(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-10
(45)【発行日】2023-01-18
(54)【発明の名称】熱放出性の低い高強度の複合材
(51)【国際特許分類】
B32B 7/027 20190101AFI20230111BHJP
B32B 3/26 20060101ALI20230111BHJP
B32B 27/34 20060101ALI20230111BHJP
B32B 27/38 20060101ALI20230111BHJP
B32B 27/40 20060101ALI20230111BHJP
B29C 43/20 20060101ALI20230111BHJP
B29C 43/34 20060101ALI20230111BHJP
B29C 70/16 20060101ALI20230111BHJP
B29C 70/42 20060101ALI20230111BHJP
【FI】
B32B7/027
B32B3/26 A
B32B27/34
B32B27/38
B32B27/40
B29C43/20
B29C43/34
B29C70/16
B29C70/42
(21)【出願番号】P 2021527242
(86)(22)【出願日】2019-11-19
(86)【国際出願番号】 US2019062138
(87)【国際公開番号】W WO2020106678
(87)【国際公開日】2020-05-28
【審査請求日】2021-05-18
(32)【優先日】2018-11-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516363053
【氏名又は名称】ブライト ライト ストラクチャーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】アントニー ドッドワース
【審査官】石塚 寛和
(56)【参考文献】
【文献】特表平07-507105(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0021718(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第106457739(CN,A)
【文献】欧州特許出願公開第1464483(EP,A1)
【文献】欧州特許出願公開第352993(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00-43/00
B29C 39/00-39/24、39/38-39/44、
41/00-41/36、41/46-41/52
43/00-43/34、43/44-43/48、
43/52-43/58、70/00-70/88
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリエーテルイミドポリマー
と複数のガラス繊維とを含む熱可塑性層と、
前記熱可塑性層の上に配置された第1の熱硬化性層
であり、エポキシ-ポリウレタン樹脂と複数のガラス繊維または複数の炭素繊維とを含む前記第1の熱硬化性層と、
前記第1の熱硬化性層の上に配置されたコアであって、複数のセルを含むコアと、
前記第1の熱硬化性層
の反対側で前記コア上に配置された第2の熱硬化性層
であり、エポキシ-ポリウレタン樹脂と複数のガラス繊維または複数の炭素繊維とを含む前記第2の熱硬化性層と
を含む複合サンドイッチ構造体であって、60kW
*分/m
2未満の熱放出を有する、複合サンドイッチ構造体。
【請求項2】
前記
ポリエーテルイミドポリマーが、200℃超の融点を有する、請求項1記載の複合サンドイッチ構造体。
【請求項3】
前記熱可塑性層が、80グラム/平方メートル(「gsm」)の密度を有するガラス繊維シートを含み、
前記第1の熱硬化性層が、200gsmの密度を有する複数のガラス繊維を含み、かつ
前記第2の熱硬化性層が、300gsmの密度を有する複数の炭素繊維を含む、
請求項1記載の複合サンドイッチ構造体。
【請求項4】
前記複数のセルが、平行配向でまとめて接合された複数のチューブを含む、請求項1記載の複合サンドイッチ構造体。
【請求項5】
前記複数のセルが、複数のポリエーテルイミドセルを含む、請求項1記載の複合サンドイッチ構造体。
【請求項6】
前記複数のセルが、発泡体を含む、請求項1記載の複合サンドイッチ構造体。
【請求項7】
30kW
*分/m
2未満の熱放出を有する、請求項1記載の複合サンドイッチ構造体。
【請求項8】
ポリエーテルイミドポリマー
と複数のガラス繊維とを含む熱可塑性層と、
前記熱可塑性層の上に配置された第1の熱硬化性層
であり、エポキシ-ポリウレタン樹脂と複数のガラス繊維または複数の炭素繊維とを含む前記第1の熱硬化性層と、
前記第1の熱硬化性層の上に配置されたコアであって、複数のセルを含むコアと、
前記第1の熱硬化性層
の反対側で前記コア上に配置された第2の熱硬化性層
であり、エポキシ-ポリウレタン樹脂と複数のガラス繊維または複数の炭素繊維とを含む前記第2の熱硬化性層と、
前記
ポリエーテルイミドポリマーを含むさらなる熱可塑性層と
を含む複合サンドイッチ構造体であって、60kW
*分/m
2未満の熱放出を有する、複合サンドイッチ構造体。
【請求項9】
ポリエーテルイミドポリマー
と複数のガラス繊維とを含む熱可塑性層と、
前記熱可塑性層の上に配置されたさらなる熱可塑性層であって、前記
ポリエーテルイミドポリマーを含むさらなる熱可塑性層と、
前記さらなる熱可塑性層の上に配置された第1の熱硬化性層
であり、エポキシ-ポリウレタン樹脂と複数のガラス繊維または複数の炭素繊維とを含む前記第1の熱硬化性層と、
前記第1の熱硬化性層の上に配置されたコアであって、複数のセルを含むコアと、
前記第1の熱硬化性層
の反対側で前記コア上に配置された第2の熱硬化性層
であり、エポキシ-ポリウレタン樹脂と複数のガラス繊維または複数の炭素繊維とを含む前記第2の熱硬化性層と
を含む複合サンドイッチ構造体であって、60kW
*分/m
2未満の熱放出を有する、複合サンドイッチ構造体。
【請求項10】
前記さらなる熱可塑性層が、複数のガラス繊維を
含む、
請求項
9記載の複合サンドイッチ構造体。
【請求項11】
ポリエーテルイミドポリマー
と複数のガラス繊維とを含む少なくとも1つの熱可塑性層であって、積層体の最外層である少なくとも1つの熱可塑性層と、
エポキシ-ポリウレタン樹脂と複数のガラス繊維または複数の炭素繊維とを含む第1の熱硬化性層と、
エポキシ-ポリウレタン樹脂と複数のガラス繊維または複数の炭素繊維とを含む第2の熱硬化性層と、
前記第1の熱硬化性層と前記第2の熱硬化性層との間に配置されたコアであって、複数のセルを含むコアと
を含む積層体を形成するステップと、
前記積層体を金型内でプレスするステップと、
前記積層体を硬化させて60kW
*分/m
2未満の熱放出を有する複合サンドイッチを形成するステップと
を含む、複合材を製造する方法。
【請求項12】
積層体を形成するステップが、熱硬化性樹脂をガラス繊維織物に塗布して、前記第1の熱硬化性層または前記第2の熱硬化性層のうちの1つ以上を形成するステップを含む、請求項
11記載の方法。
【請求項13】
積層体を形成するステップが、前記少なくとも1つの熱可塑性層を予備成形し、前記第1の熱硬化性層、前記コア、およびその上の前記第2の熱硬化性層を予備成形された熱可塑性層の上に配置するステップを含む、請求項
11記載の方法。
【請求項14】
前記少なくとも1つの熱可塑性層が、第1の熱可塑性層を含み、かつ
前記第1の熱硬化性層を前記第1の熱可塑性層の上に配置する、
請求項
11記載の方法。
【請求項15】
前記複数のセルが、平行してまとめて結合された複数のチューブまたは発泡体のうちの1つ以上を含む、請求項
14記載の方法。
【請求項16】
前記第1の熱硬化性層が、200グラム/平方メートル(「gsm」)の密度を有する複数のガラス繊維を含み、かつ前記第2の熱硬化性層が、300gsmの密度を有する複数の炭素繊維を含む、請求項
14記載の方法。
【請求項17】
前記少なくとも1つの熱可塑性層が、第1の熱可塑性層と、前記第1の熱可塑性層の上に配置された第2の熱可塑性層とを含み、かつ前記第1の熱可塑性層が、前記積層体における最外層であり、
前記第1の熱硬化性層を前記第2の熱可塑性層の上に配置し、かつ
前記複数のセルが、平行してまとめて結合された複数のチューブまたはポリメタクリルイミドベースの発泡体のうちの1つ以上を含む、
請求項
11記載の方法。
【請求項18】
前記第2の熱可塑性層が、ポリエーテルイミド樹脂中の複数の繊維を
含む、
請求項
17記載の方法。
【請求項19】
前記少なくとも1つの熱可塑性層が、第1の熱可塑性層と、前記第2の熱硬化性層の上に配置された第2の熱可塑性層とを含み、前記第1の熱可塑性層が、前記積層体における最外層であり、かつ前記第2の熱可塑性層が、前記積層体における最内層であり、
前記第1の熱硬化性層を前記第1の熱可塑性層の上に配置し、かつ
前記コアを前記第1の熱硬化性層の上に配置し、かつ前記複数のセルが、平行してまとめて結合された複数のチューブまたは発泡体のうちの1つ以上を含み、
前記第2の熱硬化性層を前記コア上に配置し、かつ
前記第2の熱可塑性層を前記第2の熱硬化性層の上に配置する、
請求項
11記載の方法。
【請求項20】
前記第1の熱可塑性層と前記第1の熱硬化性層との間に配置された第3の熱可塑性層と、
前記第2の熱可塑性層と前記第2の熱硬化性層との間に配置された第4の熱可塑性層と
をさらに含む、請求項
18記載の方法。
【請求項21】
前記第3の熱可塑性層および前記第4の熱可塑性層が、複数の繊維を内部に含む、請求項
20記載の方法。
【請求項22】
前記コアが、前記積層体を前記金型内でプレスする前に、5mm以下の厚さを有する、請求項
11記載の方法。
【請求項23】
前記コアが、前記積層体を前記金型内でプレスする前に、4mmの厚さを有する、請求項
11記載の方法。
【請求項24】
前記複合サンドイッチが、30kW
*分/m
2未満の熱放出を有する、請求項
11記載の方法。
【請求項25】
前記積層体を金型内でプレスするステップが、前記積層体を加熱された金型内でプレスするステップを含む、請求項
18記載の方法。
【請求項26】
前記積層体を硬化させて前記複合サンドイッチを形成するステップが、前記積層体を前記金型内でプレスしながら前記積層体を加熱するステップ、または前記積層体を前記金型内でプレスした後に前記積層体を周囲温度まで冷却するステップのうちの1つ以上を含む、請求項
18記載の方法。
【請求項27】
前記金型が、通信機器用パネル、外部ボディ用パネル、内部ボディ用パネル、フレーム、ダッシュボード、モールディング、シート部材、テーブル、トレイ、または収納容器を形成するように構成されている、請求項
11記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2018年11月19日に出願された米国仮出願第62/769,446号に対する優先権を主張するものであり、その開示は、この参照によってその全体が本明細書に援用される。
【0002】
背景技術
複合部材は、従来の製造方法と比較して、重量を大幅に削減し、燃料効率を改善し、かつ炭素排出量を削減することができる。複合材は、樹脂に埋め込まれた炭素繊維またはガラス繊維を含み得る。現在、複合部材は、多くの場合、樹脂トランスファー成形(RTM)、シート成形などを含む従来の成形プロセスによって製作されている。複合部材は、予め含浸させた繊維(「プリプレグ」)からも形成することができ、プリプレグを硬化させるためにオーブンまたはオートクレーブを必要とする場合がある。伝統的に、繊維強化複合部材は、いくつかの理由から、金属部材と比較してコスト競争力がない。まず、高圧RTMには、比較的費用のかかる機器、およびポリマー樹脂を流して繊維に含浸させて表面欠陥(例えば、ピンホールまたは不所望な多孔性)を低減させるための高圧が必要とされ得る。RTM部品の製造収率は、表面欠陥を原因として比較的低い。
【0003】
複合部品は、その内部の1つ以上の材料に応じて、さまざまな熱放出値を呈する。熱放出は、複合部材を燃焼させて、部材の燃焼時に発生する熱量をモニタリングすることによって特定することができる。しばしば、比較的低い熱放出性を有する複合部材が望まれる場合、フェノール樹脂が複合部材において使用される。
【0004】
製造業者は、複合部材を形成するための材料、工具、および製造技術を探し続けている。
【0005】
発明の概要
本明細書に開示されている実施形態は、高い曲げ剛性および低い熱放出特性を有する複合構造体に関する。一実施形態では、複合サンドイッチ構造体が開示されている。複合サンドイッチ構造体は、高温熱可塑性ポリマーを含む熱可塑性層を含む。複合サンドイッチ構造体は、熱可塑性層の上に配置された第1の熱硬化性層を含む。複合サンドイッチ構造体は、第1の熱硬化性層の上に配置されたコアであって、複数のセルを含むコアを含む。複合サンドイッチ構造体は、第1の熱硬化性層の実質的に反対側でコア上に配置された第2の熱硬化性層を含む。複合サンドイッチ構造体は、60kW*分/m2未満の熱放出を有する。
【0006】
一実施形態では、複合サンドイッチ構造体が開示されている。複合サンドイッチ構造体は、高温熱可塑性ポリマーを含む熱可塑性層を含む。複合サンドイッチ構造体は、熱可塑性層の上に配置された第1の熱硬化性層を含む。複合サンドイッチ構造体は、第1の熱硬化性層の上に配置されたコアであって、複数のセルを含むコアを含む。複合サンドイッチ構造体は、第1の熱硬化性層の実質的に反対側でコア上に配置された第2の熱硬化性層を含む。複合サンドイッチ構造体は、高温熱可塑性ポリマーを含むさらなる熱可塑性層を含む。複合サンドイッチ構造体は、60kW*分/m2未満の熱放出を有する。
【0007】
一実施形態では、複合サンドイッチ構造体が開示されている。複合サンドイッチ構造体は、高温熱可塑性ポリマーを含む熱可塑性層を含む。複合サンドイッチ構造体は、熱可塑性層の上に配置されたさらなる熱可塑性層であって、高温熱可塑性ポリマーを含むさらなる熱可塑性層を含む。複合サンドイッチ構造体は、さらなる熱可塑性層の上に配置された第1の熱硬化性層を含む。複合サンドイッチ構造体は、第1の熱硬化性層の上に配置されたコアであって、複数のセルを含むコアを含む。複合サンドイッチ構造体は、第1の熱硬化性層の実質的に反対側でコア上に配置された第2の熱硬化性層を含む。複合サンドイッチ構造体は、60kW*分/m2未満の熱放出を有する。
【0008】
一実施形態では、複合材を製造する方法が開示されている。この方法は、積層体を形成することを含む。積層体は、高温熱可塑性ポリマーを含む少なくとも1つの熱可塑性層であって、積層体の最外層である少なくとも1つの熱可塑性層を含む。積層体は、第1の熱硬化性層を含む。積層体は、第2の熱硬化性層を含む。積層体は、第1の熱硬化性層と第2の熱硬化性層との間に配置されたコアであって、複数のセルを含むコアを含む。この方法は、積層体を金型内でプレスすることを含む。この方法は、積層体を金型内で硬化させて60kW*分/m2未満の熱放出を有する複合サンドイッチを形成することを含む。
【0009】
一実施形態では、モノリス複合材が開示されている。モノリス複合材は、複数の繊維および高温熱可塑性樹脂を内部に有する少なくとも1つの熱可塑性層であって、60kW*分/m2未満の熱放出を呈する少なくとも1つの熱可塑性層を含む。
