(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-10
(45)【発行日】2023-01-18
(54)【発明の名称】熱併給形コンバインド発電プラントを有する発電システム及び発電のための方法
(51)【国際特許分類】
F23G 5/46 20060101AFI20230111BHJP
H02P 9/04 20060101ALI20230111BHJP
C12M 1/107 20060101ALN20230111BHJP
【FI】
F23G5/46 Z
H02P9/04 P
C12M1/107
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018130034
(22)【出願日】2018-07-09
【審査請求日】2021-05-06
(31)【優先権主張番号】10 2017 007 547.6
(32)【優先日】2017-08-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】518205379
【氏名又は名称】マルチン ゲーエムベーハー フュア ウムヴェルト ウント エネルギーテヒニーク
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】ロバート フォン ラーヴェン
(72)【発明者】
【氏名】ウルリッヒ,マルチン
(72)【発明者】
【氏名】マックス,ヨーゼフ シェーンシュタイナー
【審査官】岩▲崎▼ 則昌
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-232524(JP,A)
【文献】特開2003-170147(JP,A)
【文献】国際公開第2015/120983(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23G 5/46
H02P 9/04
C12M 1/107
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発酵プラント(3)のために熱併給形コンバインド発電プラント(2)の熱を使用するため、管路(4)によって互いに連結される熱併給形コンバインド発電プラント(2)及び発酵プラント(3)を有する発電システム(1)であって、前記発電システム(1)が、前記熱併給形コンバインド発電プラント(2)及び前記発酵プラント(3)の両方に管路(6、7、8、9、10)によって連結される電解プラント(5)を有
し、前記電解プラント(5)及び前記熱併給形コンバインド発電プラント(2)は、前記熱併給形コンバインド発電プラント(2)のために電解の間に生成された酸素を使用するため、ガスのための前記管路(8)によって互いに連結されることを特徴とする、発電システム(1)。
【請求項2】
前記熱併給形コンバインド発電プラント(2)が廃棄物焼却プラントであることを特徴とする、請求項1に記載の発電システム。
【請求項3】
前記発酵プラント(3)が乾燥発酵(12)のためのプラントを有することを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の発電システム。
【請求項4】
前記熱併給形コンバインド発電プラント(2)及び前記発酵プラント(3)が、前記発酵プラント(3)のために前記熱併給形コンバインド発電プラント(2)で生成された電力を使用するため、送電線(11)によって互いに直接連結されることを特徴とする、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の発電システム。
【請求項5】
前記電解プラント(5)及び前記発酵プラント(3)が、前記発酵プラント(3)のために電解の間に生成された熱を使用するため、熱のための前記管路(9)によって
、互いに連結されることを特徴とする、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の発電システム。
【請求項6】
前記電解プラント(5)及び前記発酵プラント(3)が、前記発酵プラント(3)のために電解の間に生成された水素を使用するため、ガスのための前記管路(10)によって互いに連結されることを特徴とする、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の発電システム。
【請求項7】
前記電解プラント(5)及び前記発酵プラント(3)が、電解の間に生成された水素と前記発酵プラント(3)において生成されたガスをガス精製プラント(13)で混合するため、ガスのための管路(14)によって互いに連結されることを特徴とする、請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の発電システム。
【請求項8】
