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特許7208007高周波プロセス感知、制御、及び診断ネットワーク及びシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-10
(45)【発行日】2023-01-18
(54)【発明の名称】高周波プロセス感知、制御、及び診断ネットワーク及びシステム
(51)【国際特許分類】
   F01N 3/18 20060101AFI20230111BHJP
   F01N 3/021 20060101ALI20230111BHJP
   F01N 11/00 20060101ALI20230111BHJP
【FI】
F01N3/18 C
F01N3/021
F01N11/00
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2018549189
(86)(22)【出願日】2017-03-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-04-04
(86)【国際出願番号】 US2017022955
(87)【国際公開番号】W WO2017165220
(87)【国際公開日】2017-09-28
【審査請求日】2020-02-12
(31)【優先権主張番号】62/311,020
(32)【優先日】2016-03-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】15/461,128
(32)【優先日】2017-03-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】516220468
【氏名又は名称】シーティーエス・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】CTS CORPORATION
【住所又は居所原語表記】4925 Indiana Ave. Lisle, Illinois 60532 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100105131
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 満
(72)【発明者】
【氏名】サポック,アレクサンダー ジー
(72)【発明者】
【氏名】ラガラー,ポール エー
(72)【発明者】
【氏名】ブロムバーグ,レスリー
(72)【発明者】
【氏名】ハーマン,アンドリュー デー
【審査官】前田 浩
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/188188(WO,A1)
【文献】国際公開第2013/175572(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01N 3/00
F01N 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高周波感知、制御、及び粒子状物質診断システムであって、
粒子状物質源に接合される吸気口を含むハウジング、
前記粒子状物質をろ過するように適合された前記ハウジング内の粒子フィルタ、
前記システムに前記粒子フィルタが完全に存在しないことを検出するように適合された高周波センサであって、前記システムに前記粒子フィルタがないことは、前記粒子フィルタが前記システム内に存在する場合の高周波信号の強度、周波数、または位相の特定された、または定義された範囲外の、前記高周波信号の強度、周波数、または位相における変化を感知することにより検出され、前記特定された、または定義された範囲は、現在の、及び/または既存の動作状態の評価、及び/または前記システム内に前記粒子フィルタが存在するときの所期の応答ベースラインの格納された、または蓄積された計算の評価により定義され、前記高周波センサは前記粒子フィルタ用の前記ハウジングと接触し、高周波信号を受信するように適合された少なくとも1つの高周波プローブを含む高周波センサ、ならびに
前記高周波プローブと通信する高周波制御ユニット、
を備える、前記システム。
【請求項2】
前記高周波センサは、前記高周波センサの応答の時間変化率を監視し、閾値より上の、または下の前記粒子フィルタ内の粒子状物質の蓄積率を検出するように適合される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記粒子状物質の発生源は、エンジンであり、前記粒子状物質蓄積は、スート又はアッシュである、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記高周波センサは、前記高周波信号の強度、周波数または位相における時間変化率を監視する、請求項2に記載のシステム。
【請求項5】
前記高周波センサは、閾値の率を下回る粒子状物質の蓄積率を、所定の期間にわたり前記粒子フィルタ内に蓄積される前記粒子状物質の率と正常なフィルタ動作中の粒子状物質の既知の蓄積率との比較を介して検出するように適合される、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記高周波センサは、前記システムの温度応答の変化を監視するように適合される、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記粒子状物質源は、エンジンであり、前記高周波センサは、エンジン停止イベントを監視するように適合され、前記高周波制御ユニットは、選択された、測定されたまたは導出されたパラメータに基づき前記システムの前記温度応答の変化の履歴記録を格納し、前記測定された、または導出されたパラメータは、前記エンジン停止時における計算された粒子状物質充填、前記エンジン停止時における排気温度、前記エンジンの冷却中の周期的な、または連続的な高周波測定値、システムが閾値温度に到達する時間、及びエンジン停止後の、温度の意図されない上昇の検出を含む、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記高周波センサは、外部刺激への前記システムの応答を監視するように適合される、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記外部刺激は、粒子状物質排出の、瞬時の制御された増加または減少である、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記高周波センサは、前記外部刺激に応答した所期の粒子状物質の識別特性における変化を監視するように適合され、前記所期の粒子状物質の識別特性は、既存の高周波センサ測定データから導出される、請求項8に記載のシステム。
【請求項11】
前記高周波センサは、選択されたシステム入力への前記システムの応答を、伝達関数を介して前記入力及び出力高周波信号を関連付けるために、感知するように適合される、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記粒子状物質源は、エンジンであり、前記粒子状物質は、スートであり、前記高周波センサは、前記粒子フィルタ内に前記蓄積したスートを酸化させるための粒子フィルタ再生イベントを監視するように適合される、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記高周波センサは、1つ以上の共振モードを利用して、異常な動作の空間位置を決定する、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
前記制御ユニットは前記高周波感知について好ましい状態を決定するように構成され、高周波感知を行うための前記好ましい状態は、無視できるスート酸化を有する条件であると決定される、請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
前記制御ユニットは前記高周波感知について好ましい状態を決定するように構成され、高周波測定を行うための前記好ましい状態は、侵襲的試験である、請求項1に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本特許出願は、2015年6月8日に出願された米国特許出願第14/733,525号、及び2015年6月8日に出願された米国特許出願第14/733,486号の出願日の優先権及び利益を主張し、これらの一部継続であり、これらの開示及び内容は、参照により、それらの全体が本明細書に明示的に援用される。
【0002】
また、本特許出願は、2016年3月21日に出願された、米国仮特許出願第62/311,020号の出願日の優先権及び利益を主張し、この開示及び内容は、参照により、その全体が本明細書に明示的に援用される。
【0003】
政府出資
本発明は、アメリカ国立科学財団により授与された賞、第IIP1330313号の下に政府支援によって行われた。政府は、本発明に一定の権利を有する。
【0004】
発明の分野
本発明は、一般に高周波プロセス感知、制御及び診断ネットワーク及びシステム及び方法に関し、さらに具体的には、高周波粒子フィルタ診断ネットワーク及びシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0005】
本発明は、高周波プロセス感知、制御、及び診断ネットワーク及びシステムを対象とし、さらに具体的は、2015年12月10日に公開された、米国特許出願公開第US2015/0358091A1号、及び第US2015/0355110A1号に開示されるタイプの、高周波粒子フィルタ診断ネットワーク及びシステムを対象とし、これらの開示及び内容は、本明細書に完全に記載されるかのように参照により、それらの全体が本明細書に援用され、これは、異常なフィルタまたはシステム動作の状態を感知し、制御し、診断するように適合されている。
【0006】
背景として、粒子フィルタの故障は、ほとんどの場合、粒子フィルタの上流側の他のエンジンまたは車両構成要素の不具合または故障により引き起こされる。そのような上流側の不具合及び故障の例は、限定されないが、インジェクタの故障、ターボチャージャの故障、クーラント漏れ、オイル漏れ、不適切な燃料または潤滑油の使用、エンジンのメンテナンス不良、エアフィルタの欠落または汚れ、吸入空気流量の制限などを含む。
【0007】
前述の上流側の不具合は、1つの例において、粒子フィルタの過剰なスートもしくは粒子状物質(PM)の充填、または水、燃料、オイル、もしくはクーラントがフィルタ上にたまる結果となる可能性がある。多くの場合、排気粒子フィルタ自体も故障する、またはその性能が著しく低下する程度まで問題が悪化するまで、これらの上流側故障モードの早期警告兆候は、検出されない場合がある。したがって、粒子フィルタが不可逆的な影響を受ける前に、潜在的な上流側システムの不具合または故障の兆候を検出する必要がある。
