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特許7208290騒音緩和に最適化されたボンネットを備える転圧機
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-10
(45)【発行日】2023-01-18
(54)【発明の名称】騒音緩和に最適化されたボンネットを備える転圧機
(51)【国際特許分類】
   F02B 77/13 20060101AFI20230111BHJP
   F01N 13/08 20100101ALI20230111BHJP
   F01N 1/24 20060101ALI20230111BHJP
   F01P 1/02 20060101ALI20230111BHJP
   E02D 3/026 20060101ALI20230111BHJP
【FI】
F02B77/13 L
F01N13/08 A
F01N1/24 E
F02B77/13 M
F02B77/13 Z
F01P1/02 A
E02D3/026
【請求項の数】 15
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021063542
(22)【出願日】2021-04-02
(65)【公開番号】P2021179207
(43)【公開日】2021-11-18
【審査請求日】2021-07-28
(31)【優先権主張番号】10 2020 002 160.3
(32)【優先日】2020-04-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】592188715
【氏名又は名称】ボーマーク・ゲー・エム・ベー・ハー
【氏名又は名称原語表記】BOMAG GMBH
【住所又は居所原語表記】INDUSTRIEGEBIET HELLERWALD,D-56154 BOPPARD,BUNDESREPUBLIK DEUTSCHLAND
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】ニールス・ラウクヴィッツ
(72)【発明者】
【氏名】ヨーゼフ・ベッカー
【審査官】池田 匡利
(56)【参考文献】
【文献】実開昭49-096404(JP,U)
【文献】実開昭49-051909(JP,U)
【文献】実開昭55-009801(JP,U)
【文献】登録実用新案第3073000(JP,U)
【文献】特開2000-089766(JP,A)
【文献】特開昭51-012035(JP,A)
【文献】独国実用新案第000029920177(DE,U1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02B 77/13
F01N 13/08
F01N 1/24
F01P 1/02
E02D 3/026
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地面圧縮用の転圧機であって、
駆動機関(9)と、
該駆動機関(9)により駆動され、ベースプレート(4)を振動させる励振ユニット(
27)と、
調節可能に支承されたボンネット(5)であって、前記駆動機関(9)を少なくとも部
分的に覆う動作位置と、前記駆動機関(9)を少なくとも部分的に露出する保守位置との
間で調節可能なボンネットと、
前記駆動機関(9)から前記ボンネット(5)にある排気開口部(7)に至る、前記駆
動機関(9)の冷却空気のための排気ガイド装置と、を含む転圧機において、
前記排気ガイド装置は、少なくとも二分割式に構成されており、駆動機関側の排気アダ
プタ(13)とボンネット側の排気案内部(20)とを含み、前記ボンネット(5)が動
作位置にあるとき、前記排気アダプタ(13)と前記排気案内部(20)とは共に、前記
駆動機関(9)から前記ボンネット(5)にある排気開口部(7)までの連続する排気経
路(16,23)を形成し、
前記排気アダプタ(13)は、前記駆動機関(9)に固定されており、
前記排気案内部(20)は、これが前記ボンネット(5)と共に前記動作位置と前記保
守位置との間で調節可能であるように前記ボンネット(5)に固定されている、ことを特
徴とする転圧機(1)。
【請求項2】
前記排気案内部(20)は、前記駆動機関(9)と前記排気開口部(7)との間の、前
排気ガイド装置を通る空気案内区間全体の少なくとも30%形成する、ことを特徴とする請求項1に記載の転圧機(1)。
【請求項3】
前記排気案内部(20)内の前記排気ガイド装置の体積は、前記排気アダプタ(13)
内の前記排気ガイド装置の体積よりも大きく、なくとも2倍きい、ことを特徴とする請求項1または2に記載の転圧機(1)。
【請求項4】
前記ボンネット側の排気案内部(20)は、これが排気の通流方向を、前記駆動機関(
9)と前記排気開口部(7)との間で少なくとも一度0°だけ変更するように構成されている、ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の転圧機(1)。
【請求項5】
前記排気アダプタ(13)は、前記駆動機関(9)に接続するための機関側(14)と
、前記排気案内部(20)に接続するための接続側(15)とを有し、前記接続側(15
)は、性の密閉要素(26)を有し、該密閉要素は、前記ボンネット(5)が動作位置にあるとき、前記排気案内部(20)に当接する、ことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の転圧機(1)。
【請求項6】
前記排気アダプタ(13)の前記接続側(15)は、垂直(V)に対して、°~15°ある角度(W)だけ傾斜している、ことを特徴とする請求項5に記載の転圧機(1)。
【請求項7】
前記排気案内部(20)は、流入壁(21)とガイド壁(22)とを有し、前記流入壁
(21)は接続開口部(24)を有し、該接続開口部を通って気が前記排気アダプタ(13)から到来して前記排気案内部(20)に流入し、前記流入壁(21)と前記ガイド壁(22)とは、順次取り付けられる、個の構成部材として構成されている、ことを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の転圧機(1)。
