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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-10
(45)【発行日】2023-01-18
(54)【発明の名称】インターホンシステム
(51)【国際特許分類】
   H04M 9/00 20060101AFI20230111BHJP
【FI】
H04M9/00 D
H04M9/00 H
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019060098
(22)【出願日】2019-03-27
(65)【公開番号】P2020162012
(43)【公開日】2020-10-01
【審査請求日】2021-11-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000100908
【氏名又は名称】アイホン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136630
【弁理士】
【氏名又は名称】水野 祐啓
(74)【代理人】
【識別番号】100201514
【弁理士】
【氏名又は名称】玉井 悦
(72)【発明者】
【氏名】矢代 智也
(72)【発明者】
【氏名】溝邊 廉
【審査官】田畑 利幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-004207(JP,A)
【文献】特開2017-175225(JP,A)
【文献】特開2009-278314(JP,A)
【文献】特開2019-102882(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04M 9/00- 9/10
H04M 11/00-11/10
G06Q 10/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
住戸の玄関に設けられた玄関子機と、前記玄関子機からの呼び出しに居住者が応答する居室親機と、前記住戸に荷物を配送するための配送先情報を管理する管理サーバと、前記管理サーバから前記配送先情報を受信する情報端末と、を備え、
前記配送先情報が、前記居室親機に関する居室親機情報を含み、
前記情報端末が、外部ネットワークを介して居住者の在宅を確認するために前記居室親機を呼び出す配送確認手段を含むことを特徴とするインターホンシステム。
【請求項2】
前記配送確認手段が、前記居室親機に呼出信号を送信する請求項1に記載のインターホンシステム。
【請求項3】
前記玄関子機が、来訪者が居住者を呼び出す呼出手段を含み、
前記配送確認手段が、前記玄関子機に呼出信号を送信し、
前記呼出手段が、前記呼出信号を前記居室親機に中継する請求項1に記載のインターホンシステム。
【請求項4】
前記居室親機が、前記呼出手段からの呼び出しを出力する出力手段を含み、
前記出力手段は、前記配送確認手段からの呼び出しを前記呼出手段からの呼び出しと識別可能に出力する請求項に記載のインターホンシステム。
【請求項5】
前記居室親機は、前記配送確認手段による呼び出しに居住者が応答する応答手段を含み、
前記情報端末は、前記呼出信号を送信した後、所定の時間が経過する前までに前記応答手段からの応答が無かった場合に、不在連絡情報を前記居室親機に送信する不在連絡情報送信手段を含む、請求項3または4に記載のインターホンシステム。
【請求項6】
前記不在連絡情報が、再配送に関する情報を含む再配送情報を含み、
前記居室親機は、前記再配送情報に基づいて居住者が再配送を依頼する再配送依頼手段を含む請求項5に記載のインターホンシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、宅配業者が遠隔から配送確認をすることができるインターホンシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、宅配業者が荷物を配送する際には、配送先の住戸に訪問し、インターホンで居住者を呼び出し、応答した居住者に荷物を引き渡すことが慣行されている。例えば、特許文献1には、宅配業者がインターホンで居住者を呼び出したときに、居住者が宅配業者のなりすましの有無を確認できる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特願2009-17140号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の技術によれば、居住者が在宅していない場合、宅配業者が、配送車から降車し、住戸の玄関まで移動し、玄関子機を操作して居室親機の応答を待つ手間が全て無駄となるという問題があった。特に、居住者の不在が連続した場合には、多大な時間ロスを招くという問題もあった。
