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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-11
(45)【発行日】2023-01-19
(54)【発明の名称】液体吐出装置
(51)【国際特許分類】
   B05C 5/00 20060101AFI20230112BHJP
   B05C 11/10 20060101ALI20230112BHJP
【FI】
B05C5/00 101
B05C11/10
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021167591
(22)【出願日】2021-10-12
【審査請求日】2022-09-29
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】593020913
【氏名又は名称】株式会社ナカリキッドコントロール
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】池田 浩二
【審査官】鏡 宣宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-51080(JP,A)
【文献】特開2017-127791(JP,A)
【文献】特開2017-136512(JP,A)
【文献】特開2017-131854(JP,A)
【文献】特開2017-127839(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05C 1/00-21/00
B05D 1/00-7/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を加圧することにより液体を吐出する液体吐出装置であって、
加圧部と、前記加圧部の下端に設けられるノズルプレートとを備え、
前記ノズルプレートは、
液体が収容される圧力室を有する凹部と、
前記凹部の内面に開口を有し、前記凹部に液体を導入するための導入流路と、
前記凹部の底部に形成され、前記凹部に収容された液体を吐出する吐出流路と、を備え、
前記加圧部は、
加圧部本体と、
前記加圧部本体に上下方向に移動自由に支持され、下端部が前記ノズルプレートの前記凹部に収容されるように前記加圧部本体から突出し、前記導入流路から前記凹部に導入された液体を加圧して前記吐出流路から吐出させる加圧部材と、
前記加圧部材を上下方向に移動させる駆動部と、を備え、
前記加圧部材には、前記導入流路から導入された液体を前記凹部の圧力室に導入する第1流路が形成されており、前記第1流路は、前記加圧部材の側面であって前記導入流路の開口に対応する位置から前記加圧部材の底面にわたって、上下方向に対して斜めに延びる、液体吐出装置。
【請求項2】
前記第1流路は、前記加圧部材の底面に第2の開口を有する直線状の直線部と、前記加圧部材の側面に第1の開口を有し、第1の開口の径が前記直線部の径よりも大きい拡大部を有する、請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項3】
前記凹部は平面視において円形形状であり、前記加圧部材の少なくとも前記下端部は円柱形状を有し、
前記凹部に対する前記加圧部材の中心軸回りの相対回転を規制する回転規制機構をさらに備える、請求項1または2に記載の液体吐出装置。
【請求項4】
前記回転規制機構は、前記加圧部材及び前記加圧部本体のいずれか一方に設けられた突出部と、前記加圧部材及び前記加圧部本体の他方に設けられて前記突出部が収容される溝とを備える、請求項3に記載の液体吐出装置。
【請求項5】
前記駆動部は圧電素子を含み、
前記圧電素子の第1の端が前記加圧部材に当接して前記加圧部材に下方向の押圧を加える、請求項1から4のいずれかに記載の液体吐出装置。
【請求項6】
前記吐出流路は、平面視において前記凹部の重心位置からずれた位置に形成され、
