(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-10
(45)【発行日】2023-01-18
(54)【発明の名称】マクロピノサイトーシスによるヒト抗CD46抗体及び標的とされた癌治療薬
(51)【国際特許分類】
C12N 15/13 20060101AFI20230111BHJP
C07K 16/28 20060101ALI20230111BHJP
C07K 16/30 20060101ALI20230111BHJP
C12N 15/63 20060101ALN20230111BHJP
【FI】
C12N15/13
C07K16/28 ZNA
C07K16/30
C12N15/63 Z
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020113065
(22)【出願日】2020-06-30
(62)【分割の表示】P 2017513709の分割
【原出願日】2015-09-10
【審査請求日】2020-07-22
(32)【優先日】2014-09-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506115514
【氏名又は名称】ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ カリフォルニア
【氏名又は名称原語表記】The Regents of the University of California
(74)【代理人】
【識別番号】100082072
【氏名又は名称】清原 義博
(72)【発明者】
【氏名】リュー,ビン
(72)【発明者】
【氏名】スー,ヤン
(72)【発明者】
【氏名】ビドリングマイヤー,スコット
(72)【発明者】
【氏名】ベーレンス,クリストファー アール.
(72)【発明者】
【氏名】リー,ナムギョン
【審査官】林 康子
(56)【参考文献】
【文献】特許第6730260(JP,B2)
【文献】国際公開第2009/039192(WO,A2)
【文献】欧州特許出願公開第01184458(EP,A1)
【文献】特表2005-511525(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/13
C07K 1/00~19/00
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
PubMed
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
分離されたヒト抗体を含む免疫結合体であって、ここで、
前記分離されたヒト抗体は、YS5(配列番号1及び22により表わされる)のVH CDR1、VH CDR2、VH CDR3、VL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含み、
モノメチルオーリスタチンEエフェクターが、MC-vc-PABリンカーを介して前記分離されたヒト抗体に結合されていることを特徴とする、免疫結合体。
【請求項2】
2つのエフェクターが前記分離されたヒト抗体に結合体化されていることを特徴とする、
請求項1に記載の免疫結合体。
【請求項3】
4つのエフェクターが前記分離されたヒト抗体に結合体化されていることを特徴とする、
請求項1に記載の免疫結合体。
【請求項4】
前記分離されたヒト抗体がIgG1を含む、
請求項1~3のいずれか1つに記載の免疫結合体。
【請求項5】
前記分離されたヒト抗体は、YS5抗体の可変軽(VL)鎖とYS5抗体の可変重(VH)鎖を含むことを特徴とする、
請求項1~4のいずれか1つに記載の免疫結合体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
<関連出願への相互参照>
本出願は、2014年9月12日出願のUSSN62/049,973の利益と優先権を請求するものであり、これは全ての目的のための全体において参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
<連邦政府によって委託された研究及び開発の下で作られた発明に対する権利に関する声明>
この研究は、国立衛生研究所からの認可番号R01 CA118919、R01 CA129491、及びR01 CA171315により部分的に支援されていた。政府は本発明に一定の権利を有している。
【背景技術】
【0003】
利用可能性の容易さにより、腫瘍細胞表面抗原は、治療の発展に貴重な標的である。細胞表面にあるエピトープ空間は非常に複雑である。関連する抗原は、遺伝子のコピー数又はmRNA発現レベルの研究から容易に予測されないかもしれない、糖化タンパク質及び他の翻訳後に修飾された生成物を含み得る(Liu et al. (2004) Cancer Res. 64: 704-710; Kobata and Amano (2005) Immunol. Cell Biol. 83: 429-439; Birkle et al. (2003) Biochimie (Paris) 85: 455-463; Hakomori (2001) Adv. Exp. Med. Biol. 491: 369-402; Hanisch, F. G. (2001) O-Glycosylation of the mucin type. Biol. Chem. 382, 143-1 49; Ugorski and Laskowska (2002) Acta Biochim. Pol. 49: 303-311)。
【0004】
腫瘍細胞表面エピトープの同定は、抗体の産生が、腫瘍細胞への特異的な結合、即ち、抗体依存性細胞毒性の誘導(例えば、Clynes et al. (2000) Nat. Med. 6: 443-446を参照)、又は、腫瘍細胞の移動、増殖、及び生存に関係するシグナル伝達経路の阻害(例えば、McWhirter et al. (2006) Proc. Natl. Acad. Sci., USA, 103: 1041-1 046; Fuh et al. (2006) J. Biol. Chem. 281: 6625- 6631を参照)などの用途において利用され得る能力を達成するのを可能にする。加えて、内在化する腫瘍エピトープを標的とする抗体は、細胞毒素、細胞分裂阻害剤、化学療法薬、及び/又は他の腫瘍修飾薬の効果的且つ特異的な細胞内輸送を達成するために利用され得る(例えば、Liu et al. (2004) Cancer Res. 64: 704-710; Nielsen et al. (2002) Biochim. Biophys. Acta 1591: 109-118; Pirollo et al. (2006) Hum. Gene Ther. 17: 117-124; Song et al. (2005) Nat. Biotechnol. 23:709-717; Liu et al. (2002) J. Mol. Biol. 315: 1063-1073を参照)。
【0005】
ファージ抗体の表示が、癌特異抗体を開発するために広く使用されてきた(例えば、Liu et al. (2004) Cancer Res. 64: 704-710; Liu and Marks (2000) Anal. Biochem. 286: 119-128; 15. Marks et al. (1992) Biotechnology (N. Y.) 10: 779-783; Marks et al. (1991) J. Mol. Biol. 222: 581-597; Marks et al. (1992) J. Biol. Chem. 267: 16007-16010; Sharon et al. (2005) J. Cell. Biochem. 96: 305-313; Silacci et al. (2005) Proteomics 5: 2340 -2350; Gao et al. (2003) J. Immunol. Methods 274: 185-197; Lekkerkerker and Logtenberg (1999) J. Immunol. Meth., 231: 53-63; de Kruif et al. (1995) Proc. Natl. Acad. Sci., USA, 92: 3938-3942; Pini et al. (1998) J. Biol. Chem. 273: 21 769-21 776を参照)。組み合わせのファージ抗体ライブラリは、癌細胞の表面上の腫瘍性の変異を調べるために使用され得る、ランダム形状のレパートリーの源として機能する(例えば、Liu et al. (2004) Cancer Res. 64: 704-710; Geuijen et al. (2005) Eur. J. Cancer 41: 178-187; Poul et al. (2000) J. Mol. Biol. 301: 1149-1161; Cai and Garen (1995) Proc. Natl. Acad. Sci., USA, 92: 6537-6541を参照)。癌細胞株上に直接、ファージ抗体ライブラリを選択することにより、標的抗原の予備的知識無しに、腫瘍標的抗体の確認が可能となる(例えば、Liu et al. (2004) Cancer Res. 64: 704-710; Gao et al. (2003) J. Immunol. Methods 274: 185-197; Geuijen et al. (2005) Eur. J. Cancer 41: 178-187; Poul et al. (2000) J. Mol. Biol. 301: 1149-1161を参照)。
【0006】
多数の抗体がこの方法により見出されたが、細胞株に対するスクリーニングプロセスは、これら抗体が患者集団における実際の癌細胞に対してどのくらい特異的であるかに関する、理想的な写真を提供しない。同様に、抗体がインビボで内在化するかどうかの兆候も、必ずしも提供しない。
【発明の概要】
【0007】
様々な実施形態において、内在化していると共に、マクロピノサイトーシス経路を介して腫瘍細胞に入る、ヒト抗CD46抗体が提供され、同様に、CD46-過剰発現腫瘍の診断上及び/又は治療上の標的化のためにこれら抗体から開発された、抗体-薬物の複合体(ADC)も提供される。
【0008】
本明細書で考慮される様々な実施形態は、限定されないが、以下の1以上を含み得る:
【0009】
実施形態1:CD46に特異的に結合すると共に、CD46を発現又は過剰発現する細胞へと内在化される、単離されたヒト化抗体であって、ここで、該抗体は、CD46を発現又は過剰発現する細胞に特異的に結合する抗体であり、この抗体は、YS5、YS5F、YS5vlD、SB1HGNY、YS12、3G7RY、YS6、YS1、YS3、YS4、YS8、YS7、YS9、YS10、YS11、3G7HY、3G7NY、3G7、SB2、2C8、及び/又はUA8kappaから成る群から選択された1以上の抗体により結合されたエピトープに特異的に結合し;前記抗体は、マクロピノサイトーシスを介して前記細胞に内在化される。
【0010】
実施形態2:実施形態1の抗体であって、該抗体は、CD46のドメイン1及び/又はドメイン2に結合する。
【0011】
実施形態3:実施形態1又は2の抗体であって、該抗体は、CD46のドメイン3及び/又はドメイン4に結合しない。
【0012】
実施形態4:実施形態1-3の何れか1つに記載の抗体であって、CD46を発現又は過剰発現する前記細胞は癌細胞である。
【0013】
実施形態5:実施形態1-4の何れか1つに記載の抗体であって、CD46を発現又は過剰発現する前記細胞は前立腺癌細胞である。
【0014】
実施形態6:実施形態5の抗体であって、該抗体は、DU145細胞、PC3細胞、及びLnCaP細胞から成る群から選択された細胞株の細胞に結合する。
【0015】
実施形態7:実施形態1-6の何れか1つに記載の抗体であって、該抗体は、FACSにより生きている前立腺腫瘍細胞上で測定された時に、少なくとも約5-10nMの親和性(KD)を持つ前立腺腫瘍細胞に結合する。
【0016】
実施形態8:実施形態7に記載の抗体であって、該抗体は、FACSにより生きている前立腺腫瘍細胞上で測定された時に、少なくとも約3nMの親和性(KD)を持つ前立腺腫瘍細胞に結合する。
【0017】
実施形態9:実施形態1-8の何れか1つに記載の抗体であって、該抗体は実質的に無傷の免疫グロブリンである。
【0018】
実施形態10:実施形態9の抗体であって、該抗体はIgA、IgE、又はIgGを含む。
【0019】
実施形態11:実施形態9の抗体であって、該抗体はIgG1を含む。
【0020】
実施形態12:実施形態1-8の何れか1つに記載の抗体であって、該抗体は、CD46を発現又は過剰発現する細胞に特異的に結合する抗体フラグメントである。
【0021】
実施形態13:実施形態12の抗体であって、該抗体は、Fv、Fab、(Fab’)2、(Fab’)3、IgGΔCH2、及びミニボディ(minibody)から選択された抗体フラグメントである。
【0022】
実施形態14:実施形態1-8の何れか1つに記載の抗体であって、該抗体は単鎖抗体である。
【0023】
実施形態15:実施形態14の抗体であって、該抗体のVL領域は、約3から約15までのアミノ酸の長さの範囲に及ぶアミノ酸リンカーにより、前記抗体のVH領域に結合される。
【0024】
実施形態16:実施形態14の抗体であって、該抗体のVL領域は、GGGGS GGGGS GGGGS(SEQ ID NO:67)、GGGGS GGGGS(SEQ ID NO:68)、GGGGS(SEQ ID NO:69)、GS GGGGS GGGGS GGS GGGGS(SEQ ID NO:70)、SGGGGS(SEQ ID NO:71)、GGGS(SEQ ID NO:72)、VPGV(SEQ ID NO:73)、VPGVG(SEQ ID NO:74)、GVPGVG(SEQ ID NO:75)、GVG VP GVG(SEQ ID NO:76)、VP GVG VP GVG(SEQ ID NO:77)、GGSSRSS(SEQ ID NO:78)、及びGGSSRSSSSGGGGSGGGG(SEQ ID NO:79)から成る群から選択されるアミノ酸リンカーにより前記抗体のVH領域に結合される。
【0025】
実施形態17:実施形態1-16の何れか1つに記載の抗体であって、該抗体は、CD46にて結合するためにYS5と競合する。
【0026】
実施形態18:実施形態1-16の何れか1つに記載の抗体であって、該抗体は、CD46にて結合するためにYS5Fと競合する。
【0027】
実施形態19:実施形態1-16の何れか1つに記載の抗体であって、該抗体は、CD46にて結合するためにYS5v1Dと競合する。
【0028】
実施形態20:実施形態1-16の何れか1つに記載の抗体であって、該抗体は、CD46にて結合するためにSB1HGNYと競合する。
【0029】
実施形態21:実施形態1-16の何れか1つに記載の抗体であって、該抗体は、CD46にて結合するためにYS12と競合する。
【0030】
実施形態22:実施形態1-16の何れか1つに記載の抗体であって、該抗体は、CD46にて結合するために3G7RYと競合する。
【0031】
実施形態23:実施形態1-16の何れか1つに記載の抗体であって、該抗体は、CD46にて結合するためにYS6と競合する。
【0032】
実施形態24:実施形態1-16の何れか1つに記載の抗体であって、該抗体は、CD46にて結合するためにYS1と競合する。
【0033】
実施形態25:実施形態1-16の何れか1つに記載の抗体であって、該抗体は、CD46にて結合するためにYS3と競合する。
【0034】
実施形態26:実施形態1-16の何れか1つに記載の抗体であって、該抗体は、CD46にて結合するためにYS4と競合する。
【0035】
実施形態27:実施形態1-16の何れか1つに記載の抗体であって、該抗体は、CD46にて結合するためにYS8と競合する。
【0036】
実施形態28:実施形態1-16の何れか1つに記載の抗体であって、該抗体は、CD46にて結合するためにYS7と競合する。
【0037】
実施形態29:実施形態1-16の何れか1つに記載の抗体であって、該抗体は、CD46にて結合するためにYS9と競合する。
【0038】
実施形態30:実施形態1-16の何れか1つに記載の抗体であって、該抗体は、CD46にて結合するためにYS10と競合する。
【0039】
実施形態31:実施形態1-16の何れか1つに記載の抗体であって、該抗体は、CD46にて結合するためにYS11と競合する。
【0040】
実施形態32:実施形態1-16の何れか1つに記載の抗体であって、該抗体は、CD46にて結合するために3G7HYと競合する。
【0041】
実施形態33:実施形態1-16の何れか1つに記載の抗体であって、該抗体は、CD46にて結合するために3G7NYと競合する。
【0042】
実施形態34:実施形態1-16の何れか1つに記載の抗体であって、該抗体は、CD46にて結合するために3G7と競合する。
【0043】
実施形態35:実施形態1-16の何れか1つに記載の抗体であって、該抗体は、CD46にて結合するためにSB2と競合する。
【0044】
実施形態36:実施形態1-16の何れか1つに記載の抗体であって、該抗体は、CD46にて結合するために2C8と競合する。
【0045】
実施形態37:実施形態1-16の何れか1つに記載の抗体であって、該抗体は、CD46にて結合するためにUA8kappaと競合する。
【0046】
実施形態38:実施形態1-16の何れか1つに記載の抗体であって、該抗体は、YS5、YS5F、YS5vlD、SB1HGNY、YS12、3G7RY、YS6、YS1、YS3、YS4、YS8、YS7、YS9、YS10、YS11、3G7HY、3G7NY、3G7、SB2、2C8、及びUA8kappaから成る群から選択される抗体の、VH CDR1、及び/又はVH CDR2、及び/又はVH CDR3、及び/又はVL CDR1、及び/又はVL CDR2、及び/又はVL CDR3を含む。
【0047】
実施形態39:実施形態1-16の何れか1つに記載の抗体であって、該抗体は、YS5抗体のVH CDR1、及び/又はVH CDR2、及び/又はVH CDR3を含む。
【0048】
実施形態40:実施形態1-16の何れか1つに記載の抗体であって、該抗体は、YS5抗体のVL CDR1、及び/又はVL CDR2、及び/又はVL CDR3を含む。
【0049】
実施形態41:実施形態1-16の何れか1つに記載の抗体であって、該抗体は、YS5抗体のVH CDR1、VH CDR2、VH CDR3、VL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含む。
【0050】
実施形態42:実施形態1-16の何れか1つに記載の抗体であって、該抗体は、YS5抗体の可変軽(VL)鎖を含む。
【0051】
実施形態43:実施形態1-16の何れか1つに記載の抗体であって、該抗体は、YS5抗体の可変重(VH)鎖を含む。
【0052】
実施形態44:実施形態1-16の何れか1つに記載の抗体であって、該抗体は、YS5抗体の可変軽(VL)鎖と、YS5抗体の可変重(VH)鎖を含む。
【0053】
実施形態45:実施形態1の抗体であって、該抗体はヒトYS5 scFvである。
【0054】
実施形態46:実施形態1の抗体であって、該抗体はヒトYS5 IgGである。
【0055】
実施形態47:実施形態1-16の何れか1つに記載の抗体であって、該抗体は、YS5F抗体のVH CDR1、及び/又はVH CDR2、及び/又はVH CDR3を含む。
【0056】
実施形態48:実施形態1-16の何れか1つに記載の抗体であって、該抗体は、YS5F抗体のVL CDR1、及び/又はVL CDR2、及び/又はVL CDR3を含む。
【0057】
実施形態49:実施形態1-16の何れか1つに記載の抗体であって、該抗体は、YS5F抗体のVH CDR1、VH CDR2、VH CDR3、VL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含む。
【0058】
実施形態50:実施形態1-16の何れか1つに記載の抗体であって、該抗体は、YS5F抗体の可変軽(VL)鎖を含む。
【0059】
実施形態51:実施形態1-16の何れか1つに記載の抗体であって、該抗体は、YS5F抗体の可変重(VH)鎖を含む。
【0060】
実施形態52:実施形態1-16の何れか1つに記載の抗体であって、該抗体は、YS5F抗体の可変軽(VL)鎖と、YS5F抗体の可変重(VH)鎖を含む。
【0061】
実施形態53:実施形態1の抗体であって、該抗体はヒトYS5F scFvである。
【0062】
実施形態54:実施形態1の抗体であって、該抗体はヒトYS5F IgGである。
【0063】
実施形態55:実施形態1-16の何れか1つに記載の抗体であって、該抗体は、YS5F抗体のVH CDR1、及び/又はVH CDR2、及び/又はVH CDR3を含む。
【0064】
実施形態56:実施形態1-16の何れか1つに記載の抗体であって、該抗体は、YS5F抗体のVL CDR1、及び/又はVL CDR2、及び/又はVL CDR3を含む。
【0065】
実施形態57:実施形態1-16の何れか1つに記載の抗体であって、該抗体は、YS5F抗体のVH CDR1、VH CDR2、VH CDR3、VL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含む。
【0066】
実施形態58:実施形態1-16の何れか1つに記載の抗体であって、該抗体は、YS5F抗体の可変軽(VL)鎖を含む。
【0067】
実施形態59:実施形態1-16の何れか1つに記載の抗体であって、該抗体は、YS5F抗体の可変重(VH)鎖を含む。
【0068】
実施形態60:実施形態1-16の何れか1つに記載の抗体であって、該抗体は、YS5F抗体の可変軽(VL)鎖と、YS5F抗体の可変重(VH)鎖を含む。
【0069】
実施形態61:実施形態1の抗体であって、該抗体はヒトYS5F scFvである。
【0070】
実施形態62:実施形態1の抗体であって、該抗体はヒトYS5F IgGである。
【0071】
実施形態63:実施形態1-16の何れか1つに記載の抗体であって、該抗体は、YS5V1D抗体のVH CDR1、及び/又はVH CDR2、及び/又はVH CDR3を含む。
【0072】
実施形態64:実施形態1-16の何れか1つに記載の抗体であって、該抗体は、YS5V1D抗体のVL CDR1、及び/又はVL CDR2、及び/又はVL CDR3を含む。
【0073】
実施形態65:実施形態1-16の何れか1つに記載の抗体であって、該抗体は、YS5V1D抗体のVH CDR1、VH CDR2、VH CDR3、VL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含む。
【0074】
実施形態66:実施形態1-16の何れか1つに記載の抗体であって、該抗体は、YS5V1D抗体の可変軽(VL)鎖を含む。
【0075】
実施形態67:実施形態1-16の何れか1つに記載の抗体であって、該抗体は、YS5V1D抗体の可変重(VH)鎖を含む。
【0076】
実施形態68:実施形態1-16の何れか1つに記載の抗体であって、該抗体は、YS5V1D抗体の可変軽(VL)鎖と、YS5V1D抗体の可変重(VH)鎖を含む。
【0077】
実施形態69:実施形態1の抗体であって、該抗体はヒトYS5V1D scFvである。
【0078】
実施形態70:実施形態1の抗体であって、該抗体はヒトYS5V1D IgGである。
【0079】
実施形態71:実施形態1-16の何れか1つに記載の抗体であって、該抗体は、SB1HGNY抗体のVH CDR1、及び/又はVH CDR2、及び/又はVH CDR3を含む。
【0080】
実施形態72:実施形態1-16の何れか1つに記載の抗体であって、該抗体は、SB1HGNY抗体のVL CDR1、及び/又はVL CDR2、及び/又はVL CDR3を含む。
【0081】
実施形態73:実施形態1-16の何れか1つに記載の抗体であって、該抗体は、SB1HGNY抗体のVH CDR1、VH CDR2、VH CDR3、VL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含む。
【0082】
実施形態74:実施形態1-16の何れか1つに記載の抗体であって、該抗体は、SB1HGNY抗体の可変軽(VL)鎖を含む。
【0083】
実施形態75:実施形態1-16の何れか1つに記載の抗体であって、該抗体は、SB1HGNY抗体の可変重(VH)鎖を含む。
【0084】
実施形態76:実施形態1-16の何れか1つに記載の抗体であって、該抗体は、SB1HGNY抗体の可変軽(VL)鎖と、SB1HGNY抗体の可変重(VH)鎖を含む。
【0085】
実施形態77:実施形態1の抗体であって、該抗体はヒトSB1HGNY scFvである。
【0086】
実施形態78:実施形態1の抗体であって、該抗体はヒトSB1HGNY IgGである。
【0087】
実施形態79:実施形態1-16の何れか1つに記載の抗体であって、該抗体は、YS12抗体のVH CDR1、及び/又はVH CDR2、及び/又はVH CDR3を含む。
【0088】
実施形態80:実施形態1-16の何れか1つに記載の抗体であって、該抗体は、YS12抗体のVL CDR1、及び/又はVL CDR2、及び/又はVL CDR3を含む。
【0089】
実施形態81:実施形態1-16の何れか1つに記載の抗体であって、該抗体は、YS12抗体のVH CDR1、VH CDR2、VH CDR3、VL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含む。
【0090】
実施形態82:実施形態1-16の何れか1つに記載の抗体であって、該抗体は、YS12抗体の可変軽(VL)鎖を含む。
【0091】
実施形態83:実施形態1-16の何れか1つに記載の抗体であって、該抗体は、YS12抗体の可変重(VH)鎖を含む。
【0092】
実施形態84:実施形態1-16の何れか1つに記載の抗体であって、該抗体は、YS12抗体の可変軽(VL)鎖と、YS12抗体の可変重(VH)鎖を含む。
【0093】
実施形態85:実施形態1の抗体であって、該抗体はヒトYS12 scFvである。
【0094】
実施形態86:実施形態1の抗体であって、該抗体はヒトYS12 IgGである。
【0095】
実施形態87:実施形態1-16の何れか1つに記載の抗体であって、該抗体は、3G7RY抗体のVH CDR1、及び/又はVH CDR2、及び/又はVH CDR3を含む。
【0096】
実施形態88:実施形態1-16の何れか1つに記載の抗体であって、該抗体は、3G7RY抗体のVL CDR1、及び/又はVL CDR2、及び/又はVL CDR3を含む。
【0097】
実施形態89:実施形態1-16の何れか1つに記載の抗体であって、該抗体は、3G7RY抗体のVH CDR1、VH CDR2、VH CDR3、VL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含む。
【0098】
実施形態90:実施形態1-16の何れか1つに記載の抗体であって、該抗体は、3G7RY抗体の可変軽(VL)鎖を含む。
【0099】
実施形態91:実施形態1-16の何れか1つに記載の抗体であって、該抗体は、3G7RY抗体の可変重(VH)鎖を含む。
【0100】
実施形態92:実施形態1-16の何れか1つに記載の抗体であって、該抗体は、3G7RY抗体の可変軽(VL)鎖と、3G7RY抗体の可変重(VH)鎖を含む。
【0101】
実施形態93:実施形態1の抗体であって、該抗体はヒト3G7RY scFvである。
【0102】
実施形態94:実施形態1の抗体であって、該抗体はヒト3G7RY IgGである。
【0103】
実施形態95:実施形態1-16の何れか1つに記載の抗体であって、該抗体は、YS6抗体のVH CDR1、及び/又はVH CDR2、及び/又はVH CDR3を含む。
【0104】
実施形態96:実施形態1-16の何れか1つに記載の抗体であって、該抗体は、YS6抗体のVL CDR1、及び/又はVL CDR2、及び/又はVL CDR3を含む。
【0105】
実施形態97:実施形態1-16の何れか1つに記載の抗体であって、該抗体は、YS6抗体のVH CDR1、VH CDR2、VH CDR3、VL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含む。
【0106】
実施形態98:実施形態1-16の何れか1つに記載の抗体であって、該抗体は、YS6抗体の可変軽(VL)鎖を含む。
【0107】
実施形態99:実施形態1-16の何れか1つに記載の抗体であって、該抗体は、YS6抗体の可変重(VH)鎖を含む。
【0108】
実施形態100:実施形態1-16の何れか1つに記載の抗体であって、該抗体は、YS6抗体の可変軽(VL)鎖と、YS6抗体の可変重(VH)鎖を含む。
【0109】
実施形態101:実施形態1の抗体であって、該抗体はヒトYS6 scFvである。
【0110】
実施形態102:実施形態1の抗体であって、該抗体はヒトYS6 IgGである。
【0111】
実施形態103:実施形態1-16の何れか1つに記載の抗体であって、該抗体は、YS1抗体のVH CDR1、及び/又はVH CDR2、及び/又はVH CDR3を含む。
【0112】
実施形態104:実施形態1-16の何れか1つに記載の抗体であって、該抗体は、YS1抗体のVL CDR1、及び/又はVL CDR2、及び/又はVL CDR3を含む。
【0113】
実施形態105:実施形態1-16の何れか1つに記載の抗体であって、該抗体は、YS1抗体のVH CDR1、VH CDR2、VH CDR3、VL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含む。
【0114】
実施形態106:実施形態1-16の何れか1つに記載の抗体であって、該抗体は、YS1抗体の可変軽(VL)鎖を含む。
【0115】
実施形態107:実施形態1-16の何れか1つに記載の抗体であって、該抗体は、YS1抗体の可変重(VH)鎖を含む。
【0116】
実施形態108:実施形態1-16の何れか1つに記載の抗体であって、該抗体は、YS1抗体の可変軽(VL)鎖と、YS1抗体の可変重(VH)鎖を含む。
【0117】
実施形態109:実施形態1の抗体であって、該抗体はヒトYS1 scFvである。
【0118】
実施形態110:実施形態1の抗体であって、該抗体はヒトYS1 IgGである。
【0119】
実施形態111:実施形態1-16の何れか1つに記載の抗体であって、該抗体は、YS3抗体のVH CDR1、及び/又はVH CDR2、及び/又はVH CDR3を含む。
【0120】
実施形態112:実施形態1-16の何れか1つに記載の抗体であって、該抗体は、YS3抗体のVL CDR1、及び/又はVL CDR2、及び/又はVL CDR3を含む。
【0121】
実施形態113:実施形態1-16の何れか1つに記載の抗体であって、該抗体は、YS3抗体のVH CDR1、VH CDR2、VH CDR3、VL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含む。
【0122】
実施形態114:実施形態1-16の何れか1つに記載の抗体であって、該抗体は、YS3抗体の可変軽(VL)鎖を含む。
【0123】
実施形態115:実施形態1-16の何れか1つに記載の抗体であって、該抗体は、YS3抗体の可変重(VH)鎖を含む。
【0124】
実施形態116:実施形態1-16の何れか1つに記載の抗体であって、該抗体は、YS3抗体の可変軽(VL)鎖と、YS3抗体の可変重(VH)鎖を含む。
【0125】
実施形態117:実施形態1の抗体であって、該抗体はヒトYS3 scFvである。
【0126】
実施形態118:実施形態1の抗体であって、該抗体はヒトYS3 IgGである。
【0127】
実施形態119:実施形態1-16の何れか1つに記載の抗体であって、該抗体は、YS4抗体のVH CDR1、及び/又はVH CDR2、及び/又はVH CDR3を含む。
【0128】
実施形態120:実施形態1-16の何れか1つに記載の抗体であって、該抗体は、YS4抗体のVL CDR1、及び/又はVL CDR2、及び/又はVL CDR3を含む。
【0129】
実施形態121:実施形態1-16の何れか1つに記載の抗体であって、該抗体は、YS4抗体のVH CDR1、VH CDR2、VH CDR3、VL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含む。
【0130】
実施形態122:実施形態1-16の何れか1つに記載の抗体であって、該抗体は、YS4抗体の可変軽(VL)鎖を含む。
【0131】
実施形態123:実施形態1-16の何れか1つに記載の抗体であって、該抗体は、YS4抗体の可変重(VH)鎖を含む。
【0132】
実施形態124:実施形態1-16の何れか1つに記載の抗体であって、該抗体は、YS4抗体の可変軽(VL)鎖と、YS4抗体の可変重(VH)鎖を含む。
【0133】
実施形態125:実施形態1の抗体であって、該抗体はヒトYS4 scFvである。
【0134】
実施形態126:実施形態1の抗体であって、該抗体はヒトYS4 IgGである。
【0135】
実施形態127:実施形態1-16の何れか1つに記載の抗体であって、該抗体は、YS8抗体のVH CDR1、及び/又はVH CDR2、及び/又はVH CDR3を含む。
【0136】
実施形態128:実施形態1-16の何れか1つに記載の抗体であって、該抗体は、YS8抗体のVL CDR1、及び/又はVL CDR2、及び/又はVL CDR3を含む。
【0137】
実施形態129:実施形態1-16の何れか1つに記載の抗体であって、該抗体は、YS8抗体のVH CDR1、VH CDR2、VH CDR3、VL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含む。
【0138】
実施形態130:実施形態1-16の何れか1つに記載の抗体であって、該抗体は、YS8抗体の可変軽(VL)鎖を含む。
【0139】
実施形態131:実施形態1-16の何れか1つに記載の抗体であって、該抗体は、YS8抗体の可変重(VH)鎖を含む。
【0140】
実施形態132:実施形態1-16の何れか1つに記載の抗体であって、該抗体は、YS8抗体の可変軽(VL)鎖と、YS8抗体の可変重(VH)鎖を含む。
【0141】
実施形態133:実施形態1の抗体であって、該抗体はヒトYS8 scFvである。
【0142】
実施形態134:実施形態1の抗体であって、該抗体はヒトYS8 IgGである。
【0143】
実施形態135:実施形態1-16の何れか1つに記載の抗体であって、該抗体は、YS7抗体のVH CDR1、及び/又はVH CDR2、及び/又はVH CDR3を含む。
【0144】
実施形態136:実施形態1-16の何れか1つに記載の抗体であって、該抗体は、YS7抗体のVL CDR1、及び/又はVL CDR2、及び/又はVL CDR3を含む。
【0145】
実施形態137:実施形態1-16の何れか1つに記載の抗体であって、該抗体は、YS7抗体のVH CDR1、VH CDR2、VH CDR3、VL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含む。
【0146】
実施形態138:実施形態1-16の何れか1つに記載の抗体であって、該抗体は、YS7抗体の可変軽(VL)鎖を含む。
【0147】
実施形態139:実施形態1-16の何れか1つに記載の抗体であって、該抗体は、YS7抗体の可変重(VH)鎖を含む。
【0148】
実施形態140:実施形態1-16の何れか1つに記載の抗体であって、該抗体は、YS7抗体の可変軽(VL)鎖と、YS7抗体の可変重(VH)鎖を含む。
【0149】
実施形態141:実施形態1の抗体であって、該抗体はヒトYS7 scFvである。
【0150】
実施形態142:実施形態1の抗体であって、該抗体はヒトYS7 IgGである。
【0151】
実施形態143:実施形態1-16の何れか1つに記載の抗体であって、該抗体は、YS9抗体のVH CDR1、及び/又はVH CDR2、及び/又はVH CDR3を含む。
【0152】
実施形態144:実施形態1-16の何れか1つに記載の抗体であって、該抗体は、YS9抗体のVL CDR1、及び/又はVL CDR2、及び/又はVL CDR3を含む。
【0153】
実施形態145:実施形態1-16の何れか1つに記載の抗体であって、該抗体は、YS9抗体のVH CDR1、VH CDR2、VH CDR3、VL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含む。
【0154】
実施形態146:実施形態1-16の何れか1つに記載の抗体であって、該抗体は、YS9抗体の可変軽(VL)鎖を含む。
【0155】
実施形態147:実施形態1-16の何れか1つに記載の抗体であって、該抗体は、YS9抗体の可変重(VH)鎖を含む。
【0156】
実施形態148:実施形態1-16の何れか1つに記載の抗体であって、該抗体は、YS9抗体の可変軽(VL)鎖と、YS9抗体の可変重(VH)鎖を含む。
【0157】
実施形態149:実施形態1の抗体であって、該抗体はヒトYS9 scFvである。
【0158】
実施形態150:実施形態1の抗体であって、該抗体はヒトYS9 IgGである。
【0159】
実施形態151:実施形態1-16の何れか1つに記載の抗体であって、該抗体は、YS10抗体のVH CDR1、及び/又はVH CDR2、及び/又はVH CDR3を含む。
【0160】
実施形態152:実施形態1-16の何れか1つに記載の抗体であって、該抗体は、YS10抗体のVL CDR1、及び/又はVL CDR2、及び/又はVL CDR3を含む。
【0161】
実施形態153:実施形態1-16の何れか1つに記載の抗体であって、該抗体は、YS10抗体のVH CDR1、VH CDR2、VH CDR3、VL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含む。
【0162】
実施形態154:実施形態1-16の何れか1つに記載の抗体であって、該抗体は、YS10抗体の可変軽(VL)鎖を含む。
【0163】
