(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-10
(45)【発行日】2023-01-18
(54)【発明の名称】冷却システム及び冷却方法
(51)【国際特許分類】
F25D 16/00 20060101AFI20230111BHJP
F28D 20/02 20060101ALI20230111BHJP
F25B 1/00 20060101ALI20230111BHJP
【FI】
F25D16/00
F28D20/02 D
F25B1/00 399Y
(21)【出願番号】P 2018202558
(22)【出願日】2018-10-29
【審査請求日】2021-10-21
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成27年度、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「未利用熱エネルギーの革新的活用技術研究開発」に係る委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】000005821
【氏名又は名称】パナソニックホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107641
【氏名又は名称】鎌田 耕一
(74)【代理人】
【識別番号】100163463
【氏名又は名称】西尾 光彦
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 基啓
【審査官】関口 勇
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-064616(JP,A)
【文献】特開平11-159828(JP,A)
【文献】特開2003-021365(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 16/00
F28D 20/02
F25B 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱媒体入口と、
熱媒体出口と、
蓄冷材を収容しており、前記熱媒体入口に連接している熱媒体流路を内部に有する蓄冷槽と、
冷凍サイクルの蒸発器を構成し、前記蓄冷材の凝固温度より低い温度まで前記熱媒体を冷却する冷却器と、
前記熱媒体流路と前記冷却器との間で前記熱媒体を循環させる第一熱媒体経路と、
前記熱媒体流路を通過させ、その後前記冷却器を通過させて前記熱媒体出口に前記熱媒体を導く第二熱媒体経路と、
前記熱媒体出口に前記熱媒体を導くことなく前記第一熱媒体経路を用いて前記熱媒体流路と前記冷却器との間で前記熱媒体を循環させる蓄冷モードと、前記第二熱媒体経路を用いて前記熱媒体を前記熱媒体出口に導く放冷モードとを切り替える切替機構と、
前記蓄冷モードにおける前記冷却器の出口の前記熱媒体の温度を、前記放冷モードにおける前記冷却器の出口の前記熱媒体の温度よりも高く制御する制御器と、を備えた、
冷却システム。
【請求項2】
前記切替機構は、少なくとも1つの弁を含む、請求項1に記載の冷却システム。
【請求項3】
前記蓄冷材は、0℃より高い凝固温度を有する、請求項1又は2に記載の冷却システム。
【請求項4】
前記熱媒体は、水を含む、請求項1から3のいずれか1項に記載の冷却システム。
【請求項5】
蓄冷材を収容しており、熱媒体入口に連接している熱媒体流路を内部に有する蓄冷槽を使用することと、
冷凍サイクルの蒸発器を構成しており、前記蓄冷材の凝固温度より低い温度まで前記熱媒体を冷却する冷却器を使用することと、
前記熱媒体流路と前記冷却器との間で前記熱媒体を循環させる第一熱媒体経路を使用することと、
前記熱媒体流路を通過させ、その後前記冷却器を通過させて前記熱媒体出口に前記熱媒体を導く第二熱媒体経路を使用することと、
前記熱媒体出口に前記熱媒体を導くことなく前記第一熱媒体経路を用いて前記熱媒体流路と前記冷却器との間で前記熱媒体を循環させる蓄冷モードを実行することと、
前記第二熱媒体経路を用いて前記熱媒体を前記熱媒体出口に導く放冷モードを実行することと、
前記蓄冷モードと前記放冷モードとを切り替えることと、を含み、
前記蓄冷モードにおける前記冷却器の出口の前記熱媒体の温度を、前記放冷モードにおける前記冷却器の出口の前記熱媒体の温度よりも高くする、
