IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ グリーン アライズ リミテッドの特許一覧

特許7207831電磁波を連続電流に変換するための変換器
<>
  • 特許-電磁波を連続電流に変換するための変換器 図1
  • 特許-電磁波を連続電流に変換するための変換器 図2A
  • 特許-電磁波を連続電流に変換するための変換器 図2B
  • 特許-電磁波を連続電流に変換するための変換器 図2C
  • 特許-電磁波を連続電流に変換するための変換器 図3
  • 特許-電磁波を連続電流に変換するための変換器 図4
  • 特許-電磁波を連続電流に変換するための変換器 図5
  • 特許-電磁波を連続電流に変換するための変換器 図6
  • 特許-電磁波を連続電流に変換するための変換器 図7A
  • 特許-電磁波を連続電流に変換するための変換器 図7B
  • 特許-電磁波を連続電流に変換するための変換器 図7C
  • 特許-電磁波を連続電流に変換するための変換器 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-10
(45)【発行日】2023-01-18
(54)【発明の名称】電磁波を連続電流に変換するための変換器
(51)【国際特許分類】
   H02J 50/20 20160101AFI20230111BHJP
   H02M 7/06 20060101ALI20230111BHJP
   H01Q 9/27 20060101ALI20230111BHJP
   H01Q 21/06 20060101ALI20230111BHJP
   H02J 50/27 20160101ALI20230111BHJP
【FI】
H02J50/20
H02M7/06 Z
H01Q9/27
H01Q21/06
H02J50/27
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020550960
(86)(22)【出願日】2018-12-04
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-02-25
(86)【国際出願番号】 IT2018050236
(87)【国際公開番号】W WO2019111287
(87)【国際公開日】2019-06-13
【審査請求日】2021-11-22
(31)【優先権主張番号】102017000139615
(32)【優先日】2017-12-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】320015496
【氏名又は名称】グリーン アライズ リミテッド
【氏名又は名称原語表記】GREEN ARISE LTD
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】パスクアリ, チェーザレ マリア モセ
【審査官】大濱 伸也
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/088146(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0284086(US,A1)
【文献】特開2010-239233(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 50/00-50/90
H02M 7/06
H01Q 9/27
H01Q 21/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1mmと400nmとの間の波長を有する電磁波を連続電流に変換するための変換器であって、
電磁波をとらえ、前記電磁波の周波数に等しい周波数を有する交流電流を生成するように、前記電磁波の前記周波数において共振するように構成された少なくとも1つのアンテナ(1、1’)と、
前記交流電流を連続電流へと変えるための少なくとも1つの整流器(2)であって、前記少なくとも1つの整流器(2)が、前記アンテナ(1、1’)に直列に接続されている、少なくとも1つの整流器(2)と、
を具備し、
前記アンテナ(1、1’)が、
前記電磁波の前記波長の4分の1と等しい厚さを有する誘電体層(110)と、
金属材料の導電性層(130、130’)と、
を備え、
前記整流器(2)が、量子ダイオードを備え、前記量子ダイオードが、
第1の表面(21A)及び前記第1の表面(21A)とは反対側を向いた第2の表面(21B)を含む第1の誘電体層(21)であって、前記第1の誘電体層(21)が、前記電磁波の前記波長の4分の1と等しい厚さを有する、第1の誘電体層(21)と、
前記アンテナ(1、1’)の前記導電性層(130、130’)の前記金属材料とは異なる第1の金属材料から作られた第1の電極又はカソード(22)であって、前記第1の電極(22)が、前記第1の誘電体層(21)の前記第1の表面(21A)と部分的に接触しており、且つ前記アンテナ(1、1’)と部分的に接触しており、断面では、前記第1の電極(22)が、第1の高さ(H1)を有し、前記第1の誘電体層(21)の前記第1の表面(21A)と接触している第1の端部及び前記第1の端部とは反対にある第2の端部をともなう第1の側(221)、前記第1の誘電体層(21)の前記第1の表面(21A)と接触している第1の端部、及び前記第1の端部とは反対にある第2の端部をともなう第2の側(222)、並びに前記第1の側(221)の前記第2の端部を前記第2の側(222)の前記第2の端部に接続している第3の側(223)を有し、前記第3の側(223)は、前記第1の側及び前記第3の側が接触点(P)を有するような方法で前記第1の側(221)の前記第2の端部と接触している第1の端部を有する、第1の電極又はカソード(22)と、
第1の部分(231)を含む第2の誘電体層(23)であって、前記第1の部分が、前記第1の電極(22)の前記第3の側(223)のある部位と接触している第1の部位(231A)と、前記第1の電極(22)の前記第1の側(221)と接触している第2の部位(231B)と、前記第1の誘電体層(21)の前記第1の表面(21A)のある部位と接触している第3の部位(231C)とを含む、第2の誘電体層(23)と、
前記アンテナ(1、1’)の前記導電性層(130、130’)の前記金属材料と等しい第2の金属材料から作られ、第2の電極(24)が前記第2の誘電体層(23)の前記第1の部分(231)によって前記第1の電極(22)から分離されるように、前記第2の層誘電体(23)の前記第1の部分と部分的に接触している第2の電極又はアノード(24)であって、断面では、前記第2の電極(24)が、前記第1の電極(22)の前記第1の高さ(H1)よりも大きい第2の高さ(H2)を有する、第2の電極又はアノード(24)と、
