(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-10
(45)【発行日】2023-01-18
(54)【発明の名称】表示装置及び表示装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
G09F 13/18 20060101AFI20230111BHJP
【FI】
G09F13/18 K
(21)【出願番号】P 2020174541
(22)【出願日】2020-10-16
【審査請求日】2022-08-09
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000231361
【氏名又は名称】NISSHA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149216
【氏名又は名称】浅津 治司
(74)【代理人】
【識別番号】100158610
【氏名又は名称】吉田 新吾
(74)【代理人】
【識別番号】100121120
【氏名又は名称】渡辺 尚
(72)【発明者】
【氏名】田中 駿
(72)【発明者】
【氏名】寺下 勝
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 潤
(72)【発明者】
【氏名】谷口 忠壮
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 健一郎
【審査官】藤井 達也
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-361182(JP,A)
【文献】特開2008-129094(JP,A)
【文献】特開2019-168571(JP,A)
【文献】特開2020-061352(JP,A)
【文献】特開2013-205530(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0002442(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 13/00-13/46
B60Q 1/00- 1/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1主面と前記第1主面に対向する第2主面を有し、前記第1主面に第1溝が形成されている可視光を透過する樹脂製の導光部材と、
前記導光部材の前記第1主面に配置され、前記導光部材の中に可視光を照射できるように配置されている第1発光素子と、
前記導光部材の前記第1主面または前記第2主面に配置され、前記導光部材の中に可視光を照射できるように配置されている第2発光素子と、
前記導光部材と一体的に成形されて前記導光部材の前記第1主面及び前記第2主面のうちの少なくとも一方に設けられ、前記第1発光素子から照射された可視光が前記導光部材から外部に放射される第1発光部位と前記第2発光素子から照射された可視光が前記導光部材から外部に放射される第2発光部位とを有する加飾層と、
前記第1溝の第1溝底
に接し、前記第1溝の側面に接しないように配置された棒状部材であり、前記導光部材よりも可視光の吸収率が大きな光吸収部材と
を備え、
前記導光部材は、前記第1溝の一方の側面に接する第1領域と前記第1溝の他方の側面に接する第2領域とを有し、
前記第1発光素子と前記第1発光部位が前記第1領域に配置され、前記第2発光素子と前記第2発光部位が前記第2領域に配置され、
前記第1溝は、前記第1発光素子から前記第2領域に向かう光路を遮る位置で且つ前記第2発光素子から前記第1領域に向かう光路を遮る位置に配置されている、表示装置。
【請求項2】
前記導光部材は、前記第1溝の深さが前記第1溝底と前記第2主面との距離より小さい、
請求項
1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記導光部材は、前記第1主面に前記第1溝以外に第2溝及び第3溝が形成されており、
前記光吸収部材は、前記第2溝の第2溝底及び前記第3溝の第3溝底、または前記第2主面の前記第2溝底及び前記第3溝底に対向する第2溝対向部分及び第3溝対向部分に配置され、
前記第1溝と前記第2溝が前記第1領域を挟むように配置され、前記第1溝と前記第3溝が前記第2領域を挟むように配置されている、
請求項1または請求項
2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記第1発光素子及び前記第2発光素子が電気的に接続される配線パターンを有し、前記導光部材の前記第1主面に配置されて前記導光部材と一体的に成形されている回路フィルムを備える、
請求項1から
3のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項5】
前記加飾層は、前記第1領域および前記第2領域に対向する部分に金属層または低屈折率層を有する、
請求項1から
4のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項6】
可視光を透過する樹脂製の導光部材の第1主面に回路フィルムを一体的に成形するとともに、前記導光部材の第2主面に加飾層を一体的に成形する成形ステップと、
前記回路フィルムに第1発光素子及び第2発光素子を電気的に接続し、前記第1発光素子及び前記第2発光素子が前記導光部材の中に可視光を照射できるように前記第1発光素子及び前記第2発光素子を設置する素子設置ステップと、
前記導光部材の前記第1主面を削って、前記第1発光素子と前記第2発光素子との間を通る第1溝を形成する溝形成ステップと、
前記第1溝の第1溝底
に接し、前記第1溝の側面に接しないように配置された棒状部材であり、前記導光部材よりも可視光の吸収率が大きな光吸収部材を設ける光吸収部材設置ステップと
を備え、
前記加飾層は、前記第1発光素子から照射された可視光が前記導光部材から外部に放射される第1発光部位と前記第2発光素子から照射された可視光が前記導光部材から外部に放射される第2発光部位とを有し、
前記導光部材は、前記第1溝の一方の側面に接し前記第1発光素子と前記第1発光部位が配置される第1領域と、前記第1溝の他方の側面に接し前記第2発光素子と前記第2発光部位が配置される第2領域とを有し、
前記第1溝は、前記第1発光素子から前記第2領域に向かう光路を遮る位置で且つ前記第2発光素子から前記第1領域に向かう光路を遮る位置に配置される、表示装置の製造方法。
【請求項7】
前記成形ステップ及び前記素子設置ステップは、前記回路フィルムに第1発光素子及び第2発光素子を電気的に接続した後に、前記回路フィルムをインサート成形し、前記加飾層をインモールド成形することにより実施される、
請求項
6に記載の表示装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置及び表示装置の製造方法に関し、特に表示のための可視光を樹脂によって導く表示装置及び表示装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば、特許文献1(特開2008-129094号公報)に記載されているように、導光板と表示プレートとを組み合わせた表示装置が知られている。特許文献1の導光板では、複数のLED(light emitting diode)から表示プレートまでの光路を複数に分けるために、溝を導光板に設けることが行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のように導光板を構成している樹脂が厚く、深い溝で光路を分離する場合には、導光板において、隣接する光路への可視光の漏れを小さくし易い。
しかし、導光板が薄くなると、導光板の強度を保つため、導光板の厚さに対する溝の深さの比を大きくできなくなる。導光板の厚さに対する溝の深さの比を大きくできないと、隣接する光路への可視光の漏れを小さくすることが難しくなる。
