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特許7207845シルセスキオキサン複合高分子およびその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-10
(45)【発行日】2023-01-18
(54)【発明の名称】シルセスキオキサン複合高分子およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08G 77/44 20060101AFI20230111BHJP
   C08G 77/06 20060101ALI20230111BHJP
   C08G 77/54 20060101ALI20230111BHJP
   C09D 7/65 20180101ALI20230111BHJP
   C09D 183/04 20060101ALI20230111BHJP
【FI】
C08G77/44
C08G77/06
C08G77/54
C09D7/65
C09D183/04
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2016553894
(86)(22)【出願日】2015-02-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2017-05-18
(86)【国際出願番号】 KR2015001970
(87)【国際公開番号】W WO2015130145
(87)【国際公開日】2015-09-03
【審査請求日】2018-02-20
【審判番号】
【審判請求日】2020-09-18
(31)【優先権主張番号】10-2014-0024548
(32)【優先日】2014-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2015-0027582
(32)【優先日】2015-02-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】502081871
【氏名又は名称】ドンジン セミケム カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】100167623
【弁理士】
【氏名又は名称】塚中 哲雄
(72)【発明者】
【氏名】チョェ スンソク
(72)【発明者】
【氏名】ユ ジェウォン
(72)【発明者】
【氏名】ナム ドンジン
(72)【発明者】
【氏名】キム トゥシク
(72)【発明者】
【氏名】パク ギョンミン
(72)【発明者】
【氏名】ファン ジョンウォン
(72)【発明者】
【氏名】オ スンヨン
(72)【発明者】
【氏名】チョェ ジシク
【合議体】
【審判長】杉江 渉
【審判官】海老原 えい子
【審判官】橋本 栄和
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G77/00
C08L83/00
C07F7/00
C09D183/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
化学式1乃至3のうちのいずれか一つで示されるシルセスキオキサン複合高分子。
[化学式1]
【化1】
[化学式2]
【化2】
[化学式3]
【化3】
であり、
Yは、それぞれ独立して、O、NR11または[(SiO3/2R)4+2nO] (ただし 2個のSi-O-を含む)であり、少なくとも一つは[(SiO3/2R)4+2nO] (ただし 2個のSi-O-を含む)であり、
Xは、それぞれ独立して、R12または[(SiO3/2R)4+2nR] (ただし 1個のSi-O-を含む)であり、少なくとも一つは[(SiO3/2R)4+2nR] (ただし 1個のSi-O-を含む)であり、
R、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10,R11,R12は、それぞれ独立して、水素;重水素;ハロゲン;アミン基;エポキシ基;シクロヘキシルエポキシ基;(メタ)アクリル基;チオール基;イソシアネート基;ニトリル基;ニトロ基; 置換若しくは非置換のC1~C40のアルキル基;C2~C40のアルケニル基;C1~C40のアルコキシ基;C3~C40のシクロアルキル基;C3~C40のヘテロシクロアルキル基;C6~C40のアリール基;C3~C40のヘテロアリール基;C3~C40のアラルキル基;C3~C40のアリールオキシ基;またはC3~C40のアリールチオール基であり、
前記置換に使用される置換基は重水素、ハロゲン、アミン基、エポキシ基、(メタ)アクリル基、チオール基、イソシアネート基、ニトリル基、ニトロ基、またはニトロ基であり,
aおよびdは、それぞれ独立して、1乃至100,000の整数であり、
bは、1乃至500の整数であり、
eは、1または2であり、
nは、それぞれ独立して、1乃至20の整数である。
【請求項2】
aは3乃至1000であり、bは1乃至500の整数であり、
dは1乃至500であることを特徴とする請求項1に記載のシルセスキオキサン複合高分子。
【請求項3】
dは2乃至100であることを特徴とする請求項1に記載のシルセスキオキサン複合高分子。
【請求項4】
n値の平均が4乃至5であることを特徴とする請求項1に記載のシルセスキオキサン複合高分子。
【請求項5】
前記化学式1のシルセスキオキサン複合高分子の重量平均分子量が1,000乃至1,000,000であることを特徴とする請求項1に記載のシルセスキオキサン複合高分子。
【請求項6】
請求項1に記載のシルセスキオキサン複合高分子を含むことを特徴とするコーティング組成物。
【請求項7】
前記コーティング組成物は、無溶剤型であることを特徴とする請求項6に記載のコーティング組成物。
【請求項8】
請求項1に記載のシルセスキオキサン複合高分子、
開始剤、および
有機溶媒
を含むことを特徴とする請求項6に記載のコーティング組成物。
【請求項9】
前記シルセスキオキサン複合高分子がコーティング組成物100重量部に対して5乃至90重量部であることを特徴とする請求項8に記載のコーティング組成物。
【請求項10】
前記コーティング組成物は、硬化剤、可塑剤、または紫外線遮断剤をさらに含むことを特徴とする請求項8に記載のコーティング組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シルセスキオキサン複合高分子およびその製造方法に係り、より詳細には一つの シルセスキオキサン高分子内に特定の構造の線形シルセスキオキサンの鎖、複合型の鎖およびcage形シルセスキオキサンを含む加工性および物理的特性を極大化したシルセスキオキサン 複合高分子に関する.
【背景技術】
【0002】
シルセスキオキサンは、様々な分野で様々な用途に使用されている。特に、加工性を向上させ、機械的物理的特性を極大化させるためにいくつかの試みがありおり、現在までに研究開発が続いている。しかし、これまでに開発されたシルセスキオキサン高分子は、加工性、機械的物理的特性を同時に満足させるにはまだ不足している。
【0003】
たとえば、cage形シルセスキオキサンは、シロキサン結合が発現することができる物理的特性を示すので、様々な方面に応用されているが、それ自体が結晶構造で、溶液加工時溶解性に限界があり、cage形構造を応用した結果自体から再結晶現象等の分子単位の再編成が発生して、性能の再現性が保証されないという問題が発生する。他の大表的構造で、線状(ladder)シルセスキオキサンは、溶液加工性が優れていて、cage形構造の短所を補完して与えることができる構造であるが、物理的特性が結晶構造であるcage形構造には及ばない欠点がある。また、ランダム(random)型のシルセスキオキサンは、自由な形で重合が行われるため、高分子内に不安定に存在するSi-OH、Si-alkoxyなどを利用して、ゲル(gel)化させて応用する必要がある限界と再現性を担保することが困難な問題がある。
【0004】
これらのシルセスキオキサンの構造体は、産業界のニーズに合わせて、特定の構造に制御しようとする試みが続いてきた。一例として、米国特許公開第US2011-0201827では、 前駆体としてシランカップリング剤を使用して多面体シルセスキオキサンを制御して、ユニークな利点を引き出そうと試みたが、これはまた、単一の線状にcage形を接続して、置換基のみ使用例として、実際の物理的特性の向上を大きく導くことはできなかった。
【0005】
したがって、本発明者らは、上記のようなシルセスキオキサンの短所を補完して、利益を最大化させようと研究した結果、特定の構造の高分子構造を設計し、側鎖に導入された有機官能基を利用して簡単に硬化工程を導入するように誘導した結果、優れた物理的特性が長い時間持続することができ、メイン素材、添加素材、コーティング材料など、さまざまな産業向けに使用されることが可能であることを確認して、本発明を完成した。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記のような問題点を解決するために、本発明は、一つの高分子内に特定の構造の線状シルセスキオキサン鎖およびcage形シルセスキオキサンを含めて加工性および物理的特性を極大化したシルセスキオキサン複合高分子を提供することを目的とする。