実施形態155:実施形態1-16の何れか1つに記載の抗体であって、該抗体は、YS10抗体の可変重(VH)鎖を含む。
【0164】
実施形態156:実施形態1-16の何れか1つに記載の抗体であって、該抗体は、YS10抗体の可変軽(VL)鎖と、YS10抗体の可変重(VH)鎖を含む。
【0165】
実施形態157:実施形態1の抗体であって、該抗体はヒトYS10 scFvである。
【0166】
実施形態158:実施形態1の抗体であって、該抗体はヒトYS10 IgGである。
【0167】
実施形態159:実施形態1-16の何れか1つに記載の抗体であって、該抗体は、YS11抗体のVH CDR1、及び/又はVH CDR2、及び/又はVH CDR3を含む。
【0168】
実施形態160:実施形態1-16の何れか1つに記載の抗体であって、該抗体は、YS11抗体のVL CDR1、及び/又はVL CDR2、及び/又はVL CDR3を含む。
【0169】
実施形態161:実施形態1-16の何れか1つに記載の抗体であって、該抗体は、YS11抗体のVH CDR1、VH CDR2、VH CDR3、VL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含む。
【0170】
実施形態162:実施形態1-16の何れか1つに記載の抗体であって、該抗体は、YS11抗体の可変軽(VL)鎖を含む。
【0171】
実施形態163:実施形態1-16の何れか1つに記載の抗体であって、該抗体は、YS11抗体の可変重(VH)鎖を含む。
【0172】
実施形態164:実施形態1-16の何れか1つに記載の抗体であって、該抗体は、YS11抗体の可変軽(VL)鎖と、YS11抗体の可変重(VH)鎖を含む。
【0173】
実施形態165:実施形態1の抗体であって、該抗体はヒトYS11 scFvである。
【0174】
実施形態166:実施形態1の抗体であって、該抗体はヒトYS11 IgGである。
【0175】
実施形態167:実施形態1-16の何れか1つに記載の抗体であって、該抗体は、3G7HY抗体のVH CDR1、及び/又はVH CDR2、及び/又はVH CDR3を含む。
【0176】
実施形態168:実施形態1-16の何れか1つに記載の抗体であって、該抗体は、3G7HY抗体のVL CDR1、及び/又はVL CDR2、及び/又はVL CDR3を含む。
【0177】
実施形態169:実施形態1-16の何れか1つに記載の抗体であって、該抗体は、3G7HY抗体のVH CDR1、VH CDR2、VH CDR3、VL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含む。
【0178】
実施形態170:実施形態1-16の何れか1つに記載の抗体であって、該抗体は、3G7HY抗体の可変軽(VL)鎖を含む。
【0179】
実施形態171:実施形態1-16の何れか1つに記載の抗体であって、該抗体は、3G7HY抗体の可変重(VH)鎖を含む。
【0180】
実施形態172:実施形態1-16の何れか1つに記載の抗体であって、該抗体は、3G7HY抗体の可変軽(VL)鎖と、3G7HY抗体の可変重(VH)鎖を含む。
【0181】
実施形態173:実施形態1の抗体であって、該抗体はヒト3G7HY scFvである。
【0182】
実施形態174:実施形態1の抗体であって、該抗体はヒト3G7HY IgGである。
【0183】
実施形態175:実施形態1-16の何れか1つに記載の抗体であって、該抗体は、3G7NY抗体のVH CDR1、及び/又はVH CDR2、及び/又はVH CDR3を含む。
【0184】
実施形態176:実施形態1-16の何れか1つに記載の抗体であって、該抗体は、3G7NY抗体のVL CDR1、及び/又はVL CDR2、及び/又はVL CDR3を含む。
【0185】
実施形態177:実施形態1-16の何れか1つに記載の抗体であって、該抗体は、3G7NY抗体のVH CDR1、VH CDR2、VH CDR3、VL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含む。
【0186】
実施形態178:実施形態1-16の何れか1つに記載の抗体であって、該抗体は、3G7NY抗体の可変軽(VL)鎖を含む。
【0187】
実施形態179:実施形態1-16の何れか1つに記載の抗体であって、該抗体は、3G7NY抗体の可変重(VH)鎖を含む。
【0188】
実施形態180:実施形態1-16の何れか1つに記載の抗体であって、該抗体は、3G7NY抗体の可変軽(VL)鎖と、3G7NY抗体の可変重(VH)鎖を含む。
【0189】
実施形態181:実施形態1の抗体であって、該抗体はヒト3G7NY scFvである。
【0190】
実施形態182:実施形態1の抗体であって、該抗体はヒト3G7NY IgGである。
【0191】
実施形態183:実施形態1-16の何れか1つに記載の抗体であって、該抗体は、3G7抗体のVH CDR1、及び/又はVH CDR2、及び/又はVH CDR3を含む。
【0192】
実施形態184:実施形態1-16の何れか1つに記載の抗体であって、該抗体は、3G7抗体のVL CDR1、及び/又はVL CDR2、及び/又はVL CDR3を含む。
【0193】
実施形態185:実施形態1-16の何れか1つに記載の抗体であって、該抗体は、3G7抗体のVH CDR1、VH CDR2、VH CDR3、VL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含む。
【0194】
実施形態186:実施形態1-16の何れか1つに記載の抗体であって、該抗体は、3G7抗体の可変軽(VL)鎖を含む。
【0195】
実施形態187:実施形態1-16の何れか1つに記載の抗体であって、該抗体は、3G7抗体の可変重(VH)鎖を含む。
【0196】
実施形態188:実施形態1-16の何れか1つに記載の抗体であって、該抗体は、3G7抗体の可変軽(VL)鎖と、3G7抗体の可変重(VH)鎖を含む。
【0197】
実施形態189:実施形態1の抗体であって、該抗体はヒト3G7 scFvである。
【0198】
実施形態190:実施形態1の抗体であって、該抗体はヒト3G7 IgGである。
【0199】
実施形態191:実施形態1-16の何れか1つに記載の抗体であって、該抗体は、SB2抗体のVH CDR1、及び/又はVH CDR2、及び/又はVH CDR3を含む。
【0200】
実施形態192:実施形態1-16の何れか1つに記載の抗体であって、該抗体は、SB2抗体のVL CDR1、及び/又はVL CDR2、及び/又はVL CDR3を含む。
【0201】
実施形態193:実施形態1-16の何れか1つに記載の抗体であって、該抗体は、SB2抗体のVH CDR1、VH CDR2、VH CDR3、VL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含む。
【0202】
実施形態194:実施形態1-16の何れか1つに記載の抗体であって、該抗体は、SB2抗体の可変軽(VL)鎖を含む。
【0203】
実施形態195:実施形態1-16の何れか1つに記載の抗体であって、該抗体は、SB2抗体の可変重(VH)鎖を含む。
【0204】
実施形態196:実施形態1-16の何れか1つに記載の抗体であって、該抗体は、SB2抗体の可変軽(VL)鎖と、SB2抗体の可変重(VH)鎖を含む。
【0205】
実施形態197:実施形態1の抗体であって、該抗体はヒトSB2 scFvである。
【0206】
実施形態198:実施形態1の抗体であって、該抗体はヒトSB2 IgGである。
【0207】
実施形態199:実施形態1-16の何れか1つに記載の抗体であって、該抗体は、2C8抗体のVH CDR1、及び/又はVH CDR2、及び/又はVH CDR3を含む。
【0208】
実施形態200:実施形態1-16の何れか1つに記載の抗体であって、該抗体は、2C8抗体のVL CDR1、及び/又はVL CDR2、及び/又はVL CDR3を含む。
【0209】
実施形態201:実施形態1-16の何れか1つに記載の抗体であって、該抗体は、2C8抗体のVH CDR1、VH CDR2、VH CDR3、VL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含む。
【0210】
実施形態202:実施形態1-16の何れか1つに記載の抗体であって、該抗体は、2C8抗体の可変軽(VL)鎖を含む。
【0211】
実施形態203:実施形態1-16の何れか1つに記載の抗体であって、該抗体は、2C8抗体の可変重(VH)鎖を含む。
【0212】
実施形態204:実施形態1-16の何れか1つに記載の抗体であって、該抗体は、2C8抗体の可変軽(VL)鎖と、2C8抗体の可変重(VH)鎖を含む。
【0213】
実施形態205:実施形態1の抗体であって、該抗体はヒト2C8 scFvである。
【0214】
実施形態206:実施形態1の抗体であって、該抗体はヒト2C8 IgGである。
【0215】
実施形態207:実施形態1-16の何れか1つに記載の抗体であって、該抗体は、UA8kappa抗体のVH CDR1、及び/又はVH CDR2、及び/又はVH CDR3を含む。
【0216】
実施形態208:実施形態1-16の何れか1つに記載の抗体であって、該抗体は、UA8kappa抗体のVL CDR1、及び/又はVL CDR2、及び/又はVL CDR3を含む。
【0217】
実施形態209:実施形態1-16の何れか1つに記載の抗体であって、該抗体は、UA8kappa抗体のVH CDR1、VH CDR2、VH CDR3、VL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含む。
【0218】
実施形態210:実施形態1-16の何れか1つに記載の抗体であって、該抗体は、UA8kappa抗体の可変軽(VL)鎖を含む。
【0219】
実施形態211:実施形態1-16の何れか1つに記載の抗体であって、該抗体は、UA8kappa抗体の可変重(VH)鎖を含む。
【0220】
実施形態212:実施形態1-16の何れか1つに記載の抗体であって、該抗体は、UA8kappa抗体の可変軽(VL)鎖と、UA8kappa抗体の可変重(VH)鎖を含む。
【0221】
実施形態213:実施形態1の抗体であって、該抗体はヒトUA8kappa scFvである。
【0222】
実施形態214:実施形態1の抗体であって、該抗体はヒトUA8kappa IgGである。
【0223】
実施形態215:エフェクターに結合される、実施形態1-214の何れか1つに記載の抗体を含む免疫結合体であって、前記エフェクターは、第2抗体、検出可能なラベル、細胞毒素又は細胞分裂阻害剤、薬物を含有するリポソーム、放射性核種、薬物、プロドラッグ、ウィルス粒子、サイトカイン、及びキレートから成る群からが選択される。
【0224】
実施形態216:実施形態215の免疫結合体であって、該免疫結合体は細胞毒素に結合される。
【0225】
実施形態217:実施形態216の免疫結合体であって、前記抗体は、ジフテリア毒素、緑膿菌外毒素、リシン、アブリン、サポリン、及びチミジンキナーゼから成る群から選択された細胞毒素に結合される。
【0226】
実施形態218:実施形態215の免疫結合体であって、前記抗体は細胞毒性薬及び/又は細胞分裂阻害薬に結合される。
【0227】
実施形態219:実施形態216の免疫結合体であって、前記抗体は、前記薬物を含む脂質又はリポソーム;前記薬物を含む高分子薬物担体;及び前記薬物を含むナノ粒子薬物担体の1以上に直接、又はリンカーを介して結合される。
【0228】
実施形態220:実施形態218-219の何れか1つに記載の免疫結合体であって、前記薬物は抗癌剤である。
【0229】
実施形態221:実施形態218-219の何れか1つに記載の免疫結合体であって、前記薬物は、微小管阻害剤、DNA損傷剤、及びポリメラーゼ阻害剤から成る群から選択される。
【0230】
実施形態222:実施形態221の免疫結合体であって、前記薬物はチューブリン阻害剤を含む。
【0231】
実施形態223:実施形態222の免疫結合体であって、前記薬物は、オーリスタチン、ドラスタチン-10、天然物ドラスタチン-10合成誘導体、及びメイタンシン或いはメイタンシン誘導体から成る群から選択された薬物を含む。
【0232】
実施形態224:実施形態222の免疫結合体であって、前記薬物は、モノメチルオーリスタチンF(MMAF)、オーリスタチンE(AE)、モノメチルオーリスタチンE(MMAE)、vcMMAE、及びvcMMAFから成る群から選択された薬物を含む。
【0233】
実施形態225:実施形態222の免疫結合体であって、前記薬物は、メルタシン(Mertansine)(DM1)、DM3、及びDM4から成る群から選択されたメイタンシンを含む。
【0234】
実施形態226:実施形態221の免疫結合体であって、前記薬物はDNA損傷剤を含む。
【0235】
実施形態227:実施形態226の免疫結合体であって、前記薬物は、カリチアマイシン、ズオカルマイシン、及びピロロベンゾジアゼピンから成る群から選択された薬物を含む。
【0236】
実施形態228:実施形態227の免疫結合体であって、前記薬物はカリチアマイシン又はカリチアマイシンアナログを含む。
【0237】
実施形態229:実施形態227の免疫結合体であって、前記薬物はズオカルマイシンを含む。
【0238】
実施形態230:実施形態229の免疫結合体であって、前記薬物は、ズオカルマイシンA、ズオカルマイシンB1、ズオカルマイシンB2、ズオカルマイシンC1、ズオカルマイシンC2、ズオカルマイシンD、ズオカルマイシンSA、シクロプロピルベンゾインドールズオカルマイシン(CC-1065)、Centanamycin、ラシェルマイシン、アドゼレシン、ビセレシン、及びカルゼルシンから成る群から選択された、ズオカルマイシンを含む。
【0239】
実施形態231:実施形態227の免疫結合体であって、前記薬物はピロロベンゾジアゼピン又はピロロベンゾジアゼピン二量体を含む。
【0240】
実施形態232:実施形態231の免疫結合体であって、前記薬物は、アントラマイシン(及びその二量体)、マゼトラマイシン(及びその二量体)、トマイマイシン(及びその二量体)、プロトラカルシン(及びその二量体)、チカマイシン(及びその二量体)、ネオトラマイシンA(及びその二量体)、ネオトラマイシンB(及びその二量体)、DC-81(及びその二量体)、シビロマイシン(及びその二量体)、ポロトラマイシンA(及びその二量体)、ポロトラマイシンB(及びその二量体)、シバノマイシン(及びその二量体)、アブベマイシン(及びその二量体)、SG2000、及びSG2285から成る群から選択された薬物を含む。
【0241】
実施形態233:実施形態221の免疫結合体であって、前記薬物はポリメラーゼ阻害剤を含む。
【0242】
実施形態234:実施形態233の免疫結合体であって、前記薬物は、ポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ(PARP)阻害剤を含む。
【0243】
実施形態235:実施形態234の免疫結合体であって、前記薬物は、イニパリブ(BSI 201)、タラゾパリブ(BMN-673)、オラパリブ(AZD-2281)、オラパリブ、ルカパリブ(AG014699、PF-01367338)、ベリパリブ(ABT-888)、CEP 9722、MK 4827、BGB-290、及び3-アミノベンズアミドから成る群から選択された、ポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ(PARP)阻害剤を含む。
【0244】
実施形態236:実施形態218-219の何れか1つに記載の免疫結合体であって、前記薬物は、オーリスタチン、ドラスタチン、コルヒチン、コンブレタスタチン、及びmTOR/PI3K阻害剤から成る群から選択される。
【0245】
実施形態237:実施形態218-219の何れか1つに記載の免疫結合体であって、前記薬物は、フルオロウラシル(5-FU)、カペシタビン、5-トリフルオロメチル-2’-デオキシウリジン、メトトレキサートナトリウム、ラルチトレキセド、ペメトレキセド、サイトシンアラビノサイド、6-メルカプトプリン、アザチオプリン、6-チオグアニン(6-TG)、ペントスタチン、リン酸フルダラビン、クラドリビン、フロクスウリジン(5-フルオロ-2)、リボヌクレオチドリダクターゼ阻害剤(RNR)、シクロホスファミド、neosar、イホスファミド、チオテパ、1,3-ビス(2-クロロエチル)-1-ニトロソウレア(nitosourea)(BCNU)、1,-(2-クロロエチル)-3-シクロヘキシル-リンニトロソウレア(lnitrosourea)、メチル(CCNU)、ヘキサメチルメラミン、ブスルファン、プロカルバジンHCL、ダカルバジン(DTIC)、クロラムブシル、メルファラン、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、ベンダムスチン、カルムスチン、クロロメチン(chloromethine)、ダカルバジン(DTIC)、ホテムスチン、ロムスチン、マンノスルファン、ネダプラチン、ニムスチン、プレドニマスチン、ラニムスチン、サトラプラチン、セムスチン、ストレプトゾシン、テモゾロミド、トレオスルファン、トリアジクオン、トリエチレンメラミン、チオTEPA、四硝酸トリプラチン、トホスファミド、ウラムスチン、ドキソルビシン、クエン酸ダウノルビシン、ミトキサントロン、アクチノマイシンD、エトポシド、トポテカンHCL、テニポシド(VM-26)、イリノテカンHCL(CPT-11)、カンプトテシン、ベロテカン、ルビテカン、ビンクリスチン、硫酸ビンブラスチン、酒石酸ビノレルビン、硫酸ビンデシン、パクリタキセル、ドセタキセル、ナノ粒子パクリタキセル、アブラキサン、イクサベピロン、ラロタキセル、オルタタキセル、テセタキセル、及びビンフルニンから成る群から選択される。
【0246】
実施形態238:実施形態218-219の何れか1つに記載の免疫結合体であって、前記薬物は、カルボプラチン、シスプラチン、シクロホスファミド、ドセタキセル、ドキソルビシン、エルロチニブ、エトポシド、ゲムシタビン、メシル酸イマチニブ、イリノテカン、メトトレキサート、ソラフェニブ(sorafinib)、スニチニブ、トポテカン、ビンブラスチン、及びビンクリスチンから成る群から選択される。
【0247】
実施形態239:実施形態218-219の何れか1つに記載の免疫結合体であって、前記薬物は、レチノイン酸、レチノイン酸誘導体、ドキソルビシン(doxirubicin)、ビンブラスチン、ビンクリスチン、シクロホスファミド、イホスファミド、シスプラチン、5-フルオロウラシル、カンプトテシン誘導体、インターフェロン、タモキシフェン、及びタキソールから成る群から選択される。特定の実施形態において、抗癌化合物は、アブラキサン、ドキソルビシン、パミドロン酸二ナトリウム、アナストロゾール、エキセメスタン、シクロホスファミド、エピルビシン、トレミフェン、レトロゾール、トラスツズマブ、メゲストロールタモキシフェン(megestroltamoxifen)、パクリタキセル、ドセタキセル、カペシタビン、酢酸ゴセレリン、及びゾレドロン酸から成る群から選択される。
【0248】
実施形態240:実施形態215の免疫結合体であって、前記抗体は、99Tc、203Pb、67Ga、68Ga、72As、111In、113In、97Ru、62Cu、641Cu、52Fe、52Mn、51Cr、186Re、188Re、77As、90Y、67Cu、169Er、121Sn、127Te、142Pr、143Pr、198Au、199Au、161Tb、109Pd、165Dy、149Pm、151Pm、153Sm、157Gd、159Gd、166Ho、172Tm、169Yb、175Yb、177Lu、105Rh、及び111Agから成る群から選択される同位体を含む、キレートに結合される。
【0249】
実施形態241:実施形態215の免疫結合体であって、該免疫結合体はα放射体に結合される。
【0250】
実施形態242:実施形態241の免疫結合体であって、前記α放射体はビスマス213である。
【0251】
実施形態243:実施形態215の免疫結合体であって、前記抗体は、抗癌剤と複合するか或いはそれを含有する、脂質又はリポソームに結合される。
【0252】
実施形態244:実施形態215の免疫結合体であって、該免疫結合体は検出可能なラベルに付けられる。
【0253】
実施形態245:実施形態244の免疫結合体であって、前記抗体は、放射性ラベル、放射線不透過性ラベル、MRIラベル、及びPETラベルから成る群から選択された、検出可能なラベルに付けられる。
【0254】
実施形態246:医薬製剤であって、該医薬製剤は、薬学的に許容可能な賦形剤、並びに実施形態1-214の何れか1つに記載の抗体;及び/又は、薬学的に許容可能な賦形剤、並びに実施形態215-245の何れか1つに記載の免疫結合体を含む。
【0255】
実施形態247:実施形態246の医薬製剤であって、該医薬製剤は単位投与量の製剤である。
【0256】
実施形態248:実施形態246-247の何れか1つに記載の医薬製剤であって、該医薬製剤は、経口投与、経鼻投与、直腸投与、腹腔内注射、血管内注射、皮下注射、経皮投与、及び筋肉内注射から成る群から選択された経路を介した投与のために処方される。
【0257】
実施形態249:CD46を発現又は過剰発現する細胞の成長及び/又は増殖を阻害する方法であって、該方法は、前記細胞を実施形態1-214の何れか1つに記載の抗体に接触させる工程;及び/又は、前記癌細胞を、細胞分裂阻止活性及び/又は細胞毒性活性を持つエフェクターに結合された実施形態1-214の何れか1つに記載の抗体を含む免疫結合体と接触させる工程を含む。
【0258】
実施形態250:実施形態249の方法であって、該方法は、前記癌細胞を、実施形態1-214の何れか1つに記載の接触させる工程を含む。
【0259】
実施形態251:実施形態249の方法であって、該方法は、前記癌細胞を、細胞分裂阻止活性及び/又は細胞毒性活性を持つエフェクターに結合された実施形態1-214の何れか1つに記載の抗体を含む免疫結合体と接触させる工程を含む。
【0260】
実施形態252:実施形態249-251の方法であって、前記細胞は癌細胞である。
【0261】
実施形態253:実施形態252の方法であって、前記細胞はCD46を過剰発現する癌細胞である。
【0262】
実施形態254:実施形態252の方法であって、前記癌細胞は、卵巣癌、大腸癌、乳癌、肺癌、前立腺癌、腎臓癌、膵臓癌、中皮腫、リンパ腫、肝臓癌、尿路上皮癌、胃癌、多発性骨髄腫、多形性膠芽腫、神経膠腫、神経芽腫、及び子宮頚癌から成る群から選択される。
【0263】
実施形態255:実施形態252の方法であって、前記癌細胞は前立腺癌細胞である。
【0264】
実施形態256:実施形態255の方法であって、前記癌細胞は去勢抵抗性前立腺癌の細胞である。
【0265】
実施形態257:実施形態252の方法であって、前記癌細胞は多発性骨髄腫の細胞である。
【0266】
実施形態258:実施形態252-257の何れか1つに記載の方法であって、前記細胞は転移細胞である。
【0267】
実施形態259:実施形態258の方法であって、前記転移細胞は、骨転移、肝転移、膀胱転移、及び/又はリンパ節転移である。
【0268】
実施形態260:実施形態252-258の何れか1つに記載の方法であって、該細胞は固形腫瘍細胞である。
【0269】
実施形態261:実施形態249、及び251-260の何れか1つに記載の方法であって、前記エフェクターは放射性核種薬及び/又は抗悪性腫瘍薬を含む。
【0270】
実施形態262:実施形態261の方法であって、前記エフェクターは、細胞毒性薬及び/又は細胞分裂阻害薬;細胞毒性薬及び/又は細胞分裂阻害薬を含有する脂質又はリポソーム;細胞毒性薬及び/又は細胞分裂阻害薬を含む高分子薬物担体;並びに、細胞毒性薬及び/又は細胞分裂阻害薬を含むナノ粒子薬物担体の1以上を含む。
【0271】
実施形態263:実施形態262の方法であって、前記薬物は抗癌剤である。
【0272】
実施形態264:実施形態263の方法であって、前記薬物は、オーリスタチン、ドラスタチン、コルヒチン、コンブレタスタチン、及びmTOR/PI3K阻害剤から成る群から選択される。
【0273】
実施形態265:実施形態263の方法であって、前記薬物はモノメチルオーリスタチンFである。
【0274】
実施形態266:実施形態263の方法であって、前記薬物は、フルオロウラシル(5-FU)、カペシタビン、5-トリフルオロメチル-2’-デオキシウリジン、メトトレキサートナトリウム、ラルチトレキセド、ペメトレキセド、サイトシンアラビノサイド、6-メルカプトプリン、アザチオプリン、6-チオグアニン(6-TG)、ペントスタチン、リン酸フルダラビン、クラドリビン、フロクスウリジン(5-フルオロ-2)、リボヌクレオチドリダクターゼ阻害剤(RNR)、シクロホスファミド、neosar、イホスファミド、チオテパ、1,3-ビス(2-クロロエチル)-1-ニトロソウレア(nitosourea)(BCNU)、1,-(2-クロロエチル)-3-シクロヘキシル-リンニトロソウレア(lnitrosourea)、メチル(CCNU)、ヘキサメチルメラミン、ブスルファン、プロカルバジンHCL、ダカルバジン(DTIC)、クロラムブシル、メルファラン、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、ベンダムスチン、カルムスチン、クロロメチン(chloromethine)、ダカルバジン(DTIC)、ホテムスチン、ロムスチン、マンノスルファン、ネダプラチン、ニムスチン、プレドニマスチン、ラニムスチン、サトラプラチン、セムスチン、ストレプトゾシン、テモゾロミド、トレオスルファン、トリアジクオン、トリエチレンメラミン、チオTEPA、四硝酸トリプラチン、トホスファミド、ウラムスチン、ドキソルビシン、クエン酸ダウノルビシン、ミトキサントロン、アクチノマイシンD、エトポシド、トポテカンHCL、テニポシド(VM-26)、イリノテカンHCL(CPT-11)、カンプトテシン、ベロテカン、ルビテカン、ビンクリスチン、硫酸ビンブラスチン、酒石酸ビノレルビン、硫酸ビンデシン、パクリタキセル、ドセタキセル、ナノ粒子パクリタキセル、アブラキサン、イクサベピロン、ラロタキセル、オルタタキセル、テセタキセル、及びビンフルニンから成る群から選択される。
【0275】
実施形態267:実施形態263の方法であって、前記薬物は、カルボプラチン、シスプラチン、シクロホスファミド、ドセタキセル、ドキソルビシン、エルロチニブ、エトポシド、ゲムシタビン、メシル酸イマチニブ、イリノテカン、メトトレキサート、ソラフェニブ(sorafinib)、スニチニブ、トポテカン、ビンブラスチン、及びビンクリスチンから成る群から選択される。
【0276】
実施形態268:実施形態263の方法であって、前記薬物は、レチノイン酸、レチノイン酸誘導体、ドキソルビシン(doxirubicin)、ビンブラスチン、ビンクリスチン、シクロホスファミド、イホスファミド、シスプラチン、5-フルオロウラシル、カンプトテシン誘導体、インターフェロン、タモキシフェン、及びタキソールから成る群から選択される。特定の実施形態において、抗癌化合物は、アブラキサン、ドキソルビシン、パミドロン酸二ナトリウム、アナストロゾール、エキセメスタン、シクロホスファミド、エピルビシン、トレミフェン、レトロゾール、トラスツズマブ、メゲストロールタモキシフェン(megestroltamoxifen)、パクリタキセル、ドセタキセル、カペシタビン、酢酸ゴセレリン、及びゾレドロン酸から成る群から選択される。
【0277】
実施形態269:実施形態262-268の何れか1つに記載の方法であって、前記薬物は前記抗体に抱合される。
【0278】
実施形態270:実施形態262-268の何れか1つに記載の方法であって、前記薬物は、前記抗体に結合された脂質又はリポソーム中に含有される。
【0279】
実施形態271:実施形態262-268の何れか1つに記載の方法であって、前記薬物は、前記抗体に結合された高分子担体及び/又はナノ粒子担体中に含有される。
【0280】
実施形態272:実施形態249、及び251-260の方法であって、前記エフェクターは細胞毒素を含む。
【0281】
実施形態273:実施形態272の方法であって、前記細胞毒素は、ジフテリア毒素、Pseudomonas外毒素、リシン、アブリン、サポリン、及びチミジンキナーゼから成る群から選択される。
【0282】
実施形態274:実施形態249の方法であって、前記エフェクターは放射性核種を含む。
【0283】
実施形態275:実施形態249-274の何れか1つに記載の方法であって、前記免疫結合体又は抗体は、薬学的に許容可能な担体を含む医薬組成物中で投与される。
【0284】
実施形態276:実施形態249-275の何れか1つに記載の方法であって、前記投与はヒトへの投与を含む。
【0285】
実施形態277:実施形態249-275の何れか1つに記載の方法であって、前記投与は非ヒト哺乳動物への投与を含む。
【0286】
実施形態278:実施形態249-277の何れか1つに記載の方法であって、前記投与は非経口投与を含む。
【0287】
実施形態279:実施形態249-277の何れか1つに記載の方法であって、前記投与は腫瘍又は手術部位への投与を含む。
【0288】
実施形態280:実施形態249-279の何れか1つに記載の方法であって、前記免疫結合体は、手術及び/又は放射線療法のための補助療法として投与される。
【0289】
実施形態281:実施形態249-279の何れか1つに記載の方法であって、前記抗体及び/又は免疫結合体は、別の抗癌剤及び/又はホルモンと共に投与される。
【0290】
実施形態282:実施形態281の方法であって、前記抗体及び/又は免疫結合体は、アビラテロン及び/又はエンザルタミドと共に投与される。
【0291】
実施形態283:実施形態282の方法であって、前記細胞は前立腺癌細胞を含む。
【0292】
実施形態284:実施形態283の方法であって、前記前立腺癌細胞は、神経内分泌前立腺癌(NEPC)細胞である。
【0293】
実施形態285:実施形態283の方法であって、前記前立腺癌細胞は、アビラテロン(Abi)又はエンザルタミド(Enz)に耐性のある転移性の去勢抵抗性前立腺癌(mCRPC)細胞を含む。
【0294】
実施形態286:CD46を発現又は過剰発現する癌の癌細胞を検出する方法であって、該方法は、前記細胞を、検出可能なラベルに付けられた実施形態1-214の何れか1つに記載の抗体を含む免疫結合体に接触させる工程;及び、前記検出可能なラベルの存在及び/又は位置を検出する工程を含み、存在及び/又は位置は、癌細胞の存在及び/又は位置の指標である。
【0295】
実施形態287:実施形態286の方法であって、前記ラベルは、放射性ラベル、放射線不透過性ラベル、MRIラベル、PETラベル、及びSPECTラベルから成る群から選択されたラベルを含む。
【0296】
実施形態288:実施形態286の方法であって、前記検出可能なラベルは、γ放射体、陽電子放射体、X線放射体、α放射体、及び蛍光放射体から成る群から選択される。
【0297】
実施形態289:実施形態286-288の何れか1つに記載の方法であって、前記癌細胞は、卵巣癌、大腸癌、乳癌、肺癌、前立腺癌、腎臓癌、膵臓癌、中皮腫、リンパ腫、肝臓癌、尿路上皮癌、胃癌、多発性骨髄腫、神経膠腫、神経芽腫、及び子宮頚癌から成る群から選択される。
【0298】
実施形態290:実施形態289の方法であって、前記癌細胞は前立腺癌細胞である。
【0299】
実施形態291:実施形態290の方法であって、前記癌細胞は去勢抵抗性前立腺癌の細胞である。
【0300】
実施形態292:実施形態289の方法であって、前記癌細胞は多発性骨髄腫の細胞である。
【0301】
実施形態293:実施形態286-292の何れか1つに記載の方法であって、前記接触は、非ヒト哺乳動物への前記免疫結合体の投与を含む。
【0302】
実施形態294:実施形態286-292の何れか1つに記載の方法であって、前記接触は、ヒトへの前記免疫結合体の投与を含む。
【0303】
実施形態295:実施形態286-294の何れか1つに記載の方法であって、前記検出は、インビボでの前記ラベルの検出を含む。
【0304】
実施形態296:実施形態295の方法であって、前記検出は、X線、PET、SPECT、MRI、及びCATから成る群から選択された検出方法の使用を含む。
【0305】
実施形態297:実施形態286-294の何れか1つに記載の方法であって、前記検出は、生検又は生検由来のサンプルにおけるエキソビボ(ex vivo)での前記ラベルの検出を含む。
【0306】
実施形態298:実施形態1-214の何れか1つに記載の抗体又は該抗体のフラグメントをコード化する核酸。
【0307】
実施形態299:実施形態298の核酸を含む発現ベクター。
【0308】
実施形態300:実施形態299の発現ベクターを含む細胞。
【0309】
<定義>
用語「ポリペプチド」、「ペプチド」、及び「タンパク質」は、アミノ酸残基のポリマーを指すように、本明細書において互換的に使用される。この用語は、1以上のアミノ酸残基が、自然発生のアミノ酸ポリマーと同様に、対応する自然発生のアミノ酸の人工の化学アナログである、アミノ酸ポリマーに適用される。前記用語はまた、ポリペプチドを作成するアミノ酸を接合する、従来のペプチド結合上の変異体を含む。
【0310】
用語「核酸」、「オリゴヌクレオチド」、又は本明細書における文法上の同等物は、一緒に共有結合された少なくとも2つのヌクレオチドを指す。本発明の核酸は、単鎖又は二重鎖であることが好ましく、通常はリン酸ジエステル結合を含むが、場合によっては、以下に概説されるように、代替的なバックボーンを有し得る核酸アナログが含まれ、該バックボーンは例えば、ホスホルアミド(Beaucage et al. (1993) Tetrahedron 49(10):1925)及びその中の参考文献;Letsinger (1970) J. Org. Chem. 35:3800; Sprinzl et al. (1977) Eur. J. Biochem. 81: 579; Letsinger et al. (1986) Nucl. Acids Res. 14: 3487; Sawai et al. (1984) Chem. Lett. 805, Letsinger et al. (1988) J. Am. Chem. Soc. 110: 4470;及びPauwels et al. (1986) Chemica Scripta 26: 1419)、ホスホロチオエート(Mag et al. (1991) Nucleic Acids Res. 19:1437;及び米国特許第5,644,048号)、ジチオリン酸(Briu et al. (1989) J. Am. Chem. Soc. 111 :2321)、O-methylphophoroamidite結合(Eckstein, Oligonucleotides and Analogues: A Practical Approach, Oxford University Pressを参照)、及びペプチド核酸のバックボーン並びに結合(Egholm (1992) J. Am. Chem. Soc. 114:1895; Meier et al. (1992) Chem. Int. Ed. Engl. 31: 1008; Nielsen (1993) Nature, 365: 566; Carlsson et al. (1996) Nature 380: 207を参照)を含む。他のアナログ核酸は、陽性のバックボーン(Denpcy et al. (1995) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 92: 6097)、非イオン性のバックボーン(米国特許第5,386,023号、5,637,684号、5,602,240号、5,216,141号、及び4,469,863号; Angew. (1991) Chem. Intl. Ed. English 30: 423; Letsinger et al. (1988) J. Am. Chem. Soc. 110:4470; Letsinger et al. (1994) Nucleoside & Nucleotide 13:1597; Chapters 2 and 3, ASC Symposium Series 580, “Carbohydrate Modifications in Antisense Research”, Ed. Y.S. Sanghui and P. Dan Cook; Mesmaeker et al. (1994), Bioorganic & Medicinal Chem. Lett. 4: 395; Jeffs et al. (1994) J. Biomolecular NMR 34:17; Tetrahedron Lett. 37:743 (1996)) 、及び非リボースバックボーン(米国特許第5,235,033号及び5,034,506号、及びChapters 6 and 7, ASC Symposium Series 580, Carbohydrate Modifications in Antisense Research, Ed. Y.S. Sanghui and P. Dan Cookに記載されるものを含む)を伴うものを含む。1以上の炭素環式の糖を含有する核酸も、核酸の定義内に含まれている(Jenkins et al. (1995), Chem. Soc. Rev. pp169-176を参照)。様々な核酸アナログが、Rawls, C & E News June 2, 1997の35ページに記載されている。リボース-リン酸塩のバックボーンのこのような修飾は、ラベルなど付加的な部分の付加を促進するために、又は、生理的環境におけるそのような分子の安定性と半減期を増大させるために、行われ得る。
【0311】
本明細書で使用されるように、用語「残基」は、天然のアミノ酸、合成アミノ酸、又は修飾されたアミノ酸を指す。
【0312】
本明細書で使用されるように、「抗体」は、免疫グロブリン遺伝子又は免疫グロブリン遺伝子のフラグメントにより実質的にコード化された、1以上のポリペプチドから成るタンパク質を指す。認識された免疫グロブリン遺伝子は、無数の免疫グロブリン可変領域遺伝子と同様に、カッパ、ラムダ、アルファ、ガンマ、デルタ、イプシロン、及びミューの定常域遺伝子を含む。軽鎖は、カッパ又はラムダの何れかとして分類される。重鎖は、ガンマ、ミュー、アルファ、デルタ、又はイプシロンとして分類され、これらは次に、それぞれ免疫グロブリンの分類、IgG、IgM、IgA、IgD、及びIgEを定義する。