【0005】
本発明の課題は、薄い導光部材に溝を形成して光路を分ける表示装置において、隣接する光路への可視光の漏れを小さくすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下に、課題を解決するための手段として複数の態様を説明する。これら態様は、必要に応じて任意に組み合せることができる。
本発明の一見地に係る表示装置は、可視光を透過する樹脂製の導光部材と、第1発光素子と、第2発光素子と、加飾層と、光吸収部材とを備えている。導光部材は、第1主面と第1主面に対向する第2主面を有し、第1主面に第1溝が形成されている。第1発光素子は、導光部材の第1主面に配置され、導光部材の中に可視光を照射できるように配置されている。第2発光素子は、導光部材の第1主面または第2主面に配置され、導光部材の中に可視光を照射できるように配置されている。加飾層は、導光部材と一体的に成形されて導光部材の第1主面及び第2主面のうちの少なくとも一方に設けられ、第1発光素子から照射された可視光が導光部材から外部に放射される第1発光部位と第2発光素子から照射された可視光が導光部材から外部に放射される第2発光部位とを有する。光吸収部材は、第1溝の第1溝底及び第2主面の第1溝底に対向する第1溝対向部分のうちの少なくとも一方に配置され、導光部材よりも可視光の吸収率が大きい。導光部材は、第1溝の一方の側面に接する第1領域と第1溝の他方の側面に接する第2領域とを有する。第1発光素子と第1発光部位が第1領域に配置され、第2発光素子と第2発光部位が第2領域に配置されている。第1溝は、第1発光素子から第2領域に向かう光路を遮る位置で且つ第2発光素子から第1領域に向かう光路を遮る位置に配置されている。
このように構成されている表示装置は、第1発光素子から第2領域に向かう光路が第1溝で遮られ、しかも、第1溝と第2主面の隙間を通って第1発光素子から照射される可視光が第2領域に侵入するのを光吸収部材によって減少させることができる。その結果、第1発光素子の光路から第2発光素子の光路に漏れる可視光を減少させることができる。同様に、第2発光素子から第1領域に向かう光路が第1溝で遮られ、しかも、第1溝と第2主面の隙間を通って第2発光素子から照射される可視光が第1領域に侵入するのを光吸収部材によって減少させることができる。その結果、第2発光素子の光路から第1発光素子の光路に漏れる可視光を減少させることができる。
上述の表示装置は、光吸収部材が、第1溝の第1溝底に接し、第1溝の側面に接しないように配置されている棒状部材で構成されてもよい。このように構成されている表示装置では、第1溝底と第2主面との間の隙間を通って漏れる可視光を光吸収部材で小さくする。第1溝の一方の側面は第1光路の可視光を光吸収部材で減少させずに第1光路に向けて反射でき、他方の側面は第2光路の可視光を光吸収部材で減少させずに第2光路に向けて反射できる。その結果、第1溝に光吸収部材を配置しても、第1発光素子により光らせる第1発光部位の輝度の低下を抑制でき、第2発光素子により光らせる第2発光部位の輝度の低下を抑制できる。
上述の表示装置は、導光部材の第1溝の深さが第1溝底と第2主面との距離より小さくなるように構成されてもよい。このように構成された表示装置は、導光部材が薄いにも拘らず第1溝の部分で割れ難くなる。
上述の表示装置では、導光部材は、第1主面に第1溝以外に第2溝及び第3溝が形成されており、光吸収部材は、第2溝の第2溝底及び第3溝の第3溝底、または第2主面の第2溝底及び第3溝底に対向する第2溝対向部分及び第3溝対向部分に配置され、第1溝と第2溝が第1領域を挟むように配置され、第1溝と第3溝が第2領域を挟むように配置されているように構成されてもよい。このように構成された表示装置は、第2溝の側から回り込んで第1領域に入り込む可視光を第2溝と光吸収部材とによって低減することができる。また、第3溝の側から回り込んで第2領域に入り込む可視光を第3溝と光吸収部材とによって低減することができる。その結果、第1発光素子が発光しているときと発光していないときの第1発光部位の明暗のコントラストが小さくなるのを第2溝と光吸収部材とにより抑制できる。同様に、第2発光素子が発光しているときと発光していないときの第2発光部位の明暗のコントラストが小さくなるのを第3溝と光吸収部材とにより抑制できる。
【0007】
本発明の他の見地に係る表示装置は、導光部材と、第1発光素子と、第2発光素子と、加飾層とを備えている。導光部材は、可視光を透過する樹脂製であり、第1主面と第1主面に対向する第2主面を有し、第1主面に第1溝が形成されている。第1発光素子は、導光部材の第1主面に配置され、導光部材の中に可視光を照射できるように配置されている。第2発光素子は、導光部材の第1主面または第2主面に配置され、導光部材の中に可視光を照射できるように配置されている。加飾層は、導光部材と一体的に成形されて導光部材の第1主面及び第2主面のうちの少なくとも一方に設けられ、第1発光素子から照射された可視光が導光部材から外部に放射される第1発光部位と第2発光素子から照射された可視光が導光部材から外部に放射される第2発光部位とを有する。導光部材は、第1溝の一方の側面に接する第1領域と第1溝の他方の側面に接する第2領域とを有する。第1発光素子と第1発光部位が第1領域に配置され、第2発光素子と第2発光部位が第2領域に配置されている。第1発光素子の少なくとも一部は、導光部材の第1主面と第2主面との間に位置するように導光部材の凹部中に配置されている。第2発光素子の少なくとも一部は、導光部材の第1主面と第2主面との間に位置するように導光部材の凹部中に配置されている。第1溝は、第1発光素子から第2領域に向かう光路を遮る位置で且つ第2発光素子から第1領域に向かう光路を遮る位置に配置されている。
このように構成されている表示装置は、第1発光素子から第2領域に向かう光路及び第2発光素子から第1領域に向かう光路が第1溝で遮られる。第1発光素子及び第2発光素子の少なくとも一部を導光部材の凹部中に配置できるため、導光部材の厚みを薄くしつつ第1発光素子と第1発光部位の距離及び第2発光素子と第2発光部位の距離を短くでき、第1発光素子の光路から第2発光素子の光路に漏れる可視光及び2発光素子の光路から第1発光素子の光路に漏れる可視光を減少させることができる。
【0008】
上述の表示装置は、第1発光素子及び第2発光素子が電気的に接続される配線パターンを有し、導光部材の第1主面に配置されて導光部材と一体的に成形されている回路フィルムをさらに備えるように構成されてもよい。このように構成された表示装置は、第1主面から第2主面に向かう方向における表示装置の厚みを小さくし易くなる。
上述の表示装置では、加飾層が、第1領域および第2領域に対向する部分に金属層または低屈折率層を有するように構成してもよい。このように構成された表示装置では、第1領域及び第2領域での可視光の拡散を抑制して、第1発光部位及び第2発光部位の輝度の低下を抑制することができる。
【0009】
本発明の一見地に係る表示装置の製造方法は、成形ステップと、素子設置ステップと、溝形成ステップと、光吸収部材設置ステップとを備える。成形ステップでは、可視光を透過する樹脂製の導光部材の第1主面に回路フィルムを一体的に成形するとともに、導光部材の第2主面に加飾層を一体的に成形する。素子設置ステップでは、回路フィルムに第1発光素子及び第2発光素子を電気的に接続し、第1発光素子及び第2発光素子が導光部材の中に可視光を照射できるように第1発光素子及び第2発光素子を設置する。溝形成ステップでは、導光部材の第1主面を削って、第1発光素子と第2発光素子との間を通る第1溝を形成する。光吸収部材設置ステップでは、第1溝の第1溝底及び第2主面の第1溝底に対向する第1溝対向部分のうちの少なくとも一方に配置され、導光部材よりも可視光の吸収率が大きな光吸収部材を設ける。加飾層が第1発光部位と第2発光部位を有するように表示装置が製造される。第1発光部位は、第1発光素子から照射された可視光が導光部材から外部に放射される部位である。第2発光部位は、第2発光素子から照射された可視光が導光部材から外部に放射される部位である。導光部材が第1領域と第2領域とを有するように表示装置が製造される。表示装置の製造方法において、第1領域は、第1溝の一方の側面に接しており、第1領域には、第1発光素子と第1発光部位が配置される。また、第2領域は、第1溝の他方の側面に接しており、第2領域には第2発光素子と第2発光部位が配置される。さらに、第1溝は、第1発光素子から第2領域に向かう光路を遮る位置で且つ第2発光素子から第1領域に向かう光路を遮る位置に配置される。
