(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-10
(45)【発行日】2023-01-18
(54)【発明の名称】回路基板穴あけ用上カバー及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
H05K 3/00 20060101AFI20230111BHJP
【FI】
H05K3/00 M
(21)【出願番号】P 2021136837
(22)【出願日】2021-08-25
【審査請求日】2021-08-25
(32)【優先日】2021-07-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】521375988
【氏名又は名称】▲こう▼正科技股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】八田国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】葉日宏
(72)【発明者】
【氏名】張有志
【審査官】齊藤 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-88367(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第108541137(CN,A)
【文献】特開平1-210206(JP,A)
【文献】国際公開第2017/022822(WO,A1)
【文献】特開昭62-271612(JP,A)
【文献】特開平1-171710(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第111688304(CN,A)
【文献】特開平10-202599(JP,A)
【文献】特開2020-123715(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第107523159(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第109880456(CN,A)
【文献】特開2001-347493(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B26F 1/16
H05K 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルミニウムマンガン合金基板と、潤滑層を備えた回路基板穴あけ用上カバーであって、
前記アルミニウムマンガン合金基板の厚さの範囲は70μm~200μmであり、
前記潤滑層は前記アルミニウムマンガン合金基板上に位置し、前記潤滑層の厚さの範囲は25μm~70μmであり、
前記潤滑層は潤滑樹脂と結合樹脂を含み、
前記潤滑層における前記潤滑樹脂の重量パーセントは45%~75%であり、前記潤滑層における前記結合樹脂の重量パーセントは25%~55%であ
り、
前記アルミニウムマンガン合金基板の前記潤滑層とは反対側に位置する硬化層を更に備え、
前記硬化層の厚さの範囲は1μm~6μmであり、前記硬化層は硬質樹脂と硬化剤を備え、前記硬質樹脂と前記硬化剤は混合され、前記硬質樹脂はアクリル、ポリウレタン、エポキシ樹脂の少なくとも一つを含み、前記硬化剤はアミン硬化剤、イソシアネート硬化剤の少なくとも一つを含み、
前記硬化層における前記硬質樹脂の重量パーセントは80%~95%であり、前記硬化層における前記硬化剤の重量パーセントは5%~20%である
ことを特徴とする回路基板穴あけ用上カバー。
【請求項2】
前記アルミニウムマンガン合金基板におけるマンガンの重量パーセントは0.3%~1.5%である
ことを特徴とする請求項1に記載の回路基板穴あけ用上カバー。
【請求項3】
前記アルミニウムマンガン合金基板におけるマンガンの重量パーセントは1.0%~1.5%である
ことを特徴とする請求項2に記載の回路基板穴あけ用上カバー。
【請求項4】
前記アルミニウムマンガン合金基板におけるマンガンの重量パーセントは0.01%~1.0%である
ことを特徴とする請求項1に記載の回路基板穴あけ用上カバー。
【請求項5】
前記アルミニウムマンガン合金基板におけるマンガンの重量パーセントは0.5%~1.0%である
