IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エム・イー・ピー・マシーネ・エレトロニーチェ・ピエガトリーチ・エス・ピー・エイの特許一覧

特許7208221棒材、線材、アングル材などのような好ましくは金属の細長要素を屈曲加工するための機械及び方法
<>
  • 特許-棒材、線材、アングル材などのような好ましくは金属の細長要素を屈曲加工するための機械及び方法 図1
  • 特許-棒材、線材、アングル材などのような好ましくは金属の細長要素を屈曲加工するための機械及び方法 図2
  • 特許-棒材、線材、アングル材などのような好ましくは金属の細長要素を屈曲加工するための機械及び方法 図3
  • 特許-棒材、線材、アングル材などのような好ましくは金属の細長要素を屈曲加工するための機械及び方法 図4
  • 特許-棒材、線材、アングル材などのような好ましくは金属の細長要素を屈曲加工するための機械及び方法 図5
  • 特許-棒材、線材、アングル材などのような好ましくは金属の細長要素を屈曲加工するための機械及び方法 図6
  • 特許-棒材、線材、アングル材などのような好ましくは金属の細長要素を屈曲加工するための機械及び方法 図7
  • 特許-棒材、線材、アングル材などのような好ましくは金属の細長要素を屈曲加工するための機械及び方法 図8
  • 特許-棒材、線材、アングル材などのような好ましくは金属の細長要素を屈曲加工するための機械及び方法 図9
  • 特許-棒材、線材、アングル材などのような好ましくは金属の細長要素を屈曲加工するための機械及び方法 図10
  • 特許-棒材、線材、アングル材などのような好ましくは金属の細長要素を屈曲加工するための機械及び方法 図11
  • 特許-棒材、線材、アングル材などのような好ましくは金属の細長要素を屈曲加工するための機械及び方法 図12
  • 特許-棒材、線材、アングル材などのような好ましくは金属の細長要素を屈曲加工するための機械及び方法 図13
  • 特許-棒材、線材、アングル材などのような好ましくは金属の細長要素を屈曲加工するための機械及び方法 図14
  • 特許-棒材、線材、アングル材などのような好ましくは金属の細長要素を屈曲加工するための機械及び方法 図15
  • 特許-棒材、線材、アングル材などのような好ましくは金属の細長要素を屈曲加工するための機械及び方法 図16
  • 特許-棒材、線材、アングル材などのような好ましくは金属の細長要素を屈曲加工するための機械及び方法 図17
  • 特許-棒材、線材、アングル材などのような好ましくは金属の細長要素を屈曲加工するための機械及び方法 図18
  • 特許-棒材、線材、アングル材などのような好ましくは金属の細長要素を屈曲加工するための機械及び方法 図19
  • 特許-棒材、線材、アングル材などのような好ましくは金属の細長要素を屈曲加工するための機械及び方法 図20
  • 特許-棒材、線材、アングル材などのような好ましくは金属の細長要素を屈曲加工するための機械及び方法 図21
  • 特許-棒材、線材、アングル材などのような好ましくは金属の細長要素を屈曲加工するための機械及び方法 図22
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-10
(45)【発行日】2023-01-18
(54)【発明の名称】棒材、線材、アングル材などのような好ましくは金属の細長要素を屈曲加工するための機械及び方法
(51)【国際特許分類】
   B21D 7/022 20060101AFI20230111BHJP
【FI】
B21D7/022
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020506912
(86)(22)【出願日】2018-08-08
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-10-22
(86)【国際出願番号】 IT2018050150
(87)【国際公開番号】W WO2019030789
(87)【国際公開日】2019-02-14
【審査請求日】2021-08-02
(31)【優先権主張番号】102017000092356
(32)【優先日】2017-08-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】592060639
【氏名又は名称】エム・イー・ピー・マシーネ・エレトロニーチェ・ピエガトリーチ・エス・ピー・エイ
【氏名又は名称原語表記】M.E.P. MACCHINE ELETTRONICHE PIEGATRICI SOCIETA PER AZIONI
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】デル ファブロ、ジョルジョ
【審査官】堀内 亮吾
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/033145(WO,A1)
【文献】国際公開第2012/143776(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21D 7/022
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
属の複数の細長要素(11)を屈曲加工するための機械であって、
前記複数の細長要素(11)の少なくとも1つを長手軸(X)に沿って供給するように構成された供給ユニット(15,18)と、
前記長手軸(X)に直角な交差軸(Y)に対して平行なラテラルガイド(20)を備えた支持構造体(19)と、
前記支持構造体(19)上に設置され、前記ラテラルガイド(20)に沿って選択的に並進移動可能であり、前記供給ユニット(15,18)の下流に配置される屈曲装置(21)であって、対向ローラ(23)と前記対向ローラ(23)周りに選択的に周回可能な屈曲ピン(24)とを備え、前記対向ローラ(23)周りに当該細長要素(11)を少なくとも屈曲加工する前記屈曲装置(21)と
指令ユニット(28)と
を備える機械において、
前記屈曲装置(21)の下流に配置されるとともに、当該細長要素(11)をその細長のデベロップメントの一部に沿って曲げ加工するように構成された曲げ加工ユニット(29)を備え
