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▶ ピーピージー・インダストリーズ・オハイオ・インコーポレイテッドの特許一覧

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-10
(45)【発行日】2023-01-18
(54)【発明の名称】超耐久性コーティング組成物
(51)【国際特許分類】
   C09D 167/00 20060101AFI20230111BHJP
   C09D 167/06 20060101ALI20230111BHJP
   C08G 63/12 20060101ALI20230111BHJP
【FI】
C09D167/00
C09D167/06
C08G63/12
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2020533288
(86)(22)【出願日】2018-12-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-02-25
(86)【国際出願番号】 IB2018060300
(87)【国際公開番号】W WO2019123289
(87)【国際公開日】2019-06-27
【審査請求日】2021-09-21
(31)【優先権主張番号】15/848,263
(32)【優先日】2017-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】399074983
【氏名又は名称】ピーピージー・インダストリーズ・オハイオ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】PPG Industries Ohio,Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】ウッドワース, ブライアン イー.
(72)【発明者】
【氏名】チェイサー, アンソニー エム.
(72)【発明者】
【氏名】ドナルドソン, スーザン エフ.
(72)【発明者】
【氏名】シュウェンデマン, ジョン イー.
【審査官】水野 明梨
(56)【参考文献】
【文献】特開昭58-071959(JP,A)
【文献】特開昭54-088994(JP,A)
【文献】特表平07-500137(JP,A)
【文献】特開昭58-111866(JP,A)
【文献】特開2004-067995(JP,A)
【文献】特開2003-213203(JP,A)
【文献】特開平05-154439(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09D 1/00-10/00
C09D 100/00-201/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コーティング組成物であって、
(i)プレポリマー混合物の反応生成物を含むヒドロキシル官能性プレポリマーであって、
(A)(a)少なくとも3つのヒドロキシル基を有するポリオール、
(b)安息香酸もしくは置換安息香酸、および
(c)ポリ酸、そのエステルもしくは無水物、または
(B)(d)(a)少なくとも3つのヒドロキシル基を有するポリオールと、(b)安息香酸もしくは置換安息香酸との反応生成物、および
(c)ポリ酸、そのエステルもしくは無水物、または
(C)(e)(a)少なくとも3つのヒドロキシル基を有するポリオールと、(c)ポリ酸、そのエステルもしくは無水物との反応生成物、および
(b)安息香酸もしくは置換安息香酸、を含む、プレポリマー混合物の反応生成物を含むヒドロキシル官能性プレポリマーと、
(ii)非芳香族無水物と、を含む、反応混合物から調製されたポリマーを含み、
前記ポリマーが、ヒドロキシル基、カルボキシル基、およびそれらの組み合わせから選択される少なくとも2つの官能基を含み、前記ポリマーが、前記ポリマーの総重量に基づいて、10~40重量%の構成成分(b)に由来する構造単位、および15重量%超の構成成分(a)に由来する構造単位を含
ここで、前記コーティング組成物が、さらに架橋剤を含む、
コーティング組成物。
【請求項2】
前記ポリマーが、前記ポリマーの総重量に基づいて、10~25重量%の反応物(ii)に由来する構造単位を含む、請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項3】
前記プレポリマー中の遊離ヒドロキシル基のうちの少なくとも35%が反応物(ii)と反応するように、一定量の前記反応物(ii)が前記反応混合物に添加される、請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項4】
前記ポリマーが、前記ポリマーの総重量に基づいて、少なくとも20重量%の構成成分(a)に由来する構造単位を含む、請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項5】
前記ポリマーが、前記ポリマーの総重量に基づいて、20~40重量%の構成成分(b)に由来する構造単位を含む、請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項6】
前記ポリマーが、前記ポリマーの総重量に基づいて、15~30重量%の構成成分(c)に由来する構造単位を含む、請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項7】
構成成分(a)が、ペンタエリスリトール、トリメチロールエタン(TME)、トリメチロールプロパン(TMP)、トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレート(THEIC)、および/またはそれらの混合物を含む、請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項8】
構成成分(c)および構成成分(ii)が異なる、請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項9】
前記ポリ酸が、イソフタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、コハク酸、グルタル酸、デカン二酸、ドデカン二酸、シクロヘキサン二酸、水素化C36二量体脂肪酸、それらのエステルもしくは無水物、および/またはそれらの混合物を含む、請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項10】
反応物(ii)が、ヘキサヒドロ無水フタル酸(HHPA)、無水コハク酸、メチルHHPA、および/または無水マレイン酸を含む、請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項11】
前記ポリマーが、5,000~25,000の重量平均分子量(Mw)を有する、請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項12】
前記ポリマーが分岐している、請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項13】
基材に適用し、硬化してコーティングを形成すると、前記コーティングが、SAE規格J2527に従って4000hで少なくとも90%の光沢保持を呈する、請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項14】
前記コーティング組成物が、粉末コーティング組成物である、請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項15】
前記ポリマーが、酸官能性である、請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項16】
前記反応混合物が、トリメリット酸、フタル酸、テレフタル酸、ピロメリット酸、トリメシン酸、ナフタレンジカルボン酸およびそれらの置換物、それらのエステルもしくは無水物、ならびに/またはそれらの混合物を含まない、請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項17】
請求項1に記載のコーティング組成物で少なくとも部分的にコーティングされている、基材。
【請求項18】
前記基材が、金属を含む、請求項1に記載の基材。
【請求項19】
コーティング組成物の調製方法であって、
プレポリマー混合物の反応生成物を含むヒドロキシル官能性プレポリマー(i)であって、
(A)(a)少なくとも3つのヒドロキシル基を有するポリオール、
(b)安息香酸もしくは置換安息香酸、および
(c)ポリ酸、そのエステルもしくは無水物、または