【0008】
粒子フィルタの損傷は、粒子状物質がこのフィルタから漏れる、またはこれを通過する結果となり得、チャンネル壁部の割れ、1つ以上のチャンネルエンドプラグの損失、またはフィルタ材料の融解を含む。ストレートパイプ、またはバイパスシステムを含むような、排気系からの粒子フィルタのすべての、または部分の除去は、過剰なPM排出量ももたらす可能性がある。したがって、粒子フィルタを通過する過剰なPMレベルをもたらす可能性がある状態を検出する必要がある。
【0009】
異常なフィルタまたはシステム動作の状態を検出するための圧力センサ及びモデルベースの手法は、以下の欠点、すなわち義務付けられたオンボード診断(OBD)の制限においてフィルタから漏れるPMをもたらす故障状態を検出するための分解能を圧力測定が欠く欠点を抱える。この欠点は、技術文献内に十分文書化されており、システムがOBDのために現在使用されていない理由である。この手法はフィルタ上のPM充填レベルを推定する間接的な方法のみを提供し、差圧センサは、フィルタにわたる圧力降下(PM充填レベルではない)を直接測定し、排気流量、温度、アッシュ充填レベル、スート分布、フィルタ設計などのような、多数のパラメータにより混乱する。このシステムは制限された動作状態の範囲のみにわたり機能し、連続的なモニタとして機能しない。圧力降下測定は、アッシュがフィルタ内に蓄積すると、再生中に、頻繁な過渡動作中に、及びフィルタの経年劣化後に、低い排気流量状態(アイドル、またはエンジンオフ)において信頼できず、モデル(仮想センサ)はフィルタ充填レベルを正確に推定するために既知の一組の動作状態に依存し、定義上システムはフィルタの不具合または故障などの、エラー状態または異常な動作中にうまく機能しない。それは、これらの状態がこれらのモデルの能力外であるからである。
【0010】
スートセンサは、以下の欠点を抱える。スートセンサはフィルタの下流側の排気ガスの一部内のスート濃度を監視し、結果として、これらのセンサはフィルタの上流側のいかなるエンジンまたはシステムの不具合をも監視することが不可能であるので、潜在的な故障状態の事前の警告を提供することが不可能である。スートセンサはフィルタの状態を直接監視せず、より具体的には、フィルタの下流側の排気内のスートのみを監視する、すなわち、センサはフィルタがすでに故障し、スート排出量が閾値限界を超えた後に、フィルタ故障の表示を提供することのみが可能である。スートセンサ精度は、排気流速、排気パイプ内の感知素子の位置(全体の流れを代表しない可能性がある流れの小さな体積のみをサンプリングするので)、温度、粒子形態及び組成、ならびにセンサの経年劣化に伴う堆積物(アッシュ、触媒/ウォッシュコート粒子)の蓄積にも影響を受ける。蓄積型スートセンサは連続モニタを提供せず、むしろ測定状態から再生状態へのサイクルを経、再生状態は通常、感知素子上のいかなる蓄積されたスートをも燃焼させるために追加のエネルギー投入を必要とする。蓄積型スートセンサはスート粒子数または粒子質量を排気流内で直接監視せず、むしろスートが感知素子上に蓄積するのに十分な時間を直接監視することにより、排気内のスートレベルの間接的な表示のみを提供する。スートセンサは、低い耐久性、汚染物質(アッシュなどの)の蓄積、及び熱衝撃(排気内の水)抱え、これはセンサ寿命、ならびにセンサの耐用年数にわたるセンサ精度を制限する。また測定精度をさらに改善するために、スートセンサを利用する多くのOBD手法は下流側のスートセンサ測定との比較のためにエンジンから排出されるスートレベルを推定する予測モデルを常に必要とする。
【0011】
本発明の感知、制御、及び診断のRFセンサネットワーク及びシステム及び方法は、粒子フィルタの制御及び動作を改善すること、ならびにOBDアプリケーション用のフィルタの状態を診断すること、及びエンジンシステムの不具合を検出することの二重機能及び利点を有利に提供する。
【0012】
さらにより具体的には、本発明の感知、制御、及び診断のRFセンサネットワーク及びシステム及び方法は、上で考察されたような現在の手法及び方法の問題及び欠点を解決して、克服し、少なくとも以下の利点を提供する。現在用いられている間接的な手法と異なり、本発明のRFセンサは粒子フィルタ充填状態の直接的な測定を提供する。RF感知は、粒子フィルタが不可逆的な損傷を受ける前に、上流側のエンジンまたはシステムの故障または不具合の兆候の早期検出を可能にする。RF感知を使用して、粒子フィルタから漏れる、または逃れるスートを監視することが可能である。RF感知はフィルタ全体をサンプリングするため、フィルタを通過する全排気量をサンプリングする。RF感知はエンジンオフ状態を含めた粒子フィルタの全体的な動作状態を連続して監視することが可能である。RF感知素子である導電性ロッドアンテナは蓄積型スートセンサと異なり、能動的なクリーニングまたは再生を必要としない受動素子である。RF感知素子は、スートセンサと比較して、感知素子がファウリング、水または凝縮曝露、温度効果などに起因した同一の故障モードの対象とならないので、向上した耐久性を提供する。またRF感知手法は、圧力センサまたはスートセンサと異なり、排気流速に全く影響されない。
【発明の概要】
【0013】
本発明は、粒子状物質源に接合される吸気口を含むハウジング、粒子状物質をろ過するために適合されるハウジング内の粒子フィルタ、異常な粒子フィルタまたはシステム動作の状態を検出するように適合され、粒子フィルタ用のハウジングと接触して高周波信号を受信するように適合される少なくとも1つの高周波プローブを含む高周波センサ、及び高周波プローブと通信する高周波制御ユニットを備える、高周波感知、制御、及び粒子状物質診断システムを対象とする。
【0014】
1つの実施形態において、高周波センサは、高周波センサの応答の時間変化率を監視し、閾値より上の、または下の粒子フィルタ内の粒子状物質の蓄積比率を検出するように適合される。
【0015】
1つの実施形態において、粒子状物質源は、エンジンであり、粒子状物質の蓄積物は、スート、アッシュ、水、クーラント、オイル、または燃料である。
【0016】
1つの実施形態において、高周波センサは、高周波信号の強度、周波数または位相における時間変化率を監視する。
【0017】
1つの実施形態において、高周波センサは、粒子フィルタ、またはこのフィルタの一部がないことを検出する。
【0018】
1つの実施形態において、ハウジング内に粒子フィルタ、またはその一部がないことは、粒子フィルタがこのシステム内に存在しながら、高周波信号の強度、周波数、または位相の閾値範囲外に高周波信号の強度、周波数、または位相における変化を感知することにより検出される。
【0019】
1つの実施形態において、高周波センサは、所定の期間にわたり粒子フィルタ内に蓄積する粒子状物質の率の、正常なフィルタ動作中の粒子状物質の既知の蓄積率との比較を介して閾値の率より下の粒子状物質の蓄積率を検出するように適合される。
【0020】
1つの実施形態において、高周波センサは、このシステムの温度応答における変化を監視するように適合される。
【0021】
1つの実施形態において、粒子状物質源は、エンジンであり、高周波センサは、エンジン停止イベントを監視するように適合され、高周波制御ユニットは、選択された、測定された、または導出されたパラメータに基づきシステムの温度応答における変化の履歴記録を格納し、測定された、または導出されたパラメータは、エンジン停止時に計算された粒子状物質の充填量、エンジン停止時の排気温度、エンジンの冷却中の周期的な、または連続的な高周波測定値、システムが閾値温度に到達する時間、及びエンジン停止後の温度の意図されない上昇の検出を含む。
【0022】
1つの実施形態において、高周波センサは、外部刺激へのシステム応答を監視するように適合される。
【0023】
1つの実施形態において、外部刺激は、粒子状物質の排出量における瞬時に、制御された増加または減少である。
【0024】
1つの実施形態において、高周波センサは、外部刺激に応答した所期の粒子状物質の識別特性における変化を監視するように適合され、所期の粒子状物質の識別特性は、既存の高周波センサ測定データから導出される。
【0025】
1つの実施形態において、高周波センサは、選択されたシステム入力へのシステムの応答を、伝達関数を介して当該入力及び出力高周波信号を関連付けるために感知するように適合される。
【0026】
1つの実施形態において、粒子状物質源は、エンジンであり、粒子状物質は、スートであり、高周波センサは、粒子フィルタ内に蓄積されたスートを酸化させる粒子フィルタ再生イベントを監視するように適合される。
【0027】
本発明は、汚染物質源に接合される吸気口を含むキャビティであって、キャビティ内の内部素子が汚染物質を捕獲する、または格納するように構成される、キャビティと、高周波測定を行い、キャビティの状態を監視するように適合され、キャビティと接触してキャビティ、内部素子、または汚染物質源の異常な動作の状態を検出するように適合される少なくとも1つの高周波プローブを含む高周波センサと、高周波測定についての好ましい状態を決定するように構成される制御ユニットとを備える、高周波診断システムをも対象とする。
【0028】
1つの実施形態において、高周波センサは、1つ以上の共振モードを利用して、異常な動作の空間位置を決定する。
【0029】
1つの実施形態において、高周波測定を行うための好ましい条件は、無視できるスート酸化がある条件であると決定される。
【0030】
1つの実施形態において、高周波測定を行うための好ましい条件は、侵襲的試験である。
【0031】
本発明の他の利点及び特長は、以下の本発明の好ましい実施形態についての発明を実施するための形態、添付の図面、及び添付の特許請求の範囲から容易に明らかになるであろう。
【0032】
本発明のこれらの、及び他の特長は、以下の添付の図面の説明により最も良く理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】本発明に従い、高周波ネットワーク及びシステムにより監視され、制御される、たとえば、車両エンジン及び排気系などの、プラントまたはプロセスシステムの概略図である。
図2】本発明に従う高周波ネットワーク及びシステムにより、実際のRFセンサ応答、及び(b)RF応答の変化率の両方についてシステムをプローブにより探索するために、正常な駆動サイクル動作対侵襲的試験(刺激)についての所期の応答対実際の応答の比較を描写するグラフである。
図3】本発明に従う高周波ネットワーク及びシステムにより、実際のRFセンサ応答、及び(b)RF応答の変化率の両方についてシステムをプローブにより探索するために、正常な駆動サイクル動作対侵襲的試験(刺激)についての所期の応答対実際の応答の比較を描写するグラフである。