冷却方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、冷却システム及び冷却方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、製氷により蓄えられた冷熱を用いた冷却技術が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、製氷蓄熱を行うとともに、氷の融解熱を利用して冷水を得る冷水装置が記載されている。この冷水装置において、冷凍機から供給した冷媒を断熱材で囲まれた水槽の内部に配置された製氷蓄熱装置に循環させ、製氷蓄熱装置の周囲にて製氷蓄熱が行われる。加えて、給水口より水槽の内部に注水して氷の融解熱を利用して冷水が得られる。冷水は、冷水出口から取り出される。
【0004】
一方、特許文献2には、氷蓄熱装置が記載されている。この氷蓄熱装置は、冷凍サイクル装置と、氷蓄熱槽とを備える。冷凍サイクル装置は、圧縮機、室外熱交換器、膨張機構、及び過冷却器を備える。氷蓄熱槽は、過冷却器によって過冷却状態にされた冷却液から生成される氷及び過冷却液を蓄える。氷蓄熱槽には、スラリー状の氷が生成され蓄積される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第3498171号公報
【文献】特開平11-141928号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1及び2に記載の技術では、蓄熱のために製氷が必要であり、省エネルギーの観点から改良の余地を有する。そこで、本開示は、省エネルギーの観点から有利な冷却システム及び冷却方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、
熱媒体入口と、
熱媒体出口と、
蓄冷材を収容しており、前記熱媒体入口に連接している熱媒体流路を内部に有する蓄冷槽と、
冷凍サイクルの蒸発器を構成し、前記蓄冷材の凝固温度より低い温度まで前記熱媒体を冷却する冷却器と、
前記熱媒体流路と前記冷却器との間で前記熱媒体を循環させる第一熱媒体経路と、
前記熱媒体流路を通過させ、その後前記冷却器を通過させて前記熱媒体出口に前記熱媒体を導く第二熱媒体経路と、
前記熱媒体出口に前記熱媒体を導くことなく前記第一熱媒体経路を用いて前記熱媒体流路と前記冷却器との間で前記熱媒体を循環させる蓄冷モードと、前記第二熱媒体経路を用いて前記熱媒体を前記熱媒体出口に導く放冷モードとを切り替える切替機構と、
前記蓄冷モードにおける前記冷却器の出口の前記熱媒体の温度を、前記放冷モードにおける前記冷却器の出口の前記熱媒体の温度よりも高く制御する制御器と、を備えた、
冷却システムを提供する。
【発明の効果】
【0008】
上記の冷却システムは、省エネルギーの観点から有利である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本開示の冷却システムの一例を示す構成図である。
【
図2】
図2は、
図1に示す冷却システムの蓄冷モードにおける熱媒体の流れを示す図である。
【
図3】
図3は、
図1に示す冷却システムの放冷モードにおける熱媒体の流れを示す図である。
【
図4】
図4は、冷却システムを運転するための処理の一例を示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、比較例に係る冷却システムを示す構成図である。
【
図6】
図6は、冷凍サイクルの成績係数と冷却器における冷媒の蒸発温度との関係を示すグラフである。
【
図7】
図7は、別の比較例に係る冷却システムを示す構成図である。
【
図8】
図8は、本開示の冷却システムの別の一例を示す構成図である。
【
図9】
図9は、本開示の冷却システムのさらに別の一例を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(本開示の基礎となった知見)
近年、電力消費の少ない夜間の余剰電力を用いて製氷し、氷の潜熱を利用して冷熱エネルギーを蓄える氷蓄熱システムが使用されている。氷蓄熱システムにおける氷の解氷に伴う潜熱は、例えば、プラント又はビルディングの空調システム及び製造業等の冷却システムで昼間に要する冷熱エネルギーとして利用される。このような氷蓄熱システムは、安価な夜間電力により冷熱の生成コストを低減できるという消費者にとっての利点を有する。加えて、このような氷蓄熱システムは、夏季の冷熱生成に伴う昼間のピーク電力需要の平準化に寄与し、発電プラントの稼働を抑制できるという電力供給者にとっての利点を有する。
【0011】
氷蓄熱システムの蓄熱方式は、間接熱交換方式(スタティック方式)と、直接熱交換方式(ダイナミック方式)とに大別される。特許文献1に記載の技術はスタティック方式の氷蓄熱システムに関し、特許文献2に記載の技術はダイナミック方式の氷蓄熱システムに関する。スタティック方式の氷蓄熱システムは、簡素な構成を有し、かつ、その運転制御が容易であり、広く普及しつつある。ダイナミック方式の氷蓄熱システムとして、水又は水溶液等の冷却液を過冷却器等の熱交換器によって過冷却状態まで冷却し、氷蓄熱槽内でその過冷却状態を解除することによって氷を生成するものがある。このようなダイナミック方式の氷蓄熱システムは、比較的低コストでスラリー状の氷を生成して蓄積できるという利点を有する。
