で保護具を説明するための図である。
図21図18の一部拡大図で保護具を説明するための図である。
図22図18の一部拡大図で保護具を説明するための図である。
図23】本発明の一実施形態に係る保護具付き装着品を示す図である。
図24】本発明の一実施形態に係る保護具を示す図である。
図25】本発明の一実施形態に係る保護具付き装着品を示す図である。
図26】本発明の一実施形態に係る保護具の線材取付構造を示す図で、(a)は線材取付後、(b)は線材取付け前を示す図である。
図27図26の線材取付構造の他の例を示す図である。
図28】本発明の一実施形態に係る保護具の線材取付構造を示す図で、(a)は線材取付後、(b)は線材取付け前を示す図である。
図29図28の線材取付構造の他の例を示す図である。
図30】本発明の一実施形態に係る保護具の線材取付構造を示す図である。
図31】本発明の一実施形態に係る保護具の線材取付構造を示す図で、(a)は線材取付け前の受け部、(b)は線材取付け後の線材止め部を示す図である。
図32】本発明の一実施形態に係る保護具の線材取付構造を示す図である。
図33】本発明の一実施形態に係る線材取付構造を示す図で、(a)は斜視図、(b)はA-A線断面の例である。
図34図31の保護具の線材取付構造の他の例を示す図である。
図35】本発明の一実施形態に係る保護具の線材取付構造を示す図である。
図36】本発明の一実施形態に係る保護具の線材取付構造を示す図である。
図37】本発明の一実施形態に係る保護具の線材取付構造を示す図である。
図38】本発明の一実施形態に係る保護具の線材を示す図である。
図39】本発明の一実施形態に係る保護具の線材を示す図である。
図40】本発明の一実施形態に係る保護具の線材を示す図である。
図41】本発明の一実施形態に係る保護具の線材を示す図である。
図42】本発明の一実施形態に係る線材止め部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に本発明の実施形態の例を図面を用いて説明する。なお、下記実施形態において共通する構成要素については、前出の符号と同様な符号を付し説明を省略することがある。また、構成要素等の形状、位置関係等に言及する場合は、特に明示した場合及び原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。
【0022】
<保護具付き装着品(保護具付き膝サポータ)>
図1は本発明の一実施形態に係る保護具付き装着品を示す図である。図2図1の一部拡大図で保護具を説明するための図である。図3及び図4は保護具を説明するための模式図である。図示の保護具付き装着品10は、人や動物を対象とし、保護しようとする対象部位に装着される装着部2と、装着部2に取り付けられる保護具3と、を含む。保護具3は、装着部に着脱可能に取り付けられてもよい。なお、以下では、対象部位に近い側を裏側とし、その反対側を表側とする。
【0023】
保護具付き装着品10は、一例として膝に装着して膝を保護する保護具付き膝サポータ11である。図示しないが、保護具付き装着品10は、保護具及び装着部の一方又は双方を、一部又は全部覆う網や布を基材とするカバー等を有してもよい(後述各実施形態において同じ)。
【0024】
装着部2は布や編物、ゴム材を基材とするサポータや包帯などである。装着部2は筒状で少なくとも一部が伸縮性を有し、伸縮性を利用して膝に装着される。または、シート状でバンドや面ファスナーが設けられ、これらを用いて膝に装着される。
【0025】
保護具3は、基部31と、両端部が基部31に固定される線材4とを含む。基部31は一例として図示のように装着部2の上下端間の略中央に取り付けられるが、特に限定されず、保護具3の大きさや対象部位等に応じて適宜な位置に取り付けられる。線材4は基部31を介して装着部2に取り付けられる。基部への線材の止め方(取付方法)の例は後述する。後述の例で示しているように、線材は、基部に着脱可能に取り付けられてもよい。また、図42を用いて後述するように、線材4は基部を介してまたは直接に装着部に回動可能に取り付けられてもよい。なお、公知技術が適宜用いられてもよい。
【0026】
線材4は、弾性を有し、好適には断面が円形の金属線材、例えばステンレス鋼やピアノ線、真鍮線、貴金属線、貴金属メッキ線などのワイヤからなる。ただし、これに限らず、断面4角形、6角形等の断面多角形の線材が用いられてもよい。線材の太さ(多角形では対面幅)は、例えば、下限は0.2mm、好ましくは0.3mm、より好ましくは0.5mmである。上限は8.0mm、好ましくは4.0mm、より好ましくは3.2mmである。
【0027】
線材4は、前述線材の表面がナイロン、シリコン、テフロン等で被覆される、またはメッキ等が施されることで被覆層を有するものでもよい。線材4は、さらには、ナイロンなどのプラスチック樹脂(カーボンファイバー、ケブラー(登録商標)などを含有するものを含む)などの材料で形作られてもよい。また、両端部分で太く、中央部に向かって太さを徐々に細くされたものでもよい。なお、以下の説明で「ワイヤ」や「線材」として言及したとしても、ワイヤに限定する意味ではなく、任意の公知の好適な弾性線材であり得る。
【0028】
線材4は、複数含まれる場合、線材同士の太さが同じでもよいし、一部または全部においてそれぞれ異なってもよい。また、線材4の弾性力は、線材同士が同じでもよいし、一部または全部においてそれぞれ異なってもよい。
【0029】
線材4は、ループ形状を有する。一例として、線材4は閉じていないループ形状、例えば略U字形状、C字形状を有する。ループ形状は、1本の線材が曲げられて、例えば、一端部から出発して略中央で折り返されて他端が一端と並ぶ位置に戻るように形成されてもよいし、樹脂などの材料で形作られてもよい。線材4は、略中央の折り返し部分(先端401)と、両端部の一部であって基部31から延出する部分(基端403)と、両者の間に延在する部分(肢402)とを含む。
【0030】
このように、弾性線材を使用しループ状にすることで、外部からの衝撃力を弾性エネルギーに変化させて衝撃を緩和し、線材が撓むことはあっても折れないため安全である。さらに、衝撃を受ける部分がループ状であるので、引っ掛かりにくく、刺さることもないため、安全である。
【0031】
図2に示すように、本実施形態では、線材4は、基端403が基部31から略垂直に延出した後、所定角度で裏側方向に下方に屈曲して第1屈曲部404を形成し、肢402に移行する。第1屈曲部404の角度は、90度以上であり、上限が例えば160度で、より好ましくは130度で、下限が95度で、より好ましくは105度である。これにより、線材4の先端401及び肢402は、装着部2と90度以下の角度を有し、隙間をおいて装着部2ないし対象部位を覆うようになる。線材4は、第1屈曲部404を有することで、先端及肢部分が付勢され、装着部2方向に押されると元に戻ろうとする復元力が生じる。
【0032】
保護具3は、本実施形態では複数の線材4を有し、より具体的には、大小異なるループを有する複数の線材4を配列してなる線材群40を含む。線材群40は、一例として、3本の線材から構成され、最大線材(第1線材)41、第2大線材(第2線材)42及び最小線材(第3線材)43が表方向に凸の窪み状に配列される。すなわち、線材群40は、ループ面を上から見た場合、最大線材41のループ内に第2大線材42が位置し、第2線材42のループ内に最小線材43が位置するように配列され、横から見た場合、最大線材41が装着部2に最も近い裏側にあり、その表側に隙間を置いて第2大線材42が重なり、さらにその表側に隙間を置いて最小線材43が重なる形状である。横から見た場合、線材群40は、段違い状であるとも言える。このような線材群40は、第1屈曲部404の屈曲角度を異ならせることで構成されてもよいし、基端403の固定位置を異ならせることで構成されてもよい。
