(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-11
(45)【発行日】2023-01-19
(54)【発明の名称】センサ
(51)【国際特許分類】
G01N 27/416 20060101AFI20230112BHJP
G01N 27/02 20060101ALI20230112BHJP
G01F 23/24 20060101ALI20230112BHJP
H01M 14/00 20060101ALI20230112BHJP
【FI】
G01N27/416 341Z
G01N27/02 Z
G01F23/24 N
H01M14/00 Z
(21)【出願番号】P 2022530033
(86)(22)【出願日】2021-03-17
(86)【国際出願番号】 JP2021010940
(87)【国際公開番号】W WO2021250970
(87)【国際公開日】2021-12-16
【審査請求日】2022-06-22
(31)【優先権主張番号】P 2020102687
(32)【優先日】2020-06-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】399131116
【氏名又は名称】トライポッド・デザイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001782
【氏名又は名称】特許業務法人ライトハウス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中川 聰
【審査官】小澤 理
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-331508(JP,A)
【文献】特開平04-113231(JP,A)
【文献】特開2018-200299(JP,A)
【文献】特開2012-255790(JP,A)
【文献】国際公開第2016/166911(WO,A1)
【文献】特開2020-046336(JP,A)
【文献】特開2019-101342(JP,A)
【文献】特開平09-101284(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 27/416
G01N 27/02
G01F 23/24
H01M 14/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一導電部及び第二導電部と、
媒体と、
機能部と
を備え、
第一導電部及び機能部は接続されており、
第二導電部及び機能部は接続されており、
第一導電部及び第二導電部の少なくとも一部が該媒体と接触し、
第一導電部及び第二導電部は、互いに非接触であり、
第一導電部及び第二導電部が異なる素材からなり、
第一導電部及び第二導電部の少なくとも一部が該媒体と接触することによって発電する、システムを備えるセンサであって、
システムの内部インピーダンスが、所定の条件を満たすことを検知する、センサ。
【請求項2】
第一導電部及び第二導電部と、
媒体と、
機能部と
を備え、
第一導電部及び機能部は接続されており、
第二導電部及び機能部は接続されており、
第一導電部及び第二導電部の少なくとも一部が該媒体と接触し、
第一導電部及び第二導電部は、互いに非接触であり、
第一導電部及び第二導電部が異なる素材からなり、
第一導電部及び第二導電部の少なくとも一部が該媒体と接触することによって発電する、システムを備えるセンサであって、
システム内の所定の電圧が、所定の条件を満たすことを検知する、センサ。
【請求項3】
第一導電部及び第二導電部と、
媒体と、
機能部と
を備え、
第一導電部及び機能部は接続されており、
第二導電部及び機能部は接続されており、
第一導電部及び第二導電部の少なくとも一部が該媒体と接触し、
第一導電部及び第二導電部は、互いに非接触であり、
第一導電部及び第二導電部が異なる素材からなり、
第一導電部及び第二導電部の少なくとも一部が該媒体と接触することによって発電する、システムを備えるセンサであって、
システムの内部インピーダンスの単位時間当たりの変化量が、所定の条件を満たすことを検知するセンサ。
【請求項4】
第一導電部及び第二導電部と、
媒体と、
機能部と
を備え、
第一導電部及び機能部は接続されており、
第二導電部及び機能部は接続されており、
第一導電部及び第二導電部の少なくとも一部が該媒体と接触し、
第一導電部及び第二導電部は、互いに非接触であり、
第一導電部及び第二導電部が異なる素材からなり、
第一導電部及び第二導電部の少なくとも一部が該媒体と接触することによって発電する、システムを備えるセンサであって、
システム内の所定の電圧の単位時間当たりの変化量が、所定の条件を満たすことを検知する、センサ。
【請求項5】
機能部が、昇圧回路又は降圧回路を備える、請求項1~4のいずれかに記載のセンサ。
【請求項6】
機能部が、昇圧回路又は降圧回路を備え、
システム内の所定の電圧が、昇圧回路又は降圧回路の入力電圧又は出力電圧である、請求項2又は4に記載のセンサ。
【請求項7】
機能部が、出力インピーダンスを変換する変換機能を有する、請求項1~6のいずれかに記載のセンサ。
【請求項8】
機能部が蓄電部を有し、
第一導電部及び/又は第二導電部から供給される電荷を蓄電部が蓄積し、
蓄積に要した時間よりも短い時間で、蓄積した電荷を放出する機能を有する、請求項1~7のいずれかに記載のセンサ。
【請求項9】
機能部が出力電圧変換部を有する、請求項1~8のいずれかに記載のセンサ。
【請求項10】
機能部の入力インピーダンスが非線形な電流-電圧特性を有する、請求項1~9のいずれかに記載のセンサ。
【請求項11】
媒体が水分を含有する土を含むものである、請求項1~
10のいずれかに記載のセンサ。
【請求項12】
第一導電部及び第二導電部と、
機能部と
を備え、
第一導電部及び機能部は接続されており、
第二導電部及び機能部は接続されており、
第一導電部及び第二導電部は、互いに非接触であり、
第一導電部及び第二導電部が異なる素材からなり、
