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特許7208198流れの均一性を有する燃料電池バイポーラプレート
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-10
(45)【発行日】2023-01-18
(54)【発明の名称】流れの均一性を有する燃料電池バイポーラプレート
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/0258 20160101AFI20230111BHJP
   H01M 8/10 20160101ALI20230111BHJP
   G06F 30/28 20200101ALI20230111BHJP
   G06F 30/392 20200101ALI20230111BHJP
【FI】
H01M8/0258
H01M8/10 101
G06F30/28
G06F30/392
【請求項の数】 18
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020147772
(22)【出願日】2020-09-02
(65)【公開番号】P2021077629
(43)【公開日】2021-05-20
【審査請求日】2022-07-01
(31)【優先権主張番号】16/558,943
(32)【優先日】2019-09-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】508108718
【氏名又は名称】トヨタ モーター エンジニアリング アンド マニュファクチャリング ノース アメリカ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100129838
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 典輝
(74)【代理人】
【識別番号】100101203
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100104499
【弁理士】
【氏名又は名称】岸本 達人
(72)【発明者】
【氏名】エルジャン メーメット ディーディ
(72)【発明者】
【氏名】野村 壮史
【審査官】守安 太郎
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2006/054399(WO,A1)
【文献】特開2006-216441(JP,A)
【文献】特開2005-135813(JP,A)
【文献】特開平06-267559(JP,A)
【文献】特開2016-021333(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/02
G06F 30/28
G06F 30/392
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バイポーラプレートの流れ場のためのマイクロチャネルレイアウトを設計する方法であって、
境界条件および荷重とともに流体流れ最適化領域を定めるステップであって、前記流体流れ最適化領域は、流れ場の流入口から流出口への長手方向を規定するx軸、該x軸に対して横方向を規定するy軸、および前記x軸およびy軸の両方に垂直なz軸を含むステップと、
勾配ベースのアルゴリズムを計算流体力学と共に用いて、多孔質媒体モデル領域を最適化するステップと、
最小逆透過率を非ゼロ値に設定して、グレースケール設計および流体速度場を得るステップと、
前記グレースケール設計および流体速度場とともにGray-Scott反応拡散方程式を用いて、複数のチャネルを有するマイクロチャネルレイアウトを得るステップと、
複数の分離した切れ目領域を有する複数のチャネルを提供するステップと、
前記マイクロチャネルレイアウトを、前記バイポーラプレートの流れ場の入口領域のパターンとして組み込むステップと、
を含むことを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記流れ場中に複数の等高線を展開するステップをさらに含み、
前記複数の等高線は、前記バイポーラプレートの所定の性能パラメータに基づいて離間される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記複数の等高線を用いて、前記複数の分離した切れ目領域を配置するステップをさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記流れ場について最適化された圧力場を決定するステップをさらに含み、
前記最適化された圧力場が、圧力の差に基づいて前記複数の等高線を定めるための前記所定の性能パラメータとして用いられる、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記圧力場の前記複数の等高線を用いて前記複数の分離した切れ目領域を配置することにより、前記流れ場の出口のチャネルと前記多孔質媒体モデル領域との間の流体流れ圧力の変動を約5%未満にする、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記流れ場について最適化された速度場を決定するステップをさらに含み、
前記最適化された速度場が、速度の差に基づいて前記複数の等高線が定めるための前記所定の性能パラメータとして用いられる、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
前記最適化された速度場の等高線を用いて複数の分離した切れ目領域を配置することにより、前記流れ場の出口のチャネルと前記多孔質媒体モデル領域との間の流体流速の変動を約5%未満にする、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記勾配ベースのアルゴリズムを計算流体力学と共に用いて、前記多孔質媒体モデル領域を横切る流動抵抗を最小化するように前記多孔質媒体モデル領域を最適化するステップ
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記勾配ベースのアルゴリズムを計算流体力学と共に用いて、流動抵抗を最小化するように前記多孔質媒体モデル領域を最適化するステップが、多孔質媒体についての修正Darcy流方程式を用いるステップを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記勾配ベースのアルゴリズムを計算流体力学と共に用いて、前記x軸の方向における流速が一様になるように前記多孔質媒体モデル領域を最適化するステップ
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記勾配ベースのアルゴリズムを計算流体力学と共に用いて、前記y軸の方向における流速を最小化するように前記多孔質媒体モデル領域を最適化するステップ
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記グレースケール設計および流体速度場と共にGray-Scott反応拡散方程式を用いて、複数のチャネルを有する異方性マイクロチャネルレイアウトを得るステップ
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
弱異方性拡散テンソルセットと強異方性拡散テンソルセットとを択一的に用いて、前記異方性マイクロチャネルレイアウトのための連結されたライン-アンド-スペースパターンを得るステップ
をさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
