(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-10
(45)【発行日】2023-01-18
(54)【発明の名称】車両用フレーム部材
(51)【国際特許分類】
B62D 21/00 20060101AFI20230111BHJP
B62D 25/20 20060101ALI20230111BHJP
B60K 1/04 20190101ALI20230111BHJP
【FI】
B62D21/00 A
B62D25/20 E
B60K1/04 Z
(21)【出願番号】P 2019018799
(22)【出願日】2019-02-05
【審査請求日】2021-09-03
(73)【特許権者】
【識別番号】391002498
【氏名又は名称】フタバ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】宇野 貴昭
【審査官】姫島 卓弥
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-158688(JP,A)
【文献】特開2008-105645(JP,A)
【文献】特開2011-124101(JP,A)
【文献】特開2018-020707(JP,A)
【文献】特開2013-216116(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 21/00
B62D 25/20
B60K 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用フレーム部材であって、
互いに離間して平行に配置された一対のサイドフレームと、
前記一対のサイドフレームを連結する第1クロスメンバ及び第2クロスメンバと、
前記第2クロスメンバを挟んで前記第1クロスメンバ側と反対側において、前記一対のサイドフレームを連結する第3クロスメンバと、
を備え、
前記一対のサイドフレーム、前記第2クロスメンバ及び前記第3クロスメンバが、サスペンションフレームとして機能するサスペンションフレーム部
を構成し、前記一対のサイドフレーム、前記第1クロスメンバ及び前記第2クロスメンバが、前記車両の走行用のモータに電力を供給する電池を収容する電池ケースを支持するとともに前記電池ケースを保護する電池保護フレーム部
を構成することにより、前記サスペンションフレーム部と前記電池保護フレーム部とが一体化されて
おり、
前記一対のサイドフレーム及び前記第1クロスメンバのそれぞれは、自身の延在方向に沿って延在する1つの縦壁部と、前記縦壁部の一方の側面側において上下に位置し、前記延在方向に沿って延在する2つの突部と、を備える、車両用フレーム部材。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用フレーム部材であって、
前記一対のサイドフレーム及び前記第1クロスメンバのそれぞれにおいて、前記2つの突部は、前記車両用フレーム部材の内側を向くように配置されている、車両用フレーム部材。
【請求項3】
請求項1
又は請求項2に記載の車両用フレーム部材であって、
前記電池保護フレーム部における前記電池ケースを支持する支持面が平面である、車両用フレーム部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両用フレーム部材に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、一対のサイドメンバと、サスペンションメンバと、走行用のモータと、電池と、保持ラックと、を備える電気自動車が開示されている。一対のサイドメンバは、車体側の骨格を構成する骨格部材であり延在方向を車体前後方向として配置されている。サスペンションメンバは、車両のサイドメンバに固定されている。モータは、サスペンションメンバに固定されている。電池は、モータを駆動するための電池である。保持ラックは、電池を保持するとともに、電池の外周を囲っている保護枠を備える。保護枠により燃料電池車の衝突事故等による破損から保護される。
【0003】
この電気自動車では、サスペンションメンバにモータが固定され、モータに保持ラックが固定される。特に、保持ラックは、サスペンションメンバには固定されておらずに、モータに固定されて支持されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、中国規格GB/T-31467で制定される予定の、電池を収容した電池ケース単体の圧壊試験において、評価基準をクリアするために電池保護フレームを電池ケースに設けることが考えられる。電池保護フレームは、電池ケースを支持するとともに電池ケースを保護するためのフレームである。