前記加圧部材の底面に形成された前記第1流路の第2の開口は、重心位置を中心として前記吐出流路の位置と対称の位置にある、請求項1から5のいずれかに記載の液体吐出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体を加圧することにより液体を吐出する液体吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、半導体製造分野等においては、液体を吐出するための液体吐出装置が用いられている。例えば、特許文献1に記載の液体吐出装置200は、図7図8に示すように、ヘッド本体部201と、ヘッド本体部201に往復移動可能に装着され、下端部がヘッド本体部201から下方向に突出した加圧部材202と、ヘッド本体部201の下面に設けられた吐出ノズル203と、加圧部材202を上下方向に駆動させるアクチュエータ204とを備えている。吐出ノズル203は、ヘッド本体部201から突出する加圧部材202の下端部が収容され液体の貯留室を形成する凹部205と、凹部205に液体を導入するための導入流路206と、凹部205の底に形成された吐出流路207とを備える。
【0003】
導入流路206はシリンジ等からなる液体供給部に連結されており、液体供給部から導入流路206を介して凹部205の貯留室に液体が供給される。次いでアクチュエータ204を動作させて加圧部材202を下方向に移動させる。これにより、液体に押圧が加わり、吐出流路207の下端の吐出口から液体が吐出される。
【0004】
さらに引用文献1には、図9に示す形態が記載されている。この形態においては、導入流路206は水平方向に設けられており、吐出ノズル203は、凹部205の側壁に導入流路206の開口から凹部205の底面の方向に伸びる切欠部208を有する。切欠部208は、凹部205の側壁と加圧部材202の外周面との間の環状の隙間と連通している。液体は、導入流路206から切欠部208を介して凹部205の底の貯留室に供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2017-127837号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
図7図8の形態においては、凹部205の底に位置する貯留室に液体を供給するために、吐出ノズル203の導入流路206は直線状ではなく折れ曲がり部分を有する形状となっている。図8に示すように、導入流路206は、液体が導入される水平部分206aと、水平部分206aに連続する第1の斜め部分206bと、斜め部分206bに連続する第2の斜め部分206cとから構成されている。第1の斜め部分206bは凹部205に近づくにつれて下に向かい、凹部205の底面よりも低い位置まで延びる。第2の斜め部分206cは凹部205の底面に上向きに開口する。このため、特に、導入流路206の第1の斜め部分206bと第2の斜め部分206cとの間に液体が溜まりやすく、溜まった液体が固化して液詰まりが発生しやすい。液詰まりを解消するためにクリーニングピン等の洗浄ツールを挿入して洗浄しようとしても、導入流路206の構造が複雑であるため、洗浄が容易ではない。
【0007】
また、特許文献1の図9の形態においては、液体は導入流路206から直角に下向きに曲がって切欠部208を流れ、貯留室に導入される。切欠部208は凹部205の側壁と加圧部材202の外周面との間の環状の隙間と連通しており、また、環状の隙間は非常に狭い。このため、液媒体に粒子が高い割合で含有した粒子含有液を液体として用いた場合、切欠部208を通る際に粒子含有液の液媒体だけが環状の隙間に流れ出して粒子が切欠部208に残ってしまい、粒子含有液から粒子が分離して液詰まりが発生しやすい。
【0008】
本発明は、上記した課題に着目してなされたものであり、液詰まりが発生しにくく洗浄しやすい液体吐出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明による液体吐出装置は、液体を加圧することにより液体を吐出するものであり、加圧部と、前記加圧部の下端に設けられるノズルプレートとを備える。前記ノズルプレートは、液体が収容される圧力室を有する凹部と、前記凹部の内面に開口を有し、前記凹部に液体を導入するための導入流路と、前記凹部の底部に形成され、前記凹部に収容された液体を吐出する吐出流路と、を備える。前記加圧部は、加圧部本体と、前記加圧部本体に上下方向に移動自由に支持され、下端部が前記ノズルプレートの凹部に収容されるように前記加圧部本体から突出し、前記導入流路から前記凹部に導入された液体を加圧して前記吐出流路から吐出させる加圧部材と、前記加圧部材を上下方向に移動させる駆動部と、を備える。前記加圧部材には、前記導入流路から導入された液体を前記凹部の圧力室に導入する直線状の第1流路が形成されており、前記第1流路は、前記加圧部材の側面であって前記導入流路の開口に対応する位置から前記加圧部材の底面にわたって上下方向に対して斜めに延びる。
【0010】
