(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-10
(45)【発行日】2023-01-18
(54)【発明の名称】OCT映像生成方法、OCTシステム及び格納媒体
(51)【国際特許分類】
G01N 21/17 20060101AFI20230111BHJP
G01B 11/24 20060101ALI20230111BHJP
【FI】
G01N21/17 630
G01B11/24 D
(21)【出願番号】P 2020185397
(22)【出願日】2020-11-05
(62)【分割の表示】P 2019094530の分割
【原出願日】2019-05-20
【審査請求日】2020-11-05
(31)【優先権主張番号】10-2018-0057902
(32)【優先日】2018-05-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】506414749
【氏名又は名称】コー・ヤング・テクノロジー・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【氏名又は名称】中島 淳
(72)【発明者】
【氏名】ホン ヨンジュ
(72)【発明者】
【氏名】チェ ジョンフン
(72)【発明者】
【氏名】ホン ドクファ
【審査官】越柴 洋哉
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/075089(WO,A1)
【文献】特開2017-116540(JP,A)
【文献】特開2012-147976(JP,A)
【文献】Benedikt W. Graf et al.,"Correction of coherence gate curvature in high numerical aperture optical coherence imaging",Optics Letters,Optical Society of America,2010年09月15日,Vol.35, No.18,pp.3120-3122
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/17-G01N 21/61
A61B 3/00-A61B 3/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
OCTシステムにより行われるOCT映像生成方法であって、
基準面に対する干渉信号を取得する段階と、
前記基準面に対する干渉信号から前記基準面の3次元映像を含む第1映像を生成する段階と、
前記第1映像に含まれた歪曲された形状を有する基準面と歪曲されていない平らな形状を有する基準面の間の相対的な深さ位置の差を計算することにより、コヒーレンスゲート湾曲(Coherence Gate Curvature、CGC)プロファイルを抽出する段階と、
前記CGCプロファイルからCGCフィッティング曲線を生成する段階と、
を含み、
前記CGCフィッティング曲線はサンプルに対する干渉信号を補正するのに用いられる情報であ
り、
前記サンプルに対する干渉信号を取得する段階と、
前記CGCフィッティング曲線を用いて前記サンプルに対する干渉信号を補正する段階と、
前記補正された前記サンプルに対する干渉信号から、第2映像を生成する段階と、
をさらに含む、OCT映像生成方法。
【請求項2】
前記CGCプロファイルを抽出する段階は、
前記3次元映像のx-y平面上のピクセルのうち第1ピクセルセットを選択する段階と、
前記第1ピクセルセットに対して、前記歪曲された形状を有する基準面の3次元映像上での定点と、前記歪曲された形状を有する基準面の3次元映像上での定点でない地点間の相対的な深さ位置の差を抽出する段階と
を含む請求項1に記載のOCT映像生成方法。
【請求項3】
前記第1ピクセルセットを選択する段階では、
前記3次元映像のx-y平面上のピクセルのうち一部のみが前記第1ピクセルセットとして選択される、請求項
2に記載のOCT映像生成方法。
【請求項4】
前記第1ピクセルセットを選択する段階では、
前記3次元映像のx-y平面上のピクセルのうち一部を前記第1ピクセルセットとして選択するにおいて、各ピクセルに対応する前記干渉信号の強度に基づいて前記第1ピクセルセットを選択する、請求項
2に記載のOCT映像生成方法。
【請求項5】
OCTシステムであって、
干渉計と、
光感知部と、
処理部と、
記憶部と
を含み、
前記干渉計は、光源、ビームスプリッタ及び基準鏡を含み、
前記光感知部は、前記光源からのレーザビームが前記基準鏡により反射されて生成された基準光と、前記レーザビームが基準面により反射されて生成された反射光により生成される干渉光を受信して干渉信号に切り替え、
前記処理部は、
基準面に対する干渉信号を取得し、
前記干渉信号から前記基準面の3次元映像を含む第1映像を生成し、
前記第1映像に含まれた歪曲された形状を有する基準面と歪曲されていない平らな形状を有する基準面の間の相対的な深さ位置の差を計算することにより、CGCプロファイルを抽出し、
前記CGCプロファイルからCGCフィッティング曲線を生成し、
前記CGCフィッティング曲線はサンプルに対する干渉信号を補正するのに用いられる情報であ
り、
前記処理部は、
前記サンプルに対する干渉信号を取得し、
前記CGCフィッティング曲線を用いて前記サンプルに対する干渉信号を補正し、
補正された前記サンプルに対する干渉信号から、第2映像を生成する、OCTシステム。
【請求項6】
前記処理部は、前記CGCプロファイルを抽出するときに、
前記3次元映像のx-y平面上のピクセルのうち第1ピクセルセットを選択し、