第一導電部及び第二導電部に媒体を接触させることで構成され、発電するシステムの内部インピーダンスが、所定の条件を満たすことを検知する、装置。
【請求項13】
第一導電部及び第二導電部と、
機能部と
を備え、
第一導電部及び機能部は接続されており、
第二導電部及び機能部は接続されており、
第一導電部及び第二導電部は、互いに非接触であり、
第一導電部及び第二導電部が異なる素材からなり、
第一導電部及び第二導電部に媒体を接触させることで構成され、発電するシステム内の所定の電圧が、所定の条件を満たすことを検知する、装置。
【請求項14】
第一導電部及び第二導電部と、
機能部と
を備え、
第一導電部及び機能部は接続されており、
第二導電部及び機能部は接続されており、
第一導電部及び第二導電部は、互いに非接触であり、
第一導電部及び第二導電部が異なる素材からなり、
第一導電部及び第二導電部に媒体を接触させることで構成され、発電するシステムの内部インピーダンスの単位時間当たりの変化量が、所定の条件を満たすことを検知する、装置。
【請求項15】
第一導電部及び第二導電部と、
機能部と
を備え、
第一導電部及び機能部は接続されており、
第二導電部及び機能部は接続されており、
第一導電部及び第二導電部は、互いに非接触であり、
第一導電部及び第二導電部が異なる素材からなり、
第一導電部及び第二導電部に媒体を接触させることで構成され、発電するシステム内の所定の電圧の単位時間当たりの変化量が、所定の条件を満たすことを検知する、装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自立した電源で稼働するセンサに関する。
【背景技術】
【0002】
ボルタ電池やダニエル電池のように、異なる二種類の金属を電極とし、電解液に浸すことで、それぞれの電極において、酸化反応又は還元反応を生じさせ、電子の流れる経路を作り出す装置(つまり、電池)がある。
【0003】
電池の電解液として使用される液体は、化学やけどのおそれ、火災又は爆発のおそれ、あるいは有毒なガスの発生等、人体や環境に悪影響を与える可能性があり、電解液の取り扱いは非常に難しいものであった。加えて、製品化をする際において、液漏れを起こさないようにしなければならず、コストが増大するという課題があった。
【0004】
ところで、近年は、可視光、熱、電波、あるいは微生物による有機物の分解処理等の微小なエネルギーを電力に変換するエネルギーハーヴェスティング技術が注目されており、エネルギーハーヴェスティング技術を利用して、自立電源を実用化する研究がなされている。さらに、IoT分野では、センサと自立電源を組み合わせる事で、さまざまな環境において、いろいろな情報を得ることを可能とする手段として研究が進んでいる。
【0005】
センサ等に使用される自立電源型の装置としては、太陽光発電を利用することが検討されているが(例えば、特許文献1参照)、時間帯や天候の影響を受けやすく、安定した電力供給ができないことがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の少なくとも1つの目的は、自立した電源で稼働することができる、センサを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、上記目的は、[1]~[14]により解決することができる。
[1]第一導電部及び第二導電部と、媒体と、機能部とを備え、第一導電部及び機能部は接続されており、第二導電部及び機能部は接続されており、第一導電部及び第二導電部の少なくとも一部が該媒体と接触し、第一導電部及び第二導電部は、互いに非接触である、システムを備えるセンサであって、システムの内部インピーダンスが、所定の条件を満たすことを検知する、センサ;
[2]第一導電部及び第二導電部と、媒体と、機能部とを備え、第一導電部及び機能部は接続されており、第二導電部及び機能部は接続されており、第一導電部及び第二導電部の少なくとも一部が該媒体と接触し、第一導電部及び第二導電部は、互いに非接触である、システムを備えるセンサであって、システム内の所定の電圧が、所定の条件を満たすことを検知する、センサ;
[3]第一導電部及び第二導電部と、媒体と、機能部とを備え、第一導電部及び機能部は接続されており、第二導電部及び機能部は接続されており、第一導電部及び第二導電部の少なくとも一部が該媒体と接触し、第一導電部及び第二導電部は、互いに非接触である、システムを備えるセンサであって、システムの内部インピーダンスの単位時間当たりの変化量が、所定の条件を満たすことを検知するセンサ;
[4]第一導電部及び第二導電部と、媒体と、機能部とを備え、第一導電部及び機能部は接続されており、第二導電部及び機能部は接続されており、第一導電部及び第二導電部の少なくとも一部が該媒体と接触し、第一導電部及び第二導電部は、互いに非接触である、システムを備えるセンサであって、システム内の所定の電圧の単位時間当たりの変化量が、所定の条件を満たすことを検知する、センサ;
[5]機能部が、昇圧回路又は降圧回路を備える、[1]~[4]のいずれかに記載のセンサ;
[6]機能部が、昇圧回路又は降圧回路を備え、システム内の所定の電圧が、昇圧回路又は降圧回路の入力電圧又は出力電圧である、[2]又は[4]に記載のセンサ;
[7]機能部が、出力インピーダンスを変換する変換機能を有する、[1]~[6]のいずれかに記載のセンサ;
[8]機能部が蓄電部を有し、第一導電部及び/又は第二導電部から供給される電荷を蓄電部が蓄積し、蓄積に要した時間よりも短い時間で、蓄積した電荷を放出する機能を有する、[1]~[7]のいずれかに記載のセンサ;
[9]機能部が出力電圧変換部を有する、[1]~[8]のいずれかに記載のセンサ;
[10]機能部の入力インピーダンスが非線形な電流-電圧特性を有する、[1]~[9]のいずれかに記載のセンサ;
[11]第一導電部及び第二導電部と、機能部とを備え、第一導電部及び機能部は接続されており、第二導電部及び機能部は接続されており、第一導電部及び第二導電部は、互いに非接触であり、第一導電部及び第二導電部に媒体を接触させることで構成されるシステムの内部インピーダンスが、所定の条件を満たすことを検知する、装置;