前記指令ユニット(28)は、
前記細長要素(11)を、前記対向ローラ(23)と前記屈曲ピン(24)との間の間隙に配置するとともに前記屈曲ピン(24)を前記対向ローラ(23)周りに周回させることで、前記長手軸(X)を横切る方向に、前記対向ローラ(23)に対して前記細長要素(11)に変形力を付与し、かつ、
前記屈曲ピン(24)が前記細長要素(11)に作用している間に、当該細長要素(11)の長さの少なくとも一部に沿って延びる変形を付与するために、前記供給ユニット(15,18)の作動により、当該細長要素(11)が前記長手軸(X)に平行な方向に動かされるように、少なくとも前記供給ユニット(15,18)、前記屈曲装置(21)、及び前記曲げ加工ユニット(29)の駆動をコーディネートするように構成されることを特徴とする機械。
【請求項2】
前記曲げ加工ユニット(29)は、前記長手軸(X)に沿って、前記屈曲装置(21)に整合して配置されることを特徴とする、請求項1に記載の機械。
【請求項3】
前記曲げ加工ユニット(29)は、
前記長手軸(X)の一方の側に1つと他方の側に1つが配置されるとともに、前記長手軸(X)に沿う当該細長要素(11)を両方向(F1,F2)に動かすように、クランプ固定するように、又は加工対象の細長要素(11)と干渉しないように構成される2つの供給ローラ(30)と、
加工対象の細長要素(11)が前記供給ローラ(30)の1つに対して適切に湾曲するとともに所定の曲率半径(R2)を有する曲率を付与するように当該加工対象の細長要素(11)に対してスラストを付与するべく、前記2つの供給ローラ(30)の少なくとも1つに隣接して配置され、少なくとも前記交差軸(Y)に対して平行な方向に移動可能である少なくとも1つの曲げ加工ローラ(31,32)と
を備えることを特徴とする、請求項1に記載の機械。
【請求項4】
前記曲げ加工ユニット(29)は、2つの曲げ加工ローラ(31,32)を備え、該2つの曲げ加工ローラ(31,32)は、前記長手軸(X)沿いにおいて前記供給ローラ(30)の上流に1つと下流に1つが配置され、それぞれが個別に、少なくとも前記交差軸(Y)に対して平行な方向に移動可能である、ことを特徴とする、請求項3に記載の機械。
【請求項5】
前記屈曲装置(21)と前記曲げ加工ユニット(29)との間に配置され、かつ、前記長手軸(X)に沿って両方向に前記複数の細長要素(11)を選択的に動かすように構成されるとともに前記複数の細長要素(11)をクランプ固定するようにも構成される引出ユニット(26)をさらに備える、ことを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の機械。
【請求項6】
前記屈曲装置(21)は、前記供給ユニット(15,18)と組み合わせて、当該細長要素(11)に対して曲げ加工作業を行うようにも構成されることを特徴とする、請求項1~のいずれか一項に記載の機械。
【請求項7】
属の複数の細長要素(11)を屈曲加工する方法であって、当該方法は、供給ユニット(15,18)を用いて、前記複数の細長要素(11)の少なくとも1つを長手軸(X)に沿って供給すること、及び、対向ローラ(23)周りに周回するように構成された屈曲ピン(24)の動作によって、前記対向ローラ(23)周りに当該細長要素(11)を屈曲加工することを備え、前記対向ローラ(23)と前記屈曲ピン(24)とは、前記長手軸(X)に直角な交差軸(Y)に対して平行に支持構造体(19)のラテラルガイド(20)に沿って並進移動可能な屈曲装置(21)の一部である、前記方法において、
前記屈曲装置(21)の下流に配置された曲げ加工ユニット(29)を用いて、当該細長要素(11)をその細長のデベロップメントの一部に沿って曲げ加工することをさらに備え
前記細長要素(11)を、前記対向ローラ(23)と前記屈曲ピン(24)との間の間隙に配置するとともに前記屈曲ピン(24)を前記対向ローラ(23)周りに周回させることで、前記長手軸(X)を横切る方向に、前記対向ローラ(23)に対して前記細長要素(11)に変形力を付与し、かつ、
前記屈曲ピン(24)が前記細長要素(11)に作用している間に、当該細長要素(11)の長さの少なくとも一部に沿って延びる変形を付与するために、前記供給ユニット(15,18)の作動により、当該細長要素(11)が前記長手軸(X)に平行な方向に動かされることを特徴とする、方法。
【請求項8】
前記曲げ加工ユニット(29)の2つの供給ローラ(30)が、前記長手軸(X)の一方の側に1つと他方の側に1つが配置されており、加工対象の細長要素(11)を前記長手軸(X)に沿って両方向(F1,F2)に動かすこと、又は当該細長要素(11)をクランプ固定すること、又は当該細長要素(11)に干渉しないことを特徴とするとともに、
前記供給ローラ(30)の少なくとも1つに隣接して配置される、前記曲げ加工ユニット(29)の少なくとも1つの曲げ加工ローラ(31,32)が、曲率半径(R2)を有する曲率を当該細長要素に付与するべく、当該細長要素(11)を前記長手軸(X)に沿って動かしつつ、当該細長要素(11)を前記供給ローラ(30)の1つに関して湾曲させるために適切なスラストを当該細長要素(11)に付与することを特徴とする、請求項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の適用分野は、好ましくは金属の細長要素を屈曲加工するための産業用機械及びプロセスの分野であり、この場合の細長要素は、例えば、棒材、線材、アングル材などのように、それらの数十メートルでさえあり得る長さは、横断寸法よりも桁違いに大きい。本発明の特定の用途は、限定するものではないが、鉄筋コンクリート用のいわゆる補強筋の屈曲加工に関するものである。
【背景技術】
【0002】
金属の細長要素を屈曲加工するための産業用機械及びプロセスの分野で、本出願人は、ここ数十年でいくつかの革新的な解法を開発しており、それらは、例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5、特許文献6の番号で公開された国際特許出願、並びに欧州特許出願である特許文献7、特許文献8のような、様々な特許文献でも開示されている。
