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特許7208452データ取引処理プログラム、データ取引処理装置、及びデータ取引処理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-11
(45)【発行日】2023-01-19
(54)【発明の名称】データ取引処理プログラム、データ取引処理装置、及びデータ取引処理方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 20/38 20120101AFI20230112BHJP
   G06Q 30/0601 20230101ALI20230112BHJP
【FI】
G06Q20/38 310
G06Q30/06 300
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2018230624
(22)【出願日】2018-12-10
(65)【公開番号】P2020095307
(43)【公開日】2020-06-18
【審査請求日】2021-09-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087480
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 修平
(72)【発明者】
【氏名】西間木 哲
【審査官】大野 朋也
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-338245(JP,A)
【文献】特開2002-140590(JP,A)
【文献】特開2003-187524(JP,A)
【文献】特開平08-185444(JP,A)
【文献】特表2008-538018(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0097006(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2002/0091551(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0235006(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0082456(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0178136(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の販売元から提供されたデータのうち、何れかのデータの購入者の端末に該データの代金の支払いを要求し、前記代金の支払いに応じて前記データを前記購入者の端末に送信するデータ取引処理プログラムにおいて、
前記複数の販売元の各端末から前記データの価格の通知を受信し、
前記購入者に前記データの販売元の不当性の報告を保証させるための保証金を前記複数の販売元の前記データの価格に基づき設定し、
前記データの価格に前記保証金を加算することにより前記データの代金を算出して前記購入者の端末に通知し
前記代金の支払いに応じて前記データを前記購入者の端末に送信した後、前記購入者の端末からの前記データの販売元の不当性の報告に応じて前記購入者の端末に前記保証金の範囲内の金額を返金する、
処理をコンピュータに実行させることを特徴とするデータ取引処理プログラム。
【請求項2】
前記保証金の範囲内の金額を返金する処理は、前記購入者の端末からの前記データの販売元の不当性の報告に応じ、前記複数の販売元のうち、正当な他の第1の販売元から提供された前記データを購入した他の購入者の端末に前記保証金の範囲内の金額を返金することを特徴とする請求項1に記載のデータ取引処理プログラム。
【請求項3】
記保証金の範囲内の金額を返金する処理は、前記データの販売元が正当である場合、前記購入者の端末への前記保証金の範囲内の金額の返金を行わないことを特徴とする請求項1または2に記載のデータ取引処理プログラム。
【請求項4】
前記保証金の範囲内の金額を返金する処理は、前記データの代金から、前記複数の販売元のうち、正当な他の第2の販売元から提供された他のデータの価格を減じた残りの金額を返金し、
さらに、前記第2の販売元の端末に前記他のデータの価格に応じた金額を支払う、
処理を前記コンピュータに実行させることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載のデータ取引処理プログラム。
【請求項5】
前記販売元の端末から、前記保証金を補助するための補助金の支払いを受ける処理を、さらに前記コンピュータに実行させ、
前記データの代金を算出して前記購入者の端末に通知する処理は、前記販売元の端末からの前記補助金の支払いに応じ前記保証金を減額して前記データの価格に加算することにより前記データの代金を算出して前記購入者の端末に通知することを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載のデータ取引処理プログラム。
【請求項6】
前記保証金を設定する処理は、前記複数の販売元のデータの各価格のばらつきに基づき前記保証金を設定することを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載のデータ取引処理プログラム。
【請求項7】
前記保証金を設定する処理は、前記ばらつきに基づく第1の値に、調整可能な第2の値を加算した値を前記保証金として設定することを特徴とする請求項6に記載のデータ取引処理プログラム。
【請求項8】
前記データが購入された数、及び前記販売元の不当性の報告の数に応じて前記第2の値を調整する、
処理を前記コンピュータに実行させることを特徴とする請求項7に記載のデータ取引処理プログラム。
【請求項9】
複数の販売元から提供されたデータのうち、何れかのデータの購入者の端末に該データの代金の支払いを要求し、前記代金の支払いに応じて前記データを前記購入者の端末に送信するデータ取引処理装置において、
前記複数の販売元の各端末から前記データの価格の通知を受信する取引処理部と、
前記購入者に前記データの販売元の不当性の報告を保証させるための保証金を前記複数の販売元の前記データの価格に基づき設定する保証金設定部とを有し、
前記取引処理部は、
前記データの価格に前記保証金を加算することにより前記データの代金を算出して前記購入者の端末に通知し
前記代金の支払いに応じて前記データを前記購入者の端末に送信した後、前記購入者の端末からの前記データの販売元の不当性の報告に応じて前記購入者の端末に前記保証金の範囲内の金額を返金することを特徴とするデータ取引処理装置。
【請求項10】
複数の販売元から提供されたデータのうち、何れかのデータの購入者の端末に該データの代金の支払いを要求し、前記代金の支払いに応じて前記データを前記購入者の端末に送信するデータ取引処理方法おいて、
前記複数の販売元の各端末から前記データの価格の通知を受信し、
前記購入者に前記データの販売元の不当性の報告を保証させるための保証金を前記複数の販売元の前記データの価格に基づき設定し、
前記データの価格に前記保証金を加算することにより前記データの代金を算出して前記購入者の端末に通知し
前記代金の支払いに応じて前記データを前記購入者の端末に送信した後、前記購入者の端末からの前記データの販売元の不当性の報告に応じて前記購入者の端末に前記保証金の範囲内の金額を返金する、
工程をコンピュータが実行することを特徴とするデータ取引処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本件は、データ取引処理プログラム、データ取引処理装置、及びデータ取引処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
インターネット上でコンテンツなどのデータを取引することにより新たなビジネスに利用する技術がある。例えば、データの販売元は、端末からサーバにアクセスしてデータをアップロードするとともにデータの代金を設定することでデータを販売する。また、購入者はそのサーバに端末からアクセスして所望のデータの代金を支払いダウンロードすることでデータを購入する。
【0003】