を含み、
前記第1の側(221)及び前記第3の側(223)は、各々のアンテナ(1、1’)が前記電磁波の前記周波数で共振し、電子のそれぞれの量が前記接触点(P)に応じて前記第2の誘電体層(23)をトンネル効果でジャンプして前記第1の電極(22)から前記第2の電極(24)へと移動するように、前記第1の側(221)及び前記第3の側(223)が、0°よりも大きく、且つ90°以下の角度を形成するような方法で、配置される、変換器。
【請求項2】
前記角度が、5°と30°との間であることを特徴とする、請求項1に記載の変換器。
【請求項3】
前記第2の誘電体層(23)が、1.5nm~4nmの範囲にわたる厚さを有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の変換器。
【請求項4】
前記第2の誘電体層(23)が、前記第1の部分(231)から間隔を空け、前記第1の電極(22)の前記第3の側(223)のさらなる部位と接触している第1の部位(232A)、前記第1の電極(22)の前記第2の側(222)と接触している第2の部位(232B)、前記第1の誘電体層(21)の前記第1の表面(21A)のさらなる部位と接触している第3の部位(232C)を含む第2の部分(232)を備えることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の変換器。
【請求項5】
前記第2の部分(232)と前記第1の部分(231)との間の距離が、70nmと100nmとの間であることを特徴とする、請求項4に記載の変換器。
【請求項6】
前記量子ダイオードが、前記第1の誘電体層(21)の前記第2の表面(21B)と接触して配置された支持層(20)を含むことを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の変換器。
【請求項7】
前記量子ダイオードの前記支持層(20)が、次の群、即ち、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリエステル織布、シクロオレフィン共重合体から選択される材料から作られることを特徴とする、請求項6に記載の変換器。
【請求項8】
前記支持層(20)が、次の群、即ち、ガラス、プレキシガラスから選択される材料から作られることを特徴とする、請求項6に記載の変換器。
【請求項9】
前記第1の誘電体層(21)が二酸化ケイ素から作られ、
前記第1の電極(22)がクロムであり、
前記第2の誘電体層(23)が三酸化二アルミニウム又は二酸化ハフニウムから作られ、
前記第2の電極(24)が金から作られることを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の変換器。
【請求項10】
前記アンテナ(1、1’)の前記誘電体層(110)が、第1の表面(110A)及び前記第1の表面(110A)とは反対側を向いた第2の表面(110B)を有することと、
前記アンテナ(1、1’)が、
前記誘電体層(110)の前記第1の表面(110A)と接触している補強層(120)と
前記誘電体層(110)の前記第2の表面(110B)と接触している支持層(100)と、
を含むことと、
前記導電性層(130)が、前記補強層(120)と接触して配置されていること、を特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載の変換器。
【請求項11】
前記アンテナ(1、1’)の前記誘電体層(110)が、第1の表面(110A)及び前記第1の表面(110A)とは反対側を向いた第2の表面(110B)を有することと、
前記アンテナ(1)が、
前記誘電体層(110)の前記第2の表面(110B)と接触している支持層(100)を含むことと、
前記導電性層(130’)が、前記誘電体層(110)の前記第1の表面(110A)と接触して配置されていること、を特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載の変換器。
【請求項12】
前記アンテナ(1、1’)の前記支持層(100)が、次の群、即ち、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリエステル織布、シクロオレフィン共重合体から選択される材料から作られることを特徴とする、請求項10又は11に記載の変換器。
【請求項13】
前記誘電体層(110)が、二酸化ケイ素から作られることを特徴とする、請求項10~12のいずれか一項に記載の変換器。
【請求項14】
前記アンテナ(1、1’)が、第1のダイポール(1A、1A’)及び第2のダイポール(1B、1B’)を備え、前記アンテナ(1、1’)が平面アンテナであることを特徴とする、請求項1~13のいずれか一項に記載の変換器。
【請求項15】
前記アンテナ(1、1’)の厚さが、0.3μmと0.5μmとの間であることを特徴とする、請求項1~14のいずれか一項に記載の変換器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁波を直流電流に変換するための変換器に関する。
【0002】
より詳細には、本発明は、自然電磁波及び人工電磁波を連続電流に変換することができる前記変換器の構造に関し、これにより、前記変換器に接続されることが可能ないかなる負荷へも電力を供給することが可能である。
【背景技術】
【0003】
「電磁波」という表現で、250MHzと750THzとの間の周波数を有する電磁波、即ち、1mmと400nmとの間の波長(即ち、マイクロ波、赤外、可視及び紫外を含んでいるスペクトル)を有する電磁波を意味する。
【0004】
言い換えると、赤外スペクトルに属する周波数を有する電磁波、可視スペクトルに属する周波数を有する電磁波、及び可視スペクトルに属する周波数に近い紫外スペクトルに属する周波数を有する電磁波への参照が行われるであろう。
【0005】
自然電磁波で、地球起源及び(太陽から来る電磁波も含め)宇宙起源の電磁波を意味する。
【0006】
例えば、太陽から来る光は、光学スペクトルの点で、赤外スペクトルに、可視スペクトルに及び紫外スペクトルに属する波長を有する電磁波の集合である。
【0007】
宇宙電磁波は、宇宙空間から(特に、太陽から)来て、粒子の他に、X線及びガンマ線、並びに数百MHzと数百THzとの間の周波数を有する電磁波から構成される。