【0003】
具体的には、特許文献8は、特性及び公称直径の異なる1つ以上の棒材を同時にでも曲げ加工するための機械及び方法について記載している。特許文献8に記載されている機械は、屈曲加工される棒材を支持するように構成された支持台であって、棒材の長さに関連した細長のデベロップメントを有する支持台を備えるとともに、さらに、棒材を曲げ加工するため、すなわち棒材を曲線状に変形させるために、支持台に平行な同じ基準軸に沿って互いに独立かつ制御的に移動可能である2つの自律的な曲げ加工ユニットも備える。2つの曲げ加工ユニットの各々は、屈曲加工される棒材を間に通過させる一対の対向ローラと、一対の対向ローラに対して外側の位置に配置された曲げローラとを備え、曲げローラは、2つの対向ローラの間に配置された各棒材において、各棒材を対向ローラに対して変形させることにより、選択可能な曲率半径で一定及び/又は可変であり得る既定の曲率を得るように構成されている。
【0004】
特許文献6は、任意のタイプ及び形状の1つ以上の線材を屈曲加工、曲げ加工、又は成形加工することで、曲線形状の金属製品、すなわちそれらの部分のうちの少なくとも1つが曲げ加工された金属製品を得るための、機械及び屈曲加工方法について記載している。特許文献6に記載されている機械は、屈曲加工される線材を一時的にクランプ固定するためのクランプ部材を備えた支持台を備え、支持台は、直線スライドする2つのスライダを同じ移動軸に沿って支持及び案内するように構成されている。各スライダは、対応する曲げ加工ユニットが特許文献8に記載されているものと同様に動作する作業面を備え、従って、同じく、非常に大きいことさえあり得る一定及び/又は可変である既定の選択可能な曲率半径で、線材を曲げ加工することも可能である。さらに、各スライダの作業面には、既定の固定位置に、例えば特許文献7に記載されているタイプの1つ以上の屈曲加工ユニットも設けられており、屈曲加工ユニットの各々は、同じスライダに取り付けられた対応する曲げ加工ユニットと関連付けられている。具体的には、それぞれの屈曲加工ユニットは、中央の対向ローラとラジアルピンとを備え、ラジアルピンは、中央の対向ローラの半径に対応した既定かつ一定の曲率半径で線材を屈曲加工するために、中央の対向ローラ周りに周回可能である。
【0005】
上記の周知の機械は、信頼性はあるものの、一方で、それぞれの曲げ加工ユニットは、非常に小さい曲率半径で屈曲加工することが不可能であり、他方で、それぞれの屈曲加工ユニットは、中央の対向ローラの半径に対応した比較的小さい曲率半径で屈曲加工するためだけに使用される、という制限がある。さらに、特許文献6に記載されている機械では、加工される各線材を、スライダの移動軸にある第1の位置から、第1の位置に略平行な第2の位置に並進移動させなければならず、その第2の位置で、屈曲加工ユニットは細長要素を屈曲加工することが可能である。
【0006】
上記の周知の機械の他の欠点は、それらは管理するのに特に嵩高かつ複雑であることである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】国際公開第03/045603号
【文献】国際公開第2009/077554号
【文献】国際公開第2009/068529号
【文献】国際公開第2009/135845号
【文献】国際公開第2011/064222号
【文献】国際公開第2017/033145号
【文献】欧州特許出願公開第0379030号明細書
【文献】欧州特許出願公開第3151985号明細書
【発明の概要】
【0008】
本発明の第1の目的は、例えば20mm~200mmの間の比較的小さい所定の曲率半径で、例えば細長要素の先端及び/又は後端に対応した曲げを形成するためと、さらに、わずかな曲線であっても、又は単に概形を示す曲線であっても、すなわち例えば数センチメートルから数十メートル又は数百メートル超までの非常に広い範囲の値の、中程度から大きい曲率半径で、細長要素の長さの全体又はその一部にわたって、適切な曲線を形成するためと、その両方のために細長要素を屈曲加工することが可能な曲げ機を構成するとともに、対応する方法を完成させることにより、周知の機械及び方法の欠点を解消することである。
【0009】
本発明の他の目的は、顧客の要望に従って、又は、例えば建物若しくはインフラストラクチャの分野など、細長要素が対象とする他の分野の要求に応じて、様々に異なる曲げ及び/又は曲線を有する細長要素を得るのに非常に万能かつ信頼性の高い、曲げ機を提供するとともに対応する方法を完成させることである。
【0010】
本出願人は、現状技術の欠点を克服するため、さらには、これら及び他の目的並びに効果を達成するために、本発明を考案し、検証し、具現化している。
本発明は、独立請求項において記載されるとともに特徴付けられる一方、従属請求項は、発明の他の特徴、又は発明の主旨に対する変形例について記載している。
【0011】
上記の目的によれば、棒材、線材、アングル材などのような、限定するものではないが好ましくは金属の細長要素を屈曲加工するための、本発明による機械は、
- 複数の細長要素の少なくとも1つを長手軸に沿って供給するように構成された供給ユニットと、
- 長手軸に直角な交差軸に対して平行なラテラルガイドを備えた支持構造体と、
- 支持構造体上に設置された屈曲装置であって、屈曲装置は、供給ユニットの下流に配置されるとともに、ラテラルガイドに沿って選択的に並進移動可能であり、対向ローラと、対向ローラ周りに選択的に周回可能な屈曲ピンとを備え、これにより対向ローラ周りに細長要素を少なくとも屈曲加工する、屈曲装置とを備える。
【0012】
本発明の一態様によれば、上記の目的による機械は、屈曲装置の下流に配置されるとともに、細長要素をその細長のデベロップメントの一部に沿って曲げ加工するように構成された曲げ加工ユニットを備える。
【0013】
本発明の実施態様は、好ましくは金属の細長要素を屈曲加工する方法にも関し、この方法は、供給ユニットを用いて、細長要素の少なくとも1つを長手軸に沿って供給することと、対向ローラ周りに周回するように構成された屈曲ピンの動作によって、対向ローラ周りに細長要素を屈曲加工することとを備える。
【0014】