【0012】
しかし、本発明者の検討によれば、特許文献1に記載の技術では、蓄冷時に冷凍機から供給される冷媒の温度が水の凝固温度よりも低い。一方、水槽の冷水出口から取り出される冷水の温度は水の融解温度より高くなる。換言すると、蓄冷時に冷凍機から供給される冷媒の温度は、冷水の温度より低い。このため、特許文献1に記載の技術は、冷凍機の成績係数を高めにくく、省エネルギーの観点から有利とは言い難い。特許文献2に記載の技術においても、蓄冷時に冷凍サイクル装置の過冷却器における冷媒の温度は水の凝固温度より低い。
【0013】
そこで、本発明者は、冷凍サイクルの成績係数を高めるのに有利な冷却システムについて鋭意検討を重ねた。その結果、放冷時に冷凍サイクルを用いつつ、蓄冷時における冷凍サイクルの冷媒の蒸発温度と放冷時における冷凍サイクルの冷媒の蒸発温度とを所定の関係に調整することを新たに思いつき、本開示の冷却システムを案出した。
【0014】
(本開示に係る一態様の概要)
本開示の第1態様に係る冷却システムは、
熱媒体入口と、
熱媒体出口と、
蓄冷材を収容しており、前記熱媒体入口に連接している熱媒体流路を内部に有する蓄冷槽と、
冷凍サイクルの蒸発器を構成し、前記蓄冷材の凝固温度より低い温度まで前記熱媒体を冷却する冷却器と、
前記熱媒体流路と前記冷却器との間で前記熱媒体を循環させる第一熱媒体経路と、
前記熱媒体流路を通過させ、その後前記冷却器を通過させて前記熱媒体出口に前記熱媒体を導く第二熱媒体経路と、
前記熱媒体出口に前記熱媒体を導くことなく前記第一熱媒体経路を用いて前記熱媒体流路と前記冷却器との間で前記熱媒体を循環させる蓄冷モードと、前記第二熱媒体経路を用いて前記熱媒体を前記熱媒体出口に導く放冷モードとを切り替える切替機構と、
前記蓄冷モードにおける前記冷却器の出口の前記熱媒体の温度を、前記放冷モードにおける前記冷却器の出口の前記熱媒体の温度よりも高く制御する制御器と、を備える。
【0015】
第1態様によれば、蓄冷モードにおける冷却器の出口の熱媒体の温度が、放冷モードにおける冷却器の出口の熱媒体の温度よりも高くなる。これにより、蓄冷モードでの冷凍サイクルの冷媒の蒸発温度が高くなり、冷凍サイクルの成績係数が高くなりやすい。このため、第1態様に係る冷却システムは省エネルギーの観点から有利である。
【0016】
本開示の第2態様において、例えば、第1態様に係る冷却システムでは、切替機構は、少なくとも1つの弁を含んでいてもよい。第2態様によれば、少なくとも1つの弁を用いて蓄冷モードと放冷モードとを切り替えることができる。
【0017】
本開示の第3態様において、例えば、第1態様又は第2態様に係る冷却システムでは、前記蓄冷材は、0℃より高い凝固温度を有していてもよい。第3態様によれば、蓄冷モードでの冷凍サイクルの冷媒の蒸発温度が高くても、蓄冷材の潜熱を利用して冷熱を蓄えやすい。このため、冷凍サイクルの成績係数が高くなりやすいとともに、多くの冷熱を蓄冷材に蓄えやすい。
【0018】
本開示の第4態様において、例えば、第1態様から第3態様のいずれか1つに係る冷却システムでは、前記熱媒体は、水を含んでいてもよい。第4態様によれば、冷却システムによって冷却された水を含む熱媒体を、例えば貯水槽及び氷蓄熱槽に直接供給できる。これにより、冷却システムの構成が簡素になりやすい。
【0019】
本開示の第5態様に係る冷却方法は、
蓄冷材を収容しており、熱媒体入口に連接している熱媒体流路を内部に有する蓄冷槽を使用することと、
冷凍サイクルの蒸発器を構成しており、前記蓄冷材の凝固温度より低い温度まで前記熱媒体を冷却する冷却器を使用することと、
前記熱媒体流路と前記冷却器との間で前記熱媒体を循環させる第一熱媒体経路を使用することと、
前記熱媒体流路を通過させ、その後前記冷却器を通過させて前記熱媒体出口に前記熱媒体を導く第二熱媒体経路を使用することと、
前記熱媒体出口に前記熱媒体を導くことなく前記第一熱媒体経路を用いて前記熱媒体流路と前記冷却器との間で前記熱媒体を循環させる蓄冷モードを実行することと、
前記第二熱媒体経路を用いて前記熱媒体を前記熱媒体出口に導く放冷モードを実行することと、
前記蓄冷モードと前記放冷モードとを切り替えることと、を含み、
前記蓄冷モードにおける前記冷却器の出口の前記熱媒体の温度を、前記放冷モードにおける前記冷却器の出口の前記熱媒体の温度よりも高くする。
【0020】
第5態様によれば、第1態様と同様の効果を得ることができる。
【0021】