【0005】
そこで、本発明の目的は、居住者が不在であっても宅配業者の手間や時間ロスを低減することができるインターホンシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のインターホンシステムは、住戸の玄関に設けられた玄関子機と、玄関子機からの呼び出しに居住者が応答する居室親機と、住戸に荷物を配送するための配送先情報を管理する管理サーバと、管理サーバから配送先情報を受信する情報端末と、を備え、配送先情報が、居室親機に関する居室親機情報を含み、情報端末が、外部ネットワークNを介して居住者の在宅を確認するために居室親機を呼び出す配送確認手段を含むことを特徴とする。
【0007】
このとき、配送確認手段は、居室親機に呼出信号を送信しても、玄関子機に呼出信号を送信してもよい。玄関子機に呼出信号を送信する場合には、玄関子機が来訪者が居住者を呼び出す呼出手段を含み、配送確認手段が、玄関子機に呼出信号を送信し、呼出手段が、呼出信号を居室親機に中継する。
【0008】
また、居室親機が、呼出手段からの呼び出しを出力する出力手段を含み、出力手段は、配送確認手段からの呼び出しを呼出手段からの呼び出しと識別可能に出力することが好ましい。
【0009】
その他、居室親機は、配送確認手段による呼び出しに居住者が応答する応答手段を含み、情報端末は、呼出信号を送信した後、所定の時間が経過する前までに応答手段からの応答が無かった場合に、不在連絡情報を居室親機に送信する不在連絡情報送信手段を含むように構成しても良い。
【0010】
この場合には、不在連絡情報が、再配送に関する情報を含む再配送情報を含み、居室親機は、再配送情報に基づいて居住者が再配送を依頼する再配送依頼手段を含むことが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明のインターホンシステムによれば、宅配業者は、情報端末から配送先住戸の居室親機に配送確認を実施できるため、配送先が不在の場合に、配送車から降りて玄関口まで出向いたり、不在連絡票をポストに入れたりする不在確認の手間を省くことが可能となり、配送時間全体を削減することができるという効果がある。また、既存のインターホンシステムを利用して配送確認を実施できるため、導入コストを抑えることができるという効果も有する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態を示すインターホンシステムの概略図である。
図2図1のインターホンシステムの構成を示すブロック図である。
図3】(a)配送先情報を示す表、(b)配送先選択画面の模式図である。
図4】(a)配送確認中画面、(b)配送確認画面の模式図である。
図5】(a)配送可能画面、(b)配送不可画面の模式図である。
図6】(a)不在連絡票表示画面、(b)再配送依頼画面の模式図である。
図7】インターホンシステムの処理の流れを示すフローチャートである。
図8】インターホンシステムの構成の変形例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を住戸のインターホンシステムに具体化した一実施形態を図面に基づいて説明する。図1,2に示すように、この実施形態のインターホンシステム1は、住戸6の玄関に設けられた玄関子機2と、玄関子機2からの呼び出しに居住者P2が応答する居室親機3と、住戸6に荷物を配送するための配送先情報44を管理する管理サーバ4と、管理サーバから配送先情報44を受信する情報端末5から構成される。
【0014】
玄関子機2と居室親機3は専用回線によって接続され、映像情報や音声情報等の各種情報を送受信することが可能である。また、来訪者が玄関子機2の呼出ボタン27が押下し、居住者が居室親機3を操作して呼び出しに応答すると、通話路が形成されて双方向の通話が可能となる。
【0015】