【0033】
線材群40は、一例として、面状に配列されてもよい。すなわち、線材群40は、ループ面を上から見た場合、最大線材41のループ内に第2大線材42が位置し、第2線材42のループ内に最小線材43が位置するように配列され、横から見た場合、3本の線材の基端以外の部分が同位置にある形状である。
【0034】
図3に示すように、線材群40が表方向に凸の窪み状に配列される場合、塊状の物Oが線材群に当ると、まず、最も表側に位置する最小線材43が負荷を受け、撓む。次に、その裏側の第2大線材42が負荷を受け、撓む。次に、最も裏側の最大線材41が負荷を受ける。図示のa、b、c、d、eのように、負荷を受ける線材が順次増える、または入れ替わる。その際に、先端401は、物Oを保持し、負荷を支える支え部となる。
【0035】
図4では、物Oが線材群に当たってから離れるまでの流れの一例を説明する。
【0036】
(1)物Oが線材群に接近しているものの、まだ当たってない状態では、物Oと最も近接している表側に最小線材43が、物Oと最も離れている裏側に最大線材41が、その間に第2大線材42があり、互いに線材の線径(厚み)以上の隙間を有する。好ましくは、各線材は、横からみて表側にやや凸状である略円弧状である。
【0037】
(2)物Oが線材群に接近し、線材群に当たり始めた状態では、まず、物Oは最小線材43の肢に当る。そうすると、最小線材43が裏側に撓み、隣接の第2大線材42に接近する。
【0038】
(3)物Oの全負荷が線材群にかかった状態では、最小線材43が更に裏側に撓んで最小線材43が第2大線材42のループの内部に入り込む。そうすると、第2大線材42も物Oと当接して負荷を受けて、第2大線材42が裏側に撓み、隣接の最大線材41に接近する。
【0039】
(4)最小線材43及び第2大線材42が更に裏側に撓んで最大線材41のループの内部に入り込む。そうすると、最大線材41も物Oと当接して負荷を受ける。
【0040】
一方、物Oは、線材の反力を受けながら、肢に沿って前方に滑り移動する。そうすると、最小線材43の先端が物Oを支える。
【0041】
(5)物Oが最小線材43の先端を乗り越えると、第2大線材42の先端が物Oを支え、最小線材43は負荷から解放され、元の状態に戻る。
【0042】
(6)物Oが第2大線材42の先端を乗り越えると、最大線材41の先端が物Oを支え、第2大線材42は負荷から解放される。
【0043】
(7)物Oが最大線材41の先端を乗り越えると、最大線材41が負荷から解放され、物Oは線材群から離れる。
【0044】
このように、保護具付き装着品10は、線材群が物Oに当接し、撓みながら物Oの負荷を支えるので、対象部位を衝撃から守り、より適切に保護できる。
【0045】
<保護具付き装着品(保護具付き肘サポータ)>
図5は本発明の一実施形態に係る保護具付き装着品を示す図である。図示の保護具付き装着品10は、一例として肘に装着して肘を保護する保護具付き肘サポータ12である。なお、以下の説明においては、前述と同様な構成については、同様な符号を付し、適宜説明を省略する(以下各実施形態において同じ)。
【0046】
保護具付き肘サポータ12は、対象部位に装着される装着部2aと、装着部2aに取り付けられる保護具3aと、を含む。装着部2aは前述の膝サポータの装着部と同様である。保護具3aの基部31aは、装着部2の下端近辺に取り付けられているが、前述例と同様に、上下端の間の略中央に取り付けられてもよい。
【0047】
線材群40aにおける各線材(41a、42a、43a)は、基端403が基部31aから略垂直に延出した後、所定角度で裏側方向に上方に屈曲して第1屈曲部404を形成し、肢402に移行する。第1屈曲部404の角度は、90度以上であり、上限が例えば 160度で、より好ましくは130度で、下限が95度で、より好ましくは110度である。これにより、線材4の先端401及び肢402は、装着部2aと90度以下の角度をなし、隙間を置いて装着部2aないし対象部位を覆うようになる。線材4は、第1屈曲部404を有することで、先端及肢部分が付勢され、装着部2a方向に押されると元に戻ろうとする復元力が生じる。線材群40aは、表方向に凸の窪み状に配列され、前述線材群と同様な機能を有する。
【0048】
<保護具付き装着品(保護具付き肩サポータ)>
図6は本発明の一実施形態に係る保護具付き装着品を示す図である。図示の保護具付き装着品10は、一例として肩に装着して肩を保護する保護具付き肩サポータ13である。保護具付き肩サポータ13は、対象部位に装着される装着部2bと、装着部2bに取り付けられる保護具3bと、を含む。
【0049】
装着部2bは布や編物、ゴム材を基材とするサポータや包帯などである。装着部2bは、首回り及び肩を覆う本体21bと、2つのバンド22bとを含む。バンド22bは、一端が本体21bの前側下端近辺に着脱可能に接続され、他端が後側下端近辺に着脱可能に接続されて、本体21bが肩にフィットし、位置ずれしないようにする。バンド22bの本体21bへの接続には、ボタンや面ファスナー、バックル等が用いられる。
【0050】
保護具3bは、装着部2bの肩部分に取り付けられる。肩サポータ13は、1つの保護具3bを含んでもよいが、好ましくは、図示のように、両肩部分にそれぞれ取り付けられる2つの保護具3bを含む。
【0051】
一例として、保護具3bは大小異なるループを有する線材41b、線材42b及び線材43bからなる線材群40bを有する。各線材は、基端が基部表面に沿って延出し、肢がその略中央で斜め下方に屈曲して第2屈曲部405が形成され、略へ字形状をなす。第2屈曲部405の角度は、上限が例えば160度で、より好ましくは130度で、下限が95度で、より好ましくは105度である。これにより、線材4は対象部位である肩の形に沿って、隙間をおいて装着部2bないし肩を覆うようになる。線材4は、第2屈曲部405を有することで、先端及び肢の前側が付勢され、装着部2b方向に押されると元に戻ろうとする復元力が生じる。また、線材群40bは、前述線材群と同様に表方向に凸の窪み状に配列され、同様な機能を有する。
【0052】
保護具付きサポータ13は、前述保護付き装着品と同様に、線材群が物Oに当接し、撓みながら物Oの負荷を支えるので、対象部位を衝撃から守り、より適切に保護する。
【0053】
<保護具付き装着品の使用状態の例>
図7は保護具付き装着品の使用状態の例を示す図である。図示のように、保護具付き膝サポータ11は、装着部2の下端が膝の略中央に位置するように装着され、保護具3が膝を隙間を置いて覆って保護する。保護具付き膝サポータ11は、図示のように上方寄り、または下方寄り(図示せず)に装着できるため、膝関節の動きを阻害しない。なお、保護具付き膝サポータ11を図示とは上下を逆に装着したり、通常のサポータのように装着部の中央が膝の中央に位置するように装着したりすることができることは言うまでもない。
【0054】