以下、本開示の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明は本開示の一例に関するものであり、本開示は以下の実施形態に限定されない。
【0022】
図1に示す通り、冷却システム100は、熱媒体入口1と、熱媒体出口2と、蓄冷槽3と、冷却器41と、第一熱媒体経路5と、第二熱媒体経路6と、切替機構7と、制御器8とを備えている。蓄冷槽3は、蓄冷材31を収容しており、その内部に熱媒体流路32を有する。熱媒体流路32は、熱媒体入口1に連接している。冷却器41は、冷凍サイクル4の蒸発器を構成している。冷却器41は、蓄冷材31の凝固温度より低い温度まで熱媒体を冷却する熱交換器である。第一熱媒体経路5は、熱媒体流路32と冷却器41との間で熱媒体を循環させるための経路である。第二熱媒体経路6は、熱媒体流路32を通過させ、その後冷却器41を通過させて熱媒体出口2に熱媒体を導くための経路である。切替機構7は、蓄冷モードと放冷モードとを切り替えるための機構である。蓄冷モードは、熱媒体出口2に熱媒体を導くことなく第一熱媒体経路5を用いて熱媒体流路32と冷却器41との間で熱媒体を循環させる冷却システム100の運転モードである。放冷モードは、第二熱媒体経路6を用いて熱媒体を熱媒体出口2に導く冷却システム100の運転モードである。制御器8は、蓄冷モードにおける冷却器41の出口の熱媒体の温度を、放冷モードにおける冷却器41の出口の熱媒体の温度よりも高く制御する。
【0023】
例えば、冷却システム100を用いて、以下の(i)~(vii)のステップを含む冷却方法を実行できる。この冷却方法において、蓄冷モードにおける冷却器41の出口の熱媒体の温度を、放冷モードにおける冷却器41の出口の熱媒体の温度よりも高くする。
(i)蓄冷槽3を使用する。
(ii)冷却器41を使用する。
(iii)第一熱媒体経路5を使用する。
(iv)第二熱媒体経路6を使用する。
(v)上記の蓄冷モードを実行する。
(vi)上記の放冷モードを実行する。
(vii)上記の蓄冷モードと、上記の放冷モードとを切り替える。
【0024】
図1に示す通り、切替機構7は、蓄冷モードと放冷モードとを切り替えることができる限り特定の機構に限定されない。切替機構7は、例えば、少なくとも1つ弁を含む。これにより、冷却システム100において、少なくとも1つの弁を用いて蓄冷モードと放冷モードとを切り替えることができる。
【0025】
蓄冷材31の凝固温度は特に限定されない。蓄冷材31は、例えば、0℃より高い凝固温度を有する。このため、蓄冷モードにおいて、第一熱媒体経路5を用いて熱媒体流路32と冷却器41との間で熱媒体を循環させる場合、熱媒体の温度が0℃より高くても、蓄冷材31が凝固して潜熱として蓄冷材31に冷熱を蓄えやすい。このため、蓄冷モードでの冷凍サイクルの冷媒の蒸発温度が高くても、蓄冷材31の潜熱を利用して冷熱を蓄えやすい。
【0026】
蓄冷材31は、典型的には、潜熱を利用して冷熱を蓄える潜熱蓄冷材である。蓄冷材31は、例えば、テトラデカン及びペンタデカン等のパラフィン系化合物であってもよく、冷却によりクラスレートハイドレートを形成する材料であってもよい。クラスレートハイドレートは、例えば、第四級アンモニウム塩又はテトラヒドロフランのクラスレートハイドレートである。第四級アンモニウム塩は、例えば、テトラn-ブチルアンモニウムブロマイド(TBAB)、テトラn-ブチルアンモニウムクロライド(TBAC)、及びテトラn-ブチルアンモニウムフルオリド(TBAF)である。
【0027】
蓄冷材31は、アルミニウム箔の両面に樹脂フィルムが積層された積層フィルムによって包まれていてもよい。
【0028】
熱媒体流路32は、典型的には、蓄冷槽3の内部において、熱媒体と蓄冷材31とが熱交換できるように形成されている。熱媒体流路32は、例えば、蓄冷槽3の内面と蓄冷材31を包む積層フィルムの外面との間の空間又は蓄冷材31を包む積層フィルムの外面同士の空間によって形成されている。
【0029】
冷却システム100における熱媒体は、特に限定されない。熱媒体は、例えば、水を含んでいる。この場合、水を含む熱媒体を、例えば貯水槽又は氷蓄熱槽に直接供給して利用できる。熱媒体は、例えば、水を主成分として含んでいる。本明細書において「主成分」とは質量基準で最も多く含まれる成分を意味する。
【0030】
図1に示す通り、例えば、第一熱媒体経路5及び第二熱媒体経路6は一部の経路を共有している。例えば、第一熱媒体経路5及び第二熱媒体経路6は、熱媒体流路32と冷却器41における熱媒体の流路とを含む共通経路55を共有している。共通経路55は、熱媒体の流れ方向において熱媒体流路32の上流に位置する一端55bと、熱媒体の流れ方向において冷却器41の下流に位置する他端55bとを有する。なお、第一熱媒体経路5及び第二熱媒体経路6は互いに独立した経路であってもよい。
