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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-11
(45)【発行日】2023-01-19
(54)【発明の名称】通信装置、通信システム、及び通信方法
(51)【国際特許分類】
   H04L 45/28 20220101AFI20230112BHJP
【FI】
H04L45/28
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019034012
(22)【出願日】2019-02-27
(65)【公開番号】P2020141193
(43)【公開日】2020-09-03
【審査請求日】2021-11-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087480
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 修平
(72)【発明者】
【氏名】越沼 勝太郎
【審査官】大石 博見
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-78893(JP,A)
【文献】特開2015-211402(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 45/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
他の通信装置と冗長構成された通信装置において、
前記他の通信装置の第1通信回線との間でリンクアグリゲーションを構成する第2通信回線を介してパケットを送信する第1ポートと、
前記他の通信装置の第3通信回線との間でリンクアグリゲーションを構成する第4通信回線を介してパケットを送受信する第2ポートと、
前記他の通信装置に第5通信回線を介してパケットを送信する第3ポートと、
前記第2ポートが受信したパケットを前記第1ポートまたは前記第3ポートに転送する転送処理部と、
前記第2通信回線の障害を検出する第1検出部と、
前記第5通信回線の障害を検出する第2検出部と、
前記第1検出部及び前記第2検出部が障害をそれぞれ検出したとき、前記第2ポートをシャットダウンするポート制御部とを有することを特徴とする通信装置。
【請求項2】
前記転送処理部は、
前記第1検出部が障害を検出していないとき、前記第2ポートが受信したパケットを前記第1ポートに転送し、
前記第1検出部が障害を検出し、前記第2検出部が障害を検出していないとき、前記第2ポートが受信したパケットを前記第3ポートに転送することを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
他の通信装置と冗長構成された通信装置において、
前記他の通信装置の第1通信回線との間でリンクアグリゲーションを構成する第2通信回線を介してパケットを送受信する第1ポートと、
前記他の通信装置の第3通信回線との間でリンクアグリゲーションを構成する第4通信回線を介してパケットを送受信する第2ポートと、
前記他の通信装置と第5通信回線を介してパケットを送受信する第3ポートと、
前記第1ポート、前記第2ポート、及び前記第3ポートの間でパケットを転送する転送処理部と、
前記第2通信回線の障害を検出する第1障害検出部と、
前記第4通信回線の障害を検出する第2障害検出部と、
前記第1障害検出部及び前記第2障害検出部が障害をそれぞれ検出したとき、前記第2通信回線及び前記第4通信回線を予備回線に切り替え、前記第5通信回線を介して前記他の通信装置に対し、前記第1通信回線及び前記第3通信回線を現用回線に切り替える指示を含むパケットを送信する切替部とを有することを特徴とする通信装置。
【請求項4】
冗長構成された第1通信装置及び第2通信装置と、冗長構成された第3通信装置及び第4通信装置とを有し、
前記第1通信装置は、
前記第2通信装置の第1通信回線との間でリンクアグリゲーションを構成する第2通信回線を介してパケットを送信する第1ポートと、
前記第2通信装置の第3通信回線との間でリンクアグリゲーションを構成する第4通信回線を介してパケットを送受信する第2ポートと、
前記第2通信装置に第5通信回線を介してパケットを送信する第3ポートと、
前記第2ポートが受信したパケットを前記第1ポートまたは前記第3ポートに転送する転送処理部と、
前記第2通信回線の障害を検出する第1検出部と、
前記第5通信回線の障害を検出する第2検出部と、
前記第1検出部及び前記第2検出部が障害をそれぞれ検出したとき、前記第2ポートをシャットダウンするポート制御部とを有し、
前記第3通信装置は、
前記第2ポートのシャットダウンを検出するシャットダウン検出部と、
前記第4通信回線を介して前記第2ポートにパケットを送信する第4ポートと、
第6通信回線を介して前記第4通信装置にパケットを送信する第5ポートと、
前記シャットダウン検出部が前記第2ポートのシャットダウンを検出していないとき、前記第4ポートにパケットを出力し、前記シャットダウン検出部が前記第2ポートのシャットダウンを検出したとき、前記第5ポートにパケットを出力するパケット出力部とを有し、
前記第4通信装置は、前記第3通信装置から前記第6通信回線を介してパケットを受信し、前記第3通信回線を介して前記第2通信装置に転送し、
前記第2通信装置は、前記第4通信装置から前記第3通信回線を介してパケットを受信し、前記第1通信回線に転送することを特徴とする通信システム。
【請求項5】
冗長構成された第1通信装置及び第2通信装置を有し、
前記第1通信装置は、
前記第2通信装置の第1通信回線との間でリンクアグリゲーションを構成する第2通信回線を介してパケットを送受信する第1送受信ポートと、
前記第2通信装置の第3通信回線との間でリンクアグリゲーションを構成する第4通信回線を介してパケットを送受信する第2送受信ポートと、
前記第2通信装置と第5通信回線を介してパケットを送受信する第3送受信ポートと、
前記第1送受信ポート、前記第2送受信ポート、及び前記第3送受信ポートの間でパケットを転送する第1転送処理部と、
前記第2通信回線の障害を検出する第1障害検出部と、
前記第4通信回線の障害を検出する第2障害検出部と、
前記第1障害検出部及び前記第2障害検出部が障害をそれぞれ検出したとき、前記第2通信回線及び前記第4通信回線を予備回線に切り替え、前記第5通信回線を介して前記第2通信装置に対し、前記第1通信回線及び前記第3通信回線を現用回線に切り替える指示を含むパケットを送信する第1切替部とを有し、
前記第2通信装置は、
前記第1通信回線を介してパケットを送受信する第4送受信ポートと、
前記第3通信回線を介してパケットを送受信する第5送受信ポートと、
前記第1通信装置と前記第5通信回線を介してパケットを送受信する第6送受信ポートと、
前記第4送受信ポート、前記第5送受信ポート、及び前記第6送受信ポートの間でパケットを転送する第2転送処理部と、
前記第6送受信ポートが受信したパケットに含まれる前記指示に従って前記第2通信回線及び前記第4通信回線を現用回線に切り替える第2切替部とを有することを特徴とする通信システム。
【請求項6】
通信装置の第1ポートが、前記通信装置と冗長構成された他の通信装置の第1通信回線との間でリンクアグリゲーションを構成する第2通信回線を介してパケットを送信し、
前記通信装置の第2ポートが、前記他の通信装置の第3通信回線との間でリンクアグリゲーションを構成する第4通信回線を介してパケットを送受信し、
前記通信装置の第3ポートが、前記他の通信装置に第5通信回線を介してパケットを送信し、
前記通信装置の転送処理部が、前記第2ポートで受信したパケットを前記第1ポートまたは前記第3ポートに転送し、
前記通信装置のポート制御部が、前記第2通信回線及び前記第5通信回線に障害がそれぞれ発生したとき、前記第2ポートをシャットダウンすることを特徴とする通信方法。
【請求項7】
通信装置の第1ポートが、前記通信装置と冗長構成された他の通信装置の第1通信回線との間でリンクアグリゲーションを構成する第2通信回線を介してパケットを送受信し、
前記通信装置の第2ポートが、前記他の通信装置の第3通信回線との間でリンクアグリゲーションを構成する第4通信回線を介してパケットを送受信し、
前記通信装置の第3ポートが、前記他の通信装置と第5通信回線を介してパケットを送受信し、
前記通信装置の転送処理部が、前記第1ポート、前記第2ポート、及び前記第3ポートの間でパケットを転送し、
