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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-10
(45)【発行日】2023-01-18
(54)【発明の名称】エナミンのフルオロアルキル化方法
(51)【国際特許分類】
   C07C 45/56 20060101AFI20230111BHJP
   C07C 45/60 20060101ALI20230111BHJP
   C07C 45/68 20060101ALI20230111BHJP
   C07C 49/687 20060101ALI20230111BHJP
   C07C 67/343 20060101ALI20230111BHJP
   C07C 69/757 20060101ALI20230111BHJP
   C07C 231/12 20060101ALI20230111BHJP
   C07C 233/32 20060101ALI20230111BHJP
   C07C 253/30 20060101ALI20230111BHJP
   C07C 255/46 20060101ALI20230111BHJP
   C07D 295/073 20060101ALI20230111BHJP
   C07D 295/104 20060101ALI20230111BHJP
   C07D 295/145 20060101ALI20230111BHJP
   C07D 309/30 20060101ALI20230111BHJP
   C07D 317/72 20060101ALI20230111BHJP
   C07D 335/02 20060101ALI20230111BHJP
   C07D 451/06 20060101ALI20230111BHJP
   C07J 1/00 20060101ALI20230111BHJP
   C07J 9/00 20060101ALI20230111BHJP
【FI】
C07C45/56
C07C45/60
C07C45/68
C07C49/687
C07C67/343
C07C69/757 Z
C07C231/12
C07C233/32
C07C253/30
C07C255/46
C07D295/073
C07D295/104
C07D295/145
C07D309/30 C
C07D317/72
C07D335/02
C07D451/06
C07J1/00
C07J9/00
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021573431
(86)(22)【出願日】2020-06-12
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-16
(86)【国際出願番号】 EP2020066351
(87)【国際公開番号】W WO2020249759
(87)【国際公開日】2020-12-17
【審査請求日】2022-02-09
(31)【優先権主張番号】19179702.6
(32)【優先日】2019-06-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】62/860,393
(32)【優先日】2019-06-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】19184587.4
(32)【優先日】2019-07-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】19186599.7
(32)【優先日】2019-07-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520346882
【氏名又は名称】アークサーダ・アー・ゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】テシュラー,クリストフ
(72)【発明者】
【氏名】ベラー,マティアス
(72)【発明者】
【氏名】ノイマン,ヘルフリート
(72)【発明者】
【氏名】フィッシャー,フロリアン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン,シャオク
(72)【発明者】
【氏名】イエ,フェイ
(72)【発明者】
【氏名】エリンガー,シュテファン
(72)【発明者】
【氏名】サラゴサ・デールバルト,フロレンシオ
【審査官】早川 裕之
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-533916(JP,A)
【文献】国際公開第2019/020726(WO,A1)
【文献】Acta Chimica Sinica,2003年,61,1641-1645
【文献】Sci. China Chem.,2016年,59,195-198
【文献】Adv. Synth. Catal.,356,2014年,3510-3518
【文献】J. Fluorine Chem.,2000年,106,217-221
【文献】J. Fluorine Chem.,1994年,69,171-183
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 295/073
C07C 49/687
C07C 45/68
C07C 255/46
C07C 253/30
C07C 69/757
C07C 67/343
C07C 233/32
C07C 231/12
C07C 45/60
C07C 45/56
C07D 295/104
C07D 295/145
C07D 317/72
C07J 1/00
C07J 9/00
C07D 309/30
C07D 335/02
C07D 451/06
CAplus/REGISTRY(STN)
CASREACT(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
反応REAC2によるエナミンENAMのフルオロアルキル化の方法であって、
塩基BASの存在下で、ENAMをフルオロアルキルハリドFAHALIDEと反応させ、
FAHALIDEが、式(FAHALIDE)
X2-R3-X1 (FAHALIDE)
[式中、
R3は、C1~20アルキレンであり、アルキレン鎖中、水素の少なくとも1個がFによって置換されており、
X1は、Cl、Br又はIであり、