[12]第一導電部及び第二導電部と、機能部とを備え、第一導電部及び機能部は接続されており、第二導電部及び機能部は接続されており、第一導電部及び第二導電部は、互いに非接触であり、第一導電部及び第二導電部に媒体を接触させることで構成されるシステム内の所定の電圧が、所定の条件を満たすことを検知する、装置;
[13]第一導電部及び第二導電部と、機能部とを備え、第一導電部及び機能部は接続されており、第二導電部及び機能部は接続されており、第一導電部及び第二導電部は、互いに非接触であり、第一導電部及び第二導電部に媒体を接触させることで構成されるシステムの内部インピーダンスの単位時間当たりの変化量が、所定の条件を満たすことを検知する、装置;
[14]第一導電部及び第二導電部と、機能部とを備え、第一導電部及び機能部は接続されており、第二導電部及び機能部は接続されており、第一導電部及び第二導電部は、互いに非接触であり、第一導電部及び第二導電部に媒体を接触させることで構成されるシステム内の所定の電圧の単位時間当たりの変化量が、所定の条件を満たすことを検知する、装置。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、自立した電源で稼働することができるセンサを、提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施の形態にかかる、システムの構成を示すブロック図である。
【
図2】本発明の実施の形態にかかる、電力変換部の構成を示すブロック図である。
【
図3】本発明の実施の形態にかかる、システムを表す図である。
【
図4】本発明の実施の形態にかかる、システム内のトランジスタのON-OFFを切り替えた場合における、時間と電流Iの関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。以下、効果に関する記載は、本発明の実施の形態の効果の一側面であり、ここに記載するものに限定されない。
【0012】
図1は、本発明の実施の形態にかかる、システムの構成を示すブロック図である。
図1(A)~(E)に図示するように、システムは、第一導電部1と、第二導電部2と、機能部3と、媒体4とから構成される。第一導電部1及び機能部3、並びに、機能部3及び第二導電部2は、それぞれ電気的に接続されている。「電気的に接続」とは、例えば、導線等により通電可能に接続されることをいう。
【0013】
第一導電部1及び第二導電部2の一部又は全部が、媒体4と接触している。第一導電部1及び第二導電部2は、互いに非接触である。「非接触」とは、例えば、第一導電部1と第二導電部2とが直接接触していない状態をいう。
【0014】
第一導電部1が媒体4に接触する位置、及び、第二導電部2が媒体4に接触する位置の距離は、1cm以上離れていることが好ましく、10cm以上離れていることがより好ましく、100cm以上離れていることがさらに好ましく、1000cm(10m)以上離れていることが特に好ましい。
【0015】
第一導電部1及び第二導電部2は、いずれも導電性を有することが好ましい。ここで、第一導電部1及び第二導電部2の素材として、例えば、金属、導電性ポリマー、カーボン等が挙げられる。第一導電部1及び第二導電部2の形状は、特に限定されない。第一導電部1及び第二導電部2の形状は、直方体状、円柱状(棒状)、角錐状、円錐状、板状又は紐状であってもよく、形状を問わない。
【0016】
第一導電部1及び第二導電部2に用いられる金属としては、例えば、銀、銅、金、アルミニウム、マグネシウム、亜鉛、ニッケル、白金、スズ、チタン、ステンレス、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、又は、その他上述の金属夫々の酸化物などから適宜選択して用いることができる。また、所定の金属に、所定の金属とは異なる他の金属や、他の導電性を有する材料が被膜されていてもよい。
【0017】
第一導電部1と第二導電部2の素材は、異なる種類のものを用いてもよく、同じ種類のものを用いてもよい。例えば、第一導電部1に、ステンレス製の円柱状の棒材を用い、第二導電部2に亜鉛製の円柱状の棒材を用いることができる。この場合、第一導電部1及び第二導電部2は、機能部3または昇圧回路・降圧回路と導線により接続される。
【0018】
交流インピーダンス法を用いて、第一導電部1及び第二導電部2の少なくとも一方に対して分極抵抗を測定した場合に、測定値が100Ω以上であることが好ましい。
【0019】
ここで、電流の起点となる導電部を第一導電部1として定義し、終点となる導電部を第二導電部2として定義する。いずれの導電部が第一導電部1として機能するかは、導電部の材質、又は、導電部を取り巻く環境(例えば、温度、湿度、気圧、pHなど)により決定される。第一導電部1又は第二導電部2と媒体4の界面で、化学反応が行われ、導電部に自由電子が発生する。
【0020】
例えば、第一導電部1と第二導電部2において異なる金属を用いた場合には、標準電極電位が低い金属を用いた方が第一導電部1に、標準電極電位が高い金属を用いた方が第二導電部2になる。この場合、第二導電部2から機能部3へ向かって電子が移動し、機能部3から第一導電部1へ向かって電子が移動する。すなわち、第一導電部1側から機能部3を介して第二導電部2側へ電流が生じる。例えば、第二導電部2では、導電部を構成する金属が媒体4中に陽イオンとして溶出して、自由電子が発生し、第一導電部1では、媒体4の水中の陽イオンが電子と反応し、電気的に中和される。
【0021】
標準電極電位の高低は、物質同士の標準電極電位の相対的な値(相対値)を比較して定められるものであって、標準電極電位の絶対値を用いて比較するものではない。例えば、標準電極電位が-5Vの物質Aと+2Vの物質Bとを比較した場合に、物質Aの標準電極電位は低く、物質Bの標準電極電位は高い。
【0022】
一方、導電部に同一の金属を用いた場合でも、例えば、温度、湿度、気圧、pHなど、導電部の周辺環境の条件により、いずれかの導電部が第一導電部1として、他方の導電部が第二導電部2として機能し、電流が生じる。よって、2つの導電部の周囲温度、湿度、気圧、pHなどの条件が変われば、第一導電部として機能していたものが第二導電部として機能し、第二導電部として機能していたものが第一導電部として機能することもあり得る。
