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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-11
(45)【発行日】2023-01-19
(54)【発明の名称】紫外線放出装置、および空気処理装置
(51)【国際特許分類】
   A61L 9/20 20060101AFI20230112BHJP
   A61L 2/10 20060101ALI20230112BHJP
   F24F 8/22 20210101ALI20230112BHJP
【FI】
A61L9/20
A61L2/10
F24F8/22
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2022043489
(22)【出願日】2022-03-18
(65)【公開番号】P2022159025
(43)【公開日】2022-10-17
【審査請求日】2022-03-18
(31)【優先権主張番号】P 2021060476
(32)【優先日】2021-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 智己
(72)【発明者】
【氏名】田中 利夫
(72)【発明者】
【氏名】奥本 衛
【審査官】塩谷 領大
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-135581(JP,A)
【文献】特開2005-181878(JP,A)
【文献】特開2017-023305(JP,A)
【文献】特開2020-167147(JP,A)
【文献】特開2019-122670(JP,A)
【文献】特開2021-114974(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L 9/00- 9/22
A61L 2/10
A61N 5/06
F24F 8/22
F21K 9/00- 9/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象者が存在する対象空間(S)に紫外光を照射する照射部(20)と、
前記照射部(20)から照射される紫外光の状態を該対象者に知らせる認知部(30)と、
前記照射部(20)から照射する紫外光の強度を変化させる制御装置(50)とを備え、
前記認知部は、可視光を発する発光部(30)を含み、
前記発光部(30)は、前記照射部(20)から照射される紫外光の強度に応じて前記可視光の照度または色調を変化させる
紫外線放出装置。
【請求項2】
対象者が存在する対象空間(S)に紫外光を照射する照射部(20)と、
前記照射部(20)から照射される紫外光の状態を該対象者に知らせる認知部(30)とを備え、
前記認知部は、可視光を発する発光部(30)を含み、
前記発光部(30)は、前記照射部(20)から照射される紫外光の累積照射量に応じて前記可視光の照度または色調を変化させる紫外線放出装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の紫外線放出装置において、
前記発光部(30)は、前記照射部(20)から照射される紫外光の照射領域と重なるように前記可視光を発する紫外線放出装置。
【請求項4】
請求項3に記載の紫外線放出装置において、
前記照射部(20)から照射される紫外光の照射領域と、前記可視光の領域との全部が重なるように前記可視光を発する紫外線放出装置。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1つに記載の紫外線放出装置において、
前記発光部(30)は、前記照射部(20)から照射される紫外光の照射領域の境界を示すように前記可視光を発する紫外線放出装置。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1つに記載の紫外線放出装置において、
前記照射部(20)から照射される紫外光の照射領域の範囲外に位置する対象者の視界から、前記発光部(30)を遮る遮蔽部材(60)を備えている紫外線放出装置。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1つに記載の紫外線放出装置において、
前記照射部(20)が照射する紫外光と、前記発光部(30)が発光する可視光とを同じ方向に導く導光部材(72,73,75)を備えている紫外線放出装置。
【請求項8】
請求項7に記載の紫外線放出装置において、
前記照射部(20)と前記発光部(30)との距離L1が、
前記照射部(20)と前記導光部材(72,73,75)との間の最短距離と、前記発光部(30)と前記導光部材(72,73,75)との間の最短距離との平均値L2よりも小さい紫外線放出装置。
【請求項9】
請求項7または8に記載の紫外線放出装置において、
前記導光部材(72,73,75)は、前記紫外光および前記可視光の方向を変えるレンズ(72)を含む紫外線放出装置。
【請求項10】
請求項7~9のいずれか1つに記載の紫外線放出装置において、
前記導光部材(72,73,75)は、前記紫外光および前記可視光を反射させるリフレクタ(73)を含む紫外線放出装置。
【請求項11】
請求項7~10のいずれか1つに記載の紫外線放出装置において、
前記導光部材(72,73,75)は、前記紫外光および前記可視光が通る穴(77)が形成される遮光部材(75)を含む紫外線放出装置。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか1つに記載の紫外線放出装置において、