保護具付き肘サポータ12は、図示のように、装着部の上端が肘の略中央に位置するように装着され、保護具3aが肘を隙間を置いて覆って保護する。なお、保護具付き肘サポータ12は、図示とは上下を逆にして、線材が斜め下方に延伸するように装着してもよい。保護具付き肘サポータ12は、図示のように下方寄り、または上方寄り(図示せず)に装着できるため、肘関節の動きを阻害しない。なお、保護具付き肘サポータ12を図示とは上下を逆に装着したり、通常のサポータのように装着部の中央が肘の中央に位置するように装着したりすることができることは言うまでもない。
【0055】
保護具付き膝サポータ11または保護具付き肘サポータ12は、一例として、装着部2に上下に対向して2つの保護具3が取り付けられてもよい。また、一例として、装着部2に孔が設けられ、保護具3がその孔部分を表側から覆うように取り付けられてもよい。
【0056】
保護具付き肩サポータ13は、図示のように、首回り及び両肩を覆うように装着され、両保護具3bがそれぞれ両肩を隙間を置いて覆って保護する。保護具3bが肩の形に沿って覆い、さらに肩との間に隙間を有するため、肩の動きを阻害することはない。
【0057】
<保護具付き装着品(保護具付きベスト)
図8は本発明の一実施形態に係る保護具付き装着品を示す図である。図示の保護具付き装着品10は、一例として上半身に装着して胸、腰等を保護する保護具付きベスト14である。保護具付きベスト14は、少なくとも、対象部位に装着される装着部2cと、装着部2cに取り付けられる保護具3cと、を含む。好ましくは、図示のように、保護具付きベスト14は、更に装着部2cの両肩部にそれぞれ取り付けられる2つの保護具3bを含む。
【0058】
装着部2cは布や編物、ゴム材等を基材とするベストなどである。装着部2cは、本体21cと、両前身頃部分を接続する接続部23c(例えばファスナー等)とを含む。
【0059】
保護具付きベスト14は、一例として、図示のように、4つの保護具3cを含む。保護具3cは、基部が装着部の背中部分(後身頃)に固定され、大小異なるループを有する複数の線材からなる線材群40cを含む。線材群40cの各線材は、U字状ないしC字状の線材が更に曲げられて、肢に2つの屈曲部を有し、先端と基端が向かい合う略U字形状に形成される。より具体的には、各線材は、基端が後方の背中部分にあり、肢402が後方から側方を囲うように屈曲して第3屈曲部406が形成され、さらに側方から前方を囲うように屈曲して第4屈曲部407が形成され、先端が前方の胸または腰に到達する。線材4は、第4屈曲部407を有することで、先端及び一部の肢の前方部分が付勢され、装着部2c方向に押されると、元に戻ろうとする復元力が生じる。また、線材群40cは、前述線材群と同様に表方向に凸の窪み状に配列され、前述線材群と同様な機能を有する。
【0060】
保護具付きベスト14は、前述保護付き装着品と同様に、線材群が物Oに当接し、撓みながら物Oの負荷を支えるので、対象部位を衝撃から守り、より適切に保護する。また、保護対象部位として、肩以外に、肋骨(肋骨の内側の内臓、例えば心臓や肺、肝臓など)、腹部(小腸や大腸など)など重要な部分を守ることができる。
【0061】
<保護具付き装着品(保護具付きヘルメット)
図9及び図10は本発明の一実施形態に係る保護具付き装着品を示す図である。図示の保護具付き装着品10は、一例として頭部に装着して頭部を保護する保護具付きヘルメット15である。保護具付きヘルメット15は、対象部位に装着される装着部2dと、装着部2dに取り付けられる、保護具3d、保護具3e、保護具3f、保護具3gのうちのいずれか1つの保護具または2以上の保護具を含む。
【0062】
装着部2dは樹脂(例えば、ABS樹脂やポリエチレン、ポリカーボネート、繊維強化樹脂など)を基材とするヘルメットである。装着部2dは、本体21dと、本体から前方に延出するつば24dとを含む。
【0063】
保護具3dは、装着部2dの前頭部に取り付けられる。より具体的には、保護具3dは、前額から頭頂部にかけて設けられ、基部31dと線材群40dとを含む。基部31dは、本体21dの一部でもよいし、別体に形成され、本体21dに取り付けられてもよい。線材群40dは基部を介してまたは直接に装着部2dの本体に回動可能に取り付けられてもよい。
【0064】
線材群40dの各線材は、肢に第2屈曲部405が形成される。各線材は、肢から先端にかけて後方上部に延伸して前頭部から頭頂部を覆って保護する。各線材は、前述線材と同様に屈曲部を有することで、復元力を有する。また、線材群40dは、前述線材群と同様に表方向に凸の窪み状に配列され、前述線材群と同様な機能を有する。
【0065】
保護具3eは、装着部2dの後頭部に取り付けられる。より具体的には、保護具3eは、後頭部から頭頂部にかけて設けられ、基部と線材群40eとを含む。基部は、基部31dと同様である。線材群40eの各線材は、肢に第2屈曲部405が形成される。各線材は、肢から先端にかけて前方上部に延伸して後頭部から頭頂部を覆って保護する。各線材は、前述線材と同様に屈曲部を有することで、復元力を有する。また、線材群40eは、前述線材群と同様に表方向に凸の窪み状に配列され、前述線材群と同様な機能を有する。
【0066】
保護具3fは、装着部2dの側方から頭頂部方向に延伸するように設けられ、基部31fと線材群40fとを含む。基部は、基部31dと同様である。線材群40fの各線材は、基端が基部に沿って延出し、肢及び先端が上方に延伸して側頭部を覆って保護する。線材群40fは、前述線材群と同様に表方向に凸の窪み状に配列され、前述線材群と同様な機能を有する。
【0067】
保護具3gは、装着部2dの前方に設けられ、基部31gと線材4gとを含む。基部31gは、前述基部と同様である。線材4gは、基端403が基部に沿って延出し、先端401が略コイル形状に形成される。一例として、ここでは、コイル形状の巻数は略1.5である。線材4gはコイル形状を有することで、装着部2d方向に押されると元に戻ろうとする復元力が生じる。
【0068】
図10に示すように、保護具付きヘルメット15は、保護具3d、保護具3e、保護具3f、保護具3gを有するため、図示の矢印方向から加わる衝撃を緩和でき、対象部位をより適切に保護できる。
【0069】
<保護具付き装着品(保護具付き靴)>
図11及び図12は本発明の一実施形態に係る保護具付き装着品を示す図である。図示の保護具付き装着品10は、一例として足に装着して足を保護する保護具付き靴16である。保護具付き靴16は、対象部位に装着される装着部2hと、装着部2hに取り付けられる保護具3h、保護具3i及び保護具3jのうちのいずれか1つの保護具または2以上保護具とを含む。保護具付き靴16は、例えば、工場や工事現場で装着される靴、自転車やバイクなどに乗る際に装着される靴、トレッキングなどのスポーツをする際に装着される靴などに適用できる。保護具付き靴16は、スケート靴、ローラースケート靴に適用されてもよい。
【0070】
装着部2hは、ゴムや皮革、布、織物、樹脂などを基材とする靴である。一例として、図示のように、装着部2hは、足首よりも下の足の部分に装着される足部21hと、足首以上の下腿の一部に装着される下腿部25hとを含む。
【0071】
保護具3hは、基部31hと線材群40hとを含む。基部31hは、略三角形の板状で、足の甲の上方から足首の上方にかけて底辺が上方に向くように装着部2hに取り付けられる。線材群40hの各線材は、基端403が基部31hの底辺部分から延出し、上方に延伸する。各線材は、前述の基端と肢との間に形成される第1屈曲部及び肢に形成される第2屈曲部の一方又は双方を有してもよい。線材群40hは、前述線材群と同様に表方向に凸の窪み状に配列され、前述線材群と同様な機能を有する。
