(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-10
(45)【発行日】2023-01-18
(54)【発明の名称】ヘアケア組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/46 20060101AFI20230111BHJP
A61K 8/49 20060101ALI20230111BHJP
A61K 8/44 20060101ALI20230111BHJP
A61K 8/73 20060101ALI20230111BHJP
A61Q 5/02 20060101ALI20230111BHJP
【FI】
A61K8/46
A61K8/49
A61K8/44
A61K8/73
A61Q5/02
(21)【出願番号】P 2019535380
(86)(22)【出願日】2018-01-09
(86)【国際出願番号】 EP2018050423
(87)【国際公開番号】W WO2018134080
(87)【国際公開日】2018-07-26
【審査請求日】2020-11-09
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2017/071774
(32)【優先日】2017-01-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(32)【優先日】2017-03-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】521042714
【氏名又は名称】ユニリーバー・アイピー・ホールディングス・ベスローテン・ヴェンノーツハップ
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100182132
【氏名又は名称】河野 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】リー,ジェンロン
(72)【発明者】
【氏名】リュー,ジアン
(72)【発明者】
【氏名】パン,シュエミャオ
(72)【発明者】
【氏名】スブラマニアン,ラグパティ
【審査官】片山 真紀
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/164139(WO,A1)
【文献】ID 2190775,DATABASE GNPD [ONLINE],MINTEL,2014年01月
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00-8/99、31/33-44
A61Q 1/00-90/00
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)5~15重量%のココイルイソエチオン酸ナトリウム(sodium cocoyl isoethionate)および0.1~5重量%のラウリルスルホ酢酸ナトリウム、ならびに
(ii)クリンバゾー
ルであるアゾール化合物から選択される抗菌活性物質
を含むヘアケア組成物。
【請求項2】
0.01~5%の前記アゾール化合物を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
オクトピロックスをさらに含む、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
前記オクトピロックスを0.01%~5%含む、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
ベタイン界面活性剤をさらに含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記ベタイン界面活性剤がココアミドプロピルベタインである、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
アルキル硫酸塩および/またはエトキシル化アルキル硫酸塩アニオン性界面活性剤をさらに含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
カチオン変性ポリマーを含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記カチオン変性ポリマーがカチオン変性グアーまたはカチオン変性セルロースである、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
前記カチオン変性グアーがグアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリドである、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