これにより、インターネット上でのデータの売買が成立する。なお、特許文献1には、ユーザが要求するジョブの代金をインターネット上で決済する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2004-362355号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記のデータの取引では、悪意のユーザが、正当な販売元から購入したデータを権限なく複製して、その複製した不正なデータ(以下、「複製データ」と表記)をサーバにアップロードし、購入時の代金より安い価格で販売することにより不当な利益を得るおそれがある。正当な販売元は、複製データの売り上げが増えるほど、データの売り上げが減少して損害を受ける。
【0006】
これに対し、データ取引の管理者が、販売前にデータの販売元の正当性を確認すれば、不当な販売元による複製データの販売を抑制することができるが、確認対象のデータが多いほど、その所要時間が延びるため、販売開始が遅延して円滑なデータの取引が難しくなる。一方、購入者が販売元の正当性を確認して管理者に報告すれば、確認の手間を省くことが可能である。
【0007】
しかし、購入者は、複製データと複製元のデータの間に実質的な品質の差分がなければ、販売元の正当性より価格の安さを重視して複製データを購入する傾向があるため、販売元が不当であっても、その報告を行うか否かは購入者の良心次第となる。
【0008】
そこで本件は、購入者に不当な販売元の報告を促すことができるデータ取引処理プログラム、データ取引処理装置、及びデータ取引処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
1つの態様では、データ取引処理プログラムは、複数の販売元から提供されたデータのうち、何れかのデータの購入者の端末に該データの代金の支払いを要求し、前記代金の支払いに応じて前記データを前記購入者の端末に送信するデータ取引処理プログラムにおいて、前記複数の販売元の各端末から前記データの価格の通知を受信し、前記購入者に前記データの販売元の不当性の報告を保証させるための保証金を前記複数の販売元の前記データの価格に基づき設定し、前記データの価格に前記保証金を加算することにより前記データの代金を算出して前記購入者の端末に通知し前記代金の支払いに応じて前記データを前記購入者の端末に送信した後、前記購入者の端末からの前記データの販売元の不当性の報告に応じて前記購入者の端末に前記保証金の範囲内の金額を返金する、処理をコンピュータに実行させるプログラムである。
【0010】
1つの態様では、データ取引処理装置は、複数の販売元から提供されたデータのうち、何れかのデータの購入者の端末に該データの代金の支払いを要求し、前記代金の支払いに応じて前記データを前記購入者の端末に送信するデータ取引処理装置において、前記複数の販売元の各端末から前記データの価格の通知を受信する取引処理部と、前記購入者に前記データの販売元の不当性の報告を保証させるための保証金を前記複数の販売元の前記データの価格に基づき設定する保証金設定部とを有し、前記取引処理部は、前記データの価格に前記保証金を加算することにより前記データの代金を算出して前記購入者の端末に通知し前記代金の支払いに応じて前記データを前記購入者の端末に送信した後、前記購入者の端末からの前記データの販売元の不当性の報告に応じて前記購入者の端末に前記保証金の範囲内の金額を返金する。
【0011】
1つの態様では、データ取引処理方法は、複数の販売元から提供されたデータのうち、何れかのデータの購入者の端末に該データの代金の支払いを要求し、前記代金の支払いに応じて前記データを前記購入者の端末に送信するデータ取引処理方法おいて、前記複数の販売元の各端末から前記データの価格の通知を受信し、前記購入者に前記データの販売元の不当性の報告を保証させるための保証金を前記複数の販売元の前記データの価格に基づき設定し、前記データの価格に前記保証金を加算することにより前記データの代金を算出して前記購入者の端末に通知し前記代金の支払いに応じて前記データを前記購入者の端末に送信した後、前記購入者の端末からの前記データの販売元の不当性の報告に応じて前記購入者の端末に前記保証金の範囲内の金額を返金する、工程をコンピュータが実行する方法である。
【発明の効果】
【0012】
1つの側面として、購入者に不当な販売元の報告を促すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】ネットワークシステムの一例を示す構成図である。
図2】マーケットプレイスサーバの一例を示す構成図である。
図3】データ管理テーブル及び購入履歴管理テーブルの一例を示す図である。
図4】マーケットプレイスサーバの処理の一例を示すフローチャートである。
図5】出品処理の一例を示すシーケンス図である。
図6】保証金設定処理の一例を示すシーケンス図である。
図7】販売処理の一例を示すシーケンス図である。
図8】審査処理の一例を示すシーケンス図である。
図9】精算処理の一例を示すシーケンス図である。
図10】出品者が供託金を支払う場合の出品処理の一例を示すシーケンス図である。
図11】出品者A,Bが供託金を支払う場合の販売処理の一例を示すシーケンス図である。
図12】出品者A,Bが供託金を支払う場合の精算処理の一例を示すシーケンス図である。
図13】保証金の変更処理の一例を示すフローチャートである。
図14】購入者が虚偽の違反報告を行った場合の審査処理の一例を示すシーケンス図である。
図15】購入者が虚偽の違反報告を行った場合の精算処理の一例を示すシーケンス図である。
図16】報告可能回数に上限を設けた場合の審査処理の一例を示すシーケンス図である。
図17】アカウント管理テーブルの例を示す図である。
図18】審査処理後の購入履歴管理テーブルの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、ネットワークシステム3の一例を示す構成図である。ネットワークシステム3には、マーケットプレイスサーバ1、出品者A,Bがそれぞれ操作する端末2a,2b、購入者X~Yがそれぞれ操作する端末2x~2z、及び決済サーバ9が含まれる。マーケットプレイスサーバ1、端末2a,2b,2x~2z、及び決済サーバ9は、例えばインターネットなどのネットワークNWを介して互いに通信する。
【0015】
マーケットプレイスサーバ1は、コンテンツなどのデータの取引サービスを提供する。一例として、出品者A,Bは端末2a,2bを操作することによりマーケットプレイスサーバ1にデータを出品する。購入者X~Zは、マーケットプレイスサーバ1に出品されたデータを購入する。なお、マーケットプレイスサーバ1はデータ取引処理装置の一例である。
【0016】
このとき、購入者X~Zは、購入するデータの価格に保証金を加算した金額の支払い処理をマーケットプレイスサーバ1に対して行う。保証金は、購入したデータが不当な販売元から出品されたデータである場合、購入者X~Zがその販売元の不当性の報告を保証するために支払われる。
【0017】
例えば購入者Xが端末2xからマーケットプレイスサーバ1に販売元の不当性の報告を送信した場合、マーケットプレイスサーバ1の管理者は、そのデータを検証して報告の真偽を確認する。管理者は、報告が正しい場合、マーケットプレイスサーバ1から購入者Xの端末2xに保証金の範囲内の金額を返金する。
【0018】
このため、購入者X~Zは、返金につられて積極的にマーケットプレイスサーバ1に不当な販売元を報告するようになる。したがって、管理者は、マーケットプレイスサーバ1に出品された全てのデータを検証する必要がなく、その負荷が低減される。なお、端末2x~2zからマーケットプレイスサーバ1への支払い処理、及びマーケットプレイスサーバ1から端末2x~2zへの返金処理は、例えば決済サーバ9を介して行われるが、便宜上、以下の例ではマーケットプレイスサーバ1と端末2x~2zの間の処理として述べる。
【0019】
端末2x~2z及び端末2a,2bとしては、例えばパーソナルコンピュータ、スマートフォン、及びタブレット型端末などが挙げられるが、これに限定されない。以下に、端末2x~2z及び端末2a,2bの代表として端末2zの構成を述べるが、他の端末2y,2z,2a,2bも端末2zと同様の構成を有する。
【0020】
端末2zは、CPU(Central Processing Unit)20、ROM(Read Only Memory)21、RAM(Random Access Memory)22、通信ポート24、入力装置25、及び表示装置26を有する。CPU20は、互いに信号の入出力ができるように、ROM21、RAM22、通信ポート24、入力装置25、及び表示装置26と、バス29を介して接続されている。