このように構成された表示装置の製造方法では、第1発光素子から第2領域に向かう光路が第1溝で遮られ、しかも、第1溝と第2主面の隙間を通って第1発光素子から照射される可視光が第2領域に侵入するのを光吸収部材によって減少させることができる表示装置を得ることができる。その結果、第1発光素子の光路から第2発光素子の光路に漏れる可視光を減少させることができる表示装置を得ることができる。このように構成された表示装置の製造方法では、第1溝が導光部材の成形後に削って形成されるので、成形と同時に溝を作る場合に生じる樹脂のひけを防止して加飾層の歪みの少ない表示装置を提供することができる。
上述の表示装置の製造方法では、成形ステップ及び素子設置ステップが、回路フィルムに第1発光素子及び第2発光素子を電気的に接続した後に、回路フィルムをインサート成形し、加飾層をインモールド成形することにより実施されてもよい。このように構成された表示装置の製造方法では、導光部材の中への第1発光素子及び第2発光素子の設置を容易に行える。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る表示装置及びその製造方法によれば、薄い導光部材を備える場合でも隣接する光路への可視光の漏れの少ない表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】表示装置が適用されているセンターコンソールの斜視図である。
【
図2】
図1のセンターコンソールで携帯電話機が充填されている状態を示す斜視図である。
【
図3】
図1の表示装置とコンソールボックスと携帯電話機の位置関係を示す断面図である。
【
図4】
図1に示されている表示装置の斜視図である。
【
図5】
図4のI-I線に沿った表示装置の断面を示す断面図である。
【
図6】
図4のII-II線に沿った表示装置の断面を示す断面図である。
【
図7】シミュレーションのモデルを示す斜視図である。
【
図8】溝がない場合の光漏れの状態を説明するための図である。
【
図9】溝がある場合の5%以下の光漏れの状態を説明するための図である。
【
図10】光吸収部材の可視光の吸収率が90%の場合における溝幅と光漏れの関係を示すグラフである。
【
図11】光吸収部材の可視光の吸収率が70%の場合における溝幅と光漏れの関係を示すグラフである。
【
図12】溝底から第2主面までの距離と係数αとの関係を示すグラフである。
【
図13】溝底から第2主面までの距離と係数βとの関係を示すグラフである。
【
図14】第2実施形態に係る表示装置の断面を示す断面図である。
【
図15】第2実施形態に係る表示装置の他の断面を示す断面図である。
【
図16】(a)は断面形状が長方形である第1溝を示す断面図である。(b)は断面形状が台形である第1溝を示す断面図である。(c)は断面形状が多角形である第1溝を示す断面図である。(d)は側面が内側に凹の曲面である第1溝を示す断面図である。(e)は側面が内側に凸の曲面である第1溝を示す断面図である。
【
図17】変形例Fに係る表示装置の断面を示す断面図である。
【
図18】変形例Fに係る表示装置の他の断面を示す断面図である。
【
図19】変形例Gに係る表示装置の断面を示す断面図である。
【
図20】変形例Hに係る表示装置の断面を示す断面図である。
【
図21】変形例Iに係る表示装置の断面を示す断面図である。
【
図22】第1及び第2実施形態の導光部材の凹部を説明するための断面図である。
【
図23】変形例Jに係る導光部材の凹部を説明するための斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<第1実施形態>
(1)表示装置の概要
(1-1)表示装置の概要
図1、
図2及び
図3には、自動車のセンターコンソール200に取り付けられている表示装置10が記載されている。このセンターコンソール200は、
図2及び
図3に示されている携帯電話機300を充電する機能を有している。携帯電話機300の充電機能を実現するために、センターコンソール200には、コンソールボックス210の中に、磁束を発生する充電コイル220が配置されている。携帯電話機300を効率良く充電するための一つの方法として、充電コイル220で発生した磁束のうち携帯電話機300を通過する磁束の割合を多くすることが考えられる。充電コイル220で発生した磁束が充電コイル220から離れるにしたがって発散するため、携帯電話機300と充電コイル220とを近づけることが携帯電話機300を通過する磁束の割合を高めることにつながる。なお、充電コイル220は、例えば電源(図示せず)から磁束を発生させるための電流の供給を受ける。
図3には、携帯電話機300が載置される場所におけるセンターコンソール200の断面が示されている。
図3に示されているように、充電コイル220と携帯電話機300の間に、表示装置10が配置される。従って、表示装置10が薄ければ薄いほど、携帯電話機300を充電コイル220に近づけることができる。
【0013】
図1には、表示装置10の上に携帯電話機300が載置されていない状態のセンターコンソール200が示されている。
図1に示されている状態の表示装置10には、第2アイコン12が表示されている。第2アイコン12は、携帯電話機300の充電のための載置位置を知らせるためのアイコンである。
図2には、表示装置10の上に携帯電話機300が載置されている状態のセンターコンソール200が示されている。
図2に示されている状態の表示装置10には、第1アイコン11及び第3アイコン13が表示されている。第3アイコン13は、携帯電話機300の充電が行われていることを知らせるためのアイコンである。第1アイコン11は、携帯電話機300の充電の程度を知らせるためのアイコンである。例えば、第1アイコン11が点灯することによって、ユーザは、携帯電話機300の充電が完了したことを知ることができる。
載置された携帯電話機300を検知するには、例えば検知装置(図示せず)がコンソールボックス210の中に配置されている。表示装置10、充電コイル220、電源及び検知装置は制御装置230に接続されている。制御装置230は、携帯電話機300が表示装置10の上に載置される前は、
図1に示されているように、表示装置10に第2アイコン12を表示させる制御を行う。携帯電話機300が表示装置10の上に載置されると、制御装置230は、携帯電話機300が載置されたという検知に関する情報を検知装置から受け取る。制御装置230は、携帯電話機300が載置されると電源から電流を充電コイル220に供給すると同時に、表示装置10に対して第2アイコン12の表示を止めて第3アイコン13を表示させる制御を行う。そして、携帯電話機300のバッテリーが満充電状態になると、表示装置10に第1アイコン11を表示させる制御を行う。制御装置230は、このような制御を行うために、表示装置10に接続されている。
【0014】
(1-2)表示装置の構造
図4には、表示装置10を斜め上方から見た状態が示されている。なお、
図4においては加飾層のアイコン以外の部分の記載が省略されている。
図5には、
図4のI-I線に沿って切断した表示装置10の断面の一部が拡大して示されている。