【0007】
また、本発明は、前記シルセスキオキサン複合高分子の製造方法を提供することを目的とする。
【0008】
また、本発明は、前記前記シルセスキオキサン複合高分子を含むシルセスキオキサンコーティング組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するために、本発明は、化学式1乃至3のうちのいずれか一つで示されるシルセスキオキサン複合高分子を提供する。
[化学式1]
【化1】
[化学式2]
【化2】
[化学式3]
【化3】
【0010】
上記化学式1乃至3において、
Aは
【化4】
であり、Bは
【化5】
であり、
Dは
【化6】
であり、Eは
【化7】
であり、
Yは、それぞれ独立して、O、NR11または[(SiO3/2R)4+2nO]であり、少なくとも一つは[(SiO3/2R)4+2nO]であり、
Xは、それぞれ独立して、R12または[(SiO3/2R)4+2nR]であり、少なくとも一つは[(SiO3/2R)4+2nR]であり、
R、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10,R11,R12は、それぞれ独立して、水素;重水素;ハロゲン;アミン基;エポキシ基;シクロヘキシルエポキシ基;(メタ)アクリル基;チオール基;イソシアネート基;ニトリル基;ニトロ基;フェニル基;重水素、ハロゲン、アミン基、エポキシ基、(メタ)アクリル基、チオール基、イソシアネート基、ニトリル基、ニトロ基、フェニル基に置換若しくは非置換のC~C40のアルキル基;C~C40のアルケニル基;C~C40のアルコキシ基;C~C40のシクロアルキル基;C~C40のヘテロシクロアルキル基;C~C40のアリール基;C~C40のヘテロアリール基;C~C40のアラルキル基;C~C40のアリールオキシ基;またはC~C40のアリールチオール基であり、好ましくは、重水素、ハロゲン、アミン基、(メタ)アクリル基、チオール基、イソシアネート基、ニトリル基、ニトロ基、フェニル基、シクロヘキシルエポキシ基に置換若しくは非置換のC~C40のアルキル基、C~C40のアルケニル基、アミン基、エポキシ基、シクロヘキシルエポキシ基、(メタ)アクリル基、チオール基、フェニル基またはイソシアネート基を含み、
aおよびdは、それぞれ独立して、1乃至100,000の整数であり、好ましくは、aは3乃至1000であり、dは1乃至500であり、さらに好ましくは、aは5乃至300であり、dは2乃至100であり、
bは、1乃至500の整数であり、
eは、1または2であり、好ましくは、1であり、
nは、それぞれ独立して、1乃至20の整数であり、好ましくは、3乃至10である。
【0011】
また、本発明は、反応器に塩基性触媒と有機溶媒を混合した後、有機シラン化合物を添加し縮合度が調節された2種類形態の前記化学式4を製造する1段階;前記1段階で得られた化学式4に[B]b構造および[D]d(OR構造を導入するために、反応器に酸性触媒を添加して反応液を酸性に調節した後、有機シラン化合物を添加し攪拌する第2段階;前記それぞれの2段階反応以後に、反応器に塩基性触媒を添加して反応液を塩基性に変換し縮合反応を実施する第3段階;および前記3段階を通じて得られた2種類以上の物質を塩基性条件で縮合して連結する4段階を含んで製造することを特徴とする化学式1で示されるシルセスキオキサン複合高分子を提供する。
[化学式4]
【化8】
上記式において、R1, R2, R6, B, D, a, b,dは、化学式1乃至3で定義した通りである。
【0012】
また、本発明は、反応器に塩基性触媒と有機溶媒を混合した後、有機シラン化合物を添加し縮合度が調節された2種類形態の前記化学式4を製造する1段階;前記1段階で得られた化学式4に[B]b構造、[D]d(OR構造を導入するために、反応器に酸性触媒を添加して反応液を酸性に調節した後、有機シラン化合物を添加し攪拌する第2段階;前記それぞれの2段階反応以後に、反応器に塩基性触媒を添加して反応液を塩基性に変換し縮合反応を実施する第3段階;前記3段階を通じて得られた2種類以上の物質を塩基性条件で縮合して連結する4段階;前記4段階以後、[D]d(ORを導入するための反応器に酸性触媒を添加して反応液を酸性に調節した後、有機シラン化合物を添加し攪拌する第5段階;および前記5段階反応以後に、反応器に塩基性触媒を添加して反応液を塩基性に変換し縮合反応を実施する第6段階を含んで製造することを特徴とする化学式2で示されるシルセスキオキサン複合高分子を提供する。
【0013】
また、本発明は、反応器に塩基性触媒と有機溶媒を混合した後、有機シラン化合物を添加し縮合度が調節された2種類形態の前記化学式4を製造する1段階;前記1段階で得られた化学式4に[B]b構造を導入するために、反応器に酸性触媒を添加して反応液を酸性に調節した後、有機シラン化合物を添加し攪拌する第2段階;前記それぞれの2段階反応以後に、反応器に塩基性触媒を添加して反応液を塩基性に変換し縮合反応を実施する第3段階;前記3段階を通じて得られた2種類以上の化合物を塩基性条件で縮合して連結する4段階;前記第4段階以後、[D]d(ORを導入するための反応器に酸性触媒を添加して反応液を酸性に調節した後、有機シラン化合物を添加し攪拌する第5段階;前記5段階反応以後に、反応器に塩基性触媒を添加して反応液を塩基性に変換し縮合反応を実施する第6段階;前記第6段階以後に、複合高分子の末端に[E]eX構造を導入するために、反応器に酸性触媒を投入して反応液を酸性雰囲気に変換し有機シラン化合物を混合して攪拌する第7段階を含んで製造することを特徴とする化学式3で示されるシルセスキオキサン複合高分子を提供する。
【0014】
また、本発明は、前記前記シルセスキオキサン複合高分子を含むシルセスキオキサンコーティング組成物を提供する。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係るシルセスキオキサン複合高分子は、線状シルセスキオキサンと複合型の鎖の加工容易性とcage形シルセスキオキサンの優れた物理的特性を同時に有することにより、コーティング溶液に製造時に簡単な硬化工程によって、優れた物理的特性、光学特性、耐熱特性等を様々な素材に付与することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を詳しく説明する。
本発明は、下記の化学式1乃至3のうちのいずれか一つで示されるシルセスキオキサン複合高分子を提供する。
[化学式1]
【化9】
[化学式2]
【化10】
[化学式3]
【化11】

【0017】
上記化学式1乃至3において、
Aは
【化12】
であり、Bは
【化13】
であり、
Dは
【化14】

であり、Eは
【化15】
であり、
Yは、それぞれ独立して、O、NR11または[(SiO3/2R)4+2nO]であり、少なくとも一つは[(SiO3/2R)4+2nO]であり、
Xは、それぞれ独立して、R12または[(SiO3/2R)4+2nR]であり、少なくとも一つは[(SiO3/2R)4+2nR]であり、
R、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10,R11,R12は、それぞれ独立して、水素;重水素;ハロゲン;アミン基;エポキシ基;シクロヘキシルエポキシ基;(メタ)アクリル基;チオール基;イソシアネート基;ニトリル基;ニトロ基;フェニル基;重水素、ハロゲン、アミン基、エポキシ基、(メタ)アクリル基、チオール基、イソシアネート基、ニトリル基、ニトロ基、フェニル基に置換若しくは非置換のC~C40のアルキル基;C~C40のアルケニル基;C~C40のアルコキシ基;C~C40のシクロアルキル基;C~C40のヘテロシクロアルキル基;C~C40のアリール基;C~C40のヘテロアリール基;C~C40のアラルキル基;C~C40のアリールオキシ基;またはC~C40のアリールチオール基であり、好ましくは、重水素、ハロゲン、アミン基、(メタ)アクリル基、チオール基、イソシアネート基、ニトリル基、ニトロ基、フェニル基、シクロヘキシルエポキシ基に置換若しくは非置換のC~C40のアルキル基、C~C40のアルケニル基、アミン基、エポキシ基、シクロヘキシルエポキシ基、(メタ)アクリル基、チオール基、フェニル基またはイソシアネート基を含み、
aおよびdは、それぞれ独立して、1乃至100,000の整数であり、好ましくは、aは3乃至1000であり、dは1乃至500であり、さらに好ましくは、aは5乃至300であり、dは2乃至100であり、
bは、1乃至500の整数であり、
eは、1または2であり、好ましくは、1であり、
nは、それぞれ独立して、1乃至20の整数であり、好ましくは、3乃至10である。
【0018】
前記化学式1乃至3のうちのいずれか一つで示されるシルセスキオキサン複合高分子はR,R1,R2,R3,R4,R5,R6,R7,R8,R9,R10,R11,R12で示された有機官能基を有し,繰り返し単位がaとbとdとして構成なり,末端単位でeを選択的に導入することができる複合シルセスキオキサン高分子である。