前記発光部(30)は、LEDである紫外線放出装置。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか1つに記載の紫外線放出装置において、
前記対象者を検知する検知部(40)を備え、
前記認知部(30)は、前記検知部(40)が対象者を検知すると、前記紫外光の状態を該対象者に知らせる紫外線放出装置。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか1つに記載の紫外線放出装置おいて、
前記照射部(20)から照射される紫外光の波長は、190nm以上280nm以下の範囲である紫外線放出装置。
【請求項15】
請求項14に記載の紫外線放出装置において、
前記照射部(20)から照射される紫外光の波長は、190nm以上230nm以下の範囲である紫外線放出装置。
【請求項16】
請求項1~15のいずれか1つに記載の紫外線放出装置(10)を備えた空気処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、紫外線放出装置、および空気処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の空気調和機は、紫外線を設置空間内に向けて放出する放出手段と、紫外線の放出方向を変更する放出方向変更手段と、制御手段とを備える。空間内に動体が存在する場合には、制御手段は、動体の位置情報に基づいて動体の存在位置を避けて設置空間内に放出手段の紫外線が放出されるように放出方向変更手段を制御する。これにより、紫外線を、人体や動物などの動体を避けて居住空間内に放出することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2009-14259号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のような紫外線放出装置では、照射部から照射される紫外線の状態を対象者が認知することができなかった。
【0005】
本開示の目的は、照射部から照射される紫外線の状態を対象者に認知させることができる紫外線放出装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1の態様は、対象者が存在する対象空間(S)に紫外光を照射する照射部(20)と、前記照射部(20)から照射される紫外光の状態を該対象者に知らせる認知部(30)とを備えている紫外線放出装置である。
【0007】
第1の態様では、認知部(30)が、照射部(20)から照射された紫外光の状態を対象者に知らせる。
【0008】
第2の態様は、第1の態様の紫外線放出装置おいて、前記紫外光の状態は、該紫外光の強度、照射量、波長、または照射領域を含む。
【0009】
第2の態様では、認知部(30)が、紫外光の強度、照射量、波長、または照射領域を、紫外光の状態として対象者に知らせる。
【0010】
第3の態様は、第2の態様の紫外線放出装置おいて、前記認知部(30)は、可視光を発する発光部(30)を含む。
【0011】
第3の態様では、発光部(30)が発する可視光により、対象者が紫外光の状態を知ることができる。
【0012】
第4の態様は、第3の態様の紫外線放出装置において、前記発光部(30)は、前記照射部(20)から照射される紫外光の強度に応じて前記可視光の照度または色調を変化させる。
【0013】
第4の態様では、発光部(30)が発する可視光の照度または色調により、対象者が紫外光の強度を知ることができる。
【0014】
第5の態様は、第3または第4の態様の紫外線放出装置において、前記発光部(30)は、前記照射部(20)から照射される紫外光の照射量に応じて前記可視光の照度または色調を変化させる。
【0015】
第5の態様では、発光部(30)が発する可視光の照度または色調により、対象者が紫外光の照射量を知ることができる。
【0016】
第6の態様は、第3~第5のいずれか1つの態様の紫外線放出装置において、前記発光部(30)は、前記照射部(20)から照射させる紫外光の波長に応じて前記可視光の照度または色調を変化させる。
【0017】
第6の態様では、発光部(30)が発する可視光の照度または色調により、対象者が紫外光の波長を知ることができる。
【0018】
第7の態様は、第3~第6のいずれか1つの態様の紫外線放出装置において、前記発光部(30)は、前記照射部(20)から照射される紫外光の照射領域と重なるように前記可視光を発する。
【0019】
第7の態様では、紫外光の照射領域に可視光か重なるため、対象者がこの可視光により紫外光の照射領域を知ることができる。
【0020】
第8の態様は、第3~第7のいずれか1つの態様の紫外線放出装置において、前記発光部(30)は、前記照射部(20)から照射される紫外光の照射領域の境界を示すように前記可視光を発する。
【0021】
第8の態様では、可視光が紫外光の照射領域の境界を示すため、対象者がこの可視光により紫外光の照射領域を知ることができる。
【0022】
第9の態様は、第3~第8のいずれか1つの態様の紫外線放出装置において、前記照射部(20)から照射される紫外光の照射領域の範囲外に位置する対象者の視界から、前記発光部(30)を遮る遮蔽部材(60)を備えている。
【0023】
第9の態様では、対象者が紫外光の照射領域外にいると、発光部(30)は対象者から見えない。これに対し、対象者が紫外光の照射領域内に入ると、発光部(30)が対象者から見える状態となる。対象者は、発光部(30)が視界に入ることにより、紫外光の照射領域を知ることができる。
【0024】
第10の態様は、第3~第9のいずれか1つの態様の紫外線放出装置において、前記照射部(20)が照射する紫外光と、前記発光部(30)が発光する可視光とを同じ方向に導く導光部材(72,73,75)を備えている。