【請求項8】
前記排気案内部(20)の前記流入壁(21)は、垂直(V)に対して、5°~15°ある角度(W)だけ傾斜しており、前記角度は、前記排気アダプタ(13)に接続するための接続側(15)が垂直(V)に対して傾斜している角度と、じ角度(W)である、ことを特徴とする請求項7に記載の転圧機(1)。
【請求項9】
前記ガイド壁(22)は、前記ボンネット(5)の少なくとも1つの壁に角に配置されており、前記壁に固定されている、ことを特徴とする請求項7又は8に記載の転圧機(1)。
【請求項10】
前記流入壁(21)と前記ガイド壁(22)は、平坦な未加工部材からの折り曲げによ
って作製されている、ことを特徴とする請求項7から9のいずれか一項に記載の転圧機(
1)。
【請求項11】
前記排気案内部(20)は、少なくとも部分的に、み剛性の材料から作製されており、記ボンネットと同じ材料、例えば金属板から作製されている、ことを特徴とする請求項1から10のいずれか一項に記載の転圧機(1)。
【請求項12】
前記排気案内部(20)は、前記ボンネット(5)の壁の少なくとも片側形成される、ことを特徴とする請求項1から11のいずれか一項に記載の転圧機(1)。
【請求項13】
前記排気案内部(20)は、少なくとも部分的に、減音性または吸音性の材料、例えば
プラスチックフォームまたはフリースを備えるライニングを有する、ことを特徴とする請
求項1から12のいずれか一項に記載の転圧機(1)。
【請求項14】
前記転圧機(1)は、前記駆動機関(9)の排気管(12)から前記ボンネット(5)
にある排ガス開口部(8)までの排ガスガイド装置を含み、前記ボンネット(5)は消音
パイプ(25)を有し、該消音パイプは、これが前記ボンネット(5)と共に動作位置と
保守位置との間で調節可能であるように前記ボンネット(5)に配置されており、前記消
音パイプは、排ガスを前記排気管(12)から排ガス開口部(8)に導くように構成され
ており、前記消音パイプ(25)は、前記ボンネット(5)の動作位置において前記駆動
機関(9)の前記排気管(12)を少なくとも部分的に取り囲む、ことを特徴とする請求
項1から13のいずれか一項に記載の転圧機(1)。
【請求項15】
前記消音パイプ(25)は、少なくとも部分的に、減音性または吸音性の材料、例えば
プラスチックフォームまたはフリースを備えるライニングを有する、ことを特徴とする請
求項14に記載の転圧機(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地面を圧縮するための転圧機に関する。
【背景技術】
【0002】
上位概念による転圧機、プレートバイブレータあるいは振動プレートは、例えば出願人の特許文献1、特許文献2、および特許文献3から公知である。これは、地面物質、例えばアスファルト、砂、砂利または土壌を圧縮するために使用される、手操作のまたは遠隔制御の機械である。この機械は、典型的には駆動機関、例えばガソリン、軽油または天然ガスにより駆動される内燃機関を有する。通常は例えば単気筒機関である。択一的に電動モータも使用することができる。駆動機関は、例えば励振ユニットを駆動するために用いられる。励振ユニットは、典型的には少なくとも1つの不均衡錘を含み、これが駆動機関により回転される。これは、例えば適切なトランスミッションの中間接続の下で行われる。実際の地面接触は、ベースプレートによって行われる。ベースプレートには励振ユニットを取り付けることができる。ベースプレートとは、通常は適切なバッファ要素を介して支持プレートあるいは機械フレームを接続することができ、これが駆動機関を支持する。支持プレートには案内要素、例えば案内梶棒または案内ブラケットを連結することができる。励振ユニットにより、転圧機のベースプレートあるいは地面接触板を振動させることができる。言い替えると、ベースプレートには、転圧機の動作時に動的力が印加され、これにより地面の土壌が圧縮される。生じる振動運動の最大振幅は、例えば転圧機の自走推進が達成されることを目指して調節することができる。
【0003】
とりわけ転圧機が大型で重量がある場合、駆動機関によって相当の騒音レベルが発生される。この理由から、転圧機に機関ボンネット、以下では単にボンネットとも称する、を装備することが公知である。ただし駆動機関には、定期的に保守目的でアクセスできなければならないから、ボンネットは通常、転圧機の機械フレームに調節可能に支承されている。ボンネットは、例えば駆動機関を少なくとも部分的に、とりわけ実質的に上方に向かって少なくとも複数の側で覆う動作位置と、駆動機関を少なくとも部分的に、とりわけ上方に向かって少なくとも1つの側で露出する保守位置との間で調節可能である。これは例えば、ボンネットの線形移動と旋回の両方を含む。ボンネットが調節可能に支承されていることは、ここでは同様に、ボンネットが転圧機の機械フレームと解離可能に、例えばネジ接続を介して接続されている場合を含む。したがってボンネットを動作位置と保守位置との間で調節するために、1つまたは複数のネジ接続を解除する必要があり得る。ネジ接続は、保守作業の後、復旧することができる。これに対して、ボンネットを転圧機の機械フレームに、ボンネットの調節のために破壊しなければならない接続部を介して固定することは、ここには含まれず、ボンネットの「調節可能な支承」とは見なされない。
【0004】
