(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-11
(45)【発行日】2023-01-19
(54)【発明の名称】充填包装機
(51)【国際特許分類】
B65B 9/087 20120101AFI20230112BHJP
B65B 39/12 20060101ALI20230112BHJP
B65B 57/00 20060101ALI20230112BHJP
【FI】
B65B9/087
B65B39/12
B65B57/00 H
(21)【出願番号】P 2018178536
(22)【出願日】2018-09-25
【審査請求日】2021-08-26
(73)【特許権者】
【識別番号】393027121
【氏名又は名称】シブヤパッケージングシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090169
【氏名又は名称】松浦 孝
(74)【代理人】
【識別番号】100124497
【氏名又は名称】小倉 洋樹
(72)【発明者】
【氏名】沢田 清
(72)【発明者】
【氏名】宝性 彰
(72)【発明者】
【氏名】今岡 範央
【審査官】佐藤 秀之
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-306444(JP,A)
【文献】特開2008-018981(JP,A)
【文献】特開平08-282635(JP,A)
【文献】特開2005-350123(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 9/00
B65B 3/00
B65B 35/00
B65B 39/00
B65B 41/00
B65B 57/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定間隔で認識部を有する帯状のウエブを繰出す繰出し手段と、
繰り出されたウエブを上方が開口した状態に2つ折りにする折り曲げ手段と、
回転体の周囲に複数設けられてウエブを挟持してウエブを所定間隔で幅方向にシールして袋部を形成するサイドシール手段と、
支持手段に取り付けられるとともに、下方に偏平部を有する充填シュートと、
前記支持手段を昇降させる昇降手段とを備え、
前記偏平部を前記袋部内に挿入しながら内容物を充填する充填包装機において
、
前記認識部を検出する認識部検出手段と、
前記認識部検出手段からの信号を受けて前記繰出し手段を制御する制御手段とを設け、
前記支持手段に設けられた揺動軸を前記充填シュートの側面中央部付近に連結することにより前記偏平部の前縁側を前記サイドシール手段によって把持されるウエブの搬送方向と交差する方向に揺動可能とするとともに、前記偏平部の後縁側を前記前縁側と逆方向に揺動可能とし、
前記充填シュートを下降させて前記偏平部を2つ折りにされたウエブの上方より挿入してから前記サイドシール手段によって袋部が形成されるまでの間に、前記繰出し手段によるウエブの繰出し量の変動に応じて前記偏平部の揺動角度を変更する
ことを特徴とする充填包装機。
【請求項2】
前記充填シュートを、前記支持手段に対して前記サイドシール手段によって把持されるウエブの搬送方向と交差する方向に付勢する付勢手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の充填包装機。
【請求項3】
前記充填シュートを、前記支持手段に対して前記サイドシール手段によって把持されるウエブの搬送方向と交差する方向に揺動させる駆動手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の充填包装機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、帯状のウエブを繰り出し、2つ折りにしてから所定間隔でサイドシールすることによって袋部を形成するとともに、各袋部内に上方から包装袋などの内容物を充填するロータリー型の充填包装機に関する。
【背景技術】
【0002】
ロータリー型の充填包装機では、繰り出された帯状のウエブを上方が開口した状態に2つ折りにし、回転体の外周に沿って所定間隔で設けられたシール部に掛け回して走行させ、シール部でウエブを挟持してヒートシールすることでウエブに袋部を形成する。また、回転体の外周に沿って配置されたホッパが各袋部内に挿入され、ホッパを介して内容物が各袋内に充填される。
【0003】
