(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-10
(45)【発行日】2023-01-18
(54)【発明の名称】蛇行経路およびセンサブーツを介した空気混入干渉の低減
(51)【国際特許分類】
G01N 29/024 20060101AFI20230111BHJP
G01N 29/32 20060101ALI20230111BHJP
【FI】
G01N29/024
G01N29/32
(21)【出願番号】P 2021197976
(22)【出願日】2021-12-06
(62)【分割の表示】P 2020059750の分割
【原出願日】2015-05-19
【審査請求日】2021-12-15
(32)【優先日】2014-05-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】595108147
【氏名又は名称】エスエスアイ・テクノロジーズ・エルエルシー
【住所又は居所原語表記】3200 Palmer Drive,Janesville,Wisconsin 53546,United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(72)【発明者】
【氏名】シュレンケ,デヴィッド・ティー
(72)【発明者】
【氏名】ゼンコ,ジェド・ウィリアム
【審査官】嶋田 行志
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2012/0234091(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0226212(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0166802(US,A1)
【文献】特開2014-077667(JP,A)
【文献】特開2005-299441(JP,A)
【文献】特開2008-215954(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0130298(US,A1)
【文献】米国特許第06171367(US,B1)
【文献】特表2009-544045(JP,A)
【文献】実開昭55-153108(JP,U)
【文献】米国特許第07270690(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 29/00-G01N 29/52
F01N 3/00-F01N 3/38
F01N 9/00
F01N 11/00
G01N 33/00-G01N 33/46
G01F 23/00-G01F 23/296
B01D 19/00-B01D 19/04
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
JSTChina(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体の少なくとも1つの特性を感知するための流体センサ(130)であって、
感知領域(205、220)と、
前記感知領域(205、220)内に位置する流体の特性を感知するように構成された感知素子(170,175、180)と、
前記感知領域(205、220)を覆うと共に、蛇行経路(315)を有する内部分(275)を含む囲い板(250)であって、前記流体の液体部分(330)
を前記感知領域(205、220)に入るように向けると共に、前記流体の気体部分(320)を前記囲い板(250)の蛇行経路(315)に沿って前記感知領域(205、220)から離れて上方へ向ける、前記囲い板(250)とを備える、流体センサ。
【請求項2】
請求項1に記載の流体センサであって、前記囲い板(250)が、保持具(360)を含む、流体センサ。
【請求項3】
請求項2に記載の流体センサであって、前記保持具が、ストラップ(360)を含む、流体センサ。
【請求項4】
請求項3に記載の流体センサであって、前記保持具が、先端クリップ(350)を含む、流体センサ。
【請求項5】
請求項4に記載の流体センサであって、前記先端クリップ(350)が、前記流体センサ(130)の先端を捕捉するように構成される、流体センサ。