X2は、C(O)-OC1~4アルキル、F、Br又はHである。]
の化合物であり、
BASが、NaPO、NaHPO、KPO、KHPO、NaCO、NaHCO、KCO、KHCO、CsCO、CsHCO、NaOH、KOH、NaOtBu、KOtBu、NEt、及びDBUからなる群から選択され、
反応REAC2が、金属触媒の非存在下で行われ、
反応REAC2によるエナミンENAMのフルオロアルキル化が、ENAMの炭素原子において行われ、
ENAMが、式(ENAM-I)
【化1】
[式中、
(i)で示されるN原子は、非芳香族の第三級N原子であり、
(ii)及び(iii)で示されるC原子は、非芳香族のC原子であり、
R20及びR21は、同一であるか、又は異なり、H、C 1~10 アルキル、C(O)-C 1~4 アルキル、COOH、C(O)-O-C 1~4 アルキルからなる群から選択され、
又は
R20及びR21は、R20及びR21を連結し、及びここに定義された(i)、(ii)及び(iii)を有する-C (iii) H=C (ii) (N (i) (R10)R11)-CH -中の3個のC原子と一緒になって、5、6若しくは7員の炭素環式若しくはヘテロ環式の非芳香族環RINGAを形成し、
5員RINGAは、式(RINGA-V)に示される環RINGA-Vであり、
6員RINGAは、式(RINGA-VI)に示される環RINGA-VIであり、及び
7員RINGAは、式(RINGA-VII)に示される環RINGA-VIIであり
【化2】
(式中、
RINGA-Vの場合に、(1)及び(2)で示される2個の環内C原子のそれぞれ、
RINGA-VIの場合に、(1)、(2)及び(3)で示される3個の環内C原子のそれぞれ、並びに
RINGA-VIIの場合に、(1)、(2)、(3)及び(4)で示される4個の環内C原子のそれぞれ
は、ヘテロ原子O、N又はSと交換されていてよく、Nは、非置換であるか、又はC 1~10 アルキル、C(O)-C 1~4 アルキル、及びフェニルからなる群から選択される置換基によって置換されていてよく、
RINGA-V、RINGA-VI及びRINGA-VIIのそれぞれにおいて、(1)、(2)、(3)又は(4)で示される環内原子を連結する結合はいずれも、単結合又は二重結合とすることができ、
RINGA-V、RINGA-VI及びRINGA-VIIのそれぞれにおいて、(1)、(2)、(3)又は(4)で示される環内C原子はいずれも、非置換であるか、又はC 1~10 アルキル、C(O)-C 1~4 アルキル、COOH、C(O)-O-C 1~4 アルキル、CN、フェニル、N(R12)R13、及びオキソからなる群から選択される、同一であるか、若しくは異なる1若しくは2個の置換基によって置換されていてもよく、又はエチレングリコールで保護されているカルボニルとすることができ、
RINGA-VIIにおいて、(1)及び(4)で示される2個の環内C原子は、-CH -又は-N(R30)-によって連結されていてもよく、
R30は、C 1~4 アルキル、フェニル又はベンジルとすることができ、
R12及びR13は同一であるか、又は異なり、H、C 1~10 アルキル、フェニル、及びC(O)-C 1~4 アルキルからなる群から選択される。)
又は
R20及びR21は、R20及びR21を連結し、及びここに定義された(i)、(ii)及び(iii)を有する式(ENAM-I)の-C (iii) H=C (ii) (N (i) (R10)R11)-CH -中の3個のC原子と一緒になって、ステロイド環系の一部分であり、
R10及びR11は、同一であるか、又は異なり、C 1~10 アルキル及びフェニルからなる群から選択され、
又は
R10及びR11は、R10及びR11を連結するN原子と一緒になって、5、6若しくは7員のヘテロ環式非芳香族環RINGBを形成し、
5員RINGBは、式(RINGB-V)に示される環RINGB-Vであり、
6員RINGBは、式(RINGB-VI)に示される環RINGB-VIであり、及び
7員RINGBは、式(RINGB-VII)に示される環RINGB-VIIである
【化3】
(式中、
RINGB-Vの場合に、(1)及び(2)で示される2個の環内C原子のそれぞれ、
RINGB-VIの場合に、(1)、(2)及び(3)で示される3個の環内C原子のそれぞれ、並びに
RINGB-VIIの場合に、(1)、(2)、(3)及び(4)で示される4個の環内C原子のそれぞれ
は、ヘテロ原子O、N又はSと交換されていてよく、Nは、非置換であるか、又はC 1~10 アルキル、C(O)-C 1~4 アルキル、及びフェニルからなる群から選択される置換基によって置換されていてよく、
RINGB-V、RINGB-VI及びRINGB-VIIのそれぞれにおいて、(1)、(2)、(3)又は(4)で示される環内原子を連結する結合はいずれも、単結合又は二重結合とすることができ、
RINGB-V、RINGB-VI及びRINGB-VIIのそれぞれにおいて、(1)、(2)、(3)又は(4)で示される環内C原子はいずれも、非置換であるか、又はC 1~10 アルキル、C(O)-C 1~4 アルキル、COOH、C(O)-O-C 1~4 アルキル、CN、フェニル、N(R14)R15、及びオキソからなる群から選択される、同一であるか、若しくは異なる1若しくは2個の置換基によって置換されていてよく、又はエチレングリコールで保護されているカルボニルとすることができ、
R14及びR15は、同一であるか、又は異なり、H、C 1~10 アルキル、フェニル、及びC(O)-C 1~4 アルキルからなる群から選択される。)。]
の化合物である、方法。
【請求項2】
反応REAC2が、Pd触媒の非存在下で行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
BASが、KPO、KCO、CsCO、KOH、KOtBu、NEt、及びDBUからなる群から選択される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
R3が、C1~15アルキレンであり、該アルキレン鎖中、水素の少なくとも1個がFによって置換されている、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
X1が、Br又はIである、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
X2が、C(O)-OC1~4アルキル、F又はBrである、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