【0006】
一方、車両にはサスペンションメンバが設けられ、サスペンションメンバは、サスペンションフレームを備える。このため、電池保護フレームを車両に設ける場合、車両にはサスペンションフレームと電池保護フレームとの2つのフレームが設けられることになり、車体へのフレームの組付け時において組付け作業が煩雑になることが考えられる。
【0007】
本開示の一局面は、サスペンションフレームと電池保護フレームとを車体に組み付ける際に組付け作業を容易化できる車両用フレーム部材を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一態様は、車両用フレーム部材であって、サスペンションフレーム部と電池保護フレーム部とを備える。サスペンションフレーム部は、サスペンションフレームとして機能する。電池保護フレーム部は、車両の走行用のモータに電力を供給する電池を収容する電池ケースを支持するとともに電池ケースを保護する。サスペンションフレーム部と電池保護フレーム部とが一体化されている。
【0009】
このような構成によれば、サスペンションフレームと電池保護フレームとが一体化されておらず、個別に車体に組み付けなければならない構成と比較して、サスペンションフレームと電池保護フレームとを車体に組み付ける際に組付け作業を容易化できる。
【0010】
本開示の一態様では、電池保護フレーム部における電池ケースを支持する支持面が平面であってもよい。ここでいう「平面」とは、厳密な意味での平面に限るものではなく、目的とする効果を奏するのであれば厳密に平面でなくてもよい。
【0011】
このような構成によれば、電池ケースがロアカバー及びアッパーカバーを備え、ロアカバーにおけるアッパーカバーとの当接部が前記支持面に支持される構成において、ロアカバーの当接部を板状に形成できる。また、ロアカバーの当接部の形状に対応してアッパーカバーにおけるロアカバーとの当接部も板状に形成できる。よって、ロアカバー及びアッパーカバーの当接部における当接面を平面に形成できる。よって、ロアカバー及びアッパーカバーの面合わせが容易になり、電池ケースの密封性を向上できる。
【0012】
本開示の一態様では、電池保護フレーム部及びサスペンションフレーム部の少なくとも一部が、所定形状のフレームを用いて構成されていてもよい。所定形状のフレームは、当該フレームの延在方向に沿って延在する1つの縦壁部と、縦壁部の一方の側面側において上下に位置し、前記延在方向に沿って延在する2つの突部と、を備える。
このような構成によれば、サスペンションフレーム部及びサスペンションフレーム部が共に前記所定形状のフレームを用いて構成されていない場合と比較して、強度面で優れ、安価かつ軽量な車両用フレーム部材を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1Aは電池ケース支持構造の正面図、
図1Bは電池ケース支持構造の平面図、
図1Cは電池ケース支持構造の背面図、
図1Dは電池ケース支持構造の左側面図である。
【
図2】
図2は電池ケース支持構造の外観を示す斜視図である。
【
図8】
図8は車両側の骨格を構成するフロアサイドメンバ及びフロアクロスメンバが設けられた車体の底面図である。
【
図9】
図9は平面視では湾曲しているが側面視では直線状であるサイドフレームを示す図である。
【
図10】
図10は側面視では湾曲しているが平面視では直線状であるサイドフレームを示す図である。
【
図11】
図11Aは管状のフレームの断面図、
図11BはUO曲げ成形で加工されたフレームの断面図、
図11Cは押出し成形で加工されたフレームの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しながら、本開示を実施するための形態を説明する。
[1.構成]
図1~
図7に示す電池ケース支持構造1は、
図8に示す車両2の下部(フロア下)に搭載され、車両用フレーム部材3と電池ケース4とを備える。電池ケース支持構造1は、車両用フレーム部材3によって電池ケース4の支持及び保護を行い、さらには、サスペンションフレームとして機能する部材である。なお、車両2は、走行用モータに電力を供給する電池が搭載される車両であれば特に限定されず、例えば、EV(電気自動車)、HEV(ハイブリッド自動車)、PHEV(プラグインハイブリッド自動車)等である。