例えば、ウエブに印刷が施されている場合、ウエブ上の印刷位置と回転体において袋部が形成される位置(サイドシール位置)を常に適正に維持する必要がある。しかし、ウエブが繰り出される際に発生する負荷や、ウエブの製造誤差等により、ウエブ上の印刷位置と回転体におけるサイドシール位置の間にはずれが発生する。このような問題に対して、長尺フィルムに一定間隔で検出マークを付け、検出マークをモニタすることで、フィルムと回転体の間のずれを検出し、同検出に基づき長尺フィルムの繰り出し速度をパウダーブレーキで制御するとともに、袋部内に挿入される充填シュート(ホッパ)の筒状下部に、充填時に袋部内に位置し、かつ袋部に加わる張力に応じて外側から内側に向けて変形可能な変形部を設けることで、フィルムの回転体に対する位置ずれを調整する構成が提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1の構成は、充填シュート(ホッパ)の外面に変形部を取り付けているためその構造が複雑になるとともに、変形部の裏側は洗浄し難く、サニタリー性が悪化する。
【0006】
本発明は、サニタリー性に優れ、ウエブの位置ずれを調整可能な充填包装機を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の発明である充填包装機は、所定間隔で認識部を有する帯状のウエブを繰出す繰出し手段と、繰り出されたウエブを上方が開口した状態に2つ折りにする折り曲げ手段と、回転体の周囲に複数設けられてウエブを挟持してウエブを所定間隔で幅方向にシールして袋部を形成するサイドシール手段と、支持手段に取り付けられるとともに、下方に偏平部を有する充填シュートと、前記支持手段を昇降させる昇降手段とを備え、前記偏平部を前記袋部内に挿入しながら内容物を充填する充填包装機において、前記認識部を検出する認識部検出手段と、前記認識部検出手段からの信号を受けて前記繰出し手段を制御する制御手段とを設け、前記支持手段に設けられた揺動軸を前記充填シュートの側面中央部付近に連結することにより前記偏平部の前縁側を前記サイドシール手段によって把持されるウエブの搬送方向と交差する方向に揺動可能とするとともに、前記偏平部の後縁側を前記前縁側と逆方向に揺動可能とし、前記充填シュートを下降させて前記偏平部を2つ折りにされたウエブの上方より挿入してから前記サイドシール手段によって袋部が形成されるまでの間に、前記繰出し手段によるウエブの繰出し量の変動に応じて前記偏平部の揺動角度を変更することを特徴としている。
【0008】
本発明の第2の発明である充填包装機は、第1の発明において、前記充填シュートを、前記支持手段に対して前記サイドシール手段によって把持されるウエブの搬送方向と交差する方向に付勢する付勢手段を備えることを特徴としている。
【0009】
本発明の第3の発明である充填包装機は、前記充填シュートを、前記支持手段に対して前記サイドシール手段によって把持されるウエブの搬送方向と交差する方向に揺動させる駆動手段を備えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、サニタリー性に優れ、ウエブの位置ずれを調整可能な充填包装機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態である充填包装機の斜視図である。
【
図3】ウエブに付されたマーク検出用のセンサおよび充填ホイールのエンコーダを用いた繰出しモータの制御ブロック図である。
【
図5】充填シュートと支持部材の周辺の構成を拡大して示す拡大側面図である。
【
図6】袋部に挿入された充填シュートの先端部とウエブWの位置関係を示す水平断面図である。
【
図7】袋部に挿入された充填シュートの先端部とウエブWの位置関係を示す水平断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態である充填包装機の斜視図であり、
図2は、
図1の充填包装機の平面図である。
【0013】
本実施形態の充填包装機10は、長尺帯状のウエブ(帯状フィルム)Wを上方が開口した状態に2つ折りにして繰り出すウエブ繰出し装置(折り曲げ手段、繰出し手段)12と、繰り出されたウエブWが掛け回され、走行方向に沿って所定間隔でサイドシールを施し袋部Bを形成するとともに、充填物を袋部Bの上部開口部から投入する充填ホイール14とを備える。充填ホイール14から繰り出されたウエブWは、案内ローラ16を介して袋部Bの上部開口部をシールするトップシール装置18を介してカッタ19に送ら出され、ウエブWは各サイドシール部S1で切断され、個別の袋部Bに分離される。なお、トップシール装置18は、ウエブWのトップシール部S2に予熱を与えるトップシール予熱部18Aと予熱が与えられたトップシール部S2を熱圧着ローラ18Bによりシールする。
【0014】