対向ローラ及び屈曲ピンは、長手軸に直角な交差軸に対して平行に、支持構造体のラテラルガイドに沿って並進移動可能な屈曲装置の一部である。
可能な解法によれば、本方法は、屈曲装置の下流に配置された曲げ加工ユニットを用いて、細長要素をその細長のデベロップメントの一部に沿って曲げ加工することをも備える。
【0015】
本発明の他の実施態様では、細長要素を、対向ローラと屈曲ピンとの間の間隙に配置して、さらに屈曲ピンを対向ローラに対して回転させることで、長手軸に対して交差方向に、対向ローラ周りに細長要素に対して変形力を付与する、ことが規定される。さらに、屈曲ピンが細長要素に作用している間に、細長要素の長さの少なくとも一部に沿って延びる変形を付与するために、供給ユニットの動作によって、細長要素は長手軸に平行な方向に動かされる。
【0016】
本発明のこれら及び他の特徴は、添付の図面を参照して非限定的な例として提示される、いくつかの実施態様についての以下の説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明により、第1の実施形態によって細長要素を屈曲加工するための機械の概略正面図。
図2】第1の実施形態による図1の機械の概略正面図。
図3】第1の実施形態による図1の機械の概略正面図。
図4】第1の実施形態による図1の機械の概略正面図。
図5】第1の実施形態による図1の機械の概略正面図。
図6】第1の実施形態による図1の機械の概略正面図。
図7】第1の実施形態による図1の機械の概略正面図。
図8】第1の実施形態による図1の機械の概略正面図。
図9】第1の実施形態による図1の機械の概略正面図。
図10】第1の実施形態による図1の機械の概略正面図。
図11】第1の実施形態による図1の機械の概略正面図。
図12図1の機械の変形例の概略正面図。
図13】同じ細長要素の他の加工ステップを示す、図12の機械の概略正面図。
図14】同じ細長要素の他の加工ステップを示す、図12の機械の概略正面図。
図15】同じ細長要素の他の加工ステップを示す、図12の機械の概略正面図。
図16】同じ細長要素の他の加工ステップを示す、図12の機械の概略正面図。
図17】同じ細長要素の他の加工ステップを示す、図12の機械の概略正面図。
図18】同じ細長要素の他の加工ステップを示す、図12の機械の概略正面図。
図19】同じ細長要素の他の加工ステップを示す、図12の機械の概略正面図。
図20】同じ細長要素の他の加工ステップを示す、図12の機械の概略正面図。
図21】本発明の他の実施形態により要素を屈曲加工するための機械の概略正面図。
図22】本発明により、第4の実施形態によって細長要素を屈曲加工するための機械の概略正面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明のいくつかの実施形態についての以下の説明では、同一の部分又は非常に類似した部分を同じ参照番号で示していることを明らかにしておかなければならない。
添付の図面を参照して、本発明による機械10は、上記で規定したように、棒材、線材、アングル材などのような細長要素11を屈曲加工するために使用される。
【0019】
本発明によれば、機械10は、加工軸すなわち機械10の長手方向の展開軸を規定する長手軸Xに沿って、細長要素11の少なくとも1つを供給するように構成された供給ユニット15、18を備える。
【0020】
供給ユニット15、18は、細長要素11に対して引出及び送り作用を及ぼすために、長手軸Xに関して一方の側と他方の側に互いに対向して配置された少なくとも1対の引出ローラ33、すなわち引出ユニットを備えることができる。
【0021】
引出ローラ33は、細長要素11を両方向に動かすように構成することができ、さらに、それらの位置を拘束するように、すなわち長手軸Xに関して細長要素11の位置をクランプ固定するようにも構成することが可能である。
【0022】
本発明の第1の実施形態(図1)によれば、供給ユニット15は、例えば金属の糸状細長要素11が螺旋状に巻回された周知のタイプの巻回リール13を備えることができる。
供給ユニット15は、巻回リール13の下流かつ引出ローラ33に対して上流に配置された直線矯正ユニット14をさらに備えることができ、これは、細長要素11を、下流に送る前に直線矯正するように構成されている。
【0023】
従って、図1に示す実施形態によれば、コイル状に巻回された線材を切断することにより得られる細長要素11を加工するように構成された、当該分野ではコイル加工プラントとも呼ばれる第1の加工プラント12が規定される。
【0024】
図12の変形実施形態によれば、供給ユニット18は、直線矯正済みの所定長さの加工対象の細長要素11を一時的に保管する保管マガジン17を備える。
従って、図12に示す実施形態によれば、切断済みの細長要素11を加工するように構成された、当該分野では棒材加工プラントとも呼ばれる第2の加工プラント16が規定される。
【0025】
本発明の可能な解法(図1及び図12)によれば、機械10は、長手軸Xに直角な交差軸Yに対して平行なラテラルガイド20を備えた支持構造体19を備える。
支持構造体19は、さらに、略平坦な作業面34を規定しており、この作業面を基準として、細長要素11に対する作業が行われる。
【0026】
可能な解法によれば、長手軸X及び交差軸Yは、支持構造体19によって規定される作業面34上にある。
支持構造体19は、引出ローラ33も支持するように構成することが可能である。
【0027】
細長要素11を少なくとも屈曲加工するように構成された屈曲装置21が、スライド可能にラテラルガイド20上に取り付けられる。
屈曲装置21は、周知のタイプのもの、例えば特許文献7に記載されたタイプのものであり得る。
【0028】
屈曲装置21は、本発明による機械10の供給ユニット15、18の下流に設置される。
さらに、可能な解法では、屈曲装置21は、長手軸Xに関して固定位置に設置することができる一方、例えば長手軸Xに関してコーディネートされた他の軸に沿って、可動であり得る。
【0029】
具体的には、屈曲装置21は、対向ローラ23と、対向ローラ23周りに選択的に周回可能な屈曲ピン24とを備え、これにより対向ローラ23周りに細長要素11を屈曲加工するものと規定することが可能である。
【0030】