【0031】
図1に示す通り、冷却システム100は、例えば、ポンプ15をさらに備えている。ポンプ15は、例えば、共通経路55に配置されている。ポンプ15の働きにより、第一熱媒体経路5又は第二熱媒体経路6を熱媒体が流れる。
【0032】
切替機構7は、例えば、第一弁71及び第二弁72を有する。第一弁71及び第二弁72のそれぞれは、例えば、三方弁である。三方弁は電動三方弁でありうる。共通経路55の一端55aは第一弁71に接続されており、共通経路55の他端55bは第二弁72に接続されている。第一熱媒体経路5は、第一弁71と第二弁72とを接続する経路57を含んでいる。熱媒体入口1から延びる経路は第一弁71に接続されており、第二熱媒体経路6は、第二弁72から熱媒体出口2まで延びる経路を含んでいる。第一弁71及び第二弁72のそれぞれを2つの開閉弁に変更してもよい。例えば、第一弁71及び第二弁72のそれぞれを1つの開閉弁と開度が調整可能な1つの流量調整弁に変更してもよい。この場合、例えば、放冷モードにおいて熱媒体出口2における熱媒体の流量を調整するために、冷却器41を通過した熱媒体の一部を、経路57を通過させて熱媒体流路32に戻すように流すことができる。
【0033】
図1に示す通り、冷凍サイクル4は、例えば、冷却器41と、圧縮機42と、凝縮器43と、膨張機構44とを備えている。圧縮機42で圧縮された冷媒は、凝縮器43において、例えば、外気等の流体と熱交換して冷却され凝縮する。その後、冷媒は、膨張機構44において減圧され、冷却器41に供給される。冷却器41において冷媒と熱媒体との熱交換により冷媒が蒸発し、冷媒はその後圧縮機42に戻される。
【0034】
制御器8は、例えば、冷凍サイクル4の圧縮機42の回転数を調整することによって、冷却器41の出口の熱媒体の温度を制御する。制御器8は、例えば、冷凍サイクル4の運転のためのプログラムが実行可能に格納されたデジタルコンピュータである。制御器8は、冷却システム100の運転のためのプログラムが実行可能に格納されたデジタルコンピュータであってもよい。
【0035】
図1に示す通り、冷却システム100は、例えば、温度センサ45をさらに備えている。温度センサ45は、冷却器41の出口の熱媒体の温度を検出する。制御器8は、温度センサ45の検出結果を示す情報を取得可能に有線又は無線によって温度センサ45に接続されている。制御器8は、例えば、温度センサ45の検出結果に基づいて、圧縮機42の回転数を調整するための制御信号を圧縮機42に向かって送る。これにより、冷却器41の出口の熱媒体の温度が所望の温度に調整される。温度センサ45は、例えば、熱電対又はサーミスターを有する接触式温度センサである。
【0036】
図2に示す通り、蓄冷モードでは、例えば、共通経路55と経路57とによって閉じた経路が形成されるように第一弁71及び第二弁72の状態が調整される。これにより、熱媒体流路32と冷却器41との間で熱媒体が循環する。
【0037】
図3に示す通り、放冷モードでは、例えば、熱媒体入口1から第一弁71まで延びる経路と共通経路55とが連通し、かつ、第二弁72から熱媒体出口2まで延びる経路と共通経路55とが連通するように第一弁71及び第二弁72の状態が調整される。これにより、蓄冷槽3及び冷却器41において冷却された熱媒体を熱媒体出口2から取り出すことができる。
【0038】
冷却システム100の運転方法の一例について説明する。
図4に示す通り、冷却システム100の運転が開始されると、ステップS100において、上記の蓄冷モードに合わせて第一弁71及び第二弁72の状態が調整される。例えば、
図2に示す通り、第一弁71及び第二弁72の状態が調整される。次に、ステップS101に進み、冷凍サイクル4の運転が開始され、かつ、ポンプ15の作動が開始される。次に、ステップS102に進み、制御器8は、温度センサ45によって検出された温度Trを示す情報を取得する。制御器8は、ステップS103において、温度Trの値に基づいて温度Trが第一目標温度T1に近づくように圧縮機42の回転数を調整する。次に、ステップS104において蓄冷が完了しているか否か判断される。例えば、冷却器41の入口における熱媒体の温度Ts及び温度TrがTs-Tr≦ΔT1の関係を満たす場合、蓄冷が完了している判断される。ΔT1は、例えば、0~1Kである。この場合、蓄冷材31の温度と熱媒体流路32を流れる熱媒体との温度の差が小さく、蓄冷が完了していると判断できるからである。ステップS104における判断結果が否定的である場合、所定時間待機してステップS102に戻る。ステップS104における判断結果が肯定的である場合、ステップS105に進み、ポンプ15及び冷凍サイクル4を停止する。
【0039】