図6には、
図4のII-II線に沿って切断した表示装置10の断面の一部が拡大して示されている。なお、表示装置10の構造を説明する際に、
図4に示されている直交座標を用いる場合がある。
図3及び
図4に示されているように、表示装置10は、導光部材20と、第1LED31と、第2LED32と、第3LED33と、加飾層40と、第1光吸収部材51と、第2光吸収部材52と、第3光吸収部材53と、第4光吸収部材54とを備えている。なお、以下においては、第1LED31を第1発光素子の例として説明し、第2LED32を第2発光素子の例として説明する。
【0015】
(1-2-1)導光部材
導光部材20は、可視光を透過する樹脂製の部材である。導光部材20に用いられる熱可塑性樹脂には、例えば、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ABS樹脂がある。導光部材20は、第1LED31、第2LED32及び第3LED33の可視光を導くための板状部材である。導光部材20は、第1主面21と第2主面22とを有している。導光部材20の厚みは、例えば、5mm以下であり、好ましくは、2.5mm以下である。
導光部材20の第2主面22に加飾層40が設けられる。導光部材20の第1主面21に第1LED31、第2LED32及び第3LED33が配置されている。導光部材20の第1主面21に配置されている場合には、LEDの全体が深く埋め込まれて、断面視において、LEDの全体が第1主面21に達しない場合も含む。第1LED31、第2LED32及び第3LED33は、導光部材20に埋め込まれる。そのため、第1LED31、第2LED32及び第3LED33のうちの少なくとも一部は、第1主面21と第2主面22との間に位置する。そのために、この実施形態では、第1LED31、第2LED32及び第3LED33が、加飾層40と同時に導光部材20と一体成形されて、第1LED31、第2LED32及び第3LED33の全体が導光部材20の中に埋め込まれる。第1LED31、第2LED32及び第3LED33の全体が埋め込まれた場所が導光部材20の凹部中になる。
導光部材20の第1主面21には、第1溝26、第2溝27、第3溝28及び第4溝29が形成されている。第1溝26~第4溝29は、それぞれ、Y軸方向に直線状に延びている。XZ平面に沿って切断した第1溝26~第4溝29の断面の形状は、いずれも長方形である。第1溝26~第4溝29は、
図3に示されているように、それぞれ第1溝底26b、第2溝底27b、第3溝底28b、第4溝底29bを有している。また、第1溝26は、
図5に示されているように、第1溝底26bのY軸方向に延びる2辺からそれぞれ立ち上がる2つの側面26sを有している。同様に、第2溝27及び第3溝28は、第2溝底27b及び第3溝底28bのY軸方向に延びる2辺からそれぞれ立ち上がる側面27s,28sを有している。ここでは、第1溝26~第4溝29が、それぞれ、Y軸方向に直線状に延びる場合について説明しているが、第1溝26~第4溝29は、それぞれ、Y軸方向に曲線状に延びていてもよい。また、XZ平面に沿って切断した第1溝26~第4溝29の断面の形状は、長方形には限られない。
図4、
図5及び
図6に示されているように、導光部材20は、第1領域AR1と第2領域AR2とを有している。第1領域AR1は、第1溝26の一方の側面26sに接する領域である。第2領域AR2は、第1溝26の他方の側面26sに接する領域である。言い換えると、第1領域AR1、第1溝26及び第2領域AR2は、X軸方向に順に並べて配置されている。第1領域AR1のX軸方向の範囲は、第1溝26の側面26sから第2溝27の側面27sまでである。第2領域AR2のX軸方向の範囲は、第1溝26の側面26sから第3溝28の側面28sまでである。第1領域AR1及び第2領域AR2のY軸方向の範囲は、第1溝26の一端から他端までである。言い換えると、第1領域AR1及び第2領域AR2のY軸方向の長さは第1溝26の長さに相当する。この第1溝26は第1LED31から第2領域AR2に向かう光路を遮る位置で且つ第2LED32から第1領域AR1に向かう光路を遮る位置に配置されている。このように配置された第1溝26によって、第1LED31から第2領域AR2に向かう可視光が減じられ、第2LED32から第1領域AR1に向かう可視光が減じられる。
【0016】
(1-2-2)第1LED~第3LED
第1LED31、第2LED32及び第3LED33は、導光部材20の中に可視光を照射できるように配置されている。この実施形態の第1LED31、第2LED32及び第3LED33は、インサート成形により、導光部材20の第1主面21から突出しないように、導光部材20の中に埋め込まれている。第1LED31、第2LED32及び第3LED33のインサート成形については後述する。第1LED31から照射された可視光は、導光部材20の第1光路OP1を通って第1アイコン11を光らせる。第2LED32から照射された可視光は、導光部材20の第2光路OP2を通って第2アイコン12を光らせる。第3LED33から照射された可視光は、導光部材20の第3光路OP3を通って第3アイコン13を光らせる。第1LED31、第2LED32及び第3LED33には、例えばチップLEDを用いることができる。チップLEDの厚さは、例えば、0.4mm~2mmである。チップLEDは、例えば、平面視長方形状であり、1.6mm×0.8mmから3.5mm×2.8mmの大きさである。
(1-2-3)加飾層
加飾層40は、導光部材20と一体的に成形される。加飾層40は、インサート成形によって加飾フィルムと導光部材20と一体化することによって、導光部材20と一体的に成形される。あるいは、加飾層40は、インモールド成形によって導光部材20に転写されることによって、導光部材20と一体的に成形される(成形ステップ)。ここでは、インモールド成形によって加飾層40を転写して形成する場合を例に挙げているが、成形後に、加飾層を転写してもよい。
加飾層40は、第1発光部位41と、第2発光部位42と、第3発光部位43とを有している。第1発光部位41は、第1LED31から照射された可視光が導光部材20から外部に放射される部位である。第1発光部位41には、第1アイコン11が形成されている。第1発光部位41から第1LED31から照射された可視光が外部に放射されることによって第1アイコン11が表示される。第2発光部位42には第2アイコン12が形成され、第3発光部位43には第3アイコン13が形成されている。第2発光部位42から第2LED32から照射された可視光が外部に放射されることによって第2アイコン12が表示され、第3発光部位43から第3LED33から照射された可視光が外部に放射されることによって第3アイコン13が表示される。
【0017】
加飾層40は、例えば、可視光を透過する透光性フィルムと、透光性フィルムに形成され可視光を遮断する隠蔽層と、隠蔽層の上に形成された図柄層とで構成することができる。透光性フィルムは、厚さが、例えば10μm~500μmの透明の樹脂製のフィルムである。透光性フィルムは、例えば、ポリエステル樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂、トリアセチルセルロース樹脂、スチレン樹脂若しくはABS樹脂からなる樹脂フィルム、アクリル樹脂とABS樹脂の多層フィルム、またはアクリル樹脂とポリカーボネート樹脂の多層フィルムから選択される。隠蔽層は、第1発光部位41、第2発光部位42及び第3発光部位43のように可視光を導光部材20から外部に放射させる部位以外の場所に形成されている。隠蔽層は、透光性フィルムに例えばグラビア印刷法またはスクリーン印刷法によって形成される。隠蔽層を構成する材料は、例えば、アクリル系樹脂、塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂、熱可塑性ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂などの樹脂と、樹脂に添加される顔料または染料を含むものである。