前記電解プラント(5)及び前記熱併給形コンバインド発電プラント(2)が、前記電解プラント(5)のために前記熱併給形コンバインド発電プラント(2)で生成された電力を使用するため、送電線(7)によって互いに直接連結されることを特徴とする、請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の発電システム。
【請求項9】
前記電解プラント(5)及び前記熱併給形コンバインド発電プラント(2)が、前記電解プラント(5)のために前記熱併給形コンバインド発電プラント(2)で生成された蒸気又は熱を使用するため、前記管路(6)によって互いに連結されることを特徴とする、請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の発電システム。
【請求項10】
前記発電システムが、50m
3以上の体積の少なくとも1つのガス貯蔵装置(34、35、36、37、38)を有することを特徴とする、請求項1から請求項
9のいずれか一項に記載の発電システム。
【請求項11】
前記発電システム(1)が、二酸化炭素のための管路(25、26)によって前記熱併給形コンバインド発電プラント(2)及び/又は前記発酵プラント(3)に連結され、水素のための管路(27)によって前記電解プラント(5)に連結されるメタンガス製造プラント(24)を有することを特徴とする、請求項1から請求項
10のいずれか一項に記載の発電システム。
【請求項12】
前記メタンガス製造プラント(24)が、熱のための管路(29)によって前記熱併給形コンバインド発電プラント(2)に及び/又は前記電解プラント(5)に連結されることを特徴とする、請求項
11に記載の発電システム。
【請求項13】
前記メタンガス製造プラント(24)が、前記メタンガス製造プラント(24)のために前記熱併給形コンバインド発電プラント(2)で生成された電力を使用するため、送電線(33)によって、前記熱併給形コンバインド発電プラント(2)に直接連結されることを特徴とする、請求項
11又は請求項
12に記載の発電システム。
【請求項14】
請求項1から請求項
13のいずれか一項に記載のシステムを使用し、前記熱併給形コンバインド発電プラント(2)の熱が前記発酵プラント(3)のために用いられる発電のための方法であって、前記電解プラント(5)の熱が前記発酵プラント(3)のために更に使われ、前記電解プラント(5)の酸素が前記熱併給形コンバインド発電プラント(2)のために使われることを特徴とする、発電のための方法。
【請求項15】
前記電解プラント(5)の水素が発酵からの二酸化炭素を使用してメタンに変換されることを特徴とする、請求項
14に記載の方法。
【請求項16】
前記発電システム(1)において生成された少なくとも1つのガス流が貯蔵されることを特徴とする、請求項
14又は請求項
15に記載の方法。
【請求項17】
生成されかつ貯蔵されたガスが、制御された方法で更なる使用のために供給されることを特徴とする、請求項
16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発酵プラントのための熱併給形コンバインド発電プラントからの熱を使用するために管路によって互いに連結される熱併給形コンバインド発電プラント及び発酵プラントを有する発電システムに関する。このタイプのプラントは、とりわけ、発酵プラントにおいて用いるのに低いエネルギー準位の廃熱が特に適切であるので、非常に好都合である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
本発明は、このタイプの発電システムを開発する目的に基づくものである。この目的は、特許請求項1の特徴を有する発電システムを用いて達成される。請求項15の特徴を有する発電のための方法は、結果として生じる力を特によく使用するための好都合な手順を示す。
【0003】
好都合な展開は、従属請求項の主題である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明によると、発電システムは、熱併給形コンバインド発電プラント及び発酵プラントの両方に管路によって連結される電解プラントを有する。これにより、発電システムの効率を向上することができる。
【0005】
熱併給形コンバインド発電プラントが廃棄物焼却プラントである場合、廃棄物の一部が発酵プラントにおいて処理される間に、他の部分を焼却することができる。
【0006】
実際には、発酵プラントが乾燥発酵のためのプラントである場合、好都合であることが特定された。
【0007】
好都合な実施態様では、熱併給形コンバインド発電プラント及び発酵プラントはまた、発酵プラントのために熱併給形コンバインド発電プラントで生成された電力を使用するため、送電線によって互いに直接連結される。すなわち、加熱器を使用して生成されるその電力の一部は公共の送電網には供給されないが、むしろ、発酵プラントを作動させるために直接使用されるということである。
【0008】
電解プラント及び発酵プラントが、発酵プラントのために電解の間に生成された熱を使用するため、熱のための管路による熱で互いに連結される場合、特に好都合である。