【0010】
一実施形態では、モノリス複合材を製造する方法が開示されている。この方法は、高温熱可塑性樹脂および複数の繊維を内部に有する少なくとも1つの熱可塑性層を含む積層体を形成することを含む。この方法は、積層体を選択した形状に形成することを含む。この方法は、積層体を硬化させて60kW*分/m2未満の熱放出を有するモノリス複合材を形成することを含む。
【0011】
開示されているいずれかの実施形態からの特徴は、限定されることなく、互いに組み合わせて使用することができる。さらに、本開示の他の特徴および利点は、以下の詳細な説明および添付の図面を考慮することによって、当業者に明らかになるであろう。
【0012】
図面には、本発明のいくつかの実施形態が図示されており、同一の参照番号は、図面に示される異なる図または実施形態における同一または類似の要素または特徴を指す。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】一実施形態による複合サンドイッチの等角図である。
【
図2】一実施形態による複合サンドイッチの側断面図である。
【
図3】一実施形態による複合サンドイッチの側断面図である。
【
図4】一実施形態による複合サンドイッチの側断面図である。
【
図5】一実施形態によるモノリス複合材の側断面図である。
【
図6】一実施形態によるシートバックの等角図である。
【
図8】一実施形態による複合材を製造する方法のフローチャートである。
【
図9】一実施形態によるモノリス複合材を製造する方法のフローチャートである。
【0014】
詳細な説明
本明細書に開示されている実施形態は、熱硬化性層に接合された熱可塑性層を含む複合構造体に関する。より具体的には、実施形態は、ポリマー樹脂の組成および特性の組み合わせ、ポリマー樹脂を塗布して繊維強化複合構造体を形成するための装置および方法、ならびにポリマー樹脂を含有する繊維強化複合構造体に関する。繊維強化複合構造体における隣接する層内のポリマー樹脂としては、熱硬化性樹脂および熱可塑性樹脂がそれぞれ挙げられる。本明細書に開示されている熱可塑性樹脂およびこれを有する層は、複合構造体の最外(例えば、前向き)表面に配置されたとき、またはその近くに配置されたときに優れた熱放出特性をもたらす。複合構造体としては、複合サンドイッチ、複合積層板、モノリス複合材などが挙げられ得る。
【0015】
エポキシマトリックス中の炭素繊維のような従来の複合積層板は、比較的高い燃焼性および熱放出性を有する。一般に、比較的低い熱放出性を有する複合部材が望まれる場合、不活性であることから、フェノール樹脂が複合部材において使用される。これは、低い熱放出性を得るために選択される伝統的な材料であった。しかしながら、フェノール類は、比較的低い機械的特性を有する。本明細書に開示されている少なくとも熱可塑性層を有する複合構造体は、熱放出特性を犠牲にすることなく、より良好な機械的特性をもたらす。
【0016】
多くの場合、熱硬化性樹脂ベースの複合積層板の層によっては、審美的に好ましい表面は作製されない。例えば、熱硬化性樹脂層は、表面欠陥(例えば、ピンホール欠陥)、不十分な色の均一性、または他の欠陥を被る場合がある。したがって、通常、熱硬化性層を有する複合材を塗装するか、またはステッカー(例えば、ビニール)を表面に付与して、選択した外観をもたらす。しかしながら、そのような塗料またはステッカーは、熱硬化性層を傷付ける可能性またはこれから剥がれる可能性がある。
【0017】
熱可塑性物質は、選択した表面仕上げをより容易にもたらす傾向があり、また、着色剤が内部に含まれている場合、良好な彩度および均一性を可能にする。しかしながら、熱可塑性物質は、通常、熱硬化性物質に直接接合しない。例えば、本明細書に開示されている熱硬化性物質は、ポリアミド、ポリエチレン(例えば、LDPEまたはHDPE)、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリメチルメタクリル酸(PMMA)などのような熱可塑性物質に容易に接合しないエポキシのような成分を含み得る。構造部材の場合、熱可塑性物質の比較的低い機械的強度(例えば、剛性、弾性率など)を理由に、熱可塑性物質を内部に含めることは望ましくなかった。さらに、ほとんどの熱可塑性物質は融点が比較的低いので、一部の用途では熱可塑性物質が望ましくなくなる場合がある。しかしながら、本明細書に開示されている熱硬化性樹脂は、熱可塑性物質に容易に接合するポリウレタン含有混合物を含むので、それによって、本明細書に開示されている熱可塑性層に結合した熱硬化性層を含む複合積層板(例えば、サンドイッチまたはモノリス)構造体は、軽量で強くなり、かつ色およびテクスチャのうちの1つ以上が調整された表面仕上げを有するようになる。
【0018】
熱可塑性層と熱硬化性層との組み合わせは、複合サンドイッチ構造体(例えば、複合積層板)において使用され得る。本明細書に開示されている複合サンドイッチは、1つ以上の熱可塑性層を含む。そのような熱可塑性層は、高温熱可塑性ポリマーを含む。いくつかの例では、少なくとも1つの熱可塑性層は、コアの上方に、例えば、コアよりも複合サンドイッチの最外表面の近くに配置される場合がある。いくつかの例では、複合サンドイッチは、熱可塑性層の下に、例えば、コアの片側または両側に配置された少なくとも1つの熱硬化性層を含む場合がある。いくつかの例では、複合サンドイッチは、複合サンドイッチの最内表面の近く(例えば、最外表面の実質的に反対側)に配置されたさらなる熱可塑性層を含み得る。さまざまな実施形態が以下に開示される。
【0019】
図1は、一実施形態による複合サンドイッチ100の等角図である。複合サンドイッチ100は、少なくとも1つの熱可塑性層110と、コア120と、少なくとも1つの熱硬化性層130および/または140とを含み得る。少なくとも1つの熱可塑性層110は、少なくとも1つの熱硬化性層130の上に配置され得る。少なくとも1つの熱硬化性層130は、コア120の上に配置され得る。コア120は、少なくとも1つの熱硬化性層140の上に配置され得る。1つ以上の実施形態では、複合サンドイッチ100の層は、さらなる層(例えば、さらなる熱可塑性層、さらなるコア、さらなる熱硬化性層、アルミニウム層、塗料など)をさらに含んでいても、または図示されている層のいずれかを省略してもよい。
【0020】
図示されているように、少なくとも1つの熱可塑性層110は、複合サンドイッチ100の最外層であり得る。したがって、熱可塑性層110は、複合積層板構造体の最外表面のような、複合サンドイッチ100の表面112を形成し得る。したがって、熱可塑性層110は、複合積層板構造体の外側表面に、色またはテクスチャのような選択した外観を与え得る。熱可塑性層110は、1つ以上の熱可塑性成分を含む熱可塑性樹脂を含み得る。例えば、熱可塑性層110は、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ペルフルオロアルコキシ(PFA)、ポリフルオロエチレンプロピレン(FEP)、ポリエチレンテレフタレート/ポリブチレンテレフタレート(PET/PBT)、他の高温熱可塑性物質(例えば、200℃超の融点を有する熱可塑性物質)、または200℃超の融点を有する前述のもののいずれかの誘導体のうちの1つ以上を含み得る。熱可塑性物質は、液体または固体の形態で用意され得る。例えば、熱可塑性物質は、融点への加熱前は、粉末、結晶体、粒子、ビーズ、球体(pearls)、シート、棒、予め含浸させた繊維層(例えば、プリプレグ)などであり得る。いくつかの例では、熱可塑性物質は、熱可塑性物質の融点を上回るなどの液体形態で、またはポリマー溶液もしくは樹脂で用意され得る。
【0021】
熱可塑性層110は、本明細書に開示されている熱可塑性物質のいずれかまたはそれらの組み合わせを保持または支持する複数の繊維を含み得る。いくつかの例では、複数の繊維は、ポリマーマトリックス(例えば、熱可塑性樹脂)に埋め込まれ得る。複数の繊維としては、繊維シート、繊維マット、繊維織物、繊維ウィーブ(fiber weave)、多層繊維シート、連続繊維、整列繊維、不連続繊維などが挙げられ得る。いくつかの例では、配向または整列した連続繊維は、不連続繊維よりも高い性能を有する場合があり、織られた繊維のような不連続繊維よりも審美的に魅力的であり得るが、コストがより高い。配向した連続繊維を含む熱可塑性層は、不連続繊維を含む熱可塑性層ほど伸長することができない。不連続繊維は、低コストの再生ガラス繊維、ポリマー繊維、または炭素繊維であり得る。例えば、樹脂トランスファー成形(RTM)または他の供給源からの廃棄物である再生炭素繊維が使用され得る。例えば、炭素繊維は、乾燥したNCF廃棄物から35mmの繊維に切断され、次いで、少なくとも約200g/m2の面密度を有するランダム配向した繊維シートに形成され得る。
【0022】
繊維としては、炭素繊維、ガラス繊維、またはプラスチック繊維、例えば、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)などが挙げられ得る。いくつかの例では、ガラス繊維は、熱可塑性層を形成する際に、炭素繊維よりも経済的な選択肢となり得る。さらに、ガラス繊維は、加熱およびプレスされる際に、熱可塑性繊維ほど変形し得ない(例えば、伸長し得ないまたは曲がり得ない)。例えば、複合積層板構造体中のプラスチック繊維は、成形/硬化プロセス中に、ガラス繊維よりもはるかに伸長し、かつ曲がるであろう。
【0023】
いくつかの例では、複数の繊維としては、ガラス織物、ポリマー織物、または炭素繊維織物が挙げられ得る。織物は、非圧着織物(NCF)または織布であり得る。いくつかの例では、NCFは、二軸構成を有し得る(例えば、相対的な0°および90°の角度で配置された繊維)。二軸NCFは、二方向の強度および剛性と、柔軟な強度および剛性とを有する。NCFは、高荷重領域において、熱可塑性物質のみよりも大きな引抜荷重または引張強度を与えることができる。NCFは、複合コアからのプリントスルー(print-through)を低減させることもできる。繊維織物は、1つ以上の繊維層を内部に有し得る。
【0024】
いくつかの例では、熱可塑性層110内の複数の繊維は、約50g/m2以上、80g/m2以上、100g/m2以上、例えば、約150g/m2~約500g/m2、約175g/m2~約350g/m2、約200g/m2、約220g/m2、約300g/m2、または約500g/m2未満の質量または重量を有し得る。いくつかの例では、熱可塑性層110(または他の選択した1つ以上の層)内の複数の繊維は、複合材をさらに強化するために、さらなる繊維層(例えば、約300g/m2の質量または重量を有するNCF)を含む場合がある。さらなる繊維層は、第1の層とは別になっていても、または第1の繊維層と同じポリマーマトリックスに埋め込まれていてもよい。
【0025】
複数の繊維は、熱可塑性層110の少なくとも10重量%、例えば、熱可塑性層110の10重量%~90重量%、20重量%~80重量%、30重量%~70重量%、40重量%~60重量%、10重量%~30重量%、30重量%~60重量%、60重量%~90重量%、33重量%~66重量%、63重量%~80重量%、90重量%未満、70重量%未満、50重量%未満、または30重量%未満を占め得る。熱可塑性物質(樹脂)は、熱可塑性層110の少なくとも10重量%、例えば、熱可塑性層110の10重量%~90重量%、20重量%~80重量%、30重量%~70重量%、40重量%~60重量%、10重量%~30重量%、30重量%~60重量%、60重量%~90重量%、90重量%未満、70重量%未満、50重量%未満、または30重量%未満を占め得る。いくつかの例では、熱可塑性層110内で33重量%未満の熱可塑性物質を使用し、残りがガラス繊維のような繊維を含むことが望ましい場合がある。そのような例では、外層内に33重量%未満の熱可塑性樹脂を含有する複合サンドイッチ構造体の熱放出性は、非常に低くなり得る(例えば、30kW*分/m2未満)。
【0026】
いくつかの例では、熱可塑性層110は、ハードナー、フィラー、着色剤などのような1つ以上のさらなる材料も含み得る。例えば、熱可塑性層110のポリマー樹脂(例えば、熱可塑性樹脂)は、選択した色を熱可塑性層110に与えるために、着色剤(例えば、顔料)を含み得る。いくつかの例では、熱可塑性層110は、熱可塑性樹脂のような1つ以上の熱可塑性材料のみを含有する場合がある。
【0027】
熱可塑性層は、約0.01mm超、例えば、0.01mm~5mm、0.1mm~1mm、0.05mm~0.5mm、0.05mm~0.3mm、0.3mm~0.6mm、0.6mm~1mm、5mm未満、2mm未満、または1mm未満の厚さを有し得る。いくつかの例では、熱可塑性層110は、層全体にわたって均一な厚さを有しない場合がある。
【0028】
いくつかの例では、熱可塑性層110は、予備成形された物体として提供される場合がある。例えば、PEIは、比較的高い融点を有し、1つ以上の熱硬化性層130または140と接合する前に、硬化させて中間形状または最終形状を形成することができる。そのような例では、予備成形された熱可塑性層110または1つ以上の熱硬化性層130もしくは140(以下に論じる)のうちの1つ以上で金型の隅をより容易に満たすことができる。
【0029】
熱可塑性層110は、熱硬化性層130の上に配置され得る。熱可塑性層110は、熱硬化性層130に結合され得る。例えば、熱硬化性層130のポリマー樹脂中の成分(例えば、ポリウレタン)は、熱可塑性層110の熱可塑性物質(例えば、PEI樹脂)に接合され得る。いくつかの例では、熱可塑性層110を接合前に削って、まだ硬化していない熱硬化性層130に接合するための粗い表面を形成する場合がある。いくつかの例では、表面112のテクスチャは、滑らかな外観、粗い外観、革の外観、または任意の他のテクスチャ外観のような所望の外観をもたらすように選択的に形成され得る。
【0030】
熱硬化性層(例えば、熱硬化性樹脂含有層)130は、複数の繊維上に配置された熱硬化性樹脂を含み得る。熱硬化性層130は、比較的低い粘度を有する1つ以上の熱硬化性物質と比較的高い粘度を有する1つ以上の熱硬化性物質とのポリマー樹脂混合物を含み得る。例えば、熱硬化性層130は、ポリウレタンおよびエポキシを含むポリマー(例えば、熱硬化性)樹脂を含み得る。熱硬化性樹脂は、室温で比較的低い粘度(例えば、約40mPa・s以下)を有し得る。以下でより詳細に説明されるいくつかの例では、熱硬化性層130の熱硬化性樹脂は、少なくとも1つのハードナー、少なくとも1つの第VIII族金属材料、少なくとも1つのフィラー材料、または少なくとも1つの熱可塑性物質のうちの1つ以上を含み得る。熱硬化性樹脂の粘度が比較的低いことは、主に低粘度の熱硬化性物質(例えば、ポリウレタン、例えば、室温で約150センチポアズの粘度を有するポリウレタン)に起因し得る。なぜなら、熱硬化性樹脂の成分(例えば、エポキシ)は、一般に、低粘度の熱硬化性物質よりも比較的高い粘度を有するからである。ポリウレタンの粘度は、約30~40mPa・sであり得て、エポキシの粘度は、約50~70mPa・s(または特定の場合には約15mPa・s)であり得る。いくつかの例では、熱硬化性層130の熱硬化性樹脂は、熱硬化性層が熱硬化性物質として機能する限り、例えば少量(例えば、50重量%または体積%未満)で、1つ以上の熱可塑性成分(例えば、樹脂)を内部に含み得る。