バイポーラプレートの流れ場のための異方性マイクロチャネルレイアウトを設計する方法であって、
境界条件および荷重とともに流体流れ最適化領域を定めるステップと、
勾配ベースのアルゴリズムを計算流体力学と共に用いて、多孔質媒体モデル領域を最適化するステップと、
最小逆透過率を非ゼロ値に設定して、グレースケール設計および流体速度場を得るステップと、
前記グレースケール設計および流体速度場と共にGray-Scott反応拡散方程式および異方性拡散テンソルを用いて、複数のチャネルを含む連結されたライン-アンド-スペースパターンを有する異方性マイクロチャネルレイアウトを生成するステップと、
複数の分離した切れ目領域を有する複数のチャネルを提供するステップと、
流れの均一性を提供するために、前記バイポーラプレートの流れ場の入口領域のためのパターンとして前記異方性マイクロチャネルレイアウトを組み込むステップと、
を含むことを特徴とする、方法。
【請求項15】
前記勾配ベースのアルゴリズムを計算流体力学と共に用いて、前記領域を横切る流動抵抗を最小化するように前記多孔質媒体モデル領域を最適化するステップ
をさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記勾配ベースのアルゴリズムを計算流体力学と共に用いて、前記領域の方向を横切る速度が均一になるように前記多孔質媒体モデル領域を最適化するステップ
をさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記勾配ベースのアルゴリズムを計算流体力学と共に用いて、前記領域の方向を横切る速度を最小化するように前記多孔質媒体モデル領域を最適化するステップ
をさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
弱異方性拡散テンソルセットと強異方性拡散テンソルセットとを択一的に用いて、Gray-Scott反応拡散方程式を解くステップと、
有効媒質理論に基づいて複数のマイクロチャネルの間隔を決定するステップと
をさらに含み、
前記複数の分離した切れ目領域は、圧力流および速度流の少なくとも1つから選択される前記バイポーラプレートの所定の性能パラメータに基づいて離間した等高線に沿って、配置される、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、燃料電池バイポーラプレートに関し、より詳細には、流体の流れパターンおよび流れの均一性を制御するためにバイポーラプレートの流れ場を調整およびカスタマイズするための設計に関する。
【背景技術】
【0002】
本明細書中に提供される背景説明は、本開示の文脈を一般的に提示する目的のためである。現在名前を挙げられている発明者の成果は、この背景技術の項目に記載され得ることを理由に、本技術に対する先行技術として明示的にも黙示的にも認められるものではない。また、この背景技術の項目の記載事項であっても、さもなければ出願時に先行技術としての適格を有しない可能性のある事項は、本技術に対する先行技術として明示的にも黙示的にも認められるものではない。
【0003】
燃料電池技術において有用なバイポーラプレートは、空気または燃料が、流入口から流れ場を通って、流出口へ移動することが可能になるように設計される。バイポーラプレートの流れ場は、一般的に機械加工またはスタンピング技術によって形成される流路(チャネル)を含んでもよい。燃料電池内の化学反応の効率のは、部分的に、空気および燃料の流体流れストリームの適切な流れ及び分布に基づいて定まる。そして、流体分布は、チャネルのネットワーク及び設計に基づいて定まる。均一な流体流れは、性能およびコストの両方に重要である。バイポーラプレートのための流れ場の種々の設計は、直線状のチャネルを有する部分と、流れ場のどの部分が確かなものであるべきか及び流体の移動のためにどの部分が設けられるべきかを決定するために計算流体力学を用いて手動で最適化されるチャネル設計を有する部分とをしばしば含む。手動による最適化は、時間がかかるとともに高コストである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、カスタマイズ可能な最適化された流体流れ場分布を備える、改良された、コスト効率の良いバイポーラプレートの設計および製造方法を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このセクションは、開示の一般的な概要を提供するものであって、その全範囲またはその全ての特徴の包括的な開示ではない。
【0006】
種々の態様において、本教示は、バイポーラプレートの流れ場のためのマイクロチャネルレイアウトを設計するための方法を提供する。本方法は、境界条件および荷重とともに流体流れ最適化領域を定めることを含み得る。流体流れ最適化領域は、流入口から流れ場の流出口窓に通じる縦方向を規定するx軸と、横方向を規定するy軸と、x軸およびy軸に垂直なz軸とを有する。この方法は、多孔質媒体モデル領域を最適化するために計算流体力学と共に勾配ベースのアルゴリズムを用いることを含み得る。これには、最小逆透過率を非ゼロの値に設定し、グレースケール設計および流体速度場を得ることが含まれ得る。この方法は、その後、複数のチャネルを有するマイクロチャネルレイアウトを得るために、グレースケール設計および流体速度場についてグレイ-スコット(Gray-Scott)反応拡散方程式を使用することができる。本方法は、複数の分離した切れ目領域を有する複数のチャネルを提供することと、バイポーラプレートの流れ場の入口領域のためのパターンとしてマイクロチャネルレイアウトを組み込むこととを含む。種々の態様において、複数の分離した切れ目領域は、バイポーラプレートの所定の性能パラメータに基づいて、離間した等高線に沿って配置される。
【0007】
他の態様において、本教示は、バイポーラプレートの流れ場のための異方性マイクロチャネルレイアウトを設計するための方法を提供する。本方法は、境界条件および荷重とともに流体流れ最適化ドメインを定めることを含み得る。この方法は、多孔質媒体モデル領域を最適化するために計算流体力学と共に勾配ベースのアルゴリズムを用いることを含み得る。これには、最小逆透過率を非ゼロの値に設定し、グレースケール設計および流体速度場を得ることが含まれ得る。その後、本方法は、グレースケール設計および流体速度場とともに、Gray-Scott反応拡散方程式および異方性拡散テンソルを使用し、複数のチャネルを含む接続されたライン-アンド-スペースパターンを有する異方性マイクロチャネルレイアウトを生成してもよい。複数のチャネルには、複数の分離した切れ目領域が設けられる。異方性マイクロチャネルレイアウトは、流れの均一性を提供するために、バイポーラプレートの流れ場の入口領域用のパターンとして組み込まれる。
【0008】
さらに他の態様では、本教示は、流入口、流出口、および流れ場を備える、燃料電池用のバイポーラプレートを提供する。流れ場は、流入口と流出口との間を流体が移動できるように構成された複数の異方性マイクロチャネルを画定するパターンを有する入口領域を含む。異方性マイクロチャネルは、複数の分離した切れ目領域を有するように画定される。流れ場のパターンは、逆透過率場を用いて、有効媒質理論に基づくチャネル間隔を有する異方性マイクロチャネルレイアウトを得るために異方性拡散テンソルを用いてGray-Scott反応-拡散方程式を解くことにより設計される。種々の態様において、複数の分離した切れ目領域は、圧力流および速度流の少なくとも1つから選択されるバイポーラプレートの所定の性能パラメータに基づいて、離間した等高線に沿って配置される。
【0009】