【0008】
人工電磁波で、ラジオ-TV装置、電子モバイル装置から又は住宅用、産業用若しくは個人使用のいずれかの電気機器若しくは電子機器により受信されるそれぞれの搬送波を有する信号を介して人工的に生成された電磁波を意味する。
【0009】
現在のところ、電子波を連続電流に変換するための変換器は知られていない。
【0010】
対照的に、Kotterらという名前で、「Solar antenna electromagnetic collectors」という名称の、Proceedings of ES2008、Energy Sustainability 2008、2008年8月14日の刊行物に開示された電磁集電器が知られている。
【0011】
前記電磁集電器は、電磁スペクトルの波長を検出すること及び太陽エネルギーを電気エネルギーに変換することができる。
【0012】
特に、前記変換器は、所定の波長のところで共振することができるナノアンテナにより及び交流電流を整流するためのトンネルダイオードにより構成される。
【0013】
しかしながら、前記電磁集電器は、いくつかの欠点を有する。
【0014】
ある欠点は、前記電磁集電器が時間全体にわたり安定である連続電流を供給できないという事実により与えられる。
【0015】
さらなる欠点は、構造が複雑であり、結果として生じる製造コストをともなうという事実により与えられる。
【発明の概要】
【0016】
本発明の狙いは、前記欠点を克服し、簡単な構造及び低コストを有する、電磁波を連続電流に変換するための変換器を提供することである。
【0017】
前記変換器に接続されたいかなる負荷も、前記変換器により生成された連続電流から電力を供給され得ることが有利である。
【0018】
本発明のさらなる狙いは、前記変換器が交流電流を連続電流に高速で整流することができるという事実により与えられる。
【0019】
したがって、1mmと400nmとの間の波長を有する電磁波を連続電流に変換するための変換器が、本発明の目的であり、ただし、前記変換器は、
電磁波をとらえ、前記電磁波の周波数に等しい周波数を有する交流電流を生成するように、前記電磁波の周波数において共振するように構成された少なくとも1つのアンテナと、
前記交流電流を連続電流へと変えるための少なくとも1つの整流器であって、前記少なくとも1つの整流器が前記アンテナに直列に接続されている、少なくとも1つの整流器と
を具備する。
【0020】
アンテナに関して、前記アンテナが、
前記電磁波の波長の4分の1と等しい厚さを有する誘電体層と、
金属材料の導電性層と
を備える。
【0021】
整流器に関して、前記整流器が、量子ダイオードを備え、前記量子ダイオードが、
第1の表面及び前記第1の表面とは反対側を向いた第2の表面を含む第1の誘電体層であり、前記第1の誘電体層が前記電磁波の波長の4分の1と等しい厚さを有する、第1の誘電体層と、
前記アンテナの導電性層の金属材料とは異なる第1の金属材料から作られている第1の電極又はカソードであり、前記第1の電極が前記第1の誘電体層の第1の表面と部分的に接触しており、且つ前記アンテナと部分的に接触しており、断面では、前記第1の電極が、第1の高さを有し、1の誘電体層の第1の表面と接触している第1の端部及び前記第1の端部とは反対にある第2の端部をともなう第1の側、第1の誘電体層の第1の表面と接触している第1の端部及び前記第1の端部とは反対にある第2の端部をともなう第2の側、並びに前記第1の側の第2の端部を前記第2の側の第2の端部に接続している第3の側を有し、前記第3の側は、前記第1の側及び前記第3の側が接触点を有するような方法で前記第1の側の第2の端部と接触している第1の端部を有する、第1の電極又はカソードと、
第1の部分を含む第2の誘電体層であり、前記第1の部分が、前記第1の電極の前記第3の側のある部位と接触している第1の部位と、前記第1の電極の前記第1の側と接触している第2の部位と、前記第1の誘電体層の第1の表面のある部位と接触している第3の部位とを含む、第2の誘電体層と、
前記アンテナの金属材料と等しい第2の金属材料から作られ、第2の電極が前記第2の誘電体層の前記第1の部分によって前記第1の電極から分離されるように、前記第2の層誘電体の第1の部分と部分的に接触している第2の電極又はアノードであり、断面では、前記第2の電極が前記第1の電極の第1の高さよりも大きい第2の高さを有する、第2の電極又はアノードと
を含む。
【0022】
特に、前記第1の側及び前記第3の側は、前記アンテナが電磁波の周波数で共振するときに、電子のそれぞれの量が前記接触点に応じて前記第2の誘電体層をトンネル効果でジャンプして前記第1の電極から前記第2の電極へと移動するように、前記第1の側及び前記第3の側が0°よりも大きく90°以下の角度を形成するような方法で配置される。
【0023】
前記角度が、5°と30°との間であることが好ましい。
【0024】
第2の電気層に関して、前記第2の電気層が、1.5nm~4nmの範囲にわたることができ、2nmの厚さを有することが好ましい。
【0025】
さらにその上、前記第2の誘電体層は、前記第1の部分から間隔を空け、前記第1の電極の前記第3の側のさらなる部位と接触している第1の部位、前記第1の電極の前記第2の側と接触している第2の部位、前記第1の誘電体層の第1の表面のさらなる部位と接触している第3の部位を含む第2の部分を備えることができる。
【0026】
特に、前記第2の部分と前記第1の部分との間の距離は、70nmと100nmとの間である。
【0027】
量子ダイオードは、前記第1の誘電体層の第2の表面と接触して配置された支持層を含むことができる。
【0028】
第1の代替形態では、前記量子ダイオードの前記支持層が、次の群、即ち、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリエステル織布、シクロオレフィン共重合体から選択される材料、好ましくはトパス(Topas)から作られる。
【0029】
第2の代替形態では、前記量子ダイオードの前記支持層が、次の群、即ち、ガラス、プレキシガラスから選択される材料から作られる。
【0030】
特に、量子ダイオードに関して、前記第1の誘電体層が二酸化ケイ素から作られることがあり、前記第1の電極がクロムから作られることがあり、前記第2の誘電体層が三酸化二アルミニウム又は二酸化ハフニウムから作られることがあり、前記第2の電極が金から作られることがある。
【0031】
アンテナに関して、誘電体層が、第1の表面及び前記第1の表面とは反対側を向いた第2の表面を有する。