ことを特徴とする請求項4に記載の回路基板穴あけ用上カバー。
【請求項6】
潤滑成分付加ステップと潤滑成分乾燥ステップとを含む回路基板穴あけ用上カバーの製造方法であって、
前記潤滑成分付加ステップは、アルミニウムマンガン合金基板に潤滑成分を付加することで穴あけ用上カバーの中間製品を形成し、前記潤滑成分は潤滑樹脂と結合樹脂を含み、前記潤滑成分における前記潤滑樹脂の重量パーセントは45%~75%であり、前記潤滑成分における前記結合樹脂の重量パーセントは25%~55%であり、
前記潤滑成分乾燥ステップは、乾燥温度で前記穴あけ用上カバーの中間製品の前記潤滑成分を乾燥させることで穴あけ用上カバーを取得し、前記乾燥温度は80℃~180℃であり、前記穴あけ用上カバーは前記アルミニウムマンガン合金基板と潤滑層を含み、前記アルミニウムマンガン合金基板の厚さの範囲は70μm~200μmであり、前記潤滑層の厚さの範囲は25μm~70μmであ
り、
硬化成分付加ステップと硬化成分乾燥ステップとを更に含み、
前記硬化成分付加ステップは、硬化成分を前記アルミニウムマンガン合金基板の前記潤滑成分とは反対側に付加し、前記硬化成分は硬質樹脂と硬化剤を含み、
前記硬質樹脂と前記硬化剤は混合され、前記硬質樹脂はアクリル、ポリウレタン、エポキシ樹脂の少なくとも一つを含み、前記硬化剤はアミン硬化剤とイソシアネート硬化剤の少なくとも一つを含み、
前記硬化成分における前記硬質樹脂の重量パーセントは80%~95%であり、前記硬化成分における前記硬化剤の重量パーセントは5%~20%であり、
前記硬化成分乾燥ステップは、乾燥温度で前記硬化成分を乾燥させて硬化層を取得し、前記乾燥温度は60℃~180℃であり、乾燥時間は1分間~2分間であり、前記硬化層の厚さの範囲は1μm~6μmである
ことを特徴とする回路基板穴あけ用上カバーの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はプリント回路基板用の製造プロセスにおける固定具に関し、特に、回路基板穴あけ用上カバー及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、集積回路の製造技術の進歩により、一つの電子製品に含まれる電子部品の数が大幅に増加している一方、その電子部品の体積自体は従来よりも大幅に小型化されている。換言すると、一つの回路基板の単位面積あたりの電子部品の密度は、従来よりも大幅に増えている。
【0003】
そして、高い密度で電子部品を実装するために、多層の回路基板を相互に重ね合わせ、穴あけ工程を経て一方の層と他方の層との間の接合部を貫通する。このようにして、回路が接続されると、電子部品間の直列接続が実現できる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
穴あけをするときは、回路基板において穴をあけたい位置について位置決めを行う必要がある。また、一般に、尿素板は穴あけ用上カバーとして使用され、厚さは約200μmから400μmである。しかし、硬度が限られているために、追加の調整を行う必要があり、その結果コスト高となる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このような問題に鑑みて本発明による回路基板穴あけ用上カバー及びその製造方法は以下の構成を備える。即ち、
アルミニウムマンガン合金基板と、潤滑層を備えた回路基板穴あけ用上カバーであって、
前記アルミニウムマンガン合金基板の厚さの範囲は70μm~200μmであり、
前記潤滑層は前記アルミニウムマンガン合金基板上に位置し、前記潤滑層の厚さの範囲は25μm~70μmであり、
前記潤滑層は潤滑樹脂と結合樹脂を含み、
前記潤滑層における前記潤滑樹脂の重量パーセントは45%~75%であり、前記潤滑層における前記結合樹脂の重量パーセントは25%~55%である。
【0006】
また、前記アルミニウムマンガン合金基板におけるマンガンの重量パーセントは0.3%~1.5%である。
【0007】
また、前記アルミニウムマンガン合金基板におけるマンガンの重量パーセントは1.0%~1.5%である。
【0008】
また、前記アルミニウムマンガン合金基板におけるマンガンの重量パーセントは0.01%~1.0%である。
【0009】
また、前記アルミニウムマンガン合金基板におけるマンガンの重量パーセントは0.5%~1.0%である。