【請求項6】
請求項1に記載の流体センサであって、前記囲い板(250)が、前記流体の気体部分(320)を前記感知領域(205、220)から排気するように構成された煙突(290)を更に含む、流体センサ。
【請求項7】
請求項1に記載の流体センサであって、前記感知領域(205、220)が、測定路(205)およびレベル感知管(220)の何れか1つである、流体センサ。
【請求項8】
請求項1に記載の流体センサであって、前記感知素子(170,175、180)が、濃度感知素子(170)、レベル感知素子(175)、および温度感知素子(180)の少なくとも1つである、流体センサ。
【請求項9】
請求項1に記載の流体センサであって、前記流体が、尿素溶液、ガソリン燃料、ディーゼル燃料、エンジン油、油圧流体、および伝動流体の少なくとも1つである、流体センサ。
【請求項10】
タンク内に含まれた流体を感知するための感知システム(130)内の気泡を防止する方法であって、前記感知システム(130)が、感知領域(205、220)およびセンサ(170,175、180)を含み、前記方法が、
囲い板(250)を前記感知システムに結合させるステップであって、前記囲い板(250)が、前記感知領域(205、220)に対面する
蛇行経路(315)を有する内部分(275)を含む、前記結合させるステップと、
前記流体の液体部分(330)および前記流体の気体部分(320)を前記囲い板(250)
を通るように向けるステップと、
前記流体の前記液体部分(330)が前記感知領域(205、220)へ入ることを可能にするステップと、
前記流体の前記気体部分(320)を前記蛇行経路(315)に沿って前記感知領域(205、220)から離れて上方へ向けるステップと、
前記流体の気体部分(320)を煙突(290)を介して前記感知領域(205、220)から排気するステップと、
前記感知領域(205、220)内に含まれた前記流体の特性を感知するステップと、を含む、方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法であって、前記囲い板(250)が、保持具(360)を介して前記感知システム(130)に結合するステップを更に含む、方法。
【請求項12】
請求項11に記載の方法であって、前記保持具が、ストラップ(360)を含む、方法。
【請求項13】
請求項11に記載の方法であって、前記保持具が、前記感知システム(130)の先端を捕捉するように構成された先端クリップ(350)を含む、方法。
【請求項14】
請求項10に記載の方法であって、前記感知領域(205、220)が、測定路(205)およびレベル感知管(220)の何れか1つである、方法。
【請求項15】
請求項10に記載の方法であって、前記センサ(170,175、180)が、濃度センサ(170)、レベルセンサ(175)、および温度センサ(180)の少なくとも1つである、方法。
【請求項16】
請求項10に記載の方法であって、前記流体が、尿素溶液、ガソリン燃料、ディーゼル燃料、エンジン油、油圧流体、および伝動流体の少なくとも1つである、方法。
【請求項17】
流体の特性を感知する流体センサ(130)であって、
感知領域(205、220)と、
前記感知領域(205、220)内に位置する流体の特性を感知するように構成された感知素子(170,175、180)と、
前記感知領域(205、220)を覆うと共に、蛇行経路(315)を有する内部分(275)を含む囲い板(250)であって、前記流体が該囲い板(250)の
前記蛇行経路(320)に沿って流れる構成である前記囲い板(250)とを備え、
前記蛇行経路(320)が、前記流体の気体部分(320)を、前記感知領域(205、220)から離れて上方へ向ける、流体センサ。
【請求項18】
請求項17に記載の流体センサであって、前記囲い板(250)が、前記流体の気体部分(320)を前記感知領域(205、220)から排気するように構成された煙突(290)を更に含む、流体センサ。
【請求項19】