【0031】
熱硬化性(ポリマー)樹脂は、エポキシとポリウレタンとの液体ブレンドまたは混合物を含み得る。いくつかの例では、熱硬化性樹脂は、硬化剤またはハードナーを含む最大約50体積%のエポキシ、約20体積%までの第VIII族金属材料を含み得て、残りの体積はポリウレタンであり得る。エポキシは、混合されると、(例えば、熱的および/または化学的に)ポリウレタンと反応することができる。エポキシの量が特定量(例えば、約40体積%)を上回ると、不所望な反応が起こるおそれがあり、それによって、不所望な熱および/または制御されていない発泡が引き起こされる可能性がある。いくつかの例では、熱硬化性層のポリマー樹脂(熱硬化性樹脂)は、約50体積%未満のエポキシ、例えば、約40体積%のエポキシ、約5体積%~約40体積%、約10体積%~約35体積%、約20体積%~約30体積%、約20体積%~約40体積%、約25体積%~約35体積%、約28体積%~約32体積%、約20体積%、約25体積%、約35体積%、または約30体積%のポリマー樹脂を含み得る。いくつかの例では、熱硬化性樹脂は、約30体積%未満のエポキシを含み得る。いくつかの例では、熱硬化性樹脂は、約20体積%未満のエポキシを含み得る。いくつかの例では、熱硬化性樹脂は、約10体積%未満のエポキシを含み得る。いくつかの例では、熱硬化性樹脂のポリウレタンとエポキシとの比は、約1:1以上、例えば、約2:1、約2.5:1、約3:1、約3.5:1、約4:1、約5:1、約7:1、または約9:1であり得る。いくつかの例では、熱硬化性樹脂は、約50体積%超のエポキシを含み得て、残りはポリウレタンを含み得る。
【0032】
熱硬化性層130の熱硬化性樹脂中のポリウレタンは、熱可塑性層110の熱可塑性物質のような、複合サンドイッチ100における隣接する材料に接合をもたらすことができる。例えば、ポリウレタンは、PEIへの強い接合を形成する。したがって、熱硬化性物質中のポリウレタンは、熱可塑性層(例えば、スキン)および熱可塑性コア(例えば、PEIチューブ)の双方に強い接合を形成することができる。
【0033】
熱硬化性樹脂によって、ポリウレタンフォーム(例えば、マイクロフォーム)の形成が可能になり得て、それによって、複合サンドイッチのコアへの複合積層板の接合を向上させることができる。本明細書のいくつかの例では、内部の1つ以上の成分(例えば、反応してマイクロフォームを形成するポリウレタン)などによって発泡の程度を選択することが、熱硬化性物質の熱硬化性樹脂において望まれる場合がある。熱硬化性樹脂中のポリウレタンが発泡すると、フォーム(例えば、マイクロフォーム)は、コア120のセルまたはチューブに浸透し、それによって、コア120との化学的および機械的な接合のうちの一方または双方を形成することができる。そのような浸透は、コア120の開放端部で起こり得て、開放端部から内側への少なくとも部分的な浸透を含み得る。本開示に従って形成された複合サンドイッチ構造体の複合スキン(例えば、熱硬化性層)は、本明細書に開示されている熱硬化性樹脂なしで形成された複合スキンほど容易には本明細書に開示されているコアから剥離しないことが見出された。
【0034】
ポリウレタンとエポキシとの混合物のような熱硬化性樹脂は、その内部の1つ以上の物質の特性に基づいて、硬化後に耐水性であり得る。一般に、一方の熱硬化性物質(例えば、ポリウレタンマイクロフォーム)は、水透過性を有し得るが、別の熱硬化性物質(例えば、エポキシ)は、耐水性を有し得る。したがって、熱硬化性層の熱硬化性樹脂は、耐水性熱硬化性物質が十分な量で使用されている場合、耐水性であり得るか、または水を密封することができる。例えば、ポリウレタン/エポキシ熱硬化性樹脂中のエポキシの量が約28体積%超(例えば、30体積%)である場合、熱硬化性層は、実質的に耐水特性を呈し得る。
【0035】
エポキシは、一般に、ポリウレタンよりも短い貯蔵寿命を有する。いくつかの例では、エポキシは、使用のわずか数時間前に混合される場合がある。反対に、ポリウレタンは、一般に、エポキシよりも長い貯蔵寿命を有し、イソシアネートの化学的性質に基づいており、調整可能な貯蔵寿命およびスナップ硬化能力(snap cure capabilities)を有する場合がある。いくつかの例では、ポリウレタンまたはエポキシは、1つ以上の難燃性成分を含み得る。例えば、熱硬化性樹脂は、フェノールエポキシまたはその等価物を含み得る。
【0036】
いくつかの例では、熱硬化性樹脂は、少なくとも1つの硬化剤またはハードナーを含み得て、ハードナーは、熱硬化性樹脂の1つ以上の成分を硬化させるように構成され得る。例えば、熱硬化性樹脂がエポキシおよびポリウレタンを含む場合、熱硬化性樹脂は、エポキシまたはポリウレタンのうちの一方または双方のためのハードナーを含み得る。いくつかの例では、特に、少なくとも1つのハードナーは、熱硬化性樹脂の1つの成分のみが硬化するように構成され得る。適切なハードナーとしては、エポキシ用のアミンベースのハードナー、ポリウレタン用のポリイソシアネート含有ハードナー、または本明細書に開示されている熱硬化性樹脂の1つ以上の成分を硬化させるのに適した任意の他のハードナーが挙げられ得る。例えば、少なくとも1つのハードナーとしては、エポキシ用のアミンベースのハードナーおよびポリウレタン用のポリイソシアネート含有ハードナーが挙げられ得る。一例では、少なくとも1つのハードナーは、熱硬化性樹脂またはその成分(例えば、エポキシまたはポリウレタン)の約1:100~約1:1、約1:100~約1:25、約1:25~約1:5、約1:10~約1:3、または約1:5~約1:3の体積比で存在し得る。例えば、エポキシは、熱硬化性樹脂の約10体積%~約35体積%であり得て、少なくとも1つのハードナーは、熱硬化性樹脂またはその成分の約1:100~約1:3の体積比(例えば、ハードナーと樹脂との比またはハードナーとエポキシとの比は1:5)で存在し得て、ポリウレタンは、熱硬化性樹脂の残りの少なくとも一部を占め得る。少なくとも1つのハードナーは、熱硬化性樹脂を塗布するのに必要な時間に応じて、所望の時間で、例えば、約3時間以下、約2時間以下、約1時間以下、約30分以下、約20分以下、約15分以下、または約10分以下で熱硬化性樹脂を硬化させる(例えば、少なくとも部分的に硬化させる)のに十分な量で構成または使用され得る。硬化剤またはハードナーは、熱硬化性樹脂またはその成分1部あたりの硬化剤またはハードナーの比が約1:100部~約1:3部で、熱硬化性樹脂中に存在し得る。いくつかの例では、ハードナーは、約50℃以上、例えば、約50℃~約150℃、約70℃~約120℃、または約70℃~約90℃、または約70℃以上で硬化を開始するように構成され得る。
【0037】
いくつかの例では、熱硬化性樹脂はまた、1つ以上の熱硬化性物質と熱可塑性物質とのブレンド、例えば、エポキシ、ポリウレタン、および熱可塑性繊維のうちの1つ以上からの混合物を含み得る。熱可塑性物質は、硬化した複合部品に靭性または弾性を与えるために含まれ得る。適切な熱可塑性物質は、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)もしくは別のポリアリールエーテルケトン、またはアクリルのうちの1つ以上を含み得る。熱可塑性物質は、熱硬化性樹脂の約1体積%~約20体積%に相当し得る。例えば、エポキシは、熱硬化性樹脂の約10体積%~約35体積%であり得て、熱可塑性物質は、熱硬化性樹脂の約1体積%~約20体積%であり得て、ポリウレタンは、熱硬化性樹脂の残りを占め得る。いくつかの例では、エポキシは、熱硬化性樹脂の約25体積%~約35体積%であり得て、熱可塑性物質は、熱硬化性樹脂の約3体積%~約15体積%であり得て、ポリウレタンは、熱硬化性樹脂の残りを占め得る。通常、ガラス繊維と比較して費用がかかるが、熱硬化性層に埋め込まれた熱可塑性材料を伸長させることが成形中に望まれる場合、熱可塑性繊維が望ましいであろう。特に、ガラス繊維および炭素繊維は、成形中に伸長しない。いくつかの例では、伸長に対するそのような抵抗が望まれる場合がある。
【0038】
エポキシとポリウレタンとの間に不所望なまたは制御されていない反応(例えば、制御されていない発泡)を引き起こすのに十分なエポキシの体積パーセントまたは比は、第VIII族金属材料を添加することによって変化し得る。第VIII族金属材料は、熱硬化性樹脂中のエポキシとポリウレタンとの反応を安定化または仲介する役割を果たし得る。第VIII族金属材料としては、特に、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、鉄(Fe)、これらのうちの1つ以上を含むセラミック(例えば、フェライト)、またはこれらのいずれかを含む合金が挙げられ得る。第VIII族金属材料は、熱硬化性樹脂の20体積%以下、例えば、熱硬化性樹脂の体積の約0.1%~約20%、約0.5%~約10%、約1%~約5%、約2%、約3%、または約4%以下であり得る。いくつかの例では、第VIII族金属材料は、熱硬化性樹脂の約15体積%未満、約10体積%未満、約5体積%未満、または約1体積%未満であり得る。第VIII族金属材料を熱硬化性樹脂に添加することによって、所望の表面硬さがもたらされるほどに、および/または実質的に水密の表面が作製されるほどに、内部のエポキシの量を増加させることができる。例えば、熱硬化性樹脂中のエポキシの体積パーセントが約25%超に増加すると、硬化した複合材は水密性を呈し始め得る。最終製品において水密性が望まれる場合、熱硬化性樹脂は、約28体積%以上のエポキシ、例えば、約30体積%以上、約30体積%~約50体積%、約32体積%~約40体積%、または約35体積%のエポキシを含み得る。熱硬化性樹脂中のエポキシの量が増加する際、得られる複合材料におけるピンホールまたは微細孔を低減または実質的に排除するために、第VIII族金属材料を添加して発泡を低減または制御してもよい。第VIII族金属材料は、熱硬化性樹脂を安定化させるのに役立ち得るが、第VIII族金属材料は、熱硬化性樹脂および複合部材のコストを増加させたり、または熱硬化性樹脂の粘度を増加させたりする場合がある。
【0039】
いくつかの例では、硬化中の収縮を低減させるために、1つ以上のフィラーが熱硬化性樹脂混合物に添加され得る。例えば、超速硬化エポキシが選択される場合、速硬化エポキシは、約7体積%など、硬化のより遅いエポキシよりも高い収縮率を呈し得る。いくつかの例では、熱硬化性樹脂中に1つ以上のフィラーを用いることによって、同樹脂におけるそのような収縮を低減させることができる。そのようなフィラーとしては、炭酸カルシウム、三水酸化アルミニウム、アルミナ粉末、シリカ粉末、ケイ酸塩、金属粉末、または(熱硬化性樹脂中において)任意の比較的不活性もしくは不溶性の塩のうちの1つ以上が挙げられ得る。フィラー材料が過剰になると、硬化した複合材が不所望な脆性を呈する場合がある。したがって、熱硬化性樹脂中のフィラー材料の量を厳密に制御することが望ましい。いくつかの例では、フィラーは、熱硬化性樹脂の体積の約30%以下、例えば、熱硬化性樹脂の体積の約1%~約30%、約2%~約20%、約5%~約15%、約10%~約30%、約1%~約10%、0%超~約10%、約1%~約7%、約3%~約9%、約10%未満、約25%、10%超(例えば、50%~75%)であり得る。例えば、熱硬化性樹脂は、ポリウレタン、エポキシ、および少なくとも1つのフィラー材料を含み得て、エポキシは、ポリマー樹脂の約10体積%~約35体積%であり、少なくとも1つのフィラー材料は、ポリマー樹脂の約1体積%~約30体積%であり、ポリウレタンは、熱硬化性樹脂の残りの少なくとも一部を占め得る。いくつかの例では、エポキシは、熱硬化性樹脂の約25体積%~約35体積%であり得て、少なくとも1つのフィラー材料は、熱硬化性樹脂の約1体積%~約10体積%または約3体積%~約20体積%であり得て、ポリウレタンは、熱硬化性樹脂の残りの少なくとも一部を占め得る。樹脂が硬化するとき、フィラー材料は、熱硬化性樹脂のように収縮しない。したがって、熱硬化性樹脂の体積がフィラー材料によって置き換えられることによって、得られる複合材料における体積が安定し、それによって、複合材料の全体的な収縮が低減される。そのようなフィラーは、より速い硬化時間を可能にし得る一方で、急速な硬化中に生じることが一般的な収縮を低減させることができる。例えば、本明細書に開示されている熱硬化性樹脂の硬化時間を、約6分以下、例えば、約3分以下、約90秒以下、約60秒、または約40秒に短縮することができる一方で、3体積%未満の収縮率を維持することができる。フィラーは、収縮を低減または排除するのに役立ち得るが、フィラーは、熱硬化性樹脂および複合部材のコストを増加させたり、または熱硬化性樹脂の粘度を増加させたりする場合がある。いくつかの例では、エポキシ、ポリウレタン、熱可塑性物質、第VIII族金属材料、またはフィラー材料のうちの1つ以上の組み合わせは、約3体積%未満の正味収縮率をもたらすように、および/または比較的低い圧力でスプレーチップから噴霧されるほどに十分低い粘度をなおも呈するように構成され得る。
【0040】
ポリウレタン含有熱硬化性物質によって、所望の曲げ抵抗、弾性、低粘度、さまざまな材料に接合する能力、または発泡能力(例えば、複合積層板構造体の形成中にマイクロフォームを形成する能力)のうちの1つ以上を熱硬化性樹脂に与えることができる。エポキシ含有熱硬化性物質によって、所望のエネルギー吸収性または機械的破損プロファイル、例えば、部品の表面に平行な力ベクトルに沿った脆性破壊を熱硬化性樹脂に与えることができる。エポキシ含有熱硬化性物質によって、得られる複合積層板に耐水(例えば、水密)特性を与えることができるか、または高含有量のポリウレタンまたはポリウレタンのみよりも良好な荷重伝達能力(例えば、より硬質な表面)を与えることができる。
【0041】
本明細書に開示されている熱硬化性層(例えば、その内部の熱硬化性樹脂)は、比較的短い硬化時間を有し得る一方で、比較的低い収縮率(例えば、約3%未満)を呈し得る。内部のエポキシは、120℃で5分の硬化時間および約120℃のガラス転移温度(「Tg」)を有し得て、ポリウレタンの硬化時間は、約1時間以上であり得て、Tgは、約250℃未満であり得る。本明細書で使用される場合、「硬化する」または「硬化した」という用語は、少なくとも部分的または完全に硬化するまたは硬化したという意味を含む。
【0042】
熱硬化性層の熱硬化性樹脂は、特に、ポリウレタンのみまたはエポキシのみを有する樹脂よりも高い剛性、強度、弾性率、および硬度を含む、より良好な荷重伝達能力および改善された機械的性能を有し得る。また、熱硬化性樹脂は、硬化していない液体状態から硬化した固体状態への体積収縮率が低く、硬化中に、3%以下、例えば、約1.5%~約3%、約2%~約3%、約2.5%~約3%、または約2.5%であり得る。収縮率が低いことによって、完成した複合部材の寸法制御がより良好になる。
【0043】