【0025】
第10の態様では、導光部材(72,73,75)が紫外光と可視光とを同じ方向に導くので、紫外光の照射領域と可視光とが重なる。これにより、対象者は紫外光の照射領域を知ることができる。
【0026】
第11の態様は、第10の態様の紫外線放出装置において、前記照射部(20)と前記発光部(30)との距離L1が、前記照射部(20)と前記導光部材(72,73,75)との間の最短距離と、前記発光部(30)と前記導光部材(72,73,75)との間の最短距離との平均値L2よりも小さい。
【0027】
第11の態様では、照射部(20)と発光部(30)とが近くに配置されるので、導光部材(72,73,75)によって導かれる紫外光および可視光の方向が互いにずれてしまうのを抑制できる。これにより、紫外光と可視光とが重なり易くなる。
【0028】
第12の態様は、第10または第11の態様の紫外線放出装置において、前記導光部材(72,73,75)は、前記紫外光および前記可視光の方向を変えるレンズ(72)を含む。
【0029】
第12の態様では、導光部材としてのレンズ(72)により、紫外光と可視光とが同一方向に導かれる。
【0030】
第13の態様は、第10~第12のいずれか1つの態様の紫外線放出装置において、前記導光部材(72,73,75)は、前記紫外光および前記可視光を反射させるリフレクタ(73)を含む。
【0031】
第13の態様では、導光部材としてのリフレクタ(73)により、紫外光と可視光とが同一方向に導かれる。
【0032】
第14の態様は、第10~第13のいずれか1つの紫外線放出装置において、前記導光部材(72,73,75)は、前記紫外光および前記可視光が通る穴(77)が形成される遮光部材(75)を含む。
【0033】
第14の態様では、紫外光および可視光が導光部材としての遮光部材(75)の穴(77)を通ることで、紫外光と可視光とが同一方向に導かれる。
【0034】
第15の態様は、第3~第14のいずれか1つの態様の紫外線放出装置において、前記発光部(30)は、LEDである。
【0035】
第15の態様では、発光部(30)としてのLEDから可視光が発せられる。
【0036】
第16の態様は、第1~第15のいずれか1つの態様の紫外線放出装置において、前記対象者を検知する検知部(40)を備え、前記認知部(30)は、前記検知部(40)が対象者を検知すると、前記紫外光の状態を該対象者に知らせる。
【0037】
第16の態様では、検知部(40)により検知された対象者に対し、紫外光の状態を知らせることができる。
【0038】
第17の態様は、第1~第16のいずれか1つの態様の紫外線放出装置おいて、前記照射部(20)から照射される紫外光の波長は、190nm以上280nm以下の範囲である。
【0039】
第17の態様では、紫外光による殺菌効果を十分に得ることができる。
【0040】
第18の態様は、第17の態様の紫外線放出装置において、前記照射部(20)から照射される紫外光の波長は、190nm以上230nm以下の範囲である。
【0041】
第18の態様では、紫外光による人の健康の影響を緩和できる。
【0042】
第19の態様は、第1~第18のいずれか1つの態様の紫外線放出装置(10)を備えた空気処理装置である。
【図面の簡単な説明】
【0043】
図1図1は、実施形態1に係る紫外線放出装置の概略構成図である。
図2図2は、実施形態1に係る紫外線放出装置のブロック図である。
図3図3は、実施形態1に係る紫外線放出装置の動作を示すフローチャートである。
図4図4は、実施形態2に係る紫外線放出装置の概略構成図であり、対象者が照射領域外に位置する状態を示す。
図5図5は、実施形態2に係る紫外線放出装置の概略構成図であり、対象者が照射領域内に位置する状態を示す。
図6図6は、実施形態3に係る紫外線放出装置の概略の斜視図である。
図7図7は、実施形態4に係る紫外線放出装置の概略構成図である。
図8図8は、実施形態5に係る紫外線放出装置の概略構成図である。
図9図9は、実施形態5に係る紫外線放出装置の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本開示は、以下に示される実施形態に限定されるものではなく、本開示の技術的思想を逸脱しない範囲内で各種の変更が可能である。各図面は、本開示を概念的に説明するためのものであるから、理解容易のために必要に応じて寸法、比又は数を誇張又は簡略化して表す場合がある。
【0045】
《実施形態1》
図1に示すように、実施形態1の紫外線放出装置(10)は、空気処理装置である空気調和機(1)に設けられる。空気調和機(1)は、天井設置式である。具体的には、空気調和機(1)は、建造物の天井(2)の裏側に設けられる天井埋込式である。空気調和機(1)は、天井吊下式であってもよい。空気調和機(1)は、壁掛け式や床置き式であってもよい。空気調和機(1)は、図示を省略したファンや熱交換器などを有する。空気調和機(1)は、対象空間(S)(例えば室内空間)の空気の温度を調節する。
【0046】
紫外線放出装置(10)は、照射部(20)と、発光部(30)と、検知部(40)と、制御装置(50)とを備える。
【0047】
照射部(20)は、対象者が存在する対象空間(S)に紫外線を照射する。対象空間(S)は、居住空間やオフィスや店舗などの室内空間を含む。照射部(20)は、紫外線を照射する光源を含む。光源は、LEDおよびレーザダイオードのような光源素子、エキシマランプ、または水銀ランプを含む。照射部(20)から照射される紫外線の波長は、190nm以上280nm以下である。紫外線の波長は190nm以上、230nm以下であるのが好ましい。
【0048】