【0019】
前記化学式1または2の繰り返し単位dに導入された[(SiO3/2R)4+2nO]構造のnは1乃至20の整数に置換することができ、好ましくは3乃至10であり、さらに好ましくは平均n値が4乃至5であり、前記nが4である時、置換された構造を表現すれば下記化学式5の通りである。
[化学式5]
【化16】
上記の式において、Rは前記で定義した通りである。
【0020】
本発明において、前記化学式3の繰り返し単位bとeに導入された[(SiO3/2R)4+2nR]構造のnは1乃至20の整数に置換することができ、好ましくは3乃至10であり、さらに好ましくは平均n値が4乃至5であり、例えば、前記nが4である時の置換された構造を表現すれば下記化学式6の通りである。
[化学式6]
【化17】
上記の式において、Rは前記で定義した通りである。
【0021】
具体的な例として上記化学式1のシルセスキオキサン複合高分子は、下記表1乃至2に記載された高分子であり得る。下記表1乃至6において、ECHEは(Epoxycyclohexyl)ethyl、GlyPはGlycidoxypropyl、POMMAは(methacryloyloxy)propylを意味し、二つ以上が記載された場合は混合使用を意味する。nは、それぞれ独立して、1乃至8である。
【0022】
【表1-1】
【表1-2】
【0023】
【表2-1】
【表2-2】
【0024】
具体的な例として前記化学式2のシルセスキオキサン複合高分子は下記表3および4に記載された高分子であり得る。
【表3-1】
【表3-2】
【0025】
【表4-1】
【表4-2】
【表4-3】
【0026】
具体的な例として前記化学式3のシルセスキオキサン複合高分子は下記表5および6に記載された高分子であり得る。
【表5-1】
【表5-2】
【表5-3】
【0027】
【表6-1】
【表6-2】
【表6-3】
【表6-4】
【0028】
本発明の前記シルセスキオキサン複合高分子は、優れた保管安定性を確保して幅広い応用性を得るために、縮合度が1乃至99.9%以上に調節することができる。即ち、末端および中央のSi-OR またはSi-OR1のに結合されたアルコキシグループの含量が全体高分子の結合基に対して50%から0.01%までに調節することができる。
【0029】
また、本発明によるシルセスキオキサン複合高分子の重量平均分子量は1,000乃至1,000,000、好ましくは5,000乃至100,000であり、さらに好ましくは7、000乃至50,000であり得る。この場合、シルセスキオキサンの加工性および物理的特性を同時に向上させることができる。
【0030】
本発明のシルセスキオキサン複合高分子は、単一の反応器で塩基性触媒と酸触媒を用いて塩基とpHを連続的に調節することによって製造することができ、以下のような製造工法のいずれかを利用することができる。
【0031】
化学式1で示されるシルセスキオキサン複合高分子の製造方法
反応器に塩基性触媒と有機溶媒を混合した後、有機シラン化合物を添加し縮合度が調節された2種類形態の前記化学式4を製造する1段階;前記1段階で得られた化学式4に[B]b構造および[D]d(OR構造を導入するために、反応器に酸性触媒を添加して反応液を酸性に調節した後、有機シラン化合物を添加し攪拌する第2段階;前記それぞれの2段階反応以後に、反応器に塩基性触媒を添加して反応液を塩基性に変換し縮合反応を実施する第3段階;および前記3段階を通じて得られた2種類以上の物質を塩基性条件で縮合して連結する4段階を含んで製造することができる。製造されたシルセスキオキサン複合高分子は、下記化学式1-1のような構造を有する。
[化学式4]
【化18】

[化学式1-1]
【化19】


上記式において、R,R1,R2,R6,R7,R8,R9,X,Y,a,b,およびdは化学式1乃至3で定義した通りである。
【0032】
化学式2で示されるシルセスキオキサン複合高分子の製造方法
反応器に塩基性触媒と有機溶媒を混合した後、有機シラン化合物を添加し縮合度が調節された2種類形態の前記化学式4を製造する1段階;前記1段階で得られた化学式4に[B]b構造、[D]d(OR構造を導入するために、反応器に酸性触媒を添加して反応液を酸性に調節した後、有機シラン化合物を添加し攪拌する第2段階;前記それぞれの2段階反応以後に、反応器に塩基性触媒を添加して反応液を塩基性に変換し縮合反応を実施する第3段階;前記3段階を通じて得られた2種類以上の物質を塩基性条件で縮合して連結する4段階;前記4段階以後、[D]d(ORを導入するための反応器に酸性触媒を添加して反応液を酸性に調節した後、有機シラン化合物を添加し攪拌する第5段階;および前記5段階反応以後に、反応器に塩基性触媒を添加して反応液を塩基性に変換し縮合反応を実施する第6段階を含んで製造することができる。製造された複合高分子下記化学式2-1のような構造を有する。
[化学式2-1]
【化20】
上記式において、R,R1,R2,R3,R4,R6,R7,R8,R9,B,D,X,Y,a,bおよびdは、化学式1乃至3で定義した通りである。
【0033】
化学式3で示されるシルセスキオキサン複合高分子の製造方法
反応器に塩基性触媒と有機溶媒を混合した後、有機シラン化合物を添加し縮合度が調節された2種類形態の前記化学式4を製造する1段階;前記1段階で得られた化学式4に[B]b構造を導入するために、反応器に酸性触媒を添加して反応液を酸性に調節した後、有機シラン化合物を添加し攪拌する第2段階;前記それぞれの2段階反応以後に、反応器に塩基性触媒を添加して反応液を塩基性に変換し縮合反応を実施する第3段階;前記3段階を通じて得られた2種類以上の化合物を塩基性条件で縮合して連結する4段階;前記第4段階以後、[D]d(ORを導入するための反応器に酸性触媒を添加して反応液を酸性に調節した後、有機シラン化合物を添加し攪拌する第5段階;前記5段階反応以後に、反応器に塩基性触媒を添加して反応液を塩基性に変換し縮合反応を実施する第6段階;前記第6段階以後に、複合高分子の末端に[E]eX構造を導入するために、反応器に酸性触媒を投入して反応液を酸性雰囲気に変換し有機シラン化合物を混合して攪拌する第7段階を含んで製造することができる。製造されたシルセスキオキサン複合高分子は、下記化学式3-1のような構造を有する。
[化学式3-1]
【化21】
上記式において、R,R1,R2,R5,R6,R7,R8,R9,B,D,E,X,Y,a,b,dおよびeは、化学式1乃至3で定義した通りである。
【0034】
前記シルセスキオキサン複合高分子の製造方法では、塩基性触媒として、好ましくは2種以上の塩基性触媒の混合触媒を使用し、これを酸性触媒で中和および酸性化して再加水分解を誘導し、再び2種以上の塩基性触媒の混合触媒を用いて塩基性で縮合を行うことによって、一つの反応器内で酸度と塩基度を連続的に調節することができる。
【0035】
この時、前記塩基性触媒は、Li、Na、K、CaおよびBaからなる群より選択された金属系塩基性触媒およびアミン系塩基性触媒から選択される2種以上の物質を適切に組み合わせて製造することができる。好ましくは、前記アミン系塩基性触媒がテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)であり、金属系塩基性触媒がカリウムヒドロキシド(KOH)または重炭酸ナトリウム(NaHCO)であり得る。前記混合触媒において各成分の含量は、好ましくは、アミン系塩基性触媒と金属系塩基性触媒の比率が10乃至90:10乃至90重量部の比率で任意に調節することができる。前記範囲内である場合、加水分解時に官能基と触媒との反応性を最小化させることができ、これによって、Si-OHまたはSi-アルコキシなどの有機官能基の欠陥が顕著に減少し縮合度を自由に調節することができる長所がある。また、前記酸性触媒としては、当分野で通常使用する酸性物質であれば制限なく使用することができ、例えば、HCl、HSO、HNO、CHCOOHなどの一般酸性物質を使用することができ、また、乳酸(lactic acid、酒石酸(tartaric acid)、マレイン酸(maleic acid)、クエン酸(citric acid)などの有機系酸性物質も適用することができる。
【0036】
本発明のシルセスキオキサン複合高分子の製造方法において、前記有機溶媒は、当分野で通常使用する有機溶媒であれば制限なく使用することができ、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、セロソルブ系などのアルコール類、乳酸系、アセトン、メチル(イソブチル)エチルケトンなどのケトン類、エチレングリコールなどのグリコール類、テトラヒドロフランなどのフラン系、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドンなどの極性溶媒だけでなく、ヘキサン、シクロヘキサン、シクロヘキサノン、トルエン、キシレン、クレゾール、クロロホルム、ジクロロベンゼン、ジメチルベンゼン、トリメチルベンゼン、ピリジン、メチルナフタレン、ニトロメタン、アクリロニトリル(acrylonitrile)、メチレンクロライド、オクタデシルアミン、アニリン、ジメチルスルホキシド、ベンジルアルコールなど多様な溶媒を使用することができる。