前記第1ピクセルセットに対して、前記歪曲された形状を有する基準面の3次元映像上での定点と、前記歪曲された形状を有する基準面の3次元映像上での定点でない地点間の相対的な深さ位置の差を抽出する、
請求項
5に記載のOCTシステム。
【請求項7】
前記処理部は、前記第1ピクセルセットを選択するときに、
前記3次元映像のx-y平面上のピクセルのうち一部のみを前記第1ピクセルセットとして選択する、
請求項
6に記載のOCTシステム。
【請求項8】
前記処理部は、前記第1ピクセルセットを選択するときに、
前記3次元映像のx-y平面上のピクセルのうち一部を前記第1ピクセルセットとして選択するにおいて、各ピクセルに対応する前記干渉信号の強度に基づいて前記第1ピクセルセットを選択する、請求項
6に記載のOCTシステム。
【請求項9】
プロセッサにより実行可能なプログラム命令語が格納されたコンピュータ読み取り可能な格納媒体であって、前記プログラム命令語は、プロセッサにより行われるときに方法を行うように構成され、前記方法は、
基準面に対する干渉信号を取得する段階と、
前記干渉信号から前記基準面の3次元映像を含む第1映像を生成する段階と、
前記第1映像に含まれた歪曲された形状を有する基準面と歪曲されていない平らな形状を有する基準面の間の相対的な深さ位置の差を計算することにより、CGCプロファイルを抽出する段階と、
前記CGCプロファイルからCGCフィッティング曲線を生成する段階と、
前記CGCフィッティング曲線を用いて前記干渉信号を補正し、補正された干渉信号を生成する段階と
を含み、
前記CGCフィッティング曲線はサンプルに対する干渉信号を補正するのに用いられる情報であ
り、
前記方法は、
前記サンプルに対する干渉信号を取得する段階と、
前記CGCフィッティング曲線を用いて前記サンプルに対する干渉信号を補正する段階と、
補正された前記サンプルに対する干渉信号から、第2映像を生成する段階と、
をさらに含む、コンピュータ読み取り可能な格納媒体。
【請求項10】
前記CGCプロファイルを抽出する段階は、
前記3次元映像のx-y平面上のピクセルのうち第1ピクセルセットを選択する段階と、
前記第1ピクセルセットに対して、前記歪曲された形状を有する基準面の3次元映像上での定点と、前記歪曲された形状を有する基準面の3次元映像上での定点でない地点間の相対的な深さ位置の差を抽出する段階と
を含む請求項
9に記載のコンピュータ読み取り可能な格納媒体。
【請求項11】
前記第1ピクセルセットを選択する段階では、
前記3次元映像のx-y平面上のピクセルのうち一部のみが前記第1ピクセルセットとして選択される、
請求項
10に記載のコンピュータ読み取り可能な格納媒体。
【請求項12】
前記第1ピクセルセットを選択する段階では、
前記3次元映像のx-y平面上のピクセルのうち一部を前記第1ピクセルセットとして選択するにおいて、各ピクセルに対応する前記干渉信号の強度に基づいて前記第1ピクセルセットを選択する、
請求項
10に記載のコンピュータ読み取り可能な格納媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、OCTシステムとOCTシステムにおける3次元映像補正方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的なOCTシステムは、レーザビームが基準鏡により反射された基準光と、測定対象であるサンプルにより後方散乱されたサンプル光を用いて測定対象物の3次元映像を生成する。具体的には、OCTは、サンプル光が基準光と対比して有するようになる光経路の差から示される干渉信号を解析して3次元映像を生成する。基準光の光経路の長さと同一の光経路の長さを有するサンプル光を発生させる深さ位置をzero-delayといい、測定対象サンプルの測定点における深さ形状は、zero-delayを基準に相対的な位置で示されるようになる。コヒーレンスゲート(Coherence Gate)とは、zero-delayを基準に干渉が発生して断面映像を得ることができる3次元の範囲を意味する。
【0003】
OCT技術は、物理的な切断なしに光学的に切断面の映像を提供することで、表面に対する2次元映像のみでは確認し難い表面の下の3次元構造の情報を提供する。OCT技術で映像化可能な深さ範囲は、OCTに用いられるレーザビームの波長と光学系の構成などにより決定され、通常、2~3mmである。このようなOCT技術は、網膜疾患をはじめとする前眼部とまぶたなどに対する眼科疾患の診断に多様に活用されてきた。また、最近では眼科診断への適用を越え、血管と血流、組織検査などの分野までその適用範囲が次第に広くなっている。特に最近では、OCTを用いた顕微鏡、即ち、光学断層顕微鏡(Optical Coherence Microscope、OCM)が登場するなど、OCTを用いて高解像度の3次元映像を生成することに関する要求事項が次第に増大している実情である。
【0004】
OCTを活用して3次元映像を生成する過程には、レーザビームが対象の測定領域を横方向にスキャンする作業が含まれている。このためにレーザビームは、OCTシステムの光学系に含まれた一連の回転可能なミラーにより反射される。反射されたレーザビームは、反射角に応じて光学系上の光軸からの互いに異なる位置を通るようになり、これにより、レーザビームが測定する地点が変わってくる。このとき、レーザビームは、同一の地点である光源から照射されるものの、測定地点が変わることによってレーザビームが通る光経路の長さが変わるようになり、これは測定対象であるサンプルから散乱された光が戻るときにも同一に発生する。これにより、測定対象の物体空間で光軸からの横方向位置に応じてzero-delayの深さ位置が変わるようになり、3次元のコヒーレンスゲートボリュームも直方体の形状を有さず、光軸に対して垂直の面が放物面のように曲がる形状となる。