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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-11
(45)【発行日】2023-01-19
(54)【発明の名称】組立式仮設階段
(51)【国際特許分類】
   E04G 27/00 20060101AFI20230112BHJP
【FI】
E04G27/00
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019108586
(22)【出願日】2019-06-11
(65)【公開番号】P2020200680
(43)【公開日】2020-12-17
【審査請求日】2021-11-09
(73)【特許権者】
【識別番号】395002098
【氏名又は名称】平和技研株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090697
【弁理士】
【氏名又は名称】中前 富士男
(74)【代理人】
【識別番号】100176142
【弁理士】
【氏名又は名称】清井 洋平
(74)【代理人】
【識別番号】100127155
【氏名又は名称】来田 義弘
(72)【発明者】
【氏名】内橋 幹雄
【審査官】佐藤 史彬
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-100986(JP,A)
【文献】英国特許出願公開第02426029(GB,A)
【文献】特開2001-349052(JP,A)
【文献】実開昭62-187143(JP,U)
【文献】特開2014-062374(JP,A)
【文献】特開昭64-039466(JP,A)
【文献】実開平05-047228(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G 27/00
E04G 5/10
E04G 7/32
E04F 11/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建設現場の足場に設置される組立式仮設階段であって、
左右一対の本体フレームと、該各本体フレームの先側に回動可能に取付けられ前記足場の支柱に着脱可能に固定されるクランプ部と、前記左右一対の本体フレームの間に着脱可能に取付けられる複数の踏み板とを有し、
前記各本体フレームは、上辺部と、該上辺部と平行に配置された下辺部と、長手方向の一端側が前記上辺部の内側部に回動可能に連結され長手方向の他端側が前記下辺部の内側部に回動可能に連結された複数の連結片とを有して、接地面に対して傾斜角度が可変とされ、
前記各踏み板は、平面視して長方形状の踏み板本体と、該踏み板本体の各短辺の中央下部に設けられ該踏み板本体の下方に突出したくさび形突起部とを有し、
前記各連結片の長手方向の中央部には筒型に形成され前記各くさび形突起部挿抜可能に保持されて前記各踏み板を水平に支持する踏み板取付部が形成されていることを特徴とする組立式仮設階段。
【請求項2】
請求項記載の組立式仮設階段であって、前記各本体フレームに着脱可能に取付けられる1又は複数の手摺り部を有することを特徴とする組立式仮設階段。
【請求項3】
請求項記載の組立式仮設階段であって、前記各手摺り部は、前記各本体フレームと平行に配置される手摺り本体と、該手摺り本体の長手方向の一側及び他側にそれぞれの上端側が回動可能に連結された一対の支持体と、該各支持体の下端側にそれぞれ設けられた下端装着部とを有し、前記各本体フレームは、該各下端装着部が着脱可能に装着されて前記各支持体を垂直に支持する支持体取付部を有することを特徴とする組立式仮設階段。
【請求項4】
請求項記載の組立式仮設階段であって、前記各下端装着部は、前記各支持体の下方に突出したくさび状突起を有し、前記各支持体取付部は、長手方向の一端側が前記上辺部の外側部に回動可能に連結され、長手方向の他端側が前記下辺部の外側部に回動可能に連結されており、長手方向の中央部に前記くさび状突起が挿抜可能に保持される筒型支持部が形成されていることを特徴とする組立式仮設階段。
【請求項5】
建設現場の足場に設置される組立式仮設階段であって、
左右一対の本体フレームと、該各本体フレームの先側に回動可能に取付けられ前記足場の支柱に着脱可能に固定されるクランプ部と、前記各本体フレームに着脱可能に取付けられる1又は複数の手摺り部と、前記左右一対の本体フレームの間に着脱可能に取付けられる複数の踏み板とを有し、