図柄層は、図柄などの意匠を表現するための層である。例えば、図柄層によって、第1アイコン11、第2アイコン12及び第3アイコン13が描かれる。図柄層は、ベースフィルムに例えばグラビア印刷法またはスクリーン印刷法によって形成される。図柄層を構成する材料は、例えば、アクリル系樹脂、塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂、熱可塑性ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂などの樹脂と、樹脂に添加される顔料または染料を含むものである。また、図柄層は、例えば印刷法または金属蒸着法を使用して金属調意匠が施されたものであってもよい。印刷法では、例えばアルミペーストまたはミラーインキを用いることができる。また、金属蒸着法では、例えばアルミ、スズ、インジウム、またはクロムなどの金属材料を用いることができる。なお、図柄層の保護のためのコート層が、ベースフィルムとは反対の側の図柄層の上に設けられてもよい。
転写によって加飾層40が形成される場合には、加飾層40は、例えば、透光性フィルムを除いた隠蔽層と図柄層とを有している。
加飾層40は、例えば透光性の接着剤によって、導光部材20に接着されて固定される。
【0018】
(1-2-4)光吸収部材
図4、
図5及び
図6に示されているように、第1溝26に第1光吸収部材51が設置される(光吸収部材設置ステップ)。第1光吸収部材51は、第1溝26の第1溝底26bに例えば接着剤で固定される。同様に、第2溝27から第4溝29には、それぞれ、第2光吸収部材52から第4光吸収部材54が配置される。第1光吸収部材51から第4光吸収部材54は、いずれも直方体状の棒状部材である。ただし、第1光吸収部材51から第4光吸収部材54の形状は直方体に限られず、第1溝26から第4溝29の中に配置できる形状であればよい。
第1光吸収部材51から第4光吸収部材54において、可視光の吸収率は、70%以上であることが好ましく、90%以上であることがさらに好ましい。
ここでは、可視光の吸収率ab[%]は、厚さ1mmの光吸収部材に対し、垂直に光線を入射させたとき、反射率をre[%]、透過率をtr[%]として、次式で表される。
ab=100-re-tr
吸収率abというときには、入射する光線の波長は、可視光領域(380nmから780nmまで)とする。例えば、吸収率70%以上というときには、可視光領域の全域において、70%以上であればよい。
第1光吸収部材51から第4光吸収部材54は、例えば、黒色の顔料を添加した樹脂を射出成形して形成することができる。第1光吸収部材51から第4光吸収部材54を形成する樹脂は、例えば、導光部材20を構成している樹脂と同じ樹脂で構成される。
【0019】
(2)溝の形成方法
既に説明したように、導光部材20の第2主面22には、導光部材20の射出成形時に同時に形成される加飾層40が配置されている。この射出成形時には、導光部材20には第1溝26から第4溝29は形成されない。第1溝26から第4溝29は、例えば、第1主面21を機械的に切削することによって形成される(溝形成ステップ)。このように第1溝26から第4溝29を射出成形後に形成することにより、導光部材20の第2主面22にひけが生じるのを防止することができる。第1溝26から第4溝29を射出成形後に形成することにより、美しい加飾層40を得ることができる。
(3)LEDの設置方法
第1LED31、第2LED32及び第3LED33は、この実施形態では、制御装置230に電気的に接続される。第1LED31、第2LED32及び第3LED33の電気的接続のために、表示装置10は、回路フィルム60を備えている。回路フィルム60は、樹脂フィルム61と、樹脂フィルム61に形成された配線パターン62とを備えて構成されている(
図4及び
図5参照)。回路フィルム60と制御装置230は、例えばフレキシブルプリント基板(図示せず)を用いて接続される。フレキシブルプリント基板と配線パターン62とは、例えば異方性導電膜(図示せず)を用いて接続される。第1LED31、第2LED32及び第3LED33と配線パターン62とは、例えば導電性接着剤を用いて接続される(素子設置ステップ)。
この回路フィルム60は、導光部材20の射出成形時にインサート成形されることが好ましい。第1LED31、第2LED32及び第3LED33が電気的に接続された回路フィルム60をインサート成形することで、成形と同時に第1LED31、第2LED32及び第3LED33を導光部材20の中に設置することができる。なお、回路フィルム60は、第1溝26から第4溝29が形成される箇所には設けられない。
【0020】
(4)光路の形成方法
上述のように、導光部材20の第1主面21に第1溝26から第3溝28を形成することにより、第1光路OP1から第3光路OP3が形成される。第1溝26と第2溝27の間に第1光路OP1が形成され、第1溝26と第3溝28の間に第2光路OP2が形成され、第3溝28と第4溝29の間に第3光路OP3が形成される。
第1光路OP1から第3光路OP3を形成している導光部材20の第2主面22には、加飾層40が形成されている。この加飾層40によって第1光路OP1から第3光路OP3を透過する可視光の減衰を抑制するため、加飾層40は、第1光路OP1から第3光路OP3を構成する箇所に、金属層、全反射を起こすための低屈折率層あるいは全反射を起こすための凹凸を有する。例えば、第1光路OP1から第3光路OP3を構成する箇所に白色など通常のインキ層が設けられると、そのインキ層で可視光が拡散してしまい、輝度が低下する。
【0021】
(5)溝の形状
次のような光漏れのシミュレーションにより、溝の幅と深さを定量化する。
図7に示されているシミュレーションのモデルは、10mm×10mmのアイコンが10mmの間隔をあけて並んでいる表示装置10である。
図7に示されている導光部材20は、平面形状が100mm×100mmの正方形であり、厚さDが1.5mmまたは2.5mmである。
光漏れの割合Lを次の(1)式で定義する。ただし、アイコンIC1はLEDで構成されている第1発光素子Emで表示すべきアイコン、アイコンIC2は第1溝Gr1及び第1光吸収部材AB1を挟んでアイコンIC1の反対側に配置されているアイコンとする。
L=(アイコンIC1の平均照度)/(アイコンIC2の平均照度)×100 ・・・(1)
図7に示されているように、アイコンの照度を評価するための評価面ESは、表示装置10のすぐ上に設置する。この評価面ESに対する平均照度をシミュレーションによって算出する。評価面ESは、表示装置10の導光部材20の厚さDが1.5mm、2.5mmのいずれの場合でも、導光部材20の底面(第1主面21)から2.51mmの位置に配置する。
例えば、導光部材20の厚さが1.5mm、第1溝Gr1の幅Wが3.0mm、溝部の板厚(第1溝Gr1の溝底から導光部材20の第2主面22までの距離d)が1.0mm(第1主面21から導光部材20を0.5mm削ってd=1.0mmとする)、第1光吸収部材AB1が黒色であって可視光の吸収率90%で且つ可視光の反射率10%の条件において、溝がない場合のシミュレーション結果では光漏れLが約26%になり、第1溝Gr1と第1光吸収部材AB1がある場合のシミュレーション結果では光漏れLが約4%になる。溝がない場合のシミュレーション結果が
図8に示されている。第1溝Gr1と第1光吸収部材AB1がある場合のシミュレーション結果が
図9に示されている。
図8と
図9を比較してわかるように、光漏れLを5%以下に抑えることで、隣接するアイコンIC1を光らせるときに、光らせたくないアイコンIC2がユーザに視認されるのを抑制できる。