次に、ステップS106において放冷要求があるか否か判断され、肯定的な判断がなされるまで、ステップS106における判断が繰り返される。次に、ステップS107に進み、上記の放冷モードに合わせて第一弁71及び第二弁72の状態が調整される。例えば、
図3に示す通り、第一弁71及び第二弁72の状態が調整される。次に、ステップS108に進み、冷凍サイクル4の運転が開始され、かつ、ポンプ15の作動が開始される。次に、ステップS109に進み、制御器8は、温度センサ45によって検出された温度Trを示す情報を取得する。制御器8は、ステップS110において、温度Trの値に基づいて温度Trが第二目標温度T2に近づくように圧縮機42の回転数を調整する。なお、第一目標温度T1は、第二目標温度T2より高い。T2-T1は、例えば、4K(ケルビン)である。次に、ステップS111において放冷が完了しているか否か確認される。例えば、冷却器41の入口における熱媒体の温度Ts及び蓄冷材31の融解温度TmがTs-Tm≧ΔT2の関係を満たす場合、放冷が完了している判断される。ΔT2は、例えば、1~5Kである。この場合、蓄冷槽3における蓄冷材31が完全に融解しており、潜熱として蓄熱材31に蓄えられた冷熱が放出されていると判断できる。ステップS111における判断結果が否定的である場合、所定時間待機してステップS109に戻る。ステップS111における判断結果が肯定的である場合、ステップS105に進み、ポンプ15及び冷凍サイクル4を停止し、冷却システム100の運転が終了する。
【0040】
次に、
図5に示す比較例1に係る冷却システム200及び
図7に示す比較例2に係る冷却システム300と対比しながら、冷却システム100の利点を説明する。
図5に示す通り、冷却システム200において、熱媒体入口201を通過した熱媒体は、冷却器241において使用温度まで冷却され、その後熱媒体出口202に導かれる。冷却器241は、冷凍サイクル204の蒸発器を構成している。冷凍サイクル204は、冷却器241、圧縮機242、凝縮器243、及び膨張機構244を備える。冷凍サイクル204は、特に説明する部分を除き冷凍サイクル4と同様に構成されている。冷却システム200において、冷却器241の入口における熱媒体の温度を25℃、冷却器241の出口における熱媒体の温度を2℃、外気温度を25℃と仮定する。加えて、冷却器241における冷媒の温度と熱媒体の温度との差の最小値及び凝縮器243における冷媒の温度と外気温度との差の最小値を2K(ケルビン)と仮定する。この場合、冷却器241における冷媒の蒸発温度T41及び凝縮器243における冷媒の凝縮温度T43は、表1に示す通りである。
【0041】
【0042】
上記の条件にて、冷凍サイクル204の成績係数COP
R、生成される冷熱量Q
CG、供給される冷熱量Q
CS、及び冷熱生成に要する消費電力量W
CGを試算した。冷凍サイクル204の成績係数COP
Rは、逆カルノーサイクルにおける理論成績係数として、下記に示す式[1]に基づいて算出した。その値を基準値として正規化し100と定めた。凝縮器243における冷媒の凝縮温度T43を27℃に固定したときの、冷却器241における冷媒の蒸発温度T41の変化が冷凍サイクル204の成績係数COP
Rに与える影響を
図6に示す。
図6において、T41が0℃である場合の冷凍サイクル204の成績係数COP
Rが100となるように各蒸発温度T41に対する冷凍サイクル204の成績係数COP
Rの値が正規化されている。
図6に示す通り、冷却器241における冷媒の蒸発温度T41が高くなると、冷凍サイクル204の成績係数COP
Rが向上する。
【0043】
【0044】
上記の試算において、熱損失はなく、生成される冷熱量QCGと、供給される冷熱量QCSとは等しいと仮定し、生成される冷熱量QCG及び供給される冷熱量QCSのいずれも基準値として100と正規化した。さらに、上記の試算において、冷熱生成に要する消費電力量WCGは、下記に示す式[2]に基づいて算出し、その値を基準値として、100と正規化した。
【0045】
【0046】
図7に示す通り、冷却システム300は、熱媒体入口301と、熱媒体出口302と、氷蓄熱槽320と、冷却器341とを備えている。冷却器341は、冷凍サイクル304の蒸発器を構成している。冷凍サイクル304は、冷却器341、圧縮機342、凝縮器343、及び膨張機構344を備える。冷凍サイクル304は、特に説明する部分を除き、冷凍サイクル4と同様に構成されている。冷却器341は、氷蓄熱槽320の内部に配置されている。冷却器341は、水の凝固温度より低い温度まで熱媒体を冷却できる。冷却システム300の熱媒体は水である。
【0047】