【0021】
ROM21は、CPU20を駆動するプログラムが格納されている。RAM22は、CPU20のワーキングメモリとして機能する。通信ポート24は、例えば無線LAN(Local Area Network)回路であり、CPU20とマーケットプレイスサーバ1の間の通信を処理する。
【0022】
入力装置25は、情報を入力する装置である。入力装置25としては、例えばキーボード、マウス、及びタッチパネルなどが挙げられる。入力装置25は、入力された情報を、バス29を介しCPU20に出力する。
【0023】
表示装置26は、情報を表示する装置である。表示装置26としては、例えばディスプレイ及びタッチパネルなどが挙げられる。表示装置26は、CPU20からバス29を介して情報を取得して表示する。
【0024】
CPU20は、通信ポート24からネットワークNWを介してマーケットプレイスサーバ1と通信することにより、後述する各種のシーケンス処理を実行する。なお、端末2x~2zは、CPU20に代えて、またはCPU20とともにFPGA(Field Programmable Gate Array)やASIC(Application Specified Integrated Circuit)などの回路を用いてもよい。
【0025】
図2は、マーケットプレイスサーバ1の一例を示す構成図である。マーケットプレイスサーバ1は、CPU10、ROM11、RAM12、HDD(Hard Disk Drive)13、通信ポート14、入力装置15、及び表示装置16を有する。CPU10は、互いに信号の入出力ができるように、ROM11、RAM12、HDD13、通信ポート14、入力装置15、及び表示装置16と、バス19を介して接続されている。なお、CPU10はコンピュータの一例である。また、マーケットプレイスサーバ1は、HDD13に代えてメモリなどの他の記憶手段を有してもよい。
【0026】
ROM11は、CPU10を駆動するプログラムが格納されている。プログラムには、例えばOS(Operating System)と、実施例のデータ取引処理方法を実行するデータ取引処理プログラムが格納されている。RAM12は、CPU10のワーキングメモリとして機能する。通信ポート14は、例えば無線LANカードやNIC(Network Interface Card)であり、CPU10とマーケットプレイスサーバ1の間の通信を処理する。
【0027】
入力装置15は、情報を入力する装置である。入力装置15としては、例えばキーボード、マウス、及びタッチパネルなどが挙げられる。入力装置15は、入力された情報を、バス19を介しCPU10に出力する。
【0028】
表示装置16は、情報を表示する装置である。表示装置16としては、例えばディスプレイ及びタッチパネルなどが挙げられる。表示装置16は、CPU10からバス19を介して情報を取得して出力する。
【0029】
CPU10は、ROM11からプログラムを読み込むと、機能として、マーケット管理部101、保証金設定部102、及びユーザインタフェース部(ユーザIF部)103が形成される。マーケット管理部101は、出品者A,Bと購入者X~Zの間のデータの取引に関する各種の処理を行う。保証金設定部102は、マーケット管理部101の指示に従って保証金の設定処理を行う。ユーザIF部103は、管理者から入力装置15の操作入力を受け付けて各種の処理を行う。なお、マーケット管理部101は取引処理部の一例である。
【0030】
また、HDD13には、アカウント管理テーブル130、データ管理テーブル131、購入履歴管理テーブル132、及び商品データベース133が格納されている。
【0031】
アカウント管理テーブル130には、出品者A,B及び購入者X~Zのアカウント情報が予め登録されている。通信ポート14は、アカウント管理テーブル130に登録済みの出品者A,Bの端末2a,2b及び購入者X~Zの端末2x~2zとCPU10の通信を処理し、アカウント管理テーブル130に未登録の端末とCPU20の通信を許可しない。
【0032】
商品データベース133には、出品者A,Bの端末2a,2bからアップロードされた商品であるデータが格納されている。データ管理テーブル131には、出品者A,Bが端末2a,2bから設定したデータの商品名及び価格などが登録されており、購入履歴管理テーブル132には、購入者X~Zが端末2x~2zから購入した商品及び支払額などが登録されている。
【0033】
図3は、データ管理テーブル131及び購入履歴管理テーブル132の一例を示す図である。データ管理テーブル131には、販売元、商品名、価格、保証金、及び正当性が登録される。販売元は、データをマーケットプレイスサーバ1に出品する出品者A,BのIDを示す。商品名は、商品として出品されたデータの名称(例えばコンテンツXX)であり、出品者A,Bにより登録される。
【0034】
価格はデータの価格であり、出品者A,Bにより登録される。保証金は、保証金設定部102により登録される。正当性は、販売元の出品者A,Bの正当性であり、購入者X~Zの報告に応じてデータが検証された場合、その結果が登録される。
【0035】
購入履歴管理テーブル132には、購入者、商品名、販売元、支払額、報告が登録される。購入者は、データを購入した購入者X~Zであり、商品名は、購入されたデータの名称である。販売元は、購入されたデータの出品者A,Bである。支払額は、データの購入時に購入者X~Zが支払った金額である。報告は、購入されたデータの販売元の不当性の報告の有無を示す。
【0036】
図4は、マーケットプレイスサーバ1の処理の一例を示すフローチャートである。マーケットプレイスサーバ1は、まず、出品者A,Bからの出品を受け付ける出品処理を行う(ステップSt1)。このとき、出品者A,Bは、商品のデータをマーケットプレイスサーバ1に登録するとともにその価格を設定する。
【0037】
次にマーケットプレイスサーバ1は、購入者X~Zにデータの販売元の不当性の報告を保証させるための保証金を設定する保証金設定処理を行う(ステップSt2)。これにより、購入者X~Zに対して販売元の不当性の報告が促される。なお、保証金の額の設定方法については後述する。
【0038】
次にマーケットプレイスサーバ1は、データを購入者X~Zに販売する販売処理を行う(ステップSt3)。このとき、購入者X~Zは、購入するデータを選択して、マーケットプレイスサーバ1は、購入者X~Zの端末2x~2zに対してそのデータの代金の支払いを要求する。データの代金は、出品者A,Bが設定した価格に保証金を加算した額である。マーケットプレイスサーバ1は、購入者X~Zの端末2x~2zからの代金を支払いに応じてデータを端末2x~2zに送信する。
【0039】
次にマーケットプレイスサーバ1は、購入者X~Zの端末2x~2zから販売元の不当性の報告(以下、「違反報告」と表記)を受け付ける審査処理を行う(ステップSt4)。マーケットプレイスサーバ1の管理者は、違反報告を受けた場合、例えばデータを検証して違反報告の真偽を確認し、その結果をマーケットプレイスサーバ1に登録する。
【0040】
次にマーケットプレイスサーバ1は、データの売上金及び保証金を精算する精算処理を行う(ステップSt5)。このとき、マーケットプレイスサーバ1は、出品者A,Bの端末2a,2bにデータの売上金を支払うが、違反報告により不当な販売元と判明した出品者A,Bの端末2a,2bには売上金を支払わない。また、マーケットプレイスサーバ1は、違反報告を行った購入者X~Zの端末2x~2zと、正当な販売元からデータを購入した購入者X~Zの端末2x~2zとに保証金の範囲内の金額を返金する。なお、返金額についは後述する。
【0041】
このようにしてマーケットプレイスサーバ1は、出品者A,Bと購入者X~Zの間のデータの取引を処理する。以下に上記のステップSt1~St5ごとの処理のシーケンスの例を挙げて説明する。
【0042】
以下の例では、出品者Aは正当な販売元(第1の販売元、第2の販売元)の一例であり、出品者Bは不当な販売元の一例である。出品者A,Bは、商品であるデータの一例として、実質的な質の差がない同種のコンテンツXXのデータをそれぞれマーケットプレイスサーバ1に出品する。
【0043】
また、購入者X,Yは、不当な販売元である出品者BからコンテンツXXのデータを購入し、購入者Zは、正当な販売元である出品者AからコンテンツXXのデータを購入する。購入者Yは、出品者Bの違反報告をマーケットプレイスサーバ1に対して行い、マーケットプレイスサーバ1は購入者Yの端末2yに保証金の一部を返金する。