熱硬化性層130は、複数の繊維、例えば、複数の繊維または本明細書に開示されているそれらの形態のいずれかを含み得る。例えば、熱硬化性層130内の複数の繊維は、1つ以上の態様について、熱可塑性層110に関して先に開示されている複数の繊維のいずれかと類似または同一であり得る。例えば、少なくとも1つの熱硬化性層130内の複数の繊維および熱可塑性層110内の複数の繊維としては、繊維シートのようなガラス繊維が挙げられ得る。いくつかの例では、熱硬化性層130内の複数の繊維は、1つ以上の態様について、熱可塑性層110内の複数の繊維とは異なり得る。例えば、少なくとも1つの熱硬化性層130内の複数の繊維としては、炭素繊維が挙げられ得て、熱可塑性層110内の複数の繊維としては、ガラス繊維が挙げられ得る。少なくとも1つの熱硬化性層130内の複数の繊維および熱可塑性層110内の複数の繊維は、異なる密度を有し得て、例えば、それぞれ220gsmの繊維シートおよび80gsmの繊維シートであり得る。
【0044】
複数の繊維は、熱硬化性層130の少なくとも10重量%、例えば、熱硬化性層130の10重量%~90重量%、20重量%~80重量%、30重量%~70重量%、40重量%~60重量%、10重量%~30重量%、30重量%~60重量%、60重量%~90重量%、33重量%~66重量%、63重量%~80重量%、90重量%未満、70重量%未満、50重量%未満、または30重量%未満を占め得る。熱硬化性物質(樹脂)は、熱硬化性層130の少なくとも10重量%、例えば、熱硬化性層130の10重量%~90重量%、20重量%~80重量%、30重量%~70重量%、40重量%~60重量%、10重量%~30重量%、30重量%~60重量%、60重量%~90重量%、90重量%未満、70重量%未満、50重量%未満、または30重量%未満を占め得る。
【0045】
熱硬化性層130は、約0.01mm超、例えば、0.01mm~1cm、0.1mm~5mm、0.05mm~0.5mm、0.05mm~0.3mm、0.3mm~0.6mm、0.6mm~1mm、1mm~3mm、2mm~5mm、1cm未満、5mm未満、2mm未満、または1mm未満の厚さを有し得る。いくつかの例では、熱可塑性層110および熱硬化性層130の厚さは、同一であり得る。いくつかの例では、1つ以上の熱硬化性層130(および/または140)は、熱可塑性層110の厚さの少なくとも2倍、例えば、熱硬化性層130の厚さの少なくとも3倍、少なくとも5倍、または少なくとも10倍の厚さを有し得る。いくつかの例では、1つ以上の熱硬化性層130(および/または140)は、1つ以上の層全体にわたって均一な厚さを有しない場合がある。
【0046】
少なくとも1つの熱硬化性層130は、直接的または間接的のいずれかでコア120上に配置されても、またはその逆であってもよい。コア120としては、「軟質」コアまたは「硬質」コア材料のうちの1つ以上が挙げられ得る。「硬質」コアは、コアの一方の端部(例えば、側)からコアのもう一方の端部に荷重を効果的に伝達することができる。例えば、「硬質」コアは、1つ以上のプラスチック材料を含むコアブランクから形成され得て、開放端部を有するセルのような複数のセル(例えば、密集充填された実質的に平行なプラスチックチューブ)を含み得る。複数のセルは、対応する1つ以上のセル壁によって少なくとも部分的に画定され得る(例えば、プラスチック材料によって、セルが任意の数の適切な形状を有し得るハニカム状構造が画定され得る)。いくつかの例では、コアブランクの圧縮可能なセルは、チューブまたはストローによって形成または画定される場合がある。いくつかの例では、セルは、飲用ストローのようなチューブである場合がある(例えば、各ストローによって、コアの対応するセルが画定され得て、隣接するコアによって、それらの間の間隙または空間のさらなるセルが画定され得る)。セルは、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、PEI、または他の熱可塑性物質から形成され得る。熱可塑性ストローは、ポリカーボネートから非常に低コストで商業的に製造可能であり、概ね平行な配置でまとめて固定され得る。ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、PEI、または他のプラスチックをコア120に使用すると、厚紙または板紙のコア材料に見られるよりも、コア120に張力がかかるときの引裂抵抗がより大きくなり得る。いくつかの例では、ハニカム状構造は、非円筒形のチューブから形成された複数の非円筒形のセルによって形成され得る。いくつかの例では、コア120は、共通の壁を共有する複数の共押出しされた熱可塑性チューブを含む一体構造を含み得る。コア120は、複数のセル内に1つより多くの種類または形状のセルを含み得る。複合サンドイッチのコア120(例えば、PEIプラスチックチューブの束)は、シャーシまたはダッシュボードや、シートバックのようなシート部材や、バルクヘッドまたはオーバーヘッドビンのような構造部材などのような自動車部材を製作するのに適切であり得る。
【0047】
代替的にまたは追加的に、硬質コアは、独立気泡フォームのようなフォームを含み得る。フォームは、高密度フォームまたは低密度フォームであり得る。フォームは、ブロック、シート、または他の発泡体のような発泡体であり得る。フォームは、本明細書に開示されている熱硬化性物質または熱可塑性物質のいずれかから製造され得る。いくつかの例では、フォームは、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリメタクリルイミド(PMI)、または熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂のいずれかのような他のポリマーベースのフォームを含み得る。発泡体のフォームは、連続気泡フォームまたは独立気泡フォームであり得る。発泡体のフォームは、フリーライズフォームであり得る。いくつかの例では、グラフェン(例えば、グラフェンシート、フレーク、スプリングなど)、カーボンナノチューブ(例えば、単層または多層カーボンナノチューブ)、またはフラーレンのようなsp2炭素含有材料が、フォームコアの材料内に配置され得る。例えば、グラフェンフレークまたは別のsp2炭素含有材料が、フォームコアのポリマー材料に組み込まれ得る。そのような例では、フォームコア内のsp2炭素含有材料の量は、フォームコアの約30重量%未満、例えば、フォームコアの1重量%~30重量%、1重量%~10重量%、5重量%~15重量%、10重量%~20重量%、20重量%~30重量%、または20重量%未満であり得る。フォームコアを用いる例では、熱硬化性樹脂(例えば、この熱硬化性樹脂から形成されたマイクロフォーム)は、例えば、ポリウレタンを介して、またはフォームのセルへの浸透を介して、フォームコアをさらなる熱硬化性層130に接合することができる。いくつかの例では、フォーム(例えば、発泡体)は、複数のセルに隣接する別々の層として存在する場合がある。いくつかの例では、フォームは、複数のセルへの圧縮などによって、少なくともいくつかの複数のセル内に少なくとも部分的に存在する場合がある。硬質コアによって、複合サンドイッチに高い曲げ剛性を与えることができる。「硬質」コアは、「軟質」コアよりも複合サンドイッチの曲げ剛性を増加させることができる。
【0048】
端部が開放されたプラスチックセルから形成されたもののような「硬質」コア、例えば、チューブまたは飲用ストローは、従来のエポキシを使用して複合積層板(例えば、コア上方の1つ以上の熱硬化性層および/または熱可塑性層)に結合させるのが難しい場合がある。例えば、従来のエポキシを使用すると、複合積層板が「硬質」コアから剥離する可能性が高くなる。本明細書に開示されている例による熱硬化性樹脂は、「硬質」コアを含む複合サンドイッチの剥離の問題を、これに十分な接着性を与えることによって(例えば、開放端部を介してセル内へと少なくとも部分的に延在し得るポリウレタン/エポキシブレンドによって形成されたマイクロフォームとの接着性をより増加させることによって)解決する。いくつかの例では、セルの開放端部は、圧縮、溶融などのうちの1つ以上などによって、複合サンドイッチ構造体の製造中に少なくとも部分的に変形され得る。そのような変形は、コア120に隣接する層内の熱硬化性樹脂をコア120に接着するのに役立ち得る。
【0049】
「硬質」コアとは反対に、「軟質」コアは、荷重がコアの一方の端部にかかったときに、コアの一方の端部からコアの反対の端部に荷重を伝達しない場合があり、例えば、「軟質」コアは、板紙、厚紙、または低密度フォームなどから形成され得る。「軟質」コアは、衝撃がZ軸に沿っている(例えば、複合サンドイッチ100の表面112に概ね垂直である)と仮定すると、垂直方向において(例えば、複合積層板に実質的に垂直な方向において)「硬質」コアよりも多くのエネルギーまたは衝撃を吸収することができる。「硬質」コアは、例えばZ軸に垂直な複合積層板の平面に沿って(例えば、X-Y平面において)、より多くのエネルギーを水平方向において吸収することができる。板紙を含む複合サンドイッチ(図示せず)は、車のフード、自動車の表面パネル(例えば、最小のピンホールまたは多孔度を内部に有するAクラスの表面パネル(A-class surface panels))、航空宇宙用途、消費者製品(例えば、家具)、もしくは建設資材、またはエネルギー吸収が望まれる同様の用途に使用することができる。製造プロセスは、「軟質」コア複合サンドイッチと「硬質」コア複合サンドイッチとで異なり得る。なぜなら、「軟質」コアは、コアに実質的に垂直なベクトルを有する荷重を伝達せず、「硬質」コアも同様であるからである。
【0050】
いくつかの例(図示せず)では、コア120は、コア120(例えば、デュアルコア)の隣接する層内などに、軟質コア材料および硬質コア材料の双方を含み得る。例えば、複合サンドイッチは、複数のセルと、それに平行に延在する板紙とを含み得る。そのような例では、板紙は、音の減衰をもたらすことができ、硬質コアは、板紙よりも多くのエネルギーを吸収することができる。いくつかの例では、「硬質」および「軟質」コア材料は、複合サンドイッチの異なる層内に配置され得る。
【0051】
いくつかの例では、コア120は、約20kg/m3以上、例えば、約20kg/m3~約150kg/m3、約40kg/m3~約100kg/m3、約60kg/m3~約80kg/m3、または約65kg/m3~約75kg/m3の密度を有し得る。コア120は、約100μm~約10cm、約1mm~約5cm、約5mm~約3cm、約250μm~約1cm、約1cm~約5cm、約1mm~約5mm、約5mm~約1cm、約7mm、または約1cmの初期セル高さを有し得る。いくつかの例では、コア120は、約70kg/m3の密度および約7mmのセル高さを有し得る。コア120は、複数の一体的に形成されたチューブ(例えば、まとめて結合された複数の開放端部構造)を含み得て、これらのチューブは、張力、熱、および/または圧力を金型内でかけると、1つ以上の領域においてまとめて曲がるか、または別の様式で変形し得るが、厚紙は、同じ条件下で裂けるおそれがある。いくつかの例では、コア120は、金型の形状に応じて、またこれを含む部品の所望の完成寸法に応じて、その内部の1つ以上の領域において、曲がるか、圧縮するか、または伸長し得る。セルまたはチューブは、例えば、一体的な形成(例えば、まとめて押出しまたは成形)によって、接着剤によって、個別に押し出された後にまとめて接合されるなどの熱接合(例えば、溶融)によって、または任意の他の適切な結合手段によって、まとめて接合され得る。セルまたはチューブは、特定量の熱を加えると、少なくとも部分的に軟化または溶融するように構成され得る。例えば、セルまたはチューブは、得られる複合サンドイッチが少なくとも部分的に金型の形状に適合し得るように、金型内にある間に、軟化または溶融して、少なくとも部分的に圧縮するように構成され得る。圧縮前の各チューブの長さは、これに熱および/または圧力をかけたときに所望の程度の適合性が生じるように選択され得る。例えば、圧縮されたまたは圧縮されていないチューブの長さまたは高さは、約100μm~約10cm、約1mm~約5cm、約5mm~約3cm、約250μm~約1cm、約1cm~約5cm、約1mm~約5mm、約5mm~約1cm、約7mm、または約1cmであり得る。チューブは、実質的に同様の高さおよび/または直径を呈し得る。例えば、チューブは、約1mm以上、例えば、約1mm~約5cm、約3mm~約3cm、約5mm~約1cm、約6mm、約2cm未満、または約1cm未満の直径を呈し得る。本明細書に図示されているセル(例えば、チューブ)は、円形の断面形状を有するが、セルは、その縦軸に沿って見たときに、実質的に多角形の断面形状(例えば、三角形、長方形、五角形など)、楕円形の断面形状、または無定形形状(例えば、定まったパターンを有しないか、または円形と多角形との組み合わせである)を呈していてもよい。セルとは、隣接するセルまたはチューブの間に共通の壁を有する単一の一体構造であると定義され得る。「セル」または「チューブ」という用語が本明細書で使用されているが、いくつかの例では、セルまたはチューブは、1つ以上の閉端部を含み得るか、または多角形(例えば、複数の閉じたまたは開いた五角形のセル)のような管状(例えば、円形)以外の構成、もしくはそれらの間に接続された態様を有しない構成(例えば、バッフル)を呈し得る。
【0052】
いくつかの例では、コア120を、完全に圧縮して固体を形成するか、または部分的に圧縮してコア高さを低減させる場合がある。圧縮されたコア高さは、初期のコア高さの約15%以上、例えば、初期コア高さの約15%~約90%、約25%~約75%、約40%~約60%、約15%~約50%、または約15%であり得る。層の数は、異なる層または材料を内部に有するなど、複合サンドイッチのコア120の上下で異なっていてもよいと理解されるであろう。コア120の寸法および密度は、異なっていてもよく、例えば、その1つ以上の領域においてより多くのセル(例えば、チューブ)を有していても、隣接する領域よりもその1つ以上の領域においてより大きいもしくはより小さい直径のセルを有していても、隣接する領域におけるチューブとは異なる(例えば、より小さいまたはより大きい)壁厚を有するチューブを含む1つ以上の領域を有していても、または前述のもののいずれかの組み合わせであってもよい。繊維シートまたはNCFの重量は、複合サンドイッチの1つ以上の領域おいて異なっていてもよい。
【0053】
少なくとも1つの(第2の)熱硬化性層140は、1つ以上の態様について、(第1の)熱硬化性層130と類似または同一であり得る。少なくとも1つの熱硬化性層140は、熱硬化性樹脂、例えば、本明細書に開示されている熱硬化性樹脂のいずれかを含み得る。少なくとも1つの熱硬化性層140は、熱可塑性層110および/または少なくとも1つの熱硬化性層130(例えば、第1の熱硬化性層)のうちの1つ以上における繊維と同一または異なる複数の繊維を含み得る。例えば、熱可塑性層110は、ガラス繊維を含み得て、少なくとも1つの熱硬化性層130は、ガラス繊維または炭素繊維を含み得て、少なくとも1つの熱硬化性層140は、ガラス繊維または炭素繊維を含み得る。いくつかの例では、熱可塑性層110は、ガラス繊維に埋め込まれたPEIを含み得て、少なくとも1つの熱硬化性層130は、エポキシ-ポリウレタン樹脂に埋め込まれた複数のガラス繊維を含み得て、少なくとも1つの熱硬化性層140は、エポキシ-ポリウレタン樹脂に埋め込まれた複数の炭素繊維を含み得る。少なくとも1つの熱硬化性層140(例えば、第2の熱硬化性層)は、コア120に接合されるなど、コア120の下に配置され得る。熱硬化性層140の熱硬化性組成物(例えば、熱硬化性樹脂)、層内の熱硬化性組成物の量、層厚、繊維の種類、繊維の重量、横方向の寸法などのうちの1つ以上は、熱硬化性層130の同じ態様とは異なり得る。