ウエブ繰出し装置12において、ウエブWは原反ロール12Aから繰出しモータ12Bにより回転駆動される繰出しローラ12Cにより繰り出され、例えば複数の案内ローラ12Dを介して水平にされるとともに、長手方向に沿って上向きに二つ折りにされて充填ホイール14へと供給される。充填ホイール14は垂直軸周りに回転され、充填ホイール14には、回転体の外周に沿って一定の間隔で多数のサイドシール装置(サイドシール手段)20が設けられる。上方が開口した状態に2つ折りにされたウエブWは、一定速度で回転される充填ホイール14の周囲に配置されたサイドシール装置20に掛け回され、下流側において案内ローラ16を介して充填ホイール14から離接されてトップシール装置18へと送り出される。充填ホイール14の回転は図示しない回転モータにより駆動される。
【0015】
図3のブロック図に示されるように、ウエブWには、長手方向に沿って所定の間隔で認識部としての位置検出用のマークMが付され、ウエブ繰出し装置12には、搬送されるウエブWのマークMの通過を検出するセンサ22が設けられる。センサ22は、繰出しローラ12Cから最下流の案内ローラ12Dに到るまでのウエブWの搬送経路に沿った所定の位置に配置される。また、充填ホイール14には、その回転速度を検出するための例えばエンコーダ24が設けられる。センサ22で検出されるマーク検出信号およびエンコーダ24から信号は、制御装置26に入力され、制御装置26は、センサ22からのマーク検出信号とエンコーダ24からの信号に基づき、後述する位置ズレ調整処理における繰出しモータ12Bの駆動を制御する。
【0016】
次に
図1、
図2および
図4の充填ホイール14の縦断面図を参照して、本実施形態の充填ホイール14の構成についてより詳細に説明する。
【0017】
充填ホイール14の回転体は、円盤状のベース盤140を備え、ベアリング141を介して固定軸142周りに回転自在に取り付けられる。ベース盤140は、図示しない駆動機構により、所定の速度で回転される。ベース盤140の周囲には、その外周に沿って二つ折りにされた内袋ウエブWが掛けられる複数のサイドシール装置20が一定の間隔で外周に沿って配置される。
【0018】
サイドシール装置20は、ベース盤140から上向きに直立する固定シールバー20Aと、固定シールバー20Aの外側に位置し、その基端部はベース盤140の外周縁に軸支される揺動シールバー20Bとを備える。揺動シールバー20Bは、その先端を径方向外側に向けた横臥状態と、上向きに直立して固定シールバー20Aに押し当てられる起立状態との間で揺動可能である。揺動シールバー20Bの基端部を中心とする回動は、揺動シールバー20Bを回動するための回動レバー26の先端に設けられたカムフォロワ28Aとカム溝28Bとの係合により制御される。
【0019】
ウエブWは、固定シールバー20Aに押し当てられた状態で走行され、揺動シールバー20Bが起立して、ウエブWを挟んで固定シールバー20Aに押し当てられると、二つ折りにより重ねられたウエブWは、固定シールバー20Aと揺動シールバー20Bの間に挟まれて溶着され、サイドシールが施される。
図4では、左側に横臥状態の揺動シールバー20Bが示され、右側には起立状態の揺動シールバー20Bが示される。
【0020】
サイドシール装置20の上方にあって、2つのサイドシール装置20の間には、それぞれ充填シュート30が配置される。各充填シュート30は、充填シュート30を昇降および垂直軸周りに回動させるシュート駆動機構(昇降手段)32によって支持される。シュート駆動機構32は、ベース盤140の周に沿って充填シュート30毎に設けられる。シュート駆動機構32は、ベース盤140に対して昇降自在かつ回転自在に保持される鉛直方向に延在するロッド32Aを備え、ロッド32Aの上端には、支持部材(支持手段)32Bが一体的に設けられる。充填シュート30は、支持部材32Bの先端において垂直軸周りに軸支される。
【0021】
ロッド32Aの下端には、ロッド32Aに対して回転自在な回転部材33を介して昇降カムフォロワ34Aが設けられる。昇降カムフォロワ34Aは、充填ホイール14の全周に沿って設けられた昇降カム34Bと係合してロッド32Aを昇降する。また、ロッド32Aには、レバー保持部35がスプライン係合し、レバー保持部35には、ロッド32Aを回動するためのレバー36Aが取り付けられる。レバー36Aの先端には揺動カムフォロワ36Bが設けられ、充填ホイール14の全周に沿って設けられる揺動カム36Cに係合する。
【0022】
充填ホイール14、すなわちベース盤140が固定軸142周りに回転されると各ロッド32Aは、充填ホイール14の外周に沿って一体的に移動され、昇降カム34Bに係合する昇降カムフォロワ34Aおよび揺動カム36Cに係合する揺動カムフォロワ36Bがカム面に沿って移動される。これにより、ロッド32Aは、昇降カム34B、揺動カム36Cの形状に従って昇降・回転される。すなわち、支持部材32Bの先端に取り付けられた充填シュート30は、ロッド32Aとともに昇降されるとともに所定の区間でロッド32Aを中心に揺動されることでウエブWの間に挿入され、ウエブWの間から取り出される。