前記通信装置の切替部が、前記第2通信回線及び前記第4通信回線に障害がそれぞれ発生したとき、前記第2通信回線及び前記第4通信回線を予備回線に切り替え、前記第5通信回線を介して前記他の通信装置に対し、前記第1通信回線及び前記第3通信回線を現用回線に切り替える指示を含むパケットを送信することを特徴とする通信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本件は、通信装置、通信システム、及び通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一組のレイヤ2スイッチを冗長構成し、各レイヤ2スイッチの通信回線をマルチシャーシリンクアグリゲーション(MC-LAG: Multi-Chassis Link Aggregation)として構成する技術がある(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-116767号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば冗長構成したレイヤ2スイッチの組が複数段にわたり直列に接続されたネットワークを構成する場合、レイヤ2スイッチの組同士のポート間をたすき掛け形式で接続すると、多数のポートが接続に必要となるため、他の用途に使用できるポート数が減少し、ネットワーク構成の自由度が制限される。
【0005】
これに対し、たすき掛けを省いてレイヤ2スイッチの組同士のポート間を接続すると、必要なポート数は減るが、ポート間の通信回線の冗長性が低下するため、ネットワークが通信回線の障害に対して脆弱となるおそれがある。このため、MC-LAGに用いられるポート数を低減することは難しい。
【0006】
そこで本件は、MC-LAGに用いられるポート数を低減することができる通信装置、通信システム、及び通信方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
1つの態様では、通信装置は、他の通信装置と冗長構成された通信装置において、前記他の通信装置の第1通信回線との間でリンクアグリゲーションを構成する第2通信回線を介してパケットを送信する第1ポートと、前記他の通信装置の第3通信回線との間でリンクアグリゲーションを構成する第4通信回線を介してパケットを送受信する第2ポートと、前記他の通信装置に第5通信回線を介してパケットを送信する第3ポートと、前記第2ポートが受信したパケットを前記第1ポートまたは前記第3ポートに転送する転送処理部と、前記第2通信回線の障害を検出する第1検出部と、前記第5通信回線の障害を検出する第2検出部と、前記第1検出部及び前記第2検出部が障害をそれぞれ検出したとき、前記第2ポートをシャットダウンするポート制御部とを有する。
【0008】
1つの態様では、通信装置は、他の通信装置と冗長構成された通信装置において、前記他の通信装置の第1通信回線との間でリンクアグリゲーションを構成する第2通信回線を介してパケットを送受信する第1ポートと、前記他の通信装置の第3通信回線との間でリンクアグリゲーションを構成する第4通信回線を介してパケットを送受信する第2ポートと、前記他の通信装置と第5通信回線を介してパケットを送受信する第3ポートと、前記第1ポート、前記第2ポート、及び前記第3ポートの間でパケットを転送する転送処理部と、前記第2通信回線の障害を検出する第1障害検出部と、前記第4通信回線の障害を検出する第2障害検出部と、前記第1障害検出部及び前記第2障害検出部が障害をそれぞれ検出したとき、前記第2通信回線及び前記第4通信回線を予備回線に切り替え、前記第5通信回線を介して前記他の通信装置に対し、前記第1通信回線及び前記第3通信回線を現用回線に切り替える指示を含むパケットを送信する切替部とを有する。
【0009】
1つの態様では、通信システムは、冗長構成された第1通信装置及び第2通信装置と、冗長構成された第3通信装置及び第4通信装置とを有し、前記第1通信装置は、前記第2通信装置の第1通信回線との間でリンクアグリゲーションを構成する第2通信回線を介してパケットを送信する第1ポートと、前記第2通信装置の第3通信回線との間でリンクアグリゲーションを構成する第4通信回線を介してパケットを送受信する第2ポートと、前記第2通信装置に第5通信回線を介してパケットを送信する第3ポートと、前記第2ポートが受信したパケットを前記第1ポートまたは前記第3ポートに転送する転送処理部と、前記第2通信回線の障害を検出する第1検出部と、前記第5通信回線の障害を検出する第2検出部と、前記第1検出部及び前記第2検出部が障害をそれぞれ検出したとき、前記第2ポートをシャットダウンするポート制御部とを有し、前記第3通信装置は、前記第2ポートのシャットダウンを検出するシャットダウン検出部と、前記第4通信回線を介して前記第2ポートにパケットを送信する第4ポートと、第6通信回線を介して前記第4通信装置にパケットを送信する第5ポートと、前記シャットダウン検出部が前記第2ポートのシャットダウンを検出していないとき、前記第4ポートにパケットを出力し、前記シャットダウン検出部が前記第2ポートのシャットダウンを検出したとき、前記第5ポートにパケットを出力するパケット出力部とを有し、前記第4通信装置は、前記第3通信装置から前記第6通信回線を介してパケットを受信し、前記第3通信回線を介して前記第2通信装置に転送し、前記第2通信装置は、前記第4通信装置から前記第3通信回線を介してパケットを受信し、前記第1通信回線に転送する。
【0010】
1つの態様では、通信システムは、冗長構成された第1通信装置及び第2通信装置を有し、前記第1通信装置は、前記第2通信装置の第1通信回線との間でリンクアグリゲーションを構成する第2通信回線を介してパケットを送受信する第1送受信ポートと、前記第2通信装置の第3通信回線との間でリンクアグリゲーションを構成する第4通信回線を介してパケットを送受信する第2送受信ポートと、前記第2通信装置と第5通信回線を介してパケットを送受信する第3送受信ポートと、前記第1送受信ポート、前記第2送受信ポート、及び前記第3送受信ポートの間でパケットを転送する第1転送処理部と、前記第2通信回線の障害を検出する第1障害検出部と、前記第4通信回線の障害を検出する第2障害検出部と、前記第1障害検出部及び前記第2障害検出部が障害をそれぞれ検出したとき、前記第2通信回線及び前記第4通信回線を予備回線に切り替え、前記第5通信回線を介して前記第2通信装置に対し、前記第1通信回線及び前記第3通信回線を現用回線に切り替える指示を含むパケットを送信する第1切替部とを有し、前記第2通信装置は、前記第1通信回線を介してパケットを送信する第4送受信ポートと、前記第3通信回線を介してパケットを送受信する第5送受信ポートと、前記第1通信装置と前記第5通信回線を介してパケットを送受信する第6送受信ポートと、前記第4送受信ポート、前記第5送受信ポート、及び前記第6送受信ポートの間でパケットを転送する第2転送処理部と、前記第6送受信ポートが受信したパケットの前記指示に従って前記第2通信回線及び前記第4通信回線を予備回線に切り替える第2切替部とを有する。
【0011】
1つの態様では、通信方法は、通信装置の第1ポートが、前記通信装置と冗長構成された他の通信装置の第1通信回線との間でリンクアグリゲーションを構成する第2通信回線を介してパケットを送信し、前記通信装置の第2ポートが、前記他の通信装置の第3通信回線との間でリンクアグリゲーションを構成する第4通信回線を介してパケットを送受信し、前記通信装置の第3ポートが、前記他の通信装置に第5通信回線を介してパケットを送信し、前記通信装置の転送処理部が、前記第2ポートで受信したパケットを前記第1ポートまたは前記第3ポートに転送し、前記通信装置のポート制御部が、前記第2通信回線及び前記第5通信回線に障害がそれぞれ発生したとき、前記第2ポートをシャットダウンする通信方法である。
【0012】
1つの態様では、通信方法は、通信装置の第1ポートが、前記通信装置と冗長構成された他の通信装置の第1通信回線との間でリンクアグリゲーションを構成する第2通信回線を介してパケットを送受信し、前記通信装置の第2ポートが、前記他の通信装置の第3通信回線との間でリンクアグリゲーションを構成する第4通信回線を介してパケットを送受信し、前記通信装置の第3ポートが、前記他の通信装置と第5通信回線を介してパケットを送受信し、前記通信装置の転送処理部が、前記第1ポート、前記第2ポート、及び前記第3ポートの間でパケットを転送し、前記通信装置の切替部が、前記第2通信回線及び前記第4通信回線に障害がそれぞれ発生したとき、前記第2通信回線及び前記第4通信回線を予備回線に切り替え、前記第5通信回線を介して前記他の通信装置に対し、前記第1通信回線及び前記第3通信回線を現用回線に切り替える指示を含むパケットを送信する通信方法である。