【0072】
保護具3iは、基部31iと線材群40iとを含む。基部31iは、少なくとも装着部に面する側が曲面である板状で、装着部2hのつま先部分に取り付けられる。線材群40iは、ここでは、2本の線材を含むが、3本以上の線材を含んでもよい。線材群40iの各線材は、基端が基部31iから略垂直に延出した後、裏方向に屈曲して第1屈曲部404が形成される。また、線材群40iは、前述線材群と同様に表方向に凸の窪み状に配列され、前述線材群と同様な機能を有する。
【0073】
保護具3jは、基部31jと線材群40jとを含む。基部31jは、少なくとも装着部に面する側が曲面である板状で、装着部2hの外側サイド部分に取り付けられる。線材群40jの各線材は、基端が基部31jから略垂直に延出した後、裏方向に屈曲して第1屈曲部404が形成される。また、線材群40jは、前述線材群と同様に表方向に凸の窪み状に配列され、前述線材群と同様な機能を有する。
【0074】
保護具3kは、基部31kと線材群40kとを含む。基部31kは、少なくとも装着部に面する側が曲面である板状であり、装着部2hの内側サイド部分に取り付けられる。線材群40kの各線材は、基端が基部31kから略垂直に延出し、枝に第2屈曲部405が形成される。線材群40kは、前述線材と同様に表方向に凸の窪み状に配列され、前述線材群と同様な機能を有する。
【0075】
図12に示すように、保護具付き靴16は、保護具3h、保護具3i、保護具3j、保護具3kを有するため、図示の矢印方向から加わる衝撃を緩和でき、対象部位をより適切に保護できる。なお、保護具付き靴16は、内側サイドの保護具3kが外側サイドの保護具3jと同様でもよく、逆に外側サイド保護具3jが内側サイドの保護具3kと同様でもよい。
【0076】
<保護具付き装着品(保護具付き靴)>
図13本発明の一実施形態に係る保護具付き装着品を示す図である。図示の保護具付き装着品10は、一例として足に装着して足を保護する保護具付き靴17である。保護具付き靴17は、対象部位に装着される装着部2lと、装着部2lに取り付けられる2つの保護具3llとを含む。装着部2lは、ゴムや皮革、布、織物、樹脂などを基材とする靴である。
【0077】
保護具3lは、装着部2lの靴底に取り付けられる基部と線材群40lとを含む。線材群40lの各線材は、基端が基部31jから略垂直に延出した後、裏方向に屈曲して装着部に接近し第1屈曲部404が形成される。線材群40lは、前述線材と同様に表方向に凸の窪み状に配列され、前述線材群と同様な機能を有する。
【0078】
保護具3lは、図13(a)に示すように、通常は両保護具3lに平均的に体重がかかり、両保護具で地面から足が受ける衝撃を緩和できる。図13(b)に示すように、例えば、指先で地面を蹴る状態では、前方に体重がかかるが、この場合は前方の保護具3lが衝撃を緩和できる。図13(c)に示すように、例えば、踵で前に踏み出した状態では、踵に体重がかかるが、この場合は後方の保護具3lが衝撃を緩和できる。
【0079】
保護具付き靴17は、保護具3lを備えることで、衝撃を緩和できるだけでなく、保護具21の弾発力により走行時などに跳躍力や前進力などを得ることが出来る。
【0080】
<変形例>
図14本発明の一実施形態に係る保護具付き装着品を示す図である。図15図14の一部拡大図で、連結具を説明するための図である。図示のように、保護具付き靴17は、保護具3lが連結具51を有し、線材群40lが2本の線材から構成される。
【0081】
連結具51は、一例として、図示のように、ブロック状の部材で、プラスチック樹脂、ゴムなどで形成される。連結具51は、一方の線材41lが挿通する孔が大きく形成されて一方の線材41lが孔内で移動でき、他方の線材42lが挿通する孔がその線材の外周の大きさと概ね同じか若干大きい内周を有する。保護具3lは、連結具51を有することで、線材群における線材の動きを連動させることができる。また、各線材の先端同士を所定距離に保たせ、先端を補強できるとともに、先端と地面とのグリップ力を向上できる。
【0082】
なお、連結具は、ここでは、線材群の前方側だけに備えた例を図示しているが、後方側にも備えてもよい。また、線材群が2本の線材を有する例を図示しているが、3本以上の線材を有してもよい。
【0083】
図16は、図15の連結具の他の例を示す図である。図16(a)に示すように、保護具3lにおける連結具は、一例として、2つの連結具51が2本の線材をそれぞれ跨るものでもよい。連結具51は、例えば、長尺の板状で、長手方向に前後並ぶ2つの孔であって板面を貫通する貫通孔を有する。一方の貫通孔が、一方の線材41lがちょうど挿通するようにその外周と概ね同じか若干大きい内周を有し、他方の貫通孔(遊び孔)が、他方の線材42lが貫通孔内で移動できるようにその外周より大きい内周を有する。他方の貫通孔は、例えば、図示のように連結具51の長手方向に長い孔である。
【0084】
なお、線材群40lが3本以上の線材から構成される場合、一例として、連結具5lには3つ以上の貫通孔が形成され、各線材に応じて孔の大きさを設定される。または、一例として、2以上の連結具51を有し、線材が2本ずつ連結されてもよい。
【0085】
図16(b)に示すように、保護具3lの線材群における一又は二以上の線材は、2本の線材を繋ぎ具511で繋いだものでもよい。例えば、2本の略L字状の線材41lの先端同士を一のパイプ状の繋ぎ具511で繋いで1本のループ状の線材を形成し、2本の略L字状の線材42lの先端同士を他のパイプ状の繋ぎ具511で繋いで1本のループ状の線材を形成し、これらをさらに連結具51で連結して保護具3lを構成してもよい。
【0086】
図17は、本発明の一実施形態に係る保護具の線材の一例を示す図である。保護具は、線材4の先端401近辺に補強部を設けて強度が補強されてもよい。補強部は、ループ状の線材で構成されてもよいし、直線状の線材で構成されてもよい。
【0087】
図17(a)に示すように、一例として、補強部52は、先端401より突出するように設けられる。例えば、図示のように、補強部52は、ループ状の弾性線材で構成され、リング状の爪のように形成されて、一部が先端401から爪状にはみ出している。補強部52は、例えば、点溶接で先端401に固着され、複数の溶接部521が形成される。なお、補強部の線材への固定方法は特に限定されず、既知の技術が適宜用いられる。図17(b)に示すように、一例として、補強部52は先端より後方に設けられてもよい。図17(c)に示すように、線材に限らず、補強部52は、帯状の金属またはプラスチック樹脂製の部材で構成されてもよい。補強部52は、例えば、このような帯状の部材で、線材4を橋状に渡るように形成される。補強部52の両端部は、例えば、線材4に巻き付けられて固定される。
【0088】
<保護具付き装着品(保護具付き手袋)(指サポータ)>
図18は本発明の一実施形態に係る保護具付き装着品を示す図である。図19図22はそれぞれ図18の一部拡大図で保護具を説明するための図である。図示の保護具付き装着品10は、一例として手に装着される保護具付き手袋18である。保護具付き手袋18は、自動車やバイクに乗る際に装着される手袋、スポーツ用の手袋等に適用できる。