図4】シーケンスがいずれかの順序で実行されることができ、検証ステップが1回または数回実行されることができるアクションを開始する前に、異常なフィルタ状態を判定し、不具合状態の検出を妥当性確認するために本発明のネットワークまたはシステムに従うプロセスフロー図または方法である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明は、高周波プロセス感知、制御、及び診断ネットワーク及びシステムを対象とし、より具体的に、2015年12月10日に公開された、米国特許出願公開第US2015/0358091A1号及び第US2015/0355110A1号に開示される種類の高周波粒子フィルタシステムを対象とし、それらの本開示及び内容は、本明細書に全文記載されるかのように全体が参照により本明細書に援用され、それは、さらに詳細に以下に記述されるように、異常なフィルタまたはシステム動作の状態を検出し、感知し、制御し、診断するように適合されている。
【0035】
具体的に、及び2015年12月10日に公開された、米国特許出願公開第US2015/0358091A1号、及び第US2015/0355110A1号に開示されるように、このシステムは、共振キャビティまたは導波管を形成する導電性筐体内に収容される粒子フィルタと、フィルタハウジングと電気的に接触しているように構成される1つ以上のアンテナまたは高周波送信もしくは受信プローブもしくはセンサと、フィルタハウジング内に流れを向けるように構成され、粒子状物質または汚染物質のエンジンまたは源に接合される少なくとも1つの吸気口と、から構成されることができる。
【0036】
図1は、高周波システムにより監視されるエンジン及び排気系などのプラントを描写する。このプラントは、化学プラント、食品加工プラント、発電所、製油所、蒸留所、またはいずれかのタイプのプラントもしくはプロセスなどの、いずれかのタイプのプラントであることができる。プラントまたは反応器は、流通式反応器であることができる、またはそれは、回分反応器であることが可能である。
【0037】
図1に示される実施例において、車両エンジン、または別の実施例において、プラントなどの、機械102は、さまざまな構成要素及びセンサに接続される、コンジットまたは吸気口106などの、排気口接合部を含む。機械102は、コンジット106を介して指向される、汚染もしくは粒子状材料もしくは物質などの放出ストリーム、または任意の他のストリームを生成する。示される実施形態において、コンジット106は、示される実施形態において、共振キャビティを含み、別の実施形態において、導波管を含むことができる、第1及び第2モジュール108及び110に接合される。
【0038】
示される実施形態において、モジュール108は、入ってくる汚染もしくは粒子状材料もしくは物質を捕獲する、もしくは貯蔵するように構成されるガソリンもしくはディーゼル粒子フィルタもしくは内部素子用のハウジングまたはキャビティなどの、粒子フィルタハウジングまたはキャビティである。モジュール108は、三元触媒(TWC)、酸化触媒(OC)、選択触媒還元触媒(SCR)、リーンNOxトラップ(LNT)、または任意の他のタイプの触媒であることができる、触媒素子112、及び粒子フィルタなどのフィルタ素子114を含む。
【0039】
示される実施形態において、モジュール110は、SCR、LNT、TWC、アンモニア貯蔵、炭化水素トラップ、または任意の他のタイプの触媒などの、触媒の内部素子116を含む、触媒ハウジングまたはキャビティである。別の実施形態において、モジュール108及び110は、省略されることができ、別の実施形態において、2つより多いモジュールが存在することができる。各モジュールは、一実施例において、触媒、フィルタもしくは膜などの1つ以上の内部素子を含む、または別の実施例において、内部素子を含まないことができる。
【0040】
またコンジット106は、フィルタ、触媒、ミキサー、ディフューザ、または他の素子などの1つ以上の内部素子118も含む。たとえば、ロッドアンテナ、ループアンテナ、導波管、誘電体共振器、または任意の他の適切なRF信号送信及び受信プローブを含む、高周波(RF)プローブ120、122、124、及び126は、キャビティ108及び110の状態を監視するように、ならびにさらに詳細に以下に記述されるような、キャビティ108及び110、内部キャビティ素子、または汚染物質源の異常な動作または故障を検出するように適合され、コンジット106沿いの、またはモジュール108及び110上の、もしくはこれらの内の、さまざまな位置に配置され、取り付けられる。
【0041】
たとえば吸気ダクト、燃料ライン、オイルライン、クーラントラインを含む追加のコンジット138が、機械102に接続される。コンジット138は、吸気口ストリームをプラントまたは機械102へ供給する。コンジット138は、エアフィルタハウジング、オイルフィルタハウジング、燃料フィルタハウジング、ラジエータ、EGRクーラー、燃料タンク、オイルタンク、尿素タンク、または任意の他のタイプのモジュール、キャビティ、もしくは導波管などの、1つ以上のモジュール136を含む。示される実施形態において、高周波プローブ128または130は、コンジット138及びモジュール136内に配置され、取り付けられる。
【0042】
示される実施形態において、高周波プローブ132は、エンジンシリンダ134内に取り付けられる。追加のプローブを、描写されないが、機械102の他の構成要素内に取り付けることもできる。高周波プローブまたはセンサ120、122、124、126、128、130及び132は、高周波測定を行うための好ましい条件を決定するように構成される制御ユニット104に接続される。単一の、または複数の制御ユニット104を使用して、すべての高周波プローブを監視し、制御することができる。
【0043】
示されないが、温度センサ、圧力センサ、ガス組成センサ(NOx、PM、酸素、アンモニア)、または任意の他のタイプのセンサなどの追加のセンサを使用して、制御ユニット104に、または制御ユニット104と通信することができる別の制御ユニット(示されない)に接続されることができることが理解される。
【0044】
制御ユニット104は、機械102に接続され、エンジン制御ユニットまたはプロセス制御ユニット(示されない)などの、別の制御ユニットに接続されることができる。制御ユニット104は、処理ユニット、及び接続されたセンサもしくは機械を制御するために必要な命令、アルゴリズム、データ、ルックアップテーブル、及び任意の他の情報を含むコンピュータ可読記憶媒体140を備える。制御ユニット104は、イーサネット(登録商標)、USB、アナログ、CAN、シリアル、もしくはいくつかの他のタイプの接続などの通信接続、または電源接続であることができる、接続142を備える。接続142は、プラント制御ユニットに、車両内のエンジン制御ユニット(ECU)に、またはユニットの、及び潜在的な問題の、状態のオペレータへの信号に、接続されることができる。
【0045】
また制御ユニット104は、発振器またはシンセサイザなどの、高周波信号を伝送するために使用されるハードウェアもしくは電子機器、及びダイオードもしくは電力検出器などの高周波信号を検出するための検出器、または任意の他のタイプの検出器を含む。制御ユニット104は、高周波信号を制御し、変調し、伝送し、監視するための、ミキサー、スプリッタ、方向性結合器、スイッチ、増幅器、及び他の構成要素をさらに備えることができる。
【0046】
制御ユニット104は、いずれかの高周波プローブ120、122、124、126、128、130または132を介して高周波信号を送信し、受信するように構成される。各プローブは、送信、反射、及び送信または反射を有する、マルチポートネットワークにおいてのような、高周波信号を送信する、受信する、または送受信するように独立して制御することができる。たとえば、プローブ122は、1つ以上のプローブ126、124、122または120により検出されることができる、高周波信号を送信することができる。別の実施例において、プローブ126は、プローブ126のみにより、またはプローブ124のみにより、受信されることができる高周波信号を送信することができる。任意の数のプローブを使用することができ、一つのプローブは、別のプローブと通信してもよいし、しなくてもよい。
【0047】
高周波信号は、1つ以上の共振モードを確立するような周波数範囲に及ぶことができる、または共振モードを含まない周波数範囲に及ぶことができる、または単一の周波数であることができる。さまざまなモジュール108、110、136、及びコンジット106もしくは138、または機械構成要素134は、マイクロ波共振キャビティもしくは導波管として機能することができる、または監視されるデバイスの制限された領域をサンプリングするために使用されることが可能である共振器(誘電体共振器など)を含むことができる。高周波信号は、極大値若しくは極小値若しくは絶対最大値若しくは絶対最小値、周波数シフト、位相シフト、平均値、品質係数、合計、面積、ピーク幅、若しくは他のパラメータを含む、共振曲線、絶対振幅、相対振幅(すなわち、プローブにより送信される電力に対して正規化される)、位相、共振周波数シフト、周波数シフト、またはいくつかのそれらの微分を有し、システムの状態に相関され、システムの充填状態における変化を監視するために使用することができる。
【0048】
キャビティまたは導波管内の誘電特性における変化を使用して、以下のパラメータのうちの1つ以上を監視する、または検出することができる:物質量と、物質タイプと、物質の空間分布、物質の物理的または化学的特性と、温度、圧力、湿度、または他の関連因子などの環境条件と、シリンダ内のピストンの位置、クランク角度、直線もしくは回転位置、または燃料タンク、オイルサンプ、尿素タンク、もしくは任意の他のタンクかリザーバかパイプかホースなどの、タンク、リザーバ、もしくはコンジット内の液体の容積位置を含む位置またはレベルと、キャビティまたは導波管完全性と、プロセスパラメータの変化率と、キャビティまたは導波管内の物質の健全性または状態。
【0049】
制御ユニット104は、高周波プローブのうちの1つ以上から信号を送受信し、さまざまなシステム構成要素及び機能の状態を監視する。示される実施形態において、機械102は、内燃機関などのエンジンであり、モジュール136は、エアフィルタ、オイルフィルタ、燃料フィルタ、ラジエータ、及びEGRクーラー、インタークーラー、タンクもしくはリザーバ、または同様のデバイスであり、プローブ128は、フィルタの充填状態もしくは素子内の物質の堆積か蓄積などのデバイスの状態を、または燃料、オイル、クーラント、空気、尿素、EGRガス、もしくは他の物質の量、品質もしくは組成物などのモジュール136内の物質の量、品質もしくは組成物を監視するために使用される。1つの実施例において、プローブ128は、水、硫黄レベル、酸化状態、スート蓄積、塩基価における変化、またはモジュール136内の物質の、もしくはモジュール136を通過する物質の、いくつかの他の特性を検出するために使用することができる。
【0050】