<車両用フレーム部材3>
図1~
図7に示す車両用フレーム部材3は、一対のサイドフレーム31,32と、第1クロスメンバ33と、第2クロスメンバ34と、第3クロスメンバ35(
図1C、
図1D等参照)と、を備える。各部材31~35は、例えば、金属材料(例えば鉄鋼材料)や、アルミニウム合金等の非鉄金属材料や、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)やガラス繊維強化プラスチック(GFRP)などの強化樹脂材料によって形成され、充分な強度が保証される。
【0015】
一対のサイドフレーム31,32は、一方向(
図1Bの左右方向)に沿って延在し、互いに離間して平行に配置される。また、クロスメンバ33~35は、サイドフレーム31,32の離間方向(
図1Bの上下方向)において一対のサイドフレーム31,32を連結する。なお、サイドフレーム31,32の延在方向は電池ケース支持構造1が車両2に搭載された状態において車両前後方向に一致し、サイドフレーム31,32の離間方向は車両幅方向に一致する。以下では、サイドフレーム31,32の延在方向を「車両前後方向」とも称し、前記離間方向を「車両幅方向」とも称す。
【0016】
第1クロスメンバ33、第2クロスメンバ34及び第3クロスメンバ35は、車両前後方向における車両前方側(
図1B及び
図1Dの左側)からこの順に配置される。
図1Bに示すように、車両用フレーム部材3の平面視において、サイドフレーム31,32、第1クロスメンバ33及び第2クロスメンバ34により1つの枠が形成される。また、
図1B~
図1Dに示すように、車両用フレーム部材3の平面視において、サイドフレーム31,32、第2クロスメンバ34及び第3クロスメンバ35によりもう1つの枠が形成される。
【0017】
一対のサイドフレーム31,32は、それぞれ、一直線状に延在する。特に、サイドフレーム31,32は、特定の方向(本実施形態では側面)から見たときに直線状である。
サイドフレーム31,32の延在方向に直交する断面形状は、
図2、
図4等に示すように略B字状である。具体的には、サイドフレーム31は、当該サイドフレーム31の延在方向に沿って延在する1つの縦壁部31aと、縦壁部31aの一方の側面側において上下に位置し、前記延在方向に沿って延在する2つの突部31b,31cと、を備える。同様に、サイドフレーム32は、当該サイドフレーム32の延在方向に沿って延在する1つの縦壁部32aと、縦壁部32aの一方の側面側において上下に位置し、前記延在方向に沿って延在する2つの突部32b,32cと、を備える。なお、サイドフレーム31の2つの突部31b,31cは、本実施形態のように互いに上下に離間していてもよく、互いにくっついていてもよい。サイドフレーム32の2つの突部32b,32cについても同様である。また、車両左側のサイドフレーム31は、2つの突部31b,31cが車両内側(すなわち、車両右側)を向くように配置されている。また、車両右側のサイドフレーム32は、2つの突部32b,32cが車両内側(すなわち、車両左側)を向くように配置されている。ここでいう車両右側及び車両左側は、車両用フレーム部材3が車両2に搭載された状態においてそれぞれ車両右側及び車両左側に相当する側である。なお、サイドフレーム31,32は、1部品(1本のフレーム)としてそれぞれ構成されている。
【0018】
サイドフレーム31,32の上面は平面に形成されている。後述するとおり、サイドフレーム31,32の上面には電池ケース4のロアカバー41の外周縁部41c(
図4参照)が載置される。このように、サイドフレーム31,32の上面が電池ケース4を支持する支持面の一部を構成する。
【0019】
図1B等に示すように、車両左側のサイドフレーム31には3つの固定具311~313が設けられる。固定具311は、サイドフレーム31の車両前方側端部に設けられる。固定具311は、サイドフレーム31を、
図8に示すフロアサイドメンバ202に固定するための部品である。
【0020】
ここで、車両2には、一対のフロアサイドメンバ201,202と複数のフロアクロスメンバ203,203,・・・とが設けられる。一対のフロアサイドメンバ201,202は、車両前後方向に延在する。複数のフロアクロスメンバ203,203,・・・は、一対のフロアサイドメンバ201,202を車幅方向に連結する。フロアサイドメンバ201,202及びフロアクロスメンバ203,203,・・・は、車体側の骨格を構成する骨格部材である。なお、