【発明の効果】
【0013】
1つの側面として、MC-LAGに用いる通信装置のポート数を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】MC-LAGのポート間をたすき掛け形式で接続されたレイヤ2スイッチのネットワークの一例を示す構成図である。
図2】MC-LAGのポート間をたすき掛けなしで接続されたレイヤ2スイッチのネットワークの一例を示す構成図である。
図3】MC-LAGのポート間をたすき掛け形式で接続されたレイヤ2スイッチのネットワークの他の例を示す構成図である。
図4】MC-LAGのポート間をたすき掛けなしで接続されたレイヤ2スイッチのネットワークの他の例を示す構成図である。
図5】MC-LAGのポート間のたすき掛け接続の一部を省かれたレイヤ2スイッチのネットワークの例を示す構成図である。
図6】冗長構成されたレイヤ2スイッチの組を多段接続した仮想大容量スイッチの一例を示す構成図である。
図7】LAG回線及びIPL回線の障害の発生時の動作の比較例を示す図である。
図8】LAG回線及びIPL回線の障害の発生時の動作の実施例を示す図である。
図9】レイヤ2スイッチの一例を示す構成図である。
図10】レイヤ2スイッチのパケット転送処理の一例を示すフローチャートである。
図11】転送制御部の転送制御処理の一例を示すフローチャートである。
図12】ポート制御部の制御処理の一例を示すフローチャートである。
図13】LAG回線の障害が発生していない場合のレイヤ2スイッチの動作例を示す図である。
図14】LAG回線の障害が発生している場合のレイヤ2スイッチの動作の比較例を示す図である。
図15】LAG回線の障害が発生している場合のレイヤ2スイッチの動作の実施例を示す図である。
図16】状態切替部の処理の一例を示すフローチャートである。
図17】制御パケットの受信時の状態切替部の処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(MC-LAGのポート間の接続からたすき掛けを省いた例)
図1は、MC-LAGのポートa~d間をたすき掛け形式で接続されたレイヤ2スイッチ(L2SW)1a,1bのネットワークの一例を示す構成図である。各組90~92のレイヤ2スイッチ1a,1bは冗長構成されており、レイヤ2スイッチ1a,1bのポートa~d間は、MC-LAGを構成する通信回線L11,L12,L21,L22を介して接続されている。
【0016】
互いに隣接する各組90~92のレイヤ2スイッチ1aにおいて、ポートa,bは通信回線L11を介して接続されている。互いに隣接する各組90~92のうち、一方の組のレイヤ2スイッチ1aと他方の組のレイヤ2スイッチ1bにおいて、ポートc,dは通信回線L12を介して接続されている。通信回線L11,L12はMC-LAGを構成する。
【0017】
また、互いに隣接する各組90~92のレイヤ2スイッチ1bにおいて、ポートa,bは通信回線L22を介して接続されている。互いに隣接する各組90~92のうち、一方の組のレイヤ2スイッチ1aと他方の組のレイヤ2スイッチ1bにおいて、ポートc,dは通信回線L21を介して接続されている。通信回線L21,L22はMC-LAGを構成する。
【0018】
また、各組90~92のレイヤ2スイッチ1a,1bのポートe同士は通信回線L3を介して接続されている。通信回線L3は、例えばレイヤ2スイッチ1a,1b間のIPL(Intra Portal Link)を用いた回線である。
【0019】
通信回線L11,L12,L21,L22には、主信号のパケットが伝送されるのに対し、通信回線L3には、レイヤ2スイッチ1a,1bの状態に応じて主信号のパケットだけでなく、制御情報を含む制御パケットも伝送される。なお、以降の説明において、MC-LAGを構成する通信回線L11,L12,L21,L22を「LAG回線」と表記し、IPLを用いた通信回線L3を「IPL回線」と表記する。
【0020】
本例のようにレイヤ2スイッチ1a,1bの組90~92同士のポートa~d間をたすき掛け形式で接続すると、多数のポートa~dが接続に必要となるため、他の用途に使用できるポート数が減少し、ネットワーク構成の自由度が制限される。
【0021】
これに対し、たすき掛けを省いてレイヤ2スイッチ1a,1bの組90~92同士のポートa~d間を接続すると、必要なポート数は減少する。
【0022】
図2は、MC-LAGのポートa~d間をたすき掛けなしで接続されたレイヤ2スイッチ1a,1bのネットワークの一例を示す構成図である。図2において、図1と共通する構成には同一の符号を付し、その説明は省略する。
【0023】
互いに隣接する各組90~92のレイヤ2スイッチ1a,1bのポートa~d間の接続には、たすき掛けが用いられていない。つまり、互いに隣接する各組90~92のレイヤ2スイッチ1a,1bは、ポートa,b間の通信回線L11,L22だけを介して接続されている。このため、余ったポートc,dは、例えばユーザ装置などの接続に用いることが可能である。
【0024】
(MC-LAGのポート間の接続からたすき掛けを省いた他の例)
図3は、MC-LAGのポートa,b間をたすき掛け形式で接続されたレイヤ2スイッチ1a,1bのネットワークの他の例を示す構成図である。図3において、図1と共通する構成には同一の符号を付し、その説明は省略する。
【0025】
互いに隣接する各組90,91のレイヤ2スイッチ1a,1bにおいて、ポートaはLAG回線L11,L22を介して接続されている。一方の組90,91のレイヤ2スイッチ1aと他方の組91,90のレイヤ2スイッチ1bにおいて、ポートb同士はLAG回線L12,L21を介して接続されている。LAG回線L11,L22はMC-LAGを構成し、LAG回線L12,L21はMC-LAGを構成する。
【0026】
また、一方の組90のレイヤ2スイッチ1a,1bの各ポートcはユーザ装置80に接続され、他方の組91のレイヤ2スイッチ1a,1bの各ポートcはユーザ装置81に接続されている。ユーザ装置80,81としてはゲートウェイ装置などが挙げられるが、これに限定されない。ユーザ装置80,81同士は、各組90,91のレイヤ2スイッチ1a,1bを介して通信する。
【0027】
図4は、MC-LAGのポートa,b間をたすき掛けなしで接続されたレイヤ2スイッチ1a,1bのネットワークの他の例を示す構成図である。図4において、図3と共通する構成には同一の符号を付し、その説明は省略する。
【0028】
図3と比べると理解されるように、一方の組90のレイヤ2スイッチ1bのポートbと他方の組91のレイヤ2スイッチ1aのポートbの間の接続、及び一方の組90のレイヤ2スイッチ1aのポートbと他方の組91のレイヤ2スイッチ1bのポートbの間の接続は省かれている。つまり、本例のレイヤ2スイッチ1a,1bの接続は、たすき掛けのLAG回線L21,L12が省かれている。
【0029】
これにより余った各レイヤ2スイッチ1a,1bのポートbは他のユーザ装置82,83との接続に用いられている。一方の組90のレイヤ2スイッチ1a,1bのポートbはユーザ装置82に接続され、他方の組91のレイヤ2スイッチ1a,1bのポートbはユーザ装置83に接続されている。このため、各組90,91のレイヤ2スイッチ1a,1bとユーザ装置80~83の間をたすき掛けで接続することができる。
【0030】
このように、MC-LAGのポートa,b間のたすき掛けの接続を省くことにより、ユーザ装置80~83に接続可能なポート数を増加させることが可能である。さらに、以下のようにたすき掛けの一部だけが省かれてもよい。
【0031】
図5は、MC-LAGのポートa,b間のたすき掛け接続の一部を省かれたレイヤ2スイッチ1a,1bのネットワークの例を示す構成図である。図5において、図3と共通する構成には同一の符号を付し、その説明は省略する。
【0032】
図3と比べると理解されるように、一方の組90のレイヤ2スイッチ1bのポートbと他方の組91のレイヤ2スイッチ1aのポートbの間の接続は省かれている。つまり、本例のレイヤ2スイッチ1a,1bの接続は、たすき掛けの一部のLAG回線L21が省かれている。
【0033】
これにより余った各レイヤ2スイッチ1a,1bのポートbは他のユーザ装置82,83との接続に用いられている。一方の組90のレイヤ2スイッチ1bのポートbはユーザ装置82に接続され、他方の組91のレイヤ2スイッチ1aのポートbはユーザ装置83に接続されている。