上記技術の適用可能性のさらなる領域および上記技術を強化する種々の方法は、本明細書中に提供される記載から明らかになる。本概要における説明および特定の例は、例示のみを目的とするものであり、本開示の範囲を限定することを意図するものではない。
【0010】
この特許又は出願書類は、色彩を付して作成された少なくとも1つの図面を含んでいる。この特許又は特許出願公開の写しでカラー図面を付したものは、請求があり、かつ、必要な手数料が納付されたときは、特許商標庁により提供される。
【0011】
本教示は、詳細な説明および添付の図面からより完全に理解されるであろう:
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本技術の様々な態様に係る有用な燃料電池用のバイポーラプレートアセンブリの一例の模式的な平面図である。
図2図1のバイポーラプレートアセンブリの、参照番号2でラベル付けされた形状によって表される一部の拡大図である。
図3】簡略化された設計の流入口が備えられた図2のバイポーラプレートアセンブリの部分の代替図であって、流れ場の出口窓領域の拡大された部分を図示する図である。
図4】流れ場の入口領域用のパターンを設計するための例示的な概略フローチャートを示す図である。
図5】領域を最適化するために、移動漸近線法(MMA)または大域的に収束する移動漸近線法(GCMMA)を、流体流れCFDとループさせて用いる、例示的な勾配ベースのアルゴリズムのフローチャートである。
図6】トポロジー最適化問題を緩和し、流れ最適化を確立するための数値的フレームワークを提供するために導入され得る仮想設計変数である密度γを模式的に説明する図である。
図7】逆透過率κminがゼロに等しい流れ場の図解を提供し、厳密に黒白(0、固体および1、流体)の設計を表す図である。
図8】逆透過率κminが最大値の3分の1に等しく、例えば、κmin=0.333κmaxである多孔質媒体を表す例示的なグレースケール設計の図である。
図9】異方性拡散テンソルを使用して流れ場の入口領域用のパターンを設計するための例示的な方法のフローチャートを示す図である。
図10】流れ場の入口領域用のパターンを設計するための方法の例示的な模式的概略図である。
図11】最適化された多孔質媒体入口流れ場モデルから得られる例示的な圧力場を示す図である。
図12図11の最適化された多孔質媒体入口流れ場モデルの圧力場に関連する速度プロファイルの線グラフを示す図である。
図13図11の最適化された多孔質媒体入口流れ場モデルの連続チャネル設計から得られた結果として生じる圧力場を示す図である。
図14図13の連続チャネル入口流れ場設計の圧力場に関連付けられた速度プロファイルの線グラフを示す図である。
図15】実質的に均一な流入口供給速度を有する、図11の最適化された多孔質媒体入口流れ場モデルの不連続なチャネル設計から得られる結果として生じる圧力場を示す図である。
図16】本技術の別の態様に係る、不均一な流入口供給速度を有する不連続チャネル入口流れ場設計の例を示す図である。
図17】最適化された多孔質媒体入口流れ場モデルから得られる例示的な速度場を示す図である。
図18図17の最適化された多孔質媒体入口流れ場モデルの不連続チャネル設計モデルから得られた結果として生じる速度場を示す図である。
図19】不連続チャネル入口速度場と目標指定速度場との比較の結果を示すグラフである。
図20】種々の製造技術によって作製することが可能なチャネルおよび壁の例示的なセットの断面図である。
【0013】
本明細書に記載される図は、特定の態様の説明の目的のために、本技術のもののうちの方法、アルゴリズム、および装置の一般的な特徴を例示することが意図されたものであることに留意されたい。これらの図は、所与の態様の何らかの特徴を正確に反映していないことがあり、また本技術の範囲内で特定の実施形態を定義または限定することを必ずしも意図するものではない。さらに、或る態様は、図の組み合わせから複数の特徴を組み込むことができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本技術は、一般に、設計及び製造の方法とともに、燃料電池のための最適化されたバイポーラプレート構造および/またはバイポーラプレートアセンブリを教示する。当該構造および/またはアセンブリにおいて用いられるバイポーラプレートには、最適化された設計を有するバイポーラプレートを提供するために、マイクロチャネルとも呼ばれる複数のチャネルを備えて設計され得る流れ場が設けられ得る。本技術のチャネルは、流体の流れにおいて向上した均一性をもたらす複数の分離した切れ目領域を有するように画定される。流れ場のパターンは、有効媒質理論に基づくチャネル間隔を有する異方性マイクロチャネルレイアウトを得るために、逆透過率場を用いて、異方性拡散テンソルを含むGray-Scott反応-拡散方程式を解くことにより設計することができる。様々な態様において、複数の分離した切れ目領域の少なくとも一部は、バイポーラプレートの所定の性能パラメータに基づいて定められ得る離間した等高線に沿って配置される。例えば、所定の性能パラメータは、圧力流および速度流のうちの少なくとも1つであり得る。
【0015】
種々の態様において、バイポーラプレートの流れ場のためのマイクロチャネルレイアウトを設計する方法は、境界条件および境界荷重を伴う流体流れ最適化領域を定めることを含む。この方法は、流れ分配ネットワークを設計するために補間プロセスを実行することを含み得る。次に、流体流れ計算流体力学と共に繰り返しを行う勾配ベースのトポロジー最適化アルゴリズムを用いて、当該領域は、多孔質媒体のための修正Darcy流方程式を用いて、流動抵抗が(任意的に流体出口境界での質量流量制約のもとで)最小になるように最適化される。他の態様では、領域最適化は、領域の方向を横切る均一な速度、または領域の方向を横切る最小の速度を得ることに基づいて行うことができる。種々のトポロジー最適化技術とは対照的に、非0-1(固体-流体)設計は、領域全体にわたってグレースケールで得られる。例えば、最小逆透過率を(多孔質媒体を表す最大透過率とともに)非ゼロ値に設定し、グレースケール設計および流体速度場を得ることを含む、物質補間アプローチが用いられる。当該方法は、グレースケール設計および流体速度場とともにGray-Scott反応拡散方程式を用いて、マイクロチャネルレイアウトを得ることを含む。チャネル間隔は、多孔質媒体を通る流れについての有効媒質理論に基づいて定められ得る。種々の態様において、異方性マイクロチャネルレイアウトを得るために、最適化された設計空間の透過率は、Gray-Scott反応拡散方程式の拡散係数の異方性定義を通じてマイクロチャネル設計レイアウトに関連付けられる。本技術の使用は、マイクロチャネルの明示的なモデリングを排除する。代わりに、本技術は、Gray-Scott方程式および多孔質媒体を通る速度流れ場に基づく計算効率の高い後処理技術を用いてチャネル設計を導出する。不連続なチャネル設計は、多孔質モデル圧力場分布を高い精度で求めることができるとともに、最適化された速度場に対するモデル間の整合をもたらす。例えば、種々の態様において、不連続なチャネル設計は、平均出口流量変動の約5%未満の精度で目標速度流量仕様を満たすことができる。
【0016】