【0023】
第一導電部1及び第二導電部2から生じる起電力は、0.9V以下であることが好ましく、0.35V以下であることがより好ましく、0.25V以下であることがさらに好ましい。また、第一導電部1及び第二導電部2から生じる起電力は、5mV以上であることが好ましい。
【0024】
機能部3は、例えば、通電することで所定の機能を実行するものをいう。機能部3は、電力を消費して所定の機能を発揮する電力消費部、導電部にて発生した電気を蓄電する蓄電部、昇圧回路や降圧回路のように出力する電圧を変換する出力電圧変換部等、回路を制御するマイコン等の制御部、他の装置と無線による通信が可能な通信部等を含むことができる。
【0025】
電力消費部としては、例えば、白熱電球や発光ダイオードなどの光源、熱を発する発熱体、音を発する発音体、又は、信号を発する発信体等のいずれかを採用することができる。蓄電部は、昇圧回路又は降圧回路に含まれていてもよい。マイコン等の制御部は、回路を制御して、蓄電部に蓄電した電気を所定の条件で放出させることができる。放出された電気は、電力消費部にて消費される。また、マイコン等の制御部においても、わずかではあるが電力が消費されるため、制御部を起動させるのに必要な電力を確保しつつ、蓄電した電気を放出するように制御することができる。
【0026】
機能部3は、電力消費部、蓄電部、出力電圧変換部、通信部及び制御部のいずれか1つを備えていればよく、電力消費部、蓄電部、出力電圧変換部、通信部及び制御部のいずれか2つ以上を組み合わせて構成したものを機能部3としてもよい。また、機能部3は、電力消費部、蓄電部、出力電圧変換部、通信部及び制御部のいずれか2つ以上を一体に構成したものであってもよく、電力消費部、蓄電部、出力電圧変換部、通信部及び制御部のいずれかを、電気的に接続しつつ、それぞれ別々に構成したものであってもよい。
【0027】
機能部3における入力インピーダンスは、1kΩ以上であることが好ましく、10kΩ以上であることがより好ましい。また、機能部3の入力インピーダンスは、非線形な電流-電圧特性(I-V特性)を有することが好ましい。非線形な電流-電圧特性とは、例えば、機能部3に電流を流した際の電圧変化において、電流値が大きくなるに従って電圧値が高くなるが、電流値が大きくなるに従って、電流値を大きくするために必要となる電圧値の上がり幅が大きくなり、電圧が電流に比例しないような場合をいう。言い換えると、機能部3に加えた電圧値が高くなるに従って電流値が大きくなるが、電圧値が高くなるに従って、電圧値を高くすることで電流値が大きくなる度合が小さくなり、電流値が電圧値に比例しないような場合をいう。機能部3における入力インピーダンスが非線形な電流-電圧特性を有することで、第一導電部1と第二導電部2との間で生じた起電力が維持しやすくなる。
【0028】
機能部3は、出力インピーダンスを変換する機能を有することが好ましい。これにより、機能部3の入力信号に与える影響を制御することができる。
【0029】
また、機能部3は、蓄電部を有し、第一導電部及び/又は第二導電部から供給される電荷を蓄積する。制御部は、電荷を蓄積するのに要した時間よりも短い時間で、蓄積した電荷を放出するように制御する。
【0030】
機能部3の動作電圧の下限値は、0.9V以下で動作することが好ましい。0.35V以下で動作することがより好ましく、20mV以下で動作することがさらに好ましい。
【0031】
媒体4は、気体、液体、及び固体のうちいずれの形態であってもよい。媒体4は、ゾル又はゲル状のものであってもよい。媒体4は、第一導電部1又は第二導電部2との界面で、化学反応を起こし得るものであれば、特に限定されない。媒体4は、電解質を含むものであることとしてもよい。媒体4としては、導電性を有しないものを用いることが好ましい。気体としては、本システムを構成する際に気体であれば特に限定されないが、例えば、酸素、二酸化炭素、窒素、水素、メタン等が挙げられる。媒体4として気体を用いる場合は、単一の種類の気体のみを用いてもよいが、これらの気体の複数種類を混合したものを用いてもよい。
【0032】
媒体4として用いられる液体も、本システムを構成する際に液体であれば特に限定されないが、例えば、水だけでなく、極性の高い有機溶剤や極性の低い有機溶剤、或いは、非極性の有機溶剤を用いることができる。また、媒体4として用いられる液体は、水と極性の高い有機溶剤との混合物や、異なる2種以上の有機溶剤の混合物や、エマルションなども用いることができる。水は純水だけでなく、電解質を含むものを用いることができる。
【0033】
水に含まれる電解質のうち、陽イオンの濃度は、1mol/L以下であってもよく、0.6mol/L以下であってもよく、0.1mol/L以下であってもよく、0.01mol/L以下であってもよく、0.001mol/L以下であってもよく、さらには、0.0001mol/L以下であってもよい。
【0034】
極性の高い有機溶剤としては、例えば、メタノールやエタノールなどの低級アルコール、蟻酸や酢酸などの低級カルボン酸、アセトン、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシドなどを用いることができる。また、極性の低い有機溶剤としては、ヘキサノールやオクタノールなどの高級アルコール、ヘキサン酸やオクタン酸などの高級カルボン酸などを用いることができる。非極性の有機溶剤としては、例えば、ヘキサン、オクタン、ノナンなどの脂肪族炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族化合物があげられる。媒体4として液体を用いる場合は、単一の種類の液体のみを用いてもよいが、これらの液体の複数種類を混合したものを用いてもよい。
【0035】