R3によって表されるアルキレン(ここで、該アルキレン鎖中の水素の少なくとも1個がFによって置換されている。)が、ペルフルオロアルキレンである、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
R20及びR21が、R20及びR21を連結する式(ENAM-I)の-C(iii)H=C(ii)(N(i)(R10)R11)-CH-中の3個のC原子と一緒になって、ステロイド環系の一部分であるとき、ステロイド環系が、C-3にカルボニル(オキソ置換基)をもつステロイド核としてゴナンを有する、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
ENAMが、第二級アミンSEKAMとケトンKETの反応REAC1で調製される、請求項1~のいずれか一項に記載の方法であって、
SEKAMが、式(SEKAM-I)
【化4】
[式中、
(i)で示されるN原子は、非芳香族の第二級N原子であり、
R10及びR11は、請求項1に記載の通りである。]
の化合物であり並びに
KETが、式(KET-I)
【化5】
[式中、
(ii)及び(iii)で示されるC原子は、非芳香族のC原子であり、
R20及びR21は、請求項1に記載の通りである。]
の化合物である、方法
【請求項10】
REAC1及びREAC2が、ENAMの中間単離なしに行われる、請求項に記載の方法。
【請求項11】
REAC2後に、フルオロアルキル化ENAMが、反応REAC3において水で加水分解されて、SEKAM及びフルオロアルキル化KETをもたらし、前記SEKAM及びKETが、請求項に記載の通りである、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
REAC3が、酸性条件下で行われる、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
REAC2及びREAC3が、REAC2後に、フルオロアルキル化ENAMの中間単離なしに行われる、請求項11又は12に記載の方法。
【請求項14】
REAC1、REAC2及びREAC3が、ENAM又はフルオロアルキル化ENAMの中間単離なしに行われる、請求項1113のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塩基の存在下におけるフルオロアルキルハリドによるエナミンのフルオロアルキル化の方法を開示する。
【背景技術】
【0002】
有機フッ素化学は、医薬、農業、及び材料の科学及び分野において重要な役割を果たす。フルオロアルキル基は、高い安定性及び親油性などの強い効果をもち、さらに、フルオロアルキル基が長くなると、耐水耐油性が高く、摩擦が低い。
【0003】
Loy, R.N.ら、Organic Letters、2011、13、2548~2551頁は、GCによる収率26%でCF-IとベンゼンのPd触媒カップリングを開示する。
表1のエントリー10によれば、C13Iのカップリングは、収率81%を実現した。しかし、ヨウ化物の代わりに臭化物を用いてこの実験を繰り返すと、収率が1%未満となった。この明細書中の比較例を参照のこと。
【0004】
申し分ない収率を実現するが、Pd触媒作用を必要としない、均一系触媒を用いたα-C-Hフルオロアルキル化によるケトンなどのフルオロアルキル化化合物を調製する方法が求められた。方法は、アルキル化剤としてヨウ化物のみに限定されるべきではないが、臭化物でも機能するべきである。
【0005】
予想外なことに、フルオロアルキルハリドによるエナミンのフルオロアルキル化の方法は、驚いたことにいずれの金属触媒作用も必要としないことがわかった。エナミンは一方で、ケトンと第二級アミンの公知反応により容易に入手することができ、エナミンは他方で、フルオロアルキル化されると多くの目的のために使用されうる多様な基質に相当し、医薬品、農薬及び材料科学の領域における使用に適した中間体の優れた供給源を提供する。
【0006】
略語及び定義
本文において、別段の記載のない限り、以下の意味が使用される。
アルキル 直鎖状又は分枝状アルキル、好ましくは、直鎖状アルキル
eq、equiv 当量
「直鎖状」及び「n-」は、アルカンのそれぞれの異性体に対して同義で使用される。
「重量%(wt%)」、「重量%(% by weight)」及び「重量%(weight-%)」は、同義で使用され、重量パーセントを意味する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【文献】Loy, R.N.ら、Organic Letters、2011、13、2548~2551頁
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
(発明の要旨)
本発明の主題は、塩基BASの存在下でENAMをフルオロアルキルハリドFAHALIDEと反応させる、反応REAC2によるエナミンENAMのフルオロアルキル化の方法であって、
FAHALIDEが、式(FAHALIDE)
X2-R3-X1 (FAHALIDE)
[式中、
R3は、C1~20アルキレンであり、アルキレン鎖中、水素の少なくとも1個がFによって置換されており、
X1は、Cl、Br又はIであり、
X2は、C(O)-OC1~4アルキル、F、Br又はHである。]
の化合物であり、
BASが、NaPO、NaHPO、KPO、KHPO、NaCO、NaHCO、KCO、KHCO、CsCO、CsHCO、NaOH、KOH、NaOtBu、KOtBu、NEt、及び DBUからなる群から選択される、
方法である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
好ましくは、反応REAC2は、金属触媒、特にPd触媒の非存在下で行われる。
【0010】
好ましくは、反応REAC2による前記エナミンENAMの前記フルオロアルキル化は、前記ENAMの炭素原子において行われる(C-フルオロアルキル化)。
【0011】
好ましくは、BASは、KPO、KCO、CsCO、KOH、KOtBu、NEt、及びDBUからなる群から選択される。
【0012】
好ましくは、R3は、C1~15アルキレンであり、アルキレン鎖中、水素の少なくとも1個がFによって置換されており、
より好ましくは、R3は、C1~10アルキレンであり、アルキレン鎖中、水素の少なくとも1個がFによって置換されている。
【0013】
好ましくは、X1は、Br又はIであり、