管理サーバ4は、インターネット等の外部ネットワークNを介して居室親機3および情報端末5と接続されている。また、情報端末5は、インターネット等の外部ネットワークNおよび基地局Aを介して玄関子機2および居室親機3と接続されている。
【0016】
玄関子機2は、居室親機3との通話手段としてのマイク23およびスピーカ24と、来訪者が居住者P2を呼び出す呼出手段としての呼出ボタン27と、来訪者を撮影するカメラ(図示なし)と、玄関子機2を制御する制御部としてのCPU21と、他装置と情報を送受信するためのインターフェース22から構成される。
【0017】
居室親機3は、玄関子機2との通話手段としてのマイク33およびスピーカ34と、来訪者や各種メニュー等を表示するモニタ35と、情報端末5からの配送確認に居住者が応答するための応答部36と、情報端末5から不在連絡情報を受信した場合に、居住者P2が管理サーバ4または情報端末5に再配送を依頼するための再配送依頼部37と、居室親機3を制御する制御部としてのCPU31と、他装置と情報を送受信するためのインターフェース32から構成される。また、居室親機3には、応答部36および再配送依頼部37として機能する配送用アプリ38がインストールされている。
【0018】
このとき、居室親機3のスピーカ34は、情報端末5の配送確認部56が発信した呼出信号を受信した場合には、来訪者が玄関子機2の呼出ボタン27を押下して居住者P2を呼び出す場合と異なる呼出音を出力する。このため、居住者P2は、容易に来訪者と宅配業者P1からの配送確認とを識別することができる。
【0019】
管理サーバ4は、配送先情報44を記憶する記憶部43と、管理サーバ4を制御する制御部としてのCPU41と、他装置と情報を送受信するためのインターフェース42から構成される。
【0020】
情報端末5は、通話手段としてのマイク53およびスピーカ54と、各種メニュー等を表示するモニタ55と、居住者の在宅を確認するために居室親機3を呼び出す配送確認部56と、居室親機3の応答部36から応答が無かった場合に不在連絡情報を送信する不在連絡情報送信部57と、情報端末5を制御する制御部としてのCPU51と、他装置と情報を送受信するためのインターフェース52から構成される。また、情報端末5には、配送確認部56、不在連絡情報送信部57として機能する配送用アプリ58がインストールされている。なお、情報端末5としては、宅配業者P1が携帯する携帯電話、スマートフォン、タブレット等の携帯情報端末を選択できる。
【0021】
配送先情報44は、図3(a)に示すように、配送先の宛名、住所、電話番号等の他、居室親機3に関する居室親機情報として、居室親機ID、居室親機IPアドレス等を含むことが可能である。
【0022】
図3(b)は、情報端末5のモニタ55に表示される配送先選択画面11である。モニタ55としてはタッチパネルが好ましく採用でき、宅配業者P1が配送先「阿部」をタッチすると、配送確認部56は、図5(a)に示すように、モニタ55に配送確認中画面12を表示し、配送先「阿部」に紐づく居室親機IPアドレス情報を用いて、配送先の居室親機3を呼び出す。
【0023】
図4(b)は、居室親機3のモニタ35に表示される配送確認画面13である。モニタ35としてはタッチパネルが好ましく採用でき、居住者P2が「在宅」をタッチすると、応答部36は、情報端末5に応答を送信する。
【0024】
図5は情報端末5のモニタ55に表示された配送確認結果である。図5(a)に示す配送可能画面は、居住者P2が在宅の場合を表し、図6(b)に示す配送不可画面15は、居住者P2が不在の場合を表す。配送可能の判断は、配送確認部56が居室親機3を呼び出してから所定の時間内に居室親機3から応答があった場合に配送可能と判断し、それ以外の場合は配送不可と判断する。ここで、所定の時間は、配送用アプリ58を用いて、例えば10分と設定することができる。また、配送不可と判断した場合には、配送確認部56は自動的に居室親機3に不在連絡情報を送信する。
【0025】
図6(a)は、居室親機3のモニタ35に表示される不在連絡票画面16である。不在連絡票画面16は、情報端末5の配送確認部56から受信した不在連絡情報に基づいて表示される。不在連絡情報は、例えば、配送確認部56が居室親機3を呼び出した日時等を含む。
【0026】