駆動機関を冷却するために、典型的には冷却空気がアクティブに駆動機関、例えば駆動機関のシリンダに送られる。加熱された冷却空気は引き続き、とりわけ所期のようにボンネットの内部空間から外に導かなければならない。そうでないとボンネットの下に熱溜まりが形成されるからである。したがって上位概念による転圧機が、典型的には駆動機関からボンネット内の排気開口部に至る、駆動機関の冷却空気のための排気ガイド装置を有する。排気ガイド装置の役目は、加熱された冷却空気、すなわち排気を、駆動機関からボンネットの内部空間を通して、空間的に制限してボンネットの排気開口部に所期のように輸送し、排気開口部を通って排気が外環境に流出できるようにすることである。典型的には排気ガイド装置は、ただ一つのロート状あるいはトランペット状の形状部分を含み、この形状部分は、駆動機関において排気のための流出開口部に固定されており、ボンネットの内部空間を通って排気開口部まで延在する。従来技術のこの構造は、とりわけ複数の欠点を有する。例えば駆動機関の固体伝搬音が排気ガイド装置に伝達され、排気ガイド装置はこの騒音を排気開口部を通して外環境に放出する(スピーカ作用)。さらに排気ガイド装置を任意の大きさに寸法設定することができない。なぜなら一方では駆動機関において使用される固定点が、この箇所で高重量を支持するには十分でなく、他方では排気ガイド装置が、動作位置と保守位置との間でのボンネットの調節を妨げてはならないからである。排気ガイド装置の寸法が小さいと、例えばこれを音響減衰要素により覆うことができず、または固体伝搬音を僅かしか伝達しない重量のある材料を排気ガイド装置に使用することができない。したがって従来の排気ガイド装置は、これまで転圧機の騒音放出を低減することにはほとんど貢献していない。
【0005】
駆動機関の排ガスに対しても、典型的には排ガス口をボンネットに設け、この排ガス口を通して排ガスを外環境に導く。ここでボンネット内部での排ガス案内は、典型的には駆動機関の排気管を介して行われ、この排気管は、例えばボンネットの排ガス口まで導かれている。排ガス口のこの領域でも、外環境への甚だしい騒音放出が発生する。したがって全体的に、転圧機をより静粛に駆動できるようにする要望が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】独国特許出願公開第102012017777号
【文献】独国実用新案第202016005059号
【文献】欧州特許出願公開第3691193号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、騒音放出の低減された転圧機を提供することである。同時に、取り扱い快適性の低下しないことが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この課題の解決は、独立請求項による転圧機によって達成される。好ましい改善形態は、従属請求項に記載されている。
【0009】
具体的にはこの解決策は、冒頭に述べた転圧機において、排気ガイド装置は、2分割式に構成されており、駆動機関側の排気アダプタと、ボンネット側の排気案内部とを含み、ボンネットが動作位置に存在するとき、排気アダプタと排気案内部とは共に、駆動機関からボンネットにある排気開口部への連続する排気経路を形成することにより解決される。排気アダプタは、一方では駆動機関に固定されており、とりわけこれに位置固定して配置されている。排気案内部はさらに、これがボンネットと共に動作位置と保守位置との間で調節可能であるようにボンネットに固定されている。したがって排気案内部は、ボンネットを基準にして、とりわけこれに位置固定して配置されている。このことは、排気案内部がボンネットと一体的に構成されていること、および/またはボンネットの組み込み構成部材であることでも行うことができる。とりわけ排気ガイド装置は、もっぱら2つの部材、すなわち排気アダプタと排気案内部とからなり、これらは、駆動機関から排気開口部までの全区間に及んでいる。排気アダプタも排気案内部も、それぞれ排気流を導く、あるいは案内するチャネル部分である。両方のチャネル部分は、動作位置では互いに移行する。チャネル部分は、それぞれ排気用の入口と出口を有する。排気アダプタの入口を介して、駆動機関から到来する排気が排気アダプタに流入する。さらに排気アダプタの出口は、これがボンネットの動作位置では排気案内部の入口に当接するように、あるいは排気案内部の入口に少なくとも開口するように配置されており、したがって排気アダプタから到来する排気は、排気案内部の入口を通って排気案内部に流入する。そして排気は、排気案内部を通ってボンネット側で、ボンネットの排気開口部にある出口に導かれ、排気開口部を通って排気は最終的に外環境に流出することができる。ここでボンネットの排気開口部は、明示的に、排気ガイド装置の一部でもなく、排気案内部の一部でもない。排気ガイド装置は、可及的に空気密に構成されており、したがって排気流は、実質的に完全に駆動機関から排気開口部に導かれ、その際にボンネットが動作位置にあるときに、排気ガイド装置の外側にあるボンネットの内部空間に浸入することはない。排気アダプタと排気案内部とは共に、駆動機関から到来する排気に対して、とりわけ完全な排気経路を形成する。ボンネットを保守位置に調節する際には、排気経路が分離され、あるいは開放される。なぜなら排気アダプタと排気案内部は、互いに離れるように運動されるからである。付加的なステップは不要であり、したがって取り扱い快適性は全体的に低減されない。ボンネットが動作位置に調節される時に、排気経路は再び閉鎖される。本発明の基本思想は、排気ガイド装置を、これまで駆動機関において従来技術で示されたよりも格段に小さい部材に固定することである。この比較的に小さい部材は、排気アダプタにより形成される。これに対して、排気装置の主要な部材、とりわけ比較的に大きな部材は、ボンネットに固定されており、ボンネットと共に調節可能である。この部材は、排気案内部により形成される。したがって本発明は、転圧機のボンネットの発展形態を目指すものであり、ボンネットは、転圧機の騒音放出が全体として低減されるように構成されている。ボンネットは、格段に大きな重量を受け入れることができ、したがってボンネット側の排気案内部には、例えば音響減衰材料を装備することができる。これについては以下に詳細する。さらなる利点は、これにより達成されたスペースあるいは構造空間の獲得である。なぜならボンネットを今や、駆動機関および排気案内部の駆動機関側の部材により形成された比較的小さい内部容積にわたって調節すればよいからである。このことは特に、ボンネットが動作位置と保守位置との間で旋回可能な場合に重要である。