上記の構成においては、液体はノズルプレートの導入流路の開口から加圧部材に形成された斜め方向に延びる直線状の第1流路を通って凹部の圧力室に導入され、従来技術のように直角や上向きに曲げられて流れるものではないため、液体が第1流路に残留しにくく、液詰まりが発生しにくい。また、第1流路の内部で液体が固化して目詰まりが発生しても、第1流路は直線状であるため、清掃ツールを挿入して容易に目詰まりを除去することができる。さらに、従来技術においては切り欠き部が凹部の側壁と加圧部材の外周面との間の環状の隙間と連通しているため、液体として粒子含有液を用いた場合に切り欠き部を通る粒子含有液から粒子が分離することがあるが、上記の構成においては、液体は導入流路から加圧部材の内部に設けられた第1流路を通って圧力室に流れるため、粒子が液体から分離せず液詰まりを防止することができる。
【0011】
好ましい実施形態においては、前記第1流路は、前記加圧部材の底面に第2の開口を有する直線状の直線部と、前記加圧部材の側面に第1の開口を有し、第1の開口の径が前記直線部の径よりも大きい拡大部を有する。
【0012】
好ましい実施形態においては、前記凹部は平面視において円形形状であり、前記加圧部材の少なくとも前記下端部は円柱形状を有し、前記加圧部材の中心軸回りの相対回転を規制する回転規制機構をさらに備える。
【0013】
好ましい実施形態においては、前記回転規制機構は、前記加圧部材及び前記加圧部本体のいずれか一方に設けられた突出部と、前記加圧部材及び前記加圧部本体の他方に設けられて前記突出部が収容される溝とを備える。
【0014】
好ましい実施形態においては、前記駆動部は圧電素子を含み、前記圧電素子の第1の端が前記加圧部材に当接して前記加圧部材に下方向の押圧を加える。
【0015】
前記吐出流路は、平面視において前記凹部の重心位置からずれた位置に形成され、前記加圧部材の底面に形成された前記第1流路の第2の開口は、重心位置を中心として前記吐出流路の位置と対称の位置にある。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、洗浄しやすい液体吐出装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態に係る液体吐出装置の概略構成を示す説明図であり、一部を断面で表した図である。
図2】液体吐出装置の要部を拡大して示す断面図である。
図3】液体吐出装置の要部を拡大して示す断面図である。
図4図2のA-A線に沿う平面図である。
図5】第1の流路、導入流路、吐出流路を拡大して示す斜視図である。
図6】加圧部材の第1の流路部分を拡大して示す断面図であり、図5のB-B線に沿う図である。
図7】従来技術を示す図である。
図8】従来技術を示す図である。
図9】従来技術を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施形態を図面を参照して説明する。図1図6は本発明の一実施形態の液体吐出装置10を示す。液体吐出装置10は、液体を加圧することにより液体を吐出するものであり、吐出する液体を液体吐出装置10に供給するための液体供給部100に接続されている。液体供給部100は、例えば、液体を貯留するシリンジ101とシリンジ101に空圧を供給するエアコンプレッサ等の空圧供給源103とが、電磁バルブ102を介して接続されたものである。電磁バルブ102が開かれると、空圧供給源103からシリンジ101内に所定の空圧が供給されて液体が押し出され、液体供給管105を介して液体吐出装置10に供給される。
【0019】
図1図2に示すように、液体吐出装置10は、加圧部11と、加圧部11の下端に設けられるノズルプレート20とを備えている。加圧部11は、加圧部本体12と、加圧部材13と、駆動部14と、回転規制機構15とを備えている。なお、本明細書においては、加圧部材13が往復動移動する方向を上下方向とする。
【0020】
加圧部本体12は、有底で上端が開口した円筒形状を呈しており、開口はベース部材16で閉鎖されている。加圧部本体12の底部12aの平面視における中央部には、加圧部材13が挿通される貫通孔12bが形成されている。底部12aの外面12cはノズルプレート20が装着される装着面である。
【0021】
加圧部材13は、ノズルプレート20の導入流路27から凹部22に導入された液体を加圧して吐出流路21eから吐出させるものである。加圧部材13は、円柱形状の小径部13aと、小径部13aの上端に取り付けられた円柱形状の大径部13bとを有しており、断面T字形状を呈している。小径部13aの径は加圧部本体12の貫通孔12bに挿通可能に設定されており、本実施形態では貫通孔12bの径を約3.1mm、小径部13aの径を約3.0mmに設定しているが、これに限定されるものではない。小径部13aは、貫通孔12bに挿通されて、下端部が加圧部本体12の底部12aより外側に突出し、後述するノズルプレート20の凹部22に収容される。