前記各手摺り部は、前記各本体フレームと平行に配置される手摺り本体と、該手摺り本体の長手方向の一側及び他側にそれぞれの上端側が回動可能に連結された一対の支持体と、該各支持体の下端側にそれぞれ設けられ該各支持体の下方に突出したくさび状突起を備えた下端装着部とを有し、
前記各本体フレームは、上辺部と、該上辺部と平行に配置された下辺部と、長手方向の一端側が前記上辺部の内側部に回動可能に連結され長手方向の他端側が前記下辺部の内側部に回動可能に連結された複数の連結片と、前記各下端装着部が着脱可能に装着されて前記各支持体を垂直に支持する支持体取付部とを有して、接地面に対して傾斜角度が可変とされ、
前記各支持体取付部は、長手方向の一端側が前記上辺部の外側部に回動可能に連結され、長手方向の他端側が前記下辺部の外側部に回動可能に連結されており、長手方向の中央部に前記くさび状突起が挿抜可能に保持される筒型支持部が形成され、
前記各踏み板は、平面視して長方形状の踏み板本体と、該踏み板本体の各短辺の中央下部に設けられた装着部とを有し、
前記各連結片の長手方向の中央部には前記各装着部が着脱可能に装着されて前記各踏み板を水平に支持する踏み板取付部が形成されていることを特徴とする組立式仮設階段。
【請求項6】
請求項3~5のいずれか1記載の組立式仮設階段であって、前記各手摺り部は、前記一対の支持体の間を連結する補強部を有することを特徴とする組立式仮設階段。
【請求項7】
請求項6記載の組立式仮設階段であって、前記補強部は、長手方向の一端側が前記各支持体の長手方向の途中に回動可能に保持された第1、第2のリンク部材と、長手方向の両端部が前記第1、第2のリンク部材の長手方向の他端側に回動可能に連結された連結部材とを有することを特徴とする組立式仮設階段。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1記載の組立式仮設階段であって、前記左右一対の本体フレームの基側に回動可能に保持された接地部を有することを特徴とする組立式仮設階段。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築現場等において、作業者が地上と足場との間を移動するために設置される組立式仮設階段に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に建築現場等では、足場を組んで作業を行うが、作業者が地上と足場との間を移動するための階段が必要となる。
例えば、特許文献1には、左右一対の側けたを一組とする二組の支持体を互いに平行に配し、両支持体を支持体の長手方向に等間隔おきに設けた複数の踏み板で連結して梯子状に形成すると共に、踏み板は左右側けた間に回転自在に枢支して、両支持体が互いに長手方向に平行移動可能に構成してある仮設階段が開示されている。
また、特許文献2には、断面ほぼ門字形に折曲げられた金属踏み板の複数と、その左右両側片へ各々ほぼΩ形のサドル金具を介して密着状態に組付け一体化される金属単管桁の左右一対とから成り、各サドル金具の第1連通長孔から各金属踏み板のセンターボルト受け入れ孔へ差し込むセンターボルトと、同じく各サドル金具の第2連通長孔から各金属踏み板における複数組の角度調整ボルト受け入れ孔へ択一的に差し込む角度調整ボルトとの一対ずつによって、その各金属踏み板と組み付けられる金属単管桁の設置傾斜角度を大小調整できるように定めた仮設階段が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平8&#8722;128190号公報
【文献】特開2011-241560号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の仮設階段は、踏み板を回動させて二組の支持体を長手方向に平行移動することにより、支持体の傾斜角度を変化させることができ、仮設階段の設置角度を選択することができる。しかし、踏み板が左右側けた間に回転自在に枢支されており、分解不能な構造であるため、保管時及び搬送時の省スペース性に欠けるという課題がある。また、重量も重く、搬送、設置、及び回収等の作業を行う際に人手が必要となり、取扱い性に欠けるという課題がある。