(B)(d)(a)少なくとも3つのヒドロキシル基を有するポリオールと、(b)安息香酸もしくは置換安息香酸との反応生成物、および
(c)ポリ酸、または
(C)(e)(a)少なくとも3つのヒドロキシル基を有するポリオールと、(c)ポリ酸、そのエステルもしくは無水物との反応生成物、および
(b)安息香酸または置換安息香酸、を含む、プレポリマー混合物の反応生成物を含むヒドロキシル官能性プレポリマー(i)を、
非芳香族無水物(ii)と混合してポリマーを形成することであって、前記ポリマーが、ヒドロキシル基、カルボキシル基、およびそれらの組み合わせから選択される少なくとも2つの官能基、ならびに前記ポリマーの総重量に基づいて、10~40重量%の構成成分(b)に由来する構造単位、および15重量%超の構成成分(a)に由来する構造単位を含む、ポリマーを形成すること、および
前記ポリマーを、架橋剤と混合すること、
を含む、
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コーティング組成物、コーティング組成物で少なくとも部分的にコーティングされている基材、およびコーティング組成物の調製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コーティング組成物でコーティングされている基材は、多くの場合、長期間にわたって自然気象条件に曝露される。例えば、自動車部品およびトリムは、コーティング組成物でコーティングされ得、これらの自動車基材は、それらの全寿命にわたって屋外条件に供され得る。かかる条件は、硬化コーティング組成物を経時的に劣化させ得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明は、コーティング組成物であって、(i)プレポリマー混合物の反応生成物を含むヒドロキシル官能性プレポリマーであって、(A)(a)少なくとも3つのヒドロキシル基を有するポリオール、(b)安息香酸もしくは置換安息香酸、および(c)ポリ酸、そのエステルもしくは無水物、または(B)(d)(a)少なくとも3つのヒドロキシル基を有するポリオールと、(b)安息香酸もしくは置換安息香酸との反応生成物、および(c)ポリ酸、または(C)(e)(a)少なくとも3つのヒドロキシル基を有するポリオールと、(c)ポリ酸、そのエステルもしくは無水物との反応生成物、および(b)安息香酸もしくは置換安息香酸、を含むプレポリマー混合物の反応生成物を含むヒドロキシル官能性プレポリマーと、(ii)非芳香族無水物と、を含む、反応混合物から調製されたポリマーを含み、ポリマーが、ヒドロキシル基、カルボキシル基、およびそれらの組み合わせから選択される少なくとも2つの官能基を含み、ポリマーが、ポリマーの総重量に基づいて、10~40重量%の構成成分(b)に由来する構造単位、および15重量%超の構成成分(a)に由来する構造単位を含む、コーティング組成物を対象とする。
【0004】
本発明はまた、反応混合物から調製されたポリマーを含むコーティング組成物を用いて、少なくとも部分的にコーティングされている基材であって、反応混合物が、(i)プレポリマー混合物の反応生成物を含むヒドロキシル官能性プレポリマーであって、(A)(a)少なくとも3つのヒドロキシル基を有するポリオール、(b)安息香酸もしくは置換安息香酸、および(c)ポリ酸、そのエステルもしくは無水物、または(B)(d)(a)少なくとも3つのヒドロキシル基を有するポリオールと、(b)安息香酸もしくは置換安息香酸との反応生成物、および(c)ポリ酸、または(C)(e)(a)少なくとも3つのヒドロキシル基を有するポリオールと、(c)ポリ酸、そのエステルもしくは無水物との反応生成物、および(b)安息香酸もしくは置換安息香酸、を含むプレポリマー混合物の反応生成物を含むヒドロキシル官能性プレポリマーと、(ii)非芳香族無水物と、を含む、反応混合物から調製されたポリマーを含み、ポリマーが、ヒドロキシル基、カルボキシル基、およびそれらの組み合わせから選択される少なくとも2つの官能基を含み、ポリマーが、ポリマーの総重量に基づいて、10~40重量%の構成成分(b)に由来する構造単位、および15重量%超の構成成分(a)に由来する構造単位を含む、基材を対象とする。
【0005】
本発明はまた、コーティング組成物の調製方法であって、プレポリマー混合物の反応生成物を含むヒドロキシル官能性プレポリマー(i)であって、(A)(a)少なくとも3つのヒドロキシル基を有するポリオール、(b)安息香酸もしくは置換安息香酸、および(c)ポリ酸、そのエステルもしくは無水物、または(B)(d)(a)少なくとも3つのヒドロキシル基を有するポリオールと、(b)安息香酸もしくは置換安息香酸との反応生成物、および(c)ポリ酸、または(C)(e)(a)少なくとも3つのヒドロキシル基を有するポリオールと、(c)ポリ酸、そのエステルもしくは無水物との反応生成物、および(b)安息香酸もしくは置換安息香酸、を含む、プレポリマー混合物の反応生成物を含むヒドロキシル官能性プレポリマーを、非芳香族無水物(ii)と混合してポリマーを形成することを含み、ポリマーが、ヒドロキシル基、カルボキシル基、およびそれらの組み合わせから選択される少なくとも2つの官能基、ならびにポリマーの総重量に基づいて、10~40重量%の構成成分(b)に由来する構造単位、および15重量%超の構成成分(a)に由来する構造単位を有する、方法を対象とする。
【発明を実施するための形態】
【0006】
以下の詳細な説明の目的のために、本発明が、相反することが明示的に指定されている場合を除き、様々な代替的な変形およびステップシーケンスが想定され得ることが理解されるべきである。さらに、任意の動作例以外、または別途示される場合、例えば、明細書および特許請求の範囲で使用される成分の量を表すすべての数は、すべての例において用語「約」によって修飾されているものとして理解されるべきである。したがって、相反することが示されない限り、以下の明細書および添付の特許請求の範囲に記載される数値パラメータは、本発明によって得られる所望の特性に応じて変動し得る近似値である。少なくとも、かつ、等価物の見解の適用を特許請求の範囲に限定しようとするものではなく、各数値パラメータは、少なくとも報告された有意な桁の数に照らし合わせて、かつ通常の四捨五入技法を適用することによって解釈されるべきである。
【0007】
本発明の広い範囲を記載する数値範囲およびパラメータは近似値であるにもかかわらず、特定の実施例において記載される数値は、可能な限り正確に報告される。しかしながら、任意の数値は元来、それぞれの試験測定に見られる標準的な変動から必然的に生じるある特定の誤差を含む。
【0008】
また、本明細書に列挙される任意の数値範囲は、その中に包含されるすべてのサブ範囲を含むことが意図されていることが理解されるべきである。例えば、「1~10」の範囲は、列挙された最小値1から列挙された最大値10の間(列挙された値を含む)、すなわち、1以上の最小値および10以下の最大値を有する、すべてのサブ範囲を含むことが意図される。
【0009】
本明細書では、単数形の使用は、別段の明記がない限り、複数形を含み、複数形は単数形を包含する。加えて、本明細書では、「および/または」がある特定の例で明示的に使用され得るが、別段の明記がない限り、「または」の使用は、「および/または」を意味する。さらに、本明細書では、「1つの(a)」または「1つの(an)」の使用は、別段の明記がない限り、「少なくとも1つ」を意味する。例えば、「1つの」酸、「1つの」プレポリマーなどは、これらの項目のうちの1つ以上を指す。また、本明細書で使用される場合、用語「ポリマー」とは、プレポリマー、オリゴマー、ならびにホモポリマーおよびコポリマーの両方を指し得る。用語「樹脂」は、「ポリマー」と交換可能に使用される。
【0010】
本明細書で使用される場合、移行用語「含む(comprising)」(および他の同等の用語、例えば、「含有する(containing)」および「含む(including)」)は「非限定的」であり、本発明に不可欠でありながらも不特定の事象を包含するように非限定的である組成物、方法、およびそれらのそれぞれの構成成分に関して使用される。
【0011】
本発明は、コーティング組成物であって、(i)プレポリマー混合物の反応生成物を含むヒドロキシル官能性プレポリマーであって、(A)(a)少なくとも3つのヒドロキシル基を有するポリオール、(b)安息香酸もしくは置換安息香酸、および(c)ポリ酸、そのエステルもしくは無水物、または(B)(d)(a)少なくとも3つのヒドロキシル基を有するポリオールと、(b)安息香酸もしくは置換安息香酸との反応生成物、および(c)ポリ酸、または(C)(e)(a)少なくとも3つのヒドロキシル基を有するポリオールと、(c)ポリ酸、そのエステルもしくは無水物との反応生成物、および(b)安息香酸もしくは置換安息香酸、を含むプレポリマー混合物の反応生成物を含むヒドロキシル官能性プレポリマーと、(ii)非芳香族無水物と、を含む、反応混合物から調製されたポリマーを含み、ポリマーが、ヒドロキシル基、カルボキシル基、およびそれらの組み合わせから選択される少なくとも2つの官能基を含み、ポリマーが、ポリマーの総重量に基づいて、10~40重量%の構成成分(b)に由来する構造単位、および15重量%超の構成成分(a)に由来する構造単位を含む、コーティング組成物を対象とする。