【0032】
第1の代替形態では、前記アンテナは、
前記誘電体層の第1の表面と接触している補強層であって、前記補強層がクロムから作られることが好ましい、補強層と、
前記誘電体層の第2の表面と接触している支持層と
を含むことができ、
前記導電性層が、前記補強層と接触して配置され、前記導電性層が金から作られることが好ましい。
【0033】
第2の代替形態では、前記導電性層が、前記誘電体層の前記第1の表面と接触して配置され、前記導電性層がアルミニウム又は銅から作られることが好ましい。
【0034】
アンテナの支持層に関して、前記支持層が、次の群、即ち、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリエステル織布、シクロオレフィン共重合体から選択される材料、好ましくはトパスから作られてもよい。
【0035】
アンテナの誘電体層に関して、前記誘電体層が、二酸化ケイ素から作られることがある。
【0036】
本発明によれば、前記アンテナが、第1のダイポール及び第2のダイポールを備えることができ、前記アンテナが平面アンテナであることが好ましい。
【0037】
さらに、本発明によれば、前記アンテナの厚さは、0.3μmと0.5μmとの間とすることができ、0.3μmであることが好ましい。
【0038】
ここで、本発明は、添付の図面を特に参照して、本発明の実施形態に従って、限定する目的ではなく例示の目的で、説明されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1】本発明による変換器の第1の実施形態の概略図であり、アンテナのグループ及びアンテナの前記グループに直列に接続された整流器を備え、アンテナの前記グループのアンテナが互いに直列に接続され、各々のアンテナが、赤外スペクトルに属する波長を有する電磁波と共振するように構成される、図である。
図2A図1の変換器のアンテナのグループのアンテナの概略図であり、前記アンテナが角型渦巻きの形状を有し、第1のダイポール及び第2のダイポールを備え、ダイポールの各々が複数の部位を含む、図である。
図2B図1の変換器のアンテナのグループのあるアンテナの概略図であり、アンテナの一部である2つのダイポールの各々の部位の長さの値が示される。
図2C図1の変換器のアンテナのグループのアンテナの概略図であり、同じアンテナの2つのダイポールの異なる部位同士の間の距離の値が示される、図である。
図3図1の変換器のアンテナのグループのあるアンテナの積層した構造を示す断面図である。
図4図1の変換器のアンテナのグループのあるアンテナについての積層構造の代替形態を示す図である。
図5】変換器の整流器の概略図である。
図6】本発明による変換器の第2の実施形態の概略図であり、アンテナのグループ及びアンテナの前記グループに直列に接続された整流器を備え、アンテナの前記グループのアンテナが、互いに直列に接続され、アンテナのグループの各々のアンテナが、赤外スペクトルに属する波長を有する電磁波と共振するように構成され、その波長の値が、可視スペクトルの波長の値に近い、図である。
図7A図6の変換器のアンテナのグループのあるアンテナの概略図であり、前記アンテナが楕円形の渦巻きの形状を有し、第1のダイポール及び第2のダイポールを含み、第1のダイポールの第1の端部と第2のダイポールの第1の端部との間の距離の値、第1のダイポールの第2の端部と第2のダイポールの第2の端部との値、及び第1のダイポールの所定の第1の点と第2のダイポールの所定の第2の点との間の距離の値が示される、図である。
図7B図6の変換器のアンテナのグループのあるアンテナの概略図であり、第1のダイポールの第1の端部から第1のダイポールの第2の端部までの第1の方向での、アンテナの第1のダイポールと第2のダイポールとの間の距離をどのように変更するか、及び第2のダイポールの第1の端部から第2のダイポールの第2の端部までの第2の方向での、同じアンテナの第2のダイポールと第1のダイポールとの間の距離をどのように変更するかが示される、図である。
図7C図6の変換器のアンテナのグループのあるアンテナの概略図であり、第1のダイポールのいくつかの部位の幅及び第2のダイポールのいくつかの部位の幅が示される、図である。
図8】変換システムの概略図であり、前記変換システムが、互いに直列に接続された2つの変換器を備える、図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
この明細書及び特許請求の範囲の至る所で、「備える(comprises)」という用語が「から成る(consists of)」という用語で置き換えられるケースが含まれる。
【0041】
図1を特に参照して、電磁波を連続電流に変換するための変換器の第1の実施形態が説明される。
【0042】
前記変換器は、
電磁波をとらえ、前記電磁波の周波数に等しい周波数を有する交流電流を生成するように前記電磁波の周波数において共振するように構成された少なくとも1つのアンテナ1と、
前記交流電流を連続電流へと変えるための少なくとも1つの整流器2であって、前記少なくとも1つの整流器2が前記アンテナに直列に接続されている、少なくとも1つの整流器2と
を備える。
【0043】
特に、開示される実施形態では、前記変換器は、互いに直列に接続されている複数のアンテナを備える。
【0044】
言い換えると、前記変換器は、順に1つ又は複数のアンテナを含むことができるアンテナのグループを備える。
【0045】
アンテナ1に関して、各々のアンテナ1は、
図3を参照して下記に示される)前記電磁波の波長の4分の1と等しい厚さを有する誘電体層110と、
図3及び図4を参照して下記に示される)金属材料の導電性層130、130’と
を備える。
【0046】
開示される実施形態では、アンテナの前記グループは、4×4行列に従って配置された16個のアンテナを含み、整流器2は、第4行及び第4列により特定される前記行列内の位置を占めているアンテナに直列に接続される。
【0047】
特に、各々のアンテナは、第1のダイポール1A及び第2のダイポール1Bを備える。
【0048】
さらにその上、前記行列のある行に配置されたアンテナと前記行の隣の前記行列のさらなる行に配置されたアンテナとの間の距離は、0.2μmのものである。
【0049】
しかしながら、アンテナの前記グループが16個のアンテナを含むことも前記アンテナが行列に従って配置されることも必ずしも必要ではない。
【0050】
例えば、アンテナの前記グループが、本発明の範囲から逸脱せずに、任意の数で、アンテナが行を形成するような方法で軸線に沿って配置された複数のアンテナを備えることができる。