別の実施例において、プローブ132は、1つ以上のエンジンシリンダ内に取り付けられ、シリンダ内のピストンの位置、燃焼プロセスの品質、燃焼プロセスにより生成される排出物、燃料噴射量、または温度もしくは圧力などの任意の他のパラメータを測定するために使用することができる。プローブ132は、他の実施例において、他の位置に取り付けられ、直線もしくは回転アクチュエータなどの他のタイプのアクチュエータ内の位置、または燃料タンクもしくは尿素タンクもしくはオイルかクーラントタンクのための液体タンクなどの、タンク及びリザーバ内の空隙容積を監視することができる。
【0051】
さらに別の実施例において、プローブ126または124を使用して、モジュール108内の誘電特性における変化を監視することができる。1つの実施形態において、モジュール108は、粒子フィルタ114及び触媒素子112を含む、粒子フィルタハウジングである。モジュール108は、フィルタもしくは触媒のみを、または複数のフィルタ及び触媒などの複数の素子を含むことができる。触媒素子112または粒子フィルタ114などのモジュール108内のこれらの素子は、充填状態と、経時劣化と、硫黄、アッシュまたはスート蓄積もしくは分布によるような毒作用と、触媒素子112またはフィルタ素子114またはモジュール108の健全性または完全性と、などのフィルタまたは触媒の状態を決定するために、プローブ126または124を使用して監視することができる。またフィルタ素子114は、触媒コーティングを含んでもよいし、含まなくてもよい。
【0052】
加えて、モジュール108、触媒素子112またはフィルタ素子114の状態の時間分解測定を、プローブ126または124を使用してモジュールからの物質の流入速度または流出速度を決定するために使用することができる。1つの実施例において、モジュール108は、粒子フィルタハウジングであることができ、フィルタ114上に蓄積されたスート量は、位相、振幅、周波数もしくはいくつかの微分パラメータ、またはそれらの組み合わせによるような、プローブ126または124を使用して高周波測定により決定することができる。この実施例で、高周波信号は、1つの実施形態において、毎秒1サンプルより速い速度でサンプリングされることができるが、より速く、またはより遅くてもよい。高周波信号の微分、または時間内の連続的な測定間の信号における差分は、この実施例において、フィルタ素子114上にスート蓄積の変化率の表示を提供する。この方式において、フィルタ素子114の全体は、蓄積スートセンサとして機能することができ、全蓄積だけではなく、フィルタ素子114上のスート蓄積率を決定する。
【0053】
1つの実施例において、モジュール108、及びプローブ126または124を含む組み合わされたフィルタは、エンジン排出スートセンサとして機能し、モジュール108内に含まれるフィルタ114上でのスート蓄積の変化率に基づいて、エンジンフィードバック制御または診断情報を提供することができる。スート酸化モデルは、この実施例におけるある特定の条件下でフィルタ114上にスート酸化を補償するように使用されてもよいし、使用されなくてもよい。
【0054】
別の実施例において、モジュール108は、粒子フィルタハウジングではないことができ、三元触媒コーティングフィルタ、酸化触媒コーティングフィルタ、または選択還元触媒コーティングフィルタなどの、任意のタイプの触媒、または組み合わされたフィルタ及び触媒システムであることができる。同様に、触媒または触媒コーティングフィルタの全体は、ガスセンサとして使用され、触媒面上に特定のガス種の吸着を指示する、または関心のガス種と触媒との他の相互作用を指示する、RF信号の監視された変化率に基づいて、NOx、NH、HC、COまたはいくつかの他の種などの、特定のガス種の流入量を決定することができる。監視された物質は、上記の実施例のように、気相または粒子相内にある必要はなく、液体であることもできる。
【0055】
1つの実施例において、監視された高周波パラメータは、最大値もしくは最小値、平均値、周波数シフト、所与の電力レベルでのピークもしくは共振幅、品質係数、または関連パラメータなどの、絶対もしくは相対振幅または位相測定値またはその何らかの微分から決定することができる。パラメータは、固定周波数で、または連続した、もしくは不連続な、周波数範囲にわたり決定することができる。これらの周波数は、共振条件を有してもよいし、有さなくてもよい。
【0056】
1つ以上の測定された高周波パラメータPの変化率(Δ/t)は、以下のように特定の時間tで計算することができる。
(Δ/t)=(Pt-1-P)/((t-1)-t) 式1
そこで表記(t-1)は、前回のパラメータPの測定値を示し、下付きの文字(t)は、現在の測定時間を示す。このようにして、モジュール108またはその一部を使用して、モジュールに入る関心の構成物質の速度を決定することが可能である。この時間は、制御ユニット104内に含まれるタイミングデバイスにより測定することができる。
【0057】
一方で、同一の手法を使用して、モジュール108もしくは110もしくは136、またはコンジット138もしくは106から漏れる、またはこれらを出る、関心の構成物質の速度を決定することが可能である。1つの実施例において、モジュール108に入る物質の速度が既知である場合に、特定の1組の条件下で、たとえば、つぎにモジュール108内の物質レベルの変化率を使用して、モジュール108から物質の損失の回避を検出することができる。
【0058】
1つの実施例において、粒子フィルタモジュール108からのスートまたは粒子の損失または漏出をこのようにして検出することができる。この実施例において、エンジンからの既知のスート放出率を、及び粒子フィルタ素子114上の既知の、または無視できる、スート酸化量をもたらす条件においてエンジンの動作は、制御ユニット104を使用してスート漏れをもたらすフィルタ素子114の故障を検出するための好ましい条件として使用することができる。この実施例において、フィルタ素子114上のスート蓄積の変化率、または指定された時間間隔にわたるフィルタ素子114上のスート蓄積の全変化は、この時間間隔中にモジュール108に入る、既知のエンジンから排出されるスート排出量と比較することができる。フィルタ114上で測定されるスートレベルにおける増加がモジュール108に入るスート量より少ない場合に、フィルタ114上の測定されるスート蓄積及びフィルタモジュール108に入るスート量の差、は、割れまたは融解領域などのフィルタの不具合または故障による、スートの損失または、漏れを示すことができる。この実施例の1つの用途は、オンボード診断用にフィルタ故障を検出することである。測定のための時間間隔は、一つの事例において数秒または数分にわたり得、または別の事例において1秒未満の間隔にわたり得る。この間隔は、駆動サイクルまたはモーダルサイクルなどの、テストサイクル全体、または1つの特定の動作条件のみを包含することができる。エンジンから排出されるスート排出量は、前もって決定される、またはPMセンサもしくは高周波センサなどのセンサにより測定することができる。
【0059】
別の実施例において、フィルタ上のスート蓄積の変化、またはフィルタ上のスート蓄積の変化率を監視するための好ましい時間間隔は、低温度動作中、または低NOx動作中であり得、そこでは受動的酸化が制限される。一実施例において、これは、摂氏250度より下の温度であることができる。別の実施例において、フィルタスートレベルの変化を監視するための好ましいウィンドウは、排気温度にかかわらず、たとえば、ガソリンエンジンにおけるような、排気内に酸素が少ない、または酸素のない期間中であることができる。当業者は、スート酸化が無視できか、または(モデルなどにより)良く特徴付けられており、フィルタまたは排気系の、割れ、融解領域、または他の欠陥などの不具合による可能性がある、フィルタからのスート損失率を決定するために、フィルタに入るスートの速度をフィルタ上の監視された蓄積比率と比較するのによく適している、または好ましい、排気状態または後処理システム設計における多くの変形形態が存在することができることを理解するであろう。
【0060】
上記の実施例は、粒子フィルタに限定される必要はなく、任意のタイプのフィルタ、膜、または触媒システムにも適用され、そこでは固相、液相、または気相構成要素が、モジュール108の相互作用壁部、またはモジュール108内に含まれる特定の要素112もしくは114に対する堆積、吸着、反応によるような、モジュール108と測定可能な様式で相互作用する。このようにして、モジュール108は、式1に従った、1つ以上の高周波パラメータの変化を監視する手段によって、NOx、CO、HC、O、NHもしくはいずれかの他の気体、またはさらに液体などの、ガスセンサとして機能することができる。用途には、制御または診断目的のためにモジュール108から1つ以上の成分の流入または流出を検出することが挙げられる。このようにして、ある特定のガス種の漏出(またはある特定のガス種の貯蔵もしくは吸着の欠如)によるような、触媒の故障を判定することもできる、またはプラントもしくは機械102により生成されるある特定の種の排出率をフィードバック制御のために決定することもできる。
【0061】
上述の測定は、プローブ122によるように、コンジット106内で実行することもできる。プローブ122は、コンジット106の壁部を通過する、またはコンジット106の壁部上に堆積する物質を監視することができる。1つの実施例において、制御ユニット104と併せてプローブ122は、周波数領域反射率計、または時間領域反射率計として動作し、コンジット106に接続される一部の、もしくはすべての構成要素及びシステムを通して、誘電特性、ブロッケージ、オブストラクション、もしくは欠陥及び不連続部における、不具合、故障、または変形形態の位置を監視することができる。このようにして、複数の素子112、114、118、または116は、一方の実施例において、単一のプローブから監視することができる。別の実施例において、複数のプローブを使用することができる。特に、可変プロービングは、SCR、LNT、TWC、炭化水素トラップ、アンモニア貯蔵触媒または任意の他の触媒上に取り付けられるプローブ120、及びモジュール110の上流側または下流側に取り付けられるプローブ122を含むことが可能である。
【0062】
別の実施例において、コンジット106は、さまざまな接合部、移行部、キャビティ、及びコンジットネットワークなどの他の素子を含む、複数の分岐部または脚部からなることができる。1つの実施例において、コンジットネットワークは、パイプラインまたは分散型パイプシステムである。プローブ122、120、124もしくは126を使用して、破損した、もしくは切断されたコンジットなどの、コンジットネットワーク内の不具合、または素子112、114、118もしくは116などのネットワーク内の素子の故障を検出することができる。素子の故障は、フィルタからの保持液の漏出のような、または気体、液体もしくは固体、もしくはいくつかの他の物質の漏出のような、漏出をもたらす可能性がある。故障は、異常な特徴または不連続部などの高周波監視されたパラメータにおける変化により検出することができる。別の実施例において、上流側素子の故障は、下流側素子またはコンジットの部分上で上流側素子から漏出した物質の堆積をもたらし得る。下流側コンジットまたは下流側素子上の漏出物質の検出を使用して、上流側素子の故障を決定することもできる。