【0010】
排気が排気ガイド装置を通って、これがボンネットの排気開口部で外環境に流出するまで進まなければならない経路区間は、ここでは空気案内区間と称される。したがってこの空気案内区間は、駆動機関から、あるいは駆動機関に後置され、とりわけ駆動機関に直接支承された流入口から、ボンネットが動作位置にある場合はボンネットの排気開口部にまで達する。比較可能性を保証するために、ここでは、輸送される排気が層流として、すなわち乱流なしで、またはその他の迂回路なしで進む区間を、空気案内区間と見なす。しかし空気案内区間は、直線状に延在する必要はなく、排気ガイド装置が排気の対応の迂回路を引き起こす場合には、同様にカーブの周囲に延在することができる。さらに排気ガイド装置の内径あるいは内室の中央を通る区間も考慮される。空気案内区間は、排気アダプタの入口から始まり、排気案内部の出口で終端する。択一的に空気案内区間は、排気の通流方向で下流側にある、駆動機関の通流されるシリンダの端部からボンネットの排気開口部を通って排気が流出するまでで測定することもできる。駆動機関の固体伝搬音が排気ガイド装置に比較的小さな割合にしか伝達されないようにし、したがって僅かしか外環境に放射されないことにより実現される本発明の騒音緩和作用を可及的に有利に利用するために、排気案内部が排気ガイド装置の可及的に大きな割合を占めると有利である。反対に排気アダプタの割合は小さくなる。例えば排気案内部が、排気アダプタよりも空気案内区間の比較的大きな割合を形成することが好ましい。排気案内部が、駆動機関と排気開口部との間の空気ガイド装置を通る空気案内区間全体の少なくとも30%、好ましくは少なくとも50%、特に好ましくは少なくとも70%を形成することが好ましい。固体伝搬音伝達が比較的僅かである他に、排気案内部の割合が比較的大きいことは、排気ガイド装置の比較的大きな部分にわたって減音性または吸音性の材料を設けるという可能性を同様に提供する。
【0011】
排気ガイド装置はさらに、排気アダプタおよび排気案内部の内壁と、駆動機関の、または駆動機関近傍の流入口並びに流出開口部とにより規定される内部容積を有する。追加的にまたは択一的に、この内部容積の少なくとも10%、とりわけ少なくとも20%、そして特別には少なくとも40%が排気案内部に割り当てられると好ましい。排気案内部により形成される容積割合が、排気アダプタにより形成される容積割合よりも大きく、とりわけ排気案内部が、排気ガイド装置により取り囲まれる内部容積全体の少なくとも60%を形成すると理想的である。この記載は、好ましくは動作位置にあるボンネットに関連する。
【0012】
排気ガイド装置はさらに、内壁表面あるいはチャネル表面を有する。これは、排気アダプタと排気案内部の内壁の面によって形成される。好ましくは排気ガイド装置は、排気案内部の面積が排気ガイド装置の全内壁面積の少なくとも20%、とりわけ少なくとも30%を形成するように構成されている。特に好ましくは、排気案内部の内壁面積は、排気アダプタの内壁面積よりも大きく、とりわけ排気案内部の内壁面積は、排気ガイド装置の全内壁面積の少なくとも60%である。この記載は、好ましくは動作位置にあるボンネットに関連する。
【0013】
したがって特に好ましくは、排気案内部内の排気ガイド装置の体積は、排気アダプタ内の排気ガイド装置の体積よりも大きく、とりわけ少なくとも2倍、好ましくは少なくとも3倍、特に好ましくは少なくとも4倍大きい。排気ガイド装置における排気案内部の割合が大きければ、それだけ有利に本発明により騒音緩和が引き起こされる。ここで排気ガイド装置の全体積は、排気アダプタと排気案内部の体積の和を表す。この体積は、これら構成部材により取り囲まれる内部空間に関連する。ここでは特に排気アダプタと排気案内部の支持構造とが考慮され、したがって場合により存在する減音性または吸音性の材料は考慮される体積を減少させない。排気アダプタと排気案内部の体積は、前にすでに記載した排気のためのこれら部材の入口および出口のそれぞれの開口部により終端する。開口部が平面にあれば、体積はこの平面までで測定される。これに対して開口部が複雑な形状を有する場合、開口部の縁部はもはや一平面に存在せず、したがって体積として閉じた面は、柔軟であると見なされる仮想面が開口部の上に置かれ、この面が開口部の縁部と完全に接触するときに生じる面であると仮定することができる。ここで開口部に架かる面は、最小に変形されることが望ましく、したがって開口部の形状に応じて、可及的に僅かに面から変位する。
【0014】
駆動機関の空気冷却の排気は、構造形式に起因して、基本的に駆動機関の種々異なる側で駆動機関から流出することができる。典型的には排気は、駆動機関の片側から流出し、この側は、駆動機関の排気管が排ガスをこれから外に導く側と同じではない。とりわけ転圧機においては、排ガスも排気も機械の前側で、すなわち前進方向で機械の前にある側で、これから、あるいはボンネットから流出することが好ましい。これは、機械の後方には典型的には操作者がいるからである。したがって排ガスと排気は、操作者に対向する、機械の側で外に導くことが望まれる。さらに前進方向に対して平行に配置された機械の側、すなわち一般的に機械の左と右の側は、ガスを外に導くには不適である。なぜなら転圧機は、しばしば地溝で使用され、したがって側方は垂直の障害物に非常に接近して案内されるからである。このことは排気および排ガスの相応の流出を妨げることとなる。この理由から、場合によっては排気ガイド装置は、排気の通流方向を排気経路の形状によって、排気が機械の前進方向にあるボンネットの側で流出するように構造的要件に適合させる必要がある。したがって排気の通流は、純粋に直線状に駆動機関からボンネットの流出開口部に案内されるのではなく、例えば少なくとも1つのカーブの周囲に案内される。好ましくはこのカーブは、排気案内部により画定される。とりわけボンネット側の排気案内部は、これが排気の通流方向を、駆動機関と排気開口部との間で少なくとも一度、とりわけ実質的に90°だけ変更するように構成されている。そのために排気案内部は、例えばバッフルを有し、バッフルは、排気の通流方向を変化させる。この改善形態も、本発明の騒音緩和を最大にするために、排気ガイド装置における排気案内部の割合を可及的に大きくすることを目的とする。