次に、マイクロチャネルレイアウトについての最適化された設計は、バイポーラプレートの流れ場のためのパターンとして組み込まれる。例えば、製造技術をパターンと組み合わせて使用して、機能の傾斜を有するマイクロチャネルのネットワーク、多孔質媒体、またはそれらのハイブリッド組み合わせを作製することができる。以下でより詳細に説明するように、流れ場、またはその一部が、レーザー焼結、e-ビーム溶融、および/または、印刷と硬化との組み合わせを用い得るバインダージェット技術を使用して作製される、付加製造技術を用いることができる。電気メッキ技術もまた、機能の傾斜を有する多孔質媒体を製造するために用いることができる。市販の透過性材料または傾斜機能多孔質媒体を用いることができる。他の態様では、多孔質媒体は、特注品とすることができる。いくつかの例では、金属逆オパール技術を、銅、ニッケル、又はチタン等の適切な金属と共に用いることができる。傾斜機能多孔質媒体は、一般に、異なるサイズのポリスチレン粒子を鋳型として用いること、および/または鋳型中の異なる領域について焼結時間を制御することによって得られる。金属に対する従来の機械加工および/または型打ち加工技術は、最終的にバイポーラプレートをもたらすために、上述の技術と組み合わせて用いることができる。
【0017】
図1は、本技術の種々の態様に係る、PEM燃料電池等の燃料電池(不図示)と共に用いられ得る例示的なバイポーラプレートアセンブリ20を模式的に示す平面図である。バイポーラプレートアセンブリ20は、PEM燃料電池の重要な構成要素であり、一般に、黒鉛、または、ステンレス鋼、アルミニウム、及びチタン等の金属で構成されており、複合バイポーラプレートも使用されている。バイポーラプレートアセンブリ20は、典型的には、膜に隣接する反応部位に燃料および酸化剤を供給し、反応生成物を除去し、内部反応によって生成された電流を集電し、燃料電池スタック内の複数の燃料電池に必要な機械的支持を提供する。
【0018】
背景として、バイポーラプレートアセンブリは、アセンブリ(組立体)として互いに結合された又は他のやり方で適切にシールされた、アノード流れ場プレートと、カソード流れ場プレートとを含み得る。或る例では、当技術分野で一般的に採用されているように、これらのプレートは結合されて、プレート間に密封された冷媒流れ場を形成し得る。また、種々の遷移チャネル、ポート、ダクト、及び、3つの作動流体(すなわち、燃料、酸化剤、および冷媒)の全てを含む他の特徴が、バイポーラプレートアセンブリの非作動側および他の非作動領域に現れ得る。作動流体は、かなりの圧力下で提供され得るので、プレート内の特徴の全てが、流体間での及び外部環境への漏れを防止するように適切にシールされることが重要である。バイポーラプレートアセンブリの別の特徴は、2つのプレートの間に満足できる電気的接続が存在することである。なぜなら燃料電池スタックによって生成される多量の電流が2つのプレートの間を通ることができなければならないからである。
【0019】
アセンブリを構成するプレートは、任意的に金属であってよく、典型的には、適切な金属材料(例えば、ある種の耐腐食性ステンレス鋼)のシートに所望の特徴を型打ち加工することによって製造される。次いで、典型的には、全ての流体通路を互いから及び外部環境から適切にシールするために、2つ以上の型打ち加工されたシートが、ガスケットと共に溶接又は留め金で固定される。アセンブリの電流を流す能力を向上させるために、特にプレートの活性領域に対向して追加の溶接部を設けることができる。しかし、複数の金属プレートは、接着剤または前述のガスケットを用いて、相互に接着および封止されてもよい。また、耐食性コーティングはしばしば、組立の前または後に適用される。
【0020】
他の態様では、本技術は、モノリシックおよび/またはハイブリッド構造のバイポーラプレートアセンブリを提供する。本明細書において、用語「モノリシック」は、一旦形成されると、加工によって分割することができない、単一かつ一体の構成要素を意味する。物質が互いに結合/融合されると、2つ以上の構成要素が結合または或る種の融合によって互いに結合される界面領域が存在し得るが、物質は、他の積層基板で起こり得るように典型的に互いに分離することはない。バイポーラプレートは、多孔質材料および傾斜機能材料を基材構造として含むことができ、及び/又は、付加製造技術、電気めっき技術等によって作製された材料を含む部分を含むことができる。本明細書において、用語「ハイブリッド」構造は、2種以上の材料または構造を含む構造を意味し、例えば、1つの非限定的な態様は、多孔質媒体を含む第1の部分と、付加製造技術、電気めっき技術等によって作製され得る明示的なマイクロチャネルを有する第2の部分とを含み得る。他の非限定的な態様では、ハイブリッド多孔質構造材料は、非多孔質である第1の部分/領域と、一定の透過性を有する多孔質である第2の部分/領域とを含み得る。付加製造技術および電気めっき技術を用いて作製される、モノリシック及びハイブリッド構造タイプのバイポーラプレート及び/又はバイポーラプレートアセンブリの設計および製造について、以下により詳細に説明する。
【0021】
再び図1を参照すると、バイポーラプレートアセンブリ20の構造は、一般に、1つ以上の流入口24及び流出口26を画定する少なくとも1つのベース支持基板またはバイポーラプレート構造22と、バイポーラプレートアセンブリ20と協働してそれぞれの流入口24及び流出口26の間の流体連通を提供する流れ場28とを含む。流れ場28は、適切な流体連通を提供するようにサイズ決定および構成された、複数のチャネル30、又はマイクロチャネルを規定するそれぞれの形状またはパターンを有する1つ以上の異なる領域を備え得る。領域の1つ以上には、一般に直線、平行、及び/又は蛇行型の流路が設けられ得るが、様々な態様では、入口領域32及び/又は出口領域34などのチャネル及び/又は流れ場の部分の特定のものは、特に流れ抵抗を最小化して流体の仕事率/圧力降下を最小限にする、または複数のマイクロチャネルを横切る均一な流れ場を提供するように、成形および配向され得る。流入口24とそれぞれの流出口26との間に流体連通を提供することに加えて、チャネル30は、他の構成要素および膜のための支持構造として機能し得るとともに、燃料および空気の流体がそれぞれのアノード拡散層およびカソード拡散層に移動できるようにする。当該燃料および空気は、次いで、触媒層および反応部位に向けられる。以下でより詳細に説明するように、様々なチャネルまたはその部分には、チャネル壁において複数の分離した切れ目領域が設けられてもよい。これは、チャネルの「分岐」を提供することができ、これはマニホールドに類似して機能し得て、流体が異なる分岐を通って、いくつかの異なる開口部へ流れ込み、及びそれらの開口部を通って流れることを可能にし得る。
【0022】
図2は、図1のバイポーラプレートアセンブリ20の参照番号2でラベル付けされた形状によって表された部分の拡大図である。図2に示される部分は、流れ場28の流入口24および入口領域32を含む。図3に示されるように、ここでの設計、モデル化、及び説明を容易にするために、流入口24は円形の形状を有するものとして簡略化され、当該形状が、ここに説明される最適化のための領域およびデータを得るために使用される。本技術は、一般に、図2に示されるように、流れ場28の入口領域32の流れパターンの設計およびマイクロチャネル設計に焦点を当てており、その結果、改良された流れの均一性を含む、調整されカスタマイズされた空隙率および透過性を有するバイポーラプレートの入口領域32を提供するために、複数のマイクロチャネル及び複数の分離した切れ目領域を備えるように設計および構成することができる。広い用語で言えば、空隙率は、一般に、基板のうちどれ程度が空いた空間であるかを表す尺度である。この空いた空間は、例えば、結晶粒の間、又は、基板の表面内又は表面上に設けられた亀裂、空洞、及び/又はチャネル内に存在し得る。透過率は、一般に、流体が多孔質の基材中をどの程度容易に移動し得るかの尺度である。
【0023】