【0012】
前述したように、コーティング組成物は、構成成分(a)~(c)を含むプレポリマー混合物の反応生成物を含むプレポリマーを含み得る。プレポリマー混合物は、任意の数の方式で生成することができる。一例では、プレポリマー混合物は、構成成分(a)、(b)、および(c)を一緒に同時に混合することによって調製することができる。一例では、プレポリマー混合物は、構成成分(a)および(b)を一緒に混合して、反応生成物(d)を形成し、次いで、反応生成物(d)を構成成分(c)と混合して、プレポリマー混合物を形成することによって調製することができる。一例では、プレポリマー混合物は、構成成分(a)および(c)を一緒に混合して、反応生成物(e)を形成し、次いで、反応生成物(e)を構成成分(b)と混合して、プレポリマー混合物を形成することによって調製することができる。
【0013】
構成成分(a)は、三官能性以上のポリオールであってもよい。三官能性以上のポリオールとは、ポリオールが少なくとも3つのヒドロキシル基を有することを意味する。三官能性以上のポリオールの好適な例としては、ペンタエリスリトール、トリメチロールエタン(TME)、トリメチロールプロパン(TMP)、トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレート(THEIC)、および/またはそれらの混合物が挙げられる。構成成分(a)に由来する構造単位は、ポリマーの総重量に基づいて、ポリマーの少なくとも20重量%、少なくとも25重量%、少なくとも30重量%、少なくとも35重量%、少なくとも40重量%、少なくとも45重量%、または少なくとも50重量%など、少なくとも15重量%を構成し得る。構成成分(a)に由来する構造単位は、ポリマーの総重量に基づいて、ポリマーの最大70重量%、最大60重量%、最大50重量%、または最大40重量%など、最大75重量%を構成し得る。構成成分(a)に由来する構造単位は、ポリマーの総重量に基づいて、ポリマーの20~75重量%、20~60重量%、20~50重量%、20~45重量%、20~40重量%、25~75重量%、25~70重量%、25~60重量%、25~50重量%、25~40重量%、35~75重量%、35~70重量%、35~60重量%、35~50重量%、または35~40重量%など、15超~75重量%の範囲を構成し得る。
【0014】
構成成分(b)としては、安息香酸または置換安息香酸を挙げることができる。「置換」とは、芳香族水素化物基のうちの1つ以上が、1つ以上のアルキル、アリール、ヒドロキシル、および/またはハロゲン化物基で置換されていることを意味する。置換安息香酸の例としては、t-ブチル安息香酸、ならびに4-ヒドロキシ安息香酸およびサリチル酸などのヒドロキシ安息香酸が挙げられる。構成成分(b)に由来する構造単位は、ポリマーの総重量に基づいて、ポリマーの少なくとも15重量%、少なくとも20重量%、少なくとも25重量%、または少なくとも30重量%など、少なくとも10重量%を構成し得る。構成成分(b)に由来する構造単位は、ポリマーの総重量に基づいて、ポリマーの最大35重量%、最大30重量%、最大25重量%、または最大20重量%など、最大40重量%を構成し得る。構成成分(b)に由来する構造単位は、ポリマーの総重量に基づいて、ポリマーの20~40重量%、20~35重量%、20~30重量%、20~25重量%、25~40重量%、25~35重量%、または25~30重量%など、10~40重量%の範囲を構成し得る。
【0015】
構成成分(c)としては、ポリ酸、そのエステルまたは無水物を挙げることができる。ポリ酸は、イソフタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、グルタル酸、デカン酸、ドデカン二酸、シクロヘキサン二酸(cyclohexanedioic acid)、水素化C36二量体脂肪酸、それらのエステルもしくは無水物、および/またはそれらの混合物であり得る。ポリ酸および/または反応混合物は、トリメリット酸、フタル酸、テレフタル酸、ピロメリット酸、トリメシン酸、ナフタレンジカルボン酸、およびそれらの置換物、それらのエステルもしくは無水物、ならびに/またはそれらの混合物などの非UV耐久性ポリ酸を実質的に含み得ないか、本質的に含み得ないか、または完全に含み得ない。「それらの置換物」とは、芳香族水素化物基のうちの1つ以上が、1つ以上のアルキル、アリール、ヒドロキシル、および/またはハロゲン化物基で置換されていることを意味する。「非UV耐久性」とは、かかるポリ酸を組み込んだポリマーが、UV照射、例えば、日光またはQUV促進耐候試験(Q-Lab Corporation(Westlake,OH)から)に曝露すると光沢を維持できないこと(1500kJのUV照射(WOM)/またはサウスフロリダ州で12ヶ月の曝露後の光沢保持<50%)を意味する。「実質的に含まない」とは、ポリマーが5重量%未満の構成成分を含有することを意味する。「本質的に含まない」とは、ポリマーが1重量%未満の構成成分を含有することを意味する。「完全に含まない」とは、ポリマーが0.1重量%未満の構成成分を含有することを意味する。
【0016】
構成成分(c)に由来する構造単位は、ポリマーの総重量に基づいて、ポリマーの少なくとも20重量%、または少なくとも25重量%など、少なくとも15重量%を構成し得る。構成成分(c)に由来する構造単位は、ポリマーの総重量に基づいて、ポリマーの最大30重量%、または最大25重量%など、最大35重量%を構成し得る。構成成分(c)に由来する構造単位は、ポリマーの総重量に基づいて、ポリマーの15~35重量%、15~25重量%、15~20重量%、20~35重量%、20~30重量%、20~25重量%、25~35重量%、または25~30重量%など、15~30重量%の範囲を構成し得る。
【0017】
プレポリマーの調製では、構成成分(a)、(b)、または(c)のうちの少なくとも2つを反応させて、中間樹脂を形成してもよい。次いで、中間樹脂を構成成分(a)、(b)、または(c)のうちの少なくとも1つと反応させて、プレポリマーを生成してもよい。例えば、中間樹脂は、三官能性以上のポリオール(a)と、置換または非置換の安息香酸(b)との反応混合物によって調製され得る。次いで、中間樹脂を、ポリ酸(c)と反応させて、プレポリマーを生成してもよい。プレポリマー(i)は、非芳香族無水物(ii)を実質的に含み得ないか、本質的に含み得ないか、または完全に含み得ない。非芳香族無水物(ii)と混合する前のプレポリマー(i)の調製は、ポリマーのゲル化を回避することができる。非芳香族無水物をプレポリマーに添加して、プレポリマーをエンドキャップすることができる。例えば、プレポリマーは、非芳香族無水物が遊離ヒドロキシル基と反応して、プレポリマーをエンドキャップし、ポリマーを形成するように、遊離ヒドロキシル基を含んでもよい。
【0018】
好適な非芳香族無水物としては、ヘキサヒドロ無水フタル酸(HHPA)、無水コハク酸、メチルHHPA、および/または無水マレイン酸が挙げられる。いくつかの実施例では、非芳香族無水物は、構成成分(c)とは異なり得る。他の実施例では、非芳香族無水物は、構成成分(c)と同じであり得る。非芳香族無水物および構成成分(c)は、両方が非芳香族無水物である場合同じであってもよいが、しかしながら構成成分(c)および非芳香族無水物は、反応中に別々の時点で添加してもよい(構成成分(c)は、構成成分(a)および/もしくは(b)、またはそれらの反応生成物と反応して、プレポリマーを形成し、次いで、構成成分(c)と同じである非芳香族無水物を添加して、プレポリマーと反応させる)。非芳香族無水物に由来する構造単位は、ポリマーの総重量に基づいて、ポリマーの少なくとも11%、少なくとも15重量%、または少なくとも20重量%など、少なくとも10重量%を構成し得る。非芳香族無水物に由来する構造単位は、ポリマーの総重量に基づいて、ポリマーの最大20重量%、または最大15重量%など、最大25重量%を構成し得る。非芳香族無水物に由来する構造単位は、ポリマーの総重量に基づいて、ポリマーの10~20重量%、10~15重量%、11~25重量%、11~20重量%、11~15重量%、15~25重量%、15~20重量%、または20~25重量%など、10~25重量%の範囲を構成し得る。プレポリマーの遊離ヒドロキシル基のうちの少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%など、少なくとも35%が、非芳香族無水物と反応するように、有効量の非芳香族無水物を反応混合物に添加してもよい。