【0054】
いくつかの例では、1つ以上の熱硬化性層、1つ以上の熱可塑性層、およびコア120の材料が、積層板複合構造体において配置され得る。そのような例では、熱可塑性層110は、熱硬化性層130に直接接合され得る。熱可塑性層110に直接接合された熱硬化性層130は、熱可塑性層110に同一平面配向または平行配向であり得る。いくつかの例では、熱可塑性層110の横方向の寸法は、熱硬化性層130と同一の広がりを有する場合がある。いくつかの例では、熱硬化性層130または140の横方向の寸法は、熱可塑性層110よりも大きい場合がある(その最大範囲を超えて延在する場合がある)。本明細書に開示されている例のいずれかでは、熱硬化性層130および140のうちの1つ以上は、1つ以上の熱可塑性層と置き換え可能である。
【0055】
いくつかの例では、1つ以上の任意選択的なさらなる層は、複合サンドイッチ100の構成要素のいずれかの間に配置され得る。例えば、アルミホイルまたはメッシュのような金属層が、熱可塑性層110と少なくとも1つの熱硬化性層130との間に配置され得る。そのような例では、金属層は、厚さ少なくとも約0.01mm、例えば、厚さ少なくとも約0.1mm(例えば、約0.2mm)であり得る。金属層を使用してもよいが、
図1に示されるように熱硬化性および熱可塑性の外側二重層が使用される場合、金属層は、満足できる熱放出特性を達成するために必要ではない。例えば、熱硬化性層の上方に配置された熱可塑性層の熱放出特性は、自動車、航空機、船舶、鉄道などの用途における熱放出性の安全基準内に十分にあり得る(例えば、65kW
*分/m
2未満、60kW
*分/m
2未満、40kW
*分/m
2未満、または30kW
*分/m
2未満)。
【0056】
いくつかの例では、軟質コア材料(例えば、厚紙)は、コア120と、少なくとも1つの熱硬化性層130および/または140との間に配置され得る。いくつかの例では、複合サンドイッチ100は、少なくとも1つの熱硬化性層140の下に配置された熱可塑性層のようなさらなる熱可塑性層を含み得る。さらなる熱可塑性層は、本明細書に開示されている熱可塑性層のいずれかと類似または同一であり得る。いくつかの例では、第1の熱可塑性層110は、1つ以上の態様について、第2の熱可塑性層(図示せず)とは異なり得る。
【0057】
いくつかの例では、熱可塑性層内で比較的少量の熱可塑性樹脂を用いること、例えば、熱可塑性層内で40重量%未満(例えば、33重量%未満)の熱可塑性樹脂を用いることが望ましい場合があり、樹脂はガラス繊維の内部/上に配置される。そのような例では、熱可塑性層を含む複合サンドイッチの熱放出が30kW*分/m2未満であることが予想外にも見出されたが、ここでは、この熱放出は、少なくとも40kW*分/m2であると予想されていた。例えば、PEIコアは40kW*分/m2超の熱放出を有するので、PEIが埋め込まれたガラス繊維熱可塑性層を有する複合サンドイッチは、少なくとも40kW*分/m2の熱放出(例えば、ピーク熱放出)を有すると予想されていた。しかしながら、複合サンドイッチは、約24kW*分/m2の平均熱放出および26.7kW*分/m2の平均ピーク熱放出を呈していた。したがって、アルミニウム層を有しない複合サンドイッチは、自動車、航空機、鉄道、船舶、および他の用途における使用に十分な熱放出特性をもたらすことができると予想される。さらに、アルミニウム層を取り除くことによって、同様の硬化手順(例えば、熱間プレス)中に熱可塑性層内にピンホールおよび泡を有する傾向がある熱可塑性層の下にアルミニウム層を有する複合サンドイッチと比較して、硬化後に比較的滑らかな熱可塑性層表面を達成することができる。本明細書に開示されている複合サンドイッチ構造体は、40kW*分/m2、例えば、30kW*分/m2以下、25kW*分/m2~35kW*分/m2、または20kW*分/m2~40kW*分/m2の熱放出を有し得る。
【0058】
熱可塑性層110が熱硬化性層130の上に配置された組み合わせは、構造体の外側表面として使用され得る。例えば、熱可塑性層110が熱硬化性層130の上に配置された組み合わせは、シートバック、ダッシュボード、荷台、収納容器、荷物入れ、バルクヘッド、モールディング、トリム、アーム、または車両、航空機、ボート、鉄道車両などの他の部分の外側表面として使用され得る。そのような例では、熱可塑性層110は、色および/または欠陥なしの外観のような選択した審美的外観を加えることができる。熱可塑性層110が着色剤を内部に有すると、熱可塑性層110は、引っかき傷があっても、選択した色/外観を維持することができ、その一方で、塗装された表面は、同様の引っかき傷によって塗料がないために、引っかき傷が見え得る。さらに、熱硬化性層130を含めると、熱可塑性層110と熱硬化性層130との組み合わせによって、単一の熱可塑性層110のみよりも大きな構造的剛性および強度を与えることができる。したがって、コアに結合された単一の熱硬化性層130に直接的または間接的にさえ結合された熱可塑性層110は、従来の複合積層板に勝る審美的利点および構造的利点の双方をもたらすことができる。
【0059】
さらなる構成の複合サンドイッチが用いられてもよい。いくつかの例では、複合サンドイッチ200は、フォームコアを含み得る。
図2は、一実施形態による複合サンドイッチ200の側断面図である。複合サンドイッチ200は、熱硬化性層130の上に配置された熱可塑性層110を含み得る。熱硬化性層130は、フォームコア220の上に配置され得る。フォームコア220は、熱硬化性層140の上に配置され得る。フォームコア220は、1つ以上の態様について、本明細書に開示されているフォームコアのいずれかと類似または同一であり得る。例えば、フォームコア220は、ポリメタクリルイミド(PMI)ベースのフォームコアを含み得る。ポリメタクリルイミド(PMI)ベースのフォームコアと最外熱硬化性層とを有する例は、ポリカーボネートチューブなどを有する例よりも低い熱放出値を示した。
【0060】
いくつかの例では、複合サンドイッチは、少なくとも2つの熱可塑性層、例えば、複合サンドイッチの2つの最外層または最外および最内層を有し得る。
図3は、一実施形態による複合サンドイッチ300の側断面図である。複合サンドイッチ300は、さらなる熱可塑性層310の上に配置された熱可塑性層110を含む。さらなる熱可塑性層310は、熱硬化性層130の上に配置されている。熱硬化性層130は、コア120の上に配置され得る。コア120は、熱硬化性層140の上に配置され得る。熱硬化性層140は、熱可塑性層310の上に配置され得る。熱可塑性層310は、1つ以上の態様について、本明細書に開示されている熱可塑性層110と類似または同一であり得る。例えば、熱可塑性層310は、PEI樹脂を含み得る。いくつかの例では、熱可塑性層310は、ガラス繊維または高温熱可塑性繊維のような複数の繊維を内部に含み得る。例えば、熱可塑性層310は、繊維シート(例えば、80gsmのガラス繊維織物)の上に配置された高温熱可塑性樹脂を含み得る。
【0061】
複数の熱可塑性層(例えば、高温熱可塑性樹脂層)を最外表面上に有する例では、複合サンドイッチは、機械的強度を犠牲にすることなく、選択した審美的外観を伴って、比較的低い熱放出特性をもたらすことができる。複合サンドイッチ300では、さらなる層、例えば、さらなるコア、熱硬化性層、アルミニウム層、塗料、ビニールなどが、図示されている層のいずれかの上、間、または下に含まれる場合がある。
【0062】
図4は、一実施形態による複合サンドイッチ400の側断面図である。複合サンドイッチ400は、熱硬化性層130の上に配置された熱可塑性層110を含む。熱硬化性層130は、コア120の上に配置され得る。コア120は、熱硬化性層140の上に配置され得る。熱硬化性層140は、熱可塑性層410の上に配置され得る。熱可塑性層410は、1つ以上の態様について、本明細書に開示されている熱可塑性層110と類似または同一であり得る。例えば、熱可塑性層は、PEI樹脂を含み得る。いくつかの例では、熱可塑性層410は、ガラス繊維または高温熱可塑性繊維のような複数の繊維を内部に含み得る。
【0063】
熱可塑性層(例えば、高温熱可塑性樹脂層)を最外表面上および最内表面上の双方に有する例では、複合サンドイッチは、機械的強度を犠牲にすることなく、選択した審美的外観を伴って、双方の表面から比較的低い熱放出特性をもたらすことができる。そのような例は、仕切りの片側または両側のいずれかが熱源に直接曝され得る場合および/または目に見える場合、仕切りとしての構造体において有用であり得る。複合サンドイッチ400では、さらなる層、例えば、さらなるコア、熱硬化性層、アルミニウム層、塗料、ビニールなどが、図示されている層のいずれかの上、間、または下に含まれる場合がある。
【0064】
複合サンドイッチ100、200、300、もしくは400における層のいずれも、これらから省略される場合があるか、または他の複合サンドイッチ100、200、300、もしくは400のいずれかと組み合わせて使用される場合がある。
【0065】
(高温)熱可塑性層が熱硬化性層の上に配置された組み合わせは、積層板複合構造体の外側表面として使用され得る。例えば、熱可塑性層が熱硬化性層の上に配置された組み合わせは、シートバック、ダッシュボード、荷台、収納容器、荷物入れ、バルクヘッド、モールディング、トリム、アーム、または車両、航空機、ボート、鉄道車両などの他の部分の外側表面として使用され得る。そのような例では、複合サンドイッチの熱可塑性層は、選択した熱放出性を部材に与えることができる。さらに、さらなる1つ以上の熱硬化性層およびコアを含めると、本明細書の複合サンドイッチにおける組み合わせによって、熱可塑性層を有する単一の熱硬化性層よりも大きな構造的剛性および強度を与えることができる。高温熱可塑性層(例えば、PEI層)を最外層として含めると、複合サンドイッチ構造体の熱放出特性が、塗装された同様の寸法の熱硬化性層よりも改善されると同時に、引っかかれても容易には変色を示さない表面が形成される。本明細書に開示されている複合サンドイッチおよびこの複合サンドイッチから形成された構造体は、70kW*分/m2以下、例えば、1kW*分/m2~35kW*分/m2、20kW*分/m2~40kW*分/m2、25kW*分/m2~50kW*分/m2、40kW*分/m2~60kW*分/m2、65kW*分/m2以下、60kW*分/m2以下、50kW*分/m2以下、40kW*分/m2以下、35kW*分/m2以下、30kW*分/m2以下、25kW*分/m2以下、20kW*分/m2以下の熱放出を有し得る。
【0066】
いくつかの例では、複合サンドイッチ構造体は、少なくとも2つのコアを含み得る。そのような例では、炭素繊維を内部に有する熱硬化性層は、その両側に配置されたコアを有し得る。そのような例では、1つ以上の熱硬化性層および/または熱可塑性層が、コア上に配置され得る。例えば、複合サンドイッチは、熱可塑性層と、その下の第1のコアと、第1のコアの下の熱硬化性層と、熱硬化性層の下の第2のコアと、第2のコアの下のさらなる熱可塑性層とを少なくとも含み得る。いくつかの例では、複合サンドイッチは、第1のコアと熱可塑性層との間に、または第2の熱可塑性層と第2のコアとの間に、さらなる熱硬化性層を含み得る。
【0067】
シャーシ;輸送機関もしくは車両(例えば、自転車、自動二輪車、車、トラック、飛行機、鉄道車両および機器、ボートなど)の通信機器、フレーム、ボディ部品、または内装部材用のパネル;農業用途(例えば、農業機器)、エネルギー関連用途(例えば、風力、太陽光);衛星用途;航空宇宙用途(例えば、座席部材またはオーバーヘッドビンのような航空機の構造体または内装部材の一部);建設資材(例えば、建築資材など);ならびに消費者製品(例えば、家具、便座、および電子製品など)のような構造部材を製作するために、比較的低い熱放出値(例えば、60kW*分/m2未満、40kW*分/m2未満、または30kW*分/m2未満)を有する、軽量で、強度があり、かつ硬質の複合材を製造することが望ましい。高い曲げ剛性、軽量性、および低い熱放出性が望まれている場合、良好なエネルギー吸収性および熱放出値を有する軽量で強度のある複合部材を製造することが望ましい。これらの部材は、選択した審美的外観(例えば、テクスチャ、色など)をもたらしながら、自動車の事故などにおいて、エネルギーを吸収するように設計され得る。安全上の理由から、これらの部材は、減衰特性またはエネルギー吸収特性をいくらか有するように設計され得る。本明細書に開示されている積層板複合構造体および部材は、航空、船舶、鉄道、または自動車のようなさまざまな使用分野における、エネルギー吸収性、剛性、または熱放出値のような安全基準または規制要件を満たすように設計されていると同時に、その外側表面における選択した審美的外観をもたらす。本明細書に開示されている部材は、本明細書に開示されているように、選択した審美的外観、高い曲げ剛性、および低い熱放出性を有する複合サンドイッチ構造体を含み得る。
【0068】
いくつかの例では、モノリス部材は、本明細書に開示されている1つ以上の高温熱可塑性層を少なくとも使用して形成され得る。いくつかの例では、モノリス部材は、熱可塑性ポリマー樹脂を含有する少なくとも複数の繊維のプリプレグから、またはウェットレイアッププロセス(wet lay-up process)によって形成され得る。
【0069】
図5は、一実施形態によるモノリス複合材500の断面図である。モノリス複合材500は、図示されているような多層モノリス複合材であっても、または単層モノリス複合材であってもよい。モノリス複合材500は、ポリマー樹脂中に配置された複数の繊維を有する1つ以上の層を含み、モノリス複合材またはその最外層は、60kW
*分/m
2未満の熱放出を呈する。例えば、モノリス複合材500は、第1の層510と、第2の層520と、第3の層530とを含む。図示されているように、第1の層510は、最外層であり得て、第2の層520および第3の層530がそれに続く。いくつかの例では、モノリス複合材は、
図5に図示されているものよりも多いまたは少ない層を含み得る。モノリス複合材が複数の層を含む例では、これらの層の間にコアは存在しない。例えば、樹脂を内部または上に有する繊維シートのみが、モノリス複合材500において存在し得る。
【0070】
第1の層510、第2の層520、または第3の層530のうちの1つ以上は、1つ以上の態様について、熱可塑性層110と類似または同一であり得る。例えば、第1の層510は、(高温)熱可塑性樹脂が複数の繊維上に配置された熱可塑性層であり得る。第2の層520または第3の層530のうちの1つ以上は、熱可塑性樹脂を内部に有する熱可塑性層であり得る。熱可塑性樹脂としては、本明細書に開示されている熱可塑性樹脂のいずれかが挙げられ得る。複数の繊維としては、本明細書に開示されている複数の繊維のいずれかが挙げられ得る。いくつかの例では、第1の層510は、最外層である。いくつかの例では、第3の層は、高温熱可塑性樹脂が複数の繊維上に配置された熱可塑性層である。そのような例では、モノリス複合材500の表面はどちらも、同じ位置にある熱硬化性層よりも低い熱放出特性を有し得る。いくつかの例では、第2の層520は、高温熱可塑性樹脂が複数の繊維上に配置された熱可塑性層であり得る。いくつかの例では、第1の層510、第2の層520、または第3の層530のうちの1つ以上における複数の繊維および熱可塑性樹脂は、隣接する1つ以上の層のものと類似または同一であり得る。