媒体4として用いられる固体も、本システムを構成する際に固体であれば特に限定されないが、例えば、木材、プラスチック、金属、セラミックス、コンクリートなどであってもよい。なお、媒体4として用いられる固体としては、これらの他、例えば、砂や土などの粉体状又は粒状の固体を用いることができ、さらに、複数の石や岩を重ねたものを用いることもできる。砂や土、石や岩を重ねたものを媒体4として用いた場合、媒体4中に微細な空隙が発生するが、このような空隙があったとしても、媒体4が物理的に接続されていればよい。
【0036】
媒体4は、異なる組成や特性を有するものが物理的に接続して、1つの媒体4を構成することができる。例えば、第一導電部1にプラスチックが接しており、第二導電部2に木材が接しているような場合に、プラスチックと木材が接することで、プラスチックと木材が媒体4として機能する。
【0037】
媒体4の第一導電部1と第二導電部2間の抵抗値は、1kΩ以上であることが好ましく、10kΩ以上であることがより好ましい。
【0038】
媒体4は、絶縁体であってもよい。絶縁体とは、例えば、不導体をいい、電気あるいは熱を通しにくい性質をもつ物質をいう。絶縁体の電気伝導率は、10-5S/m以下であることが好ましく、10-8S/mであることがより好ましく、10-11S/mであることがさらに好ましい。
【0039】
媒体4は、水分を含むことが好ましい。砂や土などの媒体4の含水率は、1質量%以上であることが好ましく、5質量%以上であることがより好ましく、10質量%以上であることがさらに好ましい。また、媒体4の含水率は、200質量%以下であることが好ましい。ここで、含水率とは、水分の重量を水分及び固形分の重量の和で除したものをいう。
【0040】
本発明の実施の形態にかかるシステムは、
図1(A)に示すように、第一導電部1と、第二導電部2と、機能部3と、媒体4とから構成される。媒体4は、第一導電部1と第二導電部のいずれにも接触しており、機能部3は、第一導電部1と第二導電部2と電気的に接続されている。
【0041】
本発明の実施の形態にかかるシステムは、
図1(B)に示すように、媒体4に代えて、媒体4a及び媒体4bを用いるようにしてもよい。媒体4a及び媒体4bは、互いに異なる種類の媒体であってもよいし、同じ種類の媒体であってもよい。
図1(B)では、媒体4aと媒体4bはそれぞれ異なる容器に収容されており、非接触の状態である。
【0042】
本発明の実施の形態にかかるシステムは、
図1(C)に示すように、媒体4を使用せず、第一導電部1及び第二導電部2を電気的に接続するようにしてもよい。
【0043】
本発明の実施の形態にかかるシステムは、
図1(D)に示すように、複数の第一導電部1a、1b・・・1n(nは、2以上の整数)を並列に、電気的に接続するようにしてもよい。また、複数の第二導電部2a、2b、・・・2m(mは、2以上の整数)を並列に、電気的に接続するようにしてもよい。なお、複数の第一導電部1a、1b・・・1nを直列に、電気的に接続するようにしてもよい。さらに、複数の第二導電部2a、2b、・・・2mを直列に、電気的に接続するようにしてもよい。
【0044】
本発明の実施の形態の少なくとも1つは、
図1(E)に示すように、第一導電部1の一部又は全部が絶縁部5aにより覆われ、かつ、第二導電部2の一部又は全部が絶縁部5bにより覆われていてもよい。絶縁部5a及び5bを互いに接触させることで、絶縁部5a及び5bが媒体4として機能する。ここで、絶縁部5a及び5bは、互いに異なる絶縁体により構成されていてもよいし、同一の組成又は性質を有する絶縁体により構成されていてもよい。
【0045】
図1(A)~(E)に示した構成をそれぞれ組み合わせて構成してもよい。本発明の効果を奏する態様であれば、組み合わせを限定するものではない。
【0046】
図2は、本発明の実施の形態にかかる、電力変換部の構成を示すブロック図である。
図2(A)は、本発明の実施の形態にかかる、昇圧回路の回路図である。昇圧回路又は降圧回路は、機能部3の一例であり、蓄電部を備えている。
【0047】
図示するように、インダクタL、ダイオードD、トランジスタTr、及びコンデンサCが電気的に接続されている。例えば、入力端子A1は、第一導電部1と接続され、入力端子A2は、第二導電部2と接続されている。出力端子B1及び出力端子B2は、電力消費部や制御部等と接続されている。なお、制御部は、昇圧回路と、第一導電部1及び第二導電部2との間で、昇圧回路と並列になるように接続されていてもよい。
【0048】
トランジスタTrがONである場合に、入力電圧VINが印加されると、インダクタLに電気エネルギーが蓄電される。入力電圧VINは、接続点P1と接続点P2の電位差である。トランジスタTrがOFFである場合に、入力電圧VINに由来する電気エネルギーに、インダクタLに蓄電されたエネルギーが加算され、ダイオードDを介して出力される。その結果、入力電圧VINよりも接続点P3と接続点P4の電位差である出力電圧VOUTの方が高い電圧となる。昇圧回路は、入力電圧VINが所定の電圧よりも低い電圧であることを前提にするもので、所定の電圧よりも高い電圧では昇圧制御が実行されないようなものであってもよい。昇圧回路の入力電圧VINは、5mV以上であることが好ましい。なお、トランジスタTrのON/OFFは、制御部により制御される。
【0049】
図2(B)は、本発明の実施の形態にかかる、降圧回路の回路図である。図示するように、トランジスタTr、インダクタL、ダイオードD、及びコンデンサCが電気的に接続される。例えば、入力端子A1は、第一導電部1と接続され、入力端子A2は、第二導電部2と接続されている。出力端子B1及び出力端子B2は、電力消費部や制御部等と接続されている。なお、制御部は、降圧回路と、第一導電部1及び第二導電部2との間で、降圧回路と並列になるように接続されていてもよい。
【0050】
トランジスタTrがONの場合には、インダクタLに電気エネルギーが蓄電される。入力電圧VINは、接続点P11と接続点P12の電位差であり、出力電圧VOUTは、接続点P13と接続点P14の電位差である。この場合、入力電圧VINは、出力電圧VOUTとほぼ等しくなる。トランジスタTrがOFFとなると、インダクタLの左端にある接続点P15の電位が接続点P14の電位よりも低くなるため、出力電圧VOUTの方が低い電圧となる。降圧回路は、入力電圧VINが所定の電圧よりも高い電圧であることを前提にするもので、所定の電圧よりも低い電圧では降圧制御が実行されないようなものであってもよい。なお、トランジスタTrのON/OFFは、制御部により制御される。