【0034】
このように、たすき掛けの一部を省くだけでも、ユーザ装置80~83に接続可能なポート数を増加させることが可能である。
【0035】
図6は、冗長構成されたレイヤ2スイッチ1a,1bの組を多段接続した仮想大容量スイッチの一例を示す構成図である。仮想大容量スイッチは、互いに同一の構成を有するスイッチ群70,71を有する。上述したようにレイヤ2スイッチ1a,1bの組同士はたすき掛けなしで接続されているため、レイヤ2スイッチ1a,1bの使用可能なポート数が増加し、各スイッチ群70,71の中段のレイヤ2スイッチ1a,1bの組同士をLAG回線で接続することが可能である。
【0036】
このため、レイヤ2スイッチ1a,1bのポートを増設することなく、点線枠内の構成を仮想大容量スイッチに追加することが可能となる。各スイッチ群70,71の上段及び下段のポート数をN個(N:正の整数)とすると、仮想大容量スイッチのポート総数は4×N個となる。これに対し、仮にレイヤ2スイッチ1a,1bの組同士をたすき掛け形式で接続した場合、仮想大容量スイッチはスイッチ群70,71の一方しか含むことができないため、ポート総数は2×N個となる。つまり、仮想大容量スイッチは、たすき掛けを省くことによりポート総数を2倍とすることができる。
【0037】
しかし、たすき掛けを省いてレイヤ2スイッチ1a,1bの組同士のポート間を接続すると、ポート間の通信回線の冗長性が低下するため、以下に述べるようにネットワークが通信回線の障害に対して脆弱となるおそれがある。
【0038】
(LAG回線及びIPL回線の障害の発生時の動作)
図7は、LAG回線L11及びIPL回線L31の障害の発生時の動作の比較例を示す図である。図7には、冗長構成されたレイヤ2スイッチ1a,1bの組がたすき掛けを用いずに多段接続されたネットワークの一部として、レイヤ2スイッチ1a,1bの組91と、レイヤ2スイッチ1c,1dの組90とを含む通信システムが示されている。なお、各レイヤ2スイッチ1a~1dの構成は同一である。
【0039】
レイヤ2スイッチ1aのポートaとレイヤ2スイッチ1cのポートbはLAG回線L11を介して互いに接続されている。レイヤ2スイッチ1dのポートbとレイヤ2スイッチ1bのポートaはLAG回線L21を介して互いに接続されている。LAG回線L11,L21はMC-LAGを構成する。なお、LAG回線L11は第4通信回線の一例であり、LAG回線L21は第3通信回線の一例である。
【0040】
レイヤ2スイッチ1aのポートbはLAG回線L12を介して他のレイヤ2スイッチに接続され、レイヤ2スイッチ1bのポートbはLAG回線L22を介して他のレイヤ2スイッチに接続されている。LAG回線L12,L22はMC-LAGを構成する。なお、LAG回線12は第2通信回線の一例であり、LAG回線L22は第1通信回線の一例であり、LAG回線L12は第2通信回線の一例である。
【0041】
レイヤ2スイッチ1cのポートaはLAG回線L10を介して他のレイヤ2スイッチに接続され、レイヤ2スイッチ1dのポートaはLAG回線L20を介して他のレイヤ2スイッチに接続されている。LAG回線L10,L20はMC-LAGを構成する。
【0042】
一方の組91のレイヤ2スイッチ1a,1bのポートe同士はIPL回線L31を介して互いに接続されている。他方の組90のレイヤ2スイッチ1c,1dのポートe同士はIPL回線L30を介して互いに接続されている。なお、IPL回線L31は第5通信回線の一例であり、IPL回線L30は第6通信回線の一例である。
【0043】
各レイヤ2スイッチ1a~1cのポートa,bは、LAG回線L10~L12,L20~L22を介して接続先のポートとパケットを送受信する。また、各レイヤ2スイッチ1a~1cのポートeは、IPL回線L30,L31を介して接続先のポートeとパケットを送受信する。なお、パケットとしては、例えばイーサネット(登録商標)フレームが挙げられるが、これに限定されない。
【0044】
レイヤ2スイッチ1a,1cのポートa,bはACT状態に設定され、レイヤ2スイッチ1b,1dのポートa,bはSBY状態に設定されている。各レイヤ2スイッチ1a~1cは、パケットをACT状態のポートa,bから送信するが、ACT状態のポートa,bのLAG回線L10~L12に障害が発生している場合、IPL回線L30,L31を介して他方のレイヤ2スイッチ1b,1dにパケットを送信する。この場合、レイヤ2スイッチ1b,1dは、SBY状態のポートa,bからパケットを送信する。
【0045】
一例として、パケットが経路Raに沿って伝送される場合を挙げる。レイヤ2スイッチ1cは、ポートaでパケットを受信してポートbから送信する。パケットはLAG回線L11を介してレイヤ2スイッチ1aに入力される。レイヤ2スイッチ1aはポートaでパケットを受信する。
【0046】
このとき、レイヤ2スイッチ1aのLAG回線L12及びIPL回線L31に障害が発生していると仮定する(バツ印参照)。レイヤ2スイッチ1aは、障害が発生中のLAG回線L12及びIPL回線L31にパケットを送信することができないため、パケットを廃棄する(バツ印参照)。
【0047】
このため、レイヤ2スイッチ1aは、パケットを後段のレイヤ2スイッチの組(不図示)に送信することができない。なお、仮にレイヤ2スイッチ1a,1bがたすき掛け形式で後段のレイヤ2スイッチと接続されている場合、該当するポートdから後段のレイヤ2スイッチにパケットを送信することができる(符号S参照)。
【0048】
そこで、実施例では、レイヤ2スイッチ1aがポートaをシャットダウンすることにより、レイヤ2スイッチ1cがパケットの経路を切り替える。
【0049】
図8は、LAG回線L11及びIPL回線L31の障害の発生時の動作の実施例を示す図である。レイヤ2スイッチ1aは、パケットの送信先のLAG回線L12及びIPL回線L31の障害を検出した場合、ポートaをシャットダウンする。レイヤ2スイッチ1cは、レイヤ2スイッチ1aのポートaのシャットダウンを検出する(一点鎖線参照)。
【0050】
レイヤ2スイッチ1cは、レイヤ2スイッチ1aのポートaのシャットダウンを検出すると、ポートaで受信したパケットをポートeから送信する。これにより、パケットの経路が切り替わる。
【0051】
パケットは経路Rbに沿って伝送される。パケットは、IPL回線L30を介してレイヤ2スイッチ1dに入力される。レイヤ2スイッチ1dは、ポートeで受信したパケットをポートbから送信する。パケットはLAG回線L22を介してレイヤ2スイッチ1bに入力される。レイヤ2スイッチ1bは、IPL回線L31に障害が発生しているため、ポートaで受信したパケットをポートbから送信する。
【0052】
これにより、パケットは、障害発生中のLAG回線L12及びIPL回線L31を避けてレイヤ2スイッチ1a,1bの後段のレイヤ2スイッチに伝送される。
【0053】
(レイヤ2スイッチ1a~1dの構成)
次にレイヤ2スイッチ1a~1dの構成を述べる。以下の例ではレイヤ2スイッチ1aを例に挙げるが、他のレイヤ2スイッチ1b~1dも通信装置1aと同様の構成を有する。なお、レイヤ2スイッチ1a~1dは、それぞれ、第1~第4通信装置の一例である。
【0054】
図9は、レイヤ2スイッチ1aの一例を示す構成図である。レイヤ2スイッチ1aは、CPU(Central Processing Unit)10、ROM(Read Only Memory)11、RAM(Random Access Memory)12、ハードウェアインターフェース部(HW-IF)13、スイッチ(SW)デバイス14、スイッチメモリ15、ポートa,b,eを有する。CPU10は、互いに信号の入出力ができるように、ROM11、RAM12、及びHW-IF13と、バス19を介して接続されている。
【0055】
ROM11は、CPU10を駆動するプログラムが格納されている。プログラムには、実施例の通信方法を実行するためのソフトウェアなどが含まれる。RAM12は、CPU10のワーキングメモリとして機能する。
【0056】
HW-IF13は、CPU10と、スイッチデバイス14、スイッチメモリ15、ポートa,b、及びポートeとの間の通信を処理する。HW-IF13は、例えばFPGA(Field Programmable Gate Array)やASIC(Application Specified Integrated Circuit)などのハードウェアから構成される回路である。
【0057】