屈曲ピン24は、長手軸Xに略直角な回転軸Z周りに選択的に周回可能である。対向ローラ23は、回転軸Zと略同軸状に配置することが可能である。
対向ローラ23と屈曲ピン24との間に、その時々で間隙が規定されて、この間隙に加工対象の細長要素11が配置、位置決めされる。
【0031】
特に、この場合及び本明細書における以降で、屈曲加工とは、細長要素11が対向ローラ23と協働する領域においてのみ、細長要素11が局所変形を受けることを意味する。屈曲装置21が駆動されるときには、細長要素11は、固定位置に維持されて、長手軸Xに平行な方向への並進移動はない。
【0032】
可能な解法によれば、屈曲装置21は、回転軸Z周りに周回可能に取り付けられたディスク22を備えることができる。
対向ローラ23は、ディスク22上に設置されるとともに、回転軸Zと同軸状に配置されており、屈曲ピン24は、対向ローラ23に対して径方向位置に設置されている。
【0033】
可能な解法によれば、対向ローラ23は、例えば20mm~200mmの間の比較的小さい一定の半径R1を有することができ、これにより、いわゆる曲げ半径を規定する。
屈曲ピン24は、又はこの場合、ディスク22は、図面では見えていないモータ部材に関連付けられており、モータ部材は、屈曲ピン24を、回転軸Z周りに両方の回転方向に、すなわち対向ローラ23周りに、選択的に回転させるように構成されている。
【0034】
屈曲ピン24の回転は、さらに詳細に後述するように、加工対象の細長要素11を屈曲加工及び/又は曲げ加工するための必要に応じて、1度未満の非常に小さい角度であっても、さらに最大約180°までの、所望通りに選択された角度の回転とすることもできる。
【0035】
本発明の可能な実施形態によれば、屈曲装置21は、供給ユニット15、18と組み合わせて、細長要素11に対して曲げ加工作業を行うように構成することもできる。
特に、この場合及び本明細書における以降で、曲げ加工という用語は、細長要素11の長さの広範な長手方向部分にわたって、例えば、少なくとも20cmにわたって、又はその全長にわたって、細長要素11が連続変形を受けることを意味する。曲げ加工作業中には、長手軸Xに対して交差方向に細長要素11の変形力が付与されつつ、細長要素11は、長手軸Xに対して平行な方向に動かされる。
【0036】
屈曲装置21を用いて曲線を形成することを目的とするときには、細長要素11を、対向ローラ23と屈曲ピン24との間の間隙に配置して、さらに、長手軸Xに対して交差方向に、対向ローラ23周りに細長要素11に対して変形力を付与するために、屈曲ピンを対向ローラ23に対して周回させる。屈曲ピン24が細長要素11に作用している間に、細長要素11の長さの少なくとも一部に沿って延びる変形を付与するために、供給ユニット15、18の動作によって、細長要素は、長手軸Xに対して平行な方向に動かされる。
【0037】
本発明の他の解法によれば、屈曲装置21は、屈曲装置21が支持構造体19の作業面34から突出している動作位置と、屈曲装置21が作業面34の下に退避した位置にある非動作位置との間で、回転軸Zに平行な方向に選択的に動かすことができる。
【0038】
具体的には、動作位置では、ディスク22の平面が細長要素11の作業面34上にあり、非動作位置では、対向ローラ23及び屈曲ピン24は、作業面34から離間しており、加工対象の細長要素11に干渉していないものと規定することが可能である。
【0039】
本発明の他の実施形態によれば、機械10は、図1及び図2では矢印F1で示すように左から右の方向である細長要素11の送り方向に関して、屈曲装置21の上流に配置された切断装置25を備えることができる。切断装置25は、例えば、加工対象の細長要素11をオンザフライでも切断可能な剪断機を備えることができる。
【0040】
切断装置25は、支持構造体19上に設置するとともに、供給ユニット15、18と屈曲装置21との間に配置することが可能である。
本発明の一態様によれば、機械10は、屈曲装置21の下流に配置されるとともに、細長要素11をその長手方向の展開に沿って曲げ加工するように構成された曲げ加工ユニット29を備える。
【0041】
曲げ加工ユニット29は、支持構造体19上に設置することが可能である。
可能な解法によれば、曲げ加工ユニット29による変形作用は、曲率の影響を受ける長手方向部分の全長に沿って略連続的に及ぼされる。
【0042】
可能な実施形態によれば、曲げ加工ユニット29は、長手軸Xに沿って細長要素11を動かすとともに、長手軸Xに対して交差方向に付与される変形力によって細長要素を変形させるように構成することが可能である。
【0043】
本発明の他の実施形態(図1及び図12)によれば、曲げ加工ユニット29は、長手軸Xに沿って、屈曲装置21に整合して配置することが可能である。
本発明の他の実施形態によれば、曲げ加工ユニット29は、長手軸Xの一方の側に1つと他方の側に1つが配置された2つの供給ローラ30を備え、これらは、加工対象の細長要素11を長手軸Xに沿って両方向F1、F2に動かすように構成されるか、又は細長要素11をクランプ固定するか、若しくは細長要素11に干渉しないように構成される。
【0044】
曲げ加工ユニット29は、2つの供給ローラ30の1つに隣接して配置された少なくとも1つの曲げ加工ローラ31、32をも備え、これは、加工対象の細長要素11に対して、この細長要素を2つの供給ローラ30の1つに対して曲げ加工するのに適切なスラストを付与するとともに、可変曲率半径R2の曲率を付与するために、少なくとも交差軸Yに対して平行な方向に移動可能である。
【0045】
可能な解法(図1及び図12)によれば、曲げ加工ユニット29は、長手軸Xに沿って供給ローラ30の上流に1つと下流に1つが配置された2つの曲げ加工ローラ31、32を備え、これらは、それぞれが個別に、少なくとも交差軸Yに対して平行な方向に移動可能である。供給ローラ30に関して一方の側と他方の側に曲げ加工ローラ31、32が存在することによって、供給ローラ30の上流に位置する細長要素11の部分と下流に位置する部分の両方に曲線を形成することが可能となる。
【0046】
本発明の可能な解法(図1)によれば、2つの曲げ加工ローラ31、32の少なくとも1つに、支持ローラ35が関連付けられており、ここで図示している場合においては、支持ローラは、曲げ加工ローラ32に関連付けられて、曲げ加工ローラ32及び長手軸Xに対向しており、曲げ加工中に細長要素11を支持するように構成される。