冷却システム300において、蓄冷時には、冷却器341の冷媒の蒸発温度は水の凝固点を下回り、氷蓄熱槽320において製氷が行われる。一方、放冷時には、熱媒体入口301を通過した熱媒体は、氷蓄熱槽320における氷の融解熱を利用して使用温度まで冷却され、その後熱媒体出口302に導かれる。冷却システム300において、熱媒体入口301から流入する熱媒体の温度を25℃、熱媒体出口2から流出する熱媒体の温度を2℃、外気温度を25℃、水の融解温度を0℃、水の凝固温度を-5℃(過冷却度5K)と仮定する。加えて、蓄冷時における冷却器341における冷媒の温度と熱媒体の温度との差の最小値及び凝縮器343における冷媒の温度と外気温度との差の最小値を2Kと仮定する。さらに、放冷時における氷蓄熱槽320における熱媒体の温度と水の融解温度との差の最小値を2Kと仮定する。この場合、冷却器341における冷媒の蒸発温度T41、凝縮器343における冷媒の凝縮温度T43、氷蓄熱槽320の入口における熱媒体の温度、及び氷蓄熱槽320の出口における熱媒体の温度は表2に示す通りとなる。
【0048】
【0049】
上記の条件に加えて、蓄冷時から放冷時までの間の氷蓄熱槽20における熱損失を5%と仮定し、冷凍サイクル304の成績係数COPR、生成される冷熱量QCG、供給される冷熱量QCS、及び冷熱生成に要する消費電力量WCGを試算した。蓄冷時の冷凍サイクル304の成績係数COPRは、比較例1に係る冷却システム200と同様に、上記の式[1]に基づいて算出した。また、生成される冷熱量QCG及び供給される冷熱量QCSは、蓄冷時から放冷時までの間の氷蓄熱槽320における熱損失が5%であることを考慮して、下記に示す式[3]に基づいて算出した。さらに、冷熱生成に要する消費電力量WQGは、比較例1に係る冷却シスム200と同様に、上記の式[2]に基づいて算出した。
【0050】
【0051】
上記の試算の結果、冷却システム200における各値を基準値として100と表すとき、蓄冷時の冷凍サイクル304の成績係数COPRは77.4であった。同様に、冷却システム300において生成される冷熱量QCGは105.3であった。供給される冷熱量QCSは100であった。冷熱生成に要する消費電力量WCGは136.0であった。
【0052】
次に、冷却システム100において、熱媒体入口1から流入する熱媒体温度を25℃、熱媒体出口2から流出する熱媒体温度を2℃、外気温度を25℃、蓄冷時の蓄冷材31の融解温度を12℃、凝固温度を10℃(過冷却度2K)と仮定する。蓄冷時における冷却器41における冷媒の温度と熱媒体の温度との差の最小値及び凝縮器43における冷媒の温度と外気温度との差の最小値を2Kと仮定する。また、蓄冷時における蓄冷槽3における熱媒体の温度と蓄冷材31の凝固温度との差の最小値を2Kと仮定し、放冷時における蓄冷槽3における熱媒体の温度と蓄冷材31の融解温度との差の最小値を2Kと仮定する。この場合、冷却システム100の各部における温度を表3に示す。
【0053】
【0054】
上記の条件に加えて、蓄冷時から放冷時までの間の蓄冷槽3における熱損失を5%と仮定し、冷凍サイクル4の成績係数COPR、生成される冷熱量QCG、供給される冷熱量QCS、及び冷熱生成に要する消費電力量WCGを試算した。蓄冷時及び放冷時の冷凍サイクル4の成績係数COPRは、比較例1と同様に、上記の式[1]に基づいて算出した。また、蓄冷時に生成される冷熱量QCG及び放冷時に蓄冷槽3から供給される冷熱量QCSは、蓄冷時から放冷時までの間の蓄冷槽3における熱損失が5%であることを考慮して、比較例2と同様に、式[3]に基づいて算出した。なお、放冷時に冷却器41において生成される冷熱量QCGと冷却器41から供給される冷熱量QCSとの間には、熱損失がなく、これらが等しいと仮定した。さらに、冷熱生成に要する消費電力量WCGは、式[2]に基づいて求めた、蓄冷時における消費電力量と放冷時における消費電力量とを合算して算出した。
【0055】
上記の試算の結果、冷却システム200における各値を基準値として100と表すとき、蓄冷時の冷凍サイクル4の成績係数COPRは119.1であり、放冷時の冷凍サイクル4の成績係数COPRは100.0であった。同様に、冷却システム100において生成される冷熱量QCGは102.5であった。冷却システム100によって供給される冷熱量QCSは100であった。冷熱生成に要する消費電力量WCGは94.4であった。冷却システム100、冷却システム200、及び冷却システム300に関する試算結果を表4に示す。
【0056】
【0057】