図4は、流れ場の入口領域用のパターンを設計するための例示的な概略フローチャートである。この方法は、チャネルアレイの有効透過率を得るために、設計制約から透過率の最小値および最大値を計算することから始まり得る。流体流れの最適化領域、境界条件、および境界荷重が定められ得る。透過率場の値の境界を定める最小値および最大値を使用して、トポロジー最適化を実行することができる。当技術分野で知られているように、トポロジー最適化は、特定の系の性能を最大化するために、特定の荷重、境界条件、および制約の特定のセットに基づいて、特定の設計空間内の物質レイアウトを最適化する数学的方法である。種々の態様において、計算流体力学(CFD)と共に、勾配ベースのアルゴリズムを使用して、流動抵抗を最小化するように領域を最適化することができる。図5は、領域を最適化するために流体流れCFDとループで接続された移動漸近線法(MMA)または大域的収束移動漸近線法(GCMMA)を使用する例示的な勾配ベースのアルゴリズムのフローチャートである。この場合、最適化は、流れ場設計領域内のどこにチャネルを配置するか及びどこに流体を配置するかを決定する。種々の態様において、或るトポロジー最適化から得られた結果は、種々の付加製造技術を使用して直接作製することができる。トポロジー最適化のための、1つの一般的なアプローチは、各点における物質の存在によって構造構成を表すことである。したがって、本技術は、層流を考慮した流体流れマニホールドの設計のための柔軟な方法を提供する。図6を参照すると、仮想設計変数である密度γを導入して、問題を緩和し、流れ最適化を確立するための数値的フレームワークを提供することができる。図6は、様々な可能性を示し、γ=1は流体状態(図6において本質的に白色)を表し、γ=0は固体または低透過性固体、または固体(図6において本質的に黒色)を表す。図6におけるグレースケール着色は、流体状態と固体状態との間のどこかであって、0<γ<1である中間的な状態を表す。次に、トポロジー最適化が固体-流体マニホールド設計問題に適用される。
【0024】
非圧縮性条件:
【0025】
【数1】
(式中、uは流体速度である)
に基づいて、次のように、多孔質媒体中を通る流れについてのナビエ-ストークス(Navier-Stokes)方程式が得られる:
【0026】
【数2】
式中、κは有効逆透過率を表す。非限定的な例として、次いで、透過率を設計変数γの関数として、有効逆透過率(凸)を次のように補間することができる。
【0027】
【数3】
【0028】
流れ場の入口領域32のためのマイクロチャネルレイアウトを設計する方法は、境界条件および荷重を有する流体流れ最適化領域を定めることから始まる。次いで、計算流体力学(CFD)と共に勾配ベースのアルゴリズムを使用して、流動抵抗を最小化するように領域を最適化することができる。図5は、流体流れCFDとループされる例えば移動漸近線法(MMA)または大域的収束移動漸近線法(GCMMA)アルゴリズムを使用して、有限要素解析を用いて設計変数を更新することを例示する。種々の態様において、流動抵抗を最小化するための方法は、流体の仕事率および/または圧力降下を最小化することを含む。流体入口の境界条件について、第1の選択肢は、指定された速度を含み、第2の選択肢は、ゼロ圧力を含み;指定された質量流量等の他の条件も採用できる。流体出口の境界条件について、第1の選択肢はゼロ圧力を含み、第2の選択肢は指定された速度を含む。固体材料体積の制約、例えば50%の下で、最小化すべき目的関数Fは、以下の関係に基づく:
【0029】
【数4】
該関数は、一般に、最良の性能を得るために最小化されている量を表す。ここでは、それは効率を高めるために構造全体を横切る流動抵抗を最小化することである。流動抵抗の最小化は、ポンピング能力に直接関係するので重要である。種々の態様において、設計空間Ωは、最適化の過程中に修正することができない領域をもたらすように定められてもよい。目的関数の評価は、有限要素法または類似の計算アプローチを用いて微分方程式を解くことによって行うことができる。
【0030】
他の態様では、本方法は、例えば、軸に沿った所定の方向において一様な流速または最小の流速が得られるように多孔質媒体モデル領域を最適化するために、計算流体力学とともに勾配ベースのアルゴリズムを使用することを含み得る。図1を再び参照すると、流体流れ最適化領域は、流れ場の流入口24から流出口26に通じる長手方向を画定するx軸と、x軸に対して横方向を画定するy軸と、x軸およびy軸の両方に垂直なz軸とを含み得る。ある態様では、x軸の方向の流速の差が、以下の関係に従って最小化されることを考慮に入れることによって、流速を均一化するように最適化することができる:
【0031】
【数5】
式中、uは、流出口窓のチャネルを出るx軸方向における局所速度を表し、uout avgは、流出口窓のチャネルを出るx軸方向における最適化された目標速度を表す。或る他の態様において、本方法は、y軸方向の流速を最小化するように多孔質媒体モデル領域を最適化するために、計算流体力学と共に勾配ベースのアルゴリズムを使用することを含み得る。この点に関して、本方法は、v(式中、vは、y軸方向における局所速度を表す)の関係に従って最小化されるy軸方向における流速の差を決定することを含み得る。
【0032】
図7及び8は、従来のトポロジー最適化と多孔質媒体設計との間の比較を示す。図7は、逆透過率κminがゼロと等しくなる状況を表し、厳密な白黒(0:固体、及び、1:流体)、を表し、図示された流入口24からの概ね146の流出口を経由して流出する(各流出口は個別に示されない)純流動を、一般に参照番号36で表される流体のストリームラインで図示する。しかしながら、図7の構成で生じる1つの問題は、フローチャネルのための大きな空き体積(純粋な流体)が存在する場合、膜などの燃料電池の他の構成要素を支持するために利用可能な構造が存在しないことである。本技術の方法は、最小逆透過率を非ゼロの値に設定し、グレースケール設計および流体速度場を得ることを含む。図8は、逆透過率がκminが最大値の3分の1に等しい、例えばκmin=0.333κmaxである多孔質媒体を表し、したがって、純粋な流体であるいかなる領域も存在せず、代わりに、領域がすべて多孔質である、例示的なグレースケール設計を示す。図8のグレースケールは、ここで、本質的に1つの流出口を介して流出する、一般的に参照番号38によって表される、調整された透過性流体ストリームラインを介した、流入口24からの多孔質媒体流体流れを表す。
【0033】
種々の態様において、マイクロチャネルの幅/チャネル間隔を得るために、有効媒質理論アプローチが用いられ得る。例えば、機能の傾斜を有する多孔質流れ媒体は、マイクロチャネルネットワークに変換することができ、ここで、多孔質媒体の透過率には、マイクロチャネルの寸法に関する情報が埋め込まれて含まれる。
【0034】
従来のトポロジー最適化は、マイクロチャネルを保持しない。しかしながら、本技術は、微細なスケールの特徴を得るために、逆透過率場に埋め込まれた情報を利用して、マイクロチャネル構造の相対的な設計を導く。例えば、逆透過率によって、例えばマイクロチャネル間隔がチャネル幅の2乗でスケールする有効媒質アプローチを利用する、多孔質媒体とマイクロチャネル設計との間の関係をもたらすことができる。他のスケール関数が考慮され得ることに留意されたい。この点について、フルNavier-Stokesアプローチが、流体流れの評価のために狭いチャネルに対して採用される。各マイクロチャネルは流体で飽和した多孔質媒体としてモデル化でき、流体流れに対する修正Forchheimer-Brinkman拡張Darcy方程式を用いて数値的に解くことができる:
【0035】
【数6】
これは、以下の関係をもたらす:
【0036】
【数7】
例えば、S.J. Kim、D. Kim、電子機器冷却用の微細構造における強制対流、ASME J. Heat Transfer 121 (1999) 635-645を参照のこと。この手法を利用して、透過率Kの関連性を、マイクロチャネル幅wおよび空隙率εの関数として与えることができ、ここで、kse、k、kfe、及びkは、それぞれ、固体の有効熱伝導率、固体の熱伝導率、液体の有効熱伝導率、および液体の熱伝導率である。この点について、マイクロチャネルピッチ/間隔は、設計される多孔質材料レイアウトの透過率に論理的に関連付けられ;例えば、それは、多孔質材料の微細構造をチャネル構造の寸法に直接関連付ける。