なお、第1光吸収部材AB1は、第1溝Gr1の溝底の全体に接し、第1溝Gr1の側面には接していないものとする。また、第2溝Gr2及び第3溝Gr3などの他の溝も第1溝Gr1と同じ形状とし、第2光吸収部材AB2及び第3光吸収部材AB3などの他の光吸収部材も第1光吸収部材AB1と同じ条件とする。
【0022】
第1光吸収部材AB1の可視光の吸収率が90%、導光部材20の厚さDが1.5mmの場合のシミュレーション結果が
図10に示されている。
図10において、近似曲線Ln1は、第1溝Gr1の溝底から導光部材20の第2主面22までの距離dが0.5mmの場合の光漏れと溝幅Wの関係を示している。近似曲線Ln2は、距離dが0.75mmの場合の光漏れと溝幅Wの関係を示している。近似曲線Ln3は、距離dが1.0mmの場合の光漏れと溝幅Wの関係を示している。
溝部の板厚(距離d)が0.5mmの場合には近似曲線Ln1が(2)式の関係を満たし、溝部の板厚(距離d)が0.75mmの場合には近似曲線Ln2が(3)式の関係を満たし、溝部の板厚(距離d)が1.0mmの場合には近似曲線Ln3が(4)式の関係を満たす。
L=4.15W
-1.20 ・・・(2)
L=7.51W
-1.07 ・・・(3)
L=11.46W
-0.96 ・・・(4)
光漏れLは、係数α,βを用いて、次の(5)式で表される。
L=αW
β ・・・(5)
距離d(溝部の板厚)に対して、α,βが線形に変化していることから、次の(6)式が導かれる。
L=(1.46d+3.25)W
0.474d-1.43 ・・・(6)
光漏れを5%以下に抑える場合、次の(7)式の関係を満たすことが一つの目安となる。
5≧(1.46d+3.25)W
0.474d-1.43 ・・・(7)
【0023】
第1光吸収部材AB1の可視光の吸収率が70%、導光部材20の厚さDが1.5mmの場合のシミュレーション結果が
図11に示されている。
図11において、近似曲線Ln4は、第1溝Gr1の溝底から導光部材20の第2主面22までの距離dが0.5mmの場合の光漏れと溝幅Wの関係を示している。近似曲線Ln5は、距離dが0.75mmの場合の光漏れと溝幅Wの関係を示している。近似曲線Ln6は、距離dが1.0mmの場合の光漏れと溝幅Wの関係を示している。
溝部の板厚(距離d)が0.5mmの場合には近似曲線Ln4が(8)式の関係を満たし、溝部の板厚(距離d)が0.75mmの場合には近似曲線Ln5が(9)式の関係を満たし、溝部の板厚(距離d)が1.0mmの場合には近似曲線Ln6が(10)式の関係を満たす。
L=5.14W
-1.06 ・・・(8)
L=9.02W
-0.892 ・・・(9)
L=13.11W
-0.767 ・・・(10)
光漏れLは、係数α,βを用いて、上述の(5)式で表される。
距離d(溝部の板厚)に対して、
図12及び
図13に示されているように、α,βが線形に変化していることから、次の(11)式が導かれる。
L=(15.9d-2.87)W
0.602d-1.36 ・・・(11)
光漏れを5%以下に抑える場合、次の(12)式の関係を満たすことが一つの目安となる。
5.00≧(15.9d-2.87)W
0.602d-1.36 ・・・(12)
【0024】
<第2実施形態>
(6)表示装置の概要
第1実施形態の表示装置10は、第1溝26から第4溝29の中、特に第1溝底26bから第4溝底29bの中に第1光吸収部材51から第4光吸収部材54を配置する場合について説明した。しかし、光吸収部材の配置場所は、
図14及び
図15に示されているように、第2主面22であってもよい。
図14及び
図15に示されている第2実施形態の表示装置10において、第1光吸収層71、第2光吸収層72及び第3光吸収層73が光吸収部材である。第1光吸収層71、第2光吸収層72及び第3光吸収層73は、加飾層40に形成されている。第1光吸収層71は、導光部材20の第2主面22の第1溝底26bに対向する第1溝対向部分PA1に配置されている。また、第2光吸収層72及び第3光吸収層73は、第2主面22の第2溝底27bに対向する第2溝対向部分PA2及び第3溝底28bに対向する第3溝対向部分PA3に配置されている。第1光吸収層71、第2光吸収層72及び第3光吸収層73は、例えば、第1光吸収部材51、第2光吸収部材52及び第3光吸収部材53と同様の材料で構成される。
また、加飾層40には、第1発光部位41及び第2発光部位42を除く第1領域AR1及び第2領域AR2に金属層80を有する。ここでは、加飾層40が金属層80を有する場合について説明しているが、金属層80に代えて全反射を起こすための低屈折率層を設けてもよい。
【0025】
(7)変形例
(7-1)変形例A
上記第1実施形態においては、第1光吸収部材51から第4光吸収部材54が棒状部材である場合について説明したが、第1光吸収部材51から第4光吸収部材54は棒状部材には限られない。第1光吸収部材51から第4光吸収部材54は、例えば、黒色の短冊状のフィルムであってもよい。また、第1光吸収部材51から第4光吸収部材54は、例えば、黒色の印刷層であってもよい。
(7-2)変形例B
上記第1実施形態では、例えば第1光吸収部材51を第1溝26の第1溝底26bに形成し、導光部材20の第2主面22には光吸収部材を設けない場合について説明した。また、上記第2実施形態では、例えば第1光吸収層71を導光部材20の第2主面22の第1溝対向部分PA1に形成し、第1溝26の第1溝底26bには光吸収部材を設けない場合について説明した。しかし、光吸収部材は、第1溝底26bと第1溝対向部分PA1の両方に形成してもよい。同様に、光吸収部材は、第2溝底27bと第2溝対向部分PA2の両方及び第3溝底28bと第3溝対向部分PA3の両方に形成してもよい。
【0026】
(7-3)変形例C
上記第1実施形態及び第2実施形態では、導光部材20の第2主面22が平面である場合について説明した。しかし、導光部材20の第2主面22は平面には限られない。導光部材20の第2主面22は、例えば曲面であってもよい。導光部材20の第2主面22は、平坦である場合について説明したが、導光部材20の第2主面22には凹凸があってもよい。
(7-4)変形例D
上記第1実施形態及び第2実施形態では、導光部材20の平面状の第1主面21を削って第1溝26から第4溝29を形成する場合について説明した。しかし、第1溝26から第4溝29を形成する前の第1主面21は平面でなくてもよく、曲面であってもよい。
(7-5)変形例E
上記第1実施形態及び第2実施形態では、
図16(a)に示されているように、導光部材20において、例えば第1溝26の断面形状が長方形である場合について説明した。なお、
図16(a)から
図16(e)に示されている第1溝26の断面形状は、第1溝26の長手方向(
図4のY軸方向)に対して垂直な断面の形状である。
しかし、導光部材20に形成される溝の断面形状は、長方形には限られない。例えば、
図16(b)に示されている第1溝26のように、側面26sが傾斜する形状であってもよい。言い換えると、
図16(b)に示されている第1溝26の断面形状は、台形である。例えば、
図16(c)に示されている第1溝26のように、側面26sの断面形状が途中で折れ曲がっている折れ線であってもよい。言い換えると、
図16(c)に示されている第1溝26の断面形状は、多角形である。
図16(c)の第1溝底26bは、第2主面22に平行な部分である。例えば、
図16(d)または
図16(e)に示されている第1溝26のように、側面26sが曲面であってもよい。
図16(d)または
図16(e)の第1溝底26bは、第2主面22に平行な部分である。
図16(d)に示されている第1溝26の側面26sは、溝内部に向かって凹の曲面であり、
図16(e)に示されている第1溝26の側面26sは、溝内部に向かって凸の曲面である。
(7-6)変形例F