【0051】
次に、本発明のシステムの内部インピーダンスの測定方法について説明をする。
図3は、本発明の実施の形態にかかる、システムを表す図である。第一導電部1及び第二導電部2の電位差をV
1
INと定義し、接続点P
1と接続点P
2の電位差をV
2
INと定義することができる。接続点P
5と接続点P
6の電位差をV
1
OUTと定義し、接続点P
3と接続点P
4の電位差をV
2
OUTと定義することができる。本発明のシステムにより発電が行われると、第一導電部1と第二導電部2との間で、起電力V
1
INにより電流Iが接続点P
1と接続点P
5の方向に流れる。
【0052】
図3に図示するように、第一導電部1は接続点P
1にて、第二導電部2は接続点P
2にて昇圧回路と接続されている。昇圧回路は、インダクタL、ダイオードD、トランジスタTr、及びコンデンサCが電気的に接続されている。
【0053】
図4は、本発明の実施の形態にかかる、システム内のトランジスタのON-OFFを切り替えた場合における、時間と電流Iの関係を示す図である。ここで、V
1
OUTとV
2
INの関係は、インダクタLに流れる電流IとインダクタンスL1を用いて、式(1):V
1
OUT-V
2
IN=-L1×dI/dtで表すことができる。トランジスタTrがONの場合は、V
1
OUT=0なので、式(2):V
2
IN=L1×dI/dtを導き出すことができる。この場合、dI/dtは正の値であり、時間と共に電流Iは増加する。一方で、トランジスタTrがOFFの場合は、V
1
OUT>V
2
INとなるから、式(1):V
1
OUT-V
2
IN=-L1×dI/dtから、dI/dtは負の値となることが分かる。この場合、時間と共に電流Iは減少する。トランジスタTrのONとOFFは定期的に繰り返される。
【0054】
ここで、第一導電部1、第二導電部2及び媒体4を1種の電池として捉えると、起電力V1
INにより電流Iが流れると考えることができる。この場合に、媒体4により起因する内部インピーダンスをZと定義すると、入力電圧と内部インピーダンスとの関係は、式(3):V1
IN=Z×I+V2
INで表すことができる。
【0055】
また、トランジスタTrがOFFとなっている間(以下、TOFF期間という)、電流IによってコンデンサCに電荷Qがチャージされる。TOFF期間中に、接続点P3において上昇した電圧をΔVとし、コンデンサCのコンデンサ容量をC1とすると、式(4):Q=∫Idt=C1×ΔVが成立する。
【0056】
式(2)と式(3)から、V
1
IN=L1×dI/dt+Z×Iが導きだされる。この方程式を解くと、Aを積分定数として、式(5):I(t)=V
1
IN/Z+A×e
(-Z/L1×t)が導き出される。トランジスタTrがOFFからONに切り替わった時間をt=0とした場合、
図4から明らかなように、t=0の時、電流Iはゼロである。そこで、t=0、I=0を式(5)に代入すると、A=-V
1
IN/Zの関係が成立することが分かる。このA=-V
1
IN/Zを式(5)に代入すると、式(6):I(t)=V
1
IN/Z×(1-e
(-Z/L1×t))を導きだすことができる。トランジスタTrがONとなっている間(以下、T
on期間という)の電流Iは、式(6)より算出できる。トランジスタTrがONになっている時間を十分にとると、電流Iの最大値はV
1
IN/Zとなる。
【0057】
T
on期間が終了し、T
off期間が開始した時(つまり、トランジスタTrがOFFからONに切り替わってから時間T1が経過した時)における電流Iは、式(6)にt=T1を代入することにより算出することができる。これは、
図4からもわかるように、電流Iには、連続性があるためである。(1-e
(-Z/L1×T1))=K(定数)と置き換えると、t=T1における電流Iは、I(T1)=V
1
IN/Z×(1-e
(-Z/L1×T1))=K×V
1
IN/Zで表すことができる。なお、Kは0≦K<1の関係を満たし、Z/L1×T1の値が十分に大きくなると、Kは1に近似することができる。
【0058】
次に、式(1)と式(3)により、式(7):L1×dI/dt+Z×I=V1
IN-V1
OUTを導きだすことができる。さらに、式(4)より、V2
OUTは、∫Idt/C1+Vstartで表すことができる。ここで、Vstartは、Toff期間の開始時(t=T1)のコンデンサCの電圧であり、定数である。ダイオードDの閾値電圧をVfとすれば、式(8):V1
OUT=V2
OUT+Vf=∫Idt/C1+Vstart+Vf=∫Idt/C1+V´outを導きだすことができる。なお、ここでV´out=Vstart+Vfは定数である。
【0059】
さらに、式(7)及び式(8)から、式(9):∫Idt/C1+Z×I+L1×dI/dt=V1
IN-V´outを導きだすことができる。式(9)の微分方程式を解くことで、Toff期間の電流Iを時間t、コンデンサ容量C1、内部インピーダンスZ、インダクタンスL1、V1
IN、V´out、Kの関数で表すことができる。Toff期間の開始時間をt=0とした場合に、その時の電流Iの初期値I(0)はI(0)=K×V1
IN/Zである。Toff期間が終了した時(つまり、トランジスタTrがONからOFFに切り替わってから時間T2が経過し、電流Iがゼロとなった時)、I(T2)=0である。コンデンサ容量C1、インダクタンスL1、V´outは定数であり、I(0)、T2を測定すれば、V1
INとZの値をそれぞれ算出することができる。
【0060】
Zについては、上で述べた方法と異なり、簡易的に求めることも可能である。T
off期間中、V
1
OUTは、V
2
INに比べて10倍ほど大きい電圧であるため、dI/dtも大きな値となる。この場合、式(4)における∫Idtは、
図4において三角形Sの面積に相当する。従って、式(4)より式(9):∫Idt=K×V