【0051】
前記アンテナの各々は、赤外スペクトルに属し、155.08μmに等しい波長(1.93THzにほぼ相当する周波数)を有する電磁波と共振するように、前記電磁波の周波数に等しい周波数を有する交流電流を生成するように構成される。
【0052】
このようなアンテナは、赤外光線が昼間及び夜間に存在するという理由で、昼間及び夜間の間中電磁波をとらえることが可能である。
【0053】
さらにその上、各々のアンテナ1は、角型の渦巻きを形成するような方法で実質的に成形された幾何学的構造を有する。
【0054】
実際に、図2Aから特に見られるように、前記第1のダイポール1A及び前記第2のダイポール1Bは、これらが実質的に角型の渦巻きを形成するような方法で配置される。
【0055】
特に、前記第1のダイポール1A及び前記第2のダイポール1Bは、それぞれ、第1の部位S1、S1’、前記第1の部位に垂直な第2の部位S2、S2’、前記第2の部位に垂直な第3の部位S3、S3’、前記第3の部位に垂直な第4の部位S4、S4’、前記第4の部位に垂直な第5の部位S5、S5’、前記第5の部位に垂直な第6の部位S6、S6’、前記第6の部位に垂直な第7の部位S7、S7’、前記第7の部位に垂直な第8の部位S8、S8’を有する。
【0056】
第1のダイポール1Aに関して、第1の部位S1は、第3の部位S3に、第5の部位S5に及び第7の部位S7に平行であり、第2の部位S2は、第4の部位S4に、第6の部位S6に及び第8の部位S8に平行である。
【0057】
第2のダイポール1Bに関して、第1の部位S1’は、第3の部位S3’に、第5の部位S5’に及び第7の部位S7’に平行であり、第2の部位S2’は、第4の部位S4’に、第6の部位S6’に及び第8の部位S8’に平行である。
【0058】
2つのダイポールは、第1のダイポール1Aの第1の部位S1が第2のダイポール1Bの第1の部位S1’に平行であり、第1のダイポール1Aの第2の部位S2が第2のダイポール1Bの第2の部位S2’に平行であるような方法で配置される。
【0059】
開示される第1の実施形態では、各々のダイポールの長さは19.3887μmであり、アンテナが0.3μmの厚さを有し、金属材料の、好ましくは金の導電性層を含め(下記に説明するような)複数の層を含む。
【0060】
図2Bは、アンテナのグループの2つのアンテナダイポール1の各々の部位の長さを示す。
【0061】
図2Bに示したすべての値は、μmで表現される。
【0062】
下記が各々の部位の長さである第1のダイポール1Aに関して、
第1の部位S1の長さが1.8508μmであり、
第2の部位S2の長さが4.775μmであり、
第3の部位S3の長さが3.5258μmであり、
第4の部位S4の長さが3.4306μmであり、
第5の部位S5の長さが2.3696μmであり、
第6の部位S6の長さが2.1427μmであり、
第7の部位S7の長さが1.3757μmであり、
第8の部位S8の長さが0.9082μmである。
【0063】
下記が各々の部位の長さである第2のダイポール1Bに関して、
第1の部位S1’の長さが1.7523μmであり、
第2の部位S2’の長さが4.7273μmであり、
第3の部位S3’の長さが3.5258μmであり、
第4の部位S4’の長さが3.4367μmであり、
第5の部位S5’の長さが2.3652μmであり、
第6の部位S6’の長さが2.1414μmであり、
第7の部位S7’の長さが1.3911μmであり、
第8の部位S8’の長さが0.9242μmである。
【0064】
前記ダイポールの幅に関して、第1のダイポールの各々の部位の幅は、0.3521μmであり、第2のダイポールの各々の部位の幅に等しい。
【0065】
さらにその上、第1の1°及び第2のダイポール1Bは、それぞれの第1の端部11A、11B及びそれぞれの第2の端部12A,12Bを有する。
【0066】
第1のダイポール1Aの第1の端部11Aは、第1のダイポールそれ自体の第1の部位S1に接続され、第1のダイポール1Aの第2の端部12Aは、第1のダイポールそれ自体の第8の部位S8に接続される。
【0067】
第1の端部11Aの長さは0.9528μm(0.6007μm+0.3521μm)であり、第1の端部11Aの幅は0.5058μmである。
【0068】
第2のダイポール1Bの第1の端部11Bは、第2のダイポールそれ自体の第1の部位S1’に接続され、第2のダイポール1Bの第2の端部12Bは、第2のダイポールそれ自体の第8の部位S8’に接続される。
【0069】
第1の端部11Bの長さは0.7676μmであり、第1の端部11Bの幅は0.5058μmである。
【0070】
アンテナの第1のダイポール1Aの第2の端部11Bは、同じアンテナの第2のダイポール1Bの第2の端部12Bに面しており、前記アンテナの第2のダイポール1Bの第1の端部11Bは、前記アンテナに引き続き配列され、直列に接続され、アンテナの同じグループに属するさらなるアンテナの第1のダイポール1Aの第1の端部11Aに接続される。
【0071】
第1のダイポール1Aの第2の端部12Aと第2のダイポール1Bの第2の端部12Bとの間の距離は、0.22μmである。
【0072】
図2Cは、互いに平行であり、アンテナのグループのアンテナ1の2つのダイポールの異なる部位同士の間の距離を示す。
【0073】
図2Cに示したすべての数値は、μmで表現される。
【0074】
ダイポール同士の間の距離及びダイポール厚さは、アンテナそれ自体の共振を最適化するためにダイポール同士の間に誘電容量を作り出すような方法で選択される。
【0075】
第1のダイポール1Aの第1の部位S1と第2のダイポール1Bの第3の部位との間の距離は0.3108μmである。
【0076】
第1のダイポールの第2の部位S2と第2のダイポールの第4の部位S4’との間の距離は0.7730μmである。
【0077】
第1のダイポール1Aの第3の部位S3と第2のダイポールの第1の部位S1’との間の距離は0.3092μmである。
【0078】
第1のダイポール1Aの第3の部位S3と第2のダイポール1Bの第5の部位S5’との間の距離は0.3110μmである。
【0079】
第1のダイポール1Aの第4のS4と第2のダイポール1Bの第2の部位S2’との間の距離は0.2750μmである。
【0080】
第1のダイポール1Aの第4の部位S4と第2のダイポール1Bの第6の部位S6’との間の距離は0.2704μmである。
【0081】
第1のダイポール1Aの第5の部位S5と第2のダイポール1Bの第3の部位S3’との間の距離は0.3106μmである。