【0063】
制御ユニット104は、システム入力の特性及び組成の高周波測定に基づき、燃料供給、気流、ブースト圧、EGR率、インジェクションタイミング、尿素または炭化水素ドージング及び関連パラメータなどの、エンジンの燃焼または較正を変更することができる。1つの用途において、石油系燃料、及びエタノールまたはバイオディーゼルなどのいくつかの他の燃料の配合を監視することができる。別の実施例において、尿素の品質または組成を監視することができる。
【0064】
また制御ユニット104は、高い水または硫黄レベルなどの、燃料品質の高周波測定に基づき、オペレータに警告する、または不具合状態をトリガすることができる。別の実施例において、制御ユニット104は、燃料、オイル、クーラント、作動液、吸気、尿素、アンモニア生成成分の品質、組成、もしくはレベル、または他のプロセスパラメータの高周波測定に基づき、オペレータに警告する、または不具合状態をトリガすることができる。
【0065】
制御ユニット104は、コンジット106またはモジュール108もしくは110内に取り付けられた高周波プローブを使用して、排気排出量測定に基づき、エンジン及び排気系動作をさらに変更することができる。1つの実施形態において、モジュール110は、SCR触媒システムであることができ、プローブ120は、モジュール110(トランスミッション)内の第2プローブによる反射測定もしくはトランスミッションを使用して、またはモジュール110から、もしくはモジュール110内の上流側もしくは下流側に取り付けられるプローブ122を使用して、SCR触媒上のアンモニア貯蔵を監視することができる。制御ユニット104は、SCR触媒素子116上のアンモニア貯蔵の監視されたレベルに基づき、尿素ドージングを命令することができる。別の実施形態において、プローブ126またはプローブ122は、排気系内の他の素子の中でも、SCR触媒を監視することができる。別の実施例において、プローブ120からのSCR触媒116上のアンモニア貯蔵の高周波測定を使用して、エンジン制御ユニットと通信し、上流側TWC触媒、いわゆる受動的SCRからアンモニアを生成するように、エンジンのリーン及びリッチ運転を命令する。
【0066】
別の実施例において、モジュール108は、粒子フィルタシステムであることができ、プローブ126または124からの測定を使用して、排気温度、炭化水素ドージング、または任意の他の手段を増加させることにより再生を誘導するように、機械102の動作を制御し、再生を終了する、または再生イベントについての温度上昇率を制御することができる。
【0067】
1つの実施例において、素子118は、アンモニアスリップ触媒、または小さなフィルタ素子であることができ、プローブ122からの測定は、診断目的のために上流側触媒またはフィルタを通過するアンモニアスリップまたは粒子を検出するために使用されることができる。
【0068】
別の実施例において、プローブ122、130または任意の他のプローブは、コンジット106もしくは130、またはモジュール136、108もしくは110を通過する、またはこれらの内に含まれる、任意の気体、液体または固体などの物質の特性を監視することができる。
【0069】
別の実施例において、プローブ126などの、単一のプローブのみを使用して、単一のプローブからシステムの各部品内に発生するプロセスを監視するために、コンジット106ならびにモジュール108及び110からなる排気系全体を通して高周波信号を伝送することができる。この事例において、メッシュを、モジュール110の下流側のコンジット106の出口または排気口区間に信号を含むために使用することができる。別の実施例において、1つ以上のプローブ126を使用することができ、1つ以上のメッシュまたはスクリーンを使用することができる。
【0070】
集合的に、図1に示されるシステムは、高周波ベースのプロセス制御システムを形成し、それにより1つ以上の構成要素またはサブシステムは、図1に示される、プラントもしくは機械102、または任意のモジュール108、110、もしくは136、または任意の他の構成要素もしくはサブシステムの動作を最適化するために、1つ以上の高周波制御ユニット104により監視し、制御することができる。この最適化は、改善された効率、延長された耐久性、向上した性能もしくは出力、または任意の他の所望の結果、ならびに任意の不具合状態への警告、または不具合状態による防護処置の開始を含み得る。最適化は、図1に示される任意の構成要素またはサブシステムへの1つ以上の入力またはプロセスの制御変数を制御することにより達成することができる。この制御は、所望の範囲内に測定された値を維持するために、各プローブの測定からの直接フィードバック制御に基づくことができる。この制御は、他のセンサまたはデバイスからの補足モデルに基づく制御または入力を含んでもよいし、含まなくてもよい。
【0071】
上述のようなシステム動作を制御することに加えて、欠陥または不具合または故障は、制御ユニット104により検出することもできる。図1に示されるいずれかの高周波プローブからの測定が許容可能な範囲外にある、または要求された閾値を超える、もしくは下回るときに、このような欠陥または故障状態を検出することができる。欠陥または故障は、規制された排出物のような粒子(スート、アッシュ、または任意の他の粒子)もしくはガスなどの、過剰な排出物、または任意の他の物質を含む。監視されることができる他のシステムパラメータは、オンボード診断要件を満たすために必要とされるパラメータを含む。
【0072】
図1に示される任意のサブシステムまたは構成要素の潜在的な故障モード、または故障の早期兆候(早期警告または予後)、ならびに致命的な故障を監視することもできる。たとえば、粒子フィルタシステム(モジュール108)の使用は、高い燃料消費、高いオイル消費、クーラント漏れ、または関連した不具合によるような、高い煙排出量をマスキングし得る。制御ユニット104及びプローブ126もしくは124は、フィルタ素子114上に堆積し得る、またはモジュール108もしくはコンジット106を通過し得る、多量の煙、クーラント、または水蒸気排出量を検出するために使用されることができる。フィルタ素子114上の高レベルのアッシュ蓄積などの、異常は、高いオイル消費を示し得る。
【0073】
別の実施例において、NOxまたはアンモニアなどの、異なるガス種の異常な排出量(高または低レベル)は、モジュール110または108内の触媒の高周波測定に基づき検出することができる。潤滑油及び燃料の品質及び状態は、品質の悪い燃料、もしくは異常な潤滑油の経時劣化を、またはたとえば高いスートレベルもしくは摩耗金属レベルの存在を診断するプローブ130もしくは128により監視することもできる。不良な燃焼は、プローブ132により直接検出することもできる。触媒素子112、114、116の充填状態、ならびに触媒の経時劣化、毒作用、または性能の低下または経時的な変化の他の特性を監視することもできる。
【0074】
また制御ユニット104は、高周波ベースではなく、図1に示されない、温度センサ、圧力センサ、ガス組成センサ、位置センサなどの他のセンサからの入力を利用することもできる。
【0075】
別の実施形態において、素子136、112、114、118または116は、それ自体が感知素子として利用され、プローブ128、126、124、122または120を使用してマイクロ波手段により監視することができる。1つの実施例において、フィルタ素子114は、粒子フィルタであり、プローブ126または124は、フィルタ素子114上に蓄積するスート量を迅速にサンプリングすることができる。監視されたスート充填、または経時的なスート充填における変化の微分値は、エンジンから排出されるスート排出量の直接測定を提供する。制御ユニット104は、フィルタ素子114から測定されたエンジンから排出されるスート排出量に基づき、機械102へのフィードバック制御を提供することができる。フィードバック制御は、1つの実施例において、燃焼パラメータを変更すること含まれ得る。1つの実施例において、サンプリングレートは、1から10Hzに及ぶことができるが、いくつかの事例においてより速い、またはより遅くあり得る。同様にして、任意の素子136、112、114、118または116の充填状態における瞬時変化を、素子からのこれらの物質のいずれかについて、物質の追加、蓄積、吸着、または損失率のリアルタイムまたは連続測定を提供するために、プローブ128、126、124、122または120を使用して監視することができる。別の実施例において、触媒素子112は、TWCであり、リアルタイム酸素濃度を、プローブ126またはプローブ124により測定することができる。別の実施例において、触媒素子116は、SCRまたはLNTであり、NOx排出率またはアンモニアドージング速度を、直接に監視することができる。さらに別の実施例において、コンジット106などの、コンジット内の物質の濃度を測定することもできる。
【0076】
図1を参照して記述されるシステムは、フィルタ状態の検出または診断を要求する任意の用途における使用のために適合される。特定の用途のいくつかの実施例は、PM排出量を減少させるために排気粒子フィルタを利用することができる、内燃機関(ガソリン、ディーゼル、天然ガス、及び他のもの)を含む。特定のフィルタは、ディーゼル粒子フィルタ(DPF)、ガソリン粒子フィルタ(GPF)を含むが、多くの他の用途も、適切であり得る。これらのタイプのフィルタは、乗用車、トラック、及びバスなどのオンロード用途と、農業及び建築機器、船舶、鉄道/機関車、定置式及び移動式発電を含むオフロード用途と、及び内燃機関を使用する多くの他の用途内で用いられる。特によく適している追加の用途は、発電装置排出制御、産業用バグハウス、採鉱、医薬品及び化学薬品処理、ならびに同様のものの内にみられることができるような、気体または液体ストリームからの粒子ろ過のために使用される、セラミック、ポリマー、または紙フィルタなどの、非導電性フィルタ媒体を含む。
【0077】
1つの実施例において、フィルタは、任意の数のオンまたはオフロード用途のためのディーゼルまたはガソリンエンジン上に取り付けることができる、ディーゼルまたはガソリン粒子フィルタなどの、セラミック粒子フィルタであることができる。これらの用途は、乗用車、トラック、バス、建築機器、農業機器、発電装置、船舶、機関車などを含むことができる。別の実施例において、フィルタは、任意の適切な用途上に取り付けられる任意のタイプの適切なフィルタであることができる。
【0078】