特許文献2の仮設階段は、各サドル金具の第1連通長孔から各金属踏み板のセンターボルト受け入れ孔へ差し込むセンターボルトと、各サドル金具の第2連通長孔から各金属踏み板における複数組の角度調整ボルト受け入れ孔へ択一的に差し込む角度調整ボルトによって、各金属踏み板と、各サドル金具を介して各金属踏み板に組み付けられる金属単管桁の設置傾斜角度を調整することができる。しかし、各金属踏み板と金属単管桁の設置傾斜角度を調整するためには、各金属踏み板のセンターボルトを緩めた状態で各金属踏み板を回動させ、左右の複数組の角度調整ボルト受け入れ孔の中から、それぞれ同一角度位置にある角度調整ボルト受け入れ孔を選択して角度調整ボルトを差込み、固定ナットを締結しなければならず、角度調整に手間がかかるという課題がある。また、各金属踏み板がセンターボルトと角度調整ボルトによりサドル金具を介して金属単管桁に固定されるので、各部を分解することは可能であるが、部品点数が多く、組立及び分解の作業が煩雑で、設置及び回収に手間がかかるという課題がある。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたもので、部品点数が少なく、組立及び分解に手間がかからず、短時間で設置及び回収を行うことができ、使用時以外は分解して簡単に搬送することが可能で、保管時の省スペース性に優れる組立式仮設階段を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的に沿う第1の発明に係る組立式仮設階段は、建設現場の足場に設置される組立式仮設階段であって、
左右一対の本体フレームと、該各本体フレームの先側に回動可能に取付けられ前記足場の支柱に着脱可能に固定されるクランプ部と、前記左右一対の本体フレームの間に着脱可能に取付けられる複数の踏み板とを有し、
前記各本体フレームは、上辺部と、該上辺部と平行に配置された下辺部と、長手方向の一端側が前記上辺部の内側部に回動可能に連結され長手方向の他端側が前記下辺部の内側部に回動可能に連結された複数の連結片とを有して、接地面に対して傾斜角度が可変とされ、
前記各踏み板は、平面視して長方形状の踏み板本体と、該踏み板本体の各短辺の中央下部に設けられ該踏み板本体の下方に突出したくさび形突起部とを有し、
前記各連結片の長手方向の中央部には筒型に形成され前記各くさび形突起部挿抜可能に保持されて前記各踏み板を水平に支持する踏み板取付部が形成されている。
【0006】
【0007】
第1の発明に係る組立式仮設階段において、前記各本体フレームに着脱可能に取付けられる1又は複数の手摺り部を有することができる。
【0008】
第1の発明に係る組立式仮設階段において、前記各手摺り部は、前記各本体フレームと平行に配置される手摺り本体と、該手摺り本体の長手方向の一側及び他側にそれぞれの上端側が回動可能に連結された一対の支持体と、該各支持体の下端側にそれぞれ設けられた下端装着部とを有し、前記各本体フレームは、該各下端装着部が着脱可能に装着されて前記各支持体を垂直に支持する支持体取付部を有することが好ましい。
【0009】
第1の発明に係る組立式仮設階段において、前記各下端装着部は、前記各支持体の下方に突出したくさび状突起を有し、前記各支持体取付部は、長手方向の一端側が前記上辺部の外側部に回動可能に連結され、長手方向の他端側が前記下辺部の外側部に回動可能に連結されており、長手方向の中央部に前記くさび状突起が挿抜可能に保持される筒型支持部が形成されていることが更に好ましい。
【0010】
前記目的に沿う第2の発明に係る組立式仮設階段は、建設現場の足場に設置される組立式仮設階段であって、
左右一対の本体フレームと、該各本体フレームの先側に回動可能に取付けられ前記足場の支柱に着脱可能に固定されるクランプ部と、前記各本体フレームに着脱可能に取付けられる1又は複数の手摺り部と、前記左右一対の本体フレームの間に着脱可能に取付けられる複数の踏み板とを有し、
前記各手摺り部は、前記各本体フレームと平行に配置される手摺り本体と、該手摺り本体の長手方向の一側及び他側にそれぞれの上端側が回動可能に連結された一対の支持体と、該各支持体の下端側にそれぞれ設けられ該各支持体の下方に突出したくさび状突起を備えた下端装着部とを有し、
前記各本体フレームは、上辺部と、該上辺部と平行に配置された下辺部と、長手方向の一端側が前記上辺部の内側部に回動可能に連結され長手方向の他端側が前記下辺部の内側部に回動可能に連結された複数の連結片と、前記各下端装着部が着脱可能に装着されて前記各支持体を垂直に支持する支持体取付部とを有して、接地面に対して傾斜角度が可変とされ、
前記各支持体取付部は、長手方向の一端側が前記上辺部の外側部に回動可能に連結され、長手方向の他端側が前記下辺部の外側部に回動可能に連結されており、長手方向の中央部に前記くさび状突起が挿抜可能に保持される筒型支持部が形成され、