より好ましくは、X1はIである。
【0014】
好ましくは、X2は、C(O)-OC1~4アルキル、F又はBrである。
【0015】
好ましくは、X1は、Br又はIであり、
X2は、C(O)-OC1~4アルキル、F又はBrであり、
より好ましくは、X1はIであり、
X2は、C(O)-OC1~4アルキル、F又はBrである。
【0016】
特に、FAHALIDEは、C1~20アルキル-X1、Br-(CFn3-Br、EtO-C(O)-CF-X1、FC-CH-X1、及びFC-C(Cl)H-X1からなる群から選択され、
より特に、FAHALIDEは、C1~15アルキル-X1、Br-(CFn3-Br、EtO-C(O)-CF-X1、FC-CH-X1、及びFC-C(Cl)H-X1からなる群から選択され、
さらにより特に、FAHALIDEは、C1~10アルキル-X1、Br-(CFn3-Br、EtO-C(O)-CF-X1、FC-CH-X1、及びFC-C(Cl)H-X1からなる群から選択され、
n3は、2~10の整数であり、
好ましくは、n3は、2、3、4、5、6であり、
より好ましくは、n3は、2、4又は6であり、
さらにより好ましくは、n3は4であり、
アルキルにおいて、C原子の少なくとも1個は、Fによって置換されている。
【0017】
特に、FAHALIDEは、F2110-I、F2110-Br、F19-I、F19-Br、F17-I、F17-Br、F13-I、F13-Br、F-I、F-Br、F-I、F-Br、FC-I、FC-Br、Br-(CF-Br、Br-(CF-Br、Br-(CF-Br、EtO-C(O)-CF-I、EtO-C(O)-CF-Br、FC-CH-Cl、FC-C(Cl)H-I及びFC-C(Cl)H-Brからなる群から選択され、
より特に、FAHALIDEは、F2110-I、F19-I、F17-I、F13-I、F-I、F-I、F19-Br、F17-Br、F-Br、FC-Br、Br-(CF-Br、EtO-C(O)-CF-Br、FC-CH-Cl、及びFC-C(Cl)H-Brからなる群から選択される。
【0018】
一実施形態において、アルキレン鎖中、水素の少なくとも1個がFによって置換されている、R3によって表される前記アルキレンは、ペルフルオロアルキレンである。
【0019】
一実施形態において、前記アルキル中、C原子の少なくとも1個がFによって置換されている、FAHALIDEの定義における前記アルキルは、ペルフルオロアルキルである。
【0020】
本発明において、R3が、アルキレン中、水素の少なくとも1個がFによって置換されているアルキレンであるというR3の定義で使用されている用語「アルキレン」は、X1及びX2によって置換されているアルキル残基を意味し、したがってFAHALIDEは、X1及びX2によって置換されているアルカンであり、アルカンの水素の少なくとも1個がFによって置換されている。
【0021】
ENAMは、第二級アミンとケトンの反応によって形成される任意のエナミンとすることができる。本発明の文脈の中で、「エナミン」の定義は、好ましくは、2-アミノチアゾールを除外し、より好ましくは、チアゾールを除外し、さらにより好ましくは、エナミン基が芳香族系の一部分である状況を除外し、最も好ましくは(芳香族系の一部分であってもなくても)、α,β-不飽和イミンを除外する。
【0022】
好ましくは、反応REAC2による前記エナミンENAMのフルオロアルキル化は前記ENAMの炭素原子において行われる(C-フルオロアルキル化)。より好ましくは、C-フルオロアルキル化が行われる炭素原子は、エナミンENAMを得るために第二級アミンと反応させたケトンのカルボニル基に直接隣接している炭素原子(α-炭素)である。
【0023】
ENAMは、式(ENAM)
【0024】
【化1】
[式中、
(i)で示されるN原子は、非芳香族の第三級N原子であり、
(ii)及び(iii)で示されるC原子は、非芳香族のC原子である。]
の化合物であることができる。
【0025】
ENAMは、式(ENAM-I)
【0026】
【化2】
[式中、
(i)で示されるN原子は、非芳香族の第三級N原子であり、
(ii)及び(iii)で示されるC原子は、非芳香族のC原子であり、
R20及びR21は同一であるか、又は異なり、H、C1~10アルキル、C(O)-C1~4アルキル、COOH、C(O)-O-C1~4アルキルからなる群から選択され、
又は
R20及びR21は、R20及びR21を連結し、及びここに定義された(i)、(ii)及び(iii)を有する-C(ii)H=C(i)(N(iii)(R10)R11)-CH-中の3個のC原子と一緒になって、5、6若しくは7員の炭素環式若しくはヘテロ環式非芳香族環RINGAを形成し、
5員RINGAは、式(RINGA-V)に示される環RINGA-Vであり、
6員RINGAは、式(RINGA-VI)に示される環RINGA-VIであり、及び
7員RINGAは、式(RINGA-VII)に示される環RINGA-VIIであり
【0027】
【化3】
(式中、
RINGA-Vの場合に(1)及び(2)で示される2個の環内C原子のそれぞれ、
RINGA-VIの場合に(1)、(2)及び(3)で示される3個の環内C原子のそれぞれ、並びに
RINGA-VIIの場合に(1)、(2)、(3)及び(4)で示される4個の環内C原子のそれぞれ
は、ヘテロ原子O、N又はSと交換されていてよく、前記Nは、非置換であるか、又はC1~10アルキル、C(O)-C1~4アルキル、及びフェニルからなる群から選択される置換基によって置換されていてよく、
RINGA-V、RINGA-VI及びRINGA-VIIのそれぞれにおいて、(1)、(2)、(3)又は(4)で示される環内原子を連結する結合のいずれも、単結合又は二重結合とすることができ、
RINGA-V、RINGA-VI及びRINGA-VIIのそれぞれにおいて、(1)、(2)、(3)又は(4)で示される環内C原子のいずれも、非置換であるか、又はC1~10アルキル、C(O)-C1~4アルキル、COOH、C(O)-O-C1~4アルキル、CN、フェニル、N(R12)R13、及びオキソからなる群から選択される同一であるか、若しくは異なる1若しくは2個の置換基によって置換されていてよく、又はエチレングリコールで保護されているカルボニルとすることができ、
RINGA-VIIにおいて(1)及び(4)で示される2個の環内C原子は、-CH-又は-N(R30)-によって連結されていてよく、
R30は、C1~4アルキル、フェニル又はベンジルとすることができ、