ポートa,b及びポートeは、例えばLAN(Local Area Network)ポートであり、パケットを送受信する光送受信器(不図示)を有する。ポートa,bは、図8のレイヤ2スイッチ1a~1dのポートa,bに該当する。ポートa,bは、LAG回線L10~L12,L20~L22を介して主信号のパケットを送受信する。
【0058】
また、ポートeは、図8のレイヤ2スイッチ1a~1dのポートeに該当する。ポートeは、主信号のパケットだけでなく、ポートa,bをACT状態またはSBY状態に切り替えるための制御パケットも送受信する。
【0059】
なお、レイヤ2スイッチ1aのポートb,aは、それぞれ、第1ポート及び第2ポート(第1及び第2送受信ポート)の一例であり、レイヤ2スイッチ1aのポートeは第3ポート(第3送受信ポート)の一例である。また、レイヤ2スイッチ1cのポートbは第4ポートの一例であり、レイヤ2スイッチ1cのポートeは第5ポートの一例である。また、レイヤ2スイッチ1bのポートaは第5送受信ポートの一例であり、レイヤ2スイッチ1bのポートeは第6送受信ポートの一例であり、レイヤ2スイッチ1bのポートbは第4送受信ポートの一例である。
【0060】
スイッチデバイス14は、ポートa,b及びポートeに接続されている。スイッチデバイス14は、ポートa,b,eの各通信の状態をそれぞれ監視する監視回路141~143を有する。例えば監視回路141~143は、通信のビットエラーレートや光の入出力の断などを検出して警報を出力する。
【0061】
また、スイッチデバイス14は、ポートa,b及びポートeの間で主信号のパケットを交換する。スイッチデバイス14は、例えばFPGAやASICなどのハードウェアから構成される回路である。
【0062】
図7に示される経路Raに沿ってパケットが転送される場合、スイッチデバイス14は、LAG回線L12に障害が発生していなければ、ポートaが受信したパケットをポートbに転送する。このため、パケットは下流側のLAG回線L11から上流側のLAG回線L12に転送される。
【0063】
さらに、スイッチデバイス14は、LAG回線L12に障害が発生していても、IPL回線L31に障害が発生していなければ、ポートaが受信したパケットをポートeに転送する。このため、パケットは下流側のLAG回線L11からIPL回線L31に転送される。その後、レイヤ2スイッチ1bは、ポートeが受信したパケットをポートbから送信する。
【0064】
このように、レイヤ2スイッチ1aのスイッチデバイス14は、ポートaが受信したパケットをポートbまたはポートeに転送する。なお、スイッチデバイス14は転送処理部の一例であり、レイヤ2スイッチ1cのスイッチデバイス14はパケット出力部の一例である。
【0065】
また、スイッチデバイス14には、転送テーブル(TBL)151が格納されたスイッチメモリ15が接続されている。スイッチデバイス14は、主信号のパケットのアドレスを学習して転送テーブル151に記憶させ、転送テーブル151に基づいてパケットをポートa,b,e間で交換する。転送テーブル151には、例えば各ポートa,b,eから送信する主信号のパケットの宛先アドレスが登録されている。
【0066】
また、転送テーブル151の登録内容はCPU10により変更される。例えばレイヤ2スイッチ1aの場合、LAG回線L11,L12及びIPL回線L31の障害の有無に応じて転送テーブル151が変更されるため、上述したようにパケットの経路Rbが経路Rbに切り替わる。
【0067】
また、スイッチデバイス14は、レイヤ2スイッチ1bとの間でポートeを介して制御パケットを送受信する。スイッチデバイス14は、受信した制御パケットを、HW-IF13を介してCPU10に出力する。一方、送信される制御パケットは、CPU10からHW-IF13を介してスイッチデバイス14に入力される。
【0068】
CPU10は、ROM11からプログラムを読み込むと、機能として、転送制御部101、状態切替部102、ポート制御部103、及び障害検出部104~106が形成される。
【0069】
障害検出部104は、第1検出部及び第1障害検出部の一例であり、監視回路141から警報を収集することによりLAG回線L12の障害を検出する。障害検出部105は、第2障害検出部の一例であり、監視回路142から警報を収集することによりLAG回線L11の障害を検出する。障害検出部106は、第2検出部の一例であり、監視回路143から警報を収集することによりIPL回線L31の障害を検出する。LAG回線L11,L12及びIPL回線L31の障害としては、光ファイバの断、及びポートa,b,eの故障が挙げられる。このため、レイヤ2スイッチ1cの障害検出部105は、レイヤ2スイッチ1aのポートaのシャットダウンも障害として検出することができる。
【0070】
転送制御部101は、障害検出部104~106の障害の検出結果に応じてスイッチデバイス14のパケット転送を制御する。例えば転送制御部101は、スイッチデバイス14内の転送テーブル151の設定を変更することにより、パケットを受信したポートa,b,eごとに転送先のポートa,b,eを変更する。
【0071】
状態切替部102は、障害検出部104~106の障害の検出結果に応じてポートa,bごとの状態をACT状態またはSBY状態に切り替える。状態切替部102は、レイヤ2スイッチ1aのポートa,bの状態を切り替える場合、転送制御部101にACT状態またはSBY状態に応じた転送設定を指示する。
【0072】
また、状態切替部102は、冗長構成の相手方のレイヤ2スイッチ1bのポートa,bの状態を切り替える場合、制御パケットを生成してスイッチデバイス14に出力する。この場合、レイヤ2スイッチ1bの状態切替部102は、冗長構成の相手方のレイヤ2スイッチ1aから受けた制御パケットに含まれる指示に従ってポートa,bの状態を切り替える。
【0073】
ポート制御部103は、障害検出部104~106の障害の検出結果に応じてポートa,bをシャットダウンする。図6の動作例において、ポート制御部103は、障害検出部104,106が障害をそれぞれ検出したとき、ポートaをシャットダウンする。
【0074】
転送制御部101、状態切替部102、及びポート制御部103は、互いに連携してレイヤ2スイッチ1aの動作を制御する。以下にレイヤ2スイッチ1aの動作を説明する。
【0075】
図10は、レイヤ2スイッチ1aのパケット転送処理の一例を示すフローチャートである。なお、本処理は繰り返し実行される。
【0076】
スイッチデバイス14は、何れかのポートa,b,eが主信号のパケットを受信したか否かを判定する(ステップSt1)。何れのポートa,b,eもパケットを受信していない場合(ステップSt1のNo)、処理は終了する。
【0077】
また、スイッチデバイス14は、何れかのポートa,b,eが主信号のパケットを受信している場合(ステップSt1のYes)、パケットを送信させる転送先ポートを転送テーブル151から検索する(ステップSt2)。次にスイッチデバイス14は、転送先ポートとして検索したポートa,b,eにパケットを転送する(ステップSt3)。これにより、転送先のポートa,b,eはパケットを送信する。このようにして、パケット転送処理は行われる。
【0078】
図11は、転送制御部101の転送制御処理の一例を示すフローチャートである。本処理は繰り返し実行される。
【0079】
転送制御部101は、ポートa,b,eからのパケット受信の通知の有無を判定する(ステップSt21)。転送制御部101は、パケット受信の通知が無い場合(ステップSt21のNo)、処理を終了する。
【0080】
転送制御部101は、パケット受信の通知を受けた場合(ステップSt21のYes)、スイッチデバイス14から転送先ポートの情報を取得する(ステップSt22)。なお、スイッチデバイス14は、転送先ポートを転送テーブル151から検索する。
【0081】
転送制御部101は、転送先ポートがポートaまたはポートbであるか否かを判定する(ステップSt23)。転送制御部101は、転送先ポートがポートeである場合(ステップSt23のNo)、処理を終了する。
【0082】
また、転送制御部101は、転送先ポートがポートaまたはポートbである場合(ステップSt23のYes)、ポートa,bに応じたLAG回線L11,L12の障害の有無を障害検出部104,105の検出結果に基づき判定する(ステップSt24)。転送制御部101は、LAG回線L11,L12の障害が発生していない場合(ステップSt24のNo)、スイッチデバイス14に転送先ポートをポートa,bとするように指示し(ステップSt28)、処理を終了する。