【0047】
可能な解法によれば、支持ローラ35は、細長要素11に干渉しないように作業面34に対して退避した状態に移行するために、回転軸Zに平行な方向に選択的に並進移動可能であり得る。
【0048】
本発明の他の実施形態(図1及び図12)によれば、この場合は両方の曲げ加工ローラ31及び32である少なくとも1つの曲げ加工ローラ31、32を、交差軸Yに対して平行な方向の並進移動によって、長手軸Xの上方と下方のどちらにでも位置決めすることが可能である。この目的のため、その並進移動を可能とするための移動部材を、曲げ加工ローラ31、32に関連付けることができる。
【0049】
本発明のこの実施形態によれば、曲げ加工ユニット29が2つの曲げ加工ローラ31、32を備える場合に、それらの曲げ加工ローラを、曲げ加工ローラと対向ローラの機能で、交互に入れ替えることができる。
【0050】
例えば、上流に位置する曲げ加工ローラ31が、加工対象の細長要素11に対して曲げ加工するための圧力を作用させている場合に、供給ローラ30の下流に位置する細長要素の部分は、2つの供給ローラ30の1つ周りに周回して、上又は下に動く傾向がある。この場合は下流に位置する曲げ加工ローラ32が、この回転に対抗して、屈曲加工の正確な実行を確保する対向ローラとして機能する。
【0051】
本発明の他の実施形態によれば、曲げ加工ユニット29は、作業面34から突出している動作位置と、加工対象の細長要素11に干渉しないように作業面34に対して退避している非動作位置との間で、例えば回転軸Zに平行な方向に選択的に動かすことが可能であり得る。
【0052】
例えば図12を参照して説明される、可能な解法によれば、機械10は、屈曲装置21と曲げ加工ユニット29との間に配置された引出ユニット26をさらに備え、これは、さらに詳細に後述するように、長手軸Xによって規定される方向の両方向に細長要素11を選択的に動かすように構成され、さらに、特定の状況では細長要素11をクランプ固定するようにも構成される。
【0053】
引出ユニット26も、支持構造体19上に設置することが可能である。
引出ユニット26は、少なくとも1対の、この場合は二対の引出ローラ27を備え、各対の対向するローラは、長手軸Xと整合しており、細長要素11を動かす作用を及ぼす。屈曲装置21の下流に引出ユニット26が存在することによって、例えば欠陥製品を得ることにつながり得る細長要素のねじれを防ぐ、細長要素11の保持力を発生させることが可能となる。従って、屈曲装置21を用いて屈曲加工が行われたら、加工対象の細長要素11を保持すること、さらに、引出ユニットを用いてねじれを防ぎつつ細長要素を曲げ加工ユニット29に向かって動かすことが可能である。
【0054】
可能な解法によれば、引出ローラ27の各対は、加工対象の細長要素11の軸方向変位又はクランプ固定を得るために、周知の方法で駆動することができる電動ローラ及び加圧対向ローラを備えることができる。引出ユニット26も、屈曲装置21と同様に、その二対の引出ローラ27が加工対象の細長要素11と能動的に協働するために細長要素11の作業面34から突出している動作位置と、その同じ二対の引出ローラ27が加工対象の細長要素11に干渉しないように作業面34から離間して例えば作業面34の下に位置している非動作位置との間で、例えば回転軸Zに平行に選択的に動かすことができる。
【0055】
他の解法によれば、機械10は、細長要素11に対して屈曲加工及び曲げ加工の両方の作業を行うために、少なくとも供給ユニット15、18、屈曲装置21、及び曲げ加工ユニット29の駆動をコーディネートするように構成された指令ユニット28を備えることができる。
【0056】
本発明の可能な解法によれば、指令ユニット28は、交差軸Yに沿った屈曲装置の並進移動及び所望の径方向位置への屈曲ピン24の回転を指令するために、屈曲装置21に関連付けられることができるとともに、さらに、加工対象の細長要素11の変位又はクランプ固定を選択的に指令するために、引出ユニット26及び/又は供給ユニット15、18に関連付けられることもできる。
【0057】
指令ユニット28は、さらに、屈曲装置21と引出ユニット26の両方の個別的又は同期的な、その動作位置から非動作位置への選択的変位及びその逆の選択的変位を指令するように構成される。
【0058】
さらに、本発明の可能な実施形態では、曲げ加工ユニット29に関連付けられた指令ユニット28は、供給ローラ30の相反移動及び回転、曲げ加工ローラ31、32の並進移動、並びに曲げ加工ユニット29の動作位置から非動作位置へ選択的変位及びその逆の選択的変位を指令するように構成される。
【0059】
細長要素11を屈曲加工及び曲げ加工するための、機械10による加工方法は、以下の通りであり、図2図11を参照して示している。
例えば、細長要素11の先端Tに対応して90°の曲げを形成すべき場合には、屈曲装置21を使用する。例えば、90°の曲げを上向きに形成すべき場合(図2)には、第1の加工ステップすなわち第1の屈曲加工ステップを実行し、このとき、屈曲装置21は、その対向ローラ23が長手軸Xの上方にあって屈曲加工対象の細長要素11に接するように、交差軸Yに沿って位置決めされることが規定される。さらに、図示していない初期位置では、供給ユニット15(図1及び図2)によって送り方向(矢印F1)に押し出される屈曲加工対象の細長要素11を対向ローラ23と屈曲ピン24との間に挿入できるように、屈曲ピン24は下方に配置される。次に、供給ユニット15によって、細長要素11を静止状態に保持して、屈曲ピン24を、図3に示す位置になるまで反時計回り方向に回転させ、これにより固定半径R1で屈曲加工を行う。
【0060】
その後、細長要素11を、例えば下向きに曲げ加工すべき場合(図3)には、その同じ屈曲装置21を使用して、第2の加工ステップすなわち第1の曲げ加工ステップを実行する。
【0061】
具体的には、まず最初に、屈曲装置21と曲げ加工ユニット29の両方を非動作位置に動かす。