【0019】
プレポリマーと非芳香族無水物との反応から生成される得られたポリマーは、少なくとも二官能性であり得る。「二官能性」とは、ポリマーが、ヒドロキシル基、カルボキシル基、およびそれらの組み合わせから選択される少なくとも2つの官能基を含むことを意味する。ポリマーは、コーティング組成物が粉末コーティング組成物である、コーティング組成物の構成成分であり得る。ポリマーを溶剤中に溶解させ、液体コーティング組成物として基材上にスプレーしてもよい。ポリマーは、分岐ポリマーであり得る。ポリマーは、ASTM D1639によって測定すると、酸官能性であり得る。「酸官能性」とは、ポリマーが、ヒドロキシル基、カルボキシル基、およびそれらの組み合わせから選択される少なくとも1つの官能基を含むことを意味する。
【0020】
テトラヒドロフラン溶剤およびポリスチレン標準物質を使用するゲル透過クロマトグラフィーによって測定すると、プレポリマーおよび非芳香族無水物を含む得られたポリマーは、5,000~25,000の重量平均分子量(Mw)を有し得る。ポリマーは、5,000~20,000、5,000~15,000、6,000~25,000、6,000~20,000、6,000~15,000、6,000~10,000、7,000~25,000、7,000~20,000、7,000~15,000、7,000~10,000、10,000~20,000、10,000~15,000、または9,000~23,000のMwを有し得る。ポリマーは、テトラヒドロフラン溶剤およびポリスチレン標準物質を使用するゲル透過クロマトグラフィーによって測定すると、最大3,000または最大2,000など、最大5,000の数平均分子量(Mn)を有し得る。
【0021】
本発明のコーティング組成物は、ポリマーを含み、架橋剤をさらに含み得る。好適な架橋剤としては、ヒドロキシルアルキルアミド、トリス-グリシイルイソシアヌレート(TGIC)、グリコールウリル、グリシジルメタクリレート(GMA)アクリル、エポキシ樹脂(例えば、グリシジルエステル混合物(例えばHuntsman Corporation(The Woodlands,TX))からのARALDITE(登録商標)PT910)を含むエポキシ樹脂)、アミノプラスト樹脂(例えばベンゾグアナミンまたはメラミン)、オキサゾリン、ブロックイソシアネート、および/またはそれらの混合物が挙げられる。架橋剤としては、TGIC、および/またはN,N,N’N’-テトラキス(2-ヒドロキシエチル)ヘキサンジアミド(PRIMID(登録商標)XL552)を挙げることができる。
【0022】
コーティング組成物は、プレポリマー(前述のように構成成分(a)~(c)を有するプレポリマー混合物の反応生成物)を非芳香族無水物と混合して、ポリマーを形成することによって調製することができる。プレポリマーが非芳香族無水物を含まないようにプレポリマーが完全に調製された後、非芳香族無水物は、プレポリマーと混合され得る。
【0023】
本発明のコーティング組成物は、当該技術分野で既知の標準的な方法によって調製することができる。例えば、構成成分をまず徹底的に混合して、成分の空間的均質性を確保してもよい。次いで、組成物を、押出機で均質に融解混錬してもよい。押出中の共通のゾーン温度は、45℃~100℃など、40℃~125℃の範囲である。次いで、重合を最小限に抑えるために、出てくる押出物を急冷してもよい。次いで、得られたチップを、平均粒径1~100ミクロンなど、0.1~300ミクロンの粉末に微粒化してもよい。粉砕は、例えば、気流式分級ミル、インパクトミル、ボールミル、または他の破砕を誘発する機構によって達成することができる。粉末質量の流動化を改善し、かつ/または衝撃融合に対する耐性を改善するポスト添加剤(Post additive)は、微粒化の前後に最終生成物に組み込んでもよい。
【0024】
コーティング組成物は、様々な添加剤を含み得る。本発明のコーティング組成物と共に使用することができる添加剤の非限定的な例としては、着色料(例えば、顔料および/または色素)、可塑剤、耐摩耗粒子、耐食性粒子、腐食阻害添加剤、限定されないが粘土、無機鉱物を含む充填剤、酸化防止剤、ヒンダードアミン光安定剤、UV光吸収剤および安定剤、界面活性剤、流動および表面制御剤、チキソトロープ剤、有機共溶剤、反応性希釈剤、触媒、反応阻害剤、および他の慣習的な補助剤が挙げられる。
【0025】
コーティング組成物は、一度調製されると、基材の少なくとも一部分に適用され、コーティングを形成するために硬化することができる。本発明の粉末コーティング組成物は、多数の方式、最も多くの場合静電噴霧によって、基材に適用することができる。粉末コーティングは、約1~10ミル(25~250ミクロン)、通常約2~4ミル(50~100ミクロン)の硬化後の厚さを有するフィルムを提供するために、1回のスイープまたは数回の通過で適用されてもよい。適用後、本組成物は、15~20分などの3分~30分の範囲の期間の間、140℃~190℃などの120℃~220℃の温度に加熱することによって硬化することができる。当該技術分野で既知の任意の手段による、典型的にはコーティングされている基材をオーブンに入れることによる加熱は、有効であり得る。コーティングされている基材を加熱硬化させるのに、IR照射も使用してもよい。また、エレクトロコーティング、ディッピング、圧延、ブラッシングなどなど、コーティング適用のための他の標準的な方法を採用してもよい。
【0026】
本発明の組成物は、単独で、または2つ以上の層を有するコーティング系などの1つ以上の他の組成物との組み合わせで使用することができる。例えば、本発明の組成物は、着色料を含んでも含まなくてもよく、プライマー、ベースコート、および/またはトップコートとして使用することができる。複数のコーティングでコーティングされている基材では、それらのコーティングのうちの1つ以上は、本明細書に記載のコーティングであり得る。基材上の最外層としてコーティング組成物を使用して、基材に耐久性を提供することができる。コーティング組成物は、前述のようにプライマー層上に適用してもよいか、または基材自体に、例えば金属に直接適用してもよい。
【0027】
組成物は、クリアコートであってもよい。クリアコートは、実質的に透明または半透明であるコーティングとして理解されるであろう。したがって、クリアコートは、クリアコートを不透明にせず、下地基材を見せる機能にいかなる著しい程度までも他に影響を与えないことを条件として、ある程度の色を有してもよい。本発明のクリアコートは、例えば、顔料ベースコートと併用してもよい。クリアコートは、コーティング技術分野で既知であるように調合してもよい。
【0028】
組成物はまた、クリアコートと併用される顔料ベースコート、または顔料モノコートなどの着色料を含んでもよい。かかるコーティング層は、装飾および/または保護仕上げを付与するために様々な産業で使用されている。例えば、かかるコーティングまたはコーティング系は、乗り物に適用され得る。「乗り物」は、本明細書では最も広い意味で使用され、限定されないが、車、トラック、バス、バン、ゴルフカート、オートバイ、自転車、鉄道車両、ボート、船、飛行機、ヘリコプターなどの全種類の乗り物が挙げられる。本発明に従ってコーティングされる乗り物の一部分は、コーティングが使用される理由に応じて変動し得ることが理解されるであろう。着色ベースコートまたはモノコートとして使用されるとき、本コーティングは、典型的には、車の屋根、フード、ドア、トランクの蓋などの人目につく、乗り物のそれらの部分に適用されることになるが、特に組成物が密封剤または接着剤として調合されると、トランク内部、ドア内部などの他の領域にも適用することができ、例えば、組成物は、それらが乗り物に音および/または振動減衰を提供するような粘度を有するように調合されてもよい。本組成物はまた、ハンドル、ダッシュボード、ギアシフト、制御装置、ドアハンドルなどの、ドライバーおよび/または乗客と接触する乗り物のそれらの部分にも適用され得る。クリアコートは、典型的には乗り物の外装に適用されることになる。
【0029】
基材は、任意の好適な材料であってもよい。例えば、基材は、金属または非金属であってもよい。金属基材としては、限定されないが、スズ、鋼(なかでも、ステンレス鋼、電気亜鉛めっき鋼、冷間圧延鋼、および溶融亜鉛めっき鋼を含む)、アルミニウム、アルミニウム合金、亜鉛-アルミニウム合金、亜鉛-アルミニウム合金でコーティングされた鋼、またはアルミニウムめっき鋼を挙げることができる。金属基材はまた、化成コーティングとも称される金属前処理コーティングをさらに含んでもよい。好適な前処理組成物の例としては、限定されないが、リン酸亜鉛、リン酸鉄、またはクロム含有構成成分を含有する組成物が挙げられる。好適な前処理コーティングの他の例としては、限定されないが、ジルコニウムまたはチタン含有構成成分などの組成物を含む薄膜前処理コーティングが挙げられる。金属前処理コーティングとしてはまた、クロメートまたは非クロメートシーラーなどのシーラーを挙げることができる。金属基材はまた、陽イオン性エレクトロコートプライマーなどのプライマーでコーティングしてもよい。