【0313】
典型的な免疫グロブリン(抗体)構造単位は、四量体を含むと知られている。各四量体は、同一の2組のポリペプチド鎖で構成され、各対は、1つの「軽」鎖(約25kD)及び1つの「重」鎖(約50-70kD)を有している。各鎖のN末端は、抗原認識の主な要因である約100から110以上のアミノ酸の可変領域を定義する。用語、可変軽鎖(VL)及び可変重鎖(VH)は、それぞれこれら軽鎖及び重鎖を指す。
【0314】
抗体は、無傷の免疫グロブリンとして、又は、様々なペプチダーゼによる消化により生成された、多数の十分に特徴付けられたフラグメントとして存在する。故に、例えば、F(ab)’2、それ自体がジスフィルド結合によりVH-CH1に接合された軽鎖であるFabの二量体を生成するために、ヒンジ領域におけるジスルフィド結合の下で、ペプシンは抗体を消化する。F(ab)’2は、ヒンジ領域におけるジスフィルド結合を壊して、それにより(Fab’)2二量体をFab’単量体に変換するように、穏やかな条件下で還元され得る。Fab’単量体は根本的に、ヒンジ部の一部を備えたFabである(他の抗体フラグメントのより詳細な記載については、Fundamental Immunology, W.E. Paul, ed. , Raven Press, N.Y. (1993)を参照)。様々な抗体フラグメントが無傷の抗体の消化に関して定義される一方、当業者は、そのようなFab’フラグメントが、化学的に、又は組み換えDNA方法の利用により、新規に(de novo)合成され得ることを認識する。故に、本明細書で使用されるように、用語「抗体」はまた、全体の抗体の修飾により生成された抗体フラグメント、又は組み換えDNA方法を使用して新規に合成された抗体フラグメントの何れかを含む。特定の好ましい抗体は、単鎖抗体(単一のポリペプチド鎖として存在する抗体)、より好ましくは、連続的なポリペプチドを形成するために可変重鎖と可変軽鎖が一緒に(直接、又はペプチドリンカーを介して)接合される、単鎖Fv抗体(sFv又はscFv)を含む。単鎖Fv抗体は、直接接合されるか又はペプチドコードリンカーにより接合される、VH及びVLのコード配列を含む核酸から発現され得る、共有結合されたVH-VLヘテロ二量体である。Huston, et al. (1988) Proc. Nat. Acad. Sci. USA, 85: 5879-5883。VHとVLは単一のポリペプチド鎖として各々に接続される一方で、VHとVLのドメインは非共有結合的に付随する。繊維状ファージの表面上に発現される、第1の機能的抗体分子は単鎖Fv(scFv)であるが、代替的な発現の戦略も成功した。例えば、鎖(重鎖又は軽鎖)の1つがg3カプシドタンパク質に融合され、相補鎖が可溶性分子として周辺質に搬出される場合、Fab分子はファージ上に表示され得る。2つの鎖は、同じ又は異なるレプリコンの上でコード化され得;重要な点は、各Fab分子における2つの抗体鎖が翻訳後に集まり、二量体が、例えばg3pへの鎖の1つの結合を介してファージ粒子に組み込まれるということである(例えば、米国特許第5733743号を参照)。scFv抗体、及び、自然に凝集されるが、抗体V領域から化学的に分離される軽ポリペプチド鎖及び重ポリペプチド鎖を、抗原結合部位の構造と実質的に同様である3次元に折り重なる分子に変換する、多くの他の構造は、当業者に既知である(例えば、米国特許第5,091,513号、5,132,405号、及び4,956,778号を参照)。特に好ましい抗体は、ファージ上に表示される全てを含む(例えば、scFv、Fv、Fab、及びジスルフィド結合Fv(Reiter et al. (1995) Protein Eng. 8: 1323-1331)。
【0315】
本明細書で使用されるように、用語「特異的に結合する」は、生体分子(例えば、タンパク質、核酸、抗体など)を指す場合、分子(例えばタンパク質及び他の生物学的製剤)の不均一集団における生体分子の存在の決定因である結合反応を指す。故に、指定条件下で(例えば、抗体の場合にはイムノアッセイ条件、又は核酸の場合には厳重なハイブリダイゼーション条件)、指定されたリガンド又は抗体は、その特定の「標的」分子と結合すると共に、サンプル中の他の分子と大量に結合しない。
【0316】
本明細書に使用されるように、句「CD46を発現する細胞の増殖の阻害」は、好ましくは抗体又は免疫結合体の不在下で増殖に関連してCD46を発現する細胞の増殖を減少、好ましくは統計的に著しく減少させる、本明細書に記載される抗CD46抗体又は免疫結合体の能力を指す。1つの実施形態において、CD46を発現する細胞(例えば癌細胞)の増殖は、抗体、又はその抗原結合部分、或いは免疫結合体(対照)の不在下で測定された増殖に関連して、本明細書に記載される抗体、又はその抗原結合部分、或いは免疫結合体に細胞が接触させられる場合に、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、又は100%減少され得る。細胞増殖は、当該技術分野で認識された技術を用いて分析され得、該技術は、(例えば、細胞タイターグローアッセイ(cell titer glow assay)又はチミジン取込み反応を使用して)細胞分裂の割合、細胞分裂を受ける細胞集団内の細胞の画分、及び/又は末端の分化或いは細胞死による細胞集団からの細胞喪失の割合を測定する。
【0317】
本明細書に使用されるように、句「CD46を発現する細胞の移動の阻害」は、好ましくは抗体の不在下で細胞の移動に関連してCD46を発現する細胞の移動を減少、好ましくは統計的に著しく減少させる、本明細書に記載される抗CD46抗体、又はその抗原結合部位、或いは免疫結合体の能力を指す。1つの実施形態において、CD46を発現する細胞(例えば癌細胞)の移動は、抗体、又はその抗原結合部分、或いはその免疫結合体(対照)の不在下で測定された細胞移動に関連して、本明細書に記載される抗体、又はその抗原結合部分、或いはその免疫結合体に細胞が接触させられる場合に、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、又は100%減少され得る。細胞移動は、当該技術分野で認識された技術を使用して分析され得る。様々な実施形態において、本明細書に記載される抗体及び/又はその免疫結合体は、CD46を発現又は過剰発現する細胞(例えば、本明細書に記載されるような癌細胞)の移動を阻害することができることが考慮される。
【0318】
本明細書に使用されるように、抗体の「抗原結合部分」という用語(又は単に「抗体部分」)は、抗原(例えば、CD46ドメイン1及び/又はドメイン2)に特異的に結合する能力を保持する、抗体の1以上のフラグメントを指す。抗体の抗原結合機能は、完全長の抗体のフラグメントによって実行され得ることが示されてきた。抗体の「抗原結合部分」という用語の中に包含される結合フラグメントの例は、(i)VL、VH、CL、及びCH1のドメインから成る一価フラグメントであるFabフラグメント;(ii)F(ab’)2フラグメント(ヒンジ領域でのジスルフィド架橋により結合される2つのFabフラグメントを含む二価フラグメント);(iii)VHとCH1のドメインから成るFdフラグメント;(iv)抗体の単一の腕のVL及びVHのドメインから成るFvフラグメント;(v)VH及びVLのドメインを含むdAb;(vi)VHドメインから成るdAbフラグメント(例えば、Ward et al. (1989) Nature 341: 544-546を参照);(vii)VH又はVLのドメインから成るdAb;及び(viii)分離された相補性決定領域(CDR)又は(ix)合成リンカーにより随意に接合され得る2以上の分離されたCDRの組み合わせを含む。更に、Fvフラグメント、VL及びVHの2つのドメインは、別個の遺伝子によりコード化され得るが、組み換え法を用いて、一価分子を形成するためにそれらをVL及びVの領域が対となる単一タンパク質鎖(単鎖Fv(scFv)として知られている;例えば、Bird et al. (1988) Science 242: 423-426;及びHuston et al. (1988) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85: 5879-5883を参照)として作成することができる合成リンカーにより接合され得る。そのような単一鎖抗体はまた、抗体の「抗原結合部分」との用語の中に包含されるように意図される。これら抗体フラグメントは、当業者に既知の従来技術を使用して得られるものであり、フラグメントは、無傷の抗体であるのと同じ方法で、有用性のためにスクリーンされる。抗原結合部分は、組み換えDNA技術、又は無傷の免疫グロブリンの酵素或いは化学開裂により生成され得る。
【0319】
用語「モノクローナル抗体」は、本明細書で使用されるように、実質的に均質な抗体の集まりから得られる抗体を指し、即ち、個々の抗体は、少量で存在し得る可能な自然発生の変異体を除いては、同一である集まりを含む。モノクローナル抗体は非常に特異的であり、単一の抗原部位に向けられる。更に、異なる決定因子(エピトープ)に向けられる異なる抗体を典型的に含む、従来の(多クローン性)抗体の調製物とは対照的に、モノクローナル抗体は各々、抗原上にある単一の決定因子に向けられる。モノクローナル抗体は、例えば、Kohler et al.(1975) Nature, 256: 495に記載されるようなハイブリドーマ方法、例えばLonberg, et al. (1994) Nature 368(6474): 856-859に記載されるようなトランスジェニック動物、組み換えDNA方法(例えば米国特許第4,816,567号を参照)、又は、例えばClackson et al. (1991) Nature, 352: 624-628, and Marks et al. (1991) J. Mol. Biol., 222: 581-597に記載される技術を用いたファージ抗体ライブラリの使用などの、当該技術分野で認識された任意の技術、及び本明細書に記載される技術を用いて調製することができる。モノクローナル抗体は、キメラ抗体、ヒト抗体、及びヒト化抗体を含むと共に、自然に生じるか又は組み換えにより生成され得る。
【0320】
用語「組み換え型抗体」は、(a)免疫グロブリン遺伝子(例えばヒト免疫グロブリン遺伝子)又はそこから調製されるハイブリドーマに関してトランスジェニックであるか又はトランス染色体(transchromosomal)である動物(例えばマウス)から分離された抗体、(b)例えばトランスフェクトーマから抗体を発現するために形質転換された宿主細胞から分離された抗体、(c)組み換え型であり組み合わせ型のヒト抗体ライブラリ(例えば、ヒト抗体配列を含有する)から分離された抗体、及び(d)他のDNA配列への免疫グロブリン遺伝子配列(例えばヒト免疫グロブリン遺伝子)のスプライシングに関与する任意の他の手段により調製、発現、作成、又は分離された抗体などの、組み換え手段により調製、発現、作成、又は分離される抗体を指す。そのような組み換え型抗体は、ヒト生殖系列免疫グロブリン配列に由来する、可変領域及び定常領域を有し得る。しかし、特定の実施形態において、そのような組み換え型ヒト抗体は、インビトロでの突然変異誘発にさらすことができ、故に、組み換え型抗体のVH及びVLの領域のアミノ酸配列は、ヒト生殖系列V及びVLの配列に由来並びに関連する一方で、インビボでのヒト抗体生殖系列レパートリー内に自然には存在し得ない配列である。
【0321】
用語「キメラ免疫グロブリン」又は抗体は、その可変領域が第1の種に由来し、その定常領域が第2の種に由来する、免疫グロブリン又は抗体を指す。キメラ免疫グロブリン又は抗体は、異なる種に属する免疫グロブリン遺伝子セグメントから、例えば遺伝子工学により構築され得る。
【0322】
用語「ヒト抗体」は、フレームワークとCDRの両方の領域が、例えばKabatらにより記載されるようなヒト生殖系列免疫グロブリン配列に由来する可変領域を有している抗体を含むことが意図されている(Kabat, et al. (1991) Sequences of proteins of Immunological Interest, Fifth Edition, U.S. Department of Health and Human Services, NIH Publication No. 91-3242を参照)。更に、抗体が定常領域を含有する場合、定常領域はまた、ヒト生殖系列免疫グロブリン配列に由来する。ヒト抗体は、ヒト生殖系列免疫グロブリン配列(例えば、インビトロのランダム突然変異又は部位突然変異、或いは、インビボの体細胞突然変異により導入された突然変異)によってコード化されないアミノ酸残基を含み得る。しかし、本明細書で使用される用語「ヒト抗体」は、マウスなどの別の哺乳動物種の生殖系列に由来するCDR配列がヒトフレームワーク配列に移植された抗体を含むようには意図されない。
【0323】
ヒト抗体は、アミノ酸残基、例えば、ヒト生殖系列免疫グロブリン配列によりコード化されない、活性を増強するアミノ酸残基で置き換えられた、少なくとも1以上のアミノ酸を有し得る。典型的には、ヒト抗体は、ヒト生殖系列免疫グロブリン配列の一部ではないアミノ酸残基で置き換えられた、20までの位置を有し得る。特定の実施形態において、このような置換は、以下に詳しく説明されるようなCDR領域内にある。
【0324】
用語「ヒト化免疫グロブリン」又は「ヒト化抗体」は、少なくとも1つのヒト化免疫グロブリン又は抗体の鎖(即ち、少なくとも1つのヒト化軽鎖又は重鎖)を含む、免疫グロブリン又は抗体を指す。用語「ヒト化免疫グロブリン鎖」又は「ヒト化抗体鎖」(即ち、「ヒト化免疫グロブリン軽鎖」又は「ヒト化免疫グロブリン重鎖」)は、ヒト免疫グロブリン又は抗体から実質的に可変フレームワーク領域、及び非ヒト免疫グロブリン又は抗体から実質的に相補性決定領域(CDR)(例えば少なくとも1つのCDR、好ましくは2つのCDR、より好ましくは3つのCDR)を含むと共に、更に定常領域(例えば、軽鎖の場合には少なくとも1つの定常領域又はその一部、及び好ましくは重鎖の場合には3つの定常領域)を含む、可変領域を有している、免疫グロブリン又は抗体の鎖(即ち、それぞれ軽鎖又は重鎖)を指す。用語「ヒト化可変領域」(例えば「ヒト化軽鎖可変領域」又は「ヒト化重鎖可変領域」)は、非ヒト免疫グロブリン又は抗体から実質的に、ヒト免疫グロブリン又は抗体、及び相補性決定領域(CDR)から可変フレームワーク領域を実質的に含む、可変領域を指す。
【0325】
本明細書で使用されるように、「異種抗体」は、そのような抗体を生成するトランスジェニックな非ヒト生体又は植物に関連して定義される。
【0326】
「分離された抗体」は、本明細書で使用されるように、異なる抗原特異性を有している他の抗体を実質的に含まない抗体を指すように意図される(例えば、CD46に特異的に結合する、分離された抗体は、CD46以外の抗原に特異的に結合する抗体を実質的に含まない)。加えて、分離された抗体は典型的に、他の細胞材料及び/又は化学物質を実質的に含まない。1つの実施形態において、異なるCD46結合特異性を有している「分離された」モノクローナル抗体の組み合わせは、十分に定義された粗製物において組み合わされる。
【0327】
本明細書で使用されるように、「アイソタイプ」は、重鎖定常域遺伝子によりコード化される抗体の分類(例えば、IgM又はIgG1)を指す。1つの実施形態において、抗体又はその抗原結合部分は、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgM、IgA1、IgA2、IgAsec、IgD、又はIgEの抗体アイソタイプから選択されたアイソタイプである。幾つかの実施形態において、本発明のモノクローナル抗体はIgG1アイソタイプである。他の実施形態において、本発明のモノクローナル抗体はIgG2アイソタイプである。
【0328】
「抗原」は、抗体又はその抗原結合部分が結合する実体(例えば、タンパク様の実体又はペプチド)である。本発明の様々な実施形態において、抗原は、例えば細胞(例えばCD46陽性癌細胞)上に提示されるように、CD46である。
【0329】
用語「エピトープ」又は「抗原決定基」は、免疫グロブリン又は抗体が特異的に結合する、抗原上の部位を指す。エピトープは、タンパク質のターシャリフォールディング(tertiary folding)によって並置される、接触アミノ酸又は非接触アミノ酸の両方から形成され得る。接触アミノ酸から形成されたエピトープは典型的に、変性溶媒にさらされた後に保持され、一方でターシャリフォールディングによって形成されたエピトープは典型的に、変性溶媒による処置後に無くなる。エピトープは典型的に、固有の空間構造において少なくとも3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、又は15のアミノ酸を含む。エピトープの空間構造を判定する方法は、例えば、X線結晶構造解析及び2次元核磁気共鳴法といった、当該技術分野における技術、及び本明細書に記載される技術を含む(例えば、Epitope Mapping Protocols in Methods in Molecular Biology, Vol. 66, G. E. Morris, Ed. (1996)を参照)。
【0330】
本明細書にはまた、本明細書に記載される、YS5、YS5F、YS5vlD、SB1HGNY、YS12、3G7RY(aka 3G8)、YS6、YS1、YS3、YS4、YS8、YS7、YS9、YS10、YS11、3G7HY、3G7NY、3G7、SB2、2C8、及び/又はUA8kappa抗体として、同じ又は重複するエピトープに結合する抗体である。同じエピトープを認識する抗体は、例えば、標的抗原への別の抗体の結合を防ぐ1つの抗体の能力を示すことにより、イムノアッセイなどのルーチン技術、即ち競合結合アッセイを用いて確認され得る。競合的結合は、試験下の免疫グロブリンがCD46ドメイン1及び/又はドメイン2などの共通抗原への参照抗体の特異的結合を阻害するアッセイにおいて、判定される。例えば、多数のタイプの競合結合測定法が知られ、例えば:固相直接的又は間接的放射免疫アッセイ(RIA)、固相直接的又は間接的酵素免疫アッセイ(EIA)、サンドイッチ競合アッセイ(例えば、Stahli et al. (1983) Meth. Enzymol. , 9: 242を参照);固相直接的ビオチン-アビジンEIA(Kirkland et al., (1986) J. Immunol. 137: 3614を参照);固相直接的標識化アッセイ、固相直接的標識化サンドイッチアッセイ(例えば、Harlow and Lane (1988) Antibodies: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Press);例えば125Iラベルを用いた固相直接的標識RIA(例えばMorel et al., (1988) Mol. Immunol. 25(1): 7を参照);固相直接的ビオチン-アビジンEIA(Cheung et al. (1990) Virology 176: 546);及び直接的標識化RIA(Moldenhauer et al. (1990) Scand J. Immunol. 32: 77)が知られている。典型的に、そのようなアッセイは、これら標識化されていない試験免疫グロブリン及び標識化された参照免疫グロブリンの何れかを有している、固体表面又は細胞に結合された精製抗原(例えばCD46ドメイン1及び/又はドメイン2)の使用を含む。競合的阻害は、試験免疫グロブリンの存在下で固体表面又は細胞に結合されるラベルの量を判定することにより、測定され得る。通常、試験免疫グロブリンは過剰に存在している。通常、競合する抗体は、過剰に存在している場合、少なくとも50-55%、55-60%、60-65%、65-70%、70-75%以上、共通抗原への参照抗体の特異的結合を阻害する。
【0331】
本明細書で使用されるように、用語「特異的結合」、「特異的に結合する」、「選択的結合」、及び「選択的に結合する」は、抗体又はその抗原結合部分が、特定の抗原又はエピトープについて明らかな親和性を示すが、通常は他の抗原及びエピトープとの著しい交差反応性を示さないことを意味する。「明らかな」又は好ましい結合は、少なくとも(KD以下)10-6M、10-7M、10-8M、10-9M、10-10M、又は10-11Mの親和性による結合を含む。10-9Mより大きな、好ましくは10-10Mより大きな親和性が、より好ましい。本明細書に明記されるものの値の中間も、本発明の範囲内にあるように意図され、好ましい結合親和性は、例えば10-6Mから10-11M、好ましくは10-7M又は10-8Mから10-10Mといった範囲の親和性として示され得る。「著しい交差反応性を示さない」抗体は、望ましくない実体(例えば、望ましくないタンパク様の実体)に明らかに結合しない抗体である。例えば、1つの実施形態において、抗体又はその抗原結合部分は、CD46(例えばドメイン1及び/又はドメイン2)タンパク質に特異的に結合するが、他の分子及び非CD46タンパク質又はペプチドには著しく反応しない。特異的又は選択的結合は、例えば、スキャチャード解析及び/又は競合結合アッセイを含む、そのような結合を判定するための当該技術分野で認識された任意の手段に従って判定され得る。
【0332】
用語「KD」は、本明細書で使用されるように、特定の抗体-抗原の相互作用、又は抗原に対する抗体の親和性の、解離平衡定数を指すように意図される。1つの実施形態において、本発明に係る抗体又はその抗原結合部分は、表面プラズモン共鳴アッセイ又は細胞結合アッセイを用いて測定されるように、5nM又はそれより優れた(即ち、それ以下)の親和性(KD)(例えば、40nM、30nM、20nM、又は10nM以下)により、抗原(例えば、CD46ドメイン1及び/又はドメイン2)に結合する。特定の実施形態において、本発明に係る抗体又はその抗原結合部分は、表面プラズモン共鳴アッセイ又は細胞結合アッセイを用いて測定されるように、5nM又はそれより優れた親和性(KD)(例えば4nM、2nM、1.5nM、1.4nM、1.3nM、1nM以下)により、CD46に結合する。他の実施形態において、抗体又はその抗原結合部分は、FACSにより生きた前立腺腫瘍細胞を用いて、約10-10M、又は100×10-11M、又は10×10-11M未満の親和性(KD)により抗原(例えばCD46)に結合する。
【0333】
用語「Koff」は、本明細書で使用されるように、抗体/抗原の複合体からの抗体の分離のためのオフレート定数を指すように意図される。
【0334】
用語「EC50」は、本明細書で使用されるように、本明細書に記載される抗体、又はその抗原結合部分、或いは免疫結合体の濃度を指し、これは、最大反応の50%、即ち最大反応と基線の間の中間である、インビトロ又はインビボのアッセイにおいて反応を誘導する。
【0335】
本明細書で使用されるように、対照に適用される用語「自然発生の」は、対照が自然に見出され得るという事実を指す。例えば、自然のソースから分離され得ると共に、研究所において人により意図的に修飾されていない、(ウィルスを含む)生体に存在するポリペプチド又はポリヌクレオチドの配列は、自然発生である。
【0336】
用語「修飾すること(modifying)」又は「修飾(modigication)」は、本明細書で使用されるように、抗体又はその抗原結合部分において1以上のアミノ酸を変化させることを指すように意図される。変化は、1以上の位置にてアミノ酸を加える、置換する、又は削除することにより生じさせられ得る。変化は、PCR突然変異誘発など既知の技術を使用して生じさせられ得る。例えば、幾つかの実施形態において、本発明の方法を用いて確認された抗体又はその抗原結合部分は、修飾され、それによりCD46に対する抗体又はその抗原結合部分の結合親和性が修飾され得る。
【0337】
特定の実施形態において、本明細書に記載される抗CD46抗体の配列における「保存的なアミノ酸置換」、即ち、ヌクレオチド配列によりコード化されるか又はアミノ酸配列を含有している抗体の、抗原(例えばCD46)への結合を抑止しない、ヌクレオチド及びアミノ酸の配列の修飾が、考慮される。保存的なアミノ酸置換は、同じ分類のアミノ酸による1つの分類におけるアミノ酸の置換を含み、ここで、分類は、例えば標準のDayhoff頻度交換マトリックス又はBLOSUMマトリックスにより判定されるように、自然に見出される相同タンパク質における、一般の物理化学的なアミノ酸側鎖特性及び高い置換頻度により定められる。アミノ酸側鎖は一般的に6つの分類に分けられ、以下を含む:分類I(Cys);分類II(Ser、Thr、Pro、Ala、Gly);分類III(Asn、Asp、Gln、Glu);分類IV(His、Arg、Lys);分類V(Ile、Leu、Val、Met);及び分類VI(Phe、Tyr、Trp)。例えば、Asn、Aln、又はGluなどの別の分類IIIの残基に関するAspの置換は、保存的置換である。故に、抗CD46抗体において予測された非必須アミノ酸残基は、同じ分類からの別のアミノ酸残基で好ましくは置換される。抗原結合を排除しない、ヌクレオチドとアミノ酸の保存的置換を確認する方法は、当該技術分野で周知である(例えば、Brummell et al. (1993) Biochem. 32: 1180-1187; Kobayashi et al. (1999) Protein Eng. 12(10): 879-884;及びBurks et al. (1997) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 94: 412-417を参照)。
【0338】
用語「非保存的なアミノ酸置換」は、別の分類からのアミノ酸による1つの分類におけるアミノ酸の置換を指し;例えば、Asp、Asn、Glu、又はGlnなどの分類IIIの残基による、分類IIの残基であるAlaの置換である。
【0339】
別の実施形態において、突然変異(保存的又は非保存的)が、飽和突然変異誘発などにより抗CD46抗体コード配列の全て又は一部に沿って無作為に導入され得、結果として生じる修飾抗体は結合活性についてスクリーニングされ得る。
【0340】
「共通配列」は、関連配列のファミリーにおいて最も頻繁に生じるアミノ酸(又はヌクレオチド)から形成される配列である(例えば、Winnaker, From Genes to Clones (Verlagsgesellschaft, Weinheim, Germany 1987)を参照)。タンパク質のファミリーにおいて、共通配列における各位置は、ファミリーにおいてその位置で最も頻繁に生じるアミノ酸により占領される。2つのアミノ酸が等しく頻繁に生じる場合、何れかが共通配列に含まれ得る。免疫グロブリンの「共通フレームワーク」は、共通免疫グロブリン配列におけるフレームワーク領域を指す。
【0341】
同様に、CDRのための共通配列は、本明細書に記載される抗CD46抗体のCDRアミノ酸配列の最適な位置合わせにより導き出され得る。
【0342】
核酸について、用語「実質的に同族」は、2つの核酸、又はその指定された配列が、最適に位置合わせされ且つ比較された場合に、ヌクレオチドの少なくとも約80%、通常は少なくとも約90%から95%、より好ましくはヌクレオチドの少なくとも約98%から99.5%で、適切なヌクレオチドの挿入又は欠失と、同一であるということを指す。代替的に、セグメントが選択的なハイブリダイゼーション条件下で鎖の補体にハイブリダイズする場合、実質的な同族性が存在する。
【0343】
2つの配列間の百分率同一性は、2つの配列の最適な位置合わせのために導入の必要がある、ギャップの数、及び各ギャップの長さを考慮して、配列により共有される同一の位置の数の関数である(即ち、%同族性=同一の位置の#/位置.時間.100の総合の#)。配列の比較、及び2つの配列間の百分率同一性の判定は、限定されない以下の例に記載されるように、数学アルゴリズムを使用して達成され得る。
【0344】
2つのヌクレオチド配列間の百分率同一性は、NWSgapdna.CMPマトリックス、40、50、60、70、又は80のギャップ重量、及び1、2、3、4、5、又は6の長さ重量を用いた、GCGソフトウェアにおけるGAPプログラムを使用して判定され得る。2つのヌクレオチド又はアミノ酸の配列の間の百分率同一性も、Meyers and Miller (1989) CABIOS, 4: 11-17のアルゴリズムを使用して判定され得、それは、PAM120重量残基表、12のギャップ長さのペナルティ、及び4のギャップペナルティを用いた、ALIGNプログラム(バージョン2.0)に組み込まれる。加えて、2つのアミノ酸配列間の百分率同一性は、Needleman and Wunsch (1970) J. Mol. Biol. 48: 444-453を用いて判定され得、それは、Blossum 62マトリックス又はPAM250マトリックス、16、14、12、10、8、又は4のギャップ重量、及び1、2、3、4、5、又は6の長さ重量を用いた、GCGソフトウェアパッケージにおけるギャッププログラムに組み込まれる。
【0345】
本明細書で考慮される核酸及びタンパク質の配列は更に、例えば関連する配列を確認するために公のデータベースに対して検索を行なうための、「クエリ配列」として使用され得る。そのような検索は、Altschul, et al.(1990) J. Mol. Biol. 215:403-10のNBLASTとXBLASTのプログラム(バージョン2.0)を使用して行なわれ得る。BLASTヌクレオチド検索は、本発明の核酸分子に相同するヌクレオチド配列を得るために、NBLASTプログラム、スコア=100、ワード長=12を用いて行なわれ得る。BLASTタンパク質検索は、本発明のタンパク質分子に相同するアミノ酸配列を得るために、XBLASTプログラム、スコア=50、ワード長=3を用いて行なわれ得る。比較目的のために間隔を空けた(gapped)位置合わせを得るために、Altschul et al., (1997) Nucleic Acids Res. 25(17):3389-3402に記載されているようにGapped BLASTを利用することができる。BLASTとGapped BLASTのプログラムを利用する場合、それぞれのプログラム(例えばXBLASTとNBLAST)のデフォルトパラメーターを使用することができる。
【0346】
頻繁に天然の配列(修飾された制限部位などを除く)に頻繁に存在する一方、cDNA、ゲノム、又はそれらの混合物の何れかに由来する、本明細書に記載される核酸組成物(例えば、抗CD46抗体又は免疫結合体の全て或いは一部をコード化する核酸)は、異なる配列をもたらすように、標準技術に従って突然変異させられ得る。コード配列について、このような突然変異は、所望されるようにアミノ酸配列に影響を及ぼし得る。特に、天然のV、D、J、定数、スイッチ(switches)、及び本明細書に記載される他のそのような配列に実質的に相同する、又はそれらに由来するDNA配列が考慮される(「由来する(derived)」は、配列が別の配列と同一であるか又はそこから修飾されることを示す)。
【0347】
用語「操作自在に結合される」は、別の核酸配列との機能的な関係に入れられる核酸配列を指す。例えば、プレ配列又は分泌リーダーに関するDNAは、ポリペプチドの分泌に関与するプレタンパク質として発現される場合に、ポリペプチドのためにDNAに操作自在に結合され;プロモーター又はエンハンサーは、配列の転写に影響を及ぼす場合に、コード配列に操作自在に結合され;又は、リボソーム結合部位は、翻訳を促進するように位置付けられる場合、コード配列に操作自在に結合される。通常、「操作自在に結合される」は、結合されるDNA配列が隣接し、分泌リーダーの場合には、隣接するとともに読み取りフェーズに存在していることを意味する。しかし、エンハンサーは隣接していなくてもよい。好都合な制限部位でのライゲーションにより結合が達成される。そのような部位が存在しない場合、合成オリゴヌクレオチドのアダプター又はリンカーが、従来の実施に従って使用される。核酸は、別の核酸配列を持つ機能的な関係に入れられる場合に、「操作自在に結合される」。例えば、プロモーター又はエンハンサーは、配列の転写に影響を及ぼす場合に、コード配列に操作自在に結合される。転写調節配列に関して、操作自在に結合されるとは、結合されるDNA配列が隣接し、2つのタンパク質コード領域を接合する必要がある場合には、リーディングフレームにおいて隣接していることを意味する。切り換え配列について、操作自在に結合されるとは、配列が切り換えによる組み換えを達成することができることを示す。
【0348】
用語「ベクター」は、本明細書に使用されるように、結合された別の核酸を運ぶことができる核酸分子を指すように意図される。1つのタイプのベクターは「プラスミド」であり、それは、付加的なDNAセグメントがライゲートされ得る、環状の二本鎖DNAのループを指す。別のタイプのベクターはウィルスベクターであり、ここで、付加的なDNAセグメントはウィルスゲノムへライゲートされ得る。特定のベクターは、それらが導入される宿主細胞の中で自律増殖が可能である(例えば、複製及びエピゾームの哺乳動物ベクターの細菌起源を有する細菌ベクター)。他のベクター(例えば、非エピゾームの哺乳動物ベクター)は、宿主細胞への導入に際して宿主細胞のゲノムへ統合することができ、それにより宿主ゲノムと共に複製される。更に、特定のベクターは、それらが操作自在に結合される遺伝子の発現を導くことができる。そのようなベクターは、「組み換え型発現ベクター」(又は単に「組み換え型ベクター」)として本明細書で称されている。一般的に、組み換えDNA技術における有用性の発現ベクターは大抵、プラスミドの形態である。用語「プラスミド」及び「ベクター」は、互換的に使用され得る。しかし、本発明は、同等の機能を果たす、ウィルスベクター(例えば、複製欠損性レトロウィルス、アデノウィルス、及びアデノ随伴ウィルス)などの発現ベクターの、そのような他の形態を含むように意図される。
【0349】
本明細書で使用されるように、用語「組み換え型宿主細胞」(又は単に「宿主細胞」)は、発現ベクターが導入された細胞を指すように意図される。そのような用語は、特定の被験細胞だけでなく、そのような細胞の後代も指すように意図されることを、理解されたい。特定の修飾が、突然変異又は環境的な影響の何れかにより後世に生じ得るので、そのような後代は実際に、親細胞と同一ではないが、本明細書に使用されるような用語「宿主細胞」の範囲内には今なお含まれている。
【0350】
用語は「処置する(treat)」、「処置すること(treating)」、及び「処置(treatment)」は、本明細書で使用されるように、本明細書に記載される治療手段又は予防手段を指す。「処置」の方法は、被験体(例えば、必要とする被験体)への、抗CD46抗体、又は抗原結合部分、或いは本明細書に記載される抗体又は抗原結合の部分を含む免疫結合体の投与を利用する。特定の実施形態において、被験体は、疾患又は障害の重症度を予防、治癒、遅延、低減するために、疾患又は障害の1以上の症状或いは疾患又は障害の再発を改善するために、或いは、そのような処置が無い状態で予測される被験体の生存をかなり延ばすために、CD46陽性の癌(例えば前立腺癌)と診断された及び/又はその処置を受けている被験体である。
【0351】
用語「癌」及び「癌性」は、典型的に未調節の細胞成長により特徴化される、哺乳動物における生理学的疾病を指すか、又はそれを説明するものである。CD46陽性の癌は、CD46を発現又は過剰発現する細胞により特徴付けられた癌を指す。例示的なCD46の癌は、限定されないが、卵巣癌、乳癌、肺癌、前立腺癌、結腸癌、腎臓癌、及び膵臓癌を含む。
【0352】
用語「有効な量」は、本明細書で使用されるように、被験体への投与時に、本明細書に記載されるように、抗CD46抗体又はその抗原結合部分或いはそれらの免疫結合体の量が、CD46陽性細胞の成長及び/又は増殖に関連した疾患(例えば、CD46陽性の癌)の処置、予後、又は診断を達成するのに十分であることを指す。治療上有効な量は、被験体、及び処置される疾患の状態、被験体の体重と年齢、疾患の状態の重症度、投与方法等に依存して変動し、それは当業者により容易に決定され得る。投与のための投与量は、例えば、本明細書に記載される抗CD46抗体、及び/又はその抗原結合部分、及び/又は本明細書に記載されるそれらの免疫結合体の、約1ngから約10,000mg、約5ngから約9,500mg、約10ngから約9,000mg、約20ngから約8,500mg、約30ngから約7,500mg、約40ngから約7,000mg、約50ngから約6,500mg、約100ngから約6,000mg、約200ngから約5,500mg、約300ngから約5,000mg、約400ngから約4,500mg、約500ngから約4,000mg、約1μgから約3,500mg、約5μgから約3,000mg、約10μgから約2,600mg、約20μgから約2,575mg、約30μgから約2,550mg、約40μgから約2,500mg、約50μgから約2,475mg、約100μgから約2,450mg、約200μgから約2,425mg、約300μgから約2,000、約400μgから約1,175mg、約500μgから約1,150mg、約0.5μgから約1,125mg、約1μgから約1,100mg、約1.25μgから約1,075mg、約1.5mgから約1,050mg、約2.0mgから約1,025mg、約2.5mgから約1,000mg、約3.0μgから約975mg、約3.5μgから約950mg、約4.0μgから約925mg、約4.5μgから約900mg、約5μgから約875mg、約10μgから約850mg、約20μgから約825mg、約30μgから約800mg、約40mgから約775mg、約50mgから約750mg、約100mgから約725mg、約200mgから約700mg、約300mgから約675mg、約400mgから約650mg、約500mgから約525mgに及び得る投与量レジメンが、最適な治療応答をもたらすために調整され得る。有効な量はまた、抗体又はその抗原結合部分の任意の有毒又は不利益な効果(即ち、副作用)が、有益な効果により最小化され及び/又はそれらを上回るものである。
【0353】
用語「患者」は、予防的又は治療的な処置を受ける、ヒト及び他の哺乳動物の被験体を含む。
【0354】