シャンプーである、請求項1から10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
アゾール化合物から選択される抗菌活性物質を所望の頭皮表面に付着させる方法であって、請求項1から11のいずれか一項に記載の組成物を前記所望の表面に適用した後、前記表面を水ですすぐ工程を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はパーソナルケア組成物、より詳細には、硫酸界面活性剤を実質的に含まないシャンプー組成物に関する。本発明における特定の界面活性剤の賢明な組み合わせは、アゾール化合物のような抗菌活性物質の付着を増強し、同時により高い殺菌力を発揮できることが見出された。
【背景技術】
【0002】
ヘアケア組成物は、一般に、洗浄利益もしくはコンディショニング利益またはその2つの組み合わせを提供する。このような組成物は、典型的には、望ましくない汚れ、粒子、および脂肪物質を含まない毛髪および頭皮の洗浄に一般的に役立つ1または複数の洗浄界面活性剤を含む。ヘアコンディショナーは、シャンプーで毛髪を洗浄した後、一般に濡れた状態で毛髪に使用される別の種類のヘアケア組成物である。シャンプーおよびコンディショニングの二重の利点を提供する組成物も知られている。
【0003】
さらに、ふけ防止利益は、ヘアケア組成物を介して提供されている。ふけは、世界中の多くの人々に影響を与える問題である。この状態は、頭皮から死んだ皮膚細胞の塊が脱落することによって現れる。これらは白色で、審美的に不快な外観を提供する。ふけに寄与する因子は、マラセチア属酵母の特定のメンバーである。これらに対抗するために、ふけ防止製品には、抗真菌活性を有する特定の亜鉛塩、例えば亜鉛ピリチオン(ZPTO)が含められてきた。そのような製品は、ふけの悪影響を軽減しながら、毛髪洗浄シャンプーとして機能しなければならない。公知の抗ふけ防止シャンプーの例は、ふけ防止剤と組み合わせてラウリルエーテル硫酸ナトリウム(エトキシル化アニオン性界面活性剤)を含む。ヘアケアに使用される典型的なふけ防止剤は、金属ピリチオン、例えば亜鉛ピリチオン(ZPTO)、オクトピロックス(ピロクトンオラミン)、アゾール抗菌剤(例えばクリンバゾール)、硫化セレンおよびその組み合わせである。
【0004】
ヘアシャンプーは一般にアニオン性界面活性剤を含み、ほとんどのシャンプーは現在硫酸界面活性剤を含む。最も普及している界面活性剤の組み合わせ(入手可能性、洗浄効力および費用による)は、ラウリルエーテル硫酸ナトリウム(SLES)およびココアミドプロピルベタイン(CAPB)の組み合わせである。しかし、SLESのような硫酸界面活性剤は、長年にわたり、一部の消費者から一定の否定的な認識を持たれた。また、そのような化合物は一部の規制当局との間で将来的にいくつかの問題に直面する可能性があることが予想される。したがって、感覚性を損なうことなく同等の洗浄性を提供する代替の界面活性剤混合物を見出す傾向となってきた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者らは、過去に特定の高級シャンプーに使用されてきたココイルイセチオン酸ナトリウムとラウリルスルホ酢酸ナトリウムとの組み合わせに到達した。彼らは、驚くべきことに、この界面活性剤混合物(追加としてCAPBが組み合わされていてもよい)が、アゾール(オクトピロックスが含まれていてもよい)のような非粒子状抗菌活性物質の付着の増強を提供できることを見出した。付着の増強は、本発明における抗菌活性の増強とよく相関している。この付着の増強および抗菌性死滅は、ZPTOのような粒状活性物質には観察されないことが観察される。さらに、カチオン性付着ポリマー(カチオン性グアーまたはカチオン性セルロースなど)は付着の増強を得るために必要ではないが、そのようなポリマーを使用してもよいことが観察される。
【0006】
要約すると、本発明者らは、ココイルイセチオン酸ナトリウムとラウリルスルホ酢酸ナトリウムとの特定の組み合わせ(CAPBが組み合わされていてもよい)が、アゾール(オクトピロックスを含んでいてもよい)の抗菌活性物質の付着を増強できることを見出した。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様によれば、
0.1~30重量%のココイルイソエチオン酸ナトリウム(sodium cocoyl isoethionate)および0.1~10重量%のラウリルスルホ酢酸ナトリウム;ならびに
クリンバゾールまたはケトコナゾールであるアゾール化合物から選択される抗菌活性物質を含むヘアケア組成物が提供される。