【0089】
保護具付き手袋18は、対象部位に装着される装着部2mと、装着部2mに取り付けられる、保護具3m、保護具3n、保護具3o及び保護具3pのうちのいずれか1つの保護具または2以上の保護具とを含む。装着部2mは、ゴムや皮革、布、織物、樹脂などを基材とする手袋である。
【0090】
保護具3mは、装着部2mの手の甲の部分に取り付けられる。図19に示すように、保護具3mは、線材4mと、当て部材53とを含む。線材41mは1本の閉ループの線材である。線材41mは、折り曲げられて、大小異なる2つのループを形成し、ループ面を上方から見た場合、大ループ421m内に小ループ422mが位置している。好ましくは、大ループ421mと小ループ422mとの間の連結部423mが表方向に傾斜し、両ループが90度以下の角度をなしている。連結部423m及び小ループ422mの両方が傾斜して大ループ421mとの間で角度をなしてもよい。これにより、小ループ422mが付勢され、装着部方向に押されると元に戻ろうとする復元力が生じる。
【0091】
当て部材53は、線材4mの一部を覆うように当てられる部材で、例えば、ゴムや皮革、布、織物、樹脂で形成される。当て部材53は縫付けや接着などの手法で大ループ421mの一部を覆うように装着部に固定される。一例として、線材4mは図示のように2つの当て部材53を介して装着部に取り付けられる。
【0092】
保護具3nは、装着部の親指の根本部分に取り付けられ、図20に示すように、基部31nと線材群40nとを有する。基部31nは、例えば金属板である。線材群40nの各線材は、溶着や接着、スポット溶接などで基部31nに固定される。当て部材53は、基部31nを覆うように装着部に当てられ、固定される。
【0093】
線材群40nの各線材は、基端403が基部31nの表面に沿って延出した後、表方向に屈曲して第1屈曲部404が形成され、肢402において更に裏方向に屈曲して第2屈曲部405が形成される。本実施形態では、第1屈曲部404及び第2屈曲部405は、90度以上の角度を有し、これにより、各線材は横から見て略Z形状の部分を有する。これにより、各線材の先端及び肢部分が付勢され、装着部方向に押されると元に戻ろうとする復元力が生じる。また、線材群40nは、前述線材と同様に表方向に凸の窪み状に配列され、前述線材群と同様な機能を有する。
【0094】
保護具3oは、装着部の親指以外の指部に取り付けられ、図21に示すように、基部31oと線材4oとを有する。基部31oは、例えば金属板である。線材4oは、溶着や接着、スポット溶接などで基部31oに固定される。当て部材53は、基部31oを覆うように装着部に当てられ、固定される。
【0095】
線材4oは、基端403が基部31oの表面に沿って延出した後、大きく屈曲し、肢402に移行する。肢402は表側に斜めに延伸し、先端401がコイル状に形成される。一例として、ここでは、コイル形状の巻数は略1.5である。線材4oは略コイル形状を有することで、押されると元に戻ろうとする復元力が生じる。
【0096】
保護具3pは、装着部の指部の根本部分、例えば人差し指、中指及び薬指の根本部分に取り付けられる。図22に示すように、保護具3pは、基部31pと線材群40pとを有する。基部31pは、例えば金属板である。線材群40pは、溶着や接着、スポット溶接などで基部31pに固定される。当て部材53は、基部31pを覆うように装着部に当てられ、固定される。
【0097】
線材群40pの各線材は、基端403が基部31pの表面に沿って延出した後、表方向に屈曲して肢402に移行し、第1屈曲部404が形成され、肢402が更に裏方向に屈曲して第2屈曲部405が形成される。第1屈曲部404及び第2屈曲部405は、90度以上の角度を有し、これにより、各線材は略Z形状の部分を有する。これにより、各線材の先端及び肢部分が付勢され、装着部方向に押されると元に戻ろうとする復元力が生じる。また、線材群40pは、第1線材41p、第2線材42p及び第3線材43pが互いに所定の隙間をおいて横一列に並ぶように横並び状に配列され、人差し指、中指及び薬指の根本部分を覆うように基部31pに固定される。
【0098】
<保護具付き装着品(保護具付き鉢)>
図23は本発明の一実施形態に係る保護具付き装着品を示す図である。図示の保護具付き装着品60は、植物を対象とし、植物の根を収容する収容部8qと、収容部8qに取り付けられる保護具3qとを含む。保護具付き装着品60は、本実施形態では、植物(植木や草、花など)を収容し保護する保護具付き植木鉢61である。収容部8qは、陶磁器、プラスチック樹脂、金属、ガラス、石、木などを基材とする鉢である。
【0099】
保護具3qは、基部31qと2以上の線材群40qとを含む。基部31qは、収容部8qの一部でもよいし、別体に形成されて収容部8qに取り付けられてもよい。一例として、収容部8qの上端に線材と同数の孔が設けられ、これらの孔に線材群の各線材が取り付けられる。ここでは、保護具3qは、3つの線材群40qを有し、三方から対象物Oを囲って保護する。なお、線材群の数は適宜設定でき、2つでもよいし、4つ以上でもよい(以下各実施形態において同じ)。
【0100】
線材群40qの各線材は、基部31qに沿って延出し、表方向に屈曲して第1屈曲部404が形成され、さらに肢402において裏方向に屈曲して第2屈曲部405が形成される。これにより、各線材の先端及び肢部分が付勢され、押されると元に戻ろうとする復元力が生じる。また、線材群40qは、前述線材と同様に表方向に凸の窪み状に配列され、前述線材群と同様な機能を有する。
【0101】
このように構成することで、保護具付き鉢61は、転倒しても植物を痛めることはない。また、物にぶつかったり、強風が吹いたりしても、風上側ループ部で風切り風圧を弱める、風下側で植物を支えることで、その衝撃を緩和できる。
【0102】
<保護具>
図24は本発明の一実施形態に係る保護具を示す図である。保護具3rは、植木鉢に取り付けられてもよいし、直接地中に差し込まれてもよい。保護具3rは、鉢の内周又は外周に嵌め込んで取り付けてもよいし、ねじなどで取り付けてもよい。
【0103】
保護具3rは、基部31r及び2つの線材群40rを含む。基部31rは、リング状に形成される。基部31rは、図示のように線材で形成されてもよいし、板を曲げて形成されてもよい。基部31rには、下端から略垂直に延出する2以上のアンカー311rが設けられる。
【0104】
線材群40rは、一例として、3本の線材(41r、42r及び43r)から構成され、基部31rにそのリング形状を囲うように取り付けられる。線材群41rは、前述の線材群と同様に表方向に凸の窪み状に配列され、同様な機能を有する。保護具3rは、各線材を基部31rに後から差し込めるように構成されてもよい。
【0105】
<保護具付き装着品(保護具付き包装具)>
図25は本発明の一実施形態に係る保護具付き装着品を示す図である。図示の保護具付き装着品60は、例えば、植物の配送や贈呈の際に、植物を収容し保護(支持)するための保護具付き包装具62である。保護具付き包装具62は、収容部8sと、収容部8sに取り付けられる保護具3sとを含む。
【0106】
図25(a)及び図25(b)に示すように、一例として、保護具3sは、収容部8sの一部で兼ねる基部と、基部に取り付けられる3つの線材群40sとを含む。線材群40sは前述線材群40qと同様である。
【0107】