【0083】
このため、例えばレイヤ2スイッチ1aのスイッチデバイス14は、LAG回線L12に障害が発生していない場合、ポートaが受信したパケットをポートbに転送し、ポートbからLAG回線L12にパケットを送信する。また、レイヤ2スイッチ1cのスイッチデバイス14は、LAG回線L11に障害が発生していない場合、ポートaが受信したパケットをポートbに転送し、ポートbからLAG回線L11にパケットを送信する。
【0084】
また、転送制御部101は、LAG回線L11,L12の障害が発生している場合(ステップSt24のYes)、IPL回線L31の障害の有無を障害検出部106の検出結果に基づき判定する(ステップSt25)。転送制御部101は、IPL回線L31の障害が発生している場合(ステップSt25のYes)、パケットを送信することができる通信回線がないため、スイッチデバイス14にパケットの廃棄を指示し(ステップSt29)、処理を終了する。
【0085】
また、転送制御部101は、IPL回線L31の障害が発生していない場合(ステップSt25のNo)、パケット受信の通知に基づき入力元ポートがポートeであるか否かを判定する(ステップSt26)。転送制御部101は、入力元ポートがポートeである場合(ステップSt26のYes)、パケットを送信することができる通信回線がないため、スイッチデバイス14にパケットの廃棄を指示し(ステップSt29)、処理を終了する。
【0086】
また、転送制御部101は、入力元ポートがポートaまたはポートbである場合(ステップSt26のNo)、スイッチデバイス14に転送先ポートをポートeとするように指示し(ステップSt27)、処理を終了する。
【0087】
このため、例えばレイヤ2スイッチ1aのスイッチデバイス14は、LAG回線L12に障害が発生し、IPL回線L31に障害が発生していない場合、ポートaが受信したパケットをポートeに転送し、ポートeからIPL回線L31にパケットを送信する。また、レイヤ2スイッチ1cのスイッチデバイス14は、LAG回線L11に障害が発生し、IPL回線L30に障害が発生していない場合、ポートaが受信したパケットをポートeに転送し、ポートeからIPL回線L30にパケットを送信する。
【0088】
したがって、図8を参照して述べたように、レイヤ2スイッチ1cは、上流側のレイヤ2スイッチ1aがポートaをシャットダウンした場合、ポートaが受信したパケットをポートeからIPL回線L30を介して冗長構成の相手方のレイヤ2スイッチ1dに送信することができる。このようにして、転送制御部101は転送制御処理を行う。
【0089】
この転送制御処理によると、レイヤ2スイッチ1aのスイッチデバイス14は、障害検出部104がLAG回線L12の障害を検出していないとき、ポートaが受信したパケットをポートbに転送する。また、スイッチデバイス14は、障害検出部104がLAG回線L12の障害を検出し、障害検出部106がIPL回線L31の障害を検出していないとき、ポートaが受信したパケットをポートeに転送する。
【0090】
このため、レイヤ2スイッチ1aは、パケットの送信先のLAG回線L12に障害が発生しても、IPL回線L31を介して冗長構成の相手方のレイヤ2スイッチ1cにパケットを転送することができる。したがって、レイヤ2スイッチ1cから上流側のレイヤ2スイッチにパケットが送信される。
【0091】
図12は、ポート制御部103の制御処理の一例を示すフローチャートである。ポート制御部103は、IPL回線L31の障害の有無を障害検出部106の検出結果に基づき判定する(ステップSt11)。ポート制御部103は、IPL回線L31の障害が発生していない場合(ステップSt11のNo)、パケットの送信先の通信回線が存在するため、処理を終了する。
【0092】
また、ポート制御部103は、IPL回線L31の障害が発生している場合(ステップSt11のYes)、LAG回線L11,L12の障害の有無を障害検出部104,105の検出結果に基づき判定する(ステップSt12)。ポート制御部103は、LAG回線L11,L12の障害が発生していない場合(ステップSt12のNo)、パケットの送信先の通信回線が存在するため、処理を終了する。
【0093】
また、ポート制御部103は、LAG回線L11,L12の障害が発生している場合(ステップSt12のYes)、障害発生中のLAG回線L11,L12に応じたポートa,bを転送先ポートとする入力元ポートの情報をスイッチデバイス14から取得する(ステップSt13)。
【0094】
次にポート制御部103は、入力元ポートをシャットダウンする(ステップSt14)。このようにして、ポート制御部103は制御処理を行う。
【0095】
この制御処理によると、図8を参照して述べたように、レイヤ2スイッチ1aのポート制御部103は、障害検出部104,105がLAG回線L12,L11の障害をそれぞれ検出したとき、ポートbをシャットダウンする。
【0096】
下流側のレイヤ2スイッチ1cのスイッチデバイス14は、障害検出部104が上流側のレイヤ2スイッチ1aのポートaのシャットダウンを検出していないとき、ポートbにパケットを出力する。また、スイッチデバイス14は、障害検出部104が上流側のレイヤ2スイッチ1aのポートaのシャットダウンを検出したとき、ポートeにパケットを出力する。なお、レイヤ2スイッチ1cの障害検出部104はシャットダウン検出部の一例である。
【0097】
上述したように、レイヤ2スイッチ1dは、レイヤ2スイッチ1cからIPL回線L30を介してパケットを受信し、LAG回線L21を介してレイヤ2スイッチ1bに転送する。レイヤ2スイッチ1bは、レイヤ2スイッチ1dからIPL回線L20を介してパケットを受信し、LAG回線L22に転送する。
【0098】
したがって、レイヤ2スイッチ1a~1dは、経路Rbに沿ってパケットを伝送するため、LAG回線L12及びIPL回線L31の障害が同時に発生していても、通信を継続することができる。
【0099】
(上流側及び下流側のLAG回線の障害発生時の動作)
図13は、LAG回線L10~L13,L20~L23の障害が発生していない場合のレイヤ2スイッチ1a~1fの動作例を示す図である。図13において、図8と共通する構成には同一の符号を付し、その説明は省略する。
【0100】
本例の通信システムは、レイヤ2スイッチ1a~1f及びパケットスイッチ85を有する。レイヤ2スイッチ1c,1dのポートaは、LAG回線L10,L20をそれぞれ介してパケットスイッチ85と接続されている。パケットスイッチ85は、LAG回線L10,L20を介して転送ネットワークNWとパケットを送受信する。
【0101】
レイヤ2スイッチ1a,1bの組91は、他のレイヤ2スイッチ1e,1fの組92と接続されている。レイヤ2スイッチ1aのポートbは、LAG回線L12を介してレイヤ2スイッチ1eのポートaと接続され、レイヤ2スイッチ1bのポートbは、LAG回線L22を介してレイヤ2スイッチ1fのポートaと接続されている。
【0102】
また、レイヤ2スイッチ1e,1fのポートbは、MC-LAGを構成するLAG回線L13,L23を介して、ルータなどを含む転送ネットワークNWに接続されている。
【0103】
レイヤ2スイッチ1a,1c,1eのポートa,bはACT状態に設定され、レイヤ2スイッチ1b,1d,1fのポートa,bはSBY状態に設定されている。ACT状態のポートa,bに対応するLAG回線L10~L13は現用回線であり、SBY状態のポートa,bに対応するLAG回線L20~L23は予備回線である。このため、パケットスイッチ85は、各レイヤ2スイッチ1a,1c,1eのポートa,bのLAG回線L10~L13を経由する経路Rcに従って転送ネットワークNWとパケットを送受信する。
【0104】
図14は、LAG回線L11,L12の障害が発生している場合のレイヤ2スイッチ1a~1fの動作の比較例を示す図である。図14において、図13と共通する構成には同一の符号を付し、その説明は省略する。
【0105】
LAG回線L11,L12の障害発生中(バツ印参照)、パケットスイッチ85から送信されたパケットは、レイヤ2スイッチ1c,1d,1bを経由する経路Rdに沿ってレイヤ2スイッチ1aに到達する。レイヤ2スイッチ1cは、LAG回線L11が障害発生中であるため、ポートaが受信したパケットを、ACT状態のポートbから送信できず、ポートeからIPL回線L30を介して冗長構成の相手方のレイヤ2スイッチ1dに送信する。
【0106】