【0044】
なお、以下の例では、出品者A,Bの端末2a,2b、購入者X~Zの端末2x~2z、及びマーケットプレイスサーバ1の間で、日本円を通貨として支払いや返金が行われるが、これに限定されず、米国ドルや仮想通貨などの他の通貨が用いられてもよい。また、支払いや返金は例えば決済サーバ9により行われるが、その処理は以下の説明において省略する。
【0045】
図5は、出品処理(St1)の一例を示すシーケンス図である。本シーケンスは、端末2a,2bのCPU20とマーケット管理部101のCPU10が通信ポート24,14を介して各種のメッセージを送受信することにより実行される。なお、これは以降に例示されるシーケンスも同様である。
【0046】
出品者Aの端末2aは、コンテンツXXの商品登録依頼メッセージをマーケットプレイスサーバ1に送信する。マーケット管理部101は、商品登録依頼メッセージの受信に応じて価格設定要求メッセージを端末2aに送信する。出品者AはコンテンツXXの価格を例えば¥150に決定して端末2aの入力装置25により入力する。端末2aは、その価格情報(¥150)を含む価格通知メッセージをマーケットプレイスサーバ1に送信する。
【0047】
マーケット管理部101は、価格通知メッセージの受信に応じてデータ管理テーブル131に出品者AのコンテンツXXのデータを商品として登録する(「商品登録」参照)。これにより、データ管理テーブル131には、販売元の出品者A、商品名のコンテンツXX、及び価格の¥150が登録される。また、マーケット管理部101は、商品データベース133に出品者AのコンテンツXXのデータを商品として格納する(「商品格納」参照)。
【0048】
その後、マーケット管理部101は出品完了通知メッセージを端末2aに送信する。出品者Aは、端末2aが受信した出品完了通知メッセージを例えば表示装置26により確認する。
【0049】
また、マーケットプレイスサーバ1は、出品者Aの端末2aと同様のシーケンスを出品者Bの端末2bとの間でも実行する。出品者Bは、コンテンツXXの価格を例えば¥50に設定する。これにより、データ管理テーブル131には、販売元の出品者B、商品名のコンテンツXX、及び価格の¥50が登録される。また、マーケット管理部101は、商品データベース133に出品者BのコンテンツXXのデータを商品として格納する。
【0050】
このようにして、出品者A,BからコンテンツXXのデータがマーケットプレイスサーバ1に登録される。
【0051】
図6は、保証金設定処理(St2)の一例を示すシーケンス図である。マーケット管理部101は、保証金設定部102に保証金の設定を要求する(「設定要求」参照)。保証金設定部102は、要求に応じてデータ管理テーブル131から出品者A,Bの各コンテンツXXの価格を取得する。
【0052】
保証金設定部102は、コンテンツXXの価格の最大値及び最小値を検出する(符号S1)。次に保証金設定部102は保証金を算出する(符号S2)。
【0053】
α=Pmax-Pmin+β ・・・(1)
【0054】
保証金設定部102は、一例として、上記の式(1)から保証金αを算出する。式(1)において、変数Pmaxは価格の最大値(¥150)であり、変数Pminは価格の最小値(¥50)である。また、変数βは、各種のパラメータ(コンテンツXXの購入数など)に応じて変動する調整値である。したがって、例えば調整値βを¥100とすると、保証金αは¥200(=150-50+100)となる。
【0055】
保証金設定部102は、同一種類のデータごとにPmax,Pmin,βから保証金を算出する。データの種類は、例えばコンテンツXXに付加されたラベルやメタデータに基づくカテゴリーにより判定される。
【0056】
式(1)において、Pmax-Pminは、同一種類のデータの価格の最大値と最小値の差分である。このため、例えば不当な販売元の出品者BがコンテンツXXの価格を安く設定するほど、Pmax-Pminが大きくなって保証金αも大きくなる。
【0057】
このように、保証金設定部102は、販売元ごとの価格のばらつき(つまりPmax-Pmin)に基づき保証金αを設定する。このため、不当な販売元の出品者Bが、大きな売り上げを得ることを目的として、正当な販売元の出品者Aよりも安い価格でデータを出品しても、価格のばらつきが大きくなることで保証金αが大きくなるので、購入者X~Zに違反報告をより効果的に促すことができる。
【0058】
また、マーケットプレイスサーバ1の管理者は、例えば経験則に基づき調整値βを調整することにより商品のデータの価格帯に合わせた保証金αを設定することができる。
【0059】
β=Pav×θ ・・・(2)
【0060】
保証金設定部102は、例えば上記の式(2)に従って調整値βを設定してもよい。式(2)において、変数Pavは同一種類のデータの平均価格であり、変数θは、管理者が入力装置15により指定した所定の比率である。例えばPav=100及びθ=0.5である場合、調整値は¥50(=100×0.5)となるため、保証金αは¥150(=150-50+50)となる。
【0061】
このように、保証金設定部102は、ばらつきに基づくPmax-Pminの値に調整値βを加算した値を保証金αとして設定する。このため、保証金設定部102は、例えばデータの価格帯に合わせて適切な保証金αを設定することができる。なお、Pmax-Pminは第1の値の一例であり、調整値βは第2の値の一例である。また、以下の例において、保証金αは¥200と仮定する。
【0062】
保証金設定部102は、保証金の算出後、保証金をデータ管理テーブル131に登録する(「保証金登録」参照)。これにより、データ管理テーブル131の保証金に¥200が登録される。保証金設定部102は、登録が完了すると、その旨をマーケット管理部101に通知する(「完了通知」参照)。
【0063】
このようにして、保証金αが設定される。保証金αは、購入者X~Zが購入するデータの代金に加算される。
【0064】
図7は、販売処理(St3)の一例を示すシーケンス図である。本例において、購入者X,Yは不当な販売元のコンテンツXXのデータを購入し、購入者Zは正当な販売元のコンテンツXXのデータを購入する。
【0065】
端末2xは、購入者Xの入力装置25の操作に応じてコンテンツXXの商品検索依頼メッセージをマーケット管理部101に送信する。マーケット管理部101は、商品検索依頼メッセージの受信に応じて、データ管理テーブル131から商品名「コンテンツXX」を検索する(「商品検索」参照)。
【0066】
このとき、マーケット管理部101は、商品検索依頼メッセージに指定された商品名「コンテンツXX」を検索キーとして、データ管理テーブル131から販売元及び価格を検索する。なお、このときのデータ管理テーブル131の内容は、図6に示されるとおりである。
【0067】
次にマーケット管理部101は、コンテンツXXのデータの価格に、データ管理テーブル131に登録された保証金を加算することによりデータの代金を算出する(符号S11)。マーケット管理部101は、コンテンツXXの保証金が¥200であるため、出品者AのコンテンツXXのデータの価格を¥350(=¥150+¥200)と算出し、出品者BのコンテンツXXのデータの価格を¥250(=¥50+¥200)と算出する。
【0068】
マーケット管理部101は、商品検索依頼メッセージに対する検索結果の商品情報として、コンテンツXXのデータの販売元(出品者A,B)と代金(¥350、¥250)を端末2xに通知する。商品情報は、例えば端末2xの表示装置26に表示される。購入者Xは、商品情報に基づき、出品者BのコンテンツXXのデータを購入するように入力装置25を操作する。端末2xは、操作に応じて、出品者BのコンテンツXXの購入通知メッセージをマーケットプレイスサーバ1に送信する。
【0069】
マーケット管理部101は、購入通知メッセージの受信に応じて、出品者BのコンテンツXXのデータの代金(¥250)の支払要求メッセージを端末2xに送信する。端末2xは、支払要求メッセージを受信すると、代金を表示装置26に表示する。購入者Xは、入力装置25により代金の支払の操作を行う。端末2xは、操作に応じて、代金(¥250)の支払応答メッセージをマーケットプレイスサーバ1に送信する。
【0070】
マーケット管理部101は、支払応答メッセージの受信に応じて商品データベース133から出品者BのコンテンツXXのデータを読み出す。マーケット管理部101は、読み出したデータを端末2xに送信する。端末2xは、データを受信し、その旨を表示装置26に表示する。これにより、購入者Xは、コンテンツXXのデータの購入を完了する。