前記各踏み板は、平面視して長方形状の踏み板本体と、該踏み板本体の各短辺の中央下部に設けられた装着部とを有し、
前記各連結片の長手方向の中央部には前記各装着部が着脱可能に装着されて前記各踏み板を水平に支持する踏み板取付部が形成されている。
第1、第2の発明に係る組立式仮設階段において、前記各手摺り部は、前記一対の支持体の間を連結する補強部を有することができる。
【0011】
第1、第2の発明に係る組立式仮設階段において、前記補強部は、長手方向の一端側が前記各支持体の長手方向の途中に回動可能に保持された第1、第2のリンク部材と、長手方向の両端部が前記第1、第2のリンク部材の長手方向の他端側に回動可能に連結された連結部材とを有することが好ましい。
【0012】
第1、第2の発明に係る組立式仮設階段において、前記左右一対の本体フレームの基側に回動可能に保持された接地部を有することが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
第1、第2の発明に係る組立式仮設階段は、クランプ部により、簡単かつ確実に足場と各本体フレームを連結することができ、クランプ部を支柱に固定する際の高さに応じて各本体フレームの傾斜角度を変更することができる。また、踏み板を取外すことにより、左右一対の本体フレームを分離して簡単に搬送及び保管を行うことができる。上辺部と下辺部の平行を保ちながら各連結片を回動させ、上辺部と下辺部を相対的にスライドさせることにより、上辺部と下辺部との間隔を変更することができ、各本体フレームの傾斜角度に関わらず、各連結片が接地面と平行になるようにして、各踏み板を水平に支持することができる。平面視して長方形状の踏み板本体の各短辺の中央下部に設けられた装着部が、連結片の長手方向の中央部に形成された踏み板取付部に着脱可能に装着されるので、踏み板の着脱が容易で、設置安定性にも優れる。
【0014】
第1の発明に係る組立式仮設階段各踏み板が、踏み板本体の下方に突出したくさび形突起部を有し、踏み板取付部が、くさび形突起部が挿抜可能に保持される筒型に形成されているので、踏み板の着脱を極めて簡単に行うことができるだけでなく、踏み板が傾くことがなく安全性にも優れる。
【0015】
第2の発明に係る組立式仮設階段、各本体フレームに着脱可能に取付けられる1又は複数の手摺り部を有するので、作業者の移動時の安全性に優れる。
【0016】
第2の発明に係る組立式仮設階段、各手摺り部が、各本体フレームと平行に配置される手摺り本体と、手摺り本体の長手方向の一側及び他側にそれぞれの上端側が回動可能に連結された一対の支持体と、各支持体の下端側にそれぞれ設けられた下端装着部とを有し、各本体フレームが、各下端装着部が着脱可能に装着されて各支持体を垂直に支持する支持体取付部を有するので、手摺り部の着脱が容易で、各本体フレームの傾斜角度に応じて、手摺り本体を各本体フレームと平行に配置することができ、取扱い性に優れる。
【0017】
第2の発明に係る組立式仮設階段、各下端装着部が、各支持体の下方に突出したくさび状突起を有し、各支持体取付部が、長手方向の一端側が上辺部の外側部に回動可能に連結され、長手方向の他端側が下辺部の外側部に回動可能に連結されており、長手方向の中央部にくさび状突起が挿抜可能に保持される筒型支持部が形成されているので、手摺り部の着脱を極めて簡単に行うことができるだけでなく、支持体が傾くことなく手摺り本体を所定の位置に保持することができ、安全性に優れる。
【0018】
第1、第2の発明に係る組立式仮設階段において、各手摺り部が、一対の支持体の間を連結する補強部を有する場合、手摺り部の形態安定性を向上させることができると共に、作業者の落下を効果的に防止することができる。
【0019】
第1、第2の発明に係る組立式仮設階段において、補強部が、長手方向の一端側が各支持体の長手方向の途中に回動可能に保持された第1、第2のリンク部材と、長手方向の両端部が第1、第2のリンク部材の長手方向の他端側に回動可能に連結された連結部材とを有する場合、本体フレームの傾斜角度に応じて各支持体の上下方向位置が変化しても、連結部材を回動させて対応することができ、汎用性に優れる。
【0020】
第1、第2の発明に係る組立式仮設階段において、左右一対の本体フレームの基側に回動可能に保持された接地部を有する場合、本体フレームの傾斜角度に関わらず、本体フレームの基側を接地部で確実に支持することができ、本体フレームの設置安定性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の第1の実施の形態に係る組立式仮設階段を示す側面図である。