【0037】
また、前記有機シラン系化合物としては、本発明のシルセスキオキサン複合高分子の化学式1乃至3のR、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12を含む有機シランを使用することができ、好ましくは、シルセスキオキサン複合高分子の耐化学性を増加させて非膨潤性を向上させる効果があるフェニル基またはアミノ基を含む有機シラン化合物、または複合高分子の硬化密度を増加させて硬化層の機械的強度および硬度を向上させる効果があるエポキシ基または(メタ)アクリル基を含む有機シラン化合物を使用することができる。
【0038】
前記有機シラン系化合物の具体的な例としては、(3-グリシドキシプロピル)トリメトキシシラン、(3-グリシドキシプロピル)トリエトキシシラン、(3-グリシドキシプロピル)メチルジメトキシシラン、(3-グリシドキシプロピル)ジメチルエトキシシラン、3-(メタアクリルオキシ)プロピルトリメトキシシラン、3,4-エポキシブチルトリメトキシシラン、3,4-エポキシブチルトリエトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリ-t-ブトキシシラン、ビニルトリイソブトキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリフェノキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、アミノプロピルトリメトキシシラン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、ジメチルテトラメトキシシロキサン、ジフェニルテトラメトキシシロキサンなどが挙げられ、これらの中の1種単独でまたは2種以上を併用して使用することもできる。最終製造される組成物の物性のために2種以上を混合して使用することがより好ましい。
【0039】
好ましくは、前記化学式1乃至3の高分子を製造する方法において、第1段階の反応液のpHは9乃至11.5であるのが好ましく、第2段階の反応液のpHは2乃至4であるのが好ましく、第3段階の反応液のpHは8乃至11.5であるのが好ましく、第4段階の反応液のpHは9乃至11.5であるのが好ましく、第5段階の反応液のpHは2乃至4であるのが好ましく、第6段階の反応液のpHは8乃至11.5であるのが好ましく、[E]eを導入する第7段階の反応液のpHは1.5乃至4であるのが好ましい。前記範囲内である場合、製造されるシルセスキオキサン複合高分子の収率が高いだけでなく、製造されたシルセスキオキサン複合高分子の機械的物性を向上させることができる。
【0040】
また、本発明は、上記化学式1~3のうちのいずれか一つで示されるシルセスキオキサン複合高分子を含むことを特徴とするコーティング組成物を提供する。前記コーティング組成物は、シルセスキオキサン複合高分子が 液状である場合、無溶剤型で単独でコーティングが可能であり、固状である場合、有機溶媒を含んで構成することができる。また、コーティング組成物は、開始剤または硬化剤をさらに含むことができる。
【0041】
好ましくは、前記コーティング組成物は、前記化学式1乃至3のうちのいずれか一つで示されるシルセスキオキサン複合高分子、前記複合高分子と相溶性のある当分野で通常使用する有機溶媒、開始剤を含むことを特徴とし、選択的に硬化剤、可塑剤、紫外線遮断剤、その他の機能性添加剤などの添加剤を追加的に含んで、硬化性、耐熱特性、紫外線遮断、可塑効果などを向上させることができる。
【0042】
本発明のコーティング組成物において、前記シルセスキオキサン複合高分子は、コーティング組成物100重量部に対して少なくとも5重量部以上で含まれることが良く、好ましくは5乃至90重量部、さらに好ましくは10乃至50重量部の量で含まれるのが好ましい。前記範囲内である場合、コーティング組成物の硬化膜の機械的物性をさらに向上させることができる。
【0043】
前記有機溶媒としては、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、セロソルブ系などのアルコール類、乳酸系、アセトン、メチル(イソブチル)エチルケトンなどのケトン類、エチレングリコールなどのグリコール類、テトラヒドロフランなどのフラン系、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドンなどの極性溶媒だけでなく、ヘキサン、シクロヘキサン、シクロヘキサノン、トルエン、キシレン、クレゾール、クロロホルム、ジクロロベンゼン、ジメチルベンゼン、トリメチルベンゼン、ピリジン、メチルナフタレン、ニトロメタン、アクリロニトリル(acrylonitrile)、メチレンクロライド、オクタデシルアミン、アニリン、ジメチルスルホキシド、ベンジルアルコールなど多様な溶媒を用いることができるが、これに制限されない。前記有機溶媒の量は、複合高分子、開始剤、および選択的に追加される添加剤を除いた残量で含まれる。
【0044】
また、本発明のコーティング組成物において、前記開始剤または硬化剤は、シルセスキオキサン複合高分子に含まれている有機官能基により適切に選択して使用することができる。
【0045】
具体的な例として前記有機官能基に不飽和炭化水素、チオール系、エポキシ系、アミン系、イソシアネート系などの後硬化の可能な有機系が導入される場合、熱または光を用いた多様な硬化が可能である。この時、熱または光による変化を高分子自体内で図ることができるが、好ましくは、このような有機溶媒に希釈することによって硬化工程を図ることができる。
【0046】
また、本発明では、複合高分子の硬化および後反応のために多様な開始剤を使用することができ、前記開始剤は組成物総重量100重量部に対して0.1-10重量部で含まれるのが好ましく、前記範囲内の含量で含まれる時、硬化後の透過度およびコーティング安定性を同時に満たすことができる。
【0047】
また、前記有機官能基に不飽和炭化水素などが導入される場合にはラジカル開始剤を使用することができ、前記ラジカル開始剤としては、トリクロロアセトフェノン(trichloro acetophenone)、ジエトキシアセトフェノン(diethoxy acetophenone)、1-フェニル-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン(1-phenyl-2-hydroxyl-2-methylpropane-1-one)、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルホリノプロパン-1-オン(2-methyl-1-(4-methylthiophenyl)-2-morpholinopropane-1-one)、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド(trimethyl benzoyl diphenylphosphine oxide)、カンファーキノン(camphorquinone)、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、ジメチル-2,2’-アゾビス(2-メチルブチレート)、3,3-ジメチル-4-メトキシ-ベンゾフェノン、p-メトキシベンゾフェノン、2,2-ジエトキシアセトフェノン、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オンなどの光ラジカル開始剤、t-ブチルペルオキシマレイン酸、t-ブチルヒドロペルオキシド、2,4-ジクロロベンゾイルペルオキシド、1,1-ジ(t-ブチルペルオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、N-ブチル-4,4’-ジ(t-ブチルペルオキシ)バレレートなどの熱ラジカル開始剤およびこれらの多様な混合物などを用いることができる。
【0048】
また、前記有機官能基にエポキシなどが含まれる場合には、光重合開始剤(陽イオン)としてトリフェニルスルホニウム、ジフェニル-4-(フェニルチオ)フェニルスルホニウムなどのスルホニウム系、ジフェニルヨードニウムやビス(ドデシルフェニル)ヨードニウムなどのヨードニウム、フェニルジアゾニウムなどのジアゾニウム、1-ベンジル-2-シアノピリジニウムや1-(ナフチルメチル)-2-シアノピリジニウムなどのアンモニウム、(4-メチルフェニル)[4-(2-メチルプロピル)フェニル]-ヘキサフルオロホスファートヨードニウム、ビス(4-t-ブチルフェニル)ヘキサフルオロホスファートヨードニウム、ジフェニルヘキサフルオロホスファートヨードニウム、ジフェニルトリフルオロメタンスルホナートヨードニウム、トリフェニルスルホニウムテトラフルオロボレート、トリ-p-トリルスルホニウムヘキサフルオロホスファート、トリ-p-トリルスルホニウムトリフルオロメタンスルホナートおよび(2,4-シクロペンタジエン-1-イル)[(1-メチルエチル)ベンゼン]-FeなどのFe陽イオンとBF 、PF 、SbF などの[BQオニウム塩組み合わせを用いることができる(ここで、Qは少なくとも2つ以上のフッ素またはトリフルオロメチル基に置換されたフェニル基である。)。