【0030】
金属基材は、自動車トリムなどの自動車構成部品であってもよい。自動車トリムとしては、限定されないが、乗り物の屋根ラック、ワイパーアーム、ランニングボード、およびピラーに使用される材料を挙げることができる。例えば、基材は、建築用押出材に使用されるアルミニウム、ならびに芝生および庭園設備、または建設設備などの屋外設備用の金属であってもよい。
【0031】
基材は、長時間にわたって屋外条件に供される金属または非金属基材であり得る。基材は、コーティング組成物が屋外UV耐久性を提供することができるので、UV照射に対する外装の保護によって利益を得るであろう任意の基材であり得る。基材としてはまた、典型的には屋外条件を経験する重機、機械、乗り物、または他の屋外設備を挙げることができる。
【0032】
非金属基材としては、ポリマー材料を挙げることができる。基材に好適なポリマー材料としては、プラスチック、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド、セルロース、ポリスチレン、ポリアクリル、ポリ(エチレンナフタレート)、ポリプロピレン、ポリエチレン、ナイロン、EVOH、ポリ乳酸、他の「環境に優しい」ポリマー基材、ポリ(エチレンテレフタレート)(PET)、ポリカーボネート、ポリカーボネートアクリロニトリルブタジエンスチレン(PC/ABS)、またはポリアミドを挙げることができる。他の非金属基材としては、ガラス、木材、木製ベニア、木製複合材、パーティクルボード、中密度ファイバーボード、セメント、石、紙、段ボール、織物、合成および天然皮革の両方などを挙げることができる。非金属基材はまた、コーティングの適用前に適用される、コーティングの基材への接着性を増加させる処理コーティングを含んでもよい。
【0033】
好適な基材の他の非限定的な例としては、他の自動車基材、海洋基材、工業基材、包装基材、材木、木製フローリングおよび家具、アパレル、ならびにコンピュータ、ノートブック型、スマートフォン、タブレット、テレビ、ゲーム機器、コンピュータ機器、コンピュータアクセサリー、MP3プレーヤーなどのための筐体などの、消費者用電子機器を含む筐体および回路基材を含む電子機器、ガラスおよび透明な物品、ゴルフボールを含むスポーツ用品などが挙げられる。
【0034】
コーティングが基材に適用され、コーティングを形成するために硬化されるとき、硬化コーティングは、向上した耐久特性を呈することができる。例えば、データが20度光沢測定での光沢保持%として報告される、昼光フィルタを用いるAtlasウェザオメータで実施すると、SAE規格J2527に従って、コーティングは、4000時間(h)で少なくとも90%の光沢保持を呈することができる。データが20度光沢測定での光沢保持%として報告される、昼光フィルタを用いるAtlasウェザオメータで実施すると、SAE規格J2527に従って、コーティングは、4000hで少なくとも90%または95%など、少なくとも80%の光沢保持を呈することができる。データが20度光沢測定での光沢保持%として報告される、昼光フィルタを用いるAtlasウェザオメータで実施すると、SAE規格J2527に従って、コーティングは、5000hで少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%など、少なくとも50%の光沢保持を呈することができる。
【0035】
以下の実施例は、本発明の一般原理を呈するために提示される。本発明は、提示される特定の実施例に限定されるとみなされるべきではない。実施例におけるすべての部およびパーセンテージは、別途示されない限り、重量によるものである。
【実施例
【0036】
実施例1
パートA:中間樹脂
窒素雰囲気下で、攪拌器、温度プローブ、および濃縮器を備えたディーンスターク装置を装備した好適な反応容器に、合計1,125.6グラムのペンタエリスリトール(総固体に基づいて38.27重量%)、1,815.7グラムの安息香酸(総固体に基づいて61.73重量%)、141.0グラムのキシレン、2.94グラムのブチルスタノイック酸(butylstannoic acid)、および1.47グラムのトリフェニルホスファイトを添加することによって、中間樹脂を調製した。反応器の内容物を、約167℃から始めて水留出物を連続除去しながら徐々に180℃に加熱した。約265.3グラムの水が収集されるまで反応混合物の温度を180℃で保持し、反応混合物の酸値は1.08mg KOH/試料gになった。次いで、180℃で真空蒸留を介してキシレンを除去した。この中間樹脂では、約100%の固体パーセント(110℃/時間)、1.01mg KOH/試料gの酸値、および377.6mg KOH/試料gのヒドロキシル値が測定された。
【0037】
パートB:ポリマー
攪拌器、温度プローブ、グリコール回収蒸留機構(頂部に充填カラム、および水冷凝縮器に接続された蒸留ヘッドを有する空のカラム)、および窒素スパージを装備した好適な反応容器に、合計1,036.2グラムの実施例1Aからの中間樹脂、37.1グラムのネオペンチルグリコール、422.0グラムのイソフタル酸、1.5グラムのブチルスタノイック酸、および1.5グラムのトリフェニルホスファイトを添加することによって、プレポリマーを調製した。反応器の内容物を、約190℃から始めて水留出物を連続除去しながら徐々に235℃に加熱した。約68.9グラムの水が収集されるまで反応混合物の温度を235℃で保持し、反応混合物の酸値は2.1mg KOH/試料gになった。
【0038】
反応器の内容物(プレポリマーを含む)を120℃に冷却し、370.8グラムのヘキサヒドロ無水フタル酸を添加してポリマーを調製した。反応混合物を5時間にわたって段階的に150℃に徐々に加熱し、このとき、赤外線スペクトルでは1,790cm-1の無水物ピークは本質的になくなった。ポリマーを190℃に加熱し、注ぎ出した。ポリマーでは、約99.7%の固体パーセント(110℃/時間)、84.7mg KOH/試料gの酸値、および18.1mg KOH/試料gのヒドロキシル値が測定された。テトラヒドロフラン溶剤およびポリスチレン標準物質を用いるゲル透過クロマトグラフィーを使用して、10,917の重量平均分子量を決定した。
【0039】
実施例2
パートA:プレポリマー
窒素雰囲気下で、攪拌器、温度プローブ、および濃縮器を備えたディーンスターク装置を装備した好適な反応容器に、合計1,425.0グラムのトリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレート(総固体に基づいて41.76重量%)、376.5グラムのネオペンチルグリコール(総固体に基づいて11.03重量%)、1203.8グラムのイソフタル酸(総固体に基づいて35.28重量%)、407.0グラムの安息香酸(総固体に基づいて11.93重量%)、33グラムのキシレン、4.5グラムのブチルスタノイック酸、および1.5グラムのトリフェニルホスファイトを添加することによって、プレポリマーを調製した。反応器の内容物を、約175℃から始めて水留出物を連続除去しながら徐々に230℃に加熱した。約330グラムの水が収集されるまで反応混合物の温度を230℃で保持し、反応混合物の酸値は4.93mg KOH/試料gになった。次いで、反応混合物を208℃に冷却し、真空蒸留を介してキシレンを除去した。このプレポリマーでは、約99.1%の固体パーセント(150℃/時間)、1.01mg KOH/試料gの酸値、および100.2mg KOH/試料gのヒドロキシル値が測定された。テトラヒドロフラン溶剤およびポリスチレン標準物質を用いるゲル透過クロマトグラフィーを使用して、10,411の重量平均分子量を決定した。
【0040】
パートB:ポリマー
還流コンデンサおよび窒素ブランケットを装備した好適な反応容器に、合計1,400.0グラムの実施例2Aからのプレポリマーおよび242.9グラムの無水コハク酸を添加することによって、ポリマーを調製した。反応器の内容物を3時間にわたって段階的に167℃に徐々に加熱し、このとき、赤外線スペクトルでは1,790cm-1の無水物ピークは本質的になくなった。ポリマーを170℃に加熱し、注ぎ出した。ポリマーでは、約97.9%の固体パーセント(150℃/時間)、84.9mg KOH/試料gの酸値、および7.9mg KOH/試料gのヒドロキシル値が測定された。テトラヒドロフラン溶剤およびポリスチレン標準物質を用いるゲル透過クロマトグラフィーを使用して、19,703の重量平均分子量を決定した。