【0071】
マーケット管理部101は、データの送信後、購入者Xの購入の履歴情報を購入履歴管理テーブル132に登録する。履歴情報には、商品名(コンテンツXX)、販売元(出品者B)、及び支払額(¥250)が含まれる。なお、購入者Yも端末2yからマーケットプレイスサーバ1に対して出品者BのコンテンツXXのデータの購入処理を行う。このとき、端末2yとマーケットプレイスサーバ1の間では、上記と同様のシーケンスが行われる。
【0072】
また、購入者Zは、端末2zからマーケットプレイスサーバ1に対して正当な出品者AのコンテンツXXのデータの購入処理を行う。このとき、マーケット管理部101は、購入者Zの支払額として、他の購入者X,Yとは異なる¥350(150+200)を算出する(符号S12)。端末2zとマーケットプレイスサーバ1の間では、支払額と出品者Bが異なることを除けば上記と同様のシーケンスが行われる。
【0073】
このように、マーケット管理部101は、複数の販売元から提供されたデータのうち、何れかのデータの購入者X~Zの端末2x~2zにデータの代金の支払いを要求し、代金の支払いに応じてデータを購入者X~Zの端末2x~2zに送信する。これにより、マーケットプレイスサーバ1は、出品者A,Bと購入者X~Zの間のデータの取引を実行する。
【0074】
図8は、審査処理(St4)の一例を示すシーケンス図である。本例において、購入者Yのみが違反報告を行い、他の購入者X,Zは違反報告を行わない。
【0075】
マーケット管理部101は、例えば購入者X~Zのデータの購入日から所定期間だけ、購入者X~Zの端末2x~2zから違反報告を受け付ける。購入者Yは、購入済みのデータを確認した結果、その出品者Bが不当な販売元であることを知り、入力装置25を操作することにより出品者BのコンテンツXXの違反報告をマーケットプレイスサーバ1に送信する。
【0076】
マーケット管理部101は、端末2yからの違反報告の受信に応じてユーザIF部103に違反報告の情報を出力する。ユーザIF部103は違反報告の情報を表示装置16に出力することにより表示装置16にその内容を表示する。マーケットプレイスサーバ1の管理者は、違反報告に応じて入力装置15を操作して、違反報告の対象のコンテンツXXの各出品者A,Bのデータを確認する。
【0077】
このとき、ユーザIF部103は、操作に応じて、データ管理テーブル131からコンテンツXXの商品情報を読み出し、商品データベース133からコンテンツXXのデータを読み出す。データは、例えばCPU10が実行するアプリケーション(不図示)により可視化されて表示装置16に表示される。管理者は、出品者A,BごとにコンテンツXXのデータが不正か否かを判定する。
【0078】
本例のように、データが、例えば音楽や映画などのコンテンツXXである場合、その製作者や配給元は明らかであるため、コンテンツXXの販売元である出品者Bの素性から不正な複製データであるか否かが判定される。また、データが、本例とは異なり、例えば各自治体だけが保有する林地台帳の情報である場合、その販売元が自治体以外の出品者であれば、不正な複製データであると判定される。なお、不正なデータの判定は、人手により行ってもよいし、ソフトウェアなどにより行ってもよい。
【0079】
管理者は、データの確認結果をデータ管理テーブル131に登録する。出品者AのコンテンツXXのデータは不正ではなく、出品者BのコンテンツXXのデータは不正であるため、データ管理テーブル131には、出品者Aの正当性として「OK」(正当)が登録され、出品者Bの正当性として「NG」(不当)が登録される。なお、管理者は、不当な販売元である出品者Bが登録した全データの出品を取り消す。
【0080】
また、管理者は、購入者Yの違反報告が有ったことを購入履歴管理テーブル132に登録する。購入履歴管理テーブル132には、購入者Yの報告として「有」が登録される。
【0081】
その後、マーケット管理部101は、他の購入者X,Zの購入日から所定期間過ぎても、購入者X,Zの端末2x,2zから違反報告が無ければ、購入者X,Zから違反報告が無かったことを購入履歴管理テーブル132に登録する。購入履歴管理テーブル132には、購入者X,Zの報告として「無」が登録される。
【0082】
このように、マーケットプレイスサーバ1は、販売元の正当性をデータ管理テーブル131に登録し、購入者X~Zからの違反報告の有無を購入履歴管理テーブル132に登録する。マーケットプレイスサーバ1は、販売元の正当性及び違反報告の有無に基づき購入者X~Zへの保証金の返金の可否を判定する。
【0083】
図9は、精算処理(St5)の一例を示すシーケンス図である。精算処理では、出品者A,Bに対する売上金の支払、及び保証金の一部の返金が行われる。
【0084】
マーケット管理部101は、購入履歴管理テーブル132からコンテンツXXのデータの購入履歴情報(購入者、商品名、販売元、支払額、及び報告)を取得し、データ管理テーブル131から出品者A,Bの正当性の情報を取得する。マーケット管理部101は、購入履歴情報及び正当性の情報から各出品者A,Bの売上金と各購入者X~Zへの返金額を計算する計算処理(符号S31)を行う。
【0085】
マーケット管理部101は、販売元の正当性の情報に従い、不当な販売元の出品者Bに対して支払う売上金を¥0とする。これは、出品者Bにはデータを出品する権限がないため、売上金を取得する権利もないためである。
【0086】
売上金=価格×全購入数 ・・・(3)
【0087】
また、マーケット管理部101は、出品者Aに対して支払う売上金を上記の式(3)から算出する。マーケット管理部101は、出品者AのコンテンツXXのデータの価格に出品者A,BのコンテンツXXのデータの購入数を乗ずることにより出品者Aの売上金を算出する。
【0088】
購入履歴管理テーブル132によると、コンテンツXXのデータは購入者X~Zにより3回購入されているため、購入数は3回である。また、データ管理テーブル131には、出品者AのコンテンツXXのデータの価格として¥150が登録されている。
【0089】
このため、マーケット管理部101は、出品者Aの売上金として¥450(=150×3)を算出する。このように出品者Aの売上金の算出に、不当な販売元である出品者Bが販売した回数を考慮するのは、出品者Bが販売した回数が、本来、出品者Aが販売することができた回数であるという考えに基づく。
【0090】
返金額=購入者の支払額-正当な販売元の価格 ・・・(4)
【0091】
また、マーケット管理部101は、違反報告を行った購入者Yに対する保証金の返金額を上記の式(4)から算出する。マーケット管理部101は、購入者Yの支払額から出品者AのコンテンツXXのデータの価格を減ずることにより返金額を算出する。なお、返金額は、保証金の範囲内であれば限定されない。
【0092】
購入履歴管理テーブル132には、購入者Yの支払額として¥250が登録されている。また、データ管理テーブル131には、出品者AのコンテンツXXのデータの価格として¥150が登録されている。
【0093】
このため、マーケット管理部101は、購入者Yへの返金額として¥100(=250-150)を算出する。
【0094】
また、マーケット管理部101は、正当な販売元である出品者Aからデータを購入した購入者Zに対する保証金の返金額も式(4)から算出する。マーケット管理部101は、購入者Zの支払額から出品者AのコンテンツXXのデータの価格を減ずることにより返金額を算出する。購入履歴管理テーブル132には、購入者Zの支払額として¥350が登録されている。
【0095】
このため、マーケット管理部101は、購入者Zへの返金額として¥200(=350-150)を算出する。なお、この返金額は保証金と同額である。
【0096】
マーケット管理部101は、出品者Aの端末2aに売上金の¥450を支払う。端末2aは、支払を受けるとマーケットプレイスサーバ1に応答を返す。
【0097】
マーケット管理部101は、出品者Bの端末2bに売上金の¥0を支払う。実質的には、マーケット管理部101は端末2bに支払うべき売上金がないことを通知する。端末2bは、通知を受けるとマーケットプレイスサーバ1に応答を返す。
【0098】
また、マーケット管理部101は、購入者Xの端末2xに返金額の¥0を支払う。実質的には、マーケット管理部101は端末2xに支払うべき保証金がないことを通知する。端末2xは、通知を受けるとマーケットプレイスサーバ1に応答を返す。