OCTイメージングにおいてコヒーレンスゲート湾曲(Coherence Gate Curvature、CGC)という現象は、光軸からの横方向位置別にzero-delayの位置が異なるに伴い、当該位置における深さ形状が個別的に移動して示されるものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これに関する先行研究として、Benedikt W. Grafなどは、基準面に対する干渉信号を抽出し、ここで波数(wave-number)による位相値を分析することで、CGC値を算出する。このCGC値を用いて、サンプルを測定した干渉信号の位相を補正することにより、測定サンプルのOCTイメージのCGCを補正する方式を提案した(Benedikt W. Graf、et el., 「Correction of coherence gate curvature in high numerical aperture optical coherence imaging」、Optics Letters 35(18), 3120-3122, 2010)。このような方式を選択すると、映像内に示されたピクセル解像度より高い解像度で補正が可能である。しかし、位相分析を用いるBenediktが提案した方法は、必要な計算量があまりにも多いという問題がある。OCTイメージング計算において負荷が多い計算は、フーリエ変換(Fourier Transform)であり、通常、1回のフーリエ変換計算を必要とするが、Benediktの方法によりコヒーレンスゲート湾曲を解決するためには、3回のフーリエ変換を必要とする。
【0006】
本開示の目的は、以上のような従来技術の不便さを解消し、OCTシステムを用いて高解像度の3次元映像を生成するにおいて、CGCにより発生する歪曲を補正することを目的とする。
【0007】
本開示の目的は、OCTシステムを用いて高解像度の3次元映像を生成するにおいて、CGCにより発生する歪曲をサブピクセル水準でも少ない計算量だけで補正することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一実施例によるOCTシステムにより行われる映像補正方法は、基準面に対する干渉信号を取得する段階;前記基準面に対する干渉信号から前記基準面の3次元映像を含む第1映像を生成する段階;前記第1映像からコヒーレンスゲート湾曲(Coherence Gate Curvature、CGC)プロファイルを抽出する段階;及び前記CGCプロファイルからCGCフィッティング曲線を生成する段階を含むことを特徴とする。
【0009】
本開示の他の実施例によるOCTシステムにより行われる映像補正方法は、サンプルに対する干渉信号を取得する段階;前記CGCフィッティング曲線を用いて前記サンプルに対する干渉信号を補正する段階;及び前記補正された前記サンプルに対する干渉信号から、第2映像を生成する段階をさらに含むことを特徴とする。
【0010】
本開示の他の実施例によるOCTシステムにより行われる映像補正方法は、前記CGCプロファイルを抽出する段階が、前記3次元映像のx-y平面上のピクセルのうち第1ピクセルセットを選択する段階;及び前記第1ピクセルセットに対して、前記基準面の3次元映像上での定点と、前記基準面の3次元映像上での定点でない地点間の相対的な深さ位置の差を抽出する段階を含むことを特徴とする。
【0011】
本開示の他の実施例によるOCTシステムにより行われる映像補正方法は、前記第1ピクセルセットを選択する段階において、前記3次元映像のx-y平面上のピクセルのうち一部のみが前記第1ピクセルセットとして選択されることを特徴とする。
【0012】
本開示の他の実施例によるOCTシステムにより行われる映像補正方法は、前記第1ピクセルセットを選択する段階において、前記3次元映像のx-y平面上のピクセルのうち一部を前記第1ピクセルセットとして選択するにおいて、各ピクセルに対応する前記干渉信号の強度に基づいて前記第1ピクセルセットを選択することを特徴とする。
【0013】
本開示の一実施例によるOCTシステムは、干渉計;光感知部;処理部;及び記憶部を含み、前記干渉計は、光源、ビームスプリッタ及び基準鏡を含み、前記光感知部は、前記光源からのレーザビームが前記基準鏡により反射されて生成された基準光と、前記レーザビームが基準面により反射されて生成された反射光により生成される干渉光を受信して干渉信号に切り替え、前記処理部は、基準面に対する干渉信号を取得し、前記干渉信号から前記基準面の3次元映像を含む第1映像を生成し、前記第1映像からCGCプロファイルを抽出し、前記CGCプロファイルからCGCフィッティング曲線を生成することを特徴とする。
【0014】
本開示の他の実施例によるOCTシステムは、前記処理部が、サンプルに対する干渉信号を取得し、前記CGCフィッティング曲線を用いて前記サンプルに対する干渉信号を補正し、前記補正された前記サンプルに対する干渉信号から、第2映像を生成することを特徴とする。
【0015】
本開示の他の実施例によるOCTシステムは、前記処理部が、前記CGCプロファイルを抽出するときに、前記3次元映像のx-y平面上のピクセルのうち第1ピクセルセットを選択し、前記第1ピクセルセットに対して、前記基準面の3次元映像上での定点と、前記基準面の3次元映像上での定点でない地点間の相対的な深さ位置の差を抽出することを特徴とする。
【0016】
本開示の他の実施例によるOCTシステムは、前記処理部が、前記第1ピクセルセットを選択するときに、前記3次元映像のx-y平面上のピクセルのうち一部のみを前記第1ピクセルセットとして選択することを特徴とする。
【0017】