請求項17に記載の流体センサであって、前記囲い板(250)が、該囲い板(250)を前記感知領域(205、220)の近傍に結合する保持具を含む、流体センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本発明は、流体を感知するためのシステムに関する。より詳細には、本発明の実施形態は、流体レベルおよび濃度のセンサにおいて気泡(たとえば、液体中に閉じ込められた気体)によって引き起こされる、測定値における干渉を低減するための機構および技術に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]流体レベルおよび流体濃度の感知は、たとえば、選択的触媒還元体ディーゼル排出制御システムに使用されるディーゼル排気流体(DEF)の感知を含む、多くの車両用途において重要である。選択的触媒還元(SCR)は、ディーゼル窒素酸化物(NOx)排出物を、触媒反応によって、二原子良性窒素気体(N2)および水(H2O)に変換する方法である。DEFは、そのプロセスにおいて使用される。きれいなディーゼルエンジンでは、SCRシステムは、ほぼゼロのNOxの排出物を送出する。
【0003】
[0003]DEFは、浄化された水および尿素の混合物である。一般的なSCRシステムでは、DEFは、車両のタンク内に貯蔵され、1つまたは複数の噴射器によって排気内に、燃焼されているディーゼル燃料に対して約1:50の比で注入される。(噴霧の形態で)注入された尿素は、排気と混ざり合い、排気中のNOxを窒素、水、および二酸化炭素に分解する。
【0004】
[0004]ディーゼル燃料、水、およびエチレングリコールなどの汚染物質が、DEFと混ざり合ったとき、排気中のNOxを低減するDEFの能力は衰える。汚染されたDEFはまた、NOx還元体システムに損傷を引き起こすこともある。また、十分な量のDEFが、SCRシステムにおける使用のために利用可能であることが重要である。タンク内、またはタンクの近くにおいて、1つまた複数のセンサが、DEFの特定の特性を感知するために使用される。センサは、それだけに限定されないが、タンク内のDEFの量を決定するためのレベルセンサ、タンク内のDEFの品質を決定するための濃度センサ、および温度センサを含むことができる。流体レベルは、流体の量を表し、濃度は、流体の品質を表す1つの特性である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
[0005]SCRシステム内のDEF流体は、空気混入される(すなわち、気泡が流体中に同伴されるような方法で空気と混合される)ことが、近年確認されている。空気混入は、たとえば、DEF流体用のタンクまたはリザーバの迅速な充填または再充填中に起こり得る。空気混入はまた、ひどい振動中、タンク内の流体の激しい流体液面揺動中にも起こることがあり、またはSCRシステムのポンプが空気を取り込む場合、DEF流体の戻り流に存在することもある。類似の空気混入は、それだけに限定されないが、ガソリン燃料、ディーゼル燃料、エンジン油、油圧流体、および伝動流体を含む他の流体にも起こり得る。
【0006】
[0006]一般に、正確な流体測定値は、音速をそこから測定すべき均一流体を必要とする。流体が空気混入されたとき、超音波の経路は、気泡の存在によって分散される。音波のこの干渉は、反射されたエコーにおける損失(すなわち音速測定が行われない)、したがって、正確な流体測定値の損失を引き起こす。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[0007]したがって、1つの実施形態では、本発明は、流体の少なくとも1つの特性を感知するための流体センサを提供する。流体センサは、感知領域と、感知領域内に位置する流体の特性を感知するように構成された感知素子と、凹凸状領域を有する囲い板とを含む。囲い板は、流体の液体部分が感知領域を出入りすることを可能にし、流体の気体部分が感知領域に入ることを実質的に防止する。
【0008】
[0008]別の実施形態では、本発明は、タンク内に含まれた流体を感知するための感知システム内の気泡を防止する方法を提供する。感知システムは、感知領域およびセンサを含む。方法は、囲い板を感知システムに結合させるステップであって、囲い板は凹凸状領域を有する、ステップと、流体の液体部分および流体の気体部分を凹凸状領域を介して分離するステップと、流体の液体部分が感知領域を出入りすることを可能にするステップと、流体の気体部分が感知領域に入ることを防止するステップと、感知領域内に含まれた流体の特性を感知するステップとを含む。