【0015】
排気アダプタは、好ましくは、駆動機関に接続するための機関側と、排気案内部に接続するための接続側とを有する。排気アダプタの機関側を駆動機関と接続することは、典型的には固定要素、例えばネジまたはリベットにより行われる。この接続は、ボンネットが保守位置にあるか、または動作位置にあるかに無関係である。これに対して、排気アダプタの接続側をボンネットの排気案内部に接続することは、例えば、排気のための出口開口部を備える排気アダプタの接続側が排気案内部に当接し、とりわけ排気アダプタの出口が排気案内部の入口に当接するように行われる。排気アダプタと排気案内部との間の、例えばラッチ接続等によるさらなる接続は、好ましくは存在しない。好ましくは、排気アダプタの接続側と、排気案内部の以下に詳細に説明する流入壁とは、これらがボンネットの動作位置で密に互いに当接するように互いに相補形に構成されている。さらにこの接続を可及的に空気密に行うために、排気アダプタの接続側が密閉プロフィールあるいは密閉要素(例えばエラストマーシールまたはブラシシール)を有し、ボンネットが動作位置にあるときに、これが排気案内部に当接すると好ましい。密閉プロフィールは、例えば密閉リップを有し、この密閉リップは、例えば弾性材料、とりわけプラスチックまたはゴムから形成されている。好ましくは排気アダプタの接続側は、密閉プロフィールにより排気案内部に、とりわけその流入壁に当接する。このようにして排気ガイド装置の密閉性が高められ、熱溜まりがボンネットの下方に、排気ガイド装置から流出した温かい排気によって発生しないことが保証される。
【0016】
排気案内部における排気アダプタの接続ないし接触を、機械的に簡単かつそれでも特に密に構成するために、好ましくは、排気アダプタの接続側は、垂直に対してとりわけ5°~15°、好ましくは9゜~12゜の角度だけ傾斜している。とりわけ記載の角度範囲でのこの種の傾斜位置により、排気アダプタと排気案内部との互いの相対運動が、ボンネットを保守位置と動作位置との間で調節する際に、2つの構成部材が互いに機械的に食い込む恐れなく、特に簡単に行われる。特に好ましくは、排気アダプタの接続側は、垂直に対して傾斜した、あるいは斜めに設置された面であって、転圧機の前進方向に対して平行に配向された面にある。
【0017】
好ましい実施形態によれば、排気案内部は、少なくとも1つの流入壁とガイド壁とを有する。流入壁は、さらに好ましくは接続開口部を有し、この接続開口部を通って排気が排気アダプタから到来して排気案内部に流入する。したがって接続開口部は、排気案内部の入口である。ガイド壁は、第一に排気ガイド装置の密閉と、排気案内部を通る排気流の案内に用いられる。したがってガイド壁には、排気のための通過開口部はない。特に好ましくは、流入壁とガイド壁は、別個の構成部材として構成されており、順次取り付けられる。取り付けは、とりわけ順次、ボンネットにおいて行われ、例えば先ずガイド壁がボンネットに固定され、次に流入壁がボンネットとガイド壁に固定される。このようにして本発明の排気案内部を、特に簡単に作製することができる。さらに流入壁とガイド壁は、ボンネットにおける剛性要素として作用し、これによりボンネットを、従来の補強要素を省略することにより全体的に簡単に構成することができる。したがって排気案内部は、好ましくは案内空間を形成するためにちょうど3つの構成要素を有し、具体的にはボンネットの部分領域、ガイド壁、および流入壁を有する。
【0018】
さらに有利には、ボンネット自体の内壁あるいはその領域は排気案内部の一部であり、したがって排気案内部の内部空間の画定壁である。このようにして所要の構成部材の数を低減することができる。
【0019】
排気案内部と排気アダプタとの間に可及的に密な接続を形成するために、好ましくは排気案内部の流入壁は、垂直に対して、とりわけ5°~15°。好ましくは9゜~12゜の角度だけ傾斜しており、あるいは斜めに設置されている。とりわけこれは、排気アダプタの接続側が垂直に対して傾斜している角度と同じである。このようにしてボンネットの動作位置における排気アダプタと排気案内部との密な相互当接、および保守位置と動作位置との間のボンネットの問題のない調節が保証される。
【0020】
排気案内部の構造のさらなる簡素化は、好ましい実施形態によるガイド壁が、ボンネットの少なくとも1つの壁に対して実施的に直角に配置されており、かつこれに固定されていると達成される。この種の構成は、特に迅速かつ簡単に作製され、したがってコスト的に有利である。
【0021】
有利に作製されるので、同様に、流入壁とガイド壁が、平坦な未加工部材からの屈曲により作製されていると好ましい。未加工部材は、さらに例えばプレートからの打ち抜き、または切断により得ることができる。例えば流入壁とガイド壁は舌片を有し、この舌片は、ボンネットの壁に当接し、固定手段、例えばネジまたはリベットにより壁に接続される。全体として排気案内部の構成部材が、これにより特に簡単かつ安価に作製される。
【0022】
さらに好ましくは、排気案内部は撓み剛性の材料から作製されており、とりわけボンネットと同じ材料、例えば金属板から作製されている。このことはとりわけ、排気案内部の流入壁とガイド壁に対して当てはまる。ボンネットに対しては、平均的厚さが3mm~5mm、例えば4mmの通常の金属板が使用される。好ましくは排気案内部は、同等の撓み剛性を有する。このようにして排気案内部は、たとえあったとしても、駆動機関の固体伝搬音によりごく僅かしか振動が励振されず、この振動は、さらに音波として排気開口部を介して外環境に放出することができる。さらにこの構成によって安定した支持構造が創出され、この支持構造は、例えば減音性または吸音性の材料を受け入れるために使用することができる。これについては以下に詳細に説明する。
【0023】