1
IN/Z×T2/2=C1×ΔVが導きさせる。ここで、T
on時間を十分に長くとればK≒1と近似できるから、式(9)にK=1を代入すると、式(10):V
1
IN/Z×T2/2=C1×ΔVが導き出される。C1は定数であり、T
off期間を十分に長くとった時点(電流Iが最小値となった時点)でのΔV、T
off期間を十分に長くとった時点(電流Iが最小値となった時点)でのV
1
IN、T2(V
1
OUTがV
2
INと等しくなったときの時間)から、Zを算出することができる。なお、T
off期間を十分に長くとった時点(電流Iが消費された時点)では、V
1
IN=V
2
INであるため、V
2
INを測定することで、V
1
INを特定することができる。
【0061】
なお、内部インピーダンスZの算出は、制御部により実行される。
【0062】
(センサの第一の実施の形態)
本発明の第一の実施の形態にかかるセンサは、上記したシステムを活用したセンサである。上記のシステムにおける内部インピーダンスZ、又は、昇圧回路若しくは降圧回路における入力電圧VIN若しくは出力電圧VOUTが所定の条件を満たすかを検知するセンサがあげられる。ここで、所定の条件とは、内部インピーダンスZ又は入力電圧VIN若しくは出力電圧VOUTが、所定の閾値を超える、所定の閾値以上となる、所定の閾値より小さくなる、又は、所定の閾値以下となる等、適宜設計することができる。所定の条件の対象となる入力電圧VINは、例えば、Toff期間を十分に長くとり、電流Iがゼロになった時点での入力電圧V2
INであり、所定の条件の対象となる出力電圧VOUTは、例えば、Toff期間を十分に長くとり、電流Iがゼロになった時点での出力電圧V2
OUTであってもよい。また、所定の条件の対象となる入力電圧VINは、例えば、Toff期間を開始した時点での入力電圧V2
INであり、所定の条件の対象となる出力電圧VOUTは、例えば、Toff期間を開始した時点での出力電圧V2
OUTであってもよい。Toff期間が開始した時の入力電圧V2
INは、式(3)から明らかなように、インピーダンスZに依存した値となる。逆に言えば、この入力電圧V2
INを測定することで、インピーダンスZを含めた入力電圧の変動を把握することができる。よって、Toff期間が開始した時の入力電圧V2
INは、測定データとして有効である。内部インピーダンスZ又は入力電圧VIN若しくは出力電圧VOUTが所定の条件を満たす場合は、制御部の制御より、通信部から他のコンピュータ装置へ信号を発信する。
【0063】
例えば、川、池、海又はダム等の水を媒体として、本発明のセンサを利用することができる。センサの第一導電部1及び第二導電部2の長手方向が、水面に対して垂直になるように設置する。水面の高さが変化することで、前記システムにおける内部インピーダンス又は入力電圧VIN若しくは出力電圧VOUTが、所定の条件を満たした場合に、他のコンピュータ装置に信号が発信される。他のコンピュータ装置にて信号を受信すると、水面の高さが閾値を超えたことなどを通知する旨の情報が、他のコンピュータ装置の表示画面に表示され、或いは、他のコンピュータ装置にて音声として出力される。このように、本発明のセンサを利用することで、水面の高さが高くなり、センサの設置位置の周辺に危険が迫っていることなどを、他のコンピュータ装置にて把握することが可能となる。
【0064】
第一の実施の形態では、センサにより水面の高さの変化を検知する構成としたが、例えば、センサの設置位置における水質(pHや組成)の変化があった場合でも、システムにおける内部インピーダンス又は入力電圧VIN若しくは出力電圧VOUTをもとに、この変化を検知することが可能である。また、第一の実施の形態では、川、池、海又はダム等の水を媒体として利用することについて述べたが、本発明のセンサは、水とは異なるもの、例えば、土などを媒体として利用することができる。
【0065】
(センサの第二の実施の形態)
本発明の第二の実施の形態にかかるセンサは、上記したシステムを活用したセンサである。上記のシステムにおける内部インピーダンス、又は、昇圧回路若しくは降圧回路における入力電圧VIN若しくは出力電圧VOUTの単位時間当たりの変化量が、所定の条件を満たすことを検知するセンサがあげられる。ここで、所定の条件とは、内部インピーダンス又は入力電圧VIN若しくは出力電圧VOUTの単位時間当たりの変化量が、所定の閾値を超える、所定の閾値以上となる、所定の閾値より小さくなる、又は、所定の閾値以下となる等、適宜設計することができる。内部インピーダンス又は入力電圧VIN若しくは出力電圧VOUTの単位時間あたりの変化量が、所定の条件を満たす場合は、制御部の制御より、通信部から他のコンピュータ装置へ信号を発信する。
【0066】
例えば、川、池、海又はダム等の水を媒体として、本発明のセンサを利用することができる。センサの第一導電部1及び第二導電部2の長手方向が、水面に対して垂直になるように設置する。水面の高さが変化することで、前記システムにおける内部インピーダンス又は入力電圧VIN若しくは出力電圧VOUTの単位時間当たりの変化量が、所定の条件を満たした場合に、他のコンピュータ装置に信号が発信される。他のコンピュータ装置にて信号を受信すると、水面の高さが急激に上昇したこと(或いは、水面の高さが急激に下降したこと)などを通知する旨の情報が、他のコンピュータ装置の表示画面に表示され、或いは、他のコンピュータ装置にて音声として出力される。このように、本発明のセンサを利用することで、水面の高さが急激に上昇し、センサの設置位置の周辺に危険が迫っていることなどを、他のコンピュータ装置にて把握することが可能となる。
【0067】
第二の実施の形態では、川、池、海又はダム等の水を媒体として利用することについて述べたが、本発明のセンサは、水とは異なるもの、例えば、土などを媒体として利用することができる。
【0068】