照射部(20)は、例えば空気調和機(1)の化粧パネル(1a)の下面に設けられる。照射部(20)は、空気調和機(1)と隣接するように天井(2)の下面に設けられてもよい。照射部(20)は、紫外線の照射方向が床面(3)を向くように配置される。照射部(20)は、紫外線を照射することで、対象空間(S)に照射領域(E1)を生成する。図1において、照射領域(E1)は、実線L1と実線L2の間の領域である。
【0049】
発光部(30)は、照射部(20)から照射される紫外線の状態を人(対象者(H))に知らせる認知部である。発光部(30)は、可視光を発するLEDで構成される。発光部(30)は、空気調和機(1)の化粧パネル(1a)の下面に設けられる。発光部(30)は、空気調和機(1)と隣接するように天井(2)の下面に設けられてもよい。発光部(30)は、可視光の照射方向が床面(3)を向くように配置される。発光部(30)は、可視光を照射することで、対象空間(S)に可視光領域(E2)を生成する。図1において、可視光領域(E2)は、破線D1と破線D2の間の領域である。
【0050】
照射部(20)と発光部(30)とは、互いに隣接して配置される。発光部(30)は、照射部(20)から照射される紫外線の照射領域(E1)と重なるように可視光を発する。照射領域(E1)と可視光領域(E2)とは全部が重なることが好ましいが、一部のみが重なってもよい。実施形態1の発光部(30)は、紫外線の状態として、紫外線の照射領域(E1)を対象者(H)に知らせる。
【0051】
発光部(30)は、可視光の照度および色調を変更可能に構成される。可視光の照度および色調に応じて、紫外線の他の状態(詳細は後述する)を対象者(H)に知らせる。
【0052】
検知部(40)は、対象空間(S)の対象者(H)を検知する。検知部(40)は、赤外線式、あるいは超音波式の人感センサである。検知部(40)は、例えば空気調和機(1)の化粧パネル(1a)の下面に設けられる。検知部(40)は、空気調和機(1)と隣接するように天井(2)の下面に設けられてもよい。検知部(40)は、対象空間(S)に対象者(H)が存在するか否かを検出する。
【0053】
図2に示す制御装置(50)は、照射部(20)および発光部(30)を制御する。制御装置(50)は、制御基板上に搭載されたマイクロコンピュータと、該マイクロコンピュータを動作させるためのソフトウエアを格納するメモリディバイス(具体的には半導体メモリ)とを含む。制御装置(50)は、空気調和機(1)の制御装置に兼用されてもよい。制御装置(50)は、ネットワークを介して照射部(20)および発光部(30)と接続するサーバ装置を含んでいてもよい。
【0054】
制御装置(50)は、照射部(20)から照射される紫外線の強度、照射量、および波長の少なくとも1つを制御する。
【0055】
制御装置(50)は、照射部(20)から照射される紫外線の状態に応じて、発光部(30)を制御する。ここでいう、「紫外線の状態」は、照射部(20)から照射される紫外線の強度、この紫外線の照射量、この紫外線の波長、またはこの紫外線の照射領域(E1)を含む。「紫外線の状態」は、照射部(20)のON/OFFの状態は含まない。
【0056】
紫外線の照射量[J/cm2]は、以下の(1)式で表すことができる。
【0057】
紫外線の照射量[J/cm2]=紫外線の強度(照射強度)[W/ cm2]×照射時間[sec]・・(1)
照射時間[sec]は、照射部(20)が紫外線の照射する動作の実行時間である。
【0058】
制御装置(50)は、検知部(40)が対象者(H)を検知すると、発光部(30)を作動させる。言い換えると、検知部(40)が対象者(H)を検知すると、認知部である発光部(30)が照射部(20)から照射される紫外線の状態を対象者(H)に知らせる。
【0059】
-紫外線放出装置の運転動作-
紫外線放出装置(10)の運転動作について説明する。
【0060】
図3に示すように、紫外線放出装置(10)の運転が開始すると、ステップST1において、制御装置(50)は、照射部(20)をONさせる。照射部(20)は天井(2)から床面(3)に向かって紫外線を照射する。
【0061】
ステップST2において、検知部(40)が対象者(H)を検出すると、ステップST3が実行される。ステップST3では、制御装置(50)は、照射部(20)の動作に連動するように発光部(30)をONさせる。発光部(30)は天井(2)から床面(3)に向かって可視光を発する。照射部(20)は、対象空間(S)のうちの所定の範囲において照射領域(E1)を形成する。
【0062】
図1に示すように、発光部(30)は、照射部(20)の照射領域(E1)と重なるように、可視光領域(E2)を生成する。このため、対象者(H)は、対象空間(S)のどこに紫外線の照射領域(E1)が存在するかを知ることができる。
【0063】
照射部(20)がON状態であるときには、照射部(20)は所定の強度の紫外線を照射する。制御装置(50)は、照射部(20)から照射される紫外線の強度に応じて、発光部(30)から発する可視光の照度または色調を変化させる。
【0064】
具体的には、発光部(30)は、紫外線の強度が大きくなるほど可視光の照度を大きくし、紫外線の強度が小さくなるほど可視光の照度を小さくする。あるいは、発光部(30)は、紫外線の強度が大きくなるほど可視光の色調を青色に近づけ、紫外線の強度が小さくなるほど可視光の色調を赤色または白色に近づける。対象者(H)は、発光部(30)の可視光の照度や色調により、照射部(20)から照射される紫外線の強度を知ることができる。
【0065】