本明細書で使用されるように、用語「被験体」は、任意のヒト又は非ヒト動物を含む。例えば、本発明の方法及び組成物は、癌を有する被験体を処置するために使用され得る。特定の実施形態において、被験体はヒトである。用語「非ヒト動物」は、脊椎動物、例えば、非ヒト霊長類、ヒツジ、イヌ、カウ、ニワトリ、両生類、爬虫類等の、哺乳動物及び非哺乳動物を全て含む。
【0355】
「エフェクター」は、その活性が細胞への送達及び/又は細胞での局在化に所望される、任意の分子又はその組み合わせを指す。エフェクターは、限定されないが、ラベル、細胞毒素、酵素、成長因子、転写因子、抗体、薬物などを含む。
【0356】
例えば癌細胞の「成長及び/又は増殖を阻害する」という句は、とりわけ、細胞のアポトーシス又は他の細胞致死機構を誘導すること、細胞の侵入を減少させること、細胞周期における特定の時点で細胞を止めることなどを含む。
【0357】
用語「免疫結合体」は、1以上のエフェクターに結合された1つの抗体、又は1以上のエフェクターに結合される複数の抗体を指す。用語「免疫結合体」は、抗体に化学的に抱合されたエフェクターを含むように意図され、同様に、抗体は、抗体(又はその一部)が、ペプチドエフェクター又はペプチドを含むエフェクターに直接、或いはリンカーを介して結合される、融合タンパク質として発現する。
【図面の簡単な説明】
【0358】
【
図1A】YS5(SEQ ID NO:1)、YS5F(SEQ ID NO:2)、YS5vlD(SEQ ID NO:3)、SB1HGNY(SEQ ID NO:4)、YS12(SEQ ID NO:5)、3G7RY(aka 3G8)(SEQ ID NO:6)、YS6(SEQ ID NO:7)、YS1(SEQ ID NO:8)、YS3(SEQ ID NO:9)、YS4(SEQ ID NO:10)、YS8(SEQ ID NO:11)、YS7(SEQ ID NO:12)、YS9(SEQ ID NO:13)、YS10(SEQ ID NO:14)、YS11(SEQ ID NO:15)、3G7HY(SEQ ID NO:16)、3G7NY(SEQ ID NO:17)、3G7(SEQ ID NO:18)、SB2(SEQ ID NO:19)、2C8(SEQ ID NO:20)、及びUA8kappa(SEQ ID NO:21)に関するVHフレームワーク及びCDR領域を示す。
【
図1B】YS5(SEQ ID NO:22)、YS5F(SEQ ID NO:23)、YS5vlD(SEQ ID NO:24)、SB1HGNY(SEQ ID NO:25)、YS12(SEQ ID NO:26)、3G7RY(aka3G8)(SEQ ID NO:27)、YS6(SEQ ID NO:28)、YS1(SEQ ID NO:29)、YS3(SEQ ID NO:30)、YS4(SEQ ID NO:31)、YS8(SEQ ID NO:32)、YS7(SEQ ID NO:33)、YS9(SEQ ID NO:34)、YS10(SEQ ID NO:35)、YS11(SEQ ID NO:36)、3G7HY(SEQ ID NO:37)、3G7NY(SEQ ID NO:38)、3G7(SEQ ID NO:39)、SB2(SEQ ID NO:40)、2C8(SEQ ID NO:41)、及びUA8kappa(SEQ ID NO:42)に関するVLフレームワーク及びCDR領域を示す。
【
図2】Du-145細胞上でYS5 IgG1 KDの測定。YS5を4℃で一晩、Du-145細胞によりインキュベートし、結合をFACSにより分析した。Prism(GraphPad)を使用して平均蛍光強度(MFI)値を曲線適合し(curve-fit)、2.19+/-0.73nMの推定KD値を生成した。
【
図3】Du-145細胞上のYS12 IgG1 KDの測定。YS12を4℃で一晩、Du-145細胞によりインキュベートし、結合をFACSにより分析した。Prism(GraphPad)を使用してMFI値を曲線適合し、0.043+/-0.019nMの推定KD値を生成した。
【
図4】我々の抗CD46抗体が、ヒト及びカニクイザル両方のCD46に結合する。FACS分析を、ヒトCD46(左のパネル)及びカニクイザルCD46(右のパネル)の何れかでトランスフェクトしたCHO細胞上で行った。YS5についての結果を示すが、我々の抗体は全て、ヒト及びカニクイザル両方のCD46に結合する。Ctr IgG:非結合ヒトIgG1。Ctr:二次抗体のみで染色したCHO。
【
図5】ヒトCD46でトランスフェクトされたCHO細胞上でのYS5 KDの測定。YS5を4℃で一晩、CHO-huCD46細胞によりインキュベートし、結合をFACSにより分析した。Prism(GraphPad)を使用してMFI値を曲線適合し、0.867+/-0.299nMの推定KD値を生成した。
【
図6】カニクイザルCD46でトランスフェクトされたCHO細胞上でのYS5 KDの測定。YS5を4℃で一晩、CHO-cynoCD46細胞によりインキュベートし、結合をFACSにより分析した。Prism(GraphPad)を使用してMFI値を曲線適合し、1.952+/-0.508nMの推定KD値を生成した。
【
図7】競合アッセイによるエピトープのマッピング。競合体としてUA20Fcを含む又は含まない、Du145細胞に対するFACS結合。UA20Fc対UA20Fcは、完全競合のための対照として機能する。YS5、YS12、及び3G8(即ち、3G7 aka 3G8)は、SB1HGNYのものとは異なる競合パターンを示し、故に、重複しないエピトープを持つ2つの群を画定した。
【
図8】Edmonston株麻疹ウィルスHタンパク質との競合。過剰な組み換え型Hタンパク質-Fc融合の存在下又は不在下のDu-145細胞に結合する抗体を、FACSにより測定した。Hタンパク質-Fc対Hタンパク質-Fcを、正の調節(合計の競合)として行い、それに対してMFI値を標準化し、標準化された競合指標を生成した。負の対照(競合の欠如)として、非CD46結合、Du-145細胞結合抗体を使用した。
【
図9】マクロピノサイトーシスによる内在化。YS5 IgG1を、それぞれ4時間及び24時間、マクロピノサイトーシス指標ND70-TRITC(Life Technologies)と共に転移性の去勢抵抗性前立腺癌細胞株Du-145によりインキュベートした。共局在化を、Olympus蛍光共焦点顕微鏡により分析した。
【
図10】治療抗体の評価のための、凍結組織のFDA標準パネル上での抗CD46抗体の免疫組織化学研究。陰影は、最も強力な胎盤栄養膜細胞による陽性染色のレベルを示す。陰影の無いものにおけるシグナルは、弱い、又は検出できない、の何れかである。
【
図11】抗CD46抗体薬物抱合体のHPLC分析。YS5 IgG1を、mc-vc-pabリンカーを介してモノメチルオーリスタチン(MMAF)に抱合し、HICにより分析した。ピークより上の数字は、薬物分子の数を示す。平均で、約3つの薬物分子がIgG分子に抱合された。
【
図12】前立腺癌細胞株LNCaP-C4-2bに関する殺菌曲線(Kill curve)。
【
図13】転移性の去勢抵抗性前立腺癌細胞株Du-145上での抗CD46 ADC(YS5)の殺菌曲線。
【
図14】皮下の前立腺癌異種移植片モデルを用いた、抗CD46(YS5)ADCによるインビボでの腫瘍の死滅。LNCaP-C4-2B細胞を、SCIDマウスの皮下に注入した。5mg/kgのADCで12日目に注射を開始し、4回の注射を施した(4-5日ごと)。抗CD46 ADCの群におけるマウスを、処置後長期間にわたりモニタリングする。N=6。
【
図15】CD46は、多発性骨髄腫細胞株RPMI8226の上で高度に発現される。抗CD46抗体は、前立腺癌(LNCaP)及び多発性骨髄腫細胞の両方に結合する一方、抗PSMA抗体J591は前立腺癌細胞にのみ結合する。
【
図16】抗CD46 ADC(YS5)はインビトロでRPMI8226細胞を死滅させる。Ctr ADC:MMAFに抱合された非結合ヒトIgG1。
【
図17】インビボでの抗CD46(YS5)ADCの活性。RPMI8226-Luc細胞を、NSGマウスにi.v.注入して、播種性の腫瘍異種移植片を作成した。CD46-MMAF:YS5 ADC;IgG-MMAF:対照ADC。合計4回の注射を4日ごとに与えた。処置を10日目に開始した。ボルテゾミブ処置群において3匹のマウスが、31日目まで持ちこたえることが出来なかった。
【
図18】YS5 ADC処置後の、RPMI8226異種移植片を伴うマウスに関する生存データのカプラン・マイヤー分析。
【
図19】大腸癌細胞株HT29上での抗CD46(YS5)ADCの殺菌曲線。
【
図20】MM1S異種移植片上での抗CD46 ADC(YS5)。
【
図21】ADC処置後のオルト転移(orthometastatic)MM1.S異種移植片を有するマウスのカプラン・マイヤー分析。4mg/kgの抗CD46 ADCで処置したマウスの100%が、実験の終わり(212日目)まで生存した。注射を移植後10日目に開始した。抗CD46を、4mg/kgの1回量で、又は2つの投薬レベルで4回(0.8mg/kg及び4mg/kg)、注入した。対照ADC(Ctr ADC)を4mg/kgで4回注入した。
【
図22】大腸癌細胞株HT29上での抗CD46(YS12)ADCの殺菌曲線。
【
図23】大腸癌細胞株HT29上での抗CD46(SB1HGNY)ADCの殺菌曲線。
【
図24】膵癌細胞株MiaCaPa2上での抗CD46 YS5 ADCの殺菌曲線。
【
図25】中皮種細胞株M28上での抗CD46 YS5 ADCの殺菌曲線。
【
図26】卵巣癌細胞株OVCAR3上での抗CD46 YS5 ADCの殺菌曲線。
【
図27】抗CD46 ADCはBPH-1細胞に対して効果が無い。BPH-1細胞は、非常に低レベルのCD46を発現し、YS5 ADCによる影響を受けない。
【
図28】HS27細胞上での抗CD46(YS5)ADC。Hs27細胞を、1つのウェルにつき3,000の細胞で蒔いた。
【
図29】抗CD46 ADC(YS5)は、標準のCD3+T細胞上で毒性をほとんど示さない。10,000のCD3+T細胞を、96ウェルのプレートに蒔き、37℃で96時間、異なる濃度のYS5 ADCでインキュベートした。細胞の生存率を、CCK-8(Cell Counting Kit-8) (Dojindo)により評価した。
【
図30】抗CD46 ADCは、標準のCD14が枯渇したPBMCに対して効果が無い。10,000の細胞を、96ウェルのプレートに蒔き、37℃で98時間、異なる濃度のADCでインキュベートした。細胞の生存率を、CCK8計数キットにより判定した。
【
図31】ヒトCD46を発現するトランスジェニックマウスにおける抗CD46 ADCの毒性の評価。6mg/kgの抗CD46及び対照ADCのi.v.注射後、マウスを14日目に、屠殺し、腫瘍臓器を組織学的検査のために採取した。
【
図32】CD46 ADCが、大腿内部の前立腺癌異種移植片モデルにおいて有効であることを示す。ホタルルシフェラーゼレポーターを運ぶ、mCRPC細胞株LnCaP-C4-2Bを、マウスの大腿骨に注入した。CD46 ADC(YS5-mcvcpab-MMAF)を、7日目に、4日毎に、合計4回注入した。マウスを処置後65日目までモニタリングした。Ctr ADC:MMAF(ctr IgG-mcvcpab-MMAF)に抱合された非結合IgG1。
【
図33】去勢抵抗性前立腺癌(CRPC)におけるCD46発現を示す。前立腺組織試料を、ホルモン遮断に耐性をもつようになった患者から得た。矢印は、腫瘍細胞を示す(選択的な腫瘍領域のみを示す)。H-294ウサギ抗ヒトCD46抗体(Santa Cruz Biotechnology)を、染色、そしてその後のEnvision+システム(Dako North America)による検出のために使用した。
【
図34】mCRPCの骨転移を示す。矢印は、腫瘍細胞を示す(選択的な腫瘍領域のみを示す)。H-294ウサギ抗ヒトCD46抗体(Santa Cruz Biotechnology)を、染色、そしてその後のEnvision+システム(Dako North America)による検出のために使用した。
【
図35】mCRPCのリンパ節転移を示す。矢印は、腫瘍細胞を示す(選択的な腫瘍領域のみを示す)。H-294ウサギ抗ヒトCD46抗体(Santa Cruz Biotechnology)を、染色、そしてその後のEnvision+システム(Dako North America)による検出のために使用した。
【
図36】mCRPCの膀胱転移を示す。矢印は、腫瘍細胞を示す(選択的な腫瘍領域のみを示す)。H-294ウサギ抗ヒトCD46抗体(Santa Cruz Biotechnology)を、染色、そしてその後のEnvision+システム(Dako North America)による検出のために使用した。
【
図37】CD46が、前立腺癌神経内分泌細胞株H660により高度に発現されることを示す。左のパネル:FACS分析。Ctr:非結合mAb。右のパネル:ウエスタンブロット分析が、CD46発現、及びH660細胞による神経内分泌マーカーNSEの発現を確認する。
【
図38】前立腺癌神経内分泌細胞株H660による抗CD46抗体の内在化を示す。YS5 IgG1を一晩、H660細胞によりしインキュベートした。細胞を固定し、浸透させ、染色し、共焦点顕微鏡により画像化した。単一の共焦点の切片を示す。抗CD46抗体を内在化すると共に、LAMP1、リソソームマーカーと共局在化させる。
【
図39】CD46 ADCがH660細胞を死滅させることを示す。異なる濃度のCD46 ADC(YS5-mcvcpab-MMAF)を、37℃で7日間、神経内分泌細胞株H660によりインキュベートした。カルセインAMアッセイを使用し、生存率を評価した。Ctr ADC:非結合IgG1-mcvcpab-MMAF。
【
図40】7日間の10μMのアビラテロン(abi)による転移性の去勢抵抗性前立腺癌細胞株LNCaP-C4-2Bの処置が、FACSにより測定されるように細胞表面CD46発現のアップレギュレーションを引き起こしたことを示す。MFI:平均蛍光強度。
【
図41】アビラテロン(Abi)で処置したLNCaP C4-2B細胞がCD46 ADCに対してより敏感であることを示す。LNCaP-C4-2B細胞を7日間、アビラテロンでインキュベートし、洗浄し、更に96時間、アビラテロンを含んでいない培地においてCD46 ADCでインキュベートし続けた。C4-2B_CD46 ADC:LNCaP C4-2B細胞を、アビラテロン(EC50=169pM)へ事前に暴露することなく、CD46 ADC(YS5-mcvcpab-MMAF)でインキュベートした。C4-2B ABI_CD46 ADC:アビラテロンへ事前に暴露させたLNCaP C4-2B細胞を、CD46 ADC(EC50=21pM)でインキュベートした。Ctr ADC:MMAFに抱合された非結合IgG1。
【
図42】エンザルタミド(ENZ)による処置後の神経内分泌細胞株H660上での細胞表面CD46のアップレギュレーションを示す。H660細胞を7日間、10μMのエンザルタミドで処置し、細胞表面抗原発現のためにFACSにより分析した。CD46はH660により高度に発現される一方、前立腺特異的膜抗原(PSMA)はかろうじて検出可能である。更に、エンザルタミドへの曝露は、腫瘍細胞表面上でのCD46発現のアップレギュレーションを引き起こした。MFI:中間の蛍光強度。
【
図43】CD46が原発性大腸癌において高度に発現されることを示す。矢印は、腫瘍細胞を示す(選択的な腫瘍領域のみを示す)。H-294ウサギ抗ヒトCD46抗体(Santa Cruz Biotechnology)を、染色、そしてその後のEnvision+システム(Dako North America)による検出のために使用した。2つのレベルの拡大(4倍及び20倍)でデジタル顕微鏡を使用して画像を撮影した。
【
図44】CD46が、肝臓に転移した原発性大腸癌において高度に発現されることを示す。矢印は、腫瘍細胞を示す(選択的な腫瘍領域のみを示す)。H-294ウサギ抗ヒトCD46抗体(Santa Cruz Biotechnology)を、染色、そしてその後のEnvision+システム(Dako North America)による検出のために使用した。2つのレベルの拡大(4倍及び20倍)でデジタル顕微鏡を使用して画像を撮影した。
【
図45】CD46が、リンパ節に転移した原発性大腸癌において高度に発現されることを示す。矢印は、腫瘍細胞を示す(選択的な腫瘍領域のみを示す)。H-294ウサギ抗ヒトCD46抗体(Santa Cruz Biotechnology)を、染色、そしてその後のEnvision+システム(Dako North America)による検出のために使用した。2つのレベルの拡大(4倍及び20倍)でデジタル顕微鏡を使用して画像を撮影した。
【
図46】CD46が、膀胱に転移した原発性大腸癌において高度に発現されることを示す。矢印は、腫瘍細胞を示す(選択的な腫瘍領域のみを示す)。H-294ウサギ抗ヒトCD46抗体(Santa Cruz Biotechnology)を、染色、そしてその後のEnvision+システム(Dako North America)による検出のために使用した。2つのレベルの拡大(4倍及び20倍)でデジタル顕微鏡を使用して画像を撮影した。
【
図47】CD46が、中皮腫におけるCD46染色の免疫組織化学分析により実証されるように、中皮腫において高度に発現されることを示す。矢印は、腫瘍細胞を示す(選択的な腫瘍領域のみを示す)。H-294ウサギ抗ヒトCD46抗体(Santa Cruz Biotechnology)を、染色、そしてその後のEnvision+システム(Dako North America)による検出のために使用した。
【
図48】CD46が膵臓癌において高度に発現されることを示す。矢印は、腫瘍細胞を示す(選択的な腫瘍領域のみを示す)。H-294ウサギ抗ヒトCD46抗体(Santa Cruz Biotechnology)を、染色、そしてその後のEnvision+システム(Dako North America)による検出のために使用した。
【
図49】CD46が、GBM及び正常脳におけるCD46染色の免疫組織化学分析により示されるように、多形性膠芽腫(GBM)により過剰発現されることを示す。CD46染色は正常ヒト脳において観察されなかったが、強力な染色はGBM試料中で観察された。H-294ウサギ抗ヒトCD46抗体(Santa Cruz Biotechnology)を、染色、そしてその後のEnvision+システム(Dako North America)による検出のために使用した。
【
図50】CD46 ADCによる中皮腫(M28)異種移植片成長のインビボでの阻害を示す。YS5-mcvcpab-MMAFを、合計5回、5mg/kgで3-4日ごとに注入した(矢印により示される)。腫瘍容量をキャリパにより測定した。YSC10は、対照非結合ヒトIgG1である。
【発明を実施するための形態】
【0359】
様々な実施形態において、多くの新たな抗CD46抗体が提供される。本明細書に記載される原型の抗体は、ファージ及び酵母菌両方の表示技術を用いて、細胞表面と組み換え型CD46上での選択の組み合わせにより確認された。これら抗体は、架橋を必要とすることなく、腫瘍選択的なマクロピノサイトーシス経路により内在化されると共に、リソソームに局在化して、抗体薬物抱合体(ADC)、及び細胞内のペイロード放出を利用する他の標的治療医薬の発達にとってそれらを十分に適したものとする。
【0360】
本明細書に記載される抗体は、CD46分子のドメイン1及び2に結合するが、主な補体結合ドメイン3及び4には結合せず、故に標準の補体カスケードを直接遮断することはない。
【0361】
細かいエピトープのマッピングはまた、本明細書に記載される抗CD46抗体と、PCT出願番号PCT/US2008/076704、及び同時係争中の米国出願US14/205,101それぞれに記載されるUA20及び2B10の抗体との間の抗原接触部位における差異を示した。カニクイザルCD46 cDNAでトランスフェクトされたCHO細胞に対する試験を行い、我々の抗CD46抗体が、ヒトとカニクイザルの間に保存されたエピトープに結合することが見出され、それにより、規制上の毒性研究に適切な種を確認した。
【0362】
FDAに承認された凍結ヒト組織パネルを治療抗体評価のために用いて、本明細書に記載される抗体により結合されるCD46エピトープが、胎盤栄養膜細胞及びより劣った程度で前立腺上皮細胞を除いて、組織が事実上無い状態で、低レベルで発現されることが見出された。反対に、CD46は、前立腺癌、多発性骨髄腫、大腸癌、膵臓癌、中皮腫、肺癌、乳癌、卵巣癌、肝臓癌、神経膠腫、神経芽腫などを含むがこれらに限定されない様々な腫瘍により過剰発現されることが、判定された。
【0363】
CD46が染色体1q32.2上に位置し、1qの利得がヒトの癌の広域スペクトルにおいて観察されたとすれば、それは、様々な悪性腫瘍の抗体療法の発達に優れた標的となる可能性がある。本明細書に記載される抗CD46抗体を利用する抗体薬物抱合体(ADC)が構築され、それらは、転移性の去勢抵抗性前立腺癌、多発性骨髄腫、大腸癌、中皮腫、卵巣癌などを含むがこれらに限定されない、インビトロでのCD46過剰発現癌細胞株を死滅させることが見出された。最も重要なことに、本明細書に記載される抗CD46 ADCは、強力なインビボの抗腫瘍活性を示し、去勢抵抗性前立腺癌及び多発性骨髄腫の異種移植片モデルにおいて腫瘍負荷を大いに低減した。この強力な抗腫瘍活性は、同様に他のCD46過剰発現腫瘍モデルにも適用可能であると考えられる。故に、本明細書に記載される研究は、標的治療の発達に有用な腫瘍細胞表面抗原としてCD46を検証する。加えて、本明細書に記載される抗CD46抗体は、患者の層別化及び処置成果のモニタリングのためのコンパニオン診断薬に使用され得る。
【0364】
これらの発見を考慮して、本明細書に記載される抗CD46抗体は、CD46を発現又は過剰発現する細胞に特異的に結合するとともに、この細胞へと内在化されると考えられる。CD46が、卵巣癌、乳癌、肺癌、前立腺癌、結腸癌、腎臓癌、膵臓癌、中皮腫、リンパ腫、肝臓癌、尿路上皮癌、胃癌、及び子宮頚癌を含むがこれらに限定されない多くの癌により発現/過剰発現されると、これら抗体は、これら及び他のCD46陽性の癌細胞を標的とすると共に、この癌細胞へと内在化するために使用され得る。
【0365】
特定の実施形態において、これら抗体は、細胞(特に癌細胞)に対するそれらの内的な細胞毒性及び/又は細胞分裂阻害性及び/又は抗増殖性の活性のために結合されたエフェクターを必要とすること無く、使用され得る。特定の実施形態において、これら抗体は、1以上のエフェクター(例えば、第2抗体、検出可能なラベル、細胞毒素、薬物を含有するリポソーム、放射性核種、薬物、プロドラッグ、ウィルス粒子、サイトカイン、キレートなど)に結合することができ、それにより、CD46を発現又は過剰発現する癌細胞に特異的に結合するとともにこの癌細胞へと内在化する免疫結合体を形成する。特定の実施形態において、複数のエフェクターが単一の抗体に結合され、又は特定の実施形態において、複数の抗体は単一のエフェクターに結合され、或いは特定の実施形態において、単一の抗体は単一の抗体に結合される。
【0366】
様々な実施形態において、これら抗体及び/又は免疫結合体の使用の方法が提供される。特定の実施形態において、前記方法は、CD46を発現又は過剰発現する細胞(例えば、卵巣癌細胞、乳癌細胞、肺癌細胞、前立腺癌細胞、結腸癌細胞、腎臓癌細胞、膵癌細胞などの癌細胞)を、構築物に接触させる工程であって、その結果として細胞への構築物(又はその一部)の内在化をもたらし、それにより標的細胞にエフェクターを送達する、工程を含む。特定の実施形態において、「接触させる工程」は、必要とする被験体(例えば、ヒト又は非ヒト哺乳動物)に抗体又は構築物を投与する工程を含む。
【0367】
<CD46を結合する抗体>
抗体は、CD46、特にドメイン1及び/又は2に特異的に結合するとともに、例えば癌細胞が組織微小環境に存在する場合にインサイツで前立腺(及び他のCD46陽性の癌細胞)により内在化されることを発見された。上記に示されるように、そのような抗体は、単独での使用時に、又は「標的エフェクター」を形成するためにエフェクターに結合された時に、癌を標的とするのに有用である。
【0368】
従って、特定の実施形態において、CD46に特異的に結合すると共に、マクロピノサイトーシスを介してCD46(例えば、前立腺癌細胞)を発現又は過剰発現する細胞に内在化される、分離された抗体が提供される。様々な実施形態において、抗体は、CD46のドメイン1及び/又はドメイン2に結合する。様々な実施形態において、抗体は、CD46のドメイン3及び/又はドメイン4に結合しない。
【0369】
YS5、YS5F、YS5vlD、SB1HGNY、YS12、3G7RY(aka 3G8)、YS6、YS1、YS3、YS4、YS8、YS7、YS9、YS10、YS11、3G7HY、3G7NY、3G7、SB2、2C8、及びUA8kappa(例えば表1を参照)として本明細書で指定される抗体は、例示的な原型の抗体である。特定の実施形態において、抗体の1以上のVL CDR1及び/又はVL CDR2、及び/又はVL CDR3、及び/又はVH CDR1及び/又はVH CDR2、及び/又はVH CDR3を含む抗体が、熟考される。特定の実施形態において、抗体の1以上のVHドメイン及び/又はVLドメインを含む抗体が、熟考される。
【0370】
また、YS5、YS5F、YS5vlD、SB1HGNY、YS12、3G7RY(aka 3G8)、YS6、YS1、YS3、YS4、YS8、YS7、YS9、YS10、YS11、3G7HY、3G7NY、3G7、SB2、2C8、及び/又はUA8kappaの1以上とCD46にて結合するために競合する抗体も熟考される。
【0371】
YS5、YS5F、YS5vlD、SB1HGNY、YS12、3G7RY(aka 3G8)、YS6、YS1、YS3、YS4、YS8、YS7、YS9、YS10、YS11、3G7HY、3G7NY、3G7、SB2、2C8、及び/又はUA8kappaの抗体のVH及びVLドメインのアミノ酸配列を、表1に示す(実施例1を参照)。
【0372】
【0373】
【0374】
【0375】
様々な実施形態において、本明細書で考慮される抗体は、PCT/US2008/076704(WO2009/039192)に記載される抗体3051.1、G12FC3、M6c42b、4F3YW、M40pr146、UA20、UA8、585II41、585II41.1、585II56、3076、3051、M49R、RCI-14、II79_4、II79_3、T5II-4B.1、T5II-4B.2、RCI-11、RCI-20、CI-11A、CI-14A、S95-2、及び/又はmPA7抗体の、3つのVH CDR及び/又は3つのVL CDRで構成される抗体を明確に除外する。これら抗体のVH及びVLの鎖のアミノ酸配列、及びこれらドメインを含むCDRは、PCT/US2008/076704に示され、これらドメインのアミノ酸配列を以下の表2に複製する。
【0376】
【0377】
【0378】
【0379】
YS5、YS5F、YS5vlD、SB1HGNY、YS12、3G7RY(aka 3G8)、YS6、YS1、YS3、YS4、YS8、YS7、YS9、YS10、YS11、3G7HY、3G7NY、3G7、SB2、2C8、及びUA8kappaの抗体について提供されるアミノ酸配列を用いて、多数の抗体形態が、例えば以下に記載されるように調製され得る。そのような形態は、限定されないが、実質的に無傷の(例えば、完全長の)免疫グロブリン(例えば、IgA、IgE、IgGなど)、抗体フラグメント(例えば、Fv、Fab、(Fab’)2、(Fab’)3、IgGΔCH2、ミニボディなど)、単鎖抗体(例えばscFv)、ダイアボディ(diabody)、ユニボディ(unibody)、アフィボディ(affibody)などを含む。
【0380】
抗体が単鎖抗体である場合、そのような抗体を含むVH及びVLのドメインは、直接一緒に、又はペプチドリンカーにより接合され得る。例示的なペプチドリンカーは、限定されないが、GGGGS GGGGS GGGGS(SEQ ID NO:67)、GGGGS GGGGS(SEQ ID NO:68)、GGGGS(SEQ ID NO:69)、GS GGGGS GGGGS GGS GGGGS(SEQ ID NO:70)、SGGGGS(SEQ ID NO:71)、GGGS(SEQ ID NO:72)、VPGV(SEQ ID NO:73)、VPGVG(SEQ ID NO:74)、GVPGVG(SEQ ID NO:75)、GVG VP GVG(SEQ ID NO:76)、VP GVG VP GVG(SEQ ID NO:77)、GGSSRSS(SEQ ID NO:78)、及びGGSSRSSSSGGGGSGGGG(SEQ ID NO:79)などを含む。
【0381】
上記に示されるように、様々な実施形態において、抗体は、例えばCD46(例えば、ドメイン1及び/又は2)に特異的に結合する。典型的に、本明細書で考慮される抗体は、DU145細胞、PC3細胞、及びLnCaP細胞から成る群から選択された細胞株の細胞を含むがこれらに限定されない、前立腺癌細胞に特異的に結合する。特定の実施形態において、抗体は、FACSにより生きている前立腺腫瘍細胞上で測定された時に、約5nMより大きな親和性(KD未満)を持つ前立腺腫瘍細胞に結合する。特定の実施形態において、親和性は、約1nM、又は約100pM、又は約50pM、又は約10pM、又は約1pMよりも大きい(KD未満)。
【0382】
本明細書で提供される配列情報を用いて、例えばYS5、YS5F、YS5vlD、SB1HGNY、YS12、3G7RY(aka 3G8)、YS6、YS1、YS3、YS4、YS8、YS7、YS9、YS10、YS11、3G7HY、3G7NY、3G7、SB2、2C8、及びUA8kappaを含むCDRの1以上を含む抗体、又はこれら抗体のVH及び/又はVLのドメインを含む抗体は、以下に記載されるように、当業者に周知の標準方法(例えば化学合成方法及び/又は組み換え発現方法)を使用して容易に調製され得る。
【0383】
加えて、他の「関連する」前立腺癌特異抗体は、同じエピトープ(例えば、CD446、及び/又はCD46を発現又は過剰発現する細胞、例えば前立腺癌細胞に結合するために、YS5、YS5F、YS5vlD、SB1HGNY、YS12、3G7RY(aka 3G8)、YS6、YS1、YS3、YS4、YS8、YS7、YS9、YS10、YS11、3G7HY、3G7NY、3G7、SB2、2C8、及び/又はUA8kappaの抗体の1以上と競合する)に結合する抗体についてスクリーニングすることにより、及び/又は、本明細書で確認されるYS5、YS5F、YS5vlD、SB1HGNY、YS12、3G7RY(aka 3G8)、YS6、YS1、YS3、YS4、YS8、YS7、YS9、YS10、YS11、3G7HY、3G7NY、3G7、SB2、2C8、及び/又はUA8kappaの抗体を修飾して、修飾した抗体のライブラリを生成し、次いで、CD46を発現又は過剰発現する細胞、例えば前立腺癌細胞への結合及び/又は内在化の改善のためにライブラリにおける抗体を再スクリーニングすることにより、確認され得る。
【0384】
<YS5、YS5F、YS5vlD、SB1HGNY、YS12、3G7RY(aka 3G8)、YS6、YS1、YS3、YS4、YS8、YS7、YS9、YS10、YS11、3G7HY、3G7NY、3G7、SB2、2C8、及び/又はUA8kappaと同じCD46エピトープに結合する他の抗体の確認>
有用な抗体標的としてCD46、具体的にドメイン1及び/又は2を確認し、且つ有用な原型の抗体としてYS5、YS5F、YS5vlD、SB1HGNY、YS12、3G7RY(aka 3G8)、YS6、YS1、YS3、YS4、YS8、YS7、YS9、YS10、YS11、3G7HY、3G7NY、3G7、SB2、2C8、及びUA8kappaの抗体を確認すると、CD46に結合し、好ましくはマクロピノサイトーシスを介して内在化される、他の「関連する」抗体は、CD46のドメイン1及び/又は2に結合する抗体についてスクリーニングすることにより、例えばCD46のドメイン1及び/又は2に特異的に結合する抗体(例えばモノクローナル抗体)を上昇させる(raising)ことにより、容易に確認され得る。付加的に又は代替的に、CD46に結合すると共にマクロピノサイトーシスにより内在化される他の抗体は、例えばYS5、YS5F、YS5vlD、SB1HGNY、YS12、3G7RY(aka 3G8)、YS6、YS1、YS3、YS4、YS8、YS7、YS9、YS10、YS11、3G7HY、3G7NY、3G7、SB2、2C8、及び/又はUA8kappaに結合されるエピトープにて、抗体YS5、YS5F、YS5vlD、SB1HGNY、YS12、3G7RY(aka 3G8)、YS6、YS1、YS3、YS4、YS8、YS7、YS9、YS10、YS11、3G7HY、3G7NY、3G7、SB2、2C8、及び/又はUA8kappaの1以上と交差反応する抗体について、及び/又は、前立腺癌細胞(例えばCaP細胞、PC3細胞など)への結合のためにYS5、YS5F、YS5vlD、SB1HGNY、YS12、3G7RY(aka 3G8)、YS6、YS1、YS3、YS4、YS8、YS7、YS9、YS10、YS11、3G7HY、3G7NY、3G7、SB2、2C8、及び/又はUA8kappaの1以上と、及び/又はYS5、YS5F、YS5vlD、SB1HGNY、YS12、3G7RY(aka 3G8)、YS6、YS1、YS3、YS4、YS8、YS7、YS9、YS10、YS11、3G7HY、3G7NY、3G7、SB2、2C8、及び/又はUA8kappaの抗体に対して上昇されたイディオタイプの抗体と交差反応する抗体について、スクリーニングすることにより確認され得る。
【0385】
<モノクローナル抗体>
CD46のドメイン1及び/又は2に結合し、好ましくはYS5、YS5F、YS5vlD、SB1HGNY、YS12、3G7RY(aka 3G8)、YS6、YS1、YS3、YS4、YS8、YS7、YS9、YS10、YS11、3G7HY、3G7NY、3G7、SB2、2C8、及び/又はUA8kappaの1以上に結合されるエピトープに結合する、モノクローナル抗体は、Kohler and Milstein (1975) Nature 256: 495に記載される標準体細胞ハイブリダイゼーション技術、Bリンパ球のウィルス又は腫瘍化転換、或いはヒト抗体遺伝子のライブラリを用いるファージディスプレイ技術等の、様々な既知の技術を用いて生成され得る。特定の実施形態において、抗体は完全なヒトモノクローナル抗体である。
【0386】
従って、1つの実施形態において、ハイブリドーマ方法が、CD46に結合する、好ましくはCD46のドメイン1及び/又はドメイン2に結合する抗体の生成のために使用される。この方法において、マウス又は他の適切な宿主動物が、免疫化に使用される抗原に特異的に結合する工程を生成する又はその生成が可能であるリンパ球を誘発するために、適切な抗原で免疫化され得る。代替的に、リンパ球はインビトロで免疫化され得る。その後、リンパ球は、ハイブリドーマ細胞を形成するために、ポリエチレングリコールなどの適切な融着剤を用いて、骨髄腫細胞に融合され得る。ハイブリドーマ細胞が成長している培養培地を、抗原に向けられたモノクローナル抗体の産生のために分析する。所望の特異性、親和性、及び/又は活性を持つ抗体を生成するハイブリドーマ細胞を確認した後、クローンを、限界希釈手順によりサブクローン化し、標準方法により成長させてもよい(同文献(Id.))。この目的に適切な培養培地は、例えば、D-MEM又はRPMI-1640培地を含む。加えて、ハイブリドーマ細胞は、動物の腹水腫瘍のようにインビボで成長し得る。サブクローンによって分泌されたモノクローナル抗体は、例えば、プロテインAセファロース、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィ、ゲル電気泳動、透析、又は親和クロマトグラフィーなどの従来の免疫グロブリン精製法によって、場用培地、腹水、又は血清から分離され得る。
【0387】
別の実施形態において、CD46のドメイン1及び/又は2に結合する抗体及び抗体部分は、例えば次のものに記載される技術を用いて生成される抗体ファージライブラリから分離され得る:McCafferty et al.(1990) Nature, 348:552-554, Clackson et al.(1991) Nature, 352:624-628, Marks et al.(1991) J. Mol.Biol., 222:581-597, Hoet et al (2005) Nature Biotechnol., 23:344-348;Ladner et al.による米国特許第5,223,409号;第5,403,484号;及び第5,571,698号;Dower et al.による米国特許出願第5,427,908号及び第5,580,717号;McCafferty et al.による米国特許出願第5,969,108号及び第6,172,197号;及びGriffiths et al.による米国特許出願第5,885,793号;第6,521,404号;第6,544,731号;第6,555,313号;第6,582,915号及び第6,593,081号。加えて、チェーンシャッフリング(chain shuffling)(Marks et al. (1992) Bio/Technology, 10:779-783)、同様に、非常に大きなファージライブラリを構築するための戦略としての組み合わせの感染及びインビボでの組み換え(Waterhouse et al. (1993) Nucl. Acids. Res., 21: 2265-2266)による、高親和性(nM範囲)ヒト化抗体の生成も、使用され得る。
【0388】
特定の実施形態において、CD46に結合し、好ましくはYS5、YS5F、YS5vlD、SB1HGNY、YS12、3G7RY(aka 3G8)、YS6、YS1、YS3、YS4、YS8、YS7、YS9、YS10、YS11、3G7HY、3G7NY、3G7、SB2、2C8、及び/又はUA8kappaの1以上に結合されるエピトープに結合する、モノクローナル抗体又はその抗原結合部分は、上述のHoet et al.に記載されるファージディスプレイ技術を用いて生成される。この技術は、ヒトドナーから分離された免疫グロブリン配列の特有の組み合わせを有するとともに、重鎖CDRに合成多様性を有している、ヒトFabライブラリの生成に関与する。ライブラリは後に、CD46に結合する、好ましくはYS5、YS5F、YS5vlD、SB1HGNY、YS12、3G7RY(aka 3G8)、YS6、YS1、YS3、YS4、YS8、YS7、YS9、YS10、YS11、3G7HY、3G7NY、3G7、SB2、2C8、及び/又はUA8kappaの1以上に結合するために競合する、Fabについてスクリーニングされる。