ボンネットは、すでに比較的撓み剛性の材料から作製されているから、前に説明したように、本発明の排気案内部は、好ましい実施形態において、排気案内部がボンネットの少なくとも1つの側に、好ましくは少なくとも2つの側に形成されることによってさらに簡素化することができる。ボンネットは、典型的には実質的に矩形のボックスの形状を有し、これは下方に向かって開放して構成されている。とりわけ排気案内部が、ボンネットの上方の角の一つに配置される場合、ボンネットの側壁を有利には同様に、排気案内部の壁として利用することができる。「上方」とは、転圧機のベースプレートとは反対の機械の側に関連し、「下方」は、転圧機のベースプレートに向いた機械の側に関連する。したがって例えば、ボンネットを上方に向かって閉鎖する壁および/または転圧機の前進方向に対して平行に延在するボンネットの側壁は、少なくとも同様に排気案内部の一部を形成するのに利用することができる。好ましくは前記両方の壁は全て、排気案内部のそれぞれ一部を形成するのに利用される。転圧機の前進方向でボンネットを前方に閉鎖する、ボンネットの壁の方向では、これとは反対に排気案内部は開放して構成されている。この開放側によって排気案内部は、転圧機の前進方向にある、ボンネットの壁に固定されており、この固定は、排気案内部の内部空間が、このボンネット壁にある排気開口部と連通し、排気が排気案内部を通ってボンネットから流出することができるように行われる。
【0024】
既に示したように、排気案内部が少なくとも部分的に、とりわけ排気案内部の内部に配置された、減音性および/または吸音性の材料、例えばプラスチックフォームまたはフリースを備えるライニングを有すると同様に好ましい。本発明の排気案内部は、従来技術の排気案内部および/またはボンネットにより支持される排気案内部よりも大きく、かつ安定して構成されているから、この種の材料を適切な量で使用することもできる。好ましくは排気案内部の全内部空間あるいは全内表面は、排気のためのその入口から排気のためのその出口まで、減音性または吸音性の材料により外装されている。本発明の転圧機の騒音放出は、これによりコスト的に有利に格段に低減される。択一的にまたは補充的に、ボンネット側の排気案内部を、有利な発展形態では、少なくとも部分的に固体伝搬音遮断性の要素によってボンネットに固定することも同様に可能である。この要素は、例えばプラスチック材料あるいはエラストマー材料を含む。付加的にこの要素は、同様にボンネット側の排気案内部をボンネットの残りの内部空間に対して、とりわけ機関に対して密閉するように構成することができ、これにより加熱された排気が機関の温度バランスに不利に影響することがない。
【0025】
冒頭に述べたように、同様に騒音も駆動機関の排気管から外環境に運ばれる。ここで排気管は、駆動機関の、従来技術で通常の全ての排ガス装置であり、例えば少なくとも1つの触媒機および少なくとも1つのマフラーを含む。排気管は、典型的にはいわゆるテールパイプで終端する。従来技術では、例えば、排気管のテールパイプはボンネットの排ガス開口部まで導かれており、したがって排ガスは排気管から排ガス開口部を介して外環境に放出される。排ガス装置には典型的には少なくとも1つのマフラーが設けられているが、それでも外環境への無視できない程度の騒音放出が行われる。本発明のボンネットの付加的または択一的発展形態によって騒音放出に対しても対処するために、好ましくは、転圧機は、駆動機関の排気管からボンネットの排ガス開口部に至る排ガスガイド装置を含み、ボンネットは消音パイプを有し、この消音パイプはボンネットと共に動作位置と保守位置との間で調節可能に配置されている。消音パイプは、例えばボンネットに、とりわけ位置固定して固定されており、ボンネットの排ガス開口部を取り囲む。消音パイプは、排ガスを排気管から排ガス開口部に導くように構成されており、消音パイプは、ボンネットの動作位置では駆動機関の排気管を少なくとも部分的に把持し、またはこれを半径方向に離間して周回するように構成されている。消音パイプは、例えばリング部材またはパイプ部材として構成されており、とりわけ撓み剛性の材料、例えば金属板から作製されており、とりわけ同じくボンネットが固定される材料と同じである。消音パイプは、排ガスガイド装置の一部を形成し、駆動機関の排ガスを排気管からボンネットの排ガス開口部に導く。消音パイプを設けることにより、排気管をボンネットの排ガス開口部まで直接導く必要はなく、ガイド方向で消音パイプの高さに終端することができる。これにより外環境への騒音放出としての、駆動機関の固体伝搬音の伝達をさらに低減することができる。
【0026】
騒音放出のさらなる低減は、消音パイプが少なくとも部分的に、減音性または吸音性の材料、例えばプラスチックフォームまたはフリースを備えるライニングを有することによって達成される。ここでも、内表面全体あるいは消音パイプの内部空間全体をこの種の材料により外装することが好ましい。
【0027】
本発明を以下、図面に示された実施例に基づき詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】転圧機を斜め前方から見た斜視図である。
図2】転圧機を斜め後方から見た斜視図である。
図3】従来技術の転圧機を、ボンネットを取り外して斜め前方から見た斜視図である。
図4】従来技術の転圧機を、ボンネットを取り外して斜め後方から見た斜視図である。
図5】排気アダプタを転圧機の駆動機関に取り付けるための斜視分解図である。
図6図5の転圧機の機関を、駆動機関に排気アダプタを取り付けて示す図である。
図7図6の機関の側面図である。
図8】転圧機のボンネットを斜め後方かつ下方から見た斜視図である。
図9】転圧機のボンネットを斜め後方かつ下方から見た斜視図であり、排気案内部が部分的に取り付けられている。
図10】転圧機のボンネットを斜め後方かつ下方から見た斜視図であり、排気案内部が取り付けられている。
図11】転圧機のボンネットを斜め後方かつ下方から見た斜視図であり、排気案内部と消音パイプが取り付けられている。
図12図7の切断面Xに沿った転圧機の断面図である。