本開示の他の実施例によるOCTシステムは、前記処理部が、前記第1ピクセルセットを選択するときに、前記3次元映像のx-y平面上のピクセルのうち一部を前記第1ピクセルセットとして選択するにおいて、各ピクセルに対応する前記干渉信号の強度に基づいて前記第1ピクセルセットを選択することを特徴とする。
【0018】
本開示の一実施例によるコンピュータ読み取り可能媒体は、プロセッサにより実行可能なプログラム命令語が格納されたコンピュータ読み取り可能な格納媒体であって、前記プログラム命令語は、プロセッサにより行われるときに方法を行うように構成され、前記方法は、基準面に対する干渉信号を取得する段階;前記干渉信号から前記基準面の3次元映像を含む第1映像を生成する段階;前記第1映像からCGCプロファイルを抽出する段階;前記CGCプロファイルからCGCフィッティング曲線を生成する段階;及び前記CGCフィッティング曲線を用いて前記干渉信号を補正し、補正された干渉信号を生成する段階を含むことを特徴とする。
【0019】
本開示の他の実施例によるコンピュータ読み取り可能媒体は、前記方法が、サンプルに対する干渉信号を取得する段階;前記CGCフィッティング曲線を用いて前記サンプルに対する干渉信号を補正する段階;及び前記補正された前記サンプルに対する干渉信号から、第2映像を生成する段階をさらに含むことを特徴とする。
【0020】
本開示の一実施例によるコンピュータ読み取り可能媒体は、前記CGCプロファイルを抽出する段階が、前記3次元映像のx-y平面上のピクセルのうち第1ピクセルセットを選択する段階;及び前記第1ピクセルセットに対して、前記基準面の3次元映像上での定点と、前記基準面の3次元映像上での定点でない地点間の相対的な深さ位置の差を抽出する段階を含むことを特徴とする。
【0021】
本開示の一実施例によるコンピュータ読み取り可能媒体は、前記第1ピクセルセットを選択する段階において、前記3次元映像のx-y平面上のピクセルのうち一部のみが前記第1ピクセルセットとして選択されることを特徴とする。
【0022】
本開示の一実施例によるコンピュータ読み取り可能媒体は、前記第1ピクセルセットを選択する段階において、前記3次元映像のx-y平面上のピクセルのうち一部を前記第1ピクセルセットとして選択するにおいて、各ピクセルに対応する前記干渉信号の強度に基づいて前記第1ピクセルセットを選択することを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本開示の一実施例によるOCTシステムによると、光学系により発生するCGC現象による歪曲を補正した3次元映像を生成することができる。
【0024】
本開示の一実施例によるOCTシステムによると、光学系により発生するCGC現象による歪曲を補正した3次元映像を少ない計算量のみで補正して生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図2】CGCが発生する様態の例示を示す図である。
【
図3】CGCにより歪曲された映像の例示を示す図である。
【
図4】本開示によるOCT測定システムの一実施例を示すブロック図である。
【
図5】本開示による3次元映像補正方法の一実施例を示す順序図である。
【
図6】本開示による3次元補正方法においてCGCプロファイルを生成する方法を説明するための図である。
【
図7】CGCにより歪曲された映像とこれを補正した映像を比較する図である。
【
図8】CGCにより歪曲された映像とこれを補正した映像を比較する図である。
【
図9】本開示の他の実施例による3次元映像の校正方法を説明する図である。
【
図10】本開示の他の実施例による3次元映像の校正方法を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本開示の実施例は、本開示を説明する目的で例示されたものである。本開示の実施例は多様な形態で実施され得、本開示が以下に提示された実施例やこれらの実施例に関する具体的な説明で限定されるものとして解釈してはならない。
【0027】
本実施例で用いられる用語「部」は、ソフトウェア、FPGA(field-programmable gate array)、ASIC(application specific integrated circuit)のようなハードウェアの構成要素を意味する。しかし、「部」は、ハードウェア及びソフトウェアに限定されるものではない。「部」は、アドレッシングできる格納媒体にあるように構成されることもでき、1つまたはそれ以上のプロセッサを再生させるように構成されることもできる。従って、一例として「部」は、ソフトウェアの構成要素、オブジェクト指向ソフトウェアの構成要素、クラス構成要素及びタスク構成要素のような構成要素と、プロセッサ、関数、属性、プロシージャー、サブルーチン、プログラムコードのセグメント、ドライバ、ファームウェア、マイクロコード、回路、データ、データベース、データ構造、テーブル、アレイ及び変数を含む。構成要素と「部」内で提供される機能は、さらに小さい数の構成要素及び「部」で結合されたり、追加の構成要素と「部」にさらに分離され得る。
【0028】
本明細書で用いられる全ての技術的用語及び科学的用語は、異なって定義されていない限り、本開示が属する技術分野で通常の知識を有する者に一般に理解される意味を有する。本明細書で用いられる全ての用語は、本開示をさらに明確に説明する目的で選択されたものであって、本開示の範囲を制限するために選択されたものではない。
【0029】
本願明細書で記述された単数型の表現は、異なって言及しない以上、複数型の表現も共に含み得、これは請求項に記載された単数型の表現にも同様に適用される。
【0030】
本開示の多様な実施例で用いられた「第1」、「第2」等の表現は、複数の構成要素を相互に区分するために用いるものに過ぎず、当該構成要素の順序または重要度を限定するものではない。
【0031】