【0010】
更に、本発明による回路基板穴あけ用上カバーは、前記アルミニウムマンガン合金基板の前記潤滑層とは反対側に位置する硬化層を更に備え、
前記硬化層の厚さの範囲は1μm~6μmであり、前記硬化層は硬質樹脂と硬化剤を備え、前記硬質樹脂と前記硬化剤は混合され、前記硬質樹脂はアクリル、ポリウレタン、エポキシ樹脂の少なくとも一つを含み、前記硬化剤はアミン硬化剤、イソシアネート硬化剤の少なくとも一つを含む。
【0011】
また、前記硬化層における前記硬質樹脂の重量パーセントは80%~95%であり、前記硬化層における前記硬化剤の重量パーセントは5%~20%である。
【0012】
また、潤滑成分付加ステップと潤滑成分乾燥ステップとを含む回路基板穴あけ用上カバーの製造方法であって、
前記潤滑成分付加ステップは、アルミニウムマンガン合金基板に潤滑成分を付加することで穴あけ用上カバーの中間製品を形成し、前記潤滑成分は潤滑樹脂と結合樹脂を含み、前記潤滑成分における前記潤滑樹脂の重量パーセントは45%~75%であり、前記潤滑成分における前記結合樹脂の重量パーセントは25%~55%であり、
前記潤滑成分乾燥ステップは、乾燥温度で前記穴あけ用上カバーの中間製品の前記潤滑成分を乾燥させることで穴あけ用上カバーを取得し、前記乾燥温度は80℃~180℃であり、前記穴あけ用上カバーは前記アルミニウムマンガン合金基板と潤滑層を含み、前記アルミニウムマンガン合金基板の厚さの範囲は70μm~200μmであり、前記潤滑層の厚さの範囲は25μm~70μmである。
【0013】
また、本発明による回路基板穴あけ用上カバーの製造方法は、硬化成分付加ステップと硬化成分乾燥ステップとを更に含み、
前記硬化成分付加ステップは、硬化成分を前記アルミニウムマンガン合金基板の前記潤滑成分とは反対側に付加し、前記硬化成分は硬質樹脂と硬化剤を含み、
前記硬質樹脂と前記硬化剤は混合され、前記硬質樹脂はアクリル、ポリウレタン、エポキシ樹脂の少なくとも一つを含み、前記硬化剤はアミン硬化剤とイソシアネート硬化剤の少なくとも一つを含み、
前記硬化成分乾燥ステップは、乾燥温度で前記硬化成分を乾燥させて硬化層を取得し、前記乾燥温度は60℃~180℃であり、乾燥時間は1分間~2分間であり、前記硬化層の厚さの範囲は1μm~6μmである。
【0014】
また、本実施形態において、アルミニウムマンガン合金基板の厚さは180μmである。
【0015】
また、本実施形態において、潤滑樹脂にはノニルフェノールポリエチレングリコールエーテル(nonyl phenol polyethylene glycol ether)、ポリエチレングリコール(polyethylene glycol,PEG)、ポリエチレンオキシド(Polyethyleneoxide,PEO)、ポリビニルアルコール(polyvinyl alcohol,PVA)、アクリル酸(acrylic acid)、及びポリアクリル酸の少なくとも一つが含まれる。
【0016】
また、結合樹脂には、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、配向ポリプロピレン(Oriented Poly Propylene,OPP)、ポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate,PET)、ポリウレタン(Polyurethane,PU)、ポリシロキサン(polymerized siloxanes)、ポリエーテル-シリコーン共重合体、分岐シリコーン共重合体、及びポリビニルピロリドン(polyvinyl pyrrolidone,PVP)の少なくとも一つが含まれる。
【発明の効果】
【0017】
要約すると、本発明は以下の効果が得られる。本発明の1又は複数の実施形態では、回路基板の穴あけ用の上カバーは、アルミニウムマンガン合金基板によって適切な硬度を提供することができる。
【0018】
また、本発明の1又は複数の実施形態では、回路基板穴あけ用上カバーは、アルミニウムマンガン合金基板自体によって硬度を提供することができることにとどまらず、硬化層をも備えるので硬度を更に高めることもできる。このため、多種多様な穴あけ作業の要求を満たすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の第1の実施形態を示す回路基板穴あけ用上カバーの断面図である。