図2】同組立式仮設階段の本体フレームに踏み板を装着した状態を示す平面図である。
図3】同組立式仮設階段の本体フレームに踏み板を装着した状態を示す正面図である。
図4図3のA-A線断面図である。
図5図4のB-B線断面図である。
図6】本発明の第2の実施の形態に係る組立式仮設階段を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
図1図5に示す本発明の第1の実施の形態に係る組立式仮設階段10は、建築現場等において、作業者が接地面11となる地上(地面)と足場との間を移動するために設置されるものである。
図1図4に示すように、組立式仮設階段10は、左右一対の本体フレーム12a、12bと、各本体フレーム12a、12bの先側に回動可能に取付けられ足場の支柱13に着脱可能に固定されるクランプ部14と、左右一対の本体フレーム12a、12bの間に着脱可能に取付けられる複数(ここでは8個)の踏み板15とを有している。本体フレーム12a、12bは、正面視して左右対称に対向配置される。
そして、各本体フレーム12a、12bは、角パイプで形成された上辺部16a、16bと、上辺部16a、16bと平行に配置された平板状の下辺部17a、17bと、長手方向の一端側が上辺部16a、16bの内側部に回動可能に連結され長手方向の他端側が下辺部17a、17bの内側部に回動可能に連結された複数の連結片18とを有している。
【0023】
連結片18の長手方向の一端側及び他端側と、上辺部16a、16bの内側部及び下辺部17a、17bの内側部との連結にはボルトとナットによる締結手段19が好適に用いられる。このとき、連結片18が上辺部16a、16b及び下辺部17a、17bに対して、がたつきなく可動(回動)できる程度に締結手段19を締め付けることが好ましい。各本体フレーム12a、12bは、上辺部16a、16bと下辺部17a、17bの平行を保ちながら各連結片18を回動させ、上辺部16a、16bと下辺部17a、17bを相対的にスライドさせることにより、上辺部16a、16bと下辺部17a、17bとの間隔を変更することができ、接地面(地面)11に対して傾斜角度が可変となる(図1図4参照)。
【0024】
図2図4に示すように、各踏み板15は、平面視して長方形状の踏み板本体21と、装着部として踏み板本体21の各短辺の中央から下方に突出したくさび形突起部25を有している。そして、各連結片18の長手方向の中央部には、筒型(角筒)に形成され、各くさび形突起部25が着脱可能に装着(挿抜可能に保持)されて各踏み板15を水平に支持する踏み板取付部23が形成されている。
図3図4に示すように、くさび形突起部25を踏み板取付部23に挿通するだけで、簡単に踏み板15を装着することができ、踏み板15を介して左右の本体フレーム12a、12bを一体化することができる。
【0025】
先に説明したように、本体フレーム12a、12bを設置する際に、接地面11に対する傾斜角度は可変であるが、その傾斜角度に関わらず、各連結片18と接地面11が平行になるように設定することで、各連結片18に設けられた踏み板取付部23で各踏み板15を水平に支持することができる。
また、踏み板15の各くさび形突起部25が、踏み板本体21の各短辺の中央下部に設けられ、各踏み板取付部23が、各連結片18の長手方向の中央部に形成されているので、踏み板15に荷重が加わっても、踏み板取付部23(連結片18)で踏み板15を安定的に支持することができ、踏み板15の傾きを確実に防止することができる。なお、各短辺の両端に装着部(くさび形突起部)を形成し、それに対応させて各連結片の両端部に踏み板取付部を形成することもできる。また、装着部と踏み板取付部の形状は本実施の形態に限定されるものではなく、連結片と踏み板を固定できるものであればよい。
【0026】
次に、組立式仮設階段10は、図1に示すように、各本体フレーム12a、12bに着脱可能に取付けられる複数(ここでは2つ)の手摺り部27を有している。各手摺り部27は、各本体フレーム12a、12bと平行に配置される手摺り本体28と、手摺り本体28の長手方向の一側及び他側にそれぞれの上端側が回動可能に連結された一対の支持体29a、29bと、各支持体29a、29bの下端側にそれぞれ設けられた下端装着部30とを有している。手摺り本体28と支持体29a、29bとの連結位置は、いずれもボルトとナットによる締結手段31で締結されることにより、回動可能となっている。なお、本実施の形態では、手摺り本体28の長手方向の他側下部に、支持体29bの上端側が選択的に連結される複数(ここでは3つ)の連結孔33が設けられた支持体連結部34を形成し、支持体29bの取付位置を可変とした。連結孔の数及び配置は適宜、選択することができるが、必ずしも支持体の取付位置を可変とする必要はなく、連結孔は1つでもよい。