【0071】
第1の層510、第2の層520、または第3の層530のうちの1つ以上は、1つ以上の態様について、熱硬化性層130または熱硬化性層140と類似または同一であり得る。そのような例では、第1の層510は、本明細書に開示されているような熱可塑性層であり得て、第2の層520または第3の層530のうちの1つ以上は、熱硬化性層であり得る。そのような例では、これらの層内の複数の繊維は、1つ以上の態様(例えば、繊維組成、繊維本体の種類または形状、繊維本体の厚さ、繊維本体の密度など)について、互いに類似または同一であり得る。あるいは、これらの層内の複数の繊維は、1つ以上の態様のいずれかについて、互いに異なり得る。
【0072】
いくつかの例では、第1の層510、第2の層520、または第3の層530のうちの1つ以上は、ポリマー樹脂の組成、繊維の種類もしくは面密度、厚さ、または他の特性のうちの1つ以上について、隣接する層とは異なり得る。例えば、第1の層510は、ガラス繊維を含み得て、第2の層520は、炭素繊維を含み得て、第3の層530は、炭素繊維またはガラス繊維を含み得る。そのような例では、各層内のポリマー樹脂は、組成または量のうちの1つ以上について、隣接する層と同一であっても、または異なっていてもよい。
【0073】
いくつかの例では、第2の層520または第3の層530のうちの1つ以上が、二重層または単層モノリス複合材を形成するなどのために、省略される場合がある。
【0074】
いくつかの例では、第1の層510は、第1の複数のガラス繊維、炭素繊維、または熱可塑性繊維のうちの複数上に配置された熱可塑性樹脂を含み、第2の層520は、第2の複数のガラス繊維、炭素繊維、または熱可塑性繊維上に配置された熱可塑性樹脂を含み、第3の層530は、第3の複数のガラス繊維、炭素繊維、または熱可塑性繊維上に配置された熱可塑性樹脂を含む。そのような例では、複数の繊維は、材料の種類が同じであるなど、各層において、類似または同一であり得る。そのような例では、これらの層内のポリマー樹脂は、独立的に、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、またはそれらのブレンドであり得る。本明細書に開示されているように熱可塑性樹脂を有する第1の層510を形成することによって、下にある第2の層520および第3の層530を、高温熱可塑性ポリマーによって熱から「遮蔽」することができる。例えば、モノリス複合材500または少なくとも第1の層510は、60kW*分/m2未満の熱放出、例えば、本明細書に開示されている熱放出値のいずれかを有し得る。さらに、コアなしで、複数の繊維によって強化された1つ以上の熱硬化性層を形成することによって、モノリス複合材500は、高温熱可塑性層なしで製造された複合サンドイッチおよびモノリス複合材と比較して、機械的強度、改善された熱放出性、およびより薄い断面プロファイルをもたらすことができる。
【0075】
本明細書に開示されている複合サンドイッチ構造体またはモノリス複合材は、部品を形成するために配置または使用され得る。そのような複合サンドイッチまたはモノリス部材の例としては、パネル(例えば、車のフードのような車体パネル、内部バルクヘッドのような車両用内装パネル、ダッシュボード、モールディング、電気パネルなど)、シート部材、テーブル、トレイ、収納容器(例えば、頭上収納)もしくは他の収納コンテナ用パネル、または本明細書に開示されている他の任意の部材が挙げられ得る。
【0076】
図6は、一実施形態によるシートバック600の等角図である。シートバック600は、複合サンドイッチから形成され得る。シートバック600における複合サンドイッチの層は、本明細書に開示されている複合サンドイッチのいずれかとして構成され得る。例えば、シートバック600における複合サンドイッチの層は、熱可塑性層110、熱硬化性層130および140、ならびにコア120を含み得る。シートバック600は、複合サンドイッチの熱可塑性層110が外側に面して、それによって最外表面112を形成するように構成され得る。熱可塑性層110は、熱硬化性層130の上に配置され得て、熱硬化性層130は、コア120の上に配置されており、コア120は、さらなる熱硬化性層140の上に配置されている。さらなる熱硬化性層140は、(例えば、最外表面112から離れて)内側に面し得る。そのような構成によって、シートバックが配置されているシートの後ろに座っている人に面するシートバック表面において比較的低い熱放出性を有するシートバック600を提供する一方で、シートバック600に、比較的高い強度、軽量性、および耐変色性の表面をなおも与えることができる。
【0077】
図7は、一実施形態によるパネル700の正面図である。パネル700は、本明細書に開示されている複合サンドイッチのいずれかから形成され得る。パネル700は、鉄道車両(例えば、地下鉄またはライトレール車両)の内装パネルとして構成され得る。パネル700は、窓またはドアのような、そこに嵌まるさらなる部材用のモールディングを有し得る。
【0078】
本明細書の熱可塑性層は、複合サンドイッチ(例えば、積層板)において使用されるものとして開示されているが、熱可塑性層を有する構成要素をさらに使用して、モノリス部材を形成することもできる。例えば、熱可塑性樹脂を使用して、本明細書に開示されている部材(例えば、自動車、船舶、航空機、鉄道など)のいずれかのようなモノリス部材または構造体を形成することができる。一例では、熱可塑性層を使用して、樹脂の単一のモノリス層からの部材を形成することができる。いくつかの例では、熱可塑性樹脂のモノリス層は、複数の繊維を内部に含み得る。モノリス部材は、複合積層板について本明細書に開示されているような特定の形状を形成するように成形され得る。そのようなモノリス部材の例としては、パネル(例えば、車のフードのような車体パネル、内部バルクヘッドのような車両用内装パネル、ダッシュボード、モールディング、電気パネルなど)、シート部材、テーブル、トレイ、収納容器(例えば、頭上収納)もしくは他の収納コンテナ用パネル、または本明細書に開示されている他の任意の部材が挙げられ得る。
【0079】
いくつかの例では、モノリス部材は、RTMを使用して形成され得る。いくつかの例では、モノリス部材は、熱可塑性樹脂を上に含む複数の繊維のプリプレグから形成され得る。
【0080】
図8は、一実施形態による複合サンドイッチ構造体を製造する方法800のフローチャートである。この方法は、高温熱可塑性ポリマーを含む少なくとも1つの熱可塑性層であって、積層体の最外層である少なくとも1つの熱可塑性層と、第1の熱硬化性層と、第2の熱硬化性層と、第1の熱硬化性層と第2の熱硬化性層との間に配置されたコアであって、複数のセルを含むコアとを含む積層体を形成するステップ810と、積層体を金型内でプレスするステップ820と、積層体を硬化させて60kW
*分/m
2未満の熱放出を有する複合サンドイッチを形成するステップ830とを含む。いくつかの例では、さらなるステップが方法800に含まれる場合がある。いくつかの例では、ステップ810~830は、提示されたものとは異なる順序で実施される場合があり、または1つ以上のステップが省略される場合がある。
【0081】
積層体を形成するステップ810は、積層体の構成要素を別々にまたは複合サンドイッチ構造体の別々の層として形成することを含み得る。積層体は、形成すべき構造部材のまだ硬化されていない一連の層(例えば、スタック)であってもよい。積層体は、高温熱可塑性ポリマーを含む少なくとも1つの熱可塑性層、第1の熱硬化性層、第2の熱硬化性層、および第1の熱硬化性層と第2の熱硬化性層との間に配置されたコアであって、複数のセルを含むコアのような本明細書に開示されているいずれかの層の任意の組み合わせを含み得る。そのような例では、少なくとも1つの熱可塑性層は、積層体の最外層である。
【0082】
いくつかの例では、積層体を形成することは、積層体の構成要素のうちの1つ以上を別々にまたは複合サンドイッチ構造体の別々の層として形成することを含み得る。例えば、積層体を形成することは、熱硬化性樹脂(例えば、エポキシ-ポリウレタン樹脂)を複数の繊維(例えば、ガラス織物または炭素繊維織物)上に塗布して、第1の熱硬化性層または第2の熱硬化性層のうちの1つ以上を形成することを含み得る。熱可塑性物質または熱硬化性物質は、噴霧または手作業での展延(例えば、こて、ローラ、ブラシ、またはへらによる)のうちの1つ以上によって、複数の繊維に塗布され得る。いくつかの例では、表面仕上げを改善するために、より多くの熱可塑性物質含有量が複数の繊維の一方の側に添加され得る。熱可塑性物質および/または熱硬化性物質は、複数の繊維を濡らし得るか、またはこれに埋め込まれ得る。熱硬化性樹脂中のポリウレタンは、比較的低い粘度を有し得るが、エポキシは、比較的高い粘度を有する。しかしながら、噴霧のために、圧力釜または市販のスプレーヘッドを使用して、エポキシを温めて粘度を下げてもよい。熱可塑性物質は、金型(例えば、熱金型(heat mold))内などで複数の繊維内に押し込まれ得る。いくつかの例では、熱可塑性物質は、固体(例えば、粉末)として複数の繊維に塗布され、その後、金型内などで溶融されて、複数の繊維に浸透する場合がある。いくつかの例では、熱可塑性物質または熱硬化性物質は、プリプレグ繊維シートまたは織物としての複数の繊維内に存在する場合がある。そのような例では、選択した仕上げまたは熱可塑性物質含有量を熱可塑性層にもたらすためなど、より多くの熱可塑性物質がプリプレグに添加され得る。いくつかの例では、熱可塑性物質は、プリプレグ全体にわたって均一に分布し得る。いくつかの例では、熱可塑性物質(例えば、熱可塑性粉末)が、選択した表面仕上げをもたらすためなど、プリプレグの複数の繊維(例えば、繊維織物シート)の外側表面上に多量に存在し得る。
【0083】
いくつかの例では、少なくとも1つの熱可塑性層としては、第1の熱可塑性層が挙げられ得て、第1の熱硬化性層は、第1の熱可塑性層の上に配置されている。少なくとも1つの熱可塑性層としては、本明細書に開示されている熱可塑性層のいずれか(例えば、高温熱可塑性樹脂、複数の繊維など)が挙げられ得る。そのような例では、第1の熱硬化性層は、第1の複数のガラス繊維または炭素繊維上のエポキシ-ポリウレタン樹脂を含み得て、第2の熱硬化性層は、第2の複数のガラス繊維または炭素繊維上のエポキシ-ポリウレタン樹脂を含み得る。コアとしては、本明細書に開示されているコアのいずれか、例えば、平行してまとめて接合された複数のチューブ、ハニカムコア、または発泡体などが挙げられ得る。例えば、コアは、本明細書に開示されているいずれかのコアの特性のいずれか、例えば、プレス前の5mm未満(例えば、4mm)の厚さ、材料組成などを有し得る。
【0084】
いくつかの例では、積層体は、少なくとも1つの熱可塑性層と、少なくとも1つの熱硬化性層と、第1の熱硬化性層と第2の熱硬化性層との間に配置された少なくとも1つのコアと、任意選択的に1つ以上のさらなる層(例えば、アルミニウムのような1つ以上の金属層)とを含み得る。いくつかの例では、積層体を形成することは、少なくとも1つの熱可塑性層、少なくとも1つの熱硬化性層、またはコアのうちの1つ以上を形成することを含み得る。例えば、積層体を形成することは、本明細書に開示されている熱可塑性層のいずれかを金型内に配置することを含み得る。
【0085】
いくつかの例では、積層体を形成することは、積層体の層を金型内に積み重ねるか、または別のやり方で配置することを含み得る。金型は、選択した形状の部品(例えば、シートバック、アームレスト、オーバーヘッドビンなど)を形成するようなサイズおよび形状であり得る。金型は、プレス機上に配置された2つ以上の金型部分を有し得て、金型部分はそれぞれ、プレスヘッド上に配置されて、一緒にプレスが行われ、それらの間の任意の1つ以上の材料(例えば、熱硬化性層または熱可塑性層)を圧縮する。積層体を形成することは、本明細書に開示されている熱硬化性層のいずれかを、金型内に、例えば、熱可塑性層の上に配置することを含み得る。積層体を形成することは、本明細書に開示されている熱硬化性層のいずれかを、金型内に、例えば、熱可塑性層の上に配置することを含み得る。積層体を形成することは、本明細書に開示されているコアのいずれかを、金型内に、例えば、熱硬化性層の上に配置することを含み得る。例えば、コアは、熱硬化性層の上に配置されていても、またはその逆であってもよく、コアの複数のセルの開放端部は、熱硬化性層に接している。積層体を形成することは、さらなる熱硬化性層を、金型内に、例えば、第1の熱硬化性層から反対側でコア上に配置することを含み得る。例えば、第2の熱硬化性層は、コア上に配置され得て、コアの複数のセルの第2の一連の開放端部は、第2の熱硬化性層に接している。いくつかの例では、コアは、これらの1つ以上の熱硬化性層および/または1つ以上の熱可塑性層の1つ以上の横方向の寸法全体に沿って延在していない場合がある。
【0086】
積層体を形成することは、繊維層(例えば、複数の繊維)を用意して、次いで、熱硬化性物質または熱可塑性物質のうちの1つ以上をこの繊維層に添加することを含み得る。例えば、ガラス織物を用意して、熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂をこのガラス織物に塗布してもよい。本明細書に開示されている複数の繊維のいずれかを使用して、熱硬化性層または熱可塑性層を形成してもよい。例えば、炭素繊維織物または高融点(例えば、Tgは少なくとも約200℃である)の熱可塑性繊維織物でさえも使用することができる。熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂は、プレスされると、ガラス織物に浸透し、硬化して硬くなり、硬化した熱可塑性層または熱硬化性層を形成することができる。熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂は、液体または固体の形態で塗布され得る。例えば、PEI粉末を繊維層の上に散布して、熱可塑性層を少なくとも部分的に形成してもよい。いくつかの例では、熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂は、噴霧に適した粘度まで加熱され得て、繊維織物(例えば、複数の繊維)上に噴霧され得る。例えば、積層体を形成することは、熱硬化性樹脂を繊維織物および第2の繊維織物(例えば、層130および140)に塗布して、熱硬化性樹脂を第1および第2の繊維織物に少なくとも部分的に含浸させることを含み得る。いくつかの例では、熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂は、約90psi未満の圧力で繊維織物上に噴霧され得る。いくつかの例では、熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂は、手作業で繊維織物上に展延され得る。いくつかの例では、複数の繊維は、層に応じて、プリプレグ材料として、すなわち、熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂を少なくともいくらか含有する複数の繊維として用意され得る。いくつかの例では、第1の熱硬化性層は、200グラム/平方メートル(「gsm」)の密度を有する複数のガラス繊維を含み得て、第2の熱硬化性層は、300gsmの密度を有する複数の炭素繊維を含み得る。