【0022】
大径部13bは加圧部本体12の内部に位置しており、その径は加圧部本体12の貫通孔12bの径よりも大きく設定されている。大径部13bの下面と加圧部本体12の底部12aの上面12dとの間には環状の皿バネ17が設けられており、後述するアクチュエータ18による加圧部材13への加圧が解除された状態で、皿バネ17は加圧部材13を上方向に付勢して第1の位置に位置させる。皿バネ17及び加圧部本体12の貫通孔12bにより、加圧部材13は加圧部本体12に着脱可能に上下方向に移動自由に支持されている。
【0023】
図3図5図6に示すように、加圧部11の小径部13aの下端部には、ノズルプレート20の導入流路27から導入された液体を凹部22に導入するための第1流路19が形成されている。第1流路19は、小径部13aの外周面(側面)13cであって導入流路27の第2の開口27bに対応する位置から、小径部13aの底面13dにわたって上下方向に対して斜め方向に沿って延びている。第1流路19は、外周面13cから例えばボールエンドミル加工により半球状の凹状に形成された拡大部19cと、底面13から例えばドリル加工により形成された直線部19dとを有している。拡大部19cは小径部13aの外周面13cに第1流路19の第1の開口19aを有し、直線部19dは加圧部材13の小径部13aの底面13dに第2の開口19bを有している。直線部19dは、軸方向に直交する面から見た形状が円形であり、直径は約0.3mmに設定されているが、これに限定されるものではない。第1流路19の拡大部19cは直線部19dと下側で連通し、第1の開口19aは直径が側面視において略円形であって直線部19dの直径よりも大きく設定され、本実施形態では直径が約0.8mmに設定されているが、これに限定されるものではない。
【0024】
図5に示すように、第1流路19の第1の開口19aは、ノズルプレート20の凹部22の内面22bの導入流路27の第2の開口27bに対向する位置にある。導入流路27の第2の開口27bは、第1流路19の第1の開口19aに対応する形状であって、側面視において略円形であり、直径は第1の開口19aよりも一回り大きい約1.0mmに設定されている。
【0025】
なお、第1流路19は、拡大部19cを有さず全長が直線部19dで形成されていてもよい。
【0026】
回転規制機構15は、加圧部材13の中心軸回りの相対回転を規制するものである。図2図4に示すように、回転規制機構15は、加圧部材13の小径部13aの外周面13cから突出した突出部であるピン15aと、加圧部本体12の底部12aの上面12dに設けられ上側が開放された溝15bとを備える。溝15bは加圧部本体12の貫通孔12bと連続して通じており、溝15bの大きさは、ピン15aが収容可能であるがピン15aが溝15bの内部で移動しないように、ピン15aよりも僅かに大きい長さ及び幅に設定されている。ピン15aが溝15bに収容されることで、加圧部材13が貫通孔12bに対して、すなわち加圧部材13の小径部13aの下端部が収容される凹部22に対して、回転することが規制される。
【0027】
なお、本実施形態の回転規制機構15の構成に代えて、加圧部本体12の貫通孔12bの側壁からピン15aを突出させ、加圧部材13の小径部13aの外周面13cに設けた溝15bにピン15aを挿入する構成としてもよい。この場合、加圧部材13が上下方向に移動自由となるように、溝15bの上下方向の長さは加圧部材13の上下方向の移動距離と同じか移動距離よりも長く設定する。
【0028】
加圧部材13とベース部材16との間には圧電素子を含むアクチュエータ18が取り付けられている。アクチュエータ18は、図示しないアクチュエータ制御部によって制御されて上下方向へ伸縮動作を行う。アクチュエータ18の上面18aはベース部材16に固定されており、ベース部材16によりアクチュエータ18の伸張時の上向きの反力が支持されている。
【0029】
アクチュエータ18は加圧部材13の大径部13bの上面13eに当接するが固定はされていない。アクチュエータ18の伸長時には、下面18bが加圧部材13の大径部13bの上面13eに当接して、加圧部材13に下方向の圧力を加える。これにより加圧部材13は、皿バネ17により上方向に付勢された第1の位置から、皿バネ17の付勢力に反して下向きに第2の位置に移動する。第1の位置と第2の位置との間の移動距離は約20μmに設定されているが、これに限定されない。