本明細書で用いられる「含む」及び「有する」のような表現は、当該表現が含まれる文句または文章で特に異なって言及されない限り、他の実施例を含む可能性を内包する開放型用語(open-ended terms)と理解されなければならない。
【0032】
本明細書で「~に基づいて」という表現は、当該表現が含まれる文句で記述される決定、または判断の行為または動作に影響を与える1つ以上の因子を記述するのに用いられ、この表現は決定、または判断の行為または動作に影響を与える追加の因子を排除するものではない。
【0033】
本明細書において、ある構成要素が他の構成要素に「連結されて」いたり「接続されて」いると言及されたときには、前記ある構成要素が前記他の構成要素に直接的に連結されていたり、または接続されていることもあるものの、前記ある構成要素と前記他の構成要素との間に新たな他の構成要素が存在してもよいと理解されるべきである。
【0034】
本明細書において、OCTイメージ、OCT映像、またはOCT3次元映像という表現は、他の付加的な叙述がない限り、OCT技術を用いて生成した3次元映像を指すものとして理解されなければならない。また、本明細書においてOCT測定という表現は、他の付加的な叙述がない限り、OCT技術を用いて3次元映像を生成しようとする対象物に対してOCT技術を適用して干渉信号を確保し、これから3次元映像を生成する過程を指すものとして理解されなければならない。
【0035】
OCTシステムは、レーザビームが基準鏡により反射されて生成される基準光と、同一のレーザビームが測定対象物により後方散乱されるサンプル光が形成する干渉信号から測定対象物の深さ形状情報を得て、レーザビームを2次元で横方向スキャンすることにより3次元映像を生成することができる。対象領域に対するスキャンは、例えば、第1方向にレーザを照射して対象領域をスキャンしながら干渉信号を取得し、その後、第1方向に直交する第2方向に沿って第1方向へのスキャンを繰り返して干渉信号を取得する方式からなり得る。このように取得された干渉信号を処理することにより、OCTシステムは、測定対象の3次元映像を生成することができる。ここで、第1方向を基本スキャン方向または速軸方向(fast-axis)と呼ぶことができ、第2方向は補助スキャン方向または遅軸方向(slow-axis)と呼ぶことができる。または、第1方向をx軸方向と、第2方向をy軸方向と呼ぶことができる。OCTシステムで測定地点を変更するスキャン方法は、前記のようなラスター(raster)方式に限定されるものではなく、その他にもOCTシステムが行うことができる公知のスキャン方法も活用され得る。
【0036】
測定地点を調整するために一連の回転可能なミラーからなる光学系が、レーザビームの進行経路を調節することができる。これにより、レーザビームが測定対象空間で結像される横方向位置が調節され得る。測定対象の横方向位置に応じてレーザビームが異なる進行経路を通るようになり、横方向位置に応じて光経路の長さが変わり得る。先に説明されたように、光経路の長さで差が生じると、コヒーレンスゲートが歪曲される現象が発生し得る。特に、OCMの場合、高解像度の映像を得るために光学系に高倍率レンズが含まれ得るが、高倍率レンズを用いると光軸からの横方向距離による光経路の長さの差がさらに大きくなり得、CGCの程度がさらにひどくなり、OCT映像の歪曲もひどくなり得る。
【0037】
図1は、前記説明によりCGCが発生する原理を示すものである。
図1には、レンズ110を通過するレーザビーム120、130がどの地点160、170をスキャンするかによりレーザビーム120、130の進行経路が変わり、これにより、光経路の長さ140、150で発生する差が示されている。ここで、光経路の差の分布は、スキャン領域の中心、光学系の中心軸、またはレンズの中心からの距離に比例して生じ得、例えば、
図2に示すように放射形であってもよい。実際にCGCにより映像が歪曲される例示は、
図3に示されている。平らな面に対してOCT技術を用いて生成した映像の垂直断面図である
図3には、測定対象の面が平らであるにもかかわらず、実際の映像では測定対象の面が下方に凸な形態で示され、これはCGCにより映像が歪曲された結果である。光学系の構成により、CGCによる歪曲の様態は変わり得る。先に説明されたように、高解像度の3次元映像を取得しようとするときには、レーザビームがレンズを通過するに伴いスキャン地点間の光経路の差がさらに大きくなり、これにより、実際の構造と映像の差がさらに大きくなる問題がある。
【0038】
本開示は、このような問題を解決するために提示されたものであって、以下では、OCTシステムを通じて測定対象物の3次元映像を生成し、CGCによる映像の歪曲を補正した3次元映像を生成する方法及びこれを具現するためのOCTシステムの動作について、添付の図面を参照して説明する。図面上の同一の構成要素に対しては同一の参照符号を用い、同一の構成要素に対して重複した説明は省略する。
【0039】
図4は、本開示によるOCTシステム400を示すものである。
図4のOCTシステム400は、OCT技術を用いて測定対象であるサンプルから干渉信号を取得するための干渉計410、干渉計から干渉光の伝達を受けて信号を生成し、これを処理するための光感知部450及び処理部460と格納部465を含むことができる。干渉計は、光源420、ビームスプリッタ430及び基準鏡440を含むことができる。OCTシステム400がOCT映像を生成しようとする測定対象であるサンプルは、サンプルホルダ480に位置することができる。表示の便宜のために省略されたが、OCTシステム400の各構成要素は、光ケーブル、光ファイバー、同軸ケーブルなどのように信号の伝送が可能な有線通信線路か、または無線通信技術を介して相互連結されていることができる。