【0087】
いくつかの例では、他の積層体構成物が金型内に形成および配置される場合がある。例えば、先の例で説明したものよりも多いまたは少ない構成要素が積層体において用いられ得る。いくつかの例では、積層体は、熱硬化性層の上に配置された熱可塑性層のみを含み得るか、または熱可塑性層、熱硬化性層、およびコアのみを含み得る。いくつかの例では、積層体の層の位置は、先に記載の例とは異なる場合がある。
【0088】
例えば、少なくとも1つの熱可塑性層は、第1の熱可塑性層と、第1の熱可塑性層の上に配置された第2の熱可塑性層とを含み得て、第1の熱可塑性層は、積層体における最外層である。そのような例では、第1の熱硬化性層は、第2の熱可塑性層の上に配置され得る。さらに、複数のセルは、平行してまとめて結合された複数のチューブまたはポリメタクリルイミドベースの発泡体のうちの1つ以上を含み得る。そのような例では、第1の熱可塑性層は、ポリエーテルイミド樹脂を含み得て、第2の熱可塑性層は、ポリエーテルイミド樹脂中の複数の繊維を含み得て、第1の熱硬化性層は、第1の複数のガラス繊維または炭素繊維上のエポキシ-ポリウレタン樹脂を含み得て、第2の熱硬化性層は、第2の複数のガラス繊維または炭素繊維上のエポキシ-ポリウレタン樹脂を含み得る。そのような例では、熱可塑性層のうちの1つ以上における熱可塑性樹脂としては、本明細書に開示されている熱可塑性樹脂のいずれかが挙げられ得て、熱可塑性層のうちの1つ以上における熱可塑性樹脂としては、本明細書に開示されている熱可塑性樹脂のいずれかが挙げられ得る。
【0089】
いくつかの例では、少なくとも1つの熱可塑性層としては、第1の熱可塑性層と、第2の熱硬化性層の上に配置された第2の熱可塑性層とが挙げられ得る。そのような例では、第1の熱可塑性層は、積層体における最外層であり得て、第2の熱可塑性層は、積層体における最内層(例えば、最外層または最外表面から最も離れた層)であり得る。そのような例では、第1の熱硬化性層は、第1の熱可塑性層の上に配置され得る。コアは、第1の熱硬化性層の上に直接的または間接的に配置され得る。複数のセルは、平行してまとめて結合された複数のチューブまたは発泡体(例えば、ポリメタクリルイミドベースの発泡体)のうちの1つ以上を含み得る。第2の熱硬化性層は、コア上に直接的または間接的に配置され得る。そのような例では、第2の熱可塑性層は、第2の熱硬化性層の上に配置されて、積層体の最内表面を形成し得る。最外表面および最内表面のどちらも、複合サンドイッチから形成された構造体における外側表面であり得ると理解されたい。そのような例では、第1の熱可塑性層および第2の熱可塑性層は、ポリエーテルイミド樹脂を含み得る。第1の熱硬化性層は、第1の複数のガラス繊維または炭素繊維上のエポキシ-ポリウレタン樹脂を含み得て、第2の熱硬化性層は、第2の複数のガラス繊維または炭素繊維上のエポキシ-ポリウレタン樹脂を含み得る。いくつかの例では、積層体は、第1の熱可塑性層と第1の熱硬化性層との間に配置された第3の熱可塑性層と、第2の熱可塑性層と第2の熱硬化性層との間に配置された第4の熱可塑性層とを含み得る。そのような例では、第3の熱可塑性層または第4の熱可塑性層のうちの1つ以上は、複数の繊維を内部に含み得る。
【0090】
積層体を形成することは、予備成形された熱可塑性層を形成することを含み得る。例えば、積層体を形成することは、熱可塑性層を予備成形し、第1の熱硬化性層、コア、およびその上の第2の熱硬化性層を予備成形された熱可塑性層の上に配置することを含み得る。例えば、熱可塑性樹脂をその上および/または内部に有する複数の繊維を、金型内でプレスし、硬化温度に加熱し、冷却して、予備成形された熱可塑性層を形成することができる。積層体の残りの層は、完成(例えば、成形)部品の少なくとも大まかな輪郭を形成するように、予備成形された熱可塑性層の内部/上に配置され得る。したがって、プレスの際に、積層体における予備成形された熱硬化性層および残りの材料を金型の隅へとより容易に押し込んで、金型によって画定される部品の完全な最終形状をもたらすことができる。
【0091】
熱硬化性層の予備成形は、ガラス繊維または炭素繊維を用いると特に効果的である。というのも、ガラス繊維および炭素繊維は、ポリマー繊維と比較して、たとえあったとしても、あまり変形または伸長しないからである。したがって、熱硬化性層を予備成形し、積層体の残りの構成要素を予備成形された熱硬化性層の上に配置することによって、ガラス繊維を含有する熱硬化性層を少なくとも金型の最終形状の近くに成形することができ、残りの構成要素を熱硬化性層の予備成形された部分内に操作して、成形部品の最終形状をより容易に形成することができる。これによって、特に1つ以上の熱硬化性層における不完全な成形、例えば、成形部品の隅における完全な精細性の欠如が低減される。積層体を形成することは、熱硬化性層に結合することが意図された表面上の予備成形された熱硬化性層を、磨き用パッド、スチールウール、やすり、または表面を研磨するのに適した任意の他の工具を用いるなどして、研磨することを含み得る。
【0092】
積層体を金型内でプレスするステップ820は、金型を閉じることを含み得て、さらに、その内部の1つ以上の構成要素(例えば、層)を圧縮するなどのために、金型に外圧をかけることを含み得る。方法800は、任意選択的に、金型のキャビティを真空にすることを含み得る。例えば、複合サンドイッチ構造体を形成するときに、金型を真空にして、さまざまな層の複数の繊維および/または樹脂中に捕捉された空気を除去することが望ましい場合がある。金型は、本明細書に開示されている部材または構造体のいずれかを形成するような、例えば、通信機器用パネル、外部ボディ用パネル、内部ボディ用パネル、フレーム、ダッシュボード、モールディング、シート部材、テーブル、トレイ、収納容器などを形成するような形状およびサイズであり得る。
【0093】
金型をプレスすることは、金型の形状を有する複合サンドイッチ構造体(例えば、複合積層板)を形成するために金型を少なくとも部分的に閉じるために、および/またはコアを少なくとも部分的に凹ませるために圧力をかけることを含み得る。積層体にかけられる圧力は、コアを少なくとも部分的に凹ませるのに、および/または1つ以上の熱可塑性層または1つ以上の熱硬化性層のうちの1つ以上における複数の繊維から空気を少なくとも部分的に押し出すのに十分であり得る。複合積層板構造体を金型内で圧縮する際の適切な技術は、2015年6月3日に出願された国際特許出願番号PCT/US15/34070号、2015年6月3日に出願された国際特許出願番号PCT/US15/34061号、および2015年6月3日に出願された国際特許出願番号PCT/US15/34072号に開示されており、それらの開示はそれぞれ、この参照によってその全体が本明細書に援用される。
【0094】
いくつかの例では、熱を同時に加えて、1つ以上の熱硬化性層、1つ以上の熱可塑性層、コア、または積層体における任意の材料のうちの1つ以上を少なくとも部分的に加熱してもよい。例えば、積層体を金型内でプレスすることは、積層体を加熱された金型内でプレスすることを含み得る。コアは、プレス中に熱を加えると、より柔軟になり、コアが少なくとも部分的に軟化または溶融する一方で、圧縮して金型の形状との適合性を高めることができる。ポリウレタンは、プレス中に熱を加えると、より容易にマイクロフォームを形成し得る。金型またはプレス機は、積層体を金型内でプレスする間に積層体に熱を加えるために、1つ以上の熱要素も含み得る。熱硬化性樹脂および/または熱可塑性樹脂は、金型内に熱を加えると、少なくとも硬化を開始し得る。
【0095】
積層体を硬化させて60kW*分/m2未満の熱放出を有する複合サンドイッチを形成するステップ830は、積層体を金型内で加熱することを含み得る。積層体を硬化させることは、積層体における1つ以上の熱硬化性層の1つ以上の熱硬化性樹脂または1つ以上の熱可塑性層の1つ以上の熱可塑性樹脂のうちの1つ以上を少なくとも部分的に硬化させることを含み得る。例えば、積層体を硬化させることは、熱硬化性樹脂、複合積層板、または複合サンドイッチを、金型、キルン、またはオーブンのうちの1つ以上において加熱することを含み得る。積層体を硬化させて複合サンドイッチを形成することは、積層体に圧力をかけながら、積層体を金型内で加熱するなど、積層体を金型内で硬化させることを含み得る。
【0096】
熱硬化性樹脂および/または熱可塑性樹脂を硬化させることは、それぞれの樹脂を含有する繊維サンドイッチ構造体または(スタックのような)その前駆体を(金型内または金型外で)、約110℃以上、例えば、約120℃~約200℃、約130℃~約180℃、約140℃~約160℃、約120℃、約130℃、約140℃、または約160℃に加熱することを含み得る。樹脂の組成に応じて、熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂を硬化させることは、約40秒以上、例えば、約40秒~約1日、約1分~約12時間、約90秒~約8時間、約2分~約4時間、約40秒~約10分、約1分~約8分、約5分~約20分、約8分~約15分、約90秒~約5分、約3分、約6分以下、約8分以下、または約20分以下の期間にわたって起こり得る。いくつかの例では、積層体を硬化させることは、積層体内の1つ以上の熱硬化性物質の少なくとも硬化温度まで積層体を加熱することなどによって、金型内で実施され得る。いくつかの例では、積層体の硬化(加熱)は、金型内で部分的に実施されてから、オーブンまたはキルンのような別の場所で完了させられ得る。得られる硬化した複合サンドイッチ構造体は、金型によって画定された形状を呈し得る。得られる硬化した複合サンドイッチ構造体は、本明細書に開示されている熱放出値のいずれか、例えば、60kW*分/m2未満、50kW*分/m2未満、40kW*分/m2未満、30kW*分/m2未満、または25kW*分/m2未満の熱放出を有し得る。
【0097】
積層体を硬化させることは、積層体を金型内でプレスした後に積層体を周囲温度まで冷却することを含み得る。いくつかの例では、プレスされた積層体を冷却することは、積層体を硬化させることとは別々に実施され得る。例えば、方法800は、積層体を硬化させた後に積層体(例えば、ここでは少なくとも部分的に硬化した複合サンドイッチ構造体)を冷却することをさらに含み得る。例えば、少なくとも部分的に硬化したサンドイッチ構造体は、周囲温度において冷却され得るか、冷蔵環境において冷却され得るか、サンドイッチ構造体全体に空気を通すことによって冷却され得るか、または積層体を冷却トンネルに通すことによって冷却され得る。
【0098】
いくつかの例では、複合部品は、コアを含まない場合がある。例えば、熱可塑性層は、プリプレグ繊維部材またはRTM成形部材のようなモノリス部品に付けられ得る。例えば、熱硬化性樹脂を含有するプリプレグ繊維シートが、金型内に配置され得て、PEI熱可塑性層が、それぞれの層をプレスおよび加熱する前にプリプレグ上に配置され得る。PEI熱可塑性層によって、選択した表面仕上げまたは外観がもたらされる。いくつかの例では、熱可塑性層をRTM金型内で繊維シート側に配置して、熱硬化性樹脂をRTM金型に注入して、熱硬化性樹脂を繊維シートに少なくとも部分的に含浸させることができる。熱硬化性物質上に得られる熱可塑性(例えば、PEI)層によって、選択した表面仕上げまたは外観を最終部品に与えることができる。
【0099】
図9は、一実施形態によるモノリス複合材を製造する方法900のフローチャートである。方法900は、高温熱可塑性樹脂および複数の繊維を内部に有する少なくとも1つの熱可塑性層を含む積層体を形成するステップ910と、積層体を選択した形状に形成するステップ920と、積層体を硬化させてモノリス複合材を形成するステップ930とを含む。いくつかの例では、ステップ910、920、または930は、提示されたものとは異なる順序で実施される場合があり、または1つ以上のステップが省略される場合がある。いくつかの例では、さらなるステップが方法900に含まれる場合がある。例えば、方法900の実施形態は、少なくとも1つのポリマー層の1つ以上の最外表面を塗料またはビニール接着ステッカーのうちの少なくとも1つで塗装またはコーティングするステップも含み得る。方法900の1つ以上の部分は、1つ以上の態様について、方法800のいずれかの部分と類似または同一であり得る。
【0100】
高温熱可塑性樹脂および複数の繊維を内部に有する少なくとも1つの熱可塑性層を含む積層体を形成するステップ910は、本明細書に開示されている高温熱可塑性樹脂のいずれかおよび複数の繊維のいずれかを有する少なくとも1つの熱可塑性層を提供または形成することを含み得る。積層体は、1つ以上の層、例えば、1~10層、1~3層、1層もしくは3層、3~5層、または1層のみを含み得る。高温熱可塑性樹脂および複数の繊維を有する少なくとも1つの熱可塑性層を含む積層体を形成することは、本明細書に開示されている高温熱可塑性樹脂のいずれかおよび複数の繊維のいずれかを有する複数の層を形成することを含み得る。そのような例では、複数のポリマー層は、第1の層510、第2の層520、および第3の層530のような、本明細書に開示されているポリマー層のいずれかを含み得る。積層体を形成するステップ910は、第1の層510、第2の層520、または第3の層530のうちの1つ以上を形成することを含み得る。
【0101】
少なくとも1つの熱可塑性層のような複数の層のいずれかにおける高温熱可塑性樹脂は、1つ以上の態様について、積層体の隣接する層または残りの層のいずれかにおける高温熱可塑性樹脂と類似または同一であり得る。例えば、積層体における各層は、PEI樹脂を内部に含み得る。そのような例では、各層内の樹脂の量は、異なっていても、または同一であってもよい。
【0102】
複数の層のいずれかにおける複数の繊維は、1つ以上の態様について、積層体の隣接する層または残りの層のいずれかにおける複数の繊維と類似または同一であり得る。例えば、積層体における各層は、ガラス繊維、炭素繊維、熱可塑性繊維などを含み得る。そのような例では、複数の繊維層の量、密度、または厚さは、各層において、異なっていても、または同一であってもよい。複数の層のいずれかにおける複数の繊維は、1つ以上の態様について、積層体の隣接する層または残りの層のいずれかにおける複数の繊維に対して、異なり得る。例えば、積層体における層のいくつかは、ガラス繊維を含み得て、積層体における層のいくつかは、炭素繊維を含み得る。モノリス複合材500の層内の構成要素の組み合わせとしては、本明細書に開示されているいずれかの構成要素(例えば、ポリマー樹脂、複数の繊維、または層特性)の任意の組み合わせが挙げられ得る。
【0103】