【0027】
また、各本体フレーム12a、12bは、図1図3に示すように、各下端装着部30が着脱可能に装着されて各支持体29a、29bを垂直に支持する支持体取付部35a、35bを有している。
ここで、各下端装着部30は、図1に示すように、各支持体29a、29bの下方に突出したくさび状突起36を有している。また、各支持体取付部35a、35bは、長手方向の一端側が上辺部16a、16bの外側部に回動可能に連結され、長手方向の他端側が下辺部17a、17bの外側部に回動可能に連結されており、長手方向の中央部にくさび状突起36が挿抜可能に保持される筒型支持部37が形成されている。これにより、くさび状突起36を筒型支持部37に挿通するだけで、簡単かつ確実に各本体フレーム12a、12bに手摺り部27を装着することができる。
【0028】
各支持体取付部35a、35bの長手方向の一端側及び他端側と、上辺部16a、16bの外側部及び下辺部17a、17bの外側部との連結には、前述の連結片18の場合と同様に、ボルトとナットによる締結手段19が好適に用いられる。このとき、支持体取付部35a、35bの取付け位置が連結片18の取付け位置と同じであれば、締結手段19を共通化することができる。つまり、上辺部16a、16bと下辺部17a、17bを挟んで連結片18と支持体取付部35a、35bを対向配置し、共通の締結手段19により連結することができる。そして、各本体フレーム12a、12bにおいて、各連結片18を回動させ、上辺部16a、16bと下辺部17a、17bをスライドさせて傾斜角度を設定(調整)する際に、各支持体取付部35a、35bも各連結片18と同様に回動し、接地面11と平行になる。これにより、各支持体取付部35a、35bの長手方向の中央部に形成された筒型支持部37で、各支持体29a、29bを垂直に支持することができる。また、手摺り本体28に対し、支持体29a、29bの上端側が回動可能に連結されているので、本体フレーム12a、12bの傾斜角度が変化しても、手摺り本体28を本体フレーム12a、12bと平行に設置することができる(図1参照)。
なお、本実施の形態では、図5に示すように、本体フレーム12a、12bの先端部に設けられた支持体取付部35a、35bの他端側にクランプ部14を取付け、本体フレーム12a、12bの先側で、クランプ部14が支持体取付部35a、35bと共に回動する構成としたが、クランプ部14を上辺部16a、16b又は下辺部17a、17bの先側に直接、回動可能に取付けることもできる。
【0029】
また、手摺り部27は、図1に示すように、一対の支持体29a、29bの間を連結する補強部42を有している。この補強部42は、長手方向の一端側が各支持体29a、29bの長手方向の途中に回動可能に保持された第1、第2のリンク部材43a、43bと、長手方向の両端部が第1、第2のリンク部材43a、43bの長手方向の他端側に回動可能に連結された連結部材44とを有するものである。各支持体29a、29bと第1、第2のリンク部材43a、43bとの連結位置、及び第1、第2のリンク部材43a、43bと連結部材44との連結位置は、いずれもボルトとナットによる締結手段45で締結されることにより、回動可能となっている。本体フレーム12a、12bの傾斜角度に応じて支持体29a、29bの上下方向位置が変化しても、第1、第2のリンク部材43a、43b及び連結部材44を回動させて対応することができ、手摺り部27を効果的に補強することができる。
【0030】
本実施の形態では、第1のリンク部材43aの長手方向の他端側に形成した長孔47を介して第1のリンク部材43aと連結部材44を連結することにより、必要に応じて連結位置を変更可能としたが、必ずしも連結位置を変更可能とする必要はなく、長孔の代りに丸孔としてもよい。また、第1のリンク部材に代えて、若しくは第1のリンク部材に加えて、第2のリンク部材の長手方向の他端側に長孔を形成し、連結部材と連結することもできる。