同様に、制御装置(50)は、照射部(20)から照射される紫外線の波長に応じて、発光部(30)から発する可視光の照度または色調を変化させてもよい。例えば発光部(30)は、紫外線の波長が小さくなるほど可視光の色調を青色に近づけ、紫外線の波長が大きくなるほど可視光の色調を赤色に近づける。対象者(H)は、発光部(30)の可視光の照度や色調により、照射部(20)から照射される紫外線の波長を知ることができる。
【0066】
同様に、制御装置(50)は、照射部(20)から照射される紫外線の照射量に応じて、発光部(30)から発する可視光の照度または色調を変化させてもよい。例えば発光部(30)は、紫外線の照射量が大きくなるほど可視光の照度を大きくし、紫外線の照射量が小さくなるほど可視光の照度を小さくする。あるいは、発光部(30)は、紫外線の照射量が大きくなるほど可視光の色調を青色に近づけ、紫外線の照射量が小さくなるほど可視光の色調を赤色または白色に近づける。対象者(H)は、発光部(30)の可視光の照度や色調により、照射部(20)から照射される紫外線の照射量を知ることができる。
【0067】
このように、ステップST3では、認知部である発光部(30)が、紫外光の状態を対象者(H)に知らせる。
【0068】
ステップST4において、照射部(20)をOFFさせる条件が成立すると、ステップST5において制御装置(50)が照射部(20)をOFFさせる。この条件は、例えば照射部(20)がONされてから所定時間が経過したこと、あるいは対象者(H)が照射部(20)をOFFさせる操作を行ったことである。
【0069】
照射部(20)がONされた状態において、ステップST3において検知部(40)が対象者(H)を検知しない場合、ステップST6において、制御装置(50)は発光部(30)をOFFさせる。
【0070】
-実施形態1の特徴-
紫外線放出装置(10)は、対象者が存在する対象空間(S)に照射部(20)から照射される紫外光の状態を対象者(H)に知らせる認知部(発光部(30))を備える。このため、対象者(H)は、照射部(20)の紫外光の状態を知ることができる。
【0071】
認知部は発光部(30)である。このため、対象者(H)は、発光部(30)から発する光によって、紫外光の状態を速やかにすることができる。
【0072】
発光部(30)は、紫外光の照射領域(E1)を対象者(H)に知らせる。このため、対象者(H)はどの領域に照射領域(E1)が形成されているかを知ることができる。対象者(H)が紫外光に過剰に曝されると、対象者(H)の健康が損なわれる可能性がある。対象者(H)が照射領域(E1)の位置を把握することで、このことを回避できる。対象者(H)が積極的に照射領域(E1)に移動することで、紫外光による対象者(H)の殺菌効果を効果的に得ることができる。
【0073】
発光部(30)は、紫外光の強度を対象者(H)に知らせる。このため、対象者(H)は、紫外光の強度を考慮しながら、紫外光に曝される時間を調節できる。
【0074】
発光部(30)は、紫外光の波長を対象者(H)に知らせる。このため、対象者(H)は、紫外光の波長を考慮しながら、紫外光に曝される時間を調節できる。
【0075】
発光部(30)は、紫外光の照射量を対象者(H)に知らせる。このため、対象者(H)は、紫外光の照射量を考慮しながら、紫外光に曝される時間を調節できる。
【0076】
発光部(30)は、照射部(20)から照射される紫外光の照射領域(E1)と重なるように可視光を発する(図1を参照)。これにより、対象者(H)は紫外光の照射領域(E1)を速やか且つ三次元的に把握することができる。
【0077】
発光部(30)は、可視光を発するLEDである。このため、比較的簡易な構成により、紫外光の状態を対象者(H)に知らせることができる。
【0078】
発光部(30)は、検知部(40)が対象者(H)を検知すると、紫外光の状態を対象者(H)に知らせる。具体的には、検知部(40)が対象者(H)を検知すると、発光部(30)がONする。このため、対象者(H)に人が存在しないときに発光部(30)がONすることを抑制できる。これにより、発光部(30)の寿命を長くできるとともに、発光部(30)の消費エネルギーを節約できる。
【0079】
照射部(20)から照射される紫外光の波長は、190nm以上280nm以下である。このため、紫外光による殺菌効果を十分に得ることができる。
【0080】
照射部(20)から照射される紫外光の波長は、190nm以上230nm以下である。紫外光の波長を230nm以下とすることで、紫外光による人の健康の影響を緩和できる。
【0081】
《実施形態2》
図4および図5に示すように、実施形態2に係る紫外線放出装置(10)は、遮蔽部材(60)を備える。紫外線放出装置(10)は、検知部(40)を有さなくてもよい。
【0082】
遮蔽部材(60)は、発光部(30)から発する光の一部を遮る。遮蔽部材(60)は、発光部(30)を囲む筒状に形成される。遮蔽部材(60)は、円筒状であってもよいし矩形筒状であってもよいし、他の形状であってもよい。
【0083】
遮蔽部材(60)は、対象者(H)が照射領域(E1)の範囲外に位置するときに、対象者(H)の視界から発光部(30)を遮る。遮蔽部材(60)は、対象者(H)が照射領域(E1)の範囲内に位置するときに、対象者(H)の視界から発光部(30)を遮らない。換言すると、遮蔽部材(60)は、照射領域(E1)の範囲外の対象者(H)に対して発光部(30)の視認を禁止し、照射領域(E1)の範囲内の対象者(H)に対して発光部(30)の視認を許容する。
【0084】
照射部(20)が紫外線を照射すると、制御装置(50)は発光部(30)をONさせる。図4に示すように、対象者(H)が照射領域(E1)の範囲外に位置すると、遮蔽部材(60)は、対象者(H)の視界から発光部(30)を遮る。対象者(H)は、発光部(30)を視認できないことに基づき、自身が照射領域(E1)の範囲外にいることを把握できる。