【0009】
[0009]別の実施形態では、本発明は、流体の特性を感知するように動作可能であるセンサを提供する。センサは、流体を含むように構成された感知領域と、感知領域を覆う凹凸状領域と、変換器とを含む。凹凸状領域は、流体の液体部分が感知領域に入ることを可能にし、流体の気体部分が感知領域に入ることを実質的に防止する。変換器は、音パルスを感知領域内に含まれた流体の液体部分を通るように出力し、反射された音パルスを受け取り、受け取られた音パルスに基づいて流体の特性を出力する。
【0010】
[0010]別の実施形態では、本発明は、流体の少なくとも1つの特性を感知するためのセンサに被さるように構成された囲い板を提供する。囲い板は、上部分および底部分を含む主要本体と、底部分に結合された脚部と、外部分と、凹凸状領域を含む内部分とを含む。凹凸状領域は、流体の液体部分をセンサの感知領域の方に向け、流体の気体部分をセンサの感知領域から離れるように向ける。
【0011】
[0011]本発明は、それだけに限定されないが、ガソリン燃料、ディーゼル燃料、エンジン油、油圧流体、および伝動流体を含む多様な流体に適用可能であることが確認されなければならず、これらのすべての流体は、液面揺動および激しい振動状態中に泡立つことが知られている。
【0012】
[0012]本発明の他の態様は、詳細な説明および添付の図を考慮することによって明白になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】[0013]流体を感知するための装置の側面図である。
【
図3】[0015]
図1および2の装置に使用される感知システムの断面図である。
【
図4】[0016]
図3の感知システムの斜視図である。
【
図5】[0017]ブーツまたは囲い板の上部斜視図である。
【
図6】[0018]
図5の囲い板の底部斜視図である。
【
図7】[0019]
図3の感知システムに結合された
図5の囲い板の斜視図である。
【
図8】[0020]
図3の感知システムに結合された
図5の囲い板の側面図である。
【
図9】[0021]
図5の囲い板の蛇行経路の1つの実施形態を示す図である。
【
図10】[0022]
図5の囲い板の蛇行経路の別の実施形態を示す図である。
【
図11】[0023]
図5の囲い板の蛇行経路の別の実施形態を示す図である。
【
図12】[0024]
図5の囲い板の作動の例を示す図である。
【
図13】[0025]
図3の感知システムに結合された
図5の囲い板の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[0026]本発明の実施形態を詳細に説明する前に、本発明が、以下の説明に記載されまたは以下の図に例示される構成要素の構造および配置の詳細への適用に限定されないことを理解されたい。本発明は、他の実施形態が可能であり、さまざまな方法で実践され、または実行されることが可能である。
【0015】
[0027]本明細書において説明される本発明は、多様な流体、燃料および油(たとえば、ガソリン燃料、ディーゼル燃料、エンジン油、油圧流体、伝動流体など)、およびシステム(たとえば、燃料レベル、液体レベル、濃度測定など)に適用され、またはこれらと併用して使用されることが可能であるが、本明細書において説明される本発明の実施形態は、SCRシステムにおいて使用するためのDEFに対して説明される。
【0016】
[0028]
図1および2は、タンク105内の流体を感知するための流体センサなどの装置100を示す。図示される特定の実施形態では、装置100はまた、加熱器を含む。加熱器は、特定の利点を有するが、すべての実施形態において必要とされるわけではない。留意されるように、一部の実施形態では、流体は、DEF(たとえば、尿素溶液、液体尿素、尿素、またはAdblue(商標)流体)である。流体は、液体部分および気体部分を有することができる。一部の実施形態では、気体部分は、たとえば空気を流体に混ぜ合わせるタンク内の液面揺動に起因して流体中に存在する気泡、または別の気体を含む。
【0017】