図8では、電池ケース支持構造1の組付け位置が破線により示されている。
【0021】
固定具312は、サイドフレーム31の延在方向中央部よりもやや車両後方側の位置に設けられる。固定具312は、サイドフレーム31をフロアサイドメンバ202に固定するための部品である。固定具313は、サイドフレーム31の車両後方側端部に設けられる。固定具313は、サイドフレーム31をフロアサイドメンバ202に固定するための部品である。
【0022】
同様に、
図1B等に示すように、車両右側のサイドフレーム32にも3つの固定具321~323が設けられる。なお、サイドフレーム31,32を含む車両用フレーム部材3は、フロアサイドメンバ201,202及び複数のフロアクロスメンバ203,203,・・・の下方からこれらの部材201,202,203,203,・・・に吊り下げられる形で固定される。
【0023】
また、
図1B、
図2等に示すように、サイドフレーム31,32の延在方向中央部よりもやや車両後方側の位置にはサスペンションのアッパーアーム(図示省略)を支持するためのアーム支持部314,324がそれぞれ設けられている。
【0024】
また、サイドフレーム31,32には、
図1D、
図2、
図5等に示すように、車両前後方向に延在する板状のプロテクタ315,325が設けられている。具体的には、サイドフレーム31,32における第1クロスメンバ33と第2クロスメンバ34との間の部分にプロテクタ315,325が設けられている。プロテクタ315,325は、サイドフレーム31,32の下部から露出した電池ケース4の下部を保護するための部材である。
【0025】
一方、第1クロスメンバ33は、車幅方向に延在する直線状のフレームである。第1クロスメンバ33は、サイドフレーム31,32の車両前方側の端部においてサイドフレーム31,32を連結する。具体的には、第1クロスメンバ33の延在方向の両端面と、一対のサイドフレーム31,32の車両前方側の端部の内側の面と、が当接している。
【0026】
第1クロスメンバ33の延在方向に直交する断面形状は、
図3に示すように略B字状である。具体的には、第1クロスメンバ33は、当該第1クロスメンバ33の延在方向に沿って延在する1つの縦壁部33aと、縦壁部33aの一方の側面側において上下に位置し、前記延在方向に沿って延在する2つの突部33b,33cと、を備える。なお、2つの突部33b,33cは、本実施形態のように互いに上下に離間していてもよく、互いにくっついていてもよい。また、第1クロスメンバ33は、2つの突部33b,33cが内側(すなわち、車両後方側)を向くように配置されている。
【0027】
第1クロスメンバ33の上面は平面に形成されている。後述するとおり、第1クロスメンバ33の上面に電池ケース4のロアカバー41の外周縁部41cが載置される。つまり、第1クロスメンバ33の上面が電池ケース4を支持する支持面の一部を構成する。
【0028】
また、
図1Bに示すように、第1クロスメンバ33の延在方向の中央部には固定具331が設けられる。固定具331を介して
図8に示すように第1クロスメンバ33がフロアクロスメンバ203に固定される。
【0029】
また、第1クロスメンバ33には、
図1Aに示すように、車幅方向に延在する板状のプロテクタ332が設けられている。具体的には、第3クロスメンバ35における一対のサイドフレーム31,32の間の部分にプロテクタ315,325が設けられている。プロテクタ332は、第3クロスメンバ35の下部から露出した電池ケース4の下部を保護するための部材である。なお、第1クロスメンバ33並びに後述する第2クロスメンバ34及び第3クロスメンバ35は、1部品(1本のフレーム)としてそれぞれ構成されている。
【0030】
図1B、
図1D、
図2等に示す第2クロスメンバ34は、車幅方向に延在する直線状のフレームである。第2クロスメンバ34は、サイドフレーム31,32の延在方向の中央部よりもやや車両後方側の位置でサイドフレーム31,32を連結する。第2クロスメンバ34は、
図1Bに示すように、一対のサイドフレーム31,32の車幅方向の外側の側面の間隔よりもやや長い。
【0031】
第2クロスメンバ34の延在方向に直交する断面形状は、
図3に示すようにU字状である。第2クロスメンバ34は、U字の開口の両縁部が一対のサイドフレーム31,32の下面に当接するように配置される。第2クロスメンバ34のU字の開口をサイドフレーム31,32の底面で塞いで形成される車幅方向の開口には、図示省略するサスペンションのロアアームが挿入される。サスペンションアームを介して車輪(本実施形態では後輪)が設けられる。なお、第2クロスメンバ34は、サイドフレーム31,32に溶接で接合されている。