【0099】
マーケット管理部101は、購入者Yの端末2yに返金額の¥100を支払う。端末2yは、支払を受けるとマーケットプレイスサーバ1に応答を返す。
【0100】
マーケット管理部101は、購入者Zの端末2zに返金額の¥200を支払う。端末2zは、支払を受けるとマーケットプレイスサーバ1に応答を返す。
【0101】
このようにして、マーケット管理部101は、出品者Aに売上金を支払い、購入者Y,Zに保証金の範囲内の金額を返金する。
【0102】
上述したように、マーケット管理部101は、購入者Yの端末2yからのデータの違反報告に応じて購入者Yの端末2yに保証金の範囲内の金額を返金する。このため、マーケット管理部101は、返金を、購入者Yによる積極的な違反報告の動機付けに用いることができる。したがって、マーケットプレイスサーバ1は、購入者Yに不当な販売元である出品者Bの報告を促すことができる。
【0103】
購入者Yがデータを確認して違反報告を行えば、管理者が、マーケットプレイスサーバ1に登録された全てのデータを確認する手間が省かれる。
【0104】
また、マーケット管理部101は、購入者Yに対する返金する処理において、式(4)に従い、購入者Yの支払額から、正当な販売元である出品者Aから提供されたデータの価格を減じた残りの金額を返金する。また、マーケット管理部101は、出品者Aの端末2aにデータの価格に応じた金額を支払う。このため、購入者X,Yが、不当な販売元である出品者Bからデータを購入しても、その出品者Bの売上金に応じて、出品者Aに対する売上金が補償される。
【0105】
また、マーケット管理部101は、購入者Yの端末2yからのデータの違反報告に応じ、正当な販売元である出品者Aから提供されたデータを購入した購入者Zの端末2zに保証金の範囲内の金額を返金する。このため、マーケット管理部101は、返金を、購入者Zによる積極的な正当な販売元からのデータの購入の動機付けに用いることができる。
【0106】
(出品者A,Bの供託金を保証金に充てる例)
上記の実施例において、購入者X~Zは保証金の全額を負担するが、これに限定されず、出品者A,Bが供託金を支払うことにより保証金の一部を負担してもよい。
【0107】
図10は、出品者A,Bが供託金を支払う場合の出品処理(St1)の一例を示すシーケンス図である。図10において、図5と共通する処理の説明は省略する。
【0108】
出品者A,Bは、マーケットプレイスサーバ1に商品のデータを登録するとき、供託金を支払う。出品者A,Bの端末2a,2bは、商品登録依頼メッセージに、一例として、¥500の供託金の支払いの情報を付与する。これにより、マーケットプレイスサーバ1は、出品者A,Bから¥500の支払を受ける。
【0109】
マーケット管理部101は、商品登録依頼メッセージの受信に応じて、供託金の金額(¥500)をアカウント管理テーブル130に登録する。アカウント管理テーブル130には、出品者A,Bのアカウント(例えばID)に、出品者A,Bの供託金の金額が対応付けて登録されている。
【0110】
このように、マーケット管理部101は、出品者A,Bの端末2a,2bから供託金の支払いを受ける。供託金は、保証金を補助するための補助金の一例である。
【0111】
図11は、出品者A,Bが供託金を支払う場合の販売処理(St3)の一例を示すシーケンス図である。図11において、図7と共通する処理の説明は省略する。
【0112】
マーケット管理部101は、アカウント管理テーブル130に供託金の金額が登録されている場合、購入者X~Zの端末2x~2zに要求する代金を減額する。
【0113】
Pd=Po+0.8×α ・・・(5)
【0114】
マーケット管理部101は、代金の算出処理(符号S41,S42)において、上記の式(5)から代金Pdを算出する。式(5)において、変数Poは、データ管理テーブル131に登録されたデータの価格である。
【0115】
また、式(5)において、保証金αには、0.8が乗算されている。このため、購入者X~Zの代金に含まれる保証金αが、図7の場合より2割だけ減額されている。つまり、購入者X~Zが保証金αの8割を負担し、出品者A,Bが残りの2割を供託金から負担する。
【0116】
保証金αを¥200とすると、出品者Bからデータを購入した購入者X,Yの支払額は¥210(=50+0.8×200)であり、出品者Aからデータを購入した購入者Zの支払額は¥310(=150+0.8×200)である。
【0117】
このため、マーケット管理部101は、端末2x、2yに¥210の支払を要求し、端末2zに¥310の支払を要求する。購入者X,Yは端末2x,2yからマーケットプレイスサーバ1に¥210を支払い、購入者Zは端末2zからマーケットプレイスサーバ1に¥310を支払う。マーケット管理部101は、購入者X~Zの支払額を履歴情報として購入履歴管理テーブル132に登録する。
【0118】
このように、マーケット管理部101は、販売元の端末2a,2bからの供託金の支払いに応じ保証金を減額してデータの代金に加算する。このため、購入者X~Zの保証金の負担が低減される。したがって、マーケットプレイスサーバ1は、購入者X~Zに、より積極的な違反報告を促すことができる。
【0119】
図12は、出品者A,Bが供託金を支払う場合の精算処理(St5)の一例を示すシーケンス図である。図12において、図9と共通する処理の説明は省略する。
【0120】
マーケットプレイスサーバ1は、計算処理(符号S51)において、出品者A,Bに支払う売上金と購入者X~Zへの返金額を算出する。違反報告を行った購入者Yへの返金額は、式(4)に従って¥60(=210-150)であり、正当な販売元である出品者Aからデータを購入した購入者Zへの返金額は、式(4)に従って¥160(=310-150)である。なお、出品者A,Bの売上金は図12の場合の売上金と同様である。
【0121】
マーケット管理部101は、正当な販売元である出品者Aの端末2aには、売上金及び供託金を支払うが、不当な販売元である出品者Bの端末2bには、売上金及び供託金の何れも支払わない。これにより、出品者Bは、不正な複製データを販売したペナルティとして供託金が没収される。このため、不当な販売元からマーケットプレイスサーバ1への出品が抑制される。
【0122】
(保証金を動的に調整する例)
これまでの実施例において、保証金の調整値βは一定(¥200)であると仮定した。しかし、例えば、保証金が少ない場合、購入者X~Zからの違反報告の件数が減少するおそれがあり、保証金が多い場合、支払額が増加するため、購入者X~Zが購入を控えるおそれがある。
【0123】
そこで、マーケットプレイスサーバ1は、データが購入された回数(以下、「購入数」と表記)と違反報告の件数(以下、「違反報告数」と表記)に応じて調整値βを調整して保証金を動的に変更してもよい。
【0124】
図13は、保証金の変更処理の一例を示すフローチャートである。保証金設定部102は、動的に調整値βを調整して保証金をマーケット管理部101に通知する。
【0125】
保証金設定部102は、まず、変数n(=0,1,2,・・・)及び調整値βnを初期化する(ステップSt11)。一例として、変数nの初期値は0であり、調整値βnの初期値は100である。
【0126】
次に保証金設定部102は、データ管理テーブル131及び購入履歴管理テーブル132を参照することにより、出品者A,Bからの購入数、不当な販売元である出品者Bからの購入数(以下、「不正購入数」と表記)、及び違反報告数を取得する(ステップSt12)。
【0127】
出品者A,Bからの購入数は、購入履歴管理テーブル132に登録された出品者A,Bの購入履歴の数から得られる。また、不正購入数は、購入履歴管理テーブル132において、データ管理テーブル131の正当性が「NG」である出品者Bの購入履歴の数から得られる。違反報告数は、購入履歴管理テーブル132に登録された報告「有り」の数から得られる。
【0128】
次に保証金設定部102は、調整値βを更新するタイミング(以下、「更新タイミング」と表記)が到来したか否かを判定する(ステップSt13)。更新タイミングは、一定の周期であってもよいし、購入数に応じて適宜決定されてもよい。更新タイミングが到来していない場合(ステップSt13のNo)、再びステップSt12の処理が実行される。
【0129】
また、保証金設定部102は、更新タイミングが到来している場合(ステップSt13のYes)、新たに取得した購入数が前回取得した購入数より減少したか否かを判定する(ステップSt14)。