【
図2】本発明の第2の実施形態を示す回路基板穴あけ用上カバーの断面図である。
【
図3】本発明の第3の実施形態を示す回路基板穴あけ用上カバーの製造方法のフローチャートである。
【
図4】本発明の第4の実施形態を示す回路基板穴あけ用上カバーの製造方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1を参照して本発明の第1の実施形態を説明する。ここで、
図1は本発明の第1の実施形態を示す回路基板穴あけ用上カバーの断面図である。本実施形態では回路基板穴あけ用上カバー100はアルミニウムマンガン合金基板10と潤滑層20を含む。回路基板穴あけ用上カバー100は、
図1から明らかなように、回路基板に穴を開けるために用いられる上蓋であってプレート状を呈するものである。
【0021】
また、潤滑層20はアルミニウムマンガン合金基板10の上側の表面に位置するように設けられる。また、アルミニウムマンガン合金基板によって剛性を提供することができる。一方、潤滑層20は潤滑作用を提供し得る。
【0022】
本実施形態において、アルミニウムマンガン合金基板10の厚さは70μm~200μmであり、潤滑層20の厚さは25μm~70μmである。
【0023】
また、本実施形態において、アルミニウムマンガン合金基板10の厚さは180μmであっても良い。
【0024】
本実施形態において、アルミニウムマンガン合金基板10は3系統(3系列)のアルミ合金材料を使用している。換言すると、アルミニウムマンガン合金基板10におけるマンガンの重量パーセントは0.3%~1.5%である。更に、他の実施形態においては、アルミニウムマンガン合金基板10におけるマンガンの重量パーセントは1.0%~1.5%である。
【0025】
また、本実施形態において、アルミニウムマンガン合金基板10は5系列のアルミ合金材料を使用している。換言すると、アルミニウムマンガン合金基板10におけるマンガンの重量パーセントは0.01%~1.0%である。更に、他の実施形態においては、アルミニウムマンガン合金基板10におけるマンガンの重量パーセントは0.5~1.0%である。
【0026】
このため、異なる比率のアルミニウムマンガン合金基板10を使用することにより、異なる硬度を有する回路基板の穴あけ工程に適用することができ、結果として複数種類の穴あけ工程に対して柔軟に対応できる。
【0027】
潤滑層20は、潤滑樹脂21と結合樹脂22を含む。潤滑層20内の潤滑樹脂21の重量パーセントは45%~75%である。また、潤滑層20に対する結合樹脂22の重量パーセントは、25%~55%である。
【0028】
また、本実施形態において、潤滑層20はコーティングヘッド、ローラーコーティング、スピンコーティング、積層(ラミネート)、噴霧(スプレー)、スクリーン印刷等によって形成され、穴あけ工程の際に接着剤が剥がれないようにするために、アルミニウムマンガン合金基板10上に緊密して設置させる。
【0029】
本実施形態において、潤滑樹脂21はノニルフェノールポリエチレングリコールエーテル(nonyl phenol polyethylene glycol ether)、ポリエチレングリコール(polyethylene glycol,PEG)、ポリエチレンオキシド(Polyethyleneoxide,PEO)、ポリビニルアルコール(polyvinyl alcohol,PVA)、アクリル酸(acrylic acid)、及びポリアクリル酸の少なくとも一つを含む。
【0030】
結合樹脂22はエポキシ樹脂、アクリル樹脂、配向ポリプロピレン(Oriented Poly Propylene,OPP)、ポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate,PET)、ポリウレタン(Polyurethane,PU)、ポリシロキサン(polymerized siloxanes)、ポリエーテル-シロキサン共重合体分岐シロキサン共重合体、及びポリビニルピロリドン(polyvinyl pyrrolidone,PVP)の少なくとも一つを含む。
【0031】