【0085】
図5に示すように、対象者(H)が照射領域(E1)の範囲内に位置すると、対象者(H)は発光部(30)を視認できる。対象者(H)は、発光部(30)を視認できることに基づき、自身が照射領域(E1)の範囲内にいることを把握できる。
【0086】
加えて、対象者(H)は、実施形態1と同様、発光部(30)が発する光の照度や色調に基づき、紫外線の強度、波長、または照射量を知ることができる。
【0087】
以上より、対象者(H)が紫外線に過剰に曝されることを回避できる。対象者(H)が積極的に紫外光にあたることで殺菌効果を効果的に得ることができる。
【0088】
《実施形態3》
図6に示すように、実施形態3の紫外線放出装置(10)は、実施形態1や2と発光部(30)の構成が異なる。実施形態3の発光部(30)は、照射部(20)から照射される紫外光の照射領域(E1)の境界を示すように可視光を発する。具体的に、発光部(30)は、半導体レーザ素子を有し、有色の光を出力する。発光部(30)から発する可視光(レーザー光)は、照射領域(E1)に沿って形成される。
【0089】
具体的に、実施形態3の発光部(30)は、床面(3)に円形の境界線(B)(図6に示す破線)を写すように可視光を発する。境界線(B)は、紫外線の照射領域(E1)の境界に対応する位置にある。発光部(30)から発する可視光の色は、例えば赤色である。
【0090】
対象者(H)が床面(3)の境界線(B)を視認することで、紫外線の照射領域(E1)を知ることができる。加えて、対象者(H)は、境界線(B)の光の照度や色調に基づき、紫外線の強度、波長、または照射量を知ることができる。
【0091】
以上より、対象者(H)が紫外線に過剰に曝されることを回避できる。対象者(H)が積極的に紫外光にあたることで殺菌効果を効果的に得ることができる。
【0092】
《実施形態4》
実施形態4は、紫外線放出装置(10)が導光部材としてのレンズ(72)を有する構成である。図7に模式的に示すように、紫外線放出装置(10)は、筐体(70)を備える。筐体(70)は、照射部(20)および発光部(30)を収容する。筐体(70)は、基部(71)とレンズ(72)とを有する。基部(71)は凹状に形成され、その底部に照射部(20)と発光部(30)とが設けられる。照射部(20)と発光部(30)とは、互いに近接して配置される。
【0093】
レンズ(72)は、基部(71)の開放部分を覆うように該基部(71)に取り付けられる。レンズ(72)は、照射部(20)から照射される紫外線と、発光部(30)から発せられる可視光とを同一方向に導くように、屈折率が設定される。
【0094】
このように、照射部(20)から照射される紫外線と、発光部(30)から発せられる可視光とが同一方向(図7の破線矢印で示す方向)になることで、対象者(H)は紫外線の照射領域(E1)を可視光によって特定することができる。
【0095】
照射部(20)と発光部(30)との距離をL1とし、照射部(20)とレンズ(72)との最短距離をLa2とし、発光部(30)とレンズ(72)との最短距離をLb2とし、最短距離La2と最短距離Lb2との平均値をL2とする。実施形態4では、L1がL2よりも小さい。これにより、照射部(20)と発光部(30)とが近接するため、紫外線の方向と可視光の方向とがずれてしまうことを抑制できる。この点を考慮すると、照射部(20)と発光部(30)とを互いに接触させるのがさらに好ましい。
【0096】
《実施形態5》
実施形態5は、紫外線放出装置(10)が導光部材としてのリフレクタ(73)を有する構成である。図8に模式的に示すように、紫外線放出装置(10)は、筐体(70)を備える。筐体(70)は、照射部(20)および発光部(30)を収容する。筐体(70)は、リフレクタ(73)とカバー(74)とを有する。
【0097】
リフレクタ(73)は、一端に開口面を有する椀状に形成される。リフレクタ(73)は、紫外光および可視光を反射する金属材料で構成される。リフレクタ(73)の内部には、支持板(70a)を介して照射部(20)と発光部(30)とが設けられる。照射部(20)と発光部(30)とは、互いに近接して配置される。照射部(20)は、リフレクタ(73)の内面(73a)に向かって紫外線を照射する。発光部(30)は、リフレクタ(73)の内面(73a)に向かって可視光を発する。リフレクタ(73)は、照射部(20)から照射される紫外線と、発光部(30)から発せられる可視光とを同一方向に導くように、反射率が設定される。
【0098】
カバー(74)は、リフレクタ(73)の開口面を覆うようにリフレクタ(73)に取り付けられる。カバー(74)は、光が透過する透光性材料で構成される。このカバー(74)に代えて、実施形態4で述べたレンズ(72)を採用してもよい。照射部(20)から照射された紫外光、および発光部(30)が発する可視光が、リフレクタ(73)に反射すると、紫外光と可視光とが同一方向(図8の破線矢印で示す方向)となり、カバー(74)を透過する。
【0099】
このように、照射部(20)から照射される紫外線と、発光部(30)から発せられる可視光とが同一方向になることで、対象者(H)は紫外線の照射領域(E1)を可視光によって特定することができる。
【0100】
照射部(20)と発光部(30)との距離をL1とし、照射部(20)とリフレクタ(73)との最短距離をLc2とし、発光部(30)とレンズ(72)との最短距離をLd2とし、最短距離Lc2と最短距離Ld2との平均値をL2とする。実施形態4では、L1がL2よりも小さい。これにより、照射部(20)と発光部(30)とが近接するため、紫外線の方向と可視光の方向とがずれてしまうことを抑制できる。この点を考慮すると、照射部(20)と発光部(30)とを互いに接触させるのがさらに好ましい。