【0030】
アクチュエータ18の下面18bの大きさは加圧部材13の大径部13bの上面13eの大きさと略同じに設定されており、アクチュエータ18からの下方向の力が均等に加圧部材13に伝達される。アクチュエータ18、皿バネ17により加圧部材13を上下方向に往復動移動させる駆動部14が構成される。
【0031】
ノズルプレート20は、図2図3に示すように、加圧部本体12の底部12aの外面12cである装着面に装着されている。ノズルプレート20は、ノズル本体21と、ノズル本体21に嵌め込まれるジョイント24とを有する。ノズル本体21は略長方形状を有し、上面21aが加圧部本体12の外面12cに装着される。ノズル本体21の上面21aには、加圧部本体12の貫通孔12bに対応する位置に凹部22が形成されている。凹部22は平面から見た形状が円形であり、凹部22の径は貫通孔12bの径と略同じに設定されている。凹部22には、貫通孔12bを貫通した加圧部材13の小径部13aの下端部が収容される。本実施形態では、加圧部材13の小径部13aの外周面13cと凹部22の内面22bとの間の最短の距離は約5μmに設定されているが、これに限定されない。加圧部材13の底面13dと凹部22の底部22aとの間に、液体が収容される圧力室Sが形成される。また、凹部22の内面22bの上端には一周にわたってOリング23が収容される段部22cが形成されており、Oリング23により圧力室S内の液体が加圧部本体12に流れることを防いでいる。
【0032】
ノズル本体21の側部21bにはジョイント24接続用孔21cが形成され、ジョイント24が嵌め込まれている。ジョイント24は、Oリング25を介して、ジョイント固定板26によりネジ止め等によりノズル本体21に固定されている。ジョイント24の内部には上下方向に対して直交する方向に沿って直線状に延びるジョイント流路24aが形成され、ノズル本体21の側部21bにはジョイント流路24aと同軸に連通する直線状の本体流路21dが形成されている。すなわち、ジョイント流路24aと本体流路21dとは上下方向に対して直交する方向に沿って直線状に延びる導入流路27を形成している。ジョイント流路24aの第1の端側の開口(導入流路27の第1の開口27a)は液体供給部100と接続するための液体供給管105と接続されている。本体流路21dの第2の端側の開口(導入流路27の第2の開口27b)は、凹部22の内面22bに形成されている。
【0033】
ノズル本体21の底部22aには、底部22aを貫通し、凹部22の圧力室Sに収容された液体を吐出するための吐出流路21eが形成されている。吐出流路21eは平面視において円形であり、下に向かうほど内径が小さい先細り形状を呈している。吐出流路21eは、平面視において凹部22の重心位置Pからずれた位置であって、加圧部材13の第1流路19の第2の開口19bと重心位置Pに対して点対称の位置に形成されている。本実施形態においては、平面視において凹部22は円形状であるため、円形の中心点が重心位置Pになる。図3に示すように、断面視において、第1流路19の第2の開口19bは凹部22の中心線Lよりも左側に形成され、吐出流路21eは凹部22の中心線Lよりも右側に形成されている。これにより加圧部材13の第1流路19から供給された液体は圧力室S全体に充填されやすくなり、圧力室S内にエアだまりが発生しにくく、吐出不良が防がれる。なお、吐出流路21eの位置は本実施形態に限定されず、凹部22の底部12aのいずれの位置であってもよい。
【0034】
本実施形態の液体吐出装置10の動作について説明する。前提として、すでに圧力室Sには液体供給部100から液体が充填されているものとする。初期状態において圧力室Sに液体が充填されていない場合には、液体供給部100から圧力室Sに液体を充填しておく。初期状態での液体を充填する動作は後述の液体充填動作と同様である。
【0035】
液体吐出動作時には、アクチュエータ制御部はアクチュエータ18を伸長させ、加圧部材13を皿バネ17により上方向に付勢された第1の位置から加圧部材13を下方向に第2の位置まで移動させる。加圧部材13により圧力室Sに収容された液体が押圧され、吐出流路21eから液体が吐出される。アクチュエータ制御部は、所定の時間経過後にアクチュエータ18を縮小させる。液体の吐出が停止され、加圧部材13は皿バネ17の付勢力により押し上げられて第1の位置に戻る。
【0036】