R12及びR13は同一であるか、又は異なり、H、C1~10アルキル、フェニル、及びC(O)-C1~4アルキルからなる群から選択される。)
又は
R20及びR21は、R20及びR21を連結し、及びここに定義された(i)、(ii)及び(iii)を有する式(ENAM-I)の-C(ii)H=C(i)(N(iii)(R10)R11)-CH-中の3個のC原子と一緒になって、ステロイド環系の一部分であり、
R10及びR11は同一であるか、又は異なり、C1~10アルキル及びフェニルからなる群から選択され、
又は
R10及びR11は、R10及びR11を連結するN原子と一緒になって、5、6若しくは7員のヘテロ環式非芳香族環RINGBを形成し、
5員RINGBは、式(RINGB-V)に示される環RINGB-Vであり、
6員RINGBは、式(RINGB-VI)に示される環RINGB-VIであり、
7員RINGBは、式(RINGB-VII)に示される環RINGB-VIIである
【0028】
【化4】
(式中、
RINGB-Vの場合に(1)及び(2)で示される2個の環内C原子のそれぞれ、
RINGB-VIの場合に(1)、(2)及び(3)で示される3個の環内C原子のそれぞれ、並びに
RINGB-VIIの場合に(1)、(2)、(3)及び(4)で示される4個の環内C原子のそれぞれ
は、ヘテロ原子O、N又はSと交換されていてよく、前記Nは、非置換であるか、又はC1~10アルキル、C(O)-C1~4アルキル、及びフェニルからなる群から選択される置換基によって置換されていてよく、
RINGB-V、RINGB-VI及びRINGB-VIIのそれぞれにおいて、(1)、(2)、(3)又は(4)で示される環内原子を連結する結合のいずれも、単結合又は二重結合とすることができ、
RINGB-V、RINGB-VI及びRINGB-VIIのそれぞれにおいて、(1)、(2)、(3)又は(4)で示される環内C原子のいずれも、非置換であるか、又はC1~10アルキル、C(O)-C1~4アルキル、COOH、C(O)-O-C1~4アルキル、CN、フェニル、N(R14)R15、及びオキソからなる群から選択される同一であるか、若しくは異なる1若しくは2個の置換基によって置換されていてよく、又はエチレングリコールで保護されているカルボニルとすることができ、
R14及びR15は同一であるか、又は異なり、H、C1~10アルキル、フェニル、及びC(O)-C1~4アルキルからなる群から選択される。)。]
の化合物であることができる。
【0029】
ENAM-Iにおいて(i)で示されるN原子は、ENAMにおいて(i)で示されるのと同じN原子であり、
ENAM-Iにおいて(ii)及び(iii)で示されるC原子は、ENAMにおいて(ii)及び(iii)で示されるものと同じC原子である。
【0030】
R20及びR21が、R20及びR21を連結し、及びここに定義された(i)、(ii)及び(iii)を有する式(ENAM-I)の-C(ii)H=C(i)(N(iii)(R10)R11)-CH-中の3個のC原子と一緒になって、ステロイド環系の一部分であるとき、前記ステロイド環系は、C-3にカルボニル(オキソ置換基)をもつステロイド核としてゴナンを有することができる。ステロイド核としてゴナンをもち、C-3にカルボニル(オキソ置換基)をもつステロイド環系のA環は、飽和されていてよい。ENAM-Iは、第二級アミンとC-3におけるこのカルボニルの反応によって形成される。
【0031】
C-3にカルボニル(オキソ置換基)をもつステロイド環系は、コレステロン、ジヒドロコレステロン、ジヒドロテストステロン、ジヒドロプロゲステロン、ジヒドロコルチゾール、ジヒドロコルチゾン、ジヒドロノルエチステロン、ジヒドロアルドステロン、ジヒドロコルチコステロン、ジヒドロアンドロステンジオンなどとすることができる。
【0032】
好ましくは、R20及びR21は同一であるか、又は異なり、H、C1~4アルキル、C(O)-C1~2アルキル、COOH、C(O)-O-C1~2アルキルからなる群から選択され、
又は
RINGA-Vの場合に(1)及び(2)で示される2個の環内C原子の1個、
RINGA-VIの場合に(1)、(2)及び(3)で示される3個の環内C原子の1又は2個、並びに
RINGA-VIIの場合に(1)、(2)、(3)及び(4)で示される4個の環内C原子の1又は2個
は、ヘテロ原子O、N又はSと交換されていてよく、前記Nは、非置換であるか、又はC1~4アルキル、C(O)-C1~2アルキル、及びフェニルからなる群から選択される置換基によって置換されていてよく、
RINGA-V、RINGA-VI及びRINGA-VIIのそれぞれにおいて、(1)、(2)、(3)又は(4)で示される環内C原子の1又は2個は、非置換であるか、又はC1~4アルキル、C(O)-C1~2アルキル、C(O)-O-C1~2アルキル、CN、フェニル、N(R12)R13、及びオキソからなる群から選択される同一であるか、若しくは異なる1若しくは2個の置換基によって置換されていてよく、又はエチレングリコールで保護されているカルボニルとすることができ、
RINGA-VIIにおいて(1)及び(4)で示される2個の環内C原子は、-N(R30)-によって連結されていてよく、
R30は、C1~2アルキル、フェニル又はベンジルとすることができ、
R12及びR13は同一であるか、又は異なり、H、C1~4アルキル、フェニル、及びC(O)-C1~2アルキルからなる群から選択され、
又は
R20及びR21は、R20及びR21を連結し、及びここに定義された(i)、(ii)及び(iii)を有する式(ENAM-I)の-C(ii)H=C(i)(N(iii)(R10)R11)-CH-中の3個のC原子と一緒になって、ステロイド環系の一部分である。
【0033】
好ましくは、R10及びR11は同一であるか、又は異なり、C1~4アルキル及びフェニルからなる群から選択され、
又は
R10及びR11は、R10及びR11を連結するN原子と一緒になって、RINGB-V又はRINGB-VIを形成し、
RINGB-Vの場合に(1)及び(2)で示される2個の環内C原子の1個、並びに
RINGB-VIの場合に(1)、(2)及び(3)で示される3個の環内C原子の1又は2個
は、ヘテロ原子O、N又はSと交換されていてよく、前記Nは、非置換であるか、又はC1~4アルキル、C(O)-C1~2アルキル、及びフェニルからなる群から選択される置換基によって置換されていてよく、