図4では、左側に充填シュート30が上昇された状態(退避位置)が示され、右側には充填シュート30が下降された状態(挿入位置)が示される。上昇され退避位置にある充填シュート30は、サイドシール間に張設されたウエブWよりも上方に位置し、下降され挿入位置にある充填シュート30の先端部30Aは、ウエブWに形成された袋部B内に挿入される。
【0023】
図5は、充填シュート30と支持部材32Bの周辺の構成を拡大して示す拡大側面図である。充填シュート30の側面には、充填シュート30を保持するブロック40Aが取り付けられ、ブロック40Aは垂直な揺動軸40Bを介して支持部材32Bの先端に軸支される。揺動軸40Bの周囲にはトーションスプリング(付勢手段)40Cが巻回され、その一端はブロック40Aに係止され、他端は支持部材32Bに係止される。トーションスプリング40Cは、充填シュート30を揺動軸40B周りに回転付勢し、この回転付勢力による充填シュート30の回転は、支持部材32Bに設けられたストッパ40Dにブロック40Aが係止されることで所定の範囲に規制される。本実施形態では、充填シュート30は上面視において時計回りに付勢されるが、反時計回りに回転付勢してもよい。
【0024】
充填シュート30の上方には、袋部B内に充填する充填物が貯留されたタンク38が配置され、タンク38の下面にはタンク内の充填物を各充填シュート30へと案内する充填ノズル38Aが各々設けられる。サイドシール装置20による袋部Bの形成(両側シール部S1の溶着)は、
図2におけるシール区間A1において行われ、これに続く充填区間A2において袋部Bへの充填作業が行われる。
【0025】
すなわち、充填シュート30は、2つ折りにされたウエブWが最初のサイドシール装置20に掛け回され、ウエブWが固定シールバー20Aと揺動シールバー20Bの間に挟まれる当接位置P1(
図2参照)の手前において挿入位置まで下降される。すなわち、2つ折りされつつある未だ開いた状態のウエブWの上部開口部からその間に挿入される。なお、ウエブWの間に充填シュート30を挿入するこの区間において、充填シュート30は、充填ホイール14の接線方向に沿って搬送されるウエブWに沿うように、ロッド32Aの回転により径方向外側へと押し出される。
【0026】
2つ折りにされたウエブWの間に挿入された充填シュート先端部30Aの後縁側がサイドシール装置20により挟持されるとシール区間A1が開始され、同区間において各充填シュート先端部30Aの前後挟むウエブWの両側のシール部S1がサイドシール装置20により加熱され溶着される。充填区間A2ではタンク38内から充填物が充填ノズル38Aへと供給され、充填物は充填シュート30内を落下して袋部Bに投入される。充填作業は充填区画A2において完了し、充填区画A2を過ぎると充填シュート30は退避位置まで上昇され、ウエブWがサイドシール装置20から離接する離接位置P2(
図2参照)に達するまでの間に袋部Bから抜き取られ、元のウエブWよりも高い位置へと戻される。
【0027】
次に
図6、
図7を参照して、本実施形態の位置ズレ調整処理および充填シュート30の動きについて説明する。なお、
図6、
図7は、袋部Bに挿入された充填シュート30の先端部30AとウエブWの位置関係を示す水平断面図である。
【0028】
図6、
図7に示されるように、充填シュート先端部30Aは偏平な水平断面形状を有する筒状部材
(偏平部)として構成され、本実施形態では長円形とされる。充填シュート30が退避位置にあり、充填シュート先端部30AがウエブWと接触していないとき、充填シュート30はトーションスプリング40Cの回転付勢力により時計回りに付勢され、ブロック40Aがストッパ40Dに係止するまで傾けられる。このとき充填シュート先端部30Aは、長円形の長軸方向Xの充填ホイール14の接線方向(サイドシール装置によって把持されるウエブの搬送方向)Tに対する傾斜角度(水平面内においてTと交差する方向の角度)αが最大角度θとなるまで傾けられる。なお、
図6、
図7では、充填ホイール14の半径方向が直線Rとして示される。
【0029】
図6には、充填シュートの先端部30Aがトーションスプリング40Cの回転付勢力(トルク)Qsにより揺動軸40B周りに揺動され、ブロック40Aがストッパ40Dに係止された状態、すなわち接線方向Tに対してにα=θ傾けられた状態が示される。充填シュートの先端部30Aは、この状態で、すなわち接線方向Tに対して角度θ傾けられた状態で2つ折りにされたウエブWの間に上方から挿入され、充填ホイール14の回転とともにウエブWの張力Fによりトーションスプリング40Cに抗する回転力(