【0008】
本発明の第2の態様によれば、第1の態様の組成物を所望の表面に適用した後、水で前記表面を洗浄する工程を含む、アゾール化合物から選択される抗菌活性物質を所望の頭皮表面に付着させる方法が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0009】
これらおよび他の態様、特徴および利点は、以下の詳細な説明および添付の特許請求の範囲を読むことにより、当業者には明らかになると思われる。疑念を避けるために、本発明の一態様の任意の特徴は、本発明の任意の他の態様において利用することができる。「含む(comprising)」という用語は、「含む(including)」を意味することを意図しているが、必ずしも「からなる(consisting of)」または「から構成される(composed of)」という意味を意図してはいない。言い換えれば、列挙された工程または選択肢は必ずしも網羅的ではない。以下の説明に示される実施例は、本発明を明確にすることを意図しており、本発明をそれらの実施例自体に限定する意図のものではないことに留意されたい。同様に、全てのパーセンテージは、他に指示がない限り重量/重量%である。操作および比較実施例を除いて、または他に明示されている場合を除いて、材料の量または反応の条件、材料および/または使用の物理的特性を示す、説明および特許請求の範囲における全ての数字は、「約」という用語によって修飾されると理解されるべきである。「xからy」の形式で表される数値範囲は、xおよびyを含むと理解される。特定の特徴について複数の好ましい範囲が「xからy」の形式で記載されている場合、異なる端点を組み合わせる全ての範囲も企図されることが理解されよう。言い換えれば、値の任意の範囲を指定する際に、任意の特定の上位値を任意の特定の下位値と関連付けることができる。
【0010】
本明細書に見られるような本発明の開示は、請求項が複数の従属性または冗長性なしに見出され得るという事実とは無関係に、相互に複数従属する請求項に見出される全ての実施形態をカバーすると考えられるべきである。
【0011】
特徴が本発明の特定の態様(例えば本発明の組成物)に関して開示されている場合、このような開示はまた、必要な変更を加えて本発明の任意の他の態様(例えば、本発明の方法)に適用されると考えられるべきである。
【0012】
本明細書で使用される「ヘアケア組成物」は、哺乳動物、特にヒトの毛髪および/または頭皮への局所適用のための組成物を含むことを意味する。このような組成物は、一般に、リーブオンまたはリンスオフとして分類することができ、また外観、クレンジング、臭気制御または一般的美観を改善するために人体に適用される任意の製品を含む。本発明の組成物は、液体、ローション、クリーム、泡、スクラブ、ゲル、またはバーの形態であり得る。そのような組成物の非限定的な例には、リーブオンヘアローション、クリーム、および洗い流し用シャンプー、コンディショナー、シャワーゲル、またはトイレットバーが含まれる。本発明の組成物は好ましくは洗い流し用組成物であり、特に好ましくはシャンプーまたはコンディショナーであり、最も好ましくはシャンプーである。
【0013】
本発明の第1の態様によれば、ココイルイソエチオン酸ナトリウム(sodium cocoyl isoethionate)およびラウリルスルホ酢酸ナトリウムである2つの界面活性剤の組み合わせを含むヘアケア組成物が提供される。
【0014】
本発明は、
0.1~30重量%のココイルイソエチオン酸ナトリウム(sodium cocoyl isoethionate)および0.1~10重量%のラウリルスルホ酢酸ナトリウム;ならびにクリンバゾールまたはケトコナゾールであるアゾール化合物から選択される抗菌活性物質、を含むヘア組成物に関する。
【0015】
ココイルイセチオン酸ナトリウム(CH3(CH2)4-5CH2COOC2H4SO3Na)は、ヤシ油から誘導される脂肪酸のナトリウム塩エステルである。それは、界面活性剤として化粧品およびパーソナルケア製品に使用され、水が油および汚れと混合するのを助け、それらをより容易に洗い流すことを可能にするその能力のためにしばしばシャンプーのようなヘアケア製品中に見出される。ココイルイセチオン酸ナトリウムの化学構造は以下のとおりである:
【化1】
【0016】
ココイルイセチオン酸ナトリウムは、組成物の重量に基づいて0.1%~30%、好ましくは5%~15%の量で存在する。
【0017】
ラウリルスルホ酢酸ナトリウム(C14H27NaO5S)は、ヤシ油およびパーム油から誘導される。それは刺激の可能性なしで豊かな泡を提供する肌に優しい洗浄剤であり、浸漬および洗顔剤ならびに任意の他の穏やかな洗浄システムに対しても優れた選択となる。ラウリルスルホ酢酸ナトリウムは以下のような化学構造を有する:
【化2】
【0018】
ラウリルスルホ酢酸ナトリウムは、組成物の重量に基づいて0.1%から10%、好ましくは0.1%から5%の量で存在する。
【0019】
本発明による組成物は、好ましくは追加としてベタイン界面活性剤を含んでいてもよい。好ましい実施形態では、本組成物は、0.1~20重量%、好ましくは0.5~10重量%、より好ましくは1~8重量%のベタイン界面活性剤、好ましくはアルキルアミドプロピルベタイン、例えばコカミドプロピルベタインを含む。
【0020】
本発明によるシャンプー組成物は、アルキル硫酸塩および/またはエトキシル化アルキル硫酸塩アニオン性界面活性剤をさらに含んでもよいが、本発明の利益を得るのにこのタイプの界面活性剤は必要ではない。別の好ましい態様として、これらのタイプの界面活性剤は本発明には実質的に存在しない。本発明による「実質的に存在しない」とは、これらの界面活性剤が組成物の1重量%未満、好ましくは0.1重量%未満で存在することを意味する。好ましいアルキル硫酸塩は、C8-18アルキル硫酸塩、より好ましくはC12-18アルキル硫酸塩であり、好ましくはナトリウム、カリウム、アンモニウムまたは置換アンモニウムなどの可溶化カチオンを有する塩の形態である。例としてはラウリル硫酸ナトリウム(SLS)またはドデシル硫酸ナトリウム(SDS)である。
【0021】
好ましいアルキルエーテル硫酸塩は、式:RO(CH2CH2O)nSO3M;
(式中、Rは8~18(好ましくは12~18)の炭素原子を有するアルキルまたはアルケニルであり、nは、少なくとも0.5より大きい、好ましくは1~3、より好ましくは2~3の平均値を有する数であり;およびMはナトリウム、カリウム、アンモニウムまたは置換アンモニウムなどの可溶化カチオンである)、を有するものである。一例はラウリルエーテル硫酸ナトリウム(SLES)である。
【0022】
好ましいエトキシル化アルキル硫酸塩アニオン性界面活性剤は、0.5~3、好ましくは1~3の平均エトキシル化度を有するラウリルエーテル硫酸ナトリウム(SLES)である。
【0023】
添加する場合、本発明のシャンプー組成物中の追加のアニオン性洗浄界面活性剤の総量は、組成物の総重量に基づくアニオン性洗浄界面活性剤の総重量で計算して、概して、0.1~16重量%、好ましくは0.1~10重量%の範囲であり得る。
【0024】
本発明の組成物は、抗菌剤、好ましくはふけ防止剤を含む。好ましい抗菌剤としては、クリンバゾールおよびケトコナゾールが挙げられる。好ましくは、抗菌剤は組成物中に溶解している。したがって、抗菌剤は、25℃において本発明の組成物に可溶であることが好ましい。抗菌剤は、単一の抗菌化合物または異なる抗菌化合物の混合物であってよい。好ましくは、抗菌剤は、0.01~5重量%、より好ましくは0.5~1重量%の量で組成物中に存在する。
【0025】
本発明による組成物は、好ましくはさらにオクトピロックスを含む。オクトピロックスは、0.01~5%含まれることが好ましい。オクトピロックスの存在は、コナゾール防かび剤の付着を改善すると考えられている。
【0026】
組成物はまた、カチオン変性グアーまたはカチオン変性セルロースであるカチオン変性ポリマーを含む。カチオン性グアー付着ポリマーは、好ましくはグアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリドである。
【0027】
コンディショニング利益が本発明のヘアケア組成物を介して送達される場合、組成物はコンディショニング剤を含む。典型的には、ヘアケア組成物に使用される最も一般的なコンディショニング剤は、水不溶性油性物質、例えば鉱油、天然油、例えばトリグリセリドおよびシリコーンポリマーである。コンディショニング利益は、濡れた毛髪をより梳きやくし、乾燥した毛髪をより扱いやすくするフィルムの形成をもたらす油性物質を毛髪上に付着させることによって達成される。特に有用なコンディショニング剤は、シリコーン化合物、好ましくは不揮発性シリコーン化合物である。有利には、本明細書の組成物は、1または複数種のシリコーンを含むことができる。シリコーンは、分散または懸濁された微粒子形態で見られるコンディショニング剤である。シリコーンは毛髪に付着し、水で毛髪をすすいだ後に残っていることが意図される。好適なシリコーン油としては、ポリアルキルシロキサン、ポリアリールシロキサン、ポリアルキルアリールシロキサン、ポリエーテルシロキサンコポリマーおよびそれらの混合物を挙げることができる。シャンプー組成物には、しばしばアミノシリコーンが配合される。アミノシリコーンは、少なくとも1つの第1級アミン、第2級アミン、第3級アミンまたは第4級アンモニウム基を含有するシリコーンである。高分子量シリコーンゴムも利用することができる。別の有用なタイプは、ジメチコン/ビニル/ジメチコンクロスポリマー(例えば、Dow Corning 9040および9041)などの架橋シリコーンエラストマーである。