【0082】
第1のダイポール1Aの第5の部位S5と第2のダイポールの第7の部位S7’との間の距離は0.3308μmである。
【0083】
第1のダイポール1Aの第6のS6と第2のダイポール1Bの第4の部位S4’との間の距離は0.2706μmである。
【0084】
第1のダイポール1Aの第6の部位S6と第2のダイポール1Bの第8の部位S8’との間の距離は0.1370μmである。
【0085】
第1のダイポール1Aの第7の部位S7と第2のダイポール1Bの第5の部位S5’との間の距離は0.3126μmである。
【0086】
第1のダイポール1Aの第8の部位S8と第2のダイポール1Bの第6の部位S6’との間の距離は0.1450μmである。
【0087】
第1のダイポール1Aの第8の部位S8と第2のダイポール1Bの第7の部位S7’との間の距離は0.3118μmである。
【0088】
図3は、アンテナのグループのアンテナ1の積層された構造を示す。
【0089】
前記アンテナ1は、底部から頂部へ連続して配置された次の層、即ち、
支持層100、
誘電体層110、
金属材料の、好ましくはクロムの補強層120、
金属材料の、好ましくは金の導電性層130
を含む。
【0090】
特に、誘電体層110は、第1の表面110A及び前記第1の表面110Aとは反対側を向いた第2の表面110Bを含む。
【0091】
クロムの補強層120は、誘電体層110の第1の表面110Aと接触しており、支持層100は、誘電体層の第2の表面110Bと接触している。
【0092】
導電性層130は、金が優れた導電体であるという理由で金である。導電性層130は、金が卓越した導電体であるという理由で金から作られる。しかしながら、金の前記導電性層は、曲げを受けた場合に、変形する又は破壊することさえあり、電流の通過を遮るリスクをともなう。結果として、アンテナの構造は、金の前記導電性層を補強するためクロムの補強層120を設ける。
【0093】
前記誘電体層は、二酸化ケイ素(SiO)であることが好ましい。
【0094】
前記支持層100は、ポリエチレン又はポリカーボネートなどの高分子材料であることがさらに好ましい。
【0095】
特に、前記支持層は、次の群、即ち、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリエステル織布、シクロオレフィン共重合体内から選択される材料、好ましくはトパスであってもよい。
【0096】
高分子材料は、所定の程度の柔軟性を支持層に与え、前記支持層が前記アンテナの大部分を構成することを可能にする。
【0097】
補強層120及び導電性層130に特に関して、補強層120が誘電体層110上にリソグラフィで形成されること、及び導電性層130が補強層120上にリソグラフィで形成されることが好ましい。
【0098】
図4に示した代替形態では、各々のアンテナ1は、底部から頂部へ連続して配置された次の層、即ち、
支持層100、
誘電体層110、
金属材料の、好ましくはアルミニウム又は銅の導電性層130’
を含む。
【0099】
特に、前記導電性層130’は、前記誘電体層110の第1の表面110Aと接触しており、前記支持層100は、前記誘電体層110の第2の表面110Bと接触している。
【0100】
言い換えると、このような代替形態では、金の導電性層130及びクロムの補強層120が、アンテナの構造には存在せず、アルミニウム又は銅の導電性層130’で置き換えられる。
【0101】
アルミニウム又は銅の導電性層の存在は、アンテナの製造コストの削減を可能にする。
【0102】
導電性層130’に特に関して、前記導電性層130’が誘電体層110上にリソグラフィで形成されることが好ましい。
【0103】
図5は、アンテナのグループにより生成された交流電流を連続電流へ変えるために構成された整流器2の構造の概略図であり、これを介して前記整流器に接続されたすべての負荷が電力を供給されることが可能である。
【0104】
整流器2に関して、前記整流器2は、量子ダイオードを備え、前記量子ダイオードは、
第1の表面21A及び前記第1の表面21Aとは反対側を向いた第2の表面21Bを含む第1の誘電体層21であって、前記第1の誘電体層21が前記電磁波の波長の4分の1と等しい厚さを有する、第1の誘電体層21と、
アンテナ1の導電性層130の金属材料とは異なる第1の金属材料から作られた第1の電極又はカソード22であって、前記第1の電極22が前記第1の誘電体層21の第1の表面21Aと部分的に接触しており、且つ前記アンテナ1、1’と(特に前記アンテナ1の第1のダイポール1Aと)部分的に接触しており、断面では、前記第1の電極22が、第1の高さH1を有し、第1の誘電体層21の第1の表面21Aと接触している第1の端部及び前記第1の端部とは反対にある第2の端部をともなう第1の側221、第1の誘電体層21の第1の表面21Aと接触している第1の端部及び前記第1の端部とは反対にある第2の端部をともなう第2の側222、並びに前記第1の側221の第2の端部を前記第2の側222の第2の端部に接続している第3の側223を有し、前記第3の側223は、前記第1の側及び前記第3の側が接触点Pを有するような方法で前記第1の側221の第2の端部と接触している第1の端部を有する、第1の電極又はカソード22と、
第1の部分231を含む第2の誘電体層23であって、前記第1の部分が、前記第1の電極22の前記第3の側223のある部位と及び前記アンテナ1のある部位と(特に前記アンテナ1の第1のダイポール1Aと)接触している第1の部位231Aと、前記第1の電極22の前記第1の側221と接触している第2の部位231Bと、前記第1の誘電体層21の第1の表面21Aのある部位と接触している第3の部位231Cとを含む、第2の誘電体層23と、
前記アンテナ1の導電性層の金属材料と等しい第2の金属材料から作られ、第2の電極24が前記第2の誘電体層23の前記第1の部分231によって前記第1の電極22から分離されるように、前記第2の層誘電体23の第1の部分と部分的に接触している第2の電極又はアノード24であって、断面では、前記第2の電極24が前記第1の電極22の第1の高さH1よりも大きい第2の高さH2を有する、第2の電極又はアノード24と
を含む。
【0105】
特に、第1の電極22の前記第1の側221及び前記第3の側223は、各々のアンテナ1が電磁波の周波数で共振するときに、電子のそれぞれの量が前記接触点に応じて第2の誘電体層23をトンネル効果でジャンプして前記第1の電極22から前記第2の電極24へと移動するように、前記第1の側及び前記第3の側が0°よりも大きく90°以下の角度を形成するような方法で配置される。