【0101】
《実施形態6》
実施形態6は、紫外線放出装置(10)が導光部材としての遮光部材(75)を有する構成である。図9に模式的に示すように、紫外線放出装置(10)は、筐体(70)を備える。筐体(70)は、照射部(20)および発光部(30)を収容する。筐体(70)は、基部(71)と遮光部材(75)とを有する。遮光部材(75)は、複数のルーバ(76)を有する。複数のルーバ(76)の間には、紫外光および可視光が透過する穴であるスリット(77)が形成される。基部(71)は凹状に形成され、その底部に照射部(20)と発光部(30)とが設けられる。照射部(20)と発光部(30)とは、互いに近接して配置される。
【0102】
遮光部材(75)は、基部(71)の開放部分を覆うように該基部(71)に取り付けられる。透光部材(72)は、照射部(20)から照射される紫外線と、発光部(30)から発せられる可視光とを同一方向に導くように、ルーバ(76)の数、ルーバ(76)の形状、隣り合うルーバ(76)の間隔が設定される。
【0103】
このように、照射部(20)から照射される紫外線と、発光部(30)から発せられる可視光とが同一方向(図9の破線矢印で示す方向)になることで、対象者(H)は紫外線の照射領域(E1)を可視光によって特定することができる。
【0104】
照射部(20)と発光部(30)との距離をL1とし、照射部(20)と遮光部材(75)(厳密には、ルーバ(76))との最短距離をLe2とし、発光部(30)とレンズ(72)との最短距離をLf2とし、最短距離Le2と最短距離Lf2との平均値をL2とする。実施形態6では、L1がL2よりも小さい。これにより、照射部(20)と発光部(30)とが近接するため、紫外線の方向と可視光の方向とがずれてしまうことを抑制できる。この点を考慮すると、照射部(20)と発光部(30)とを互いに接触させるのがさらに好ましい。
【0105】
《変形例》
上記各実施形態においては、以下のような変形例の構成を採用してもよい。
【0106】
-変形例1-
(1-A)発光部(30)は、照射部(20)から照射される紫外光の照射時間に応じて、照度や色調を変化させてもよい。発光部(30)は、照射時間の経過とともに可視光の照度を小さくする。発光部(30)は、照射時間が所定時間に達すると消灯してもよい。
【0107】
(1-B)発光部(30)は、照射部(20)がONされた後、所定時間が経過してOFF状態に切り換わったときに、発光部(30)から発する可視光を点滅させてもよい。これにより、対象者(H)は、照射部(20)による殺菌・消毒が終わったことを可視光の点滅によって知ることができる。
【0108】
-変形例2-
認知部は、表示部であってもよい。
【0109】
(2-A)表示部は、文字、記号、アイコンなどによって紫外線の状態(強度、波長、照射量、照射領域など)を対象者(H)に知らせる。
【0110】
(2-B)加えて、表示部は、照射部(20)がON状態であることを対象者(H)に知らせてもよい。この場合、表示部は、例えば「消毒中」という文字を表示し、対象者(H)に知らせる。表示部は、「消毒中」という文字を点滅させてもよい。これにより、照射部(20)がON状態であることを対象者(H)により知らせ易くなる。
【0111】
(2-C)表示部は、紫外線の強度、波長、または照射量を数字によって表示してもよい。表示部は、紫外線の照射時間を数字によって表示してもよい。紫外線の照射時間は、連続的な照射時間であってもよいし、ある期間(例えば1日)における積算の照射時間であってもよい。表示部は、「消毒完了まであとn分」(n=1、2、…)という文字を表示してもよい。
【0112】
-変形例3-
認知部は、音を発する音生成部であってもよい。
【0113】
(3-A)音生成部は、スピーカなどから音を発することで紫外線の状態(強度、波長、照射量、照射領域など)を対象者(H)に知らせてもよい。
【0114】
(3-B)音生成部は、対象者(H)が紫外線の照射領域(E1)に入ると、対象者(H)が照射領域(E1)にいることを音声により対象者(H)に知らせてもよい。上述した検知部(40)が、照射領域(E1)に対象者(H)がいるかを検知する。
【0115】
(3-C)音生成部は、対象者(H)と照射領域(E1)との距離に応じて音(警告音)の大きさを変化させてもよい。音生成部は、例えば対象者(H)が照射領域(E1)に近くなるほど、音(警告音)を大きくする。上述した検知部(40)が、対象者(H)と照射領域(E1)との距離を検出する。
【0116】
(3-D)音生成部は、対象者(H)が照射領域(E1)に存在する時間に応じて警告音を発してもよい。具体的には、対象者(H)が照射領域(E1)内に存在する時間が所定時間を越えると、音生成部が警告音を発する。これにより、対象者(H)が紫外線に長期に曝されていることを把握できる。
【0117】
(3-E)音生成部は、紫外線の照射時間を音声により対象者(H)に知らせてもよい。紫外線の照射時間は、連続的な照射時間であってもよいし、ある期間(例えば1日)における積算の照射時間であってもよい。音発生部は、「消毒完了まであとn分」(n=1、2、…)という音声を発してもよい。
【0118】
(3-F)音生成部は、対象者(H)が所有する携帯端末に設けられてもよい。携帯端末は、携帯電話、スマートフォン、タブレット端末などを含む。携帯端末は、対象者が照射領域(E1)に入ることで、音声を発してもよい。この場合、例えば対象者(H)が照射領域(E1)に入ったことをBluetooth(登録商標)などの無線通信機器を利用して検出してもよい。
【0119】
(3-G)音発生部は、対象者(H)が照射領域(E1)に入ることで対象者(H)に聞こえる音(警告音)を発してもよい。この場合、音発生部は照射領域(E1)付近に配置される。音発生部は、比較的小さい音量の警告音を発する。