【0037】
いったんグレースケール設計および流体速度場が得られると、種々の態様において、例示的な方法は、マイクロチャネルレイアウトをモデル化および取得するためにGray-Scott反応拡散方程式を使用して、例えば可変ピッチのマイクロチャネルパターンを生成することを含む。一旦マイクロチャネルレイアウトが得られると、それはバイポーラプレートの流れ場領域用のパターンとして用いることができる。
【0038】
当技術分野で知られているように、反応拡散系は、物理現象に対応する数学モデルである。一例では、1つ以上の化学物質の濃度の空間変化および時間変化がモデル化される。数学用語では、反応拡散系は一般に、次の一般形で表される半線形放物型偏微分方程式の形をとる:
【0039】
【数8】
式中、q(x,t)は未知のベクトル関数を表し、Dは拡散係数の対角行列であり、Rはすべての局所反応を説明する。化学種の反応と拡散は、自然界によく見られるものを思い起こさせるような多様なパターンを生み出し得る。Gray-Scott方程式は、このような反応をモデル化し、一般に以下のようにもたらされる:
【0040】
【数9】
この過程をモデル化する偏微分方程式は、様々な数値的手法でシミュレートされ得る。種々の態様において、ラプラシアンの空間離散化によって得られる有限差分方程式の前方オイラー積分等の方法を用いて良好な結果を得ることができ、あるいは目標ピッチ/間隔について拡散係数を推定することができる。例えば、種々の態様において、拡散係数を近似するために、(ピッチ)の値(すなわち、マイクロチャネル幅の2乗)を用いることができる。
【0041】
Gray-Scott反応拡散モデルは、2つの化学物質の挙動を記述し、物質拡散、供給速度、除去速度、および2つ物質の間の反応に基づいて、所与の時間における2つの物質の濃度を計算する数学的モデルである。このシミュレーションは、根底に存在するプロセスである化学反応をモデル化するだけでなく、自然界に見られるパターンと著しく類似した物質のパターンをもたらすこともできる。例としては、シマウマの縞模様、ヒョウの皮膚、チョウの斑点、魚の模様等の動物の模様;指紋;砂の波紋;葉の葉脈の模様;および他の種々の生物学的現象を挙げることができる。本技術により、このモデルから生じるパターンのいくつかを、バイポーラプレートの流れ場の少なくとも一部の設計に用いることができる。
【0042】
モデルを説明するために、提示される1つのアナロジーは、時刻ゼロで各化学物質U及びVの様々な濃度を含む領域または空間を想像することである。時間が経つにつれて、物質Uは所定の速度で反応に供給され、一方、物質Vは所定の速度で除去される。さらに、2分子のVが1分子のUと反応することができ、これにより以下のように物質Uが物質Vに変換される:
U+2V→3V
V→P
U、V、及びPは化学物質である。シミュレーションは、上に列挙された2つの偏微分方程式を使用して達成され、それぞれは、経時的な物質の濃度の変化を表し、ここで、u及びvは、それぞれの濃度を表す独立変数であり;D及びDは、それぞれの拡散速度または拡散テンソルであって、透過率から計算され得る。パラメータkは、VからPへの変換率を表し、Fは、Uを供給し、U、V、及びPを排出するプロセスの速度を表す。パラメータk及びFは、調整可能な任意の正の数である。各拡散テンソルは、一般に、異なる方向における拡散速度を反映する3×3行列である。
【0043】
uの変化(上側の偏微分方程式)は、そのvとの反応(したがって、uvの減算(-))に依存し、特定の速度(+F、その現在の濃度にスケール化される)で供給される。vの変化(下側の偏微分方程式)は、そのuとの反応(したがって、uvの加算(+))に依存し、所与の速度(k、供給速度およびVの濃度によってスケールされる)で除去される。各位置におけるU又はVの濃度は、対応する式の結果に基づいて、各時間増分(典型的には1)で更新される。供給速度、除去速度、拡散速度の値が式に入力される。例えば、2Dグリッド上では、ラプラシアン演算子は畳み込み行列上で計算することができる。新たな濃度を計算するために、現在の濃度と周囲の各濃度に、行列内の対応する値(現在の位置が畳み込み行列内の中心位置に対応する)が乗じられ、すべての値が合計される。この値は、技術的には、現在の位置と周辺の位置との間の濃度の差を表す。
【0044】
上記モデルは、当技術分野で公知のように、適切なコンピュータコードにプログラムすることができる。種々の態様において、得られたモデルは、反応容器を表す画像をもたらし、画像の各点または画素は、その位置におけるV(v)の濃度を表す。例えば、Gray-Scott反応拡散方程式は、有限差分法や有限要素法等の種々の数値的方法で解くことができる。u及びvの初期値はランダム雑音分布とすることができる。適当なパラメータの組み合わせとともにいくらかの時間周期についてGray-Scott方程式を解くことにより、定常状態が得られる。次に、得られた分布がチャネル構造として解釈される。例えば、閾値をthとして、u>thは壁領域を表し、u<thはチャネル領域を表し得る。
【0045】
注目すべきことに、拡散テンソルは設計すべき流れ系の透過率分布と結び付けられている。例えば、透過率分布は、Gray-Scott方程式の拡散係数分布を介して、可変アレイピッチを有するチャネルパターンに投影される。図8の円A及びBは、非限定的な例として、円Aによって表される、細かいピッチを有し得る流れ場の或る領域、および、円Bによって表される、粗いピッチを有し得る流れ場の或る領域を示す。
【0046】
種々の態様において、本技術は、異方性マイクロチャネルレイアウトを得るために、グレースケール設計および流体速度場とともにGray-Scott反応拡散方程式を用い得る。これには、Gray-Scott方程式とともに異方性拡散テンソルを用いることを含み得る。図9は、異方性拡散テンソルを使用して、流れ場の入口領域用のパターンを設計するための例示的な方法のフローチャートである。
【0047】
種々の態様において、流れ方向に沿って、連結したライン-アンド-スペースパターンを得るために、弱異方性テンソル及び強異方性テンソルのセットが択一的に用いられる。等方性拡散テンソルにおいては、マイクロチャネルのピッチ(a)の長さ(b)に対する比は、a:b=1:1として表すことができる。弱異方性テンソルの場合、比a:bは約1:1~約1:5である。強異方性テンソルの場合、比a:bは約1:100までであり得る。図9で指摘したように、横方向は、チャネルピッチを定める。流れ方向である縦方向にテンソルを伸ばすことにより、ライン-アンド-スペースパターンを得ることができる。種々の態様において、反応拡散方程式を繰り返し解くために、少なくとも2セットの拡散テンソルが用いられる:すなわち等方性または弱異方性のセット、および強異方性のセットである。種々の方法では、拡散テンソルのセットの強さをが弱から強へと強さを交互に変えながら、Gray-Scott方程式をある期間にわたって解くことができる。例えば、拡散テンソルを等方性→異方性→等方性と切り替えてもよい。これは、数回繰り返してもよく、好ましくは、弱異方性のセット又は完全に等方性のセットのいずれかで終えることができる。図10は、流れ場の入口領域のためのパターンを設計するための方法を概略的に要約する例示的な模式図である。
【0048】