【0049】
また、熱によって作用する陽イオン開始剤としては、トリフル酸塩、三フッ化ホウ素エーテル錯化合物、三フッ化ホウ素などのような陽イオン系またはプロトン酸触媒、アンモニウム塩、ホスホニウム塩およびスルホニウム塩などの各種オニウム塩およびメチルトリフェニルホスホニウム臭化物、エチルトリフェニルホスホニウム臭化物、フェニルトリフェニルホスホニウム臭化物などを制限なく使用することができ、これら開始剤も多様な混合形態で添加することができ、前記に明示した多様なラジカル開始剤との混用も可能である。
【0050】
また、前記有機官能基の種類によって、アミン硬化剤類のエチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、1,3-ジアミノプロパン、ジプロピレントリアミン、3-(2-アミノエチル)アミノ-プロピルアミン、N,N’-ビス(3-アミノプロピル)-エチレンジアミン、4,9-ジオキサドデカン-1,12-ジアミン、4,7,10-トリオキサトリデカン-1,13-ジアミン、ヘキサメチレンジアミン、2-メチルペンタメチレンジアミン、1,3-ビスアミノメチルシクロヘキサン、ビス(4-アミノシクロヘキシル)メタン、ノルボルネンジアミン、1,2-ジアミノシクロヘキサンなどを用いることができる。
【0051】
また、前記硬化作用を促進するための硬化促進剤として、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン、2,4-ジアミノ-6-ビニル-s-トリアジンなどのトリアジン系化合物、イミダゾール、2-メチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、2-フェニル-4-メチルイミダゾール、ビニルイミダゾール、1-メチルイミダゾールなどのイミダゾール系化合物、1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン-5、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン-7、トリフェニルホスフィン、ジフェニル(p-トリル)ホスフィン、トリス(アルキルフェニル)ホスフィン、トリス(アルコキシフェニル)ホスフィン、エチルトリフェニルホスホニウムホスファート、テトラブチルホスホニウムヒドロキシド、テトラブチルホスホニウムアセテート、テトラブチルホスホニウムハイドロジェンジフルオライド、テトラブチルホスホニウムジヒドロジェントリフッ素なども用いることができる。
【0052】
さらに、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルナド酸無水物、水素化メチルナド酸無水物、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸、ドデセニル無水コハク酸、無水2,4-ジエチルグルタル酸などの酸無水硬化剤類も幅広く用いることができる。
【0053】
前記硬化剤は、組成物100重量部に対して0.1-10重量部で含まれることが良い。
【0054】
本発明では、また、硬化工程または後反応を通じた硬度、強度、耐久性、成形性などを改善する目的で、紫外線吸収剤、酸化防止剤、消泡剤、レベリング剤、撥水剤、難燃剤、接着改善剤などの添加剤を追加的に含むことができる。このような添加剤は、その使用において特別に制限はないが、基板の特性、即ち、柔軟性、透光性、耐熱性、硬度、強度などの物性を害しない範囲内で適切に添加することができる。前記添加剤は、それぞれ独立して、組成物100重量部に対して0.1-10重量部で含まれることが良い。
【0055】
本発明で使用可能な添加剤としては、ポリエーテルジメチルポリシロキサン系(Polyether-modified polydimethylsiloxane、例えば、BYK社製品であるBYK-300、BYK-301、BYK-302、BYK-331、BYK-335、BYK-306、BYK-330、BYK-341、BYK-344、BYK-307、BYK-333、BYK-310など)、ポリエーテルヒドロキシポリジメチルシロキサン系(Polyether modified hydroxyfunctional poly-dimethyl-siloxane、例えば、BYK社のBYK-308、BYK-373など)、ポリメチルアルキルシロキサン系(Methylalkylpolysiloxane、例えば、BYK-077、BYK-085など)、ポリエーテルポリメチルアルキルシロキサン系(Polyether modified methylalkylpolysiloxane、例えば、BYK-320、BYK-325など)、ポリエステルポリメチルアルキルシロキサン系(Polyester modified poly-methyl-alkyl-siloxane、例えば、BYK-315など)、アラルキルポリメチルアルキルシロキサン系(Aralkyl modified methylalkyl polysiloxane、例えば、BYK-322、BYK-323など)、ポリエステルヒドロキシポリジメチルシロキサン系(Polyester modified hydroxy functional polydimethylsiloxane、例えば、BYK-370など)ポリエステルアクリルポリジメチルシロキサン系(Acrylic functional polyester modified polydimethylsiloxane、例えば、BYK-371、BYK-UV3570など)、ポリエーテル-ポリエステルヒドロキシポリジメチルシロキサン系(Polyeher-polyester modified hydroxy functional polydimethylsiloxane、例えば、BYK-375など)、ポリエーテルポリジメチルシロキサン系(Polyether modified dimethylpolysiloxane、例えば、BYK-345、BYK-348、BYK-346、BYK-UV3510、BYK-332、BYK-337など)、非イオンポリアクリル系(Non-ionic acrylic copolymer、例えば、BYK-380など)、イオン性ポリアクリル系(Ionic acrylic copolymer、例えば、BYK-381など)、ポリアクリレート系(Polyacrylate、例えば、BYK-353、BYK-356、BYK-354、BYK-355、BYK-359、BYK-361N、BYK-357、BYK-358N、BYK-352など)、ポリメタクリレート系(Polymethacrylate、例えば、BYK-390など)、ポリエーテルアクリルポリジメチルシロキサン系(Polyether modified acryl functional polydimethylsiloxane、例えば、BYK-UV3500、BYK-UV3530など)、ポリエーテルシロキサン系(Polyether modified siloxane、例えば、BYK-347など)、アルコールアルコキシレート系(Alcohol alkoxylates、例えば、BYK-DYNWET800など)、アクリレート系(Acrylate、例えば、BYK-392など)、ヒドロキシシリコンポリアクリレート系(Silicone modified polyacrylate(OH-functional)、例えば、BYK-Silclean3700など)などが挙げられる。
【0056】
本発明のコーティング組成物は、様々な素材に適用され、素材に高い表面硬度、機械的強度及び耐熱性を向上させることができる。コーティングの厚さは任意に調節することができ、0.01~500 umであることができ、好ましくは0.1~300 um、さらに好ましくは1~100 umの範囲が良い。一例として、上記材料は、金属、セラミック、プラスチック、木材、紙、ガラス、または繊維であることができ、より具体的な素材にコーティングされた具体的な物品には、携帯電話、またはディスプレイの保護フィルムであることができる。
【0057】
本発明において、前記コーティング組成物をコーティングする方法は、スピンコーティング、バーコーティング、スリットコーティング、ディップコーティング、ナチュラルコーティング、リバースコーティング、ロールコーティング、スピンコーティング、カーテンコーティング、スプレーコーティング、グラビアコーティングなど公知された方法の中で当業者が任意に選択して適用することができるのはもちろんであります。
【0058】
本発明に基づいて製造されたシルセスキオキサン複合高分子は、線状シルセスキオキサン高分子で構成された線状シルセスキオキサン鎖,複合型の鎖およびcage形シルセスキオキサン鎖を含むので、線状および複合型高分子の加工容易性と結晶シルセスキオキサンの優れた物理的特性を有することができ、前記の構造に含まれている有機官能基を介して硬化が容易なので、有 - 無機混成化高分子を適用しようとする産業全般に幅広く適用することができる。また、シリコンの優れた光学特性、物理的特性、耐熱特性等を基本的に備えており、主剤、添加剤または様々なコーティング材料として幅広く利用することができる。