図4に示すシステムの構成は単純に例示的なものであり、通常の技術者は、本開示の思想と対立しない範囲内で必要に応じて構成要素を変更または追加することができ、このような変更または追加も、本開示の範囲に含まれ得ることを明確に理解するであろう。
【0040】
光源420は、OCT測定に用いられるレーザビームを照射する。光源420には、波長可変レーザが用いられ得る。光源420から照射されたレーザビームの一部は、ビームスプリッタ430により屈折され、基準鏡440により反射されて基準光を生成することができる。光源420から照射されたレーザビームの他の一部は、ビームスプリッタ430を通過してサンプルホルダ480で反射されてサンプル光を形成することができる。
【0041】
ビームスプリッタ430は、光源420から照射されたレーザビームの一部を屈折させて基準鏡440に照射されるようにすることができる。ビームスプリッタ430は、基準鏡440で反射された基準光を通過させて光感知部450に向かうようにすることができる。ビームスプリッタ430は、光源420から照射されたレーザビームの他の一部を通過させてサンプルホルダ480に照射することができる。ビームスプリッタ430は、サンプルホルダ480から反射されたサンプル光を屈折させて光感知部450に向かうようにすることができる。
【0042】
光感知部450は、反射光とサンプル光から生成される干渉光を干渉信号に変換して処理部460に伝達することができる。処理部460は、伝達を受けた干渉信号から測定対象の3次元映像を生成することができる。処理部460は、3次元映像を追加で処理してCGCを補正するための補正情報を生成することができる。処理部460は、生成した補正情報に基づいて、干渉信号を補正することができる。処理部460は、補正された干渉信号に基づいて、補正された3次元映像を生成することができる。処理部460が補正された3次元映像を生成する詳細な過程は後述する。
【0043】
OCTシステム400は、必要に応じて光感知部450及び/または処理部460と通信可能に連結された格納部465を含むことができる。格納部465は、光感知部450から干渉信号の伝達を受けて格納することができる。格納部465は、格納された干渉信号を処理部460に伝達することにより3次元映像を生成させることができる。格納部465は、処理部460が干渉信号を処理し、3次元映像を生成し、3次元映像を補正するのに必要な命令語をはじめとする一切の情報を格納することができる。格納部465は、処理部460と一体に構成されたり、処理部460の一部として含まれていることができる。
【0044】
サンプルホルダ480は、サンプル486が位置するホルダ484と、これを覆うカバーグラス482で構成され得る。
【0045】
一方、
図4のシステム400には、光学系470が示されている。光学系470は、レーザビームの到達地点を調整するためのミラーアレイ472と高解像度の映像取得のために必要なレンズ474が示されている。先に説明したように、OCT技術を用いるにおいて、高解像度の映像を生成する目的で光学系470がビームスプリッタ430とサンプルホルダ480との間に位置することができる。先に説明されたように、ミラーアレイ472によりレーザビームの反射方向が変更されながら、レーザビームがレンズ474に入射する角度が微細に変わり、レンズに入射するレーザビームの角度差によりスキャン地点の横方向位置別に光経路の長さが変わり、これによりコヒーレンスゲートが曲面をなす現象、即ち、CGC現象が発生する。ここで、
図4に示す光学系470は、高解像度の映像を生成するために用いられ得るミラー及びレンズなどを含む光学系を単純化して表現した例示に過ぎない。高解像度の映像を生成するための方案に応じて光学系470の具体的な構成が多様化され得ることを、通常の技術者は明確に理解できるであろう。本開示による装置及び方法は、このように光学系により発生するCGCによる映像の歪曲を補正し、正確な3次元映像を提供することを可能にする。
【0046】
本開示によるOCTシステムは、実際の測定対象物であるサンプルに対してOCT測定を行って3次元映像を生成するのに先立ち、OCTシステムに含まれた光学系により発生するCGCの特性を把握し、これに基づいて補正のための情報を生成することができる。具体的には、OCTシステムは、一定の基準面に対する3次元映像を生成し、これから補正のための情報を生成することができる。本開示によるOCTシステムが補正のための情報を生成するにおいて、OCTシステムは、3次元映像から基準面に対応する一連の点などを抽出し、これに基づいてCGCの形状を示すフィッティング曲線を生成することができる。生成されたフィッティング曲線は後に補正のための情報として活用される。補正のための情報が生成された後、実際の測定対象物であるサンプルをサンプルホルダに位置させてOCT測定を行うことによりOCTシステムがサンプルに対する3次元映像を生成することができる。このようにサンプルに対する3次元測定を行う過程で、OCTシステムは既に生成した補正のための情報を活用してサンプルに対するOCT測定中に取得された干渉信号に対して補正を行うことができる。このように補正された干渉信号から3次元映像を生成することにより、CGCの影響が除去された補正された3次元映像を生成することができる。
【0047】
図5は、本開示によるCGC補正方法500を示す順序図である。本開示によるCGC補正方法500は、
図4に示したOCTシステム400により行われ得る。または、具体的にはOCTシステム400に含まれた処理部460により行われ得る。
【0048】
段階S100において、OCTシステムは、基準面に対する干渉信号を取得することができる。基準面は、サンプルホルダのカバーグラスであってもよい。基準面は、それ以外にもOCT技術で3次元映像を取得することが可能な平面であってもよい。基準面に対する干渉信号を取得する過程は、先に本開示のOCTシステム400によりなされ得、その具体的な方法は先に説明されたものと同一であるため、省略する。