[0029]装置100は、ヘッダ110と、加熱器ループ115と、取り込み管路120と、戻り管路125と、センサモジュールまたはシステム130とを含む。ヘッダ110は、流体をタンク105の内側に封入する。一部の実施形態では、ガスケット135が、ヘッダ110をタンク105に対して封止する。ヘッダ110は、複数の継手と、電気接続器140とを含む。一部の実施形態では、複数の継手は、取り込み継手145と、戻り継手150と、冷却剤投入継手155と、冷却剤出力継手160とを含む。複数の継手は、流体をタンク105内へと、タンク105から、およびタンク105を通って輸送し、または向けるためのさまざまな経路を提供する。電気接続器140は、センサシステム130から外部コンピュータシステム(たとえば車両のデータバス)までの電気的接続をもたらす。
【0018】
[0030]
図3および4は、センサシステム130を示す。
図3は、センサシステム130の断面図を示す。センサシステム130は、上部分131および底部分132を含む。センサシステム130は、印刷回路基板(PCB)165と、複数のセンサ(すなわち感知素子)とを含む。例示される実施形態では、複数のセンサは、濃度センサ170と、レベルセンサ175と、温度センサ180とを含む。他の実施形態では、センサシステム130は、例示される実施形態に示されるものより多いまたは少ないセンサを含むことができる。複数のセンサの各々は、PCB165に電気的に結合される。一部の実施形態では、PCB165は、センサ制御システムを含み、このセンサ制御システムは、とりわけ、電力を複数のセンサに供給し、複数のセンサからのデータを分析し、分析されたデータを外部コンピュータなどの他の構成要素に出力する。
【0019】
[0031]濃度センサ170は、タンク105内の流体の濃度、したがって品質を決定するための濃度感知素子である。濃度センサ170は、濃度超音波変換器200と、測定路205と、濃度反射板210とを含む。濃度変換器200は、送信器および受信器の両方として作用するように構成された感知素子である。一部の実施形態では、濃度変換器200は、圧電変換器である。測定路205は、感知される流体を含むための感知領域として作用する。作動においては、濃度変換器200は、弾性波信号を生成し、この弾性波信号は、測定路205内に含まれた流体を通って、濃度反射板210に向かって伝播する。弾性波信号は、濃度反射板210に反射し、濃度変換器200に向かって進行して戻る。弾性波信号の濃度飛行時間(ToF)、センサシステム130のセンサ制御システムに出力される。例示される実施形態に示されるように、装置100の他の実施形態は、濃度センサ170を含まない。
【0020】
[0032]レベルセンサ175は、タンク105内の流体のレベル、したがって量を決定するためのレベルセンサ素子である。例示される実施形態では、レベルセンサ175は、それだけに限定されないが、圧電変換器などのレベル変換器215と、レベル感知管220(たとえばレベル焦点管)と、レベル感知管220を受け入れ、レベル感知管220をセンサシステム130に結合させるように構成されたレベル感知受け入れ管221とを含む。レベル変換器215は、送信器および受信器の両方として作用するように構成される。レベル感知管220は、感知される流体を含むための感知領域として作用する。一部の実施形態では、レベル感知管220は、方向A(
図1)から見たときに数字の8に類似するような形で互いに結合された2つの管を有する8の形のレベルセンサである。レベルセンサ175の一部の実施形態はまた、フロートを含むこともできる。例示される特定の実施形態では、レベルセンサ175は、レベル感知管220内に位置するフロート225を含む。
図3では球形として例示されるが、フロート225は、それだけに限定されないが円筒形を含む別の形状でもよい。フロート225は、タンク105内に含まれたDEF溶液の表面上に浮かぶ。変換器は、弾性波信号を生成し、弾性波信号は、レベル感知管220内に含まれた流体を通って伝播する。弾性波信号は、フロート225に向かって伝播する。弾性波信号は、レベル感知管220内に含まれたフロート225に反射し、レベル変換器215に向かって進行して戻る。フロート225を含まない1つの実施形態では、変換器は、弾性波信号を生成し、弾性波信号は、レベル感知管220内に含まれた流体を通って、流体の表面227に向かって伝播する。弾性波信号は、流体の表面に反射し、レベル変換器215に向かって進行して戻る。弾性波信号のToFは、センサ制御システムに出力される。