【0059】
以下、本発明の理解のために好ましい実施例を提示するが、下記の実施例は本発明を例示するものに過ぎず、本発明の範囲が下記の実施例に限定されるのではない。
【0060】
実施例1:シルセスキオキサンA-B-A-D構造の複合高分子の合成
合成段階は下記のように、連続加水分解および縮合を段階的に行した。
[実施例1-a]触媒の製造
塩基度調節のために、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(Tetramethylammonium hydroxide;TMAH)25重量%水溶液に10重量%カリウムヒドロキシド(Potassium hydroxide;KOH)水溶液を混合して触媒1aを準備した。
【0061】
[実施例1-b]線状シルセスキオキサンの合成(A前駆体)
冷却管と攪拌機を備えた乾燥されたフラスコに、蒸溜水5重量部、テトラヒドロフラン15重量部、前記実施例1-aで製造された触媒1重量部を滴加し、1時間常温で攪拌した後、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン20重量部を滴加し、再びテトラヒドロフランを15重量部滴加して5時間追加攪拌した。攪拌中の混合溶液を滴取り、二回洗浄することで触媒と不純物を除去しフィルターした後、IR分析を通じて末端基に生成されたSI-OH官能基を確認することができ(3200cm-1)、分子量を測定した結果、線状構造のシルセスキオキサンが6,000スチレン換算分子量を有するのを確認することができた。
【0062】
[実施例1-c]線状シルセスキオキサン構造の合成(A-B前駆体の合成)
冷却管と攪拌機を備えた乾燥されたフラスコに、蒸溜水5重量部、テトラヒドロフラン40重量部、前記実施例1-aで製造された触媒0.5重量部を滴加し、1時間常温で攪拌した後、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン10重量部を滴加し、再びテトラヒドロフランを20重量部滴加して2時間追加攪拌した。攪拌中の混合溶液を滴取り、二回洗浄することで触媒と不純物を除去しフィルターした後、H-NMR分析を通じて残存するアルコキシ基(alkoxy group)が0.1mmol/g以下に残存している線状シルセスキオキサンを得た。これは、以後にかご(cage)を連続反応で導入するのに用いられる部分である。線状構造の形態分析はXRD分析を通じて全体的な構造が線状構造体であることを確認した。分子量を測定した結果、線状構造のシルセスキオキサンが8,000スチレン換算分子量を有するのを確認することができた。
【0063】
[実施例1-d]線状シルセスキオキサン構造の合成(A-B-A前駆体の合成)
冷却管と攪拌機を備えた乾燥されたフラスコに、蒸溜水5重量部、テトラヒドロフラン5重量部、製造された実施例1-a触媒を10重量部を滴加し、1時間常温で攪拌した後、実施例1-b前駆体と1-c前駆体を20重量部ずつそれぞれ滴加し、再びテトラヒドロフランを10重量部滴加して24時間追加攪拌した。攪拌中の混合溶液を滴取り、二回洗浄することで触媒と不純物を除去しフィルターした後、IR分析を通じて末端基に生成されたSI-OH官能基を確認することができ(3200cm-1)、分子量を測定した結果、線状構造のシルセスキオキサンが15,000スチレン換算分子量を有するのを確認することができた。
H-NMR(CDCl)δ3.7、3.4、3.3(broad)、3.1,2.8、2.6、1.5(broad)、0.6。
【0064】
[実施例1-e]連続的かご(cage)構造の生成(D構造の導入)
前記実施例1-d混合溶液に0.36重量%HCl水溶液を非常に徐々に5重量部滴加し、pHが酸性を有するように調節し、4℃の温度で30分間攪拌した。その後、ジフェニルテトラメトキシジシロキサン(DiPhenyltetramethoxydisiloxane)5重量部を一度に滴加して、安定した加水分解を図り、1時間攪拌後、実施例1-aで製造された触媒を7重量部再び添加して塩基性状態に混合溶液のpHを調節した。この時、線状高分子とは別途にアルコキシ(alkoxy)が開いているD構造の前駆体が形成される。少量のサンプルを滴取り、H-NMRとIRで分析してメトキシ(methoxy)の残存率を確認した後、残存率が10%である時、0.36重量%HCl水溶液を10重量部徐々に滴加して、pHを酸性に調節した。その後、フェニルトリメトキシシラン(Phenyltrimethoxysilane)1重量部を一度に滴加して15分間攪拌後、1-aで製造された触媒20重量部を添加した。4時間の混合攪拌以後、確認結果、高分子内にかご(cage)形態の高分子が生成されるのを確認することができた。その後、常温に温度を変化させ、混合溶液内のテトラヒドロフランを真空で除去して、全体的な反応物が水溶液混合物に変換されるようにした。4時間の混合攪拌以後、一部を滴取り、29Si-NMRを通じて分析した結果、フェニル(phenyl)基を用いて導入された構造の分析ピークが鋭い形態の2つで示され、別途に残存する副産物なく化学式1のような高分子が製造されたのを確認することができた。また、スチレン換算分子量は18,000と測定された。
29Si-NMR(CDCl)δ-68.2、-72.3(broad)、-81.1(sharp)、-80.8(sharp)、-82.5(broad)
【0065】
[実施例1-f]B構造内X導入(A-B-A-D構造の完成)
前記実施例1-eで得られた結果物の有機層を別途の精製なく準備した後、3官能単量体を用いて末端をかご(cage)構造に変換した。実施例1-eで得られた物質100重量部を50重量部のテトラヒドロフランに溶かした後、5重量部の蒸溜水を入れて混合溶液を製造した。その後、製造された混合溶液に0.36wt%HCl10重量部を添加し、10分間攪拌後、メチルトリメトキシシラン(Methyltrimethoxysilane)3重量部を一度に滴加して、安定した加水分解を図った。24時間攪拌後、実施例7-aで製造された触媒を3重量部再び添加して塩基性状態に混合溶液のpHを調節した。この時、B構造のX部分にかご(cage)形態の高分子が導入され、反応器内で連続的に反応が行われ化学式1のような高分子が形成される。しかし、他の副産物と共に得られるので、別途の精製が必要であった。その後、常温に温度を変化させ、混合溶液内のテトラヒドロフランを真空で除去して精製を準備した。
【0066】
[実施例1-g]沈殿および再結晶を通した副産物除去、結果物の収得
前記実施例1-fで反応が完了した混合物にメチレンクロリド200重量部を入れ、蒸溜水と共に分別洗浄し、蒸溜水層のpHが中性である時、真空減圧で溶媒を完全に除去した。その後、メタノールに2回沈殿して、未反応単量体を除去し、テトラヒドロフランと水溶液が9.5:0.5重量比率で混合された溶媒に30重量部で溶かして-20℃の温度で2日間保管した。これは、高分子に導入されず、かご(cage)構造で閉じられた物質の再結晶を図って、精製が容易に行われるようにするためである。
【0067】
再結晶過程を終えて得られた固体物質をフィルター後、真空減圧を通じて化学式1の高分子が様々な副産物なく得られることを確認した。また、GPC結果をNMR結果と比較する時、各段階の高分子成長で単独で得られる低分子がなく鋭い(Sharp)形態のかご(cage)形態が結果として導出されることから推せば、複合高分子が問題なく得られるのを確認することができた。この時、分子量はスチレン換算値で24,000の値であった。
【0068】
また、下記表7に記述した単量体を適用してシルセスキオキサン複合高分子を製造した。この時、製造方法は前記実施例1で用いた方法を対等に適用した。
【表7-1】
【表7-2】
【0069】
前記表7において、ECHETMSは2-(3,4-epoxycyclohexyl)ethyltrimethoxysilane、GPTMSはGlycidoxypropytrimethoxysilane、MAPTMSは(methacryloyloxy)propyltrimethoxysilane、PTMSはPhenyltrimethoxysilane、MTMSはMethyltrimethoxysilane、ECHETMDSはDi(epoxycyclohexyethyl)tetramethoxy disiloxane、GPTMDSはDi(glycidoxypropyl)tetramethoxy disiloxane、MAPTMDSはDi(methacryloyloxy)propyltetramethoxydisiloxane、PTMDSはDi(phenyl)tetramethoxy disiloxane、MTMDSはDi(Methyl)tetramethoxy disiloxaneを意味する。
【0070】
実施例2:D-A-B-A-D構造の複合シルセスキオキサン高分子の合成