【0389】
また別の実施形態において、CD46に向けられ、好ましくはYS5、YS5F、YS5vlD、SB1HGNY、YS12、3G7RY(aka 3G8)、YS6、YS1、YS3、YS4、YS8、YS7、YS9、YS10、YS11、3G7HY、3G7NY、3G7、SB2、2C8、及び/又はUA8kappaの1以上に結合されるエピトープを含む、ヒトモノクローナル抗体は、マウスの免疫系よりもヒトの免疫系の部分を保因する、トランスジェニック又はトランス染色(transchromosomic)マウスを用いて、生成され得る(例えば、Lonberg, et al. (1994) Nature 368(6474): 856-859; Lonberg and Huszar, (1995) Intern. Rev. Immunol. 13: 65-93, Harding and Lonberg (1995) Ann. NY. Acad. Sci. 764: 536-546、及び、全てLonberg and Kayによる米国特許第5,545,806号;第5,569,825号;第5,625,126号;第5,633,425号;第5,789,650号;第5,877,397号;第5,661,016号;第5,814,318号;第5,874,299号;及び第5,770,429号;Surani et al.による米国特許第5,545,807号;全てLonberg and KayによるPCT公開番号WO92/03918、WO93/12227、WO94/25585、WO97/13852、WO98/24884、及びWO99/45962;及びKorman et al.によるPCT公開番号WO01/14424を参照)。
【0390】
別の実施形態において、CD46に向けられ、好ましくはYS5、YS5F、YS5vlD、SB1HGNY、YS12、3G7RY(aka 3G8)、YS6、YS1、YS3、YS4、YS8、YS7、YS9、YS10、YS11、3G7HY、3G7NY、3G7、SB2、2C8、及び/又はUA8kappaの1以上に結合されるエピトープに結合する、ヒト抗体は、ヒト重鎖導入遺伝子及びヒト軽鎖トランスクロモソーム(transchromosome)を保因するマウスなどの、導入遺伝子及びトランスクロモソーム上にヒト免疫グロブリン配列を保因するマウスを用いて、上昇され得る(例えば、Ishida et al.によるPCT公開WO02/43478を参照)。
【0391】
ヒト免疫グロブリン遺伝子を発現する代替的なトランスジェニック動物系は、当該技術分野で利用可能であり、本発明の抗CD46抗体を上昇させるために使用され得る。例えば、Xenomouse(Abgenix, Inc.)と称される代替的なトランスジェニックシステムが使用され得;そのようなマウスは、例えば、Kucherlapati et alによる米国特許第5,939,598号;第6,075,181号;第6,114,598号;第6,150,584号、及び第6,162,963号に記載される。
【0392】
ヒト免疫グロブリン遺伝子を発現する代替的なトランスクロモソーム動物系は、当該技術分野で利用可能であり、本明細書で考慮される抗CD46抗体を上昇させるために使用され得る。例えば、ヒト重鎖トランスクロモソーム及びヒト軽鎖トランスクロモソームの両方を保因するマウスが、Tomizuka et al. (2000) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 97: 722-727に記載されるように使用され得る。更に、ヒト重鎖及び軽鎖のトランスクロモソームを保因するカウが、当該技術分野で説明され(例えば、Kuroiwa et al. (2002) Nature Biotechnology 20: 889-894)、抗CD46 CCP1抗体を上昇させるために使用され得る。
【0393】
また別の実施形態において、CD46に特異的に結合し、好ましくはYS5、YS5F、YS5vlD、SB1HGNY、YS12、3G7RY(aka 3G8)、YS6、YS1、YS3、YS4、YS8、YS7、YS9、YS10、YS11、3G7HY、3G7NY、3G7、SB2、2C8、及び/又はUA8kappaの1以上に結合されるエピトープに結合する抗体が、遺伝子導入植物及び/又は培養された植物細胞(例えばタバコ、トウモロコシ、及びウキクサなど)を用いて調製され得る。例えば、抗体又はその抗原結合部分を発現するトランスジェニックなタバコの葉が、例えば誘導プロモーターを用いることによりそのような抗体を生成するために使用され得る(例えば、Cramer et al. (1999) Curr. Top. Microbol. Immunol. 240: 95-118を参照)。また、トランスジェニックなトウモロコシが、そのような抗体及びその抗原結合部分を発現するために使用され得る(例えば、Hood et al. (1999) Adv. Exp. Med. Biol. 464: 127-147を参照)。抗体はまた、例えばタバコの種子及びジャガイモの塊茎を用いて、単鎖抗体(scFv’s)などの抗体部分を含む遺伝子導入植物種子から、大量に生成され得る(例えば、Conrad et al. (1998) Plant Mol. Biol. 38: 101-109を参照)。植物中に抗体又は抗原結合部分を生成する方法はまた、例えばFischer et al. (1999) Biotechnol. Appl. Biochem. 30: 99-108, Ma et al. (1995) Trends Biotechnol. 13: 522-527, Ma et al. (1995) Plant Physiol. 109: 341-346; Whitelam et al. (1994) Biochem. Soc. Trans. 22: 940-944, 及び米国特許第6,040,498号並びに第6,815,184号に見出すことができる。
【0394】
CD46に結合する、好ましくは本明細書に開示されるものを含む任意の技術を用いて調製されたYS5、YS5F、YS5vlD、SB1HGNY、YS12、3G7RY(aka 3G8)、YS6、YS1、YS3、YS4、YS8、YS7、YS9、YS10、YS11、3G7HY、3G7NY、3G7、SB2、2C8、及び/又はUA8kappaの1以上に結合されるエピトープに結合する、モノクローナル抗体又はその一部の結合特異性は、免疫沈降、又は、放射免疫測定法(RIA)或いは酵素標識免疫定量法(ELISA)などのインビトロの結合分析により、判定され得る。モノクローナル抗体又はその一部の結合親和性は、Munson et al. (1980) Anal. Biochem., 107:220のScatchard分析により判定され得る。
【0395】
<抗イディオタイプの抗体との交差反応性>
イディオタイプは、抗体の高度に可変性の抗原結合部位を表わすとともに、それ自体が免疫原である。抗体を媒介とする免疫応答の生成中、個体は、抗原、同様に抗イディオタイプ抗体に対して抗体を発達させ、その免疫原の結合部位(イディオタイプ)は抗原を模倣する。
【0396】
抗イディオタイプ抗体は、当業者に周知の標準方法を使用して、本明細書で確認された抗体の可変領域(例えばYS5、YS5F、YS5vlD、SB1HGNY、YS12、3G7RY(aka 3G8)、YS6、YS1、YS3、YS4、YS8、YS7、YS9、YS10、YS11、3G7HY、3G7NY、3G7、SB2、2C8、及び/又はUA8kappa)に対して上昇され得る。簡潔に、抗イディオタイプ抗体は、本発明の抗体、又はそのフラグメント(例えばCDR)を動物に注入し、それにより、イディオタイプ領域における決定因子を含む抗体上の様々な抗原決定基に対して抗血清を誘発することにより、作られ得る。
【0397】
抗分析物(anti-analyte)抗体の生成方法は、当該技術分野で周知である。高分子量の抗原(約5000ダルルトンより多い)が、動物に直接注入され得、一方で低分子量の化合物(約5000ダルトン未満)は、それらに免疫原性を付与するために、高分子量の免疫原性担体(通常はタンパク質)に繋がれることが好ましい。免疫化に応じて生成された抗体は、血清、腹水、免疫グロブリン(Ig)画分、IgG画分、又は親和性を精製した単特異性材料として利用され得る。
【0398】
ポリクローナル抗イディオタイプ抗体は、上述のように調製された本発明の抗体で動物を免疫化することにより、調製され得る。一般に、抗体(例えば、ファージディスプレイライブラリ)が由来する動物と、種及びアロタイプが一致している動物を免疫化することが望ましい。これは、非イディオタイプ決定基に向けられる抗体の生成を最小限にする。後に、そうして得られた抗血清は通常、ファージディスプレイライブラリが由来する同じ種からの正常血清に対して広く吸収され、それにより、非イディオタイプ決定基に向けられた抗体を排除する。吸収度は、正常(非免疫)血清タンパク質のグルタルアルデヒドとの架橋結合により形成されたゲル上に抗血清を通すことにより、達成され得る。抗イディオタイプの特異性を持つ抗体は、直接ゲルを通過し、一方で非イディオタイプ決定基についての特異性を持つ抗体は、ゲルに結合する。不溶性多糖類の支持体(例えばセファロース)上での非免疫血清タンパク質の固定により、吸収に適切なマトリックスも提供される。
【0399】
モノクローナル抗イディオタイプ抗体は、Kohler et al. (1975) Nature 256: 495の方法を使用して生成され得る。特に、モノクローナル抗イディオタイプ抗体は、ハイブリドーマ技術を使用して調製され得、該技術は、(1)対象の抗原又はハプテン担体抱合体(即ち、本発明の抗体又はそのサブ配列)で免疫化されたマウスからの脾臓細胞を、(2)薬物耐性のために選択されたマウス骨髄腫細胞株(例えば8-アザグアニン)に融合することを含む。一般に、免疫グロブリンを分泌しない骨髄腫細胞株を使用することが望ましい。そのような様々な細胞株は、当該技術分野で既知である。通常好ましい1つの細胞株はP3X63Ag8.653である。この細胞株はCRL-1580としてAmerican Type Culture Collectionに保管されている。
【0400】
確立された方法に従い、ポリエチレングリコールの存在下で、融合を行うことができる(例えば、Monoclonal Antibodies, R. Kennett, J. McKearn & K. Bechtol, eds. N.Y., Plenum Press, 1980, and Current Topics in Microbiology & Immunology, Vol. 81, F. Melchers, M. Potter & N. L. Warner, eds., N.Y., Springer-Verlag, 1978を参照)。融合された細胞及び融合されていない細胞の結果として生ずる混合物は、ヒポキサンチン-アミノプテリン-チミジン(HAT)選択培地に播種される。これらの条件下で、ハイブリッド細胞のみが成長する。
【0401】
十分な細胞増殖が生じた場合(典型的に融合の10-14日後)、培地を採取し、固相RIA及び酵素結合抗体免疫吸着アッセイを含む多くの方法の何れか1つにより、モノクローナルの、イディオタイプの、抗分析物抗体の存在についてスクリーニングする。その後、所望特異性の抗体を含んでいる培養物ウェルから細胞は拡張し、再度クローンを作った。その後、対象の抗体に対して陽性のままである培養物からの細胞は通常、敏感で、組織適合性であり、プリスタンで刺激したマウスにおいて腹水腫瘍として通過する。
【0402】
腹水を、腹膜腔を軽くたたくことにより採取し、抗体について再試験し、上述のように精製する。分泌しない骨髄腫の株が融合に使用される場合、モノクローナル抗体の親和性精製は通常、抗体がその抗原結合特徴に関して既に均質であるので、必要とされない。必要なことは、腹水中の夾雑タンパク質からそれを分離すること、即ち免疫グロブリン画分を生成することである。
【0403】
代替的に、対象のハイブリッド細胞株は、血清を含まない組織培養、及び培養培地から採取された抗体において成長し得る。一般に、このことは、収率が低いため、大量の抗体を得るにはあまり望ましくない方法である。また、細胞をマウスの静脈内に通し、血清から抗体を採取することも可能である。この方法は通常、1つの出血につき得られる血清が少量であり、且つ他の血清成分からの広範囲の精製を必要とするため、好ましいものではない。しかし、幾つかのハイブリドーマは、腹水腫瘍として成長せず、それ故、抗体を得るためのこのような代替方法の1つが使用されねばならない。
【0404】
<YS5、YS5F、YS5vlD、SB1HGNY、YS12、3G7RY(aka 3G8)、YS6、YS1、YS3、YS4、YS8、YS7、YS9、YS10、YS11、3G7HY、3G7NY、3G7、SB2、2C8、及び/又はUA8kappaとの交差反応性>
別の方法において、CD46に結合する抗体は、本発明の「原型の」抗体(例えば、YS5、YS5F、YS5vlD、SB1HGNY、YS12、3G7RY(aka 3G8)、YS6、YS1、YS3、YS4、YS8、YS7、YS9、YS10、YS11、3G7HY、3G7NY、3G7、SB2、2C8、及び/又はUA8kappa)として同じエピトープに結合するという事実により、確認され得る。そのような抗体を確認するために、被験体のエピトープを分離する必要はない。特定の実施形態において、例えば、前立腺癌細胞(例えばCap細胞、PC3細胞など)に結合する及び/又は前立腺癌細胞へと内在化するために、及び/又はCD46に結合するために、本発明の原型の抗体と競合する抗体について、抗体ライブラリをスクリーニングすることができる。
【0405】
エピトープ結合及び/又は細胞結合及び/又は内在化についてライブラリをスクリーニングする方法は、当業者に周知である。特定の実施形態において、交差反応性の前立腺抗体は、本明細書に記載されるYS5、YS5F、YS5vlD、SB1HGNY、YS12、3G7RY(aka 3G8)、YS6、YS1、YS3、YS4、YS8、YS7、YS9、YS10、YS11、3G7HY、3G7NY、3G7、SB2、2C8、及び/又はUA8kappaの抗体の1以上との、少なくとも60%、好ましくは80%、より好ましくは90%、最も好ましくは少なくとも95%又は少なくとも99%の交差反応性を示す。
【0406】
<他の「関連する」抗CD46抗体を選択するためのファージディスプレイ方法>
YS5、YS5F、YS5vlD、SB1HGNY、YS12、3G7RY(aka 3G8)、YS6、YS1、YS3、YS4、YS8、YS7、YS9、YS10、YS11、3G7HY、3G7NY、3G7、SB2、2C8、及び/又はUA8kappa、及び/又は他の前立腺特異抗体について既知の配列を用いて、様々なファージディスプレイ(又はイーストディスプレイ)方法が、CD46に特異的に結合する、好ましくは同じ又はより大きな親和性でYS5、YS5F、YS5vlD、SB1HGNY、YS12、3G7RY(aka 3G8)、YS6、YS1、YS3、YS4、YS8、YS7、YS9、YS10、YS11、3G7HY、3G7NY、3G7、SB2、2C8、及び/又はUA8kappaに結合されるエピトープに結合する、他の抗体を生成するために使用され得る。
【0407】
<チェーンシャッフリング方法>
抗体変異体を作成する1つの方法は、ファージディスプレイ又はイーストディスプレイのライブラリにおいて新たなパートナー(チェーンシャッフリング)(Clackson et al. (1991) Nature. 352: 624-628)を作成するために、本来のVH又はVL遺伝子をV遺伝子のレパートリーに置き換えることであった。チェーンシャッフリング及びファージディスプレイを用いて、ハプテンフェニルオキサゾロン(phOx)に結合するヒトscFv抗体フラグメントの親和性は、300nMから1nM(300倍)に増大した(Marks et al. (1992) Bio/Technology 10: 779-783)。
【0408】
故に、例えば、本明細書に記載される抗CD46抗体の親和性を変えるために、突然変異型scFv遺伝子レパートリーは、原型のYS5、YS5F、YS5vlD、SB1HGNY、YS12、3G7RY(aka 3G8)、YS6、YS1、YS3、YS4、YS8、YS7、YS9、YS10、YS11、3G7HY、3G7NY、3G7、SB2、2C8、及び/又はUA8kappaの抗体(例えば、
図2に示されるように)及びヒトV
L遺伝子レパートリー(軽鎖シャフリング)のV
H遺伝子を含む状態で、作成され得る。scFv遺伝子レパートリーは、ファージディスプレイベクター、例えばpHEN-1(Hoogenboom et al. (1991) Nucleic Acids Res., 19: 4133 4137)、又は他のベクターへとクローン化され得、形質転換後、形質転換体のライブラリが得られる。
【0409】
同様に、重鎖シャッフリングについて、突然変異型scFv遺伝子レパートリーは、原型のYS5、YS5F、YS5vlD、SB1HGNY、YS12、3G7RY(aka 3G8)、YS6、YS1、YS3、YS4、YS8、YS7、YS9、YS10、YS11、3G7HY、3G7NY、3G7、SB2、2C8、及び/又はUA8kappaの抗体(例えば、
図2に示されるように)及びヒトV
H遺伝子レパートリー(重鎖シャッフリング)のV
L遺伝子を含む状態で、作成され得る。scFv遺伝子レパートリーは、ファージディスプレイベクター、例えばpHEN-1(Hoogenboom et al. (1991) Nucleic Acids Res., 19: 4133 4137)、又は他のベクターへとクローン化され得、形質転換後、形質転換体のライブラリが得られる。
【0410】
結果として生じるライブラリは、関連する標的(例えばCD46)に対して、及び/又は、YS5、YS5F、YS5vlD、SB1HGNY、YS12、3G7RY(aka3G8)、YS6、YS1、YS3、YS4、YS8、YS7、YS9、YS10、YS11、3G7HY、3G7NY、3G7、SB2、2C8、及び/又はUA8kappaとの交差反応性について、スクリーニングされ得る。
【0411】
<結合親和性を改善する部位特異的突然変異誘発>
アミノ酸側鎖に接触する抗原の多くは典型的に相補性決定領域(CDR)に位置し、VH(CDRl、CDR2、及びCDR3)に3つ、及びVL(CDRl、CDR2、及びCDR3)に3つが位置する(Chothia et al. (1987) J. Mol. Biol.,196: 901 917; Chothia et al. (1986) Science, 233: 755 8; Nhan et al. (1991) J. Mol. Biol., 217: 133 151)。これら残基は、抗原のための抗体親和性の原因となる、多くの結合エネルギーに起因する。他の分子において、リガンドに接触するアミノ酸の突然変異は、その結合パートナーのために1つのタンパク質の親和性を増大させるのに有効な手段であると示された(Lowman et al. (1993) J. Mol. Biol., 234: 564 578; Wells (1990) Biochemistry, 29: 8509 8516)。例えば本明細書の実施例に記載されるように、特にCD46に結合するための、CDRの部位特異的突然変異誘発、及び前立腺癌細胞に対するスクリーニングは、結合親和性が改善された抗体を生成することができる。
【0412】
<より高い親和性を持つヒトscFvを生成するためのCDR無作為化>
単純な部位特異的突然変異誘発の拡張において、突然変異型抗体ライブラリが作成され得、そこでは、部分的又は全体のCDRが無作為化される(VL CDRl CDR2及び/又はCDR3及び/又はVH CDR1、CDR2及び/又はCDR3)。1つの実施形態において、CDRはそれぞれ、テンプレートとして既知の抗体(例えば、YS5、YS5F、YS5vlD、SB1HGNY、YS12、3G7RY(aka 3G8)、YS6、YS1、YS3、YS4、YS8、YS7、YS9、YS10、YS11、3G7HY、3G7NY、3G7、SB2、2C8、及び/又はUA8kappa)を用いて、別個のライブラリにおいて無作為化される。各CDRライブラリからの最も高い親和性突然変異体のCDR配列は、付加的な親和性の増加を得るために組み合わされる。同様の方法が、3.4×10-10から9.0×10-13Mまで1500倍以上に、成長ホルモン受容体のためにヒト成長ホルモン(hGH)の親和性を増大させるために使用された(Lowman et al. (1993) J. Mol. Biol., 234: 564 578)。
【0413】
VH CDR3は頻繁に、結合ポケットの中心を占領し、故に、この領域における突然変異は、親和性の増大を結果としてもたらす(Clackson et al. (1995) Science, 267: 383-386)。1つの実施形態において、VH CDR3残基が無作為化される(例えば、Schier et al. (1996) Gene, 169: 147-155; Schier and Marks (1996) Human Antibodies and Hybridomas. 7: 97 105, 1996;及びSchier et al. (1996) J. Mol. Biol. 263: 551 567を参照)。
【0414】
<他の抗体修飾>
1つの実施形態において、YS5、YS5F、YS5vlD、SB1HGNY、YS12、3G7RY(aka 3G8)、YS6、YS1、YS3、YS4、YS8、YS7、YS9、YS10、YS11、3G7HY、3G7NY、3G7、SB2、2C8、及び/又はUA8kappaの抗体に由来する部分的な抗体配列が、構造的及び機能的に関連する抗体を生成するために使用され得る。例えば、抗体は、優位に6つの重鎖及び軽鎖の相補性決定領域(CDR)に位置するアミノ酸残基を介して、標的抗原と相互に作用する。この理由により、CDR内のアミノ酸配列は、CDRの外側の配列よりも、個々の抗体の間において多様である。CDR配列が大抵の抗体抗原相互作用に起因するので、異なる特性を持つ異なる抗体からフレームワーク配列上に移植された特定の自然に生じる抗体からのCDR配列を含む、発現ベクターを構築することにより、特定の自然に生じる抗体の特性を模倣する組み換え型抗体を発現することが、可能である(例えば、Riechmann et al. (1998) Nature 332: 323-327; Jones et al., (1986) Nature 321: 522-525;及びQueen et al. (1989) Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 86: 10029-10033を参照)。そのようなフレームワーク配列は、生殖系列抗体遺伝子配列を含む公的なDNAデータベースから得ることができる。
【0415】
故に、CDRなどの、本発明の抗CD46抗体の1以上の構造上の特徴は、例えばYS5、YS5F、YS5vlD、SB1HGNY、YS12、3G7RY(aka 3G8)、YS6、YS1、YS3、YS4、YS8、YS7、YS9、YS10、YS11、3G7HY、3G7NY、3G7、SB2、2C8、及び/又はUA8kappaの抗体の少なくとも1つの機能特性(例えば、前立腺癌細胞に結合及び内在化すること)を保持する、構造上関連する抗CD46抗体を作成するために使用され得る。
【0416】
特定の実施形態において、1以上のYS5、YS5F、YS5vlD、SB1HGNY、YS12、3G7RY(aka 3G8)、YS6、YS1、YS3、YS4、YS8、YS7、YS9、YS10、YS11、3G7HY、3G7NY、3G7、SB2、2C8、及び/又はUA8kappaのCDR領域(例えば、VH CDR1、及び/又はCDR2、及び/又はCDR3)が、付加的な、組み換えにより操作された抗CD46抗体を作成するために、既知のヒトフレームワーク領域及びCDRと組み換えにより組み合わされる。重鎖及び軽鎖の可変フレームワーク領域は、同じ又は異なる抗体配列に由来し得る。
【0417】
抗原のための抗体の結合特異性/親和性において、抗体の重鎖及び軽鎖のCDR3ドメインが特に重要な役割を果たすことは、当該技術分野で周知である(例えば、Hall et al. (1992) J. Immunol. , 149: 1605-1612; Polymenis et al. (1994) J. Immunol., 152: 5318-5329; Jahn et al. (1995) Immunobiol., 193:400-419; Klimka et al. (2000) Brit. J. Cancer, 83: 252-260; Beiboer et al. (2000) J. Mol. Biol, 296: 833-849; Rader et al. (1998) Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 95: 8910-8915; Barbas et al. (1994) J. Am. Chem. Soc., 116: 2161-2162; Ditzel et al. (1996) J. Immunol., 157: 739-749を参照)。従って、特定の実施形態において、本明細書に記載される特定の抗体(例えば、YS5、YS5F、YS5vlD、SB1HGNY、YS12、3G7RY(aka 3G8)、YS6、YS1、YS3、YS4、YS8、YS7、YS9、YS10、YS11、3G7HY、3G7NY、3G7、SB2、2C8、及び/又はUA8kappa)の重鎖及び/又は軽鎖のCDR3を含む抗体が、精製される。従って、特定の実施形態において、本明細書に記載される特定の抗体(例えば、YS5、YS5F、YS5vlD、SB1HGNY、YS12、3G7RY(aka 3G8)、YS6、YS1、YS3、YS4、YS8、YS7、YS9、YS10、YS11、3G7HY、3G7NY、3G7、SB2、2C8、及び/又はUA8kappa)の重鎖及び/又は軽鎖のCDR1を含む抗体が、精製される。抗体は更に、本発明の抗体(例えば、YS5、YS5F、YS5vlD、SB1HGNY、YS12、3G7RY(aka 3G8)、YS6、YS1、YS3、YS4、YS8、YS7、YS9、YS10、YS11、3G7HY、3G7NY、3G7、SB2、2C8、及び/又はUA8kappa)の他の重鎖及び/又は軽鎖のCDRを含み得る。
【0418】
特定の実施形態において、上述の操作された抗体のCDR1、2、及び/又は3の領域は、本明細書に開示されるもの(例えば、CDRsYS5、YS5F、YS5vlD、SB1HGNY、YS12、3G7RY(aka 3G8)、YS6、YS1、YS3、YS4、YS8、YS7、YS9、YS10、YS11、3G7HY、3G7NY、3G7、SB2、2C8、及び/又はUA8kappa)のような正確なアミノ酸配列を含み得る。しかし、当業者は、正確なCDR配列からの偏向の幾つかが可能である一方、CD46に効果的に結合する抗体の能力(例えば、保存的なアミノ酸置換)を今なお保持していることを認識する。従って、別の実施形態において、操作された抗体は、例えば、YS5、YS5F、YS5vlD、SB1HGNY、YS12、3G7RY(aka 3G8)、YS6、YS1、YS3、YS4、YS8、YS7、YS9、YS10、YS11、3G7HY、3G7NY、3G7、SB2、2C8、及び/又はUA8kappaの抗体の1以上に、90%、95%、98%、99%、又は99.5%同一である1以上のCDRで構成され得る。
【0419】
別の実施形態において、CDRの1以上の残基は、より好ましいオンレートの(on-rate)の結合を達成するために結合を修飾するように変更され得る。この戦略を用いて、例えば1010M-1以上の極めて高い結合親和性を持つ抗体が達成され得る。当該技術分野で周知であり且つ本明細書に記載される、親和性成熟技術は、CDR領域を変更し、その後、結合における所望の変化について結果として生ずる結合分子をスクリーニングするために、使用され得る。従って、CDRが変更されると、免疫原性と同様に、結合親和性の変化がモニタリングされ、最良の組み合わされた結合及び低い免疫原性のために最適化された抗体を達成するように採点され得る。
【0420】
CDRの内の修飾に加えて、又はそれに代わって、修飾はまた、このような修飾が抗体の結合親和性を排除しない限り、抗体の重鎖及び/又は軽鎖の可変領域のフレームワーク領域、FR1、FR2、FR3、及びFR4の1以上の中で行われ得る。
【0421】
別の実施形態において、抗体は、例えば、癌を処置する際に抗体の効果を増強するように、エフェクター機能に関して更に修飾される。例えば、システイン残基は、Fc領域において導入され、それにより、この領域における鎖間のジスルフィド結合形成が可能となり得る。故に生成されたホモ二量体抗体は、内在化の能力が改善し、及び/又は、補体媒介の細胞死滅及び抗体依存性細胞毒性(ADCC)を増大させ得る(例えば、Caron et al. (1992) J. Exp Med. 176: 1191-1195; Shopes (1992) J. Immunol. 148: 2918-2922を参照)。抗腫瘍活性が増強されたホモ二量体抗体はまた、ヘテロ二官能性クロスリンカーを用いて調製され得る(例えば、Wolff et al. (1993) Cancer Res. 53:2560-2565を参照)。代替的に、二重のFc領域を有しており、それにより補体溶解及びADCC能力が増強される抗体が、操作され得る(例えば、Stevenson et al. (1989) Anti-Cancer Drug Design 3: 219-230を参照)。
【0422】
<抗体の生成>
様々な実施形態において、本明細書に記載される抗体は、化学合成により生成され得るか、又は組み換えにより発現され得る。
【0423】
<化学合成>
本明細書に提供される配列情報を用いて、本明細書に記載されるCD46特異抗体(例えばYS5、YS5F、YS5vlD、SB1HGNY、YS12、3G7RY(aka 3G8)、YS6、YS1、YS3、YS4、YS8、YS7、YS9、YS10、YS11、3G7HY、3G7NY、3G7、SB2、2C8、及び/又はUA8kappa)、又はその変異体が、ペプチド合成の周知の方法を用いて化学的に合成され得る。配列のC末端アミノ酸が不溶性支持体に結合され、その後配列の中の残りのアミノ酸が連続的に付加される、固相合成は、単鎖抗体の化学合成に好ましい1つの方法である。固相合成のための技術は、Barany and Merrifield, Solid Phase Peptide Synthesis; pp. 3-284 in The Peptides: Analysis, Synthesis, Biology. Vol. 2: Special Methods in Peptide Synthesis, Part A., Merrifield et al. (1963) J. Am. Chem. Soc., 85: 2149-2156, 及びStewart et al. (1984) Solid Phase Peptide Synthesis, 2nd ed. Pierce Chem. Co., Rockford, Illに記載される。
【0424】
<前立腺癌特異抗体の組み換え発現>
特定の実施形態において、本明細書に記載されるCD46特異抗体(例えばYS5、YS5F、YS5vlD、SB1HGNY、YS12、3G7RY(aka 3G8)、YS6、YS1、YS3、YS4、YS8、YS7、YS9、YS10、YS11、3G7HY、3G7NY、3G7、SB2、2C8、及び/又はUA8kappa)、又はその変異体が、当業者に周知の方法を用いて組み換え発現される。例えば、本明細書に提供されるYS5、YS5F、YS5vlD、SB1HGNY、YS12、3G7RY(aka 3G8)、YS6、YS1、YS3、YS4、YS8、YS7、YS9、YS10、YS11、3G7HY、3G7NY、3G7、SB2、2C8、及び/又はUA8kappaの配列情報を用いて、所望の抗体をコード化する核酸が、当業者に既知の多くの標準方法に従って調製され得る。核酸は、後に所望の抗体又はその鎖を発現する宿主細胞にトランスフェクトされる。
【0425】
これらの目的を達成するための分子クローニング技術は、当該技術分野で既知である。種々様々なクローン化及びインビトロでの増幅方法が、組み換え型核酸の構築に適している。多くのクローン化運動(exercises)を介して当業者に向けるのに十分なこのような技術及び指示の例は、Berger and Kimmel, Guide to Molecular Cloning Techniques, Methods in Enzymology volume 152 Academic Press, Inc., San Diego, CA (Berger); Sambrook et al. (1989) Molecular Cloning A Laboratory Manual (2nd ed.) Vol. 1-3, Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor Press, NY, (Sambrook);及びCurrent Protocols in Molecular Biology, F.M. Ausubel et al., eds., Current Protocols, a joint venture between Greene Publishing Associates, Inc. and John Wiley & Sons, Inc., (1994 Supplement) (Ausubel)に見出される。組み換え型免疫グロブリンを生成する方法は、当該技術分野で既知である。Cabilly, 米国特許第4,816,567号;及びQueen et al. (1989) Proc. Natl Acad. Sci. USA 86: 10029-10033を参照。加えて、抗体の発現に関する詳細なプロトコルも、Liu et al. (2004) Cancer Res. 64: 704-710, Poul et al. (2000) J. Mol. Biol. 301: 1149-1161などに提供される。
【0426】
<他の抗体形態の生成>
本明細書で提供される単鎖抗体の既知の及び/又は確認された配列(例えばVH及び/又はVL配列)を用いて、他の抗体形態が容易に作成され得る。そのような形態は、限定されないが、多価抗体、完全な抗体、scFv、(scFv’)2、Fab、(Fab’)2、キメラ抗体などを含む。
【0427】
<ホモ二量体の作成>
例えば、(scFv’)2抗体を作成するために、2つの抗CD46抗体が、リンカー(例えば、炭素リンカー、ペプチドなど)を介して、又は、例えば2つのシステイン間のジスルフィド結合を介して、接合される。故に、例えば、ジスルフィドが結合したscFvを作成するために、システイン残基が、本明細書に記載される抗体のカルボキシ末端での部位定方向突然変異により導入され得る。
【0428】
scFvはこの構築物から発現され、IMACにより精製され、ゲル濾過により分析され得る。(scFv’)2二量体を生成するために、システインは、1mMの3-メルカプトエタノールでのインキュベーションにより還元され、scFvの半分はDTNBの付加により遮断される。遮断された及び遮断されないscFvは一緒にインキュベートされることで(scFv’)2を形成し、結果として生じる材料はゲル濾過により分析され得る。結果として生じる二量体の親和性は、例えばBIAcoreによる標準方法を使用して判定され得る。
【0429】
1つの例示的な実施形態において、(scFv’)2二量体は、リンカー、例えばペプチドリンカーを介してscFv’フラグメントを接合することにより作成される。これは、当業者に周知の種々様々な手段により達成され得る。例えば、1つの方法が、Holliger et al. (1993) Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 90: 6444-6448(WO94/13804も参照)に記載されている。
【0430】
本明細書に提供されるVH及び/又はVLの配列を用いて、Fab及び(Fab’)2の二量体も容易に調製され得ることに、注意されたい。Fabは、ジスルフィド結合によりVH-CH1に接合された軽鎖であり、当業者に既知の標準方法を使用して容易に作成され得る。F(ab)’2は、例えば(scFv’)2二量体について上述されるように、Fabを二量化することにより生成され得る。
【0431】
<キメラ抗体>
本明細書で考慮される抗体はまた、「キメラ」抗体を含み、そこでは、重鎖及び/又は軽鎖の一部が、所望の生物活性を提示する限り、特定の種に由来するか又は特定の抗体の分類又はサブ分類に属している抗体における、対応する配列と同一であるか又は該配列に相同しており、一方で鎖の残りは、別の種に由来するか又は別の抗体の分類又はサブ分類に属している抗体、同様にそのような抗体のフラグメントにおける、対応する配列と同一であるか又は該配列に相同しているが、それらが所望の生物活性を示す場合に限る(例えば、米国特許第4,816,567号; Morrison et al. (1984) Proc. Natl. Acad. Sci. 81: 6851-6855などを参照)。
【0432】
本明細書に提供される原型の抗体(例えばYS5、YS5F、YS5vlD、SB1HGNY、YS12、3G7RY(aka 3G8)、YS6、YS1、YS3、YS4、YS8、YS7、YS9、YS10、YS11、3G7HY、3G7NY、3G7、SB2、2C8、及び/又はUA8kappa)が完全なヒト抗体である一方、キメラ抗体は、特にそのような抗体がヒト以外の種に使用される場合に(例えば、獣医学的適用)、考慮される。キメラ抗体は、2つの異なる種からの部分(例えば、ヒト及び非ヒトの部分)を含む抗体である。典型的に、キメラ抗体の抗原を組み合わせた領域(又は可変領域)は、1つの種のソースに由来し、(免疫グロブリンに生物学的エフェクター機能を付与する)キメラ抗体の定常領域は、別のソースに由来する。キメラ抗体を生成する多くの方法は、当業者に周知である(例えば、米国特許第5,502,167号、5,500,362号、5,491,088号、5,482,856号、5,472,693号、5,354,847号、5,292,867号、5,231,026号、5,204,244号、5,202,238号、5,169,939号、5,081,235号、4,975,369号、及びPCT出願WO91/0996を参照)。