【0049】
段階S120において、OCTシステムは、干渉信号から第1映像を生成することができる。第1映像は、干渉信号から生成された3次元映像であってもよい。第1映像は、基準面に対する3次元映像を含むことができる。このとき、第1映像にはOCTシステムの現在の設定によって発生したCGCにより基準面の歪曲された映像が含まれ得る。
【0050】
段階S140において、OCTシステムは、CGCプロファイルを計算することができる。CGCプロファイルは、3次元映像を構成するピクセルのうち、x-y平面上の各位置で発生するCGCの大きさを含むことができる。ここで、CGCの大きさとは、CGCにより発生したz軸値の差を指し得る。具体的には、CGCにより実際に平面として示されるべき基準面がOCTにより測定された3次元映像では曲面状に示され得、これにより平面として示されるべき地点と実際の映像で示された地点間のz軸方向の深さの差がCGCの大きさとして決定され得る。CGCプロファイルの精度は、深さ方向へのピクセル分解能に従い、このようなCGCプロファイルをそのまま用いてCGCを補正する場合、x-z断面はフレネルレンズの断面のように補正され、従って、x-y方向で等高線模様の欠陥紋が追加で発生し得る。
【0051】
図6は、CGCの大きさ及びCGCプロファイルを決定する方法を説明するための図である。
図6は、OCT映像を構成するx-z平面を示すものであり、歪曲された基準面の映像620が示されている。実際には、基準面は一定の厚さを有するものとして映像内に示されるべきであるが、説明の便宜のために、本明細書では単一の線で示すことにする。ここで、基準面の実際の形状は平らであるため、映像内でも平面610として示されるべきであるが、CGCにより映像内の基準面は実際の形状とは異なって歪曲された形態620で示されている。CGCの大きさは、このように映像で示されるz軸値の差を意味し、具体的には映像内に歪曲された形態で示される基準面映像のうち定点630を基準として基準面の他の地点が定点との間で有する深さの差Δzを当該地点におけるCGCの大きさと定義する。説明の便宜のために、
図6では、特定のy位置におけるx-z平面のみを基準として説明したが、通常の技術者は、このようなCGCの大きさがx-y平面の全ての点に対して測定され得ることを理解できるであろう。
【0052】
段階S160において、OCTシステムは、CGCフィッティング曲線を生成することができる。CGCフィッティング曲線は、第1映像上でCGCがいかなる形態で示されたかを反映する式の形態で表現され得る。CGCフィッティング曲線は、段階S140で得たCGCプロファイルに基づいて生成され得る。本開示の一実施例によるCGC補正方法では、このようにCGCプロファイルを補正にそのまま用いる代わりに、CGCフィッティング曲線を用いてCGC補正を行うことにより、ピクセル分解能水準の精度のCGCプロファイルからサブピクセル分解能精度で連続的なCGC情報を確保することが可能である。具体的には、先に
図6を通じて説明されたように、サンプルの第1映像上で、x方向及びy方向の各地点でΔzの値がいくらかに基づいて生成され得る。このようにCGCフィッティング曲線を生成するにおいて、公知のグラフフィッティング方法が用いられ得る。CGCフィッティング曲線は、式1のようにx、yに対する2次関数の形態であってもよい。
【0053】
【0054】
一方、このようにCGCフィッティング曲線が生成されると、OCTシステムは後にこれを用いて干渉信号を補正することができる。干渉信号に対する補正は、式2により行われ得る。
【0055】
【0056】
式2において、Scは補正された干渉信号、Sは干渉信号、Zmirrorは先に求められたCGCフィッティング曲線、kはレーザの波数を意味し得る。
【0057】
このように干渉信号を補正した後、補正された干渉信号から3次元映像を生成すると、最終的にCGCによる歪曲が補正された3次元映像を取得することができる。例えば、
図7の左側の図は、CGCによる歪曲が含まれた、基準面に対するx-z平面映像であり、平らであるべき基準面が下方に凸に歪曲されたことが示されている。前記方法により干渉信号を補正し、補正された干渉信号から3次元映像を生成すると、
図7の右側図のように基準面が平らに補正されて示され得る。
【0058】
同様に、基準面に対してOCT測定を行って補正のための情報を生成した後に、OCTシステムは実際に測定しようとする測定対象のOCT映像を補正することができる。例えば、段階S220において、OCTシステムは、実際に3次元映像を生成しようとするサンプルに対するOCT測定を行うためにサンプルの干渉信号を取得することができる。その後、段階S240において、OCTシステムは、先に段階S160で生成したCGCフィッティング曲線に基づき、サンプルに対する干渉信号を補正することができる。最後に、段階S260において、OCTシステムは、補正された干渉信号から3次元映像を生成することができる。このように生成された映像は、CGCによる歪曲が補正された映像である。
図8は、このようにサンプルの3次元映像の歪曲が補正されたものをz軸方向から見たものである。既存には、左側のように正確に深さ方向への像が測定されなかった部分が、歪曲が補正されるに伴い、右側図のように正確に映像に示されることを確認することができる。
【0059】