上記第1実施形態では、第1溝26~第4溝29が、それぞれ1本の溝から形成されている。しかし、第1溝~第4溝などの溝は、複数の溝から形成されてもよい。
図17及び
図18に示されている第1溝26は、1つの主溝26pとその両側の2つの副溝26q,26rからなる。同様に、第2溝27及び第3溝28は、それぞれ、1つの主溝27p、28pと2つの副溝27q、27r、28q、28rからなる。各主溝26p,27p,28pには、
図17及び
図18に示されているように、第1光吸収部材51、第2光吸収部材52及び第3光吸収部材53が形成されている。第1光吸収部材51、第2光吸収部材52及び第3光吸収部材53は、各主溝26p,27p,28pの側面にまで達している。このような構成とするには、例えば、可視光を吸収する部材で、主溝26p,27p,28pの全体を埋めればよい。主溝26p,27p,28pの全体を埋める方法としては、例えば、可視光を吸収する熱可塑性樹脂で主溝26p,27p,28pの全体を埋めたり、可視光を吸収する塗料で主溝26p,27p,28pの全体を埋めたりする方法がある。
第1溝26の側面26sは、第1領域AR1に接している副溝26qの側面及び第2領域AR2に接している副溝26rの側面になる。副溝26q,26rには光吸収部材が配置されていないので、副溝26q,26rの側面26sでは、可視光が吸収されずに反射される。第2溝27及び第3溝28でも、同様に、可視光を反射するための側面27s,28sは、副溝27q,27r,28q,28rの側面である。
(7-7)変形例G
上記第1実施形態及び第2実施形態では、導光部材20となる可視光を透過する樹脂板を機械的に削ることにより、第1溝26から第4溝29を形成している。しかし、溝の形成方法は、樹脂板を機械的に削る方法には限られない。例えば、
図19に示されているように、表示装置10を表側の外層部110と裏側の内層部120とに分けて、外層部110と内層部120とを可視光を透過する接着層130によって接着して構成してもよい。可視光を透過する接着層130には、例えば、LOCA(Liquid Optically Clear Adhesives)を用いることができる。
外層部110は、熱可塑性樹脂からなる可視光を透過する樹脂層111と、樹脂層111と一体に成形された加飾層40とを備えている。加飾層40は、成形同時加飾によって、樹脂層111と一体的に成形される。外層部110の厚さは、例えば、1.0mm~2.0mmである。
内層部120は、回路フィルム60と、樹脂成形層121と、第1光吸収部材51、第2光吸収部材52及び第3光吸収部材53とを備えている。回路フィルム60と、樹脂成形層121と、第1光吸収部材51、第2光吸収部材52及び第3光吸収部材53とは、例えば、回路フィルム60と第1光吸収部材51、第2光吸収部材52及び第3光吸収部材53とを、樹脂成形層121にインサートするインサート成形によって形成される。回路フィルム60と第1光吸収部材51、第2光吸収部材52及び第3光吸収部材53とは、インサート成形の前に、予め接着しておいてもよく、インサート成形時に接着するようにしてもよい。この場合、樹脂層111と樹脂成形層121と接着層130が導光部材20を構成する。第1LED31から照射される可視光は、樹脂層111及び接着層130を通って第1光路OP1から第2光路OP2に向かう際に、第1光吸収層71により吸収される。
なお、
図19に示されている第1溝26から第4溝29は、蓋をされた溝である暗溝になっている。本願の第1溝、第2溝及び第3溝などの溝は、導光部材の中に埋設された暗溝であってもよい。
(7-8)変形例H
上記第1実施形態及び第2実施形態で説明した第1溝26から第4溝29を形成する方法として、
図20に示されているように、複数の樹脂ブロックを組み合わせて形成してもよい。
図20に示されている表示装置10は、外層部110と、複数の樹脂ブロック141,142,143と、可視光を透過する接着層130とを備えている。この変形例では、第2実施形態と同様に、第2主面22に、第1光吸収層71、第2光吸収層72及び第3光吸収層73が設けられている。
図20に示されている表示装置10では、樹脂ブロック141の中に第1光路OP1があり、樹脂ブロック142の中に第2光路OP2がある。樹脂ブロック141に第1発光素子である第1LED31が、埋め込まれている。また、樹脂ブロック142に第2発光素子である第2LED32が、埋め込まれている。第1樹脂ブロック141と第2樹脂ブロック142の間に第1溝26が形成される。第1樹脂ブロック141と第3樹脂ブロック143の間に第2溝27が形成される。例えば、第1溝26を形成するために、例えば、第1樹脂ブロック141には突出部141aが設けられ、第2樹脂ブロック142には突出部142aが設けられている。突出部141a,141bを突き合わせてできる空間が第1溝26になる。しかし、第1溝26を設ける方法は他にもあり、例えば、表示装置10の製造時に、第1樹脂ブロック141と第2樹脂ブロック142の間隔を形成するスペーサ(図示せず)を用いてもよい。その場合、スペーサは製造後に取り除かれる。第1溝26は、第1溝対向部分PA1に配置され、第2溝27は、第2溝対向部分PA2に配置され、第3溝28は、第3溝対向部分PA3に配置される。例えば、第1LED31から照射される可視光は、樹脂層111及び接着層130を通って第1光路OP1から第2光路OP2に向かう際に、第1光吸収層71により吸収される。
(7-9)変形例I
上記第1実施形態及び第2実施形態では、第1LED31も第2LED32も、導光部材20の第1主面21に配置している。しかし、第1発光素子を第1主面に配置し、第2発光素子を第2主面に配置してもよい。
図21に示されている表示装置10では、第1LED31が導光部材20の第1主面21に配置され、第2LED32が導光部材20の第2主面22に配置されている。なお、図示を省略しているが、第1LED31により光らされる第1発光部位が第2主面22の加飾層40に形成され、第2LED32により光らされる第2発光部位が第1主面21の加飾層40に形成される。
(7-10)変形例J
上記第1実施形態及び第2実施形態では、第1LED31が配置される第1領域AR1の両側に第1光吸収部材51と第2光吸収部材52、あるいは第1光吸収層71及び第2光吸収層72が平行に並べて配置されている場合について説明した。しかし、第1光吸収部材51と第2光吸収部材52、あるいは第1光吸収層71と第2光吸収層72の配置は、これらのような配置には限られない。例えば、第1光吸収部材51と第2光吸収部材52、あるいは第1光吸収層71と第2光吸収層72によって第1領域AR1の全周を取り囲むように配置してもよい。このような光吸収部材や光吸収層の配置は、第2領域AR2についても同様に行うことができる。
(7-11)変形例K
上記第1実施形態及び第2実施形態では、インサート成形時に、
図22に示されているように、導光部材20に凹部23が形成されて、凹部23の中に第1LED31が配置されている場合について説明した。しかし、第1発光素子、第2発光素子及び第3発光素子を配置する凹部の形成方法は、上述の方法には限られない。例えば、
図23に示されているように、予め凹部23を導光部材20に形成しておいて、その後、凹部23の中に第1LED31を配置するように回路フィルム60を貼り付けてもよい。
【0027】
(8)特徴
(8-1)
上述の表示装置10は、第1発光素子である第1LED31から第2領域AR2に向かう光路が第1溝26で遮られる。しかも、第1溝26と導光部材20の第2主面22の隙間を通って第1LED31から照射される可視光が第2領域AR2に侵入するのを第1光吸収部材51及び/または第1光吸収層71によって減少させることができる。その結果、第1LED31の第1光路OP1から第2LED32の第2光路OP2に漏れる可視光を減少させることができる。同様に第2発光素子である第2LED32から第1領域AR1に向かう光路が第1溝26で遮られる。しかも、第1溝26と導光部材20の第2主面22の隙間を通って第2LED32から照射される可視光が第1領域AR1に侵入するのを第1光吸収部材51及び/または第1光吸収層71によって減少させることができる。その結果、第2LED32の第2光路OP2から第1LED31の第1光路OP1に漏れる可視光を減少させることができる。