RINGB-V及びRINGB-VIのそれぞれにおいて、(1)、(2)又は(3)で示される環内C原子の1又は2個は、非置換であるか、又はC1~4アルキル、C(O)-C1~2アルキル、C(O)-O-C1~2アルキル、CN、フェニル、N(R14)R15、及びオキソからなる群から選択される同一であるか、若しくは異なる1若しくは2個の置換基によって置換されていてよく、又はエチレングリコールで保護されているカルボニルとすることができ、
R14及びR15は同一であるか、又は異なり、H、C1~4アルキル、フェニル、及びC(O)-C1~2アルキルからなる群から選択される。
【0034】
より好ましくは、R10及びR11は同一であるか、又は異なり、C1~4アルキル及びフェニルからなる群から選択され、
又は
R10及びR11は、R10及びR11を連結するN原子と一緒になって、RINGB-V又はRINGB-VIを形成し、
RINGB-Vの場合に(1)及び(2)で示される2個の環内C原子の1個、並びに
RINGB-VIの場合に、(1)、(2)及び(3)で示される3個の環内C原子の1個
は、ヘテロ原子Oと交換されていてよく、
RINGB-V及びRINGB-VIのそれぞれにおいて、(1)、(2)又は(3)で示される環内C原子の1又は2個は、非置換であるか、又はC1~4アルキル、N(R14)R15、及びオキソからなる群から選択される同一であるか、若しくは異なる1若しくは2個の置換基によって置換されていてよく、又はエチレングリコールで保護されているカルボニルとすることができ、
R14及びR15は同一であるか、又は異なり、H、C1~4アルキル、フェニル、及びC(O)-C1~2アルキルからなる群から選択される。
【0035】
さらにより好ましくは、R10及びR11は同一であるか、又は異なり、C1~4アルキル及びフェニルからなる群から選択され、
又は
R10及びR11は、R10及びR11を連結するN原子と一緒になって、RINGB-V又はRINGB-VIを形成し、
RINGB-VIの場合に(2)で示される環内C原子は、ヘテロ原子Oと交換されていてよい。
【0036】
ENAMの実施形態は、
【0037】
【化5】
である。
【0038】
REAC2の反応生成物は、フルオロアルキル化ENAMである。
【0039】
REAC2におけるFAHALIDEのモル量は、ENAMのモル量の0.01~10倍、より好ましくは0.05~5倍、さらにより好ましくは0.1~4倍、特に0.1~3倍、より特に0.2~2.1倍とすることができる。
【0040】
REAC2におけるBASのモル量は、ENAMのモル量の0.1~10倍、好ましくは0.2~5倍、さらにより好ましくは0.3~4倍、特に0.4~3.1倍とすることができる。
【0041】
REAC2は、溶媒SOLV2中で行われてよく、SOLV2は、THF、EtO、トルエン、ヘプタン、アセトニトリル、DCM又は酢酸エチルとすることができ、
好ましくは、REAC2は、溶媒SOLV2中で行われてよく、SOLV2は、THF、EtO、トルエン、ヘプタン、アセトニトリル又はDCMとすることができる。
【0042】
REAC2におけるSOLV2の量は、ENAMの重量の2~100倍、好ましくは3~50倍、さらにより好ましくは3~25倍、特に3~15倍とすることができる。
【0043】
REAC2の反応温度TEMP2は、-10~150℃、好ましくは-5~120℃、より好ましくは0~100℃、さらにより好ましくは10~90℃とすることができる。
【0044】
REAC2の反応時間TIME2は、1~100時間、好ましくは2~100時間、より好ましくは5~100時間、さらにより好ましくは10~100時間とすることができる。
【0045】
REAC2は、周囲圧力下又は高圧力下で行われてよく、REAC2の圧力は、選択されたTEMP2と反応混合物の蒸気圧との組合せによって生じ得るか、又は決定され得る。
【0046】
REAC2は、不活性雰囲気下で行われてよく、不活性雰囲気は、窒素又はアルゴンによって提供され得る。
【0047】
REAC2は、好ましくは、水の非存在下で又は少なくとも水の存在量が最小限に抑えられて行われる。REAC2において存在する水の量を最小限に抑えるために、さまざまな措置が講じられてよく、例えば、REAC2において存在する物質、例えば基質、FAHALIDE、BAS若しくは任意の溶媒をいずれも、REAC2前に乾燥し、又は
REAC2は、乾燥剤DRYAGの存在下で行われてよく、
DRYAGは、モレキュラーシーブ又はCaCl、MgSO、若しくはNaSOなどの吸湿性塩からなる群から選択されてよく、
好ましくは、モレキュラーシーブでありうる。
【0048】
好ましくは、モレキュラーシーブは、2~6オングストロームの孔径を有する。
【0049】
モレキュラーシーブは、Na12[(AlO12(SiO12]xHOなどのアルミニウムケイ酸ナトリウムとすることができる。
【0050】
好ましくは、反応において使用されるDRYAGの量は、基質の重量に対して0.1~2倍、より好ましくは0.1~1.5倍、さらにより好ましくは0.1~1倍、特に0.1~0.75倍、より特に0.1~0.5倍である。
【0051】
ENAMは、第二級アミンSEKAMとケトンKETの反応REAC1で調製されてよい。
【0052】
SEKAMは、ケトンを用いてエナミンを形成することができる任意の第二級アミンとすることができる。
【0053】
SEKAMは、式(SEKAM)
【0054】
【化6】
[式中、
(i)で示されるN原子は、非芳香族の第二級N原子である。]
の化合物であることができる。
【0055】
SEKAMは、式(SEKAM-I)
【0056】
【化7】
[式中、
(i)で示されるN原子は、非芳香族の第二級N原子であり、
R10及びR11は、本明細書に定義される通りであり、それらの実施形態のすべてでも同様である。]
の化合物とすることができる。
【0057】
SEKAMの実施形態は、ピロリジン、モルホリン、ピペリジン、ヘキサメチルジシラザン、ジイソプロピルアミン及びジエチルアミンであり、
好ましくは、ピロリジン及びモルホリンである。
【0058】
KETは、第二級アミンを用いてエナミンを形成することができる任意のケトンとすることができる。
【0059】
KETは、式(KET)
【0060】
【化8】
[式中、
(ii)及び(iii)で示されるC原子は、非芳香族のC原子である。]
の化合物とすることができる。
【0061】
KETは、式(KET-I)
【0062】
【化9】
[式中、
(ii)及び(iii)で示されるC原子は、非芳香族のC原子であり、
R20及びR21は、本明細書に定義される通りであり、それらの実施形態のすべてでも同様である。]
の化合物とすることができる。