次に、対向ローラ23が長手軸Xの下方にあって加工対象の細長要素11に接するまで、屈曲装置21を交差軸Yに沿って動かす。さらに、同時に、屈曲ピンが長手軸Xの上方にあって加工対象の細長要素11に接するようになるまで、屈曲ピン24を反時計回り方向に周回させる。次に、引出ユニット26を非動作位置にしたまま、屈曲装置21を動作位置に戻す。このようにして、加工対象の細長要素11を、その下方の対向ローラ23とその上方の屈曲ピン24との間に配置する。
【0062】
この位置から、ディスク22を、例えば2°~15°の間の小さい角度であっても、所望の角度で時計回り方向に回転させ、これにより、屈曲ピン24は、細長要素を所望の曲率半径R2で曲げ加工するように、細長要素11に対して押圧力を付与する。次に、上流に位置する供給ユニット15を駆動することで、細長要素11を右に(図3の矢印F1)送り、これにより細長要素は、屈曲装置21によって曲げ加工される。曲げ加工を中断すべきときには、屈曲ピンが細長要素11と能動的に相互作用しなくなるように、屈曲ピン24を反時計回り方向に周回させる。図3の例では、細長要素11の第1の部分すなわちその先端Tに近い部分においてのみ、曲線が形成されている。
【0063】
次に、第3の加工ステップすなわち切断ステップ(図4)が続き、このステップでは、細長要素11を、その後端Cに対応して、切断装置25で所定サイズに切断する。切断ステップ中は、供給ローラ30によって、さらに曲げ加工ローラ32と支持ローラ35によって、細長要素11を静止状態に保持する。
【0064】
例えば、上述のように屈曲加工済みかつ部分的に曲げ加工済みの加工対象の細長要素11の後端Cに対応して、90°の曲げを形成すべき場合には、再び屈曲装置21を使用して、第4の加工ステップすなわち第2の屈曲加工ステップを実行する。
【0065】
従って、例えば、後端C付近で90°の上向きの屈曲加工を行うべき場合(図5)には、最初に屈曲装置21を非動作位置に移して、この位置から屈曲装置を交差軸Yに沿って動かすことで、その対向ローラ23を、長手軸Xの上方で、屈曲加工対象の細長要素11に接するように位置決めする。さらに、屈曲ピン24が、下方に配置されて、かつ交差軸Y上に位置するように(図示されていない位置)、ディスク22を回転させると、屈曲加工対象の細長要素11は、対向ローラ23と屈曲ピン24との間にあるようになる。次に、供給ローラ30を駆動することで、加工対象の細長要素11を、その後端Cが対向ローラ23に対応して位置決めされるまで、長手軸Xに沿って軸方向に変位させる。次に、屈曲装置21も動作位置に戻す。次に、屈曲ピン24が図5に示す位置になるまで、ディスク22を90°よりも大きい角度で時計回り方向に回転させ、これにより、加工対象の細長要素11の後端Cに対応して曲げを形成する。
【0066】
さらに、曲げ加工ユニット29を用いて、第5の加工ステップすなわち第2の曲げ加工ステップを実行することにより、加工対象の細長要素11の曲線を、例えば、やはり下向きに完成させる(図6図7図8)ことも可能である。
【0067】
具体的には、まず最初に屈曲装置21を非動作位置に移して、細長要素11を変形させるために、曲げ加工ローラ31を、交差軸Yに対して平行な方向に並進移動させる。このステップ中は、供給ローラ30を、細長要素11に対して密着して押圧した状態に維持することで、細長要素の望ましくない回転を回避する。供給ローラ30を駆動することにより、曲げ加工ローラ31で細長要素11を変形させつつ、図6の矢印F2で示す方向に細長要素11を動かすことが可能である。
【0068】
特に、図6図8を参照すると、下向きの凹状曲線を形成するための手順を示しており、この場合、曲げ加工ローラ31は、細長要素11の上方に配置される。
代えて、図9図11を参照すると、上向きの凹状曲線を形成するための手順を示しており、この場合、曲げ加工ローラ31は、細長要素11の下方に配置される。
【0069】
さらに、図12図20に示す機械10でも、上述の方法で、屈曲装置21を用いて、加工対象の細長要素11の先端T又は後端Cに対応して、例えば90°の曲げを形成することが可能である。これらの屈曲加工中には、曲げ加工ユニット29は、非動作位置に移される。
【0070】
機械10では、屈曲装置21を用いても、曲げ加工ユニット29を用いても、どちらでも細長要素11を曲げ加工することが可能である。
よって、屈曲装置21を用いて加工対象の同じ細長要素11を曲げ加工するための加工ステップについては既に説明したので、図13図20を参照して、曲げ加工ユニット29を用いて加工対象の細長要素11を曲げ加工するための、機械10による加工方法についてのみ、以下で説明する。
【0071】
図13では、加工対象の細長要素11の先端Tに対応して、90°の上向きの曲げが既に形成されていることが分かる。
例えば、曲げ加工ユニット29を用いて、加工対象の細長要素11に下向きの曲線を形成すべき場合(図14)には、第7の加工ステップすなわち第4の曲げ加工ステップを実行する。具体的には、屈曲装置21、引出ユニット26、及び曲げ加工ユニット29を、非動作位置に移す。次に、供給ユニット18を用いて、細長要素11を、先端Tに対応した曲げが右の曲げ加工ローラ32を越えるまで、右に向かって(矢印F1)前方に動かす。次に、曲げ加工ユニット29及び引出ユニット26を動作位置に移し、具体的には、供給ローラ30及び引出ローラ27で加工対象の細長要素11を把持させるとともに、右の曲げ加工ローラ32を下降させることで、供給ローラ30及び引出ユニット26によって加工対象の同じ細長要素11を右に向かって前進させつつ、右の曲げ加工ローラで加工対象の細長要素11を下向きに押圧して、細長要素に所望の曲率を付与する。細長要素11の曲率半径は、長手軸Xに対する曲げ加工ローラ32の位置に依存する。この場合、下側の供給ローラ30は、対向ローラとして機能する。
【0072】
次に、切断ステップ(図15)が続き、このステップでは、加工対象の細長要素11を、その後端Cに対応して、切断装置25で所定サイズに切断する。切断ステップ中は、曲げ加工ローラ32は、再び、加工対象の細長要素11に対して作用しない初期位置にあるとともに、曲げ加工ユニット29の供給ローラ30によって、さらに引出ユニット26の引出ローラ27によって、加工対象の細長要素11を静止状態に保持する。
【0073】