図13図12の切取り部分Yの詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
同じ、あるいは同じように作用する構成部材には同じ参照符号が付されている。反復する構成部材は、各図において別個に示さない。
【0030】
図1図2は、それぞれ上位概念による転圧機1を示す。この転圧機は、操作要素3を備える案内梶棒2を有し、これにより操作者は転圧機1を操縦することができる。案内梶棒2は、前進方向aで転圧機1の後方端部に配置されており、運転時に転圧機1はベースプレート4と共に、圧縮すべき地面の上で前進方向aまたはその反対方向に案内される。ここでベースプレート4は、これに特に直接取り付けられた励振ユニット27、例えば不平衡振動励振器により励振される。励振ユニット27は、図1図2ではボンネット5により覆われている、典型的に内燃機関である駆動機関9(図3図7、並びに図12図13参照)により駆動される。駆動機関9は、支持プレート30あるいは機械フレームに取り付けられており、これは減衰要素31を介して、それ自体従来技術で公知のやり方でベースプレート4と接続されている。ボンネット5は、機関室を外に向かって閉鎖し、少なくとも部分的に転圧機1の外皮を形成する。ボンネット5は、固定手段28/28’、ここでは具体的にネジ接続を介して堅固に、しかし解離可能に転圧機1の支持フレームに固定されている。ボンネット5を転圧機1の残部に堅固に接続することにより、転圧機1を例えば一点懸架部を介して持ち上げ、したがって工事現場に簡単にセットすることができる。同時にボンネット5は、機関室での保守作業のために簡単に位置調節することができる。そのために、前進方向aで後方の2つの固定手段28が、もちろん転圧機1の両側で解離される。この場合、前進方向aで前方にある固定手段28’は、旋回継手として用いることができ、したがってボンネット5は、前進方向aに対して横方向に延在する水平の旋回軸Sを中心に前方かつ上方に旋回することができ、このようにして機関室およびとりわけ駆動機関9を少なくとも部分的に露出する。図1図2に示されたボンネット5の位置は動作位置に相当する。ボンネット5のこの位置で、転圧機1を作動することができる。これに対してボンネット5が、前に説明したように旋回されると、ボンネット5は機関室および駆動機関9を少なくとも部分的に露出し、保守位置になる。この位置では機関室の内部で保守作業を実施することができる。同様に図1から明白なように、ボンネット5の前進方向aで前方にある側は、駆動機関9の冷却空気を流出させるために設けられた排気開口部7と、駆動機関9の排ガスを流出させるために設けられた排ガス開口部8とを含む。
【0031】
図3図4は、従来技術の転圧機を示し、ボンネットが取り外されている。これにより、通常はボンネットにより覆われている駆動機関9も、燃料タンク10も見ることができる。駆動機関9には排気シャフト11および排気管12が配置されており、これらは、駆動機関9の排気と排ガスをそれぞれ、ボンネット内の排気開口部7あるいは排ガス開口部8に導くように構成されている。排気シャフト11は、ロート状ないしトランペット状に構成されており、例えばプラスチックから作製されている。排気シャフト11は駆動機関9に直接固定されているから、駆動機関9の固体伝搬音振動が、排気シャフト11の剛性の弱いプラスチック材料に非常に良く伝達される。これも同様に振動を開始し、駆動機関9の固体伝搬音を、その形状を通して騒音放出として非常に強力に外環境に伝達する。従来技術の排気シャフト11は、いわば騒音増幅器のように作用する。さらに排気シャフト11は、完全に一端部でだけ、具体的には駆動機関9に支承されている。したがって排気シャフト11は全体として過度に重くてはならず、そのため、ここに相当の重量の減音性または吸音性の材料を配置することは不可能である。さらに排気シャフト11は、排気ガイド装置全体を形成する。場合により機関ボンネットまたは排気シャフト11に固定される密閉部だけが、排気装置全体の実質的な機能構成部材を形成する。密閉部は、加熱された排気が機関ボンネット内部の空間に流れ込むのを回避する。本発明は、この現状から出発するものであり、排気ガイド装置が、以下に記載するように実質的に2分割式に構成されていることによって騒音放出を低減する。
【0032】
図5図7は、本発明の排気アダプタ13と、駆動機関9におけるその配置を示す。排気アダプタ13は、機関側14と接続側15を有する。機関側14により排気アダプタ13は駆動機関9に固定されており、排気アダプタは、駆動機関9から到来する排気を受け入れる。図7には、排気アダプタ13が、駆動機関9、例えばシリンダ18(図12参照)の熱交換器19から直接到来する排気を受け入れることが示されている。排気アダプタ13と駆動機関9との接続は、固定装置17、例えばネジ接続により行われる。機関側14と接続側15との間では排気アダプタ13の内部に、排気経路16を形成する中空空間が延在する。排気経路16は、機関側14にある排気のための入口から、接続側15にある排気アダプタ13からの出口まで延在する。したがって排気アダプタ13は全体として排気のためのチャネルを形成し、排気を駆動機関9から接続側15に導く。接続側15にある排気のための出口には、さらに密閉要素、例えば密閉リップが装備されている。排気アダプタ13内での排気の通流方向は、実施的に水平に、前進方向aに対して直角に延在する。さらに排気アダプタ13内での排気の通流方向は、排気管12、とりわけ排気管12のテールパイプ内での排ガスの通流方向に対して実質的に直角に延在する。排気管12のテールパイプは、とりわけ前進方向aに対して平行に配向されている。
【0033】