【0120】
-変形例4-
認知部は、紫外線の状態を香りによって対象者(H)に知らせる香り発生部であってもよい。香り発生部は、紫外線の状態を知らせるための香りを放出する。
【0121】
(4-A)香り発生部は、発生する香りの強さに応じて、紫外線の状態(強度、波長、照射量、照射領域など)を対象者(H)に知らせてもよい。
【0122】
(4-B)香り発生部は、対象者(H)が紫外線の照射領域(E1)に入ると、対象者(H)が照射領域にいることを香りにより対象者(H)に知らせてもよい。上述した検知部(40)が、照射領域(E1)に対象者(H)がいるかを検知する。
【0123】
(4-C)香り発生部は、対象者(H)と照射領域(E1)との距離に応じて香りの強さを変化させてもよい。香り発生部は、例えば対象者(H)が照射領域(E1)に近くなるほど、香りの強さを大きくする。上述した検知部(40)が、対象者(H)と照射領域(E1)との距離を検出する。
【0124】
(4-D)香り発生部は、対象者(H)が照射領域(E1)に存在する時間に応じて香りを放出してもよい。具体的には、対象者(H)が照射領域(E1)内に存在する時間が所定時間を越えると、香り発生部が香りを放出する。これにより、対象者(H)が紫外線に長期に曝されていることを把握できる。
【0125】
(4-E)香り発生部は、照射部(20)がONされた後、所定時間が経過してOFF状態に切り換わったときに、香りを放出してもよい。これにより、対象者(H)は、照射部(20)による殺菌・消毒が終わったことを香りによって知ることができる。
【0126】
-変形例5-
認知部は、対象者(H)に風をあてることで、紫外線の状態を対象者(H)に知らせる送風部であってもよい。
【0127】
(5-A)送風部は、風の強さに応じて紫外線の状態(強度、波長、照射量、照射領域など)を対象者(H)に知らせてもよい。
【0128】
(5-B)送風部は、対象者(H)が紫外線の照射領域(E1)に入ると、対象者(H)に風をあててもよい。これにより、対象者(H)は、照射領域(E1)にいることを知ることができる。上述した検知部(40)が、照射領域(E1)に対象者(H)がいるかを検知する。
【0129】
(5-C)送風部は、対象者(H)と照射領域(E1)との距離に応じて風の強さを変化させてもよい。送風部は、例えば対象者(H)が照射領域(E1)に近くなるほど、風の強さを大きくする。上述した検知部(40)が、対象者(H)と照射領域(E1)との距離を検出する。
【0130】
(5-D)送風部は、対象者(H)が照射領域(E1)に存在する時間に応じて対象者(H)に風をあててもよい。具体的には、対象者(H)が照射領域(E1)内に存在する時間が所定時間を越えると、送風部から対象者(H)へ風を送る。これにより、対象者(H)が紫外線に長期に曝されていることを把握できる。
【0131】
(5-E)送風部は、空気調和機(1)のファンに兼用されてもよい。
【0132】
-変形例6-
認知部は、対象空間(S)の空気の温度を変化させる温度調節部であってもよい。
【0133】
(6-A)温度調節部は、対象者(H)の空気の温度を変化させることで紫外線の状態(強度、波長、照射量、照射領域など)を対象者(H)に知らせてもよい。
【0134】
(6-B)温度調節部は、空気調和機(1)に設けられる熱交換器に兼用されてもよい。
【0135】
《その他の実施形態》
上述した実施形態、及びその変形例においては、以下の構成としてもよい。
【0136】
紫外線放出装置(10)は、照射部(20)から照射される紫外線の照射領域(E1)を変化させる手段を有してもよい。この手段としては、可動部、遮蔽部、制御回路などが挙げられる。可動部は、照射部(20)の光源の位置や向きを変更する。遮蔽部材(60)は、照射部(20)の照射領域の一部を物理的に遮蔽する。制御回路は、照射領域(E1)を拡大または縮小するように照射部(20)を制御する。認知部は、変化する照射領域(E1)が対象空間(S)のどこに位置するかを対象者(H)に知らせる。
【0137】
紫外線放出装置(10)は、壁掛け式の空気調和機の前面に設けられてもよい。
【0138】
空気処理装置は、空気清浄機、除湿機、加湿器、換気装置などであってもよい。
【0139】
紫外線放出装置(10)は、必ずしも空気処理装置に設けられなくてもよい。紫外線放出装置(10)は、独立して建造物の天井や壁に設けられてもよい。紫外線放出装置(10)は、車両や電車などの移動体に設けられてもよい。
【0140】
以上、実施形態および変形例を説明したが、特許請求の範囲の趣旨および範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。また、以上の実施形態、変形例、その他の実施形態は、本開示の対象の機能を損なわない限り、適宜組み合わせたり、置換したりしてもよい。
【0141】
以上に述べた「第1」、「第2」、「第3」…という記載は、これらの記載が付与された語句を区別するために用いられており、その語句の数や順序までも限定するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0142】
以上に説明したように、本開示は、紫外線放出装置、および空気処理装置について有用である。
【符号の説明】
【0143】
10 紫外線放出装置
20 照射部
30 発光部(認知部)
40 検知部
60 遮蔽部材
72 レンズ(導光部材)
73 リフレクタ(導光部材)
75 遮光部材(導光部材)
77 スリット(穴)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9