【0021】
[0033]温度センサ180は、タンク105内の流体の温度を決定するための温度感知素子である。1つの実施形態では、温度センサ180は、熱電対である。別の実施形態では、温度センサ180は、サーミスタである。さらに別の実施形態では、温度センサ180は、抵抗温度センサである。さらに別の実施形態では、温度センサ180は、赤外線温度センサである。温度センサ180は、感知された温度をセンサ制御システムに出力する。一部の実施形態では、レベルセンサ175および温度センサ180は、レベルおよび温度の両方を感知することができる組み合わせセンサに組み合わせられる。一部の実施形態では、濃度センサ170および温度センサ180は、流体の濃度および温度の両方を感知することができる組み合わせセンサに組み合わせられる。他の実施形態では、レベルセンサ175、温度センサ180、および濃度センサ170は、3つのすべての計量を感知することができる組み合わせセンサに組み合わせられる。
【0022】
[0034]
図5~8は、泡(すなわち液体中に閉じ込められた空気または他の気体)の流れを防止し、または阻害するためのブーツまたは囲い板250を例示する。囲い板250は、センサシステム130の上部分131に被さる。囲い板250は、ゴムまたは類似の柔軟な材料から作製され得る。例示される実施形態では、囲い板250は、主要本体255および脚部260を有する実質的に「L」字形状である。主要本体255は、上部分265と、底部分270とを有する。脚部260は、底部分270において主要本体255に結合される。
【0023】
[0035]囲い板250は、さらに、内部分275と、外部分280とを有する。囲い板250の内部分275は、凹凸状領域285を含む。凹凸状領域285は、流体に1つまたは複数の蛇行経路を辿らせる。1つまたは複数の蛇行経路は、流体内の泡(流体の気体部分)を、1つまたは複数の感知領域(すなわち測定路205、レベル感知管220など)から離れるように向けるように構成され、一方で流体の液体部分は、1つまたは複数の感知領域の方に向けられる。
【0024】
[0036]囲い板250の例示される実施形態はまた、通気孔295を有する煙突290も含む。煙突290は、捕集された気体部分(すなわち捕集された気泡)を1つまたは複数の感知領域から排気するように構成される。捕集された気体部分は、液体より密度が小さいため、また対流により、気体部分は、1つまたは複数の感知領域から煙突290を通って流出する。気体部分が感知領域を退出した後、気体部分は、自由にタンク105内の流体を通って上昇し流体の表面まで逃げる。
【0025】
[0037]
図9は、凹凸状領域285の1つの実施形態を例示する。一部の実施形態では、凹凸状領域285は、囲い板250の内部分275全体を覆う。他の実施形態では、凹凸状領域285は、囲い板250の内部分275を部分的に覆う。例示される実施形態では、凹凸状領域285は、気体部分を感知領域から離れるように向けるために複数の極小の通気孔300を含む。
【0026】
[0038]
図10は、凹凸状領域285の別の実施形態を例示する。例示される実施形態では、凹凸状領域285は、気体部分を感知領域から離れるように向けるために複数の極小の空洞305を含む。
【0027】
[0039]
図11は、凹凸状領域285の別の実施形態を例示する。例示される実施形態では、凹凸状領域285は、気体部分を感知領域から離れるように向けるために、複数のポッチまたは点刻310を含む。
【0028】
[0040]別の実施形態では、凹凸状領域285は、複数の極小の通気孔300、複数の極小の空洞305、および複数のポッチ310の1つまたは複数の組み合わせを含む。別の実施形態では、凹凸状領域285は、砂で磨いた質感または紙やすりの質感に類似するものである。
【0029】
[0041]