【0433】
一般に、キメラ抗体を生成するために使用される手順は、以下の工程から成る(幾つかの工程の順序が抗体されてもよい):(a)抗体分子の抗原結合部分をコード化する正確な遺伝子フラグメントを確認且つクローン化する工程;この遺伝子フラグメント(重鎖についてVDJ、可変、多様性、及び結合の領域、又は軽鎖についてVJ、可変、結合の領域、又は端に、V又は可変領域、或いはVH及びVL領域として知られている)は、cDNA又は遺伝子の形態の何れかであり得る;(b)ヒト定常領域又はその所望の部分をコード化する遺伝子フラグメントをクローン化する工程;(c)完全なキメラ抗体が転写可能且つ翻訳可能な形態でコード化されるように、定常領域へ可変領域をライゲートする工程;(d)プロモーター、エンハンサー、及びポリ(A)付加シグナルなどの、選択可能なマーカー及び遺伝子制御領域を含有するベクターへこの構築物をライゲートする工程;(e)宿主細胞(例えば細菌)においてこの構築物を増幅する工程;(f)真核細胞、最も頻繁には哺乳動物リンパ球にDNAを導入する工程(トランスフェクション);及び、キメラ抗体の発現に適している条件下で宿主細胞を培養する工程。
【0434】
様々な別個の抗原結合特異性を持つ抗体は、キメラタンパク質(例えば、抗TNP:Boulianne et al. (1984) Nature, 312: 643)及び抗腫瘍抗原を生成するために、これらのプロトコルにより取り扱われた(例えば、Sahagan et al. (1986) J. Immunol., 137: 1066)。同様に、様々な異なるエフェクター機能が、新たな配列を、抗原結合領域をコード化する配列に結合することにより達成された。これらの幾つかは、酵素(Neuberger et al. (1984) Nature 312: 604)、別の種からの免疫グロブリン定常領域、及び別の免疫グロブリン鎖の定常領域を含む(Sharon et al. (1984) Nature 309: 364; Tan et al., (1985) J. Immunol. 135: 3565-3567)。
【0435】
特定の実施形態において、組み換え型DNAベクターが、抗CD46(例えば、前立腺癌特異)抗体を生成する細胞株をトランスフェクトするために使用される。新規な組み換え型DNAベクターは、細胞株において免疫グロブリン定常領域をコード化する遺伝子の全て又は一部を置換するための「置換遺伝子」(例えば、置換遺伝子は、薬物、毒素、又は他の分子などへの抱合を促進するために、ヒト免疫グロブリン、特異的免疫グロブリン分類、又は酵素、毒素、生物学的に活性なペプチド、成長因子、阻害剤、又はリンカーペプチドの定常領域の全て又は一部をコード化し得る)、及び、抗体を生成する細胞内の免疫グロブリン配列に相同する、標的とされた組み換えを可能にする「標的配列」を包含する。
【0436】
別の実施形態において、組み換え型DNAベクターは、所望のエフェクター機能を持つ抗体(例えば、ヒト免疫グロブリンの定常領域)を生成する細胞株をトランスフェクトするために使用され、その場合、組み換え型ベクターに含有される置換遺伝子は、本発明の前立腺癌特異抗体の領域の全て又は一部をコード化し、組み換え型ベクターに含有される標的配列は、抗体を生成する細胞内での相同遺伝子の組み換え及び標的遺伝子修飾を可能にする。何れかの実施形態において、可変又は定常領域の一部のみが置換されると、結果として生じるキメラ抗体は、同じ抗原を画定することができ、及び/又は、変更され又は改善された同じエフェクター機能を有しており、それにより、キメラ抗体は、がより大きな抗原特異性、より大きな親和結合定数、エフェクター機能の増大、又はトランスフェクトされた抗体を生成する細胞株による分泌及び生成の増大を実証し得る。
【0437】
実施された実施形態にかかわらず、(選択可能なマーカーを介して)統合されたDNAのための選択のプロセス、キメラ抗体生成についてのスクリーニング、及び細胞のクローン化は、キメラ抗体を生成する細胞のクローンを得るために使用され得る。
【0438】
故に、モノクローナル抗体のための修飾をコード化する1片のDNAは、B細胞又はハイブリドーマ細胞株内に発現された免疫グロブリン遺伝子の部位に直接標的とされ得る。任意の特定の修飾のためのDNA構築物は、任意のモノクローナル細胞株又はハイブリドーマのタンパク質生成を変更するために作られ得る。遺伝子がランダムな位置ではなくその天然の染色体位置に存在する場合、キメラ抗体の発現レベルはより高くなくてはならない。キメラ(ヒト化)抗体の調製のための詳細な方法は、米国特許第5,482,856号に見出すことができる。
【0439】
<無傷のヒト抗体>
別の実施形態において、本発明は、無傷の、完全なヒト抗CD46(例えば、前立腺癌特異)抗体を提供する。そのような抗体は、キメラ・ヒト化抗体の作成と同様の方法で容易に生成され得る。この例において、例えばマウスに由来する認識機能を使用する代わりに、本明細書に記載される抗体の完全なヒト認識機能(例えば、VH及びVL)が利用される。
【0440】
<ダイアボディ>
特定の実施形態において、本明細書に記載されるVH及びVLのドメインの1以上を含むダイアボディが考慮される。用語「ダイアボディ」は、2つの抗原結合部位を典型的に有する抗体フラグメントを指す。該フラグメントは典型的に、同じポリペプチド鎖(VH-VL)において軽鎖可変ドメイン(VL)に接続される重鎖可変ドメイン(VH)を含む。同じ鎖上の2つのドメイン間で対にすることを可能にするには短すぎるリンカーの使用によって、ドメインは、別の鎖の相補的なドメインと対になり、且つ2つの抗原結合部位を生成することを強いられる。ダイアボディは、例えばEP404,097;WO93/11161、及びHolliger et al. (1993) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90: 6444-6448においてより詳細に記載される。
【0441】
<ユニボディ>
特定の実施形態において、本明細書で提供される配列情報を用いて、抗CD46抗体はユニボディとして構築され得る。ユニボディは、特定の小さな抗体のフォーマットよりも長い治療濃度域が予測される、安定した、より小さな抗体のフォーマットを生成する抗体技術である。特定の実施形態において、ユニボディは、抗体のヒンジ領域の排除によりIgG4抗体から生成される。完全な大きさのIgG4抗体とは異なり、分子フラグメントの半分は、非常に安定しており、ユニボディと称される。IgG4分子を半分にすることで、ユニボディ上に、標的に結合することができる領域が1つだけ残る。ユニボディを生成する方法は、PCT公開WO2007/059782において詳細に記載され、これはその全体において参照により本明細書に組み込まれる(例えば、Kolfschoten et al. (2007) Science 317: 1554-1557も参照)。
【0442】
<アフィボディ>
特定の実施形態において、本明細書で提供される配列情報は、CD46に結合するアフィボディ分子を構築するために使用される。アフィボディ分子はブドウ球菌Aタンパク質のIgG結合ドメインの1つに由来する、58-アミノ酸残基タンパク質ドメインに基づく、親和性タンパク質の分類である。この3つのヘリックス束のドメインは、組み合わせのファージミドライブラリの構築のための足場として使用され、前記ライブラリからは、所望の分子を標的とするアフィボディ変異体が、ファージディスプレイ技術を用いて選択され得る(例えば、Nord et al. (1997) Nat. Biotechnol. 15: 772-777; Ronmark et al. (2002) Eur. J. Biochem., 269: 2647-2655.を参照)。アフィボディの詳細及び製造方法は、当業者に既知である(例えば、全体において参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第5,831,012号を参照)。
【0443】
上述の抗体は、当業者に周知の方法を用いて、全体の無傷の抗体(例えばIgG)、抗体フラグメント、又は単鎖抗体として提供され得ることが、認識される。加えて、抗体は、免疫原性を減少させるために根本的に任意の哺乳動物種由来であり得るが、抗体及び/又は免疫結合体が使用される種に由来する抗体を使用することが望ましい。言い換えれば、ヒトに使用するために、ヒト抗体、ヒト化抗体、又はキメラ・ヒト抗体を使用することが望ましい。
【0444】
<抗体/ポリペプチドの結合親和性の測定>
上述のように、結合活性の増大のための選択は、標的抗原のための抗体(例えば、CD46、特に、YS5、YS5F、YS5vlD、SB1HGNY、YS12、3G7RY(aka3G8)、YS6、YS1、YS3、YS4、YS8、YS7、YS9、YS10、YS11、3G7HY、3G7NY、3G7、SB2、2C8、及び/又はUA8kappaの1以上に結合されるエピトープ)の親和性の測定を含み得る。そのような測定を行う方法は、当業者に周知である。簡潔に、例えば、抗体のKdは、例えばBIAcore、即ち表面プラズモン共鳴に基づくバイオセンサーにおいて標的細胞に結合する動態(kinetics)から判定される。この技術のために、抗原又は細胞は、質量変化を検出することができる、誘導体化されたセンサチップに繋がれる。抗体がセンサチップ上を通過すると、抗体は、定量化可能な質量の増加を結果としてもたらす抗原に結合する。抗体の濃度に応じた会合の速度の測定を用いて、会合速度定数(kon)を計算することができる。会合フェーズの後、緩衝液がチップの上を通過し、抗体の解離の速度(Koff)が判定される。Konは典型的に1.0×102から5.0×106の範囲で、Koffは1.0×10-1から1.0×10-6の範囲で測定される。平衡定数Kdは頻繁に、Koff/konとして計算され、故に10-5から10-12の範囲で典型的に測定される。この方法で測定される親和性は、蛍光消光滴定(fluorescence quench titration)により溶液中で測定される親和性と、十分に相関する。
【0445】
<YS5、YS5F、YS5vlD、SB1HGNY、YS12、3G7RY(aka 3G8)、YS6、YS1、YS3、YS4、YS8、YS7、YS9、YS10、YS11、3G7HY、3G7NY、3G7、SB2、2C8、及び/又はUA8kappa、或いは他の抗CD46抗体を含む、免疫結合体>
本明細書にされる原型の抗抗CD46抗体(例えばYS5、YS5F、YS5vlD、SB1HGNY、YS12、3G7RY(aka 3G8)、YS6、YS1、YS3、YS4、YS8、YS7、YS9、YS10、YS11、3G7HY、3G7NY、3G7、SB2、2C8、及び/又はUA8kappa)は、前立腺癌細胞及び他のCD46溶性の癌細胞に特定気に結合するとともに、それらにより内在化される。前記抗体は、(例えば、前立腺癌細胞の成長及び/又は増殖を阻害するための)治療として単独で使用することができ、又は、CD46を発現する様々な癌細胞(例えば、分離細胞、転移細胞、固形腫瘍細胞など)へのエフェクター(例えば、細胞毒素、ラベル、放射性核種、リガンド、抗体、薬物、リポソーム、ナノ粒子、ウィルス粒子、サイトカインなど)の効果的且つ特異的な送達をもたらす、エフェクター形成免疫結合体に結合され得る。
【0446】
抗CD46免疫結合体は、本明細書に記載される抗体又はその抗原結合部分を、エフェクター(例えば、検出可能なラベル、別の治療剤など)に抱合することにより、形成され得る。適切な薬剤は、例えば、細胞毒性剤又は細胞分裂阻害剤(例えば、化学療法剤)、毒素(例えば、細菌、真菌、植物、又は動物の器官、或いはそれらのフラグメントの酵素学的に活性な毒素)、及び/又は放射性同位体(即ち、放射抱合体(radioconjugate))を含む。
【0447】
特定の実施形態において、エフェクターは検出可能なラベルを含む。適切な検出可能なラベルは、限定されないが、放射線不透過性ラベル、ナノ粒子、PETラベル、MRIラベル、放射性ラベルなどを含む。放射性核種の中で、及び本発明の様々な実施形態において有用な、γ放射体、陽電子放射体、X線放射体、及び蛍光放射体は、局在化、診断、及び/又は段階分け、及び/又は治療に適しているが、β及びα放射体、電子、並びに、ホウ素及びウラニウムなどの中性子捕捉剤も、治療のために使用され得る。
【0448】
検出可能なラベルは、外部検出器及び/又は内部検出器と共に使用することができ、前立腺癌細胞を効果的に局在化及び/又は視覚化する手段を提供する。そのような検出/視覚化は、手術前及び手術時の設定を含むがこれらに限定されない、様々な情況に有用であり得る。故に、特定の実施形態において、本発明は、哺乳動物の身体における前立腺癌細を手術中に検出する方法に関連する。これら方法は典型的に、検出器(例えば、γ検出プローブ)による検出に十分な質量で、検出可能なラベルで標識化した前立腺癌特異抗体(例えば、放射性同位体、161Tb、123I、125Iなどで標識化された本発明の抗体)を含む組成物を哺乳動物に投与する工程、その後、標的組織により活性物質が摂取されるのを可能にする工程、及び好ましくはラベルの血液クリアランスの後に、例えばγ検出プローブを用いて身体の関連領域において放射免疫検出法技術に哺乳動物をさらす工程を含む。
【0449】
特定の実施形態において、ラベルに結合された抗体は、放射ガイドされた(radioguided)手術の技術に使用され得、ここで、被験体の身体における関連する組織は、検出器、例えばγ検出プローブにより手術時に検出され且つ位置付けられ得る。外科医は、放射性同位体、つまり、例えば低エネルギーγ光子放射体で標識化された化合物の取り込みが行われる組織を見出すために、このプローブを手術時に使用することができる。特定の実施形態において、そのような方法は、原発腫瘍から転移細胞により生成された二次癌を局在化且つ取り除くのに、特に有用である。
【0450】
検出可能なラベルに加えて、特定の好ましいエフェクターは、限定されないが、細胞毒素(例えば、緑膿菌外毒素、リシン、アブリン、ジフテリア毒素など)、細胞毒性薬、又はプロドラッグを含み、その場合、キメラ分子は、前立腺癌細胞へと細胞毒素を特異的に標的とする、強力な細胞殺滅剤として作用し得る。
【0451】
また他の実施形態において、エフェクターは、薬物(例えばアブラキサン、ドキソルビシン、パミドロン酸二ナトリウム、アナストロゾール、エキセメスタン、シクロホスファミド、エピルビシン、トレミフェン、レトロゾール、トラスツズマブ、メゲストロールタモキシフェン、パクリタキセル、ドセタキセル、カペシタビン、酢酸ゴセレリン、ゾレドロン酸、ビンブラスチンなどの抗癌剤)、免疫系の構成成分により結合された細胞の認識を刺激する抗原、免疫系の構成成分に特異的に結合するとともにそれらを前立腺癌に向ける抗体などを包んだリポソームを含み得る。
【0452】
<例示的なエフェクター>
<組成物の撮像>
特定の実施形態において、抗CD46免疫結合体は、腫瘍部位へと検出可能なラベルを向けるために使用され得る。これにより、腫瘍の検出及び/又は局在化を促進することができる。それは、原発腫瘍、又は特定の実施形態において、例えば例えば前立腺転移細胞により生成される二次腫瘍の検出に、有効であり得る。特定の実施形態において、免疫結合体のエフェクター成分は、「放射線不透過性」ラベル、例えば、X線を使用して容易に視覚化することができるラベルを含む。放射線不透性物質は、当業者に周知である。最も一般的な放射線不透性物質は、ヨウ化物、臭化物、又はバリウム塩を含む。他の放射線不透性物質も知られており、これは限定されないが、有機ビスマス誘導体(例えば米国特許第5,939,045号を参照)、放射線不透性ポリウレタン(例えば米国特許第5,346,981号を参照)、有機ビスマス粗製物(例えば米国特許第5,256,334号を参照)、放射線不透性バリウムポリマー複合体(例えば米国特許第4,866,132号を参照)などを含む。
【0453】
本明細書に記載される抗CD46抗体は、放射線不透性部分に直接結合され得、又は、例えば以下に記載されるように、放射線不透性物質を運ぶ、含有する、又は含む「パッケージ」(例えば、キレート、リポソーム、ポリマーマイクロビーズ、ナノ粒子など)に結合され得る。
【0454】
放射線不透性ラベルに加えて、他のラベルも使用に適している。免疫結合体に使用するのに適している検出可能なラベルは、分光学的、光化学的、生化学的、免疫化学的、電気的、光学的、又は化学的な手段により検出可能な任意の組成物を含む。有用なラベルは、磁気ビーズ(例えばDYNABEADSTM)、蛍光色素(例えばイソチオシアン酸フルオレセイン、texas red、ローダミン、緑色蛍光タンパク質など)、放射性同位体(例えば、3H、125I、35S、14C、又は32P)、酵素(例えば、ホースラディッシュペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、及びその他共通してELISAに使用されるもの)、及びコロイド金又は着色ガラス或いはプラスチック(例えばポリスチレン、ポリプロピレン、ラテックスなど)ビーズなどの比色定量ラベル、ナノ粒子、量子ドットなどを含む。
【0455】
特定の実施形態において、適切な放射標識は、限定されないが、99Tc、203Pb、67Ga、68Ga、72As、111In、113mIn、97Ru、62Cu、641Cu、52Fe、52mMn、51Cr、186Re、188Re、77As、90Y、67Cu、169Er、121Sn、127Te、142Pr、143Pr、198Au、199Au、161Tb、109Pd、165Dy、149Pm、151Pm、153Sm、157Gd、159Gd、166Ho、172Tm、169Yb、175Yb、177Lu、105Rh、及び111Agを含む。
【0456】
そのようなラベルを検出する手段は、当業者に周知である。故に、例えば、特定の放射標識は、写真フィルム、シンチレーション検出器、PET撮像、MRIなどを使用して検出され得る。蛍光マーカーは、放射された照明を検出するための光検出器を使用して検出され得る。酵素ラベルは典型的に、酵素に基質をもたらし、且つ、基質上の酵素の作用により生成された反応生成物の検出により検出され、比色定量ラベルは、単に着色ラベルを視覚化することにより検出される。
【0457】
<放射線増感剤>
別の実施形態において、エフェクターは、細胞上で放射線の細胞毒性効果を増強する、放射線増感剤を含み得るイオン化する細胞毒性効果を増強する、放射線増感剤を含み得る(例えば、60Co又はX線ソースにより生成されるものなど)。多数の放射線増感剤が既知であり、限定されないが、ベンゾポルフィリン誘導体化合物(例えば米国特許第5,945,439号を参照)、1,2,4-ベンゾトリアジンオキシド(例えば米国特許第5,849,738号を参照)、特定のジアミンを含有する化合物(例えば米国特許第5,700,825号を参照)、BCNT(例えば米国特許第5,872,107号を参照)、放射線増感性ニトロ安息香酸アミド誘導体(例えば米国特許第4,474,814号を参照)、様々な複素環誘導体(例えば米国特許第5,064,849号を参照)、白金錯体(例えば米国特許第4,921,963号を参照)などを含む。
【0458】
<α放射体>
特定の実施形態において、エフェクターは、α放射体、即ち、α粒子を放出する放射性同位体を含み得る。α放射体は、癌の処置に有効であると、近年において示された(例えば、McDevitt et al. (2001) Science 294:1537-1540; Ballangrud et al. (2001) Cancer Res. 61: 2008-2014; Borchardt et al. (2003) Cancer Res. 63: 5084-50を参照)。適切なα放射体は、限定されないが、Bi、213Bi、211Atなどを含む。
【0459】
<キレート>
本明細書に記載される医薬及び/又は放射標識の多くは、キレートとして提供され得る。キレート分子は典型的に、本明細書に記載される抗CD46抗体(例えば、YS5、YS5F、YS5vlD、SB1HGNY、YS12、3G7RY(aka 3G8)、YS6、YS1、YS3、YS4、YS8、YS7、YS9、YS10、YS11、3G7HY、3G7NY、3G7、SB2、2C8、及び/又はUA8kappa)に結合されるエピトープタグに特異的に結合する、分子(例えば、ビオチン、アビジン、ストレプトアビジンなど)に結合される。
【0460】
キレート基は、当業者に周知である。特定の実施形態において、キレート基は、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ジエチレン-トリアミン-ペンタ酢酸(DTPA)、シクロヘキシル1,2-ジアミン・テトラ酢酸(CDTA)、エチレングリコールO,O’-ビス(2-アミノエチル)-N,N,N’,N’-テトラ-酢酸(EGTA)、N,N-ビス(ヒドロキシベンジル)-エチレンジアミン-N,N’-二酢酸(HBED)、トリエチレン・テトラミン・ヘキサ-酢酸(TTHA)、1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-N,N’-,N’’,N’’’-テトラ-酢酸(DOTA)、ヒドロキシエチルジアミン三酢酸(HEDTA)、1,4,8,11-テトラ-アザシクロテトラデカン-N,N’,N’’,N’’’-テトラ-酢酸(TETA)、置換DTPA、置換EDTAなどに由来する。
【0461】
特定の好ましいキレート化剤の例は、非置換又は置換の2-イミノチオラン、及び2-イミノチアシクロヘキサン、特に2-イミノ-4-メルカプトメチルチオランを含む。
【0462】
1つのキレート化剤、1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-N,N,N’’,N’’’-四酢酸(DOTA)は、放射性核種及び放射標識などの、多くの診断上及び治療上重要な金属をキレート化する能力のため、特に関心を持たれるものである。
【0463】
DOTA、及び抗体などのタンパク質の抱合体が記載されてきた。例えば、米国特許第5,428,156号は、抗体及び抗体フラグメントへのDOTAの抱合の方法を教示している。このような抱合体を作るために、DOTAの1つのカルボン酸基が、抗体又は抗体フラグメント上でアミン又はスルフヒドリル基に反応することができる活性エステルに変換される。Lewis et al. (1994) Bioconjugate Chem. 5: 565-576にも同様の方法が記載されており、ここでは、DOTAの1つのカルボキシル基が活性エステルに変換され、活性化されたDOTAは抗体と混合され、抗体のリジン残基のイプシロン-アミノ基を介して抗体をDOTAに結合し、それによりDOTAの1つのカルボキシル基をアミド部分に変換する。
【0464】
特定の実施形態において、キレート化剤は、エピトープタグ、又はエピトープタグに結合する部分に直接、又はリンカーを介して結合され得る。DOTA及びビオチンの抱合体が記載され(例えば、Su (1995) J. Nucl. Med., 36 (5 Suppl):154Pを参照し、それは、DOTA-LC-ビオチン又はDOTA-ベンジル-4-(6-アミノ-カプロアミド)-ビオチンなどの、利用可能なアミノ側鎖ビオチン誘導体を介した、DOTAのビオチンへの結合を開示している。Yau et al.のWO95/15335はビオチンに抱合され得るニトロ-ベンジル-DOTA化合物を生成する方法を開示している。前記方法は、ヒドロキシ基の一時的な投影を介した環化反応;アミンのトシル化;一時的に保護されたヒドロキシ基の脱保護;脱保護されたヒドロキシ基のトシル化;及び分子内のトシラート環化を含む。Wu et al. (1992) Nucl. Med. Biol., 19(2): 239-244には、111In及び90Yでタンパク質を放射標識化するための大環状の(macrocylic)キレート化剤の合成が開示される。Wu et al.は、アビジン、即ち研究のためのモデルタンパク質との抱合体の安定性及び生体内分布を研究するために、標識化されたDOTA0ビオチン抱合体を作成した。この抱合体は、インサイツで生成された活性化DOTA誘導体に反応させるために、遊離アミノ基を含有していたビオチンヒドラジドを使用して作られた。
【0465】
<細胞毒素/細胞分裂阻害剤>
本明細書に記載される抗CD46抗体(例えばYS5、YS5F、YS5vlD、SB1HGNY、YS12、3G7RY(aka 3G8)、YS6、YS1、YS3、YS4、YS8、YS7、YS9、YS10、YS11、3G7HY、3G7NY、3G7、SB2、2C8、及び/又はUA8kappa)は、治療薬、放射線を放出する化合物、植物、真菌、又は細菌起源の細胞傷害分子、生体タンパク質、及びそれらの混合物を含む、様々な細胞毒性薬及び/又は細胞分裂阻害薬を送達するために使用され得る。特定の実施形態において、細胞毒性薬は、例えば、小さな有機分子、細胞毒性タンパク質又はペプチド、放射線放射体(例えば、上述のような短距離で高エネルギーのα放射体)である、細胞内で作用する細胞毒性薬を含み得る。
【0466】
従って、特定の実施形態において、抗CD46抗体は、細胞毒性薬/細胞分裂阻害薬に結合される。様々な実施形態において、ADCを構築するために使用される薬物は、限定されないが、微小管阻害剤及びDNA損傷剤、ポリメラーゼ阻害剤(例えば、ポリメラーゼII阻害剤、α-アマニチン)などを含む。特定の実施形態において、抗体は薬物に直接、又はリンカーを介して抱合され、一方で他の実施形態において、抗体は、薬物担体(例えば、薬物を含有するリポソーム、高分子医薬担体、ナノ粒子薬物担体、脂質薬物担体、樹枝状(dendrimeric)薬物担体など)に抱合される。特定の実施形態において、前記薬物は、オーリスタチン、ドラスタチン-10、天然物ドラスタチン-10の合成誘導体、及びメイタンシン或いはメイタンシン誘導体を含むがこれらに限定されないチューブリン阻害剤を含む。
【0467】
特定の実施形態において、薬物はオーリスタチンを含む。特定の実施形態において、オーリスタチンは、オーリスタチンE(AE)、モノメチルオーリスタチンE(MMAE)、モノメチルオーリスタチンF(MMAF)、vcMMAE、及びvcMMAFから成る群から選択される。
【0468】
特定の実施形態において、前記薬物はメイタンシンを含む。例示的なメイタンシンは、限定されないが、Mertansine(DM1);及びDM3又はDM4などメイタンシンのアナログを含む。
【0469】
特定の実施形態において、前記薬物はDNA相互作用性薬剤を含む。特定の実施形態において、DNA相互作用性薬剤は、限定されないが、カリチアマイシン、ズオカルマイシン、ピロロベンゾジアゼピン(PBD)などを含む。
【0470】
1つの例示的であるが限定されない実施形態において、前記薬物はカリチアマイシンを含む。カリチアマイシンはDNAを標的とし、鎖の分裂を引き起こす。特定の実施形態において、前記薬物は、カリチアマイシン又はカリチアマイシンアナログを含む。カリチアマイシンアナログは、米国特許第5,264,586号に記載されており、これは、その中に記載されるカリチアマイシンアナログについて参照により本明細書に組み込まれる。
【0471】
別の例示的であるが限定されない実施形態において、前記薬物はズオカルマイシンを含む。ズオカルマイシンは、細胞の周期における任意の段階で、それ自体の作用様式を行うことができるDNA損傷剤である。ズオカルマイシンのこの分類の一部である薬剤は典型的に、低ピコモル範囲で効力を持つ。本明細書で考慮されるキメラ構築物においてエフェクターとして使用され得る、例示的なズオルカマイシン(例えばズオカルマイシンアナログ)は、限定されないが、ズオカルマイシンA、ズオカルマイシンB1、ズオカルマイシンB2、ズオカルマイシンC1、ズオカルマイシンC2、ズオカルマイシンD、ズオカルマイシンSA、シクロプロピルベンゾインドールズオカルマイシン(CC-1065)、Centanamycin、ラシェルマイシン、アドゼレシン、ビセレシン、カルゼルシンなどを含む。
【0472】
別の例示的であるが限定されない実施形態において、前記薬物はピロロベンゾジアゼピンを含む。特定の実施形態において、前記薬物は、柔軟なポリメチレンテザーにより結合される2つのピロロベンゾジアゼピンの合成誘導体を含む。ピロロベンゾジアゼピン(PBD)及びPBD二量体は、米国特許第7,528,126B2号に記載されており、これは、その中にピロロベンゾジアゼピン及びPBD二量体について参照により本明細書に組み込まれる。特定の実施形態において、ピロロベンゾジアゼピンは以下のものから成る群から選択される:アントラマイシン(及びその二量体)、マゼトラマイシン(及びその二量体)、トマイマイシン(及びその二量体)、プロトラカルシン(及びその二量体)、チカマイシン(及びその二量体)、ネオトラマイシンA(及びその二量体)、ネオトラマイシンB(及びその二量体)、DC-81(及びその二量体)、シビロマイシン(及びその二量体)、ポロトラマイシンA(及びその二量体)、ポロトラマイシンB(及びその二量体)、シバノマイシン(及びその二量体)、アブベマイシン(及びその二量体)、SG2000、及びSG2285。
【0473】
特定の実施形態において、前記薬物は、α-アマニチン、及びポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ(PARP)阻害剤などのポリメラーゼII阻害剤を含むがこれに限定されない、ポリメラーゼ阻害剤を含む。例示的なPARP阻害剤は、限定されないが、イニパリブ(BSI 201)、タラゾパリブ(BMN-673)、オラパリブ(AZD-2281)、オラパリブ、ルカパリブ(AG014699、PF-01367338)、ベリパリブ(ABT-888)、CEP 9722、MK 4827、BGB-290、3-アミノベンズアミドなどを含む。
【0474】
特定の実施形態において、細胞毒性剤/細胞分裂阻害剤は、タンパク質又はペプチド毒素或いはそれらのフラグメントを含む。酵素学的に活性な毒素又はそのフラグメントは、例えば、ジフテリア毒素Aフラグメント、ジフテリア毒素の非結合活性フラグメント、外毒素A(Pseudomonas aeruginosaからの)、リシンA鎖、アブリンA鎖、モデシンA鎖、アルファ-サルシン、特定のシナアブラギリタンパク質、特定のDianthinタンパク質、Phytolaca americanaタンパク質(PAP、PAPII、及びPAP-S)、Momordica charantia阻害剤、クルシン、クロチン、sapaonaria officinalis阻害剤、ゲロニン、ミトギリン、レストリクトシン、フェノマイシン、エノマイシン、及びtricothecenesにより例示される。様々な放射性核種が、放射抱合された抗体の産生に利用可能である。例は、限定されないが、212Bi、131I、131In、90Y、186Reなどを含む。
【0475】
特定の実施形態において、細胞毒素は、限定されないが、緑膿菌外毒素、ジフテリア毒素、リシン、アブリン、及びそれらの誘導体を含み得る。緑膿菌外毒素A(PE)は、Pseudomonas aeruginosaにより分泌される、非常に活性なモノマータンパク質(分子量66kD)であり、それは、そのADP-リボシル化を触媒(EF-2上の酸化されたNADのADPリボシル部分の移動を触媒)することにより、伸長因子2(EF-2)の不活性化を介して、真核細胞におけるタンパク質合成を阻害する。
【0476】
前記毒素は、細胞毒性を引き起こすように共同する、3つの構造ドメインを含有する。ドメインIa(アミノ酸1-252)は細胞結合を媒介する。ドメインII(アミノ酸253-364)は、サイトゾルへの転位に起因し、ドメインIII(アミノ酸400-613)は、タンパク質を不活性化するとともに細胞死を引き起こす、伸長因子2のADPリボシル化を媒介する。ドメインIb(アミノ酸365-399)の機能は不確定のままであるが、その大部分であるアミノ酸365-380は、細胞毒性を損失することなく除去され得る。Siegall et al. (1989) J. Biol. Chem. 264: 14256-14261を参照。
【0477】
特定の実施形態において、前記抗体は、ドメインIa(アミノ酸1から252)が除去されるとともにアミノ酸365から380がドメインIbから除去された、好ましい分子に結合される。特定の実施形態において、ドメインIbの全て、及びドメインII(アミノ酸350から394)の一部は、特に除去された配列が結合ペプチドで置換される場合に、除去され得る。
【0478】
加えて、PE及び他の細胞毒性タンパク質は更に、部位特異的突然変異誘発、又は、当該技術分野で既知の他の技術を用いて修飾されることで、特定の所望用途のために分子を変更し得る。例えば、本明細書に記載されるPE分子により提供される機能的な利点に実質的に影響を及ぼさない方法でPE分子を変更する手段も使用することができ、そのような結果として生じる分子は、本明細書内に包含されるように意図される。
【0479】
様々なリガンドへのPE融合をコード化する遺伝子をクローン化する方法は、当業者に周知である(例えば、Siegall et al. (1989) FASEB J., 3: 2647-2652;及びChaudhary et al. (1987) Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 84: 4538-4542を参照)。
【0480】
PEのように、ジフテリア毒素(DT)は、ADP-リボシル化伸長因子2により細胞を死滅させ、それによりタンパク質合成を阻害する。しかし、ジフテリア毒素はジスルフィド架橋により結合された2つの鎖、AとBに分けられる。PEとは対照的に、カルボキシル末端上に位置するDTの鎖Bは、受容体結合に起因し、アミノ末端上に位置する鎖Aは酵素活性を含んでいる(Uchida et al.(1972) Science, 175: 901-903; Uchida et al. (1973) J. Biol. Chem., 248: 3838-3844)。
【0481】
特定の実施形態において、本発明の抗体-ジフテリア毒素免疫結合体は、ジフテリア毒素B鎖のトランケーションにより天然受容体-結合ドメインを除去する。1つの例示的な修飾されたジフテリア毒素はDT388であり、そこでは、残基389にて始まるカルボキシル末端配列が除去される(例えば、Chaudhary et al. (1991) Bioch. Biophys. Res. Comm., 180: 545-551を参照)。PEキメラ細胞毒素のように、DT分子は、前立腺癌特異抗体に化学的に抱合され得るが、特定の好ましい実施形態において、抗体は、組み換え手段によりジフテリア毒素に融合される(例えば、Williams et al. (1990) J. Biol. Chem. 265: 11885-11889を参照)。
【0482】
<ウィルス粒子>
特定の実施形態において、前記エフェクターは、ウィルス粒子(例えば、繊維状ファージ、アデノ随伴ウィルス(AAV)、レンチウイルスなど)を含む。前記抗体は、ウィルス粒子に抱合され得、及び/又は、ウィルス粒子(例えば繊維状ファージ)の表面上に発現され得る。ウィルス粒子は、標的(例えば前立腺癌)細胞に送達されることになっている核酸を更に含み得る。細胞に核酸を送達するためのウィルス粒子の使用は、WO99/55720、米国特許第US6,670,188号、US6,642,051号、及びUS6,669,936号にて詳細に記載されている。
【0483】
<他の治療成分>
他の適切なエフェクター分子は、薬物(pharmacological agents)、又は様々な薬物を含有する封入システムを含む。故に、様々な実施形態において、標的分子(例えば標的抗体)は、腫瘍に直接送達される薬物に直接、又はリンカーを介して結合され得ることが、認識される。
【0484】