【0032】
第3クロスメンバ35は、車幅方向に延在する直線状のフレームである。第3クロスメンバ35は、サイドフレーム31,32の車両後方側の後端部において一対のサイドフレーム31,32を連結する。第3クロスメンバ35は、一対のサイドフレーム31,32の車幅方向の外面(側面)の間隔よりもやや長い。
【0033】
第3クロスメンバ35の延在方向に直交する断面形状は、
図3に示すようにU字状である。第3クロスメンバ35は、U字の開口が一対のサイドフレーム31,32の下面に当接するように配置される。なお、第3クロスメンバ35は、サイドフレーム31,32に溶接で接合されている。
【0034】
また、第3クロスメンバ35の延在方向の中央部には、
図1C、
図1D等に示す被釣支具351が設けられる。被釣支具351は、車幅方向に延在し、延在方向に直交する断面形状がU字状である板状の部材である。被釣支具351の車幅方向の長さは第3クロスメンバ35の車幅方向の長さよりも短い。被釣支具351は、U字の開口の両縁部が第3クロスメンバ35の下部に当接するように設けられる。また、被釣支具351のU字の開口を第3クロスメンバ35の底面で塞いで形成される車幅方向外側の開口には、図示省略するサスペンションのロアアームが挿入される。
【0035】
このように、一対のサイドフレーム31,32、第2クロスメンバ34及び第3クロスメンバ35は、車両後方側のサスペンションフレームとして機能するサスペンションフレーム部である。
【0036】
なお、
図1A~
図1D、
図2等に示すように、車両用フレーム部材3の側面視において、一対のサイドフレーム31,32と第1クロスメンバ33とは略同じ高さに配置される。一方、第2クロスメンバ34及び第3クロスメンバ35は、一対のサイドフレーム31,32及び第1クロスメンバ33よりもやや下方に配置される。後述のとおり、電池ケース4は、一対のサイドフレーム31,32及び第1、第2及び第3クロスメンバ33~35の上面によって支持される。
<電池ケース4>
次に、電池ケース4について説明する。
図1D、
図3、
図4等に示すように、電池ケース4はロアカバー41とアッパーカバー42とを備える。
【0037】
ロアカバー41は、箱形の上部が開口した箱状に形成されている。具体的には、ロアカバー41は、底面部41aと、底面部41aの外周縁から底面部41aに対して角度をもって延びる側面部41bと、側面部41bに連なる平板状の外周縁部41cとを備える。
【0038】
一方、アッパーカバー42は、箱形の下部が開口した箱状に形成されている。具体的には、アッパーカバー42は、上面部42aと、上面部42aの外周縁から上面部42aに対して角度をもって延びる側面部42bと、側面部42bに連なる平板状の外周縁部42cとを備える。アッパーカバー42の外周縁部42cは、ロアカバー41の外周縁部41cにボルト等の締結部材を用いて複数箇所で固定される。ロアカバー41とアッパーカバー42とが固定されることで、ロアカバー41及びアッパーカバー42の内部に密封空間が形成される。なお、
図1Bに示すように、平面視において、アッパーカバー42は、アーム支持部314,324近傍の部分が車幅方向内側に窪んだ形状を有している。
【0039】
図3、
図5~
図7に示すように、ロアカバー41には電池モジュール5が搭載される。電池モジュール5は、二次電池(リチウムイオンバッテリ等)による複数の電池セル51が並べられた集合体構造を備える。電池モジュール5は、厚みが薄い直方体形状の電池セル51を構成単位として有する。具体的には、複数個の電池セル51は、
図3に示すように起立した状態で厚み方向に並べて配置される。これにより車両の前後方向に電池セル51の列が形成される。そして、
図5~
図7に示すように同様の電池セル51の列を車幅方向に複数列(本実施形態では4列)整列させることで、電池モジュール5が構成される。
【0040】
電池モジュール5がロアカバー41に搭載された状態で、ロアカバー41の外周縁部41cとアッパーカバー42の外周縁部42cとを固定することで電池モジュール5が電池ケース4内に収容される。そして、ロアカバー41の外周縁部41cの下面が一対のサイドフレーム31,32及びクロスメンバ33~35の上面に載置されることで電池ケース4が支持される。
【0041】