潤滑層20によって、ドリルピンが入るとき、ドリルピンをコーティングすることで、更に潤滑性を持たせることができ、それにより、ドリルピンとアルミニウムマンガン合金基板10の剛性衝撃を低減し、ドリルピンが内部に差し込み易くなる。このため、アルミニウムマンガン合金基板10と回路基板はドリルピンの摩耗を減らすことができる。
【0032】
次に、
図2を参照して説明する。
図2は本発明の第2の実施形態を示す回路基板穴あけ用上カバーの断面図である。
図2に示すように、回路基板穴あけ用上カバー200は硬化層30を更に含む。硬化層30はアルミニウムマンガン合金基板10の潤滑層20とは反対側の面に位置する。
【0033】
本実施形態において、硬化層30の厚さの範囲は1μm~6μmであり、硬化層30は硬質樹脂31と硬化剤32を備える。硬質樹脂31は硬化剤と混合される。そして、硬質樹脂31はアクリル、ポリウレタン、エポキシ樹脂の少なくとも一つを含む。また、硬化剤32はアミン硬化剤とイソシアネート硬化剤の少なくとも一つを含む。
【0034】
本実施形態において、硬化層30における硬質樹脂31の重量パーセントは80%~95%であり、硬化層30における硬化剤32の重量パーセントは5%~20%である。
【0035】
本実施形態において、硬化層30を配置することにより、回路基板穴あけ用上カバー200の高度を更に高めることができ、異なる製造工程の要請にも対応することができる。
【0036】
次に、
図3を参照して説明する。
図3は本発明の第3の実施形態を示す回路基板穴あけ用上カバーの製造方法のフローチャートである。
図3に示すように、本実施形態において、回路基板穴あけ用上カバーの製造方法には、潤滑成分付加ステップS40と潤滑成分乾燥ステップS41を含む。
【0037】
図3に示すように、上述した潤滑成分付加ステップS40は、潤滑成分をアルミニウムマンガン合金基板に付加して穴あけ用上カバーの中間製品を形成する。潤滑成分は潤滑樹脂と結合樹脂を含む。更に、潤滑成分は後続する潤滑成分乾燥ステップS41を経た後、潤滑層を形成する。
【0038】
なお、潤滑層における各成分の比率は上述しているので、ここでは改めて述べない。また、本ステップにおいて、コーティングヘッド、ローラーコーティング、スピンコーティング、ラミネート、スプレー、スクリーン印刷等の方式によって、潤滑成分をアルミニウムマンガン合金基板に配置する。
【0039】
図3に示すように、潤滑成分乾燥ステップS41は乾燥温度で穴あけ用上カバーの中間製品の潤滑成分を乾燥させて、穴あけ用上カバーを取得する。ここで、乾燥温度は80%~180%である。
【0040】
具体的には、潤滑成分乾燥ステップS41は生産ライン上にベルトコンベヤーを備えた加熱装置(例えばオーブン等)を配置することによって達成することができる。また、ベルトコンベヤーの速度を制御したり、加熱装置のサイズを変更したりして、乾燥時間を調整することもできる。なお、1又は複数の実施形態において、乾燥時間は2分間~5分間であり得る。更に、1又は複数の実施形態では、乾燥時間は3分間であっても良い。
【0041】
図4を参照して説明する。
図4は本発明の第4の実施形態を示す回路基板穴あけ用上カバーの製造方法のフローチャートである。
図4に示すように、本実施形態において、上述の回路基板穴あけ用上カバーの製造方法は、硬化成分付加ステップS42と硬化成分乾燥ステップS43を更に含む。
【0042】
図4を参照して説明する。上述した硬化成分付加ステップS42は、硬化成分をアルミニウムマンガン合金基板の潤滑成分とは反対側に付加する。硬化成分は硬質樹脂に加え、硬質樹脂と混合した硬化剤を含む。また、硬化成分は硬化成分乾燥ステップS43を経た後に硬化層が形成される。硬化層おける各成分の比率は既に述べたので説明を省略する。
【0043】
図4を参照して説明する。上述した硬化成分乾燥ステップS43は、乾燥温度で硬化成分を乾燥させて硬化層を取得するが、その際の乾燥温度は60℃~180℃である。また、乾燥時間は1分間~2分間である。
【0044】
同様にして、この硬化成分乾燥ステップS43は、生産ライン上にベルトコンベヤーを備えた加熱装置(オーブン等)を配置することによって達成することができる。また、ベルトコンベヤーの速度を制御したり、加熱装置のサイズを変更したりして、乾燥時間を調整することもできる。
【0045】
上記のステップでロジック上のエラーがない場合には、それらを同時に実行することも、順序を逆にすることもできることに注意するべきである。