図12は、凹凸状領域285の1つの実施形態における流体の作動の1つの例を示す。流体がセンサシステム130に入るとき、凹凸状領域285は、流体に1つまたは複数の蛇行経路315を辿らせ、それによって気体部分320を第1の方向325に、感知領域から離れるように向けながら、液体部分330を第2の方向335に感知領域の方に向ける。気体部分320および液体部分330は、最初に、凹凸状領域285の結果分離される。気体部分320は、次いで、第1の方向325に感知領域から離れるように向けられ、これは、気体部分320の密度が、液体部分330の密度より小さいためである。したがって、気体部分320は、感知領域から離れるように上方(たとえば第1の方向325)に流れる。液体部分330は、次いで、重力の結果、第2の方向335に感知領域に向けられる。
【0030】
[0042]
図5~8の例示される実施形態では、囲い板250は、さらに、ポートまたは受け口340を含む。図示される実施形態では、受け口340は、レベル感知管220を受け入れ、レベル感知管220をセンサシステム130のレベル感知受け入れ管221に結合させるように構成された二重開口ポートである。一部の実施形態では、受け口340は、レベル感知管220の底部分とセンサシステム130のレベル感知受け入れ管221の結合を促進するように構成された複数の細溝(たとえば畝部)345を含む。
【0031】
[0043]
図5~8の例示される実施形態では、囲い板250は、さらに、保持具を含む。保持具は、囲い板250をセンサシステム130上に保持するように構成される。保持具は、先端クリップ350を含むことができる。先端クリップ350は、囲い板250をセンサシステム130上に保持するためにセンサシステム130の先端355を捕捉するように構成される。
【0032】
[0044]
図13に例示されるように、保持具は、さらに、ストラップ360を含むことができる。ストラップ360は、囲い板250の第1の側365から延びて、センサシステム130の底部分132に巻き付き、囲い板250の第1の側とは反対の第2の側に解放可能に取り付けられる。例示される実施形態では、ストラップ360は、囲い板250の第2の側にストラップ360を解放可能に取り付けるための締め金370を含む。
【0033】
[0045]したがって、本発明は、とりわけ、流体感知システム用の囲い板を提供する。本発明のさまざまな特徴および利点は、以下の特許請求の範囲において記載される。以下は、本願出願当初の本発明の各種形態である。
(形態1) 流体の少なくとも1つの特性を感知するための流体センサであって、
感知領域と、
前記感知領域内に位置する流体の特性を感知するように構成された感知素子と、
凹凸状領域を有する囲い板であって、
前記流体の液体部分が前記感知領域を出入りすることを可能にし、
前記流体の気体部分が前記感知領域に入るのを実質的に防止するように構成される、囲い板とを備える、流体センサ。
(形態2) 前記凹凸状領域が、前記流体に蛇行経路を辿らせる、形態1に記載の流体センサ。
(形態3) 前記凹凸状領域が、複数の極小の通気孔、複数の極小の空洞、および複数の点刻の1つを含む、形態1に記載の流体センサ。
(形態4) 前記囲い板が、保持具を含む、形態1に記載の流体センサ。
(形態5) 前記保持具が、ストラップを含む、形態4に記載の流体センサ。
(形態6) 前記保持具が、先端クリップを含む、形態4に記載の流体センサ。
(形態7) 前記先端クリップが、前記流体センサの先端を捕捉するように構成される、形態6に記載の流体センサ。
(形態8) 前記囲い板が、さらに、前記流体の捕集された気体部分を前記感知領域から排気するように構成された煙突を含む、形態1から7のいずれか一項に記載の流体センサ。
(形態9) 前記感知領域が、測定路およびレベル感知管の1つである、形態1に記載の流体センサ。
(形態10) 前記感知素子が、濃度感知素子、レベル感知素子、および温度感知素子の1つである、形態1に記載の流体センサ。
(形態11) 前記流体が、尿素溶液、ガソリン燃料、ディーゼル燃料、エンジン油、油圧流体、および伝動流体の1つである、形態1に記載の流体センサ。
(形態12) タンク内に含まれた流体を感知するための感知システム内の気泡を防止する方法であって、前記感知システムが、感知領域およびセンサを含み、前記方法が、
囲い板を前記感知システムに結合させるステップであって、前記囲い板は凹凸状領域を有する、ステップと、
前記流体の液体部分および前記流体の気体部分を前記凹凸状領域を介して分離するステップと、
前記流体の前記液体部分が前記感知領域を出入りすることを可能にするステップと、
前記流体の前記気体部分が前記感知領域に入ることを防止するステップと、