【0041】
ポリマー実施例3
窒素雰囲気下で、攪拌器、温度プローブ、および濃縮器を備えたディーンスターク装置を装備した好適な反応容器に、合計495.4グラムのペンタエリスリトール、792.8グラムの安息香酸、431.8グラムのイソフタル酸、80.3グラムのSolvesso100溶剤(ExxonMobil Chemical(Houston,TX)から市販)、0.9グラムのジブチルスズ酸化物、および1.7グラムのトリフェニルホスファイトを添加することによって、プレポリマーを調製した。反応器の内容物を、約174℃から始めて水留出物を連続除去しながら徐々に226℃に加熱した。約210グラムの水が収集されるまで反応混合物の温度を226℃で保持し、反応混合物の酸値は<1mg KOH/試料gになった。次いで、反応混合物を150℃に冷却し、真空蒸留を介してSolvesso100を除去した。
【0042】
反応器の内容物(プレポリマー)を110℃に冷却し、11.5グラムのResiflow LV、続いて257.6グラムの無水コハク酸を添加してポリマーを形成した。反応混合物を10時間にわたって110℃に保持し、このとき、赤外線スペクトルでは1,790cm-1の無水物ピークは本質的になくなった。ポリマーを182℃に加熱し、注ぎ出した。ポリマーでは、約100%の固体パーセント(110℃/時間)、80.0mg KOH/試料gの酸値、および14.2mg KOH/試料gのヒドロキシル値が測定された。テトラヒドロフラン溶剤およびポリスチレン標準物質を用いるゲル透過クロマトグラフィーを使用して、15,047の重量平均分子量を決定した。
【0043】
ポリマー実施例4
窒素雰囲気下で、攪拌器、温度プローブ、および濃縮器を備えたディーンスターク装置を装備した好適な反応容器に、合計574.0グラムのペンタエリスリトール、506.1グラムの1,1,1-トリメチロールエタン、1,410グラムの安息香酸、1,077.8グラムのイソフタル酸、41.1グラムのキシレン、および4.5グラムのブチルスタノイック酸を添加することによって、プレポリマーを調製した。反応器の内容物を、約173℃から始めて水留出物を連続除去しながら徐々に230℃に加熱した。約438グラムの水が収集されるまで反応混合物の温度を230℃で保持し、プレポリマーの酸値は<5mg KOH/試料gになった。次いで、反応混合物を190℃に冷却し、真空蒸留を介してキシレンを除去した。
【0044】
反応器の内容物(プレポリマー)を150℃に冷却し、3.0グラムのトリフェニルホスファイト、続いて707.9グラムのヘキサヒドロ無水フタル酸を添加してポリマーを形成した。反応混合物を3時間にわたって段階的に190℃に加熱し、このとき、赤外線スペクトルでは1,790cm-1の無水物ピークは本質的になくなった。ポリマーでは、約97.5%の固体パーセント(150℃/時間)、73.8mg KOH/試料gの酸値、および23.2mg KOH/試料gのヒドロキシル値が測定された。テトラヒドロフラン溶剤およびポリスチレン標準物質を用いるゲル透過クロマトグラフィーを使用して、22,721の重量平均分子量を決定した。
【0045】
ポリマー実施例5
窒素雰囲気下で、攪拌器、温度プローブ、および濃縮器を備えたディーンスターク装置を装備した好適な反応容器に、合計1,050.3グラムのトリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、480.7グラムの1,1,1-トリメチロールエタン、835.2グラムの安息香酸、1,026.6グラムのイソフタル酸、35.2グラムのキシレン、および4.8グラムのブチルスタノイック酸を添加することによって、プレポリマーを調製した。反応器の内容物を、約179℃から始めて水留出物を連続除去しながら徐々に230℃に加熱した。約334グラムの水が収集されるまで反応混合物の温度を230℃で保持し、プレポリマーの酸値は2.9mg KOH/試料gになった。反応混合物を190℃に冷却し、3.2グラムのトリフェニルホスファイトを添加し、次いで、真空蒸留を介してキシレンを除去した。
【0046】
反応器の内容物(プレポリマー)を150℃に冷却し、685グラムのヘキサヒドロ無水フタル酸を添加して、ポリマーを形成した。反応混合物を3時間にわたって160℃に加熱し、このとき、赤外線スペクトルでは1,790cm-1の無水物ピークは本質的になくなった。ポリマーを190℃に加熱し、注ぎ出した。ポリマーでは、約98.4%の固体パーセント(150℃/時間)、68.0mg KOH/試料gの酸値、および18.7mg KOH/試料gのヒドロキシル値が測定された。テトラヒドロフラン溶剤およびポリスチレン標準物質を用いるゲル透過クロマトグラフィーを使用して、9,485の重量平均分子量を決定した。
【0047】
ポリマー実施例6
窒素雰囲気下で、攪拌器、温度プローブ、および濃縮器を備えたディーンスターク装置を装備した好適な反応容器に、合計669.2グラムのペンタエリスリトール、124.7グラムの1,3-プロパンジオール、1,074.9グラムの安息香酸、583.0グラムのイソフタル酸、201.5グラムの1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、35.2グラムのキシレン、および4.8グラムのブチルスタノイック酸を添加することによって、プレポリマーを調製した。反応器の内容物を、約174℃から始めて水留出物を連続除去しながら徐々に230℃に加熱した。約328グラムの水が収集されるまで反応混合物の温度を230℃で保持し、プレポリマーの酸値は3.5mg KOH/試料gになった。次いで、反応混合物を192℃に冷却し、真空蒸留を介してキシレンを除去した。
【0048】
反応器の内容物(プレポリマー)を150℃に冷却し、3.2グラムのトリフェニルホスファイト、続いて674.5グラムのヘキサヒドロ無水フタル酸を添加してポリマーを形成した。反応混合物を2.5時間にわたって150℃に保持し、このとき、赤外線スペクトルでは1,790cm-1の無水物ピークは本質的になくなった。ポリマーを180℃に加熱し、注ぎ出した。ポリマーでは、約94.5%の固体パーセント(150℃/時間)、83.9mg KOH/試料gの酸値、および16.6mg KOH/試料gのヒドロキシル値が測定された。テトラヒドロフラン溶剤およびポリスチレン標準物質を用いるゲル透過クロマトグラフィーを使用して、11,320の重量平均分子量を決定した。
【0049】
比較ポリマー実施例1
窒素雰囲気下で、攪拌器、温度プローブ、および濃縮器を備えたディーンスターク装置を装備した好適な反応容器に、合計919グラムのトリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、420.6グラムの1,1,1-トリメチロールエタン、730.8グラムの安息香酸、897.8グラムのイソフタル酸、599.4グラムのHHPA、30.8グラムのキシレン、および4.2グラムのブチルスタノイック酸を添加した。反応器の内容物を、約176℃から始めて水留出物を連続除去しながら徐々に230℃に加熱した。約305グラムの水が収集されるまで反応混合物の温度を230℃で保持し、その時点で反応がゲル化し、廃棄した。
【0050】
表1は、ポリマー実施例1~6および比較ポリマー実施例1で使用された構成成分の重量パーセントを示す。
【表1】
低粘度アクリルポリマー、Estron Chemical Inc.(Calvert City,KY)から市販
【0051】
以下の表2は、ポリマー実施例1~6からのポリマーの測定された様々な特徴を示す。
【表2】
T.S.%(総固体パーセント)を、ASTM D2369に記載されるように1時間110℃で決定した。
56,100/当量重量の酸によって計算した理論上の酸値。当量重量の酸=試料のグラム/試料中の当量の酸
測定した酸値をASTM D1639によって決定した。
OH(ヒドロキシル数)をASTM D4274によって決定した。
示差走査熱量測定によって測定した0℃~175℃の温度範囲で20℃/分の速度でのガラス転移温度。
テトラヒドロフラン溶剤およびポリスチレン標準物質を用いるゲル透過クロマトグラフィーによって測定した重量平均分子量
テトラヒドロフラン溶剤およびポリスチレン標準物質を用いるゲル透過クロマトグラフィーによって測定した数平均分子量
テトラヒドロフラン溶剤およびポリスチレン標準物質を用いるゲル透過クロマトグラフィーによって測定したZ-平均分子量
10Mw/Mnを考慮することによって測定した多分散指数
【0052】
比較実施例1では、理論上の酸値は55.7であった。調製中に、すべてのモノマーを同時に反応器に添加し、加熱し、混合物のゲル化が生じたので、比較実施例1についての表2からの他のデータは、利用可能ではない。ゲル化を回避するために、ヒドロキシル官能性ポリエステルプレポリマーを最初に調製し、続いて非芳香族無水物でキャップして酸末端基を有するポリマーを形成することができる。