【0063】
KETの実施形態は、
【0064】
【化10】
である。
【0065】
KET-Iにおいて(i)で示されるN原子は、KETにおいて(i)で示されるのと同じN原子であり、ENAM及びENAM-Iにおいて(i)で示される同じN原子であり、
KET-Iにおいて(ii)及び(iii)で示されるC原子は、KETにおいて(ii)及び(iii)で示されるのと同じC原子であり、ENAM及びENAM-Iにおいて(ii)及び(iii)で示されるのと同じC原子である。
【0066】
REAC1におけるSEKAMのモル量は、KETのモル量の1~10倍、好ましくは1~5倍、より好ましくは1~4倍、さらにより好ましくは1~3倍、特に1~2.3倍とすることができる。
【0067】
REAC1は、溶媒SOLV1中で行われてよく、SOLV1は、THF、EtO、トルエン、ヘプタン、アセトニトリル、DCM又は酢酸エチルとすることができ、
好ましくは、REAC1は、溶媒SOLV1中で行われてよく、SOLV1は、THF、EtO、トルエン、ヘプタン、アセトニトリル又はDCMとすることができる。
【0068】
REAC1におけるSOLV1の量は、KETの重量の2~100倍、好ましくは3~50倍、さらにより好ましくは3~25倍、特に3~15倍とすることができる。
【0069】
REAC1の反応温度TEMP1は、-10~150℃、好ましくは-5~120℃、より好ましくは0~100℃、さらにより好ましくは10~90℃とすることができる。
【0070】
REAC1の反応時間TIME1は、1~100時間、好ましくは2~100時間、より好ましくは5~100時間、さらにより好ましくは10~100時間とすることができる。
【0071】
REAC1は、周囲圧力下又は高圧力下で行われてよく、REAC1の圧力は、選択されたTEMP1と反応混合物の蒸気圧との組合せによって生じうるか、又は決定され得る。
【0072】
REAC1は、不活性雰囲気下で行われてよく、不活性雰囲気は、窒素又はアルゴンによって提供され得る。
【0073】
SOLV1及びSOLV2は、同じであり得る。
【0074】
TIME1及びTIME2については、同じ時間が選択されてよい。
【0075】
TEMP1及びTEMP2については、同じ温度が選択されてよい。
【0076】
好ましくは、REAC1及びREAC2はENAMの中間単離なしに行われる。
【0077】
好ましくは、REAC1及びREAC2は、同じ反応容器中で行われる。
【0078】
より好ましくは、REAC1及びREAC2はENAMの中間単離なしに行われ、同じ反応容器中で行われる。
【0079】
さらにより好ましくは、REAC1及びREAC2は、ENAMの中間単離なしに行われ、同じ反応容器中で行われ、KET、SEKAM、FAHALIDE及びBASはすべて最初に一緒に混合され、それによってすべて、反応REAC1及びREAC2において存在し、この場合、TIME1とTIME2は同一であり、TEMP1とTEMP2は同一である。
【0080】
REAC2後に、フルオロアルキル化ENAMは、反応REAC3において水で加水分解されて、SEKAM及びフルオロアルキル化KETをもたらすことができる。
【0081】
REAC3は、好ましくは、酸性条件下で行われ、
前記酸性条件は、REAC3中における酸の存在によって実現され得、
前記酸は、エナミンのHCl、HSO、HPO、トリフルオロ酢酸、酢酸などの水性条件下におけるそれぞれ第二級アミン及びケトンへの開裂を触媒することができる、当業者に公知のいずれの酸であってよく、
好ましくは、HClとすることができる。
【0082】
前記酸は、水性溶液の形で使用され得る。
【0083】
REAC3における水のモル量は、ENAMのモル量以上であってよい。
【0084】
REAC3における前記酸のモル量は、フルオロアルキル化ENAMのモル量に対して触媒量であってよく、又はENAMのモル量以上であってよい。例えば、1N 水性HClが使用され得る。
【0085】
REAC3は、フルオロアルキル化ENAMを水及び任意選択的に前記酸と混合することによって行われる。前記混合は、好ましくは、REAC2後に行われる。
【0086】
REAC3は、溶媒SOLV3中で行われてよく、SOLV3は、THF、EtO、トルエン、ヘプタン、アセトニトリル、DCM又は酢酸エチルとすることができ、
好ましくは、REAC3は、溶媒SOLV3中で行われてよく、SOLV3 は、THF、EtO、トルエン、ヘプタン、アセトニトリル又はDCMとすることができる。
【0087】
REAC3におけるSOLV3の量は、フルオロアルキル化ENAMの重量の2~100倍、好ましくは3~50倍、さらにより好ましくは3~25倍、特に3~15倍とすることができる。
【0088】
REAC3の反応温度TEMP3は、-10~150℃、好ましくは-5~120℃、より好ましくは0~100℃、さらにより好ましくは10~90℃とすることができる。
【0089】
REAC3の反応時間TIME3は、15分~24時間、好ましくは30分~12時間、より好ましくは30分~6時間、さらにより好ましくは30分~3時間とすることができる。
【0090】
REAC3は、周囲圧力下又は高圧力下で行われてよく、REAC3の圧力は、選択されたTEMP3と反応混合物の蒸気圧との組合せによって生じ得るか、又は決定され得る。
【0091】
REAC3は、不活性雰囲気下で行われてよく、不活性雰囲気は、窒素又はアルゴンによって供給され得る。
【0092】
SOLV2及びSOLV3は、同じであり得る。
【0093】
好ましくは、REAC2及びREAC3は、REAC2後におけるフルオロアルキル化ENAMの中間単離なしに行われる。
【0094】
REAC2及びREAC3が、REAC2後におけるフルオロアルキル化ENAMの中間単離なしに行われるとき、REAC2後に得られた反応混合物は、水及び任意選択的に前記酸と混合され得る。
【0095】
好ましくは、REAC2及びREAC3は、同じ反応容器中で行われる。
【0096】
より好ましくは、REAC2及びREAC3は、REAC2後におけるフルオロアルキル化ENAMの中間単離なしに行われ、同じ反応容器中で行われる。
【0097】
好ましくは、REAC1、REAC2及びREAC3は、ENAM又はフルオロアルキル化ENAMの中間単離なしに行われる。
【0098】
好ましくは、REAC1、REAC2及びREAC3は、同じ反応容器中で行われる。
【0099】
より好ましくは、REAC1、REAC2及びREAC3は、ENAM又はフルオロアルキル化ENAMの中間単離なしに行われ、同じ反応容器中で行われる。