例えば、後端C付近で90°の上向きの曲げを形成すべき場合(図16)には、第4の加工ステップに関して前述したように屈曲装置21を使用するが、ただし、加工対象の細長要素11の変位は、曲げ加工ユニット29の供給ローラ30によって、さらに引出ユニット26によって、行われることが異なる。
【0074】
その後、例えば、加工対象の細長要素11の下向きの曲線を完成させることが所望される場合(図17及び図18)には、第8の加工ステップすなわち第5の曲げ加工ステップを実行し、このステップでは、屈曲装置21を非動作位置に戻すとともに、曲げ加工ユニット29の供給ローラ30を用いて、加工対象の細長要素11を、後端C付近の90°の曲げが左の曲げ加工ローラ31の近くになるまで(図17)、右に向かって(矢印F1)送る。次に、左の曲げ加工ローラ31を下降させる(図18)ことで、加工対象の細長要素11を、下向きに押圧して、所望通りに選択された曲率半径で曲げ加工するとともに、加工対象の細長要素11を左に送る(図18の矢印F2)ために、供給ローラ30の回転方向を反転させる。この場合も、下側の供給ローラ30は、対向ローラとして機能する。
【0075】
例えば、細長要素11の下向きの曲線を完成させる代わりに、細長要素を上向きに屈曲加工することが所望される場合(図19)には、再び曲げ加工ユニット29を用いて、以下のように、図15に示す加工対象の細長要素11の位置から開始して、第9の加工ステップすなわち第6の曲げ加工ステップを実行することにより、これを行うことができる。この位置では、加工対象の細長要素11は、一時的に動作位置に移された引出ユニット26を用いてクランプ固定されており、屈曲装置21は非動作位置に維持されており、曲げ加工ユニット29も非動作位置に移される。次に、曲げ加工ユニットの曲げ加工ローラ31及び32を、長手軸Xの完全に下になるように下方に動かす。次に、図16を参照して上述したように、動作位置に戻した後の屈曲装置21を用いて、加工対象の細長要素11の後端C付近で可能な90°の上向きの曲げを形成する。次に、曲げ加工ユニット29を動作位置に移して、供給ローラ30を駆動することで、加工対象の細長要素11をクランプ固定し、屈曲装置21及び引出ユニット26を非動作位置に移す。次に、曲げ加工ユニット29の供給ローラ30を用いて、加工対象の細長要素11を、後端C付近の可能な90°の曲げが左の曲げ加工ローラ31の近くすなわち図17に示すのと同じ位置になるまで、右に向かって(矢印F2)送る。次に、左の曲げ加工ローラ31を上昇させることで、加工対象の細長要素11を、上向きに押圧して、所望通りに選択された曲率半径で曲げ加工するとともに、加工対象の細長要素11を左に送る(矢印F2)ために、供給ローラ30の回転方向を反転させる。この場合に、対向ローラとして機能するのは、上側の供給ローラ30である。
【0076】
屈曲装置21を用いて所望の曲げと、曲げ加工ユニット29を用いて所望の曲線と、その両方を細長要素11において完成させたら、曲げ加工ユニット29も非動作位置に移すことで、細長要素11を機械10から取り外すことができる(図20)。
【0077】
図21を参照して、本発明による機械210は、第3の実施形態によれば、上述の機械10と非常に類似しており、ただし、引出ユニット26の下流で同じ作業面上に第2の屈曲装置221が配置されていることが異なり、第2の屈曲装置は、屈曲装置21と同等に、曲げ加工ユニット29の機能も有し、長手軸Xに概ね整合されており、場合によっては屈曲装置21との併用が可能であり、上記の方法で細長要素11を屈曲加工及び/又は曲げ加工するために、指令ユニット28の指令を受ける。
【0078】
図22を参照して、本発明による機械310は、第4の実施形態によれば、上述の機械10と非常に類似しており、ただし、同じく指令ユニット28の指令を受ける、屈曲装置21と同等の他の屈曲装置321と、引出ユニット26と同等の他の引出ユニット326と、が長手軸Xに対して平行な軸X1に沿って整合されて配置されていることが異なる。特に、2つの屈曲装置21と321は、交差軸Y上に整合されている。
【0079】
このように、機械310は、2つの独立かつ自律的な加工ステーションS1とS2を有し、その一方は屈曲装置21及び引出ユニット26で構成されており、他方は屈曲装置321及び引出ユニット326で構成されており、これらを、例えば移動ユニットを用いて、交差軸Yに対して平行な方向(図22の矢印F3)に、一方の加工ステーションから他方の加工ステーションに移すことによっても、細長要素11を屈曲加工及び/又は曲げ加工する。
【0080】
細長要素11に対して様々な屈曲加工及び曲げ加工を行うための加工ステップ及びタイミングを最適化するために、機械310の2つの加工ステーションS1とS2を、互いに連携させることが可能であることは明らかである。
【0081】
なお、上述の機械10、210、又は310、及び対応する屈曲加工方法を用いて、所定の曲率半径(R1)で細長要素11を屈曲加工することと、さらに、所望通りに選択された曲率半径(R2)で曲率を付与するように細長要素を曲げ加工することと、その両方を、所望であれば、屈曲装置21のみを用いて可能であることに留意すべきである。
【0082】
あるいは、所定の曲率半径(R1)で細長要素11を屈曲加工するために屈曲装置21、221、又は321を使用し、さらに、例えば上記の所定の曲率半径(R1)と同等であり得る最小曲率半径を始めとして、いかなる曲率半径(R2)でも、所望通りに細長要素(11)を曲げ加工するために、代わりに曲げ加工ユニット29を使用することが可能である。
【0083】
上述のような、細長要素を屈曲加工するための機械10、210、310及び対応する方法に対して、本発明の分野及び範囲から逸脱することなく、部品並びに/又はステップの変更及び/若しくは追加が可能であることは明らかである。
【0084】
また、本発明について、いくつかの具体例を参照して説明したが、当業者であれば、細長要素を屈曲加工するための機械及び/又は方法の他の多くの均等形態を確実に実現可能であることも明らかであり、それらは、請求項に記載の特徴を有するものであり、よって、それらはいずれも、請求項で定義される保護範囲内に含まれる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22