【0106】
結果として、このようなトンネル効果は量子トンネル効果であり、電子の前記量は、電子のこのような量が前記第2の誘電体層23のさらなるジャンプを通して第1の電極22まで戻る可能性なしに、第2の電極24に達するように前記第2の誘電体層23を通過することができる。
【0107】
高い周波数では、第1の電極22から第2の電極24への電子の前記量のジャンプは、一旦第2の電極24に達すると、電子の前記量が一方向経路を続けるように、(ナノ秒のオーダーの)時間Δt内に行われる。
【0108】
量子ダイオードがある量の熱及び接合ダイオードに関して無関係である量のエネルギーを消散させるので、前記量子ダイオードは加熱せず、前記接合ダイオードに対してエネルギーの点でより効率的であることが有利である。
【0109】
交流電流から連続電流への変換の際により大きな効率を得るために、単一の点、即ち前記接触点Pに応じて第1の電極22から第2の電極24への電子の通過を容易にし、電子の消散を減少させるために、前記角度は、5°と30°との間であることが好ましい。
【0110】
開示される第1の実施形態では、前記第1の電極22は、アンテナ1の第1のダイポール1Aと部分的に接触しているが、本発明の範囲から逸脱せずに、アンテナ1の第2のダイポール1Bと接触していてもよい。
【0111】
さらにその上、前記誘電体層23は、第1の部分231から間隔を空けた第2の部分232を含み、前記第2の部分232が、前記第1の電極22の前記第3の側223のさらなるある部位と接触している第1の部位232A、前記第1の電極22の前記第2の側222と接触している第2の部位232B、前記第1の誘電体層21の第1の表面21Aのさらなる部位と接触している第3の部位232Cを含む。
【0112】
前記第2の部分232と前記第1の部分231との間の距離、特に、前記第1の部分231の第1の部位231Aと前記第2の部分232の第1の部位232との間の距離は、70nmと100nmとの間である。
【0113】
さらにその上、開示される第1の実施形態では、第1の誘電体層21は、二酸化ケイ素(SiO)から作られ、第1の電極22が作られる第1の金属材料は、クロムであり、第2の誘電体層23は、三酸化二アルミニウム(Al)から作られ、第2の電極24が作られる第2の金属材料は、金である。
【0114】
代替形態では、第2の誘電体層23に関して、三酸化二アルミニウムは、本発明の範囲から逸脱せずに、二酸化ハフニウム(HfO)により置き換えられてもよい。
【0115】
その上、前記第2の誘電体層の厚さは、第1の電極22から第2の電極24へと移動する電子が前記第2の電極に達した後で、電子が第1の電極へ戻ることを防止するような方法で選択される。
【0116】
前記第2の誘電体層23の厚さは、1.5nmと4nmとの間、好ましくは2nmであってもよい。
【0117】
既に述べたように、整流器2は、交流電流を連続電流に変えるための量子ダイオードを備える。
【0118】
特に、述べたように、前記ダイオードは、量子ダイオードであり、高速で交流電流を連続電流へと整流するように構成されるような構造を有する。
【0119】
これは、量子ダイオードの構造の非対称性のためであり、前記構造の非対称性は、第1の電極22と第2の電極24との間の金属材料の違いにより与えられ、第1の電極22と第2の電極24との間に高さの違いを与える。
【0120】
さらにその上、前記量子ダイオードは、前記第1の誘電体層21の第2の表面21Bと接触して配置された支持層20を含む。
【0121】
第1の代替形態では、前記支持層20は、所定の程度の柔軟性を有することができ、次の群、即ち、ポリエチレン、ポリエステル織布内で選択される材料であってもよい。
【0122】
第2の代替形態では、前記支持層20は、所定の程度の剛性を有することができ、次の群、即ち、ガラス、プレキシガラスから選択される材料であってもよい。
【0123】
図6に示した変換器の第2の実施形態では、第1の実施形態とは違って、アンテナのグループの各々のアンテナ1は、赤外スペクトルに属し、11.2μmに等しい波長(ほぼ26THzに相当する周波数)を有する電磁波と共振するように構成され、ここでは前記波長が可視スペクトルに属する波長に近い値を有する。
【0124】
開示される第2の実施形態では、前記変換器のアンテナのグループは、行列5×6に従って配置された30個のアンテナ1’と、第5行及び第6列により特定された前記行列内の位置を占める、アンテナに直列に接続された整流器2とを備える。
【0125】
しかしながら、アンテナの前記グループが30個のアンテナを含むことも前記アンテナが行列に従って配置されることのいずれも必ずしも必要ではない。
【0126】
例えば、アンテナの前記グループは、本発明の範囲から逸脱せずに、任意の数で、行を形成するように軸線に沿って配置された複数のアンテナを備えることができる。
【0127】
各々のアンテナ1’は、第1のダイポール1A’及び第2のダイポール1B’を備え、楕円形の渦巻きを形成するような方法で実質的に成形された幾何学的構造を有する。
【0128】
実際に、前記第1のダイポール1A’及び前記第2のダイポール1B’は、これら自体曲げられ、楕円形の渦巻きを形成するような方法で配置される。
【0129】
特に、前記第1のダイポール1A’及び前記第2のダイポール1B’は、それぞれの第1の端部11A’、11B’及びそれぞれの第2の端部12A’、12B’を有する。
【0130】
アンテナ1’の第2のダイポール1B’の第2の端部12B’は、第1のダイポール1A’の端部部位に面し、同じアンテナの第1のダイポール1A’の第2の端部12A’の近くに配置され、前記アンテナの第2のダイポール1B’の第1の端部11B’は、さらなるアンテナの第1のダイポール1A’の第1の端部11A’に接続され、前記アンテナに引き続き配列され直列に接続される。
【0131】
図7Aは、第1のダイポール1A’の第1の端部11A’と第2のダイポール11B’の第1の端部との間の距離の値、第1のダイポール1A’の第2の端部12A’と第2のダイポール1B’の第2の端部12B’との間の距離の値、及び第1のダイポール1A’の所定の点と第2のダイポール1B’の所定の点との間の距離の値を示す。
【0132】
図7Aに示したすべての数値は、μmで表現される。
【0133】
図7Aに示したように、第1のダイポール1A’の第2の端部12A’と第2のダイポール1B’の第2の端部12B’との間の距離は0.2μmである。
【0134】