収容部8sは、対象植物の根部分を囲う複数の囲い部81sと囲い部81sと可動に接続される底部82sとを含む。囲い部81sの数は線材群40sと同数であり、線材群40sの各線材は囲い部81sの上端に固定される。囲い部81sは横断面視略円弧状の板状に形成され、上端から下端に向かって幅が漸次狭くなる。囲い部81sの下端には、上下方向に延在する棒状部811sが突設される。棒状部811sは、縦断面視円弧状で下端が底部82sと可動に係合する。例えば、棒状部811sと底部82sとは、一方に軸又は突起が設けられ、他方に貫通孔または有底孔が設けられることで、可動に係合する。
【0108】
収容部8sは、全体として、円錐状に形成され、開閉可能である。図25(a)に示すように、開状態では、各囲い部81sが外側に開いて、囲い部同士の間の隙間が広がっている。この状態で、対象の植物の根部分を囲い部81sまで挿入し、囲い部81sを閉じる。そうすると、図25(b)に示すように、閉状態となり、植物Oの根部分が囲い部81sに挟まれ、固定される。なお、植物Oの根部分には、植物Oに栄養分を供給するための吸水スポンジなどが取り付けられる。囲い部81の内周は、植物Oの根部分(スポンジなどを含む)の外周に応じて設定され、植物Oの根部分よりやや小さく設定される。
【0109】
保護具3sは、このように構成することで、配送や移動中対象を保護し、かつ包装が過剰にならないようにする。また、保護具3sは、繰り返し使用することにより、コストを低減できる。また、線材に色付けしたりすれば、意匠性も向上する。
【0110】
図25(c)に示すように、他の一例として、保護具付き包装具62は、収容部8sと、収容部8sに取り付けられる保護具3sとを含む。収容部8sは、一例として図示のように有底の筒状に構成されるが、図25(a)及び図25(b)に示す収容部8sと同様に囲い部81sと底部82sとを有して開閉可能に構成されてもよい。
【0111】
保護具3sは、基部31sと、基部31sに取り付けられる3つの線材群40sと、ヒンジ部32sとを含む。保護具3sは、基部31sがヒンジ部32s介して収容部8sに回動可能に取り付けられ、線材群40sが植物を表側で覆う所定角度の閉じ状態からそれ以上内側に移動しないようになっている。これにより、線材群40sが過度に対象に接近しないようにし、対象である植物を保護する。
【0112】
また、ヒンジ部32sを介在させることで、線材群40sは、収容部8sに回動可能に取り付けられ、先端側が外側に大きく開くことができる。これにより、対象が大きく、線材群が大きい場合でも、配送や贈呈の際に一時的に台等に置くとき、開いた状態の線材群が収容部8sを倒れないように支えることができる。また、線材群を開いた状態にすることで、視覚的に植物を引き立てることができ、意匠性が向上する。
【0113】
さらに、ヒンジ部32sに複数の角度ないし任意の角度で止めることができるヒンジ部材、例えばトルクヒンジなどを用いれば、線材群40sを収容部8sに回動可能に取り付けることができ、さらに収容部8sに対して所定角度で保持できる。
【0114】
例えば、線材群40sを収容部の周面に対して90度以上で160度以下の角度をなす半開き状態に保持でき、植物の広がり、垂れ下がりなどを支えたり、矯正したりすることができる。なお、収容部の形状にもよるが、図示の収容部8sの場合、線材群40sが略直立の状態で収容部の周面に対して略180度をなし、略水平となる全開きの状態で収容部の周面に対して略90度をなす。
【0115】
なお、ヒンジ部32sは、線材群が段階的に回動しその状態を保持できる構成であればよく、必ずしもヒンジ(蝶番)が用いられなくてもよい。
また、例えば、線材群40sの先端同士がぶつかり合いそれ以上線材群40s同士が狭くならない構造としても良い。
【0116】
<線材止め部(線材固定(取付)構造)>
基本的にワイヤは、曲げなどの力が加わったときに、支えている部分(特に支えている部材の末端部付近)に応力が掛かり弾性疲労が発生することで、破損、破断することが多い。そのことから、支えている部分に弾性疲労が発生しない構造とすることが必要である。このような構造として、以下が考えられる。
1.支え部が徐々に屈曲する構造(例えば、軟らかい素材、ゴム材やプラスチック樹脂材などで支え部を構成する、ワイヤ自体を徐々に太くした支え部など)
2.ワイヤ支え部先端付近が、曲面に形成されワイヤに対し応力が一点に集中せず広い面で受ける構造(例えば支え部のワイヤに当たる内側部分の先端を曲面とする、柔軟性のある受け材を内側部に設けるなど)
3.支え、接合部分に曲げの発生を抑える構造
4.部材の傷や溶着による部材の劣化を防ぐ構造
以下では、これらが考慮されているが、個別に説明することは省略する。
【0117】
図26は本発明の一実施形態に係る線材止め部を示す図で、図26(a)は線材取付後、図26(b)は線材取付け前を示す図である。
【0118】
線材止め部7は、受け部71と、止め具72とを含む。受け部71は、前述の基部、装着部、収容部などである。ここでは、受け部71は、板状のものを図示しているが、これに限定されず、適宜な形状であり得る。本実施形態では、線材4は、受け部71から略垂直に延出(突出)するように固定される。
【0119】
止め具72は、一例として、挟み板721及び挟み板722の2つの挟み板と、両挟み板を締結する締結部723とを含む。挟み板721及び挟み板722は、線材4の端部410を収容する収容部7211、7221を含む。収容部7211、7221は、例えば略半円形状など線材4の断面形状に応じた断面形状を有するは略半筒状である。収容部7211、7221の両側のサイド部7212、7222には、締結部723が設置される。締結部723は、例えば、ねじやボルト、ナット等の締結具である。なお、締結部723は、点溶接等でもよい。
【0120】
挟み板722は、受け部71と接続するための接続部7223を有する。接続部7223は、収容部7221の一端から延出した後、収容側である内側と反対側の外側に屈曲して略L字状に形成される。接続部7223の幅は収容部7221より狭く、両者の間には、略L字状の切欠きが形成される。接続部7223の受け部71への接続は、特に限定されず、公知の技術が適宜用いられる。
【0121】
図27図26の線材止め部の他の例を示す図である。保護具は、線材4の捩じれを防止するため、端部410を屈曲させて屈曲部411を設けることがある。この場合は、図示のように、挟み板721には収容部7211の一端から延出する延出部7213が設けられる。延出部7213は幅が収容部7211より狭く、両者の間には略L字状の切欠きが形成される。線材4の屈曲部411は、挟み板721の収容部7211と延出部7213とで形成されるL字状の切欠きと、挟み板722の収容部7221と接続部7223とで形成されるL字状の切欠きとに挟まれ、固定される。なお、線材の捩じれ防止は、端部410の一部を潰して略円形の断面形状を略楕円形や平坦面を有する形状とし、収容部7211、7221をこれに応じた断面形状とすることで実現してもよい。また、接続部付近の表面にブラスト仕上げや、ヘアライン仕上げなどの滑り止めをすることで、捩じれ防止を施しても良い。さらに、接着剤による接着を施しても良い。
【0122】
図28は本発明の一実施形態に係る線材止め部を示す図で、図28(a)は線材取付け後、図28(b)は線材取付け前を示す図である。
【0123】