【0130】
βn+1=(1-δ)βn ・・・(6)
δ=(γn―γn+1)/γn ・・・(7)
【0131】
保証金設定部102は、購入数が減少している場合(ステップSt14のYes)、上記の式(6)により調整値βn+1を算出する(ステップSt15)。式(6)において、変数δは式(7)から算出される。式(7)において、変数γn+1は、新たに取得された購入数であり、変数γnは、前回取得された購入数である。ここで、購入数は減少していることから、γn+1<γnが成立するため、δ<1が成立する。したがって、式(6)において、新たな調整値βn+1は前回の調整値βnより小さくなる。
【0132】
例えばγn=100及びγn+1=95の場合、変数δは0.05(=(100-95)/100)となる。このため、β=100とすると、調整値βは95(=(1-0.05)×100)となる。
【0133】
α=Pmax-Pmin+βn+1 ・・・(8)
【0134】
次に保証金設定部102は、上記の式(8)から保証金αを算出する(ステップSt16)。保証金αはマーケット管理部101に通知される。
【0135】
例えばPmax=150、Pmin=50、及びβ=100の場合、保証金αの初期値は200(=150-50+100)となる。また、上記の例に従い、調整値β=95とすると、新たな保証金αは195(=150-50+95)となる。新たな保証金α(195)は保証金αの初期値(200)より小さい。このように、保証金設定部102は、購入数が減少している場合、購入数を増加させるように保証金αを減少させる。
【0136】
また、保証金設定部102は、購入数が減少していない場合(ステップSt14のNo)、購入数が増加しているか否かを判定する(ステップSt18)。購入数が増加していない場合(ステップSt18のNo)、つまり購入数が変化していない場合、再びステップSt12以降の各処理が実行される。
【0137】
βn+1=(μ/ε)×βn ・・・(9)
【0138】
保証金設定部102は、購入数が増加している場合(ステップSt18のYes)、上記の式(9)により調整値βn+1を算出する(ステップSt19)。式(9)において、変数μは不正購入数であり、変数εは違反報告数である。
【0139】
例えばμ=20、ε=4、及びβ=100の場合、βは500(=(20/4)×100)となる。
【0140】
次に保証金設定部102は、上記の式(8)から保証金αを算出する(ステップSt16)。保証金αはマーケット管理部101に通知される。
【0141】
例えばPmax=100、Pmin=50、及びβ=100の場合、保証金αの初期値は150(=100-50+100)となる。また、上記の例に従い、調整値β=500とすると、新たな保証金αは600(=150-50+500)となる。新たな保証金α(500)は保証金αの初期値(150)より大きい。このように、保証金設定部102は、購入数が増加している場合、違反報告数を増加させるように保証金αを増加させる。
【0142】
保証金設定部102は、保証金αの算出後、変数nに1を加算して(ステップSt17)、再びステップSt12以降の各処理を実行する。このようにして、保証金の変更処理は実行される。
【0143】
このように、マーケットプレイスサーバ1は、データの購入数及び違反報告数に応じて調整値β(βn)を調整する。このため、マーケットプレイスサーバ1は、購入数及び違反報告数のバランスを保つように保証金αを変更することができる。
【0144】
(虚偽の違反報告を抑制する例)
上述した実施例において、例えば購入者X~Zが、保証金の返金を受ける権利を得るためにデータの内容を確認しないまま、違反報告を行うと、管理者は、マーケットプレイスサーバ1に商品として登録された多くのデータを確認する手間が生ずる。そこで、以下の例のように、虚偽の違反報告を行った購入者X~Zに対しては保証金の返金を行わないようにすれば、虚偽の違反報告の抑制が可能である。
【0145】
図14は、購入者Zが虚偽の違反報告を行った場合の審査処理(St4)の一例を示すシーケンス図である。図14において、図8と共通する処理の説明は省略する。
【0146】
本例において、購入者Zは、正当な販売元の出品者AからコンテンツXXのデータを購入し、虚偽の違反報告を行う。ユーザIF部103は、違反報告を受けると、表示装置16にその内容を表示する。
【0147】
ユーザIF部103は、管理者の入力装置15の操作に応じ、データ管理テーブル131から商品情報を読み出して表示装置16に表示し、商品データベース133からデータを読み出して表示装置16に表示する。マーケットプレイスサーバ1の管理者は、出品者A,Bのデータを確認して、その結果を入力装置15により入力する。ユーザIF部103は、確認結果の入力に応じて、確認結果(販売元の正当性)をデータ管理テーブル131に登録する。
【0148】
また、管理者は、購入者Zからの違反報告があったことを購入履歴管理テーブル132に登録する。また、他の購入者X,Yは、不当な販売元の出品者BからコンテンツXXのデータを購入するが、購入から所定期間が経過しても違反報告を行わない。このため、管理者は、購入者X,Yからの違反報告がないことを購入履歴管理テーブル132に登録する。
【0149】
図15は、購入者Zが虚偽の違反報告を行った場合の精算処理(St5)の一例を示すシーケンス図である。図15において、図9と共通する処理の説明は省略する。
【0150】
マーケット管理部101は、計算処理(符号S61)において、データ管理テーブル131に登録された出品者Aの正当性(「OK」)に基づき購入者Zからの違反報告が虚偽であると判定する。このため、マーケット管理部101は、購入者Zへの保証金の返金額を¥0と算出する。したがって、購入者Zの端末2zには保証金が返金されない。
【0151】
また、マーケット管理部101は、購入履歴管理テーブル132に登録された報告(「無」)から他の購入者X,Yからの違反報告が無かったと判定する。このため、マーケット管理部101は、購入者X,Yへの保証金の返金額を¥0と算出する。したがって、購入者X,Yの端末2x,2yには保証金が返金されない。
【0152】
このように、マーケット管理部101は、データの販売元が正当である場合、違反報告を行った購入者Zの端末2zへの保証金の範囲内の金額の返金を行わない。このため、虚偽の違反報告が抑制される。
【0153】
また、マーケットプレイスサーバ1は、虚偽の違反報告を抑制するため、以下の例のように、購入者X~Zが違反報告を行うことができる回数(以下、「報告可能回数」と表記)に上限を設けてもよい。
【0154】
図16は、報告可能回数に上限を設けた場合の審査処理(St4)の一例を示すシーケンス図である。図16において、図8と共通する処理の説明は省略する。
【0155】
本例において、購入者X,Yは、不当な販売元の出品者BからコンテンツXXのデータを購入して違反報告を行う。管理者は、購入者Yからの違反報告を受けると、入力装置15を操作して購入者Yの報告可能回数を確認する。ユーザIF部103は、操作に応じてアカウント管理テーブル130から報告可能回数を読み出す。
【0156】
図17は、アカウント管理テーブル130の例を示す図である。アカウント管理テーブル130には、購入者X~Zのアカウントごとに報告可能回数が登録されている。一例として、購入者Xの報告可能回数は0回であり、購入者Yの報告可能回数は2回であり、購入者Zの報告可能回数は3回である。例えば、マーケット管理部101は、購入者X~Zが虚偽の違反報告を行うたびに報告可能回数を1つ減らす。
【0157】
再び図16を参照すると、管理者は、購入者Yの報告可能回数が2回であるため、入力装置15を操作して、購入者Yから違反報告があったことをマーケットプレイスサーバ1に登録する。ユーザIF部103は、操作に応じて、購入者Yの報告「有」を購入履歴管理テーブル132に登録する。
【0158】
また、管理者は、購入者Xからの違反報告を受けると、入力装置15を操作して購入者Xの報告可能回数を確認する。ユーザIF部103は、操作に応じてアカウント管理テーブル130から報告可能回数を読み出す。
【0159】
管理者は、購入者Xの報告可能回数が0回であるため、購入者Xには違反報告の権利が無いと判断する。管理者は、入力装置15を操作して、購入者Xからの違反報告が無かったことをマーケットプレイスサーバ1に登録する。ユーザIF部103は、操作に応じて、購入者Xの報告「無」を購入履歴管理テーブル132に登録する。