(前記第1のダイポール1A’及び前記第2のダイポール1B’を含んでいる)前記アンテナ1’の形状は、2.53μmに等しい基部及び2.55μmに等しい高さを有する長方形に内接するようなものである。
【0135】
特に、第1のダイポール1A’の第1の端部11A’及び第2のダイポール1Bの第1の端部11B’は、第1の軸線A上に配置され、所定の第1の点D1と所定の第2の点D2との間の距離が、前記第1の軸線Aに垂直であり、第1のダイポール1A’の第2の端部を通る第2の軸線B上に配置され、2.55μmに等しい。
【0136】
図7Bは、第1のダイポール1A’の端部11A’から第1のダイポール1A’の第2の端部12A’へ第1の方向にアンテナ1’の第1のダイポール1A’と第2のダイポール1B’との間の距離をどのように変更するか、及び第2のダイポール1B’の第1の端部11B’から第2のダイポール12B’の第2の端部へ第2の方向に同じアンテナの第2のダイポール1B’と第1のダイポール1A’との間の距離をどのように変更するかを示す。
【0137】
図7Bのすべての数値は、μmで表現される。
【0138】
図7Bから分かるように、第1のダイポール1A’と第2のダイポール1B’との間の距離は、第1のダイポール1Aの第1の端部11A’から第1のダイポールそれ自体の第2の端部12A’へ、第1の方向に0.27μmに等しい第1の値から0.40μmに等しい第2の値へと増加する。
【0139】
第2のダイポール1B’と第1のダイポール1A’との間の距離は、第2のダイポール1B’の第1の端部11B’から第2のダイポールそれ自体の第2の端部12B’へ、第2の方向に0.33μmに等しい第1の値から0.40μmに等しい第2の値へと増加する。
【0140】
図7Cは、アンテナ1’の第1のダイポール1A’のいくつかの部位の幅及び第2のダイポール1B’のいくつかの部位の幅を示す。
【0141】
図7Cに示したすべての数値は、μmで表現される。
【0142】
図7Cから分かるように、第1のダイポール1A’の幅は、所定の部位に向けて第1の端部11A’から増加し、次いで第1のダイポールそれ自体の第2の端部12A’へ向かって次第に減少する。
【0143】
第1のダイポール1A’の幅は、実質的に第2の端部12A’のところの0.04μmに等しい第1の値から実質的に第1のダイポールの4分の1のところに配置されたある部位における0.25μmに等しい第2の値に至るまで増加し、次いで前記第2の値から実質的に第1のダイポールの4分の3のところに配置されたある部位における0.22μmに等しい第3の値に至るまで減少し、前記第3の値から第2のダイポール1B’の第1の端部11Bの近くでの0.16μmに等しい第4の値に至るまで減少する。
【0144】
第2のダイポール1B’の幅は、実質的に第1の端部11B’のところの0.004μmに等しい第1の値から第2のダイポールの4分の1のところに実質的に配置されたある部位における0.25μmに等しい第2の値まで増加し、次いで前記第2の値から第2のダイポールの4分の3のところに実質的に配置されたある部位における0.15μmに等しい第3の値に至るまで減少し、前記第3の値から第2のダイポール1B’の第2の端部12B’の近くでの0.16μmに等しい第4の値に至るまで減少する。
【0145】
上に開示した実施形態に関して、各々のアンテナは、ナノテクノロジにより実行されることが好ましい。
【0146】
さらにその上、アンテナ1、1’が平面アンテナであることが好ましい。
【0147】
さらにその上、各々のアンテナの厚さは、0.3μmと0.5μmとの間であってもよく、アンテナが量子ダイオードの抵抗の値よりも大きな値を有するインピーダンスを有するために0.3μmであることが好ましい。特に、開示した実施形態では、このような厚さを用いると、370Ωと等しい又は実質的に等しい値を有するインピーダンスを得ることが可能であり、第2の誘電体層の誘電材料により提供される量子ダイオードの抵抗は、140Ωと180Ωとの間の値を有する。
【0148】
図8は、電磁波を連続電流に変換するための変換システムを示す。
【0149】
前記変換システムは、第1の実施形態を参照して開示したような第1の変換器と、第2の実施形態を参照して開示したような第2の変換器とを備え、前記第2の変換器が第1の変換器の整流器に直列に接続される。
【0150】
しかしながら、前記変換システムは、互いに直列に接続された任意の数の変換器を備えることができ、前記変換器が、アンテナのそれぞれのグループの一部であるアンテナの形状の点から互いに同一であってもよく(例えば、各々の変換器がアンテナのグループを有することができ、そのアンテナが角型の渦巻きの幾何学的な構造、若しくは楕円形の渦巻きの幾何学的な構造を有する、又はアンテナのグループの各々のアンテナがダイポールだけを含むことができ)、同じ数のアンテナ又は互いに異なる数のアンテナを有することができる。
【0151】
既に述べたように、本発明の目的である変換器は、電磁自然波又は人工波から連続電流を生成することを可能にし、これによって、前記変換器に接続されたすべての負荷に電力を供給することが可能であることが有利である。
【0152】
特に、前記変換器により、様々な周波数を有する電磁波を連続電流に変換することが可能である。
【0153】
結果として、ラジエータ又はモータなどの熱を生成することが可能ないずれかのデバイスの熱により生成された電磁波もまた、連続電流に変換されることが可能である。
【0154】
第2の利点は、前記変換器が単純な構造及びその結果として低い製造コスト、並びに低い据え付け工事費を有するという事実により与えられる。
【0155】
第3の利点は、前記変換器が昼間及び夜間の両方で気象条件とは無関係に連続電流を生成することが可能であるという事実により与えられる。
【0156】
第4の利点は、外部環境での使用中に、変換器が電磁波をとらえることだけで十分であるという理由で、前記変換器が所定の向きに据え付けられる必要がなく、移動手段が太陽の位置に応じて前記変換器を動かすために設けられる必要がないことである。
【0157】
さらなる利点は、前記変換器が極端に減少させた厚さを有する軽い構造を有し、並びに環境に優しいという事実により与えられる。
【0158】
本発明は、本発明の好ましい実施形態に従って、限定の目的ではなく例示のために説明されてきているが、変形形態及び/又は修正形態が、別記の特許請求の範囲に従って規定されるように、本発明の範囲から逸脱せずに、当業者によって実行され得ることを理解されたい。
図1
図2A
図2B
図2C
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図8