線材止め部7は、受け部71と、止め具73とを含む。受け部71は、孔部711を有する点が前述例と異なる。孔部711は、貫通孔が中央を貫通し、孔の周りの周壁部が断面視略テーパ状である。本実施形態では、線材4は、受け部71から略垂直に延出(突出)するように設けられる。
【0124】
止め具73は、一例として、孔部711を挿通するボルト部材731と、ボルト部材731の雄ねじ部と螺合するナット732と、ボルト部材731とナット732との間の座金733とを有する。
【0125】
ボルト部材731は、頭部に六角孔を有する。また、ボルト部材731の頭部の軸部に隣接する部分は断面視略テーパ状で、ボルト部材731が孔部711に挿入されると、このテーパ状の部分が孔部711の周壁部に当接する。ボルト部材731の軸部は外周面に雄ねじが設けられ、軸部の先端は縮径して細くなる形状である。また、ボルト部材731は軸部または頭部及び軸部の両方の中央を軸方向に貫通する貫通孔を有し、この貫通孔の内周面に雌ねじが設けられる。線材4は端部410の外周面に雄ねじが設けられ、端部410の雄ねじとボルト部材731の内周面の雌ねじが螺合することで、線材4が受け部71に固定される。
【0126】
図29図28の線材止め部の他の例を示す図である。線材4は、雄ねじを設ける部分を太く形成したもので、金属だけでなく、例えば、ナイロンや炭素繊維強化樹脂で成形し、端部410の雄ねじを設ける部分を太く成形して補強してもよい。
【0127】
図30は本発明の一実施形態に係る線材止め部を示す図である。線材止め部7は受け部71と、止め部74とを含む。本実施形態では、線材4は、受け部71から略垂直に延出(突出)するように設けられる。受け部71は、孔部711を有し、この孔部711に線材4の端部410を接合したもので、例えば、カシメや、蝋付けなど溶着や接着材で接合し止め部74を形成して固定する。以下、接合を同じように施しても良い。
【0128】
図31は本発明の一実施形態に係る線材止め部を示す図で、(a)は線材取付け前の受け部、(b)は線材取付け後の線材止め部を示す図である。
【0129】
図31(a)に示すように、受け部71は、表面から凹む溝部712を有し、溝部712の少なくとも一部の上方には屋根のように押え部713が設けられる。受け部71は、押え部713とその下方の溝部712によってその表面に空洞がトンネルのように形成される。線材4は、端部410がこの空洞に挿通されて固定される。線材4の端部410を空洞に挿通させることで、線材4は受け部71の表面に沿って延出(突出)するとともに、押え部713により押さえられ、固定される。
【0130】
図31(b)に示すように、線材4を端部410よりも中央部側を、端部410以外の部分が受け部71から直立するように折り曲げて略直角の屈曲部412を形成すれば、線材4は、受け部71から略垂直に延出(突出)するようになる。
【0131】
図42は本発明の一実施形態に係る線材止め部を示す図である。ここでは、線材4は、受け部(基部、装着部または収容部)に回動可能に取り付けられる。
【0132】
図示のように、前述と同様に、受け部71には押え部713と溝部712とで空洞が形成され、線材4の端部410がこの空洞に挿通される。線材4は、端部410よりも中央部側を、受け部71の表面に沿うように折り曲げて略直角の屈曲部413を形成し、さらに、屈曲部413よりも中央部側を、受け部71から直立するように折り曲げて略垂直の屈曲部414を形成して、受け部71から略垂直に延出(突出)するようになっている。
【0133】
図42(a)に示す状態では、線材4は、端部410が押え部713と溝部712とで形成される空洞に挿通され、この空洞内で左右方向に回動可能になっている。端部410は空洞から抜き出せないようになっている。受け部71には、線材4の左右にそれぞれ第1ストッパ718及び第2ストッパ719が設けられている。
【0134】
図42(b)に示すように、線材4は、左方向に回動すると、屈曲部413が受け部71の表面ないし溝部712の上端角部に当たり、それ以上回動できない状態となる。このとき、第1ストッパ718で線材4をロックし、線材4をその位置に止めることができる。
【0135】
図42(c)に示すように、線材4を右回転させると、線材4は、第1ストッパ718から外れ、右方向に回動し、屈曲部414が受け部71の表面に当たり、それ以上回動できない状態となるとともに、第2ストッパ719が線材4をロックする。この状態で、線材4が前述の機能を果たす。
【0136】
図示しないが、例えば、ラッチを用いて線材4の回動の段階的な位置設定を行っても良い。これにより、線材による保護機能を必要としないときには収納状態とするなど保護機能の付与と解除を容易に切替できる。
【0137】
また、ここでは、受け部71に軸受け状にトンネル状の空洞部を設けたが、ヒンジや軸受けなどの回転機構を用いても良い。
さらに、軸のストッパを軸受け周辺や内部に設けても良い。
【0138】
図32は本発明の一実施形態に係る線材止め部を示す図である。線材止め部はインサート成形により形成できる。図32(a)、図32(b)、図32(c)はそれぞれ一例を示す図である。線材止め部7は、線材4が直接受け部71にインサート成形されて設けられる。
【0139】
線材4は、端部410が折り曲げられた状態でインサート成形されて受け部71内で面状に延在し、ループ部分が受け部71に対して所定角度で突出して固定される。図示では、ループ部分が受け部71に対して略垂直に突出しているが、これに限定されず、保護具ないし保護具付き装着品(保護具付き容器)の全体構成に合わせて角度を設けて受け部71から突出するように形成できる。端部410は、図32(a)に示すように略S字状折り曲げられてもよいし、L字形状や直線状などに折り曲げられてもよい。また、端部410と受け部71の接合部分に補助部714が設けられてよい。
【0140】
図32(b)に示すように、一例として、インサート成形により、1本の線材で2つのループ部分を形成できる。例えば、1本の線材を略U字状に折り曲げた後、さらに略U字状またはC字状等の形状に折り曲げて、両端部を一方で間隔を置いて固定し、中央部を他方で固定することで、その間に2つのループ部分を形成できる。
【0141】
図32(c)に示すように、金具75に端部410を取り付けてから、金具75とともに端部をインサート成形により受け部71内に固定してもよい。
【0142】
図33は本発明の一実施形態に係る線材止め部を示す図で、図33(a)は斜視図、図33(b)はA―A線断面の例である。
【0143】
図33(a)に示すように、一例として、線材4は受け部71と一体成型されて形成される。線材4は、一例として、両端部がループ部分よりも線径(断面)が拡径(拡大)して形成される。ループ部分が先端では線径(断面)が細く(小さく)、好ましくは、基端に向かって徐々に太く(大きく)なったほうがよい。全体として、ループ部分の先端から線径(断面)を徐々に拡径(拡大)して形成されてもよい。
【0144】
図示のように、複数の線材を含む場合、隣接の線材同士を、両端部が上下、左右のいずれの方向でも隙間を有して、層をなすように形成することで、表方向に凸の窪み状の線材群を構成できる。受け部71には、好ましくは、装着部などに取り付けるための貫通孔715が設けられる。
【0145】