前記感知領域内に含まれた前記流体の特性を感知するステップと
を含む、方法。
(形態13) 前記凹凸状領域が、前記流体に蛇行経路を辿らせる、形態12に記載の方法。
(形態14) 前記凹凸状領域が、極小の通気孔、極小の空洞、および点刻の1つを含む、形態12に記載の方法。
(形態15) 前記囲い板が、前記感知システムに結合するための保持具を含む、形態1
2に記載の方法。
(形態16) 前記保持具が、ストラップを含む、形態15に記載の方法。
(形態17) 前記保持具が、前記感知システムの先端を捕捉するように構成された先端クリップを含む、形態15に記載の方法。
(形態18) 前記囲い板が、さらに、前記流体の捕集された気体部分を前記感知領域から排気するように構成された煙突を含む、形態12に記載の方法。
(形態19) 前記感知領域が、測定路およびレベル感知管の1つである、形態12に記載の方法。
(形態20) 前記センサが、濃度センサ、レベルセンサ、および温度センサの1つである、形態12に記載の方法。
(形態21) 前記流体が、尿素溶液、ガソリン燃料、ディーゼル燃料、エンジン油、油圧流体、および伝動流体の1つである、形態12に記載の方法。
(形態22) 流体の特性を感知するように動作可能であるセンサであって、
前記流体を含むように構成された感知領域と、
前記感知領域を覆う凹凸状領域であって、
前記流体の液体部分が前記感知領域に入ることを可能にし、
前記流体の気体部分が前記感知領域に入ることを実質的に防止するように構成される、凹凸状領域と、
変換器であって、
音パルスを前記感知領域内に含まれた前記流体の前記液体部分を通るように出力し、
前記反射された音パルスを受け取り、
前記受け取られた音パルスに基づいて前記流体の特性を出力するように動作可能である、変換器とを備える、センサ。
(形態23) 前記凹凸状領域が、前記流体に蛇行経路を辿らせ、前記蛇行経路は、前記流体の前記液体部分を前記流体の前記気体部分から分離するように構成される、形態22に記載のセンサ。
(形態24) 前記感知領域が、測定路およびレベル感知管の1つである、形態22に記載のセンサ。
(形態25) 前記特性が、濃度、レベル、および温度の1つである、形態22に記載のセンサ。
(形態26) 前記流体が、尿素溶液、ガソリン燃料、ディーゼル燃料、エンジン油、油圧流体、および伝動流体の1つである、形態22に記載のセンサ。
(形態27) 前記凹凸状領域が、囲い板を介して前記感知領域を覆う、形態22に記載のセンサ。
(形態28) 前記囲い板が、捕集された気体部分を前記感知領域から排気するように構成された煙突を含む、形態27に記載のセンサ。
(形態29) 流体の少なくとも1つの特性を感知するためのセンサに被せるように構成された囲い板であって、
上部分および底部分を含む主要本体と、
前記底部分に結合された脚部と、
外部分と、
凹凸状領域を含む内部分であって、前記凹凸状領域が、
前記流体の液体部分を前記センサの感知領域の方に向け、
前記流体の気体部分を前記センサの前記感知領域から離れるように向けるように構成される、内部分とを備える、囲い板。
(形態30) 前記凹凸状領域が、前記流体に蛇行経路を辿らせる、形態29に記載の囲い板。
(形態31) 前記凹凸状領域が、複数の極小の通気孔を含む、形態29に記載の囲い板。
(形態32) 前記凹凸状領域が、複数の極小の空洞を含む、形態29に記載の囲い板。
(形態33) 前記凹凸状領域が、複数の点刻を含む、形態29に記載の囲い板。
(形態34) さらに保持具を備える、形態30に記載の囲い板。
(形態35) 前記保持具が、先端クリップを含む、形態34に記載の囲い板。
(形態36) 前記先端クリップが、前記センサの先端を捕捉するように構成される、形態35に記載の囲い板。
(形態37) 前記保持具が、ストラップを含む、形態34に記載の囲い板。
(形態38) 前記囲い板が、さらに、第1の側および第2の側を含み、前記センサが、底部分を含み、さらに、前記ストラップは、前記囲い板の前記第1の側から延び、前記センサの前記底部分に巻き付き、前記囲い板の前記第2の側に解放可能に取り付けられる、形態37に記載の囲い板。
(形態39) さらに、前記流体の捕集された気体部分を前記感知領域から排気するように構成された煙突を備える、形態29に記載の囲い板。