【0160】
このように、虚偽の違反報告が多い購入者Xは、報告可能回数が0になると、違反報告を行っても、違反報告を行ったことがマーケットプレイスサーバ1に登録されない。
【0161】
また、他の購入者Zは、出品者AからコンテンツXXのデータを購入するが、購入から所定期間が経過しても違反報告を行わない。このため、管理者は、購入者Zからの違反報告がないことを購入履歴管理テーブル132に登録する。
【0162】
図18は、審査処理(St4)後の購入履歴管理テーブル132の一例を示す図である。購入者Xは違反報告を行ったが、違反報告時に報告可能回数が0回であったため、報告「無」が登録されている。このため、マーケット管理部101は、購入者Xの端末2xに保証金の返金を行わない。
【0163】
一方、購入者Yは違反報告を行い、違反報告時に報告可能回数が2回であったため、報告「有」が登録されている。このため、マーケット管理部101は、購入者Yの端末2yに保証金の範囲内の金額を返金する。なお、購入者Zは違反報告を行っていないため、報告「無」が登録されている。
【0164】
このように、マーケットプレイスサーバ1は、購入者X~Zの報告可能回数に上限を設けることにより不用意な違反報告を抑制することができる。
【0165】
上述した実施形態は本発明の好適な実施の例である。但し、これに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施可能である。
【0166】
なお、以上の説明に関して更に以下の付記を開示する。
(付記1) 複数の販売元から提供されたデータのうち、何れかのデータの購入者の端末に該データの代金の支払いを要求し、前記代金の支払いに応じて前記データを前記購入者の端末に送信するデータ取引処理プログラムにおいて、
前記購入者に前記データの販売元の不当性の報告を保証させるための保証金を前記データの代金に加算し、
前記購入者の端末からの前記データの販売元の不当性の報告に応じて前記購入者の端末に前記保証金の範囲内の金額を返金する、
処理をコンピュータに実行させることを特徴とするデータ取引処理プログラム。
(付記2) 前記購入者の端末からの前記データの販売元の不当性の報告に応じ、前記複数の販売元のうち、正当な他の第1の販売元から提供された前記データを購入した他の購入者の端末に前記保証金の範囲内の金額を返金する、
処理を前記コンピュータに実行させることを特徴とする付記1に記載のデータ取引処理プログラム。
(付記3) 前記購入者の端末に前記保証金の範囲内の金額を返金する処理は、前記データの販売元が正当である場合、前記購入者の端末への前記保証金の範囲内の金額の返金を行わないことを特徴とする付記1または2に記載のデータ取引処理プログラム。
(付記4) 前記保証金の範囲内の金額を返金する処理は、前記データの代金から、前記複数の販売元のうち、正当な他の第2の販売元から提供された他のデータの価格を減じた残りの金額を返金し、
さらに、前記第2の販売元の端末に前記他のデータの価格に応じた金額を支払う、
処理を前記コンピュータに実行させることを特徴とする付記1乃至3の何れかに記載のデータ取引処理プログラム。
(付記5) 前記販売元の端末から、前記保証金を補助するための補助金の支払いを受ける処理を、さらに前記コンピュータに実行させ、
前記保証金を前記データの代金に加算する処理は、前記販売元の端末からの前記補助金の支払いに応じ前記保証金を減額して前記データの代金に加算することを特徴とする付記1乃至4の何れかに記載のデータ取引処理プログラム。
(付記6) 前記複数の販売元のデータの各価格のばらつきに基づき前記保証金を設定する、
処理を前記コンピュータに実行させることを特徴とする付記1乃至5の何れかに記載のデータ取引処理プログラム。
(付記7) 前記保証金を設定する処理は、前記ばらつきに基づく第1の値に、調整可能な第2の値を加算した値を前記保証金として設定することを特徴とする付記6に記載のデータ取引処理プログラム。
(付記8) 前記データが購入された数、及び前記販売元の不当性の報告の数に応じて前記第2の値を調整する、
処理を前記コンピュータに実行させることを特徴とする付記7に記載のデータ取引処理プログラム。
(付記9) 複数の販売元から提供されたデータのうち、何れかのデータの購入者の端末に該データの代金の支払いを要求し、前記代金の支払いに応じて前記データを前記購入者の端末に送信するデータ取引処理装置において、
前記購入者に前記データの販売元の不当性の報告を保証させるための保証金を前記データの代金に加算し、
前記購入者の端末からの前記データの販売元の不当性の報告に応じて前記購入者の端末に前記保証金の範囲内の金額を返金する、
取引処理部を有することを特徴とするデータ取引処理装置。
(付記10) 前記取引処理部は、前記購入者の端末からの前記データの販売元の不当性の報告に応じ、前記複数の販売元のうち、正当な他の第1の販売元から提供された前記データを購入した他の購入者の端末に前記保証金の範囲内の金額を返金することを特徴とする付記9に記載のデータ取引処理装置。
(付記11) 前記取引処理部は、前記データの販売元が正当である場合、前記購入者の端末への前記保証金の範囲内の金額の返金を行わないことを特徴とする付記9または10に記載のデータ取引処理装置。
(付記12) 前記取引処理部は、前記データの代金から、前記複数の販売元のうち、正当な他の第2の販売元から提供された他のデータの価格を減じた残りの金額を返金し、前記第2の販売元の端末に前記他のデータの価格に応じた金額を支払うことを特徴とする付記9乃至11の何れかに記載のデータ取引処理装置。
(付記13) 複数の販売元から提供されたデータのうち、何れかのデータの購入者の端末に該データの代金の支払いを要求し、前記代金の支払いに応じて前記データを前記購入者の端末に送信するデータ取引処理方法おいて、
前記購入者に前記データの販売元の不当性の報告を保証させるための保証金を前記データの代金に加算し、
前記購入者の端末からの前記データの販売元の不当性の報告に応じて前記購入者の端末に前記保証金の範囲内の金額を返金する、
工程をコンピュータが実行することを特徴とするデータ取引処理方法。
(付記14) 前記購入者の端末からの前記データの販売元の不当性の報告に応じ、前記複数の販売元のうち、正当な他の第1の販売元から提供された前記データを購入した他の購入者の端末に前記保証金の範囲内の金額を返金する、
工程を前記コンピュータが実行することを特徴とする付記13に記載のデータ取引処理方法。
(付記15) 前記購入者の端末に前記保証金の範囲内の金額を返金する工程は、前記データの販売元が正当である場合、前記購入者の端末への前記保証金の範囲内の金額の返金を行わないことを特徴とする付記13または14に記載のデータ取引処理方法。
(付記16) 前記保証金の範囲内の金額を返金する工程は、前記データの代金から、前記複数の販売元のうち、正当な他の第2の販売元から提供された他のデータの価格を減じた残りの金額を返金し、
さらに、前記第2の販売元の端末に前記他のデータの価格に応じた金額を支払う、
工程を前記コンピュータが実行することを特徴とする付記13乃至15の何れかに記載のデータ取引処理方法。
(付記17) 前記販売元の端末から、前記保証金を補助するための補助金の支払いを受ける工程を、さらに前記コンピュータが実行し、
前記保証金を前記データの代金に加算する工程は、前記販売元の端末からの前記補助金の支払いに応じ前記保証金を減額して前記データの代金に加算することを特徴とする付記13乃至16の何れかに記載のデータ取引処理方法。
(付記18) 前記複数の販売元のデータの各価格のばらつきに基づき前記保証金を設定する、
工程を前記コンピュータが実行することを特徴とする付記13乃至17の何れかに記載のデータ取引処理方法。
(付記19) 前記保証金を設定する工程は、前記ばらつきに基づく第1の値に、調整可能な第2の値を加算した値を前記保証金として設定することを特徴とする付記18に記載のデータ取引処理方法。
(付記20) 前記データが購入された数、及び前記販売元の不当性の報告の数に応じて前記第2の値を調整する、
工程を前記コンピュータが実行することを特徴とする付記19に記載のデータ取引処理方法。
【符号の説明】
【0167】
1 マーケットプレイスサーバ
2a,2b,2x~2z 端末
10 CPU
101 マーケット管理部
102 保証金設定部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18