液体吐出動作の後に圧力室Sへの液体充填動作が行われる。液体供給部100の電磁バルブ102が開かれ、空圧供給源103からシリンジ101内に所定の空圧が供給されてシリンジ101から液体が押し出され、液体供給管105を介して液体吐出装置10のノズルプレート20の導入流路27に液体が導入される。このとき、導入流路27の第2の開口27bと加圧部材13の第1流路19の第1の開口19aとは対向する位置にあり、液体は導入流路27の第2の開口27bから加圧部材13の第1流路19の第1の開口19aに流れる。凹部22の内面22bと加圧部材13の小径部13aの外周面13cとの間には僅かに隙間があるが、隙間の距離は非常に小さく設定されているため、液体は隙間から下方向に落ちることなくほぼ全てが第1流路19に流れる。また、第1流路19の第1の開口19aは導入流路27の第2の開口27bよりもわずかに小さいため、第1流路19の第1の開口19aに空気が混入することなく液体が導入される。第1流路19に導入された液体は、底面13dの第2の開口19bから凹部22の圧力室Sに導入され、圧力室Sには液体が充填される。このように、液体吐出装置10は1回の液体吐出動作が完了した後で、液体充填動作を行う。液体供給動作と液体吐出動作とを交互に繰り返すことで、液体が連続して吐出される。
【0037】
本実施形態の構成によれば、ノズルプレート20の導入流路27の第2の開口27bから、斜め方向に形成された加圧部材13の第1流路19を通って圧力室Sに導入される。第1流路19は従来技術のように直角に曲がったり上向きに液体が流れる流路ではなく、液体が下向きに直線状に流れるため、液詰まりが発生しにくく、クリーニングピンなどの清掃ツールを用いた洗浄が容易である。また、液体は導入流路27からほぼ全ての量が第1流路19を通って圧力室Sに導入されており、従来技術のように凹部22と加圧部材13の間の隙間に流れ出さない構造となっているため、液体として粒子含有液が用いられた場合であっても液体から粒子が分離しにくく、液詰まりを抑制することができる。また、ノズルプレート20を加圧部本体12から取り外して加圧部材13の小径部13aの下端部を露出させて第1流路19を洗浄することができ、洗浄のメンテナンス作業が容易となる。
【0038】
さらに、本実施形態においては回転規制機構15を備えているため、第1流路19の第1の開口19aの位置と導入流路27の第2の開口27bの位置とがずれるのを防止することができる。
【0039】
また、本実施形態ではアクチュエータ18に圧電素子を用いている。圧電素子は一般に引張応力に弱い構造を有しており、アクチュエータ18が加圧部材13に固定されている場合には、アクチュエータ18の縮小時に加圧部材13の質量によってアクチュエータ18に作用する引張応力が大きくなり、アクチュエータ18の破損の原因となる。しかし、本実施形態においては、アクチュエータ18は加圧部材13に当接して加圧部材13に下方向の力を加えるが、加圧部材13に固定されていないので、アクチュエータ18の縮小時にアクチュエータ18の破損を防ぐことができる。
【0040】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0041】
10 液体吐出装置
11 加圧部
12 加圧部本体
13 加圧部材
14 駆動部
15 回転規制機構
15a 突出部(ピン)
15b 溝
18 アクチュエータ(圧電素子)
19 第1流路
19a 第1の開口
19b 第2の開口
20 ノズルプレート
21e 吐出流路
22 凹部
22a 底部
27 導入流路
S 圧力室
【要約】
【課題】液詰まりが発生しにくく洗浄しやすい液体吐出装置を提供する。
【解決手段】
液体を加圧することにより液体を吐出する液体吐出装置10であって、加圧部11と、加圧部11の下端に設けられるノズルプレート20とを備える。ノズルプレート20は、液体が収容される圧力室Sを有する凹部22と、凹部22に液体を導入する直線状の導入流路27と、凹部22の底部22aに形成され液体を吐出する吐出流路21eと、を備える。加圧部11は、加圧部本体12と、加圧部本体12に上下方向に移動自由に支持され、下端部がノズルプレートの凹部22に収容され、液体を加圧して吐出流路21eから吐出させる加圧部材13と、加圧部材13を上下方向に移動させる駆動部14と、を備え、加圧部材13には、導入流路27から導入された液体を凹部22に導入する直線状に斜めに延びる第1流路19が形成されている。
【選択図】図2
図1
図2
図3
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図5
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図8
図9