冷却システム100において、熱媒体入口1と熱媒体出口2との間における熱媒体の経路での熱媒体の冷却に要する全冷熱のうち、蓄冷槽3の出口までの熱媒体の冷却に要する冷熱を蓄冷熱と表す。蓄冷熱は、冷却システム200に比べて、冷却器における冷媒の蒸発温度が高い条件で冷凍サイクルを運転することにより生成できる。これにより、冷却システム200に比べて、冷凍サイクルの運転温度が高くなり、蓄冷熱を生成するときの冷凍サイクルの成績係数COPRが高くなる。冷却システム200の冷凍サイクル204の成績係数COPRを100と表すとき、冷却システム100の蓄冷時における冷凍サイクル4のCOPRは、119.1であり、冷却システム200と比べて約19%向上する。このため、冷却システム100における消費エネルギーが小さい。比較例1に係る冷却システム200の冷熱生成に要する消費電力量WCGを100と表すとき、冷却システム100の冷熱生成に要する消費電力量WCGは、94.4であり、冷却システム200に比べて約6%低減される。
【0058】
加えて、上記の蓄冷熱は、冷却システム300に比べて、冷却器における冷媒の蒸発温度が高い条件で冷凍サイクルを運転することにより生成できる。これにより、冷却システム300に比べて、冷凍サイクルの運転温度が高くなり、蓄冷熱を生成するときの冷凍サイクルの成績係数COPRが高くなる。冷却システム300の冷凍サイクル304の成績係数COPRが77.4であるのに対し、冷却システム100の蓄冷時における冷凍サイクル4のCOPRは、119.1であり、冷却システム300と比べて約54%向上する。加えて、冷却システム100の放冷時における冷凍サイクル4のCOPRは、100.0となり、冷却システム300と比べて約29%向上する。冷却システム300の冷熱生成に要する消費電力量WCGは136.0であるのに対し、冷却システム100の冷熱生成に要する消費電力量WCGは、94.4であり、冷却システム300に比べて約31%低減される。
【0059】
冷却システム100は、様々な観点から変更可能である。例えば、
図8に示す冷却システム101又は
図9に示す冷却システム102のように変更されてもよい。冷却システム101及び冷却システム102は、特に説明する部分を除き、冷却システム100と同様に構成されている。冷却システム100の構成要素と同一又は対応する冷却システム101及び冷却システム102の構成要素には同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。冷却システム100に関する説明は、技術的に矛盾しない限り、冷却システム101及び冷却システム102にも当てはまる。
【0060】
図8に示す通り、冷却システム101は、貯水槽10を備えている。熱媒体出口2は、貯水槽10に接続されている。冷却システム101における熱媒体は水である。放冷モードにおいて熱媒体出口2を通過した熱媒体である冷水は貯水槽10に貯められ、需要に応じて貯水槽10から冷水が供給される。このように、冷却システム101の熱媒体が水であることにより、貯水槽10に熱媒体を直接供給できる。その結果、熱媒体の経路を水経路と別に設ける必要がなく、冷却システム101の構成が簡素になる。
【0061】
図8に示す通り、例えば、貯水槽10の内部には、冷凍サイクル9の蒸発器を構成する冷却器91が配置されている。冷凍サイクル9は、例えば、冷却器91、圧縮機92、凝縮器93、及び膨張機構94を備えている。圧縮機92で圧縮された冷媒は、凝縮器93において、例えば、外気等の流体と熱交換して冷却され凝縮する。その後、冷媒は、膨張機構94において減圧され、冷却器91に供給される。冷却器91において冷媒と熱媒体との熱交換により冷媒が蒸発し、冷媒はその後圧縮機92に戻される。冷凍サイクル9は、例えば、貯水槽10に貯められた冷水の温度を所望の温度範囲に保つために運転される。
【0062】
図9に示す通り、冷却システム102は、氷蓄熱槽20を備えている。熱媒体出口2は、氷蓄熱槽20に接続されている。冷却システム102における熱媒体は水である。放冷モードにおいて熱媒体出口2を通過した熱媒体である冷水は氷蓄熱槽20に貯められ、需要に応じて氷蓄熱槽20から冷水が供給される。このように、冷却システム102の熱媒体が水であることにより、氷蓄熱槽20に熱媒体を直接供給できる。例えば、氷蓄熱槽20に注水して氷の融解熱を利用して冷水を得るスタティック式の氷蓄熱システムを構成する場合、熱媒体の経路を水経路と別に設ける必要がなく、冷却システム102の構成が簡素になる。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本開示の冷却システムにおいて、冷熱生成時の冷凍サイクルの成績係数が高く、消費エネルギーが小さい。このため、本開示の冷却システムは、プラント及びビル等の施設の空調システム並びに製造業等の産業における冷却システムに適用できる。
【符号の説明】
【0064】
1 熱媒体入口
2 熱媒体出口
3 蓄冷槽
4 冷凍サイクル
5 第一熱媒体経路
6 第二熱媒体経路
7 切替機構
8 制御器
31 蓄冷材
32 熱媒体流路
41 冷却器
100、101、102 冷却システム