【0009】
加えて、電解プラント及び発酵プラントは、発酵プラントの電解の間に生成された水素を使用するためにガスの管路によって互いに連結されてもよい。この場合、水素が発酵の間にすでに供給されているので、メタン製造を増やすために発酵において水素を使用することができる。
【0010】
代わりに又は累積的に、電解プラント及び発酵プラントは、電解の間に生成された水素と、発酵の間に生成されたガスを混合するためにガスの管路によって互いに連結されてもよい。その結果として、ガス精製が達成される。
【0011】
熱併給形コンバインド発電プラントで生成される電力は、発酵の用途のみではなく、電解のためにも使われてもよい。それゆえに、電解プラント及び熱併給形コンバインド発電プラントは、電解プラントのために熱併給形コンバインド発電プラントで生成された電力を使用するため、送電線によって互いに直接連結されることが提案される。電力はそれゆえに、電解のためにそこから使用されるために最初は公共の送電網には送られず、むしろ、熱併給形コンバインド発電プラント及び電解プラント間の直接の管路が、電解のために熱併給形コンバインド発電プラントで生成された電力の使用を可能にする。
【0012】
従って、電解プラント及び熱併給形コンバインド発電プラントはまた、電解プラントのために熱併給形コンバインド発電プラントで作成された蒸気又は熱を使用するため、管路によって互いに連結されることができる。管路は、それゆえに、例えば蒸気又は温水管路であってもよい。
【0013】
熱併給形コンバインド発電プラントの電解の間に生成された酸素を使用するために、電解プラント及び熱併給形コンバインド発電プラントがガスのための管路によって互いに連結される場合、それは好都合である。
【0014】
異なるプラントにおいて用いられるべきガスを蓄積させる個々のプラントは、当然、その中にガスを蓄積させる特定のガス貯蔵装置を備えている。発電システムの構成要素間のガス交換を制御する及び/又はガスを第三者に提供するために、発電システムは、50m3以上のガス貯蔵装置を有することが提案される。
【0015】
発電システムの特定の開発により、発電システムは、二酸化炭素のための管路によって熱併給形コンバインド発電プラント及び/又は発酵プラントに連結され、水素のための管路によって電解プラントに連結されたメタンガス製造プラントを有することが提供される。これにより、特に好都合な方法でメタンガス製造プラントを発電システムに一体化することが可能になる。
【0016】
この場合、メタンガス製造プラントが、熱のための管路によって熱併給形コンバインド発電プラント及び/又は電解プラントに連結されていることが好都合である。その結果、内部で生成された熱でさえ、メタンガス製造プラントのために用いることができる。
【0017】
従って、メタンガス製造プラントのための熱併給形コンバインド発電プラントで生成された電力を使用するために、メタンガス製造プラントが直接電力管路によって熱併給形コンバインド発電プラントに連結される場合、内部で生成された電力もまた、メタンガス製造プラントのために用いることができる。
【0018】
それゆえに、発酵プラントのための熱併給形コンバインド発電プラントからの熱を使用し、発酵プラントのための電解プラントからの熱を更に使用する発電のための方法が提供され、そこにおいて、電解からの酸素が、熱併給形コンバインド発電プラントのために用いられる。この方法は特に、本発明による電力製造システムに適している。
【0019】
この場合、電解プラントからの水素が、乾燥発酵からの二酸化炭素を使用してメタンに変換される時に好都合である。
【0020】
更なる使用のためにその方法の間に生成されたガスを供給するように、発電システムにおいて生成された少なくとも1つのガス流が貯蔵されることが提案される。このガス流は、二酸化炭素、水素、酸素、メタン及び/又はバイオガスであってもよい。貯蔵装置が少なくとも限られた範囲での一時的連結を可能にするので、これにより、プラントの個々の構成要素におけるガス製造及びガス消費をより容易に制御することができる。
【0021】
好都合な例示的な実施態様は、図面において示され、以下において更に詳細に説明される。図面の説明は以下の通りである。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】
図1は、熱併給形コンバインド発電プラント、発酵プラント及び電解プラントを有する発電システムを示すものである。
【
図2】
図2は、メタンガス製造プラントを有する
図1による発電システムを示すものである。
【
図3】
図3は、ガス貯蔵装置を有する
図2による発電システムを示すものである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1において示される発電システム1は、熱併給形コンバインド発電プラント2として廃棄物焼却プラントを有する。この廃棄物焼却プラントは、乾燥発酵プラントとして構成される発酵プラント3のための電力を供給する。管路4は、この目的のため、熱併給形コンバインド発電プラント2及び発酵プラント3の間で配置されるので、熱併給形コンバインド発電プラント2からの熱は発酵プラント3のために用いることができる。