そのような薬物は、当業者に周知のものであり、限定されないが、抗癌抗体(例えばHERCEPTINR)、抗代謝物、アルキル化剤、トポイソメラーゼ阻害剤、微小管、標的化剤、キナーゼ阻害剤、タンパク合成阻害薬、ソマトスタチンアナログ、グルココルチコイド、アロマターゼ阻害剤、mTOR阻害剤、タンパク質キナーゼB(PKB)阻害剤、ホスファチジルイノシトール、3-キナーゼ(PI3K)阻害剤、サイクリン依存性キナーゼ阻害剤、抗TRAIL分子、MEK阻害剤などを含む。特定の実施形態において、抗癌化合物は、フルオロウラシル(5-FU)、カペシタビン/XELODA、5-トリフルオロメチル-2’-デオキシウリジン、メトトレキサートナトリウム、ラルチトレキセド/トムデックス、ペメトレキセド/Alimta(登録商標)、サイトシンアラビノサイド(シタラビン、Ara-C)/チオグアニン、6-メルカプトプリン(メルカプトプリン、6-MP)、アザチオプリン/Azasan、6-チオグアニン(6-TG)/Purinethol(TEVA)、ペントスタチン/Nipent、リン酸フルダラビン/Fludara(登録商標)、クラドリビン(2-CdA、2-クロロデオキシアデノシン)/Leustatin、フロクスウリジン(5-フルオロ-2)/FUDR(Hospira, Inc.)、リボヌクレオチドリダクターゼ阻害剤(RNR)、シクロホスファミド/シトキサン(BMS)、neosar、イホスファミド/Mitoxana、チオテパ、BCNU--1,3-ビス(2-クロロエチル)-1-ニトロソウレア、1,-(2-クロロエチル)-3-シクロヘキシル-ニトロソウレア、メチルCCNU、ヘキサメチルメラミン、ブスルファン/Myleran、プロカルバジンHCL/Matulane、ダカルバジン(DTIC)、クロラムブシル/Leukaran(登録商標)、メルファラン/アルケラン、シスプラチン(Cisplatinum、CDDTP)/Platinol、カルボプラチン/パラプラチン、オキサリプラチン/Eloxitan、ベンダムスチン、カルムスチン、クロロメチン、ダカルバジン(DTIC)、ホテムスチン、ロムスチン、マンノスルファン、ネダプラチン、ニムスチン、プレドニマスチン、ラニムスチン、サトラプラチン、セムスチン、ストレプトゾシン、テモゾロミド、トレオスルファン、トリアジクオン、トリエチレンメラミン、チオTEPA、四硝酸トリプラチン、トホスファミド、ウラムスチン、ドキソルビシンHCL/Doxil、クエン酸ダウノルビシン/Daunoxome(登録商標)、ミトキサントロンHCL/Novantrone、アクチノマイシンD、エトポシド/Vepesid、トポテカンHCL/Hycamtin、テニポシド(VM-26)、イリノテカンHCL(CPT-11)/、camptosar(登録商標)、カンプトテシン、ベロテカン、ルビテカン、ビンクリスチン、硫酸ビンブラスチン、酒石酸ビノレルビン、硫酸ビンデシン、パクリタキセル/Taxol、ドセタキセル/Taxotere、ナノ粒子パクリタキセル、アブラキサン、イクサベピロン、ラロタキセル、オルタタキセル、テセタキセル、ビンフルニンなどを含む。特定の実施形態において、抗癌剤は、カルボプラチン(例えばPARAPLATIN(登録商標))、シスプラチン(例えばPLATINOL(登録商標)、PLATINOL-AQ(登録商標))、シクロホスファミド(例えばCYTOXAN(登録商標)、NEOSAR(登録商標))、ドセタキセル(例えばTAXOTERE(登録商標))、ドキソルビシン(例えばADRIAMYCIN(登録商標))、エルロチニブ(例えばTARCEVA(登録商標))、エトポシド(例えばVEPESID(登録商標))、フルオロウラシル(例えば5-FU(登録商標))、ゲムシタビン(例えばGEMZAR(登録商標))、メシル酸イマチニブ(例えばGLEEVEC(登録商標))、イリノテカン(例えばCAMPTOSAR(登録商標))、メトトレキサート(例えばFOLEX(登録商標)、MEXATE(登録商標)、AMETHOPTERIN(登録商標))、パクリタキセル(例えばTAXOL(登録商標)、ABRAXANE(登録商標))、ソラフェニブ(例えばNEXAVAR(登録商標))、スニチニブ(例えばSUTENT(登録商標))、トポテカン(例えばHYCAMTIN(登録商標))、ビンブラスチン(例えばVELBAN(登録商標))、ビンクリスチン(例えばONCOVIN(登録商標)、VINCASAR PFS(登録商標))から成る群から選択される、1以上の薬物を含む。特定の実施形態において、抗癌剤は、レチノイン酸、レチノイン酸誘導体、ドキソルビシン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、シクロホスファミド、イホスファミド、シスプラチン、5-フルオロウラシル、カンプトテシン誘導体、インターフェロン、タモキシフェン、及びタキソールから成る群から選択される、1以上の薬物を含む。特定の実施形態において、抗癌化合物は、アブラキサン、ドキソルビシン、パミドロン酸二ナトリウム、アナストロゾール、エキセメスタン、シクロホスファミド、エピルビシン、トレミフェン、レトロゾール、トラスツズマブ、メゲストロールタモキシフェン、パクリタキセル、ドセタキセル、カペシタビン、酢酸ゴセレリン、ゾレドロン酸、ビンブラスチン、アンチセンス分子、SiRNAなどから成る群から選択される。
【0485】
代替的に、エフェクター分子は、薬物、核酸(例えば細胞に送達されるアンチセンス核酸又は別の核酸)、又は好ましくは循環器系への直接暴露から遮蔽される別の治療成分などの治療用組成物を含んでいる、ウィルスカプシド、リポソーム、又はミセルなどの、封入システムを含み得る。抗体に結合されるリポソームを調製する手段は、当業者に周知である(例えば、米国特許第4,957,735号、Connor et al. (1985) Pharm. Ther., 28: 341-365などを参照)。
【0486】
<B)エフェクターへの抗体の結合>
本明細書に記載される抗CD46抗体(例えばYS5、YS5F、YS5vlD、SB1HGNY、YS12、3G7RY(aka 3G8)、YS6、YS1、YS3、YS4、YS8、YS7、YS9、YS10、YS11、3G7HY、3G7NY、3G7、SB2、2C8、及び/又はUA8kappa)及びエフェクター分子が、任意の順で一緒に結合され得ることを、当業者は認識する。故に、抗体が単鎖ポリペプチドである場合、エフェクター分子は、標的分子のアミノ末端又はカルボキシ末端に結合され得る。前記抗体はまた、エフェクター分子の内部領域に結合され得、又は反対に、エフェクター分子は、結合が分子のそれぞれの活性に干渉しない限り、抗体の内部位置に結合され得る。
【0487】
抗体及びエフェクターは、当業者に周知の多くの手段の何れかにより結合され得る。典型的に、エフェクターは、抗体に直接、又はリンカー(スペーサー)を介して抱合される。しかし、特定の実施形態において、両方のエフェクター分子がポリペプチドであるか又はポリペプチドを含む場合、単鎖融合タンパク質としてキメラ分子を組み換えで発現することが好ましい。
【0488】
<抗体へのエフェクター分子の抱合>
1つの実施形態において、CD46特異抗体は、エフェクター分子(例えば、細胞毒素、ラベル、リガンド、薬物、リポソームなど)に化学的に抱合される。化学的に分子を抱合させる手段は、当業者に周知である。
【0489】
抗体にエフェクターを結合するための手順は、エフェクター及び/又は抗体の化学構造によって変動する。ポリペプチドは典型的に、様々な官能基;例えば、カルボン酸(COOH)又は遊離アミン(-NH2)基を含み、これらは、エフェクターを結合させるためにエフェクター分子上での適切な官能基との反応に利用可能である。
【0490】
代替的に、抗体及び/又はエフェクターは、付加的な反応性官能基への曝露又は結合を誘導され得る。誘導体化は、Pierce Chemical Company, Rockford Illinoisから入手可能なものなどの、多くのリンカー分子の何れかの結合を含み得る。
【0491】
本明細書で使用されるように「リンカー」は、エフェクター分子に標的分子を結合するために使用される分子である。リンカーは、標的分子及びエフェクター分子の両方への共有結合を形成することができる。当業者に周知の適切なリンカーは、限定されないが、直鎖又は分枝鎖の炭素リンカー、複素環炭素リンカー、又はペプチドリンカーを含む。標的分子とエフェクター分子がポリペプチドである場合、リンカーは、それらの側鎖基を介して(例えば、システインへのジスフィルド結合を介して)構成アミノ酸に結合され得る。しかし、好ましい実施形態において、リンカーは、末端アミノ酸のアルファ炭素のアミノ基又はカルボキシル基に結合される。
【0492】
免疫結合体は、N-スクシンイミジル-3-(2-ピリジルジチオール)プロピオン酸塩(SPDP)、イミノチオラン(IT)、イミドエステルの二官能性の誘導体(アジプイミド酸ジメチルなど)、活性エステル(スベリン酸ジスクシンイミジルなど)、アルデヒド(グルタルアルデヒドなど)、ビス-アジド化合物(ビス(p-アジドベンゾイル)ヘキサンジアミンなど)、ビス-ジアゾニウム誘導体(ビス-(p-ジアゾニウムベンゾイル)-エチレンジアミンなど)、ジイソシアナート(トルエン(tolyene)2,6-ジイソシアナートなど)、及びビス-活性フッ素化合物(1,5-ジフルオロ-2,4-ジニトロベンゼンなど)などの、様々な二官能性タンパク質結合剤を使用して作ることができる。例えば、リシン免疫毒素は、Vitetta et al., Science 238: 1098 (1987)に記載されるように調製され得る。炭素-14で標識化した1-イソチオシアナートベンジル-3-メチルジエチレントリアミンペンタ酢酸(MX-DTPA)は、例示的なものとして、例えば抗体への放射ヌクレオチドの抱合のためのキレート化剤であるが、これに限定されない(例えば、WO1994/011026(PCT/US1993/010953)を参照)。
【0493】
特定の実施形態において、エフェクター(例えば薬物、リポソームなど)、又はエフェクター、抗体に結合されたリンカーの抱合は、抗体における鎖間ジスルフィド結合の還元から誘導され得るリジン又はシステインなどの、溶媒のアクセス可能な反応性アミノ酸において生じる。特定の実施形態で、システイン抱合は、4つの鎖間ジスルフィド結合の還元後に生じ得る。
【0494】
特定の実施形態において、リンカー薬物の既知の数が一貫して抗体において定められた部位に抱合される、部位特異的な抱合が、高度に均質な構築物を生成するために行われ得る。薬物対抗体の比率(DAR)が正確に制御されるとともに、様々なリンカー-薬物に合うように仕立てられて(tailored)、例えば2-DAR又は4-DARの部位特異的ADCを生成することができる。
【0495】
部位特異的な抱合を達成するための多くの方法が知られている。例えば、アミノ酸システインは、多くのタンパク質の構造及び機能において不可欠な役割を果たす、反応的なチオール基を含む。システイン残基を介したタンパク質へのチオ反応性プローブの抱合は長い間、タンパク質の標識化の方法であるとともに、抗体薬物抱合体(ADC)の生成にも適用された。特定の例示的であるが限定されない実施形態において、このプロセスは、既存のジスルフィド結合(例えば鎖間のジスルフィド結合)の部分還元を含む。
【0496】
ジスルフィド結合を維持するための特定の実施形態において、システイン残基はタンパク質へと操作され得る。部位特異的な共役のために導入されたシステイン残基の使用の成功は、システイン置換がタンパク質の構造又は機能を変更しない適切な部位を選択する能力に依存する。これを達成するために、反応性チオールの選択のためのPhage Elisa(PHESELECTOR)が、抗体-Fab(トラスツズマブ-Fab4D5)への反応性システイン残基の導入、ファージ上でのFabの表示、及び抗原結合に干渉しない反応性システインを確認するためのスクリーニングにより、発達された(例えば、Junutula et al. (2008) J. Immunol. Meth. 332: 41-52を参照)。
【0497】
PHESELECTOR方法は、特に従来のシステイン抱合と比較した場合に、効果的且つ特異的であると実証された。例えば抗体フラグメント(例えばFab)及びPHESELECTOR方法を用いて見出されたシステインに最適な部位はまた、完全長の抗体にも適用されることが実証され、データは、他のmAbsへの部位特異的な抱合のためにこれら部位が十分に作用することを示している(例えば、Boswell et al. (2011) Bioconjug. Chem. 22: 1994-2004; Boswell et al. (2012) Soc. Nuclear Med. 53: 1454-1461; Shen et al. (2012) Nat. Biotechnol. 30:184-189を参照)。
【0498】
部位特異的な抱合のための、別の例示的であるが限定されない戦略は、アミノ酸セレノシステイン及び非天然アミノ酸、アセチルフェニルアラニン(pAcPhe)などのバイオ直交型の反応性ハンドルを持つアミノ酸の挿入に集中する。このようなアミノ酸を利用するための2つの方法が発達し、共に停止コドンを利用している。しかし、1つの方法は、opal停止コドンであるUGAをSec挿入配列と対にすることによりセレノシステイン(Sec)を組み込み、他の方法は、tRNA/アミノアシルtRNAシンテターゼの対を用いてamiber停止コドンにおいてアセチルフェニルアラニンを組み込む。第1の方法に利用されるセレノシステインは、アミノ酸、システインに非常に類似しているが、硫黄原子のセレン原子を適所に含有する。セレノラート基は、チオラート相当物よりも反応的な求核基であり、それをセレノシステインが選択的に活性化される条件下で求電子性化合物との抱合に適用可能なものにする。哺乳動物中には、グルタチオンペルオキシダーゼ及びチオレダクターゼなどのタンパク質を含む、約25の既知のセレニウム含有タンパク質が存在している(Kryukov et al. 92003) Science, 300: 1439-1443)。標準条件下で、UGAは転写の終端をコード化し;しかし、Sec含有タンパク質の3’UTRの中に位置するSec挿入配列(SECIS)の存在下で、終端は、mRNA二次構造の形成により妨げられ、Secは、UGAコドンに挿入される(Caban and Copeland (2006) Cell Mol. Life Sci. 63: 73-81)。Sec挿入は、遺伝子の3’端部でのUGAコドン及びSECISの挿入により、非Secコーディング遺伝子へと操作され得る。この技術は、とりわけ、Sec標識化及び後のmAbの部位特異的な抱合に使用された(例えば、Hofer et al. (2009) Biochem. 48: 12047-12057を参照)。
【0499】
部位特異的な抱合のためのまた別の例示的な方法は、非天然アミノ酸、p-アセチルフェニルアラニン(pAcPhe)を利用する。pAcPheは、オキシムのライゲーションを介して、アルコキシアミンを含有する薬物へ選択的に抱合され得るケト基を含んでいる。抗体にpAcPheを組み込むために、amber停止コドンが所望の位置で抗体へと置換される。その後、抗体cDNAは、アンバーサプレッサーtRNA、及び適切に対となった突然変異体tRNAシンセターゼにより共発現される。tRNAシンセターゼは、ambertRNAにpAcPheを載せ、故にpAcPheは、amber部位UAGにて抗体へ組み込まれる(例えば、iu et al. 92007) Nat. Meth. 4: 239-244; Wang et al. (2003) Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 100: 56-61; Axup (2012) Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 109: 16101-16116を参照)。
【0500】
pAcPheに加えて、他の非天然アミノ酸は、tRNA/アミノアシル‐tRNAシンセターゼの対を一致させることを含む、同様のプロセスを用いて、部位特異的な抱合における使用のために利用される(例えば、Young (2002) J. Mol. Biol. 395: 361-374; Kiick et al. (2002) Proc. Natl. Acad. Sci. USA, ; 99: 19-24を参照)。
【0501】
様々な実施形態において、結合形成を触媒する酵素の使用は、部位特異的な抱合における使用のために利用され得る。例えば、グリコトランスフェラーゼ(glycotransferase)のプラットフォームは、抗体上での糖鎖付加部位に化学的に活性な糖部分を結合するために、突然変異体グリコトランスフェラーゼを使用する。その後、選択された分子は、糖部分上で化学的ハンドルに抱合され得る。別の例示的であるが限定されない方法において、トランスグルタミナーゼが、リンカー/薬物上のアミン基と、抗体上の操作されたグルタミン残基との間に結合を形成するために使用される。
【0502】
グリコトランスフェラーゼは、オリゴ糖の合成に関与するタンパク質の大きなファミリーであり、活性化された糖ヌクレオチドからの糖残基の、糖アクセプター又は糖タンパク質/脂質への移動に起因する。様々なグリコトランスフェラーゼの構造が知られており、触媒ポケットにおける少数のアミノ酸により糖ドナー特異性が判定されることを明らかにする(Qasba et al. (2005) Trends Biochem. Sci. 30: 53-62)。この知識を用いて、残基は、グリコトランスフェラーゼ、例えばB4Gal-T1のポケットの中で突然変異させられて、ドナー特異性を広げると共に、化学的に反応性の糖残基である2-ケト-Galの移動を可能にした(例えば、Ramakrishnan et al. (2002) J. Biol. Chem. 277: 20833-20839を参照)。この技術は、糖鎖付加部位を含有する任意の脂質又はタンパク質へ、化学的に反応性の糖を移す能力を可能にする。ヒトIgG抗体は、Fcフラグメントの保存されたAsn-297にてN-糖鎖付加部位を含んでいる。この部位に結合された多糖類は通常、複雑なものであるが、G0にまで脱ガラクトシル化され得、そこでは、突然変異体グリコトランスフェラーゼは高効率でC2-ケト-Galを移動させることができる(例えば、Boeggeman et al. (2009) Bioconjug. Chem. 20: 1228-1236を参照)。その後、C2-ケト-Galの活性な化学的ハンドルが、直交の反応性の基を持つ生体分子に繋げられ得る。この方法は、抗Her2抗体であるトラスツズマブのAlexa Fluor488アミノオキシアセトアミドとの部位特異的な抱合のために上手く使用されるとともに、部位特異的ADC生成のために実行可能な技術である(同文献)。
【0503】
第2のプラットフォームは、遊離アミン基及びグルタミン側鎖との間の共有結合の形成を触媒するために、トランスグルタミナーゼを利用する。Streptoverticillium mobaraense(mTG)からのトランスグルタミナーゼは市販で入手可能であり、タンパク質架橋剤として広く使用されている(例えば、Yokoyama et al. (2004) Appl. Microbiol. Biotechnol. 64: 447-454を参照)。mTGは、グリコシル化された抗体のFc領域において自然に生じるグルタミン残基の何れも認識しないが、抗体へと操作され得る「グルタミンタグ」を認識する(例えば、Jeger et al. (2010) Angew Chem. Int. Ed. Engl. 49: 9995-9997を参照)。例示的に、グルタミンタグであるLLQGは、上皮成長因子受容体を標的とする抗体の定常領域において異なる部位へと操作される。その後、mTGを使用して、これらの部位を、蛍光団又はモノメチルドラスタチン10(MMAD)、及び、優れた生物物理的特性と高度の抱合を有すると見出された様々な部位と、抱合させる。mTGはまた、抗Her2及び抗M1S1抗体上でグルタミンタグに抱合することが可能である。抗M1S1-vc-MMAD抱合体は、強力なインビトロ及びインビボの活性を表示し、この方法を用いた抱合が抗体結合又は親和性を変更せず、ADCの部位特異的な抱合におけるこの方法の有用性を実証したことを示している(例えば、Strop et al. (2013) Chem. Biol. 20: 161-167を参照)。
【0504】
グリコトランスフェラーゼ及びトランスグルタミナーゼに加えて、他の酵素が、タンパク質の標識化における使用のために調べられた(Sunbul and Yin (2009) Org. Biomol. Chem. 7: 3361-3371)。1つのそのような酵素であるホルミルグリシン生成酵素は、配列CxPxRを認識すると共に、ホルミルグリシンを形成するためにシステイン残基を酸化させ、それによりアルデヒドタグを持つタンパク質を生成する。その後、アルデヒド基は、例えばhydrozino-Pictet-Spengler chemistryにより、選択された分子に抱合され得る。
【0505】
抗体などのタンパク質への、放射性核種金属キレート、毒素、及び薬物を含む様々な化合物の結合のための、他の多くの手順及びリンカー分子が知られている(例えば、欧州特許出願第188,256号;米国特許第4,671,958号、4,659,839号、4,414,148号、4,699,784号;4,680,338号;4,569,789号;及び4,589,071号;並びにBorlinghaus et al. (1987) Cancer Res. 47: 4071-4075を参照)。特に、様々な免疫毒素の生成は、当該技術分野内で周知であり、例えば、“Monoclonal Antibody-Toxin Conjugates: Aiming the Magic Bullet,” Thorpe et al., Monoclonal Antibodies in Clinical Medicine, Academic Press, pp. 168-190 (1982), Waldmann (1991) Science, 252: 1657, 米国特許第4,545,985号及び4,894,443号の中で見出すことができる。
【0506】
幾つかの状況において、免疫結合体がその標的部位に到達した場合に、抗体からエフェクターを放つことが望ましい。それ故、エフェクターが標的部位にて放たれる場合、標的部位の付近で開裂可能な結合を含む免疫結合体が使用され得る。抗体から薬剤を放つための結合の開裂は、免疫結合体が標的細胞の内部に又は標的部位の付近にさらされる酵素の活性又は状態により、促進され得る。標的部位が腫瘍である場合、腫瘍部位に存在する条件下(例えば、腫瘍関連の酵素又は酸性pHにさらされた場合)で開裂可能なリンカーが、使用され得る。
【0507】
多くの異なる開裂可能なリンカーが、当業者に周知である。米国特許第4,618,492号;第4,542,225号、及び第4,625,014号を参照。例示的な開裂可能なリンカーは、限定されないが、酸不安定性リンカー、プロテアーゼ開裂可能なリンカー、ジスルフィドリンカーなどを含む。酸不安定性リンカーは、血液中で遭遇されるpHレベルで安定するように設計されるが、リソソーム中の低pH環境に遭遇する場合には不安定となり且つ劣化する。プロテアーゼ開裂可能なリンカーも、血液/血漿中で安定するように設計されるが、リソソーム酵素による開裂後、癌細胞中のリソソームの内部で急速に遊離(free)薬物を放つ。それらは、リソソームの内部の高レベルのプロテアーゼ活性を利用し、典型的には、例えば、カテプシンにより急速に加水分解されるジペプチドVal-Cit結合により生じるように、これらプロテアーゼにより認識され且つ開裂されるペプチド配列を含む。ジスルフィドリンカーは、細胞の内部で遊離薬物を放つために高レベルの細胞内の還元グルタチオンを利用する。
【0508】
様々な放射線診断化合物、放射線治療化合物、薬物、毒素、及び他の薬剤を抗体に結合するために報告された、数多くの方法に照らして、当業者は、与えられた薬剤を抗体又は他のポリペプチドに結合するのに適切な方法を決定することができる。
【0509】
<キレートの抱合>
特定の実施形態において、前記エフェクターは、抗体又はエピトープタグに結合されるキレートを含む。抗CD46抗体は、対応するエピトープタグ又は抗体を有しており、それにより、抗体のキレートへの単純な接触の結果、抗体のエフェクターとの結合がもたらされる。その部分を使用する前に組み合わせの工程が行われるか(標的化戦略)、又は、キレートを送達する前に標的組織を抗体に結合することができる。様々な標的部分に結合するのに適切なキレートを生成する方法は、当業者に周知である(例えば、米国特許第6,190,923号、6,187,285号、6,183,721号、6,177,562号、6,159,445号、6,153,775号、6,149,890号、6,143,276号、6,143,274号、6,139,819号、6,132,764号、6,123,923号、6,123,921号、6,120,768号、6,120,751号、6,117,412号、6,106,866号、6,096,290号、6,093,382号、6,090,800号、6,090,408号、6,088,613号、6,077,499号、6,075,010号、6,071,494号、6,071,490号、6,060,040号、6,056,939号、6,051,207号、6,048,979号、6,045,821号、6,045,775号、6,030,840号、6,028,066号、6,022,966号、6,022,523号、6,022,522号、6,017,522号、6,015,897号、6,010,682号、6,010,681号、6,004,533号、及び6,001,329号を参照)。
【0510】
<融合タンパク質の生成>
抗体及び/又は、エフェクターは、比較的短い(例えば約50未満のアミノ酸)である場合に、標準の化学的ペプチド合成技術を用いて合成され得る。両方の分子が比較的短い場合、キメラ分子は単一の隣接するポリペプチドとして合成され得る。代替的に、標的分子及びエフェクター分子は別々に合成され、その後、一方の分子のアミノ末端を他方の分子のカルボキシル末端で縮合し、それによりペプチド結合を形成することにより融合され得る。代替的に、標的分子及びエフェクター分子は各々、ペプチドスペーサー分子の一端で縮合され、それにより隣接する融合タンパク質を形成することができる。
【0511】
配列のC末端アミノ酸が不溶性支持体に結合され、その後配列の中の残りのアミノ酸が連続的に付加される、固相合成は、本発明のポリペプチドの化学合成に好ましい方法である。固相合成のための技術は、Barany and Merrifield, Solid Phase Peptide Synthesis; pp. 3 284 in The Peptides: Analysis, Synthesis, Biology. Vol. 2: Special Methods in Peptide Synthesis, Part A., Merrifield, et al. J. Am. Chem. Soc., 85: 2149 2156 (1963), 及びStewart et al., Solid Phase Peptide Synthesis, 2nd ed. Pierce Chem. Co., Rockford, Ill. (1984)によって説明されている。
【0512】
特定の実施形態において、本発明のキメラ融合タンパク質は、組み換えDNA方法を用いて合成される。通常、この方法は、融合タンパク質をコード化するDNA配列を作成する工程、特定のプロモーターの制御下で発現カセットにDNAを配する工程、宿主中にタンパク質を発現する工程、発現したタンパク質を分離する工程、及び、必要な場合にタンパク質を復元する工程を含む。
【0513】
本発明の融合タンパク質をコード化するDNAは、任意の適切な方法、例えば、適切な配列のクローン化及び制限、又は、Narang et al.(1979) Meth. Enzymol. 68: 90-99のリン酸トリエステル方法;Brown et al. (1979) Meth. Enzymol. 68: 109 151のホスホジエステル方法; the diethylphosphoramidite method of Beaucage et al. (1981) Tetra. Lett., 22: 1859 1862のジエチルホスホロアミダイト方法;及び米国特許第4,458,066号の固形支持体方法などの方法による直接化学合成を含む方法により、調製され得る。
【0514】
化学合成は、単鎖のオリゴヌクレオチドを生成する。これは、相補的配列によるハイブリダイゼーション、又は、テンプレートとして一本鎖を用いたDNAポリメラーゼによる重合により、二本鎖DNAに変換され得る。当業者は、DNAの化学合成が約100の塩基の配列に限定されるが、より長い配列が、より短い配列のライゲーションにより獲得され得ることを認識する。
【0515】
代替的に、特定の実施形態において、サブ配列がクローン化され、適切なサブ配列は適切な制限酵素を用いて開裂される。その後、フラグメントは所望のDNA配列を生成するためにライゲートされ得る。
【0516】
特定の実施形態において、本発明の融合タンパク質をコード化するDNAは、PCRクローニング法を使用してクローン化され得る。
【0517】
抗体及びエフェクターが、特定の実施形態において、実質的に直接一緒に結合される一方で、当業者は、前記分子がスペーサー、例えば1以上のアミノ酸(例えば、(Gly4Ser)3、SEQ ID NO:80)から成るペプチドスペーサーにより分離され得ることを認識する。一般的に、スペーサーは、タンパク質を結合するため、又は、幾つかの最小距離又はそれらの他の空間的関係を維持するため以外に、特異的な生物活性を有していない。しかし、スペーサーの構成アミノ酸は、フォールディング、正味電荷、又は疎水性などの分子の幾つかの特性に影響を及ぼすように選択され得る。
【0518】
融合タンパク質をコード化する核酸配列は、E. coli、他の細菌宿主、酵母菌、及び、COS、CHO、並びにHeLa細胞ライン及び骨髄腫細胞株などの様々な高等真核細胞を含む、様々な宿主細胞において発現され得る。組み換え型タンパク質遺伝子は、各宿主に適切な発現制御配列に操作可能に結合される。
【0519】
本発明のプラスミドは、E.coli及びリン酸カルシウムによる処置のための塩化カルシウム形質転換、又は哺乳動物細胞のための電気穿孔などの、周知の方法により選択された宿主細胞に移動され得る。プラスミドにより変形した細胞は、amp、gpt、neo、及びhygの遺伝子などの、プラスミド上に含まれる遺伝子により付与された抗生物質耐性により選択され得る。
【0520】
一旦発現されると、組み換え型融合タンパク質は、硫酸アンモニウム沈殿法、アフィニティカラム、カラムクロマトグラフィー、ゲル電気泳動法などの、当該技術分野の表十の手順に従って生成され得る(通常、R. Scopes (1982) Protein Purification, Springer-Verlag, N.Y.; Deutscher (1990) Methods in Enzymology Vol. 182: Guide to Protein Purification., Academic Press, Inc. N.Y.を参照)。少なくとも約90から95%の均質性の実質的に純粋な組成物が好ましく、98から99%以上の均質性が、薬学的な用途に最も好ましい。一旦、所望されるように部分的に、又は均質性となるように精製されると、後にポリペプチドが治療に使用され得る。
【0521】
当業者は、化学合成、生物学的発現、又は精製の後に、融合タンパク質が構成要素のポリペプチドの固有の立体構造とは実質的に異なる構造を有し得ることを認識する。この場合、ポリペプチドを変性させ且つ還元させて、次いでポリペプチドを好ましい構造にリフォールディングさせることが必要な場合もある。タンパク質を還元且つ変性させるとともに、リフォールディングを誘導する方法は、当業者に周知である(例えば、Debinski et al. (1993) J. Biol. Chem., 268: 14065-14070; Kreitman and Pastan (1993) Bioconjug. Chem., 4: 581-585;及びBuchner, et al. (1992) Anal. Biochem., 205: 263-270を参照)。
【0522】
当業者は、融合タンパク質の生物活性を減らすことなく、融合タンパク質に対して修飾を行うことができることを認識する。幾つかの修飾は、標的分子のクローン化、発現、又は融合タンパク質への組み込みを促進するために行われ得る。そのような修飾は当業者に周知であり、例えば、開始部位をもたらすためにアミノ末端に付加されるメチオニン、又は、都合良く位置付けられた制限部位或いは終結コドンを作成するために何れかの末端に配される付加的なアミノ酸を含む。
【0523】
<医薬組成物>
本明細書に記載される抗CD46抗体(例えばYS5、YS5F、YS5vlD、SB1HGNY、YS12、3G7RY(aka 3G8)、YS6、YS1、YS3、YS4、YS8、YS7、YS9、YS10、YS11、3G7HY、3G7NY、3G7、SB2、2C8、及び/又はUA8kappa)、及びその免疫結合体は、予防処置のためであるが主に治療処置のために、非経口、局所(topical)、経口、或いは局所(local)の投与(例えば、腫瘍部位に注入される)、エアロゾル投与、又は経皮投与に有用である。医薬組成物は、投与方法に依存して、様々な単位剤形で投与され得る。例えば、経口投与に適している単位剤形は、粉末剤、錠剤、丸剤、カプセル剤、及びトローチ剤を含む。本明細書に記載される抗体及び/又はその免疫結合体、並びに本明細書に記載される抗体及び/又はその免疫結合体を含む医薬組成物は、経口投与時に、消化から保護されるのが好ましいことが、認識される。このことは、当業者に既知の多くの手段、例えば、タンパク質を組成物と複合してタンパク質に酸加水分解及び酵素加水分解に対する耐性を付与することにより、又は、リポソームなどの適切な耐性を持つ担体中にタンパク質を包むことにより、達成され得る。消化からタンパク質を保護する手段は、当該技術分野で周知である。
【0524】
様々な実施形態において、薬学的に許容可能な担体と一緒に処方される組成物、例えば、抗CD46抗体、或いはその抗原結合部分、或いはそれらの免疫結合体の1つ又は組み合わせを含有している医薬組成物が、提供される。
【0525】
本明細書で使用されるように「薬学的に許容可能な担体」は、生理学的に適合可能な、任意の及び全ての溶媒、分散液媒体、コーティング、抗菌性且つ抗真菌性の薬剤、等張剤及び吸収遅延剤などを含む。好ましくは、前記担体は、(例えば注射又は注入による)静脈内、筋肉内、皮下、非経口、脊椎、又は上皮の投与に適している。投与経路に依存して、活性化合物、即ち抗体、免疫結合体は、酸の作用、及び化合物を不活性化し得る他の自然条件から化合物を保護するための物質中でコーティングされ得る。
【0526】
特定の実施形態において、抗体及び/又は免疫結合体は、「天然の」形態、又は、所望される場合、塩、エステル、アミド、プロドラッグ、誘導体などの形態で投与され得、ここで、塩、エステル、アミド、プロドラッグ、又は誘導体は、薬理学的に適切であり、即ち、本件方法に有効である。活性剤の塩、エステル、アミド、プロドラッグ、及び他の誘導体は、有機合成化学における当業者に既知の、及び、例えばMarch (1992) Advanced Organic Chemistry; Reactions, Mechanisms and Structure, 4th Ed. N.Y. Wiley-Interscienceに記載される、並びに上述のような標準の手順を用いて調製され得る。
【0527】
例示的に、薬学的に許容可能な塩は、塩を形成することができる官能性を持つ、本明細書に記載される抗体及び/又は免疫結合体の何れかのために調製され得る。薬学的に許容可能な塩は、親化合物の活性を保持して、投与される被験体に対し、及び投与される状況において任意の有毒又は有害作用をもたらすことのない任意の塩である。
【0528】
様々な実施形態において、薬学的に許容可能な塩は、有機塩基又は無機塩基に由来し得る。前記塩は、一価又は多価イオンであり得る。特に対象となるものは、無機イオン、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、及びマグネシウムである。有機塩は、アミン、特に、モノアルキルアミン、ジアルキルアミン、及びトリアルキルアミン或いはエタノールアミンなどのアンモニウム塩で作られ得る。塩はまた、カフェイン、トロメタミン、及び同様の分子で形成され得る。
【0529】
塩、エステル、アミド、プロドラッグなどとして薬学的に活性剤を処方する方法は、当業者に周知である。例えば、塩は、典型的に適切な酸との反応に関与する従来の方法を用いて、遊離塩基から調製され得る。通常、薬物の塩基形態は、メタノール又はエタノールなど極性有機溶媒の中で溶かされ、酸がそれに加えられる。結果として生じる塩は、沈殿するか、又は、あまり極性でない溶媒の添加により溶媒から運ばれ得る。酸付加塩の調製に適切な酸は、限定されないが、有機酸、例えば、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、シュウ酸、リンゴ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、サリチル酸など、同様に、無機酸、例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などを含む。酸付加塩は、適切な塩基による処置により遊離塩基へと再変換され得る。本明細書中の活性剤の特定の特に好ましい酸付加塩は、塩酸又は臭化水素酸を使用するので調製され得るハロゲン塩を含む。反対に、本発明の活性剤の塩基性塩の調製物は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、水酸化カルシウム、トリメチルアミンなどの薬学的に許容可能な塩基を用いて、同様の方法で調製される。特に好ましい塩基性塩は、アルカリ金属塩、例えばナトリウム塩、及び銅塩を含む。
【0530】
塩基性薬物の塩形態の調製のために、カウンターイオンのpKaは、薬物のpKaよりも低い、少なくとも約2のpH単位であることが好ましい。同様に、酸性薬物の塩形態の調製のために、カウンターイオンのpKaは、薬物のpKaよりも高い、少なくとも約2のpH単位であることが好ましい。これは、カウンターイオンが、塩の安定水準に達するように溶液のpHをpHmaxよりも低いレベルにすることを可能にし、そこでは、塩の可溶性が、遊離酸又は遊離塩基の可溶性よりも優先される。活性医薬成分(API)、及び酸又は塩基におけるイオン化可能な基のpKa単位における差異の一般化された規則は、プロトン移動を精力的に好ましいものにすることを目的としている。API及びカウンターイオンのpKaが著しく異なるものではない場合、固形錯体が生じ得るが、水性環境において急速に不釣合となり得る(即ち、薬物及びカウンターイオンの個々の実体に分かれる)。
【0531】
好ましくは、カウンターイオンは薬学的に許容可能なカウンターイオンである。適切な陰イオン塩形態は、限定されないが、酢酸塩、安息香酸塩、ベンジル酸塩、酒石酸水素塩、臭化物、炭酸塩、塩化物、クエン酸塩、エデト酸塩、エジシル酸塩、エストレート、フマル酸塩、グルセプテート、グルコン酸塩、臭化水素酸塩、塩酸塩、ヨウ化物、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マンデル酸塩、メシル酸塩、臭化メチル、硫酸メチル、ムチン酸塩、ナプシル酸塩、硝酸塩、パモエート(embonate)、リン酸塩及び二リン酸塩、サリチル酸塩及び二サリチル酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、トシラート、トリエチオダイト、吉草酸塩などを含み、一方で適切な陽イオン塩形態は、限定されないが、アルミニウム、ベンザチン、カルシウム、エチレンジアミン、リジン、マグネシウム、メグルミン、カリウム、プロカイン、ナトリウム、トロメタミン、亜鉛などを含む。
【0532】
エステルの調製は典型的に、抗体及び/又は免疫結合体の分子構造内に存在するヒドロキシル基及び/又はカルボキシル基の官能基化を含む。特定の実施形態において、エステルは典型的に、遊離アルコール基のアシル置換誘導体、即ち、Rがアルキル、好ましくは低級アルキルである式RCOOHのカルボン酸に由来する部分である。エステルは、所望される場合、従来の水素化分解又は加水分解の手順の使用により、遊離酸に再変換され得る。