【0053】
硬化性コーティング組成物比較実施例1~4およびコーティング組成物実施例1~11
硬化性コーティング組成物を、表3(比較実施例)および表4(発明実施例)に列挙される構成成分から調製して、比較コーティング組成物実施例1~4およびコーティング組成物実施例1~11を形成した。
【表3】
11Koninklijke DSM N.V.(Heerlen,Netherlands)から市販のUralac P800ポリエステル樹脂
12Estron Chemical Inc.(Clavert City,KY)から市販のアクリル/シリカ流量およびレベリング制御剤
13Mitsubishi Chemical Corporation(Tokyo,Japan)から市販のBenzoin
14EMS-Griltech(Domat/Ems Switzerland)から市販のヒドロキシアルキルアミド(HAA)架橋剤、Primid QM1260
15Huntsman Corporation(The Woodlands,TX)から市販のTGIC(トリグリシジルイソシアヌレート)
16BASF(Ludwigshafen,Germany)から市販のヒンダードアミン光安定剤
17BASF(Ludwigshafen,Germany)から市販のUV吸収剤
18BASF(Ludwigshafen,Germany)から市販のUV吸収剤
19Cabot Corporation(Boston,MA)から市販のカーボンブラック
【表4】
【0054】
比較コーティング組成物実施例1~4およびコーティング組成物実施例1~11の、表3および4に列挙される構成成分の各々を容器中で秤量し、プリズム高速混合器で30秒間3500RPMにて混合して、乾燥した均質な混合物を形成した。次いで、500RPMの速度の強いスクリュー構成を有するWerner Pfleiderer19mm二軸押出機で、混合物を融解混合した。第1の区域を50℃に設定し、第2、第3、第4区域を80℃に設定した。装置で50~60%のトルクが観察されるような供給速度であった。混合物を一組みの冷却ロールに滴下して、混合物を固体チップに冷却および再固化させた。チップをMikro ACM(登録商標)-1気流式分級ミルで粉砕して、粒子の大部分が20~40ミクロンである、5~150ミクロンの粒径を得た。比較コーティング組成物実施例1~4およびコーティング組成物実施例1~11で得られたコーティング組成物は、流動性の良い固体微粒子の粉末コーティング組成物であった。
【0055】
比較コーティング組成物実施例1~4およびコーティング組成物実施例1~11の組成物から調製したコーティングの各々を、SAE J2527に従って風化促進させることによってUV耐久性について評価した。ウェザオメータを、昼光フィルタを用いてSAE J2527パラメータに設定した。比較コーティング組成物実施例1~4およびコーティング組成物実施例1~11のUV耐久性試験の結果を、以下の表5(比較実施例)および表6(発明実施例)に示す。
【表5】
20昼光フィルタを用いたSAE J2527に従ったAtlasウェザオメータ、データは(20度光沢測定での)光沢保持%として報告
【表6】
【0056】
表5および6に示されるように、Xeアークウェザオメータに曝露させた後のコーティングの光沢保持%によって測定すると、4,000h WOMまたは5,000h WOM樹脂のいずれかでは、コーティング組成物実施例1~11から調製されたコーティングはすべて、市販の超耐久性ポリエステル(比較コーティング組成物実施例1~4)を上回る、改善されたUV耐久性を呈した。具体的には、長期間(5,000時間)の曝露後に差異が観察される。
【0057】
本発明は、以下の条項の主題をさらに含む。
【0058】
条項1:コーティング組成物であって、(i)プレポリマー混合物の反応生成物を含むヒドロキシル官能性プレポリマーであって、(A)(a)少なくとも3つのヒドロキシル基を有するポリオール、(b)安息香酸または置換安息香酸、および(c)ポリ酸、そのエステルもしくは無水物、または(B)(d)(a)少なくとも3つのヒドロキシル基を有するポリオールと、(b)安息香酸もしくは置換安息香酸との反応生成物、および(c)ポリ酸、そのエステルもしくは無水物、または(C)(e)(a)少なくとも3つのヒドロキシル基を有するポリオールと、(c)ポリ酸、そのエステルもしくは無水物との反応生成物、および(b)安息香酸または置換安息香酸、を含む、プレポリマー混合物の反応生成物を含むヒドロキシル官能性プレポリマーと、(ii)非芳香族無水物と、を含む、反応混合物から調製されたポリマーを含み、ポリマーが、ヒドロキシル基、カルボキシル基、およびそれらの組み合わせから選択される少なくとも2つの官能基を含み、ポリマーが、ポリマーの総重量に基づいて、10~40重量%の構成成分(b)に由来する構造単位、および15重量%超の構成成分(a)に由来する構造単位を含む、コーティング組成物。
【0059】
条項2:ポリマーが、ポリマーの総重量に基づいて、10~25重量%の反応物(ii)に由来する構造単位を含む、条項1に記載のコーティング組成物。
【0060】
条項3:プレポリマー中の遊離ヒドロキシル基のうちの少なくとも35%が反応物(ii)と反応するように、一定量の反応物(ii)が反応混合物に添加される、条項1または2のいずれかに記載のコーティング組成物。
【0061】
条項4:ポリマーが、ポリマーの総重量に基づいて、少なくとも20重量%の構成成分(a)に由来する構造単位を含む、条項1~3のいずれかに記載のコーティング組成物。
【0062】
条項5:ポリマーが、ポリマーの総重量に基づいて、20~75重量%の構成成分(a)に由来する構造単位を含む、条項4に記載のコーティング組成物。
【0063】
条項6:ポリマーが、ポリマーの総重量に基づいて、20~60重量%の構成成分(a)に由来する構造単位を含む、条項4に記載のコーティング組成物。
【0064】
条項7:ポリマーが、ポリマーの総重量に基づいて、20~40重量%の構成成分(b)に由来する構造単位を含む、条項1~6のいずれかに記載のコーティング組成物。
【0065】
条項8:ポリマーが、ポリマーの総重量に基づいて、15~30重量%の構成成分(c)に由来する構造単位を含む、条項1~7のいずれかに記載のコーティング組成物。
【0066】
条項9:構成成分(a)が、ペンタエリスリトール、トリメチロールエタン(TME)、トリメチロールプロパン(TMP)、トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレート(THEIC)、および/またはそれらの混合物を含む、条項1~8のいずれかに記載のコーティング組成物。
【0067】
条項10:構成成分(c)および構成成分(ii)が異なる、条項1~9のいずれかに記載のコーティング組成物。
【0068】
条項11:ポリ酸が、イソフタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、コハク酸、グルタル酸、デカン二酸、ドデカン二酸、シクロヘキサン二酸、水素化C36二量体脂肪酸、それらのエステルもしくは無水物、および/またはそれらの混合物を含む、条項1~10のいずれかに記載のコーティング組成物。
【0069】
条項12:反応物(ii)が、ヘキサヒドロ無水フタル酸(HHPA)、無水コハク酸、メチルHHPA、および/または無水マレイン酸を含む、条項1~11のいずれかに記載のコーティング組成物。
【0070】
条項13:ポリマーが、5,000~25,000の重量平均分子量(Mw)を有する、条項1~12のいずれかに記載のコーティング組成物。
【0071】
条項14:ポリマーが、6,000~25,000の重量平均分子量(Mw)を有する、条項1~13のいずれかに記載のコーティング組成物。
【0072】
条項15:ポリマーが、9,000~23,000の重量平均分子量(Mw)を有する、条項1~13のいずれかに記載のコーティング組成物。
【0073】
条項16:ポリマーが、7,000~25,000の重量平均分子量(Mw)を有する、条項1~13のいずれかに記載のコーティング組成物。
【0074】
条項17:ポリマーが分岐している、条項1~16のいずれかに記載のコーティング組成物。
【0075】
条項18:反応混合物が、トリメリット酸、フタル酸、テレフタル酸、ピロメリット酸、トリメシン酸、ナフタレンジカルボン酸およびそれらの置換物、それらのエステルもしくは無水物、ならびに/またはそれらの混合物を含まない、条項1~17のいずれかに記載のコーティング組成物。
【0076】
条項19:架橋剤をさらに含む、条項1~18のいずれかに記載のコーティング組成物。
【0077】