レイヤ2スイッチ1dは、ポートeが受信したパケットを、SBY状態のポートbからLAG回線L21を介してレイヤ2スイッチ1bに送信する。このように、パケットは、現用回線のLAG回線L11に障害が発生すると、予備回線のLAG回線L21を介してレイヤ2スイッチ1bに到達する。
【0107】
レイヤ2スイッチ1bは、SBY状態のポートaが受信したパケットを、ポートeからIPL回線L31を介してレイヤ2スイッチ1aに送信する。このとき、レイヤ2スイッチ1bは、ポートaがSBY状態であるため、ACT状態のポートbを備えるレイヤ2スイッチ1aに送信する。
【0108】
しかし、レイヤ2スイッチ1aは、LAG回線L12が障害発生中であるため、ACT状態のポートbからパケットを送信することができず、また、IPL回線L31を介してレイヤ2スイッチ1bに送り返すこともできない。このため、レイヤ2スイッチ1aは、送信可能なポートa,b,eのないパケットを廃棄する(バツ印参照)。
【0109】
また、転送ネットワークNWから送信されたパケットは、レイヤ2スイッチ1e,1f,1bを経由する経路Reに沿ってレイヤ2スイッチ1aに到達する。ここで、パケットは、上記と同様に、現用回線のLAG回線L12が障害発生中であるため、予備回線のLAG回線L22を経由する。
【0110】
レイヤ2スイッチ1aは、レイヤ2スイッチ1bからIPL回線L31を介してパケットを受信するが、上記と同様に、送信可能なポートa,b,eがないため、パケットを廃棄する(バツ印参照)。
【0111】
レイヤ2スイッチ1bは、ポートa,bがSBY状態であるため、レイヤ2スイッチ1d,1fから受信したパケットを、ACT状態のポートa,bから送信されるように、IPL回線L31を介してレイヤ2スイッチ1aに送信する。なお、レイヤ2スイッチ1bは、LAG回線L11,L12の障害を検出することができない。
【0112】
そこで、実施例では、LAG回線L11,L12が障害発生中である場合、レイヤ2スイッチ1aのポートa,bがACT状態からSBY状態に切り替わり、レイヤ2スイッチ1bのポートa,bがSBY状態からACT状態に切り替わる。
【0113】
図15は、LAG回線L11,L12の障害が発生している場合のレイヤ2スイッチ1a~1fの動作の実施例を示す図である。図15において、図13と共通する構成には同一の符号を付し、その説明は省略する。
【0114】
レイヤ2スイッチ1aは、LAG回線L11,L12が障害発生中である場合、ポートa,bをACT状態からSBY状態に切り替え、冗長構成の相手方のレイヤ2スイッチ1bに対し、ポートa,bをSBY状態からACT状態に切り替える指示を含む制御パケットを送信する。レイヤ2スイッチ1bは、制御パケット内の指示に従ってポートa,bをSBY状態からACT状態に切り替える。
【0115】
これにより、レイヤ2スイッチ1bは、ACT状態のポートa,bが受信したパケットをACT状態のポートb,aから送信する。このとき、LAG回線L11,L12は現用回線から予備回線に切り替えられ、LAG回線L21,22は予備回線から現用回線に切り替えられる。
【0116】
したがって、パケットスイッチ85は、パケットが障害発生中のLAG回線L11,L12を迂回するように、LAG回線L21,L22を経由する経路Rfに沿って転送ネットワークNWとパケットを送受信することができる。よって、パケットスイッチ85と転送ネットワークNWは、LAG回線L11,L12の障害発生中でも通信を継続することができる。
【0117】
(状態切替部102の処理)
状態切替部102は、障害検出部104,105の検出結果に基づいてポートa,bをACT状態またはSBY状態に切り替える。さらに、状態切替部102は、冗長構成の相手方のレイヤ2スイッチ1bに対し、ポートa,bの状態の切り替えを指示する制御パケットをスイッチデバイス14及びポートeを介して送信する。レイヤ2スイッチ1bの状態切替部102は、制御パケット内の指示に従ってポートa,bをACT状態またはSBY状態に切り替える。なお、状態切替部102は切替部の一例である。
【0118】
図16は、状態切替部102の処理の一例を示すフローチャートである。本例では、レイヤ2スイッチ1aの状態切替部102の処理を例に挙げるが、他のレイヤ2スイッチ1bの状態切替部102もレイヤ2スイッチ1aと同様の処理を行う。
【0119】
状態切替部102は、LAG回線L12の障害の有無を障害検出部104の検出結果に基づき判定する(ステップSt31)。状態切替部102は、LAG回線L12に障害が発生していない場合(ステップSt31のNo)、処理を終了する。
【0120】
状態切替部102は、LAG回線L12が障害発生中である場合(ステップSt31のYes)、他のLAG回線L11の障害の有無を障害検出部105の検出結果に基づき判定する(ステップSt32)。状態切替部102は、LAG回線L11に障害が発生していない場合(ステップSt32のNo)、処理を終了する。
【0121】
状態切替部102は、LAG回線L11が障害発生中である場合(ステップSt32のYes)、LAG回線L11,L12に対応するポートa,b(該当ポート)がACT状態であるか否かを判定する(ステップSt33)。状態切替部102は、ポートa,bがSBY状態である場合(ステップSt33のNo)、処理を終了する。
【0122】
状態切替部102は、ポートa,bがACT状態である場合(ステップSt33のYes)、レイヤ2スイッチ1bに対してポートa,bをACT状態に切り替える指示を含む制御パケットを生成する(ステップSt34)。次に状態切替部102は、スイッチデバイス14を介してポートeから制御パケットをレイヤ2スイッチ1bに送信する(ステップSt35)。
【0123】
次に状態切替部102は、レイヤ2スイッチ1aのポートa,bをACT状態からSBY状態に切り替える(ステップSt36)。状態切替部102は、例えばスイッチデバイス14の設定を変更することによりポートa,bの状態を切り替える。ポートa,bがACT状態からSBY状態に切り替わることにより、LAG回線L11,L12は現用回線から予備回線に切り替わる。このようにして、状態切替部102は処理を実行する。
【0124】
図17は、制御パケットの受信時の状態切替部102の処理の一例を示すフローチャートである。レイヤ2スイッチ1bの状態切替部102は、ポートeが制御パケットを受信したか否かを判定する(ステップSt41)。状態切替部102は、制御パケットが未受信である場合(ステップSt41のNo)、処理を終了する。
【0125】
次に状態切替部102は、ポートeが制御パケットを受信している場合(ステップSt41のYes)、スイッチデバイス14から制御パケットを取得する(ステップSt42)。次に状態切替部102は、制御パケットに指示されたポートa,bをSBY状態からACT状態に切り替える(ステップSt43)。
【0126】
ポートa,bがSBY状態からACT状態に切り替わることにより、LAG回線L21,L22は予備回線から現用回線に切り替わる。このようにして、状態切替部102は処理を実行する。
【0127】
このように、レイヤ2スイッチ1aの状態切替部102は、障害検出部104,105が障害をそれぞれ検出したとき、LAG回線L11,L12を予備回線に切り替える。このとき、状態切替部102は、さらに、IPL回線L31を介して冗長構成の相手方のレイヤ2スイッチ1bに対し、LAG回線L21、L22を現用回線に切り替える指示を含む制御パケットを送信する。
【0128】
また、レイヤ2スイッチ1bの状態切替部102は、ポートeが受信した制御パケットの指示に従ってLAG回線L21,L22を現用回線に切り替える。
【0129】
このため、レイヤ2スイッチ1aが、障害発生中のLAG回線L11,L12にポートa,bからパケットを送信できない場合でも、冗長構成の相手方のレイヤ2スイッチ1bが、LAG回線L21,L22にポートa,bからパケットを送信することができる。したがって、LAG回線L11,L12の障害が発生した後も通信を継続することができる。
【0130】
これまで述べた通信方法によると、たすき掛けを省いてレイヤ2スイッチ1a~1fの組90~91同士のポートa,b間を接続した場合において、LAG回線L10~L13,L20~L23の障害に対するネットワークの脆弱性を改善することができる。したがって、レイヤ2スイッチ1a~1fにおいて、MC-LAGに用いられるポート数を低減することができる。
【0131】
上述した実施形態は本発明の好適な実施の例である。但し、これに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施可能である。