図7(b)は、居室親機3のモニタに表示される再配送依頼画面17である。再配送依頼画面17は、情報端末5の配送確認部56から受信した不在連絡情報に基づいて表示される。不在連絡情報は、上述の居室親機3を呼び出した日時の他、再配送可能な日付や時間帯等も含む。
【0027】
次に、上記構成のインターホンシステム1の動作について図7に基づいて説明する。まず、配送確認部56は、管理サーバ4から配送先情報44を読み出し、配送先選択画面11を表示する(S1)。宅配業者P1が配送先を選択すると、配送確認部56は、情報端末5に配送確認中画面12を表示するとともに、居室親機3に呼出信号を送信する(S2)。
【0028】
情報端末5から呼出信号を受信した居室親機3の応答部36は、モニタ35に配送確認画面13を表示する。そして、居住者P2が所定の時間内に居室親機3から応答操作を行った場合(S3:Yes)、居室親機3の応答部36は、情報端末5に応答を送信し、情報端末5の配送確認部56は、配送可能画面14を表示して(S4)、処理を終了する。
【0029】
一方、応答操作が行われず所定の時間が経過した場合(S3:No)、情報端末5の配送確認部56は、配送不可画面15を表示するとともに自動的に居室親機3に不在連絡情報を送信する(S5)。
【0030】
不在連絡情報を受信した居室親機3の再配送依頼部37は、不在連絡票画面16を表示する(S6)。居住者P2が不在連絡票を確認して「再配達依頼」をタッチすると、再配送依頼部37は、不在連絡情報に基づいて再配送依頼画面17を表示する。居住者P2が再配達日時を選択して「送信」をタッチすると、再配送依頼部37は、管理サーバ4または情報端末5に再配達依頼を送信し(S7)、処理を終了する。
【0031】
本発明のインターホンシステムによれば、宅配業者P1は、情報端末5から遠隔で配送先住戸の居室親機3に配送確認を実施できるため、居住者が不在の場合には玄関先に出向いて不在連絡票を投函する手間を省き、配送時間のロスを削減することができるという効果がある。また、既存のインターホンシステム1を用いて居住者P2の在宅を確認するため、導入コストを削減できるという効果も有する。
【0032】
図8に、本願発明についての変形例を示す。この例では、玄関子機2に、情報端末5から受信した呼出信号を居室親機3に中継する中継部26を含む。中継部26では、来訪者が玄関子機2の呼出ボタン27を押下した場合に居室親機3を呼び出す既存の機能を利用して中継処理を実施する。また、玄関子機2には、中継部26として機能する配送用アプリ28がインストールされている。さらに、この例では、配送先情報44は、居室親機ID、居室親機IPアドレス等に代えて、玄関子機ID、玄関子機IPアドレス等を含むように構成する。
【0033】
本変形例のインターホンシステム1では、情報端末5の配送確認部56は、管理サーバ4から配送先情報44を読み出し、宅配業者P1が配送用アプリ58で宛名を指定すると、該宛名に紐づく玄関子機IPアドレス情報を用いて、配送先の玄関子機2に呼出信号を送信する。呼出信号を受信した玄関子機2の中継部26は、呼出信号を居室親機3に中継する。以上のように構成した場合には、玄関子機2に既存の機能を利用して居室親機3を呼び出すことができるため、開発コストを削減することが可能となる。
【0034】
その他、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で、各部の構成を任意に変更して実施することも可能である。例えば、配送用アプリ28,38,58を一のファイルに纏めても、別々のファイルに設けることも可能である。
【符号の説明】
【0035】
1 インターホンシステム
2 玄関子機
3 居室親機
4 管理サーバ
5 情報端末
6 住戸
11 配送先選択画面
12 配送確認中画面
13 配送確認画面
14 配送可能画面
15 配送不可画面
16 不在連絡票画面
17 再配送依頼画面
21,31,41,51 CPU
22,32,42,52 インターフェース
23,33,53 マイク
24,34,54 スピーカ
35,35 モニタ
26 中継部
27 呼出ボタン
28 配送用アプリ
36 応答部(a:ボタン)
37 再配達依頼部
38 配送用アプリ
43 記憶部
44 配送先情報
56 配送確認部
57 不在連絡情報送信部
58 配送用アプリ
P1 宅配業者
P2 居住者
N 外部ネットワーク
A 基地局
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8