2019年2月14日に出願された係属中の特許出願第16/275,394号は、本願と同一の発明者および共通の所有権を有し、使用される拡散テンソルのタイプに基づく流れ場の設計の差異を示す種々の例示を開示し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。該出願中に開示されるように、単一の拡散テンソルを用いてGray-Scott方程式から初期ランダムパターンを得て、単一の等方性拡散テンソルセットを用いて比a:bが1:1である入口流れ場を得ることができる。これに対して、単一の弱異方性拡散テンソルセットを用いて比a:bが1:5である入口流れ場をGray-Scott方程式から得ることができ、単一の強異方性拡散テンソルセットを用いて比a:bが1:100である入口流れ場をGray-Scott方程式から得ることができる。流れ場の入口領域は、拡散テンソルの組み合わせを用いてもたらすことができ、その結果、それは最適化されたマイクロチャネル設計がもたらされる。それは強異方性から等方性への切り替え;等方性から強異方性へ、強異方性から等方性への切り替え;強異方性から等方性へ、等方性から強異方性へ、強異方性から戻って等方性への切り替え、を含む。
【0049】
一旦、流れ場のパターンが、一般的にマイクロチャネルレイアウトで設計されると、流れ場の種々のチャネルが、少なくとも入口領域32において、最終的に流体の流れにおいて向上した均一性をもたらす複数の分離した切れ目領域(図15、16、及び18の参照番号58)を有するように定められる。種々の態様において、複数の分離した切れ目領域58は、バイポーラプレートの所定の性能パラメータに基づき得る離間した等高線54に沿って又はその近くに並べられて配置される。例えば、所定の性能パラメータは、図11~16に関して後述される圧力流、および図17~19に関して後述される速度流のうちの少なくとも1つであり得る。
【0050】
図11は、流入口24から入口領域32を通り、出口窓領域52を出で最終的に流れ場28の反対側(図1)に行く流れについての最適化された多孔質媒体流れ場モデルから得られた、例示的な圧力場50を示す。図示されるように、複数の離間した等高線54が、実質的に圧力の変化の所定の境界に沿って整列して設けられる。等高線54は、暗赤(最高の圧力)から暗青(最低の圧力)までの色範囲で図示される圧力境界を示し、カラースケールは等高線圧力(単位:Pa)を提供し、数値スケールは等高線圧力(単位:Pa)を提供する。図12は、1つの理論上の出口フローチャネルに対応する、図11の最適化された多孔質媒体入口流れ場モデルの圧力場に関連する速度プロファイルの線グラフである。例示的な流れ場を提供する目的で、図13~19は、出口窓領域52において113の代表的なフローチャネルを有し、x軸に沿った方向に延在することを意図している(図1)。
【0051】
図13は、図11の最適化された多孔質媒体入口流れ場モデルの連続チャネル設計から得られた結果として生じる圧力場50を示す。参照番号56で指定された領域で指摘されているように、チャネル40の分岐の速度は一致せず、圧力および流れの不均一性をもたらしている。図示されるように、複数の離間した等高線54が、圧力の変化の所定の境界と実質的に整列して設けられる。等高線54は、暗赤(最高の圧力)から暗青(最低の圧力)までの色範囲で図示される圧力境界を示し、カラースケールは等高線圧力(単位:Pa)を提供し、数値スケールは等高線圧力(単位:Pa)を提供する。図13の圧力場50は、出口窓領域52における圧力の不均一性を示す。図14は、図13の連続チャネル入口流れ場設計の圧力場に関連付けられた速度プロファイルの線グラフを示し、フローチャネル間の流れの不均一性を明確に示している。
【0052】
図15は、図11の最適化された多孔質媒体入口流れ場モデルの不連続チャネル設計から得られた結果として生じる圧力場50を示す。圧力場50は、流入口24に直ぐ隣接する領域60に実質的に均一な入口供給速度を有するようにもたらされている。パターンは、複数の分離した切れ目領域58を有する複数の側壁42によって画定される複数のチャネル40を含む。等高線54は、暗赤(最高の圧力)から暗青(最低の圧力)までの色範囲で図示される圧力境界を示し、カラースケールは等高線圧力(単位:Pa)を提供し、数値スケールは等高線圧力(単位:Pa)を提供する。複数の分離した切れ目領域58を有する図15の圧力場50は、出口窓領域52において圧力が均一であることを示している。図示されるように、本技術の不連続チャネル設計は、図11に示された多孔質モデル圧力場分布をほぼ厳密に得ることが可能である。種々の態様において、圧力場の複数の等高線54によって複数の分離した切れ目領域58を配置することにより、多孔質媒体モデル領域の流れ場の入口領域32の出口窓領域52のチャネルの間の流体流れ圧力の変動が、約7%未満、約5%未満、または約3%未満になる。
【0053】
図16は、本技術の別の態様に係る、不連続チャネル入口流れ場設計を用いた流れ場62の例示的な設計を示す。図15とは異なり、図16の設計は、流入口24にすぐ隣接する領域64において不均一な入口供給速度を有するパターンをもたらす。パターンは、複数の分離した切れ目領域58を有する複数の側壁42によって画定される複数のチャネル40を含む。図示されるように、複数の分離した切れ目領域58の多くは、バイポーラプレートの所定の性能係数を表す等高線54に沿って並べられて配置される。複数の分離した切れ目領域58を有する図16流れ場62は、同様に、出口窓領域52における圧力の均一性を示している。
【0054】
図17は、流入口24から入口領域32を通り、出口窓領域52から出て最終的に流れ場28の反対側に至る流れについての最適化された多孔質媒体入口流れ場モデルから得られた例示的な速度場66を示す。図示するように、速度の方向および相対的な大きさを表すために、離間して配置された複数の矢印68が設けられている。勾配付けられたカラー領域は、より高い速度を有する中央領域70を示し、暗赤(最高速度)から暗青(最低速度)までのカラー範囲で図示される速度境界を示し、カラースケールは等高線速度(単位:m/s)を提供する。
【0055】
図18は、図17の最適化された多孔質媒体入口流れ場モデルの不連続チャネル設計モデルから得られた結果として生じる速度場66を示す。パターンは、複数の分離した切れ目領域58を有する複数の側壁42によって画定される複数のチャネル40を含む。勾配付けられたカラー領域は、暗赤(最高速度)から暗青(最低速度)までのカラー範囲で図示される速度境界を示し、カラースケールは流速(単位:m/s)を提供する。複数の分離した切れ目領域58を有する図18の速度場66は、出口窓領域52における流速の均一性を示している。図示されるように、本技術の不連続チャネル設計は、図17に示された多孔質モデル速度場分布をほぼ厳密に得ることが可能である。種々の態様において、速度場の複数の等高線によって複数の分離した切れ目領域58を配置することにより、多孔質媒体モデル領域の流れ場の入口領域32の出口窓領域52のチャネルの間の流体流速の変動を、約7%未満、約5%未満、又は約3%未満にすることができる。
【0056】
図19は、不連続チャネル入口速度場と目標指定速度場との比較の結果を示すグラフである。平均出口速度は0.124m/sである。流れの不均一性の平均は、平均出口速度に対して約4.5%である。流れの不均一性の最大は平均出口速度に対して約9.7%である。
【0057】
最適化されたマイクロチャネルのレイアウトおよび設計が得られ、パターンに組み込まれると、本技術はまた、(任意的に、調整された空隙率を有するように)チャネルを製造し、バイポーラプレートの流れ場を生成する方法を提供する。図20は、種々の製造技術によって作製することができる流れ場の入口領域32の基本的なチャネル40、壁42、および底44の例示的セットの断面図である。チャネルおよび壁の特定の設計は、様々な態様でかなり詳細にできることが理解されるべきである。
【0058】