動作の周波数範囲は、任意の適切な周波数範囲であるように選択されることができる。1つの実施例において、周波数範囲は、100MHzから3,000MHzであることができる。高周波信号は、広帯域または狭帯域であることができる。信号は、フィルタハウジングに1つ以上の共振モードを含んでもよいし、含まなくてもよい。1つ以上の共振モードをハウジング内に確立する実施例において、共振時の信号における観測される変化は、粒子フィルタの状態の変化の測定、ならびにフィルタ状態における変化が発生した空間位置または一般的な領域を提供する。RFセンサ動作の周波数範囲は、固定される、または可変であることができる。1つの実施例において、動作周波数範囲は、フィルタ充填状態または条件に基づき変えることができる。
【0079】
動作の1つの方法において、高周波センサは、粒子フィルタ内のスート及びアッシュの蓄積を監視するために使用される。正常な動作状態下で、スートまたはアッシュの蓄積は、米国特許第8,384,397号、第8,384,396号、及び第9,144,831号などに記述されるように、信号振幅を縮小させること、または信号における周波数シフトもしくは位相シフトを引き起こすことにより、予測可能な方式において高周波信号に影響を与える。特に、周波数、位相、または振幅における変化は、共振時に最も顕著であり得る。1つ以上の共振モードについて信号変化を監視するための高周波センサの使用は、空間(局所化された)位置上の情報、またはフィルタ上の充填状態における変化を提供するだけではなく、フィルタ全体をカバーする複数のモードを監視することは、エンジン排出レベルに対応する汚染物質充填における総変化率または総計変化率を正確に測定することが可能であることをも確実にする。監視することができる空間変形または局所的変化は、各共振モードについてキャビティ内の高電界に対応する領域に関連する。
【0080】
多くの事例において、しかしながら、粒子フィルタに接続される、エンジンなどのシステムの不具合または故障は、フィルタを流通する異常な排気状態をもたらす可能性がある。そのような上流側故障または不具合には、過剰なスート排出量か、水、クーラント、オイルもしくは燃料のシステム内への漏出か、排気内に異質の物質を導入する、または異常な排気放出レベルをもたらし得る任意の他の関連した故障モードが挙げられる。そのような故障は、インジェクタ故障、ターボチャージャ故障の結果か、不正なもしくは品質の悪い燃料及び潤滑油の使用か、バルブステムシール、ターボチャージャシール、シリンダヘッドガスケットなどの上流側シール及びガスケットの故障か、さらにEGR値、EGRクーラーファウリング、または関連した問題の不具合か、であり得る。
【0081】
結果として生じる高レベルのエンジンから排出される排出量または汚染物質は、RFセンサの応答において、急激な変化(構成要素の致命的な故障の場合におけるような)、または緩慢な変化(漸進的な構成要素劣化の場合)により検出されることができる。センサ応答の時間変化率は、図2及び3に示されるように、フィルタ上の物質蓄積比率が指定された閾値を超える事例を検出するように監視されることができる。センサ応答における時間変化率は、1つ以上の共振モードから導出されることができる。個々のモードを監視することは、フィルタ内の局所的変化についての情報を提供する。複数のモードを監視することは、1つの実施例において、総エンジン排出スート排出量における変化に最もよく相関されることができる総変化率についての情報を提供する。別の実施例において、個々のモードを監視することは、フィルタの特定の領域においる局所的な故障を検出するために使用することができる。フィルタ上への物質蓄積物は、スート、アッシュ、水、クーラント、オイル、燃料、またはフィルタハウジング内の誘電特性に影響を与えるいくつかの他の物質(固体、液体または気体)であることができる。
【0082】
RFセンサ応答における変化は、RF信号の、信号の強度、周波数、または位相にあることができる。警戒警報または不具合インジケータは、異常なフィルタ充填レベルを検出するセンサに基づきトリガされることができる。警戒警報は、フィルタを不可逆的に損傷させる、またはエンジンもしくは関連したサブシステムをさらに損傷させるほど深刻になる前に、オペレータに不具合状態の事前警告を提供することができる。別の実施形態において、RFセンサによりトリガされる警戒警報または不具合状態は、システムまたはフィルタへの損傷を回避するために、別の実施例において、システムをディレーティングすることによるような、アクションを開始し、エンジンまたはフィルタシステムの動作を変更するために使用されることができる。
【0083】
別の動作方法において、RFセンサを使用して、フィルタが捕捉するように設計されているスート、アッシュまたは任意の他の物質がフィルタから漏出している状態を検出することができる。
【0084】
1つの実施例において、RFセンサは、フィルタがシステム内に存在するときに特定された、または定義されたものの範囲外である、RF信号(強度、周波数または位相)の変化により、その除去などの、フィルタ素子が完全に存在しないことを検出することができる。この範囲は、現在の、及び/または既存の動作状態の評価、及び/またはフィルタが存在するときに所期の応答ベースラインの格納された、または蓄積された計算の評価により定義することができる。別の動作方法において、共振周波数のシフト、または位相もしくは振幅の変化として、フィルタ素子がないことを検出する。
【0085】
別の実施形態において、割れ領域、融解領域、または欠損領域などのフィルタ材料の一部のみの部分的な欠如は、1つの実施例において共振周波数のシフトなどの、RF信号における変化により、または別の実施例において強度もしくは位相の変化によりさらに検出することができる。局所的な欠陥は、欠陥を含むフィルタの特定の領域内に高電界を示す共振モードのみにより優先的に検出することができる。
【0086】
1つの実施形態において、フィルタ全体、または一部の欠如は、共振モードについてより高い共振周波数へのシフトをもたらし得、その一方でスートまたはアッシュなどのフィルタ上での物質の充填は、逆の挙動を示し得るので、フィルタ材料における欠陥、またはフィルタの欠如を容易に検出することを可能にする。この実施例において、フィルタの欠如、またはフィルタにおける欠陥は、スートレベル、またはフィルタ内のスートレベルの変化を参照することなく、RF信号における変化により直接に検出することができる。
【0087】
別の実施例において、RFセンサは、フィルタ上で異常に低い物質蓄積率を検出し得る。この低い物質蓄積率は、1つの実施例において正常なフィルタ動作の既知の物質蓄積率の特性を、指定された期間にわたりフィルタ上に蓄積する物質の率もしくは量と比較することにより検出することができる、または別の実施例においてフィルタに入る上流側の排出率の知識により検出することができる。
【0088】
低い物質蓄積率の監視または決定は、現在の、及び既存のRFセンサ測定データ、または履歴データから導出されることができるが、低い物質蓄積率のRFセンサ決定を補うために測定される、または導出されるエンジン動作情報を有するRFセンサ測定データの補足を用いることも可能である。エンジンまたは排気後処理コントローラの分布に応じて、追加の補足情報が、システム内の他の制御ユニットにより提供され得る。
【0089】
1つの実施例において、RFセンサにより測定されるようなフィルタ上での物質蓄積率が許容可能な閾値を下回る場合に、センサは、不具合または警戒警報信号をトリガすることができる。このようにして検出されることができるフィルタ故障モードは、物質がフィルタから漏出する、またはフィルタを通過する結果となる、とりわけ、フィルタマット材の割れ、融解領域、または劣化を含む。閾値レベルは、正常なフィルタ動作状態及び駆動サイクルまたはエンジン動作モードから決定することができる。閾値レベルは、フィルタが適切に機能していたときの履歴レベル、またはエンジンもしくは後処理システムコントローラに格納されている事前に設定された値、もしくは極限値に基づくことができる。エンジン動作は、短期間の、排気内の特に高いスート濃度などの、既知の排出率を有する1組の状態を提供するために、調整することができる。
【0090】
故障検出のための閾値レベルは、局所的な故障の検出について、または1つより多い共振モードから導出されるパラメータについてのように、個々の共振モードについて設定することができる。
【0091】
システムの温度応答も、システムの熱容量が実質的に変化していないと決定するために主に、監視することが可能である。ユニットの推定温度は、高速温度ランプによる、ユニットへの充填における小さな変化を伴った、温度補償から推測することが可能である。排気の既知の上流側及び下流側温度とともに、RFセンサから決定される濾床温度を使用して、エンジン内のオイル漏れからのオイルか、アッシュか、フィルタを通る所期の流量より低い流量をもたらすフィルタから上流側の排気漏れかのような、信号応答の高い感度を提供しない大量の物質の蓄積などの、フィルタ内の問題を判定することが可能である。これらの問題または故障モードは、フィルタの熱容量における変化、フィルタを通る流量における変化、またはその他のものを通して示され得る。熱応答は、エンジン動作における能動的変化後に、またはただ正常な動作状態の間に、決定することが可能である。
【0092】
温度応答は、エンジンオフ状態中にも監視されることが可能であり、この状態中にフィルタを含む排気系は、システムが冷却されるときに温度プロファイルについての周囲環境の影響のみを受ける。RFセンサは、エンジンオフイベントを監視し、フィルタ温度がたとえば、エンジン停止時に計算されたスート充填、エンジン停止時の排気温度、冷却中の周期的な、または連続的なRF測定値、排気系が特定の温度に到達するまでの時間、エンジン停止後の意図されない温度上昇の検出などを含む、いくつかの測定された、または導出されたパラメータに基づきフィルタ温度が変化する方法の履歴記録を保持することが可能である。この種の監視を行うタイミングは、条件により変わり得るが、すでに燃焼モードにないエンジンにより可能にされる。
【0093】
別の実施例において、エンジンオンイベントも、同様に監視することができる。エンジンオフ時に決定される、測定されたフィルタ状態は、エンジンオン時に決定される、測定されたフィルタ状態と比較され、フィルタ状態または不具合における変化を検出することもできる。同様に、フィルタ状態は、エンジンオフででも周期的に監視することができる。エンジンオンまたはオフのイベント中に監視されるパラメータは、温度、スートまたはアッシュレベルなどのフィルタ充填状態のRFセンサ測定、または1つ以上の共振モードまたは周波数範囲についての、周波数、振幅または位相などの生のRF共振値からなることができる。
【0094】