手摺り部27(手摺り本体28)の長さは本体フレーム12a、12bの長さに応じて、適宜、選択することができる。本実施の形態では、本体フレーム12a、12bの長さが長いので、図1に示すように、複数(ここでは2つ)の手摺り部27を直列に取付けたが、このように複数の手摺り部27を連結する場合、隣り合う手摺り本体28の端部をそれぞれ連結管48の両端に挿通し、固定ボルト49で固定して連結することにより、手摺り部27(手摺り本体28)を安定的に支持することができる。本実施の形態では、一方の手摺り本体28と連結管48の一端側のみを固定ボルト49で固定したが、双方の手摺り本体と連結管の両端側を固定ボルトで固定してもよい。なお、本体フレームの長さと手摺り部(手摺り本体)の長さとの関係により、手摺り部を1つとしてもよいし、3つ以上としてもよい。
【0031】
次に、組立式仮設階段10は、図1図4に示すように、左右一対の本体フレーム12a、12bの基側に回動可能に保持された平板状の接地部50を有している。これにより、本体フレーム12a、12bの傾斜角度に関わらず、本体フレーム12a、12bの基側を接地部50で確実に支持することができる。なお、本実施の形態では、接地部50を上辺部16a、16bの基側に回動可能に取付けたが、下辺部17a、17bの基側に回動可能に取付けることもできる。
また、本実施の形態では、図1図3に示すように、上辺部16a、16bの長手方向の途中に把手部51を設けた。これにより、踏み板15及び手摺り部27を取外した後、本体フレーム12a、12bを容易に持ち運ぶことができる。なお、把手部の数及び配置は適宜、選択することができる。
【0032】
続いて、本発明の第2の実施の形態に係る組立式仮設階段52について説明する。なお、第1の実施の形態と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
図6の組立式仮設階段52が組立式仮設階段10と異なる点は、全長が短く、踏み板15の数が少なくなっている(ここでは4個)点と、接地面11に対する傾斜角度が小さく(緩やかに)なっている点である。また、組立式仮設階段52の全長に合わせて手摺り部27も1つになっている。そして、第1、第2のリンク部材43a、43b及び連結部材44を回動させて、支持体29a、29bの間隔と高さを調整することにより、支持体29a、29bを垂直に支持し、手摺り本体28を本体フレーム12bと平行に設置することができる。
【0033】
足場の高さに応じて、全長の異なる組立式仮設階段10又は組立式仮設階段52を選択して使用することができる。また、組立式仮設階段10及び組立式仮設階段52のいずれも、足場の高さに合わせてクランプ部14の固定位置(高さ)を変更し、接地面11に対す傾斜角度を変更することができる。
【0034】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明は何ら上記した実施の形態に記載の構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載されている事項の範囲内で考えられるその他の実施の形態や変形例も含むものである。
例えば、本体フレームの長さは適宜、選択することができ、それに応じて、踏み板の数、寸法(長辺と短辺の長さ)、及び配置間隔は適宜、選択することができる。また、前記実施の形態では、本体フレームの上辺部を角パイプで形成し、下辺部を平板状に形成したが、これに限定されるものではない。例えば上辺部を断面コの字型のチャンネル鋼で形成してもよいし、下辺部を角パイプ又はチャンネル鋼で形成してもよい。
また、図面上、踏み板本体を平板状に記載したが、搬送性、取扱い性を考慮して軽量化を図ることが好ましく、エキスパンドメタル等で網状に形成されたもの又はパンチングメタル等で多孔状に形成されたもの等が好適に用いられる。
補強部は手摺り部を補強できるものであればよく、その構造は、適宜、選択することができる。
上記実施の形態では、クランプ部を縦支柱に固定したが、クランプ部を90度回転させて水平(横)支柱に固定することもできる。
【符号の説明】
【0035】
10:組立式仮設階段、11:接地面(地面)、12a、12b:本体フレーム、13:支柱、14:クランプ部、15:踏み板、16a、16b:上辺部、17a、17b:下辺部、18:連結片、19:締結手段、21:踏み板本体、23:踏み板取付部、25:くさび形突起部、27:手摺り部、28:手摺り本体、29a、29b:支持体、30:下端装着部、31:締結手段、33:連結孔、34:支持体連結部、35a、35b:支持体取付部、36:くさび状突起、37:筒型支持部、42:補強部、43a、43b:第1、第2のリンク部材、44:連結部材、45:締結手段、47:長孔、48:連結管、49:固定ボルト、50:接地部、51:把手部、52:組立式仮設階段
図1
図2
図3
図4
図5
図6