なお、電池ケース4が車両用フレーム部材3に支持された状態において、
図3に示すように、電池モジュール5は車両前後方向において第1クロスメンバ33から第2クロスメンバ34までの範囲に位置する。また、電池モジュール5は、一対のサイドフレーム31,32及び第1クロスメンバ33によってその外周が包囲される。つまり、一対のサイドフレーム31,32、第1クロスメンバ33及び第2クロスメンバ34が、電池ケース4を支持するとともに電池ケース4を保護する電池保護フレーム部である。
【0042】
[2.効果]
以上詳述した実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1)本実施形態では、車両用フレーム部材3は、サスペンションフレームとして機能するサスペンションフレーム部として一対のサイドフレーム31,32、第2クロスメンバ34及び第3クロスメンバ35を備える。また、車両用フレーム部材3は、電池保護フレーム部として一対のサイドフレーム31,32、第1クロスメンバ33及び第2クロスメンバ34を備える。そして、サスペンションフレーム部と電池保護フレーム部とが一体化されている。
【0043】
したがって、サスペンションフレームと電池保護フレームとが一体化されておらず、個別に車体に組み付けなければならない構成と比較して、サスペンションフレームと電池保護フレームとを車体に組み付ける際に組付け作業を容易化できる。さらには、構成部材を減らしたり車体に組み付ける際の締結点数を減らしたりすることができるため、車両用フレーム部材3を軽量化し、原価を低減することができる。また、サスペンションフレーム及び電池保護フレームが占めるスペースを少なくできる。
【0044】
(2)本実施形態では、電池ケース4を支持する支持面であるサイドフレーム31,32及び第1クロスメンバ33の上面は平面である。
したがって、前記支持面に支持されるロアカバー41の外周縁部41cを前記支持面が平面であることに対応して板状に形成できる。また、ロアカバー41の外周縁部41cの形状に対応してアッパーカバー42の外周縁部42cも板状に形成できる。よって、ロアカバー41及びアッパーカバー42の外周縁部41c,42cの突き合わせ面を平面に形成できる。このため、ロアカバー41及びアッパーカバー42の面合わせが容易になり、電池ケース4の密封性を向上できる。
【0045】
(3)本実施形態では、サスペンションフレーム部の一部であるサイドフレーム31は、縦壁部31aと2つの突部31b,31cとを備えるフレームを用いて構成されている。同様に、サイドフレーム32は、縦壁部32aと2つの突部32b,32cとを備えるフレームを用いて構成されている。同様に、第1クロスメンバ33は、縦壁部33aと2つの突部33b,33cとを備えるフレームを用いて構成されている。
したがって、サイドフレーム及び第1クロスメンバが前記形状のフレームを用いて構成されていない場合と比較して、側方からの衝撃に対して強度面で優れ、安価かつ軽量な車両用フレーム部材3を提供できる。
【0046】
(4)本実施形態では、一対のサイドフレーム31,32は、特定の方向から見た場合に一直線状である。具体的には、サイドフレーム31,32は、車両用フレーム部材3を側方から見た場合にも一直線状である。加えて、サイドフレーム31,32は、車両用フレーム部材3を上方から見た場合に一直線状である。
【0047】
したがって、一対のサイドフレーム31,32が車両用フレーム部材3を上方又は側方から見た場合に一直線状でない場合(湾曲している場合等)と比較して、車両用フレーム部材3の成形を容易に行うことができる。
【0048】
(5)本実施形態では、サイドフレーム31,32及びクロスメンバ33~35の各部材はいずれも1部品で構成されている。したがって、これらの部材31~35の少なくとも1つの部材が複数部品から構成されている場合と比較して、車両用フレーム部材3を軽量化できる。また、部品点数を減らせるため、車両用フレーム部材の製造コストを低減できる。
【0049】
なお、本実施形態では、サイドフレーム31,32、第2クロスメンバ34及び第3クロスメンバ35がサスペンションフレーム部に相当し、サイドフレーム31,32、第1クロスメンバ33及び第2クロスメンバ34が電池保護フレーム部に相当し、サイドフレーム31,32及び第1クロスメンバ33の上面が電池保護フレーム部における電池ケースを支持する支持面に相当する。
【0050】
[3.他の実施形態]
以上、本開示を実施するための形態について説明したが、本開示は上述の実施形態に限定されることなく、種々変形して実施することができる。