【0028】
(8-2)
上述の表示装置10では、光吸収部材である第1光吸収部材51が棒状部材であって、第1溝26の第1溝底26bに接し、第1溝26の側面26sに接しないように配置されている。このような表示装置10では、第1溝底26bと第2主面22との間の隙間を通って漏れる可視光を第1光吸収部材51で小さくする。第1溝26の一方の側面26sは第1光路OP1の可視光を第1光吸収部材51で減少させずに第1光路OP1に向けて反射でき、他方の側面26sは第2光路OP2の可視光を第1光吸収部材51で減少させずに第2光路OP2に向けて反射できる。その結果、第1溝26に第1光吸収部材51を配置しても、第1LED31により光らせる第1発光部位41の輝度の低下を抑制でき、第2LED32により光らせる第2発光部位42の輝度の低下を抑制できる。
(8-3)
上述の表示装置10は、導光部材20の第1溝26の深さが第1溝底26bと第2主面22との距離より小さくなるように構成されても、光漏れLが5%以下にできる場合がある。例えば、上述の導光部材20の厚さが1.5mm、第1溝Gr1の幅Wが3.0mm、溝部の板厚(第1溝Gr1の溝底から導光部材20の第2主面22までの距離d)が1.0mm(導光部材20の第1主面21から0.5mm削る)、第1光吸収部材AB1が黒色であって可視光の吸収率90%で且つ可視光の反射率10%の条件の場合に、光漏れLを5%以下にできる。このような表示装置10は、導光部材20が、例えば1.5mmと薄いにも拘らず、例えば第1溝26を0.75mm以上削る場合に比べて、第1溝26の部分で割れ難くなる。
(8-4)
上述の表示装置10では、導光部材20の第1主面21に第2溝27及び第3溝28が形成されている。第2光吸収部材52及び第3光吸収部材53は、第2溝27の第2溝底27b及び第3溝28の第3溝底28bに形成されている。あるいは光吸収部材である第2光吸収層72及び第3光吸収層73は、第2主面22の第2溝対向部分PA2及び第3溝対向部分PA3に配置されている。さらに、第1溝26と第2溝27が第1領域AR1を挟むように配置され、第1溝26と第3溝28が第2領域AR2を挟むように配置されているように構成されている。
このような表示装置10は、第2溝27の側から回り込んで第1領域AR1に入り込む可視光を第2溝27と第2光吸収部材52または第2光吸収層72とによって低減することができる。また、第3溝28の側から回り込んで第2領域AR2に入り込む可視光を第3溝28と第3光吸収部材53または第3光吸収層73とによって低減することができる。その結果、第1LED31(第1発光素子)が発光しているときと発光していないときの第1発光部位41の明暗のコントラストが小さくなるのを第2溝27と第2光吸収部材52または第2光吸収層72とにより抑制できる。同様に、第2LED32(第2発光素子)が発光しているときと発光していないときの第2発光部位42の明暗のコントラストが小さくなるのを第3溝28と第3光吸収部材53または第3光吸収層73とにより抑制できる。
【0029】
(8-5)
上述の表示装置10において、第1LED31(第1発光素子)の少なくとも一部は、導光部材20の第1主面21と第2主面22との間に位置するように導光部材20の凹部23(
図22及び
図23参照)の中に配置されている。同様に、第2LED32(第2発光素子)の少なくとも一部は、凹部23の中に配置されている。このように構成されている表示装置10は、第1LED31から第2領域AR2に向かう光路及び第2LED32から第1領域AR1に向かう光路が第1溝26で遮られる。第1発光素子及び第2発光素子の少なくとも一部を導光部材の凹部中に配置できるため、導光部材の厚みを薄くしつつ第1発光素子と第1発光部位の距離及び第2発光素子と第2発光部位の距離を短くできる。その結果、第1発光素子の光路から第2発光素子の光路に漏れる可視光及び第2発光素子の光路から第1発光素子の光路に漏れる可視光を減少させることができる。
【0030】
(8-6)
上述の表示装置10は、第1発光素子である第1LED31、第2発光素子である第2LED32及びその他の第3LED33が電気的に接続される配線パターン62を有している。この配線パターン62は、導光部材20の第1主面21に配置されて導光部材20と一体的に成形されている回路フィルム60に形成されている。このような表示装置10は、第1主面21から第2主面22に向かう方向(
図4のZ方向)における表示装置10の厚みを小さくし易くなる。
(8-7)
上述の表示装置10は、加飾層40が、第1領域AR1および第2領域AR2に対向する部分に金属層80または低屈折率層を有するように構成することができる。このように構成された表示装置10では、第1領域AR1及び第2領域AR2での可視光の拡散を抑制して、第1発光部位41及び第2発光部位42の輝度の低下を抑制することができる。
(8-8)
上述の表示装置10の製造方法は、導光部材20の第1主面21を削って、第1発光素子である第1LED31と第2発光素子である第2LED32との間を通る第1溝26を形成する溝形成ステップを備えるように構成することができる。このように構成された表示装置10の製造方法では、第1溝26が導光部材20の成形後に削って形成されるので、成形と同時に溝を作る場合に生じる樹脂のひけを防止して加飾層40の歪みの少ない表示装置10を提供することができる。
【0031】
(8-9)
回路フィルム60に第1LED31及び第2LED32を電気的に接続した後に、回路フィルム60をインサート成形しに、加飾層40をインモールド成形することにより成形ステップ及び素子設置ステップが実施されてもよい。このように構成された表示装置の製造方法では、インサート成形によって第1LED31及び第2LED32が導光部材20の中に埋め込まれ、導光部材20の中への第1LED31及び第2LED32の設置を容易に行える。特に、インサート成形とインモールド成形を同時に行う場合には、成形ステップにおける成形時間を短縮できる。
(8-10)
上述の表示装置10において、導光部材20は、厚さが2.5mm以下の板状部材であり、第1光吸収部材51は、可視光の吸収率が70%以上であり、第1溝26の幅W及び第1溝底と第2主面との距離dが、5.00≧(1.46d+3.25)W0.474d―1.43という関係式を満たすように構成することができる。このように構成した表示装置10は、導光部材20が厚さ2.5mmの薄い板状部材であっても、隣接する第2光路OP2への可視光の漏れを5%以下に抑え易くなる。
以上、本発明の第1実施形態及び第2実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。特に、本明細書に書かれた複数の実施形態及び変形例は必要に応じて任意に組み合せ可能である。
【符号の説明】
【0032】
10 表示装置
20 導光部材
21 第1主面
22 第2主面
26 第1溝
26b 第1溝底
26s~28s 側面
27 第2溝
27b 第2溝底
28 第3溝
28b 第3溝底
31 第1LED (第1表示素子の例)
32 第2LED (第2表示素子の例)
40 加飾層
41 第1発光部位
42 第2発光部位
51 第1光吸収部材
52 第2光吸収部材
53 第3光吸収部材
60 回路フィルム
62 配線パターン
71 第1光吸収層 (光吸収部材の例)
72 第2光吸収層 (光吸収部材の例)
73 第3光吸収層 (光吸収部材の例)
80 金属層
PA1 第1溝対向部分
PA2 第2溝対向部分
PA3 第3溝対向部分