【0028】
組成物中にシリコーンが存在する場合、その量は、ヘアケア組成物の約0.01~約10重量%、好ましくは約0.1~約8重量%、より好ましくは約0.3~約5重量%の範囲であり得る。
【0029】
本発明の組成物は、性能および/または消費者の許容性を高めるための他の成分を含有してもよい。そのような成分としては、香料、染料および顔料、pH調整剤、真珠光沢剤または乳白剤、粘度調整剤、防腐剤、および植物、果実抽出物、糖誘導体およびアミノ酸などの天然毛髪栄養素が挙げられる。
【0030】
本発明の別の態様によれば、アゾール化合物(またはさらにオクトピロックス)抗菌剤を頭皮に付着させる方法であって、本発明の組成物を所望の頭皮表面に適用し、続いてその表面を水ですすぐ工程を含む方法が提供される。そのような方法は、均一な付着プロファイルを提供する。この方法は、好ましくは非治療的利益のためのものである。
【0031】
本発明を、ここで以下の非限定的な実施例を参照して説明する。
【0032】
[実施例]
実施例1~4:本発明による様々な界面活性剤と抗菌活性物質との組み合わせの付着効率に対する効果。
【0033】
【0034】
以下に示すように、インビトロモデルおよび抗マラセチアアッセイを使用して、様々な組成物の抗菌活性物質の付着および抗菌性減少効力を測定した。
【0035】
インビトロモデル
約0.2グラムのシャンプー組成物を人工皮膚(IMS testing groupからのVITRO-SKIN)の上に取った。これを1.8mlの水で希釈し、プラスチック棒で30秒間こすった。次いで、表面を水で2回、最初に4mlの水で30秒間、次いで再び4mlの水で30秒間すすいだ。次いで、皮膚に付着したZPTOまたはクリンバゾールをHPLC法を用いて測定した。(5回のこのような実験の)平均付着および標準偏差を下記の表2に示す。
【0036】
抗マラセチアアッセイ
Halicsを最初にピチロスポルム(Pityrosporum)ブロスに接種し、次いで寒天スラリーに移して、それを最終濃度約2~6×105細胞/mlにした。Vitro-Skin(商標)を、その粗い形状が上を向くように、プラスチック製のリングサポートで挟んだ。0.2gのシャンプーで処理し、1.8mlの水で2回すすいだ後、Vitro-Skin(商標)リングをModified Dixon寒天プレート上に置き、Halicsを含む0.2mlの塩化ナトリウム溶液を荒い皮膚表面に静かにピペットで移した。24時間インキュベートした後、Vitro-Skin(商標)を、10mlのバターフィールドリン酸緩衝液を含むバイアルに入れ、ボルテックス混合して超音波処理した。上記溶液の100~10-3希釈液20μlをModified Dixon寒天プレートに播種し、さらに3~4日間インキュベートした。次いで、各プレート上のコロニー数をカウントし、最終数を適切な希釈倍数を掛けることによって決定した。各試料の対数減少(log reduction)を以下のように計算し、3つの複製から平均した。
【0037】
対数減少=Log10CFU(サンプル)-Log10CFU(水対照)
上記で調製した様々なシャンプー組成物は、以下の表2に示す界面活性剤および抗菌活性物質の仕様を有した。
【0038】
試料を、対数死滅(log kill)に関するデータと併せて以下の表2に示す。
【表2】
【0039】
上記の表2のデータは、本発明による組成物(実施例1~2)が本発明以外の実施例(実施例A)と比較してより良好なクリンバゾールの付着および対数減少をもたらすことを示している。これらの効力は、SCI/SLAS/CAPB系においてクリンバゾールの濃度が上昇するにつれて増加する(実施例2~4)。しかしながら、この付着の増強および抗菌性死滅は、ZPTOのような粒状活性物質については観察されないことが観察されている(実施例B、C)。
【0040】
実施例3、5~6:本発明によるシリコーン油およびカチオン性グアーの、新規界面活性剤系における付着効率および抗菌効力に対する効果。
【0041】
【0042】
上記で調製した様々なシャンプー組成物は、以下の表4に示すシリコーン油およびカチオン性グアーの仕様を有していた。様々な組成物の抗菌剤の付着および抗菌性減少効力を、上記のようにインビトロモデルおよび抗マラセチアアッセイを用いて測定した。
【表4】
【0043】
上記の表4中のデータは、シリコーン油またはカチオン性グアーの添加(実施例3、5、6)が、クリンバゾールの付着の増強および対数減少効力を得るためには必要でないことを示している。