パターンと組み合わせて、多数の材料および製造技術を使用して、流れ場の種々の領域において、複数の側壁42によって画定される複数のチャネル/マイクロチャネル40のネットワークを作製することができる。種々の態様において、本技術は、傾斜機能材料および/もしくはマイクロチャネル、多孔質媒体、又はそれらのハイブリッド組み合わせで特に有用である。傾斜機能多孔質材料とも呼ばれる、傾斜機能材料(「FGM」)は、一般に、組成物、微細構造、および/または材料の体積にわたる空隙率が1つ以上の方向において変化する材料として、当該技術分野で公知である。FGMは、特定の機能のセットを実行するように特別に設計することができるとともに、調整およびカスタマイズのためのほとんど無限の可能性を有しており、バイポーラプレートのための流れ場またはその一部を作製する際に非常に有用であり得る、FGMの設計パラメータは、FGMをマイクロチャネルネットワークに変換するために、上述のように、有効媒質理論と共に使用することができ、ここで、幅などのマイクロチャネルの少なくとも1つの寸法は、FGMの透過率に基づく。FGMは、一般に、空隙率および細孔径勾配構造、化学/組成勾配構造、および微細構造勾配構造に分類することができ;これらの各々は、単独で、または本明細書で設計される流れ場パターンと組み合わせて使用することができる。本技術は、既存のFGMをパターンに成形および/または機械加工することを想定しているだけでなく、付加製造および類似の手法および技術を用いてFGMを作製することも考慮している。例えば、微細構造勾配傾斜機能材料は、物質から所望の特性が得られるように徐々に変化させる、異なる微細構造が物質中に生成されるように、微細構造が調整された形で形成されるように、付加製造され得る。ある態様では、急冷を用いた凝固プロセス中に微細構造のグラデーションを達成することもできる。他の態様において、焼結技術は、材料内で変化する微細構造を生成するために有用であり得る。
【0059】
最も広い意味で、付加製造技術は、流れ場またはその一部においてパターンを作製するために用いることができ、ここで、流れ場の少なくとも一部を特別に作製し、特定の設計に合わせることが望ましい。付加製造技術の種々の非限定的な例は、レーザー焼結技術、選択的レーザー溶融および電子ビーム溶融技術、3D印刷、および/または印刷と硬化との組み合わせを使用し得るバインダージェット技術を使用する製造を含む。他の態様では、種々の電気めっき技術を、傾斜機能多孔質媒体を製造または加工するために使用することもできる。或る種の複合材料、ポリマー、熱可塑性プラスチック、樹脂などは、パターンおよび設計に応じて、有用な材料と考えられ得る。
【0060】
さらに他の態様において、金属逆オパール(「MIO」)技術は、銅、ニッケル、チタンなどの適切な金属と共に使用することができる。MIO技術は、当該技術分野で公知のように調整およびカスタマイズすることができる。1つの一般的な例において、傾斜機能多孔質媒体は、一般に、異なるサイズのポリスチレン粒子を鋳型として用いること、および/または異なる鋳型領域について焼結時間を制御することによって得ることができる。所望により、特定の毛管力、吸い上げ、および流れパターンを発揮するネック、細孔、および流体配送構造を作り出すMIO技術を使用することができる。従来の金属機械加工および/または型打ち加工技術は、可変ピッチのマイクロチャネル設計を有する流れ場を有するバイポーラプレートを最終的に提供するために、上記の技術と組み合わせて使用することができる。
【0061】
種々のハイブリッド多孔質構造材料および材料と製造方法との組み合わせもまた、本技術と共に使用され得る。ハイブリッド多孔質構造材料は、多孔質領域および非多孔質領域を含み得る。金属発泡体なども、傾斜機能多孔質材料として、本技術の設計と共に組み込むことができる。種々の態様において、緻密な非多孔性チャネル壁42には、多孔質材料の被覆が設けられていてもよい。ある設計は、多孔質の底壁44を有する密な壁42を含み得る。他の態様では、チャネル壁42は、多孔質材料またはFGMで構成されていてもよく、底壁44は、非多孔質であってもよい。気孔率の変化も勾配とすることができる。さらに他の態様では、底壁44の1つ以上の領域は、第1の空隙率を有するように設計することができ、一方、チャネル壁42は、第2の空隙率を有することができる、などである。ある態様において、底壁44は、基板またはバイポーラプレートの一部であってもよく、続いて、流体を流入口から流出口に向けるように構成された可変ピッチマイクロチャネルパターンを作り出すために、複数のマイクロチャネルが、FGMから作り出されてもよく、または付加製造、電気めっき、またはそれらの組み合わせを使用してバイポーラプレート上に形成されてもよい。
【0062】
上記の説明は、例示および説明の目的のために提供され、決して、本開示、その適用、またはその用途を限定することを意図しない。上記の説明は、網羅的であること、または本開示を限定することを意図していない。特定の実施形態の個々の要素または特徴は、一般に、その特定の実施形態に限定されないが、適用可能な場合には、交換可能であり、具体的に示され又は説明されていなくても、選択された実施形態で使用することができる。特定の実施形態の個々の要素または特徴はまた、多くの方法で変化させることができる。そのような変形は、本開示からの逸脱と見なされるべきではなく、全てのそのような改変は、本開示の範囲内に含まれることが意図される。
【0063】
本明細書で使用される場合、A、B、及びCのうちの少なくとも1つという文言は、非排他的な論理「または」を使用して、論理(A又はB又はC)を意味すると解釈されるべきである。方法内の種々のステップは、本開示の原理を変更することなく異なる順序で実行され得ることが理解されるべきである。範囲の開示は、端点を含む全範囲内のすべての範囲およびさらに分割された範囲の開示を含む。
【0064】
本明細書で使用される見出し(「背景」および「発明の概要」など)および小見出しは、本開示内のトピックの一般的な編成のみを意図しており、技術の開示またはそのいかなる態様をも限定することを意図していない。述べられた特徴を有する複数の実施形態の記載は、追加の特徴を有する他の実施形態、または述べられた特徴の異なる組み合わせを組み込む他の実施形態を排除することを意図しない。
【0065】
本明細書で使用されるように、用語「備える」および「含む」ならびにそれらの変形は、引き続く要素または列挙の記載が、本技術のデバイスおよび方法においても有用であり得る他の類似の要素の排除にはならないように、非限定的であることを意図している。同様に、用語「できる」および「し得る」ならびにそれらの変形は、ある実施形態が特定の要素または特徴を含むことができる又は含み得るという記載が、それらの要素または特徴を含まない本技術の他の実施形態を排除しないように、非限定的であることを意図している。
【0066】
本開示の広い教示は、様々な形態で実施することができる。したがって、本開示は特定の例を含むが、他の改変が明細書および以下の特許請求の範囲の分析に基づいて当業者にとって明らかになるであろうから、本開示の真の範囲はそのように限定されるべきではない。1つの態様、または様々な態様への言及は、実施形態または特定のシステムに関連して記載される特定の特徴、構造、または特性が少なくとも1つの実施形態または態様に含まれることを意味する。語句「一態様で」(またはその変形)の出現は、必ずしも同じ態様または実施形態を指すものではない。また、本明細書で議論される様々な方法ステップは、図示されるのと同じ順序で実行される必要はなく、各態様または実施形態において各方法ステップが必要とされるわけではないことも理解されるべきである。
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