別の実施形態において、能動的手段を、特定の外部刺激へのフィルタの応答を評価するために用いることができる。1つの実施例において、外部刺激(侵襲的試験)は、とりわけ、増加した給油、インジェクションタイミングへの変更、吸気流量の制御(スロットリング)、排気ガス再循環(EGR)における変化、またはブースト圧の操作によるような、エンジンから排出されるスート排出量において瞬時に制御された増加であることができる。エンジンによるスート生成における予期される変化は、エンジンを管理し、スート生成を制御することが可能であるパラメータを制御する、制御ユニットへRFセンサによる侵襲的要求の調整により決定される、予期される識別特性を有する。このスート識別特性は、スート排出量の一時的な増加、スート排出量の一時的な減少、または例としてパルスもしくはディザリングなどのインテリジェント識別特性であることができる。
【0095】
エンジンから排出されるスート排出量における結果として生じる変化は、RFセンサにより監視することができる。エンジンから排出されるスート排出量の変化は、RF信号応答に基づきエンジンからの所期の排出量に相関されることが可能であるフィルタ充填レベルにおける変化をもたらすことが予期される。侵襲的に要求されるような、所期のスートレベル応答の監視または決定は、現在の、及び既存のRFセンサ測定データから導出することができるが、応答のRFセンサ決定を補うように、測定される、または導出されるエンジン動作情報を含むRFセンサ測定データの補足をも用いることが可能である。エンジンまたは排気後処理コントローラの分布に依存して、追加の補足情報が、他の制御ユニットによりシステム内に提供され得る。
【0096】
侵襲的試験は、周期的に、または連続的に行うことができる。1つの実施形態において、高周波測定を行うための好ましい条件は、一実施例においてフィルタについて無視できるスート酸化についての条件、または別の実施例においてスート酸化が周知である条件などの、条件が好ましいときに行われる、または決定される侵襲的試験である。他の考慮事項を、スート酸化に加えて、侵襲的試験を行うための好ましい条件を決定するために使用することができる。
【0097】
閾値を上回る、または下回る充填レベルなどの、不具合状態の検出は、図2及び3に示される、正常な動作状態または駆動サイクルにわたり行うことができる。
【0098】
図2は、測定されたRF応答を示し、図3は、微分応答(時間に関する変化)を示す。1つの実施例において、正常なエンジン動作または駆動サイクルにわたる、所期のRF応答より多いまたは少ないRF応答を使用して、高いエンジンから排出されるスート、オイル、クーラントレベル、もしくは任意の他のフィルタに入る汚染物質を含むような、システム欠陥もしくは不具合が発生したかどうか、またはフィルタからの物質損失を引き起こす、もしくは割れ領域、融解領域もしくは欠損領域などのフィルタのトラップ効率を低下させる、フィルタ故障もしくは不具合が発生したかどうか、を判定することができる。
【0099】
図3は、RFセンサ(時間変化率)の微分応答に関連する故障モードへのRF信号の所期の応答における追加の差を示す。
【0100】
また図2及び3は、正常なエンジンまたは車両動作の進行中に1回以上、トリガされることができる侵襲的試験の使用を通して、欠陥、故障または不具合の検出も示す。侵襲的試験を使用して、システムの故障もしくは不具合を検出すること、システムの状態を診断すること、または正常なエンジンもしくは車両動作中に行われる測定の結果を確認する、もしくは妥当性確認することができる。
【0101】
別の実施形態において、スロットル、エンジン速度または給油などのある特定のシステム入力へのRF応答は、伝達関数を介して出力RF信号へ入力を関連付けるために、決定することができる。簡単なフィードバックループを使用して、所期のRF信号応答を、実際の応答と比較して、システムへの任意の特定の入力整形を必要とせずに、フィルタの故障または異常なエンジン動作を診断するために使用することができる、エラー信号を提供することができる。
【0102】
別の実施形態において、RFセンサは、フィルタ内に蓄積したスートを酸化させるためのフィルタ再生イベントを監視している。フィルタ内で計算された、または測定されたスート貯蔵量に基づき、RFセンサは、たとえば、ピーク再生温度(RFセンサにより直接に感知される、または他の制御ユニットから外部に提供される)、スート酸化速度、完全な再生後に達成されるスート充填レベル、部分的な再生後に達成されるスート充填レベル、再生イベントの持続時間、及び/または同様の性能情報を含む、以前のフィルタ再生イベントについての情報を格納することが可能である。
【0103】
履歴イベントと比較される再生イベントにおける差異を評価することは、フィルタの応答が構造上の故障を示すかどうかを判定する、評価メカニズムを提供する。所期のスートレベルの監視または決定は、現在の、及び既存のRFセンサ測定データから導出されることができるが、応答のRFセンサ決定を補うために測定される、または導出される、のいずれか一方をされるエンジン動作情報を含むRFセンサ測定データの補足を用いることも可能である。エンジンまたは排気後処理コントローラの分布に依存して、追加の補足情報は、システム内の他の制御ユニットにより提供され得る。
【0104】
別の実施例において、スート酸化速度を使用して、触媒の健全性もしくは状態、または上流側エンジン排出状態を推定することができる。1つの実施形態において、RFセンサにより測定されるような所期のスート酸化速度より遅いスート酸化速度を使用して、触媒能を有した粒子フィルタまたは上流側酸化触媒の触媒活性の経時劣化または損失を診断することができる。
【0105】
別の実施例において、低下したスート酸化速度は、エンジンから排出されるNOx排出量の削減による、または所期のPM対NOx比より高いPM対NOx比に起因し得る。RFセンサにより監視される再生プロセス及びスート酸化速度は、能動的再生または受動的再生または能動的及び受動的再生の組み合わせであり得る。
【0106】
別の実施例において、触媒能を有したフィルタまたは上流側酸化触媒の触媒健全性または活性は、所与の温度での排気温度測定及びスート酸化速度のRFセンサ測定の組み合わせにより、または所与の温度でのスート酸化速度の変化により決定することができる。
【0107】
RF信号の応答の変化率、またはRF信号応答の相対変化が外部刺激から予期されるものより低い、または高い場合に、スートまたは他の物質がフィルタを通過しているフィルタ故障状態が存在する可能性がある。システムに適用される特定の刺激は、事前に定義され、無傷のフィルタによる、既知の、及び「正常の」応答を確立することができる。刺激は、周期的に、または連続的に発生し得る。能動的刺激の適用の頻度は、状況に応じて、固定される、または可変であることもできる。所期の応答からの変形形態の実施例は、図2及び3に示される。
【0108】
フィルタ故障状態が存在する場合に、能動的刺激は、フィルタへの過剰な、または高いレベルの物質追加をもたらす必要はなく、フィルタからの物質の損失を誘発するように設計されることもできる。1つの実施例において、エンジン速度を急速に上げることによるような、高い排気流速を命令することは、排気ガス流のスパイクまたはパルスをもたらす可能性がある。フィルタが欠陥または不備(割れ領域、融解領域、または故障領域)を含む場合に、排気流内のこのようなパルスは、物質がフィルタから吹き出される、またはフィルタを吹き抜ける結果をもたらし得る。そのような能動的刺激の適用に続く、RFセンサにより決定される監視されたフィルタ充填レベルの低下は、フィルタ故障状態を直接示す。
【0109】
能動的刺激の適用は、RFセンサと併せて使用され、フィルタ故障状態を検出することが可能である。1つの実施例において、図3に示されるように、能動的刺激のみを使用して、正常なエンジン動作の進行にわたりフィルタ上の所期の物質蓄積より低い物質蓄積の最初の表示に続く、フィルタ故障の誤検知の表示を回避することができる。この事例において、正常より低い物質蓄積レベル(緩慢な物質蓄積率)がRFセンサにより検出される場合に、センサまたはエンジン制御ユニットは、システムをプローブによりさらに探索し、または試験し、フィルタ故障の存在を確認するために、能動的刺激の適用を要求することができる。強度を増す能動的刺激の順次適用を、フィルタ故障状態の存在をプローブによりさらに探索する、または確認するために適用することができる。
【0110】
RFセンサにより測定される、フィルタ充填レベル、またはフィルタ上の物質蓄積率が許容可能な範囲内である、または範囲外であるかどうかの判定は、1つ、またはいくつかの手段を通して達成することができる。
【0111】
1つの実施例において、物質蓄積レベルまたは物質蓄積率は、同様の動作状態にわたる履歴値と比較することができる、またはそれは、ルックアップテーブルの形式においてマイクロコントローラ上でコンピュータ可読記憶媒体内に格納されるもののような、固定値もしくは閾値レベルと比較することができる。
【0112】
別の実施例において、RFセンサ応答は、別の実施例においてある特定の条件下でエンジンから排出される排出量レベルを推定するために使用される予測モデルの結果と比較することができる。
【0113】
別の実施例において、フィルタ上の充填レベルへのRFセンサ応答は、上流側センサの測定値と比較することができる。さらに別の実施例において、一実施例においてニューラルネットワーク、及び別の実施例においてパターン認識などの機械学習技術を用いて、RF信号における異常な変化を検出することができる。
【0114】
RF測定値は、温度補償などの、あるタイプの補償を必要とし得る。1つの実施形態において、RF手段を使用するフィルタ健全性の監視は、連続的であることができる。別の実施形態において、RFセンサは、フィルタ健全性の監視を、一実施例において低い排気温度状態、または別の実施例において高い温度状態などの、それを行うことがより好ましいシステム動作期間中のみに行うことができる。高い温度状態または低い温度状態においてフィルタを監視することは、温度依存誘電特性を示す物質について、いくつかの利点を提供することができる。さらに別の実施例において、フィルタ健全性を監視するための好ましい期間は、一実施例において、クリーンフィルタ状態にあることができ、別の実施例において、フィルタ健全性を監視するための好ましい良い期間は、充填状態にあることができる。
【0115】
所期の信号から測定された信号への変化を使用して、フィルタ自体、エンジン、または機器に関して、問題または故障を決定することが可能である。ユニットの再較正及び自己診断を使用して、測定ユニットまたはその構成要素(ケーブル、アンテナ、電源、通信)に関する故障を決定することが可能である。
【0116】