以上、説明された本開示の一実施例によるCGC補正方法は、最終的に用いるOCTイメージからピクセル分解能精度1段階でCGCプロファイルを生成し、CGCプロファイルを関数モデルでフィッティングして最終CGC情報を解析的に得るため、サブピクセル精度でCGC歪曲を補正することが可能である。従来の技術方式によりサブピクセル水準のCGC補正を行うためには、まず干渉信号から位相値分析をし、これからCGCを計算して補正に活用し、この過程で大量の計算を必要とする。本開示の一実施例によるCGC補正方法は、計算量を大きく減らしながらもサブピクセルレベルにおけるCGCによる歪曲の補正を可能にする技術的効果を有する。また、計算量が減少したため、CGC歪曲を補正するための処理速度を大きく向上させる性能を期待することができる。
【0060】
一方、本開示の他の実施例によると、CGC補正を行うための計算量をさらに減少させながらも、さらに正確な補正を行うことができる。以下では、本開示の他の実施例によるCGC補正方法を説明する。
【0061】
先に説明された方法では、映像上に示された各ピクセルに基づいてCGC式をフィッティングを通じて生成した。しかし、本開示の他の実施例によるCGC補正方法では、映像上に示された全てのピクセルを活用するのでなく、その中で一部のみをサンプリングして用いることができる。
【0062】
例えば、干渉信号から生成した映像が、横と縦がそれぞれ1000ピクセルの映像であれば、前記式1でxとyの値を1から1000まで全てを適用して計1,000,000個のピクセルに対してCGCプロファイルを生成する過程を経なければならない。一方、
図9には、x方向及びy方向に均等に選択されたサンプルピクセルが示されている。このように映像内の全てのx及びy方向ピクセルではなく、一部サンプリングされたピクセルに対してのみCGCの情報を取得することで、全体の計算量を大幅にさらに減少させることが可能である。先の例示において、x方向及びy方向にそれぞれ100個ずつの座標に対してサンプリングする場合、計10,000個のピクセルに対してのみCGCプロファイルを生成し、これに基づいて式1を計算すると、計算量を1/100に減少させながらも、CGCフィッティング曲線を生成して干渉信号を補正することができる。このようにピクセルのうち一定部分に対してサンプリングを行った後、サンプリングされたピクセルに対して補正情報を生成して干渉信号を補正すれば、CGC歪曲を補正するために必要な計算量を大きく減少させることができる。
【0063】
さらに、本開示の他の実施例によるCGC補正方法は、前記のようにCGC補正パラメーターを生成するためのサンプルを選択するにおいて、基準面からの信号の強度に基づいてサンプルを選択することができる。CGC発生の原因となる光経路の差は、レーザ光ビームの中心である光軸と、レーザが反射される実際の地点間の距離が遠ざかるほど大きくなる傾向を有する。従って、OCTを通じた測定を行ったときに、基準面からの信号の強度がx-y平面上に均一の分布を示すのでなく、光軸を中心にして同心円と類似の形態を有することができる。または、レーザビームを測定対象物に照射するための光学系の構成により、このような信号の強度の分布は他の形態を示すこともできる。このような干渉信号の強度の差が、CGCプロファイルを生成するのに必要なサンプルを選定するのに活用され得る。
【0064】
例えば、
図10では、レンズなどの光学系を含むOCTシステムで取得した干渉信号の強度がx-y平面上に示されている。ここで、レーザビームの光軸から遠くに位置したピクセル1010での信号の強度は、光軸に近接する位置の地点1020より弱い。従って、地点1010で測定されたCGCプロファイルの値は、地点1020で示されるCGCプロファイルの値より信頼度が低くなり得る。従って、先に説明されたように、CGCプロファイルの生成のためのピクセルを選定するにおいて、x軸及びy軸方向に均一にサンプルを選定する代わりに、このように信号の強度を考慮してサンプルを選定し、これに基づいてCGCプロファイルを生成することができる。このような方法で生成されたCGCプロファイルに基づいてCGCフィッティング曲線を生成し、干渉信号に対する補正を行えば、均一にサンプルを選定する場合と比較して計算量をさらに減らすことが可能である。一方では、信頼度が低いCGCプロファイル値をCGCフィッティング曲線の生成から除外するようになるため、干渉信号の強度が強いピクセルを追加でサンプルに含ませれば、先の実施例と比較したときに同一の計算量を用いてさらに正確なCGC補正を行うことも可能である。
【0065】
前記方法は、特定の実施例を通じて説明されたものの、前記方法はまた、コンピュータで読み取りできる記録媒体にコンピュータが読み取りできるコードとして具現することが可能である。コンピュータが読み取りできる記録媒体は、コンピュータシステムにより読み取られ得るデータが格納される全種類の記録装置を含む。コンピュータが読み取りできる記録媒体の例としては、ROM、RAM、CD-ROM、磁気テープ、フロッピー(登録商標)ディスク、光データ格納装置などを含む。また、コンピュータが読み取りできる記録媒体は、ネットワークで連結されたコンピュータシステムに分散され、分散方式でコンピュータが読み取りできるコードが格納されて実行され得る。また、前記実施例を具現するための機能的な(functional)プログラム、コード及びコードセグメントは、本開示が属する技術分野のプログラマーにより容易に推論され得る。
【0066】
本明細書では、本開示が一部実施例と関連して説明されたものの、本開示が属する技術分野の当業者が理解できる本開示の精神及び範囲を抜け出ない範囲で多様な変形及び変更がなされ得るという点を知らなければならない。また、そのような変形及び変更は、本明細書に添付された特許請求の範囲内に属するものと考えられるべきである。
【符号の説明】
【0067】
420:光源
430:ビームスプリッタ
440:基準鏡
450:光感知部
460:処理部
465:格納部
470:光学系
480:サンプルホルダ