D-A-B-A-D構造の複合高分子を製造するために、以下の実施例を用いた。触媒と線形構造の製造は、実施例1-a、b、c、およびdの方法を同様に使用し、その後,連続D-A-B-A-D構造を生成するために、以下の方法で製造を実施した。
[実施例2-a]D構造の過量生成のためのpH変換反応
反応が進行中である実施例1-d混合溶液に0.36wt%HCl水溶液を非常に徐々に15重量部滴加し、pHが酸性を有するように調節し、4℃の温度で30分間攪拌した。その後、ジフェニルテトラメトキシジシロキサン(DiPhenyltetramethoxydisiloxane)の量を実施例1-eの5倍である25重量部で準備して一度に滴加し、1時間攪拌後、実施例1-aで製造された触媒を20重量部再び添加して塩基性状態に混合溶液のpHを調節した。反応完了後、常温に温度を変化させ、混合溶液内のテトラヒドロフランを真空で除去して、全体的な反応物が水溶液混合物に変換されるようにした。4時間の混合攪拌以後、一部を滴取り、29Si-NMRおよびH-NMRを通じて分析した結果、B構造内に存在するアルコキシ基(alkoxy group)の量が0.006mmol/gに変化し、BとDの繰り返し単位が約5:5比率で導入されたのを確認することができた。また、スチレン換算分子量は32,000と測定された。また、かご(cage)型構造が導入されたが、高分子のGPC形態で単独かご(cage)型物質の分子量分布が見られないので、かご(cage)構造が連続反応を通じて高分子鎖によく導入されたのを確認することができた。
H-NMR(CDCl)δ7.5,7.2、3.7、3.4、3.3(broad)、3.1,2.8、2.6、1.5(broad)、0.6。29Si-NMR(CDCl)δ-72.5(broad)、-81.1(sharp)、-80.8(sharp)、-79.9(sharp)、-82.5(broad)
【0071】
[実施例2-b]B構造内X導入
前記実施例2-aで得られた結果物の有機層を別途の精製なく準備した後、3官能単量体を用いて末端をかご(cage)構造に変換した。実施例2-aで得られた物質100重量部を50重量部のテトラヒドロフランに溶かした後、5重量部の蒸溜水を入れて混合溶液を製造した。その後、製造された混合溶液に0.36wt%HCl10重量部を添加し、10分間攪拌後、メチルトリメトキシシラン(Methyltrimethoxysilane)3重量部を一度に滴加して、安定した加水分解を図った。24時間攪拌後、実施例1-aで製造された触媒を3重量部再び添加して塩基性状態に混合溶液のpHを調節した。この時、B構造のX部分にかご(cage)形態の高分子が導入され、反応器内で連続的に反応が行われ化学式2のような高分子が形成される。しかし、他の副産物と共に得られるので、別途の精製が必要であった。その後、常温に温度を変化させ、混合溶液内のテトラヒドロフランを真空で除去して精製を準備した。
【0072】
[実施例2-c]沈殿および再結晶を通じた副産物除去、結果物の収得
前記実施例2-bで反応が完了した混合物にメチレンクロリド200重量部を入れて、蒸溜水と共に分別洗浄し、蒸溜水層のpHが中性である時、真空減圧で溶媒を完全に除去した。その後、メタノールに2回沈殿して、未反応単量体を除去し、テトラヒドロフランと水溶液が9.5:0.5重量比率で混合された溶媒に30重量部で溶かし、-20℃の温度で2日間保管した。これは、高分子に導入されず、かご(cage)構造で閉じられた物質の再結晶を図り、精製が容易に行われるようにするためである。
【0073】
再結晶過程を終えて得られた固体物質をフィルター後、真空減圧を通じて化学式2の高分子が様々な副産物なく得られることを確認した。また、GPC結果をNMR結果と比較する時、各段階の高分子成長で単独で得られる低分子がなく鋭い(Sharp)形態のかご(cage)形態が結果として導出されることから推せば、複合高分子が問題なく得られるのを確認することができた。この時、分子量はスチレン換算値で36,000の値を得ることができ、特に化学式2の結果は次の通りである。
29Si-NMR(CDCl)δ-72.5(broad)、-81.1(sharp)、-80.8(sharp)、-79.9(sharp)、-81.5(sharp)、-82.5(broad)
【0074】
また、下記表8に記述した単量体を適用してシルセスキオキサン複合高分子およびコーティング組成物を製造した。この時、製造方法は前記実施例2で用いた方法を対等に適用した。
【表8-1】
【表8-2】
【0075】
前記表8において、ECHETMSは2-(3,4-epoxycyclohexyl)ethyltrimethoxysilane、GPTMSはGlycidoxypropytrimethoxysilane、MAPTMSは(methacryloyloxy)propyltrimethoxysilane、PTMSはPhenyltrimethoxysilane、MTMSはMethyltrimethoxysilane、ECHETMDSはDi(epoxycyclohexyethyl)tetramethoxy disiloxane、GPTMDSはDi(glycidoxypr
opyl)tetramethoxy disiloxane、MAPTMDSはDi(methacryloyloxy)propyltetramethoxydisiloxane、PTMDSはDi(phenyl)tetramethoxy disiloxane、MTMDSはDi(Methyl)tetramethoxy disiloxaneを意味する。
【0076】
実施例3:シルセスキオキサンE-A-B-A-D構造の複合高分子の合成
E-A-B-A-D構造の複合高分子を製造するために、以下の実施例を用いた。触媒と線形構造の製造は、実施例1の方法を同様に使用してA-B-A-D構造体を準備し、その後,E-A-B-A-D構造を生成するために、以下の方法で製造を実施した。
[実施例3-a]鎖末端E構造の生成
実施例1-gで得られた混合物に別途の精製なくメチレンクロリド20重量部を滴加し、0.36重量%HCl水溶液を5重量部滴加し、pHが酸性を有するように調節し、4℃の温度で30分間攪拌した。その後、ジメチルテトラメトキシジシロキサン(dimethyltetramethoxydisiloxane)1重量部を一度に滴加した。この時、まだ分子構造内で加水分解されずに存在した部分が溶媒と分離された酸性水溶液層で加水分解物に容易に変換され、生成された別途の反応物と有機溶媒層で縮合され、末端単位にEが導入された。5時間の攪拌後、反応の攪拌を停止し、常温に反応器の温度を調節した。
【0077】
[実施例3-b]B構造および末端E構造のXにかご(cage)導入
前記実施例3-aで得られた結果物の有機層を別途の精製なく準備した後、3官能単量体を用いて末端をかご(cage)構造に変換した。反応が進行中である実施例3-a混合溶液にメチルトリメトキシシラン(Methyltrimethoxysilane)3重量部を一度に滴加して、安定した加水分解を図り、24時間攪拌後、実施例1-aで製造された触媒を3重量部再び添加して塩基性状態に混合溶液のpHを調節した。この時、E構造末端にかご(cage)形態の高分子が導入され、反応器内で連続的に反応が行われ化学式3のような高分子が形成される。しかし、他の副産物と共に得られるので、別途の精製が必要であった。その後、常温に温度を変化させ、混合溶液内のテトラヒドロフランを真空で除去して精製を準備した。
【0078】
[実施例3-c]沈殿および再結晶を通じた副産物除去、結果物の収得
前記実施例3-bで反応が完了した混合物を得た後、蒸溜水を用いて洗浄し、蒸溜水層のpHが中性である時、真空減圧で溶媒を完全に除去した。その後、メタノールに2回沈殿して、未反応単量体を除去し、テトラヒドロフランと水溶液が9.5:0.5重量比率で混合された溶媒に30重量部で溶かし、-20℃の温度で2日間保管した。これは、高分子に導入されず、かご(cage)構造で閉じられた物質の再結晶を図り、精製が容易に行われるようにするためである。
【0079】
再結晶過程を終えて得られた固体物質をフィルター後、真空減圧を通じて化学式3の高分子が様々な副産物と共に得られることを確認した。また、GPC結果をNMR結果と比較する時、各段階の高分子成長で単独で得られる低分子がなく鋭い(Sharp)形態のかご(cage)形態が結果として導出されることから推せば、複合高分子が問題なく得られるのを確認することができた。この時、分子量はスチレン換算値で28,000の値を得ることができた。
【0080】
また、下記表9に記述した単量体を適用してシルセスキオキサン複合高分子を製造した。この時、製造方法は前記実施例3で用いた方法を対等に適用した。
【表9-1】
【表9-2】

【表9-3】
【0081】