図8図11は、本発明によるボンネット5の変形形態を示す。斜め下方、かつ前進方向aで見て後方からの図示により、取り付け状態で機関室として用いられるボンネット5の内部空間を見ることができる。排気アダプタ13は、駆動機関9から排気開口部7までの全空気案内区間の小さな部分にしか架からないので、本発明によれば、空気案内区間の残部を、ボンネット5に固定あるいはこれに組み込まれた排気案内部20(図10図11参照)により橋絡することが提案される。排気案内部20は、ガイド壁22と流入壁21を含む。流入壁21は接続開口部26を有し、この接続開口部を通って排気アダプタ13から到来する排気が排気案内部20に受け入れられる。したがって接続開口部24は、排気案内部20の入口を形成する。接続開口部は、排気アダプタ13の接続側15において排気アダプタ13の出口に対して相補形に構成されている。全体として流入壁21とガイド壁22は、ボンネット5の内部空間においてさらなるコンパートメントを形成する。このコンパートメントは、同様にボンネット5自体の壁により形成され、図示の実施例では具体的には、取り付け状態でベースプレート4とは反対側のボンネット5の上側と、前進方向aに対して平行に配向されたボンネット5の右の側壁とによって形成される。全体として排気案内部20により形成される、ボンネット5の内部空間のコンパートメントは、接続開口部24を介する機関室ないし排気アダプタ13への接続部、および排気開口部7を介する外環境への接続部を除いて、実質的に空気密に構成されている。後者は、転圧機1の前進方向aで前方に開放する排気案内部20が、前進方向aで前方にあり、同様に排気開口部7を有するボンネット5の壁に密に当接することによって実現される。すなわち、排気案内部20の内部空間は排気開口部7と連通する。連続する図9図10に示されるように、最初にガイド壁22がボンネット5に取り付けられる。ガイド壁の機能は、排気案内部20のコンパートメントを分離し密閉することだけである。その後、流入壁21が、ボンネット5にもガイド壁22にも取り付けられる。流入壁21もガイド壁22も、平均厚が4mmの、打ち抜きおよび折り曲げられた金属板から形成される。この種の薄板から同様にボンネット5も作製される。したがって全体として非常に安定した構造が得られ、その結果、排気案内部20の内部空間に減音性または吸音性の材料を外装することができる(図13参照)。
【0034】
さらに図11は、本発明のさらなる態様を示す。具体的には図11は、排ガス開口部8の周囲に配置された消音パイプ25を示す。消音パイプ25は、例えばパイプソケットとして構成されており、駆動機関9の排気管12よりも大きな直径を有する。排気管12がボンネット5の動作位置では消音パイプ25内に突入するよう、消音パイプ25は構成されており、排気管12は配置されている。消音パイプ25は、言い替えると排気管12を部分的にその中に受け入れる。消音パイプは、排気管12に対して相補形に構成されており、したがって図示の実施例のように、例えば円形のパイプ部材として別の形状を取ることもできる。したがって全体として消音パイプ25は、排ガスガイド装置の一部を形成し、排気管12から到来する排ガスをボンネット5の排ガス開口部8に導く。さらに消音パイプ25は同様に、減音性または吸音性の材料により外装されている。
【0035】
図12図13は、ボンネット5が動作位置にある時の排気アダプタ13と排気案内部20との相互作用を示す。そのために図12には、図7の平面Xの高さでの、ボンネット5を含む転圧機1の断面が示されている。さらに図13は、図12の切取り部分Yの詳細図を示す。駆動機関9の冷却空気は、シリンダ18の熱交換器19の周囲を流れ、それから排気として排気アダプタ13に流入する。ここで排気は排気経路16を通流し、排気アダプタ13の接続側15で接続開口部24を通って排案内部20に流入する。排気案内部で排気は、排気経路23を通流し、最後に排気開口部7でボンネット5を去り、外環境に出て行く。排気案内部20は、排気流を約90°偏向する。具体的には水平かつ前進方向aに対して直角の通流方向から、相変わらず水平であるが、前進方向aに対して平行の通流方向に偏向する。ボンネット5が動作位置にある図示の状況で、排気アダプタ13と排気案内部20とは互いに密に当接する。排気アダプタ13にある密閉要素26は、排気アダプタ13から排気案内部20への排気の移行部を密閉する排気アダプタ13の接続側15と排気案内部20の流入壁21とは、互いに相補形に構成されている。本実施例では、これらはそれぞれ、図13に示すように平面Eに対して平行の平面内にあり、したがってこれらは平面Eで互いに当接する。平面E、すなわち同様に接続側15および流入壁21は、垂直Vと、例えば10゜の角度Wを成す。垂直Vは、ベースプレート4の平坦な主伸長部に直角である。言い替えると、接続側15と流入壁21は、垂直Vを基準にして同じ角度Wだけ傾斜している。さらに流入壁21と接続側15は、前進方向aに対して平行である。このことは、特にボンネット5が、図示の実施例のように保守位置と動作位置との間で旋回運動によって調節される場合、ボンネット5を保守位置と動作位置との間で調節するのを容易にする。図13は例として、減音性または吸音性の材料29の断片を示し、これによって排気案内部20全体が外装されている。
【0036】
図3図4の従来技術では、ただ一つの排気シャフト11により形成された排気ガイド装置が、これとは反対に本発明では二分割式に構成されており、比較的に大きな割合でボンネット5に堅固に配置されており、あるいはボンネット5に組み込まれている。重要な利点は、ボンネット5が動作位置と保守位置との間でより良く調節可能であること、およびボンネット5に固定された排気装置の部材、すなわち排気案内部20が拡大することであり、これにより減音性の材料を使用することができる。排気案内部20が排気シャフト11に比較して剛性に構成されており、駆動機関9から構造的に分離されていることにより、駆動機関の僅かな固体伝搬音しか騒音放出として外環境に伝達されない。さらに、本発明のボンネット5を消音パイプ25によりさらに構成することができ、この消音パイプは排気管12の騒音放出を低減する。
図1
図2
図3
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図6
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図10
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