図33(b)に示すように、線材4の断面は、一例として円形である。または、楕円形に形成して、横方向の動きを制限できるようにし、斜めに傾きにくくしてもよい。または、対向する平面を有し、横幅が縦幅より大きい多角形に形成して、横方向の動きを制限できるようにし、斜めに傾きにくくしてもよい。
【0146】
図34は、図33の線材止め部の他の例を示す図である。一例として、線材4は、補強部415を線材4本体と一体に形成されてもよい。例えば、図示のように、補強部415は、線材のループ部分から分岐し且つ両端がループ部分と交わるように形成される。
【0147】
図35は本発明の一実施形態に係る線材止め部を示す図である。一例として、受け部71は円柱状で、軸方向に両端の端面中央を貫通する軸孔716を有する。線材4の両端部410は、受け部71の両端面にそれぞれ固定される。
【0148】
受け部71に3本のループが大小異なる線材を固定する例を説明する。受け部71は、両端面のそれぞれに周方向に沿って所定間隔で配置される3つの孔部711が設けられる。孔部711は外周縁と軸孔716の内周縁の間に開口し、軸方向に入り込んでいる。線材4は、ループの大きさの順に、両端部410が孔部に挿入され、固定される。そうすると、図示のように表方向に凸の窪み状の線材群が構成される。
【0149】
図36は本発明の一実施形態に係る線材止め部を示す図である。図36に示すように、一例として、受け部71は板状である。ループが大小異なる複数の線材4は、受け部71に、ループの大きさの順に固定され、隣接の線材同士の両端部がいずれの方向でも隙間を有するように固定される。そうすると、表方向に凸の窪み状の線材群が構成される。
【0150】
図37に示すように、一例として、複数の線材4は、板状の受け部71に横一列に並んで横並び状に固定される。
【0151】
<線材の形状>
図38は本発明の一実施形態に係る保護具の線材を示す図である。ここでは、例として、1本の線材を図示し、説明する。(a)~(d)はそれぞれ上が平面図、下が正面図である。
【0152】
図38(a)に示すように、一例として、線材4のループは平面視半楕円形状ないしU字形状で、正面視直線状である。図38(b)に示すように、一例として、線材4のループは平面視C字形状、正面視肢が直線状で、先端付近が円弧状である。図38(c)に示すように、一例として、線材4のループは前半がC字形状、後半が八の字状に開脚する形状で、正面視曲線状である。図38(d)に示すように、一例として、線材4のループは平面視左右非対称の形状で、正面視凹みがある曲線状である。
【0153】
図39は本発明の一実施形態に係る保護具の線材を示す図である。ここでは、例として、複数本の線材を含む線材群の例を図示し、説明する。
【0154】
図39(a)に示すように、一例として、線材群40は、平面図において、C字形状ないしU字形状の線材を、大ループの線材の内部に隙間を置いて小ループの線材を順に包含する形状である。線材群40は、正面図で示されているように、大ループの線材の上(表側)に隙間を置いて小ループの線材が順に重なる形状で、全体として上方(表側)に凸の窪み状で、先端が傾斜している。好ましくは、図示のように、線材の先端401をつなぐ仮想線が曲線である。
【0155】
図39(b)に示すように、一例として、線材群40は、平面視において、前半がC字形状、後半が直線状の線材4を、大ループの線材の内部に隙間を置いて小ループの線材を順に包含する形状である。線材群40は、その斜視図で示されているように、大ループの線材の上(表側)に隙間を置いて小ループの線材が順に重なる形状で、前半が凸の窪み状になっている。好ましくは、図示のように、線材の先端401をつなぐ仮想線が曲線である。
【0156】
図39(c)に示すように、一例として、線材群40は、平面視において、先端が後方に凹む形状で、大ループの線材ほど先端が後方に位置する形状である。また、正面図で示されているように、線材群40は、大ループの線材の上(表側)に隙間を置いて小ループの線材が順に重なる形状で、先端から肢枝にかけて下方に湾曲している。好ましくは、小ループの線材の先端01が更に後方に湾曲して隣接のそれより大きいループの線材の内部に少なくとも一部が入り込んでいる。
【0157】
図39(d)に示すように、一例として、線材群40は、平面視において、先端が後方に凹む形状で、大ループの線材ほど先端が後方に位置する形状である。また、正面図で示されているように、線材群40は、大ループの線材の上(表側)に隙間を置いて小ループの線材が順に重なる形状で、先端から肢枝にかけて一旦一端上方に湾曲した後に下方に湾曲している。また、小ループの線材ほど下方に湾曲する部分が短く、前方への突出度合いが大きく、大ループの線材ほど下方に湾曲する部分が長く、前方への突出度合いが小さい。好ましくは、小ループの線材の先端401が更に後方に湾曲して隣接のそれより大きいループの線材の内部に少なくとも一部が入り込んでいる。
また、上記の線材の形状は、それぞれが相互に協調する範囲での組み合わせが可能である。
【0158】
図40は本発明の一実施形態に係る保護具の線材を示す図である。
【0159】
図40(a)に示すように、一例として、線材4は、一端410から出発して中央部分で折り返してC字形状のループを形成し、他端410’が一端410と並ぶ位置に戻る形状である。
【0160】
図40(b)に示すように、一例として、線材4は、一端410から出発して閉ループを形成し、他端410’が交差するようにして一端410と並ぶ位置に戻る形状である。
【0161】
図40(c)に示すように、一例として、線材4は、一端410から出発して(表方向に)上昇しながら螺旋状の多重ループを形成し、他端410’がループの内部を通って一端410と並ぶ位置に戻る形状である。
【0162】
図40(d)に示すように、一例として、線材4は、一端410から出発して(表方向に)上昇しながら螺旋状の多重ループを形成した後、形成された多重ループを囲うように(裏方向に)下降しながら多重ループを形成し、他端410’が一端410と並ぶ位置に戻る形状である。
【0163】
図41は本発明の一実施形態に係る保護具の線材を示す図である。ここでは、例として、複数本の線材を含む線材群の例を図示し、説明する。
【0164】
図示のように、一例として、複数の図41(a)に示す形状の線材が、大ループの内部に小ループを重ねるようにして、線材群40が形成される。線材の両端部は、一例として、図41(a)に示すように、複数の一端410同士が所定間隔を有してそれぞれ固定され、複数の他端410’同士が所定間隔を有してそれぞれ固定される。また、一例として、図41(b)に示すように、複数の一端410同士が溶着や接着、治具による固定等でまとめて固定され、複数の他端410’同士が溶着や接着、治具による固定等でまとめて固定される。
【0165】
なお、上記の記載に基づいて、当業者であれば、本発明の追加の効果や種々の変形を想到できるかもしれないが、本発明の態様は、上述した実施形態の例に限定されるものではない。特許請求の範囲に規定された内容及びその均等物から導き出される本発明の概念的な思想と趣旨を逸脱しない範囲で種々の追加、変更及び部分的削除が可能である。
【符号の説明】
【0166】
10、60 保護具付き装着品
2 装着部
3 保護具
31 基部
4、41、42、43 線材
40 線材群
53 当て部材
8 収容部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
図36
図37
図38
図39
図40
図41
図42