RF信号は、周波数範囲を変更すること、及び/または信号の振幅を変更することによるように、変更することができる。一実施例において、関心の周波数範囲は、1つの実施例で、特定の共振モードを励起することによるような、フィルタのある特定の領域を特にプローブにより探索するように変更することができる。別の実施例において、RF出力信号振幅は、調整可能な利得、または他のメカニズムの手段によるなど、変更することができる。さらに別の実施例において、RF出力振幅は、受信ポート(送信ポートと同一のものであってもよいし、なくてもよい)において所定の振幅に一致するように調整することができ、適用された利得は、検出された強度ではなく、フィルタ状態のインジケータとして機能することができる。別の実施例において、信号の位相は、信号に位相シフトを導入することによるなど、変えることができる。
【0117】
フィルタ故障状態の検出を使用して、警戒警報をトリガする、オペレータに警告する、不具合状態をトリガする、またはアクションを開始することができる。実施例は、インジケータランプの点灯、またはエンジン動作の変更を含む。別の実施例において、フィルタ故障状態の検出を使用して、1つの実施例において侵襲的試験などの、さらなる診断測定またはアクションをトリガし、故障または不具合を確認する、またはさらに正確に特定することができる。
【0118】
図4は、システムの状態を診断するためのフローチャート及び決定ステップを示す1つの実施例を提供する。第1ステップにおいて、RF測定を行う。測定出力は、1つの実施例において、フィルタ内のスートまたはアッシュレベルなどの較正された値か、生のRF強度、周波数、または位相測定などの中間値か、そこから導出されるパラメータか、1つ以上の共振モードに対応する共振曲線か、であることができる。測定は、RF測定値もしくは他のセンサからの測定値、または履歴データ、モデル出力もしくは計算されたデータなどのデータ、または1つの実施例におけるルックアップテーブル内のような、制御ユニット内に格納される値を含むことができる。
【0119】
第2比較ステップにおいて、この測定を所期の値と比較し、測定が許容可能な範囲内にある、または閾値を上回る、または閾値を下回るかどうかを判定する。この比較は、較正されたRFセンサ出力、または生のRF共振データ、またはいくつかのその微分により行うことができる。別の実施例において、この比較ステップは、ピーク、ノッチ、またはそれらから導出される他の特性もしくはパラメータなどの、RF共振信号特性が所期の挙動と一致する、または異常であるかどうかを判定することができる。
【0120】
比較ステップの結果は、測定を繰り返すこと、または測定を検証することであることができる。1つの実施例において、欠陥または不具合を検出しない場合に、測定ループを単に繰り返すことができる。別の実施例において、比較または決定ステップがRF信号の、もしくはRF測定及び他のセンサ測定の組み合わせの、異例の挙動、予想外の挙動、もしくは異常な挙動か、計算された、導出された、もしくは予測されたパラメータを検出する場合に、または測定値が範囲外にある、もしくは許容可能な閾値を上回るもしくは下回る場合に、この測定は、その後のスッテプにおいて検証することができる。
【0121】
任意の数の方法またはステップを使用して、測定を検証することができる。測定は、1つの実施例において、繰り返され、同一の値または結論に達するかどうかを判定することができる。別の実施例において、その後の決定ステップにおいて、同一の結論に達するかどうかを判定する、システムの異なる測定を提供するために、図2及び3に示される侵襲的試験などの、異なる測定を行うことができる。検証、及びその後の比較または決定ステップは、任意の回数、繰り返され、故障状態の存在または不在を最終的に確認する、または欠陥もしくは不具合のタイプ、位置、もしくは重大度をより正確に特定する、もしくは指定する、もしくは関連した欠陥もしくは不具合を検出することができる。
【0122】
1つの実施例において、フィルタトラップ効率(フィルタから漏出する物質)の低下を示す一般的な欠陥は、総計の共振曲線から計算されるパラメータに基づき、フィルタ故障が存在すると判定するために使用することができる。この実施例において、その後の検証ステップは、異なる周波数範囲、もしくは異なる共振モードを走査すること、またはより高い周波数分解能により特定の共振モードをより正確に走査し、故障の位置もしくは重大度をより正確に特定することを含むことができる。別の実施例において、侵襲的試験を、システムへの入力を変更し、欠陥を確認する、または検証するために使用することができる。さらに別の実施例において、尤度または合理性チェックを、1つ以上のセンサからの、または1つ以上のモデルからの値、または基準値を比較し、欠陥を検出するために、またはシステムを診断するために使用される決定ステップへの入力として機能する測定を行うセンサの正確な動作を確認することによるなどで、行うことができる。検証ステップは、1回行われる、1回より多く行われる、または全く行われないことができる。
【0123】
最終ステップにおいて、アクションを、前の比較ステップの結果に基づき開始することができる。前の比較ステップがシステムの欠陥または不具合を検出する場合に、警戒警報によるなどオペレータに警告すること、またはランプもしくはインジケータをオンにすること、または別の実施例においてシステム動作を変更することによるような保護アクションを開始することからなることができる、アクションを開始することができる。さらに別の実施例において、アクションは、不具合コードのログをとる、または不具合コードを送信することができる。別の実施例において、アクションは、エンジン、プラントまたは機械を停止させることができる。別のアクションにおいて、エンジンまたはプラントの出力を低下させることができる。任意の数のアクションを開始することができる。
【0124】
上述の高周波プロセス感知、制御、及び診断ネットワーク及びシステム及び方法の実施形態の、ならびに感知、制御、及び診断の実施例の複数の変形形態及び変更形態は、本発明の新規の特徴の趣旨及び範囲から逸脱することなく、もたらされ得る。高周波プロセス感知、制御、及び診断ネットワーク及びシステム及び方法、ならびに感知、制御、及び診断の実施例に関して制限がなく、及びより具体的に、本明細書に記載される、高周波粒子フィルタ診断システム及び方法、ならびに感知、制御、及び診断の実施例が意図される、または推測されることが理解されるものとする。言うまでもなく、これらのすべての変更形態を特許請求の範囲内にあるように、添付の特許請求の範囲により網羅することが意図される。
下記は、本願の出願当初に記載の発明である。
<請求項1>
高周波感知、制御、及び粒子状物質診断システムであって、
粒子状物質源に接合される吸気口を含むハウジング、
前記粒子状物質をろ過するように適合された前記ハウジング内の粒子フィルタ、
異常な粒子フィルタまたはシステム動作の状態を検出するように適合され、前記粒子フィルタ用の前記ハウジングと接触し、高周波信号を受信するように適合された少なくとも1つの高周波プローブを含む高周波センサ、ならびに
前記高周波プローブと通信する高周波制御ユニット、
を備える、前記システム。
<請求項2>
前記高周波センサは、前記高周波センサの応答の時間変化率を監視し、閾値より上の、または下の前記粒子フィルタ内の粒子状物質の蓄積率を検出するように適合される、請求項1に記載のシステム。
<請求項3>
前記粒子状物質源は、エンジンであり、前記粒子状物質蓄積は、スート、アッシュ、水、クーラント、オイル、または燃料である、請求項2に記載のシステム。
<請求項4>
前記高周波センサは、前記高周波信号の強度、周波数または位相における時間変化率を監視する、請求項2に記載のシステム。
<請求項5>
前記高周波センサは、前記粒子フィルタまたは前記フィルタの一部がないことを検出する、請求項1に記載のシステム。
<請求項6>
前記ハウジング内に前記粒子フィルタまたはその一部がないことは、前記粒子フィルタが前記システム内に存在する場合の前記高周波信号の強度、周波数、または位相の閾値範囲外の、前記高周波信号の強度、周波数、または位相における変化を感知することにより検出される、請求項5に記載のシステム。
<請求項7>
前記高周波センサは、閾値の率を下回る粒子状物質の蓄積率を、所定の期間にわたり前記粒子フィルタ内に蓄積される前記粒子状物質の率と正常なフィルタ動作中の粒子状物質の既知の蓄積率との比較を介して検出するように適合される、請求項1に記載のシステム。
<請求項8>
前記高周波センサは、前記システムの前記温度応答の変化を監視するように適合される、請求項1に記載のシステム。
<請求項9>
前記粒子状物質源は、エンジンであり、前記高周波センサは、エンジン停止イベントを監視するように適合され、前記高周波制御ユニットは、選択された、測定されたまたは導出されたパラメータに基づき前記システムの前記温度応答の変化の履歴記録を格納し、前記測定された、または導出されたパラメータは、前記エンジン停止時における計算された粒子状物質充填、前記エンジン停止時における排気温度、前記エンジンの冷却中の周期的な、または連続的な高周波測定値、システムが閾値温度に到達する時間、及びエンジン停止後の、温度の意図されない上昇の検出を含む、請求項8に記載のシステム。
<請求項10>
前記高周波センサは、外部刺激への前記システムの応答を監視するように適合される、請求項1に記載のシステム。
<請求項11>
前記外部刺激は、粒子状物質排出の、瞬時の制御された増加または減少である、請求項10に記載のシステム。
<請求項12>
前記高周波センサは、前記外部刺激に応答した所期の粒子状物質の識別特性における変化を監視するように適合され、前記所期の粒子状物質の識別特性は、既存の高周波センサ測定データから導出される、請求項10に記載のシステム。
<請求項13>
前記高周波センサは、選択されたシステム入力への前記システムの応答を、伝達関数を介して前記入力及び出力高周波信号を関連付けるために、感知するように適合される、請求項1に記載のシステム。
<請求項14>
前記粒子状物質源は、エンジンであり、前記粒子状物質は、スートであり、前記高周波センサは、前記粒子フィルタ内に前記蓄積したスートを酸化させるための粒子フィルタ再生イベントを監視するように適合される、請求項1に記載のシステム。
<請求項15>
高周波診断システムであって、
汚染物質源に接合される吸気口を含むキャビティ、
前記汚染物質を捕獲する、または格納するように構成された前記キャビティ内の内部素子、
高周波測定を行い、前記キャビティの状態を監視するように適合され、前記キャビティと接触し、前記キャビティ、前記内部素子、または前記汚染物質源の異常な動作状態を検出するように適合される少なくとも1つの高周波プローブを含む高周波センサ、ならびに
前記高周波測定について好ましい状態を決定するように構成される制御ユニット、
を備える、前記システム。
<請求項16>
前記高周波センサは、1つ以上の共振モードを利用して、前記異常な動作の空間位置を決定する、請求項15に記載のシステム。
<請求項17>
高周波測定を行うための前記好ましい条件は、無視できるスート酸化を有する条件であると決定される、請求項15に記載のシステム。
<請求項18>
高周波測定を行うための前記好ましい条件は、侵襲的試験である、請求項15に記載のシステム。
図1
図2
図3
図4