【0024】
更に、発電システム1は、管路6から10によって、熱併給形コンバインド発電プラント2及び発酵プラント3の両方に連結される電解プラント5を有する。
【0025】
送電線11は、発酵プラント3のための熱併給形コンバインド発電プラント2で生成された電力を使用するために、熱併給形コンバインド発電プラント2を発酵プラント3に直接連結する。
【0026】
電解プラント5及び発酵プラント3は、電解の間に生成される熱、及び、発酵プラント3のための電解の間に生成された水素を使用するために、熱の管路9及びガスの管路10によって互いに連結される。発酵プラント3は、乾燥発酵12のためのプラント及びガス精製プラント13を有する。これにより、電解プラント5及び発酵プラント3の間の管路14によって、ガス精製プラント13における発酵プラント3の電解の間に生成された水素を混合することが可能になる。
【0027】
電解プラント及び熱併給形コンバインド発電プラント2は、電解プラント5のために熱併給形コンバインド発電プラント2で生成された蒸気又は熱を使用するため、管路6によって互いに連結することができる。電解プラント5及び熱併給形コンバインド発電プラント2の間の送電線7によって、直接電解プラントのための熱併給形コンバインド発電プラント2で生成された電力を使用することが可能になり、電解プラント5及び熱併給形コンバインド発電プラント2の間のガスの管路8により、熱併給形コンバインド発電プラント2のための電解の間に生成された酸素を使用することが可能になる。
【0028】
この発電システム1は、送電線15によって送電網16に連結される。管路17は発電システム1を加熱網18に連結し、管路19は発酵プラント3をガス供給部20に連結する。これにより、管路15を通じて、管路17を経て熱を放出し、発電システムから管路19を経てガスを放出することができる。
【0029】
管路21は、送電網16から電解プラント5に電力を更に供給することを可能にする。加えて、ガス精製プラント13には、熱併給形コンバインド発電プラント2から送電線22を経て電力を、及び、熱併給形コンバインド発電プラント2から管路23を経て熱を供給することができる。
【0030】
図2は、
図1に示される発電システム1へのメタンガス製造プラント24の集積を示す。ここでは全ての構成要素が、同一の参照番号を備える。メタンガス製造プラント24は、P2G(パワートゥーガス:電力からガスへ)プラントとして構成され、熱併給形コンバインド発電プラント2からの管路25によりCO
2、及び、発酵プラント3のガス精製プラント13からの管路26によりCO
2を受容する。電解プラント5から管路27によって供給される水素を用いて、メタンガス製造プラントは、管路28によってガス補給部20に供給されるメタンを生成する。管路29はメタンガス製造プラント24に熱併給形コンバインド発電プラント2から熱を提供し、管路30はメタンガス製造プラント24に電解プラント5から熱を提供する。
【0031】
メタンガス製造プラント24において生成されたガスは、管路28によって直接ガス供給部に供給されることも、あるいは、管路31によってガス精製プラント13に最初に供給されることもできる。このガス精製プラント13は、一体化されたガス処理を受けて乾燥発酵プラント12から管路32によってバイオメタンガスを受容する。
【0032】
管路33は、熱併給形コンバインド発電プラント2からメタンガス製造プラント24に電力を供給する送電線として使われる。
【0033】
熱併給形コンバインド発電プラント2、乾燥発酵プラント12及び電解プラント5の組合せにより、乾燥発酵プラント12及び電解プラント5に熱併給形コンバインド発電プラントから電力を供給するのが可能になる。電解プラント5は、結果的に熱併給形コンバインド発電プラント2及び乾燥発酵プラント12の効率を向上させ、発酵プラント3において生成されるガスの発熱量を増やす。加えて、電解は、電流シンクとして回路を送電網から分離する。
【0034】
メタンガス製造プラント24の更なる集積のために、このプラントはCO2シンクとして使用され、乾燥発酵プラント12において生成された生物起源CO2(炭素回収、負のCO2バランス)の使用を可能にする。加えて、メタンガス製造プラントは、水素シンクとして送電網からの更なる分離を可能にする。
【0035】
図3は、どのように乾燥発酵プラント12がバイオガスの貯蔵装置34に連結されているか、及び、どのようにガス精製プラント13がCO
2の貯蔵装置35及びバイオメタンガスの貯蔵装置36に連結されているかを示すものである。電解プラント5は水素の貯蔵装置37に連結され、メタンガス製造プラント24はメタンガスの貯蔵装置38に連結される。この貯蔵装置は主に、送電網16からの分離を強化することを可能にする。