図6において反時計回りの力)Qtが掛かる。これにより、充填シュート先端部30Aは、回転力Qtと回転付勢力Qsが釣り合うように、傾斜角度αが小さくなる方向(反時計回り)に回転される。
【0030】
センサ22によるウエブWのマークMの検出のタイミングとエンコーダ24によって検出される充填ホイール14の回転のタイミングが合致する場合には、基準速度で回転する充填ホイール14に対して基準速度でウエブWがウエブ繰出し装置12から基準の送り量(長さ)のウエブWが繰り出される。上方からウエブWの間に傾斜角度θで挿入された充填シュート先端部30Aは、サイドシール装置20によって袋部Bが形成されるまでの間に、ウエブWからの外力により反時計方向に傾斜角度αが基準角度θ0(0<θ0<θ)になるまで回転され、ウエブWの張力Fは基準張力F0に維持される(F≒F0)。
【0031】
一方、センサ22によるマークMの検出のタイミングがエンコーダ24によって検出される充填ホイール14の回転のタイミングが正常の状態よりも速くなったときには、前述したように制御装置26(
図3参照)によって繰出しモータ12Bが減速され、ウエブWの繰り出し量(長さ)が低減される。基準の送り量(長さ)よりもウエブWの繰り出し量が小さいと、ウエブ繰出し装置12と当接位置P1の間のウエブWの長さが短くなる。そのため、上方からウエブWの間に傾斜角度θで挿入された充填シュート先端部30Aは、サイドシール装置20によって袋部Bが形成されるまでの間に、ウエブWからの外力によりサイドシール装置20間に架け渡されるウエブWの長さが短くなるように反時計方向に傾斜角度α=θ
A(0<θ
A<θ
0)まで回転される。これにより基準の送り量よりも短い長さで繰り出されたウエブWの不足分は、充填シュート先端部30Aの回転により吸収されマークMの位置が適正な位置に調整され、ウエブWの張力Fは基準張力F
0に維持される(F≒F
0)。
【0032】
また、センサ22によるマークMの検出のタイミングがエンコーダ24によって検出される充填ホイール14の回転のタイミングが、正常な状態よりも遅くなたときには、制御装置26(
図3参照)は繰出しモータ12Bを増速してウエブWの繰り出し量(長さ)を増大する。基準の送り量(長さ)よりもウエブWの繰り出し量が大きいと、ウエブ繰出し装置12と当接位置P1の間のウエブWの長さが長くなる。そのため、上方からウエブWの間に傾斜角度θで挿入された充填シュート先端部30Aは、サイドシール装置20によって袋部Bが形成されるまでの間に、ウエブWからの外力によりサイドシール装置20間に架け渡されるウエブWの長さが長くなるように反時計方向に傾斜角度α=θ
B(θ
0<θ
B<θ)まで回転される。これにより基準の送り量よりも長い長さで繰り出されたウエブWの余剰分は、充填シュート先端部30Aの回転により吸収されマークMの位置が適正な位置に調整され、ウエブWの張力Fは基準張力F
0に維持される(F≒F
0)。
【0033】
以上のように、本実施形態によれば、充填シュートの外面に変形部を取り付けることなくウエブの位置ずれを調整できるため、洗浄性が高くサニタリー性に優れた填包装機を提供することができる。
【0034】
本実施形態において充填シュート先端部の断面形状は長円であったが、楕円や長方形、三角形など支持アームに対して充填シュートを揺動させることで、隣り合うサイドシール装置間に架け渡されるウエブの長さを変更できる形状であれば長円に限定されるものではない。
【0035】
本実施形態では、トーションスプリングを使用して充填シュートに回転付勢力を与え、ウエブの繰り出し量(長さ)の違いを、回転付勢力による充填シュート先端部の傾斜角度の調整により吸収し、ウエブと充填ホイールとの間のズレ量を補正したが、ウエブと充填ホイールとの間のズレ量を検出し、充填シュートをサーボモータなどの駆動手段を用いて検出されたズレ量分回転させることでズレ量を補正する構成としてもよい。
【符号の説明】
【0036】
10 充填包装機
12 ウエブ繰出し装置
14 充填ホイール
20 サイドシール装置(サイドシール手段)
22 センサ
24 エンコーダ
26 制御装置
30 充填シュート
30A 充填シュート先端部
32 シュート駆動機構(昇降手段)
32B 支持部材(支持手段)
38 タンク
38A 充填ノズル
40C トーションスプリング(付勢手段)
40B 揺動軸
140 ベース盤(回転体)
A1 シール区間
A2 充填区間
B 袋部
M マーク(認識部)
R 半径方向
S1 サイドシール部
T 接線方向
W ウエブ
X 長軸方向
α 傾斜角度
θ 最大角度