前記表9において、ECHETMSは2-(3,4-epoxycyclohexyl)ethyltrimethoxysilane、GPTMSはGlycidoxypropytrimethoxysilane、MAPTMSは(methacryloyloxy)propyltrimethoxysilane、PTMSはPhenyltrimethoxysilane、MTMSはMethyltrimethoxysilane、ECHETMDSはDi(epoxycyclohexyethyl)tetramethoxy disiloxane、GPTMDSはDi(glycidoxypropyl)tetramethoxy disiloxane、MAPTMDSはDi(methacryloyloxy)propyltetramethoxydisiloxane、PTMDSはDi(phenyl)tetramethoxy disiloxane、MTMDSはDi(Methyl)tetramethoxy disiloxaneを意味する。
【0082】
実施例4: シルセスキオキサン複合高分子を用いたコーティング組成物の製造および工程
実施例1、2および3で得られたシルセスキオキサン複合高分子を利用して、それ自体で硬化工程を誘導したり、コーティング組成物を製造した。
[実施例4-a]光硬化型コーティング組成物の製造
実施例1-3でそれぞれ得られた複合高分子30 gをメチルイソブチルケトンに30 wt%で、それぞれ溶かして100 gのコーティング組成物を製造した。その後、コーティング組成物100重量部にクロロアセトフェノン(chloro acetophenone)3重量部とBYK-3471重量部、BYK-UV35001重量部をそれぞれ添加して10分間攪拌して光硬化型コーティング組成物を製造した。
【0083】
[実施例4-b]光硬化型コーティング組成物の硬化
実施例4-aで準備したコーティング組成物をSKC社PETフィルムであるSKC-SG00L 250 umフィルムに塗布し、No.30-50 rodを5単位に分割してMayer coatingを実施した。その後、80℃の温度で10分間溶媒を除去し、UV機器を用いて、100 mW / cm2ランプで10秒間UVを照射して結果物を得た。
【0084】
[実施例4-c]熱硬化型コーティング組成物の製造
実施例で製造した化学式3-1で表示されるシルセスキオキサン複合高分子50 gをメチルエチルケトン50重量%で溶かして100 gのコーティング組成物を製造した。その後、準備されたコーティング組成物100重量部に1,3-ジアミノプロパン3重量部とBYK-357、およびBYK-348を各1重量部添加し、10分間攪拌して熱硬化型コーティング組成物を製造した。
【0085】
[実施例4-d]熱硬化型コーティング組成物の硬化
実施例4-cで準備したコーティング組成物をSKC社PETフィルムであるSKC-SG00L 250 umフィルムに塗布し、No.30~50のロード(rod)を5単位に分割してマイヤーコーティング(Mayer coating)を実施した。コーティング後、80℃の乾燥オーブンで10分間硬化した後結果物を得た。
【0086】
[実施例4-e]実施例を使用して得た化学式1、2および3の自己硬化(self-curing)
実施例1、2および3を介して得た結果を、別の組成せずに熱を介して硬化した。 SKC社PETフィルムであるSKC-SG00L 250 umフィルムにNo.30~50のロード(rod)を5単位に分割してマイヤーコーティング(Mayer coating)を実施し、100℃の乾燥オーブンで2時間硬化した後結果物を得た。
【0087】
[実験例1]
実施例1を介して製造されたシルセスキオキサン樹脂の重量平均分子量と分子量分布をRI-2031 plus refractive index detectorとUV-2075 plus UV detector(254detection wavelength)が装着されたJASCO PU-2080 plus SEC systemを使用して測定した。40℃で流動率1にTHFを使用し、サンプルは、4つのカラム(Shodex-GPC KF-802、KF-803、KF-804、およびKF-805)を介して分離した。その結果、得られたシルセスキオキサンは、SEC分析によって12,000の重量平均分子量を有し、分子量分布が2.7であることを確認した。
【0088】
[実験例2]
Perkin-Elmer FT-IR system Spectrum-GXのATRモードを利用して、IRを測定した。 FT-IR分析の結果、実施例1-bおよび1-dの過程で少量適取した構造体で広々としたバイモーダル(連続した2ジュンモ量)吸収ピークが950~1200 cm-1で見られ、これはシルセスキオキサン鎖中の垂直( -Si-O-Si-R)と水平(-Si-O-Si-)方向でシロキサン結合の伸縮振動(Stretching Vibration)から由来されたものである。以後、1-cおよび1-eで得られた構造体の適取物を分析した結果1200および1500cm-1で表示されるピークがさらに成長したことからcage形構造の置換を確認することができた。これは、実験例1で分析されたGPC分析の結果と連携の分析したとき、バスケット型の特性ピークの成長にもかかわらず、実際の分子量が低レベルであるcage形が(一般的には分子量1,000~5,000程度)単独で観察されていない点を言っても、鎖内に予想された構造で導入されたことが確認できた。
【0089】
[実験例3]
実施例4を介して製造された構造体の熱的安定性をTGA(thermal gravimetric analyzer)を使用して確認し、特に、実施例1-gで得られた複合高分子の測定した。測定は、窒素雰囲気下50-800℃の10℃/ minのスキャン速度でTGAを介して測定した。
測定結果,末端にcage形構造が置換されることにより、100-200℃の間で分解ていたSi-OH及びSi-ORの分解量が著しく減少したことを確認することができた。
【0090】
[実験例4]
実施例4を介して得られた有機フィルムコーティング硬化物の柔軟性の特性を測定するために、作りパラレルテスト(Mandrel test)を行った。試験の基準は、ASTM D522に基づいて実施した。直径50 mmから3 mmまでの側面および表面に割れが発生しない最小の数値を記載した。その結果、3 mm以内でも、コーティング面の割れが観察されず、本発明の複合高分子が強い物理的特性と柔軟性の特性を同時に付与できることがあることを示した。
【0091】
[実験例5]
PC(アイコンポーネント社Glastic polycarbonate製品)SKC社PETとPMMA(COPAN社OAS-800製品)透明基板に前記表7~9に記載された高分子樹脂を使用して、実施例4に記載された方法と同じ方法でコーティング組成物をコーティングして、硬化させて表面特性を測定した。下記実験結果は、実施例3で製造した高分子樹脂を用いた結果であり、表には記載されていなかったが、表7~9に記載された高分子樹脂を用いたコーティング組成物は、実施例3の高分子樹脂と対等な結果を示した。
【0092】
-表面硬度測定:一般に鉛筆硬度法(JIS 5600-5-4)は、一般に500g荷重で評価するが、これより苛酷な条件である1kgf荷重でコーティング面に45度角度で鉛筆を毎秒0.5mmの速度で水平に3mm移動してコーティング膜をかき、かかれた痕跡で評価した。5回実験で2回以上かかれた痕跡が確認されなければ上位の硬度の鉛筆を選択し、かかれた痕跡が2回以上であれば鉛筆を選定し、その鉛筆硬度より一段下位の鉛筆硬度が当該コーティング膜の鉛筆硬度であると評価した。評価結果は、10μm以上のコーティング厚さで、基板種類に関係なくガラス水準の9H硬度を確認した。
【0093】
-スクラッチテスト(Scratch test)測定:スチールウール(Steel wool)#0000を1kgfで400回評価した。スチールウール(Steel wool)による摩耗評価法(JIS K5600-5-9)は、1kg程度の重量の金づちの先端に#0000のスチールウール(Steel wool)を巻いて15回往復して試験片を擦り、そのヘイズ値を測定するが、これより苛酷な条件である400回試験片を擦り、ヘイズ測定および顕微鏡で肉眼評価を行った。コーティング厚さが5μm以上のコーティングでは表面に発生するスクラッチに対する耐性に優れていることを確認した。
【0094】
-接着力評価(JIS K5600-5-6):コーティング膜を1-5mm間隔でカッター刃でかいて、その上にセロハンテープを付け、付けたテープを引っ張った時に離脱した個数で接着性を判断し、この時、カッター刃で100個の升目を作り、100個のうちの離れる個数で接着性判断を施行し、結果は下記表10に示した。表記は、100個の中の離れない個数で“(離れない個数/100)”と表記、例として100個が離れなければ“(100/100)”と表記した。
【0095】
-信頼性評価:85%、85℃信頼性チャンバーに240時間保管し、曲げ特性評価した。曲げ評価基準は、信頼性評価前±0.1mm以内、信頼性評価後±0.3mm以内である。
【0096】
評価結果は、PET、PC、PMMAの全ての基材において優れていた。
【表10】
【0097】
上記表10に示すように、本発明のコーティング組成物は、非常に優れた 表面硬度と光学的特性を示すだけでなく、その他の物性においても同時に 優れているのを確認することができる。