【0046】
例えば、潤滑成分付加ステップS40及び潤滑成分乾燥ステップS41を先に実施することができ、それが終わってから、硬化成分付加ステップS42と硬化成分乾燥ステップS43を実行することができる。これに代えて、硬化成分付加ステップS42と硬化成分乾燥ステップS43を、最初に実行し、次に、潤滑成分付加ステップS40と潤滑成分乾燥ステップS41を実施することもできる。
【0047】
実験例では、複数の回路基板穴あけ用上カバーの製品(以下、それぞれ対照群プレート(パネル)、サンプル第1プレート、サンプル第2プレート、サンプル第3プレートという。)の比率は以下の表1に示す通りである。
【0048】
その内部の水分が蒸発等してすべて逃げる(失う)と、潤滑樹脂21と結合樹脂22の重量パーセントが、上記の比率範囲となる潤滑層20を得ることができる。また、表1から、対照群プレート(一般的な尿素プレート)と比較して、サンプル第1プレート、サンプル第2プレート、サンプル第3プレートはすべてショア硬度(Shore D)が高いことが伺える。
【0049】
【0050】
他の実施形態において、複数のプレート製品(以下、それぞれ対照群プレート、サンプル第4プレート、サンプル第5プレート、及びサンプル第6プレート)の製造工程において使用される組成成分とその比率を示すと以下の表2の通りとなる。
【0051】
水分が蒸発等によって逃げた後、潤滑樹脂21と結合樹脂22の重量パーセントが上述した比率の範囲にある潤滑層20、及び硬質樹脂31と硬化剤32の重量パーセントが上述の比率の範囲の硬化層30が得られる。
【0052】
また、表2から対照群プレート(一般的な尿素プレート)と比較したことが分かり、サンプル第4プレート、サンプル第5プレート、及びサンプル第6プレートはいずれも比較的高いショア硬度を有する。
【0053】
【0054】
また、本発明の1つ又は複数の実施形態に示すように回路基板穴あけ用上カバー100又は回路基板穴あけ用上カバー200は異なる穴あけ工程に対応することができる。
【0055】
具体的には、背面ドリル製造工程が挙げられ、これは、回路基板の一方の面が回路基板穴あけ用上カバー100、200の潤滑層20に対応しており、ドリルピンを回路基板の他方の面から削り込むように入れることができる。
【0056】
また、他の方式としては、回路基板が硬化層30に対応しており、ドリルピンが、回路基板穴あけ用上カバー100、200が有する潤滑層20の一方の面から削るように入れられる。
【0057】
以上の様に、本発明の1つ又は複数の実施形態では、回路基板穴あけ用の上カバーは、アルミニウムマンガン合金基板によって適切な硬度を提供することができる。そして、本発明の実施形態では、回路基板穴あけ用上カバーは、アルミニウムマンガン合金基板自体によっても硬度を提供することができるが、それにはとどまらず、硬化層の構成によって硬度をさらに高めることもできる。このことから、結果として様々な態様の掘削作業の要件に適合している。
【0058】
本発明の実施形態は上述の通りであるが、これらの実施形態は本発明の技術的範囲を制限するものではない。つまり、当業者が本発明に対して簡単な変更や付加を行っても、それらは本発明の技術的範囲に入るものであり、本発明の技術的範囲は特許請求の範囲に基づいて定められる。
【符号の説明】
【0059】
S40~S43 ステップ
100、200 回路基板穴あけ用上カバー
10 アルミニウムマンガン合金基板
20 潤滑層
21 潤滑樹脂
22 結合樹脂
30 硬化層
31 硬質樹脂
32 硬化剤
【要約】
【課題】アルミニウムマンガン合金基板自体によって硬度を提供し、加えて、硬化層で硬度を更に高めることができ、多種多様な穴あけ作業の要求を満たすことができる回路基板穴あけ用上カバーを提供する。
【解決手段】回路基板穴あけ用上カバー100は、アルミニウムマンガン合金基板10と、潤滑層20を備え、アルミニウムマンガン合金基板10の厚さの範囲は70μm~200μmであり、潤滑層20はアルミニウムマンガン合金基板10上に位置し、前記潤滑層の厚さの範囲は25μm~70μmであり、潤滑層20は潤滑樹脂21と結合樹脂22を含み、潤滑層20における潤滑樹脂21の重量パーセントは45%~75%であり、潤滑層20における結合樹脂22の重量パーセントは25%~55%である。
【選択図】
図1