【0051】
(1)上記実施形態では、電池ケース4を支持する支持面を構成する、サイドフレーム31,32及び第1クロスメンバ33の上面は平面であるが、当該上面(ひいては支持面)の形状はこれに限られない。例えば、支持面は湾曲面であってもよい。
【0052】
(2)上記実施形態では、サイドフレーム31,32は車両用フレーム部材3の上方及び側方の両方から見て一直線状であるが、サイドフレームの形状はこれに限られない。
例えば、サイドフレームは、
図9の破線で示すように、車両用フレーム部材の側方から見て一直線状であれば上方から見て湾曲した形状であってもよい。また例えば、サイドフレームは、
図10の破線で示すように、車両用フレーム部材の上方から見て一直線状であれば側方から見て湾曲した形状であってもよい。これらの場合も、サイドフレームは、特定の方向(上方又は側方)から見て一直線状である。なお、サイドフレームは、いずれの方向から見ても一直線状でなくてもよい。
【0053】
(3)サイドフレーム31,32及び第1クロスメンバ33の構成は上記実施形態のものに限られない。
例えば、サイドフレーム及び第1クロスメンバは、一部品で成形されていれば以下の構成であってもよい。すなわち、サイドフレーム及び第1クロスメンバは、
図11Aに示すような断面形状が円状(楕円又は真円状)の管状部材(例えば鋼管)であってもよい。また例えば、サイドフレーム及び第1クロスメンバは、
図11Bに示すような、UO曲げ成形で加工された、断面形状が一部が欠けた略O字状である管状部材であってもよい。また例えば、サイドフレーム及び第1クロスメンバは、
図11Cに示すような、押出成形で加工された、2つの平行な仕切り壁61,62を内部に備える管状部材であってもよい。仕切り壁は複数設けられてもよい。同様に、第2及び第3クロスメンバの断面形状等も上記実施形態のものに限られない。
【0054】
(4)上記実施形態では、サイドフレーム31,32及びクロスメンバ33~35は互いに別部材であるが、車両用フレーム部材の構成はこれに限られない。例えば、一対のサイドフレーム及び複数のクロスメンバのうちの少なくとも2つが一体成形されていてもよい。例えば、一対のサイドフレーム及び複数のクロスメンバの全てが一体成形されていてもよく、また例えば、一対のサイドフレームと複数のクロスメンバの一部(例えば第1クロスメンバのみ)とが一体成形されていてもよい。
【0055】
(5)上記実施形態において、各部材31~35は、1つの部品(1本のフレーム)ではなく複数部品から構成されていてもよい。特に、サスペンションフレーム部として機能するフレームと、電池保護フレーム部として機能するフレームと、が別部品として構成され、当該別部品を互いに固定することでサスペンションフレーム部及び電池保護フレーム部が一体化されていてもよい。
【0056】
(6)上記実施形態では、電池保護フレームと車両後方側のサスペンションフレームとが一体化された車両用フレーム部材3を例示したが、車両用フレーム部材3はこれに限られない。例えば、車両用フレーム部材は、電池保護フレームと車両前方側のサスペンションフレームとが一体化されたフレーム部材であってもよい。
(7)上記実施形態では、サイドフレーム31は固定具311~313を介してフロアサイドメンバ202に固定されるが、サイドフレーム31が固定される部材はこれに限られない。例えば、サイドフレーム31は、固定具311~313を介してフロアクロスメンバ203に固定されてもよい。サイドフレーム32及び固定具321~323についても同様である。
【0057】
(8)上記実施形態における1つの構成要素が有する複数の機能を、複数の構成要素によって実現したり、1つの構成要素が有する1つの機能を、複数の構成要素によって実現したりしてもよい。また、複数の構成要素が有する複数の機能を、1つの構成要素によって実現したり、複数の構成要素によって実現される1つの機能を、1つの構成要素によって実現したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加又は置換してもよい。なお、特許請求の範囲に記載した文言によって特定される技術思想に含まれるあらゆる態様が本開示の実施形態である。
【符号の説明】
【0058】
1…電池ケース支持構造、2…車両、3…車両用フレーム部材、4…電池ケース、
5…電池モジュール、31,32…サイドフレーム、33~35…クロスメンバ、
41…ロアカバー、42…アッパーカバー、51…電池セル。