【0132】
なお、以上の説明に関して更に以下の付記を開示する。
(付記1) 他の通信装置と冗長構成された通信装置において、
前記他の通信装置の第1通信回線との間でリンクアグリゲーションを構成する第2通信回線を介してパケットを送信する第1ポートと、
前記他の通信装置の第3通信回線との間でリンクアグリゲーションを構成する第4通信回線を介してパケットを送受信する第2ポートと、
前記他の通信装置に第5通信回線を介してパケットを送信する第3ポートと、
前記第2ポートが受信したパケットを前記第1ポートまたは前記第3ポートに転送する転送処理部と、
前記第2通信回線の障害を検出する第1検出部と、
前記第5通信回線の障害を検出する第2検出部と、
前記第1検出部及び前記第2検出部が障害をそれぞれ検出したとき、前記第2ポートをシャットダウンするポート制御部とを有することを特徴とする通信装置。
(付記2) 前記転送処理部は、
前記第1検出部が障害を検出していないとき、前記第2ポートが受信したパケットを前記第1ポートに転送し、
前記第1検出部が障害を検出し、前記第2検出部が障害を検出していないとき、前記第2ポートが受信したパケットを前記第3ポートに転送することを特徴とする付記1に記載の通信装置。
(付記3) 他の通信装置と冗長構成された通信装置において、
前記他の通信装置の第1通信回線との間でリンクアグリゲーションを構成する第2通信回線を介してパケットを送受信する第1ポートと、
前記他の通信装置の第3通信回線との間でリンクアグリゲーションを構成する第4通信回線を介してパケットを送受信する第2ポートと、
前記他の通信装置と第5通信回線を介してパケットを送受信する第3ポートと、
前記第1ポート、前記第2ポート、及び前記第3ポートの間でパケットを転送する転送処理部と、
前記第2通信回線の障害を検出する第1障害検出部と、
前記第4通信回線の障害を検出する第2障害検出部と、
前記第1障害検出部及び前記第2障害検出部が障害をそれぞれ検出したとき、前記第2通信回線及び前記第4通信回線を予備回線に切り替え、前記第5通信回線を介して前記他の通信装置に対し、前記第1通信回線及び前記第3通信回線を現用回線に切り替える指示を含むパケットを送信する切替部とを有することを特徴とする通信装置。
(付記4) 冗長構成された第1通信装置及び第2通信装置と、冗長構成された第3通信装置及び第4通信装置とを有し、
前記第1通信装置は、
前記第2通信装置の第1通信回線との間でリンクアグリゲーションを構成する第2通信回線を介してパケットを送信する第1ポートと、
前記第2通信装置の第3通信回線との間でリンクアグリゲーションを構成する第4通信回線を介してパケットを送受信する第2ポートと、
前記第2通信装置に第5通信回線を介してパケットを送信する第3ポートと、
前記第2ポートが受信したパケットを前記第1ポートまたは前記第3ポートに転送する転送処理部と、
前記第2通信回線の障害を検出する第1検出部と、
前記第5通信回線の障害を検出する第2検出部と、
前記第1検出部及び前記第2検出部が障害をそれぞれ検出したとき、前記第2ポートをシャットダウンするポート制御部とを有し、
前記第3通信装置は、
前記第2ポートのシャットダウンを検出するシャットダウン検出部と、
前記第4通信回線を介して前記第2ポートにパケットを送信する第4ポートと、
第6通信回線を介して前記第4通信装置にパケットを送信する第5ポートと、
前記シャットダウン検出部が前記第2ポートのシャットダウンを検出していないとき、前記第4ポートにパケットを出力し、前記シャットダウン検出部が前記第2ポートのシャットダウンを検出したとき、前記第5ポートにパケットを出力するパケット出力部とを有し、
前記第4通信装置は、前記第3通信装置から前記第6通信回線を介してパケットを受信し、前記第3通信回線を介して前記第2通信装置に転送し、
前記第2通信装置は、前記第4通信装置から前記第3通信回線を介してパケットを受信し、前記第1通信回線に転送することを特徴とする通信システム。
(付記5) 前記転送処理部は、
前記第1検出部が障害を検出していないとき、前記第2ポートが受信したパケットを前記第1ポートに転送し、
前記第1検出部が障害を検出し、前記第2検出部が障害を検出していないとき、前記第2ポートが受信したパケットを前記第3ポートに転送することを特徴とする付記4に記載の通信装置。
(付記6) 冗長構成された第1通信装置及び第2通信装置を有し、
前記第1通信装置は、
前記第2通信装置の第1通信回線との間でリンクアグリゲーションを構成する第2通信回線を介してパケットを送受信する第1送受信ポートと、
前記第2通信装置の第3通信回線との間でリンクアグリゲーションを構成する第4通信回線を介してパケットを送受信する第2送受信ポートと、
前記第2通信装置と第5通信回線を介してパケットを送受信する第3送受信ポートと、
前記第1送受信ポート、前記第2送受信ポート、及び前記第3送受信ポートの間でパケットを転送する第1転送処理部と、
前記第2通信回線の障害を検出する第1障害検出部と、
前記第4通信回線の障害を検出する第2障害検出部と、
前記第1障害検出部及び前記第2障害検出部が障害をそれぞれ検出したとき、前記第2通信回線及び前記第4通信回線を予備回線に切り替え、前記第5通信回線を介して前記第2通信装置に対し、前記第1通信回線及び前記第3通信回線を現用回線に切り替える指示を含むパケットを送信する第1切替部とを有し、
前記第2通信装置は、
前記第1通信回線を介してパケットを送受信する第4送受信ポートと、
前記第3通信回線を介してパケットを送受信する第5送受信ポートと、
前記第1通信装置と前記第5通信回線を介してパケットを送受信する第6送受信ポートと、
前記第4送受信ポート、前記第5送受信ポート、及び前記第6送受信ポートの間でパケットを転送する第2転送処理部と、
前記第6送受信ポートが受信したパケットに含まれる前記指示に従って前記第2通信回線及び前記第4通信回線を現用回線に切り替える第2切替部とを有することを特徴とする通信システム。
(付記7) 通信装置の第1ポートが、前記通信装置と冗長構成された他の通信装置の第1通信回線との間でリンクアグリゲーションを構成する第2通信回線を介してパケットを送信し、
前記通信装置の第2ポートが、前記他の通信装置の第3通信回線との間でリンクアグリゲーションを構成する第4通信回線を介してパケットを送受信し、
前記通信装置の第3ポートが、前記他の通信装置に第5通信回線を介してパケットを送信し、
前記通信装置の転送処理部が、前記第2ポートで受信したパケットを前記第1ポートまたは前記第3ポートに転送し、
前記通信装置のポート制御部が、前記第2通信回線及び前記第5通信回線に障害がそれぞれ発生したとき、前記第2ポートをシャットダウンすることを特徴とする通信方法。
(付記8) 前記転送処理部は、
前記第2通信回線の障害が発生していないとき、前記第2ポートが受信したパケットを前記第1ポートに転送し、
前記第2通信回線の障害が発生し、前記第5通信回線の障害が発生していないとき、前記第2ポートが受信したパケットを前記第3ポートに転送することを特徴とする付記7に記載の通信方法。
(付記9) 通信装置の第1ポートが、前記通信装置と冗長構成された他の通信装置の第1通信回線との間でリンクアグリゲーションを構成する第2通信回線を介してパケットを送受信し、
前記通信装置の第2ポートが、前記他の通信装置の第3通信回線との間でリンクアグリゲーションを構成する第4通信回線を介してパケットを送受信し、
前記通信装置の第3ポートが、前記他の通信装置と第5通信回線を介してパケットを送受信し、
前記通信装置の転送処理部が、前記第1ポート、前記第2ポート、及び前記第3ポートの間でパケットを転送し、
前記通信装置の切替部が、前記第2通信回線及び前記第4通信回線に障害がそれぞれ発生したとき、前記第2通信回線及び前記第4通信回線を予備回線に切り替え、前記第5通信回線を介して前記他の通信装置に対し、前記第1通信回線及び前記第3通信回線を現用回線に切り替える指示を含むパケットを送信することを特徴とする通信方法。
【符号の説明】
【0133】
1a~1f レイヤ2スイッチ
10 CPU
14 スイッチデバイス
101 転送制御部
102 状態切替部
103 ポート制御部
104~106 障害検出部
a~e ポート
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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図17