【0100】
さらにより好ましくは、REAC1、REAC2及びREAC3は、ENAM又はフルオロアルキル化ENAMの中間単離なしに行われ、同じ反応容器中で行われ、KET、SEKAM、FAHALIDE及びBASはすべて最初に一緒に混合され、それによってすべて、反応REAC1及びREAC2において存在し、この場合、TIME1とTIME2は同一であり、TEMP1とTEMP2は同一である。
【0101】
REAC1及びREAC2が、ENAMの中間単離なしに行われるとき、DRYAGは、反応REAC1及びREAC2において存在し得る。
【0102】
REAC1後のENAM、REAC2後のフルオロアルキル化ENAM、及びREAC3後のフルオロアルキル化KETは、当業者に公知の手順に従って単離され得る。
【実施例
【0103】
略語及び定義
4A MS 4オングストロームのモレキュラーシーブ、CAS 70955-01-0、Na12[(AlO12(SiO12]xHO、Sigma Aldrich ProdNo. 688363、使用量は、0.5mmolの限定反応基質当たり0.5gの4A MSであった。
CFPh ベンゾトリフルオリド、α,α,α-トリフルオロトルエン
Conv 反応における限定物質(場合によって、基質又はFAHALIDE)に対する変換率(mol%)
DBU 1,8-ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデカ-7-エン
DCM ジクロロメタン
1,2-DFB 1,2-ジフルオロベンゼン
1,4-DFB 1,4-ジフルオロベンゼン
EtO ジエチルエーテル
KOtBu カリウムtert-ブトキシド
NEt トリエチルアミン
THF テトラヒドロフラン
収率 反応における限定物質(場合によって、基質又はFAHALIDE)に対する収率
【0104】
材料
プロトコル1-REAC2
基質、FAHALIDE、BAS及び溶媒(すべての当量及び量はそれぞれの表に指定されている。)の混合物を、厚壁圧力管(Ace圧力管、Sigma-Aldrich Art. No.Z564559)に入れた。圧力管中のガス雰囲気をアルゴンでフラッシュし、圧力管をネジ蓋で閉じ、加熱した(反応温度及び反応時間はそれぞれの表に指定されている。)。得られた混合物を室温に冷却した。固形物を遠心分離(3000rpm、15分)により除去した。得られた溶液を、定量GC分析(内部標準ヘキサデカン)、内部標準1,2-ジフルオロベンゼン、1,4-ジフルオロベンゼン若しくはベンゾトリフルオリドを使用する19F-NMR分析、又はGC-MSによって分析した。
【0105】
プロトコル2-REAC1、REAC2及びREAC3
基質、FAHALIDE、SEKAM、BAS、DRYAG及び溶媒(すべての当量及び量はそれぞれの表に指定されている。)の混合物を、厚壁圧力管(Ace圧力管、Sigma-Aldrich Art. No.Z56455964575)に入れた。圧力管中のガス雰囲気をアルゴンでフラッシュし、圧力管をネジ蓋で閉じ、加熱した(反応温度及び反応時間はそれぞれの表に指定されている。)。得られた反応混合物を周囲温度で1N水性塩酸(2当量)と1時間混合した。次いで、有機相を分離し、生成物を、長鎖フルオロアルキル鎖(10個以上の炭素原子を含むアルキル鎖)にはFluoroFlash(登録商標)逆相シリカゲル(Sigma Aldrich No.: 00866)及びグラジエント溶媒溶離(1. MeOH:HO(4:1、10mL)、2. MeOH(100%、10mL)、3. アセトン(100%、10mL)を使用するピペットカラムクロマトグラフィーによって、又は10個未満の炭素原子を含むフルオロアルキル鎖にはシリカゲル(Sigma Aldrich No.236802)及びグラジエント溶媒溶離(1. ペンタンエーテル(100%)、2. ペンタン:ジエチルエーテル(50%:50%、10ml)を使用する順相シリカゲルクロマトグラフィーによって精製した。
【0106】
得られた溶液を、定量GC分析(内部標準ヘキサデカン)、内部標準1,2-ジフルオロベンゼン、1,4-ジフルオロベンゼン若しくはベンゾトリフルオリドを使用する19F-NMR分析、又はGC-MSによって分析した。
【0107】
プロトコル3-REAC1及びREAC2
基質、FAHALIDE、SEKAM、BAS、DRYAG及び溶媒(すべての当量及び量はそれぞれの表に指定されている。)の混合物を、厚壁圧力管(Ace圧力管、Sigma-Aldrich Art. No.Z564559)に入れた。圧力管中のガス雰囲気をアルゴンでフラッシュし、圧力管をネジ蓋で閉じ、加熱した(反応温度及び反応時間はそれぞれの表に指定されている。)。得られた混合物を室温に冷却した。固形物を遠心分離(3000rpm、15分)により除去した。得られた溶液を、定量GC分析(内部標準ヘキサデカン)、内部標準1,2-ジフルオロベンゼン、1,4-ジフルオロベンゼン若しくはベンゾトリフルオリドを使用する19F-NMR分析、又はGC-MSによって分析した。
【0108】
プロトコル4-REAC2及びREAC3
基質、FAHALIDE、BAS及び溶媒(すべての当量及び量はそれぞれの表に指定されている。)の混合物を、厚壁圧力管(Ace圧力管、Sigma-Aldrich Art. No.Z564559)に入れた。圧力管中のガス雰囲気をアルゴンでフラッシュし、圧力管をネジ蓋で閉じ、加熱した(反応温度及び反応時間はそれぞれの表に指定されている。)。得られた混合物を室温に冷却し、1N水性塩酸と1時間混合した。次いで、有機相を分離し、定量GC分析(内部標準ヘキサデカン)、内部標準1,2-ジフルオロベンゼン、1,4-ジフルオロベンゼン若しくはベンゾトリフルオリドを使用する19F-NMR分析、又はGC-MSによって分析した。
【0109】
実施例の詳細が、表1、2及び3に記載されている。
【0110】
実施例1~28は、プロトコル1-REAC2に従って行った。
【0111】
実施例29~72は、プロトコル2-REAC1、REAC2及びREAC3に従って行った。
【0112】
実施例77~80は、プロトコル3-REAC1及びREAC2に従って行った。
【0113】
実施例73~76は、プロトコル4-REAC2及びREAC3に従って行った。
【0114】
【表1】
【0115】
実施例63及び64における(a)は、側鎖が指示された立体化学で環に結合している箇所を表す。
【0116】
【表2】
【0117】
【表3】