条項20:架橋剤が、ヒドロキシルアルキルアミド、トリス-グリシイルイソシアヌレート(TGIC)、グリコールウリル、グリシジルメタクリレート(GMA)アクリル、エポキシ樹脂、アミノプラスト樹脂、オキサゾリン、ブロックイソシアネート、および/またはそれらの混合物を含む、条項19に記載のコーティング組成物。
【0078】
条項21:架橋剤が、TGIC、および/またはN,N,N’N’-テトラキス(2-ヒドロキシエチル)ヘキサンジアミドを含む、条項20に記載のコーティング組成物。
【0079】
条項22:基材に適用し、硬化してコーティングを形成すると、コーティングが、SAE規格J2527に従って4000hで少なくとも90%の光沢保持を呈する、条項1~21のいずれかに記載のコーティング組成物。
【0080】
条項23:基材に適用し、硬化してコーティングを形成すると、コーティングが、SAE規格J2527に従って5000hで少なくとも50%の光沢保持を呈する、条項1~22のいずれかに記載のコーティング組成物。
【0081】
条項24:コーティング組成物が、粉末コーティング組成物である、条項1~23のいずれかに記載のコーティング組成物。
【0082】
条項25:プレポリマーが、遊離ヒドロキシル基を含み、反応物(ii)が、遊離ヒドロキシル基と反応する、条項1~24のいずれかに記載のコーティング組成物。
【0083】
条項26:ポリマーが、酸官能性である、条項1~25のいずれかに記載のコーティング組成物。
【0084】
条項27:条項1~26のいずれかに記載のコーティング組成物で少なくとも部分的にコーティングされている、基材。
【0085】
条項28:基材が、金属を含む、条項27に記載の基材。
【0086】
条項29:コーティング組成物の調製方法であって、プレポリマー混合物の反応生成物を含むヒドロキシル官能性プレポリマー(i)であって、(A)(a)少なくとも3つのヒドロキシル基を有するポリオール、(b)安息香酸もしくは置換安息香酸、および(c)ポリ酸、そのエステルもしくは無水物、または(B)(d)(a)少なくとも3つのヒドロキシル基を有するポリオールと、(b)安息香酸もしくは置換安息香酸との反応生成物、および(c)ポリ酸、または(C)(e)(a)少なくとも3つのヒドロキシル基を有するポリオールと、(c)ポリ酸、そのエステルもしくは無水物との反応生成物、および(b)安息香酸もしくは置換安息香酸、を含む、プレポリマー混合物の反応生成物を含むヒドロキシル官能性プレポリマーを、非芳香族無水物(ii)と混合してポリマーを形成することを含み、ポリマーが、ヒドロキシル基、カルボキシル基、およびそれらの組み合わせから選択される少なくとも2つの官能基、ならびにポリマーの総重量に基づいて、10~40重量%の構成成分(b)に由来する構造単位、および15重量%超の構成成分(a)に由来する構造単位を有する、方法。
【0087】
条項30:プレポリマーが、1つ以上の遊離ヒドロキシル基を含み、非芳香族無水物が、1つ以上の遊離ヒドロキシル基と反応する、条項29に記載の方法。
【0088】
本発明の特定の実施形態は、例示の目的で上述されているが、添付の特許請求の範囲に定義される本発明から逸脱することなく、本発明の詳細について多数の変形が行われ得ることは当業者に明らかであろう。
本発明の好ましい実施形態によれば、例えば、以下が提供される。
(項1)
コーティング組成物であって、
(i)プレポリマー混合物の反応生成物を含むヒドロキシル官能性プレポリマーであって、
(A)(a)少なくとも3つのヒドロキシル基を有するポリオール、
(b)安息香酸もしくは置換安息香酸、および
(c)ポリ酸、そのエステルもしくは無水物、または
(B)(d)(a)少なくとも3つのヒドロキシル基を有するポリオールと、(b)安息香酸もしくは置換安息香酸との反応生成物、および
(c)ポリ酸、そのエステルもしくは無水物、または
(C)(e)(a)少なくとも3つのヒドロキシル基を有するポリオールと、(c)ポリ酸、そのエステルもしくは無水物との反応生成物、および
(b)安息香酸もしくは置換安息香酸、を含む、プレポリマー混合物の反応生成物を含むヒドロキシル官能性プレポリマーと、
(ii)非芳香族無水物と、を含む、反応混合物から調製されたポリマーを含み、
前記ポリマーが、ヒドロキシル基、カルボキシル基、およびそれらの組み合わせから選択される少なくとも2つの官能基を含み、前記ポリマーが、前記ポリマーの総重量に基づいて、10~40重量%の構成成分(b)に由来する構造単位、および15重量%超の構成成分(a)に由来する構造単位を含む、コーティング組成物。
(項2)
前記ポリマーが、前記ポリマーの総重量に基づいて、10~25重量%の反応物(ii)に由来する構造単位を含む、上記項1に記載のコーティング組成物。
(項3)
前記プレポリマー中の遊離ヒドロキシル基のうちの少なくとも35%が反応物(ii)と反応するように、一定量の前記反応物(ii)が前記反応混合物に添加される、上記項1に記載のコーティング組成物。
(項4)
前記ポリマーが、前記ポリマーの総重量に基づいて、少なくとも20重量%の構成成分(a)に由来する構造単位を含む、上記項1に記載のコーティング組成物。
(項5)
前記ポリマーが、前記ポリマーの総重量に基づいて、20~40重量%の構成成分(b)に由来する構造単位を含む、上記項1に記載のコーティング組成物。
(項6)
前記ポリマーが、前記ポリマーの総重量に基づいて、15~30重量%の構成成分(c)に由来する構造単位を含む、上記項1に記載のコーティング組成物。
(項7)
構成成分(a)が、ペンタエリスリトール、トリメチロールエタン(TME)、トリメチロールプロパン(TMP)、トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレート(THEIC)、および/またはそれらの混合物を含む、上記項1に記載のコーティング組成物。
(項8)
構成成分(c)および構成成分(ii)が異なる、上記項1に記載のコーティング組成物。
(項9)
前記ポリ酸が、イソフタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、コハク酸、グルタル酸、デカン二酸、ドデカン二酸、シクロヘキサン二酸、水素化C36二量体脂肪酸、それらのエステルもしくは無水物、および/またはそれらの混合物を含む、上記項1に記載のコーティング組成物。
(項10)
反応物(ii)が、ヘキサヒドロ無水フタル酸(HHPA)、無水コハク酸、メチルHHPA、および/または無水マレイン酸を含む、上記項1に記載のコーティング組成物。
(項11)
前記ポリマーが、5,000~25,000の重量平均分子量(Mw)を有する、上記項1に記載のコーティング組成物。
(項12)
前記ポリマーが分岐している、上記項1に記載のコーティング組成物。
(項13)
架橋剤をさらに含む、上記項1に記載のコーティング組成物。
(項14)
基材に適用し、硬化してコーティングを形成すると、前記コーティングが、SAE規格J2527に従って4000hで少なくとも90%の光沢保持を呈する、上記項1に記載のコーティング組成物。
(項15)
前記コーティング組成物が、粉末コーティング組成物である、上記項1に記載のコーティング組成物。
(項16)
前記ポリマーが、酸官能性である、上記項1に記載のコーティング組成物。
(項17)
前記反応混合物が、トリメリット酸、フタル酸、テレフタル酸、ピロメリット酸、トリメシン酸、ナフタレンジカルボン酸およびそれらの置換物、それらのエステルもしくは無水物、ならびに/またはそれらの混合物を含まない、上記項1に記載のコーティング組成物。
(項18)
上記項1に記載のコーティング組成物で少なくとも部分的にコーティングされている、基材。
(項19)
前記基材が、金属を含む、上記項18に記載の基材。
(項20)
コーティング組成物の調製方法であって、
プレポリマー混合物の反応生成物を含むヒドロキシル官能性プレポリマー(i)であって、
(A)(a)少なくとも3つのヒドロキシル基を有するポリオール、
(b)安息香酸もしくは置換安息香酸、および
(c)ポリ酸、そのエステルもしくは無水物、または
(B)(d)(a)少なくとも3つのヒドロキシル基を有するポリオールと、(b)安息香酸もしくは置換安息香酸との反応生成物、および
(c)ポリ酸、または
(C)(e)(a)少なくとも3つのヒドロキシル基を有するポリオールと、(c)ポリ酸、そのエステルもしくは無水物との反応生成物、および
(b)安息香酸または置換安息香酸、を含む、プレポリマー混合物の反応生成物を含むヒドロキシル官能性プレポリマー(i)を、
非芳香族無水物(ii)と混合してポリマーを形成することであって、前記ポリマーが、ヒドロキシル基、カルボキシル基、およびそれらの組み合わせから選択される少なくとも2つの官能基、ならびに前記ポリマーの総重量に基づいて、10~40重量%の構成成分(b)に由来する構造単位、および15重量%超の構成成分(a)に由来する構造単位を含む、ポリマーを形成することを含む、方法。