少なくとも1つのポリマー層を形成することは、ポリマー樹脂(例えば、高温熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂)および複数の繊維(例えば、本明細書の複数の繊維のいずれか)を有する少なくとも1つの層を形成することを含み得る。例えば、少なくとも1つのポリマー層を形成することは、ポリマー樹脂を複数の繊維上に塗布することを含み得る。ポリマー樹脂を塗布することは、ポリマー樹脂を複数の繊維上に、噴霧するか、手作業で展延するか、注ぐか、または別のやり方で塗布することを含み得る。ポリマー樹脂は、液体、半固体、または固体の形態で塗布され得る。いくつかの例では、ポリマー樹脂および複数の繊維がプリプレグ中に備えられている場合があり、少なくとも1つのポリマー層を形成することは、プリプレグを用意することを含み得る。少なくとも1つのポリマー層を形成することは、少なくとも1つの熱可塑性層のような少なくとも1つのポリマー層のうちの1つ以上を予備成形することを含み得る。
【0104】
積層体における少なくとも1つの熱可塑性層および任意のさらなる層は、形成すべき構造部材のまだ硬化されていない1つ以上の層(例えば、スタック)であってもよい。積層体は、高温熱可塑性樹脂を有する少なくとも1つの熱可塑性層と、少なくとも1つの熱可塑性層の上に配置された第2のポリマー層(例えば、第2の複数の繊維上の熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂)と、少なくとも第3のポリマー層(例えば、少なくとも第3の複数の繊維上の熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂)とを含み得る。したがって、少なくとも1つの熱可塑性層および得られるモノリス複合構造体は、高温熱可塑性材料を内部に有する少なくとも1つの最外表面を含む。そのような例では、高温熱可塑性層なしで形成されたモノリス複合材と比較して、比較的低い熱放出(60kW*分/m2未満)が実現される。
【0105】
積層体を選択した形状に形成するステップ920は、積層体を金型内でプレスすることを含み得る。例えば、積層体を選択した形状に形成することは、第1の層510、第2の層520、または第3の層530のうちの1つ以上を金型内に配置することを含み得る。金型は、方法800に関して先に説明した通りであり得る。少なくとも1つの熱可塑性層を有する積層体を金型内でプレスすることは、1つ以上の態様について、方法800に関して先に説明したように実施され得る。例えば、積層体を金型内で選択した形状にプレスすることは、少なくとも1つの熱可塑性層を熱間プレスすることを含み得る。積層体を選択した形状に形成することは、本明細書に開示されている層のいずれかを金型内に配置すること、例えば、第1の層510を金型内に配置し、第2の層520を第1の層510の上に配置し、第3の層530を第2の層520の上に配置することを含み得る。モノリス複合材のための積層体において、いくつかの例では、第2の層520または第3の層530のうちの1つ以上が省略される場合がある。
【0106】
積層体を選択した形状に形成することは、金型を閉じ、その内部の少なくとも1つの熱可塑性層をプレスすることを含み得る。積層体を選択した形状に形成することは、少なくとも1つの熱可塑性層を金型内で選択した時間にわたってプレスすることを含み得る。積層体を選択した形状に形成することは、少なくとも1つの熱可塑性層を鋳型または枠の上に配置することを含み得る。金型または成形される積層体の形状としては、車体パネル、シート部材、車両用内装パネル、収納コンテナ用パネルなどのような本明細書に開示されている形状または複合部材のいずれかが挙げられ得る。
【0107】
1つ以上のポリマー樹脂は、プレスされると、またはプレスされた後に、各層それぞれの複数の繊維に浸透し、硬化して硬くなり、1つ以上の硬化したポリマー層の上に配置された硬化した熱可塑性層を形成することができる。
【0108】
積層体を硬化させて60kW*分/m2未満の熱放出を有するモノリス複合材を形成するステップ930は、方法800に関して先に説明したように、1つ以上の態様について、積層体を硬化させて60kW*分/m2未満の熱放出を有する複合サンドイッチを形成するステップ830と類似または同一であり得る。例えば、積層体を硬化させることは、少なくとも1つの熱可塑性層を硬化させて本明細書に開示されている熱放出値のいずれかを有するモノリス複合部品を形成することを含み得る。
【0109】
積層体を硬化させることは、その内部の1つ以上のポリマー樹脂の硬化温度まで1つ以上のモノリス層を金型内で加熱することを含み得る。積層体を硬化させること(例えば、その内部の1つ以上の熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂を硬化させること)は、積層体を、金型から取り外すこと、周囲空気中で冷却すること、冷蔵環境で冷却することなどによって、硬化温度から例えば硬化温度未満に冷却することを含み得る。いくつかの例では、方法900は、モノリス複合部品を金型から取り出すことを含み得る。
【0110】
方法900は、硬化後に積層体(例えば、ここでは少なくとも部分的に硬化したモノリス複合材)を冷却することをさらに含み得る。例えば、少なくとも部分的に硬化したモノリス複合構造体は、周囲温度において冷却され得るか、冷蔵環境において冷却され得るか、冷却トンネルにおいて冷却され得るか、または別のやり方でモノリス複合材全体に空気を通すことによって冷却され得る。
【0111】
方法900は、樹脂トランスファー成形またはプリプレグを利用して複合構造体を少なくとも部分的に形成することを含み得る。例えば、複数の繊維を金型内の積層体に入れ、熱可塑性樹脂を金型内に注入し、樹脂を積層体内の複数の繊維に含浸させて、まだ硬化していない複合積層板構造体を形成することができる。いくつかの例では、部品を形成するために、プリプレグを含む積層体が金型内に配置され、金型内でプレスされ得る。
【0112】
方法900は、硬化後にモノリス複合部品からばりを切り取ることを含み得る。いくつかの例では、モノリス複合部品は、硬化の前またはその後に、塗装され得るか、着色され得るか、ステッカー(例えば、ビニール)で覆われ得るか、または選択した色、テクスチャおよび外観にて別のやり方でもたらされ得る。
【0113】
実施例
実施例Aを以下の手順に従って形成した。平織りガラススキンを用意した。灰色顔料PEIをガラススキンに塗布して、PEI(熱可塑性)層を形成した。PEIは、PEI層の33重量%であり、ガラス繊維が、層の残りを形成していた。PEI層をプレスし、1分にわたって10barの圧力で310℃に加熱した。このPEI層に、エポキシ/ポリウレタン熱硬化性樹脂を含有する220gsm(グラム/平方メートル)のガラススキンを施与した。厚さ4mm(例えば、開放端部から開放端部まで)の複数のPEIチューブを有するコアを、まだ濡れている(硬化していない)熱硬化性層の上に配置した。エポキシ/ポリウレタン樹脂が塗布されたNCF炭素繊維シート(300gsm)を第1の熱硬化性層から反対側でコア上に配置して、実施例Aの積層体を形成した。この積層体をプレスして硬化させ、熱硬化性物質を固化させて、実施例Aを形成した。実施例Aは、厚さ約4.6mmであり、平面状であった。
【0114】
実施例Bを以下の手順に従って形成した。平織りガラススキンを用意した。灰色顔料PEIをガラススキンに塗布して、PEI(熱可塑性)層を形成した。PEIは、PEI層の33重量%であり、ガラス繊維が、層の残りを形成していた。PEI層をプレスし、1分にわたって10barの圧力で310℃に加熱した。このPEI層に、エポキシ/ポリウレタン熱硬化性樹脂を含有する220gsmのガラススキンを施与した。厚さ13mmのポリカーボネートハニカムコアを、まだ濡れている(硬化していない)熱硬化性層の上に配置した。エポキシ/ポリウレタン樹脂が塗布されたNCF炭素繊維シート(300gsm)を第1の熱硬化性層から反対側でコア上に配置して、実施例Bの積層体を形成した。この積層体をプレスして硬化させ、熱硬化性物質を固化させて、実施例Bを形成した。実施例Bは、厚さ約9.0mmであり、平面状であった。
【0115】
実施例Cを以下の手順に従って形成した。灰色顔料PEIをガラススキンに塗布して、PEI(熱可塑性)層を形成した。PEIは、PEI層の33重量%であり、ガラス繊維が、層の残りを形成していた。PEI層をプレスし、1分にわたって10barの圧力で310℃に加熱した。このPEI層に、エポキシ/ポリウレタン熱硬化性樹脂を含有する220gsmのガラススキンを施与した。厚さ20mmのポリウレタンフォームコアを、まだ濡れている(硬化していない)熱硬化性層の上に配置した。エポキシ/ポリウレタン樹脂が塗布されたNCF炭素繊維シート(300gsm)を第1の熱硬化性層から反対側でコア上に配置して、実施例Cの積層体を形成した。この積層体をプレスして硬化させ、熱硬化性物質を固化させて、実施例Cを形成した。実施例Cは、厚さ約18.5mmであり、平面状であった。
【0116】
実施例Dを以下の手順に従って形成した。灰色顔料PEIをガラススキンに塗布して、PEI(熱可塑性)層を形成した。PEIは、PEI層の33重量%であり、ガラス繊維が、層の残りを形成していた。PEI層をプレスし、1分にわたって10barの圧力で310℃に加熱した。このPEI層に、エポキシ/ポリウレタン熱硬化性樹脂を含有する220gsmのガラススキンを施与した。厚さ13mmのポリウレタンフリーライズフォームをフォームコアに使用し、これを、まだ濡れている(硬化していない)熱硬化性層の上に配置した。エポキシ/ポリウレタン樹脂が塗布されたNCF炭素繊維シート(300gsm)を第1の熱硬化性層から反対側でコア上に配置して、実施例Dの積層体を形成した。この積層体をプレスして硬化させ、熱硬化性物質を固化させて、実施例Dを形成した。実施例Dは、厚さ約11mmであり、平面状であった。
【0117】
比較例1を形成した。比較例1は、エポキシ/ポリウレタン熱硬化性物質を含有する80gsmのガラス織物を含んでおり、このガラス織物の上に、厚さ0.1mmのアルミニウムホイルを配置し、エポキシ/ポリウレタン熱硬化性物質を含有する220gsmのガラス織物をアルミニウム層の上に配置し、厚さ(例えば、高さ)4mmの複数のPEIチューブを含むコアを220gsmのガラス織物層の上に配置し、エポキシ/ポリウレタン樹脂が塗布されたNCF炭素繊維シート(300gsm)を220gsmのガラス織物層から反対側でコア上に配置した。80gsmのガラス織物層の表面を塗装して、選択した色を施与した。比較例1は、平面状であった。
【0118】
各実施例A~Dおよび比較例1の3つのサンプルを、14 C.F.R. pt. 25, Appendix F, Part IV(a)-(h) (2011)に記載の試験手順に従って、熱放出について試験した。試験から、実施例Aが、24.0kW*分/m2の平均熱放出および約110秒で26.7kW*分/m2の平均ピーク熱放出を有することが明らかになった。試験から、実施例Bが、6.0kW*分/m2の平均熱放出および約167秒で146.7kW*分/m2の平均ピーク熱放出を有することが明らかになった。試験から、実施例Cが、11.7kW*分/m2の平均熱放出および約290秒で45.9kW*分/m2の平均ピーク熱放出を有することが明らかになり、この場合、熱放出は、試験終了時でも依然として上昇していた。試験から、実施例Dが、91.8kW*分/m2の平均熱放出および約130秒で158.2kW*分/m2の平均ピーク熱放出を有することが明らかになった。試験から、比較例1が、86.8kW*分/m2の平均熱放出および約130秒で105.9kW*分/m2の平均ピーク熱放出を有することも明らかになった。
【0119】
実施例Aの熱放出値は驚くべきものであった。というのも、熱放出は、純粋なPEIコアについて得られた熱放出値(40kW*分/m2超)と類似または同一であり得ると当初考えられていたからである。PEI熱可塑性外層は、熱放出性を制限するためにホイルを用いる比較例1と比較して、実施例Aの熱放出性を低減させると考えられている。
【0120】
実施例BおよびDについての熱放出値は、航空、鉄道、または他の用途にとって満足できる熱放出性を上回っていた。実施例BおよびDのコアが(実施例Aと比較して)より厚いことは、それらの比較的高い熱放出値に寄与したと考えられている。
【0121】
実施例Bの平均熱放出は、ピーク熱放出(167秒)前の試験期間にわたって、非常に低く、6kW*分/m2であった。現在、実施例Bのポリカーボネートコアは、実施例AおよびDの非ポリカーボネートコアと比較して、熱放出を遅延させると考えられている。しかしながら、平均ピーク熱放出は、非常に高く、146.7kW*分/m2であった。実施例Bのコアが比較的厚いこと(13mm)は、実施例Bの平均ピーク熱放出が比較的高いことに寄与したと考えられている。また、実施例BおよびDのコアの厚さは、それらの内部の比較的高いピーク放出値に寄与すると考えられている。したがって、厚さ5mm未満のようなより薄いコアを用いることが望ましい場合がある。ポリエーテルイミド材料またはポリカーボネート材料を、それらに関連する熱放出値が比較的低いことに基づいて、コアに用いることが望ましい場合もある。
【0122】
実施例Cは、他の実施例よりも厚いポリウレタンフォーム(非常に燃焼性)製コアおよびより厚い複合材総厚を有するにもかかわらず、予想外に低い熱放出値を有していた。特に、熱放出値は、試験終了時(約300秒)にそのピークに達してはいなかった。したがって、実施例Cの他の層と組み合わせた熱可塑性外層は、航空、鉄道、および他の安全基準に合格するのに十分なほど熱放出を遅延させたと考えられている。
【0123】
比較例1のアルミニウムおよびさらなる熱硬化性層を実施例Aの熱可塑性層と置き換えることによって、複合サンドイッチ構造体は、航空、鉄道、または他の安全基準の十分に範囲内にある大幅に低減された熱放出性を有し得る。したがって、複合サンドイッチ構造体の内部構成要素から熱を逸らすためにアルミニウム層を追加するという費用のかかるステップは、本明細書に開示されている複合サンドイッチ構造体を使用することによって問題なく省略することができる。
【0124】
本明細書に開示されている熱可塑性層によって、この熱可塑性層を有する複合サンドイッチに望ましい熱放出特性をもたらすことができる。熱可塑性層に着色剤または顔料を備えることによって、外側表面として使用する場合に、熱可塑性層を塗装する必要がなくなり得る。代わりに、着色剤または顔料は、熱可塑性層全体にわたって選択した色を施与する役割を果たし、それによって、引っかかれても色を維持することができる。そのような例では、熱可塑性層を含む複合サンドイッチ構造体は、引っかきによる色落ちに対して耐性があり得るので、着色されていない(例えば、顔料着色されていない)熱可塑性外層または熱硬化性外層を塗装する必要がなくなる。
【0125】
本明細書に開示されている複合サンドイッチは、比較的低い熱放出性、高い吸音性、高い断熱性、高い曲げ剛性、高いエネルギー吸収性、および軽量性を有し得る。複合サンドイッチは、自動車産業、航空宇宙用途(例えば、飛行機の内装、座席、バルクヘッドなど)、船舶用途、農業機器、鉄道用途(例えば、エンジンまたは鉄道車両の内装、座席、バルクヘッドなど)、自転車、衛星用途、建設資材、消費者製品(例えば、家具、便座、および電子機器など)などを含むさまざまな用途において使用され得る。
【0126】
さまざまな態様および実施形態が本明細書に開示されているが、他の態様および実施形態も企図される。本明細書に開示されているさまざまな態様および実施形態は、説明を目的とするものであって、限定することを意図するものではない。