【0533】
アミドはまた、当業者に既知の、又は関連する文献に記載されている技術を使用して調製され得る。例えば、アミドは、適切なアミン反応物を使用してエステルから調製され得、或いは、アンモニア又は低級アルキルアミンとの反応により無水物又は酸塩化物から調製され得る。
【0534】
本明細書に記載される抗体及び/又は免疫結合体を含む医薬組成物は、単独で、又は併用療法、即ち、他の薬剤と組み合わせて投与され得る。例えば、併用療法は、以下に記載される抗癌剤などの少なくとも1以上の付加的な治療剤を含む抗体又は免疫結合体を含んでいる。医薬組成物はまた、放射線治療及び/又は手術と合わせて投与され得る。
【0535】
本明細書に記載される抗体及び/又は免疫結合体を含む組成物は、当該技術分野で既知の様々な方法により投与され得る。当業者により認識されるように、投与の経路及び/又は形態は、所望の結果に依存して変動する。活性化合物は、インプラント、経皮パッチ、及びマイクロカプセル化送達系を含む、制御放出製剤などの、急速な放出に対して化合物を保護する担体で調製され得る。生物分解性で生体適合性のポリマーが使用され、エチレン酢酸ビニル、ポリ無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルソエステル、及びポリ乳酸などがある。そのような製剤の調製のための多くの方法が、特許化され、或いは、一般的に当業者に知られている(例えば、Sustained and Controlled Release Drug Delivery Systems, J. R. Robinson, ed., Marcel Dekker, Inc., New York, 1978を参照)。
【0536】
特定の実施形態において、抗CD46抗体又は免疫結合体の投与は、抗体又は免疫結合体の組成物をコーティングすることにより、又は、抗体又は免疫結合体、即ちその不活性化を妨げる物質を同時投与することにより促進され得る。例えば、前記化合物は、適切な担体、例えばリポソーム又は希釈剤の中で被験体に投与され得る。薬学的に許容可能な賦形剤は、限定されないが生理食塩水及び水性緩衝液溶液を含む。リポソームは、限定されないが、従来のリポソームと同様に、水中油中水型CGF乳剤も含む。
【0537】
薬学的に許容可能な担体は、滅菌注入可能な溶液又は分散液の即席の調製のために、滅菌水溶液又は分散液、及び滅菌粉末剤を含む。薬学的に活性な物質のためのそのような媒体及び薬剤の使用は、当該技術分野で既知である。任意の従来の媒体又は薬剤が活性化合物に適合しない限りは、医薬組成物におけるそれらの使用が熟考される。補足の活性化合物も組成物に組み込まれ得る。
【0538】
様々な実施形態において、治療用組成物は典型的に、製造及び保存の条件の下で滅菌され且つ安定している。組成物は、脂質又はリポソーム、或いは高薬物濃度を含有するのに適切な他の規則構造において、溶液、即ちマイクロエマルジョンとして処方され得る。特定の実施形態において、担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えばグリセロール、プロピレングリコール、及び液体ポリエチレングリコールなど)、並びにそれらの適切な混合物を含有する、溶媒又は分散媒であり得る。適切な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティングの使用、分散液の場合に必要とされた粒径の維持、及び界面活性剤の使用によって、維持され得る。多くの場合、組成物中に等張剤、例えば糖、マンニトール、ソルビトール、又ル塩化ナトリウムなどの多価アルコールを含むことが望ましい。注入可能な組成物の持続的吸収は、組成物中に、吸収を遅らせる薬剤、例えばモノステアリン酸塩及びゼラチンを含ませることにより、引き起こされ得る。
【0539】
滅菌注入可能な溶液は、殺菌精密ろ過後に、必要とされるように、上記で列挙された成分の1つ又は組み合わせを含む適切な溶媒に必要とされる量で、活性化合物(例えば、本明細書に記載される抗体及び/又は免疫結合体)を組み込むことにより、調製され得る。通常、分散液は、上記で列挙されたものから、塩基性分散媒及び他の必要な成分を含む、滅菌ビヒクルへと活性化合物を組み込むことにより調製される。無菌注入可能な溶液の調製のための滅菌粉末剤の場合、例示的な調製方法は、活性成分の粉末に加えて、以前に滅菌濾過されたその溶液から任意の付加的な所望の成分をもたらす、真空乾燥及び冷凍乾燥(凍結乾燥)を含む。
【0540】
投与レジメンは、最適な所望の反応(例えば治療効果)をもたらすように調整される。例えば、単一のボーラスが投与され、又は幾つかの分割量が経時的に投与され、或いはその用量は、治療状況の緊急事態により示されるように比例して減少又は増大され得る。例えば、特定の実施形態において、本明細書に記載される抗体及び/又は免疫結合体は、皮下注射により1日1回又は2回、週に1回又は2回、或いは月に1回又は2回、投与され得る。
【0541】
投与のしやすさ及び投与量の均一性のために、単位剤形で非経口組成物を処方することが、特に都合が良い。本明細書で使用されるような単位剤形は、処置される被験体のための単一の投与量として適切な、物理的に別個の単位を指す。各単位は、必要とされた医薬担体に関連した所望の治療効果を生み出すように計算された、活性化合物の予め定められた量を含んでいる。単位剤形の仕様は、(a)活性化合物の固有の特性並びに達成される特定の治療効果、及び(b)個体の処置のためのそのような活性化合物を調合する当該技術分野における固有の制限により、及びそれらに直接依存して指示される。
【0542】
特定の実施形態において、製剤は医薬抗酸化剤を含む。薬学的に許容可能な抗酸化剤の例は、(1)アスコルビン酸、塩酸システイン、硫酸水素ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウムなどの水溶性抗酸化剤;(2)パルミチン酸アスコルビル、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、レシチン、プロピルガレート、αトコフェロールなどの油溶性抗酸化剤;及び(3)クエン酸、エチレンジアミン、四酢酸(EDTA)、ソルビトール、酒石酸、リン酸などの金属キレート化剤を含む。
【0543】
治療用組成物について、本明細書に記載される抗体及び/又は免疫結合体の製剤は、経口、経鼻、局所的(バッカル及び舌下を含む)、直腸、膣内、及び/又は非経口の投与に適しているものを含む。製剤は、単位剤形で都合良く提示され得、薬学の技術分野で既知の任意の方法により調製され得る。単一の剤形を生成するために担体物質と組み合わされ得る活性成分の量は、処置される被験体及び投与の特定の形態に依存して変動する。単一の剤形を生成するために担体物質と組み合わされ得る活性成分の量は通常、治療効果を生み出す組成物の量である。通常、100パーセントの中から、この量は、活性成分の約0.001パーセントから約90パーセント、好ましくは約0.005パーセントから約70パーセント、最も好ましくは約0.01パーセントから約30パーセントまでの範囲に及ぶ。
【0544】
膣内投与に適している、本明細書に記載される抗体及び/又は免疫結合体の製剤は、当該技術分野で適切であると知られるそのような担体を含有している、ペッサリー、タンポン、クリーム、ゲル、ペースト、フォーム、又は噴霧の製剤も含む。本明細書に記載される抗体及び/又は免疫結合体の局所又は経皮投与のための剤形は、粉末剤、スプレー剤、軟膏剤、ペースト剤、クリーム剤、ローション剤、ゲル剤、溶液、パッチ、及び吸入薬を含む。特定の実施形態において、活性化合物は、無菌条件下で、薬学的に許容可能な担体、及び必要とされ得る任意の防腐剤、緩衝液、又は噴射剤と混合され得る。
【0545】
句「非経口投与」及び「非経口投与される」は、本明細書で使用されるように、通常は注射による、腸内及び局所の投与以外の投与の形態を表わし、限定されないが、静脈内、筋肉内、動脈内、脊髄腔内、嚢内、眼窩内、心臓内、皮内、腹腔内、気管内、皮下、表皮下、関節内、被膜下、蜘蛛膜下、脊髄内、硬膜外及び胸骨内の注射、並びに注入を含む。
【0546】
本明細書に記載される抗体及び/又は免疫結合体を含む医薬組成物中で利用され得る、適切な水性及び非水性の担体の例は、限定されないが、水、エタノール、ポリオール(グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなど)、及びそれらの適切な混合物、オリーブ油などの植物油、及び、オレイン酸エチル及びなどの注入可能な有機エステルなどを含む。適切な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティング材料の使用、分散の場合に必要とされる粒径の維持、及び界面活性剤の使用によって、維持され得る。
【0547】
様々な実施形態において、このような組成物はまた、防腐剤、湿潤剤、乳化剤、及び分散剤などのアジュバントを含み得る。当該技術分野で周知のアジュバントの特定の例は、例えば、無機アジュバント(アルミニウム塩、例えばリン酸アルミニウム、水酸化アルミニウムなど)、有機アジュバント(例えばスクワレン)、油ベースのアジュバント、ビロソーム(例えばインフルエンザウィルス由来の膜結合型のヘマグルチニン及びノイラミニダーゼを含んでいるビロソーム)を含む。
【0548】
製剤における微生物の存在の予防は、避妊手術、及び/又は、様々な抗菌性且つ抗真菌性の薬剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、ソルビン酸フェノールなどの包含の両方により、確実とされ得る。糖や塩化ナトリウムなどの等張剤を組成物に含ませることが望ましい場合もある。加えて、モノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンなどの、吸収を遅延させる薬剤を含ませることによって、注入可能な医薬形態の持続的吸収が引き起こされ得る。
【0549】
本明細書に記載される抗体及び/又は免疫結合体は、ヒト及び動物に医薬として投与される場合、単独で、又は、薬学的に許容可能な担体と組み合わせて活性成分の例えば0.001から90%(より好ましくは0.01から30%などの、0.005から70%)を含んでいる医薬組成物として与えられ得る。
【0550】
選択された投与経路にかかわらず、適切な水和形態で使用され得る、本明細書に記載される抗体及び/又は免疫結合体、及び/又は医薬組成物は、当業者に知られる従来の方法により、薬学的に許容可能な剤形へと処方される。
【0551】
本発明の医薬組成物中の活性成分(例えば本明細書に記載される抗体及び/又は免疫結合体)の実際の投与量レベルは、患者に対して有毒となることなく、特定の患者、組成物、及び投与の形態のために所望される治療反応を達成するのに有効な活性成分の量を得るように、変動され得る。選択された投与量レベルは、利用される本発明の特定の組成物、又はそのエステル、塩、或いはアミドの活性、投与経路、投与の時間、利用される特定の化合物の排出の速度、処置の持続時間、他の薬物、利用される特定の組成物と組み合わせて使用される化合物及び/又は物質、処置される患者の年齢、性別、体重、疾病、健康状態、及び以前の病歴、及び医学の分野で周知の要因を含む、様々な薬物動態学的要因に依存する。当該技術分野において通常の技術を有している医師又は獣医は、必要とされる医薬組成物の有効な量を容易に判定し且つ処方することができる。例えば、医師又は獣医は、所望の治療効果を達成し、且つ所望の効果が達成されるまで投与量を徐々に増大させるのに必要とされるよりも下のレベルで、医薬組成物中に利用される本発明の化合物の用量を開始することができる。一般に、本明細書に記載される抗体及び/又は免疫結合体の適切な一日量は、治療効果を生み出すのに有効な最低の用量である化合物の量である。そのような有効量は通常、上述の要因に依存する。特定の実施形態において、静脈内、筋肉内、腹腔内、又は皮下の投与、好ましくは標的の部位の付近への投与が好ましい。所望される場合、治療用組成物の有効な一日量は、単一の投与量として、又は、随意に単位剤形において一日にわたって適切な間隔で別個に投与される2、3、4、5、6以上のサブ用量として、投与され得る。本明細書に記載される抗体及び/又は免疫結合体を単独で投与することが可能であるが、典型的には医薬製剤(組成物)として化合物を投与することが好ましい。
【0552】
特定の実施形態において、治療用組成物は、当該技術分野で既知の医療器具により投与され得る。例えば、例示的な実施形態において、本明細書に記載される抗体及び/又は免疫結合体は、米国特許第5,399,163号、5,383,851号、5,312,335号、5,064,413号、4,941,880号、4,790,824号、又は4,596,556号に開示される器具などの、針がない皮下注射装置により投与され得る。有用な周知のインプラント及びモジュールの例は、例えば、制御された速度で薬物を分配するための移植可能な微小注入ポンプを開示する米国特許第4,487,603号、皮膚を介して薬物を投与するための治療装置を開示する米国特許第4,486,194号、正確な注入速度で薬物を送達するための薬物注入ポンプを開示する米国特許第4,447,233号、連続的な薬物送達のための流量を変更することが可能である移植可能な注入装置を開示する米国特許第4,447,224号、複数のチャンバの区画を有している浸透薬物送達システムを開示する米国特許第4,439,196号、及び浸透薬物送達システムを開示する米国特許第4,475,196号に記載される。他の多くのそのようなインプラント、送達システム、及びモジュールが、当業者に知られている。
【0553】
特定の実施形態において、本明細書に記載される抗CD46抗体及び/又は免疫結合体は、インビボでの適切な分布を確実にするために処方され得る。例えば、血液脳関門(BBB)は、多くの高度に親水性の化合物を除外する。本発明の治療用化合物がBBBを渡るのを確実にするために(所望される場合)、それらを例えばリポソームにおいて処方することができる。リポソームの製造方法については、例えば、米国特許第4,522,811号;第5,374,548号;及び第5,399,331号を参照。リポソームは、特異的な細胞又は器官へと選択的に運ばれる1以上の部分を含み得、故に標的とされた薬物送達を増強する(例えば、Ranade (1989) J. Clin. Pharmacol. 29: 685)。例示的な標的部分は、限定されないが、葉酸塩又はビオチン(例えば米国特許第5,416,016号を参照);マンノシド(Umezawa et al., (1988) Biochem. Biophys. Res. Commun. 153: 1038);抗体(Bloeman et al. (1995) FEBS Lett. 357:140; Owais et al. (1995) Antimicrob. Agents Chemother. 39:180);サーファクタントタンパク質A受容体(Briscoe et al. (1995) Am. J. Physiol. 1233:134)を含む。
【0554】
<キット>
放射性又は他のエフェクターが診断用及び/又は治療用の薬剤として使用される場合、放射標識化された化合物の頻繁に不十分な保存期間、及び/又は使用される放射性核種の短い半減期により、組成物をユーザーが自由に使える状態にするのは、高頻度で不可能である。そのような場合、ユーザーは、臨床病院、医師のオフィス、又は実験室において、放射性核種との標識化反応を行なうことができる。この目的、又は他の目的のために、様々な反応成分が後に、いわゆる「キット」の形でユーザーに提供され得る。所望の反応を行うのに必要な操作が、自由に使用できる施設を使用することによりユーザーが所望の組成物をキットから調製することができるほど可能な限り単純となるように、キットが好ましくは設計される。それ故、本発明はまた、本発明に従って組成物を調製するためのキットにも関連する。
【0555】
特定の実施形態において、そのようなキットは、本明細書に記載される1以上の抗体又は免疫結合体を含む。抗体又は免疫結合体は、所望される場合、不活性な薬学的に許容可能な担体及び/又は配合剤及び/又はアジュバントを加えて、提供され得る。加えて、キットは随意に、適切な放射性核種(又は他の活性剤)の塩或いはキレートの溶液、(iii)キットに提示される成分を投与及び/又は反応させるための処方箋を含む使用説明書を含んでいる。
【0556】
ユーザーに供給されるキットはまた、使用説明書と一緒に、上記に定義される成分を含み得る一方で、制限された保存期間を有する、上記(ii)で定義される放射性核種の塩又はキレートの溶液が、別々にユーザーが自由に使用できるようにされる場合がある。
【0557】
キットは随意に、そして付加的に、還元剤、及び/又は、所望される場合、キレート化剤、及び/又は、所望の生成物を形成するためにキットの成分を反応させるための組成物及び/又は処方箋の使用説明書を含み得る。所望される場合、キットの成分は、適合可能である場合に組み合わされ得る。
【0558】
特定の実施形態において、免疫結合体は、中性の媒体における成分を組み合わせて、それらを反応させることにより単純に生成され得る。その目的のために、エフェクターは、例えばキレートの形態で抗体に提供され得る。
【0559】
キットの要素は、医薬の投与のための構成成分として(例えば、噴射液体として)使用される場合、滅菌されることが好ましい。キットの要素が乾燥状態で提供される場合、ユーザーは好ましくは、溶媒として滅菌生理食塩液を使用しなければならない。所望される場合、キットの要素は、適切な安定剤、例えばアスコルビン酸、ゲンチシン酸、又はこれらの酸の塩を伴う従来の方法で安定させられ、又は、他の助剤、例えばグルコース、ラクトース、マンニトールなどの充填剤を含み得る。
【0560】
存在する場合に、教材は、典型的に資料又は印刷物を含む一方で、そのようなものに限定されない。そのような説明書を保存すると共にそれらをエンドユーザに伝える任意の媒体が、本発明により熟考される。そのような媒体は、限定されないが、電子記憶装置媒体(例えば磁気ディスク、テープ、カートリッジ、チップ)、光学媒体(例えばCD ROM)などを含む。そのような媒体は、前記教材を提供するインターネットサイトへのアドレスを含み得る。
【実施例】
【0561】
以下の実施例は、例証するために提供され、請求される本発明を限定するようには提供されない。
【0562】
<実施例1>
<新規の抗CD46抗体およびその使用>
新規の抗ヒトCD46抗体を特定するために、ヒトCD46のSushiドメイン1および2から構成される組み換えFc融合タンパク質を作成した。補体要素(complement elements)が、ドメイン3および4に優位に結合するために、ドメイン1および2の選択は、正常な補体機能に強力に干渉し得る抗体の選択を最小限にする。このCD46-Fc融合は、プロテインA親和性クロマトグラフィーによってトランスフェクトされたHEK293細胞から生成される且つ精製される。ヒト抗体の選択に関して、5×109メンバーのファージミドのディスプレイライブラリ(member phagemid display library)を、426人の健全なヒトドナーの末梢血単核細胞からプールされたcDNAを使用して作成し、ライブラリから、組み換えCD46-Fc融合タンパク質を選択した。3ラウンドの選択後に、結合するファージミドを、FACSによってスクリーニングし、配列決定した。平行して、最初に、生きた腫瘍細胞上のライブラリを選択し、続いて、ラウンド1のファージミド選択からのアウトプット(output)を酵母表面ディスプレイベクターへと移し、その後、組み換えCD46-Fc融合タンパク質に対する高親和性結合剤を豊富にするために低濃度のリガンドを使用してFACSベースの選択を行うことを含む、代替的な方策を利用した。結果として生じる抗体は、高親和性を有して、生きた腫瘍細胞および組み換えヒトCD46タンパク質の両方に結合する。すべての結合するクローンを配列決定し、ユニーク配列を表1にリストする。
【0563】
scFvsを完全ヒトIgG1sへと変換し、結合親和性を生きた腫瘍細胞上で測定した。FACS結合データを曲線適合して、KD値を作成した(Du-145上のYS5に関しては
図2、およびDu-145上のYS12に関しては
図3)。親和性は、研究される抗体に対して低ナノモル(nM)からナノモル以下まで及ぶ。
【0564】
ヒトCD46に加えて、本明細書に記載される抗体は、同様の親和性を有して、カニクイザルCD46(
図4)に結合し(CHO-huCD46上のYS5に関しては
図5およびCHO-cynoCD46上のYS5に関しては
図6)、したがって、規制上の毒性研究のための適切な種が特定される。
【0565】
抗CD46抗体はすべて、以前に特定されたUA20および2B10とともに、CD46のSushiドメイン1および2に結合する。エピトープの差を明らかにするために、この領域をさらに分析した。最初に、生きた腫瘍細胞上でFACSベースの競合実験を行い、我々の抗体がUA20-Fcと競合するか又は競合しないかのいずれかであることが分かった:群1はYS5および他の抗体から成り、群1はSB1HGNYから成る(
図7)。群1の抗体に関して、様々なCD46突然変異体への抗体結合の選択的効果によって証拠づけられるような更なるエピトープの差がある(表3)。例えば、位置39での突然変異が、その結合に一意的に影響するために(表3)、YS5は他の抗体とは異なり、これは、位置39が、すべての抗体に対する結合に影響を与える位置40とともに、CD46へのYS5結合のためのエピトープの一部であることを示唆している。
【0566】
【0567】
すべての抗体は、実験室株(Edmonston)麻疹ウイルスHタンパク質と競合する。麻疹ウイルスは、マクロピノサイトーシスによって標的細胞に進入する(Crimeen-Irwin et al. (2003) J. Biol. Chem. 278: 46927-46937)。Hタンパク質は細胞表面CD46の結合および架橋に反応し(responsive)、これは、ウイルス侵入に必要とされる(同文献)。我々の抗体が、CD46に結合するHタンパク質と競合するかどうかを判断するために、組み換えHタンパク質-Fc融合を作り出し、抗CD46抗体との競合のためにFACSによって試験した。試験される抗体がHタンパク質と競合することが分かり(
図8)、これは重なる結合部位を示唆している。
【0568】
麻疹ウイルスがマクロピノサイトーシスによって標的細胞に進入すると、次に、抗CD46抗体が、マクロピノサイトーシスを介して腫瘍細胞によって内在化されるかどうかを判定した。マクロピノサイトーシスに対する指標として70kDaの中性濃度のデキストラン(ND70)を使用して(Ha et al. (2014) Mol. Cell Proteomics. 13(12): 3320-3331)、抗CD46抗体がマクロピノサイトーシス経路によって実際に内在化されることが分かった(
図9)。マクロピノサイトーシスは本質的に腫瘍選択的であり(Commisso et al. (2013) Nature, 497: 633-637; Ha et al. (2014) Mol. Cell Proteomics. 13(12): 3320-3331; Reyes-Reyes et al. (2010) Cancer Res. 70: 8617-8629)、それ故、腫瘍細胞に対する更なる選択性を抗CD46抗体に与えている。
【0569】
標的とされた治療薬の開発のための標的としてCD46を確証するために、CD46エピトープの組織特異性を免疫組織化学的検査によって判定した。腫瘍中のCD46エピトープ発現を最初に研究した。免疫組織化学研究を、凍結およびホルマリン固定したパラフィン包埋(FFPE)前立腺癌組織上で行った。凍結組織上において、18/18の事例(100%)が強力な染色信号を示し、これは、すべての事例における過剰発現を示唆している。FFPE組織上において、63/87の事例で強力なCD46染色が見られ、23/87の事例で中程度の染色、および1/87の事例で弱い染色が見られ、これは、CD46が前立腺腫瘍の大半によって過剰発現されるという結論を支持している。免疫組織化学的検査の概要は、表4および
図10に示される。
【0570】
【0571】
前述の研究は、ヒト癌に対するCD46標的のモノクローナル抗体の治療薬の開発を強く支持している。この目的のために、新規の抗CD46抗体のパネルを使用して、抗体薬物複合体(ADC)を開発した。モノメチルオーリスタチンF(MMAF)を、MC-vc-PABリンカーを介してYS5 IgG1に抱合した(McDonagh et al. (2008) Mol. Canc. Therap. 7: 2913-2923; Sutherland et al. (2006) J. Biol. Chem. 281: 10540-10547)。疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)によって、抗体分子当たり平均で約3つの薬物が抱合されたと決定された(
図11)。その後、インビトロでの腫瘍死滅活性を、転移性の去勢抵抗性前立腺癌の細胞株(LNCa-C4-2BおよびDu145)のパネルを使用して試験した。強力な腫瘍細胞死滅が、低いnMからnM以下までの範囲のEC50値とともに観察された(
図12および13)。
【0572】
抗CD46 ADCのインビボでの抗腫瘍活性を、LNCaP-C4-2Bの皮下の異種移植片モデルを使用して試験した。腫瘍の増殖および生存の強力な阻害が観察され、腫瘍容積が5mg/kgでの5回の投薬後に検出できないレベルにまで減少した(
図14)。ADC注入後の示された期間の間に腫瘍は再発しなかった(
図14)。
【0573】
前立腺癌に加えて、抗CD46 ADCが、CD46を発現する様々な他の癌を強力に死滅させることが分かった。例えば、CD46がまた、前立腺癌に加えて、多発性骨髄腫の細胞表面上で高度に発現されることが分かった(
図15)。さらに、抗CD46 ADCは、nM以下の範囲でEC50を有する多発性骨髄腫の細胞株RPMI8226を強力に死滅させる(
図16)。最終的に、抗CD46 ADCは、インビボで多発性骨髄腫の負荷を大幅に減少させたことが示された。レポーターを発現する株(ホタルルシフェラーゼ遺伝子を発現したRPMI8226-Luc)を、尾静脈を介して免疫力が低下したマウスに注入し、播種性腫瘍細胞を骨および関節中に確立させた。その後、抗CD46 ADCを5mg/kgで4回注入し(4日ごと)、腫瘍状態を生物発光によってモニタリングした。抗CD46 ADCが、インビボで腫瘍負荷を減少させるのに非常に有効であることが分かった(
図17)。ADC処置後に生存率データを収集し(
図18)、実験の期間にわたって、処置したマウスの60%が「治癒」を示し、残りの40%が非常に遅れた死亡を示した。
【0574】
適応範囲を広げるために、抗CD46 ADCを、ルシフェラーゼレポーターを発現する第2の多発性骨髄腫の細胞株MM1.Sを使用して研究した。抗CD46 ADCの強力な腫瘍死滅活性がインビボで観察された。4mg/kgでの4回の投薬は、MM1.S腫瘍細胞を完全に除去した(
図20)。対照的に、対照ADC(非結合抗体に抱合されたMMAF)は、同じ投薬量および投薬頻度では全く効果がなかった。さらに、4mg/kgでの抗CD46 ADCの単回投与でさえ、腫瘍負荷を大幅に減少させ、腫瘍形成の大きな阻害を引き起こした(
図20)。抗CD46 ADCの0.8mg/kgでの4回の投与はまた、MM1.S異種移植片形成の持続的阻害を引き起こした(
図20)。最終的に、裸の抗体(YS5 IgG1)でさえ、この異種移植片モデルにおいて著しい腫瘍阻害を引き起こし(
図20)、これは、多発性骨髄腫の特定のサブタイプ用の潜在的な裸の抗体ベースの治療薬の興味深い可能性を示唆している。
【0575】
処置後の生存率を判定するために、カプラン・マイヤー分析を行った。CD46 ADC処置した群は、対照群よりも著しい生存率の利点を示した(
図21)。4mg/kgのCD46 ADCの4回の投薬を受けたマウスはすべて、実験の終了まで生存した(212日目)。
【0576】
前述の前立腺癌および多発性骨髄腫に加えて、限定されないが、大腸癌、膵癌、中皮腫、肺癌、乳癌、卵巣癌、膀胱癌、肝臓癌、神経膠腫、および神経芽腫を含む、癌細胞株の広いパネルにおいて、CD46が高度に発現されることが分かった。さらに、抗CD46 ADCは、これらの細胞をインビトロで強力に死滅させた。例えば、抗CD46 ADCは、大腸癌細胞(YS5に関しては
図19、HT29上のYS12に関しては
図22、およびHT29上のSB1HGNYに関しては
図23)、膵癌細胞(
図24)、中皮腫細胞(
図25)、および卵巣癌細胞(
図26)を死滅させるのに非常に有効である。
【0577】
潜在的な毒性を評価するために、CD46(BPH-1)を発現しない又は適度なレベルでそれを発現する対照細胞(例えばHS27)のパネル上で、YS5 ADCを試験した。これらの細胞上で大きく減少された細胞毒性が観察され(BPH-1上のYS5 ADCに関しては
図27、HS27上のYS5 ADCに関しては
図28、正常なT細胞上のYS5 ADCに関しては
図29、およびCD14枯渇末梢血単核細胞(PBMC)上のYS5 ADCに関しては
図30)、これは、それらがADCを容易に取り込まないことを示唆している。マクロピノサイトーシスを介する差次的な内在化(Differential internalization)は、抗CD46 ADCの選択性を増強する有望な機構である。
【0578】
ヒトCD46を発現するトランスジェニックマウスを使用して、ADC毒性をインビボで研究した。ヒトCD46に対する真のネズミのオルソログはなく、ネズミCD46は、ヒトCD46とはかなり異なる生理学的役割を実行する。抗体はネズミCD46に結合しなかった。したがって、トランスジェニックモデルを除いて潜在的な抗CD46 ADC毒性の評価のための優れた小動物モデルはない。抗CD46 ADCを、6mg/kgでヒトCD46発現のトランスジェニックマウスに注入し、毒性の顕在的徴候のために毎日動物をモニタリングした。動物を14日目で屠殺し、重要臓器を組織損傷の組織学的検査のために採取した。
図31に示されるように、抗CD46 ADC処置したマウスと対照ADC処置したマウスとの間に顕著な差はない。この実験の期間の間に、試験されるADCのこの投薬量で毒性の顕在的徴候は観察されなかった。CD46が上に示されるような抗CD46抗体によって認識されるカニクイザルなどのヒト以外の霊長類において、規制上の毒物学研究が行われる必要があることが理解される。
【0579】
ヒトCD46遺伝子がクロモソーム1(1q32.2)の短腕に位置すること、および様々な癌、特に予後不良を有する癌で、1q利得(gain)が頻繁に観察されていることを考慮すると、限定されないがADCを含む、抗CD46抗体の治療薬が、治療薬を緊急に必要とする進行したステージで広範囲の悪性腫瘍に適用可能であることが十分に考えられる。例えば、前立腺癌では、広がる(spanning)領域1q32.2は、現在の治療薬が効果を発揮することがない疾患の播種性の転移形態を増加させる(gain in)ことが示されており(Hanamura et al. (2006) Blood, 108: 1724-1732)、これは、転移性の去勢抵抗性前立腺癌を我々の抗CD46 ADC処置のための優れた候補にしている。多発性骨髄腫では、1q利得はまた、再発性患者において頻繁に観察され(同文献)、それ故、我々の抗CD46 ADCが潜在的に助けることができる重要な患者集団が特定される。1q利得(および特に1q32.2)と予後不良との間の相関性は他の癌でも見られ、これは、1qを、患者の層別化およびこれらの悪性腫瘍をモニタリングする結果のための我々の抗CD46 ADCに対する潜在的なバイオマーカーにしている。1qの状態を評価するために、1q32.2を検出するFISHプローブが使用され得る。予後不良を有するCD46発現の癌に対する最小に侵襲性のバイオマーカー(Fan et al. (2008) Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 105: 16266-16271)として1q利得を検出するために、循環DNAも使用され得る。
【0580】
本明細書に記載される抗CD46抗体は、スタンドアロンの造影剤(standalone imaging agent)または抗CD46 ADCに対するコンパニオン診断薬として、インビボで腫瘍状態をモニタリングするために、イメージングプローブにおいて使用され得る。我々の元の抗CD46抗体UA20を以前に標識化し、前立腺癌を標的とするためのインビボでのその優れたイメージング特性を実証した(He et al. (2010) J. Nucl. Med. 51: 427-432)。イメージングに加えて、抗CD46抗体は、生検および保管された患者サンプルにおいてCD46発現を評価するための免疫組織化学的検査ベースのバイオマーカーにおいて、血清CD46レベルを評価するための捕捉ELISAアッセイにおいて、および播種性の及び/又は循環する腫瘍細胞においてCD46細胞表面の発現を評価するためのFACSまたはチップベースのアッセイにおいて使用され得る。
【0581】
<実施例2>
<CD46 ADCは、大腿骨内mCRPC異種移植片モデルにおいて非常に活性である。>
前立腺癌転移の95%以上が骨の部位に対するものであるため、骨異種移植片モデル中の我々の抗CD46 ADCの効能をさらに研究した。ホタルルシフェラーゼレポーターを運ぶ転移性の去勢抵抗性前立腺癌(mCRPC)細胞株LNCaP C4-2BをNSGマウスの大腿骨へと注入して、骨内の異種移植片モデルを作成した。移植の7日後に4日ごとに合計で4回、CD46 ADC(YS5-mcvcpab-MMAF)を注入した。処置の間および後に、生物発光イメージングによって腫瘍状態をモニタリングした。
図32に示されるように、CD46 ADCで処置したマウスは、実験の終了(65日目)まで処置後の期間にわたって持続する大きな腫瘍阻害を示し、これは、我々のCD46 ADCが、この大腿骨内mCRPC異種移植片モデルにおいて非常に効果的であることを示唆している。
【0582】
<CD46は、CRPCとmCRPCの組織において高度に発現される。>
一次腫瘍に加えて、去勢抵抗性前立腺癌(CRPC)および転移性の去勢抵抗性前立腺癌(mCRPC)からの組織試料に関する免疫組織化学研究を行った。
図33に示されるように、CD46はCRPC試料において高度に発現される。mCRPC試料をさらに研究し、骨転移(
図34)、リンパ節転移(
図35)、および膀胱転移(
図36)におけるCD46の広範囲(研究された事例の100%、または12/12)且つ強力な発現が見られた。
【0583】
<CD46は、前立腺癌の神経内分泌のサブタイプによって過剰発現される。>
約30%の患者は、アビラテロンおよびエンザルタミドによる処置に耐性がある。前立腺癌の小細胞/神経内分泌タイプの出現は頻繁な事象であり得る(事例の~30-40%)。腺癌とは異なり、神経内分泌の前立腺癌は、しばしば、前立腺特異性抗原(PSA)および前立腺特異性膜抗原(PSMA)などの一般的なマーカーを発現しない。それ故、神経内分泌の前立腺癌細胞株H660によるFACS CD46発現によって研究に努めた。
図37に示されるように、左のパネル、CD46は、H660細胞によって高度に発現される。ウエスタンブロット分析は、H660細胞が、CD46および神経内分泌マーカーの神経特異的エノラーゼ(NSE)を発現することを確証した(
図37、右のパネル)。我々の抗CD46抗体(YS5)は、H660細胞によって内在化され、リソソームマーカーLAMP1と共局在化される(
図38)。我々の抗CD46 ADCは、H660細胞でインキュベートされるとき、EC50<1nMを有する強力な細胞毒性活性をインビトロで示した(
図39)。
【0584】
<CD46は、アビラテロンまたはエンザルタミドでの処置後に前立腺癌細胞によってさらにアップレギュレートされ、これによって、前立腺癌細胞はCD46 ADCに敏感となる。>
7日間10μMのアビラテロンでmCRPC株LNCaP-C4-2Bを処置することによって、表面のCD46発現の著しいアップレギュレーションが引き起されることが分かった(
図40)。興味深いことに、このアップレギュレーションは、腫瘍細胞の死滅効果の増強に相関し(
図41)、EC50値は169pMから21pMに低下する。同様に、神経内分泌の前立腺癌細胞株H660が、7日間10μMのエンザルタミドでインキュベートされるときに、細胞表面CD46の著しいアップレギュレーションが観察された(
図42)。LNCaP-C4-2B細胞で観察されたもののように、H660細胞は、エンザルタミド処置後にCD46 ADCにより敏感となり、EC50は4-5倍低下する。
【0585】
<更なる腫瘍上のCD46発現。>
前立腺癌および多発性骨髄腫に加えて、広範囲のヒト癌においてCD46が過剰発現されることが分かった。免疫組織化学分析によって、82%の大腸癌(81/99の事例)において陽性CD46染色を発見し、70/99は強力な染色を示していた(71%)(
図43)。興味深いことに、転移性の大腸癌のほぼ100%が、CD46を発現する(
図44において肝転移、
図45においてリンパ節転移、および
図46において膀胱転移)。
【0586】
陽性CD46染色は、中皮腫の41/50の事例(82%)に対しても観察され、31/50が強力な染色を示していた(62%)(
図47)。膵癌において、陽性CD46染色が28/50の事例(56%)で観察された(
図48)。多形性膠芽腫(GBM)において、30/40(75%)の事例で陽性染色が観察された(
図49)。
【0587】
限定されないが、膀胱癌、卵巣癌、胃癌、肺癌、肝臓癌、乳癌、およびリンパ腫を含む他の腫瘍においても、陽性染色が観察された。
【0588】
<CD46 ADCは他の腫瘍に対しても有効である。>
インビトロの研究に加えて、NSGマウス中で運ばれた中皮腫の異種移植片に関するCD46 ADCのインビボの研究も行った。
図50に示されるように、YS5-mcvcpab-MMAFは、腫瘍の異種移植片形成を阻害するのに非常に有効である。
【0589】
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【配列表】