本発明の実施の形態において、「システム」とは、例えば、本発明の効果を奏するために必要な要素を含む系のことをいう。系は、より具体的には、回路や装置も含むものである。「導電部」とは、例えば、通電可能部材であればよく、材質を問わない。「機能部」とは、例えば、電流を流すことで所定の機能を実行するものをいう。機能は、電気を光や熱等のエネルギーに変換するもの、回路を制御するものであってもよい。
【0069】
本発明の実施の形態において、「電解液」とは、例えば、イオン性物質を極性溶媒に溶解させた、電気伝導性を有する溶液をいう。「昇圧回路」とは、例えば、入力電圧を昇圧して出力する回路をいう。「降圧回路」とは、例えば、入力電圧を降圧して出力する回路をいう。「導電性ポリマー」とは、例えば、電気伝導性を持つ高分子化合物をいう。「カーボン」とは、例えば、導電性を有する炭素繊維をいう。「一体的に構成」とは、例えば、異なる物体同士を接合させることをいい、より具体的には、接着剤による接着、他の部材を使用した機械的接合、溶接、圧着等、化学的及び/又は物理的な力により接合させることが挙げられる。
【0070】
[実施例]
以下、実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
【0071】
(実施例1)
以下の試験は、常温、常圧で行った。
図1(A)に示す、第一導電部1、第二導電部2、機能部3及び媒体4を備える回路を用いた。第一導電部1として、ステンレス製(オーステナイト、SUS304系)の板状部材(0.5mm厚、10cm×15cm)を用い、第二導電部2として、亜鉛メッキ鋼板(鉄)製の板状部材(0.5mm厚、10cm×15cm)を用い、第一導電部1、第二導電部2及び機能部3を、それぞれ銅製の導線で接続した。機能部3は、電力消費部、出力電圧変換部、通信部及び制御部を備えている。また、その入力インピーダンスは1kΩ以上であり、非線形な電流-電圧特性を有するものを用いた。電力消費部には、2mA以上の電流が流れると点灯するLED電球を用いた。出力電圧変換部には
図2(A)に示す昇圧回路を用い、システムを構成した。
【0072】
第一導電部1を、出力電圧変換部の昇圧回路の入力端子A1に接続し、また、昇圧回路の出力端子B1をLED電球に接続した。さらに、第二導電部2を、昇圧回路の入力端子A2に接続し、また、昇圧回路の出力端子B2を、LED電球の出力端子B1と接続されている端子とは反対側の端子に接続した。
【0073】
アクリル製容器(外径15cm×15cm×15cmの立方体、内径14.5cm)に高さ7.5cmまで、純水(古河薬品工業株式会社製、高純度精製水、温度25度:媒体4)を入れ、第一導電部1及び第二導電部2を浸してシステムを構築した。第一導電部1及び第二導電部2は非接触であり、第一導電部1及び第二導電部2の距離は12cmであり、第一導電部1と第二導電部2の板状の平面が平行になるように設置した。
【0074】
構築したシステムについて、第一導電部1及び第二導電部2との間の電圧を測定した(測定1)。測定には、Agilent Technologies社製の34401Aマルチメーターを使用した。結果を表1に示す。実施例1に示したシステムでは、LED電球は270~330秒おきに点滅を繰り返した。すなわち、第一導電部1及び/又は第二導電部2から、起電していることを確認できた。
【0075】
次に、第一導電部1及び第二導電部2を浸し、アクリル製容器(外径15cm×15cm×15cmの立方体、内径14.5cm)に高さ7.5cmまで、純水(古河薬品工業株式会社製、高純度精製水、温度25度:媒体4)を入れ、第一導電部1及び第二導電部2を浸した。第一導電部1及び第二導電部2は非接触であり、第一導電部1及び第二導電部2の距離は12cmであり、第一導電部1と第二導電部2の板状の平面は、平行になるように設置した。また、第一導電部1及び第二導電部2が、電気的に接続されていない状態とした。そして、34401Aマルチメーターを用いて、第一導電部1及び第二導電部2との間の電圧を測定した(測定2)。さらに、この状態において、第一導電部1と第二導電部2との間の媒体4の抵抗値を測定した(測定3)。
【0076】
(実施例2)
媒体4を、土(株式会社プロトリーフ製、観葉植物の土)に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、測定1~3を実施した。結果を表1に示す。実施例2に示したシステムでは、LED電球は21~23秒おきに、略等間隔に点滅を繰り返した。すなわち、第一導電部1及び/又は第二導電部2から、起電していることを確認できた。
【0077】
(実施例3)
純水(実施例1のものと同じ)50gに塩(伯方塩業株式会社製、伯方の塩)5gを溶かした水溶液に浸したウエスを、媒体4と接触する第一導電部1及び第二導電部2の面に貼り付け、媒体4を砂(トーヨーマテラン株式会社製、粒度ピーク(重量比)が、約0.9mmの珪砂)に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、測定1~3を実施した。結果を表1に示す。実施例2に示したシステムでは、LED電球は80~100秒おきに点滅を繰り返した。すなわち、第一導電部1及び/又は第二導電部2から、起電していることを確認できた。
【0078】
【0079】
(実施例4)
実施例1において、アクリル製容器に、高さ7.5cmまで純水を入れていたところ、高さ10cmまで純水を追加した。純水を追加することで、前述したシステムの内部インピーダンスの変化を確認できた。また、純水を追加することで、Toff期間が開始した時の入力電圧V2
INの変化を確認できた。なお、内部インピーダンスは、上述した算定方法により算定した。
【0080】
(実施例5)
実施例1において、アクリル製容器に、高さ7.5cmまで純水を入れていたところ、5分間をかけて、高さ10cmまで純水を追加した。前述したシステムの内部インピーダンスの単位時間当たりの変化量が変化するのを確認できた。また、純水を追加することで、入力電圧の単位時間当たりの変化量が変化するのを確認できた。なお、内部インピーダンスは、上述した算定方法により算定した。入力電圧は、Toff期間が開始した時の入力電圧V2
INである。
【符号の説明】
【0081】
1 第一導電部、2 第二導電部、3 機能部、4 媒体、5 絶縁部